(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06N 20/00 20190101AFI20240110BHJP
【FI】
G06N20/00
(21)【出願番号】P 2022547333
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(86)【国際出願番号】 JP2020034545
(87)【国際公開番号】W WO2022054246
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】海老原 章記
(72)【発明者】
【氏名】宮川 大輝
【審査官】山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-97781(JP,A)
【文献】特開2009-245314(JP,A)
【文献】米国特許第05774379(US,A)
【文献】開作 直樹 Naoki Kaisaku,時系列構造変化点検出のためのSPRTにおける重回帰モデルの再学習方法,平成26年電気学会全国大会講演論文集 [3] エレクトロニクス/情報工学システム/センサ・マイクロマシン THE 2014 ANNUAL MEETING RECORD I.E.E. JAPAN,日本,2014年03月05日,p.93-p.94
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系列データに含まれる複数の要素を逐次的に取得する取得手段と、
前記複数の要素のうち少なくとも2つの要素に基づいて、前記系列データが複数のクラスのいずれに属するかを示す分類指標を算出する算出手段と、
所定条件を満たした場合に前記分類指標を所定値にリセットする第1処理、又は前記分類指標を算出するスレッドを新たに立ち上げる第2処理のいずれかを実行する処理手段と、
前記分類指標に基づいて、前記系列データにおける検知対象クラスの要素が含まれる区間を判定する判定手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記分類指標が第1閾値を超えている場合に、前記検知対象クラスの要素が含まれる区間であると判定し、前記分類指標が前記第1閾値を超えた後、前記分類指標が第2閾値を下回った場合に、前記検知対象クラスの要素が含まれる区間でなくなったと判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定条件は、前記分類指標がいずれかのクラスに対応する閾値を超えることであることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定条件は、前記分類指標が前記検知対象クラス以外のクラスに対応する閾値を超えることであることを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定値は、前記分類指標の初期値であることを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定条件は、前記分類指標が前記検知対象クラスに対応する第4閾値を超えることであることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記所定値は、前記第4閾値であることを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記所定条件は、前記分類指標の傾きが第5閾値を超えることであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記所定条件は、所定数の要素が取得されることであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記算出手段は、
前記複数の要素の各々が前記複数のクラスのうちのあるクラスに属することの尤もらしさを示す尤度比を算出する第1算出手段と、
前記尤度比に基づいて、前記系列データが前記複数のクラスのうちのあるクラスに属することの尤もらしさを示す統合尤度比を前記分類指標として算出する第2算出手段と
を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
系列データに含まれる複数の要素を逐次的に取得し、
前記複数の要素のうち少なくとも2つの要素に基づいて、前記系列データが複数のクラスのいずれに属するかを示す分類指標を算出し、
所定条件を満たした場合に前記分類指標を所定値にリセットする第1処理、又は前記分類指標を算出するスレッドを新たに立ち上げる第2処理のいずれかを実行し、
前記分類指標に基づいて、前記系列データにおける検知対象クラスの要素が含まれる区間を判定する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
系列データに含まれる複数の要素を逐次的に取得し、
前記複数の要素のうち少なくとも2つの要素に基づいて、前記系列データが複数のクラスのいずれに属するかを示す分類指標を算出し、
所定条件を満たした場合に前記分類指標を所定値にリセットする第1処理、又は前記分類指標を算出するスレッドを新たに立ち上げる第2処理のいずれかを実行し、
前記分類指標に基づいて、前記系列データにおける検知対象クラスの要素が含まれる区間を判定する
ようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、例えばクラス分類に用いる情報を処理する情報処理装置、情報処理方法、及びコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシステムとして、系列データにおいて特定のデータが存在する区間を判定するものが知られている。例えば特許文献1では、同一のラベルが連続する区間を抽出して、各ラベルに対応するデータの区間をデータ列において特定する技術が開示されている。
【0003】
その他の関連する技術として、例えば特許文献2では、クラス尤度が時間的に連続して所定の閾値を超えた場合には各クラスフィルタで算出したクラス尤度を、それ以外の場合には所定の固定値を採用し出力することが開示されている。特許文献3では、検出対象であることを示すラベル+1、もしくは検出対象でないことを示すラベル-1の2種類の離散値を出力する場合に、確率値の比の値(尤度比)もしくはその対数(対数尤度比)を出力してもよいことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-136589号公報
【文献】特開2009-204418号公報
【文献】特開2006-268825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この開示は、上述した関連する技術を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の情報処理装置の一の態様は、系列データに含まれる複数の要素を逐次的に取得する取得手段と、前記複数の要素のうち少なくとも2つの要素に基づいて、前記系列データが複数のクラスのいずれに属するかを示す分類指標を算出する算出手段と、所定条件を満たした場合に前記分類指標を所定値にリセットする第1処理、又は前記分類指標を算出するスレッドを新たに立ち上げる第2処理のいずれかを実行する処理手段と、前記分類指標に基づいて、前記系列データにおける検知対象クラスの要素が含まれる区間を判定する判定手段とを備える。
【0007】
この開示の情報処理方法の一の態様は、系列データに含まれる複数の要素を逐次的に取得し、前記複数の要素のうち少なくとも2つの要素に基づいて、前記系列データが複数のクラスのいずれに属するかを示す分類指標を算出し、所定条件を満たした場合に前記分類指標を所定値にリセットする第1処理、又は前記分類指標を算出するスレッドを新たに立ち上げる第2処理のいずれかを実行し、前記分類指標に基づいて、前記系列データにおける検知対象クラスの要素が含まれる区間を判定する。
【0008】
この開示のコンピュータプログラムの一の態様は、系列データに含まれる複数の要素を逐次的に取得し、前記複数の要素のうち少なくとも2つの要素に基づいて、前記系列データが複数のクラスのいずれに属するかを示す分類指標を算出し、所定条件を満たした場合に前記分類指標を所定値にリセットする第1処理、又は前記分類指標を算出するスレッドを新たに立ち上げる第2処理のいずれかを実行し、前記分類指標に基づいて、前記系列データにおける検知対象クラスの要素が含まれる区間を判定するようにコンピュータを動作させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る情報処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャート(その1)である。
【
図4】第1実施形態に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャート(その2)である。
【
図5】第2実施形態に係る情報処理装置における区間判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】第1閾値と第2閾値とが等しい場合の区間判定処理の一例を示すグラフである。
【
図7】第1閾値が第2閾値より高い場合の区間判定処理の一例を示すグラフである。
【
図8】第1閾値が第2閾値より低い場合の区間判定処理の一例を示すグラフである。
【
図9】第3実施形態に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図10】第3実施形態の変形例に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図11】第3実施形態の変形例に係る情報処理装置における分類指標の変化の一例を示すグラフである。
【
図12】第4実施形態に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図13】第4実施形態の変形例に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図14】第4実施形態の変形例に係る情報処理装置における分類指標の変化の一例を示すグラフである。
【
図15】第5実施形態に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図16】第5実施形態に係る情報処理装置における分類指標の変化の一例を示すグラフである。
【
図17】第6実施形態に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図18】第6実施形態に係る情報処理装置における分類指標の変化の一例を示すグラフである。
【
図19】第7実施形態に係る情報処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図20】第7実施形態に係る情報処理装置における指標算出処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、情報処理装置、情報処理方法、及びコンピュータプログラムの実施形態について説明する。
【0011】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る情報処理装置について、
図1から
図4を参照して説明する。
【0012】
(ハードウェア構成)
まず、
図1を参照しながら、第1実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、第1実施形態に係る情報処理装置10は、プロセッサ11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、記憶装置14とを備えている。情報処理装置10は更に、入力装置15と、出力装置16とを備えていてもよい。プロセッサ11と、RAM12と、ROM13と、記憶装置14と、入力装置15と、出力装置16とは、データバス17を介して接続されている。
【0014】
プロセッサ11は、コンピュータプログラムを読み込む。例えば、プロセッサ11は、RAM12、ROM13及び記憶装置14のうちの少なくとも一つが記憶しているコンピュータプログラムを読み込むように構成されている。或いは、プロセッサ11は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。プロセッサ11は、ネットワークインタフェースを介して、情報処理装置10の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、読み込んでもよい)。プロセッサ11は、読み込んだコンピュータプログラムを実行することで、RAM12、記憶装置14、入力装置15及び出力装置16を制御する。本実施形態では特に、プロセッサ11が読み込んだコンピュータプログラムを実行すると、プロセッサ11内には、特定のクラスに属するデータが存在する区間を判定するための機能ブロックが実現される。また、プロセッサ11として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、DSP(Demand-Side Platform)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のうち一つを用いてもよいし、複数を並列で用いてもよい。
【0015】
RAM12は、プロセッサ11が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶する。RAM12は、プロセッサ11がコンピュータプログラムを実行している際にプロセッサ11が一時的に使用するデータを一時的に記憶する。RAM12は、例えば、D-RAM(Dynamic RAM)であってもよい。
【0016】
ROM13は、プロセッサ11が実行するコンピュータプログラムを記憶する。ROM13は、その他に固定的なデータを記憶していてもよい。ROM13は、例えば、P-ROM(Programmable ROM)であってもよい。
【0017】
記憶装置14は、情報処理装置10が長期的に保存するデータを記憶する。記憶装置14は、プロセッサ11の一時記憶装置として動作してもよい。記憶装置14は、例えば、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0018】
入力装置15は、情報処理装置10のユーザからの入力指示を受け取る装置である。入力装置15は、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0019】
出力装置16は、情報処理装置10に関する情報を外部に対して出力する装置である。例えば、出力装置16は、情報処理装置10に関する情報を表示可能な表示装置(例えば、ディスプレイ)であってもよい。
【0020】
(機能的構成)
次に、
図2を参照しながら、第1実施形態に係る情報処理装置10の機能的構成について説明する。
図2は、第1実施形態に係る情報処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、第1実施形態に係る情報処理装置10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、取得部50と、指標算出部100と、処理実行部200と、区間判定部300とを備えている。なお、取得部50、指標算出部100、処理実行部200、及び区間判定部300の各々は、上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現されてよい。
【0022】
取得部50は、系列データに含まれる複数の要素を逐次的に取得可能に構成されている。取得部50は、例えば複数の要素を1つずつ取得する。取得部50は、任意のデータ取得装置(例えば、カメラ等)から直接データを取得するものであってもよいし、あらかじめデータ取得装置で取得されストレージ等に記憶されているデータを読み出すものであってもよい。取得部50で取得された系列データの要素は、指標算出部100に出力される構成となっている。
【0023】
指標算出部100は、取得部50で取得された複数の要素のうち少なくとも2つの要素に基づいて、分類指標を算出可能に構成されている。指標算出部100は、例えば取得部50において連続して取得される2つの要素に基づいて、分類指標を算出する。なお、ここでの「分類指標」とは、系列データが複数のクラスのいずれに属するかを示す指標である。分類指標の具体例や具体的な算出方法については、後述する他の実施形態において詳しく説明する。「クラス」は、物体についての事象の真偽に関するものであってもよいし、物体の特定の属性の有無に関するものであってもよい。クラスは、物体の状態の陽と陰に関するものであってもよい。例えば、クラスは、人物の顔が本物か(真)、あるいは、仮面等による変装(なりすまし)をしているか(偽)を示してもよい。他の例では、クラスは、人物が何らかのアクセサリを装着しているか(有)、していないか(無)を示してもよい。その他の例では、クラスは、人物の健康状態が良好か(陽)、あるいは、健康状態が悪いか(陰)に関するものであってもよい。しかしながら、クラスは上述した例には限定されない。
【0024】
処理実行部200は、分類指標に関する処理である第1処理又は第2処理を実行可能に構成されている。第1処理は、所定の条件を満たした場合に、分類指標を所定値にリセットする(即ち、強制的に所定値に変更する)処理である。所定条件及び所定値の具体例や設定方法については、後述する実施形態で詳しく説明する。一方、第2処理は、取得部50において分類指標を算出するスレッド(言い換えれば、計算プロセス)を新たに立ち上げる処理である。処理実行部200は、第1処理又は第2処理のいずれか一方のみを実行可能に構成されてよい。或いは、処理実行部200は、第1処理又は第2処理を選択的に切り替えて実行可能に構成されてよい。この場合、第1処理及び第2処理のいずれを実行するかは、システム管理者等によって適宜設定可能とされてよい。
【0025】
区間判定部300は、指標算出部100で算出された分類指標、或いは処理実行部200による処理の結果として得られる分類指標に基づいて、系列データにおける検知対象クラスの要素が含まれる区間を判定可能に構成されている。ここでの「検知対象クラス」とは、複数のクラスに含まれる1つ又は2つ以上のクラスであり、情報処理装置10の検知対象として予め設定されるものである。検知対象クラスは、例えばシステム管理者等が設定すればよい。区間判定部300は、例えば、算出された分類指標が検知対象クラスに対応する値であるか、それとも検知対象クラス以外のクラスに対応する値であるかを判定して、検知対象クラスの要素が含まれる区間を判定する。区間判定部300は、検知対象クラスの要素が含まれる区間が開始された地点や、検知対象クラスの要素が含まれる区間が終了した地点を検出することで、検知対象クラスの要素が含まれる区間を判定するようにしてもよい。区間判定部300のより具体的な処理内容については、後述する他の実施形態において詳しく説明する。
【0026】
(第1処理を実行する場合の動作)
次に、
図3を参照しながら、第1実施形態に係る情報処理装置10の動作(特に、処理実行部200が第1処理を実行する場合の動作)の流れについて説明する。
図3は、第1実施形態に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャート(その1)である。
【0027】
図3に示すように、第1実施形態に係る情報処理装置10の動作が開始されると、まず取得部50が、系列データから1つの要素を取得する(ステップS11)。取得部50は、取得した系列データの要素を、指標算出部100に出力する。そして、指標算出部100は、取得された2つ以上の要素に基づいて分類指標を算出する(ステップS12)。
【0028】
続いて、処理実行部200が、所定条件を満たしているか否かを判定する(ステップS13)。所定条件を満たしていると判定した場合(ステップS13:YES)、処理実行部200は、分類指標を所定値にリセットする処理(即ち、第1処理)を実行する(ステップS14)。一方、所定条件を満たしていないと判定した場合(ステップS13:NO)、処理実行部200は、ステップS14の処理を省略する(即ち、第1処理は実行されない)。
【0029】
続いて、区間判定部300が、分類指標に基づいて区間判定を行う(ステップS15)。この際、区間判定部300は、判定結果(例えば、検知対象クラスの要素が含まれる区間に関する情報)を出力するようにしてもよい。判定結果は、例えば上述した出力装置16(
図1参照)によって出力されてよい。判定結果は、例えばディスプレイに表示されてもよいし、音声として出力されてもよい。
【0030】
続いて、第1実施形態に係る情報処理装置10は、上述した一連の処理を終了するか否かを判定する(ステップS16)。情報処理装置10は、例えば系列データのすべての要素を取得した場合や、一連の処理のループ回数が所定回数に到達した場合等に、一連の処理を終了すると判定してよい。処理を終了すると判定された場合(ステップS16:YES)、一連の処理は終了することになる。一方、処理を終了しないと判定された場合(ステップS16:NO)、再びステップS11から処理が開始されることになる。
【0031】
(第2処理を実行する場合の動作)
次に、
図4を参照しながら、第1実施形態に係る情報処理装置10の動作(特に、処理実行部200が第2処理を実行する場合の動作)の流れについて説明する。
図4は、第1実施形態に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャート(その2)である。なお、
図4では、
図3で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0032】
図4に示すように、第1実施形態に係る情報処理装置10の動作が開始されると、まず取得部50が、系列データから1つの要素を取得する(ステップS11)。そして、処理実行部200が、分類指標を算出するスレッドを新たに立ち上げる処理(即ち、第2処理)を実行する(ステップS22)。
【0033】
続いて、指標算出部100は、取得された2つ以上の要素に基づいて分類指標を算出する(ステップS12)。
【0034】
続いて、区間判定部300が、分類指標に基づいて区間判定を行う(ステップS15)。この際、区間判定部300は、判定結果(例えば、検知対象クラスの要素が含まれる区間に関する情報)を出力するようにしてもよい。判定結果は、例えば上述した出力装置16(
図1参照)によって出力されてよい。判定結果は、例えばディスプレイに表示されてもよいし、音声として出力されてもよい。
【0035】
続いて、第1実施形態に係る情報処理装置10は、上述した一連の処理を終了するか否かを判定する(ステップS16)。情報処理装置10は、例えば系列データのすべての要素を取得した場合や、一連の処理のループ回数が所定回数に到達した場合等に、一連の処理を終了すると判定してよい。処理を終了すると判定された場合(ステップS16:YES)、一連の処理は終了することになる。一方、処理を終了しないと判定された場合(ステップS16:NO)、再びステップS11から処理が開始されることになる。
【0036】
(技術的効果)
次に、第1実施形態に係る情報処理装置10によって得られる技術的効果について説明する。
【0037】
図1から
図4で説明したように、第1実施形態に係る情報処理装置10では、分類指標に基づいて検知対象クラスの要素が含まれる区間が判定される。ここで特に、本実施形態に係る分類指標は、2つ以上の要素に基づいて算出されるが故に、特定の要素のみが取得されるような状況が続くと、その特定の要素側に大きく偏った値となってしまう。分類指標が特定の要素側に大きく偏った状態では、部分的に他の要素が取得されたとしても、他の要素の存在を検知できないおそれがある。即ち、特定の要素側に大きく偏った分類指標が、他の要素側に十分に動ききらず、他の要素が取得されていることを検知できないおそれがある。このような場合、分類指標で検知対象クラスの要素が含まれる区間を適切に判定できなくなってしまう。
【0038】
しかるに第1実施形態に係る情報処理装置10では、上述したように、条件に応じて第1処理又は第2処理が実行される。第1処理が実行される場合、分類指標が所定値にリセットされるため、分類指標が特定の要素側に大きく偏ってしまうことを防止できる。一方、第2処理が実行される場合、新たなスレッドで計算が開始されるため、それまでの計算結果の影響を受けずに分類指標を算出できる(即ち、分類指標をリセットする第1処理と同様の効果が得られる)。以上の結果、第1実施形態に係る情報処理装置10によれば、検知対象クラスの要素が含まれる区間を適切に判定することが可能となる。
【0039】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る情報処理装置10について、
図5から
図8を参照して説明する。なお、第2実施形態は、区間判定部300による処理の内容を具体的に説明するものであり、システム構成や全体的な動作の流れについては、上述した第1実施形態と同様であってよい(
図1から
図4参照)。このため、以下では、第1実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0040】
(区間判定処理の流れ)
まず、
図5を参照しながら、第2実施形態に係る情報処理装置10における区間判定処理(即ち、
図3及び4のステップS15の処理)の流れについて説明する。
図5は、第2実施形態に係る情報処理装置における区間判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
図5に示すように、区間判定部300は、まず検知対象クラスの要素が含まれる区間であると既に判定中であるか否かを判定する(ステップS101)。区間判定部300は、例えば、前回の判定結果を記憶しておき、すでに検知対象クラスの要素が含まれる区間と判定中であるか否かを判定すればよい。前回の判定結果は、例えばフラグのオン/オフ等で管理されてもよい。
【0042】
すでに検知対象クラスの要素が含まれる区間と判定中でない場合(ステップS101:NO)、区間判定部300は、分類指標が第1閾値を超えているか否かを判定する(ステップS102)。ここでの「第1閾値」は、検知対象クラスの要素が含まれる区間の開始地点を判定するための閾値であり、例えばシステム管理者等によって事前に設定されている。分類指標が第1閾値を超えている場合(ステップS102:YES)、区間判定部300は、検知対象クラスの要素が含まれる区間が始まったと判定する(ステップS103)。即ち、それまでは検知対象クラスの要素が含まれる区間ではなかったが、検知対象クラスの要素が含まれる区間になったと判定する。一方、分類指標が第1閾値を超えていない場合(ステップS102:NO)、区間判定部300は、まだ検知対象クラスの要素が含まれる区間ではないと判定する(ステップS104)。即ち、検知対象クラス以外のクラスの要素が含まれる区間が続いていると判定する。
【0043】
他方、すでに検知対象クラスの要素が含まれる区間と判定中である場合(ステップS101:YES)、区間判定部300は、分類指標が第2閾値を下回っているか否かを判定する(ステップS105)。ここでの「第2閾値」は、検知対象クラスの要素が含まれる区間の終了地点を判定するための閾値であり、例えばシステム管理者等によって事前に設定されている。分類指標が第2閾値を下回っていない場合(ステップS105:NO)、区間判定部300は、まだ検知対象クラスの要素が含まれる区間であると判定する(ステップS106)。即ち、検知対象クラスの要素が含まれる区間が続いていると判定する。一方、分類指標が第2閾値を下回っている場合(ステップS105:YES)、区間判定部300は、検知対象クラスの要素が含まれる区間が終了したと判定する(ステップS106)。即ち、それまでは検知対象クラスの要素が含まれる区間であったが、検知対象クラス以外のクラスの要素が含まれる区間になったと判定する。
【0044】
(区間判定処理の具体例)
次に、
図6から
図8を参照しながら、上述した区間判定処理における具体的な判定例について説明する。
図6は、第1閾値と第2閾値とが等しい場合の区間判定処理の一例を示すグラフである。
図7は、閾値が第2閾値より高い場合の区間判定処理の一例を示すグラフである。
図8は、閾値が第2閾値より低い場合の区間判定処理の一例を示すグラフである。
【0045】
図6に示すように、第1閾値と第2閾値とは互いに等しい値として設定されてよい。この場合、区間判定部300は、分類指標が第1閾値を超えた地点を、検知対象クラスの要素が含まれる区間の開始地点であると判定する。そして、区間判定部300は、分類指標が第1閾値と等しい第2閾値を下回った地点を、検知対象クラスの要素が含まれる区間の終了地点であると判定する。
【0046】
図7に示すように、第1閾値が第2閾値よりも高い値として設定されてよい。この場合、区間判定部300は、分類指標が第2閾値を超え、更に第1閾値を超えた地点を、検知対象クラスの要素が含まれる区間の開始地点であると判定する。そして、区間判定部300は、分類指標が第1閾値を下回った後、第1閾値よりも低い第2閾値を下回った地点を、検知対象クラスの要素が含まれる区間の終了地点であると判定する。
【0047】
図8に示すように、第1閾値が第2閾値よりも低い値として設定されてよい。この場合、区間判定部300は、分類指標が第1閾値を超えた地点を、検知対象クラスの要素が含まれる区間の開始地点であると判定する。そして、区間判定部300は、第1閾値よりも高い第2閾値を下回った地点を、検知対象クラスの要素が含まれる区間の終了地点であると判定する。即ち、区間判定部300は、分類指標が第1閾値を下回る前に、検知対象クラスの要素が含まれる区間が終了したと判定する。
【0048】
(技術的効果)
次に、第2実施形態に係る情報処理装置10によって得られる技術的効果について説明する。
【0049】
図5から
図8で説明したように、第2実施形態に係る情報処理装置10では、分類指標と第1閾値及び第2閾値とを比較することで、検知対象クラスの要素が含まれる区間が判定される。このように2つの異なる閾値を用いれば、検知対象クラスの要素が含まれる区間の開始地点及び終了地点をそれぞれ適切に検出することができる(
図7や
図8を参照)。よって、検知対象クラスの要素が含まれる区間をより高い精度で検出することができる。なお、第1閾値及び第2閾値を同じ値とすれば(
図6を参照)、区間判定処理を簡単化することができる。例えば、第1閾値と第2閾値とが互いに同じ値である場合、
図5のフローチャートで示したステップS101の判定処理による場合分けは不要となる。
【0050】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る情報処理装置10について、
図9から
図11を参照して説明する。なお、第3実施形態は、上述した第1及び第2実施形態と一部の動作が異なるのみであり、その他の動作やシステム構成については、第1及び第2実施形態と同様であってよい。このため、以下では、第1及び第2実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0051】
(動作の流れ)
まず、第3実施形態に係る情報処理装置10の動作の流れについて、
図9を参照して説明する。
図9は、第3実施形態に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図9では、
図3で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0052】
図9に示すように、第3実施形態に係る情報処理装置10の動作が開始されると、まず取得部50が、系列データから1つの要素を取得する(ステップS11)。取得部50は、取得した系列データの要素を、指標算出部100に出力する。そして、指標算出部100は、取得された2つ以上の要素に基づいて分類指標を算出する(ステップS12)。
【0053】
続いて、処理実行部200が、指標算出部100で算出された分類指標が第3閾値を超えているか否かを判定する(ステップS31)。即ち、第3実施形態に係る情報処理装置10では、分類指標が第3閾値を超えることが所定条件として設定されている。なお、「第3閾値」は、分類指標が、検知対象クラス以外のクラス側に大きく偏っていることを判定する閾値である。例えば、第3閾値は、系列データを検知対象クラス以外のクラスに分類できる程に分類指標が偏っている状態を判定可能な値として設定されてよい。
【0054】
分類指標が第3閾値を超えていると判定した場合(ステップS31:YES)、処理実行部200は、分類指標を所定値にリセットする処理(即ち、第1処理)を実行する(ステップS14)。一方、分類指標が第3閾値を超えていないと判定した場合(ステップS31:NO)、処理実行部200は、ステップS14の処理を省略する(即ち、第1処理は実行されない)。
【0055】
続いて、区間判定部300が、分類指標に基づいて区間判定を行う(ステップS15)。そして、第3実施形態に係る情報処理装置10は、上述した一連の処理を終了するか否かを判定する(ステップS16)。処理を終了すると判定された場合(ステップS16:YES)、一連の処理は終了することになる。一方、処理を終了しないと判定された場合(ステップS16:NO)、再びステップS11から処理が開始されることになる。
【0056】
(技術的効果)
次に、第3実施形態に係る情報処理装置10によって得られる技術的効果について説明する。
【0057】
図9で説明したように、第3実施形態に係る情報処理装置10では、分類指標が第3閾値を超えている場合に、第1処理(即ち、分類指標を所定値にリセットする処理)が実行される。このようにすれば、仮に分類指標が検知対象クラス以外のクラス側に大きく偏ってしまった場合であっても、第1処理によってその状態を解消することができる。このため、検知対象クラスの要素が含まれる区間が開始された場合に、分類指標がスムーズに検知対象クラス側の値へと変化することになる。従って、第3実施形態に係る情報処理装置10によれば、検知対象クラスの要素が含まれる区間を適切に判定することが可能である。
【0058】
(第3実施形態の変形例)
次に、第3実施形態の変形例に係る情報処理装置10について、
図10及び
図11を参照して説明する。なお、第3実施形態の変形例に係る情報処理装置10は、上述した第3実施形態と一部の動作が異なるのみであり、その他の動作やシステム構成については、第3実施形態と同様であってよい。このため、以下では、既に説明した第3実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0059】
(動作の流れ)
まず、第3実施形態の変形例に係る情報処理装置10の動作の流れについて、
図10を参照して説明する。
図10は、第3実施形態の変形例に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図10では、
図9で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0060】
図10に示すように、第3実施形態の変形例に係る情報処理装置10の動作が開始されると、まず取得部50が、系列データから1つの要素を取得する(ステップS11)。取得部50は、取得した系列データの要素を、指標算出部100に出力する。そして、指標算出部100は、取得された2つ以上の要素に基づいて分類指標を算出する(ステップS12)。
【0061】
続いて、処理実行部200が、指標算出部100で算出された分類指標が第3閾値を超えているか否かを判定する(ステップS31)。そして、分類指標が第3閾値を超えていると判定した場合(ステップS31:YES)、処理実行部200は、分類指標を初期値(例えば、ゼロ)にリセットする処理を実行する(ステップS32)。即ち、第3実施形態の変形例では、所定値が分類指標の初期位置として設定されている。一方、分類指標が第3閾値を超えていないと判定した場合(ステップS31:NO)、処理実行部200は、ステップS14の処理を省略する(即ち、第1処理は実行されない)。
【0062】
続いて、区間判定部300が、分類指標に基づいて区間判定を行う(ステップS15)。そして、第3実施形態の変形例に係る情報処理装置10は、上述した一連の処理を終了するか否かを判定する(ステップS16)。処理を終了すると判定された場合(ステップS16:YES)、一連の処理は終了することになる。一方、処理を終了しないと判定された場合(ステップS16:NO)、再びステップS11から処理が開始されることになる。
【0063】
(分類指標の変動例)
次に、第3実施形態の変形例に係る情報処理装置10において分類指標がどのように変動するのか、
図11を参照して具体的に説明する。
図11は、第3実施形態の変形例に係る情報処理装置における分類指標の変化の一例を示すグラフである。
【0064】
図11に示す例では、最初に検知対象クラス以外のクラスの要素が取得され(図中の白丸参照)、その後に検知対象クラスの要素が取得されている。このような場合、分類指標は、まず検知対象クラス以外のクラスに対応する第3閾値側(即ち、グラフの下側)に変化していくことになる。ただし、分類指標が第3閾値を超える(第3閾値より下側になる)と、第1処理が実行され、分類指標は初期値にリセットされる。このため、
図11に示す例では、検知対象クラス以外のクラスの要素が続く区間において、分類指標が2回初期値にリセットされている。
【0065】
その後、検知対象クラスの要素が取得され始めると、分類指標は検知対象クラスの閾値(例えば、第2実施形態の第1閾値や第2閾値)側に変化していくことになる。このような状況において、仮に分類指標が初期値にリセットされず、第3閾値側に大きく偏っているとすると、検知対象クラスの要素が取得されている状態でも、なかなか分類指標が検知対象クラスの閾値を超えない。また、検知対象クラスの要素が続く区間が比較的短いものであったとすると、分類指標は検知対象クラスの閾値を1度も超えない可能性もある。しかしながら、
図11に示す例では、分類指標が第3閾値を超える度に初期値にリセットされるため、比較的早い段階で分類指標が検知対象クラスの閾値を超えている。
【0066】
(技術的効果)
次に、第3実施形態の変形例に係る情報処理装置10によって得られる技術的効果について説明する。
【0067】
図10及び
図11で説明したように、第3実施形態の変形例に係る情報処理装置10では、分類指標が第3閾値を超えている場合に、分類指標を初期値にリセットする処理が実行される。このようにすれば、分類指標が検知対象クラス以外のクラス側に大きく偏ってしまった場合に、分類指標が初期値に戻されることになる。分類指標が初期値となれば、分類指標が検知対象クラス以外のクラス側に偏った状況は確実に解消される。従って、第3実施形態の変形例に係る情報処理装置10によれば、検知対象クラスの要素が含まれる区間(特に、区間の開始地点)を適切に判定することが可能である。
【0068】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る情報処理装置10について、
図12から
図14を参照して説明する。なお、第4実施形態は、上述した第1から第3実施形態と一部の動作が異なるのみであり、その他の動作やシステム構成については、第1から第3実施形態と同様であってよい。このため、以下では、第1から第3実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0069】
(動作の流れ)
まず、第4実施形態に係る情報処理装置10の動作の流れについて、
図12を参照して説明する。
図12は、第4実施形態に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図12では、
図3で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0070】
図12に示すように、第4実施形態に係る情報処理装置10の動作が開始されると、まず取得部50が、系列データから1つの要素を取得する(ステップS11)。取得部50は、取得した系列データの要素を、指標算出部100に出力する。そして、指標算出部100は、取得された2つ以上の要素に基づいて分類指標を算出する(ステップS12)。
【0071】
続いて、処理実行部200が、指標算出部100で算出された分類指標が第4閾値を超えているか否かを判定する(ステップS41)。即ち、第4実施形態に係る情報処理装置10では、分類指標が第4閾値を超えることが所定条件として設定されている。なお、「第4閾値」は、分類指標が、検知対象クラス側に大きく偏っていることを判定する閾値である。例えば、第4閾値は、系列データを検知対象クラスに分類できる状態を更に超えて、分類指標が検知対象クラス側に偏っている状態を判定可能な値として設定されてよい。第4閾値は、第2実施形態の第1閾値又は第2閾値と同じ値として設定されてよい。
【0072】
分類指標が第4閾値を超えていると判定した場合(ステップS41:YES)、処理実行部200は、分類指標を所定値にリセットする処理(即ち、第1処理)を実行する(ステップS14)。一方、分類指標が第4閾値を超えていないと判定した場合(ステップS41:NO)、処理実行部200は、ステップS14の処理を省略する(即ち、第1処理は実行されない)。
【0073】
続いて、区間判定部300が、分類指標に基づいて区間判定を行う(ステップS15)。そして、第4実施形態に係る情報処理装置10は、上述した一連の処理を終了するか否かを判定する(ステップS16)。処理を終了すると判定された場合(ステップS16:YES)、一連の処理は終了することになる。一方、処理を終了しないと判定された場合(ステップS16:NO)、再びステップS11から処理が開始されることになる。
【0074】
(技術的効果)
次に、第4実施形態に係る情報処理装置10によって得られる技術的効果について説明する。
【0075】
図12で説明したように、第4実施形態に係る情報処理装置10では、分類指標が第4閾値を超えている場合に、第1処理(即ち、分類指標を所定値にリセットする処理)が実行される。このようにすれば、仮に分類指標が検知対象クラス側に大きく偏ってしまった場合であっても、第1処理によってその状態を解消することができる。このため、検知対象クラスの要素が含まれる区間が終了した場合に、分類指標がスムーズに検知対象クラス以外のクラス側の値へと変化することになる。従って、第4実施形態に係る情報処理装置10によれば、検知対象クラスの要素が含まれる区間を適切に判定することが可能である。
【0076】
(第4実施形態の変形例)
次に、第4実施形態の変形例に係る情報処理装置10について、
図13及び
図14を参照して説明する。なお、第4実施形態の変形例に係る情報処理装置10は、上述した第4実施形態と一部の動作が異なるのみであり、その他の動作やシステム構成については、第4実施形態と同様であってよい。このため、以下では、既に説明した第4実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0077】
(動作の流れ)
まず、第4実施形態の変形例に係る情報処理装置10の動作の流れについて、
図13を参照して説明する。
図13は、第4実施形態の変形例に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図13では、
図12で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0078】
図13に示すように、第4実施形態の変形例に係る情報処理装置10の動作が開始されると、まず取得部50が、系列データから1つの要素を取得する(ステップS11)。取得部50は、取得した系列データの要素を、指標算出部100に出力する。そして、指標算出部100は、取得された2つ以上の要素に基づいて分類指標を算出する(ステップS12)。
【0079】
続いて、処理実行部200が、指標算出部100で算出された分類指標が第4閾値を超えているか否かを判定する(ステップS41)。そして、分類指標が第4閾値を超えていると判定した場合(ステップS41:YES)、処理実行部200は、分類指標を第4閾値にリセットする処理を実行する(ステップS42)。即ち、第4実施形態の変形例では、所定値が第4閾値(即ち、検知対象クラス側の閾値)として設定されている。一方、分類指標が第4閾値を超えていないと判定した場合(ステップS31:NO)、処理実行部200は、ステップS14の処理を省略する(即ち、第1処理は実行されない)。
【0080】
続いて、区間判定部300が、分類指標に基づいて区間判定を行う(ステップS15)。そして、第4実施形態の変形例に係る情報処理装置10は、上述した一連の処理を終了するか否かを判定する(ステップS16)。処理を終了すると判定された場合(ステップS16:YES)、一連の処理は終了することになる。一方、処理を終了しないと判定された場合(ステップS16:NO)、再びステップS11から処理が開始されることになる。
【0081】
(分類指標の変動例)
次に、第4実施形態の変形例に係る情報処理装置10において分類指標がどのように変動するのか、
図14を参照して具体的に説明する。
図14は、第4実施形態の変形例に係る情報処理装置における分類指標の変化の一例を示すグラフである。
【0082】
図14に示す例では、最初に検知対象クラスの要素が取得され、その後に検知対象クラス以外のクラスの要素が取得されている。このような場合、分類指標は、まず検知対象クラスに対応する第4閾値側(即ち、グラフの上側)に変化していくことになる。ただし、分類指標が第4閾値を超えると、第1処理が実行され、分類指標は第4閾値にリセットされる。このため、
図14に示す例では、検知対象クラスの要素が続く区間において、分類指標が2回第4閾値にリセットされている。なお、
図14に示す例では、分類指標が第4閾値を超えてしばらくしてからリセットされているが、第4閾値を超えてすぐにリセットするようにしてもよい。この場合、分類指標は第4閾値に張り付いたような状態となる。
【0083】
その後、検知対象クラス以外のクラスの要素が取得され始めると、分類指標は検知対象クラス以外のクラスに対応する第3閾値側(即ち、グラフの下側)に変化していくことになる。このような状況において、仮に分類指標が第4閾値にリセットされず、第4閾値側に大きく振り切れていたとすると、検知対象クラス以外のクラスの要素が取得されている状態でも、なかなか分類指標が第3閾値に到達しない。また、検知対象クラス以外のクラスの要素が続く区間が比較的短いものであったとすると、分類指標は第3閾値を1度も超えない可能性もある。しかしながら、
図14に示す例では、分類指標が第4閾値を超える度に、第4閾値までリセットされるため、比較的早い段階で分類指標が第3閾値に到達している。
【0084】
(技術的効果)
次に、第4実施形態の変形例に係る情報処理装置10によって得られる技術的効果について説明する。
【0085】
図13及び
図14で説明したように、第4実施形態の変形例に係る情報処理装置10では、分類指標が第4閾値を超えている場合に、分類指標を第4閾値にリセットする処理が実行される。このようにすれば、分類指標が検知対象クラス側に大きく偏ってしまった場合に、分類指標が第4閾値まで戻されることになる。分類指標が第4閾値となれば、分類指標が検知対象クラス側に大きく偏った状況(例えば、検知対象クラス側に振り切れてしまったような状況)は確実に解消される。従って、第4実施形態の変形例に係る情報処理装置10によれば、検知対象クラスの要素が含まれる区間(特に、区間の終了地点)を適切に判定することが可能である。
【0086】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る情報処理装置10について、
図15及び
図16を参照して説明する。なお、第5実施形態は、上述した第1から第4実施形態と比べて一部の動作が異なるのみであり、その他の動作やシステム構成については、第1から第4実施形態と同様であってよい。このため、以下では、第1から第4実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0087】
(動作の流れ)
まず、第5実施形態に係る情報処理装置10の動作の流れについて、
図15を参照して説明する。
図15は、第5実施形態に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図15では、
図3で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0088】
図15に示すように、第5実施形態に係る情報処理装置10の動作が開始されると、まず取得部50が、系列データから1つの要素を取得する(ステップS11)。取得部50は、取得した系列データの要素を、指標算出部100に出力する。そして、指標算出部100は、取得された2つ以上の要素に基づいて分類指標を算出する(ステップS12)。
【0089】
続いて、処理実行部200が、指標算出部100で算出された分類指標の傾き第5閾値を超えているか否かを判定する(ステップS51)。即ち、第5実施形態に係る情報処理装置10では、分類指標の傾き(言い換えれば、変化率)が第5閾値を超えることが所定条件として設定されている。なお、「第5閾値」は、分類指標が、急激に変化していることを判定する閾値である。例えば、第5閾値は、そのままの傾きで分類指標が変化すると、分類指標に大きな偏りが生じてしまうことを判定可能な値として設定されてよい。
【0090】
分類指標の傾きが第5閾値を超えていると判定した場合(ステップS51:YES)、処理実行部200は、分類指標を所定値にリセットする処理(即ち、第1処理)を実行する(ステップS14)。一方、分類指標の傾きが第5閾値を超えていないと判定した場合(ステップS51:NO)、処理実行部200は、ステップS14の処理を省略する(即ち、第1処理は実行されない)。
【0091】
続いて、区間判定部300が、分類指標に基づいて区間判定を行う(ステップS15)。そして、第5実施形態に係る情報処理装置10は、上述した一連の処理を終了するか否かを判定する(ステップS16)。処理を終了すると判定された場合(ステップS16:YES)、一連の処理は終了することになる。一方、処理を終了しないと判定された場合(ステップS16:NO)、再びステップS11から処理が開始されることになる。
【0092】
(分類指標の変動例)
次に、第5実施形態に係る情報処理装置10において分類指標がどのように変動するのか、
図16を参照して具体的に説明する。
図16は、第5実施形態に係る情報処理装置における分類指標の変化の一例を示すグラフである。
【0093】
図16に示す例では、最初に検知対象クラス以外のクラスの要素が取得され、その後に検知対象クラスの要素が取得されている。このような場合、分類指標は、まず検知対象クラス以外のクラスに対応する第3閾値側(即ち、グラフの下側)に変化していくことになる。ただし、
図16に示す例では、最初の段階では分類指標の傾きが比較的小さいため、第1処理はしばらく実行されない。1回目の第1処理は、それまで比較的小さかった分類指標の傾きが旧に大きくなった段階で実行されている。なお、1回目の第1処理以降も、分類指標の傾きは大きい状態で維持されている。このため、2回目の第2処理は、1回目の第1処理と比べると比較的早い段階で実行されている。
【0094】
その後、検知対象クラスの要素が取得され始めると、分類指標は検知対象クラスの閾値(例えば、第2実施形態の第1閾値や第2閾値)側に変化していくことになる。このような状況において、仮に分類指標が初期値にリセットされず、第3閾値側に大きく偏っているとすると、検知対象クラスの要素が取得されている状態でも、なかなか分類指標が検知対象クラスの閾値を超えない。また、検知対象クラスの要素が続く区間が比較的短いものであったとすると、分類指標は検知対象クラスの閾値を1度も超えない可能性もある。しかしながら、
図16に示す例では、分類指標の傾きが第5閾値を超える度に所定値にリセットされるため、比較的早い段階で分類指標が検知対象クラスの閾値を超えている。
【0095】
また、処理実行部200は、分類指標の傾きが第3閾値側から検知対象クラス側に変化した場合に、分類指標を初期値にリセットするようにしてもよい。具体的には、検知対象クラスの要素が取得され、その要素が分類指標の算出に反映されると、それまで第3閾値側に変動していた分類指標が、反転して検知対象クラス側に変動するようになる。処理実行部200はこのような傾きの変化点(例えば、傾きの正負が判定する点、或いは傾きがゼロになる点)において、分類指標を初期値にリセットするようにしてもよい。
【0096】
なお、上述した例では、分類指標の第3閾値側(即ち、検知対象クラス以外のクラス側)の傾きが第5閾値を超えた場合に、処理実行部200が、分類指標を所定値である初期値にリセットしている。即ち、上述した第3実施形態と同様の第1処理を行っている。第5実施形態に係る情報処理装置10は、このような第1処理に加えて又は代えて、分類指標の第4閾値側(即ち、検知対象クラス側)の傾きが第5閾値を超えた場合に、処理実行部200が、分類指標をリセットする処理を実行してもよい。即ち、上述した第4実施形態と同様の第1処理を行ってもよい。
【0097】
(技術的効果)
次に、第5実施形態に係る情報処理装置10によって得られる技術的効果について説明する。
【0098】
図15及び
図16で説明したように、第5実施形態に係る情報処理装置10では、分類指標の傾きが第5閾値を超えている場合に、第1処理(即ち、分類指標を所定値にリセットする処理)が実行される。このようにすれば、仮に分類指標が特定のクラス側に大きく変化するような場合であっても、第1処理によって分類指標の偏りを解消することができる。即ち、分類指標の急激な変化に起因する偏りの発生を回避することができる。従って、第5実施形態に係る情報処理装置10によれば、検知対象クラスの要素が含まれる区間を適切に判定することが可能である。
【0099】
<第6実施形態>
第6実施形態に係る情報処理装置10について、
図17及び
図18を参照して説明する。なお、第6実施形態は、上述した第1から第5実施形態と比べて一部の動作が異なるのみであり、その他の動作やシステム構成については、第1から第5実施形態と同様であってよい。このため、以下では、第1から第5実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0100】
(動作の流れ)
まず、
図17を参照しながら、第6実施形態に係る情報処理装置10の動作の流れについて説明する。
図17は、第6実施形態に係る情報処理装置の動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図17では、
図4で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0101】
図17に示すように、第6実施形態に係る情報処理装置10の動作が開始されると、まず取得部50が、系列データから1つの要素を取得する(ステップS11)。続いて、処理実行部200が、取得部50で取得した要素の数が所定数に到達したか否かを判定する(ステップS21)。取得した要素の数が所定数に到達していると判定した場合(ステップS21:YES)、処理実行部200は、分類指標を算出するスレッドを新たに立ち上げる処理(即ち、第2処理)を実行する(ステップS22)。一方、取得した要素の数が所定数に到達していないと判定した場合(ステップS21:NO)、処理実行部200は、ステップS22の処理を省略する(即ち、第2処理は実行されない)。なお、処理実行部200は、取得した要素の数が所定数に到達する度に、取得した要素の数のカウントを初期化する(例えば、ゼロにする)。この結果、取得部で所定数の要素が取得される度に、処理実行部200が第2処理を実行することになる。
【0102】
なお、所定数を「1」に設定した場合、ステップS11において1つの要素が取得された時点で、ステップS21の条件が満たされることになる。よって、所定数が「1」の場合には、ステップS21の判定処理を省略することもできる。この場合、実質的に所定数の要素が取得されるという条件が不要となる(即ち、毎回第2処理が実行される)ため、第1実施形態と同様の動作になる(
図4参照)。
【0103】
続いて、指標算出部100は、取得された2つ以上の要素に基づいて分類指標を算出する(ステップS12)。指標算出部100は、処理実行部200において第2処理が実行された場合(言い換えれば、取得した要素が所定数に到達していた場合)、新しく立ち上げたスレッドで分類指標を算出する。一方、処理実行部200において第2処理が実行されていない場合(言い換えれば、取得した要素が所定数に到達していない場合)、前回までと同じスレッドで分類指標を算出する。
【0104】
続いて、区間判定部300が、分類指標に基づいて区間判定を行う(ステップS15)。そして、第6実施形態に係る情報処理装置10は、上述した一連の処理を終了するか否かを判定する(ステップS16)。処理を終了すると判定された場合(ステップS16:YES)、一連の処理は終了することになる。一方、処理を終了しないと判定された場合(ステップS16:NO)、再びステップS11から処理が開始されることになる。
【0105】
(分類指標の変動例)
次に、第6実施形態に係る情報処理装置10において分類指標がどのように変動するのか、
図18を参照して具体的に説明する。
図18は、第6実施形態に係る情報処理装置における分類指標の変化の一例を示すグラフである。なお、以下では、所定数が「1」である場合を例に挙げている。
【0106】
図18に示す例では、最初に検知対象クラス以外のクラスの要素が取得され、その後に比較的短い区間だけ検知対象クラスの要素が取得されている。このような場合、分類指標は、まず検知対象クラス以外のクラスに対応する第3閾値側(即ち、グラフの下側)に変化していくことになる。ただし、
図18に示す例ではでは、1つの要素が取得される度に新たなスレッドが立ち上げられるため、分類指標は、1つの要素が取得される度に初期値から変化していく。
【0107】
その後、検知対象クラスの要素が取得され始めると、分類指標は検知対象クラスの閾値(例えば、第2実施形態の第1閾値や第2閾値)側に変化していくことになる。このような状況において、仮に新たなスレッドが立ち上げられておらず、分類指標が第3閾値側に大きく偏っているとすると、検知対象クラスの要素が取得されている状態でも、なかなか分類指標が検知対象クラスの閾値を超えない。また、検知対象クラスの要素が続く区間が短い場合には、分類指標は検知対象クラスの閾値を1度も超えない可能性もある。しかしながら、
図18に示す例では、1つの要素が取得される度に新しいスレッドが立ち上げられているため、比較的早い段階で分類指標が検知対象クラスの閾値を超えている。
【0108】
(技術的効果)
次に、第6実施形態に係る情報処理装置10によって得られる技術的効果について説明する。
【0109】
図17及び
図18で説明したように、第6実施形態に係る情報処理装置10では、所定数の要素が取得される度に第2処理(即ち、新しいスレッドを立ち上げる処理)が実行される。このようにすれば、所定数の要素が取得される度に分類指標が最初から計算されることになるため、それ以前の算出結果に影響を受けて、分類指標に偏りが生じてしまうことを回避できる。従って、第6実施形態に係る情報処理装置10によれば、検知対象クラスの要素が含まれる区間を適切に判定することが可能である。
【0110】
なお、
図18に示す例では、所定数が「1」に設定されている前提で説明を進めたが、例えば所定数を「2」にすると、2回に1回の頻度で新しいスレッドが立ち上げられる。このように新しいスレッドを立ち上げる頻度を少なくすれば、計算処理の負荷の増大を抑制しつつ、分類指標の偏りを防止する効果を相応に得ることもできる。
【0111】
<第7実施形態>
第7実施形態に係る情報処理装置10について、
図19及び
図20を参照して説明する。なお、第7実施形態は、上述した第1から第6実施形態と比べて一部の構成及び動作が異なるものであり、例えばハードウェア構成や全体的な動作の流れについては、第1から第6実施形態と同様であってよい。このため、以下では、上述した第1から第6実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0112】
(機能的構成)
まず、
図19を参照しながら、第7実施形態に係る情報処理装置10の機能的構成について説明する。
図19は、第7実施形態に係る情報処理装置の機能的構成を示すブロック図である。なお、
図19では、
図2で示した各構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0113】
図19に示すように、第7実施形態に係る情報処理装置10は、その機能を実現するための処理ブロックとして、取得部50と、指標算出部100と、処理実行部200と、区間判定部300とを備えている。そして第7実施形態では特に、指標算出部100が、第1算出部110及び第2算出部120を備えている。第1算出部110は、尤度比算出部111と、第1記憶部112とを備えている。第2算出部120は、統合尤度比算出部121と、第2記憶部122とを備えている。なお、尤度比算出部111及び統合尤度比算出部121の各々は、上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現されてよい。また、第1記憶部112及び第2記憶部122の各々は、上述した記憶装置14(
図1参照)によって実現されてもよい。
【0114】
尤度比算出部111は、取得部50で取得される要素の各々について、尤度比を算出可能に構成されている。尤度比は、各要素が複数のクラスのうちのあるクラスに属することの尤もらしさを示す値である。尤度比算出部111は、取得した要素と、第1記憶部112に記憶された過去データに基づいて尤度比を算出する。第1記憶部112で記憶されている情報は、尤度比算出部111によって読み出し可能に構成されている。第1記憶部112が過去の尤度比を記憶している場合、尤度比算出部111は、記憶された過去の尤度比を読み出して、取得された要素に対する尤度比を算出すればよい。一方、第1記憶部112が過去に取得された要素を記憶している場合、尤度比算出部111は、記憶された過去の要素から過去の尤度比を算出して、取得された要素に対する尤度比を算出すればよい。以下では、尤度比の具体例を説明する。
【0115】
系列データを構成するN個の要素を、x1,… ,xNとし、複数のクラスをR,Fとする。すなわち、本例では、簡略化のため、クラスの数が2である2クラス分類であるものとする。ここで、要素xiがクラスRに属する確率について、過去データを考慮せずに算出した結果をp(R|xi)と表記する。また、要素xiがクラスFに属する確率について、過去データを考慮せずに算出した結果をp(F|xi)と表記する。このとき、これらの尤度比は、以下の式(1)で表される。
【0116】
【0117】
上記式(1)の尤度比は、要素xiがクラスRに属する確率と、要素xiがクラスFに属する確率との尤もらしさの比を示している。例えば、尤度比が1を超えている場合には、p(R|xi)>p(R|xi)であるため、要素xiはクラスFよりもクラスRに分類すればよい。このように、式(1)の尤度比は、入力された要素がクラスRとクラスFのいずれに属するのかを示す指標として機能する。
【0118】
また、尤度比算出部111は、上述のように複数の要素(即ち、入力された要素と過去データとの関連性)を考慮して算出することができる。この場合、例えば、2つの要素xi,xi-1を考慮して算出された尤度比は、以下の式(2)のように表される。
【0119】
【0120】
統合尤度比算出部121は、分類指標である統合尤度比を算出可能に構成されている。統合尤度比は、系列データが複数のクラスのうちのあるクラスに属することの尤もらしさを示す値である。統合尤度比算出部121は、尤度比算出部111で算出された尤度比と、第2記憶部122に記憶された過去の統合尤度比とを用いて統合尤度比を算出する。第2記憶部122で記憶されている情報(即ち過去の統合尤度比)は、統合尤度比算出部121によって読み出し可能に構成されている。以下では、統合尤度比の具体例を説明する。なお、上述した尤度比の説明と同様に、クラスの数が2である2クラス分類の場合について説明する。
【0121】
統合尤度比の算出時点において、N個の要素が入力されている場合、このN個の要素は、x1,…,xNと表される。ここで、系列データの全体がクラスRに属する確率をp(x1,…,xN|R)と表記する。また、系列データの全体がクラスFに属する確率をp(x1,…,xN|F)と表記する。この場合、これらの尤度比は以下の式(3)で表される。式(3)を統合尤度比と呼ぶ。
【0122】
【0123】
系列データの各要素が独立であることを仮定する場合には、統合尤度比は、以下の式(4)のように1要素ごとの項に分解して算出することができる。
【0124】
【0125】
上記式(4)では、計算の簡略化のため尤度比の対数を用いることにより各要素を和に分解しているが、これは必須ではない。なお、以下では、このような対数尤度比に対しても尤度比又は統合尤度比という用語が用いられることがある。また、対数の底の表記は省略されているが、底の値は任意である。
【0126】
しかしながら、上述したように本実施形態では、2以上の要素を考慮して尤度比及び統合尤度比を算出するため、各要素が独立であるという仮定が成立しないことが多い。したがって、式(4)のように1要素ごとの項に分解することはできず、関係性を考慮する要素の数に応じて異なる計算式により統合尤度比の計算が行われる。
【0127】
例えば、ある要素とその1つ前の要素の2つの要素を考慮する場合には、以下の式(5)を用いて統合尤度比を算出することができる。
【0128】
【0129】
(指標算出処理の流れ)
次に、
図20を参照しながら、第7実施形態に係る情報処理装置10による指標算出処理(即ち、尤度比及び統合尤度比を算出する処理)の流れについて説明する。
図20は、第7実施形態に係る情報処理装置における指標算出処理の流れを示すフローチャートである。
【0130】
図20に示すように、第7実施形態に係る指標算出処理では、まず第1算出部110の尤度比算出部111が、第1記憶部112から過去データを読み出す(ステップS201)。過去データは、例えば取得部50で今回取得された要素の1つ前に取得された要素の尤度比算出部111での処理結果(言い換えれば、1つ前の要素に対して算出された尤度比)であってよい。或いは、過去データは、取得で取得された要素の1つ前に取得された要素そのものであってもよい。
【0131】
続いて、尤度比算出部111は、取得部50で取得された要素と、第1記憶部112から読みだした過去データに基づいて、新たな尤度比(即ち、取得部50で今回取得された要素に対する尤度比)を算出する(ステップS202)。尤度比算出部111は、算出した尤度比を、第2算出部120に出力する。尤度比算出部111は、算出した尤度比を、第1記憶部112に記憶してもよい。
【0132】
続いて、第2算出部120における統合尤度比算出部121が、第2記憶部122から過去の統合尤度比を読み出す(ステップS203)。過去の統合尤度比は、例えば取得部50で今回取得された要素の1つ前に取得された要素についての、統合尤度比算出部121での処理結果(言い換えれば、1つ前の要素に対して算出された統合尤度比)であってよい。
【0133】
続いて、統合尤度比算出部121は、尤度比算出部111で算出された尤度比と、第2記憶部122から読みだした過去の統合尤度比に基づいて、新たな統合尤度比(即ち、取得部50で今回取得された要素に対する統合尤度比)を算出する(ステップS204)。統合尤度比算出部121は、算出した統合尤度比を、処理実行部200や区間判定部300に出力する。統合尤度比算出部121は、算出した統合尤度比を、第2記憶部122に記憶してもよい。
【0134】
(技術的効果)
次に、第7実施形態に係る情報処理装置10によって得られる技術的効果について説明する。
【0135】
第7実施形態に係る情報処理装置10では、系列データに含まれる要素から尤度比、及び統合尤度比が算出される。そして、算出された統合尤度比が分類指標として用いられる。尤度比は、すでに説明したように、複数の要素の各々が複数のクラスのうちのあるクラスに属することの尤もらしさを示す値である。また、尤度比から算出される統合尤度比は、系列データが複数のクラスのうちのあるクラスに属することの尤もらしさを示す値である。よって、統合尤度比を分類指標として用いれば、検知対象クラスの要素が含まれる区間を適切に判定することが可能である。
【0136】
<第8実施形態>
第8実施形態に係る情報処理装置について説明する。なお、第8実施形態は、上述した第1から第7実施形態に係る情報処理装置の具体的な適用例を説明するものであり、システム構成や動作の流れについては、第1から第7実施形態と同様であってよい。このため、以下では、上述した第1から第7実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0137】
(がん細胞の検知)
本例では、クラスが細胞(物体)の状態の正常(陽)と異常(陰)に関するものである。
第8実施形態に係る情報処理装置10は、正常な細胞の中に含まれるがん細胞を検知するシステムとして機能するよう構成されてよい。この場合、情報処理装置10は、検知対象クラスの要素として、がん細胞を検知するように構成されればよい。このようにすれば、がん細胞が含まれる区間を適切に判定することが可能である。
【0138】
(エンジン音の検知)
本例では、クラスがエンジン音(物体)の特定のノイズ(属性)の有無に関するものである。
第8実施形態に係る情報処理装置10は、複数種類のエンジン音に含まれる特定のエンジン音を抽出するシステムとして機能するよう構成されてよい。この場合、情報処理装置10は、検知対象クラスの要素として、特定のエンジン音を検知するように構成されればよい。このようにすれば、特定のエンジン音が含まれる区間を適切に判定することが可能である。
【0139】
(フェイク動画の検知)
本例では、クラスが人物の顔(物体)が本物か(真)、あるいは、フェイクか(偽)を示す。
第8実施形態に係る情報処理装置10は、フェイク動画(例えば、合成処理等で生成された嘘の動画)を検知するシステムとして機能するよう構成されてよい。この場合、情報処理装置10は、検知対象クラスの要素として、合成された領域(即ち、本来の動画に付け足された領域)を検知するように構成されればよい。このようにすれば、動画がフェイク動画であるか否かを容易に判定することが可能である。
【0140】
(笑顔の検知)
第8実施形態に係る情報処理装置10は、動画又は画像における笑顔を検知するシステムとして機能するよう構成されてよい。この場合、情報処理装置10は、検知対象クラスの要素として、笑顔に特徴的な領域(例えば、目元や口元)を検知するように構成されればよい。このようにすれば、動画又は画像に含まれる笑顔を容易に検出することが可能である。
【0141】
(感情の検知)
また、上述した笑顔の検出を応用して、第8実施形態に係る情報処理装置10を、人物の感情を判定するシステムとして機能するようにしてもよい。この場合、情報処理装置10は、検知対象クラスの要素として、喜びの表情、悲しみの感情、怒りの感情等の各々に特徴的な領域(例えば、目元や口元)を画像から検知するように構成されればよい。あるいは、情報処理装置10は、検知対象クラスの他の要素として、人物の音声から感情を検知してもよい。このようにすれば、動画又は画像に含まれる人物の感情を判定することが可能である。
【0142】
(ボールインパクトの検知)
第8実施形態に係る情報処理装置10は、例えばテニス等を撮影した動画におけるボールインパクトの瞬間を検知するシステムとして機能するよう構成されてよい。この場合、情報処理装置10は、検知対象クラスの要素として、ボールインパクト時に特徴的な領域(例えば、ボールの凹みやガットのたわみ具合等)を検知するように構成されればよい。このようにすれば、ボールインパクトの瞬間を適切に検出することが可能である。
【0143】
<付記>
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0144】
(付記1)
付記1に記載の情報処理装置は、系列データに含まれる複数の要素を逐次的に取得する取得手段と、前記複数の要素のうち少なくとも2つの要素に基づいて、前記系列データが複数のクラスのいずれに属するかを示す分類指標を算出する算出手段と、所定条件を満たした場合に前記分類指標を所定値にリセットする第1処理、又は前記分類指標を算出するスレッドを新たに立ち上げる第2処理のいずれかを実行する処理手段と前記分類指標に基づいて、前記系列データにおける検知対象クラスの要素が含まれる区間を判定する判定手段とを備えることを特徴とする情報処理装置である。
【0145】
(付記2)
付記2に記載の情報処理装置は、前記判定手段は、前記分類指標が第1閾値を超えている場合に、前記検知対象クラスの要素が含まれる区間であると判定し、前記分類指標が前記第1閾値を超えた後、前記分類指標が第2閾値を下回った場合に、前記検知対象クラスの要素が含まれる区間でなくなったと判定することを特徴とする付記1に記載の情報処理装置である。
【0146】
(付記3)
付記3に記載の情報処理装置は、前記所定条件は、前記分類指標がいずれかのクラスに対応する閾値を超えることであることを特徴とする付記1又は2に記載の情報処理装置である。
【0147】
(付記4)
付記4に記載の情報処理装置は、前記所定条件は、前記分類指標が前記検知対象クラス以外のクラスに対応する閾値を超えることであることを特徴とする付記1又は2に記載の情報処理装置である。
【0148】
(付記5)
付記5に記載の情報処理装置は、前記所定値は、前記分類指標の初期値であることを特徴とする付記4に記載の情報処理装置である。
【0149】
(付記6)
付記6に記載の情報処理装置は、前記所定条件は、前記分類指標が前記検知対象クラスに対応する第4閾値を超えることであることを特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置である。
【0150】
(付記7)
付記7に記載の情報処理装置は、前前記所定値は、前記第4閾値であることを特徴とする付記6に記載の情報処理装置である。
【0151】
(付記8)
付記8に記載の情報処理装置は、前記所定条件は、前記分類指標の傾きが第5閾値を超えることであることを特徴とする付記1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置である。
【0152】
(付記9)
付記9に記載の情報処理装置は、前記所定条件は、所定数の要素が取得されることであることを特徴とする付記1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0153】
(付記10)
付記10に記載の情報処理装置は、前記算出手段は、前記複数の要素の各々が前記複数のクラスのうちのあるクラスに属することの尤もらしさを示す尤度比を算出する第1算出手段と、前記尤度比に基づいて、前記系列データが前記複数のクラスのうちのあるクラスに属することの尤もらしさを示す統合尤度比を前記分類指標として算出する第2算出手段とを有することを特徴とする付記1から9のいずれか一項に記載の情報処理装置である。
【0154】
(付記11)
付記11に記載の情報処理方法は、系列データに含まれる複数の要素を逐次的に取得し、前記複数の要素のうち少なくとも2つの要素に基づいて、前記系列データが複数のクラスのいずれに属するかを示す分類指標を算出し、所定条件を満たした場合に前記分類指標を所定値にリセットする第1処理、又は前記分類指標を算出するスレッドを新たに立ち上げる第2処理のいずれかを実行し、前記分類指標に基づいて、前記系列データにおける検知対象クラスの要素が含まれる区間を判定することを特徴とする情報処理方法である。
【0155】
(付記12)
付記12に記載のコンピュータプログラムは、系列データに含まれる複数の要素を逐次的に取得し、前記複数の要素のうち少なくとも2つの要素に基づいて、前記系列データが複数のクラスのいずれに属するかを示す分類指標を算出し、所定条件を満たした場合に前記分類指標を所定値にリセットする第1処理、又は前記分類指標を算出するスレッドを新たに立ち上げる第2処理のいずれかを実行し、前記分類指標に基づいて、前記系列データにおける検知対象クラスの要素が含まれる区間を判定するようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0156】
(付記13)
付記13に記載の記録媒体は、付記12に記載のコンピュータプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体である。
【0157】
この開示は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う情報処理装置、情報処理方法、及びコンピュータプログラムもまたこの開示の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0158】
10 情報処理装置
11 プロセッサ
14 記憶装置
50 取得部
110 第1算出部
111 尤度比算出部
112 第1記憶部
120 第2算出部
121 統合尤度比算出部
122 第2記憶部
200 処理実行部
300 区間判定部