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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】基地局、移動局および無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/27 20180101AFI20240110BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20240110BHJP
   H04W 72/231 20230101ALI20240110BHJP
【FI】
H04W76/27
H04W28/06
H04W72/231
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022143330
(22)【出願日】2022-09-08
(62)【分割の表示】P 2020506067の分割
【原出願日】2018-03-15
(65)【公開番号】P2022172348
(43)【公開日】2022-11-15
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 好明
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 義博
(72)【発明者】
【氏名】大出 高義
(72)【発明者】
【氏名】ウー ジヤンミン
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0325281(US,A1)
【文献】Ericsson,CN area updating in RRC_INACTIVE,3GPP TSG RAN WG2 #100 R2-1713297,2017年12月01日
【文献】ZTE,Remaining issues for quick release of RRC connection in FeNB-IoT,3GPP TSG RAN WG2 #100 R2-1712329,2017年12月01日
【文献】ASUSTEK,State transition from RRC_CONNECTED to RRC_INACTIVE,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #101 R2-1801895,2018年03月02日
【文献】HUAWEI, HISILICON,UE behaviour upon leaving RRC_CONNECTED state,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #101 R2-1803247,2018年03月02日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局と通信を行う通信部と、
前記移動局のモードをRRCアイドルモードからRRCコネクティッドモードに遷移する第1のモード遷移を行う場合、前記移動局にRRCレイヤの情報である第1の情報を送信するように制御し、前記RRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモードに遷移する第2のモード遷移する場合、前記RRCレイヤの情報である第2の情報とNASレイヤの情報である第3の情報を同時に送信するように制御する制御部と、
を有することを特徴する基地局。
【請求項2】
前記第2の情報は、前記RRCインアクティブモードへの遷移を指示する指示情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記通信部は、前記モードの遷移において、前記指示情報を要求する要求情報を前記移動局から受信し、
前記制御部は、前記要求情報に応じて、前記第2の情報と前記第3の情報とを同時に前記移動局に送信するように制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の基地局。
【請求項4】
前記第2のモード遷移は、前記第1のモード遷移の後に実行される、
ことを特徴とする請求項1に記載の基地局。
【請求項5】
基地局と通信を行う通信部と、
前記通信部が前記基地局からRRCレイヤの情報である第1の情報を受信した場合、RRCアイドルモードからRRCコネクティッドモードに遷移する第1のモード遷移を実行するように制御し、前記通信部が前記RRCレイヤの情報である第2の情報とNASレイヤの情報である第3の情報を同時に受信した場合、前記RRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモードに遷移する第2のモード遷移を実行するように制御する制御部と、
を有することを特徴とする移動局。
【請求項6】
前記第2の情報は、前記RRCインアクティブモードへの遷移を指示する指示情報を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の移動局。
【請求項7】
前記通信部は、前記第1のモード遷移において、前記指示情報を要求する要求情報を前記基地局に送信し、
前記通信部は、前記要求情報に応じて、同時に送信された前記第2の情報と前記第3の情報とを受信する、
ことを特徴とする請求項6に記載の移動局。
【請求項8】
前記第2のモード遷移は、前記第1のモード遷移の後に実行される、
ことを特徴とする請求項5に記載の移動局。
【請求項9】
基地局および移動局を有し、
前記基地局は、
前記移動局と通信を行う通信部と、
前記移動局のモードをRRCアイドルモードからRRCコネクティッドモードに遷移する第1のモード遷移を行う場合、前記移動局にRRCレイヤの情報である第1の情報を送信するように制御し、前記RRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモードに遷移する第2のモード遷移する場合、前記RRCレイヤの情報である第2の情報とNASレイヤの情報である第3の情報を同時に送信するように制御する制御部と、
を有することを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局、移動局および無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のネットワークは、モバイル端末(例えば、スマートフォン)のトラフィックがネットワークのリソースの大半を占めている。また、モバイル端末(以下、「移動局」と記載する)が使うトラフィックは、今後も拡大していく傾向にある。
【0003】
一方で、IoT(Internet of a Things)サービス(例えば、交通システム、スマートメータ、装置等の監視システム)の展開にあわせて、多様な要求条件を持つサービスに対応することが求められている。そのため、次世代(例えば、5G(第5世代移動体通信))の通信規格では、4G(第4世代移動体通信)の標準技術(例えば、非特許文献1~11)に加えて、さらなる高データレート化、大容量化、低遅延化を実現する技術が求められている。なお、次世代通信規格については、3GPP(3rd Generation Partnership Project)(登録商標)の作業部会(例えば、TSG-RAN WG1、TSG-RAN WG2等)で技術検討が進められている(例えば、非特許文献12~40)。
【0004】
5Gは多種多様なサービスに対応する。例えば、5Gでは、eMBB(enhanced Mobile Broadband)、Massive MTC(Machine Type Communications)、およびURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication)に分類される多くのユースケースのサポートを想定している。5Gでは、新しい通信技術として、New RAT(Radio Access Technology)を採用することが検討されている。ここで、New RATを「NR」と記載する。例えばLTE(Long Term Evolution)において、移動局はUE(User Equipment)と呼ばれ、基地局はeNB(evolved Node B)と呼ばれているが、NRでは、基地局は、5GNB(5Gの基地局)またはgNBと呼ばれている。
【0005】
無線通信システムにおいて、RRC(Radio Resource Control)レイヤの処理が実行される。RRCレイヤの処理では、無線局(UE)と対向の無線局(gNB)との間でコネクションの設定、変更、解放などが行なわれる。例えば、3GPPにおいては、RRCレイヤの状態として、RRCコネクティッドモードとRRCアイドルモードとが規定されている(例えば、非特許文献9)。RRCコネクティッドモードは、例えば、UEとgNBとの間でデータ通信が実施可能な状態である。RRCアイドルモードは、例えば、UEとgNBとの間でデータ通信ができない状態である。
【0006】
図12は、NRにおける状態遷移の概略図である。図12は、例えば、非特許文献26および37に記載されている。図12に示すように、RRCコネクティッドモード(図12の「NR RRC CONNECTED」)とRRCアイドルモード(図12の「NR RRC IDLE」)との間に、RRCインアクティブモード(図12の「NR RRC INACTIVE」)を導入することが検討されている。RRCインアクティブモードの導入については、現在、議論が始まったところである(図12の「FFS(For Further Study)」を参照)。RRCインアクティブモードは、RRCアイドルモードと同等の低消費電力であり、データ送信時にRRCコネクティッドモードに素早く遷移可能なモードである。
【0007】
例えば、UEは、RRCアイドルモードからRRCコネクティッドモードに遷移するときに、状態遷移に関するメッセージとしてRRCメッセージをgNBとの間で送受信する。この場合、UEから送信されるメッセージにより、データ通信に関する情報がgNBに通知され、保持される。データ通信に関する情報は、UEの位置、通信能力、各種パラメータ、UEの識別子(端末ID)などの情報を含む。
【0008】
また、UEは、RRCコネクティッドモードにおいて、NAS(Non-Access Stratum)メッセージをgNBとの間で送受信する。例えば、gNBは、UEをRRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモードに遷移させる場合、状態遷移に関するメッセージとしてRRCメッセージをUEに送信する。
【0009】
UEは、RRCインアクティブモードにおいて、例えばデータの発生時に、復帰要求をgNBに送信することにより、RRCコネクティッドモードに復帰可能である。例えば、UEがRRCインアクティブモードに遷移することにより、データ通信に関する情報がgNBに保持されるため、UEはRRCコネクティッドモードの復帰時においてデータ通信に関する情報をgNBに通知しなくてもよい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】3GPP TS36.211 V14.4.0、2017年9月
【文献】3GPP TS36.212 V14.4.0、2017年9月
【文献】3GPP TS36.213 V14.4.0、2017年9月
【文献】3GPP TS36.214 V14.4.0、2017年9月
【文献】3GPP TS36.300 V14.4.0、2017年9月
【文献】3GPP TS36.321 V14.4.0、2017年9月
【文献】3GPP TS36.322 V14.1.0、2017年9月
【文献】3GPP TS36.323 V14.4.0、2017年9月
【文献】3GPP TS36.331 V14.4.0、2017年9月
【文献】3GPP TS36.413 V14.4.0、2017年9月
【文献】3GPP TS36.423 V14.4.0、2017年9月
【文献】3GPP TS37.324 V1.1.1、2017年11月
【文献】3GPP TS37.340 V2.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TS36.425 V14.0.0、2017年3月
【文献】3GPP TS38.201 V2.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.202 V2.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.211 V2.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.212 V1.2.1、2017年12月
【文献】3GPP TS38.213 V2.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.214 V2.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.215 V2.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.300 V2.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.321 V2.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.322 V2.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.323 V2.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.331 V0.4.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.401 V1.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.410 V0.6.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.413 V0.5.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.420 V0.5.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.423 V0.5.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.470 V1.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TS38.473 V1.0.0、2017年12月
【文献】3GPP TR38.801 V14.0.0、2017年4月
【文献】3GPP TR38.802 V14.2.0、2017年9月
【文献】3GPP TR38.803 V14.2.0、2017年9月
【文献】3GPP TR38.804 V14.0.0、2017年4月
【文献】3GPP TR38.900 V14.3.1、2017年7月
【文献】3GPP TR38.912 V14.1.0、2017年6月
【文献】3GPP TR38.913 V14.3.0、2017年6月
【文献】“New SID Proposal:Study on New Radio Access Technology”, NTT docomo, RP-160671, 3GPP TSG RAN Meeting #71, Goteborg, Sweden, 7-10. March, 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、3GPPにおいて、RRCインアクティブモードの導入についての議論が始まったところであり、それほど深く議論がなされているわけではない。そのため、3GPPにおいて、RRCインアクティブモードを導入した場合に、世の中では知られていない何等かの問題や不具合が生じる可能性がある。例えば、状態遷移の遅延を低減することができるか否かが重要となる。特に、状態遷移の遅延を低減するためには、UEとgNBとの間で送受信されるメッセージの数を減らすことが重要となる。これらについては、これまで検討がほとんど行なわれていない。したがって、RRCインアクティブモードの導入として、状態遷移の遅延を低減する方法は、従来は存在していなかった。
【0012】
本願に開示の技術は、状態遷移の遅延を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
1つの態様では、無線通信システムは、第1無線通信装置および第2無線通信装置を有する。第1無線通信装置は、通信部と、制御部と、を有する。通信部は、第2無線通信装置の状態遷移を行なうときに第1の制御信号を第2無線通信装置に送信する。まず、通信部は、第2無線通信装置の状態を第1の状態から第2の状態に遷移する第1の状態遷移を行なう。その後、制御部は、第2無線通信装置の状態を第2の状態から第3の状態に遷移する第2の状態遷移を行なう場合、第1の制御信号と第1の制御信号とは異なる第2の制御信号とを同時に第1無線通信装置に送信するように制御する。
【発明の効果】
【0014】
1つの側面では、状態遷移の遅延を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施例1に係る無線通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施例2に係る無線通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、状態遷移の一例を示すシーケンス図である。
図4図4は、実施例2に係る無線通信システムの動作(状態遷移)の一例を示すシーケンス図である。
図5図5は、実施例3に係る無線通信システムの動作(状態遷移)の一例を示すシーケンス図である。
図6図6は、実施例4に係る無線通信システムの動作(状態遷移)の一例を示すシーケンス図である。
図7図7は、本実施例に係る無線通信システムの効果の説明図である。
図8図8は、本実施例に係る無線通信システムの効果の説明図である。
図9図9は、変形例における無線通信システムの動作(状態遷移)の一例を示すシーケンス図である。
図10図10は、gNBのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図11図11は、UEのハードウェア構成の一例を示す図である。
図12図12は、NRにおける状態遷移の概略図である。
図13図13は、RRCライトコネクションモードの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本願の開示する基地局、移動局および無線通信システムの実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例は開示の技術を限定するものではない。
【実施例1】
【0017】
[無線通信システム]
図1は、実施例1に係る無線通信システムの構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、実施例1に係る無線通信システムは、無線通信装置1および無線通信装置2を有する。ここで、無線通信装置1は、「第1無線通信装置」の一例であり、無線通信装置2は、「第2無線通信装置」の一例である。
【0018】
無線通信装置1は、通信部11および制御部14を有する。
【0019】
通信部11は、無線通信装置2との間で無線通信を行なう。例えば、通信部11は、メッセージである制御信号を無線通信装置2との間で送受信する。
【0020】
具体的には、通信部11は、送信部12および受信部13を有する。
【0021】
送信部12は、無線通信装置2の状態遷移を行なうときに、その状態遷移に関するメッセージである第1の制御信号を無線通信装置2に送信する。例えば、送信部12は、無線通信装置2の状態を第1の状態から第2の状態に遷移する第1の状態遷移を行なうときに、第1の制御信号を無線通信装置2に送信する。また、送信部12は、無線通信装置2の状態が第2の状態に遷移した場合、第1の制御信号とは異なるメッセージである第2の制御信号を無線通信装置2に送信する。
【0022】
受信部13は、無線通信装置2の状態遷移を行なうときに無線通信装置2から送信された第1の制御信号を受信する。例えば、受信部13は、第1の状態遷移を行なうときに、無線通信装置2から送信された第1の制御信号を受信する。また、受信部13は、無線通信装置2が第2の状態に遷移した場合、無線通信装置2から送信された第2の制御信号を受信する。
【0023】
制御部14は、無線通信装置1の動作を統括制御する。また、制御部14は、第1の状態遷移が行なわれた後に、無線通信装置2の状態を第2の状態から第3の状態に遷移する第2の状態遷移を行なう場合、第1の制御信号と第2の制御信号とを同時に(ピギーバックして)無線通信装置2に送信するように制御する。
【0024】
無線通信装置2は、通信部21および制御部24を有する。
【0025】
通信部21は、無線通信装置1との間で無線通信を行なう。例えば、通信部21は、メッセージである制御信号を無線通信装置1との間で送受信する。
【0026】
具体的には、通信部21は、送信部22および受信部23を有する。
【0027】
送信部22は、無線通信装置2の状態遷移を行なうときに第1の制御信号を無線通信装置1に送信する。例えば、送信部22は、第1の状態遷移を行なうときに第1の制御信号を無線通信装置1に送信する。また、送信部22は、無線通信装置2の状態が第2の状態に遷移した場合、第2の制御信号を無線通信装置1に送信する。
【0028】
受信部23は、無線通信装置2の状態遷移を行なうときに無線通信装置1から送信された第1の制御信号を受信する。例えば、受信部23は、第1の状態遷移を行なうときに、無線通信装置1から送信された第1の制御信号を受信する。また、受信部13は、無線通信装置2の状態が第2の状態に遷移した場合、無線通信装置1から送信された第2の制御信号を受信する。
【0029】
制御部24は、無線通信装置2の動作を統括制御する。また、制御部24は、第1の状態遷移が行なわれた後に、第2の状態遷移を行なう場合、第1の制御信号と第2の制御信号とを同時に無線通信装置1から受信するように制御する。
【0030】
以上の説明により、実施例1に係る無線通信システムでは、無線通信装置1の通信部11は、無線通信装置2の状態遷移を行なうときに第1の制御信号を無線通信装置2に送信する。第1の制御信号は、状態遷移に関するメッセージである。まず、無線通信装置1の通信部11は、無線通信装置2の状態を第1の状態から第2の状態に遷移する第1の状態遷移を行なう。その後、無線通信装置1の制御部14は、無線通信装置2の状態を第2の状態から第3の状態に遷移する第2の状態遷移を行なう場合、第3の制御信号を無線通信装置2に送信するように制御する。なお、第3の制御信号は、例えば、第1の制御信号と第2の制御信号同時に(ピギーバックして)送信する制御信号である。第2の制御信号は、第1の制御信号とは異なるメッセージである。ここで、3GPPにおいて、RRCインアクティブモードを導入した場合に、世の中では知られていない何等かの問題や不具合が生じる可能性がある。例えば、状態遷移の遅延を低減することができるか否かが重要となる。特に、状態遷移の遅延を低減するためには、UEとgNBとの間で送受信されるメッセージの数を減らすことが重要となる。したがって、実施例1に係る無線通信システムでは、無線通信装置1が、メッセージである第1および第2の制御信号を同時に無線通信装置2に送信することにより、状態遷移の遅延を低減することができる。
【実施例2】
【0031】
[無線通信システム]
次に、実施例2について説明する。図2は、実施例2に係る無線通信システムの構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、実施例2に係る無線通信システムは、図1における無線通信装置1として、基地局10を有する。また、実施例2に係る無線通信システムは、図1における無線通信装置2として、移動局20を有する。以下、移動局20を端末である「UE20」と記載し、基地局10を「gNB10」と記載する。また、実施例2では、実施例1と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、実施例2は、処理内容に矛盾させない範囲で、実施例1と組み合わせることが可能である。
【0032】
[gNB10]
通信部11は、UE20との間で無線通信を行なう。制御部14は、gNB10の動作を統括制御する。
【0033】
具体的には、制御部14は、例えばベースバンド信号を処理する処理部であり、PHY(Physical)制御部15、MAC(Medium Access Control)制御部16、RRC制御部17、呼接続制御部18を含む。
【0034】
PHY制御部15は、無線伝送を行なう場合の信号を処理する。例えば、PHY制御部15は、無線信号の変調符号化方式を決定する。MAC制御部16は、データのスケジューリングに関する処理を行なう。
【0035】
RRC制御部17は、gNB10の動作を制御する。例えば、RRC制御部17は、通信に使用する無線リソースパラメータの設定(例えば呼設定)や、gNB10の通信状態管理を行なう。また、RRC制御部17は、UE20を適切なgNBに接続させるためのハンドオーバ処理を行なう。
【0036】
また、RRC制御部17は、メッセージをUE20との間で送受信するように通信部11を制御する。
【0037】
例えば、RRC制御部17は、UE20の状態をRRCアイドルモードからRRCコネクティッドモードに遷移する第1の状態遷移を行なうときに、RRCメッセージをUE20との間で送受信するように通信部11を制御する。ここで、RRCアイドルモードは、「第1の状態」の一例であり、RRCコネクティッドモードは、「第2の状態」の一例である。また、RRCメッセージは、「第1の制御信号」の一例である。
【0038】
例えば、RRC制御部17は、RRCコネクティッドモードにおいて、NASメッセージをUE20との間で送受信するように通信部11を制御する。NASメッセージは、「第2の制御信号」の一例である。
【0039】
例えば、RRC制御部17は、UE20の状態をRRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモードに遷移する第2の状態遷移を行なう場合、RRCメッセージとNASメッセージとを同時にUE20に送信するように通信部11を制御する。ここで、RRCインアクティブモードは、「第3の状態」の一例である。なお、RRCメッセージとNASメッセージとを同時に送信することについては、後述の解決策にて説明する。
【0040】
呼接続制御部18は、UE20の種別やトラヒックタイプを判別し、判別結果に基づいて、RRC制御部17によるRRC状態の管理を制御する。
【0041】
[UE20]
通信部21は、gNB10との間で無線通信を行なう。制御部24は、通信部21の動作を統括制御する。
【0042】
具体的には、制御部24は、例えばベースバンド信号を処理する処理部であり、PHY制御部25、MAC制御部26、RRC制御部27、呼接続制御部28を含む。
【0043】
PHY制御部25は、無線伝送を行なう場合の信号を処理する。例えば、PHY制御部25は、gNB10によって通知された無線信号の変調符号化方式に従って無線伝送を行なう。MAC制御部26は、gNB10によって指示された無線リソースやタイミングに基づいたデータのスケジューリングに関する処理を行なう。
【0044】
RRC制御部27は、UE20の動作を制御する。例えば、RRC制御部27は、通信に使用する無線リソースパラメータの設定(例えば呼設定)や、UE20の通信状態管理を行なう。また、RRC制御部27は、適切なgNB10に接続するためのハンドオーバ処理を行なう。
【0045】
また、RRC制御部27は、メッセージをgNB10との間で送受信するように通信部21を制御する。
【0046】
例えば、RRC制御部27は、UE20の状態をRRCアイドルモードからRRCコネクティッドモードに遷移する第1の状態遷移を行なうときに、RRCメッセージをgNB10との間で送受信するように通信部21を制御する。
【0047】
例えば、RRC制御部27は、RRCコネクティッドモードにおいて、NASメッセージをgNB10との間で送受信するように通信部21を制御する。
【0048】
例えば、RRC制御部27は、UE20の状態をRRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモードに遷移する第2の状態遷移を行なう場合、RRCメッセージとNASメッセージとを同時にgNB10から受信するように通信部21を制御する。なお、gNB10から送信されたRRCメッセージとNASメッセージとを同時に受信することについては、後述の解決策にて説明する。
【0049】
呼接続制御部28は、UE20の種別やトラヒックタイプに応じて、RRC制御部27によるRRC状態の管理を制御する。
【0050】
[状態遷移]
ここで、データ通信の設定時にgNB10がUE20の状態をRRCインアクティブモード「RRC INACTIVE」に遷移させる場合について説明する。図3は、状態遷移の一例を示すシーケンス図である。
【0051】
まず、RRCアイドルモード「RRC IDLE」において、UE20は、メッセージRA Msg1として「Random Access Preamble」をgNB10に送信する(ステップS1)。gNB10は、UE20から送信されたメッセージRA Msg1「Random Access Preamble」を受信する。
【0052】
gNB10は、受信したメッセージRA Msg1「Random Access Preamble」に応じて、メッセージRA Msg2として「Random Access Response」をUE20に送信する(ステップS2)。UE20は、gNB10から送信されたメッセージRA Msg2「Random Access Response」を受信する。
【0053】
次に、UE20は、メッセージRA Msg3(RRCメッセージ)として「RRC Connection Establishment Request」をgNB10に送信する(ステップS3)。gNB10は、UE20から送信されたメッセージRA Msg3「RRC Connection Establishment Request」を受信する。
【0054】
メッセージRA Msg3「RRC Connection Establishment Request」は、データ通信に関する情報を含む。データ通信に関する情報は、UEの位置、通信能力、各種パラメータ、UEの識別子(端末ID)などの情報を含む。gNB10は、データ通信に関する情報を保持する。このとき、gNB10は、保持したデータ通信に関する情報により、どのUE20が接続してきたのかを認識し、メッセージRA Msg4(RRCメッセージ)として「RRC Connection Establishment」をUE20に送信する(ステップS4)。UE20は、gNB10から送信されたメッセージRA Msg4「RRC Connection Establishment」を受信する。
【0055】
次に、UE20は、受信したメッセージRA Msg4「RRC Connection Establishment」に応じて、メッセージRA Msg5(RRCメッセージ)として「RRC Connection Establishment Complete」をgNB10に送信する(ステップS5)。このとき、UE20は、RRCアイドルモード「RRC IDLE」からRRCコネクティッドモード「RRC CONNECTED」に遷移する。
【0056】
RRCコネクティッドモード「RRC CONNECTED」において、UE20は、NASメッセージとして「NAS Attach Request」をgNB10に送信する(ステップS6)。gNB10は、UE20から送信されたNASメッセージ「NAS Attach Request」を受信し、5Gのコアネットワーク(以下、「5GC」と記載する)に送信する。
【0057】
次に、gNB10は、5GCからNASメッセージとして「NAS Attach Accept」を受信し、UE20に送信する(ステップS7)。UE20は、gNB10から送信されたNASメッセージ「NAS Attach Accept」を受信する。
【0058】
次に、UE20は、NASメッセージとして「NAS Attach Complete」をgNB10に送信する(ステップS8)。gNB10は、UE20から送信されたNASメッセージ「NAS Attach Complete」を受信し、5GCに送信する。
【0059】
ここで、gNB10は、UE20の状態をRRCコネクティッドモード「RRC CONNECTED」からRRCインアクティブモード「RRC INACTIVE」に遷移させる。この場合、3GPPにおいて、例えばRRCコネクティッドモードのサブモードを応用した技術を用いることが考えられる。
【0060】
RRCコネクティッドモードのサブモードについては、例えば、「Cell selection/Cell reselection」や「Paging Monitoring」などを用いて非特許文献5および9に記載されている。以下、RRCコネクティッドモードのサブモードを「RRCライトコネクション(RRC-Light Connection)モード」と記載する。図13は、RRCライトコネクションモードの説明図である。本来、gNB10は、UE20の状態をRRCコネクティッドモードからRRCアイドルモードに遷移させる場合、RRCメッセージとして「RRC Connection Release」をUE20に送信する。この応用として、gNB10は、UE20の状態をRRCコネクティッドモードからRRCライトコネクションモードに遷移させる場合、指示情報「RRC-Light Connection indication」を含むRRCメッセージ「RRC Connection Release」をUE20に送信する。この場合、UE20は、RRCメッセージ「RRC Connection Release」に含まれる指示情報「RRC-Light Connection indication」に応じて、RRCコネクティッドモードからRRCライトコネクションモードに遷移する。なお、UE20は、RRCライトコネクションモードにおいて、例えばデータの発生時に、復帰要求「RRC Connection Resume Request」をgNB10に送信することにより、RRCコネクティッドモードに復帰可能である。
【0061】
そこで、図3に示す例についても同様に、上述の応用技術により、gNB10は、UE20の状態をRRCコネクティッドモード「RRC CONNECTED」からRRCインアクティブモード「RRC INACTIVE」に遷移させる。具体的には、この場合、gNB10は、指示情報「Suspend Indicator」を含むRRCメッセージ「RRC Release」をUE20に送信する(ステップS9)。指示情報「Suspend Indicator」は、RRCインアクティブモードへの遷移を指示する情報である。UE20は、指示情報「Suspend Indicator」を含むRRCメッセージ「RRC Release」をgNB10から受信する。UE20は、受信したRRCメッセージ「RRC Release」に含まれる指示情報「Suspend Indicator」に応じて、RRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモードに遷移する。なお、UE20は、RRCインアクティブモードにおいて、例えばデータの発生時に、図示しない復帰要求「Resume Request」をgNB10に送信することにより、RRCコネクティッドモードに復帰可能である。
【0062】
例えば、UE20がRRCインアクティブモードに遷移することにより、データ通信に関する情報がgNB10に保持されるため、UE20はRRCコネクティッドモードの復帰時においてデータ通信に関する情報をgNB10に通知しなくてもよい。
【0063】
[課題]
ここで、RRCインアクティブモードを導入した場合の課題を説明する。この課題は、発明者がRRCインアクティブモードの導入を検討した結果として新たに見出したものであり、従来は知られていなかったものであることに注意されたい。
【0064】
RRCインアクティブモードを導入した場合、例えば、状態遷移の遅延を低減することができるか否かが重要となる。しかしながら、上述した状態遷移では、UE20とgNB10との間で多数のメッセージが送受信される。具体的には、図3において、送受信されるメッセージの数は9個である。状態遷移の遅延を低減するためには、UE20とgNB10との間で送受信されるメッセージの数を減らすことが重要となる。
【0065】
[解決策]
そこで、実施例2に係る無線通信システムでは、gNB10は、UE20の状態をRRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモードに遷移させる場合、RRCメッセージとNASメッセージとを同時にRRCメッセージをUE20に送信する。これについて具体例を用いて説明する。
【0066】
図4は、実施例2に係る無線通信システムの動作(状態遷移)の一例を示すシーケンス図である。
【0067】
まず、RRCアイドルモード「RRC IDLE」において、UE20は、メッセージRA Msg1として「Random Access Preamble」をgNB10に送信する(ステップS101)。gNB10は、UE20から送信されたメッセージRA Msg1「Random Access Preamble」を受信する。
【0068】
gNB10は、受信したメッセージRA Msg1「Random Access Preamble」に応じて、メッセージRA Msg2として「Random Access Response」をUE20に送信する(ステップS102)。UE20は、gNB10から送信されたメッセージRA Msg2「Random Access Response」を受信する。
【0069】
次に、UE20は、データ通信に関する情報を含むメッセージRA Msg3(RRCメッセージ)として「RRC Connection Establishment Request」をgNB10に送信する(ステップS103)。gNB10は、データ通信に関する情報を含むメッセージRA Msg3「RRC Connection Establishment Request」をUE20から受信する。
【0070】
gNB10は、メッセージRA Msg3「RRC Connection Establishment Request」に含まれる、データ通信に関する情報を保持する。このとき、gNB10は、保持したデータ通信に関する情報により、どのUE20が接続してきたのかを認識し、メッセージRA Msg4(RRCメッセージ)として「RRC Connection Setup」をUE20に送信する(ステップS104)。UE20は、gNB10から送信されたメッセージRA Msg4「RRC Connection Setup」を受信する。
【0071】
次に、UE20は、受信したメッセージRA Msg4「RRC Connection Setup」に応じて、メッセージRA Msg5(RRCメッセージ)として「RRC Connection Setup Complete」をgNB10に送信する(ステップS105)。このとき、UE20は、RRCアイドルモード「RRC IDLE」からRRCコネクティッドモード「RRC CONNECTED」に遷移する。
【0072】
RRCコネクティッドモード「RRC CONNECTED」において、UE20は、NASメッセージとして「NAS Attach Request」をgNB10に送信する(ステップS106)。gNB10は、UE20から送信されたNASメッセージ「NAS Attach Request」を受信し、5GCに送信する。
【0073】
gNB10は、5GCからNASメッセージとして「NAS Attach Accept」を受信する。このとき、gNB10は、指示情報「Suspend Indicator」を含むRRCメッセージ「RRC Release」と、NASメッセージ「NAS Attach Accept」とを同時にUE20に送信する(ステップS107)。
【0074】
ここで、gNB10がRRCメッセージ「RRC Release」とNASメッセージ「NAS Attach Accept」とを同時にUE20に送信することは可能であるのか検証する必要がある。例えば、非特許文献9のセクション4.2.2には、下り回線におけるNASメッセージのピギーバックは「bearer establishment」、「modification」、「release」でのみ使用されることが記載されている。より具体的には、これらはNASとASの状態が依存する手順のみに適用されるとの規定がある。すなわち、本実施例において、gNB10は、NASメッセージ「NAS Attach Accept」にRRCメッセージ「RRC Release」を載せてUE20に送信することは出来ない可能性がある。これは、「NAS Attach Accept」はNASの状態をコネクト状態にし、「RRC Release」はASの状態をリリース状態にするメッセージであって、それぞれの状態は異なるからである。従って、当該メッセージを同時に送信できるようにするためには、例えば、「state transition」や「power saving」といった規定が必要になるかもしれない。
【0075】
次に、UE20は、指示情報「Suspend Indicator」を含むRRCメッセージ「RRC Release」と、NASメッセージ「NAS Attach Accept」とを同時にgNB10から受信する。この場合、UE20は、NASメッセージとして「NAS Attach Complete」をgNB10に送信する(ステップS108)。gNB10は、NASメッセージ「NAS Attach Complete」をUE20から受信し、5GCに送信する。また、UE20は、指示情報「Suspend Indicator」に基づいて、RRCコネクティッドモード「RRC CONNECTED」からRRCインアクティブモード「RRC INACTIVE」に遷移する。
【0076】
なお、UE20は、RRCインアクティブモード「RRC INACTIVE」において、例えばデータの発生時に、図示しない復帰要求「Resume Request」をgNB10に送信することにより、RRCコネクティッドモード「RRC CONNECTED」に復帰可能である。例えば、UE20がRRCインアクティブモードに遷移することにより、データ通信に関する情報がgNB10に保持されるため、UE20はRRCコネクティッドモードの復帰時においてデータ通信に関する情報をgNB10に通知しなくてもよい。
【0077】
以上の説明により、実施例2に係る無線通信システムでは、gNB10の通信部11は、UE20の状態遷移を行なうときにRRCメッセージをUE20に送信する。まず、gNB10の通信部11は、UE20の状態がRRCアイドルモード「RRC IDLE」からRRCコネクティッドモード「RRC CONNECTED」に遷移する第1の状態遷移を行なう場合、RRCメッセージをUE20に送信する。続いて、gNB10の制御部14は、UE20の状態がRRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモード「RRC INACTIVE」に遷移する第2の状態遷移を行なう場合、RRCメッセージとNASメッセージとを同時にUE20に送信するように制御する。ここで、第2の状態遷移においてNASメッセージと同時に送信されるRRCメッセージは、RRCインアクティブモードへの遷移を指示する指示情報「Suspend Indicator」を含む。実施例2に係る無線通信システムでは、gNB10が、指示情報「Suspend Indicator」を含むRRCメッセージと、NASメッセージとを同時に(ピギーバックして)UE20に送信することにより、状態遷移の遅延が低減される。したがって、実施例2に係る無線通信システムによれば、状態遷移の遅延を低減することができる。
【実施例3】
【0078】
実施例2では、RRCメッセージに指示情報「Suspend Indicator」が付加されるか否かは、gNB10により決定される。この場合、UE20は、gNB10から指示情報「Suspend Indicator」を受けたタイミングで、RRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモードに遷移する。しかしながら、これに限定されない。例えば、実施例3では、UE20が指示情報「Suspend Indicator」をgNB10に要求し、その要求に応じた指示情報「Suspend Indicator」をgNB10から受けたタイミングで、RRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモードに遷移する。これにより、実施例3では、状態遷移の遅延を低減できる上に、UE20の省電力化を実現することができる。実施例3では、実施例2と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、実施例3は、処理内容に矛盾させない範囲で、実施例1と組み合わせることが可能である。
【0079】
図5は、実施例3に係る無線通信システムの動作(状態遷移)の一例を示すシーケンス図である。
【0080】
まず、前述のステップS101、S102が実行される。
【0081】
次に、UE20は、データ通信に関する情報と要求情報「Inactive Preference」とを含むメッセージRA Msg3「RRC Connection Establishment Request」をgNB10に送信する(ステップS103)。要求情報「Inactive Preference」は、指示情報「Suspend Indicator」をgNB10に要求するための情報である。gNB10は、そのメッセージRA Msg3「RRC Connection Establishment Request」をUE20から受信する。gNB10は、受信したメッセージRA Msg3「RRC Connection Establishment Request」に含まれるデータ通信に関する情報と要求情報「Inactive Preference」とを保持する。
【0082】
次に、前述のステップS104~S106が実行される。
【0083】
gNB10は、5GCからNASメッセージ「NAS Attach Accept」を受信する。このとき、gNB10は、保持した要求情報「Inactive Preference」に基づいて、指示情報「Suspend Indicator」を含むRRCメッセージ「RRC Release」と、NASメッセージ「NAS Attach Accept」とを同時にUE20に送信する(ステップS107)。
【0084】
その後、前述のステップS108が実行される。
【0085】
ここで、gNB10がメッセージRA Msg3「RRC Connection Establishment Request」に要求情報「Inactive Preference」を付加することは可能である。メッセージRA Msg3は、例えば、UE20から物理上りリンク共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)で送信される。そこで、5Gでは、例えば、メッセージRA Msg3(PUSCH)に付加するCRC(Cyclic Redundancy Checking)のビット数を24ビットから8~16ビットに削減することが検討されている。CRCのビット数が削減された場合、その空き領域に要求情報「Inactive Preference」を付加することは容易である。
【0086】
なお、実施例3では、UE20は、要求情報「Inactive Preference」をメッセージRA Msg3「RRC Connection Establishment Request」に付加しているが、これに限定されない。例えば、UE20は、要求情報「Inactive Preference」をメッセージRA Msg5「RRC Connection Setup Complete」に付加してもよい。
【0087】
以上の説明により、実施例3に係る無線通信システムでは、gNB10の通信部11は、UE20の状態遷移を行なうときにRRCメッセージをUE20に送信する。まず、gNB10の通信部11は、UE20の状態がRRCアイドルモード「RRC IDLE」からRRCコネクティッドモード「RRC CONNECTED」に遷移する第1の状態遷移を行なう場合、RRCメッセージをUE20に送信する。続いて、gNB10の制御部14は、UE20の状態がRRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモード「RRC INACTIVE」に遷移する第2の状態遷移を行なう場合、RRCメッセージとNASメッセージとを同時にUE20に送信するように制御する。ここで、第2の状態遷移においてNASメッセージと同時に送信されるRRCメッセージは、RRCインアクティブモードへの遷移を指示する指示情報「Suspend Indicator」を含む。実施例3に係る無線通信システムでは、gNB10が、指示情報「Suspend Indicator」を含むRRCメッセージと、NASメッセージとを同時にUE20に送信することにより、状態遷移の遅延が少なくとも10ms低減される。したがって、実施例3に係る無線通信システムによれば、状態遷移の遅延を低減することができる。
【0088】
また、実施例3に係る無線通信システムでは、gNB10の通信部11は、第1の状態遷移において、指示情報「Suspend Indicator」を要求する要求情報「Inactive Preference」を含むRRCメッセージをUE20から受信する。この場合、gNB10の制御部14は、第2の状態遷移において、要求情報「Inactive Preference」に基づいて、指示情報「Suspend Indicator」を含むRRCメッセージと、NASメッセージとを同時にUE20に送信するように制御する。このように、UE20は、指示情報「Suspend Indicator」をgNB10に要求し、その要求に応じた指示情報「Suspend Indicator」をgNB10から受けたタイミングで、RRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモードに遷移する。これにより、実施例3に係る無線通信システムでは、状態遷移の遅延を低減できる上に、UE20の省電力化を実現することができる。
【実施例4】
【0089】
実施例3では、NASメッセージ「NAS Attach Accept」と同時に送信されるRRCメッセージ「RRC Release」には、指示情報として「Suspend Indicator」が含まれるが、これに限定されない。例えば、NASメッセージ「NAS Attach Accept」と同時に送信されるRRCメッセージ「RRC Release」には、指示情報としてフラグが含まれてもよい。実施例4では、実施例3と同じ部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、実施例4は、処理内容に矛盾させない範囲で、実施例1と組み合わせることが可能である。
【0090】
図6は、実施例4に係る無線通信システムの動作(状態遷移)の一例を示すシーケンス図である。
【0091】
まず、前述のステップS101~S106が実行される。
【0092】
gNB10は、5GCからNASメッセージ「NAS Attach Accept」を受信する。このとき、gNB10は、保持した要求情報「Inactive Preference」に基づいて、指示情報として「flag」を含むRRCメッセージ「RRC Release」と、NASメッセージ「NAS Attach Accept」とを同時にUE20に送信する(ステップS107)。指示情報「flag」は、RRCアイドルモード「RRC IDLE」への遷移を指示する情報「idle」、または、RRCインアクティブモード「RRC INACTIVE」への遷移を指示する情報「inactive」を表す。
【0093】
その後、前述のステップS108が実行される。
【0094】
以上の説明により、実施例4に係る無線通信システムでは、gNB10の通信部11は、第1の状態遷移において、指示情報「Suspend Indicator」を要求する要求情報「Inactive Preference」を含むRRCメッセージをUE20から受信する。この場合、gNB10の制御部14は、第2の状態遷移において、要求情報「Inactive Preference」に基づいて、指示情報「flag」を含むRRCメッセージと、NASメッセージとを同時にUE20に送信するように制御する。このように、UE20は、指示情報「flag」をgNB10に要求し、その要求に応じた指示情報「flag」をgNB10から受けたタイミングで、RRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモードに遷移する。これにより、実施例4に係る無線通信システムでは、実施例3と同様に、状態遷移の遅延を低減できる上に、UE20の省電力化を実現することができる。
【0095】
ここで、実施例2~4に係る無線通信システムの効果として、状態遷移の遅延の低減について、例えば実施例3を用いて具体的に説明する。図7および図8は、本実施例に係る無線通信システムの効果の説明図である。
【0096】
図7において、例えば、RRCアイドルモード「RRC IDLE」の所要時間を20[ms]とし、RRCコネクティッドモード「RRC CONNECTED」の所要時間を20[ms]とする。また、gNB10がRRCメッセージ「RRC Release」に指示情報「Suspend Indicator」を付加した場合にUE20がRRCインアクティブモード「RRC INACTIVE」に遷移するときの遅延時間を10[ms]とする。また、gNB10がRRCメッセージ「RRC Release」に指示情報「Suspend Indicator」を付加しない場合にUE20がRRCインアクティブモード「RRC INACTIVE」に遷移するときの遅延時間をx[ms]とする。
【0097】
また、図3に示した例において、gNB10がRRCメッセージ「RRC Release」に指示情報「Suspend Indicator」を付加する確率を0.4とする。この場合、RRCアイドルモードからRRCインアクティブモードまでの所要時間f(x)は、f(x)=20+20+(0.4×10+(1-0.4)×x)=44+0.6×xにより表される。
【0098】
また、本実施例において、gNB10がRRCメッセージ「RRC Release」に指示情報「Suspend Indicator」を付加する確率を0.8とする。この場合、RRCアイドルモードからRRCインアクティブモードまでの所要時間g(x)は、g(x)=20+20+(0.8×10+(1-0.8)×x)=48+0.2×xにより表される。
【0099】
図8において、横軸は、最大遷移遅延時間、すなわち、遅延時間x[ms]を表し、縦軸は低減率を表す。低減率は、g(x)/f(x)により表される。図8に示すように、遅延時間xが長くなればなるほど、低減率は下がる。例えば、遅延時間xが260[ms]である場合、低減率は0.5である。
【0100】
[変形例]
実施例2~4では、データ通信の設定時にgNB10がUE20の状態をRRCインアクティブモード「RRC INACTIVE」に遷移させている。例えば、実施例3、4では、データ通信の設定時に、UE20が指示情報「Suspend Indicator」をgNB10に要求し、指示情報「Suspend Indicator」をgNB10から受けたタイミングでRRCインアクティブモードに遷移する。ここで、図3に示した例に対する変形例として、データ通信の終了時に、UE20が指示情報「Suspend Indicator」をgNB10から受けたタイミングでRRCインアクティブモードに遷移してもよい。
【0101】
図9は、変形例における無線通信システムの動作(状態遷移)の一例を示すシーケンス図である。
【0102】
まず、RRCアイドルモード「RRC IDLE」において、UE20は、メッセージRA Msg1「Random Access Preamble」をgNB10に送信する(ステップS201)。gNB10は、UE20から送信されたメッセージRA Msg1「Random Access Preamble」を受信する。
【0103】
gNB10は、受信したメッセージRA Msg1「Random Access Preamble」に応じて、メッセージRA Msg2「Random Access Response」をUE20に送信する(ステップS202)。UE20は、gNB10から送信されたメッセージRA Msg2「Random Access Response」を受信する。
【0104】
次に、UE20は、データ通信に関する情報と要求情報「Inactive Preference」とを含むメッセージRA Msg3「RRC Connection Establishment Request」をgNB10に送信する(ステップS203)。gNB10は、そのメッセージRA Msg3「RRC Connection Establishment Request」をUE20から受信する。gNB10は、受信したメッセージRA Msg3「RRC Connection Establishment Request」に含まれるデータ通信に関する情報と要求情報「Inactive Preference」とを保持する。
【0105】
gNB10は、保持したデータ通信に関する情報により、どのUE20が接続してきたのかを認識し、メッセージRA Msg4「RRC Connection Setup」をUE20に送信する(ステップS204)。UE20は、gNB10から送信されたメッセージRA Msg4「RRC Connection Setup」を受信する。
【0106】
次に、UE20は、受信したメッセージRA Msg4「RRC Connection Setup」に応じて、メッセージRA Msg5「RRC Connection Setup Complete」をgNB10に送信する(ステップS205)。このとき、UE20は、RRCアイドルモード「RRC IDLE」からRRCコネクティッドモード「RRC CONNECTED」に遷移する。
【0107】
RRCコネクティッドモード「RRC CONNECTED」において、UE20は、NASメッセージ「NAS Attach Request」をgNB10に送信する(ステップS206)。gNB10は、UE20から送信されたNASメッセージ「NAS Attach Request」を受信し、5GCに送信する。
【0108】
次に、gNB10は、5GCからNASメッセージ「NAS Attach Accept」を受信し、UE20に送信する(ステップS207)。UE20は、gNB10から送信されたNASメッセージ「NAS Attach Accept」を受信する。
【0109】
次に、UE20は、NASメッセージとして「NAS Attach Complete」をgNB10に送信する(ステップS208)。gNB10は、UE20から送信されたNASメッセージ「NAS Attach Complete」を受信し、5GCに送信する。
【0110】
次に、UE20は、gNB10との間でデータの通信を行なう(図9の「Data」を参照)。
【0111】
ここで、データ通信の終了時において、gNB10は、保持した要求情報「Inactive Preference」に基づいて、指示情報「Suspend Indicator」を含むRRCメッセージ「RRC Release」をUE20に送信する(ステップS209)。UE20は、指示情報「Suspend Indicator」を含むRRCメッセージ「RRC Release」をgNB10から受信する。UE20は、受信したRRCメッセージ「RRC Release」に含まれる指示情報「Suspend Indicator」に応じて、RRCコネクティッドモードからRRCインアクティブモードに遷移する。
【0112】
このように、変形例では、データ通信の設定時にUE20が指示情報「Suspend Indicator」をgNB10に要求し、データ通信の終了時に、UE20が指示情報「Suspend Indicator」をgNB10から受けたタイミングでRRCインアクティブモードに遷移する。これにより、変形例では、図3に示した例に比べて、UE20の省電力化を実現することができる。
【0113】
[他の実施例]
実施例における各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0114】
さらに、各装置で行われる各種処理は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしてもよい。
【0115】
実施例のgNB10およびUE20は、例えば、次のようなハードウェア構成により実現することができる。
【0116】
図10は、gNB10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。gNB10は、例えば、プロセッサ101、メモリ102、RF(Radio Frequency)回路103、ネットワークインタフェース(IF)104を有する。プロセッサ101の一例としては、CPU、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。また、メモリ102の一例としては、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられる。
【0117】
そして、実施例のgNB10で行われる各種処理は、不揮発性記憶媒体などの各種メモリに格納されたプログラムをプロセッサ101で実行することによって実現されてもよい。すなわち、各構成によって実行される各処理に対応するプログラムがメモリ102に記録され、各プログラムがプロセッサ101で実行されてもよい。ここで、各構成とは、制御部14の機能に相当する。また、通信部11は、RF回路103によって実現される。
【0118】
なお、ここでは、実施例のgNB10で行われる各種処理が1つのプロセッサ101によって実行されるものとしたが、これに限定されるものではなく、複数のプロセッサによって実行されてもよい。
【0119】
図11は、UE20のハードウェア構成の一例を示す図である。UE20は、プロセッサ201と、メモリ202と、RF回路203とを有している。プロセッサ201の一例としては、CPU、DSP、FPGA等が挙げられる。また、メモリ202の一例としては、SDRAM等のRAM、ROM、フラッシュメモリ等が挙げられる。
【0120】
そして、実施例のUE20で行われる各種処理は、不揮発性記憶媒体などの各種メモリに格納されたプログラムをプロセッサ201で実行することによって実現されてもよい。すなわち、各構成によって実行される各処理に対応するプログラムがメモリ202に記録され、各プログラムがプロセッサ201で実行されてもよい。ここで、各構成とは、制御部24の機能に相当する。また、通信部21は、RF回路203によって実現される。
【0121】
なお、ここでは、実施例のUE20で行われる各種処理が1つのプロセッサ201によって実行されるものとしたが、これに限定されるものではなく、複数のプロセッサによって実行されてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 無線通信装置
2 無線通信装置
10 基地局(gNB)
11 通信部
12 送信部
13 受信部
14 制御部
15 PHY制御部
16 MAC制御部
17 RRC制御部
18 呼接続制御部
20 移動局(UE)
21 通信部
22 送信部
23 受信部
24 制御部
25 PHY制御部
26 MAC制御部
27 RRC制御部
28 呼接続制御部
101 プロセッサ
102 メモリ
103 RF回路
104 ネットワークIF
201 プロセッサ
202 メモリ
203 RF回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13