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特許7416063遠隔操作端末および遠隔操作端末を備える移動式クレーン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】遠隔操作端末および遠隔操作端末を備える移動式クレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/46 20060101AFI20240110BHJP
   B66C 13/40 20060101ALI20240110BHJP
   B66C 13/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B66C13/46 F
B66C13/40 D
B66C13/40 B
B66C13/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021520877
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2020020362
(87)【国際公開番号】W WO2020235681
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2019096383
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)展示日 平成31年4月8日 (2)展示会名 bauma 2019 (3)開催場所 Messe Munchen(Messegelaende, D-81823 Muenchen, Germany) (4)公開者 株式会社タダノ
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 洋幸
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-095449(JP,A)
【文献】国際公開第2018/110707(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/124098(WO,A1)
【文献】特開2014-222795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームの先端に吊り荷カメラを備える移動式クレーンの遠隔操作端末であって、
前記吊り荷カメラが撮影した映像を取得する映像取得部と、
前記映像取得部が取得した映像を表示する表示部と、
操縦者による映像回転操作を受け付け、当該映像回転操作に対応するように前記表示部に表示される前記映像を回転させる映像回転操作部と、
前記操縦者によるクレーン移動操作を受け付け、当該クレーン移動操作に基づいて前記移動式クレーンを遠隔操作するための制御信号を生成するクレーン操作部と、
前記移動式クレーンの制御装置と通信可能に構成され、前記遠隔操作端末の各部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記クレーン移動操作が行われた場合、前記表示部に表示される前記映像の水平面の座標系と前記クレーン移動操作の操作方向とを対応づけ、前記クレーン移動操作の操作方向に対応する方向に向かって、前記表示部に表示されている前記ブームの先端が水平に移動するように、前記制御信号を生成し、
前記クレーン移動操作が行われている際に、前記映像回転操作が行われた場合、前記表示部に表示される前記映像を、前記映像回転操作の操作方向に、前記映像回転操作の操作量に応じた回転量だけ回転させるとともに、前記座標系を、前記映像の回転方向と逆方向に前記回転量だけ回転させて、前記クレーン移動操作に基づいて決定された前記ブームの先端の移動方向を補正する、
遠隔操作端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記クレーン移動操作が行われている際に、前記映像回転操作が行われた場合、前記クレーン移動操作により決定された前記ブームの先端の移動方向を、前記映像回転操作により決定された前記映像の前記回転量だけ、前記映像の回転方向と逆方向に回転するように補正する、
請求項1に記載の遠隔操作端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示部に対して、前記ブームの先端の移動方向を、前記映像に重畳して表示させる、
請求項1に記載の遠隔操作端末。
【請求項4】
前記映像回転操作部と前記クレーン操作部とのうちいずれか一方の前記ブームの先端の移動方向を設定する機能を有効な状態と無効な状態とに切り替える操舵切り替え部を備える、
請求項2に記載の遠隔操作端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作端末および遠隔操作端末を備える移動式クレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動式クレーンにおいて、クレーン装置のアクチュエータが遠隔操作される移動式クレーンおよびクレーン装置のアクチュエータを遠隔操作する遠隔操作端末が提案されている。遠隔操作端末を用いた作業では、作業者がクレーン装置の操作装置から離れた荷物近傍または荷物の目標位置において荷物の移動状態を確認しながら作業を行うことができる。
【0003】
このような移動式クレーンにおいて、クレーン装置と遠隔操作端末との相対的な位置関係は、作業状況に応じて変化する。このため、遠隔操作端末によってクレーン装置を操作する作業者は、作業装置との相対的な位置関係を常に考慮しながら遠隔操作端末の操作具を操作する必要があった。そこで、クレーン装置と遠隔操作端末との相対的な位置関係に関わらず、遠隔操作端末の操作具の操作方向とクレーン装置の作動方向とを一致させて、クレーン装置の操作を容易かつ簡単に行うことができる遠隔操作端末が知られている。例えば、特許文献1の如くである。
【0004】
特許文献1に記載の遠隔操作端末には、作業装置(クレーン装置)の制御装置と通信可能に構成され、前記遠隔操作端末の作動を制御するための制御部と、画像を表示するための表示部と、前記作業装置を遠隔操作するための第1の操作部と、前記表示部に表示された前記画像を回転操作するための第2の操作部とを備える。第2の操作部の入力操作に応じて画像を回転させた場合、制御部は、その画像の回転方向、回転量と同じ回転方向、回転量で基準座標系を回転させる。作業者は、表示装置に表示されている画像を実際に見える荷物方向に合わせることで、遠隔操作端末における操作具の操作方向と作業装置による荷物の移動方向を一致させることができる。これにより、正確な遠隔操作を、容易かつ簡単な操作によって行うことができる。
【0005】
特許文献1に記載の遠隔操作端末は、表示装置に表示された映像とともに基準座標系を回転させることで操作具の基準座標系と実際に見える作業装置の座標系とを一致させている。このため、遠隔操作端末による操作中に作業装置に対する遠隔操作端末の相対的な位置関係が変わった場合、操作具の操作方向と作業装置の移動方向とが一致しなくなる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-95449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、クレーン装置に対する遠隔操作端末の相対位置が変更されても誤操作を防止し、移動式クレーンの遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる遠隔操作端末および遠隔操作端末を備える移動式クレーンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、第1の発明は、
ブームの先端に吊り荷カメラを備える移動式クレーンの遠隔操作端末であって、
前記吊り荷カメラが撮影した映像を取得する映像取得部と、
前記映像取得部が取得した映像を表示する表示部と、
操縦者による映像回転操作を受け付け、当該映像回転操作に対応するように前記表示部に表示される前記映像を回転させる映像回転操作部と、
前記操縦者によるクレーン移動操作を受け付け、当該クレーン移動操作に基づいて前記移動式クレーンを遠隔操作するための制御信号を生成するクレーン操作部と、
前記移動式クレーンの制御装置と通信可能に構成され、前記遠隔操作端末の各部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記クレーン移動操作が行われた場合、前記表示部に表示される前記映像の水平面の座標系と前記クレーン移動操作の操作方向とを対応づけ、前記クレーン移動操作の操作方向に対応する方向に向かって、前記表示部に表示されている前記ブームの先端が水平に移動するように、前記制御信号を生成し、
前記クレーン移動操作が行われている際に、前記映像回転操作が行われた場合、前記表示部に表示される前記映像を、前記映像回転操作の操作方向に、前記映像回転操作の操作量に応じた回転量だけ回転させるとともに、前記座標系を、前記映像の回転方向と逆方向に前記回転量だけ回転させて、前記クレーン移動操作に基づいて決定された前記ブームの先端の移動方向を補正する、
遠隔操作端末である。
【0010】
第2の発明は、上記の遠隔操作端末において、
前記制御部は、前記クレーン移動操作が行われている際に、前記映像回転操作が行われた場合、前記クレーン移動操作により決定された前記ブームの先端の移動方向を、前記映像回転操作により決定された前記映像の前記回転量だけ、前記映像の回転方向と逆方向に回転するように補正するものである。
【0011】
第3の発明は、上記の遠隔操作端末において、
前記制御部は、前記表示部に対して、前記ブームの先端の移動方向を、前記映像に重畳して表示させるものである。
【0012】
第4の発明は、上記の遠隔操作端末において、
前記映像回転操作部と前記クレーン操作部とのうちいずれか一方の前記ブームの先端の移動方向を設定する機能を有効な状態と無効な状態とに切り替える操舵切り替え部を備えるものである。
【0013】
第5の発明は、
ブームの先端に吊り荷カメラを備える移動式クレーンであって、上記の遠隔操作端末と通信可能に構成され、当該遠隔操作端末から受信する操作信号に基づいて、前記ブームを作動させる、移動式クレーンである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
第1の発明および第5の発明においては、表示部に表示されている映像を回転させることでブームの先端の移動を制御しているので、クレーン操作部の基準座標系と実際に見えるクレーン装置の座標系とを一致させる必要がない。これにより、移動式クレーンの遠隔操作時における誤操作を防止し、移動式クレーンの遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる。
【0016】
第2の発明においては、表示部に表示されている映像の回転に加え、クレーン操作部の操作による移動方向の設定によってブームの先端の移動を制御しているので、移動式クレーンの操作がやり易い操作部を選択的に使用してブームの先端の移動が制御される。これにより、移動式クレーンの遠隔操作時における誤操作を防止し、移動式クレーンの遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる。
【0017】
第3の発明においては、ブームの先端の移動方向が明示されるので、映像回転部の操作とクレーン操作部の操作を意識することなくブームの先端の移動方向が認識される。これにより、移動式クレーンの遠隔操作時における誤操作を防止し、移動式クレーンの遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる。
【0018】
第4の発明においては、操縦者の操作の好みや操作状況に応じた操作態様が選択される。これにより、移動式クレーンの遠隔操作時における誤操作を防止し、移動式クレーンの遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】クレーンの全体構成を示す側面図。
図2】クレーンの制御構成を示すブロック図。
図3】遠隔操作端末の一実施形態における概略構成を示す平面図。
図4】遠隔操作端末の制御構成を示すブロック図。
図5図5は遠隔操作端末と遠隔操作端末で操作されるクレーンを示す。(A)は遠隔操作端末の吊り荷移動操作具が操作された際の表示装置の表示内容を示し、(B)は遠隔操作端末の吊り荷移動操作具が操作された際のクレーンにおけるブームの移動方向を示す。
図6図6は遠隔操作端末と遠隔操作端末で操作されるクレーンを示す。(A)は遠隔操作端末の映像回転操作具が操作された際の表示装置の表示内容を示し、(B)は遠隔操作端末の映像回転操作具が操作された際のクレーンにおけるブームの移動方向を示す。
図7図7は遠隔操作端末と遠隔操作端末で操作されるクレーンを示す。(A)は遠隔操作端末の吊り荷移動操作具と映像回転操作具が操作された際の表示装置の表示内容を示し、(B)は遠隔操作端末の吊り荷移動操作具と映像回転操作具が操作された際のクレーンにおけるブームの移動方向を示す。
図8】遠隔操作端末の別実施形態における制御構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図1図2とを用いて、本発明の第一実施形態に係る移動式クレーンであるクレーン1について説明する。なお、本実施形態においては、ラフテレーンクレーンついて説明を行うが、オールテレーンクレーン、トラッククレーン、積載型トラッククレーン、高所作業車等でもよい。
【0021】
図1に示すように、クレーン1は、不特定の場所に移動可能な移動式クレーンである。クレーン1は、車両2、作業装置であるクレーン装置6、制御装置31およびクレーン装置6を遠隔操作可能な遠隔操作端末32(図2参照)を有する。
【0022】
車両2は、クレーン装置6を搬送する移動体である。車両2は、複数の車輪3を有し、エンジン4を動力源として走行する。車両2には、アウトリガ5が設けられている。車両2は、アウトリガ5を車両2の幅方向に延伸させるとともにジャッキシリンダを接地させることにより、クレーン1の作業可能範囲を広げることができる。
【0023】
クレーン装置6は、荷物Wをワイヤロープによって吊り上げる装置である。クレーン装置6は、旋回台7、ブーム9、ジブ9a、メインフックブロック10、サブフックブロック11、起伏用油圧シリンダ12、メインウインチ13、メインワイヤロープ14、サブウインチ15、サブワイヤロープ16およびキャビン17等を具備する。
【0024】
旋回台7は、クレーン装置6を旋回する装置である。旋回台7は、円環状の軸受の中心を回転中心として回転自在に構成されている。旋回台7には、アクチュエータである油圧式の旋回用油圧モータ8が設けられている。旋回台7は、旋回用油圧モータ8によって一方向と他方向とに旋回可能に構成されている。
【0025】
アクチュエータである旋回用油圧モータ8は、電磁比例切換弁である旋回用バルブ23(図2参照)によって回転操作される。旋回用バルブ23は、旋回用油圧モータ8に供給される作動油の流量を任意の流量に制御することができる。旋回台7には、旋回台7の旋回位置(角度)と旋回速度とを検出する旋回用センサ27(図2参照)が設けられている。
【0026】
ブーム9は、荷物Wを吊り上げ可能な状態にワイヤロープを支持する梁部材である。ブーム9は、ベースブーム部材の基端が旋回台7の略中央に揺動可能に設けられている。ブーム9は、各ブーム部材をアクチュエータである図示しない伸縮用油圧シリンダで移動させることで軸方向に伸縮自在に構成されている。また、ブーム9には、ジブ9aが設けられている。
【0027】
アクチュエータである図示しない伸縮用油圧シリンダは、電磁比例切換弁である伸縮用バルブ24(図2参照)によって伸縮操作される。ブーム9には、ブーム9の長さを検出する伸縮用センサ28や荷物Wの重量を検出する重量センサ等が設けられている。
【0028】
吊り荷カメラ9b(図2参照)は、荷物Wおよび荷物W周辺の地物を撮影する撮影装置である。吊り荷カメラ9bは、ブーム9の先端部に設けられている。吊り荷カメラ9bは、荷物Wの鉛直上方から荷物Wおよびクレーン1周辺の地物や地形を撮影可能に構成されている。
【0029】
メインフックブロック10とサブフックブロック11とは、荷物Wを吊る部材である。メインフックブロック10には、メインワイヤロープ14が巻き掛けられる複数のフックシーブと、荷物Wを吊るメインフック10aとが設けられている。サブフックブロック11には、荷物Wを吊るサブフック11aが設けられている。
【0030】
起伏用油圧シリンダ12は、ブーム9を起立および倒伏させ、ブーム9の姿勢を保持するアクチュエータである。起伏用油圧シリンダ12は、電磁比例切換弁である起伏用バルブ25(図2参照)によって伸縮操作される。ブーム9には、ブーム9の起伏角度を検出する起伏用センサ29(図2参照)が設けられている。
【0031】
メインウインチ13とサブウインチ15とは、メインワイヤロープ14とサブワイヤロープ16との繰り入れ(巻き上げ)および繰り出し(巻き下げ)を行う。メインウインチ13は、メインワイヤロープ14が巻きつけられるメインドラムがアクチュエータである図示しないメイン用油圧モータによって回転され、サブウインチ15は、サブワイヤロープ16が巻きつけられるサブドラムがアクチュエータである図示しないサブ用油圧モータによって回転されるように構成されている。
【0032】
メイン用油圧モータは、電磁比例切換弁であるメイン用バルブ26m(図2参照)によって回転操作される。メインウインチ13は、メイン用バルブ26mによってメイン用油圧モータを制御し、任意の繰り入れおよび繰り出し速度に操作可能に構成されている。同様に、サブウインチ15は、電磁比例切換弁であるサブ用バルブ26s(図2参照)によってサブ用油圧モータを制御し、任意の繰り入れおよび繰り出し速度に操作可能に構成されている。
【0033】
キャビン17は、旋回台7に搭載されている。図示しない操縦席が設けられている。操縦席には、車両2を走行操作するための操作具やクレーン装置6を操作するための旋回操作具18、起伏操作具19、伸縮操作具20、メインドラム操作具21m、サブドラム操作具21s等が設けられている(図2参照)。
【0034】
通信機22(図2参照)は、遠隔操作端末32からの制御信号を広域情報通信網等を介して受信し、クレーン装置6からの制御情報等を広域情報通信網等を介して送信する装置である。通信機22は、キャビン17に設けられている。通信機22は、遠隔操作端末32からの制御信号等を受信するとクレーン1の制御装置31に転送するように構成されている。また、通信機22は、制御装置31からの制御情報や吊り荷カメラ9bからの映像Gを遠隔操作端末32に転送するように構成されている。
【0035】
図2に示すように、制御装置31は、各操作弁を介してクレーン1のアクチュエータを制御する装置である。制御装置31は、キャビン17内に設けられている。制御装置31は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。制御装置31は、各アクチュエータや切換え弁、センサ等の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。
【0036】
制御装置31は、吊り荷カメラ9b、旋回操作具18、起伏操作具19、伸縮操作具20、メインドラム操作具21mおよびサブドラム操作具21sに接続され、吊り荷カメラ9bの映像Gを取得し、旋回操作具18、起伏操作具19、メインドラム操作具21mおよびサブドラム操作具21sのそれぞれの操作量を取得することができる。
【0037】
制御装置31は、通信機22に接続され、遠隔操作端末32からの制御信号を取得し、クレーン装置6からの制御情報や吊り荷カメラ9bからの映像G等を送信することができる。
【0038】
制御装置31は、旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sに接続され、旋回用バルブ23、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sに制御信号を伝達することができる。
【0039】
制御装置31は、旋回用センサ27、伸縮用センサ28および起伏用センサ29に接続され、旋回台7の旋回位置、ブーム長さ、起伏角度等の姿勢情報および荷物Wの重量を取得することができる。
【0040】
制御装置31は、旋回操作具18、起伏操作具19、伸縮操作具20、メインドラム操作具21mおよびサブドラム操作具21sの操作量に基づいて各操作具に対応した制御信号を生成する。
【0041】
このように構成されるクレーン1は、車両2を走行させることで任意の位置にクレーン装置6を移動させることができる。また、クレーン1は、起伏操作具19の操作によって起伏用油圧シリンダ12でブーム9を任意の起伏角度に起立させて、伸縮操作具20の操作によってブーム9を任意のブーム長さに延伸させたりすることでクレーン装置6の揚程や作業半径を拡大することができる。また、クレーン1は、サブドラム操作具21s等によって荷物Wを吊り上げて、旋回操作具18の操作によって旋回台7を旋回させることで荷物Wを搬送することができる。
【0042】
次に、図3図4とを用いてクレーン1を遠隔操作する遠隔操作端末32について説明する。
【0043】
図3に示すように、遠隔操作端末32は、クレーン1を遠隔操作する際に使用する装置である。遠隔操作端末32は、筐体33、筐体33の操作面に設けられる映像回転操作部である映像回転操作具34、筐体33の操作面に設けられるクレーン操作部である吊り荷移動操作具35、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38s、端末側起伏操作具39、表示部である表示装置40、端末側通信機41および端末側制御装置43(図4参照)等を具備する。遠隔操作端末32は、吊り荷移動操作具35または各種操作具の操作により荷物Wを移動させる各アクチュエータの操作バルブの制御信号を広域情報通信網(インターネット等)を介してクレーン装置6に送信する。
【0044】
筐体33は、遠隔操作端末32の主たる構成部材である。筐体33は、操縦者が手で保持可能な大きさに構成されている。筐体33には、操作面に映像回転操作具34、吊り荷移動操作具35、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38s、端末側起伏操作具39、表示装置40および端末側通信機41(図2図4参照)が設けられている。
【0045】
映像回転操作具34は、表示装置40に表示される映像Gの表示方向を変更する指示(以下、「映像回転操作」とも称する)が入力される操作具(即ち、操縦者による映像回転操作を受け付ける操作具)である。映像回転操作具34は、例えば、筐体33の操作面の右側であって筐体33の操作面から突出した回転可能な操作スティック、および操作スティックの回転方向および回転量を検出する図示しないセンサから構成されている。映像回転操作具34は、操作スティックが操作されることで、表示装置40に表示されている映像Gの表示方向についての信号を端末側制御装置43に伝達するように構成されている。つまり、映像回転操作具34は、操作スティックが操作されることで、表示装置40に表示されている映像Gの回転方向および回転量についての操作信号を端末側制御装置43に伝達するように構成されている。
【0046】
吊り荷移動操作具35は、任意の方向に任意の速度で荷物Wを移動させる指示(以下、「クレーン移動操作」とも称する)が入力される操作具(即ち、操縦者によるクレーン移動操作を受け付ける操作具)である。吊り荷移動操作具35は、例えば、筐体33の操作面の左側であって筐体33の操作面から略垂直に起立した操作スティックおよび操作スティックの傾倒方向および傾倒量を検出する図示しないセンサから構成されている。吊り荷移動操作具35は、操作スティックが任意の方向に傾倒操作可能に構成されている。吊り荷移動操作具35は、遠隔操作端末32の上方向からセンサで検出した操作スティックの傾倒方向までの間の角度およびその傾倒量についての信号を端末側制御装置43に伝達するように構成されている。遠隔操作端末32には、筐体33の操作面に向かって上方向を示す矢印Aa、操作面に向かって右側方向を示す矢印Ab、操作面に向かって下方向を示す矢印Ac、操作面に向かって左側方向を示す矢印Adが吊り荷移動操作具35の傾倒操作の目安として吊り荷移動操作具35の周囲に表示されている。
【0047】
端末側旋回操作具36は、クレーン装置6を任意の移動方向に任意の移動速度で旋回させる指示が入力される操作具である。端末側旋回操作具36は、筐体33の操作面から略垂直に起立した操作スティックおよび操作スティックの傾倒方向および傾倒量を検出する図示しないセンサから構成されている。
【0048】
端末側伸縮操作具37は、ブーム9を任意の速度で伸縮させる指示が入力される操作具である。端末側メインドラム操作具38m(端末側サブドラム操作具38s)は、メインウインチ13を任意の速度で任意の方向に回転させる指示が入力される操作具である。端末側起伏操作具39は、ブーム9を任意の速度で起伏させる指示が入力される操作具である。各操作具は、筐体33の操作面から起立した操作スティックおよびその傾倒方向および傾倒量を検出する図示しないセンサから構成されている。
【0049】
表示装置40は、クレーン1の姿勢情報や荷物Wの情報等の様々な情報を表示する表示装置40である。表示装置40は、液晶画面等の表示装置から構成されている。表示装置40は筐体33の操作面に設けられている。表示装置40には、吊り荷カメラ9bからの映像G、荷物Wの移動方向を示すブーム用矢印Aw、旋回台7の旋回中心の方向を示す印Mが表示される。さらに、表示装置40には、映像Gの座標軸であるX軸とY軸とが表示される。なお、本実施形態において、表示装置40は、遠隔操作端末32に設けられているが、遠隔操作端末32と分離したモニターでもよい。また、表示装置40は、クレーン1のキャビン17の内部に設けてもよい。
【0050】
図4に示すように、端末側通信機41は、広域情報通信網等を介してクレーン装置6の制御情報等を受信し、遠隔操作端末32からの制御情報等をクレーン装置6に送信する装置である。端末側通信機41は、筐体33の内部に設けられている。端末側通信機41は、クレーン装置6の吊り荷カメラ9bからの映像G(図5参照)や制御信号等を受信すると端末側制御装置43に伝達するように構成されている。また、端末側通信機41は、端末側制御装置43からの制御情報を広域情報通信網等からクレーン1の通信機22を介してクレーン装置6に送信するように構成されている。
【0051】
制御部である端末側制御装置43は、遠隔操作端末32を制御する装置である。端末側制御装置43は、遠隔操作端末32の筐体33の内部に設けられている。端末側制御装置43は、実体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。端末側制御装置43は、吊り荷カメラ9bが撮影した映像Gを取得し、回転処理等を行う映像取得部42を具備する。端末側制御装置43は、吊り荷移動操作具35、映像回転操作具34、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38s、端末側起伏操作具39、表示装置40、端末側通信機41等の動作を制御するために種々のプログラムやデータが格納されている。
【0052】
端末側制御装置43は、吊り荷移動操作具35、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38sおよび端末側起伏操作具39に接続され、各操作具の操作スティックの傾倒方向および傾倒量からなる操作信号を取得することができる。また、端末側制御装置43は、映像回転操作具34に接続され、映像回転操作具34に入力された回転方向および回転量と傾倒方向および傾倒量からなる操作信号を取得することができる。
【0053】
端末側制御装置43は、端末側通信機41に接続され、広域情報通信網を介して接続されるクレーン装置6の通信機22を通じて制御装置31との間で各種情報を送受信することができる。具体的には、端末側制御装置43は、制御装置31からクレーン1の姿勢情報、クレーン1の可動範囲およびブーム9の先端の現在位置を取得することができる。端末側制御装置43の映像取得部42は、吊り荷カメラ9bが撮影した映像Gを取得することができる。
【0054】
端末側制御装置43は、端末側旋回操作具36、端末側伸縮操作具37、端末側メインドラム操作具38m、端末側サブドラム操作具38sおよび端末側起伏操作具39の各センサから取得した各操作スティックの操作信号から、対応する旋回用バルブ23、伸縮用バルブ24、起伏用バルブ25、メイン用バルブ26mおよびサブ用バルブ26sの制御信号を生成することができる。
【0055】
端末側制御装置43は、表示装置40に接続され、表示装置40に現在のクレーン1の姿勢におけるクレーン1の模式画像、吊り荷カメラ9bからの映像Gおよびクレーン1から取得した各種情報を表示させることができる。また、端末側制御装置43は、映像取得部42によって表示装置40に表示させた映像Gを映像回転操作具34に入力された回転方向および回転量に連動した任意の方向で映像Gを表示させることができる。
【0056】
端末側制御装置43は、表示装置40に表示している映像Gの画面上での所定の方向を操作基準として吊り荷移動操作具35が傾倒操作された際のクレーン1の制御信号を生成する。具体的には端末側制御装置43は、吊り荷移動操作具35の傾倒方向に、その傾倒量に応じた速度でブーム9の先端が水平に移動するように(協調制御)、各アクチュエータのバルブの制御信号を生成する。即ち、端末側制御装置43は、操縦者により、吊り荷移動操作具35の傾倒操作が行われた場合、表示装置40に表示される映像の水平面の座標系と吊り荷移動操作具35の傾倒操作の操作方向(傾倒方向)とを対応づけ、吊り荷移動操作具35の傾倒操作の操作方向に対応する方向に向かって、表示装置40に表示されているブーム9の先端が水平に移動するように、クレーン1の制御信号を生成する。
【0057】
この際、端末側制御装置43は、映像回転操作具34によって回転された映像Gの画面上での方向を基準として吊り荷移動操作具35が傾倒操作された際のクレーン1の制御信号を生成する。
【0058】
このように、遠隔操作端末32は、筐体33の操作面の一側(例えば右側)に映像回転操作具34が配置され、操作面の他側(例えば左側)に吊り荷移動操作具35が配置されているので、操縦者が左右両手で映像回転操作具34と吊り荷移動操作具35を同時に操作することができる。遠隔操作端末32は、映像回転操作具34が任意の回転方向に任意の回転量だけ回転操作されると、表示装置40に表示されている映像Gをその回転方向に回転させるとともに、吊り荷移動操作具35の傾倒方向に移動しているブーム9の先端の水平面における移動方向を映像Gの回転に伴って補正した制御信号を生成する。つまり、遠隔操作端末32は、映像回転操作具34の回転操作でブーム9の先端の移動方向を制御することができる。
【0059】
以下に、図5から図7を用いて、遠隔操作端末32によるクレーン1の制御について具体的に説明する。遠隔操作端末32は、クレーン1の姿勢情報、クレーン1の可動範囲およびクレーン1のブーム9の先端の現在位置をクレーン1の制御装置31から取得しているものとする。また、遠隔操作端末32は、映像回転操作具34が初期位置にある状態において、吊り荷移動操作具35の傾倒方向と表示装置40に表示されている映像Gにおけるブーム9の先端の移動方向とが一致するように操作基準が設定されているものとする。
【0060】
図5(A)に示すように、遠隔操作端末32の表示装置40には、クレーン装置6の吊り荷カメラ9bが撮影している映像Gが表示されている。吊り荷移動操作具35が遠隔操作端末32の上方向である矢印Aaの方向に傾倒操作された場合(矢印参照)、端末側制御装置43は、表示装置40に表示している映像Gにおける上方向であるX軸方向にブーム9の先端が移動するようにクレーン1の制御信号を生成する。さらに、端末側制御装置43は、映像Gにブーム9の移動方向である吊り荷移動操作具35の傾倒方向を示すブーム用矢印Awを重畳表示する。ブーム用矢印Awは、ブーム9の移動速度に応じて長さや幅などの表示形態を変えて表示してもよい。端末側制御装置43は、広域情報通信網等を用いて生成した制御信号をクレーン1の制御装置31(図2参照)に送信する。即ち、遠隔操作端末32においては、操縦者は、移動式クレーン1に対する遠隔操作端末32の相対位置を意識することなく、表示装置40に表示されている映像Gのみを視認しながら、直感的に、移動式クレーン1の遠隔操作を行うことが可能となっている。
【0061】
図5(B)に示すように、遠隔操作端末32から制御信号を受信したクレーン1の制御装置31は、映像GのX軸方向にブーム9の先端が移動するように各アクチュエータのバルブに制御信号を送信する。つまり、制御装置31は、クレーン1の荷物Wの地面からの高さを維持した状態で荷物Wを旋回台7から離間するようにブーム9を延伸および倒伏させる制御信号を生成する。この際、制御装置31は、予め設定されているブーム9の高さ制限または倒伏角度の制限や優先順位に基づいて、ブーム9の延伸長さと倒伏角度とを決定する。クレーン1は、制御装置31からの制御信号に従ってブーム9の先端を移動させる(黒塗矢印参照)。
【0062】
図6(A)に示すように、吊り荷移動操作具35が遠隔操作端末32の矢印Aaの方向に傾倒操作されている状態で、映像回転操作具34が反時計回りに所定角度θ1だけ回転操作される場合、端末側制御装置43は、表示装置40に表示されている映像Gを反時計回りに所定角度θ1だけ回転させる。同時に端末側制御装置43は、映像Gにおける操作基準を映像回転操作具34の回転操作方向と逆方向の時計回りに所定角度θ1だけ回転させる(X軸およびY軸参照)。これにより、端末側制御装置43は、吊り荷移動操作具35の傾倒操作と映像回転操作具34の回転操作によって、元の操作基準の方向から時計回りに所定角度θ1だけ回転した映像GにおけるX軸方向にブーム9の先端を移動させる制御信号を生成する。つまり、端末側制御装置43は、ブーム9の先端が映像回転操作具34の回転操作の方向と逆方向に移動するように制御信号を補正する。
【0063】
さらに、端末側制御装置43は、生成した制御信号に基づいて映像Gに元の操作基準(回転前の映像GにおけるX軸方向)の方向から時計回りに所定角度θ1だけ回転した方向を指し示すようにブーム用矢印Awを重畳表示する。そして、端末側制御装置43は、広域情報通信網等を用いてクレーン1の制御装置31(図2参照)に生成した制御信号を送信する。
【0064】
図6(B)に示すように、遠隔操作端末32から制御信号を受信したクレーン1の制御装置31は、映像GのX軸方向にブーム9の先端が移動するように各アクチュエータのバルブに制御信号を送信する。つまり、制御装置31は、荷物Wの地面からの高さを維持した状態で荷物Wを旋回台7から離間するようにブーム9を延伸または倒伏させるとともに、旋回台7を時計回りに回転させる制御信号を生成する。この際、制御装置31は、予め設定されているブーム9の高さ制限または倒伏角度の制限や優先順位に基づいて、ブーム9の延伸長さと倒伏角度とを決定する。クレーン1は、制御装置31からの制御信号に従ってブーム9の先端を移動させる(黒塗矢印参照)。
【0065】
端末側制御装置43は、端末側メインドラム操作具38mまたは端末側サブドラム操作具38sが遠隔操作端末32の上下方向に操作されると、メインワイヤロープ14またはサブワイヤロープ16を巻き上げまたは巻き下げさせる制御信号を生成する。
【0066】
クレーン1の制御装置31(図2参照)は、遠隔操作端末32の端末側制御装置43(図4参照)から広域情報通信網等を用いて制御信号を取得する。制御装置31は、取得した制御信号に基づいて各アクチュエータの各バルブを制御する。
【0067】
このように構成することで、遠隔操作端末32は、表示装置40に表示されている映像Gを回転させることでブーム9の先端の移動方向を制御しているので、吊り荷移動操作具35の基準座標系と実際に見えるクレーン装置6の座標系とを一致させる必要がない。つまり、遠隔操作端末32は、映像Gにおける吊り荷移動操作具35の傾倒操作の方向にブーム9を移動させる制御信号を生成しつつ、映像回転操作具34の回転操作の回転方向および回転角度に基づいてブーム9の制御信号を補正する。従って、操縦者は、映像回転操作具34の回転操作によって映像Gを回転させるだけでブーム9の移動方向を設定することができるのでクレーン1と遠隔操作端末32との位置関係を意識する必要がない。これにより、クレーン1の遠隔操作時における誤操作を防止し、クレーン1の遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる。
【0068】
図7(A)に示すように、吊り荷移動操作具35が遠隔操作端末32の矢印Aaの方向に傾倒操作されている状態で、映像回転操作具34が反時計回りに所定角度θ1だけ回転操作される場合、端末側制御装置43は、映像Gに向かって元の操作基準の方向から時計回りに所定角度θ1だけ回転させたX軸方向にブーム9の先端を移動させる制御信号を生成している。この状態において、吊り荷移動操作具35が遠隔操作端末32に向かって時計回りに所定角度θ2だけ回転した方向に傾倒操作された場合、端末側制御装置43は、映像GにおけるX軸方向から時計回りに所定角度θ2だけ回転させた方向にブーム9の先端を移動させる制御信号を生成する。つまり、端末側制御装置43は、吊り荷移動操作具35の更なる傾倒操作における時計回りの傾倒方向に基づいて、所定角度θ1に吊り荷移動操作具35の傾倒角度である所定角度θ2を加算した方向にブーム9の先端が移動するように制御信号を補正する。
【0069】
さらに、端末側制御装置43は、生成した制御信号に基づいて映像Gにブーム用矢印AwをX軸方向から時計回りに所定角度θ2だけ回転させた方向を指し示すように重畳表示する。そして、端末側制御装置43は、広域情報通信網等を用いて生成した制御信号をクレーン1の制御装置31(図2参照)に制御信号を送信する。
【0070】
図7(B)に示すように、遠隔操作端末32から制御信号を受信したクレーン1の制御装置31は、映像GのX軸方向から時計回りに所定角度θ2の方向にブーム9の先端が移動するように各アクチュエータのバルブに制御信号を送信する。クレーン1は、制御装置31からの制御信号に従ってブーム9の先端を移動させる(黒塗矢印参照)。
【0071】
このように構成することで、遠隔操作端末32は、映像回転操作具34の回転操作に加え、吊り荷移動操作具35の傾倒操作によってブーム9の先端の移動を制御しているので、移動式クレーン1の操作がやり易い操作具によってブーム9の先端の移動が制御される。従って、操縦者は、表示装置40に表示されている映像Gの範囲を鑑みて、吊り荷移動操作具35の傾倒操作による制御と映像回転操作具34の回転操作による制御とを使い分けることができるので、映像Gから適切に情報を得ながらブーム9の制御を行う。これにより、クレーン1の遠隔操作時における誤操作を防止し、クレーン1の遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる。
【0072】
また遠隔操作端末32は、表示装置40にブーム9の先端の移動方向がブーム用矢印Awによって明示されるので、映像回転操作具34の操作と吊り荷移動操作具35の操作を意識することなくブーム9の先端の移動方向が認識される。従って、操縦者は、ブーム用矢印Awを手掛かりにしてブーム9の先端の移動方向を設定することがきるので、ブーム9の先端の移動方向を見失うことがない。これにより、クレーン1の遠隔操作時における誤操作を防止し、クレーン1の遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる。
【0073】
なお、遠隔操作端末32には、吊り荷移動操作具35と映像回転操作具34とのうちいずれか一方のブーム9の移動方向を設定する機能を有効な状態と無効な状態とに切り替える操舵切り替え部を備えてもよい。
【0074】
図8に示すように、遠隔操作端末32は、操舵切り替え部である操舵切り替え操作具44を具備する。操舵切り替え操作具44は、例えば3ポジションのスイッチから構成されている。操舵切り替え操作具44は、吊り荷移動操作具35の機能と映像回転操作具34の機能とを共に無効にしない状態と、吊り荷移動操作具35の機能または映像回転操作具34の機能を無効にする状態とを選択することができる。
【0075】
吊り荷移動操作具35の機能を無効にした場合、遠隔操作端末32は、映像回転操作具34の回転操作のみによってブーム9の先端の移動方向を設定する。この際、遠隔操作端末32は、吊り荷移動操作具35の傾倒方向に関わらず、傾倒操作によって映像Gにおける特定の方向(例えば、X軸方向)に傾倒量に応じた速度でブーム9の先端を移動させる制御信号を生成する。遠隔操作端末32は、映像回転操作具34が操作されると、映像回転操作具34の回転操作の回転方向および回転角度に基づいてブーム9の制御信号を補正する。
【0076】
映像回転操作具34の機能を無効にした場合、遠隔操作端末32は、吊り荷移動操作具35の傾倒操作のみによってブーム9の先端の移動方向を設定する。この際、映像回転操作具34は、映像Gの表示方向のみを回転する。つまり、遠隔操作端末32は、映像Gと吊り荷移動操作具35の操作基準との相対的関係を維持する。遠隔操作端末32は、吊り荷移動操作具35の傾倒方向および傾倒量に基づいてブーム9の先端を移動させる制御信号を生成する。遠隔操作端末32は、映像回転操作具34が操作されても、ブーム9の制御信号を補正しない。
【0077】
このように構成することで、遠隔操作端末32は、操縦者の操作の好みや、クレーン1の操作状況に適した操作態様が選択される。これにより、クレーン1の遠隔操作時における誤操作を防止し、クレーン1の遠隔操作を容易かつ簡単に行うことができる。
【0078】
本実施形態において、遠隔操作端末32は、吊り荷カメラ9bからの映像Gを取得しているが、レーザースキャナ等の荷物Wと地物および地表面の情報を取得できる装置であればよい。また、遠隔操作端末32は、映像回転操作具34によって映像Gを回転させることでブーム9の先端の移動方向を設定しているが、吊り荷移動操作具35の操作基準を変更する基準変更操作具を備える構成でもよい。遠隔操作端末32は、吊り荷移動操作具35が一定の方向に操作されている状態で吊り荷移動操作具35の操作基準を変更することでブーム9の先端の移動方向を設定することができる。また、遠隔操作端末32は、クレーン1を遠隔操作しているが、高所作業車等の作業車両を遠隔操作する構成でもよい。
【0079】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【0080】
2019年5月22日出願の特願2019-096383の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【符号の説明】
【0081】
1 クレーン
6 クレーン装置
9 ブーム
9b 吊り荷カメラ
31 制御装置
32 遠隔操作端末
34 映像回転操作具
35 吊り荷移動操作具
40 表示装置
41 端末側受信機
42 映像取得部
43 端末側制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8