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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ケース
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
H05K13/02 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023502403
(86)(22)【出願日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2022007018
(87)【国際公開番号】W WO2022181557
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2021030245
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】中川 聖之
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-28490(JP,U)
【文献】特開平8-90353(JP,A)
【文献】特開平8-274496(JP,A)
【文献】米国特許第6041964(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復移動する駆動ピンを有するフィーダにセットされるケースであって、
複数の部品を収容する収容空間、及び前記収容空間に収容された部品を排出する排出口をそれぞれ有し、前記フィーダに着脱可能にセットされるケース本体と、
スライドすることにより前記排出口を開閉するシャッター部材と、
前記シャッター部材と一体に設けられ、前記ケース本体の内側に配置されたスライダと、を備え、
前記スライダには、前記ケース本体が前記フィーダにセットされた状態で、前記駆動ピンが挿入可能、かつ、挿入された状態で当該駆動ピンが往復移動可能な大きさを有する操作孔が設けられ、
前記ケース本体には、前記操作孔を外部に露出させる露出孔が設けられ、
前記露出孔を介して前記操作孔に挿入されて往復移動する前記駆動ピンにより、前記スライダがスライドさせられて前記シャッター部材による前記排出口の開閉が行われる、ケース。
【請求項2】
前記操作孔は、前記駆動ピンの往復移動方向に延在する長孔であり、
前記露出孔は、前記操作孔よりも前記往復移動方向の長さが長い長孔である、請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記スライダは、前記ケース本体が前記フィーダにセットされた状態で略水平方向にスライド可能に前記ケース本体に設けられており、
前記ケース本体が前記フィーダにセットされる際、前記操作孔に、前記駆動ピンが下方から挿入可能である、請求項1または2に記載のケース。
【請求項4】
前記スライダは、前記ケース本体に対して、前記シャッター部材が前記排出口を開口する開口位置と、前記排出口を閉塞する閉塞位置の2位置にそれぞれ位置決めするストッパを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のケース。
【請求項5】
前記ケース本体は、前記フィーダにセットされた状態で、前記排出口に向かって下り勾配で傾斜し、前記収容空間に収容された部品を前記排出口に到達させる傾斜面を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のケース。
【請求項6】
前記傾斜面は、前記フィーダにセットされた状態で、3°以上10°以下で傾斜している、請求項5に記載のケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品等の電子部品を収容するケースに関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する際、電子部品を基板上の所定位置に実装する実装装置が用いられる。このような実装装置には、電子部品を個別に供給する必要がある。例えば特許文献1には、バラの状態の電子部品をまとめて収容し、底部の取出口から自重によって電子部品をフィーダに落下させるケースが開示されている。電子部品は、フィーダにより実装装置へ個別に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-295618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケースをフィーダにセットし、そのフィーダによりケースから排出される電子部品を実装装置に供給する場合、フィーダにケースの部品排出口を開閉する機構を設けると自動制御化が進むなどの利点が生じるため好ましい。しかし、ケースとフィーダとを精度よく対応させることを考慮すると機構が複雑になることが懸念される。
【0005】
本発明は、部品排出口の開閉機構を簡素な構成でフィーダ側の機構と対応させることができるケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るケースは、往復移動する駆動ピンを有するフィーダにセットされるケースであって、複数の部品を収容する収容空間、及び前記収容空間に収容された部品を排出する排出口をそれぞれ有し、前記フィーダに着脱可能にセットされるケース本体と、スライドすることにより前記排出口を開閉するシャッター部材と、前記シャッター部材と一体に設けられ、前記ケース本体の内側に配置されたスライダと、を備え、前記スライダには、前記ケース本体が前記フィーダにセットされた状態で、前記駆動ピンが挿入可能、かつ、挿入された状態で当該駆動ピンが往復移動可能な大きさを有する操作孔が設けられ、前記ケース本体には、前記操作孔を外部に露出させる露出孔が設けられ、前記露出孔を介して前記操作孔に挿入されて往復移動する前記駆動ピンにより、前記スライダがスライドさせられて前記シャッター部材による前記排出口の開閉が行われる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、部品排出口の開閉機構を簡素な構成でフィーダ側の機構と対応させることができるケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るケースの内部を一側方から見た図である。
図2】実施形態に係るケースの正面図である。
図3】実施形態に係るケースの底面図である。
図4】実施形態に係るケースの前側部分の内部を示す拡大側面図である。
図5】実施形態に係るケースがフィーダにセットされる動作を(a)~(e)の順に示す図である。
図6】実施形態に係るケースが変形例のフィーダにセットされる動作を(a)~(e)の順に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係るケース1の内部を一側方から見た図、図2はケース1を前方から見た正面図、図3はケース1の底面図である。図4はケース1の前側部分の内部を示す拡大側面図である。
【0010】
図1に示すように、ケース1は、その内部に、部品としての複数の電子部品M(図1に図示)をバラの状態で収容する。複数の電子部品Mを収容したケース1は、図5に示すように、フィーダ100に着脱可能にセットされる。なお、フィーダ100は、振動することにより、ケース1内から電子部品Mを排出し、その電子部品Mを不図示の実装装置に供給する装置である。本実施形態の電子部品Mは、例えば長手方向の長さが1.2mm以下の微小な直方体状の電子部品である。そのような電子部品としては、コンデンサやインダクタ等が挙げられるが、本実施形態はこれらに限定されない。
【0011】
なお、図1図2及び図3のいずれかに記載の矢印X、矢印Y、矢印Zは、フィーダ100にセットされた状態でのケース1の左右方向、前後方向、上下方向をそれぞれ示している。そして、左右方向Xにおいて左方をX1、右方をX2、前後方向Yにおいて前方をY1、後方をY2、上下方向Zにおいて上方をZ1、下方をZ2で示している。図4図6においても、これら左右方向X、前後方向Y、上下方向Zを同様に適用している。以下の説明における左右方向、前後方向、上下方向のそれぞれは、上記の矢印で示す方向に基づく。
【0012】
図2及び図3に示すように、ケース1は、第1部材2及び第2部材3が左右に分割される。第1部材2及び第2部材3が合体し、互いに接合されてケース1が構成される。
【0013】
図1は、左側の第1部材2が無い状態であって、右側の第2部材3の内部を示す。ケース1は、前後方向に長く、左右方向の厚みが薄い偏平箱状の形状を有する。以下の説明では、必要な場合を除いて、第1部材2及び第2部材3を個別に説明せず、第1部材2と第2部材3とが接合された状態での構成を説明する。
【0014】
図1に示すように、ケース1は、複数の電子部品Mを収容するケース本体10と、ケース本体10の排出口19を開閉するシャッター部材30と、を備える。
【0015】
ケース本体10は、複数の電子部品Mをバラの状態で収容する収容空間11を有する。ケース本体10は、前後方向に延在する天板部12及び底板部13と、上下方向に延在する前壁部14及び後壁部15と、左右一対の側壁部16と、ケース本体10の内部を上下に仕切る傾斜板部17と、を有する。後壁部15は、外面を形成する外側後壁部15aと、外側後壁部の前方の内側後壁部15bとを含む。
【0016】
排出口19は、前壁部14の下部に設けられている。図2に示すように、排出口19は、矩形状の開口である。なお、排出口19は矩形に限定されず、例えば円形状、楕円形状等の開口部でもよい。排出口19は、後述するシャッター部材30により開閉される。
【0017】
傾斜板部17は、左右の側壁部16の間に延び、かつ、内側後壁部15bから排出口19の下部にわたって延びる板部材である。傾斜板部17は、ケース本体10の内部の上下方向中央よりも下側に配置されている。ケース本体10の内部において、傾斜板部17の上側が収容空間11となっており、下側が下側空間18となっている。
【0018】
傾斜板部17は、排出口19に向かって下り勾配で傾斜しており、その上面は排出口19に向かって下り勾配で傾斜する傾斜面17aとなっている。本実施形態において傾斜面17aの傾斜角度θ1は、ケース1がフィーダ100にセットされたときの水平方向に対して10°程度である。傾斜面17aの傾斜角度θ1は、3°以上10°以下が好ましい。なお、傾斜面17aの傾斜角度θ1は、後述する振動の条件に応じて、適宜調整される。
【0019】
シャッター部材30は、スライドすることにより排出口19を開閉する。シャッター部材30は、底板部13から前壁部14にわたって連続して延びており、その延在方向に沿ってスライド可能となっている。シャッター部材30は、細長い帯状のフィルム部材である。シャッター部材30は、例えばPET(Polyethylene terephthalate)等の、ある程度剛性を有し、かつ、湾曲可能な可撓性の材料からなる。シャッター部材30の幅は、排出口19の幅より若干大きく、排出口19を隙間なく覆うことができる幅を有する。図1及び図2に示すように、シャッター部材30の前端部には、排出口19と略同形の開口部31が設けられている。
【0020】
シャッター部材30は、ケース本体10が備える下側ガイド部5及び上側ガイド部4に沿ってスライド可能となっている。下側ガイド部5は、底板部13の上方に配置され、上側ガイド部4は、排出口19の上方に配置されている。シャッター部材30は、その後側が下側ガイド部5に沿って概ね水平方向にスライドし、その前側が上側ガイド部4に沿って上下方向にスライドする。下側ガイド部5及び上側ガイド部4のそれぞれは、シャッター部材30の面方向を左右方向に沿った状態に保持しながらシャッター部材30をスライド可能に保持する通路を形成している。
【0021】
図1及び図4に示すように、シャッター部材30の後端に、シャッター部材30をスライドさせて排出口19の開閉動作を行うためのスライダ35が設けられている。スライダ35は、シャッター部材30の下面に一体に固定されている。図3に示すように、スライダ35は、前後方向に長い長方形状の板片である。スライダ35には、前後方向に沿って延在する長孔からなる操作孔37が設けられている。操作孔37は、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長い長円状の貫通孔である。操作孔37の前後方向の長さは、後述する円柱状の駆動ピン132が往復移動可能な長さを有し、その駆動ピン132の前後方向の長さ、すなわち外径の例えば3倍以上5倍以下程度に設定される。好ましくは、前後方向の長さは、後述するようにしてケース1を固定する際、スライドさせる距離に対して10%程度大きければよい。スライダ35は、ケース本体10の内側に配置されており、底板部13の上面を前後方向に摺動してスライドする。シャッター部材30がスライドする範囲において、開口部31が排出口19に合致すると排出口19は開口し、開口部31が排出口19よりも上方に配置されると、排出口19はシャッター部材30で塞がれる。図3及び図4に示すように、スライダ35は、操作孔37の内周縁の前端及び後端に、前端縁37a及び後端縁37bをそれぞれ有する。
【0022】
ケース本体10の底板部13には、スライダ35の操作孔37を下方の外部に露出させる露出孔21が設けられている。露出孔21は、少なくとも、スライダ35が前方にスライドしてシャッター部材30により排出口19が閉じる位置から、スライダ35が後方にスライドして開口部31が排出口19に合致し、排出口19が開口する位置までの間において、操作孔37の全体が常に露出する大きさを有している。露出孔21は、前後方向に長い長孔であり、シャッター部材30が排出口19を閉じる位置から、排出口19が開口する位置までの距離に加え、ケース1を固定する際にスライドさせる距離の0%から10%を含んだ長さを有している。
【0023】
スライダ35は、シャッター部材30の開口部31が排出口19と合致して排出口19が開口する位置と、開口部31が排出口19の上方に移動してシャッター部材30が排出口19を塞ぐ位置との2位置に、シャッター部材30のスライド位置を位置決めするストッパ36を有する。図4に示すように、ストッパ36は、スライダ35の上面後端部に上方に形成された上方に突出する凸部で構成される。
【0024】
図4に示すように、下側空間18には、底板部13との間にスライダ35が配置されるスペースを挟んでプレート部26が配置されている。プレート部26は、底板部13と一体に成形されている。プレート部26の下面の後側に、下方に突出する前側凸部26a及び後側凸部26bが前後一対の状態で形成されている。プレート部26の下面の前端部には、後述する第1下側ガイド部51を構成するガイド突起26cが形成されている。
【0025】
ストッパ36は、前側凸部26a及び後側凸部26bのうちの一方に係合する。スライダ35が前方に移動してストッパ36が前側凸部26aに係合すると、図1に示すように開口部31は排出口19の上方の前壁部14に位置付けられ、排出口19はシャッター部材30で塞がれる。スライダ35が後方に移動してストッパ36が後側凸部26bに係合すると、開口部31は排出口19と合致し、図4に示すように排出口19は開口する。収容空間11に収容された電子部品Mは、開口した排出口19を通過してケース1から排出される。スライダ35は、後述するフィーダ100が備える駆動ピン132によってスライドさせられる。
【0026】
図4に示すように、下側ガイド部5は、排出口19の下方に配置された第1下側ガイド部51と、第1下側ガイド部51の後方に配置された第2下側ガイド部52と、第2下側ガイド部52の後方に配置された第3下側ガイド部53と、を含む。
【0027】
第3下側ガイド部53は、プレート部26の下面の前端部に形成されたガイド突起26cを含んで構成される。第2下側ガイド部52は、傾斜板部17の前端部において下方に突出形成された凸部17cと、底板部13との間に形成されるスリットで構成される。第1下側ガイド部51は、傾斜板部17の前端面と、底板部13の前端部29とにより構成される。
【0028】
シャッター部材30は、第3下側ガイド部53においてガイド突起26cの下面に摺動し、第2下側ガイド部52において凸部17cと底板部13との間に形成されるスリットを通過する。これにより、シャッター部材30の後側は、底板部13の直上において前後方向にスライドする。第1下側ガイド部51において、シャッター部材30は、前後方向に凹状に湾曲する底板部13の前端部29に沿ってスライドし、さらに傾斜板部17の前端面に沿ってスライドすることにより、水平方向から概ね90°の角度で上に向けて屈曲し、上下方向に延びる姿勢に転換する。第3下側ガイド部53の上方において、シャッター部材30は上下方向に沿ってスライドする。
【0029】
図4に示すように、上側ガイド部4は、前壁部14に形成された上下方向に延びるスリット41を含む。シャッター部材30の前端部は前壁部14の下端からスリット41内に入り込み、スリット41内を摺動する。
【0030】
図1に示すように、下側空間18の後部には、前後方向に長い帯状のRFIDタグ27が配置されている。RFIDタグ27は、例えばシール状に構成されて底板部13の上面に貼着される。RFIDタグ27は、送受信部、メモリ及びアンテナ等を有する公知の構成を備えるものである。フィーダ100には、RFIDタグ27に対して情報を読み書きする不図示のリーダーライタが配置される。
【0031】
ケース本体10は、上側把持部28A及び後側把持部28Bを有する。上側把持部28Aは、ケース本体10の上側の前後両端に設けられた前後一対の窪みである。後側把持部28Bは、ケース本体10の後側の上下の両端に設けられた上下一対の窪みである。上側把持部28A及び後側把持部28Bのそれぞれは、例えばロボットハンドによりケース1を運搬する際などにおいて、そのロボットハンドに把持される。
【0032】
図1に示すように、ケース1は、フィーダ100に着脱可能にセットするための複数の爪部を底面に有する。本実施形態では、第1爪部61、第2爪部62及び第3爪部63が、底面に前後方向に間隔をおいて設けられている。第1爪部61、第2爪部62及び第3爪部63のそれぞれは、ケース本体10に一体に形成されている。第1爪部61及び第2爪部62のそれぞれは、上下左右に沿う面内での断面において逆T字状をなすT字スロットで構成されている。第3爪部63は、後方に延在する側面視がL字状の板片部である。
【0033】
図5に示すように、フィーダ100は、その上面にケース1が載置されてセットされるセット面101を有する。セット面101の前方には、第1爪部61が後方から挿入されて係合し、ケース1が位置決めされる押さえ部110が配置されている。セット面101の後方下部には、回転することにより後方から第3爪部63に係合するロックレバー120が回転可能に配置されている。セット面101の前部であって押さえ部110の後方には凹所102が設けられ、この凹所102内に、シャッター部材30をスライドさせる開閉機構130が配置されている。
【0034】
開閉機構130は、凹所102の底面に設置されたベース部131と、ベース部131上を前後方向に移動可能に設けられた駆動ピン132と、を有する。駆動ピン132は円柱状に形成され、セット面101よりも上方に突出している。駆動ピン132は、例えばベース部131に設けられたガイド溝に沿って前後方向に移動可能に支持され、アクチュエータ等により前後に駆動される。
【0035】
フィーダ100は、セット面101にセットされるケース1を振動させる。フィーダ100は不図示の振動機によって振動が付与される。振動機としては、例えばフィーダ100に前後方向及び上下方向の3次元の振動を付与する3軸振動機が用いられる。振動により、電子部品Mが傾斜面17aを下り、排出口19から排出される。
【0036】
ケース1は、次のようにしてフィーダ100にセットされ、開閉機構130によりシャッター部材30が開閉される。
【0037】
図5(a)に示すように、フィーダ100の駆動ピン132は前方に位置付けられる。そして、シャッター部材30で排出口19が閉じられたケース1がフィーダ100の上方に配置され、そこから下降させられて、図5(b)に示すように第1爪部61、第2爪部62及び第3爪部63がそれぞれセット面101に載置される。このとき、第1爪部61が押さえ部110の後方に位置付けられるとともに、駆動ピン132の先端がケース1の露出孔21を通ってスライダ35の操作孔37に挿入される。次いで、図5(c)に示すように、ケース1はセット面101上を前方に所定距離(例えば6mm程度)スライドさせられ、第1爪部61が押さえ部110に係合し、前後方向及び上下方向が位置決めされる。駆動ピン132は、前方に移動したスライダ35の操作孔37内において、図3及び図4に示す後端縁37bに近接するか、あるいは接触する。
【0038】
次いで、図5(d)に示すように、ロックレバー120が回転して第3爪部63に係合し、ケース1がフィーダ100に固定される。次いで、図5(e)に示すように、駆動ピン132が後方に所定距離(例えば10mm程度)移動する。駆動ピン132はスライダ35の操作孔37の後端縁37bに接触し、スライダ35を後方に押してスライドさせる。スライダ35が後方にスライドすることによりシャッター部材30も一体に後方にスライドし、開口部31が排出口19に合致して排出口19が開口する。この後、フィーダ100が振動してケース1内の電子部品Mが傾斜面17aを下り、排出口19から排出され、実装装置に供給される。
【0039】
電子部品Mの供給が完了すると、ケース1はフィーダ100から取り外される。ケース1の取り外しは上述したセット動作の逆を行う。すなわち、まず、駆動ピン132が前進してスライダ35の操作孔37の前端縁37aを前方に押し、スライダ35を前進させる。これによりシャッター部材30で排出口19が閉じられる。次いで、ロックレバー120が解除された後、ケース1が図5(b)に示す位置に後退させられ、図5(a)に示すようにケース1がフィーダ100から上方に取り外される。
【0040】
なお、電子部品Mが供給完了した場合、あるいは、電子部品Mの供給途中においてケース1を取り外す必要が生じた場合には、駆動ピン132の位置はそのままの状態で、ロックレバー120を解除してケース1を上方に移動させれば、ケース1をフィーダ100から取り外すことができる。
【0041】
図6は、フィーダ100の変形例を示している。図6に示すフィーダ100においては、開閉機構130が上下動可能に構成されている点が図5のフィーダ100と異なっている。開閉機構130が収容される凹所102は、図5のフィーダ100よりも深く、開閉機構130が上昇時に駆動ピン132がセット面101よりも上方に突出して、スライダ35の操作孔37に挿入されるようになっている。
【0042】
図6に示すフィーダ100によれば、ケース1は、次のようにしてフィーダ100にセットされ、開閉機構130によりシャッター部材30が開閉される。
【0043】
図6(a)に示すように、開閉機構130は凹所102の底面まで下降し、駆動ピン132は前方に位置付けられる。そして、シャッター部材30で排出口19が閉じられたケース1がセット面101に載置される。次いで、図6(b)に示すように、ケース1はセット面101上を前方に所定距離(例えば10mm程度)スライドさせられ、第1爪部61が押さえ部110に係合する。次いで、図6(c)に示すように、ロックレバー120が回転して第3爪部63に係合し、ケース1がフィーダ100に固定される。次いで、図6(d)に示すように開閉機構130が所定距離(例えば7mm程度)上昇し、駆動ピン132の先端がケース1の露出孔21を通ってスライダ35の操作孔37に挿入される。駆動ピン132は、スライダの操作孔37の後端縁37bに近接するか、あるいは接触する。
【0044】
次いで、図6(e)に示すように、駆動ピン132が後方に所定距離(例えば10~16mm程度)移動する。駆動ピン132はスライダ35の操作孔37の後端縁37bに接触し、スライダ35を後方に押してスライドさせる。スライダ35が後方にスライドすることによりシャッター部材30も一体に後方にスライドし、開口部31が排出口19に合致して排出口19が開口する。この後、フィーダ100が振動してケース1内の電子部品Mが傾斜面17aを下り、排出口19から排出され、実装装置に供給される。
【0045】
電子部品Mの供給が完了すると、ケース1はフィーダ100から取り外される。ケース1の取り外しは上述したセット動作の逆を行う。すなわち、まず、駆動ピン132が前進してスライダ35の操作孔37の前端縁37aを前方に押し、スライダ35を前進させる。これによりシャッター部材30で排出口19が閉じられる。次いで、開閉機構130が下降し、ロックレバー120が解除された後、ケース1が図6(b)に示す位置に後退させられ、図6(a)に示すように開閉機構130が下降する。この状態で、ケース1はフィーダ100から取り外すことができる。
【0046】
なお、電子部品Mが供給完了した場合、あるいは、電子部品Mの供給途中においてケース1を取り外す必要が生じた場合には、駆動ピン132の位置はそのままの状態で、ロックレバー120を解除してケース1を上方に移動させれば、ケース1をフィーダ100から取り外すことができる。
【0047】
以上説明した実施形態に係るケース1によれば、以下の効果が奏される。
【0048】
(1)本発明に係るケース1は、往復移動する駆動ピン132を有するフィーダ100にセットされるケース1であって、複数の電子部品Mを収容する収容空間11、及び収容空間11に収容された電子部品Mを排出する排出口19をそれぞれ有し、フィーダ100に着脱可能にセットされるケース本体10と、スライドすることにより排出口19を開閉するシャッター部材30と、シャッター部材30と一体に設けられ、ケース本体10の内側に配置されたスライダ35と、を備え、スライダ35には、ケース本体10がフィーダ100にセットされた状態で、駆動ピン132が挿入可能、かつ、挿入された状態で駆動ピン132が往復移動可能な大きさを有する操作孔37が設けられ、ケース本体10には、操作孔37を外部に露出させる露出孔21が設けられ、露出孔21を介して操作孔37に挿入されて往復移動する駆動ピン132により、スライダ35がスライドさせられてシャッター部材30による排出口19の開閉が行われる。
【0049】
本実施形態によれば、シャッター部材30を開閉するためのスライダ35の操作孔37を、駆動ピン132往復移動可能な大きさを有する孔とすることにより、ケース1をフィーダ100にセットする際に、駆動ピン132を操作孔37に挿入しやすい。このため、ケース1側の排出口19の開閉機構を簡素な構成でフィーダ100側の機構と対応させることができる。
【0050】
(2)本実施形態に記載に係るケース1においては、操作孔37は、駆動ピン132の往復移動方向に延在する長孔であり、露出孔21は、操作孔37よりも往復移動方向の長さが長い長孔であることが好ましい。
【0051】
これにより、操作孔37及び露出孔21を必要最小限の大きさで形成することができるとともに、操作孔37の前後方向の長さを変更することで、スライダ35及びシャッター部材30のスライドストロークを容易に調整することができる。
【0052】
(3)本発明に係るケース1においては、スライダ35は、ケース本体10がフィーダ100にセットされた状態で略水平方向にスライド可能にケース本体10に設けられており、ケース本体10がフィーダ100にセットされる際、操作孔37に、駆動ピン132が下方から挿入可能である形態を含む。
【0053】
これにより、ケース1とフィーダ100との対応させやすくなり、フィーダ100にケース1を確実、かつ、容易にセットすることができる。
【0054】
(4)本発明に係るケース1においては、スライダ35は、ケース本体10に対して、シャッター部材30が排出口19を開口する開口位置と、排出口19を閉塞する閉塞位置の2位置にそれぞれ位置決めするストッパ36を含むことが好ましい。
【0055】
これにより、シャッター部材30を排出口19の開口位置と閉塞位置に高精度で位置決めすることができる。
【0056】
(5)本発明に係るケース1においては、フィーダ100にセットされた状態で、排出口19に向かって下り勾配で傾斜し、収容空間11に収容された電子部品Mを排出口19に到達させる傾斜面17aを有することが好ましい。
【0057】
これにより、ケース本体10内において電子部品Mを円滑、かつ、確実に排出口19に到達させることができる。
【0058】
(6)本発明に係るケース1においては、傾斜面17aは、フィーダ100にセットされた状態で、3°以上10°以下で傾斜していることが好ましい。
【0059】
これにより、ケース1内において傾斜面17aを下りながら搬送される電子部品Mを円滑、かつ、確実に排出口19に到達させることができる。
【0060】
以上、実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、排出口19の位置は前側に開口する構成に限定されず、底面側等に開口する構成でもよく、これに応じてシャッター部材30のスライド経路も適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 ケース
10 ケース本体
11 収容空間
17a 傾斜面
19 排出口
21 露出孔
30 シャッター部材
35 スライダ
36 ストッパ
37 操作孔
100 フィーダ
132 駆動ピン
M 電子部品(部品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6