(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】歯車装置及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
F16H 55/14 20060101AFI20240110BHJP
F16H 57/021 20120101ALI20240110BHJP
F16H 57/023 20120101ALI20240110BHJP
F16H 57/12 20060101ALI20240110BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20240110BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20240110BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F16H55/14
F16H57/021
F16H57/023
F16H57/12 Z
F16C17/02 Z
F16C11/04 Z
F16C11/10 D
(21)【出願番号】P 2023043686
(22)【出願日】2023-03-20
(62)【分割の表示】P 2019077495の分割
【原出願日】2019-04-16
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 雅弘
【審査官】木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-238995(JP,A)
【文献】特開平10-009367(JP,A)
【文献】特開平04-085067(JP,A)
【文献】特開2006-315367(JP,A)
【文献】特開2005-273678(JP,A)
【文献】特開2000-039057(JP,A)
【文献】特開平11-022480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 55/14
F16H 57/021
F16H 57/023
F16H 57/12
F16C 17/02
F16C 11/04
F16C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部が支持枠体から突出するようにして、前記支持枠体に回転自在に取り付けられた回転軸と、
前記支持枠体から突出した前
記端部
に取り付けられた歯車と、
前記支持枠体と前記歯車の間
に配置される軸受部材と、
を備え、
前記軸受部
材は付勢軸受部材であって、前記付勢軸受部材は、前記回転軸が挿通される軸受け部と
、前記歯車と前記支持枠体とを離間させる方向に付勢力を付与す
る付勢部と、を有していることを特徴とする歯車装置。
【請求項2】
前記付勢部は、前記軸受け部の外周に張り出していることを特徴とする請求項1に記載の歯車装置。
【請求項3】
前記付勢部は、ばね性を有することを特徴とする請求項1に記載の歯車装置。
【請求項4】
前記回転軸の前記端部に対する他方の端部は、前記支持枠体から突出するように取り付けられており、
前記他方の端部に対して配置される軸受部材は、前記付勢部を有していないことを特徴とする請求項1に記載の歯車装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の歯車装置と、前記歯車装置の歯車を回転駆動させる駆動源と、前記駆動源により与えられる駆動力を伝達する駆動ベルトと、を有する駆動機構と、
前記駆動機構により移動可能に構成された印刷ヘッドと、
を備えていることを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車装置及び印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の歯車を介して駆動力を伝達する歯車装置が知られている。
具体的には、駆動源としてのモータ等で発生した駆動力を、歯車を介在させることで速度やトルクを調整しながら、タイミングベルト等の駆動ベルトによって伝達し、駆動(移動)対象を、一定方向に駆動(移動)させる。
歯車装置は、例えば、印刷装置の印刷ヘッドを移動させる移動機構等に適用される。
【0003】
しかし、歯車装置においては、部品の取り付け部分・嵌合箇所におけるガタつきや、回転軸に取り付けられた歯車のバックラッシュに起因するガタつき等が発生しやすい。
例えば、印刷ヘッドのノズルからインク液滴を吐出させ印刷を行うインクジェット方式の印刷装置において、マルチパス方式のシングリング印刷を行う場合、ノズルから吐出されるインク液滴のインクドット径よりも小さい誤差範囲内で印刷ヘッドを移動させなければインク液滴の着弾位置のずれ等により高精細な印刷を実現することができない。
このため、印刷ヘッドの移動機構には高い駆動精度が要求され、印刷ヘッドの移動機構に歯車装置が用いられる場合には、ガタつきの発生をできるだけ抑える必要がある。
【0004】
この点、例えば、特許文献1には、歯車装置に、歯車をスラスト方向に付勢するスプリングを設け、スプリングの付勢力によってギヤ(歯車)を付勢することによりバックラッシュ等に起因するガタを抑制する構成が開示されている。
こうした構成により、バックラッシュ等に起因するガタつきの発生を防ぐことができれば、高い駆動精度が要求される場面でも印刷ヘッド等の移動対象を高精度に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スプリング等、ガタつき防止のための部品を別途設ける場合には、その分部品点数が増加してしまう。また、スプリング等は微細部品であることから製造及び組付け段階で手間が掛かるとの問題もある。
このため、全体として装置のコストアップにつながるおそれがある。
また、歯車装置に用いられるスプリング等の部品は、寸法精度の高い焼結等で加工する必要があり、この点でもコストアップの要因となる。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ガタつきを抑えて良好な精度を実現することのできる歯車装置及び印刷装置を提供することを利点とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の歯車装置は、
端部が支持枠体から突出するようにして、前記支持枠体に回転自在に取り付けられた回転軸と、
前記支持枠体から突出した前記端部に取り付けられた歯車と、
前記支持枠体と前記歯車の間に配置される軸受部材と、
を備え、
前記軸受部材は付勢軸受部材であって、前記付勢軸受部材は、前記回転軸が挿通される軸受け部と、前記歯車と前記支持枠体とを離間させる方向に付勢力を付与する付勢部と、を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガタつきを抑えて良好な精度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態における歯車装置を組み込んだ印刷装置の要部を前方斜め上側から見た斜視図である。
【
図2】本実施形態の歯車装置を
図1における装置後方側から見た平面図である。
【
図3】
図2における歯車装置の左側部分を拡大した斜視図である。
【
図4】
図2における歯車装置の右側部分を拡大した斜視図である。
【
図5】本実施形態の歯車装置の模式的な分解斜視図である。
【
図6】本実施形態における歯車装置に用いられる軸受部材の斜視図である。
【
図7】バックラッシュを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から
図7を参照しつつ、本発明に係る歯車装置及び歯車装置を備える印刷装置の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、歯車装置6を備える印刷装置1が人の爪に印刷を施すネイルプリント装置である場合を例に説明するが、本発明における印刷装置1はネイルプリント装置に限定されない。また、本実施形態では、印刷装置1が手の指の爪を印刷対象としてこれに印刷する場合を例とするが、本発明における印刷装置1がネイルプリント装置である場合にその印刷対象は手の指の爪に限るものではなく、例えば足の指の爪を印刷対象としてもよい。また、ネイルチップや各種アクセサリの表面等、爪以外のものを印刷対象としてもよい。
【0012】
《印刷装置の全体構成》
図1は、本実施形態における歯車装置を組み込んだ印刷装置を前方斜め上側から見た斜視図である。なお、
図1では図示を省略しているが、印刷装置1は、
図1に示す装置本体の他、装置本体全体を収容する筐体(外装ケース)を備え、装置本体が筐体内に収められている。
図1に示すように、印刷装置1は、後述する歯車装置6等を有する駆動機構49、この駆動機構49により移動可能に構成された印刷ヘッド41等、各種構造物を備えている。
具体的には、印刷装置1は、例えば以下のように構成されている。
すなわち、
図1に示すように、印刷装置1は、各種の内部構造物が組み込まれた基台10を備えている。
基台10の上側は、ほぼ平坦な基台上面20となっている。基台上面20は、後述の指固定部3に印刷を施す爪に対応する指(これを以下「印刷指」という。図示せず。)を固定した状態における爪の表面(印刷対象面)とほぼ面一となる高さに配置されている。
【0013】
基台上面20のうちの前側(手前側)部分であって左右方向のほぼ中央部には、指固定部3が配置されている。
指固定部3は装置前面側に開口する開口部31を有する箱状の部材であり、指固定部3内部には印刷指を固定する指固定部材32が配置されている。
指固定部材32は、印刷指を下側から押し上げ支持するものであり、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成されている。本実施形態では、指固定部材32は、幅方向(左右方向)のほぼ中央部が窪んだ形状となっており、印刷指を指固定部材32上に載置した際に、印刷指の腹部分を指固定部材32が受けて、左右方向に指がガタつくのを防止することができる。
【0014】
指固定部3の天面奥側(Y方向後側)は開口した開口部33となっている。開口部33からは指固定部3内に挿入された指の爪が露出するようになっている。
本実施形態では、開口部33の設けられている領域において、後述の印刷部40(印刷部40の印刷ヘッド41)により印刷が行われるようになっている。
【0015】
また、指固定部3の天面手前側(Y方向前側)は印刷指の浮き上がりを防止して印刷指の上方向の位置を規制する指押え34となっている。
また、指固定部3の内部奥側(Y方向後側)には、印刷対象である爪の爪先部分を載置する爪置台35が設けられている。
印刷指が下側から指固定部材32によって支持され、印刷指の上側が指押え34によって押さえられるとともに、爪の先が爪置台35に載置されることで、印刷指の爪の表面(印刷対象面)の高さ方向の位置が印刷部40による印刷を行うのに適した所定の位置に位置決めされる。
【0016】
また、
図1に示すように、印刷装置1には、印刷対象面に印刷を施す印刷部40が設けられている。ここで印刷対象面とは、印刷対象の表面であり、本実施形態では、指の爪の表面である。
印刷部40は、印刷ヘッド41、印刷ヘッド41を支持するホルダ42、印刷ヘッド41(印刷ヘッド41を支持するホルダ42)を移動させるための駆動機構49等を備えている。
【0017】
印刷ヘッド41は、例えば、イエロー(Y;YELLOW)、マゼンタ(M;MAGENTA)、シアン(C;CYAN)のインクに対応する図示しないインクカートリッジと各インクカートリッジにおける印刷対象(爪の表面)に対向する面に設けられた図示しないインク吐出部とが一体に形成されたインクカートリッジ一体型のヘッドである。
インク吐出部には、それぞれの色のインクを吐出する複数のノズルからなるノズルアレイの吐出口(インク吐出口、図示せず)が列状に形成されている。印刷ヘッド41は、インクを微滴化し、インク吐出面(インク吐出面のインク吐出口)から爪の表面に対して直接にインクを吹き付けて印刷を行うインクジェット方式のインクジェットヘッドである。また、本実施形態では、印刷ヘッド41は、例えばマルチパス方式のシングリング印刷を行うように図示しない制御部によって制御され、爪の表面等に繊細な印刷を施すことが可能に構成されている。
なお、印刷ヘッド41は、上記3色のインクを吐出させるものに限定されない。その他のインクを貯留するインクカートリッジ及びインク吐出口を備えていてもよい。
印刷ヘッド41は、ホルダ42に支持された状態でX方向の移動機構45のキャリッジ451に取り付けられており、基台上面20(基台上面20とほぼ面一の高さ位置に配置された印刷指の爪)の上方をX方向及びY方向に移動しながら印刷を行うように構成されている。
【0018】
駆動機構49は、印刷ヘッド41を基台上面20の上方で移動させるものである。
本実施形態の印刷装置1は、前述のように、図示しない爪等に印刷を行うネイルプリント装置であり、印刷ヘッド41をX方向(
図1におけるX方向、装置の左右方向)及びY方向(
図1におけるY方向、装置の前後方向)に移動させながら印刷動作を行う。このため、駆動機構49は、印刷ヘッド41をX方向に移動させるX方向の移動機構45と印刷ヘッド41をY方向に移動させるY方向の移動機構47とを有する2軸構成となっている。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の印刷装置1は、本体シャーシ11を備え、この本体シャーシ11に歯車装置6を含む駆動機構49としてのY方向の移動機構47が組付けられている。
本体シャーシ11は、例えば板金等を折り曲げ加工等することで形成された支持枠体であり、印刷装置1の基台10上(すなわち、基台上面20上)であって、装置後方側(すなわち、Y方向の奥側)に配置されている。
具体的には、本体シャーシ11は、ほぼ平面状の底面板111、底面板111の両側部に立設された一対の側面板112等を備えて全体がほぼコ字状に形成されており、底面板111が図示しないねじ等によって基台上面20の装置後方側に固定されている。
【0020】
また、基台上面20上であって装置前方側には、本体シャーシ11の左右の側面板112に対応する位置に、それぞれ立設部材114が設けられており、各立設部材114には回転自在にプーリー477が取り付けられている。プーリー477には、後述する歯車装置6によってY方向に沿って駆動する駆動ベルト474が巻き掛けられている。
また、本体シャーシ11の側面板112と各立設部材114との間には、駆動ベルト474とほぼ並行してY方向に沿って延在するガイド軸475が設けられている。
X方向の移動機構45のキャリッジ451はガイド軸475に取り付けられており、駆動ベルト474の駆動に応じてY方向に沿って移動可能となっている。
【0021】
また、キャリッジ451内には、X方向の移動機構45の図示しないX方向駆動モータの駆動によりX方向に沿って駆動する駆動ベルト454及びこの駆動ベルト454とほぼ並行してX方向に沿って延在するガイド軸455が設けられている。
ガイド軸455には、印刷ヘッド41を保持するホルダ42が取り付けられており、駆動ベルト454の駆動に応じてホルダ42に保持された印刷ヘッド41がX方向に沿って移動可能となっている。
なお、本実施形態では、以下において、駆動機構49のうち、Y方向の移動機構47に以下の特徴的な構成を有する歯車装置6が組み込まれている場合を例示するが、歯車装置6はY方向の移動機構47のみでなくX方向の移動機構45にも組み込まれていてもよい。
【0022】
《歯車装置の構成》
以下、駆動機構49であるY方向の移動機構47に組み込まれる歯車装置6について詳細に説明する。
図2は、支持枠体である本体シャーシ及びこれに組付けられたY方向の移動機構を装置後方側から見た場合の概略構成を示す平面図である。
図3は、
図2における歯車装置の左側部分を拡大した斜視図であり、
図4は、
図2における歯車装置の右側部分を拡大した斜視図である。また、
図5は、本体シャーシ及びこれに組付けられる歯車装置の模式的な分解斜視図である。
なお、
図5では、歯車装置の構成を分かりやすくするため、
図2に示した歯車の一部、及びY方向駆動モータ48の図示を省略している。
【0023】
図3から
図5に示すように、本体シャーシ11の左右の側面板112には、互いに対応する位置に貫通孔113が形成されている。
貫通孔113には、本体シャーシ11の外側から軸受部材65が装着されている。貫通孔113には、X方向に沿って延在しY方向移動駆動モータ48によって軸線方向で回転駆動する回転軸61が、軸受部材65を介して回転自在に取り付けられている。回転軸61は、その両端部が本体シャーシ11(本体シャーシ11の側面板112)の貫通孔113から突出するように設けられる。
【0024】
回転軸61は、例えばSUS等の金属で形成された部材である。なお、回転軸61において、側面板112から突出した部分の先端部分は、他の部分(すなわち、軸本体部61b)よりも径の小さな細軸部61a(
図5参照)となっている。
本体シャーシ11(側面板112)の貫通孔113から本体シャーシ11の外側に突出した回転軸61の両端部には、それぞれ歯車が取り付けられている。
具体的には以下のような構成となっている。
【0025】
本実施形態において、回転軸61の一端側には、Y方向駆動モータ48(
図2参照)が配置されている。
Y方向駆動モータ48のシャフト481の自由端側には、Y方向駆動モータ48の駆動によりシャフト481が回転することで回転する駆動ギヤ482が取り付けられている。
回転軸61におけるY方向駆動モータ48が配置されている側の端部には、Y方向駆動モータ48の駆動ギヤ482と噛合って駆動力を伝達する主動歯車62が取り付けられている。主動歯車62は、径が大きく歯数の多い大歯車621及び径が小さく歯数も少ない小歯車622と回転軸61に取り付けられる筒状の部分であるハブ623とが同軸上に重なり合うように一体的に形成されている。なお、主動歯車62の形状、構成はここに例示したものに限定されない。
主動歯車62は、長期間使用しても歯(大歯車621の歯列621a及び小歯車622の歯列622a)が摩耗等しないように、各種のエンジニアリングプラスチック等の硬質な樹脂や金属等で形成されている。なお、主動歯車62は、全体が同じ材料で一体形成されていてもよいし、溶着等により各部が一体化されたものであってもよい。また、摩耗しやすい部分のみを金属等で形成する等、部分的に異なる材料で形成されていてもよい。
【0026】
回転軸61に対する主動歯車62の取り付け方は特に限定されないが、例えば主動歯車62の軸孔624(
図5参照)に回転軸61の細軸部61aを圧入することにより固定される。
なお、主動歯車62は、接着や溶着等により回転軸61に取り付けられてもよい。また、圧入後にさらに接着等が行われてもよい。
主動歯車62の軸孔624は、細軸部61aの径よりもわずかに内径が大きく、回転軸61の軸本体部61bの径よりも内径が小さく形成されている。このため、細軸部61aに主動歯車62を圧入した場合、主動歯車62は回転軸61のうち細軸部61aの奥まで圧入されたところで、回転軸61の軸本体部61bとの段差に突き当たって止まるようになっている。
【0027】
本実施形態では、この主動歯車62と駆動ギヤ482との間に回転速度等を調整する調速歯車63が1つ配置されている。主動歯車62は、調速歯車63を介して間接的に駆動ギヤ482と噛合い、その駆動力を伝達する。
本実施形態において、調速歯車63は、回転軸61に取り付けられる歯車である主動歯車62と噛合う第2の歯車である。
主動歯車62と駆動ギヤ482との間に調速歯車63を介在させることにより、調速歯車63の歯列の歯数等に応じてY方向駆動モータ48により発生した駆動力(回転速度やトルク等)を適宜調整(例えば減速)することができる。
【0028】
本実施形態の調速歯車63は、径が大きく歯数の多い大歯車631及び径が小さく歯数も少ない小歯車632と筒状の部分であるハブ633とが同軸上に重なり合うように一体的に形成されている。調速歯車63は、ハブ633が本体シャーシ11(側面板112)の外側に回転自在に取り付けられている。なお、調速歯車63の形状、構成、形成材料等は、主動歯車62と同様に適宜設定される。
なお、調速歯車63を主動歯車62と駆動ギヤ482との間に介在させることは必須ではなく、駆動ギヤ482に直接主動歯車62が噛合っていてもよい。調速歯車63が設けられない場合には、駆動ギヤ482のみが主動歯車62と噛合う第2の歯車となる。また、調速歯車63を複数介在させてもよい。
【0029】
本実施形態では、駆動ギヤ482の図示しない歯列に、調速歯車63の大歯車631の歯列631aが噛み合い、調速歯車63の小歯車632の歯列632aに、主動歯車62の大歯車621の歯列621a(
図7参照)が噛み合っており、Y方向駆動モータ48の駆動力が複数段階で調整されて、伝達・出力されるようになっている。
そして、主動歯車62の小歯車622には、駆動ベルト474が巻き掛けられている。本実施形態の駆動ベルト474は、その内側に小歯車622の歯列622aと噛合う歯列474aが形成された歯付ベルト(タイミングベルト)となっており、精密な駆動を可能としている。
主動歯車62の小歯車622に巻き掛けられた駆動ベルト474は、主動歯車62の前方位置に配置されたプーリー477に巻き掛けられている(
図1参照)。
【0030】
また、回転軸61における他端側(主動歯車62が取り付けられている側とは反対側)には、主動歯車62の回転と同期して回転する従動歯車64が取り付けられている。従動歯車64も、主動歯車62と同様に、例えば軸孔644(
図5参照)に回転軸61の細軸部61aが圧入等されることにより回転軸61に固定されている。
従動歯車64は、歯車本体641と歯車本体641における本体シャーシ11と対向する側に設けられたフランジ部642とを有し、歯車本体641には、主動歯車62の小歯車622と同様に駆動ベルト474が巻き掛けられている。駆動ベルト474は、その内側に従動歯車64の歯車本体641の歯列641aと噛合う歯列474aが形成された歯付ベルト(タイミングベルト)となっている。
従動歯車64に巻き掛けられた駆動ベルト474は、従動歯車64の前方位置に配置されたプーリー477に巻き掛けられている(
図1参照)。
【0031】
本実施形態において、回転軸61における従動歯車64が取り付けられる側に配置される軸受部材65は、付勢機能を有する付勢軸受部材65aとなっている。
本実施形態では、回転軸61と、この回転軸61の両端部にそれぞれ取り付けられた歯車(すなわち、主動歯車62及び従動歯車64)と、回転軸61の少なくとも一端側に配置される付勢軸受部材65aとによって歯車装置6が構成されている。
【0032】
ここで、付勢機能を有する付勢軸受部材65aの構成について、詳細に説明する。
図6は、付勢機能を有する軸受部材を拡大した斜視図である。
図4から
図6に示すように、付勢軸受部材65aは、回転軸61が挿通されるとともに本体シャーシ11(本体シャーシ11の側面板112)の貫通孔113内に挿入される円筒状の軸受け部651と、この軸受け部651の外周から張り出し、歯車(本実施形態では、従動歯車64)と支持枠体である本体シャーシ11(本体シャーシ11の側面板112)との間に配置されて従動歯車64と本体シャーシ11(側面板112)とを離間させる方向に付勢力を付与するばね性を有する付勢部652と、を有している。
付勢軸受部材65aは、軸受として機能する程度の摺動性があり耐摩耗性を有する硬質な樹脂等で形成されており、具体的には、POM(PolyOxyMethylene)等のエンジニアリングプラスチックを好適に用いることができる。本実施形態において、付勢軸受部材65aは、軸受け部651と付勢部652とが一体的に形成されている。
【0033】
本実施形態の付勢軸受部材65aは、付勢部652として、軸受け部651の外周から外側に向かって伸びる複数の腕部653と、この腕部653の自由端側に設けられ回転軸61の軸線方向に突出する突起部654と、を有している。腕部653は、腕部653の向き(すなわち、軸受け部651との接触点から腕部653の自由端に向かう向き)が、回転軸61の軸線方向に対して直交する向きと略一致するようにして、軸受け部651の外周に等間隔で配置されているため、突起部654は軸受け部651から突出すようになっている。
従動歯車64の軸孔644は、主動歯車62の軸孔624と同様に、細軸部61aの径よりもわずかに内径が大きく、回転軸61の軸本体部61bの径よりも内径が小さく形成されている。このため、細軸部61aに従動歯車64を圧入した場合、従動歯車64は回転軸61のうち細軸部61aの奥まで圧入されたところで、回転軸61の軸本体部61bとの段差に突き当たって止まるようになっている。
本体シャーシ11(側面板112)の貫通孔113からは、回転軸61のうち細軸部61aとこれに続く軸本体部61bの一部が突出しているが、従動歯車64は細軸部61aの奥までしか圧入されないため、従動歯車64と本体シャーシ11(側面板112)との間には軸本体部61bの突出分だけ隙間が生じる。
【0034】
一般に、歯車(本実施形態では従動歯車64)の回転軸61への固定位置は、その圧入量で決まる。歯車(ここでは従動歯車64)と本体シャーシ11(側面板112)との間に全く隙間のない状態では歯車が円滑に回転できない。このため、歯車(ここでは従動歯車64)と本体シャーシ11(側面板112)との間には、通常、回転動作に支障が出ない程度の隙間(遊び)が設けられる。
本実施形態の付勢軸受部材65aの付勢部652は、従動歯車64と本体シャーシ11(側面板112)との間の隙間を埋めるように配置される。付勢部652の腕部653は、撓み変形可能となっており、突起部654が従動歯車64と本体シャーシ11(側面板112)との間で平面に突き当たったときに両者の間隔を広げるように平面(本実施形態では、本体シャーシ11の側面板112及び従動歯車64のフランジ部642)を押圧し、テンションを与える弾性体として機能する。そのため、
図4に示す付勢軸受部材65aは、回転軸61の軸線方向に対して直交する向きに対して、腕部653の向きが斜めとなっている。
このため、隙間があることで生じる回転軸61と本体シャーシ11(側面板112)との間、本体シャーシ11(側面板112)と従動歯車64との間等、各部品間に生じるガタを、付勢部652(特に撓み変形する腕部653)が吸収し、部品の嵌合部分、取り付け部分に生じるガタつきを抑えることができる。
また、付勢部652が撓むことによってガタが吸収されるため、回転軸61が安定し、回転軸61の他端側に設けられている歯車(本実施形態では、主動歯車62)のガタつきも抑えられる。
【0035】
さらに、付勢部652は、
図4に白抜き矢印で示すように、従動歯車64と本体シャーシ11(側面板112)との間を押し広げるように、従動歯車64を外側に向かって押圧・付勢する。
これにより、回転軸61を介して主動歯車62に常に一定の予圧(予荷重)が掛かった状態を維持することができる。このため、回転軸61に取り付けられる歯車(本実施形態では、主動歯車62)と噛合う第2の歯車(本実施形態では、直接的には調速歯車63、間接的には駆動ギヤ482)が設けられている場合にも、バックラッシュに起因するガタつきも抑えることができる。
【0036】
図7は、歯車装置におけるバックラッシュを説明するための説明図である。なお、本実施形態において主動歯車62等の歯車装置6の各構成部は、本体シャーシ11(側面板112)の外側に配置されるが、
図7では、図示の都合上、本体シャーシ11(側面板112)を歯車装置の各構成部よりも奥側に示している。
図7に示すように、本実施形態では、回転軸61の一端側に取り付けられた主動歯車62の大歯車621には、第2の歯車としての調速歯車63の小歯車632の歯列632aが噛み合っている。調速歯車63の大歯車631の歯列631a(
図3参照)は駆動ギヤ482と噛合っており、これにより、Y方向駆動モータ48の駆動力が主動歯車62に間接的に伝達されるようになっている。主動歯車62の小歯車622には駆動ベルト474が巻き掛けられており、Y方向駆動モータ48の駆動力は主動歯車62等を介して駆動ベルト474に伝達される。
【0037】
しかし、噛み合っている歯車の歯列同士の間には、製造誤差等を考慮して円滑な動作を可能にするためにバックラッシュ(適度な遊び)が設けられている。このため、Y方向駆動モータ48が一時停止した場合等には、駆動ギヤ482と調速歯車63及び主動歯車62との噛合い部分のバックラッシュ分、Y方向駆動モータ48に戻りが発生する場合がある。このような戻りやずれが発生した場合、Y方向の移動機構47の精度がバックラッシュ分落ちてしまう。
なお、
図7では、回転軸61に取り付けられた歯車である主動歯車62と噛合う第2の歯車が調速歯車63である場合を図示しているが、調速歯車63を設けず、主動歯車62に直接駆動ギヤ482が噛み合う構成とした場合(すなわち、第2の歯車が駆動ギヤ482のみである場合)にも同様に、主動歯車62と第2の歯車としての駆動ギヤ482との間のバックラッシュ分のずれやガタつきが生じるおそれがある。
【0038】
この点、本実施形態では付勢機能を有する付勢軸受部材65aを、回転軸61における従動歯車64の取付側の端部に配置することにより、ばね性を有する腕部653によって突起部654が常に従動歯車64を外側(
図4において白抜き矢印で示す方向)に向かって付勢されている。これにより、回転軸61の両端部に取り付けられている歯車(主動歯車62及び従動歯車64)には、常にテンションが掛かった状態となっている。
このため、主動歯車62に常に一定の予圧(予荷重)が掛かった状態を維持することができ、主動歯車62と噛合う第2の歯車(本実施形態では、直接的には調速歯車63、間接的には駆動ギヤ482)との間のバックラッシュに起因するガタつきの発生が抑制される。
【0039】
《歯車装置及びこれを備える印刷装置の作用》
本実施形態の歯車装置6を組み立てる際は、まず、本体シャーシ11の左右の側面板112に形成された貫通孔113に本体シャーシ11の外側から軸受け部651を挿通させ、軸受部材65を取り付ける。このとき、一方の側面板112(本実施形態では従動歯車64が配置される側の側面板112)に取り付けられる軸受部材65は、付勢機能を有する付勢軸受部材65aとする。そして、回転軸61を、軸受部材65を介して貫通孔113に挿通させ、装置のX方向に沿って本体シャーシ11を貫通するように回転軸61を取り付ける。
【0040】
さらに、本体シャーシ11から外側に突出している回転軸61の端部のうち、付勢軸受部材65aが取り付けられている側に、従動歯車64を圧入固定し、逆側の端部に主動歯車62を圧入固定する。
また、Y方向駆動モータ48の駆動ギヤ482の歯列と主動歯車62の歯列とに噛合う位置に第2の歯車としての調速歯車63を配置する。
そして、主動歯車62とこれに対応するプーリー477との間及び従動歯車64とこれに対応するプーリー477との間にそれぞれ駆動ベルト474を巻き掛ける。
これにより、Y方向の移動機構47の歯車装置6の組み立てが完了する。
【0041】
Y方向駆動モータ48が駆動すると、これに伴って主動歯車62が回転し、回転軸61の他端側に固定された従動歯車64も主動歯車62と同期して回転する。これにより主動歯車62及び従動歯車64に巻き掛けられた一対の駆動ベルト474が同じタイミングで駆動する。そして、Y方向の移動機構47に取り付けられている印刷ヘッド41(印刷ヘッド41を搭載したキャリッジ451)がY方向駆動モータ48の駆動に応じてガイド軸475に沿ってY方向に移動する。
また、X方向の移動機構45のキャリッジ451内には図示しないX方向駆動モータ等が設けられている。X方向駆動モータが駆動すると、その駆動力が駆動ベルト454に伝達され、印刷ヘッド41(印刷ヘッド41を保持したホルダ42)がガイド軸455に沿ってX方向に適宜往復移動する。
【0042】
本実施形態のY方向の移動機構47には、付勢機能を有する付勢軸受部材65aが設けられている。このため、付勢部652の腕部653が撓み変形することによって回転軸61周りの部材に発生する取り付けガタ等が吸収される。
また、腕部653が撓むことで突起部654が従動歯車64を本体シャーシから離間する方向に付勢し、回転軸61の両端部に設けられた主動歯車62及び従動歯車64には常にテンションが掛けられた状態となる。
これにより、部品の取り付け部分に生じるガタつきやバックラッシュ等に起因するガタつきが抑えられ、印刷ヘッド41の移動位置精度が向上するため、マルチパス方式でシングリング印刷をする場合等、高精度が要求される印刷を適切に行うことができる。
【0043】
《歯車装置及びこれを備える印刷装置の効果》
以上のように、本実施形態の歯車装置は、両端部が本体シャーシ11から突出するように本体シャーシ11に回転自在に取り付けられた回転軸61と本体シャーシ11から突出した回転軸61の両端部にそれぞれ取り付けられた主動歯車62及び従動歯車64と、回転軸61の少なくとも一端側に配置される付勢軸受部材65aと、を備え、軸受部材65aは、回転軸61が挿通される軸受け部651と、軸受け部651の外周から張り出し、従動歯車64と本体シャーシ11との間に配置されて従動歯車64と本体シャーシ11とを離間させる方向に付勢力を付与するばね性を有する付勢部652と、を有している。
このため、部品取り付け部分のガタ等を付勢軸受部材65aの付勢部652が吸収し、ガタつきの発生を抑えることができる。
また、付勢軸受部材65aの付勢部652のばね性によって従動歯車64が本体シャーシ11に対して離間する方向に付勢されているため、常にテンションが掛かった状態が維持され、バックラッシュに起因するガタつきの発生が抑制される。
【0044】
また、本実施形態では、付勢軸受部材65aは、軸受け部651と付勢部652とが一体的に形成されている。
このため、部品取り付け部分等に生じるガタつきやバックラッシュに起因するガタつき等の発生を抑える構成を、部品点数を増やすことなく実現することができる。また、ガタつき抑制のための細かい部品を別途組み込む手間も抑えることができる。
また、軸受け部651と付勢部652とを有する付勢軸受部材65aを樹脂等で簡易に形成することができる。
これにより、装置コストを抑えつつ、高精度の歯車装置6を実現することができる。
【0045】
また、本実施形態では、付勢部652は、軸受け部651の外周から外側に向かって伸びる複数の腕部653と、この腕部653の自由端側に設けられ回転軸61の軸線方向に突出する突起部654と、を有している。
これにより、腕部653の撓みによって突起部654が従動歯車64を本体シャーシ11から離れる方向に押圧する構成となり、部品取り付け部分のガタつきが吸収される。さらに、主動歯車62に常に予圧が掛かった状態とすることができるため、バックラッシュが発生するような場合でも、バックラッシュに起因するガタつきを抑えることができる。
このように、本実施形態では、付勢軸受部材65aにばね性を有する腕部653と突起部654とを有するという比較的簡易な構成により、ガタつきの発生を効果的に抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、歯車装置6が、回転軸61に取り付けられる主動歯車62と噛合う第2の歯車としての調速歯車63を備えている。
このため、互いに噛合う歯車間において適宜バックラッシュが設定されるが、歯車装置に付勢機能を有する付勢軸受部材65aが設けられていることにより、常にテンションの掛かった状態を維持することができ、バックラッシュに起因するガタつきの発生を抑えることができる。
【0047】
また、本実施形態では、印刷装置1を、上記のような歯車装置6を有する駆動機構49により印刷ヘッド41を移動させる構成としている。
このため、駆動機構49における部品取り付け部分のガタつきやバックラッシュに起因するガタつきを効果的に抑えることができる。これにより、例えば、印刷装置1がマルチパス方式でシングリング印刷を行う等、印刷ヘッド41の位置精度が高度に要求される印刷手法を用いて印刷を行うものである場合でも、簡易な構成で、ガタつきによる位置ずれを防いで高精細な印刷を実現することができる。
また、別部材としての弾性部材等を設けることなく、歯車装置6に配置される付勢軸受部材65aによってガタつきの発生を抑えることができる。このため、部品点数が少なくて済み、組付けの手間を省くこともできるため、装置コストを抑えることができる。
【0048】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0049】
例えば、付勢機能を有する付勢軸受部材65aの形状は、本実施形態に示したものに限定されない。
例えば付勢軸受部材65aは、
図8に示すように、2本の腕部653と各腕部653の自由端に設けられた突起部654とを有する付勢部652を備えるものでもよい。さらに付勢部652は、螺旋状に形成された撓み変形可能な1本の腕部653を備えるものでもよい。
また、腕部653の形状によっては腕部653のみで十分な付勢力を有する構成とすることもでき、この場合には突起部654を備えない構成としてもよい。
【0050】
また、付勢機能を有する付勢軸受部材65aは回転軸61の一端側に設けられる場合に限定されない。
例えば、回転軸61の左右両端側に配置される軸受部材65をいずれも付勢機能を有する付勢軸受部材65aとしてもよい。
さらに、付勢機能を有する付勢軸受部材65aは従動歯車64の設けられる側に設けられる場合に限定されない。
例えば、付勢機能を有する付勢軸受部材65aを主動歯車62が設けられる側のみに設けてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、歯車装置6が印刷装置1の印刷ヘッド41を移動させる駆動機構49に適用される場合を例示したが、歯車装置6は、印刷装置1に適用されるものに限定されない。
歯車を備える装置において、回転軸及び歯車において部品の取り付け部分や嵌合部分で生じるガタつきやバックラッシュに起因するガタつきを生じるような構成をとる場合には、本実施形態に示すような付勢軸受部材65aを備える歯車装置6を適用することで、各部のガタつきの発生を抑えて歯車を備える装置の精度を向上させることが可能である。
【0052】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
両端部が支持枠体から突出するようにして、前記支持枠体に回転自在に取り付けられた回転軸と、
前記支持枠体から突出した前記両端部にそれぞれ取り付けられた歯車と、
前記支持枠体と前記歯車の間にそれぞれ配置される軸受部材と、
を備え、
前記軸受部材の少なくとも一方は付勢軸受部材であって、前記付勢軸受部材は、前記回転軸が挿通される軸受け部と、前記軸受け部の外周から張り出し、前記歯車と前記支持枠体とを離間させる方向に付勢力を付与するばね性を有する付勢部と、を有していることを特徴とする歯車装置。
<請求項2>
前記付勢軸受部材は、前記軸受け部と前記付勢部とが一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の歯車装置。
<請求項3>
前記付勢部は、
前記軸受け部の外周から外側に向かって伸びる複数の腕部と、
この腕部の自由端側に設けられ前記回転軸の軸線方向に突出する突起部と、
を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の歯車装置。
<請求項4>
前記回転軸に取り付けられる前記歯車と噛合う第2の歯車を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の歯車装置。
<請求項5>
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の歯車装置と、前記歯車装置の歯車を回転駆動させる駆動源と、前記駆動源により与えられる駆動力を伝達する駆動ベルトと、を有する駆動機構と、
前記駆動機構により移動可能に構成された印刷ヘッドと、
を備えていることを特徴とする印刷装置。
【符号の説明】
【0053】
1 印刷装置
6 歯車装置
11 本体シャーシ(支持枠体)
40 印刷部
41 印刷ヘッド
45 X方向の移動機構
47 Y方向の移動機構
48 Y方向駆動モータ
49 駆動機構
61 回転軸
62 主動歯車
63 調速歯車(第2の歯車)
64 従動歯車
65 軸受部材
65a 付勢軸受部材
651 軸受け部
652 付勢部
653 腕部
654 突起部