(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電池システム、監視装置及び監視部
(51)【国際特許分類】
H01M 10/42 20060101AFI20240110BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240110BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01M10/42 P
H02J7/02 H
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2022103311
(22)【出願日】2022-06-28
(62)【分割の表示】P 2019007368の分割
【原出願日】2019-01-18
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】山下 尚人
(72)【発明者】
【氏名】幸田 真和
(72)【発明者】
【氏名】堀 史彦
(72)【発明者】
【氏名】久保 俊一
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-527680(JP,A)
【文献】特表2021-526781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42
H02J 7/02
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セル(22)が直列接続されてなる組電池(20)と、
複数の入力端子(CN1~CN21)を有し、前記各電池セルの両端の端子電圧をそれぞれ入力する複数の監視部(K)と、を備え、
前記複数の監視部は、前記複数の入力端子のうち2つずつの入力端子をそれぞれ端子対(CT)として、それら各端子対の電圧である端子対電圧(VC,VZ)を取得し、
前記端子対には、前記各電池セルの両端のいずれか1つのセル端子(PS,PE)に共通接続された端子対が含まれており、
前記監視部が取得した前記端子対電圧に基づいて、前記
各監視部の識別情報(ID)が生成される、電池システム。
【請求項2】
前記監視部毎に、前記共通接続された端子対の番号が異なっている、請求項
1に記載の電池システム。
【請求項3】
前記監視部は、前記複数の入力端子を有するコネクタ(34)を備え、
前記共通接続された端子対は、前記コネクタにおける前記入力端子の並び方向において互いに隣接する2つの入力端子である、請求項
1又は2に記載の電池システム。
【請求項4】
複数の電池セル(22)が直列接続されてなる組電池(20)と、
複数の入力端子(CN1~CN21)を有し、前記各電池セルの両端の端子電圧をそれぞれ入力する複数の監視部(K)と、を備え、
前記複数の監視部は、前記複数の入力端子のうち2つずつの入力端子をそれぞれ端子対(CT)と
する場合に、それら各端子対の電圧である端子対電圧
として、前記電池セルと同数でありかつ前記各電池セルの両端子間の電圧であるセル電圧(VC)と、それら各セル電圧よりも低電圧の監視電圧(VZ)とを取得し、
前記監視部が取得した
前記セル電圧と前記監視電圧とに基づいて、前記
各監視部の識別情報(ID)が生成される、電池システム。
【請求項5】
前記監視部は、前記端子対電圧を所定の閾値と比較して、前記端子対電圧が前記閾値よりも大きければ当該端子対電圧を前記セル電圧とし、前記端子対電圧が前記閾値よりも小さければ当該端子対電圧を前記監視電圧とする、請求項
4に記載の電池システム。
【請求項6】
前記監視部は、前記端子対電圧を所定の閾値と比較して、前記端子対毎に、前記端子対電圧が前記閾値よりも大きいか否かを示す識別信号を付与し、
前記付与した前記識別信号を前記複数の入力端子の順番に並べて、前記識別情報が生成される、請求項
4に記載の電池システム。
【請求項7】
前記監視部毎に、前記端子対電圧が前記閾値よりも小さい前記端子対の番号が異なっている、請求項
5又は6に記載の電池システム。
【請求項8】
前記各監視部における複数の前記端子対のうち、前記端子対電圧として前記セル電圧が入力されない端子対が、前記監視電圧が入力される特定端子対(CTP)であり、
前記各電池セル群において、最も高圧側又は最も低圧側の前記電池セルから、前記特定端子対に対応する前記電池セルまでの前記電池セルの数が、前記監視部毎に異なっている、請求項
4~7のいずれか一項に記載の電池システム。
【請求項9】
前記各監視部における複数の前記端子対のうち、前記端子対電圧として前記セル電圧が入力されない端子対が、前記監視電圧が入力される特定端子対(CTP)であり、
前記特定端子対の数が、前記監視部毎に異なっている、請求項
4~7のいずれか一項に記載の電池システム。
【請求項10】
前記監視部が取得した前記セル電圧と前記監視電圧とのうち監視電圧について前記複数の入力端子の順番に基づいて、前記識別情報が生成される、請求項
4に記載の電池システム。
【請求項11】
複数の電池セル(22)が直列接続されてなる組電池(20)と、
複数の入力端子(CN1~CN21)を有し、前記各電池セルの両端の端子電圧をそれぞれ入力する複数の監視部(K)と、を備え、
前記複数の監視部は、前記複数の入力端子のうち2つずつの入力端子をそれぞれ端子対(CT)として、それら各端子対の電圧である端子対電圧(VC,VZ)を取得し、
前記複数の入力端子と、前記複数の入力端子の接続先となる前記各電池セルのセル端子との接続の組み合わせを前記監視部毎に異なるものとすることで、前記監視部毎に、取得した前記端子対電圧が異なるようになっており、
前記監視部が取得した前記端子対電圧に基づいて、前記
各監視部の識別情報(ID)が生成される、電池システム。
【請求項12】
前記複数の入力端子の数は、前記各電池セルの両端のいずれかであるセル端子(PS,PE)の数よりも多い、請求項1~
11のいずれか一項に記載の電池システム。
【請求項13】
前記識別情報による識別が不可となる前記監視部が含まれていることを示す識別異常が発生した場合に、前記識別異常の発生を通知する、請求項1~12のいずれか一項に記載の電池システム。
【請求項14】
前記識別異常の発生を、警報音又はディスプレイ表示により通知する、請求項13に記載の電池システム。
【請求項15】
車両に搭載される電池システムであって、
前記識別異常が発生した場合に、前記車両を起動できなくする、請求項13又は14に記載の電池システム。
【請求項16】
車両に搭載される電池システムであって、
前記監視部が取得した前記端子対電圧に基づいて前記識別情報を生成する識別情報生成処理が、前記車両の起動時に行われる、請求項1~15のいずれか一項に記載の電池システム。
【請求項17】
車両に搭載される電池システムであって、
前記監視部が取得した前記端子対電圧に基づいて前記識別情報を生成する識別情報生成処理が、前記車両への前記組電池の組み付け時に行われる、請求項1~15のいずれか一項に記載の電池システム。
【請求項18】
前記電池システムは、前記各監視部との無線通信を可能とする制御部(10)を備え、
前記制御部は、無線通信により、前記各監視部から前記識別情報を取得する、
請求項1~17のいずれか一項に記載の電池システム。
【請求項19】
前記電池システムは、前記各監視部と通信可能な制御部(10)を備え、
前記制御部は、
前記監視部と前記識別情報とが対応付けられたマップが記憶される記憶部(14)と、
前記各監視部から前記識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記マップを用いて、前記識別情報取得部により取得された前記識別情報に基づいて、前記識別情報が取得された前記監視部を識別する識別部と、
を備える、請求項1~
17のいずれか一項に記載の電池システム。
【請求項20】
請求項
19に記載の電池システムに用いられる前記複数の監視部及び前記制御部を有する監視装置。
【請求項21】
請求項1~
19のいずれか一項に記載の電池システムに用いられる監視部(K)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池システム、監視装置及び監視部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電動車両において、幅広い電動化に対応するため、複数の電池セルの直列接続体を有する組電池を備える電池システムが知られている(例えば、特許文献1)。電池システムは、組電池を監視する複数の監視部を備えている。このような電池システムでは、各監視部を制御する制御部は、各監視部に対応する電池セルの充電状態を監視したり、故障診断を実施したりするため、監視部を各々識別する必要がある。特許文献1に記載の技術では、監視部毎に予め固有の識別情報が設定されており、制御部はこの識別情報を用いて各電池モジュールを識別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、複数の監視部を備える電池システムでは、コスト低減等のために各監視部の共通化が望まれる。しかし、上記形態では、各監視部に設定される識別情報が互いに異なることから、各監視部を共通化できない問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、各監視部を共通化できる電池システム、監視装置及び監視部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電池システムは、
複数の電池セルが直列接続されてなる組電池と、
複数の入力端子を有し、前記各電池セルの両端の端子電圧をそれぞれ入力する複数の監視部と、を備え、
前記複数の監視部は、前記複数の入力端子のうち2つずつの入力端子をそれぞれ端子対として、それら各端子対の電圧である端子対電圧を取得し、
前記監視部が取得した前記端子対電圧に基づいて、前記組電池の識別情報が生成されることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、監視部における2つずつの入力端子をそれぞれ端子対として端子対電圧として取得し、その端子対電圧に基づいて、組電池の識別情報を生成するようにした。これにより、監視部の内部に識別情報が設定されている必要がなく、電池システムにおいて、複数の監視部を共通化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る車両の電源システムの概略を示す構成図。
【
図2】識別処理及び識別情報生成処理を示すフローチャート。
【
図3】第1実施形態に係る監視部と識別情報との関係を示す図。
【
図4】第2実施形態に係る車両の電源システムの概略を示す構成図。
【
図5】第3実施形態に係る車両の電源システムの概略を示す構成図。
【
図6】第3実施形態に係る監視部と識別情報との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る電池システムを具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の電池システム100は、車両に搭載されている。
【0010】
図1に示すように、電池システム100は、組電池20と、複数の監視部Kと、制御部10と、を備える。組電池20は、複数の電池セル22が直列接続されて構成されている。具体的には、組電池20は、2以上の電池セル22を含む複数の電池モジュールMが、接続部材としてのモジュール間ワイヤ(以下、単にワイヤ)Wにより直列接続されて構成されている。組電池20を構成する複数の電池モジュールMのうち、最も高圧側に設けられた第1電池モジュールM1は、10個の電池セル22を含む。第1電池モジュールM1よりも低圧側に設けられた第2~第4電池モジュールM2~M4は、それぞれ20個の電池セル22を含む。
【0011】
監視部Kは、所定個数の電池セル22毎に設けられる。監視部Kにはコネクタ34が設けられている。コネクタ34は、例えば監視部Kの長手方向である所定方向YAに並んだ21個の入力端子(以下、単に端子という)CN1~CN21を有している。コネクタ34の各端子CNには、電池セル22の一端から延びる電気配線32が接続されている。監視部Kには、この電気配線32を介して、各電池セル22の両端の端子電圧がそれぞれ入力される。
【0012】
監視部Kは、コネクタ34において、所定方向YAにおいて隣接する2つずつの端子CN、つまり端子対CTの入力電圧(端子電圧)により、20個の端子間電圧を取得する。例えば、コネクタ34に含まれる20個の端子対CTのうち、いずれの端子対CTが電池セル22の両端に接続されている場合には、その端子対CTに対応する端子間電圧は、電池セル22の端子間電圧、つまりセル電圧VCとなる。
【0013】
監視部Kは、通信回路36を備えており、取得したセル電圧VCを示すセル電圧データDVを制御部10に無線送信する。また、監視部Kは、通信回路36を介して制御部10からの各種指令を無線受信する。
【0014】
次に、制御部10について説明する。制御部10は、CPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで複数の監視部Kを個別に制御する。
【0015】
制御部10は、各監視部Kと通信可能に構成されている。具体的には、制御部10は、通信回路12を備え、監視部Kが無線送信したセル電圧データDVを無線受信する。制御部10は、受信したセル電圧データDVを用いて、組電池20を制御する。例えば、制御部10は、受信したセル電圧データDVを用いて、組電池20の充電状態(SOC:State Of Charge)を演算する。そして、組電池20が過充電や過放電とならないようにするための指令を、通信回路12を介して監視部Kに無線送信する。
【0016】
ところで、電池システム100では、複数の監視部K毎に充電状態を監視したり、故障診断を実施したりするため、制御部10が複数の監視部Kを各々識別する必要がある。例えば、各監視部Kに固有の識別情報IDが設定されている場合を検討する。なお、識別情報IDを設定する形態としては、監視部Kが有する記憶部に、識別情報IDが記憶される形態を含む。この場合、制御部10は、監視部Kとの無線通信により監視部Kに設定された識別情報IDを取得することで、各監視部Kを識別することができる。
【0017】
電池システム100では、コスト低減等のために各監視部Kの共通化が望まれている。しかし、上記の場合、各監視部Kには互いに異なる識別情報IDが設定されているため、各監視部Kを共通化することができない問題が生じる。
【0018】
本実施形態の電池システム100は、上記問題を解決するために、各監視部Kはセル電圧VCを取得する一方、端子対CTに対応する端子間電圧としてゼロ電圧VZを取得する。具体的には、コネクタ34に含まれる20個の端子対CTのうち、いずれかがワイヤWの両端に接続されるようにし、ワイヤWの端子間電圧をゼロ電圧VZとして取得する。ゼロ電圧VZは、電圧値が略ゼロであり、具体的には電圧値が閾値よりも小さい電圧である。
【0019】
本実施形態の電池システム100では、各監視部Kにおいて、ゼロ電圧VZが取得される端子対CT、つまりワイヤWの両端に接続される端子対CTである特定端子対CTPの位置が、監視部K毎に異なる。各監視部Kは、特定端子対CTPの位置に基づいて識別情報IDを生成する識別情報生成処理を実施する。そのため、各監視部Kは、内部に識別情報IDが設定されている必要がなく、この結果、電池システム100を構成する複数の監視部Kを共通化することができる。
【0020】
図2に本実施形態の識別処理及び識別情報生成処理のフローチャートを示す。識別処理は、識別情報生成処理により生成された識別情報IDを用いて各監視部Kを識別する処理であり、制御部10により実施される。
図2(a)は、制御部10による識別処理を示すフローチャートであり、
図2(b)は、監視部Kによる識別情報生成処理を示すフローチャートである。制御部10及び監視部Kは、車両の起動時に、つまり車両のイグニッションスイッチをオン状態へ切り替える際に各処理を実施する。
【0021】
まず、監視部Kによる識別情報生成処理について説明する。監視部Kは、識別情報生成処理を開始すると、まずステップS30において、制御部10からデータ送信指令を取得したかを判定する。
【0022】
ステップS30で否定判定すると、ステップS30を繰り返す。一方、ステップS30で肯定判定すると、ステップS32において、各端子間電圧を取得する。続くステップS34において、ステップS32で取得された各端子間電圧を、セル電圧VCとゼロ電圧VZとに分別するための分別処理を実施する。
【0023】
ステップS34では、監視部Kは、各端子間電圧が所定の閾値電圧VAよりも大きいかを判定する。閾値電圧VAは、予め定められた一定値であり、例えば0.5Vである。端子間電圧が閾値電圧VAよりも大きい場合には、その端子間電圧をセル電圧VCと判定し、その端子間電圧に「1」の識別記号を対応付ける。また、端子間電圧が閾値電圧VAよりも小さい場合には、その端子間電圧をゼロ電圧VZと判定し、その端子間電圧に「0」の識別記号を対応付ける。
【0024】
ステップS36において、識別情報IDを生成する。具体的には、ステップS34で各端子間電圧に対応付けられた識別記号を、コネクタ34の端子CN1~CN21の順番に並べた識別情報IDを生成する。そのため、ステップS36では、「0」の識別記号の位置、つまり、ゼロ電圧VZが取得される特定端子対CTPの位置に基づいて識別情報IDが生成される、ということができる。本実施形態では、コネクタ34において、特定端子対CTPの位置が監視部K毎に異なる。そのため、監視部K毎に異なる識別情報IDが生成される。なお、本実施形態において、ステップS36の処理が「生成部」に相当する。
【0025】
続くステップS38において、セル電圧データDV及び識別情報IDを含むデータを制御部10に送信し、識別情報生成処理を終了する。
【0026】
次に、制御部10による識別処理について説明する。制御部10は、識別処理を開始すると、まずステップS10において、各監視部Kにデータ送信指令を送信する。続くステップS12において、各監視部Kからデータを取得したかを判定する。なお、本実施形態において、ステップS12の処理が「識別情報取得部」に相当する。
【0027】
ステップS12で否定判定すると、ステップS12を繰り返す。一方、ステップS12で肯定判定すると、ステップS14において、ステップS12でデータが取得された監視部Kを識別する。なお、本実施形態において、ステップS14の処理が「識別部」に相当する。
【0028】
ステップS14では、制御部10は、制御部10の記憶部14(
図1参照)に記憶されたマップMP(
図3参照)を用いて、ステップS12で取得されたデータに含まれる識別情報IDに基づいて、各監視部Kを識別する。なお、記憶部14は、例えば、ROM、書き換え可能な不揮発性メモリ等によって構成されている。
【0029】
マップMPは、各監視部Kと識別情報IDとが対応付けられた対応情報である。マップMPには、電池システム100に含まれる複数の監視部Kに対する識別情報IDが、各監視部Kに対応付けて記憶されている。本実施形態では、マップMPに記憶されている識別情報IDは、電池システム100に含まれる監視部Kに対応する識別情報IDに限られている。
【0030】
続くステップS16において、電池システム100に含まれる全ての監視部Kからデータを取得したかを判定する。ステップS16で否定判定すると、ステップS12に戻る。一方、ステップS16で肯定判定すると、ステップS18において、全ての監視部Kが識別されたかを判定する。
【0031】
ステップS18で肯定判定すると、識別処理を終了する。一方、ステップS18で否定判定すると、つまり識別されていない非識別監視部が存在する場合、ステップS20において、非識別監視部を特定する。ステップS20では、マップMPに記憶されている識別情報IDから、ステップS14で識別された識別情報IDを除くことにより、非識別監視部を特定する。
【0032】
ステップS22において、監視部Kの識別異常の発生を通知し、識別処理を終了する。ここで、識別異常は、全ての監視部Kを識別できない異常である。識別異常が発生した場合、制御部10が各監視部Kに対応する電池セル22のセル電圧VCを適切に取得できず、組電池20を適切に制御することができない。そのため、識別異常が発生した場合には、車両を正常に起動することができない。なお、識別異常の発生の通知方法としては、警告音を発生させる、又はカーナビゲーション装置のディスプレイに異常を表示させる等の方法がある。識別異常の発生を通知する際に、ステップS20で特定した非識別監視部を通知することで、ドライバは非識別監視部を認識することができ、非識別監視部の交換等を容易に実施することができる。
【0033】
続いて、
図3に、マップMPを示す。
図3では、電池システム100に含まれる複数の監視部Kのうち、第1監視部K1、第2監視部K2、及び第3監視部K3と、これらの監視部Kに対応する識別情報IDが示されている。
【0034】
図1に示すように、第1監視部K1は、第1電池モジュールM1に含まれる全ての電池セル22のセル電圧VCを取得するとともに、第2電池モジュールM2に含まれる電池セル22のうち、高圧側の9個の電池セル22(以下、高圧側電池セル群24H)のセル電圧VCを取得する。具体的には、第1監視部K1のコネクタ34が有する端子CN1~CN21のうち、端子CN1~CN11が、第1電池モジュールM1における電池セル22間を接続する接続部PS及びその端部PEに接続されている。また、端子CN12~CN21が、第2電池モジュールM2の高圧側電池セル群24Hにおける接続部PS及び端部PEに接続されている。
【0035】
そのため、第1監視部K1では、第11端子CN11と第12端子CN12とが、第1電池モジュールM1と第2電池モジュールM2との間に接続されている。本実施形態では、第11端子CN11と第12端子CN12とが、第1電池モジュールM1と第2電池モジュールM2との間に設けられる第1ワイヤW1の両端に接続されて、特定端子対CTPを構成している。具体的には、第1ワイヤW1の高圧側に第11端子CN11が接続されており、第1ワイヤW1の低圧側に第12端子CN12が接続されている。
【0036】
したがって、第1監視部K1では、第1ワイヤW1よりも高圧側の第1電池モジュールM1から、10個のセル電圧VCが取得されるとともに、第1ワイヤW1よりも低圧側の第2電池モジュールM2から、9個のセル電圧VCが取得される。そして、第1電池モジュールM1から取得されるセル電圧VCと、第2電池モジュールM2から取得されるセル電圧VCとの間において、ゼロ電圧VZが取得される。この結果、
図3に示すように、マップMPでは10個の識別記号「1」と、1個の識別記号「0」と、9個の識別記号「1」とが、この順に並んで構成される情報が、第1監視部K1に対応する識別情報IDとして記憶されている。
【0037】
また、第2監視部K2は、第2電池モジュールM2に含まれる電池セル22のうち、低圧側の11個の電池セル22(以下、低圧側電池セル群24L)のセル電圧VCを取得するとともに、第3電池モジュールM3の高圧側電池セル群24H(8個の電池セル22を含む)のセル電圧VCを取得する。具体的には、第2監視部K2のコネクタ34が有する端子CN1~CN21のうち、端子CN1~CN12が、第2電池モジュールM2の低圧側電池セル群24Lにおける接続部PS及び端部PEに接続されている。また、端子CN13~CN21が、第3電池モジュールM3の高圧側電池セル群24Hにおける接続部PS及び端部PEに接続されている。
【0038】
そのため、第2監視部K2では、第12端子CN12と第13端子CN13とが、第2電池モジュールM2と第3電池モジュールM3との間に接続されている。本実施形態では、第12端子CN12と第13端子CN13とが、第2電池モジュールM2と第3電池モジュールM3との間に設けられる第2ワイヤW2の両端に接続されて、特定端子対CTPを構成している。具体的には、第2ワイヤW2の高圧側に第12端子CN12が接続されており、第2ワイヤW2の低圧側に第13端子CN13が接続されている。
【0039】
したがって、第2監視部K2では、第2ワイヤW2よりも高圧側の第2電池モジュールM2から、11個のセル電圧VCが取得されるとともに、第2ワイヤW2よりも低圧側の第3電池モジュールM3から、8個のセル電圧VCが取得される。そして、第2電池モジュールM2から取得されるセル電圧VCと、第3電池モジュールM3から取得されるセル電圧VCとの間において、ゼロ電圧VZが取得される。この結果、
図3に示すように、マップMPでは11個の識別記号「1」と、1個の識別記号「0」と、8個の識別記号「1」とが、この順に並んで構成される情報が、第2監視部K2に対応する識別情報IDとして記憶されている。
【0040】
また、第3監視部K3は、第3電池モジュールM3の低圧側電池セル群24L(12個の電池セル22を含む)のセル電圧VCを取得するとともに、第4電池モジュールM4の高圧側電池セル群24H(7個の電池セル22を含む)のセル電圧VCを取得する。具体的には、第3監視部K3のコネクタ34が有する端子CN1~CN21のうち、端子CN1~CN13が、第3電池モジュールM3の低圧側電池セル群24Lにおける接続部PS及び端部PEに接続されている。また、端子CN14~CN21が、第4電池モジュールM4の高圧側電池セル群24Hにおける接続部PS及び端部PEに接続されている。
【0041】
そのため、第3監視部K3では、第13端子CN13と第14端子CN14とが、第3電池モジュールM3と第4電池モジュールM4との間に接続されている。本実施形態では、第13端子CN13と第14端子CN14とが、第3電池モジュールM3と第4電池モジュールM4との間に設けられる第3ワイヤW3の両端に接続されて、特定端子対CTPを構成している。具体的には、第3ワイヤW3の高圧側に第13端子CN13が接続されており、第3ワイヤW3の低圧側に第14端子CN14が接続されている。
【0042】
したがって、第3監視部K3では、第3ワイヤW3よりも高圧側の第3電池モジュールM3から、12個のセル電圧VCが取得されるとともに、第3ワイヤW3よりも低圧側の第4電池モジュールM4から、7個のセル電圧VCが取得される。そして、第3電池モジュールM3から取得されるセル電圧VCと、第4電池モジュールM4から取得されるセル電圧VCとの間において、ゼロ電圧VZが取得される。この結果、
図3に示すように、マップMPでは12個の識別記号「1」と、1個の識別記号「0」と、7個の識別記号「1」とが、この順に並んで構成される情報が、第3監視部K3に対応する識別情報IDとして記憶されている。
【0043】
このように、電池システム100に含まれる複数の監視部Kでは、コネクタ34において、特定端子対CTPの位置が監視部K毎に異なる。具体的には、各監視部Kにおいて、対応するワイヤWよりも高圧側の電池モジュールMからセル電圧VCを取得する電池セル22の個数と、このワイヤWよりも低圧側の電池モジュールMからセル電圧VCを取得する電池セル22の個数とが、監視部K毎に異なる。この結果、各監視部Kに対応する識別情報IDにおいて、識別記号「0」の位置を異ならせることができ、特定端子対CTPの位置に基づいて、監視部K毎に異なる識別情報IDを生成することができる。
【0044】
各監視部Kでは、識別情報IDの生成後、識別情報IDの生成に使用されたセル電圧VCは、セル電圧データDVとして制御部10に送信され、組電池20を制御するために用いられる。つまり、本実施形態では、セル電圧VCは、監視部Kを識別するためのデータと、組電池20を制御するためのデータと、を兼用する。そのため、組電池20を制御するためのデータとは別に、監視部Kを識別するためのデータを生成する必要がなく、監視部Kの構成が複雑化することを抑制することができる。
【0045】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0046】
・本実施形態では、電池システム100は、複数の電池セル22を有する組電池20と、複数の監視部Kとを備え、各監視部Kは、コネクタ34における複数の端子CNを介してセル電圧VCとゼロ電圧VZとを取得する。各監視部Kでは、複数の端子CNにおいて、ゼロ電圧VZが取得される特定端子対CTPの位置が異なっており、この特定端子対CTPの位置に基づいて、監視部K毎に異なる識別情報IDを生成することができる。そのため、監視部Kの内部に識別情報IDが設定されている必要がなく、電池システム100において、複数の監視部Kを共通化することができる。
【0047】
・本実施形態の組電池20では、2以上の電池セル22を含む複数の電池モジュールMがワイヤWにより直列接続されており、各監視部Kは、ワイヤWの端子間電圧をゼロ電圧VZとして取得する。監視部Kにおいて、各電池セル22の端子間電圧を取得する構成と、ワイヤWの端子間電圧を取得する構成とは共通化することができる。そのため、監視部K毎に特定端子対CTPの位置を異ならせつつ、これらの監視部Kを共通化することができる。
【0048】
・本実施形態では、各監視部Kにおいて、対応するワイヤWよりも高圧側の電池モジュールMからセル電圧VCを取得する電池セル22の個数と、このワイヤWよりも低圧側の電池モジュールMからセル電圧VCを取得する電池セル22の個数とが、監視部K毎に異なる。そのため、これらの電池セル22のセル電圧VCを取得するとともに、その間のワイヤWに基づいてゼロ電圧VZを取得することで、監視部K毎に異なる識別情報IDを生成することができる。
【0049】
・特に本実施形態では、第2電池モジュールM2に含まれる電池セル22の個数と、第2電池モジュールM2からセル電圧VCを取得する第1監視部K1及び第2監視部K2が取得する端子間電圧の個数とが同数とされている。そのため、第2電池モジュールM2の高圧側電池セル群24Hのセル電圧VCを取得し、第2監視部K2が残りの低圧側電池セル群24Lのセル電圧VCを取得することで、第2監視部K2が第2ワイヤW2に基づいてゼロ電圧VZを取得する特定端子対CTPの位置を、第1監視部K1が第1ワイヤW1に基づいてゼロ電圧VZを取得する特定端子対CTPの位置に対して、端子CNの番号が1つ大きくなる側にシフトさせることができる。
【0050】
具体的には、第1監視部K1では、高圧側電池セル群24Hに含まれる9個の電池セル22のセル電圧VCを取得するため、第21端子CN21側から10番目、つまり第1端子CN1側から11番目の端子対CTが特定端子対CTPとなる。一方、第2監視部K2では、低圧側電池セル群24Lに含まれる11個の電池セル22のセル電圧VCを取得するため、第1端子CN1側から12番目の端子対CTが特定端子対CTPとなる。
【0051】
つまり、本実施形態では、第2電池モジュールM2に含まれる電池セル22の個数と、第1、第2監視部K1、K2が取得する端子間電圧の個数とが同数とされる構成を採用することで、低圧側の電池モジュールMほど、第1端子CN1から離間する側に特定端子対CTPの位置をシフトさせることができる。これにより、特定端子対CTPの位置を容易に異ならせることができる。
【0052】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に
図4を参照しつつ説明する。
図4に示すように、本実施形態では、電池モジュールMと監視部Kとが1対1で対応付けられている点で第1実施形態と異なる。具体的には、第1電池モジュールM1が、第1監視部K1に対応付けられており、第2電池モジュールM2が、第2監視部K2に対応付けられており、第3電池モジュールM3が、第3監視部K3に対応付けられている。
【0053】
また、本実施形態では、各監視部KがワイヤWの両端電圧を取得しない点で第1実施形態と異なる。本実施形態では、コネクタ34に含まれる20個の端子対CTのうち、いずれかが電池セル22の接続部PSに共通接続されるようにし、これによりゼロ電圧VZが取得される。本実施形態では、電池セル22の接続部PSに共通接続されている端子対CTを、特定端子対CTPという。
【0054】
図4に示すように、本実施形態では、各電池モジュールMは、各監視部Kが取得する端子間電圧の数よりも1個少ない19個の電池セル22を有している。第1監視部K1は、第1電池モジュールM1に含まれる電池セル22のセル電圧VCを取得する。具体的には、第1監視部K1のコネクタ34が有する端子CN1~CN21が、第1電池モジュールM1における電池セル22の間の接続部PS及びその端部PEに接続されている。第1監視部K1では、最も高圧側の電池セル22から10個目の電池セル22と11個目の電池セル22との間の接続部PSに、第11端子CN11と第12端子CN12とが共通接続されて特定端子対CTPを構成している。
【0055】
また、第2監視部K2は、第2電池モジュールM2に含まれる電池セル22のセル電圧VCを取得する。具体的には、第2監視部K2のコネクタ34が有する端子CN1~CN21が、第2電池モジュールM2における電池セル22の間の接続部PS及びその端部PEに接続されている。第2監視部K2では、最も高圧側の電池セル22から11個目の電池セル22と12個目の電池セル22との間の接続部PSに、第12端子CN12と第13端子CN13とが共通接続されて特定端子対CTPを構成している。
【0056】
また、第3監視部K3は、第3電池モジュールM3に含まれる電池セル22のセル電圧VCを取得する。具体的には、第3監視部K3のコネクタ34が有する端子CN1~CN21が、第3電池モジュールM3における電池セル22の間の接続部PS及びその端部PEに接続されている。第3監視部K3では、最も高圧側の電池セル22から12個目の電池セル22と13個目の電池セル22との間の接続部PSに、第13端子CN13と第14端子CN14とが共通接続されて特定端子対CTPを構成している。
【0057】
このように、電池システム100に含まれる複数の監視部Kでは、コネクタ34において、特定端子対CTPの位置が監視部K毎に異なる。具体的には、各監視部Kに対応付けられた電池モジュールMにおいて、最も高圧側の電池セル22から、特定端子対CTPが接続される接続部PSまでに設けられる電池セル22の個数が、監視部K毎に異なる。この結果、特定端子対CTPの位置に基づいて、監視部K毎に異なる識別情報IDを生成することができる。
【0058】
・以上説明した本実施形態によれば、各監視部Kでは、対応する電池モジュールMにおける電池セル22の間の接続部PSに、特定端子対CTPが共通接続されており、これによりゼロ電圧VZを取得する。監視部Kにおいて、セル電圧VCを取得する構成と、ゼロ電圧VZを取得する構成とは共通化することができる。そのため、電池システム100において、複数の監視部Kを共通化することができる。
【0059】
・本実施形態では、各監視部Kにおいて、セル電圧VCを取得する複数の電池セル22において、最も高圧側の電池セル22から、特定端子対CTPが接続される接続部PSまでに設けられる電池セル22の個数が、監視部K毎に異なる。そのため、これらの電池セル22のセル電圧VCを取得するとともに、共通接続された特定端子対CTPのゼロ電圧VZを取得することで、この特定端子対CTPの位置に基づいて、監視部K毎に異なる識別情報IDを生成することができる。
【0060】
・本実施形態では、各監視部KがワイヤWの両端電圧を取得しない。そのため、ワイヤWの位置の制約を受けずに、電池モジュールMと監視部Kとを配置することができる。
【0061】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に
図5、6を参照しつつ説明する。
図5に示すように、本実施形態では、電池モジュールMと監視部Kとが1対1で対応付けられている点で第1実施形態と異なる。
【0062】
また、本実施形態では、各監視部KがワイヤWの両端電圧を取得しない点で第1実施形態と異なる。本実施形態では、第1監視部K1を除く複数の監視部Kにおいて、コネクタ34に含まれる端子対CTの一部を、セル電圧VCを取得する電池セル22に対して余剰させ、セル電圧VCを取得しない端子対CTを設ける。セル電圧VCを取得しない端子対CTは、電池セル22の端部PEに共通接続されるようにし、これによりゼロ電圧VZが取得される。本実施形態では、電池セル22の端部PEに共通接続されている端子対CTを、特定端子対CTPという。
【0063】
図5に示すように、第1監視部K1は、第1電池モジュールM1に含まれる20個の電池セル22のセル電圧VCを取得する。具体的には、第1監視部K1のコネクタ34が有する端子CN1~CN21が、第1電池モジュールM1における電池セル22の間の接続部PS及びその端部PEに接続されている。第1監視部K1では、取得する端子間電圧の個数と、セル電圧VCを取得する電池セル22の個数とが等しため、ゼロ電圧VZが取得されず、特定端子対CTPが存在しない。
【0064】
図6に、本実施形態のマップMPを示す。
図6に示すように、マップMPでは20個の識別記号「1」が並んで構成される情報が、第1監視部K1に対応する識別情報IDとして記憶されている。
【0065】
また、第2監視部K2は、第2電池モジュールM2に含まれる19個の電池セル22のセル電圧VCを取得する。具体的には、第2監視部K2のコネクタ34が有する端子CN1~CN21が、第2電池モジュールM2における電池セル22の間の接続部PS及びその端部PEに接続されている。第2監視部K2では、取得する端子間電圧の個数が、セル電圧VCを取得する電池セル22の個数より1個多い。そのため、第2監視部K2では、第2電池モジュールM2における低圧側の端部PEに、第20端子CN20と第21端子CN21とが共通接続されて特定端子対CTPを構成している。
【0066】
そのため、
図6に示すように、マップMPでは19個の識別記号「1」と、1個の識別記号「0」とが、この順に並んで構成される情報が、第2監視部K2に対応する識別情報IDとして記憶されている。
【0067】
また、第3監視部K3は、第3電池モジュールM3に含まれる18個の電池セル22のセル電圧VCを取得する。具体的には、第3監視部K3のコネクタ34が有する端子CN1~CN21が、第3電池モジュールM3における電池セル22の間の接続部PS及びその端部PEに接続されている。第3監視部K3では、取得する端子間電圧の個数が、セル電圧VCを取得する電池セル22の個数より2個多い。そのため、第3監視部K3では、第3電池モジュールM3における低圧側の端部PEに、第19端子CN19と第20端子CN20とが共通接続されて特定端子対CTPを構成しているとともに、第20端子CN20と第21端子CN21とが共通接続されて特定端子対CTPを構成している。
【0068】
そのため、
図6に示すように、マップMPでは18個の識別記号「1」と、2個の識別記号「0」とが、この順に並んで構成される情報が、第3監視部K3に対応する識別情報IDとして記憶されている。
【0069】
このように、電池システム100に含まれる複数の監視部Kでは、コネクタ34において、特定端子対CTPの数が監視部K毎に異なる。具体的には、各監視部Kにおいて、取得する端子間電圧の個数が等しいとともに、セル電圧VCを取得する電池セル22の個数が異なり、セル電圧VCを取得しない端子対CTの全てがゼロ電圧VZを取得するようにする。この結果、特定端子対CTPの数に基づいて、監視部K毎に異なる識別情報IDを生成することができる。
【0070】
・以上説明した本実施形態によれば、各監視部Kでは、対応する電池モジュールMにおける低圧側の端部PEに、特定端子対CTPが共通接続されており、これによりゼロ電圧VZを取得する。また、監視部Kにおいて、セル電圧VCを取得する構成と、ゼロ電圧VZを取得する構成とは共通化することができる。そのため、電池システム100において、複数の監視部Kを共通化することができる。
【0071】
・本実施形態では、各監視部Kにおいて、取得する端子間電圧の個数が等しいとともに、セル電圧VCを取得する電池セル22の個数が異なり、セル電圧VCを取得しない端子対CTの全てがゼロ電圧VZを取得する。そのため、ゼロ電圧VZを取得する特定端子対CTPの数に基づいて、監視部K毎に異なる識別情報IDを生成することができる。
【0072】
・本実施形態では、各監視部KがワイヤWの両端電圧を取得しない。そのため、ワイヤWの位置の制約を受けずに、電池モジュールMと監視部Kとを配置することができる。また、特定端子対CTPが電池セル22の端部PEに共通接続されている。そのため、接続部PSに比べて特定端子対CTPを容易に共通接続させることができる。
【0073】
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0074】
・監視部Kのコネクタ34における端子数は21個に限られず、3個以上20個未満でもよければ、22個以上であってもよい。同様に、電池モジュールMに含まれる電池セル22の数は、10個、19個、20個に限られず、2以上の他の自然数であってもよい。
【0075】
・セル電圧VCとゼロ電圧VZとを分別する閾値電圧VAが一定値である例を示したが、これに限られず、例えば取得された20個の端子間電圧の平均値を閾値電圧VAとしてもよい。
【0076】
・第1実施形態では、第1電池モジュールM1が20個の電池セル22を含んでいてもよい。これにより、電池システム100を構成する全ての電池モジュールMを共通化することができる。また、電池モジュールMに含まれる電池セル22の個数と、監視部Kが取得する端子間電圧の個数とを同数とすることで、ある監視部Kにおける特定端子対CTPの位置を、その監視部Kの高圧側に隣接する監視部Kにおける特定端子対CTPの位置に対して、端子CNの番号が1つ大きくなる側にシフトさせることができる。
【0077】
・また、電池モジュールMに含まれる電池セル22の個数と、監視部Kが取得する端子間電圧の個数と異なっていてもよい。例えば、電池モジュールMに含まれる電池セル22の個数をN個(Nは2以上の自然数)とし、監視部Kが取得する端子間電圧の個数をM個(Mは2以上の自然数)とする。この場合、組電池20に含まれる電池セル22の総数が(N+1)とMとの最小公倍数よりも少なければ、全ての監視部Kにおいて、識別情報IDを異ならせることができる。
【0078】
・第2実施形態では、最も高圧側の電池セル22から特定端子対CTPが接続される接続部PSまでに設けられる電池セル22の個数を、監視部K毎に規定したが、これに限られない。例えば、最も低圧側の電池セル22から特定端子対CTPが接続される接続部PSまでに設けられる電池セル22の個数を、監視部K毎に規定してもよい。また、最も高圧側の電池セル22から特定端子対CTPが接続される接続部PSまでに設けられる電池セル22の個数と、最も低圧側の電池セル22から特定端子対CTPが接続される接続部PSまでに設けられる電池セル22の個数との両方を、監視部K毎に規定してもよい。
【0079】
・第3実施形態では、特定端子対CTPが電池モジュールMにおける低圧側の端部PEに接続される例を示したが、これに限られない。高圧側の端部PEに接続されてもよい。また、電池セル22の接続部PSに接続されてもよい。
【0080】
・第3実施形態では、監視部K毎に、対応する電池モジュールMに含まれる電池セル22の個数が異なるため、対応する電池モジュールMの端部PE間の電圧が異なる。そのため、識別情報IDとともに、または識別情報IDに代えて、この端部PE間の電圧により各監視部Kを識別してもよい。
【0081】
・上記実施形態では、識別処理及び識別情報生成処理が、車両の起動時に実施される例を示したが、これに限られない。例えば車両組付け時に実施されてもよい。識別処理が車両組付け時に実施される場合、組電池20の組付け前に、電池セル22毎、又は特定の電池セル22の充電状態を他の電池セル22の充電状態と異ならせておいてもよい。制御部10は、充電状態の違いに基づく各電池セル22の電圧の違いから、各監視部Kを認識することができる。
【0082】
・上記実施形態では、マップMPにおいて、各監視部Kに識別情報ID全体が対応付けられている例を示したが、必ずしも識別情報ID全体が対応付けられている必要はない。例えば、識別情報IDのうち、識別記号「0」の前に並ぶ識別記号「1」の数が監視部K毎に異なる場合には、各監視部Kに識別記号「1」の数が対応付けられていてもよい。
【0083】
・上記実施形態では、制御部10と監視部Kとが通信線により接続されておらず、無線通信により制御部10が監視部Kから識別情報ID等を取得する例を示したが、これに限られない。制御部10と監視部Kとが通信線により接続されており、有線通信により制御部10が監視部Kから識別情報ID等を取得してもよい。例えば、制御部10と複数の監視部Kとが、通信線により環状に接続されている場合、監視部Kの接続の順序に基づいて識別情報IDを生成することができるが、それに代えてセル電圧VC及びゼロ電圧VZに基づいて識別情報IDを生成してもよい。
【符号の説明】
【0084】
20…組電池、22…電池セル、34…コネクタ、CN、CN1~CN21…端子、CT…端子対、CTP…特定端子対、ID…識別情報、K…監視部、VC…セル電圧、VZ…ゼロ電圧。