(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電子機器、画像形成装置及びログイン認証方法
(51)【国際特許分類】
G06F 21/36 20130101AFI20240110BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240110BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240110BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G06F21/36
H04N1/00 838
H04N1/00 350
B41J29/00 Z
B41J29/42 F
(21)【出願番号】P 2022541456
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 JP2021027746
(87)【国際公開番号】W WO2022030303
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2020132624
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮地 光
【審査官】金沢 史明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0094770(US,A1)
【文献】特開2011-209833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像を記憶する画像記憶部と、
ユーザー固有の識別番号と、当該識別番号に対応付けたパスワード及び前記画像記憶部が記憶する画像の中から設定されたセキュリティ画像の情報とを記憶するセキュリティ情報記憶部と、
ユーザーの入力操作を受け付けて入力位置情報を出力する操作表示部と、
前記操作表示部にログイン画面を表示させ、この表示時に、前記操作表示部が前記パスワードの一文字を受け付ける度に、前記画像記憶部が記憶する前記画像を読み出して、表示の度に異なる前記画像を前記操作表示部に背景画像として表示させる表示制御部と、
前記操作表示部におけるログイン画面の表示時に、前記操作表示部が前記背景画像の表示部分に対して入力操作を受け付けたときに前記操作表示部が前記背景画像として表示していた画像の情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した情報を記憶する取得情報記憶部と、
前記操作表示部が受け付けた識別番号及びパスワードと、前記取得情報記憶部の記憶する情報とが、前記セキュリティ情報記憶部の記憶する内容に一致するか照合し、一致する場合にログインを許可するログイン認証部と、を備えた電子機器。
【請求項2】
前記操作表示部への前記パスワードの入力開始後であって全文字の入力が完了していない段階で、前記ログイン認証部が、前記操作表示部により受け付けられた識別番号及びパスワードと、前記取得情報記憶部の記憶する情報とが、前記セキュリティ情報記憶部の記憶する内容に一致すると判断した場合、前記表示制御部は、当該判断後は、前記セキュリティ情報記憶部に前記セキュリティ画像として情報が記憶されている画像を背景画像として表示させず、前記セキュリティ画像ではない他の画像を背景画像として表示させる請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記セキュリティ情報記憶部は、前記識別番号に、前記操作表示部上の特定の範囲を示すセキュリティタッチ範囲を更に対応付けて記憶し、
前記取得部は、前記操作表示部が前記ログイン画面を表示しているとき、前記操作表示部が入力操作を受け付けると前記操作表示部から前記入力位置情報を更に取得し、
前記取得情報記憶部は、前記取得部が取得した入力位置情報を更に記憶し、
前記ログイン認証部は、前記取得情報記憶部の記憶する入力位置情報と、前記セキュリティ情報記憶部の記憶する内容とが一致するかを更に照合し、当該更なる一致がある場合にログインを許可する請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記画像記憶部には、前記画像が種別毎に分類して記憶され、
前記セキュリティ情報記憶部には、前記セキュリティ画像の情報に代えて、前記種別が記憶され、
前記表示制御部は、前記画像記憶部が記憶する前記画像を前記種別毎に1つずつ読み出して、表示の度に異なる種別の前記画像を前記操作表示部に背景画像として表示させ、
前記取得部は、前記操作表示部が入力操作を受け付けたときに前記操作表示部が前記背景画像として表示していた画像の種別を取得し、
前記取得情報記憶部は、前記取得部が取得した情報を記憶し、
前記ログイン認証部は、前記取得情報記憶部が記憶する種別と、前記セキュリティ情報記憶部が記憶する種別とが一致することを、前記セキュリティ画像と、前記操作表示部が入力操作を受け付けたときに前記操作表示部が前記背景画像として表示していた画像とが一致することに代えて、ログインを許可する条件とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の電子機器と、
記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項6】
前記複数の画像を記憶する画像記憶部と、
ユーザー固有の識別番号に、パスワード及び前記画像記憶部が記憶する画像の中から設定されたセキュリティ画像の情報を対応付けて記憶するセキュリティ情報記憶部と、
ユーザーの入力操作を受け付けて入力位置情報を出力する操作表示部と、を備えた電子機器のログイン認証方法であって、
前記操作表示部が前記識別番号及び前記パスワードの入力を受け付ける入力ステップと、
前記操作表示部が前記パスワードの一文字を受け付ける度に、前記画像記憶部が記憶する前記画像を読み出して、表示の度に異なる前記画像を前記操作表示部に背景画像として表示させる表示ステップと、
前記操作表示部が前記ログイン画面を表示しているとき、前記操作表示部が前記背景画像の表示部分に対して入力操作を受け付けると前記操作表示部が前記背景画像として表示していた画像の情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにて取得された情報を記憶する記憶ステップと、
前記操作表示部が受け付けた識別番号及びパスワードと、前記記憶ステップで記憶した情報とが、前記セキュリティ情報記憶部の記憶する内容に一致するか照合し、一致する場合にログインを許可するログイン認証ステップと、
を備えたログイン認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ログイン認証を行う電子機器、電子形成装置及びログイン認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コピーやプリンター、ファクシミリ等の機能を備えた画像形成装置において、ユーザーがIDとパスワードを入力してログイン操作を行うことで、装置が使用可能となる機能を備えたものがある。このような機能を備えた画像形成装置では、機密文書等の他のユーザーに知られたくない文書を印刷する際に効果的である。
【0003】
特許文献1には、予め決定されている第一の文字列と、装置を使う度に設定される第二の文字列を合わせて構成されるパスワードを用いてログイン認証を行う画像形成装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
しかし、特許文献1は、装置を使う度に第二の文字列を発行する必要があり、手間がかかる。また、単にログイン認証を簡易にするだけではセキュリティが確保できない。
【0006】
本発明は、IDとパスワードを用いた通常のログイン認証に、ログイン毎に異なる簡単な認証方法を加えることで、複雑な認証処理を採用することなく、ログイン時のセキュリティを確保することを目的とする。
【0007】
本発明の一局面に係る電子機器は、複数の画像を記憶する画像記憶部と、ユーザー固有の識別番号と、当該識別番号に対応付けたパスワード及び前記画像記憶部が記憶する画像の中から設定されたセキュリティ画像の情報とを記憶するセキュリティ情報記憶部と、ユーザーの入力操作を受け付けて入力位置情報を出力する操作表示部と、前記操作表示部にログイン画面を表示させ、この表示時に、前記操作表示部が前記パスワードの一文字を受け付ける度に、前記画像記憶部が記憶する前記画像を読み出して、表示の度に異なる前記画像を前記操作表示部に背景画像として表示させる表示制御部と、前記操作表示部におけるログイン画面の表示時に、前記操作表示部が前記背景画像の表示部分に対して入力操作を受け付けたときに前記操作表示部が前記背景画像として表示していた画像の情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した情報を記憶する取得情報記憶部と、前記操作表示部が受け付けた識別番号及びパスワードと、前記取得情報記憶部の記憶する情報とが、前記セキュリティ情報記憶部の記憶する内容に一致するか照合し、一致する場合にログインを許可するログイン認証部と、を備えたものである。
【0008】
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、上記記載の電子機器と、記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える。
【0009】
また、本発明の一局面に係るログイン認証方法は、前記複数の画像を記憶する画像記憶部と、ユーザー固有の識別番号に、パスワード及び前記画像記憶部が記憶する画像の中から設定されたセキュリティ画像の情報を対応付けて記憶するセキュリティ情報記憶部と、ユーザーの入力操作を受け付けて入力位置情報を出力する操作表示部と、を備えた電子機器のログイン認証方法であって、前記操作表示部が前記識別番号及び前記パスワードの入力を受け付ける入力ステップと、前記操作表示部が前記パスワードの一文字を受け付ける度に、前記画像記憶部が記憶する前記画像を読み出して、表示の度に異なる前記画像を前記操作表示部に背景画像として表示させる表示ステップと、前記操作表示部が前記ログイン画面を表示しているとき、前記操作表示部が前記背景画像の表示部分に対して入力操作を受け付けると前記操作表示部が前記背景画像として表示していた画像の情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップにて取得された情報を記憶する記憶ステップと、前記操作表示部が受け付けた識別番号及びパスワードと、前記記憶ステップで記憶した情報とが、前記セキュリティ情報記憶部の記憶する内容に一致するか照合し、一致する場合にログインを許可するログイン認証ステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ログイン認証に必要な条件としてパスワードだけではなく、パスワード入力中に切り替えて表示される背景画像からセキュリティ画像を選択するという条件を加えることで、複雑な認証処理を採用することなく、パスワードだけを用いたログインに比べてセキュリティレベルを上げることができ、セキュリティ対策を強化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】セキュリティ情報記憶部のデータ構成の一例を示す図である。
【
図4】画像記憶部のデータ構成の一例を示した図である。
【
図5】タッチパネル上の範囲を説明するための図である。
【
図6】ログイン認証処理の流れを示したフローチャートである。
【
図11】取得情報記憶部のデータ構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態にかかる電子機器、画像形成装置及びログイン認証方法について図面を参照して説明する。本実施の形態における画像形成装置は、本発明における電子機器を備えたものである。
【0013】
図1は、本実施の形態における画像形成装置100を示す斜視図である。
図2は、画像形成装置100の内部構成を示すブロック図である。本実施形態の画像形成装置100は、例えば、コピー機、プリンター及びファクシミリ等の用紙に画像を印刷するものである。または、スキャナ機能、コピー機能、プリンター機能及びファクシミリ機能等の複数の機能を備えた複合機であってもよい。この画像形成装置100は、操作部13、表示部14、タッチパネル15、画像読取部5、画像形成部6、記憶部7、給紙カセット17及び排出トレイ18等から概略構成される。なお、操作部13、表示部14、及びタッチパネル15が特許請求の範囲における操作表示部の一例となる。
【0014】
画像形成装置100が画像読取動作を行う場合、後述する制御ユニット1の制御部91による制御のもと、画像読取部5が原稿載置台12に載置された原稿を読み取り、原稿画像を取得する。
【0015】
画像形成装置100が画像形成動作を行う場合は、画像読取部5が取得した原稿画像に基づいて、画像形成部6が給紙カセット17から給紙される用紙に画像を形成する。画像形成済みの用紙は、排出トレイ18に排出される。
【0016】
また、装置本体の前面には、操作部13及び表示部14が配置されている。操作部13は、例えば、メニューを呼び出すメニューキー、各種動作や設定の確定操作を行う決定キー、スタートキー等を備えている。
【0017】
表示部14は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイを備えている。また、表示部14には、ユーザーが触れることで入力操作を行うことができるタッチパネルが一体的に配設されている。
【0018】
制御ユニット1は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成される。プロセッサーは、CPU(Central Processing Unit)、MPU、又はASIC等である。この制御ユニット1は、プロセッサーがROM等に記憶された制御プログラムを実行することにより、制御部91、表示制御部92、取得部93、取得情報記憶部94及びログイン認証部95として機能する。尚、制御ユニット1の上記各部は、制御プログラムに基づく動作によらず、それぞれハード回路により構成されてもよい
【0019】
制御部91は、画像形成装置100の全体的な動作制御を司る。表示制御部92は、表示部14に対する表示制御を行う。取得部93は、ログイン認証処理を行う上で必要な情報を取得し、取得情報記憶部94は取得部93が取得した情報を一時記憶する。ログイン認証部95は、ログインを行うために入力された内容とセキュリティ情報記憶部71が記憶する内容を照合する。
【0020】
記憶部7は、画像データ、各種のプログラム、データテーブルなどを記憶するSSD、HDDからなる大容量の記憶装置であり、セキュリティ情報記憶部71及び画像記憶部72を有する。
【0021】
図3はセキュリティ情報記憶部71のデータ構成の一例を示す図である。セキュリティ情報記憶部71は、ユーザー固有の識別番号(ユーザーID)に、パスワード、セキュリティ画像の情報(個々の画像を識別可能な情報。例えばファイル名)及びセキュリティタッチ範囲を対応付けて記憶する。セキュリティ画像とは、ログイン認証に用いる画像として、ユーザー毎に予め定められた画像である。ログイン認証部95は、ユーザーによるパスワード入力中であって、当該ユーザーに対応付けられたセキュリティ画像が表示されているときに、ユーザーにより当該セキュリティ画像の表示部分のタッチパネル15にタッチ操作(入力操作の一例)が受け付けられることをログイン認証条件の一つとする。またセキュリティ画像は、画像記憶部72が記憶する画像の中から設定される。
【0022】
図4は、画像記憶部72のデータ構成の一例を示した図である。画像記憶部72はログイン時に表示部14が表示する背景画像を記憶し、例えば複数のジャンル(種別)毎に複数の画像を記憶する。本実施の形態では、ジャンルを海、空、街及び森の4つとし、それぞれのジャンルで複数の画像を記憶する。
【0023】
画像記憶部72が記憶する画像は、画像形成装置100の工場出荷前に予め記憶されていてもよいし、画像形成装置100の設置後に画像読取部5が読み取った画像、外部装置から転送された画像、インターネット等のネットワークを経由してダウンロードした画像等が記憶されてもよい。
【0024】
また、ログイン認証部95は、セキュリティ画像が表示されたときにユーザーがタッチする位置もログイン認証条件の一つとする。セキュリティタッチ範囲とは、ログイン認証に必要なタッチ操作が行われる範囲として、ユーザー毎に予め定められた、表示部14に表示されるセキュリティ画像におけるタッチパネル15上の範囲である。すなわち、ユーザーは、ログイン認証を得るために、セキュリティ画像が表示されたときにタッチパネル15上におけるセキュリティタッチ範囲で示された範囲をタッチすることになる。
【0025】
図5は、タッチパネル15上の範囲を説明するための図である。例えば、セキュリティ画像が表示される領域であって、タッチパネル15が設けられている領域を4分割する。本実施の形態では、説明を分かりやすくするために、タッチパネル15を4分割したそれぞれの範囲を「左上」、「左下」、「右上」及び「右下」と記載するが、実際にはタッチパネル15の座標系を用いてその範囲が示される。そして、
図3に示すように、セキュリティ情報記憶部71は、ユーザーID毎にセキュリティタッチ範囲を記憶する。
【0026】
セキュリティ画像及びセキュリティタッチ範囲は、ユーザーによる操作部13の操作による指定で、事前に任意の画像及び範囲がセキュリティ情報記憶部71に記憶されることで設定してもよいし、ユーザーの初期登録時等に制御部91が自動的に割り当ててセキュリティ情報記憶部71に記憶させてもよい。なお、セキュリティ画像は、画像記憶部72が記憶する画像の中から設定される。
【0027】
図6は、本実施の形態におけるログイン認証処理の流れを示したフローチャートである。
図7~
図10は、表示部14の表示例を示した図である。
図7は、ユーザーが表示部14に表示されるウインドウWにおける入力欄74にユーザーIDを入力し終わった時の表示例を示した図である。
【0028】
ユーザーIDの入力が終わると、ユーザーは入力欄75(
図7)にタッチパネル15又は操作部13を介してパスワードを入力する。これに基づいて操作部13がパスワードの入力を一文字受け付けると(S11;YES)、表示制御部92は、画像を画像記憶部72からランダムに一つ読み出して、表示部14に背景画像として表示させる(S12)。
図8は、このときの表示部14の表示例を示した図である。このとき、表示制御部92は画像記憶部72が記憶するファイル名「image11」の画像を読み出し、表示部14に表示させたとする。
【0029】
タッチパネル15により上記背景画像が表示されている領域(ここでは、ウインドウWの表示領域を除く上記背景画像の表示領域)におけるタッチ操作が検出されず(S13;NO)、操作部13がパスワードの入力を更に一文字受け付けると(S11;YES)、表示制御部92は、画像記憶部72に記憶されている画像から、既に表示させた上記画像とは異なる画像をランダムに一つ読み出して、表示部14に背景画像として更に表示させる(S12)。
図9は、このときの表示部14の表示例を示した図である。このとき、表示制御部92は画像記憶部72が記憶するファイル名「image12」の画像を読み出し、表示部14に表示させたとする。
【0030】
そして更に、タッチパネル15によりタッチ操作を検出されず(S13;NO)、操作部13がパスワードの入力を更に一文字受け付けると(S11;YES)、表示制御部92は、画像記憶部72に記憶されている画像から、既に表示させた上記2つの画像とは異なる画像をランダムに一つ読み出して、表示部14に背景画像として更に表示させる(S12)。すなわち、表示制御部92は、操作部13がパスワードの一文字を受け付ける度に、画像記憶部72が記憶する画像を読み出して、表示の度に異なる画像を表示部14に背景画像として表示させる。
【0031】
図10は、このときの表示部14の表示例を示した図である。このとき、表示制御部92は画像記憶部72が記憶するファイル名「image01」の画像を読み出し、表示部14に表示させたとする。
【0032】
そして、タッチパネル15によりタッチ操作が検出され(S13;YES)、このタッチ操作のタッチ位置(入力位置の一例)が、ログインボタン73ではなく、(上記背景画像が表示されている領域(ここでは、ウインドウWの表示領域を除く上記背景画像の表示領域)である場合(S15;NO)、取得部93は表示部14が表示している画像のファイル名と、タッチパネル15からタッチ操作のなされたタッチ位置を取得し、取得情報記憶部94に記憶させる(S14)。例えば、ユーザーは
図10のイラスト8の人差し指で示した位置をタッチ操作したとき、タッチパネル15は当該タッチ操作のタッチ位置P1の座標(入力位置情報の一例)を取得部93へ出力する。
図11は、この場合に取得情報記憶部94に記憶されるデータ構成の一例を示した図である。
【0033】
引き続き、パスワードの入力が完了するまで、つまりログインボタン73がタッチされるまで、制御部91等によりS11~S15の処理が繰り返される。なお、取得部93は、S14が行われる度に、表示部14が表示している画像のファイル名と、タッチパネル15からタッチ操作のなされたタッチ位置を取得し、取得情報記憶部94に記憶させる。
【0034】
そして、タッチパネル15がログインボタン73のタッチを受け付けると(S15;YES)、ログイン認証部95は、入力欄74に入力されているユーザーIDに一致するユーザーIDをセキュリティ情報記憶部71から検索し、検索されたユーザーIDと対応付けて記憶されているパスワードを読み出して、この読み出したパスワードと、この時点まで一文字ずつ入力欄75に入力された文字列からなるパスワードとが一致するかを照合する(S16)。
【0035】
更に、ログイン認証部95は、セキュリティ情報記憶部71からユーザーIDと対応付けて記憶されているセキュリティ画像のファイル名及びセキュリティタッチ範囲を読み出し、この読み出したセキュリティ画像のファイル名及びセキュリティタッチ範囲と、取得情報記憶部94が記憶する画像ファイル名とタッチ位置とが一致するかを照合する(S16)。ログイン認証部95は、タッチ位置に関しては、取得情報記憶部94が記憶するタッチ位置がセキュリティタッチ範囲内にあるか否かを判断し、タッチ位置がセキュリティタッチ範囲内にあることをもって一致と判断する。また、ログイン認証部95は、取得情報記憶部94に複数の画像ファイル名及びタッチ位置の組み合わせが記憶されている場合には、複数の画像ファイル名及びタッチ位置の組み合わせのうち、1つでも、上記読み出したセキュリティ画像のファイル名及びセキュリティタッチ範囲に一致していれば、上記読み出したセキュリティ画像のファイル名及びセキュリティタッチ範囲と、取得情報記憶部94が記憶する画像ファイル名とタッチ位置とが一致するものと判断する。
【0036】
ログイン認証部95は、入力されたユーザーIDとパスワード、選択されたセキュリティ画像及びセキュリティタッチ位置が、セキュリティ情報記憶部71に記憶された内容(ユーザーID、これに対応付けられたパスワード、画像ファイル名、及びタッチ位置)と一致すると判断した場合(S17;YES)、ユーザーの画像形成装置100へのログインを許可する(S18)。また、ログイン認証部95は、当該一致を判断しなかった場合は(S17;NO)、ログインを許可しない。このときは、表示制御部92が表示部14にログイン失敗を示すエラーメッセージを表示させる(S19)。
【0037】
このように、パスワードの入力中に、表示制御部92が表示部14の背景画像を切り替えて表示させ、パスワードの一致に加えて、ユーザーに対応付けられたセキュリティ画像
が背景画像として表示部14に表示されたときに、当該背景画像(セキュリティ画像)の表示領域におけるタッチパネル15へのタッチ操作が受け付けられることを条件としてログインが許可されるため、パスワードだけを用いたログイン認証に比べて、ログインのための複雑な認証処理を採用することなく、セキュリティレベルを上げることができる。
【0038】
更に、また、他人は、表示部14に表示されている背景画像がユーザーに対応付けられたセキュリティ画像であること、そして、当該セキュリティ画像に対してタッチ操作をすることが、ログイン許可の条件とされていることを知らない限り、ログインを成功させることはできない。また、表示制御部92は画像記憶部72から画像をランダムに読み出して表示部14に表示させるため、ユーザーがセキュリティ画像の表示に合わせてタッチパネル15をタッチするタイミングをログイン毎に異ならせることができる。これらにより、他人がログイン動作を盗み見してタッチ操作のタイミングを理解しても意味がなく、不正ログインに対するセキュリティ対策を強化できる。
【0039】
また、ログインが許可されるためには、パスワード入力中に、セキュリティ画像が背景画像として表示部14に表示されたとき、ユーザーだけが知るセキュリティタッチ範囲におけるタッチ操作がタッチパネル15を介して受け付けられることも条件になる。このため、他人が、正式ユーザーに対応付けられたセキュリティ画像を認識できたとしても、当該セキュリティ画像に対して求められるタッチ位置が分からなければログインできない。これにより、不正ログインに対するセキュリティ対策を更に強化できる。
【0040】
なお、本実施の形態では、一つのユーザーIDに一つのセキュリティ画像を対応付けて設定することとして説明したが、一つのユーザーIDに対して、画像そのものではなく、セキュリティ画像のジャンル(種別)を対応付けて設定してもよい。この場合、画像記憶部72には複数の画像がジャンル毎に分類して記憶される。セキュリティ情報記憶部71には、セキュリティ画像の情報に代えて、上記ジャンルが記憶される。表示制御部92は、画像記憶部72が記憶する画像を上記ジャンル毎に1つずつ読み出して、表示の度に異なるジャンルの画像を表示部14に背景画像として表示させる。そして、取得部93は、タッチパネル15がタッチ操作を受け付けたときに表示部14に背景画像として表示されていた画像のジャンルを取得し、取得情報記憶部94は、取得部93が取得した当該ジャンルを含む情報を記憶する。ログイン認証部95は、取得情報記憶部94が記憶するジャンルと、セキュリティ情報記憶部71が記憶する種別とが一致することを、セキュリティ情報記憶部71から読み出したセキュリティ画像のファイル名と、取得情報記憶部94が記憶する画像ファイル名とが一致することに代えて、ログインを許可する条件とする。
【0041】
例えば、あるユーザーのセキュリティ画像のジャンルが「海」として対応付けられている場合、パスワード入力中に、「海」のジャンルに含まれるいずれかの画像が背景画像として表示されたときに、当該背景画像に対するタッチ操作がタッチパネル15を介して受け付けられれば、ログイン認証部95がログインを許可することになる。これにより、ユーザーはセキュリティ画像の内容を正確に覚えておく必要がなく、セキュリティ画像のジャンル名さえ覚えておけばログインが可能となる。
【0042】
また、
図6に示した上記ログイン認証処理では、ユーザーに対応付けられたセキュリティ画像が背景画像として複数回表示された場合には、当該セキュリティ画像に対する各回のタッチ操作のタッチ位置が記憶されるものとしているが、ログイン認証部95は、S14の後、直ちに、セキュリティ情報記憶部71に記憶されている、ユーザーIDに対応付けて記憶されているセキュリティ画像のファイル名及びセキュリティタッチ範囲と、取得情報記憶部94が記憶する画像ファイル名とタッチ位置とが一致するかを照合し、ログイン認証部95が一致すると判断した場合には、表示制御部92は、以降は、ユーザーに対応付けられたセキュリティ画像を背景画像として表示させず、他の画像を背景画像として表示させるようにしてもよい。
【0043】
また、上記では、操作部13がパスワードの3文字目を受け付けたときに表示された画像がセキュリティ画像である場合を例に説明したが、パスワードの入力が終わった時点でセキュリティ画像が表示されておらず、ユーザーがセキュリティ画像をタッチできない可能性がある。
【0044】
そこで、このようにセキュリティ画像が未だ表示されていない場合には、ユーザーがタッチパネル15上のログインボタン73以外の領域をタッチして当該タッチ位置がタッチパネル15を介して受け付けられたときに(S13;YES、S15;NO)、表示制御部92が、画像記憶部72から画像をランダムに読み出して表示部14に更に表示させるようにしてもよい(この場合、処理はS12に移る)。
そして、ユーザーは、セキュリティ画像が表示制御部92により表示されるまでタッチパネル15のタッチを繰り返す(処理はS12,S13,S15,S14が繰り返される)。この場合、ユーザーにより、セキュリティ画像が表示されたときにセキュリティタッチ範囲に対応する範囲がタッチされて、当該タッチ操作がタッチパネル15により検出されたときにS14の処理が行われる。この後、タッチパネル15を介してユーザーによるログインボタン73のタッチ操作が受け付けられたときに(S15;YES)、S16以降の処理が行われる。