(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B66C 23/693 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B66C23/693 D
(21)【出願番号】P 2022565287
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 JP2021042460
(87)【国際公開番号】W WO2022113882
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2020196126
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福森 康裕
(72)【発明者】
【氏名】川淵 直人
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-007894(JP,A)
【文献】特開昭58-220089(JP,A)
【文献】特開平11-217191(JP,A)
【文献】特開2006-300280(JP,A)
【文献】特開2015-042571(JP,A)
【文献】特開平09-124274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/00-23/94
F15B 11/00-11/22;
21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油の給排に基づいて伸縮ブームを伸縮させる第1油圧シリンダ及び第2油圧シリンダと、
前記第1油圧シリンダ及び前記第2油圧シリンダとタンクとを接続する圧抜き回路上に設けられた切換弁と、
前記第1油圧シリンダと前記第2油圧シリンダとを択一的に作動させる制御部であって、前記第1油圧シリンダが収縮した状態で、前記第2油圧シリンダを収縮又は伸長させる際、前記第1油圧シリンダとタンクとを接続するように前記切換弁を制御して、前記第1油圧シリンダ内の圧力を抜く制御部と、を備える
作業機。
【請求項2】
前記第1油圧シリンダ及び第2油圧シリンダに前記作動油を供給する供給部を、更に備え、
前記圧抜き回路は、前記第1油圧シリンダ及び前記第2油圧シリンダと前記供給部とを接続する供給回路に接続されている、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記第1油圧シリンダ及び第2油圧シリンダはそれぞれ、伸長する際に前記作動油が供給される伸回路と、収縮する際に前記作動油が供給される縮回路と、を有し、
前記圧抜き回路は、前記伸回路に接続されている、請求項1または2に記載の作業機。
【請求項4】
前記伸縮ブームの長さを検出するブーム長さ検出器を、更に備え、
前記制御部は、前記ブーム長さ検出器の検出値に応じて前記切換弁を制御する、請求項1~3の何れか一項に記載の作業機。
【請求項5】
前記切換弁は、前記制御部の制御下で、
前記第1油圧シリンダ及び前記第2油圧シリンダを前記タンクに接続しない第1回路と、
前記第1油圧シリンダを前記タンクに接続するとともに前記第2油圧シリンダを前記タンクに接続しない第2回路と、
前記第1油圧シリンダを前記タンクに接続しないとともに前記第2油圧シリンダを前記タンクに接続する第3回路と、
を切り替える、
請求項1~4の何れか一項に記載の作業機。
【請求項6】
前記制御部は、予め設定され、前記第1油圧シリンダ及び前記第2油圧シリンダの伸縮順序が異なる複数の伸縮モードを実行可能であり、前記伸縮モードのそれぞれにおいて前記切換弁を制御する、請求項1~5の何れか一項に記載の作業機。
【請求項7】
前記複数の伸縮モードは、前記第1油圧シリンダ及び前記第2油圧シリンダが全縮している第1状態と、前記第1油圧シリンダが全伸し、前記第2油圧シリンダが全縮している第2状態と、前記第1油圧シリンダ及び前記第2油圧シリンダが全伸している第3状態とを有する第1伸縮モードを含み、
前記制御部は、前記第1伸縮モードにおいて前記第1状態と前記第2状態との間を移行する際、前記第
2油圧シリンダとタンクとを接続するように前記切換弁を制御して、前記第
2油圧シリンダ内の圧力を抜く、請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
前記複数の伸縮モードは、前記第1油圧シリンダ及び前記第2油圧シリンダが全縮している第1状態と、前記第1油圧シリンダが全縮し、前記第2油圧シリンダが全伸している第4状態と、前記第1油圧シリンダ及び前記第2油圧シリンダが全伸している第3状態とを有する第2伸縮モードを含み、
前記制御部は、前記第2伸縮モードにおいて前記第1状態と前記第4状態との間を移行する際、前記第1油圧シリンダとタンクとを接続するように前記切換弁を制御して、前記第1油圧シリンダ内の圧力を抜く、請求項6又は7に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段のブームを伸縮させる複数の伸縮用油圧シリンダを備えた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から多段のブームを伸縮させる複数の伸縮用油圧シリンダを備えた作業機(例えば、クレーン)が知られている。ところで、特許文献1には、基端ブームに対する中間ブームの伸長量を検出するリミットスイッチを設け、基端ブームに対して中間ブームがほぼ全縮の状態であるか否かを検出する伸縮ブーム式高所作業車が開示されている。
【0003】
しかし、クレーンにおいては、ブームがほぼ全縮している状態、つまり伸縮用油圧シリンダが完全に全縮していない状態は好ましくない。この状態で吊り荷を吊るすと、本来ブームで受けるべき荷重を伸縮用油圧シリンダで受けることになり、伸縮用油圧シリンダが破損する可能性がある。そのため、多段のブームを備えたクレーンにおいては、伸縮用油圧シリンダを完全に全縮させることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の伸縮用油圧シリンダを備え、伸縮用油圧シリンダの伸縮順序を変更可能なクレーンにおいて、本来全縮しているべき所定の伸縮用油圧シリンダが完全に全縮していない状態が生じていた。例えば、ブームの縮小過程において、本来全縮すべき所定の伸縮用油圧シリンダが完全に全縮していない状態でも、全縮状態と判定されることがある。これは、ブーム長さ検出器を用いた場合に、検出されるブームの長さは、ブーム長さ検出器のバラツキやヒステリシスによりある程度の範囲をもっているためである。
【0006】
また例えば、ブームの伸長過程において、作動させる伸縮用油圧シリンダを切り替えるソレノイドバルブのスプール隙間を介して、作動させない伸縮用油圧シリンダ側に作動油が漏れ込み、作動させない伸縮用油圧シリンダが伸長することもある。
【0007】
本発明の目的は、多段のブームを伸縮させる複数の伸縮用油圧シリンダを備えた作業機において、所定の伸縮用油圧シリンダを完全に全縮させることができる作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る作業機の一態様は、
作動油の給排に基づいて伸縮ブームを伸縮させる第1油圧シリンダ及び第2油圧シリンダと、
第1油圧シリンダ及び第2油圧シリンダとタンクとを接続する圧抜き回路上に設けられた切換弁と、
第1油圧シリンダと第2油圧シリンダとを択一的に作動させる制御部であって、第1油圧シリンダが収縮した状態で、第2油圧シリンダを収縮又は伸長させる際、第1油圧シリンダとタンクとを接続するように切換弁を制御して、第1油圧シリンダ内の圧力を抜く制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多段のブームを伸縮させる複数の伸縮用油圧シリンダを備えた作業機において、所定の伸縮用油圧シリンダを完全に全縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るクレーンの全体構成を示す側面図である。
【
図2】
図2は、伸縮用油圧シリンダが第1状態にあるときのブームの模式側面図である。
【
図3】
図3は、伸縮用油圧シリンダが第2状態にあるときのブームの模式側面図である。
【
図4】
図4は、伸縮用油圧シリンダが第3状態にあるときのブームの模式側面図である。
【
図5】
図5は、伸縮用油圧シリンダが第4状態にあるときのブームの模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1~
図6を参照して本発明の実施形態に係る作業機について説明する。尚、作業機は、クレーンに限定されず、例えば、伸縮ブームを備える高所作業車であってもよい。作業機は、伸縮ブームを備える種々の作業機であってよい。
【0012】
先ず、本実施形態に係る作業機の一例であるクレーン1の概要について説明する。クレーン1は、作動油の給排に基づいて伸縮ブーム4を伸縮させる第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52と、第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52とタンク90とを接続する圧抜き回路上に設けられた伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88と、第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52のうちの一方の油圧シリンダが収縮した状態で、第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52のうちの他方の油圧シリンダを収縮又は伸長させる際、一方の油圧シリンダとタンク90とを接続するように伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88を制御して、一方の油圧シリンダ内の圧力を抜く制御部11と、を備える。以下、本実施形態に係るクレーン1の具体的構成について説明する。
【0013】
[クレーンの構成]
図1に示すように、クレーン1は、車両2と、クレーン装置3とを備えている。車両2は、左右一対の前輪21及び後輪22を備えている。また、車両2は、荷物Wの運搬作業を行なう際に接地させて安定を図るアウトリガ23を備えている。なお、車両2は、アクチュエータによって、その上部に支持するクレーン装置3を旋回自在としている。
【0014】
クレーン装置3は、その後部から前方へ突き出すようにブーム4を備えている。ブーム4は、図示しない旋回用油圧モータによって旋回自在に構成されている。又、ブーム4は、伸縮用油圧シリンダ5(
図2から
図5参照)によって伸縮自在に構成されている。更に、ブーム4は、起伏用油圧シリンダ31によって起伏自在に構成されている。ブーム4の旋回角度、旋回速度、伸縮長さ、伸縮速度、起伏角度、及び起伏速度は、図示しない複数のセンサによって検出される。
【0015】
ブーム4には、ワイヤロープ61が架け渡されている。ブーム4の基端側には、ワイヤロープ61を巻き付けたウインチ62が配置され、ブーム4の先端側には、ワイヤロープ61によってフック63が垂下されている。ウインチ62は、図示しない巻回用油圧モータと一体的に構成されており、ワイヤロープ61の巻き入れ及び巻き出しを可能としている。フック63は、巻回用油圧モータによって昇降自在に構成されている。フック63の吊下長さ及び昇降速度は、図示しないセンサによって検出される。
【0016】
また、クレーン装置3は、ブーム4の側方にキャビン32を備えている。キャビン32の内部には、クレーン装置3を操作するための旋回操作具、伸縮操作具、起伏操作具、及び巻回操作具などが設けられている。
【0017】
[ブーム]
図2から
図5は、ブーム4の側面図である。ブーム4は、第1ブーム41から第5ブームの5つの部材が入れ子状に組み立てられて構成される。第1ブーム41は、基端側に配置される最も外側の部材であり、旋回自在及び起伏自在に支持されている。第2ブーム42は、第1ブーム41の内側に配置され、第1ブーム41に対して伸縮する部材である。
【0018】
第3ブーム43は、第2ブーム42の内側に配置され、第2ブーム42に対して伸縮する部材である。第4ブーム44は、第3ブーム43の内側に配置され、第3ブーム43に対して伸縮する部材である。第5ブーム45は、先端側に配置される最も内側の部材であり、第4ブーム44の内側に配置され、第4ブーム44に対して伸縮する。第3ブーム43、第4ブーム44及び第5ブーム45は、図示しないワイヤ等を介して連結され、各ブーム43、44、45が一定の割合で連動して伸縮するように構成されている。すなわち、第3ブーム43、第4ブーム44及び第5ブーム45においては、一度に全縮状態となり、一度に全伸状態となる。
【0019】
[伸縮用油圧シリンダ]
図2から
図5に示すように、ブーム4の内部には伸縮用油圧シリンダ5が配置されている。伸縮用油圧シリンダ5は、第2ブーム42を伸縮させる第1伸縮用油圧シリンダ51と、第3ブーム43を伸縮させる第2伸縮用油圧シリンダ52とで構成されている。上述したように、第3ブーム43、第4ブーム44及び第5ブーム45は連結されているため、第2伸縮用油圧シリンダ52の伸縮による第3ブーム43の伸縮に連動して第4ブーム44及び第5ブーム45も伸縮する。したがって、第2伸縮用油圧シリンダ52は、第3ブーム43、第4ブーム44及び第5ブーム45を伸縮させるということもできる。第1伸縮用油圧シリンダ51は、第1油圧シリンダ及び第2油圧シリンダのうちの何れか一方のシリンダの一例に該当する。又、第2伸縮用油圧シリンダ52は、第1油圧シリンダ及び第2油圧シリンダのうちの何れか他方のシリンダ一例に該当する。具体的には、第1伸縮用油圧シリンダ51が第1油圧シリンダの一例に該当する場合、第2伸縮用油圧シリンダ52は、第2油圧シリンダの一例に該当する。又、第1伸縮用油圧シリンダ51が第2油圧シリンダの一例に該当する場合、第2伸縮用油圧シリンダ52は、第1油圧シリンダの一例に該当する。
【0020】
[ブーム長さ検出器]
図2から
図5に示すように、ブーム4の外面には、ブームの長さを検出するブーム長さ検出器7が設けられている。ブーム長さ検出器7は、リール71と、一端がリール71に固定され他端が第5ブーム45の先端に固定されるワイヤ72と、ワイヤ72の繰り出し量を検出する図示しないセンサとを有している。センサは後述する制御部11に接続されている。これにより、センサでワイヤの繰り出し量を検出することで、ブーム4の長さを検出することができる。
【0021】
[伸縮用油圧シリンダに関する油圧回路の構成]
図6は、第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52に関する油圧回路を示す図である。油圧回路は、第1伸縮用油圧シリンダ51と、第2伸縮用油圧シリンダ52と、原動機81と、ポンプ82と、伸縮コントロールバルブ83と、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84と、第1カウンタバランスバルブ85と、第2カウンタバランスバルブ86と、ホースリール87と、伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88と、リリーフバルブ89と、タンク90とを備えている。
【0022】
原動機81は、ポンプ82に接続されている。ポンプ82は、供給部の一例に該当し、タンク90と伸縮コントロールバルブ83との間に配置されており、タンク90から伸縮コントロールバルブ83へ作動油を圧送する。
【0023】
伸縮コントロールバルブ83は、ポンプ82と伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84との間に配置されている。伸縮コントロールバルブ83は、4方向4ポート3位置電磁弁である。4つのポートは、それぞれポンプ82と、タンク90と、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84と、第1伸縮用油圧シリンダ51の縮回路51B及び第2伸縮用油圧シリンダ52の縮回路52Bとに接続されている。
【0024】
伸縮コントロールバルブ83は、第1ソレノイド831と第2ソレノイド832とを有しており、第1ソレノイド831及び第2ソレノイド832によって第1位置と第2位置と第3位置とに切替可能に構成される。具体的には、第1ソレノイド831をオンするとともに第2ソレノイド832をオフすると、伸縮コントロールバルブ83は第1位置に切り替えられ、第1ソレノイド831をオフするとともに第2ソレノイド832をオンすると、伸縮コントロールバルブ83は第2位置に切り替えられ、第1ソレノイド831及び第2ソレノイド832をともにオフすると、伸縮コントロールバルブ83は第3位置に切り替えられる。
【0025】
伸縮コントロールバルブ83が第3位置に切り替えられた状態では、ポンプ82に繋がるポートが閉じ、他の3つのポートがタンク90に繋がる。伸縮コントロールバルブ83が第1位置に切り替えられた状態では、ポンプ82と伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84とが接続され、第1伸縮用油圧シリンダ51の縮回路51B及び第2伸縮用油圧シリンダ52の縮回路52Bとタンク90とが接続される。伸縮コントロールバルブ83が第1位置に切り替えられた状態では、ポンプ82から伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84へ作動油が供給される。
【0026】
伸縮コントロールバルブ83が第2位置に切り替えられた状態では、ポンプ82と第1伸縮用油圧シリンダ51の縮回路51B及び第2伸縮用油圧シリンダ52の縮回路52Bとが接続され、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84とタンク90とが接続される。伸縮コントロールバルブ83が第2位置に切り替えられた状態では、ポンプ82から第1伸縮用油圧シリンダ51の縮回路51B及び第2伸縮用油圧シリンダ52の縮回路52Bへ作動油が供給される。
【0027】
伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84は、伸縮コントロールバルブ83と第1カウンタバランスバルブ85及びホースリール87との間に配置されている。伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84は、3ポート単動電磁弁であり、オフ時は左側位置にあり、オンすると右側位置に切り替わる。3つのポートは、それぞれ伸縮コントロールバルブ83と、第1カウンタバランスバルブ85と、ホースリール87とに接続されている。
【0028】
伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84は、ソレノイドのオフ時には、伸縮コントロールバルブ83と第1カウンタバランスバルブ85を接続し、ホースリール87に繋がるポートを閉じる。伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84は、ソレノイドのオン時には、伸縮コントロールバルブ83とホースリール87とを接続し、第1カウンタバランスバルブ85に繋がるポートを閉じる。
【0029】
第1カウンタバランスバルブ85は、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84と第1伸縮用油圧シリンダ51の伸回路51Aとの間に配置されている。第2カウンタバランスバルブ86は、ホースリール87と第2伸縮用油圧シリンダ52の伸回路52Aとの間に配置されている。ホースリール87は、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84と第2カウンタバランスバルブ86との間に配置されている。
【0030】
伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88は、切換弁の一例に該当し、第1カウンタバランスバルブ85と伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84とを接続する回路91とタンク90との間、ホースリール87と伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84とを接続する回路92とタンク90との間に配置されている。伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88は、4方向4ポート3位置電磁弁であり、左側に第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド881、右側に第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド882を有している。4つのポートは、それぞれタンク90と、回路91と、回路92と、閉じられた回路とに接続されている。尚、回路91、92を含み第1伸縮用油圧シリンダ51および第2伸縮用油圧シリンダ52とポンプ82とを接続する回路は、供給回路の一例に該当する。
【0031】
伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88は、第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド881及び第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド882によって第1位置と第2位置と第3位置とに切替可能に構成される。具体的には、第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド881をオンするとともに第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド882をオフすると、伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88は第1位置に切り替えられる。また、第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド881をオフするとともに第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド882をオンすると、伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88は第2位置に切り替えられる。また、第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド881及び第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド882をともにオフすると、伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88は第3位置に切り替えられる。
【0032】
伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88が第3位置に切り替えられた状態では、4つのポートが閉じ、第1伸縮用油圧シリンダ51の伸回路51A及び第2伸縮用油圧シリンダ52の伸回路52Aをタンク90に接続しない第1回路が形成される。すなわち、第1回路は、第3位置にある伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88と、第1伸縮用油圧シリンダ51の伸回路51Aと伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88とを接続する回路と、第2伸縮用油圧シリンダ52の伸回路52Aと伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88とを接続する回路とで構成される。
【0033】
伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88が第1位置に切り替えられた状態では、回路91とタンク90とが接続され、回路92が閉じられた回路と接続される。つまり、伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88が第1位置に切り替えられた状態では、第1伸縮用油圧シリンダ51の伸回路51Aをタンク90に接続するとともに第2伸縮用油圧シリンダ52の伸回路52Aをタンク90に接続しない第2回路が形成される。すなわち、第2回路は、第1位置にある伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88と、第1伸縮用油圧シリンダ51の伸回路51Aとタンク90とを接続する回路と、第2伸縮用油圧シリンダ52の伸回路52Aと伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88とを接続する回路と、閉じられた回路とで構成される。
【0034】
伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88が第2位置に切り替えられた状態では、回路92とタンク90とが接続され、回路91が閉じられた回路と接続される。つまり、伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88が第2位置に切り替えられた状態では、第1伸縮用油圧シリンダ51の伸回路51Aをタンク90に接続しないとともに第2伸縮用油圧シリンダ52の伸回路52Aをタンク90に接続する第3回路が構成される。すなわち、第3回路は、第2位置にある伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88と、第2伸縮用油圧シリンダ52の伸回路52Aとタンク90とを接続する回路と、第1伸縮用油圧シリンダ51の伸回路51Aと伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88とを接続する回路と、閉じられた回路とで構成される。
【0035】
このように、伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88は、第1回路と第2回路と第3回路とを切り替える電磁弁である。そして、第1回路と第2回路と第3回路とによって圧抜き回路が構成されているものといえる。
【0036】
リリーフバルブ89は、ポンプ82の送出側とタンク90との間に配置されており、ポンプ82から送出される余剰の作動油をタンク90に戻すバルブである。タンク90は、油圧回路で使用する作動油を溜めておくものである。
【0037】
また、伸縮コントロールバルブ83の第1ソレノイド831及び第2ソレノイド832、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84のソレノイド、並びに伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88の第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド881及び第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド882は、制御部11に接続されている。
【0038】
制御部11には、ブーム長さ検出器7及び伸縮操作レバー12も接続されている。伸縮操作レバー12は、レバーの操作方向(伸長方向と縮小方向)及び操作量によって第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52の伸縮を操作するものである。
【0039】
制御部11は、CPU等の制御装置及びRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶装置で構成されている。制御部11は、ブーム長さ検出器7及び伸縮操作レバー12からの入力に応じて伸縮コントロールバルブ83、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84及び伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88を制御する。
【0040】
[油圧回路の基本動作]
図6の油圧回路によれば、伸縮操作レバー12の操作方向と操作量に応じて第1ソレノイド831又は第2ソレノイド832に電流が流れ、その電流量に応じて伸縮コントロールバルブ83が動く。原動機81にて駆動されたポンプ82から送出された作動油は、伸縮コントロールバルブ83の動いた量に応じて、第1伸縮用油圧シリンダ51又は第2伸縮用油圧シリンダ52に流入する。その結果、第1伸縮用油圧シリンダ51又は第2伸縮用油圧シリンダ52が伸縮する。なお、余剰の作動油はリリーフバルブ89からタンク90へ排出される。
【0041】
このとき、第1伸縮用油圧シリンダ51を作動させる場合は、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84をオフ(伸縮コントロールバルブ83と第1伸縮用油圧シリンダ51が繋がった状態)とする。一方、第2伸縮用油圧シリンダ52を作動させる場合は、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84をオン(伸縮コントロールバルブ83と第2伸縮用油圧シリンダ52が繋がった状態)とする。つまり、伸縮コントロールバルブ83にて第1伸縮用油圧シリンダ51又は第2伸縮用油圧シリンダ52の作動方向及び作動速度を制御し、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84にて作動させる第1伸縮用油圧シリンダ51又は第2伸縮用油圧シリンダ52に切り替える。
【0042】
[伸縮モード]
制御部11は、第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52の伸縮順序が異なる複数の伸縮モードを実行可能であり、各伸縮モードにおいて伸縮コントロールバルブ83、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84及び伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88を制御する。本実施形態において、複数の伸縮モードは、第1伸縮モード及び第2伸縮モードである。第1伸縮モード及び第2伸縮モードは、図示しない操作部を操作することで選択可能(設定可能)であり、ブーム4の全縮状態又は全伸状態の何れかの状態において選択操作可能となっている。それ以外の状態では、最後に選んだ伸縮モードが保持される。
【0043】
(第1伸縮モード)
第1伸縮モードは、第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52が全縮している第1状態(
図2に示す状態)と、第1伸縮用油圧シリンダ51が全伸し、第2伸縮用油圧シリンダ52が全縮している第2状態(
図3に示す状態)と、第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52が全伸している第3状態(
図4に示す状態)とを取り得るように制御するモードである。
【0044】
すなわち、第1伸縮モードは、第1伸縮用油圧シリンダ51が伸縮することにより第1状態と第2状態との間で移行し、第2伸縮用油圧シリンダ52が伸縮することにより第2状態と第3状態との間で移行するモードである。
【0045】
表1は、第1伸縮モードにおける各ソレノイドの状態を示す表である。
【0046】
【0047】
表1に示すように、第1状態と第2状態との間で移行するとき、制御部11は、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84をオフ、第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド881をオフ、第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド882をオンに制御する。また、第2状態と第3状態との間で移行するとき、制御部11は、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84をオン、第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド881をオフ、第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド882をオフに制御する。
【0048】
ここで、第1状態、第2状態、第3状態の判定は、制御部11がブーム長さ検出器7の検出結果(検出値)から判定する。しかしながら、ブーム長さ検出器7によって検出されるブーム4の長さは、ブーム長さ検出器7のバラツキやヒステリシスによりある程度の範囲をもっている。よって、この範囲内において、第3状態から第2状態に移行したときの第2伸縮用油圧シリンダ52は完全に全縮できていない場合がある。
【0049】
この点について、第1伸縮モードにおいてブーム4を全伸状態から全縮状態まで縮小させる過程を例に説明する。ブーム4が全伸状態にあるとき、第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52は全伸している第3状態にある。この状態から第2伸縮用油圧シリンダ52が縮小していき、ブーム長さ検出器7で検出されたブーム4の長さが短くなっていき、第2状態になったと判定されたとき、第2伸縮用油圧シリンダ52は完全に全縮できていない場合がある。
【0050】
第2状態になったと判定されると、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84がオフに切り替わり、第1伸縮用油圧シリンダ51が縮小し始めるとともに、第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド882がオンとなり、第2伸縮用油圧シリンダ52の伸回路52Aがタンク90と繋がる。よって、第1伸縮用油圧シリンダ51が縮小する際、同時に第2伸縮用油圧シリンダ52も縮小する。その結果、第2伸縮用油圧シリンダ52に残っていたストローク(伸量)がなくなり、第2伸縮用油圧シリンダ52は完全に全縮する。
【0051】
また、ブーム4の伸長過程において、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84のスプール隙間を介して、作動させない伸縮用油圧シリンダ側に作動油が漏れ込み、作動させない伸縮用油圧シリンダが伸長することが考えられる。
【0052】
この点について、第1伸縮モードにおいてブーム4を全縮状態から全伸状態まで伸長させる過程を例に説明する。ブーム4が全縮状態にあるとき、第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52は全縮している第1状態にある。この状態から第1伸縮用油圧シリンダ51が伸長して第2状態になるまでの間、第1伸縮用油圧シリンダ51の伸回路51Aにはシリンダを動かすために高圧が作用している。
【0053】
このとき、第2伸縮用油圧シリンダ52は作動しておらず低圧しか作用していないため、圧力差により伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84のスプール隙間を介して作動油が第2伸縮用油圧シリンダ52の伸回路52Aに向かって漏れ込むことがある。
【0054】
しかしながら、第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド882がオンであり、第2伸縮用油圧シリンダ52の伸回路52Aがタンク90と繋がっているため、漏れ込んだ作動油は第2伸縮用油圧シリンダ52の伸回路52Aに到達する前に第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド882を通じてタンク90に戻される。その結果、第2伸縮用油圧シリンダ52は伸長せず、完全に全縮した状態を保つことができる。
【0055】
このように、制御部11は、第1伸縮モードにおいて第1状態と第2状態との間を移行するとき、圧抜き回路が第3回路となるように各ソレノイドを制御している。これにより、第1伸縮モードにおいて第1状態と第2状態との間を移行するとき、第2伸縮用油圧シリンダ52を完全に全縮させることができる。
【0056】
(第2伸縮モード)
第2伸縮モードは、第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52が全縮している第1状態(
図2に示す状態)と、第1伸縮用油圧シリンダ51が全縮し、第2伸縮用油圧シリンダ52が全伸している第4状態(
図5に示す状態)と、第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52が全伸している第3状態(
図4に示す状態)とを取り得るように制御するモードである。
【0057】
すなわち、第2伸縮モードは、第2伸縮用油圧シリンダ52が伸縮することにより第1状態と第4状態との間で移行し、第1伸縮用油圧シリンダ51が伸縮することにより第4状態と第3状態との間で移行するモードである。
【0058】
表2は、第2伸縮モードにおける各ソレノイドの状態を示す表である。
【0059】
【0060】
表2に示すように、第1状態と第4状態との間で移行するとき、制御部11は、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84をオン、第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド881をオン、第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド882をオフに制御する。また、第4状態と第3状態との間で移行するとき、制御部11は、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84をオフ、第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド881をオフ、第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド882をオフに制御する。
【0061】
ここで、第1伸縮モードと同様に、第1状態、第3状態、第4状態の判定は、制御部11がブーム長さ検出器7の検出結果から判定する。よって、第1伸縮モードと同様の理由で、第3状態から第4状態に移行したときの第1伸縮用油圧シリンダ51は完全に全縮できていない場合がある。
【0062】
この点について、第2伸縮モードにおいてブーム4を全伸状態から全縮状態まで縮小させる過程を例に説明する。ブーム4が全伸状態にあるとき、第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52は全伸している第3状態にある。この状態から第1伸縮用油圧シリンダ51が縮小していき、ブーム長さ検出器7で検出されたブーム4の長さが短くなっていき、第4状態になったと判定されたとき、第1伸縮用油圧シリンダ51は完全に全縮できていない場合がある。
【0063】
第4状態になったと判定されると、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84がオンに切り替わり、第2伸縮用油圧シリンダ52が縮小し始めるとともに、第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド881がオンとなり、第1伸縮用油圧シリンダ51の伸回路51Aがタンク90と繋がる。よって、第2伸縮用油圧シリンダ52が縮小する際、同時に第1伸縮用油圧シリンダ51も縮小する。その結果、第1伸縮用油圧シリンダ51に残っていたストローク(伸量)がなくなり、第1伸縮用油圧シリンダ51は完全に全縮する。
【0064】
また、第1伸縮モードと同様に、ブーム4の伸長過程において、伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84のスプール隙間を介して、作動させない伸縮用油圧シリンダ側に作動油が漏れ込み、作動させない伸縮用油圧シリンダが伸長することが考えられる。
【0065】
この点について、第2伸縮モードにおいてブーム4を全縮状態から全伸状態まで伸長させる過程を例に説明する。ブーム4が全縮状態にあるとき、第1伸縮用油圧シリンダ51及び第2伸縮用油圧シリンダ52は全縮している第1状態にある。この状態から第2伸縮用油圧シリンダ52が伸長して第4状態になるまでの間、第2伸縮用油圧シリンダ52の伸回路52Aにはシリンダを動かすために高圧が作用している。
【0066】
このとき、第1伸縮用油圧シリンダ51は作動しておらず低圧しか作用していないため、圧力差により伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84のスプール隙間を介して作動油が第1伸縮用油圧シリンダ51の伸回路51Aに向かって漏れ込むことがある。
【0067】
しかしながら、第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド881がオンであり、第1伸縮用油圧シリンダ51の伸回路51Aがタンク90と繋がっているため、漏れ込んだ作動油は第1伸縮用油圧シリンダ51の伸回路51Aに到達する前に第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド881を通じてタンク90に戻される。その結果、第1伸縮用油圧シリンダ51は伸長せず、完全に全縮した状態を保つことができる。
【0068】
このように、制御部11は、第2伸縮モードにおいて第1状態と第4状態との間を移行するとき、圧抜き回路である伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88が第2回路となるように各ソレノイドを制御している。これにより、第2伸縮モードにおいて第1状態と第4状態との間を移行するとき、第1伸縮用油圧シリンダ51を完全に全縮させることができる。
【0069】
上記の実施形態のクレーン1によれば、第1伸縮用油圧シリンダ51又は第2伸縮用油圧シリンダ52の一方の伸縮中に他方を圧抜き回路を通じてタンク90に接続することにより他方の伸回路の圧力が抜け、他方を完全に全縮した状態にすることができる。これにより、他方の伸縮用油圧シリンダが完全に全縮した状態で吊り荷を吊るした場合、吊り荷の荷重を他方の伸縮用油圧シリンダで受けることがなくブーム4の断面で受けることができるため、他方の伸縮用油圧シリンダの破損を抑制することができる。
【0070】
なお、ブームの段数が増え、それに伴い伸縮シリンダの数が増えた場合は、伸縮シリンダの数に応じて伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ84及び伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ88を増やして同様に制御することにより、同様の作用、効果を得ることができる。
【0071】
2020年11月26日出願の特願2020-196126の日本出願に含まれる明細書、図面、および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、伸縮ブームを有する種々の作業機に適用できる。
【符号の説明】
【0073】
1 クレーン
11 制御部
2 車両
21 前輪
22 後輪
23 アウトリガ
3 クレーン装置
31 起伏用油圧シリンダ
32 キャビン
4 ブーム
41 第1ブーム
42 第2ブーム
43 第3ブーム
44 第4ブーム
45 第5ブーム
5 伸縮用油圧シリンダ
51 第1伸縮用油圧シリンダ
51B 縮回路
52 第2伸縮用油圧シリンダ
52B 縮回路
61 ワイヤロープ
62 ウインチ
63 フック
7 ブーム長さ検出器
71 リール
72 ワイヤ
81 原動機
82 ポンプ
83 伸縮コントロールバルブ
831 第1ソレノイド
832 第2ソレノイド
84 伸縮用シリンダ作動切替ソレノイドバルブ
85 第1カウンタバランスバルブ
86 第2カウンタバランスバルブ
87 ホースリール
88 伸縮用シリンダ圧抜きソレノイドバルブ(電磁弁)
881 第1伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド
882 第2伸縮用シリンダ圧抜きソレノイド
89 リリーフバルブ
90 タンク
91、92 回路
W 吊り荷