(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04B 43/04 20060101AFI20240110BHJP
F04B 45/047 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F04B43/04 B
F04B45/047 C
(21)【出願番号】P 2023500546
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2021043567
(87)【国際公開番号】W WO2022176306
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2021022350
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸拓
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/261686(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/188966(WO,A1)
【文献】特開2019-171312(JP,A)
【文献】国際公開第2017/108628(WO,A1)
【文献】特開2013-229894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/04
F04B 45/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方主面に圧電素子が配置された平板、および、前記平板が内部に配置され前記平板を振動可能に支持する筐体を備える圧電ポンプと、
前記筐体に配置された蓄熱部材と、
を備える、ポンプ装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記平板を挟んで対向する第1壁と第2壁とを備え、
前記蓄熱部材は、前記第1壁と前記第2壁の少なくとも一方に配置される、
請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記第1壁は、前記平板の前記一方主面に対向し、
前記蓄熱部材は、前記第1壁に配置される、
請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記平板の一方主面から他方主面方向に平面視して、前記蓄熱部材は、圧電素子に重なる位置に配置される、
請求項3に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記蓄熱部材は、潜熱蓄熱材である、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記蓄熱部材は、パラフィン系蓄熱材である、
請求項5に記載のポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電ポンプを備えるポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、流体を搬送するブロアが記載されている。ブロアは、ポンプ部とバルブ部とを備える。ポンプ部は、圧電素子と振動板とを備える。圧電素子は、振動板に取り付けられる。
【0003】
駆動信号が圧電素子に印加されることによって、圧電素子の圧電体は歪み、この歪みによって、振動板は振動する。これにより、ポンプ部は、流体を搬送する。
【0004】
この際、圧電素子は、駆動信号の印加、歪みによって発熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように圧電素子が発熱すると、ポンプの温度が安定せず、特性も不安定になる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、圧電素子の駆動中においてもポンプの温度を安定させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のポンプ装置は、圧電ポンプと蓄熱部材とを備える。圧電ポンプは、一方主面に圧電素子が配置された平板、および、平板が内部に配置され、平板を振動可能に支持する筐体を備える。蓄熱部材は、筐体に配置される。
【0009】
この構成では、圧電ポンプからの熱は、蓄熱部材で蓄熱される。蓄熱部材は、この熱によって、略一定温度を維持する。これにより、蓄熱部材が配置された圧電ポンプの温度も安定する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、圧電素子の駆動中においてもポンプの温度を安定させることができ、ポンプ特性が安定になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るポンプ装置の流体の流れを含む側断面の概略図である。
【
図3】
図3は、圧電ポンプの温度変化の一例を示す概略的なグラフである。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係るポンプ装置の流体の流れを含む側断面の概略図である。
【
図5】
図5は、第3の実施形態に係るポンプ装置の概略側面図である。
【
図6】
図6は、第4の実施形態に係るポンプ装置の側面図である。
【
図7】
図7は、第5の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るポンプ装置について、図を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す分解斜視図である。
図2は、第1の実施形態に係るポンプ装置の流体の流れを含む側断面の概略図である。なお、本実施形態を含む各実施形態に示す図は、ポンプ装置の構成を分かり易くするため、それぞれの構成要素の形状を部分的または全体として誇張して記載している。
【0013】
図1、
図2に示すように、ポンプ装置1は、圧電ポンプ10、および、蓄熱部材51を備える。
【0014】
圧電ポンプ10は、ポンプ本体20、ベース筐体30、および、蓋部材40を備える。ベース筐体30と蓋部材40とによって、本発明の「筐体」が構成される。
【0015】
ポンプ本体20は、平板211、枠体212、支持部213、および、圧電素子22を備える。平板211は、平面視して円形である。枠体212は、平板211の外周縁を囲む形状であり、平板211の外周縁から離間する位置に配置される。支持部213は、平板211と枠体212との間に配置される。支持部213は、梁形状であり、枠体212に対して平板211を振動可能に支持する。
【0016】
圧電素子22は、円板状の圧電体と駆動用電極とを備える。圧電素子22は、平板211における一方主面に設置される。圧電素子22には、駆動信号印加電極251および駆動信号印加電極252によって、駆動信号が印加される。
【0017】
ベース筐体30は、主部材31、吸入側ノズル321、吐出側ノズル322、および、端子載置部35を備える。主部材31、吸入側ノズル321、吐出側ノズル322、および、端子載置部35は、例えば、絶縁性の樹脂材料によって一体成型されている。
【0018】
主部材31は、底壁311と側壁312とを備える。主部材31は、底壁311と側壁312とによって囲まれる凹部33を備える。凹部33は、平面視した中央の凹部333、その外周に配置される凹部332、さらにその外周に配置され、側壁312の内縁に接する凹部331からなる。凹部333は、凹部332よりも深く、凹部332は、凹部331よりも深い。
【0019】
吸入側ノズル321および吐出側ノズル322は、主部材31の側壁312の外面に取り付けられている。吸入側ノズル321に設けられた吸入口3210は、側壁312を厚み方向に貫通する貫通孔を通じて、主部材31の凹部333に連通する。吐出側ノズル322に設けられた吐出口3220は、側壁312を厚み方向に貫通する貫通孔を通じて、凹部332に連通する。
【0020】
端子載置部35は、主部材31の側壁312の外面における吸入側ノズル321および吐出側ノズル322が接続される位置と異なる位置に配置される。端子載置部35は、主部材31の側壁312から外方に突出する形状である。端子載置部35には、駆動信号印加電極251および駆動信号印加電極252の一方端が載置される。この駆動信号印加電極251および駆動信号印加電極252における端子載置部35に載置される部分が、外部からの駆動信号の供給部となる。
【0021】
蓋部材40は、平板であり、例えば、金属からなる。蓋部材40の外形形状は、ベース筐体30の側壁312の内側の形状、すなわち、凹部331の外形形状と略同じである。なお、蓋部材40は、樹脂でもよいが、ベース筐体30よりも熱伝導率が高い材料であることが好ましく、上述のように金属であることがより好ましい。
【0022】
ポンプ本体20は、ベース筐体30の凹部332に嵌め込まれる。より具体的には、ポンプ本体20は、平板211における圧電素子22が設置される一方主面が凹部331と逆側になるように嵌め込まれる。この際、枠体212が凹部332の表面に当接し、平板211および支持部213は、凹部332に当接しない。すなわち、平板211および支持部213と凹部331の表面との間には、
図2に示すように、吸引側空間101が形成される。
【0023】
蓋部材40は、ベース筐体30の凹部331にはめ込まれる。この際、凹部332の高さが調整されていることによって、蓋部材40とポンプ本体20の平板211および支持部213との間には、
図2に示すように、吐出側空間102が形成される。この際、ポンプ本体20は、平板211の振動によって、平板211、支持部213、および圧電素子22が蓋部材40に接触しないように、配置される。
【0024】
このような構成によって、ポンプ本体20は、平板211が振動可能な状態で、筐体の内部空間内に配置される。そして、筐体における吸引側空間101側の壁(本発明の「第2壁」に対応する)の外面が吸入側外壁面130となり、吐出側空間102側の壁(本発明の「第1壁」に対応する)の外面が吐出側外壁面140となる。
【0025】
このような構成の圧電ポンプ10に対して、駆動信号印加電極251および駆動信号印加電極252によって駆動信号が印加されることで、圧電素子22の圧電体がひずみ、平板211がベンディング振動する。このベンディング振動によって、主として吸引側空間101の圧力分布が変化する。
【0026】
これにより、
図2の太矢印に示すように、流体(例えば、空気)は、吸入側ノズル321の吸入口3210から、吸引側空間101に流入する。吸引側空間101に流入した流体は、支持部213の間の連通口103を通じて、吐出側空間102に搬送される。吐出側空間102に搬送された流体は、吐出側ノズル322の吐出口3220に搬出され、外部に吐出される。
【0027】
この際、圧電素子22の駆動によって、圧電素子22が発熱し、筐体の内部空間の温度が上昇する。特に、流体の搬送方向の下流側となる吐出側空間102の温度は大きく上昇し易い。
【0028】
蓄熱部材51は、所定厚みを有する平板状であり、蓄熱性を有する。蓄熱部材51は、潜熱蓄熱材であることが好ましい。例えば、より具体的には、蓄熱部材51は、パラフィン系蓄熱材であり、ノルマルパラフィン、特にノナデカンやイコサン、やヘンイコサン、テトラコサン、トリアコンタンなどのように融点が30℃から70℃のものが好ましい。なお、蓄熱部材51は、潜熱蓄熱材、パラフィン系蓄熱材に限るものではなく、所定時間に亘って一定の温度範囲内に温度を保てる材料であればよい。
【0029】
例えば、潜熱蓄熱材を用いることによって、蓄熱部材51の蓄熱密度を高くでき、一定の温度をより長く保持できる。また、パラフィン系蓄熱材を用いることによって、温度の保持能力とともに、軽量化を実現できる。
【0030】
蓄熱部材51は、圧電ポンプ10の筐体における吐出側外壁面140に配置される。この際、蓄熱部材51は、吐出側外壁面140の全面を覆う形状である。
【0031】
このような構成において、圧電ポンプ10が駆動して発熱すると、この熱は、蓄熱部材51に伝搬される。
【0032】
蓄熱部材51は、この熱によって、相変化、相転移し、これに伴う転移熱(潜熱)を熱エネルギーとして蓄える。これにより、蓄熱部材51は、熱が加わる所定時間長に亘って、一定温度を維持する。
【0033】
このように、蓄熱部材51が一定温度になることによって、蓄熱部材51が設置された圧電ポンプ10の温度も一定温度に安定化する。
【0034】
図3は、圧電ポンプの温度変化の一例を示す概略的なグラフである。
図3において、横軸は、圧電素子22の駆動開始からの経過時間(時刻)であり、縦軸は、圧電ポンプ10の温度、より具体的には吐出側外壁面140の温度である。
図3において、実線が、本願発明の構成(蓄熱部材有)の場合を示し、破線が比較構成(蓄熱部材無)の場合である。
【0035】
図3の実線に示すように、蓄熱部材51を備える場合、圧電ポンプ10の温度は、所定時間に亘って、略一定になる。一方、蓄熱部材51を備えない場合、圧電ポンプ10の温度は、経過時間とともに一方的に上昇する。
【0036】
このように、ポンプ装置1は、蓄熱部材51を圧電ポンプ10に設置することによって、圧電ポンプ10を、所定の温度で一定に保持することができる。これにより、圧電ポンプ10のポンプ特性を安定させることができる。
【0037】
また、ポンプ装置1は、蓄熱部材51によって決まる温度よりも圧電ポンプ10が高温になることを抑制できる。これにより、圧電ポンプ10の熱ストレスを軽減でき、長寿命化を実現できる。なお、蓄熱部材51によって決まる温度とは、例えば、蓄熱部材51が潜熱蓄熱材の場合、固相から液相に相変化する温度である。すなわち、蓄熱部材51によって決まる温度とは、蓄熱部材51が所定時間に亘って一定の温度範囲内に保てる温度である。
【0038】
また、上述の構成の圧電ポンプ10では、吸引側空間101よりも吐出側空間102の方が高温になり易い。したがって、圧電ポンプ10の吐出側外壁面140に蓄熱部材51が配置されることによって、高温化を効果的に抑制でき、圧電ポンプ10の温度の安定化を、より効果的に実現できる。
【0039】
さらに、上述の構成では、吐出側外壁面140の全面に蓄熱部材51が配置される。これにより、吐出側外壁面140の一部に蓄熱部材51を配置するよりも、上述の蓄熱による効果が向上する。言い換えれば、吐出側外壁面140の一部に蓄熱部材51を配置する構成でも、上述の蓄熱による効果は得られるが、吐出側外壁面140の全面に蓄熱部材51を配置することで、より効果的な蓄熱を実現でき、圧電ポンプ10の温度をより確実に安定化できる。
【0040】
なお、この部分的に蓄熱部材51を配置する態様では、ポンプ装置1を平面視して、蓄熱部材51は、少なくとも、圧電素子22に重なるように配置すればよい。上述のように、主たる発熱源は圧電素子22である。したがって、圧電素子22に重なるように蓄熱部材51を配置することで、蓄熱部材51は、圧電ポンプ10内で発生する熱を、より効率的、効果的に蓄熱できる。
【0041】
また、蓄熱部材51は、パラフィン系蓄熱材等の潜熱蓄熱材でなく、他の蓄熱材であってもよい。しかしながら、潜熱蓄熱材を採用することによって、蓄熱部材51の蓄熱密度を大きくでき、一定温度を保持する時間を長くできる。また、パラフィン系蓄熱材を採用することによって、蓄熱部材51を軽量化できる。これにより、安定なポンプ特性を有するポンプ装置1を軽量に実現できる。
【0042】
また、上述の構成において、蓄熱部材51は、可撓性を有するとよい。これにより、平板211の振動によって、蓋部材40が振動しても、蓄熱部材51によって振動を吸収できる。これより、例えば、ポンプ装置1は、振動音を抑制できる。
【0043】
この際、蓄熱部材51は、吐出側外壁面140に対して相似形、さらには、蓋部材40に対して相似形であることが好ましい。これにより、平面視して、圧電素子22を中心とした全方位方向で、略均一に振動が吸収される。したがって、各方位での振動の差が抑制され、筐体に生じる歪みを抑制できる。この結果、ポンプ装置1の信頼性は向上する。
【0044】
また、この構成では、吸入側ノズル321および吐出側ノズル322が、筐体の側壁312に配置されている。これにより、吸入口3210および吐出口3220の開口面が、蓄熱部材51に直接向いていない。したがって、吸入される流体、吐出される流体が、蓄熱部材51に与える影響を抑制できる。この結果、ポンプ装置1の温度は、より確実に安定化し、安定したポンプ性能をより確実に実現できる。
【0045】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るポンプ装置について、図を参照して説明する。
図4は、第2の実施形態に係るポンプ装置の流体の流れを含む側断面の概略図である。
【0046】
図4に示すように、第2の実施形態に係るポンプ装置1Aは、第1の実施形態に係るポンプ装置1に、蓄熱部材52を追加した点で異なる。ポンプ装置1Aの他の構成は、ポンプ装置1と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0047】
ポンプ装置1Aは、蓄熱部材52を備える。蓄熱部材52は、例えば、蓄熱部材51と同じ材料である。なお、蓄熱部材52は、蓄熱部材51と異なる材料であってもよく、蓄熱部材51よりも蓄熱容量が小さくてもよい。
【0048】
蓄熱部材52は、圧電ポンプ10の筐体における吸入側外壁面130に配置される。この際、蓄熱部材52は吸入側外壁面130の全面を覆う形状である。
【0049】
このような構成によって、ポンプ装置1Aは、圧電ポンプ10の吸入側においても温度を安定化できる。これにより、ポンプ装置1Aは、圧電ポンプ10の温度をさらに安定化できる。
【0050】
なお、蓄熱部材51の形状と蓄熱部材52の形状は、同じであっても異なっていてもよい。
【0051】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るポンプ装置について、図を参照して説明する。
図5は、第3の実施形態に係るポンプ装置の概略側面図である。
【0052】
図5に示すように、第3の実施形態に係るポンプ装置1Bは、第1の実施形態に係るポンプ装置1に対して、蓄熱部材50を備える点で異なる。ポンプ装置1Bの他の構成は、ポンプ装置1と同様であり、同様の箇所の説明を省略する。
【0053】
ポンプ装置1Bは、蓄熱部材50を備える。蓄熱部材50は、第1の実施形態に係る蓄熱部材51と同じ材料によって構成される。
【0054】
蓄熱部材50は、圧電ポンプ10の吸入側外壁面130、吐出側外壁面140、側壁312の外面を覆う。
【0055】
このような構成によって、ポンプ装置1Bは、圧電ポンプ10における圧電素子22に重なる両主面、二側面で蓄熱される。したがって、ポンプ装置1Bは、圧電ポンプ10の温度をさらに安定化できる。
【0056】
なお、本実施形態では、圧電ポンプ10における吸入側ノズル321および吐出側ノズル322の形成面には、蓄熱部材50は、配置されていない。しかしながら、蓄熱部材50は、圧電ポンプ10における吸入側ノズル321および吐出側ノズル322の形成面にも配置してもよい。
【0057】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係るポンプ装置について、図を参照して説明する。
図6は、第4の実施形態に係るポンプ装置の側面図である。
【0058】
図6に示すように、第4の実施形態に係るポンプ装置1Cは、第1の実施形態に係るポンプ装置1に対して、複数の圧電ポンプおよび複数の蓄熱部材を備える点で異なる。
【0059】
ポンプ装置1Cは、圧電ポンプ10A、圧電ポンプ10B、および、接続管80を備える。圧電ポンプ10Aおよび圧電ポンプ10Bは、第1の実施形態に係る圧電ポンプ10と同じ構成を備える。
【0060】
圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとは、接続管80によって接続される。より具体的には、圧電ポンプ10Aの吐出側ノズル322Aと、圧電ポンプ10Bの吸入側ノズル321Bとは、接続管80によって接続される。圧電ポンプ10Aの吐出側ノズル322Aの吐出口と、圧電ポンプ10Bの吸入側ノズル321Bの吸入口とは、接続管80の空洞を通じて連通する。
【0061】
この構成において、圧電ポンプ10Aおよび圧電ポンプ10Bを駆動する。これにより、圧電ポンプ10Aの吸入側ノズル321Aの吸入口から流体が、圧電ポンプ10Aに吸入される。圧電ポンプ10Aは、吸入された流体を、圧電ポンプ10Aの吐出側ノズル322Aの吐出口から接続管80に吐出する。接続管80に吐出された流体は、圧電ポンプ10Bの吸入側ノズル321Bの吸入口から、圧電ポンプ10Bに吸入される。圧電ポンプ10Bは、吸入された流体を、圧電ポンプ10Bの吐出側ノズル322Bの吐出口から外部に吐出する。
【0062】
このような構成によって、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとによって流体が搬送されるので、圧電ポンプ10Aまたは圧電ポンプ10Bを単体で用いるよりも、大きな流量を実現できる。
【0063】
この際、
図6に示すように、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bは、圧電ポンプ10Aの吸入側外壁面130Aと、圧電ポンプ10Bの吸入側外壁面130Bとが対向するように、配置される。より具体的には、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとは、圧電ポンプ10Aの吸入側外壁面130Aと、圧電ポンプ10Bの吸入側外壁面130Bとが対向、近接し、且つ、互いに略平行になるように、配置される。
【0064】
言い換えれば、圧電ポンプ10Aは、吐出側外壁面140Aが圧電ポンプ10B側と反対側を向くように配置される。圧電ポンプ10Bは、吐出側外壁面140Bが圧電ポンプ10A側と反対側を向くように配置される。
【0065】
蓄熱部材51Aは、圧電ポンプ10Aの吐出側外壁面140Aに配置される。蓄熱部材51Bは、圧電ポンプ10Bの吐出側外壁面140Bに配置される。すなわち、ポンプ装置1Cでは、複数の圧電ポンプ10A、10Bのそれぞれに対して、蓄熱部材51A、51Bが配置される。
【0066】
このような構成によって、ポンプ装置1Cは、それぞれが熱源となる複数の圧電ポンプ10A、10Bを備えていても、温度を安定化できる。
【0067】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係るポンプ装置について、図を参照して説明する。
図7は、第5の実施形態に係るポンプ装置の構成を示す側面図である。
【0068】
図7に示すように、第5の実施形態に係るポンプ装置1Dは、第4の実施形態に係るポンプ装置1Cに対して、圧電ポンプ10Aおよび圧電ポンプ10Bの配置において異なる。ポンプ装置1Dの他の構成は、ポンプ装置1Cと同様であり同様の箇所の説明は、省略する。
【0069】
ポンプ装置1Dでは、圧電ポンプ10Aと圧電ポンプ10Bとは、圧電ポンプ10Aの吐出側外壁面140Aと、圧電ポンプ10Bの吐出側外壁面140Bとが対向、近接し、且つ、互いに略平行になるように、配置される。
【0070】
蓄熱部材51Dは、吐出側外壁面140Aと吐出側外壁面140Bとに挟持される。
【0071】
このような構成によって、ポンプ装置1Dは、それぞれが熱源となる複数の圧電ポンプ10A、10Bを備えていても、温度を安定化できる。
【0072】
なお、第4の実施形態および第5の実施形態では、2個の圧電ポンプを備える態様を示した。しかしながら、3個以上の圧電ポンプを備える構成であってもよい。3個以上の圧電ポンプを備える場合、それぞれの圧電ポンプに個別の蓄熱部材を配置してもよく、複数の圧電ポンプに共用の蓄熱部材を配置してもよい。
【0073】
また、上述の各実施形態では、蓄熱部材を圧電ポンプに直接当接する態様を示した。しかしながら、蓄熱部材を圧電ポンプに直接当接させなくてもよい。たとえば、蓄熱部材と圧電ポンプとの間に、熱伝導性を有する接着層を配置したり、圧電ポンプと蓄熱部材と間に、圧電ポンプから蓄熱部材に熱が伝搬する程度の隙間があってもよい。
【0074】
なお、上述の各実施形態の構成は、適宜組合せが可能であり、それぞれの組合せに応じた作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0075】
1、1A、1B、1C、1D:ポンプ装置
10、10A、10B:圧電ポンプ
20:ポンプ本体
22:圧電素子
30:ベース筐体
31:主部材
33、331、332、333:凹部
35:端子載置部
40:蓋部材
50、51、51A、51B、51D、52:蓄熱部材
80:接続管
101:吸引側空間
102:吐出側空間
103:連通口
130、130A、130B:吸入側外壁面
140、140A、140B:吐出側外壁面
211:平板
212:枠体
213:支持部
251、252:駆動信号印加電極
311:底壁
312:側壁
321、321A、321B:吸入側ノズル
322、322A、322B:吐出側ノズル
3210:吸入口
3220:吐出口