(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電動過給機
(51)【国際特許分類】
F02B 39/10 20060101AFI20240110BHJP
F02B 39/00 20060101ALI20240110BHJP
F02B 39/16 20060101ALI20240110BHJP
F04D 29/44 20060101ALI20240110BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20240110BHJP
H02K 9/06 20060101ALI20240110BHJP
H02K 9/22 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F02B39/10
F02B39/00 B
F02B39/00 U
F02B39/16 G
F02B39/00 G
F04D29/44 N
F04D29/58 P
F04D29/58 S
H02K9/06 C
H02K9/22 Z
(21)【出願番号】P 2022545611
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 JP2021029182
(87)【国際公開番号】W WO2022044764
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2020140746
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】迫田 晃司
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 裕司
(72)【発明者】
【氏名】中山 隼
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/080501(WO,A1)
【文献】特開2010-196478(JP,A)
【文献】特開2007-224899(JP,A)
【文献】特開2007-040255(JP,A)
【文献】国際公開第2019/139199(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/10
F02B 39/00
F02B 39/16
F04D 29/44
F04D 29/58
H02K 9/06
H02K 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータを有するモータと、
前記ステータの端面に熱的に接続されるディフューザプレートと、
前記モータに取り付けられた回転軸によって回転するインペラと、
前記インペラを収容すると共に前記インペラを囲むスクロール流路を有するコンプレッサケーシングと、を備え、
前記ディフューザプレートは、熱媒体を流通させる
冷却流路を有
し、
前記ディフューザプレートは、円板状であって、前記ステータの端面に熱的に接続された第1端面を含む第1プレート部材と、前記コンプレッサケーシングと協働して前記インペラから排気される流体を前記インペラから前記スクロール流路へ導くディフューザ流路を形成する第2端面を含む第2プレート部材と、を有し、
前記第1プレート部材の熱伝導率は、前記第2プレート部材の熱伝導率より高い、電動過給機。
【請求項2】
前記第1プレート部材が受ける温度は、前記第2プレート部材が受ける温度よりも低い、請求項
1に記載の電動過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動過給機は、圧縮した空気から熱を受ける。電動過給機は、インペラを回転させるモータを備えているが、このモータも熱源となる。圧縮空気の熱及びモータの熱などによって電動過給機を構成する部品の温度が上昇すると、電動過給機が所望の性能を発揮できない場合が生じる。そこで、特許文献1、2に開示されるように、電動過給機は、構成部品を冷却するための冷却構造を備えている。特許文献1の冷却構造は、モータ及びインペラの冷却を対象としている。特許文献2の冷却構造は、インペラの冷却を対象としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-196478号公報
【文献】特開2017-150339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動過給機にはさらなる性能の向上が望まれている。電動過給機の性能を向上させるためには、モータの出力を高める必要がある。モータの出力を高めるためには、モータに大きな電流を提供する。大きな電流が提供されたモータは、さらに発熱する。この発熱によってモータの温度が高まると、モータの出力が低下する可能性がある。従って、冷却性能をさらに高める必要があった。
【0005】
本開示は、冷却性能をさらに高めることが可能な電動過給機を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電動過給機は、ステータを有するモータと、ステータの端面に熱的に接続されるディフューザプレートと、を備える。ディフューザプレートは、熱媒体を流通させる流路を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電動過給機は、冷却性能をさらに高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の電動過給機の構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すディフューザプレートの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、ディフューザプレートとステータとの関係を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の電動過給機は、ステータを有するモータと、ステータの端面に熱的に接続されるディフューザプレートと、を備える。ディフューザプレートは、熱媒体を流通させる流路を有する。
【0010】
ステータの内部の発熱した箇所からステータの端面までの熱抵抗は、比較的小さい。従って、ステータの端面にディフューザプレートを熱的に接続するとともに、ディフューザプレートの流路に熱媒体を流通させることにより、ステータから効率よく抜熱することが可能である。従って、冷却効率をさらに高めることができる。
【0011】
本開示の電動過給機は、モータに取り付けられた回転軸によって回転するインペラと、インペラを収容すると共にインペラを囲むスクロール流路を有するコンプレッサケーシングと、をさらに備えてもよい。ディフューザプレートは、円板状であって、第1端面と第2端面とを有してもよい。第1端面は、ステータの端面に熱的に接続されてもよい。第2端面は、コンプレッサケーシングと協働してインペラから排気される流体をインペラからスクロール流路へ導くディフューザ流路を形成してもよい。このような構成によっても、良好な冷却効率を得ることができる。
【0012】
本開示の電動過給機においてディフューザプレートは、第1端面を含む第1プレート部材と、第2端面を含む第2プレート部材と、を有してもよい。第1プレート部材の熱伝導率は、第2プレート部材の熱伝導率と異なってもよい。この構成によれば、熱伝導率の高い第1プレート部材側から熱媒体に熱を移動させることができる。従って、ステータを効率よく冷却することができる。
【0013】
本開示の電動過給機において第1プレート部材の熱伝導率は、第2プレート部材の熱伝導率より高くてもよい。この構成によれば、熱伝導率の高い第1プレート部材側から熱媒体にさらに効率よく熱を移動させることができる。従って、ステータをさらに効率よく冷却することができる。
【0014】
本開示の電動過給機において第1プレート部材が受ける温度は、第2プレート部材が受ける温度よりも低くてもよい。この態様によっても、電動過給機は、ステータから効率よく熱を奪うことが可能である。従って、ステータをさらに効率よく冷却することができる。
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本開示の電動過給機を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、本開示の電動過給機1の断面図である。
図1に示すように、電動過給機1は、コンプレッサ10と、モータ20と、を備える。電動過給機1は、電力を動力源とするモータ20によってコンプレッサ10を駆動する。コンプレッサ10は、回転軸30を介してモータ20から動力を受ける。電動過給機1は、圧縮された空気を排気する。
【0017】
コンプレッサ10は、インペラ11と、コンプレッサケーシング12と、を有する。コンプレッサケーシング12は、吸入口13とスクロール流路14とを有する。吸入口13は、回転軸30と同軸の開口部である。スクロール流路14は、回転軸線RLを囲む。インペラ11は、吸入口13の奥側に配置されている。スクロール流路14は、インペラ11を囲む。これらの配置によれば、吸入口13から吸い込まれた空気は、インペラ11を介してスクロール流路14に至る。ディフューザ流路15は、インペラ11とスクロール流路14との間に形成されている。ディフューザ流路15は、インペラ11から空気を受ける。ディフューザ流路15は、受けた空気をスクロール流路14に渡す。ディフューザ流路15は、コンプレッサケーシング12のケーシング壁面12aと後述するディフューザプレート40とによって形成される。
【0018】
モータ20は、ロータ21と、ステータ22と、を有する。ロータ21は、回転軸30に固定されている。ロータ21は、回転軸30とともに回転する。ロータ21は、例えば複数の永久磁石を含む。ステータ22は、ロータ21を囲むように設けられた部材である。ステータ22は、コイルを含んでいる。
【0019】
モータ20は、さらに、ステータケース23と、パスブロック24と、モータケーシング25と、を有する。ステータケース23は、ステータ22及びロータ21を収容する。ステータケース23は、円筒形状である。ステータケース23の内部には、ステータ22が固定される。ステータケース23の一方の端は、ケース開口23a(
図2参照)を構成する。ステータケース23の他方の端は、ケース端面23bによって閉鎖されている。ケース端面23bは、後述するモータケーシング25と協働して背面側冷却流路F2を構成する。
【0020】
図2に示すように、ケースリブ23dは、ステータケース23のケース外周面23cに設けられている。ケースリブ23dには、パスブロック24が取り付けられる。パスブロック24は、ステータケース23とは別体の部品である。パスブロック24は、ブロック背面24aと、ブロック主面24bと、を有する。ブロック背面24aは、ケースリブ23dに当接する。ブロック主面24bは、ディフューザプレート40に当接する。パスブロック24は、連結流路24Fを有する。連結流路24Fは、ブロック背面24aからブロック主面24bに貫通する穴である。連結流路24Fは、背面側冷却流路F2を後述するディフューザプレート40の主面側冷却流路F1に連結する。
【0021】
ケース開口23aは、ディフューザプレート40によって閉鎖されている。ディフューザプレート40は、前述したように、コンプレッサケーシング12と協働してディフューザ流路15を構成する。ディフューザプレート40は、コンプレッサ10とモータ20とを隔てる。ディフューザプレート40は、モータ側円板41(第1プレート部材)と、コンプレッサ側円板42(第2プレート部材)と、を有する。モータ側円板41は、平面視して円形の薄板である。言い換えれば、モータ側円板41は、回転軸線RL方向から見て、円形の薄板である。コンプレッサ側円板42も、平面視して円形の薄板である。言い換えれば、コンプレッサ側円板42も、回転軸線RL方向から見て、円形の薄板である。モータ側円板41の主面がコンプレッサ側円板42の背面に当接することによって、ディフューザプレート40が構成されている。モータ側円板41は、貫通穴であるモータ側穴41Hを有する。コンプレッサ側円板42も貫通穴であるコンプレッサ側穴42Hを有する。モータ側穴41H及びコンプレッサ側穴42Hの中心は、回転軸線RLに一致する。モータ側穴41H及びコンプレッサ側穴42Hは、同軸である。
【0022】
モータ側円板41を構成する材料は、コンプレッサ側円板42を構成する材料と異なっている。モータ側円板41を構成する材料の熱伝導率は、コンプレッサ側円板42を構成する材料の熱伝導率と異なっている。モータ側円板41の熱伝導率は、コンプレッサ側円板42の熱伝導率よりも高い。例えば、モータ側円板41を構成する材料として、アルミニウム合金といった金属材料を採用してよい。コンプレッサ側円板42を構成する材料として、ポリフェニレンサルファイド樹脂(Poly Phenylene Sulfide Resin)又はフェノール樹脂といった耐熱樹脂材料を採用してよい。
【0023】
熱伝導率に相違を持たせた材料の選択によれば、モータ20からディフューザプレート40への熱移動と、コンプレッサ10からディフューザプレート40への熱移動と、に偏りを持たせることができる。ディフューザプレート40は、熱伝導率の高いモータ側円板41から積極的に熱を受け入れる。熱伝導率の低い樹脂材料の選択によれば、コンプレッサ10側からモータ20側への熱移動を抑制することができる。
【0024】
モータ側円板41は、モータ側背面41a(第1端面)とモータ側主面41bとを有する。モータ側背面41aは、モータ20にも接触する。モータ側背面41aは、パスブロック24に当接する。モータ側背面41aは、ステータケース23に収容されたステータ22のステータ主面22aにも接続されている。
【0025】
ここでいう「接続」とは、熱的に接続されていることを意味する。熱的に接続されているとは、モータ側背面41aとステータ主面22aとの間に隙間が存在すると仮定する。この仮定のもと、隙間に空気が満たされている状態の熱抵抗よりも、モータ側背面41aからステータ主面22aへの熱抵抗が小さくなっている状態を「熱的に接続されている」と定義してもよい。「熱的に接続されている」例として、モータ側背面41aがステータ主面22aに物理的に接触している状態が挙げられる。物理的に接触している状態であれば、ステータ主面22aとモータ側背面41aとの間に、熱移動に影響を及ぼすような実質的な空気層が形成されない。従って、ステータ主面22aからモータ側背面41aへ熱が良好に移動する。「熱的に接続されている」別の例として、ステータ主面22aとモータ側背面41aとの間には隙間が存在するが、その隙間が伝熱グリスといった熱伝導材料によって満たされている状態が挙げられる。熱伝導材料は、空気よりも熱伝導率が高いので、モータ側背面41aからステータ主面22aへ熱が良好に移動する。
【0026】
流路溝41Gは、モータ側主面41bに形成されている。流路溝41Gは、モータ側主面41bに掘り込まれた凹部である。流路溝41Gは、貫通穴41G1と、円環溝部41G2と、連結溝部41G3と、を含む。貫通穴41G1は、モータ側主面41bからモータ側背面41aに貫通する。貫通穴41G1は、モータ側背面41aにおいてパスブロック24の連結流路24Fと連結される。従って、モータ側背面41aはパスブロック24に対して、水密に接続されている。
【0027】
図3に示すように、円環溝部41G2は、回転軸線RLを囲む円環形状を呈する。円環溝部41G2は、回転軸線RLの方向から平面視したときにステータ主面22aと重複してよい。例えば、円環溝部41G2のすべてがステータ主面22aに重複してもよいし、円環溝部41G2の一部がステータ主面22aに重複していてもよい。ステータ主面22aとの重複の態様は、円環溝部41G2の直径によって調整できる。ステータ主面22aとの重複の態様は、円環溝部41G2の溝幅によっても調整できる。円環溝部41G2は、回転軸線RLの周りに180度以上の中心角をもって形成されている。この角度は、パスブロック24の連結流路24Fの位置に応じて設定してよい。
【0028】
連結流路24Fとの接続部分である貫通穴41G1の位置が円環溝部41G2よりも外側であるとき、貫通穴41G1を円環溝部41G2につなぐ連結溝部41G3が設けられる。連結溝部41G3は、円環溝部41G2と貫通穴41G1との位置関係によって必要に応じて設けることとしてよい。例えば、貫通穴41G1が円環溝部41G2と重複する場合には、連結溝部41G3は省略してよい。
【0029】
再び
図2に示すように、コンプレッサ側円板42は、コンプレッサ側背面42aとコンプレッサ側主面42b(第2端面)とを有する。コンプレッサ側背面42aは、モータ側主面41bに当接する。コンプレッサ側背面42aは、モータ側主面41bに形成されている貫通穴41G1、円環溝部41G2及び連結溝部41G3の開口部分を閉鎖する。従って、コンプレッサ側主面42bは、貫通穴41G1、円環溝部41G2及び連結溝部41G3と協働して主面側冷却流路F1を構成する。コンプレッサ側主面42bは、インペラ領域42b1と、ディフューザ領域42b2と、を含む。インペラ領域42b1は、インペラ11と対面する。ディフューザ領域42b2は、ディフューザ流路15を構成する。ディフューザ領域42b2は、インペラ領域42b1を囲んでいる。
【0030】
電動過給機1が備える個々の部品について詳細に説明した。次に、電動過給機1が備える冷却機構に注目した説明を行う。冷却機構は、モータ20を冷却する。モータ20の温度上昇は、モータ20の特性に影響を及ぼす。具体的には、モータ20の温度が上がりすぎると、モータ20の出力が低下する傾向にある。従って、モータ20は、その稼働時においてあらかじめ設定される温度よりも高くならないようにする必要がある。一方、モータ20には、動力源として電流がコイルに提供される。電流がコイルを流れるとき、電気抵抗に起因して発熱が生じる。モータ20の出力を高めるほど、大電流が流されるので発熱の度合いも高まる。さらに、コンプレッサ10において空気が圧縮されると、圧縮空気は高温になる。例えば、圧縮空気の温度は摂氏280度以上にも達する。つまり、電動過給機1の稼働時においては、様々な要因で熱が発生する。従って、これらの熱によってモータ20の温度が設定値を超えないように、積極的に熱を排出する必要がある。そこで、電動過給機1は、背面側冷却流路F2と主面側冷却流路F1とを含む冷却機構を備えている。
【0031】
モータ20が含む主な発熱源は、コイルを含むステータ22である。ステータ22のコイルは、ティースといった部品に巻きまわされている。コイルを構成する導線の隙間は、樹脂材料によって埋め込まれている。冷却機構は、ステータ22から効率よく抜熱する。
【0032】
冷却機構は、ステータ22の両端面を熱経路として採用する。冷却機構は、回転軸線RLに沿ってステータ22を挟む。ステータ背面側には、背面側冷却流路F2が配置される。背面側冷却流路F2は、モータケーシング25とステータケース23とによって構成される。背面側冷却流路F2を構成する溝は、モータケーシング25に設けられてもよい。背面側冷却流路F2を構成する溝は、ステータケース23に設けられてもよい。ステータ主面22a側には、主面側冷却流路F1が配置される。主面側冷却流路F1は、ディフューザプレート40によって構成される。主面側冷却流路F1及び背面側冷却流路F2は、パスブロック24によって相互に接続されている。背面側冷却流路F2、主面側冷却流路F1及び連結流路24Fは、相互に連通する。背面側冷却流路F2、主面側冷却流路F1及び連結流路24Fは、一つの流路を構成する。
【0033】
電動過給機1は、ステータ22を有するモータ20と、ステータ主面22aに熱的に接続されるディフューザプレート40と、を備える。ディフューザプレート40は、熱媒体を流通させる主面側冷却流路F1を有する。ステータ22の発熱箇所からステータ主面22aまでの熱抵抗は、比較的小さい。従って、ステータ主面22aにディフューザプレート40を熱的に接続するとともに、ディフューザプレート40の主面側冷却流路F1に熱媒体を流通させることにより、ステータ22から効率よく抜熱することが可能である。従って、冷却効率をさらに高めることができる。
【0034】
ディフューザプレート40は、円板状である。ディフューザプレート40は、モータ側背面41aとコンプレッサ側主面42bとを有する。モータ側背面41aは、ステータ主面22aに熱的に接続される。コンプレッサ側主面42bは、コンプレッサケーシング12と協働してインペラ11から排気される流体をインペラ11からスクロール流路14へ導くディフューザ流路15を形成する。電動過給機1においてディフューザプレート40は、モータ側背面41aを含むモータ側円板41と、コンプレッサ側主面42bを含むコンプレッサ側円板42と、を有する。モータ側円板41の熱伝導率は、コンプレッサ側円板42の熱伝導率と異なる。より詳細には、モータ側円板41の熱伝導率は、コンプレッサ側円板42の熱伝導率より高い。さらに、電動過給機1においてモータ側円板41が受ける温度は、コンプレッサ側円板42が受ける温度よりも低い。
【0035】
ところで、ディフューザプレート40の背面側がモータ20に熱的に接続され、ディフューザプレート40の主面側がディフューザ流路15を形成することは既に述べた。
【0036】
モータ20側の温度は、コンプレッサ10側の温度よりも低い。換言すると、ディフューザプレート40に流れる熱媒体の温度を基準としてみたとき、熱媒体の温度とモータ20側の温度との温度差は、熱媒体の温度とディフューザ流路15側の温度との温度差よりも小さい。熱の移動のし易さは、温度差に比例する。温度差が大きいほど、熱移動しやすい。温度の関係だけに注目すると、ディフューザプレート40への熱移動は、コンプレッサ10側からの熱移動が支配的となりやすい。その結果、冷却対象であるモータ20からの抜熱が不十分となり、ステータ22を十分に冷却できない可能性がある。
【0037】
そこで、実施形態のディフューザプレート40は、互いに異なる熱伝導率を有する材料によって構成する。具体的には、積極的に抜熱したいモータ20側の部品には、熱の流入を抑制したいコンプレッサ10側の部品の材料よりも熱伝導率の高い材料を適用する。一方、熱の流入を抑制したいコンプレッサ10側の部品には、積極的に抜熱したいモータ20側の部品の材料よりも熱伝導率の低い材料を適用する。温度の低い側に熱伝導率の高い部品を配置すると共に、温度の高い側に熱伝導率の低い部品を配置する。このような構成によれば、相対的に温度の低いモータ20側から熱媒体に熱を良好に移動させることができる。
【0038】
本開示の電動過給機は、上述した実施形態の構成及び方法に限定されない。
【符号の説明】
【0039】
1 電動過給機
10 コンプレッサ
11 インペラ
12 コンプレッサケーシング
12a ケーシング壁面
13 吸入口
14 スクロール流路
15 ディフューザ流路
20 モータ
21 ロータ
22 ステータ
22a ステータ主面
23 ステータケース
23a ケース開口
23b ケース端面
23c ケース外周面
23d ケースリブ
24 パスブロック
24a ブロック背面
24b ブロック主面
24F 連結流路
25 モータケーシング
30 回転軸
40 ディフューザプレート
41 モータ側円板(第1プレート部材)
41a モータ側背面(第1端面)
41b モータ側主面
41G 流路溝
41G1 貫通穴
41G2 円環溝部
41G3 連結溝部
41H モータ側穴
42 コンプレッサ側円板(第2プレート部材)
42a コンプレッサ側背面
42b コンプレッサ側主面(第2端面)
42b1 インペラ領域
42b2 ディフューザ領域
42H コンプレッサ側穴
F1 主面側冷却流路
F2 背面側冷却流路
RL 回転軸線