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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/02 20060101AFI20240110BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20240110BHJP
   B23D 47/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 H
B23D47/00 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022521886
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 JP2021017586
(87)【国際公開番号】W WO2021230172
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2020085117
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】伊勢 朴人
(72)【発明者】
【氏名】松永 健一
(72)【発明者】
【氏名】前田 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】今吉 正英
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-099742(JP,A)
【文献】特開2018-065222(JP,A)
【文献】特開2017-124462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/02
B25F 5/00
B23D 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを収容するハウジングと、
前記ハウジングに接続されるハンドルと、
前記ハウジングに設けられ、前記モータに電力を供給する電池が着脱可能に取付けられる電池着脱部と、
を備え、
前記ハンドルは、
作業者が把持可能な把持部と、
前記把持部の一端部から前記ハウジング側へ延出され前記ハウジングに連結された第1連結部と、
前記把持部の他端部から前記ハウジング側へ延出され前記ハウジングに連結された第2連結部と、
を含んで構成され、
前記第1連結部の少なくとも一部は前記電池の上方に位置し、前記第2連結部の少なくとも一部は上下方向で前記電池と重なるようにして前記電池の下方に位置する作業機。
【請求項2】
前記ハンドルと前記ハウジングとでループ構造を構成し、前記電池着脱部に取付けられる前記電池が前記ループ構造の内部に配置される請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記ハンドルは、プロテクト部を有しており、
前記プロテクト部は、前記ループ構造の内部において、前記第1連結部の長手方向中間部と前記第2連結部の長手方向中間部とを連結すると共に、前記電池着脱部に取付けられる前記電池と前記把持部との間に配置されている請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記プロテクト部の内部には、前記モータを制御する制御部が収容されている請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記モータに連結され、前記モータによって回転する先端工具を備え、
前記先端工具は、前記モータの軸方向を板厚方向とする円板状に形成され、
前記把持部、前記第1連結部、及び前記第2連結部が、平面視で前記モータの軸方向に対して直交する方向に沿って延在されている請求項1~請求項4の何れか1項に記載の作業機。
【請求項6】
前記ハウジングは、
前記モータを収容するモータハウジングと、
前記先端工具を収容し、前記モータハウジングと接続された本体ハウジングと、
を含んで構成されており、
前記ハンドルが、前記モータハウジングを介さずに前記本体ハウジングに固定され、前記電池着脱部が、前記モータハウジングに設けられる請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
上下方向に対して直交する方向を第1方向とし、前記第1方向及び上下方向に対して直交する方向を第2方向とし、
前記モータは、前記第1方向を軸方向として配置されており、
前記モータ、前記電池着脱部、前記把持部が、前記第1方向から見て、前記第2方向一方側へ向かうに従い上側に傾斜する第1傾斜方向に沿ってこの順に配置され、
前記モータ及び前記ハンドルの下側には、加工材上を摺動可能なベースが配置されている請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記モータハウジングは、前記第1方向から見て、前記第1傾斜方向に直交する第2傾斜方向に分割された分割ハウジング部によって構成されており、
前記分割ハウジング部には、前記電池着脱部の一部を構成し且つ前記電池と係合する1対のハウジング側レール部が設けられている請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記モータによって駆動する鋸刃を支持する本体ハウジングと、前記モータを収容するモータハウジングとを有し、
前記電池着脱部は前記モータハウジングに設けられ、
前記ハンドルと前記モータハウジングとは、前記本体ハウジングを介して接続されている請求項1に記載の作業機。
【請求項10】
モータを収容するモータハウジングと、
前記モータによって回転される丸鋸刃と、
前記モータハウジングの下方に位置し、前記丸鋸刃の少なくとも一部を下方に突出させるための挿通孔を有するベースと、
前記モータハウジングに接続されるハンドルと、
前記モータハウジングに設けられ、前記モータに電力を供給する電池が着脱可能に取付けられる電池着脱部と、
を備えた作業機であって、
前記電池着脱部は、前記電池を前記ベースの下面が延在する方向に対して斜めになる方向で支持するよう構成される作業機。
【請求項11】
前記電池着脱部は2つの電池支持部を有し、
上側に位置する一方の前記電池支持部が、下側に位置する他方の前記電池支持部よりも前後方向で前記モータの中心位置に近い請求項1または10に記載の作業機。
【請求項12】
前記電池支持部は、左右方向に延びるレール部である請求項11に記載の作業機。
【請求項13】
前記電池着脱部は、前記電池の下端が前記モータハウジングの下端より上方に位置するようにして前記電池を支持する請求項9又は請求項10に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の電動工具(作業機)では、工具の外郭を構成するハウジングが、モータハウジングと、把持部を有するハンドルと、を含んで構成されている。モータハウジングには、丸鋸刃(先端工具)を駆動するモータが収容されている。また、ハウジングには、電池パック装着部が設けられており、電池パック装着部は、電池パック(電池)を着脱可能に構成されている。これにより、電池パックを電池パック装着部に装着することで、電池パックからモータに電力を供給して、作業を行うことができる。その結果、電源コードを備えた電動工具と比べて、作業性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-187702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記電動工具では、以下に示す点において、改善の余地がある。すなわち、上記電動工具では、電池パックの装着状態では、電池パックが、電動工具よりも後側へ突出される状態になる。このため、例えば、電池パックを装着した状態の電動工具が、後側から落下した場合などでは、電池パックや電池パック装着部と地面が接触し、その衝撃によって電池パックや電池パック装着部が変形・破損して作業性を損なう可能性がある。このため、電動工具では、装着される電池パックに対する保護性能を向上できる構造にすることが望ましい。また、電池パックの位置や装着状態によっては、作業時の動作に支障を来す可能性がある。このため、電動工具では、装着される電池パックが作業に影響を与えないように構成することが望ましい。また、上記電動工具のように、作業者が把持するハンドルも本体から突出する部分であり、ハンドルの取り付け方によっては落下時にハンドルが変形・破損して作業性を損なう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、作業性の低下を抑制した作業機を提供することを目的とする。また別の目的として、装着される電池や電池保持部(電池パック装着部)に対する保護性能を向上できる作業機を提供することを目的とする。また別の目的として、ハンドルの変形・破損を抑制可能な作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、モータを収容するハウジングと、前記ハウジングに接続されるハンドルと、前記ハウジングに設けられ、前記モータに電力を供給する電池が着脱可能に取付けられる電池着脱部と、を備え、前記ハンドルは、作業者が把持可能な把持部と、前記把持部の一端部から前記ハウジング側へ延出され前記ハウジングに連結された第1連結部と、前記把持部の他端部から前記ハウジング側へ延出され前記ハウジングに連結された第2連結部と、を含んで構成され、前記第1連結部の少なくとも一部は前記電池の上方に位置し、前記第2連結部の少なくとも一部上下方向で前記電池と重なるようにして前記電池の下方に位置する作業機である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハンドルと前記ハウジングとでループ構造を構成し、前記電池着脱部に取付けられる前記電池が前記ループ構造の内部に配置される作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハンドルは、プロテクト部を有しており、前記プロテクト部は、前記ループ構造の内部において、前記第1連結部の長手方向中間部と前記第2連結部の長手方向中間部とを連結すると共に、前記電池着脱部に取付けられる前記電池と前記把持部との間に配置されている作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記プロテクト部の内部には、前記モータを制御する制御部が収容されている作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記モータに連結され、前記モータによって回転する先端工具を備え、前記先端工具は、前記モータの軸方向を板厚方向とする円板状に形成され、前記把持部、前記第1連結部、及び前記第2連結部が、平面視で前記モータの軸方向に対して直交する方向に沿って延在されている作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ハウジングは、前記モータを収容するモータハウジングと、前記先端工具を収容し、前記モータハウジングと接続された本体ハウジングと、を含んで構成されており、前記ハンドルが、前記モータハウジングを介さずに前記本体ハウジングに固定され、前記電池着脱部が、前記モータハウジングに設けられる作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、上下方向に対して直交する方向を第1方向とし、前記第1方向及び上下方向に対して直交する方向を第2方向とし、前記モータは、前記第1方向を軸方向として配置されており、前記モータ、前記電池着脱部、前記把持部が、前記第1方向から見て、前記第2方向一方側へ向かうに従い上側に傾斜する第1傾斜方向に沿ってこの順に配置され、前記モータ及び前記ハンドルの下側には、加工材上を摺動可能なベースが配置されている作業機である。また、本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記モータハウジングは、前記第1方向から見て、前記第1傾斜方向に直交する第2傾斜方向に分割された分割ハウジング部によって構成されており、前記分割ハウジング部には、前記電池着脱部の一部を構成し且つ前記電池と係合する1対のハウジング側レール部が設けられている作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、モータを収容するモータハウジングと、前記モータによって回転される丸鋸刃と、前記モータハウジングの下方に位置し、前記丸鋸刃の少なくとも一部を下方に突出させるための挿通孔を有するベースと、前記モータハウジングに接続されるハンドルと、前記モータハウジングに設けられ、前記モータに電力を供給する電池が着脱可能に取付けられる電池着脱部と、を備えた作業機であって、前記電池着脱部は、前記電池を前記ベースの下面が延在する方向に対して斜めになる方向で支持するよう構成される作業機である。また、本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記電池着脱部は2つの電池支持部を有し、上側に位置する一方の前記電池支持部が、下側に位置する他方の前記電池支持部よりも前後方向で前記モータの中心位置に近い作業機である。また、本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記電池支持部は、左右方向に延びるレール部である作業機である。また、本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記電池着脱部は、前記電池の下端が前記モータハウジングの下端より上方に位置するようにして前記電池を支持する作業機である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、作業性の低下を抑制した作業機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態に係る切断工具にバッテリーパックが装着された状態を示す右側から見た側面図である。
図2図1に示される切断工具の上側から見た平面図である。
図3図1に示される切断工具の右斜め前方から見た斜視図である。
図4図1に示される切断工具の左斜め前方から見た斜視図である。
図5図3に示されるモータハウジング及びハンドルを本体ハウジングから分解した状態を示す分解斜視図である。
図6図1に示される切断工具を、右側のハンドル部材及びバッテリーパックを取外した状態で示す右側から見た側面図である。
図7図1に示される切断工具を、第2傾斜方向一方側の分割ハウジング部材及びバッテリーパックを取外した状態で示す右側から見た側面図である。
図8図1に示される切断工具の内部を示す第2傾斜方向一方側から見た断面図(図1の8-8線断面図)である。
図9図1に示される切断工具の内部を示す前側から見た断面図(図1の9-9線断面図)である。
図10】(A)は、図1に示されるバッテリーパックの正面図であり、(B)は、(A)のバッテリーパックの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る「作業機」としての切断工具10について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、及び矢印RHは、それぞれ切断工具10の上側、前側、及び右側を示している。そして、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、切断工具10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。また、左右方向から見て、後側へ向かうに従い上側へ傾斜する方向(図1の矢印A及び矢印B方向)を第1傾斜方向としており、第1傾斜方向に対して直交する方向(図1の矢印C及び矢印D方向)を第2傾斜方向としている。さらに、左右方向が本発明の第1方向に対応し、前後方向が本発明の第2方向に対応している。
【0017】
切断工具10は、加工材を切断する工具として構成されている。図1図4、及び図9に示されるように、切断工具10は、ベース20と、ハウジング30と、ハンドル50と、ハウジング30内に収容されたモータ70及び伝達機構80と、制御部90(図6参照)と、を含んで構成されている。また、切断工具10は、モータ70へ電力を供給するための「電池」としてのバッテリーパック100を着脱可能に構成されている。以下、切断工具10の各構成について説明する。
【0018】
(ベース20について) ベース20は、上下方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略矩形プレート状に形成されている。そして、切断工具10による加工時には、ベース20を加工材の上側に載置して、ベース20の下面を加工材の上面に沿って摺動させるようになっている。
【0019】
ベース20の左側部には、「先端工具」としての鋸刃95を配置するための工具挿通部20Aが貫通形成されており、工具挿通部20Aは、平面視で前後方向を長手方向とする略矩形孔状に形成されている。すなわち、工具挿通部20Aは、鋸刃95を下方に突出させるための挿通孔である。ここで、鋸刃95は、左右方向を板厚方向とする略円板状に形成されており、鋸刃95の中心部が、後述する伝達機構80の出力軸81に一体回転可能に固定されている(図9参照)。そして、鋸刃95が工具挿通部20A内に配置されており、鋸刃95の上部がベース20から上側へ突出し、鋸刃95の下端側部分がベース20から下側へ突出している。鋸刃95は丸鋸刃である。
【0020】
(ハウジング30について) 図2図5図8、及び図9に示されるように、ハウジング30は、ベース20の上側に配置されている。ハウジング30は、本体ハウジング32と、モータハウジング40と、を含んで構成されている。
【0021】
<本体ハウジング32について> 本体ハウジング32は、本体ハウジング32の左側部分を構成するソーカバー部34と、本体ハウジング32の右側部分を構成するギヤハウジング部36と、を含んで構成されている。
【0022】
ソーカバー部34は、鋸刃95の上部を上側から覆う部材として構成されている。ソーカバー部34は、右側から見て、上側へ凸となる半円状に形成されると共に、下側へ開放された凹状に形成されている。具体的には、ソーカバー部34は、鋸刃95の径方向外側において鋸刃95の周方向に沿って延在された外周壁34Aと、外周壁34Aの右端部から外周壁34Aの径方向内側へ延出された右壁34Bと、外周壁34Aの左端部から外周壁34Aの径方向内側へ延出された左壁34Cと、を含んで構成されている。右壁34Bは、側面視で上側へ凸となる略半円板状に形成されており、左壁34Cは、側面視で上側へ凸となる略半円弧板状に形成されている。
【0023】
また、ソーカバー部34の右壁34Bの上部には、後述するハンドル50の第1連結部52を固定するための前後一対の第1固定ボス34D(図5参照)が形成されている。第1固定ボス34Dは、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、右壁34Bから右側へ突出している。
【0024】
さらに、ソーカバー部34の右壁34Bにおける後下端部には、後述するハンドル50の第2連結部53を固定するための第2固定ボス34E(図5参照)が形成されている。第2固定ボス34Eは、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、右壁34Bから右側へ突出している。
【0025】
ギヤハウジング部36は、ソーカバー部34の右壁34Bの下端部で且つ前後方向中間部に形成されている。具体的には、ギヤハウジング部36は、第1固定ボス34Dの下側で且つ第2固定ボス34Eの前側に配置されている。ギヤハウジング部36は、左側へ開放された略有底矩形筒状に形成されると共に、右壁34Bから右側へ突出している。ギヤハウジング部36の底壁には、支持筒部36Aが形成されている。支持筒部36Aは、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成されており、支持筒部36Aの内部は、左右方向に貫通している。
【0026】
そして、ベース20の前端部が、本体ハウジング32の前端部に前側連結機構部22を介して連結されており、ベース20の後端部が、本体ハウジング32の後端部に後側連結機構部24を介して連結されている。前側連結機構22は、傾斜支持部22Aと、傾斜位置固定レバー22Bと、連結部22Cと、揺動軸22Dと、傾斜軸22Eとを有する。傾斜支持部22Aは前後方向に貫通した円弧状のガイド孔22A1を有する。傾斜位置固定レバー22Bは固定軸22B1を有する。固定軸22B1はガイド孔22A1を貫通するように前後方向に延びている。後側連結機構部24はリンク24Aと突出量固定レバー24Bを有する。リンク24Aは円弧状のガイド孔24A1を有している。突出量固定レバー24Bは固定軸24B1を有する。固定軸24B1はガイド孔24A1に挿通されている。前側連結機構22と後側連結機構部24とは、傾斜機構と切込み深さ調整機構を実現する。傾斜機構は鋸刃95のベース20の下面に対する角度を調整(変更)可能とする機構である。切込み深さ調整機構は、ベース20の下面から下方に突出する鋸刃95の突出量を調整(変更)可能とする機構である。本体ハウジング32は、前後方向に延びる傾斜軸22Eを中心としてベース20に対して相対的に回転可能となっており、回転させることで鋸刃95を左右方向に傾斜させることができる。本体ハウジング32(鋸刃95)の傾斜位置は傾斜位置固定レバー22Bを操作することで固定することができ、逆に言えば傾斜位置固定レバー22Bを操作することで固定力を弱めて調整することができるようになっている。図に示しているのは、傾斜角度が0度の状態であり、ベース20の下面に対して鋸刃95が垂直の状態である。また、本体ハウジング32は左右方向に延びる揺動軸22Dを中心としてベース20に対して回転可能となっており、回転させることでベース20の下面から下方に突出する鋸刃95の突出量を調整(変更)可能となっている。図に示しているのは鋸刃95のベース20下面からの突出量が最大の状態である。本体ハウジング32を基準として見れば、ベース20は、後側連結機構部24と揺動軸22Dによって鋸刃95の周方向に沿って下側へ移動可能に構成されている。
【0027】
<モータハウジング40について> 図1図9に示されるように、モータハウジング40は、後述するモータ70を収容する部材として構成されている。モータハウジング40は、左側へ開放された有底筒状に形成されて、ギヤハウジング部36の右側に配置されている。モータハウジング40の左端部には、一対のフランジ部41が形成されており、フランジ部41は、第2傾斜方向一方側(図6の矢印C方向側)及び第2傾斜方向他方側(図6の矢印D方向側)へそれぞれ突出している。そして、フランジ部41が、ギヤハウジング部36の側壁部に締結固定されている。これにより、モータハウジング40が、ベース20の上側において、本体ハウジング32から右側へ突出している。
【0028】
モータハウジング40は、「電池着脱部」としてのバッテリー着脱部42を有している。バッテリー着脱部42は、モータハウジング40の左側部分(開口側部分)において、第1傾斜方向一方側(図6の矢印A方向側)へ隆起している。これにより、左右方向から見て、モータハウジング40が第1傾斜方向に沿って配置されて、前後方向に対して傾斜している。具体的には、モータハウジング40の前端部は、ベース20の上側に隣接して配置されており、モータハウジング40のバッテリー着脱部42は、ベース20に対して上側に離間して配置されている(図7参照)。また、上述のように、バッテリー着脱部42は、モータハウジング40の左側部分において第1傾斜方向一方側へ隆起しているため、モータハウジング40の右端部には、第1傾斜方向一方側及び右側へ開放された抉り部43(図2及び図8参照)が形成されている。
【0029】
図6図8に示されるように、バッテリー着脱部42には、第1傾斜方向一方側及び右側へ開放されたバッテリー挿入部44が形成されている。また、バッテリー着脱部42には、バッテリー挿入部44に対して第2傾斜方向両側の側壁部において、一対のハウジング側レール部45が形成されている。2つのハウジング側レール部45は、それぞれバッテリー着脱部42の上側と下側に設けられる。すなわち、上側のハウジング側レール部45はバッテリー着脱部42の中心よりも上方に位置し、下側のハウジング側レール部45はバッテリー着脱部42の中心よりも下方に位置する。ハウジング側レール部45は、第2傾斜方向内側へ開放された溝状部分を含み、、左右方向に延在されている。すなわち、上側のハウジング側レール部45は下方向に開放される溝を有し、下側のハウジング側レール部45は上方向に開放される溝を有する。また、バッテリー着脱部42には、コネクタ48が設けられている。コネクタ48は、バッテリー挿入部44から第1傾斜方向一方側へ露出されると共に、後述する制御部90に電気的に接続されている。
【0030】
図1図7に示されるように、モータハウジング40の右端部には、第2傾斜方向一方側及び第2傾斜方向他方側の角部において、複数の吸気孔46が、それぞれ形成されている。複数の吸気孔46は、モータハウジング40の底壁から側壁に亘って左右方向に延在されると共に、第1傾斜方向に並んで配置されている。
【0031】
図5に示されるように、モータハウジング40は、モータハウジング40の第2傾斜方向中央部において第2傾斜方向に2分割されている。すなわち、モータハウジング40は、一対の分割ハウジング部40A,40Bによって構成されており、分割ハウジング部40A,40Bの合わせ部が、第1傾斜方向に沿って形成されている。具体的には、分割ハウジング部40A,40Bの合わせ部(合わせ面)が、側面視で、後述するモータ70の回転軸71の軸心を通過し且つ第1傾斜方向に沿った基準線CL(図1図6、及び図7参照)に沿うようにして配置されている。バッテリー着脱部42は、一対の分割ハウジング部40A,40Bを合わせることによって形成される。前述した一対のハウジング側レール部45は、一方が分割ハウジング部40Aに,他方が分割ハウジング部40Bに設けられている。ハウジング部40A,40B は前述した合わせ部(合わせ面)を基準として対称的な構造を成す。ハウジング部40A,40B が互いに対称的な構造を成すことで、一対のレール部を必要とするバッテリー着脱部42などの構造をシンプルにすることができ、高い耐久性も確保することができる。ハウジング部40A,40B が互いに対称的な構造であるため、バッテリー着脱部42の剛性も確保できる。ハウジング部40A,40Bの合わせ部が基準線CLに沿うようにしたので、バッテリー着脱部42(の面する方向)が前後方向に対して傾斜している。具体的には、バッテリー着脱部42(の面する方向)は後方かつ上方を向くように構成される。換言すれば、モータハウジング40がバッテリーパック100をベース20の下面が延在する方向(前後方向)に対して斜めになる方向で支持している。これによって、バッテリーパック100の下端がモータハウジング40の下端から下方に突出しない構成とすることができる。より詳細には、バッテリーパック100の下端がモータハウジング40の下端よりも上方に位置するように構成することができる。バッテリー着脱部42の中心位置は、モータ70の中心位置よりも上方に位置する。バッテリー着脱部42の中心位置は、モータ70の中心位置よりも後方に位置する。また、バッテリーパック100の中心位置は、モータハウジング40の上端よりも下方に位置する。こうすることで、バッテリーパック100が上方に突出しすぎないように構成できる。上記のような位置関係は、前述した鋸刃95の突出量が最大の状態で現れる。仮にバッテリーパック100の下端がモータハウジング40の下端よりも下方に突出する場合、バッテリーパック100がベース20や加工材と接触して鋸刃95の突出量を確保することが困難となる可能性がある。しかしながら本実施の形態の切断工具10においては、モータハウジング40に支持されるバッテリーパック100の下端がモータハウジング40の下端よりも上方に位置するように構成しているため、バッテリー着脱部42とモータハウジング40とを一体とすることで組み立て性を向上させながら、バッテリーパック100が鋸刃95の突出量に影響を与えることを抑制することができる。このような構成は、バッテリーパック100がモータハウジング40の後方に位置する構成において、上側のハウジング側レール部45が下側のハウジング側レール部45よりも前方に位置するように構成することで実現される。なお、バッテリーパック100がモータハウジング40の前方に位置する構成において、上側のハウジング側レール部45が下側のハウジング側レール部45よりも後方に位置するように構成することで、バッテリーパック100が鋸刃95の突出量に影響を与えることを抑制するように構成することも可能である。すなわち、左右方向で見たとき、上側の電池支持部(上側のハウジング側レール部45)が下側の電池支持部(下側のハウジング側レール部45)よりも前後方向で前記モータ70の中心位置(回転軸71)に近くなるように構成することで、バッテリーパック100が鋸刃95の突出量に影響を与えることを抑制することができる。
【0032】
(ハンドル50について) 図1図8に示されるように、ハンドル50は、本体ハウジング32のソーカバー部34の右側に配置されている。また、ハンドル50は、左右方向に2分割されたハンドル部材によって構成されており、分割されたハンドル部材を組付けることで、ハンドル50が形成されている。
【0033】
ハンドル50は、右側から見て、前側へ開放された略U字形状に形成されている。具体的には、ハンドル50は、ハンドル50の後端部を構成する把持部51と、把持部51から前方側へ延出され且つハンドル50の上端部を構成する第1連結部52と、把持部51から前方側へ延出され且つハンドル50の下端部を構成する第2連結部53と、を含んで構成されている。
【0034】
把持部51は、使用者が把持する部位として構成されている。把持部51は、ハウジング30の後側に配置されると共に、側面視で上側へ向かうに従い前側へ傾斜する方向に延在している。より詳しくは、側面視で、把持部51は、第2傾斜方向に対して若干前傾している。把持部51の上端側部分には、トリガ60が設けられている。トリガ60は、把持部51から前側へ突出されると共に、後側へ引き操作可能に構成されている。また、把持部51には、トリガ60の上側において、トリガ60の引き操作をロックするためのロックボタン61が設けられている。把持部51に設けられるロックボタン61を操作しない限りトリガ60の引き操作を行うことはできないように構成されている。さらに、把持部51の内部には、トリガ60の後側において、スイッチ機構62(図6参照)が設けられている。スイッチ機構62は、トリガ60によって操作される、図示しないスイッチを有している。当該スイッチは、後述する制御部90に電気的に接続されており、トリガ60の操作状態に応じた出力信号を制御部90に出力する構成になっている。
【0035】
第1連結部52は、把持部51の上端部から前方側へ延出されている。より詳しくは、第1連結部52は、把持部51の上端部から第1傾斜方向他方側(図1及び図6の矢印B方向側)へ延出されている。左側のハンドル部材の第1連結部52には、ソーカバー部34の第1固定ボス34Dに対応する位置において、一対の第1被固定部52A(図6参照)が形成されている。第1被固定部52Aは、左側へ開放された略有底円筒状に形成されて、右側へ突出している。そして、ソーカバー部34の第1固定ボス34Dが第1被固定部52A内に左側から挿入され、第1被固定部52Aが第1固定ボス34Dに締結されている。これにより、第1連結部52の前端部が、ギヤハウジング部36の上側において、ソーカバー部34に固定されている。
【0036】
第2連結部53は、把持部51の下端部から前方側へ延出されている。すなわち、把持部51、第1連結部52、及び第2連結部53は、平面視で、左右方向に直交する方向に沿って延在している。左側のハンドル部材の第2連結部53には、ソーカバー部34の第2固定ボス34Eに対応する位置において、第2被固定部53A(図6参照)が形成されている。第2被固定部53Aは、左側へ開放された略有底円筒状に形成されて、右側へ突出している。そして、ソーカバー部34の第2固定ボス34Eが第2被固定部53A内に左側から挿入され、第2被固定部53Aが第2固定ボス34Eに締結されている。これにより、第2連結部53の前端部が、モータハウジング40のバッテリー着脱部42の下側において、ソーカバー部34に締結固定されている。したがって、第1連結部52の前端部及び第2連結部53の前端部が、モータハウジング40を上下方向に挟み込むように、ソーカバー部34に固定されている。その結果、モータハウジング40(ギヤハウジング部36)、第1連結部52、把持部51、及び第2連結部53によってループ構造S(図1参照)が形成されている。
【0037】
ハンドル50は、第1連結部52の長手方向中間部と、第2連結部53の前端部及び長手方向中間部と、を連結するハンドル中間部54を有しており、ハンドル中間部54は、本体ハウジング32におけるギヤハウジング部36の後側に隣接して配置されている(図8参照)。図5図8に示されるように、ハンドル中間部54の前部には、バッテリー収容部55が形成されており、バッテリー収容部55は、右側へ開放された凹状に形成されている。バッテリー収容部55は、ハンドル中間部54と第1連結部52と第2連結部53とで囲われた空間である。バッテリー収容部55は、右側から見て、略矩形状に形成されると共に、ギヤハウジング部36の第1傾斜方向一方側に隣接して配置されている。すなわち、モータハウジング40とバッテリー収容部55とが第1傾斜方向に並んで配置されると共に、バッテリー収容部55が、ループ構造Sの内部に配置されている。
【0038】
また、右側から見て、バッテリー収容部55は、前後方向に対して第1傾斜方向に沿って傾斜されている。すなわち、バッテリー収容部55における互いに対向する2箇所の内周面が、第1傾斜方向に沿って配置され、バッテリー収容部55における互いに対向する2箇所の内周面が、第2傾斜方向に沿って配置されている。これにより、バッテリー収容部55とベース20との間の上下方向の隙間G(図1及び図7参照)が、後側へ向かうに従い大きくなるように設定されている。また、バッテリー収容部55の開口部における第1傾斜方向他方側の壁部には、切欠部55Aが形成されており、切欠部55Aによって、バッテリー収容部55の開口部が、第1傾斜方向他方側(モータハウジング40側)へ開放されている。
【0039】
そして、モータハウジング40の第1傾斜方向一端側部分が、バッテリー収容部55の切欠部55A内に配置されると共に、モータハウジング40のバッテリー着脱部42が、バッテリー収容部55内に配置されている。これにより、モータハウジング40のコネクタ48がバッテリー収容部55の内部において露出されている。
【0040】
また、ハンドル中間部54におけるバッテリー収容部55の第1傾斜方向一方側の部分は、プロテクト部56として構成されており、プロテクト部56は、第2傾斜方向に沿って延在されて、第1連結部52と第2連結部53とを連結している。これにより、プロテクト部56が、第1傾斜方向において、バッテリー収容部55と把持部51との間に配置されている。
【0041】
図1図2、及び図8に示されるように、プロテクト部56には、段差部57が形成されている。段差部57は、プロテクト部56の長手方向から見て、略クランク状に屈曲されており、ハンドル50の前部の幅寸法(左右方向の寸法)が、ハンドル50の後部の幅寸法よりも大きくなるように設定されている。これにより、ハンドル50の左右の側壁には、プロテクト部56において、第2傾斜方向に沿って延在された一対の曲げ稜線58が形成されており、曲げ稜線58は、第1連結部52から第2連結部53に亘って延在されている。
【0042】
(バッテリーパック100) ここで、バッテリー収容部55に収容されるバッテリーパック100について説明する。図10に示されるように、バッテリーパック100は、略直方体に形成されている。バッテリーパック100の上部には、コネクタ部101が形成されている。また、コネクタ部101の幅方向両端部には、バッテリー側レール部102が形成されている。バッテリー側レール部102は、バッテリーパック100の前側から見て略逆L字型状に形成され、バッテリーパック100の長手方向に延在されると共に、前側へ開放されている。
【0043】
そして、バッテリーパック100が、切断工具10のバッテリー収容部55内に右側から収容され、モータハウジング40のバッテリー着脱部42に装着されるようになっている。具体的には、ハウジング側レール部45がバッテリー側レール部102内に左右方向にスライド可能に挿入されると共に、ハウジング側レール部45及びバッテリー側レール部102が第1傾斜方向に係合する構成になっている。さらに、バッテリーパック100の装着状態では、コネクタ部101が、モータハウジング40のコネクタ48に接続されて、バッテリーパック100から後述する制御部90へ電力が供給される構成になっている。これにより、バッテリーパック100が、ループ構造Sの内部に配置される構成になっている。
【0044】
また、バッテリーパック100の側部には、ロック部材103がそれぞれ設けられている。そして、バッテリーパック100の装着状態では、ロック部材103がモータハウジング40に係合して、バッテリーパック100の装着状態が維持される構成になっている。
【0045】
ここで、図1図3に示されるように、バッテリーパック100のバッテリー着脱部42への装着状態では、ロック部材103が、バッテリーパック100の第2傾斜方向の両側部に位置するように、バッテリーパック100がバッテリー収容部55に収容されている。さらに、この状態では、ロック部材103が、バッテリー収容部55の外部に露出されるように、バッテリー収容部55の深さ寸法が設定されている。換言すると、ハンドル50の右側面がロック部材103よりも左側に配置されるように、ハンドル50における前部の厚み寸法(左右方向の寸法)が設定されている。また、この状態では、バッテリーパック100の右端部が、モータハウジング40の右端部よりも左側に配置されている。すなわち、バッテリーパック100が、モータハウジング40よりも右側に突出しないように配置されている。ロック部材103を右手で操作してバッテリーパック100を着脱しようとした場合、右手の親指以外がバッテリーパック100を下方から支持しやすい構成となっているため、バッテリーパック100の着脱操作が容易となる。
【0046】
(モータ70について) 図9に示されるように、モータ70は、モータハウジング40内に収容されている。モータ70は、回転軸71と、ロータ72と、ステータ73と、を含んで構成されている。モータ70は整流子(カーボンブラシ)を必要としないブラスレスモータである。
【0047】
回転軸71は、左右方向を軸方向として配置されている。そして、回転軸71の右端部が、モータハウジング40に固定された第1モータ軸受76によって回転可能に支持されており、回転軸71の左側部分がギヤハウジング部36の支持筒部36Aに固定された第2モータ軸受77によって回転可能に支持されている。そして、回転軸71の左端部が、第2モータ軸受77から左側へ突出して、支持筒部36A内に配置されており、回転軸71の左端部には、ピニオンギヤ71Aが形成されている。
【0048】
ロータ72は、左右方向を軸方向とした略円筒状に形成され、回転軸71の径方向外側に配置されると共に、回転軸71と一体回転可能に構成されている。ステータ73は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、ロータ72の径方向外側においてモータハウジング40に支持されている。ステータ73は、ステータホルダ73Aを有しており、ステータホルダ73Aには、ステータコイルが巻き回されている。ステータホルダ73Aの右端部には、モータ基板74が固定されており、ステータコイルがモータ基板74に接続されている。また、モータ基板74は、図示しないリード線によって、後述する制御部90に電気的に接続されている。
【0049】
回転軸71の左側部分には、第2モータ軸受77の右側において、ファン75が一体回転可能に設けられている。ファン75は、遠心ファンとして構成されている。具体的には、ファン75により生成される空気流によって、モータハウジング40の吸気孔46からモータハウジング40内に空気を流入させ、当該空気流をファン75の径方向外側へ流すように構成されている。これにより、ファン75によって生成される空気流によって、モータ70を冷却する構成になっている。
【0050】
(伝達機構80について) 伝達機構80は、出力軸81を有しており、出力軸81は、左右方向を軸方向として、ギヤハウジング部36の内部に配置されると共に、モータ70の回転軸71の下側に配置されている。出力軸81の右端部は、ギヤハウジング部36に固定された第1軸受82によって、回転可能に支持されており、出力軸81の左側部分が、ギヤハウジング部36に固定された第2軸受83によって、回転可能に支持されている。
【0051】
出力軸81の右側部分には、伝達ギヤ84が一体回転可能に設けられており、伝達ギヤ84は、回転軸71のピニオンギヤ71Aに噛合されている。また、出力軸81の左端部は、工具取付部81Aとして構成されている。工具取付部81Aは、略円筒状に形成されており、工具取付部81Aの内周部には、雄ネジが形成されている。そして、鋸刃95の中心部の刃取付部95Aを工具取付部81Aに外挿して、ボルトBLを工具取付部81Aに螺合させることで、鋸刃95が工具取付部81Aに取付けられている。これにより、モータ70が駆動することで、出力軸81及び鋸刃95が、出力軸81の軸回りに回転するように構成されている。
【0052】
なお、鋸刃95の下部は、保護カバー86によって覆われている。保護カバー86は、右側から見て下側へ凸となる略半円状に形成されると共に、上側へ開放された凹状に形成されている。また、保護カバー86は、出力軸81の軸回りに回動可能に出力軸81に連結されている。さらに、保護カバー86は、図示しない付勢バネによって出力軸81の軸回りに付勢されて、図4に示される位置に保持されている。そして、切断工具10による切断加工時には、加工材によって保護カバー86が付勢バネの付勢力に抗して回動して、鋸刃95の刃部が露出される構成になっている。
【0053】
(制御部90について) 図6及び図8に示されるように、制御部90は、ハンドル50のプロテクト部56内に収容されている。制御部90は、制御基板91を有しており、制御基板91は、第1傾斜方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されている。制御基板91は、基板ホルダ92の内部に配置されて、基板ホルダ92に保持されている。制御基板91には、スイッチ機構62及びモータ70が電気的に接続されている。これにより、トリガ60が引き操作されることで、モータ70が駆動して、鋸刃95が出力軸81の軸回りに回転するようになっている。
【0054】
(作用効果) 次に、本実施の形態の切断工具10の作用及び効果について説明する。
【0055】
上記のように構成された切断工具10の使用時には、バッテリーパック100を、バッテリー収容部55内に右側から挿入すると共に、モータハウジング40のバッテリー着脱部42に装着させる。これにより、バッテリーパック100のコネクタ部101が、バッテリー着脱部42のコネクタ48に接続される。そして、ベース20を加工材上に載置すると共に、トリガ60を引き操作する。これにより、モータ70が駆動すると共に、モータ70の駆動力が伝達機構80によって鋸刃95に伝達されて、鋸刃95が出力軸81の軸回りに回転する。そして、ベース20を加工材の上面を摺動させることで、加工材に対して切断加工が施される。
【0056】
ここで、切断工具10は、モータ70を収容するハウジング30と、ハウジング30に接続されるハンドル50と、を含んで構成されている。また、ハンドル50は、作業者が把持する把持部51と、把持部51の一端部(上端部)から前方側へ延出され且つハウジング30の本体ハウジング32に固定された第1連結部52と、把持部51の他端部(下端部)から前方側へ延出され且つ本体ハウジング32に固定された第2連結部53と、を含んで構成されている。これにより、ハウジング30(モータハウジング40の一部)及びハンドル50によってループ構造Sが形成されている。具体的には、把持部51、第1連結部52、ハウジング30、及び第2連結部53によってループ構造Sを構成している。そして、モータハウジング40のバッテリー着脱部42に装着されるバッテリーパック100は、ループ構造Sの内部に配置される。換言すると、バッテリーパック100を収容するためのバッテリー収容部55が、ループ構造Sの内部に配置されている。こうした構造によれば、まず、バッテリーパック100の上方に第1連結部52が位置し、下方に第2連結部53が位置するため、バッテリーパック100の上方及び下方から異物等がバッテリーパック100に接触することを抑制できる。さらに、バッテリーパック100(バッテリー収容部55)が、ループ構造Sの内部に配置されているため、ハウジング30及びハンドル50が、バッテリーパック100を囲む囲繞部として機能する。これにより、例えば、バッテリーパック100を装着した状態の切断工具10が落下した場合に、バッテリーパック100が床などに直接当たることを抑制できる。したがって、バッテリー着脱部42に装着されるバッテリーパック100に対する保護性能を向上することができる。また、バッテリー着脱部42をモータハウジング40に設けながら、バッテリー着脱部42の中心位置をモータ70の中心位置よりも上方かつ後方にしたため、バッテリーパック100の下端位置をモータハウジング40の下端位置よりも上方に位置させることができる。これによって、バッテリー着脱部42をモータハウジング40と一体とすることで組み立て性が向上するとともに、第2連結部53をバッテリーパック100の下方に設けることが容易となる。さらに、バッテリーパック100の下方に指を入れる空間を確保することもできるようになり、バッテリーパック100の着脱操作が容易となる。本実施の形態においては、装着状態におけるバッテリーパック100の下側にロック部材103が位置するため、より一層着脱操作を容易にすることができる。本実施の形態においては、左右方向で見たとき、上側のハウジング側レール部45が下側のハウジング側レール部45よりも前後方向でモータ70の中心位置(回転軸71)に近くなるように構成することで、バッテリーパック100が鋸刃95の突出量に影響を与えることを抑制した。本実施の形態においては更に、左右方向で見たときにバッテリーパック100の下端がモータ70の中心位置(回転軸71)よりも下方に位置するよう構成したため、バッテリーパック100が上方へ突出することが抑制することができ、コンパクトな構成をも実現している。また、左右方向で見たときにバッテリーパック100の中心がモータハウジング100の上端よりも下方に位置するよう構成したため、バッテリーパック100が上方へ突出することが抑制されている。
【0057】
また、ハンドル50では、把持部51が本体ハウジング32の後側、具体的にはベース20の後端よりも後方に配置されると共に、側面視で略第2傾斜方向に沿って延在されている。そして、第1連結部52の前端部(先端部)が、本体ハウジング32のソーカバー部34に固定され、第2連結部53の前端部(先端部)が、本体ハウジング32のソーカバー部34に固定されている。このため、作業者が把持する把持部51の長手方向両端部を、本体ハウジング32によって支持することができる。これにより、仮に、第2連結部53の前端部を本体ハウジング32に固定しない構成と比べて、把持部51の支持剛性を高くすることができる。すなわち、ベース20の後端よりも把持部51が位置している様式の場合、把持部51の前方側におけるハンドル50と本体ハウジング32との接続は第1連結部のみとしてもハンドル50を固定することはできるが、本実施の形態では上下2箇所で接続(固定)しているため、ハンドル50の固定力を好適に確保することができる。したがって、作業者に対する作業性を向上することができる。
【0058】
また、ハンドル50は、プロテクト部56を有している。プロテクト部56は、ループ構造Sの内部において、第1連結部52の長手方向中間部と第2連結部53の長手方向中間部とを連結している。また、プロテクト部56が、バッテリー着脱部42に取付けられるバッテリーパック100と把持部51との間に配置されている。このため、把持部51を把持する作業者の手が不用意にバッテリーパック100に触れることを、プロテクト部56によって抑制することができる。また、仮に、切断工具10の作業中に、作業者の手が滑ったときなどでも、作業者の手がバッテリーパック100に触れることを、プロテクト部56によって抑制することができる。
【0059】
また、上述のように、プロテクト部56は、ループ構造Sの内部において、第1連結部52の長手方向中間部と第2連結部53の長手方向中間部とを連結している。これにより、プロテクト部56がハンドル50の補強部としても機能する。これにより、プロテクト部56によって、ハンドル50の全体の剛性を高くすることができる。また、第1連結部52の前端部と第2連結部53の前端部とは、切欠部55Aによって部分的に連結されている。これによって、ハンドル50の全体の剛性をさらに高くすることができる。
【0060】
また、プロテクト部56の内部には、制御部90が収容されている。これにより、第1連結部52及び第2連結部53に制御部90を収容させる必要がなくなる。よって、第1連結部52及び第2連結部53の小型化に寄与することができる。また、制御部90をプロテクト部56の内部に配置することで、制御部90を、モータ70及びコネクタ48と、ハンドル50の把持部51に配置されたスイッチ機構62(トリガ60)と、の間に配置することができる。これにより、モータ70、コネクタ48、及びスイッチ機構62から制御部90への配線の引き回しを容易に行うことができる。
【0061】
また、鋸刃95は、左右方向を板厚方向とする円板状に形成されている。さらに、ハンドル50の把持部51、第1連結部52、及び第2連結部53が、平面視でモータ70の軸方向に対して直交する方向に沿って延在されている。これにより、把持部51、第1連結部52、及び第2連結部53が、鋸刃95の側面と平行に延在されている。これにより、ハンドル50の左右方向の体格の大型化を抑制できると共に、切断工具10の左右方向の体格の大型化を抑制することができる。
【0062】
また、ハウジング30は、鋸刃95を収容する本体ハウジング32と、モータ70を収容するモータハウジング40と、を含んで構成されており、モータハウジング40が本体ハウジング32に固定されている。そして、ハンドル50の第1連結部52及び第2連結部53が、本体ハウジング32に固定されており、バッテリー着脱部42がモータハウジング40に設けられている。すなわち、ハウジング30において、ハンドル50が固定されるハウジングと、バッテリー着脱部42が設けられるハウジングと、が別ハウジングで構成されている。換言すれば、それぞれ別体となるハンドル50(ハンドルハウジング)とバッテリー着脱部42を有するモータハウジング40とが、鋸刃95を支持する本体ハウジング32を介して相互に接続されている。これにより、例えば、落下等によってハンドル50に衝撃力が入力されたときには、当該衝撃力が、主として本体ハウジング32に伝達される。このため、当該衝撃力が、モータハウジング40に伝達されることを抑制できる。したがって、バッテリー着脱部42に装着されるバッテリーパック100に対する保護性能を一層向上することができる。
【0063】
また、モータ70、モータハウジング40のバッテリー着脱部42、及びハンドル50の把持部51が、左右方向から見て、第1傾斜方向一方側へ、この順に並んで配置されており、モータハウジング40及びハンドル50の下側にベース20が配置されている。これにより、バッテリー着脱部42をベース20の上側に離間して配置させることができる。したがって、ハンドル50の第2連結部53の前端部をバッテリー着脱部42の下側に配置させて、本体ハウジング32に固定させることができる。
【0064】
また、モータハウジング40は、第2傾斜方向に分割された分割ハウジング部40A、40Bによって構成されている。分割ハウジング部40A、40Bには、ハウジング側レール部45がそれぞれ形成されており、ハウジング側レール部45がバッテリー着脱部42の一部を構成している。これにより、モータハウジング40において、ハウジング側レール部45を容易に形成することができる。
【0065】
また、ハンドル50には、右側へ開放された凹状のバッテリー収容部55が形成されており、バッテリー収容部55は、ハンドル50の第2連結部53における先端部の上側に配置されている。すなわち、バッテリー収容部55及びバッテリーパック100をベース20の上側に離間して配置することができる。換言すると、バッテリーパック100とベース20との間に隙間を設けることができる。これにより、当該隙間内に作業者の指を挿入して、バッテリーパック100を把持することができる。また、バッテリーパック100のバッテリー収容部55への収容状態では、バッテリーパック100のロック部材103が、バッテリーパック100の第2傾斜方向両側の側部に配置される。これにより、ロック部材103を、バッテリーパック100とベース20との間の隙間Gに露出させることができる。したがって、バッテリーパック100を右側から装着する構成にしても、バッテリーパック100の取外し性能を向上することができる。
【0066】
また、バッテリーパック100のバッテリー収容部55への収容状態では、バッテリーパック100のロック部材103が、バッテリー収容部55の外部に露出されるように、バッテリー収容部55の深さ寸法が設定されている。これにより、バッテリーパック100の取外し性能を一層向上することができる。また、バッテリーパック100のバッテリー収容部55への収容状態では、バッテリーパック100の右端部が、モータハウジング40の右端部よりも右側に突出しないように、バッテリー収容部55の深さ寸法が設定されている。これにより、バッテリーパック100に対する保護性能を維持しつつ、ハンドル50においてバッテリー収容部55を形成することができる。
【0067】
また、モータハウジング40の右端部には、第2傾斜方向から見て、右側及び第1傾斜方向一方側に開放された抉り部43が形成されており、モータハウジング40の第1傾斜方向一方側に、ハンドル50のバッテリー収容部55が配置されている。これにより、バッテリー収容部55にバッテリーパック100が収容されたときには、抉り部43内に作業者の手を配置して、バッテリーパック100を把持することができる。したがって、バッテリーパック100の装着性を向上することができる。
【0068】
また、ハンドル50の左右の側壁には、プロテクト部56の部位において、第2傾斜方向に沿って延在された曲げ稜線58が形成されており、曲げ稜線58は、第1連結部52から第2連結部53に亘って延在されている。これにより、プロテクト部56によるハンドル50に対する補強機能を効果的に高くすることができる。
【0069】
また、例えば、落下等によってハンドル50の把持部51に衝撃力が入力されたときには、当該衝撃力を、曲げ稜線58に沿って第1連結部52及び第2連結部53の外周部に伝達させることができる。すなわち、当該衝撃力を曲げ稜線58によって、第1連結部52及び第2連結部53の外周部に分散させることができる。したがって、当該衝撃力が、モータハウジング40及びバッテリー着脱部42に伝達されることを効果的に抑制できる。
【符号の説明】
【0070】
10…切断工具(作業機)、20…ベース、30…ハウジング、32…本体ハウジング、40…モータハウジング、40A…分割ハウジング部、40B…分割ハウジング部、42…バッテリー着脱部(電池着脱部)、45…ハウジング側レール部、50…ハンドル、51…把持部、52…第1連結部、53…第2連結部、56…プロテクト部、70…モータ、90…制御部、95…鋸刃(先端工具)、100…バッテリーパック(電池)、S…ループ構造
図1
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