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  • 特許-細胞培養容器及び細胞培養システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】細胞培養容器及び細胞培養システム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240110BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240110BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C12M1/34 D
C12Q1/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022545502
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 JP2021025595
(87)【国際公開番号】W WO2022044555
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2020142616
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 統宏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 豊之
(72)【発明者】
【氏名】米田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】田窪 健二
(72)【発明者】
【氏名】藤山 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大久保 智樹
(72)【発明者】
【氏名】小関 英一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 亮吾
(72)【発明者】
【氏名】後藤 洋臣
(72)【発明者】
【氏名】冨田 定
【審査官】菅原 洋平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/222333(WO,A1)
【文献】特開2019-017346(JP,A)
【文献】特表2014-530618(JP,A)
【文献】特開昭60-251878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、
筒状部及び酸素透過性のメンブレンを有するセルカルチャーインサートと、
蓋部材とを備え、
前記容器本体には、前記容器本体の内部に連通している開口が形成されており、
前記筒状部は、上端と、下端とを含み、前記下端が前記容器本体の内部に位置するように前記開口に挿入されており、
前記筒状部の前記下端側は、前記メンブレンにより閉塞されており、
前記筒状部の前記上端側は、前記蓋部材により閉塞されており、
前記蓋部材は、前記筒状部の内部側を向いている下面を含み、
前記蓋部材には、前記下面において前記筒状部の内部に連通している電極挿入口及び培地排出口が形成されており、
前記メンブレンと前記下面との間の距離は、前記電極挿入口の前記下面側の端から前記培地排出口の前記下面側の端に近づくにしたがって大きくなっている、細胞培養容器。
【請求項2】
前記蓋部材は、前記下面の反対面である上面を含み、
前記下面は、前記上面に向かって凸の曲面であり、
前記下面には、凹部が形成されており、
前記下面は、前記凹部において、前記凹部の周囲にある前記下面の部分よりも前記上面側に向かって窪んでおり、
前記培地排出口の前記下面側の端は、前記凹部に位置している、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項3】
前記蓋部材には、前記下面において前記筒状部の内部に連通している培地導入口が形成されており、
前記メンブレンと前記下面との間の距離は、前記培地導入口の前記下面側の端から前記培地排出口の前記下面側の端に近づくにしたがって大きくなっている、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項4】
請求項3に記載の前記細胞培養容器と、
前記培地導入口に接続されている第1チューブと、
前記培地排出口に接続されている第2チューブと、
前記第1チューブを介して前記筒状部の内部に第1培地を導入するとともに、前記第2チューブを介して前記筒状部の内部から前記第1培地を排出させるポンプと、
前記筒状部の内部に貯留されている前記第1培地に電気的に接続されるように前記電極挿入口に挿入されている第1電極と、
前記容器本体に埋設されることにより前記容器本体の内部に貯留されている第2培地と電気的に接続されている第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間の電気抵抗値を測定する経上皮電気抵抗測定装置とを備える、細胞培養システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養容器及び細胞培養システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(国際公開第2018/079793号)に記載の細胞培養容器は、培養槽と、細胞培養インサート(以下においては「セルカルチャーインサート」とする)とを有している。培養槽には、培養槽の内部に連通している開口部が設けられている。セルカルチャーインサートは、筒状部と、筒状部の下端を閉塞している多孔質膜(以下においては「メンブレン」とする)とを有している。筒状部は、メンブレンが培養槽の内部に位置するように開口部に挿入されている。筒状部の内部には第1培地が貯留されており、培養槽の内部には第2培地が貯留されている。メンブレン上では、細胞の培養が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/079793号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の細胞培養容器においては、実験中に第1培地の交換を行うこと及びメンブレン上で培養されている細胞の状態をモニタリングすることが想定されていない。
【0005】
本発明は、培地の交換を行いながらメンブレン上の細胞の状態を正確にモニタリングすることが可能な細胞培養容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の細胞培養容器は、容器本体と、筒状部及び酸素透過性のメンブレンを有するセルカルチャーインサートと、蓋部材とを備える。容器本体には、容器本体の内部に連通している開口が形成されている。筒状部は、上端と、下端とを含み、下端が容器本体の内部に位置するように開口に挿入されている。筒状部の下端側は、メンブレンにより閉塞されている。筒状部の上端側は、蓋部材により閉塞されている。蓋部材は、筒状部の内部側を向いている下面を含む。蓋部材には、下面において筒状部の内部に連通している電極挿入口及び培地排出口が形成されている。メンブレンと下面との間の距離は、電極挿入口の下面側の端から培地排出口の下面側の端に近づくにしたがって大きくなっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の細胞培養容器によると、培地の交換を行いながらメンブレン上の細胞の状態を正確にモニタリングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】細胞培養容器10の断面図である。
図2】蓋部材13の平面図である。
図3】蓋部材13の底面図である。
図4図2のIV-IVにおける断面図である。
図5】細胞培養システム100の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。ここでは、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0010】
(実施形態に係る細胞培養容器の構成)
以下に、実施形態に係る細胞培養容器(以下においては「細胞培養容器10」とする)の構成を説明する。
【0011】
図1は、細胞培養容器10の断面図である。図1に示されるように、細胞培養容器10は、容器本体11と、セルカルチャーインサート12と、蓋部材13と、蓋部材14と、電極15a及び電極15bと、電極15c及び電極15dとを有している。
【0012】
容器本体11は、上壁11aと、底壁11bと、側壁11cとを有している。上壁11a及び底壁11bは、間隔を空けて互いに対向している。側壁11cは、その上端において上壁11aに連なっているとともに、その下端において底壁11bに連なっている。上壁11a、底壁11b及び側壁11cにより、容器本体11の内部空間が画されている。容器本体11は、例えば樹脂材料により形成されている。
【0013】
上壁11aには、開口11aaが形成されている。開口11aaは、厚さ方向に沿って上壁11aを貫通している。このことを別の観点から言えば、開口11aaは、容器本体11の内部と連通している。上壁11aは、起立部11abを有している。起立部11abは、底壁11bとは反対側に向かって(上方に向かって)延在している。起立部11abは、開口11aaの周囲に位置している。
【0014】
セルカルチャーインサート12は、筒状部12aと、メンブレン12bと、フランジ部12cとを有している。
【0015】
筒状部12aは、筒状の形状を有している。筒状部12aの上端から筒状部12aの下端に向かう方向に直交している断面視において、筒状部12aは、例えば、円環形状を有している。筒状部12aの上端は、開口している。筒状部12aの下端は、メンブレン12bにより閉塞されている。
【0016】
筒状部12aは、その下端が容器本体11の内部に位置するように(メンブレン12bが容器本体11の内部に位置するように)開口11aaに挿入されている。なお、筒状部12aと開口11aaとの間は、適宜の方法により気密に封止されている。
【0017】
メンブレン12bは、酸素透過性である。メンブレン12bは、例えば、ポリカーボネート製のトラックエッチ膜である。メンブレン12bは、第1主面12baと、第2主面12bbとを有している。第2主面12bbは、第1主面12baの反対面である。
【0018】
第1主面12baは、容器本体11の内部側を向いている面である。第2主面12bbは、筒状部12aの内部側を向いている面である。このことを別の観点から言えば、容器本体11の内部空間の一部は第1主面12baにより画されており、筒状部12aの内部空間の一部は第2主面12bbにより画されている。
【0019】
第2主面12bb上には、細胞が培養される。この細胞は、例えば、第2主面12bb上においてタイトジャンクション(密着結合)を形成する腸管上皮細胞である。この細胞の具体例としては、Caco-2細胞が挙げられる。
【0020】
筒状部12aの内部には、第1培地16が貯留されている。第1培地16は、細菌を含んでいる。この細菌は、例えば、嫌気性細菌である。容器本体11の内部には、第2培地17が貯留されている。第1培地16中の溶存酸素濃度は、第2培地17中の溶存酸素濃度よりも低い。このことを別の観点から言えば、第1培地16は嫌気培地であり、第2培地17は好気培地である。
【0021】
上記のとおり、メンブレン12bは、酸素透過性である。そのため、第2培地17中の酸素は、メンブレン12bを透過して第2主面12bb上で培養されている細胞に供給される。これにより、第2主面12bb上において細胞の培養が可能になる。
【0022】
フランジ部12cは、筒状部12aの上端側にある。フランジ部12cは、筒状部12aの外周面から、筒状部12aの上端から筒状部12aの下端に向かう方向と交差する方向に沿って張り出している。セルカルチャーインサート12は、フランジ部12cが起立部11abにより支持されることにより、上壁11aから底壁11bに向かう方向に沿った移動が規制されている。
【0023】
蓋部材13は、例えば、樹脂材料により形成されている。この樹脂材料は、例えば、シリコーン樹脂である。蓋部材13は、筒状部12aの上端側から、筒状部12aの内部に挿入されている。これにより、筒状部12aの上端側が、蓋部材13により閉塞されている。
【0024】
蓋部材13は、上面13aと、下面13bとを有している。下面13bは、上面13aの反対面である。下面13bは、筒状部12aの内部側を向いている。
【0025】
図2は、蓋部材13の平面図である。図3は、蓋部材13の底面図である。図4は、図2のIV-IVにおける断面図である。図1図4に示されるように、下面13bは、上面13aに向かって凸の曲面であることが好ましい。下面13bには、凹部13baが形成されていることが好ましい。下面13bは、凹部13baにおいて、凹部13baの周囲よりも上面13aに向かって窪んでいる。凹部13baは、例えば、上面13aに向かって凸の曲面である。
【0026】
蓋部材13には、培地導入口13cと、培地排出口13dと、電極挿入口13eと、電極挿入口13fとが形成されている。培地導入口13c、培地排出口13d、電極挿入口13e及び電極挿入口13fは、例えば、上面13aから下面13bに向かって蓋部材13を貫通している。このことを別の観点から言えば、培地導入口13c、培地排出口13d、電極挿入口13e及び電極挿入口13fは、下面13b側の端において、筒状部12aの内部と連通している。
【0027】
筒状部12aの内部には、培地導入口13cから第1培地16が導入される。筒状部12aの内部に貯留されている第1培地16は、培地排出口13dから排出される。
【0028】
下面13bは、電極挿入口13eの下面13b側の端から培地排出口13dの下面13b側の端に向かうにしたがって、メンブレン12bとの間の距離が大きくなっている。このことを別の観点から言えば、下面13bは、電極挿入口13eの下面13b側の端から培地排出口13dの下面13b側の端に向かうにしたがって、上面13aとの間の距離が小さくなっている。
【0029】
図示されていないが、下面13bは、電極挿入口13fの下面13b側の端から培地排出口13dの下面13b側の端に向かうにしたがって、メンブレン12bとの間の距離が大きくなっている(上面13aとの間の距離が小さくなっている)。
【0030】
下面13bは、培地導入口13cの下面13b側の端から培地排出口13dの下面13b側の端に向かうにしたがって、メンブレン12bとの間の距離が小さくなっている(上面13aとの間の距離が小さくなっている)。
【0031】
培地排出口13dの下面13b側の端は、凹部13baに配置されている。培地排出口13dの下面13b側の端は、凹部13baを構成している曲面の頂点に配置されていることが好ましい。凹部13baを構成している曲面の頂点は、凹部13baのうちの上面13aとの距離が最も小さくなっている位置である。
【0032】
蓋部材14は、容器本体11に着脱可能に取り付けられている。より具体的には、蓋部材14は、起立部11abとの間でフランジ部12cを挟み込むように容器本体11に取り付けられている。これにより、セルカルチャーインサート12が容器本体11から脱落することが防止されている。なお、蓋部材14には開口14aが形成されている。開口14aからは、上面13aが露出している。
【0033】
電極15aは、電極挿入口13eに挿入されている。これにより、電極15aの一方端は、筒状部12aの内部に貯留されている第1培地16に電気的に接続されている。電極15aの他方端は、蓋部材13の外部に位置している。
【0034】
電極15bは、電極挿入口13fに挿入されている。これにより、電極15bの一方端は、筒状部12aの内部に貯留されている第1培地16に電気的に接続されている。電極15bの他方端は、蓋部材13の外部に位置している。
【0035】
電極15c及び電極15dは、容器本体11に埋設されている。より具体的には、電極15c及び電極15dは、底壁11bに埋設されている。電極15c及び電極15dは、容器本体11の内部に貯留されている第2培地17に電気的に接続されている。電極15c及び電極15dは、容器本体11の外部に露出している。
【0036】
(実施形態に係る細胞培養システムの構成)
以下に、実施形態に係る細胞培養システム(以下においては、「細胞培養システム100」とする)の構成を説明する。
【0037】
図5は、細胞培養システム100の模式図である。図5に示されるように、細胞培養システム100は、細胞培養容器10と、培地容器20と、培地容器30と、チューブ40と、チューブ50と、ポンプ60と、経上皮電気抵抗測定装置80とを有している。細胞培養容器10、培地容器20、培地容器30、チューブ40、チューブ50、ポンプ60及び経上皮電気抵抗測定装置80は、嫌気チャンバ90内に収納されている。
【0038】
培地容器20には、第1培地16が貯留されている。チューブ40は、一方端において培地容器20に接続されており、他方端において培地導入口13cに接続されている。これにより、筒状部12aの内部と培地容器20とが、チューブ40を介して接続されている。ポンプ60は、チューブ40に取り付けられている。ポンプ60は、例えば、チューブポンプである。ポンプ60を駆動することにより、培地容器20に貯留されている第1培地16が、チューブ40を介して、培地導入口13cから筒状部12aの内部に導入される。
【0039】
チューブ50は、一方端において培地容器30に接続されており、他方端において培地排出口13dに接続されている。これにより、筒状部12aの内部と培地容器30とが、チューブ50を介して接続されている。ポンプ60を駆動することにより、筒状部12aの内部に貯留されている第1培地16は、培地排出口13dから、チューブ50を介して培地容器30に排出される。すなわち、第1培地16の培地容器30への供給及び第1培地16の培地容器30からの回収は、ポンプ60により行われる。
【0040】
経上皮電気抵抗測定装置80は、第1端子と、第2端子とを有している。経上皮電気抵抗測定装置80の第1端子は、電極15a及び電極15bに接続されている。経上皮電気抵抗測定装置80の第2端子は、電極15c及び電極15dに接続されている。経上皮電気抵抗測定装置80は、電極15a及び電極15bと電極15c及び電極15dとの間の電気抵抗値を、例えば、4端子法により測定する。
【0041】
第2主面12bb上に培養されている細胞がタイトジャンクションを形成している場合とそうでない場合とで、電極15a及び電極15bと電極15c及び電極15dとの間の電気抵抗値が変動する。そのため、経上皮電気抵抗測定装置80を用いて上記の電気抵抗値を測定することにより、第2主面12bb上に培養されている細胞がタイトジャンクションを形成しているか否かの判定が可能である。
【0042】
(実施形態に係る細胞培養容器の効果)
以下に、細胞培養容器10の効果を説明する。
【0043】
細胞培養容器10においては、培地導入口13cを介して第1培地16を筒状部12aの内部に導入することができるとともに、培地排出口13dを介して第1培地16を筒状部12aの外部に排出することができる。このように、細胞培養容器10によると、第1培地16を実験中に交換することにより筒状部12aの内部における細菌の過度の増殖を抑制することができるため、実験を長時間継続させることができる。
【0044】
第1培地16を交換する結果、筒状部12aの内部には、第1培地16とともに気泡が導入されることがある。また、筒状部12aの内部において、第1培地16に含まれる細菌が、気泡を排出することがある。これらの気泡が電極15a及び電極15bに付着することにより、経上皮電気抵抗測定装置80により測定される電気抵抗値に変動が生じる。すなわち、これらの気泡が電極15a及び電極15bに付着することにより、メンブレン12b上で培養されている細胞の状態を正確にモニタリングすることが困難になる。
【0045】
しかしながら、細胞培養容器10においては、下面13bが電極挿入口13e(電極挿入口13f)の下面13b側の端から培地排出口13dの下面13b側の端に近づくにしたがってメンブレン12bとの間の距離が大きくなっている。
【0046】
その結果、上記の気泡は、電極15a(電極15b)に付着したとしても、浮力の作用により下面13bに沿って培地排出口13dに向かって移動し、培地排出口13dから排出されやすい。このように、細胞培養容器10によると、第1培地16の交換を行いながらメンブレン12b上の細胞の状態を正確にモニタリングすることが可能となる。
【0047】
細胞培養容器10において、下面13bに凹部13baが形成されている場合、上記の気泡が凹部に集まりやすくなる。そのため、この場合には、培地排出口13dから上記の気泡をさらに排出しやすくなる。
【0048】
また、細胞培養容器10において、下面13bが培地導入口13cの下面13b側の端から培地排出口13dの下面13b側の端に近づくにしたがってメンブレン12bとの距離が大きくなっている場合、第1培地16とともに培地導入口13cから導入された気泡が、浮力の作用により下面13bに沿って培地排出口13dから排出されやすくなる。
【0049】
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0050】
100 細胞培養システム、10 細胞培養容器、11 容器本体、11a 上壁、11aa 開口、11ab 起立部、11b 底壁、11c 側壁、12 セルカルチャーインサート、12a 筒状部、12b メンブレン、12ba 第1主面、12bb 第2主面、12c フランジ部、13 蓋部材、13a 上面、13b 下面、13ba 凹部、13c 培地導入口、13d 培地排出口、13e,13f 電極挿入口、14 蓋部材、14a 開口、15a,15b,15c,15d 電極、16 第1培地、17 第2培地、20,30 培地容器、40,50 チューブ、60 ポンプ、80 経上皮電気抵抗測定装置。
図1
図2
図3
図4
図5