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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電子機器、入力支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/02 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
G06F15/02 330A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022179936
(22)【出願日】2022-11-10
(62)【分割の表示】P 2020156506の分割
【原出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2023001311
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 博明
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特許第6593505(JP,B1)
【文献】特開2018-049379(JP,A)
【文献】特開2020-057263(JP,A)
【文献】特開2005-083903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の手順での操作に応答して、所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値を前記所定の手順での操作の開始に先立って入力された第2の値に更新登録する更新手段と、
前記第2の値の入力に伴って開始された前記第2の値の表示部への表示が、前記所定の手順での操作を満たすと判定されるまでの間の少なくとも一部の期間において消えるように、且つ、前記所定の手順での操作を満たすと判定された後に再開されるように、前記第2の値の表示を制御する表示制御手段と、
を備える電子機器。
【請求項2】
所定の操作ボタンが第1の時間以上継続して押し込み続けられる長押し操作に応答して、前記所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値を前記長押し操作に先立って入力された第2の値に更新登録する更新手段と、
前記第2の値の入力に伴って開始された前記第2の値の表示部への表示が、前記所定の操作ボタンに対する押し込みの開始が検出されてから前記所定の操作ボタンに対する操作が前記長押し操作と判定されるまでの間の少なくとも一部の期間において消えるように、且つ、前記所定の操作ボタンに対する操作が前記長押し操作と判定された後に再開されるように、前記第2の値の表示を制御する表示制御手段と、
を備える電子機器。
【請求項3】
前記更新手段は、前記第2の値を前記所定の操作ボタンに対応付けて更新登録する場合には、前記第2の値を百分率での値として更新登録する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記更新手段は、前記第2の値を前記所定の操作ボタンに対応付けて更新登録する場合には、前記第2の値を消費税率として更新登録する、
請求項2又は3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記所定の操作ボタンへの押し込みが前記第1の時間未満で解除された場合に、前記所定の操作ボタンへの押し込みに先立って入力された第2の値を税抜き価格とすることにより、前記第2の値と前記所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値としての消費税率とに基づいて、税込み価格を導出する導出手段を備える、
請求項2乃至4の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記所定の操作ボタンへの押し込みが前記第1の時間未満で解除された場合に、前記所定の操作ボタンへの押し込みに先立って入力された第2の値を税込み価格とすることにより、前記第2の値と前記所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値としての消費税率とに基づいて、税抜き価格を導出する導出手段を備える、
請求項2乃至4の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
電子機器が実行する入力支援方法であって、
所定の手順での操作に応答して、所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値を前記所定の手順での操作の開始に先立って入力された第2の値に更新登録する更新処理と、
前記第2の値の入力に伴って開始された前記第2の値の表示部への表示が、前記所定の手順での操作を満たすと判定されるまでの間の少なくとも一部の期間において消えるように、且つ、前記所定の手順での操作を満たすと判定された後に再開されるように、前記第2の値の表示を制御する表示制御処理と、
を含む入力支援方法。
【請求項8】
電子機器が実行する入力支援方法であって、
所定の操作ボタンが第1の時間以上継続して押し込み続けられる長押し操作に応答して、前記所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値を前記長押し操作に先立って入力された第2の値に更新登録する更新処理と、
前記第2の値の入力に伴って開始された前記第2の値の表示部への表示が、前記所定の操作ボタンに対する押し込みの開始が検出されてから前記所定の操作ボタンに対する操作が前記長押し操作と判定されるまでの間の少なくとも一部の期間において消えるように、且つ、前記所定の操作ボタンに対する操作が前記長押し操作と判定された後に再開されるように、前記第2の値の表示を制御する表示制御処理と、
を含む入力支援方法。
【請求項9】
コンピュータを、
所定の手順での操作に応答して、所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値を前記所定の手順での操作の開始に先立って入力された第2の値に更新登録する更新手段、
前記第2の値の入力に伴って開始された前記第2の値の表示部への表示が、前記所定の手順での操作を満たすと判定されるまでの間の少なくとも一部の期間において消えるように、且つ、前記所定の手順での操作を満たすと判定された後に再開されるように、前記第2の値の表示を制御する表示制御手段、
として機能させるプログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
所定の操作ボタンが第1の時間以上継続して押し込み続けられる長押し操作に応答して、前記所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値を前記長押し操作に先立って入力された第2の値に更新登録する更新手段、
前記第2の値の入力に伴って開始された前記第2の値の表示部への表示が、前記所定の操作ボタンに対する押し込みの開始が検出されてから前記所定の操作ボタンに対する操作が前記長押し操作と判定されるまでの間の少なくとも一部の期間において消えるように、且つ、前記所定の操作ボタンに対する操作が前記長押し操作と判定された後に再開されるように、前記第2の値の表示を制御する表示制御手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、入力支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
卓上計算機等の計算機には、予め設定された特定の数値を用いて特定の計算を実施する機能を有しているものがある。このような機能は、例えば消費税の計算機能を含む。消費税の計算では、計算が実行されると、予め設定されている消費税率が呼び出され、入力された金額に対する税込価格又は税抜価格が計算される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-109721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
消費税の計算等の特定の計算に用いられる消費税率等は、法律の改正等によって変更され得る。このため、特定の計算に用いられる特定の数値は、適宜に変更できることが望ましい。また、このような変更は、より簡易な操作によって行われることが望まれている。
【0005】
本発明は、簡易な操作によって特定の計算に用いられる特定の数値を変更することが可能な電子機器、入力支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の態様の電子機器は、所定の手順での操作に応答して、所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値を前記所定の手順での操作の開始に先立って入力された第2の値に更新登録する更新手段と、前記第2の値の入力に伴って開始された前記第2の値の表示部への表示が、前記所定の手順での操作を満たすと判定されるまでの間の少なくとも一部の期間において消えるように、且つ、前記所定の手順での操作を満たすと判定された後に再開されるように、前記第2の値の表示を制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る第2の態様の電子機器は、所定の操作ボタンが第1の時間以上継続して押し込み続けられる長押し操作に応答して、前記所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値を前記長押し操作に先立って入力された第2の値に更新登録する更新手段と、前記第2の値の入力に伴って開始された前記第2の値の表示部への表示が、前記所定の操作ボタンに対する押し込みの開始が検出されてから前記所定の操作ボタンに対する操作が前記長押し操作と判定されるまでの間の少なくとも一部の期間において消えるように、且つ、前記所定の操作ボタンに対する操作が前記長押し操作と判定された後に再開されるように、前記第2の値の表示を制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る第1の態様の入力支援方法は、電子機器が実行する入力支援方法であって、所定の手順での操作に応答して、所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値を前記所定の手順での操作の開始に先立って入力された第2の値に更新登録する更新処理と、前記第2の値の入力に伴って開始された前記第2の値の表示部への表示が、前記所定の手順での操作を満たすと判定されるまでの間の少なくとも一部の期間において消えるように、且つ、前記所定の手順での操作を満たすと判定された後に再開されるように、前記第2の値の表示を制御する表示制御処理と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る第2の態様の入力支援方法は、電子機器が実行する入力支援方法であって、所定の操作ボタンが第1の時間以上継続して押し込み続けられる長押し操作に応答して、前記所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値を前記長押し操作に先立って入力された第2の値に更新登録する更新処理と、前記第2の値の入力に伴って開始された前記第2の値の表示部への表示が、前記所定の操作ボタンに対する押し込みの開始が検出されてから前記所定の操作ボタンに対する操作が前記長押し操作と判定されるまでの間の少なくとも一部の期間において消えるように、且つ、前記所定の操作ボタンに対する操作が前記長押し操作と判定された後に再開されるように、前記第2の値の表示を制御する表示制御処理と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る第1の態様のプログラムは、コンピュータを、所定の手順での操作に応答して、所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値を前記所定の手順での操作の開始に先立って入力された第2の値に更新登録する更新手段、前記第2の値の入力に伴って開始された前記第2の値の表示部への表示が、前記所定の手順での操作を満たすと判定されるまでの間の少なくとも一部の期間において消えるように、且つ、前記所定の手順での操作を満たすと判定された後に再開されるように、前記第2の値の表示を制御する表示制御手段、として機能させることを特徴とする。
本発明に係る第2の態様のプログラムは、コンピュータを、所定の操作ボタンが第1の時間以上継続して押し込み続けられる長押し操作に応答して、前記所定の操作ボタンに対応付けて予め登録されている第1の値を前記長押し操作に先立って入力された第2の値に更新登録する更新手段、前記第2の値の入力に伴って開始された前記第2の値の表示部への表示が、前記所定の操作ボタンに対する押し込みの開始が検出されてから前記所定の操作ボタンに対する操作が前記長押し操作と判定されるまでの間の少なくとも一部の期間において消えるように、且つ、前記所定の操作ボタンに対する操作が前記長押し操作と判定された後に再開されるように、前記第2の値の表示を制御する表示制御手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な操作によって特定の計算に用いられる特定の数値を変更することが可能な電子機器、入力支援方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、各実施形態に係る計算機の構成の一例を示す図である。
図2図2は、計算機の外観正面図である。
図3図3は、第1の実施形態の計算機の税計算の処理を示すフローチャートである。
図4図4は、第1の実施形態における税率の設定時のディスプレイの表示について示した図である。
図5図5は、第1の実施形態における税計算の実施時のディスプレイの表示について示した図である。
図6図6は、第2の実施形態の計算機の税計算の処理を示すフローチャートである。
図7図7は、第2の実施形態における税率の設定時のディスプレイの表示について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、各実施形態に係る計算機1の構成の一例を示す図である。計算機1は、プロセッサ11と、メモリ12と、操作キー13と、ディスプレイドライバ(DD)14と、ディスプレイ15とを有している。計算機1は、卓上計算機、所謂電卓であってよい。計算機1は、電卓以外の数値の計算機能を有する各種の電子機器であってもよい。また、計算機1は、図1で示した以外の構成を有していてもよい。
【0011】
プロセッサ11は、計算機1の各種動作を制御するプロセッサである。プロセッサ11は、CPU、ASIC、FPGA等であってよい。また、プロセッサ11は、2つ以上のプロセッサで構成されていてもよい。プロセッサ11は、操作キー13のうちの特定の操作キーの操作方法を判定する判定部として動作する。また、プロセッサ11は、特定の操作キーの操作方法に応じて実行する処理を変える制御部として動作する。
【0012】
メモリ12は、RAM及びROMを含む。RAMは、揮発性のメモリである。RAMは、プロセッサ11における各種のデータを一時記憶するための作業メモリ等に用いられる。ROMは、不揮発性のメモリである。ROMには、各種の計算機能を実行するための計算プログラム等の各種プログラムが記憶されている。また、ROMには、数値計算等に用いられる各種の特定の数値等が引数として記憶されている。この特定の数値は、例えば税計算に用いられる税率の値を含む。
【0013】
操作キー13は、ユーザが計算機1を操作するための各種のキーである。操作キー13を用いた操作が受け付けられたとき、その操作に応じた入力信号がプロセッサ11に伝達される。
【0014】
ディスプレイドライバ14は、プロセッサ11の制御の下、ディスプレイ15を駆動する。ディスプレイドライバ14は、ディスプレイ15の駆動に必要な各種の信号をディスプレイ15に送出する。
【0015】
ディスプレイ15は、液晶ディスプレイ等の表示部である。ディスプレイ15は、電卓機能に係る各種の表示をする。
【0016】
図2は、計算機1の外観正面図である。図2に示すように、計算機1の筐体正面には、操作キー13とディスプレイ15とが設けられている。
【0017】
操作キー13は、数値キーと、演算キーと、機能キーとを有している。数値キーは、数値を入力するためのキーであって、例えば0から9のそれぞれの数値に対応したキーを含む。演算キーは、四則演算の実施のためのキーであって、例えば+(加算)、-(減算)、×(乗算)、÷(除算)のそれぞれの演算子に対応したキーと、=(演算実行)キーとを含む。機能キーは、計算機1の各種機能の実施のためのキーであって、例えばオールクリアキー(ACキー)、クリアキー(Cキー)、メモリキー(MRCキー、M+キー、M-キー)を含む。さらに、実施形態では、操作キー13は、税計算キー131を含む。税計算キー131は、入力された数値に対して引数として予め設定された税率を用いた消費税計算を実施するためのキーである。税計算は、税込価格の計算と税抜価格の計算とを含む。また、税率は、法改正等によって変更され得る。このような税率の変更に対応した、税率の設定も税計算キー131を用いて行われる。
【0018】
図3は、第1の実施形態の計算機1の税計算の処理を示すフローチャートである。図3の処理は、メモリ12のROMに記憶された計算プログラムをプロセッサ11が実行することによって行われる。税計算の処理以外の計算機1の動作は、特に限定されない。例えば、プロセッサ11は、ユーザのキー操作に従って計算結果をディスプレイ15に表示させたり、メモリ機能等の各種の機能の処理を実施したりする。ここで、図3の処理を説明するに当たり、計算機1には何等かの数値が既に入力され、入力された数値がディスプレイ15に表示されているものとする。数値の入力は、数値キーによって行われ得る。
【0019】
ステップS1において、プロセッサ11は、税計算キー131が押されたか否かを判定する。ステップS1において、税計算キー131が押されていないと判定されたときには、図3の処理は終了する。ステップS1において、税計算キー131が押されたと判定されたときには、処理はステップS2に移行する。
【0020】
ステップS2において、プロセッサ11は、税計算キー131の押し込み時間の計測を開始する。押し込み時間は、例えば計算機1に設けられる図示しない時計によって計測されてよい。
【0021】
ステップS3において、プロセッサ11は、ディスプレイ15の表示を消去する。ディスプレイ15の表示の消去の処理は、計算機1の通常の処理から税計算に係る処理に移行したことをユーザに認知させるための処理である。ディスプレイの表示の消去の処理は省略されてもよい。
【0022】
ステップS4において、プロセッサ11は、税計算キー131の押し込み時間の計測開始から所定時間が経過したか否かを判定する。この所定時間は、例えば2秒である。この所定時間は、任意に設定され得る。ステップS4において、所定時間が経過していないと判定されたときには、処理はステップS5に移行する。ステップS4において、所定時間が経過したと判定されたときには、処理はステップS8に移行する。なお、ステップS4の判定に代えて、税計算キー131が連続して押し込まれている回数が所定回数以上となったか否かが判定されることによって、後で説明する短押しと長押しの判定が行われてもよい。
【0023】
ステップS5において、プロセッサ11は、税計算キー131の押し込みが解除されたか否かを判定する。ステップS5において、税計算キー131の押し込みが解除されていないと判定されたときには、処理はステップS4に戻る。ステップS5において、税計算キー131の押し込みが解除されたと判定されたときには、処理はステップS6に移行する。
【0024】
ステップS6において、プロセッサ11は、税計算を実施する。具体的には、プロセッサ11は、予めROMに設定されている税率の値を呼び出し、この税率の値を用いて事前にユーザによって入力されている数値に対する税計算を実施する。その後、処理はステップS7に移行する。すなわち、税計算キー131の押し込み時間が所定時間よりも短い、短押しであるときには予め設定された税率を用いた税計算が実施される。ここで、税計算は、税込価格の計算と税抜価格の計算とを含む。税込価格の計算と税抜価格の計算の何れが実施されるかは、事前にユーザによって設定され得る。または、税計算キー131が税込計算キーと税抜計算キーとに分けられていてもよい。この場合、税込計算キーが押されたときには税込計算が実施され、税抜計算キーが押されたときには税抜計算が実施される。また、税計算の結果、端数が生じる場合がある。端数の処理として、切り上げ、切り捨て、四捨五入の何れを用いるかも事前にユーザによって設定され得る。さらには、国によっては複数の消費税率が使い分けられることもある。このため、税計算キー131は、消費税率毎の税計算を実施する複数の税計算キーに分けられていてもよい。この場合には、ROMには税計算キー毎の複数の税率が記憶される。そして、押された税計算キーに対応した税率を用いて税計算が実施される。なお、税計算キー131が税込計算キーと税抜計算キーとに分けられている場合であっても、消費税率毎の税計算を実施する複数の税計算キーに分けられている場合であっても、図3の処理は同様にして行われ得る。
【0025】
ステップS7において、プロセッサ11は、税計算の結果をディスプレイ15に表示させる。その後、図3の処理は終了する。
【0026】
ステップS8において、プロセッサ11は、事前に入力された数値を新たな税率の値に設定する。具体的には、プロセッサ11は、事前に入力された数値を用いてROMに記憶されている税率の値を更新する。その後、処理はステップS9に移行する。すなわち、税計算キー131の押し込み時間が所定時間よりも長い、長押しであるときには税率の値の設定が実施される。ここで、税計算キー131が消費税率毎の税計算を実施する複数の税計算キーに分けられているときには、押された税計算キーに対応した税率の値が更新される。
【0027】
ステップS9において、プロセッサ11は、税率の値の設定が実施されたことをユーザに認知させるための設定完了表示をディスプレイ15に表示させる。設定完了表示については後で説明する。
【0028】
ステップS10において、プロセッサ11は、ディスプレイ15の表示を消去する。その後、図3の処理は終了する。ディスプレイ15の表示の消去の処理は、税率の設定の処理から計算機1の通常の処理に移行したことをユーザに認知させるための処理である。
【0029】
図4は、第1の実施形態における税率の設定時のディスプレイ15の表示について示した図である。まず、税率の設定の前にユーザは、数値キーを操作して設定したい税率の値を入力する。このとき、図4のaで示すようにして、ユーザによって入力された数値151がディスプレイ15に表示される。例えば、図4のaでは、数値151として「8」が表示されている。
【0030】
続いて、ユーザは、税計算キー131を長押しする。税計算キー131が押された直後、図4のbで示すようにディスプレイ15の表示が消去される。
【0031】
その後、所定時間、例えば2秒間の税計算キー131の押し込みがされたことが判定されると、税率の設定が行われる。図4の例では、ROMに記憶されている税率の値が「8」(%)に更新される。その後、図4のcで示すように設定完了表示が行われる。設定完了表示では、新たに設定された税率の値、すなわち事前にユーザによって入力された数値151に加えて、税計算キー131が押されたことを示す「TAX」表示152と、税率の設定が行われたことを示す「SET%」表示153が表示される。このような設定完了表示により、ユーザは税率の設定がされたことを認知できる。税計算キー131が消費税率毎の税計算を実施する複数の税計算キーに分けられているときには、「TAX」表示152は、「TAX1」、「TAX2」、…、といったように、押された税計算キーに応じた異なる表示に変更されてもよい。
【0032】
図4のcで示す設定完了表示の後、図4のdで示すようにディスプレイ15の表示が消去される。このようにして税率の設定が完了する。
【0033】
図5は、第1の実施形態における税計算の実施時のディスプレイ15の表示について示した図である。まず、税計算の実施の前にユーザは、数値キーを操作して税計算を実施したい金額の数値を入力する。このとき、図5のaで示すようにして、ユーザによって入力された数値151がディスプレイ15に表示される。例えば、図5のaでは、数値151として「8」が表示されている。
【0034】
続いて、ユーザは、税計算キー131を長押しする。税計算キー131が押された直後、図5のbで示すようにディスプレイ15の表示が消去される。
【0035】
その後、所定時間が経過する前、例えば2秒が経過する前に税計算キー131の押し込みが解除されたことが判定されると、税計算が実施される。税計算の完了後、図5のcで示すようにして、税計算の計算結果がディスプレイ15に表示される。結果表示では、計算結果を表す数値154が表示される。図5のcでは、税率10%の計算結果を表す数値154が表示された例が示されている。なお、図5のcの例では、端数が切り上げ処理されている。さらに、結果表示では数値154に加えて、税計算キー131が押されたことを示す「TAX」表示152が表示される。税計算キー131が消費税率毎の税計算を実施する複数の税計算キーに分けられているときには、「TAX」表示152は、「TAX1」、「TAX2」、…、といったように、押された税計算キーに応じた異なる表示に変更されてもよい。
【0036】
以上説明したように第1の実施形態では、税計算キー131について複数の操作方法が割り当てられる。そして、税計算キー131の第1の操作方法としての短押しでは、事前に入力された数値に対して予め引数として設定された税率を用いた税計算が実施される。また、税計算キー131の第2の操作方法としての長押しでは、事前に入力された数値が新たな税率の値に設定される。このため、第1の実施形態では、税率の設定をするための専用のキーの操作及び税率の設定をするための専用のモードが不要である。また、1つのキーに対する異なる操作方法で簡単に税計算の実施と税率の設定との切り替えが行われ得る。
【0037】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態を説明する。ここで、第2の実施形態において計算機1の構成については第1の実施形態と同様である。したがって、計算機1の構成については説明を省略する。
【0038】
図6は、第2の実施形態の計算機1の税計算の処理を示すフローチャートである。以下、第1の実施形態と同様の処理については適宜に説明を省略又は簡略化する。図6の処理においても、計算機1には何等か数値が既に入力され、入力された数値がディスプレイ15に表示されているものとする。
【0039】
ステップS21において、プロセッサ11は、税計算キー131が押されたか否かを判定する。ステップS21において、税計算キー131が押されていないと判定されたときには、図6の処理は終了する。ステップS21において、税計算キー131が押されたと判定されたときには、処理はステップS22に移行する。
【0040】
ステップS22において、プロセッサ11は、税計算キー131の押し込み時間の計測を開始する。
【0041】
ステップS23において、プロセッサ11は、税計算キー131の押し込み開始から第1の所定時間が経過したか否かを判定する。この第1の所定時間は、例えば0.3秒である。この第1の所定時間は、後で説明する第2の所定時間よりも短い時間の中で任意に設定され得る。ステップS23において、第1の所定時間が経過していないと判定されたときには、処理はステップS24に移行する。ステップS23において、第1の所定時間が経過したと判定されたときには、処理はステップS27に移行する。
【0042】
ステップS24において、プロセッサ11は、税計算キー131の押し込みが解除されたか否かを判定する。ステップS24において、税計算キー131の押し込みが解除されていないと判定されたときには、処理はステップS23に戻る。ステップS24において、税計算キー131の押し込みが解除されたと判定されたときには、処理はステップS25に移行する。
【0043】
ステップS25において、プロセッサ11は、税計算を実施する。その後、処理はステップS26に移行する。
【0044】
ステップS26において、プロセッサ11は、税計算の結果をディスプレイ15に表示させる。その後、図6の処理は終了する。
【0045】
ステップS27において、プロセッサ11は、ディスプレイ15の表示を消去する。
【0046】
ステップS28において、プロセッサ11は、税計算キー131の押し込み開始から第2の所定時間が経過したか否かを判定する。この第2の所定時間は、例えば2秒である。この第2の所定時間は、任意に設定され得る。ステップS28において、第2の所定時間が経過していないと判定されたときには、処理はステップS29に移行する。ステップS28において、第2の所定時間が経過したと判定されたときには、処理はステップ30に移行する。
【0047】
ステップS29において、プロセッサ11は、税計算キー131の押し込みが解除されたか否かを判定する。ステップS29において、税計算キー131の押し込みが解除されていないと判定されたときには、処理はステップS28に戻る。ステップS29において、税計算キー131の押し込みが解除されたと判定されたときには、処理はステップS25に移行する。すなわち、税計算が実施される。
【0048】
ステップS30において、プロセッサ11は、事前に入力された数値を新たな税率の値に設定する。その後、処理はステップS31に移行する。
【0049】
ステップS31において、プロセッサ11は、税率の値の設定が実施されたことをユーザに認知させるための設定完了表示をディスプレイ15に表示させる。
【0050】
ステップS32において、プロセッサ11は、ディスプレイ15の表示を消去する。その後、図6の処理は終了する。
【0051】
図7は、第2の実施形態における税率の設定時のディスプレイ15の表示について示した図である。まず、税率の設定の前にユーザは、数値キーを操作して設定したい税率の値を入力する。このとき、図7のaで示すようにして、ユーザによって入力された数値151がディスプレイ15に表示される。例えば、図7のaでは、数値151として「8」が表示されている。
【0052】
続いて、ユーザは、税計算キー131を長押しする。税計算キー131が押されてから第1の所定時間、例えば0.3秒が経過するまでは、図7のbで示すようにディスプレイ15の表示は継続される。
【0053】
その後、第1の所定時間の税計算キー131の押し込みがされたことが判定されると、図7のcで示すようにディスプレイ15の表示は消去される。
【0054】
さらにその後、第2の所定時間、例えば2秒の税計算キー131の押し込みがされたことが判定されると、税率の設定が行われる。その後、図7のdで示すように設定完了表示が行われる。
【0055】
図7のdで示す設定完了表示の後、図7のeで示すようにディスプレイ15の表示が消去される。このようにして税率の設定が完了する。
【0056】
ここで、第2の実施形態における税計算の実施時のディスプレイ15の表示では、図5のaと図5のbとの間に図7のbと同様の表示の継続期間が加えられる。詳細については説明を省略する。
【0057】
以上説明したように第2の実施形態では、税計算キー131の押し込みから第1の所定時間が経過するまで、すなわち税計算キー131の短押しと長押しの何れがされたかを判定する期間のうちの所定期間、ディスプレイ15の表示が継続される。税計算キー131の押し込み時間が短い場合、ディスプレイ15の表示の消去から計算結果の表示までの間隔が短くなる。この間隔の短さにより、ちらつきが発生する可能性がある。税計算キー131の押し込みから第1の所定時間が経過するまではディスプレイ15の表示が継続されることにより、税計算キー131の押し込み時間が短い場合のディスプレイ15のちらつきが抑制される。
【0058】
[変形例]
実施形態の変形例を説明する。実施形態では、税計算キー131に対して第1の操作方法である短押しと第2の操作方法である長押しの2つの操作方法が割り当てられ、それぞれの操作方法に対して事前に入力された数値に対する異なる処理が実施される。第1の操作方法と第2の操作方法は、任意の操作方法であってよい。例えば、税計算キー131に対する第1の操作方法として、短押しが割り当てられ、第2の操作方法として税計算キー131とダブルタップ操作(連続した2回押し操作)が割り当てられてもよい。また、割り当てられる操作方法は、2つに限るものでもない。つまり、税計算キー131に対して3つ以上の操作方法が割り当てられ、それぞれの操作方法に対して事前に入力された数値に対する異なる処理が実施されてもよい。例えば、税計算キー131に対する第3の操作方法として、ダブルタップ操作(連続した2回押し操作)が割り当てられ、ダブルタップ操作がされたときには入力された数値に応じて税込計算モードと税抜計算モードとの切り替えが行われてもよい。また、税計算キー131に対する第4の操作方法として、税計算キー131と他のキーとの同時押し操作が割り当てられ、同時押し操作がされたときには入力された数値に応じて端数処理の切り替えが行われてもよい。このように、操作方法と、操作方法の数と、それぞれの操作方法に割り当てる処理については適宜に設定され得る。
【0059】
また、実施形態では、税計算キーへの適用例が説明されている。これに対し、実施形態の技術は、予め設定された特定の数値を用いて特定の計算を実施する操作キーを備えた各種の計算機に適用され得る。このような特定の計算を実施する操作キーは、通貨の換算計算を実施するための換算計算キーを含む。この場合も、換算計算キーが短押しされたときには予め設定された換算レートを用いて事前に入力された数値に対する換算計算が実施され、換算計算キーが長押されたときには換算レートの値が事前に入力された数値に設定される、といった処理の割り当てが行われ得る。この他、このような特定の計算を実施する操作キーは、散薬監査計算を実施するための散薬監査キー等を含み得る。
【0060】
さらに、実施形態では計算機1の操作キーはハードウェアキーであるとしている。これに対し、操作キーはタッチパネル等によって操作されるソフトウェアキーであってもよい。この場合において、計算機1自体もソフトウェアによって実現されるものであってもよい。つまり、計算機1は、スマートフォンやタブレット端末といった端末にインストールされるものであってもよい。
【0061】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0062】
また、上述した実施形態による各処理は、コンピュータであるプロセッサ11に実行させることができるプログラムとして記憶させておくこともできる。この他、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の外部記憶装置の記憶媒体に格納して配布することができる。そして、プロセッサ11は、この外部記憶装置の記憶媒体に記憶されたプログラムを読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行することができる。
【0063】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0064】
以下に、本願の発明の実施の形態から抽出され得る発明を付記する。
[1] 第1の数値が入力された後、操作キーが第1の操作方法と第2の操作方法との何れで操作されたかを判定する判定部と、
前記操作キーが前記第1の操作方法で操作されたと判定されたときには、引数として設定されている第2の数値を用いて前記第1の数値に対する特定の計算を実施し、前記操作キーが前記第2の操作方法で操作されたと判定されたときには、前記引数として前記第1の数値を設定する、ように制御する制御部と、
を具備する計算機。
[2] 入力された前記第1の数値を表示する表示部をさらに具備し、
前記制御部は、前記操作キーが前記第2の操作方法で操作されたと判定されたときには、前記引数として前記第1の数値が設定されたことを前記表示部に表示させる[1]に記載の計算機。
[3] 前記制御部は、前記操作キーが前記第1の操作方法と前記第2の操作方法との何れで操作されているかを判定している間、前記第1の数値の表示を消去する[2]に記載の計算機。
[4] 前記制御部は、前記操作キーが前記第1の操作方法と前記第2の操作方法との何れで操作されているかを判定している間の所定期間、前記第1の数値の表示を継続し、前記所定期間の経過後に前記第1の数値の表示を消去する[2]に記載の計算機。
[5] 前記制御部は、前記操作キーが前記第1の操作方法で操作されたと判定されたときには、前記第1の数値に代えて前記特定の計算によって得られた第3の数値を前記表示部に表示させる[2]-[4]の何れか1に記載の計算機。
[6] 第1の数値が入力された後、操作キーが第1の操作方法と第2の操作方法との何れで操作されたかを判定することと、
前記操作キーが前記第1の操作方法で操作されたと判定されたときには、引数として予め設定されている第2の数値を用いて前記第1の数値に対する特定の計算を実施することと、
前記操作キーが前記第2の操作方法で操作されたと判定されたときには、前記引数としての第2の数値を前記第1の数値で更新することと、
をプロセッサに実行させるための計算プログラム。
【符号の説明】
【0065】
1 計算機、11 プロセッサ、12 メモリ、13 操作キー、14 ディスプレイドライバ(DD)、15 ディスプレイ15。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7