(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
A45C 11/34 20060101AFI20240110BHJP
A45C 11/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A45C11/34 G
A45C11/00 G
(21)【出願番号】P 2022146949
(22)【出願日】2022-09-15
(62)【分割の表示】P 2018155037の分割
【原出願日】2018-08-21
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】花川 陽一
(72)【発明者】
【氏名】木下 郁
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第200947887(CN,Y)
【文献】特開平11-216011(JP,A)
【文献】特開2017-200570(JP,A)
【文献】実開昭61-005131(JP,U)
【文献】特開2001-095613(JP,A)
【文献】国際公開第2018/020968(WO,A1)
【文献】米国特許第01930347(US,A)
【文献】国際公開第2015/067944(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/34
A45C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器本体と、この容器本体に接続され前記開口部を開放する開き姿勢から前記開口部を塞ぐ閉じ姿勢までの間で開閉動作可能な蓋部とを備え、前記蓋部が前記開き姿勢をとった状態で載置面上に自立させることができる容器であって、
前記蓋部を前記載置面に当接し且つ載置面に対して傾斜した姿勢で安定させる姿勢安定手段を備えてなり、
前記容器本体の開口部は、少なくとも上方に開放された開放部分を有したものであり、
前記蓋部は、基端側が前記容器本体に接続部を介して回動可能に接続されるとともに、回動端側に前記閉じ姿勢において前記開口部の前記開放部分を覆う頂壁を有したものであり、
前記容器本体の上縁に奥行き寸法が前記蓋部の頂壁よりも小さな上壁が設けられているか、又は前記容器本体の上縁に上壁が設けられておらず、
前記姿勢安定手段が、前記開き姿勢とした状態で
前記容器本体及び前記蓋部がともに同じ載置面に当接するとともに、前記蓋部の内面側の部位にスマートフォン等の物品を立てかけておいても当該蓋部の前壁の内面が載置面に対して傾斜した姿勢で安定させるものである容器。
【請求項2】
開口部を有する容器本体と、この容器本体に接続され
前方に回動して前記開口部を開放する開き姿勢から
後方に回動して前記開口部を塞ぐ閉じ姿勢までの間で開閉動作可能な蓋部とを備え、前記蓋部が前記開き姿勢をとった状態で載置面上に自立させることができる容器であって、
前記蓋部を前記載置面に当接し且つ載置面に対して傾斜した姿勢で安定させる姿勢安定手段を備えてなり、
前記容器本体の開口部は、少なくとも
前方及び上方に開放された開放部分を有したものであり、
前記蓋部は、基端側が前記容器本体に接続部を介して回動可能に接続されるとともに、回動端側に前記閉じ姿勢において前記開口部の前記開放部分を覆う頂壁を有したものであり、
前記容器本体の上縁に奥行き寸法が前記蓋部の頂壁よりも小さな上壁が設けられているか、又は前記容器本体の上縁に上壁が設けられておらず、
前記姿勢安定手段が、前記開き姿勢とした状態で蓋部の前壁の内面が載置面に対して
前上方を向いて傾斜した姿勢で安定させるものである容器。
【請求項3】
前記蓋部が、前記容器本体に前記接続部を介して回動可能に接続された第一の蓋要素と、前記第一の蓋要素に回動可能に接続された第二の蓋要素とからなる請求項
1又は2記載の容器。
【請求項4】
前記姿勢安定手段が、蓋部の回動端側に設けた載置面に当接する滑り止めを備えたものである請求項
1、2又は3記載の容器。
【請求項5】
前記姿勢安定手段が、前記第一の蓋要素と前記第二の蓋要素との開き角度を拘束する拘束具を備えたものである
請求項3記載の容器。
【請求項6】
前記姿勢安定手段が、第一の蓋要素と第二の蓋要素との開き角度を変更可能に設定できるものである
請求項3記載の容器。
【請求項7】
前記蓋部の頂壁内面に、当該内面に物品を載置した際の安定性を高めるための滑り止め部を設けている請求項
1、2、3、4、5又は6記載の容器。
【請求項8】
前記蓋部の上部内面側に、前記閉じ姿勢において対向する前記容器本体の内面に接近するように突出する収納部を設けている請求項
1、2、3、4、5、6又は7記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンをはじめ種々の小物類を卓上に立てて使用するための容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の容器として、開口部を有する容器本体と、この容器本体に接続され前記開口部を開放する開き姿勢から前記開口部を塞ぐ閉じ姿勢までの間で開閉動作可能な蓋部とを備え、前記蓋部が前記開き姿勢をとった状態で載置面上に自立させることができるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、かかる容器は、自立時の安定性が優先されるため、蓋部を開いたときに、当該蓋部を容器本体にマグネットにより固定する構造を採用している。そのため、開き姿勢では、前記蓋部が容器本体の起立壁外面に沿った鉛直姿勢にならざるを得ず、前記蓋部の使用用途が限られていた。
【0004】
このような事情は、ペンケースに限られず、化粧用具、携帯型の電子機器類、家庭用救急セット、その他、種々の小物物品を収納するための容器においても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、蓋部をより広い用途に使用できる構成の容器を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係る容器は、開口部を有する容器本体と、この容器本体に接続され前記開口部を開放する開き姿勢から前記開口部を塞ぐ閉じ姿勢までの間で開閉動作可能な蓋部とを備え、前記蓋部が前記開き姿勢をとった状態で載置面上に自立させることができる容器であって、前記蓋部を前記載置面に当接し且つ載置面に対して傾斜した姿勢で安定させる姿勢安定手段を備えてなり、前記容器本体の開口部は、少なくとも上方に開放された開放部分を有したものであり、前記蓋部は、基端側が前記容器本体に接続部を介して回動可能に接続されるとともに、回動端側に前記閉じ姿勢において前記開口部の前記開放部分を覆う頂壁を有したものであり、前記容器本体の上縁に奥行き寸法が前記蓋部の頂壁よりも小さな上壁が設けられているか、又は前記容器本体の上縁に上壁が設けられておらず、前記姿勢安定手段が、前記開き姿勢とした状態で前記容器本体及び前記蓋部がともに同じ載置面に当接するとともに、前記蓋部の内面側の部位にスマートフォン等の物品を立てかけておいても当該蓋部の前壁の内面が載置面に対して傾斜した姿勢で安定させるものである。
請求項2記載の発明に係る容器は、開口部を有する容器本体と、この容器本体に接続され前方に回動して前記開口部を開放する開き姿勢から後方に回動して前記開口部を塞ぐ閉じ姿勢までの間で開閉動作可能な蓋部とを備え、前記蓋部が前記開き姿勢をとった状態で載置面上に自立させることができる容器であって、前記蓋部を前記載置面に当接し且つ載置面に対して傾斜した姿勢で安定させる姿勢安定手段を備えてなり、前記容器本体の開口部は、少なくとも前方及び上方に開放された開放部分を有したものであり、前記蓋部は、基端側が前記容器本体に接続部を介して回動可能に接続されるとともに、回動端側に前記閉じ姿勢において前記開口部の前記開放部分を覆う頂壁を有したものであり、前記容器本体の上縁に奥行き寸法が前記蓋部の頂壁よりも小さな上壁が設けられているか、又は前記容器本体の上縁に上壁が設けられておらず、前記姿勢安定手段が、前記開き姿勢とした状態で蓋部の前壁の内面が載置面に対して前上方を向いて傾斜した姿勢で安定させるものである。
【0008】
なお、本発明において、「傾斜した姿勢」とは、折れ曲がった姿勢で一部が載置面に対して傾斜しているものも含む概念である。
【0009】
請求項3記載の発明に係る容器は、請求項1又は2記載の構成のものにおいて、前記蓋部が、前記容器本体に前記接続部を介して回動可能に接続された第一の蓋要素と、前記第一の蓋要素に回動可能に接続された第二の蓋要素とからなるものである。
【0010】
請求項4記載の発明に係る容器は、請求項1、2又は3記載の構成のものにおいて、前記姿勢安定手段が、蓋部の回動端側に設けた載置面に当接する滑り止めを備えたものである。
【0011】
請求項5記載の発明に係る容器は、請求項3記載の構成のものにおいて、前記姿勢安定手段が、前記第一の蓋要素と前記第二の蓋要素との開き角度を拘束する拘束具を備えたものである。
【0012】
請求項6記載の発明に係る容器は、請求項3記載の構成のものにおいて、前記姿勢安定手段が、第一の蓋要素と第二の蓋要素との開き角度を変更可能に設定できるものである。
【0013】
請求項7記載の発明に係る容器は、請求項1、2、3、4、5又は6記載の構成のものにおいて、前記蓋部の頂壁内面に、当該内面に物品を載置した際の安定性を高めるための滑り止め部を設けているものである。
【0014】
請求項8記載の発明に係る容器は、請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の構成のものにおいて、前記蓋部の上部内面側に、前記閉じ姿勢において対向する前記容器本体の内面に接近するように突出する収納部を設けているものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、蓋部をより広い用途に使用できる構成の容器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係るペンツールスタンドを示す斜視図。
【
図2】同実施形態に係るペンツールスタンドを示す正面図。
【
図3】同実施形態に係るペンツールスタンドを示す平面図。
【
図4】同実施形態に係るペンツールスタンドを示す側面図。
【
図5】同実施形態に係るペンツールスタンドを示す底面図。
【
図6】
図2におけるA-A線に沿った断面を模式的に示す模式断面図。
【
図7】同実施形態に係るペンツールスタンドの開き姿勢を示す斜視図。
【
図8】同実施形態に係るペンツールスタンドの開き姿勢を示す側面図。
【
図9】
図7におけるB-B線に沿った断面を模式的に示す模式断面図。
【
図10】
図7におけるC-C線に沿った断面を模式的に示す模式断面図。
【
図11】本発明の第二の実施形態に係るペンツールスタンドを示す斜視図。
【
図12】同実施形態に係るペンツールスタンドの開き姿勢を示す斜視図。
【
図13】
図12におけるD-D線に沿った断面を模式的に示す模式断面図。
【
図14】本発明の第三の実施形態に係るペンツールスタンドを示す斜視図。
【
図15】同実施形態に係るペンツールスタンドの開き姿勢を示す斜視図。
【
図16】
図15におけるE-E線に沿った断面を模式的に示す模式断面図。
【
図17】本発明の第四の実施形態に係るペンツールスタンドを示す斜視図。
【
図18】同実施形態に係るペンツールスタンドの開き姿勢を示す斜視図。
【
図19】
図18におけるF-F線に沿った断面を模式的に示す模式断面図。
【
図20】本発明
に対応する参考例に係るペンツールスタンドを示す斜視図。
【
図21】同
参考例に係るペンツールスタンドの開き姿勢を示す斜視図。
【
図22】
図21におけるH-H線に沿った断面を模式的に示す模式断面図。
【
図23】本発明の
第五の実施形態に係るペンツールスタンドを示す斜視図。
【
図24】同実施形態に係るペンツールスタンドの開き姿勢を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第一の実施形態>
以下、本発明の第一の実施形態について、
図1~
図10を参照しつつ以下に述べる。
【0019】
この実施形態は、本発明をペンをはじめ種々の小物類を卓上に立てて使用するための容器の一種であるペンツールスタンドSに適用した場合のものである。
【0020】
前記ペンツールスタンドSは、ペンをはじめ種々の小物類を卓上に立てて使用するためのものであり、
図1~
図10に示すように、開口部1aを有する容器本体1と、この容器本体1に接続され前記開口部1aを開放する開き姿勢(O)から前記開口部1aを塞ぐ閉じ姿勢(C)までの間で開閉動作可能な蓋部2とを備え、
図7~
図10に示すように、前記蓋部2が前記開き姿勢(O)をとった状態で天板面等の載置面M上に自立させることができるものである。また、このペンツールスタンドSは、前記蓋部2を前記載置面Mに当接し且つ載置面Mに対して傾斜した姿勢で安定させる姿勢安定手段3を備えている。前記容器本体1の開口部1aは、
図8~
図10に示すように、上方に開放された上方開放部分1a1及び前方に解放された前方開放部分1a2を有したものである。前記蓋部2は、
図1、
図2及び
図6~
図10に示すように、基端2a側が前記容器本体1に接続部7を介して回動可能に接続され、その回動端2b側の領域2cをその内面が外を向くように反転させることができるようにしているとともに、回動端2b側に前記閉じ姿勢(C)において前記開口部1aの前記上方開放部分1a1を覆う頂壁33を有したものである。
【0021】
詳述すれば、前記容器本体1は、
図1及び
図4~
図10に示すように、ペンツールスタンドSの背面を構成する背壁11と、この背壁11の下縁から前方に延出し容器本体1の底部を構成する底壁13と、前記背壁11の左右両側縁から前方に延出する側壁15とを備えたもので、前記両側壁15は、前方への延出寸法が下端から上端に向かって漸次減少して最終的に略0となるような側面視略三角形状をなしている。前記背壁11は、例えば、
図6、
図9及び
図10に示すように、芯材17と、この芯材17の背面に添設され外面を形成する外装材19と、前記芯材17の前面に添設され内面を形成する内装材21とを具備したものである。前記両側壁15は、例えば、
図7に示すように、外面を形成する外装材27と内面を形成する内装材29とを有する。前記底壁13も、例えば、
図6、
図9及び
図10に示すように、外面13bを形成する外装材23と内面13cを形成する内装材25とを有するもので、前記外装材23の外面すなわち当該底壁13の外面13bには、
図5及び
図8~
図10に示すように、前記姿勢安定手段3を構成する滑り止め30が設けられている。この滑り止め30は、合成ゴム等の摩擦係数の大きな材料により作られた摩擦突起30aを多数点在させたものである。これら外装材19、23、27及び内装材21、25、29は、いずれも、布や樹脂シート等の可撓性を有するシート材により作られている。そして、この容器本体1の下部の前縁に設定した前記接続部7を介して、前記蓋部2をこの容器本体1に接続している。
【0022】
前記蓋部2は、
図6,
図9及び
図10に示すように、ペンツールスタンドSの前面を構成する前壁31と、この前壁31の上縁から後方に延出する頂壁33と、前記前壁31の左右両側縁から後方に延出する側壁35とを備えたもので、前記両側壁35は、後方への延出寸法が上端から下端に向かって漸次減少して最終的に略0となるような側面視略逆三角形状をなしている。また、この蓋部2は、
図1、
図2及び
図6~
図10に示すように、前記容器本体1に前記接続部7を介して回動可能に接続された第一の蓋要素2Aと、前記第一の蓋要素2Aに回動可能に接続された第二の蓋要素2Bとからなる。具体的には、前記前壁31は、例えば、
図6、
図9及び
図10に示すように、上下の芯材37、39と、これら両芯材37、39の前面に添設され外面31aを形成する外装材41と、前記両芯材37、39の後面に添設され内面31bを形成する内装材43とを具備したものである。前記上の芯材37と前記下の芯材39とは、前壁31の上下方向中間位置において離間しており、その離間部分において前記外装材41と前記内装材43とが縫合されている。そして、その縫合部分45よりも下側が第一の蓋要素2Aを構成するとともに、前記縫合部分45よりも上側が第二の蓋要素2Bを構成している。その上で、前記第二の蓋要素2Bが前記縫合部分45を境にして前記第一の蓋要素2Aに対して前方に回動し得るようになっている。前記頂壁33は、例えば、
図6、
図9及び
図10に示すように、芯材47と、芯材47の上面に添設され外面33aを形成する外装材49と、前記芯材47の下面に添設され内面33bを形成する内装材51とを具備したものである。前記両側壁35は、例えば、
図7に示すように、外面を形成する外装材53と内面を形成する内装材55とを有する。これら外装材41、49、53及び内装材43、51、55は、いずれも、布や樹脂シート等の可撓性を有するシート材により作られている。また、
図1~
図4及び
図6~
図10に示すように、前記頂壁33の上面すなわち外面33aには、帯状をなす変形可能な把手57が設けられている。一方、
図7、
図9及び
図10に示すように、この頂壁33の内面33bには、スマートフォン等の物品を載置した際の安定性を高めるための滑り止め部59を設けている。この滑り止め部59は、摩擦係数の大きなシート材を前記頂壁33の内面に貼り付けたり、多数の段部を有するシート材を貼り付けたりすることにより構成されたものである。また、
図6~
図8及び
図10に示すように、この蓋部2の上部内面側、より具体的には前記第二の蓋要素2Bにおける前壁31の内面31bに、前記閉じ姿勢(C)において対向する前記容器本体1の内面に接近するように突出する収納部61を設けている。この収納部61は、例えば網状部材により構成されたもので、その周縁には当該収納部61に対する物品の出し入れを可能にするための線ファスナ63が設けられている。さらに、この蓋部2の下部内面側、より具体的には前記第一の蓋要素2Aにおける前壁31の内面31bには、
図6及び
図10に示すように、ポケット65が設けられている。そして、この蓋部2の把手57の外面すなわち上面57aには、
図3、
図6及び
図8~
図10に示すように、前記姿勢安定手段3を構成する滑り止め67が設けられている。この滑り止め67も、合成ゴム等の摩擦係数の大きな材料により作られた摩擦突起67aを多数点在させたものである。しかして、姿勢安定手段3は、前記蓋部2に設けられた滑り止め67と、前記容器本体1に設けられた滑り止め30とによって構成されており、前記縫合部分45を境にして前記第二の蓋要素2Bを前記第一の蓋要素2Aに対して回動させることにより第一の蓋要素2Aと第二の蓋要素2Bとの開き角度を変更可能に設定できるようになっている。
【0023】
以上説明した蓋部2は、接続部7を介して前記容器本体1に回動可能に接続されている。すなわち、前記接続部7は、
図1及び
図6~
図10に示すように、前記容器本体1の下部に設定されており、前記蓋部2の基端2aを前記容器本体1の底壁13の前縁13aに回動可能に接続するものである。具体的には、この実施形態の接続部7は、
図6、
図9及び
図10に示すように、前記容器本体1の底壁13の外装材27及び内装材29の前縁部と前記蓋部2の外装材41、49、53及び内装材43、51、55の下縁部とを縫合部分69において縫合させたものである。なお、71は、前記縫合部分69を隠蔽するための隠蔽材である。
【0024】
そして、
図6~
図8及び
図10に示すように、前記容器本体1と前記蓋部2とがマチ4で接続されている。このマチ4は、前記接続部7の近傍において、前記容器本体1と前記蓋部2とを接離可能に接続するもので、可撓変形可能な布や樹脂シート等のシート材により作られている。より具体的には、前記マチ4は、前記容器本体1の側壁15の前縁と前記第一の蓋要素2Aの前壁31の側縁とを接続しているもので、前記第一の蓋要素2Aと前記容器本体1の背壁11とが平行な状態では緩んだ状態となり、前記第一の蓋要素2Aが前記容器本体1の背壁11に対して一定角度だけ前傾した状態で緊張状態となるものである。
図7~
図10は、マチ4が略緊張した状態を示している。マチ4の後縁は前縁よりも長尺に設定されており、緊張状態におけるマチの上縁は後方に向かって漸次高くなるように傾斜している。このマチ4の前縁は、蓋部2の前壁31を構成する外装材41及び内装材43の側縁部と縫合されており、その後縁は容器本体1の側壁15を構成する外装材23及び内装材25の前縁部と縫合されている。
【0025】
また、これら両マチ4の間には、
図6、
図7及び
図10に示すように、前記容器本体1の背壁11と前記蓋部2の前壁31とを接続する仕切り5が配されている。この仕切り5は、前記マチ4に準じた構成のもので、前記第一の蓋要素2Aと前記容器本体1の背壁11とが平行な状態では緩んだ状態となり、前記第一の蓋要素2Aが前記容器本体1の背壁11に対して一定角度だけ前傾した状態で緊張状態となる。この仕切り5は、前記容器本体1の下半部を2つの収納空間S1、S2に区画するためのものであり、この実施形態では、前記仕切り5と一方のマチ4との間に筆記具等の棒状物品Pを立てかけるための筆記具用の収納空間S1を形成するとともに、前記仕切り5と他方のマチ4との間に電卓、スティックのり、転写具等の小物類(収納物G)を収納するための小物類用の収納空間S2を形成している。
【0026】
そして、以上説明した前記容器本体1と前記蓋部2との間には、
図1、
図3~
図5及び
図7~
図8に示すように、線ファスナ6が設けられている。この線ファスナ6は、対をなすテープ6aの対向縁にそれぞれ設けられた対をなす務歯6bと、これら務歯6bを噛合状態又は開放状態にするためのスライダ6cとを備えたもので、一方の務歯6bを有するテープ6aは前記容器本体1における開口縁に止着されており、他方の務歯6bを有するテープ6aは前記蓋部2に止着されている。具体的に説明すれば、一方の務歯6bを有するテープ6aは、前記容器本体1の側壁15の前縁及び背壁11の上縁に縫合されており、他方の務歯6bを有するテープ6aは、前記蓋部2の側壁35の後縁及び頂壁33の後縁に縫合されている。なお、この線ファスナ6の両端部は、前記容器本体1の底面側に若干回り込ませて設けられている。
【0027】
なお、
図1は、本実施形態のペンツールスタンドSの閉じ姿勢(C)を示す斜視図、
図2は同正面図、
図3は同平面図、
図4は同側面図、
図5は同底面図である。
図6は、
図2におけるA-A線に沿った断面を模式的に示す模式断面図である。
図7は、本実施形態のペンツールスタンドSの開き姿勢(O)を示す斜視図、
図8は同側面図である。
図9は、
図7におけるB-B線に沿った断面を模式的に示す模式断面図であり、
図10は、
図7におけるC-C線に沿った断面を模式的に示す模式断面図である。この明細書においては、
図2に示す正面側すなわち前記蓋部2側を「前」と表現し、それを基準にして前後左右上下を記述しているが、これは説明の便宜上のものである。
【0028】
次いで、このペンツールスタンドSの使用態様について説明する。
【0029】
このペンツールスタンドSは、
図7~
図10に示すように、前記蓋部2が前記開き姿勢(O)をとった状態で天板面等の載置面M上に自立させて使用することができる。すなわち、この実施形態においては、前記線ファスナ6を開放状態にして蓋部2を前方に回動させ、さらに第二の蓋要素2Bを第一の蓋要素2Aに対して屈曲するように回動させることにより、容器本体1の開口部1aを全面的に解放することができる。この開き姿勢(O)においては、
図8~
図10に示すように、前記容器本体1の底壁13の外面13bに設けられた滑り止め30が前記載置面Mに当接するとともに、前記蓋部2の回動端2b側に設けられた滑り止め67すなわち前記把手57に設けられた滑り止め67が前記載置面Mに当接し、その開き姿勢(O)が維持される。この開き姿勢(O)においては、蓋部2の回動端2b側の領域2cすなわち第二の蓋要素2Bの内面、換言すれば前記前壁31の下部の内面31bが外を向くように反転しているので、その第二の蓋要素2Bの内面にスマートフォン等の物品SPを起立姿勢で立てかけておくことができる。その際、蓋部2の頂壁33の内面には前記滑り止め部59が設けられているので、立てかけた物品SPが転倒することを抑制することができる。また、前記第二の蓋要素2Bの内面すなわち前記前壁31の下部の内面31bに設けられた収納部61が前面に露出することになるため、その収納部61に対して図示しない印鑑その他の小型物品を自由に出し入れすることができる。さらに、この開き姿勢(O)においては、容器本体1の筆記具用の収納空間S1及び小物類用の収納空間S2が上方及び前方に解放されることになる。そのため、筆記具用収納空間S1に対して筆記具等の棒状物品Pを立てかけたり取り出したりすることが自由となる。また、小物類用の収納空間S2に対しては、電卓等の収納物Gを収納したり取り出したりすることができる。
【0030】
前記蓋部2を以上説明した開き姿勢(O)から閉じ姿勢(C)に戻して線ファスナ6を閉じると、
図1~
図6に示すように、当該ペンツールスタンドSが小型のかばん状に変形することになる。そのため、前記筆記具用の収納空間S1や小物類用の収納空間S2に収納した筆記具その他の物品P、Gを内部に収めたままで持ち運ぶことができる。この閉じ姿勢(C)においては、
図6に示すように、前記蓋部2に設けられた収納部61が対向する前記容器本体1の内面すなわち前記背壁11の内面11aに接近しているので、この小物類用の収納空間S2に収納した収納物Gを背の低いものにしておきさえすれば、当該収納物Gと前記収納部61との干渉を防止することができ、内部空間を有効に利用することが可能になる。
【0031】
このような構成のものであれば、姿勢安定手段3により、蓋部2を開き姿勢(O)にした状態で、蓋部2を前記載置面Mに当接し且つ載置面Mに対して傾斜した姿勢で安定させて自立させておくことができるので、蓋部2の内面側にスマートフォン等の物品SPを立てかけておくことができる。特に、物品SPがスマートフォン等、一表面に表示部を有するものであれば、前記蓋部2の内面側に前記物品SPを立てかけた状態で前記表示部を見やすくすることができる。すなわち、従来の構成の容器と比較して、蓋部2をより広い用途に使用できる。
【0032】
さらに、本実施形態では、前記容器本体1の上縁に上壁が設けられておらず、前記容器本体1の開口部1aの上方開放部分1a1は当該容器本体1の背壁11に達しているので、前記上方開放部分1a1の奥行き寸法を最大限に確保し、前記収納空間S1、S2に対して物品P、Gを容易に出し入れすることができる。
【0033】
また、前記蓋部2が、前記容器本体1に前記接続部7を介して回動可能に接続された第一の蓋要素2Aと、前記第一の蓋要素2Aに回動可能に接続された第二の蓋要素2Bとからなるので、前記蓋体2を開き姿勢(O)とした際の前記容器本体1の開口部1aの開口幅を大きく設定することができる。
【0034】
前記姿勢安定手段3が、前記容器本体1の底部に設けた滑り止め30と前記蓋部2に設けた滑り止め67とを備えたものであるので、簡易な構成により前述したような開き姿勢(O)を安定して維持させることができる。
【0035】
さらに、このような姿勢安定手段3であれば、第一の蓋要素2Aと第二の蓋要素2Bとの開き角度を変更可能に設定できるので、使用者の好みに合わせて蓋部2の内面すなわち前記前壁31の内面31bの傾斜角度を調整することができる。
【0036】
その上、前記蓋部2の頂壁33の内面33bに滑り止め部59を設けているので、前記蓋部2の内面に立てかけた物品SPがずり落ちることを抑制し、当該物品SPを前記蓋部2の内面すなわち頂壁33の内面33bに安定して保持させておくことができる。
【0037】
そして、前記蓋部2の上部内面側に、前記閉じ姿勢(C)において対向する前記容器本体1の内面に接近するように突出する収納部61を設けているので、前記小物類用の収納空間S2に収納した物品を背の低いものにしておきさえすれば、当該物品と前記収納部61との干渉を防止することができ、内部空間を有効に利用することが可能になるとともに、持ち運びの際に収納空間S2に収納した物品の移動をせき止めることができる。
【0038】
加えて、この実施形態においては、線ファスナ6の両端部を前記容器本体1の底面側に若干回り込ませて設けていることにより、前記開き姿勢(O)において開口部1aをより大きく確保できる。但し、線ファスナ6の両端部を前記容器本体1の側壁15及び前記蓋部2の側壁35における下端近傍に設定し、線ファスナ6が前記容器本体1の底面側には達していない構成を採用してもかまわない。
【0039】
<第二の実施形態>
次いで、本発明の第二の実施形態について、
図11~
図13を参照しつつ以下に述べる。この第二の実施形態における容器であるペンツールスタンドSBは、第一の実施形態のペンツールスタンドSに準じた構成をなすものであり、第一の実施形態のものと同一又は相当する部分には同一の名称及び符号を付して説明を省略する。
【0040】
このペンツールスタンドSBが、前述した第一の実施形態におけるペンツールスタンドSと異なっている点は、以下の通りである。まず、この実施形態におけるペンツールスタンドSBの姿勢安定手段B3は、第一の蓋要素2Aと第二の蓋要素2Bとの開き角度を拘束する拘束具たるホック81を備えたものである。このホック81は、第一の蓋要素2A側に設けられた雄部材83と、第二の蓋要素2B側に設けられた雌部材85とからなるもので、これら雄部材83と雌部材85とを係り合わせることにより、このペンツールスタンドSBを開き姿勢(O)に維持し、蓋部2を載置面Mに当接し且つ載置面Mに対して傾斜した姿勢で安定させることができる。この実施形態においては、前記ホック81を掛けた状態でも蓋部2の内面が傾斜状態を維持することができるようにするために、少なくとも第一の蓋要素2A内の芯材は省略してある。
【0041】
このような構成のものであれば、第一の実施形態のように傾斜角度を調整する機能は損なわれるが、簡易な構成により、開き姿勢(O)を安定保持させることができるという効果が得られる。換言すれば、前記ホック81を掛けて開き姿勢(O)とした状態で、第一の蓋要素2Aの載置面Mに対する角度をより確実に一定に保つことができるという効果が得られる。
【0042】
なお、
図11は、本実施形態のペンツールスタンドSBの閉じ姿勢(C)を示す斜視図であり、
図12は、同開き姿勢(O)を示す斜視図である。そして、
図13は、
図12におけるD-D線に沿った断面を模式的に示す模式断面図である。前記
図13においては、容器本体1の背壁11及び底壁13、並びに蓋部2の前壁31及び頂壁33は内部構造を省略して示している。
【0043】
また、以上に述べた第一及び第二の実施形態では、蓋部が、容器本体に回動可能に接続された第一の蓋要素と、この第一の蓋要素に回動可能に接続され回動端側の領域を構成する第二の蓋要素とからなる構成を採用しているが、3以上の蓋要素を備え、互いに隣接する蓋要素同士が互いに回動可能である構成を採用してももちろんよい。
【0044】
<第三の実施形態>
次いで、本発明の第三の実施形態について、
図14~
図16を参照しつつ以下に述べる。この第三の実施形態における容器であるペンツールスタンドSCは、開口部1aを有する容器本体1と、この容器本体1に接続され前記開口部1aを開放する開き姿勢(O)から前記開口部1aを塞ぐ閉じ姿勢(C)までの間で開閉動作可能な蓋部2とを備え、
図15及び
図16に示すように、前記蓋部2が前記開き姿勢(O)をとった状態で天板面等の載置面M上に自立させることができるものである。また、このペンツールスタンドSCは、前記蓋部2を前記載置面Mに当接し且つ載置面Mに対して傾斜した姿勢で安定させる姿勢安定手段C3を備えている。前記容器本体1の開口部1aは、
図15及び
図16に示すように、上方に開放された上方開放部分1a1及び前方に解放された前方開放部分1a2を有したものである。前記蓋部2は、
図14~
図16に示すように、基端2a側が前記容器本体1に接続部7を介して回動可能に接続され、その回動端2b側の領域2cをその内面が外を向くように反転させることができるようにしているとともに、回動端2b側に前記閉じ姿勢(C)において前記開口部1aの前記上方開放部分1a1を覆う頂壁33を有したものである。
【0045】
詳述すれば、前記容器本体1は、
図14~
図16に示すように、ペンツールスタンドSCの背面を構成する背壁11と、この背壁11の下縁から前方に延出し容器本体1の底部を構成する底壁13と、前記背壁11の左右両側縁から前方に延出する側壁15と、前記底壁13の前縁から起立する前壁16とを備えたもので、前記両側壁15は、略矩形状をなしている。また、前記前壁16の高さ寸法は、前記背壁11の高さ寸法よりも小さく、その上縁に接続部7が設定されている。この容器本体1の底部は、水平な載置面M上に鉛直姿勢で自立させることが可能な形態をなしている。
【0046】
前記蓋部2は、
図14~
図16に示すように、ペンツールスタンドSCの前面を構成する前壁31と、この前壁31の上縁から後方に延出する頂壁33と、前記頂壁33の後縁から垂下する折り返し壁34とを備えたものである。本実施形態でも、前記頂壁33の内面33bには、スマートフォン等の物品を載置した際の安定性を高めるための滑り止め部59を設けているが、本実施形態の滑り止め部59は、前記頂壁33の内面33bから突設させた突条を利用して形成している。
【0047】
以上説明した蓋部2は、接続部7を介して前記容器本体1に回動可能に接続されている。すなわち、前記接続部7は、
図14~
図16に示すように、前記容器本体1の前壁16の上縁部に設定されており、前記蓋部2の基端2aを前記容器本体1の前壁16の上縁16aに回動可能に接続するものである。
【0048】
また、これら容器本体1と蓋体2との間には、ペンツールスタンドSCを
図14に示す閉じ姿勢(C)に保持しておくための第1及び第2のホック91、93が設けられている。前記第1のホック91は、前記容器本体1の側壁15の上部の前縁から内方に突設させた舌片92に設けた雄部材91aと、前記蓋体2の前壁31に設けた雌部材91bとからなる。前記第2のホック93は、前記容器本体1の背壁11の背面の上部に設けた雄部材93aと、前記蓋部2の折り返し壁34に設けた雌部材93bとからなる。そして、前記第1のホック91の雄部材91aと雌部材91bとを係り合わせるとともに、前記第2のホックの雄部材93aと雌部材93bとを係り合わせることにより、このペンツールスタンドSCを閉じ姿勢(C)に維持できるようにしている。
【0049】
そして、この実施形態の前記姿勢安定手段C3は、前述したように容器本体1を載置面M状に鉛直姿勢で起立させることができるようにするとともに、開き姿勢(O)における当該ペンツールスタンドSCの重心Jが前記容器本体1の奥行き寸法内に収まるように設定したものである。すなわち、このペンツールスタンドSCの重心Jは、容器本体1の前面から背面までの間の領域R内に位置するように設定されている。換言すれば、開き姿勢(O)では、前記蓋部2が前記載置面Mに対して傾斜した状態で当接し、前記容器本体1に収納物が収納された状態で当該容器本体1の姿勢が変化することなく、前記載置面M上に安定して起立しうるように構成されている。なお、本実施形態では、前記開き姿勢(O)において、蓋体2の全体が載置面Mに対して傾斜した姿勢で当該載置面Mに当接している。
【0050】
以上の説明において、第一の実施形態のものと同一又は相当する部分には同一の名称及び符号を付している。
【0051】
このような構成のものであれば、特殊な部材を用いることなく、閉じ姿勢(C)においても開き姿勢(O)においても容器本体1を起立姿勢で自立させておくことができる。そして、開き姿勢(O)においては、蓋部2の内面が載置面Mに対して傾斜した状態となるので、前述した第一及び第二の実施形態と同様な態様で使用することができる。
【0052】
なお、
図14は、本実施形態のペンツールスタンドSCの閉じ姿勢(C)を示す斜視図であり、
図15は、同開き姿勢(O)を示す斜視図である。そして、
図16は、
図15におけるE-E線に沿った断面を模式的に示す模式断面図である。前記
図16においては、容器本体1の背壁11、底壁13及び前壁16、並びに蓋部2の前壁31、頂壁33及び折り返し壁34は内部構造を省略して示している。
【0053】
<第四の実施形態>
次いで、本発明の第四の実施形態について、
図17~
図19を参照しつつ以下に述べる。この第四の実施形態における容器であるペンツールスタンドSDは、開口部1aを有する容器本体1と、この容器本体1に接続され前記開口部1aを開放する開き姿勢(O)から前記開口部1aを塞ぐ閉じ姿勢(C)までの間で開閉動作可能な蓋部2とを備え、
図17及び
図18に示すように、前記蓋部2が前記開き姿勢(O)をとった状態で天板面等の載置面M上に自立させることができるものである。また、このペンツールスタンドSDは、前記蓋部2を前記載置面Mに当接し且つ載置面Mに対して傾斜した姿勢で安定させる姿勢安定手段D3を備えている。前記容器本体1の開口部1aは、
図18及び
図19に示すように、上方に開放された上方開放部分1a1及び前方に解放された前方開放部分1a2を有したものである。前記蓋部2は、
図17~
図19に示すように、基端2a側が前記容器本体1に接続部7を介して回動可能に接続され、その回動端2b側の領域2cをその内面が外を向くように反転させることができるようにしているとともに、回動端2b側に前記閉じ姿勢(C)において前記開口部1aの前記上方開放部分1a1を覆う頂壁33を有したものである。
【0054】
詳述すれば、前記容器本体1は、
図17~
図19に示すように、ペンツールスタンドSDの背面を構成する背壁11と、この背壁11の下縁から前方に延出し容器本体1の底部を構成する底壁13と、前記背壁11の左右両側縁から前方に延出する側壁15と、前記底壁13の前縁から起立する前壁16とを備えたものである。前記両側壁15の下半部は前方への延出寸法が略一定であり、その上半部は、前方への延出寸法が下端から上端に向かって漸次減少して最終的に略0となるような形状をなしている。また、前記前壁16の高さ寸法は、前記背壁11の高さ寸法よりも小さく、その上縁16aに接続部7が設定されている。この容器本体1の底部は、水平な載置面M上に鉛直姿勢で自立させることが可能な形態をなしている。
【0055】
前記蓋部2は、
図17~
図19に示すように、ペンツールスタンドSDの前面を構成する前壁31と、この前壁31の上縁から後方に延出する頂壁33と、前記前壁31の左右両側縁から後方に延出する側壁35とを備えたもので、前記両側壁35は、後方への延出寸法が上端から下端に向かって漸次減少して最終的に略0となるような側面視略逆三角形状をなしている。
【0056】
以上説明した蓋部2は、接続部7を介して前記容器本体1に回動可能に接続されている。すなわち、前記接続部7は、
図17~
図19に示すように、前記容器本体1の前壁16の上縁部に設定されており、前記蓋部2の基端2aを前記容器本体1の前壁16の上縁16aに回動可能に接続するものである。
【0057】
また、これら容器本体1と蓋体2との間には、ペンツールスタンドSCを
図17に示す閉じ姿勢(C)に保持しておくための止め具99が設けられている。この止め具99は、前記容器本体1の背壁11の上部に埋設した第1のマグネット99aと、前記蓋体2の後縁部から垂下させた舌片99cに埋設した第2のマグネット99bとからなる。そして、これら第1及び第2のマグネット99a、99bを互いに吸着させることにより、このペンツールスタンドSDを閉じ姿勢(C)に維持できるようにしている。
【0058】
そして、この実施形態の前記姿勢安定手段D3は、前述したように容器本体1を載置面M状に鉛直姿勢で起立させることができるようにするとともに、開き姿勢(O)における当該ペンツールスタンドSDの重心Jが前記容器本体1の奥行き寸法内に収まるように設定したものである。すなわち、このペンツールスタンドSDの重心Jは、容器本体1の前面から背面までの間の領域R内に位置するように設定されている。換言すれば、開き姿勢(O)では、前記蓋部2が前記載置面Mに対して傾斜した状態で当接し、前記容器本体1に収納物が収納された状態で当該容器本体1の姿勢が変化することなく、前記載置面M上に安定して起立しうるように構成されている。なお、本実施形態では、前記開き姿勢(O)において、蓋体2の全体が載置面Mに対して傾斜した姿勢で当該載置面Mに当接している。
【0059】
以上の説明において、第一の実施形態のものと同一又は相当する部分には同一の名称及び符号を付している。
【0060】
このような構成のものであれば、閉じ姿勢(C)においても開き姿勢(O)においても容器本体1を起立姿勢で自立させておくことができるという効果が簡単な構成により得られる。そして、開き姿勢(O)においては、蓋部2の内面が載置面Mに対して傾斜した状態となるので、前述した第一ないし第三の実施形態と同様な態様で使用することができる。
【0061】
なお、
図17は、本実施形態のペンツールスタンドSDの閉じ姿勢(C)を示す斜視図であり、
図18は、同開き姿勢(O)を示す斜視図である。そして、
図19は、
図18におけるF-F線に沿った断面を模式的に示す模式断面図である。前記
図19においては、容器本体1の背壁11、底壁13及び前壁16、並びに蓋部2の前壁31及び頂壁33は内部構造を省略して示しているとともに、収納部61も省略して示している。
【0062】
<
本発明に対応する参考例>
次いで、本発明
に対応する参考例について、
図20~
図22を参照しつつ以下に述べる。この
参考例における容器であるペンツールスタンドSEは、第一の実施形態のペンツールスタンドSに準じた構成をなすものであり、第一の実施形態のものと同一又は相当する部分には同一の名称及び符号を付して説明を省略する。
【0063】
このペンツールスタンドSEが、前述した第一の実施形態におけるペンツールスタンドSと異なっている点は、以下の通りである。まず、この参考例におけるペンツールスタンドSEは、前述した姿勢安定手段3を設ける代わりに、開き姿勢(O)で、蓋部2が載置面Mに対して傾斜した状態で当接し、容器本体1に収納物P、Gが収納された状態で当該容器本体1が前記載置面M上に安定して起立しうるように構成されている。すなわち、前記姿勢安定手段3である容器本体1の底壁13の滑り止め30及び把手57の滑り止め67を省略し、以下のように構成している。
【0064】
前記容器本体1は、
図20~
図22に示すように、ペンツールスタンドSEの背面を構成する背壁11と、この背壁11の下縁から前方に延出し容器本体1の底部を構成する底壁13と、前記背壁11の左右両側縁から前方に延出する側壁15とを備えたものである。前記背壁11の内面11aにおける第2の収納空間S2側には第1のポケット部材101が設けられているとともに、この第1のポケット部材101の前方にはさらに第2のポケット部材103が設けられおり、前記背壁11と前記第1のポケット部材101との間の空間、及び前記第1のポケット部材101と前記第2のポケット部材103との間の空間に付箋や薄型の電卓といった収納物Gをそれぞれ収納可能となっている。そして、
図22に示すように、この容器本体1の底壁13の周縁部13sには縁部材105が巻き回されて前記背壁11、前記側壁15及び蓋部2の前壁31と縫着されており、該周壁13の他の部位よりも下方に突出している。すなわち、底壁13の周縁部13sをこのように構成することにより容器本体1が載置面M上に起立しやすくなっている。なお、前記蓋部2の前壁31の内面31bのポケットは省略されている。
【0065】
また、前記容器本体1と前記蓋部2との間に設けられている線ファスナ6の両端6xは、前記容器本体1の側壁15及び前記蓋部2の側壁35における下端近傍に設定されており、前記容器本体1の底面側には達していない。
【0066】
そして、容器本体1の収納空間S1、S2に物品P、Gを収納して開き姿勢(O)とした状態でペンツールスタンドSEの重心が容器本体1の奥行き寸法内となるように前記容器本体1の形態を設定している。
【0067】
このような構成のものであれば、第一の実施形態のように傾斜角度を調整する機能は損なわれるが、簡易な構成により、また、特殊な部材を用いることなく、開き姿勢(O)に安定保持させることができるという効果が得られる。換言すれば、容器本体1の収納空間S1、S2に物品P、Gを収納して開き姿勢(O)とした状態で、容器本体1を載置面M上に起立させつつこのペンツールスタンドSEを安定して載置面Mに載置させておくことができる。
【0068】
なお、
図20は、本
参考例のペンツールスタンドSEの閉じ姿勢(C)を示す斜視図であり、
図21は、同開き姿勢(O)を示す斜視図である。そして、
図22は、
図21におけるH-H線に沿った断面を模式的に示す模式断面図である。
【0069】
また、この参考例においても、開き姿勢(O)において開口部1aをより大きく確保すべく、線ファスナ6の両端部を前記容器本体1の底面側に若干回り込ませて設けるようにしてもよい。
【0070】
<第
五の実施形態>
次いで、本発明の第
五の実施形態について、
図23~
図24を参照しつつ以下に述べる。この第
五の実施形態における容器であるペンツールスタンドSFは、第一の実施形態のペンツールスタンドS、及び
前述した参考例のペンツールスタンドSEに準じた構成をなすものであり、第一の実施形態のものと同一又は相当する部分には同一の名称及び符号を付して説明を省略する。
【0071】
本実施形態のペンツールスタンドSFは、前述した参考例におけるペンツールスタンドSEと以下の点を除いてほぼ同様の構成を有する。
【0072】
このペンツールスタンドSFでは、仕切り5及び収納部61を前述したペンツールスタンドSEにおけるものと左右逆に配置している。
【0073】
また、このペンツールスタンドSFは、次に示すような姿勢安定手段F3を備えている。姿勢安定手段F3は、
図24に示すように、第一の蓋要素2Aと第二の蓋要素2Bとの開き角度を拘束する拘束具たるホックF81及びバンドF87を備えたものである。前記バンドF87は、一端部を第一の蓋要素2Aに縫い込んである。一方、前記ホックF81は、第一の蓋要素2A側に設けられた雌部材F85と、第二の蓋要素2B側に設けられた開き姿勢用雄部材F83とからなる。前記雌部材F85は、前記バンドF87の他端部に設けられている。一方、前記開き姿勢用雄部材F83は、第二の蓋要素2Bの上端近傍、より具体的には蓋部2の側壁35の上端近傍に設けており、前記雌部材F85をこの開き姿勢用雄部材F83に係り合わせることにより、このペンツールスタンドSFを開き姿勢(O)に維持し、蓋部2を載置面Mに当接し且つ載置面Mに対して傾斜した姿勢で安定させることができるようにしている。なお、第一の蓋要素2Aの下部には、図示しない閉じ姿勢用雄部材を設けてある。
図23に示すように、閉じ姿勢(C)において、この閉じ姿勢用雄部材F83に前記雌部材F85を係り合わせることにより前記バンドF87を蓋部2に安定して保持させておくことができるようにしてある。また、この姿勢安定手段F3は必要に応じて用いることができる。すなわち、ペンツールスタンドSFが開き姿勢(O)である場合でも、容器本体1が安定して起立している等の理由により第二の蓋要素2Bの傾斜角度を固定するための特別な操作が不要であると判断される場合には、前記ホックF81の雌部材F85を開き姿勢用雄部材F83に係り合わせないままにしておいてもよい。
【0074】
このような構成のものであれば、第一の実施形態のように傾斜角度を調整する機能は損なわれるが、簡易な構成により、開き姿勢(O)に安定保持させることができるという効果が得られる。換言すれば、前記ホックF81を掛けて開き姿勢(O)とした状態で、第一の蓋要素2Aの載置面Mに対する角度をより確実に一定に保つことができるという効果が得られる。
【0075】
なお、
図23は、本実施形態のペンツールスタンドSFの閉じ姿勢(C)を示す斜視図であり、
図24は、同開き姿勢(O)を示す斜視図である。
【0076】
また、この実施形態においても、開き姿勢(O)において開口部1aをより大きく確保すべく、線ファスナ6の両端部を前記容器本体1の底面側に若干回り込ませて設けるようにしてもよい。
【0077】
そして、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0078】
例えば、上述した各実施形態では、ペンツールスタンドについて説明したが、ペンツールスタンド以外の容器、例えば化粧用具を収納する容器等に本発明を適用してももちろんよい。
【0079】
また、上述した各実施形態では、容器本体の上縁に上壁が設けられていない態様について説明したが、容器本体の上縁に奥行き寸法が蓋部の頂壁よりも小さな上壁が設けられている構成を採用してももちろんよい。
【0080】
さらに、上述した各実施形態では、容器本体の開口部が、上方に開放された上方開放部分と前方に解放された前方開放部分とを有しているが、本発明は必ずしもこのようなものに限られないのはもちろんである。すなわち、容器本体の開口部が前記上方開放部分及び前記前方開放部分に加え、側方に解放された側方開放部分を有する態様を採用する等、種々変形が可能である。
【0081】
加えて、上述した各実施形態では、収納物がこぼれ出るのを防止しつつ大きな開口面積を確保するために、蓋部の回動を一定範囲で許容するマチを備えているが、本発明は必ずしもこのようなマチを有するものに限られず、マチを省略する構成を採用してもちろんよい。
【0082】
その上、上述した各実施形態では、蓋部の内面に立てかけた物品がずり落ちることを抑制し、当該物品を前記蓋部の内面に安定して保持させておくようにすべく、蓋部の頂壁内面に滑り止め部を設けているが、本発明は必ずしもこのような滑り止め部を有するものに限られず、滑り止め部を省略する構成を採用してももちろんよい。また、滑り止め部も、摩擦の大きなシート状のものに限らず、段部を有したもの等、種々の態様が考えられる。
【0083】
そして、上述した各実施形態では、蓋部の上部内面側に収納部を設けているが、この収納部の厚み寸法は任意のものを採用してもよい。すなわち、薄いポケット状の収納部を設ける態様や、逆に閉じ姿勢において収納部が対向する前記容器本体の内面に完全に達している態様を採用してももちろんよい。一方、蓋部の上部内面側の収納部を完全に省略する態様を採用してももちろんよい。
【0084】
加えて、開き姿勢において容器本体に収納物が収納された状態で当該容器本体が載置面上に安定して起立しうるように構成されている容器であっても、蓋部を前記載置面に当接し且つ載置面に対して傾斜した姿勢で安定させる姿勢安定手段を別途設けてももちろんよい。
【0085】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0086】
S、SB~SF…容器(ペンツールスタンド)
1…容器本体
1a…開口部
1a1…上方開放部分
2…蓋部
2a…(蓋部の)基端
2b…(蓋部の)回動端
2A…第一の蓋要素
2B…第二の蓋要素
3、B3~D3、F3…姿勢安定手段
30、67…滑り止め
33…頂壁
59…滑り止め部
61…収納部
81、F81…拘束具(ホック)