(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】検知装置および検知方法
(51)【国際特許分類】
G01R 27/02 20060101AFI20240110BHJP
G01R 31/58 20200101ALI20240110BHJP
H04B 3/46 20150101ALI20240110BHJP
【FI】
G01R27/02 Z
G01R31/58
H04B3/46
(21)【出願番号】P 2023530588
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 JP2023001602
(87)【国際公開番号】W WO2023145617
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2023-07-04
(31)【優先権主張番号】P 2022011591
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 真人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勇夫
(72)【発明者】
【氏名】小森 洋和
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 拓実
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-48689(JP,A)
【文献】特開2004-87517(JP,A)
【文献】国際公開第2021/200088(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0301846(US,A1)
【文献】国際公開第2020/017075(WO,A1)
【文献】特開2021-162570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/00
G01R 31/50
H04B 17/00
H01B 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的特性を持ち、周波数成分を有する計測信号を
、電気的特性を持つ信号の伝送を行う対象線へ出力する信号出力部と、
前記計測信号が反射された信号を含む応答信号を前記対象線から受信し、受信した前記応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測する計測部と、
前記計測部による計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した前記評価値の時間変化に基づいて、前記対象線の曲がり度合いの変化を検知する検知部とを備える、検知装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記対象線の屈曲角度の変化を検知する、請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記検知部は、前記対象線の曲率の変化を検知する、請求項1に記載の検知装置。
【請求項4】
前記対象線は、伝送線であり、
前記検知部は、前記評価値として、前記計測信号と前記応答信号との位相差、前記応答信号と前記計測信号との振幅の比である反射係数、前記伝送線のインピーダンス、および前記伝送線のレジスタンスのうちの少なくともいずれか1つを算出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項5】
前記対象線は、伝送線であり、
前記検知部は、前記評価値として、前記伝送線のリアクタンスを算出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項6】
前記対象線は、伝送線に沿って設けられた検知線であり、
前記検知部は、前記評価値として、前記検知線のキャパシタンス、前記検知線のインダクタンス、および前記検知線の特性インピーダンスのうちの少なくともいずれか1つを算出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項7】
前記検知部は、前記対象線の曲がり度合いの変化の検知結果に基づいて、前記対象線の曲げ回数をカウントする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項8】
前記検知部は、前記曲げ回数のカウント値が所定値を超えた場合、所定の通知処理を行う、請求項7に記載の検知装置。
【請求項9】
前記検知部は、前記対象線の曲がり度合いの変化の検知結果を記憶部に保存する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の検知装置。
【請求項10】
検知装置における検知方法であって、
電気的特性を持ち、周波数成分を有する計測信号を
、電気的特性を持つ信号の伝送を行う対象線へ出力するステップと、
前記計測信号が反射された信号を含む応答信号を前記対象線から受信し、受信した前記応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測するステップと、
前記振幅および前記位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した前記評価値の時間変化に基づいて、前記対象線の曲がり度合いの変化を検知するステップとを含む、検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検知装置および検知方法に関する。
この出願は、2022年1月28日に出願された日本出願特願2022-11591号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2007-305478号公報)には、以下のような電気ケーブルの断線検知装置が開示されている。すなわち、電気ケーブルの断線検知装置は、複数の電線と前記複数の電線を覆う電気シールド層と前記電気シールド層を覆うシースからなる電気ケーブルと、前記電気シールド層に設けられ導体線とその外周の絶縁層からなる断線検知線と、前記導体線に電気的に接続された電圧源と、前記導体線に電気的に接続された第1の検出器と、前記電気シールド層に電気的に接続された第2の検出器とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示の検知装置は、周波数成分を有する計測信号を対象線へ出力する信号出力部と、前記計測信号が反射された信号を含む応答信号を前記対象線から受信し、受信した前記応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測する計測部と、前記計測部による計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した前記評価値の時間変化に基づいて、前記対象線の曲がり度合いの変化を検知する検知部とを備える。
【0005】
本開示の検知方法は、検知装置における検知方法であって、周波数成分を有する計測信号を対象線へ出力するステップと、前記計測信号が反射された信号を含む応答信号を前記対象線から受信し、受信した前記応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測するステップと、前記振幅および前記位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した前記評価値の時間変化に基づいて、前記対象線の曲がり度合いの変化を検知するステップとを含む。
【0006】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える検知装置として実現され得るだけでなく、かかる特徴的な処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得たり、検知装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得たり、検知装置を含むシステムとして実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1の実施の形態に係る通信システムにおいて用いられる伝送線の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る通信システムにおいて用いられる伝送線の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の第1の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の第1の実施の形態に係る通信システムにおいて用いられる伝送線の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の第1の実施の形態に係る通信システムにおいて用いられる伝送線の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるリアクタンスXのシミュレーション結果を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるリアクタンスXのシミュレーション結果を示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるリアクタンスXのシミュレーション結果を示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるリアクタンスXのシミュレーション結果を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるレジスタンスRのシミュレーション結果を示す図である。
【
図14】
図14は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるレジスタンスRのシミュレーション結果を示す図である。
【
図16】
図16は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。
【
図17】
図17は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるレジスタンスRのシミュレーション結果を示す図である。
【
図18】
図18は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるレジスタンスRのシミュレーション結果を示す図である。
【
図19】
図19は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出される位相差pdのシミュレーション結果を示す図である。
【
図20】
図20は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。
【
図21】
図21は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出される反射係数rcの絶対値Arcのシミュレーション結果を示す図である。
【
図22】
図22は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。
【
図23】
図23は、本開示の第1の実施の形態に係る中継装置が検知処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【
図24】
図24は、本開示の第2の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
従来、伝送線の断線を予測する技術が提案されている。
【0009】
[本開示が解決しようとする課題]
特許文献1に記載の技術を超えて、伝送線の曲がり度合い等の伝送線の状態を、簡易な構成で確認することが可能な技術が望まれる。
【0010】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、簡易な構成で伝送線の状態を確認することが可能な検知装置および検知方法を提供することである。
【0011】
[本開示の効果]
本開示によれば、簡易な構成で伝送線の状態を確認することができる。
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0013】
(1)本開示の実施の形態に係る検知装置は、周波数成分を有する計測信号を対象線へ出力する信号出力部と、前記計測信号が反射された信号を含む応答信号を前記対象線から受信し、受信した前記応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測する計測部と、前記計測部による計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した前記評価値の時間変化に基づいて、前記対象線の曲がり度合いの変化を検知する検知部とを備える。
【0014】
このように、周波数成分を有する計測信号を対象線へ出力し、対象線から受信した応答信号の振幅および位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した評価値の時間変化に基づいて対象線の曲がり度合いの変化を検知する構成により、曲げセンサ等を必要とすることなく、対象線である伝送線または対象線に沿って設けられた伝送線の曲がり度合いの変化を検知することができる。したがって、簡易な構成で伝送線の状態を確認することができる。
【0015】
(2)上記(1)において、前記検知部は、前記対象線の屈曲角度の変化を検知してもよい。
【0016】
このような構成により、伝送線の曲がり度合いの変化を屈曲角度の変化として定量的に検知し、伝送線の状態をより細かく確認することができる。
【0017】
(3)上記(1)または(2)において、前記検知部は、前記対象線の曲率の変化を検知してもよい。
【0018】
このような構成により、伝送線の曲がり度合いの変化を曲率の変化として定量的に検知し、伝送線の状態をより細かく確認することができる。
【0019】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記対象線は、伝送線であり、前記検知部は、前記評価値として、前記計測信号と前記応答信号との位相差、前記応答信号と前記計測信号との振幅の比である反射係数、前記伝送線のインピーダンス、および前記伝送線のレジスタンスのうちの少なくともいずれか1つを算出してもよい。
【0020】
このような構成により、評価値としてたとえば伝送線の直流抵抗値を算出する構成と比べて、伝送線の屈曲に伴う断面形状等の変化に応じて値がより大きく変化する評価値に基づいて、伝送線の曲がり度合いの変化をより正確に検知することができる。また、上述の評価値は、たとえば終端が整合された通信用の伝送線へ計測信号を出力し、当該伝送線から受信した応答信号の振幅および位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて算出することができるので、伝送線とは別の検知線を必要とすることなく、伝送線の曲がり度合いの変化を検知することができる。
【0021】
(5)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記対象線は、伝送線であり、前記検知部は、前記評価値として、前記伝送線のリアクタンスを算出してもよい。
【0022】
リアクタンスは、伝送線の屈曲に伴う断面形状等の変化に応じて値がより大きく変化するところ、このような構成により、伝送線の曲がり度合いをより正確に検知することができる。また、上述の評価値は、たとえば終端が整合された通信用の伝送線へ計測信号を出力し、当該伝送線から受信した応答信号の振幅および位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて算出することができるので、伝送線とは別の検知線を必要とすることなく、伝送線の曲がり度合いの変化を検知することができる。
【0023】
(6)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記対象線は、伝送線に沿って設けられた検知線であり、前記検知部は、前記評価値として、前記検知線のキャパシタンス、前記検知線のインダクタンス、および前記検知線の特性インピーダンスのうちの少なくともいずれか1つを算出してもよい。
【0024】
このような構成により、評価値としてたとえば検知線の直流抵抗値を算出する構成と比べて、検知線の屈曲に伴う断面形状等の変化に応じて値がより大きく変化する評価値に基づいて、伝送線の曲がり度合いの変化をより正確に検知することができる。
【0025】
(7)上記(1)から(6)のいずれかにおいて、前記検知部は、前記対象線の曲がり度合いの変化の検知結果に基づいて、前記対象線の曲げ回数をカウントしてもよい。
【0026】
このような構成により、たとえば、曲げ回数のカウント値を伝送線の疲労劣化の度合いの指標として用いて、伝送線の交換時期等を判断することができる。
【0027】
(8)上記(7)において、前記検知部は、前記曲げ回数のカウント値が所定値を超えた場合、所定の通知処理を行ってもよい。
【0028】
このような構成により、たとえば、伝送線が疲労劣化により断線する前にユーザに伝送線の交換を促すことができる。
【0029】
(9)上記(1)から(8)のいずれかにおいて、前記検知部は、前記対象線の曲がり度合いの変化の検知結果を記憶部に保存してもよい。
【0030】
このような構成により、たとえば、伝送線の曲がり度合いの検知結果を用いて、伝送線が曲がった原因等を解析することができる。
【0031】
(10)本開示の実施の形態に係る検知方法は、検知装置における検知方法であって、周波数成分を有する計測信号を対象線へ出力するステップと、前記計測信号が反射された信号を含む応答信号を前記対象線から受信し、受信した前記応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測するステップと、前記振幅および前記位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した前記評価値の時間変化に基づいて、前記対象線の曲がり度合いの変化を検知するステップとを含む。
【0032】
このように、周波数成分を有する計測信号を対象線へ出力し、対象線から受信した応答信号の振幅および位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した評価値の時間変化に基づいて対象線の曲がり度合いの変化を検知する方法により、曲げセンサ等を必要とすることなく、対象線である伝送線または対象線に沿って設けられた伝送線の曲がり度合いの変化を検知することができる。したがって、簡易な構成で伝送線の状態を確認することができる。
【0033】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0034】
[構成および基本動作]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図1を参照して、通信システム301は、中継装置101と、複数の通信装置111とを備える。
【0035】
中継装置101は、通信用の伝送線10を介して各通信装置111と1対1で接続されている。より詳細には、伝送線10は、ケーブル部と、ケーブル部の第1端および第2端にそれぞれ設けられたコネクタ部とを含む。ケーブル部の第1端に設けられたコネクタ部は、中継装置101に接続される。ケーブル部の第2端に設けられたコネクタ部は、通信装置111に接続される。伝送線10は、たとえば、イーサネット(登録商標)ケーブルである。
【0036】
通信システム301は、たとえば車両に搭載される。この場合、通信装置111は、たとえば車載ECU(Electronic Control Unit)である。なお、通信システム301は、たとえばホームネットワークまたはファクトリーオートメーションに用いられてもよい。
【0037】
中継装置101は、通信装置111と通信を行うことが可能である。中継装置101は、たとえば、異なる伝送線10に接続された複数の通信装置111間でやり取りされる情報を中継する中継処理を行う。また、中継装置101は、検知装置として機能し、伝送線10の曲がり度合いを検知する検知処理を行う。
【0038】
図2は、本開示の第1の実施の形態に係る通信システムにおいて用いられる伝送線の一例を示す図である。
図2は、伝送線10の断面図を示している。
【0039】
図2を参照して、伝送線10は、2本の芯線1と、シース2とを含む。芯線1とシース2との間は、絶縁体により充填されてもよい。たとえば、2本の芯線1の一方は信号線であり、他方はグランド線である。たとえば、伝送線10は、平行線である。すなわち、2本の芯線1は、互いに平行に配置されている。以下、伝送線10の長さ方向をY方向とし、伝送線10の断面における芯線1の配列方向をZ方向とし、Y方向およびZ方向に直交する方向をX方向とする。
【0040】
なお、伝送線10は、1つまたは3つ以上の芯線1を含む構成であってもよいし、複数の芯線1が撚り合わせられているツイストペアケーブルであってもよい。
【0041】
芯線1では、複数の素線3が束ねられている。より詳細には、芯線1は、複数の素線3と、当該複数の素線3を覆う絶縁層4とを有する。芯線1における複数の素線3は、伝送線10のケーブル部において互いに導通している。なお、芯線1における複数の素線3は、たとえばエナメル樹脂等の被膜を有しており、伝送線10のケーブル部において互いに絶縁されている構成であってもよい。
【0042】
たとえば、伝送線10の外径は3.8mmであり、芯線1の外径は1.45mmであり、素線3の外径は0.19mmであり、芯線1における素線3の束の外径は0.95mmであり、2本の芯線1の間の距離は0.5mmである。
【0043】
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る通信システムにおいて用いられる伝送線の一例を示す図である。
図3では、伝送線10がXY平面において屈曲された状態を示している。
図3を参照して、伝送線10は、通信システム301において、屈曲された状態で敷設される場合がある。また、伝送線10は、通信システム301の運用時において、たとえば外力が加わることにより、XY平面またはYZ平面において屈曲される場合がある。以下、XY平面における伝送線10の屈曲角度θを屈曲角度θxyと称し、YZ平面における伝送線10の屈曲角度θを屈曲角度θyzと称する。屈曲角度θは、伝送線10の曲がり角度の一例である。
【0044】
〔中継装置〕
図4は、本開示の第1の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。
図4を参照して、中継装置101は、中継部11と、複数の検知処理部21と、複数の通信ポート16とを備える。検知処理部21は、信号出力部12と、計測部13と、検知部14、記憶部15とを含む。中継部11、信号出力部12、計測部13および検知部14の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部15は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。通信ポート16は、たとえばコネクタまたは端子である。各通信ポート16には、伝送線10のコネクタ部が接続される。
【0045】
たとえば、伝送線10における通信装置111側の端部は、インピーダンス整合されている。なお、伝送線10の当該端部は、正確にインピーダンス整合されている必要はない。
【0046】
中継装置101は、周波数成分を有する計測信号を伝送線10へ出力し、計測信号が反射された信号を含む応答信号を伝送線10から受信する。中継装置101は、受信した応答信号の振幅および位相を計測し、計測結果に基づいて評価値EVを算出する。そして、中継装置101は、算出した評価値EVの時間変化に基づいて、伝送線10の曲がり度合いの変化を検知する。伝送線10は、対象線の一例である。中継装置101における処理の詳細については後述する。
【0047】
<中継部>
中継部11は、通信装置111間のフレームを中継する中継処理を行う。より詳細には、中継部11は、ある通信装置111から対応の伝送線10および対応の通信ポート16経由で受信したフレームを、当該フレームの宛先IPアドレス、MACアドレスおよびメッセージID等の宛先情報に従って他の通信装置111へ対応の通信ポート16および対応の伝送線10経由で送信する。すなわち、中継部11は、通信ポート16および伝送線10を介して、フレームを含む通信信号を通信装置111との間で送受信する。
【0048】
<検知処理部>
たとえば、中継装置101は、通信ポート16の数と同数の検知処理部21を備える。より詳細には、検知処理部21は、通信ポート16に対応して設けられ、対応の通信ポート16に接続された伝送線10の曲がり度合いの変化を検知する検知処理を行う。以下、中継装置101における1つの検知処理部21による検知処理について代表して説明する。また、当該検知処理部21の検知対象の伝送線10を、「対象伝送線」とも称する。
【0049】
(信号出力部)
信号出力部12は、周波数成分を有する計測信号を対象伝送線へ出力する。より詳細には、信号出力部12は、交流信号、パルス信号または周波数掃引信号を計測信号として対象伝送線へ出力する。
【0050】
信号出力部12は、中継部11により対象伝送線を介して送受信される通信信号の周波数帯域とは異なる周波数帯域の計測信号を当該対象伝送線へ対応の通信ポート16経由で出力する。すなわち、中継装置101は、通信信号と計測信号とを周波数分割多重する。
【0051】
より詳細には、信号出力部12は、たとえば中継装置101の電源がオンされている期間である検知期間T1において、対象伝送線へ対応の通信ポート16経由で計測信号を出力する。
【0052】
たとえば、記憶部15は、1周期分の正弦波をデジタル変換することにより得られるサンプル数がNであるデジタル信号Ds1を記憶している。Nは、2以上の整数である。
【0053】
信号出力部12は、検知期間T1において、記憶部15における1周期分の正弦波に対応するN個のデジタル信号Ds1を繰り返し用いて、継続的に対象伝送線へ計測信号を出力する。より詳細には、信号出力部12は、DA(Digital to Analog)変換部を含む。信号出力部12は、当該DA変換部の動作クロックの周期に従う出力タイミングにおいて、記憶部15からデジタル信号Ds1を取得し、DA変換部を用いて当該デジタル信号Ds1をアナログ変換することにより生成される計測信号を、通信ポート16経由で対象伝送線へ出力する。また、信号出力部12は、当該出力タイミングにおいて記憶部15から取得したデジタル信号Ds1を検知部14および計測部13へ出力する。
【0054】
なお、信号出力部12は、たとえばDDS(Direct Digital Synthesizer)等の信号発生部を含み、当該信号発生部により生成される正弦波を通信ポート16経由で対象伝送線へ出力する構成であってもよい。
【0055】
(計測部)
計測部13は、計測信号が反射された信号を含む応答信号を対象伝送線から受信し、受信した応答信号の振幅および位相を計測する。たとえば、計測部13は、信号出力部12により出力された計測信号と、当該計測信号が反射された信号である反射信号とを含む応答信号を対象伝送線から対応の通信ポート16経由で受信する。
【0056】
より詳細には、計測部13は、検知期間T1において、対象伝送線から対応の通信ポート16経由で応答信号を受信する。
【0057】
計測部13は、AD(Analog to Digital)変換部を含む。計測部13は、検知期間T1において、対象伝送線から受信した応答信号を、AD変換部を用いてサンプリングすることにより、サンプリングタイミングごとにデジタル信号Ds2を生成する。
【0058】
たとえば、計測部13は、デジタル信号Ds2を生成するたびに、生成したデジタル信号Ds2から、信号出力部12から受けたデジタル信号Ds1の成分を差し引くことにより、反射信号を示すデジタル信号Ds3を生成する。
【0059】
計測部13は、生成したデジタル信号Ds3に基づいて、反射信号の振幅を示す振幅データDs3a、および反射信号の位相を示す位相データDs3pを生成し、生成した振幅データDs3aおよび位相データDs3pを検知部14へ出力する。
【0060】
(検知部)
検知部14は、計測部13による計測結果に基づいて評価値EVを算出し、算出した評価値EVの時間変化に基づいて、対象伝送線の曲がり度合いの変化を検知する。
【0061】
図5および
図6は、本開示の第1の実施の形態に係る通信システムにおいて用いられる伝送線の一例を示す図である。
図5は、伝送線10がXY平面において屈曲された状態における当該断面を示す断面図である。
図6は、伝送線10がYZ平面において屈曲された状態における当該断面を示す断面図である。
【0062】
図2、
図5および
図6を参照して、伝送線10は、XY平面またはYZ平面における曲がり度合いが変化した場合、隣接する芯線1の中心位置の間隔、芯線1の断面積および断面形状、ならびに素線3の断面積および断面形状が変化することにより、電気的特性が変化する。
【0063】
検知部14は、対象伝送線の電気的特性の時間変化に基づいて、対象伝送線の曲がり度合いの変化を検知する。
【0064】
(検知例1)
(1)屈曲角度
検知部14は、評価値EVとして、対象伝送線のリアクタンスXを算出する。検知部14は、算出したリアクタンスXに基づいて、対象伝送線の屈曲角度θの変化を検知する。
【0065】
より詳細には、信号出力部12は、対象伝送線へ計測信号を出力し、出力した計測信号に対応するデジタル信号Ds1を検知部14へ出力する。
【0066】
検知部14は、信号出力部12からデジタル信号Ds1を受けて、受けたデジタル信号Ds1に基づいて、計測信号の振幅を示す振幅データDs1aを生成する。検知部14は、計測部13から受けた振幅データDs3aを、生成した振幅データDs1aで除した値をたとえば計測信号の1周期ごと算出する。
【0067】
検知部14は、計測信号の1周期ごとの当該値に基づいて反射係数rcを算出する。そして、検知部14は、以下の式(1)に従って、インピーダンスZを算出する。
【数1】
【0068】
ここで、Zoutは、中継装置101の出力インピーダンスである。たとえば、出力インピーダンスZoutは、予め記憶部15に保存されている。
【0069】
検知部14は、反射係数rcを算出すると、記憶部15から出力インピーダンスZoutを取得し、式(1)に従ってインピーダンスZを算出する。そして、検知部14は、インピーダンスZの虚部であるリアクタンスXを取得する。
【0070】
図7は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるリアクタンスXのシミュレーション結果を示す図である。
図7は、
図5に示すようにXY平面において屈曲され、かつ屈曲部分における曲率半径Rcが10mmである500mmの伝送線10へ計測信号を出力したときに、検知部14により算出されるリアクタンスXであるリアクタンスXxyのシミュレーション結果を示している。
図7において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸はリアクタンス[Ω]である。
図7は、リアクタンスXxy_45からリアクタンスXxy_zeroを差し引いた差分DXxy45と、リアクタンスXxy_90からリアクタンスXxy_zeroを差し引いた差分DXxy90と、リアクタンスXxy_135からリアクタンスXxy_zeroを差し引いた差分DXxy135と、リアクタンスXxy_180からリアクタンスXxy_zeroを差し引いた差分DXxy180とを示している。ここで、リアクタンスXxy_zeroは、屈曲角度θxyがゼロ度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXxyである。また、リアクタンスXxy_45は、屈曲角度θxyが45度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXxyである。また、リアクタンスXxy_90は、屈曲角度θxyが90度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるからリアクタンスXxyである。また、リアクタンスXxy_135は、屈曲角度θxyが135度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXxyである。また、リアクタンスXxy_180は、屈曲角度θxyが180度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるからリアクタンスXxyである。
【0071】
図7を参照して、差分DXxy180,DXxy135,DXxy90,DXxy45はこの順に大きく、いずれも正の値である。すなわち、屈曲角度θxyが180度のときのリアクタンスXxy_180、屈曲角度θxyが135度のときのリアクタンスXxy_135、屈曲角度θxyが90度のときのリアクタンスXxy_90、屈曲角度θxyが45度のときのリアクタンスXxy_45、および屈曲角度θxyがゼロ度のときのリアクタンスXxy_zeroは、この順に大きい。
【0072】
図7を参照して説明したシミュレーション結果によれば、リアクタンスXに基づいて、屈曲角度θxyを検知することができる。
【0073】
たとえば、記憶部15は、リアクタンスXの基準値SX1を記憶している。基準値SX1は、屈曲角度θxyがゼロ度である対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXに基づいて予め設定される。なお、基準値SX1は、屈曲角度θxyがゼロ度である対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数のリアクタンスXに基づいて予め設定されてもよい。
【0074】
たとえば、検知部14は、所定の算出周期Cmに従う算出タイミングにおいて、リアクタンスXを算出する。算出周期Cmは、対象伝送線において想定される屈曲の周期よりも短い値に設定され、たとえば計測信号の周期に相当する値に設定される。検知部14は、リアクタンスXを算出するたびに、記憶部15から基準値SX1を取得し、リアクタンスXから基準値SX1を差し引いた差分DX1を算出する。
【0075】
図8は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。
図8を参照して、記憶部15は、検知部14により算出される差分DX1と、屈曲角度θxyとの対応関係を示す判定テーブルTX1を記憶している。
【0076】
たとえば、検知部14は、算出した差分DX1と、記憶部15における判定テーブルTX1とに基づいて、屈曲角度θxyを検知する。より詳細には、検知部14は、差分DX1がしきい値ThX11未満である場合、屈曲角度θxyはゼロ度であると判定する。また、検知部14は、差分DX1が、しきい値ThX11以上であり、かつしきい値ThX12未満である場合、屈曲角度θxyは45度であると判定する。また、検知部14は、差分DX1が、しきい値ThX12以上であり、かつしきい値ThX13未満である場合、屈曲角度θxyは90度であると判定する。また、検知部14は、差分DX1が、しきい値ThX13以上であり、かつしきい値ThX14未満である場合、屈曲角度θxyは135度であると判定する。また、検知部14は、差分DX1がしきい値ThX14以上である場合、屈曲角度θxyは180度であると判定する。
【0077】
たとえば、しきい値ThX11,ThX12,ThX13,ThX14は、上述したリアクタンスXxy_zero,Xxy_45,Xxy_90,Xxy_135,Xxy_180に基づいて予め設定される。
【0078】
たとえば、検知部14は、差分DX1を算出するたびに、算出した差分DX1を記憶部15に蓄積することにより、差分DX1の時系列データTSD1を生成する。また、たとえば、検知部14は、対象伝送線の曲がり度合いの変化の検知結果を記憶部15に保存する。より詳細には、検知部14は、差分DX1を算出するたびに、算出した差分DX1および判定テーブルTX1に基づいて屈曲角度θxyを検知し、検知した屈曲角度θxyを記憶部15に蓄積することにより、屈曲角度θxyの時系列データTSDxyを生成する。
【0079】
図9は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるリアクタンスXのシミュレーション結果を示す図である。
図9は、
図6に示すようにYZ平面において屈曲され、かつ屈曲部分における曲率半径Rcが10mmである500mmの伝送線10へ計測信号を出力したときに、検知部14により算出されるリアクタンスXであるリアクタンスXyzのシミュレーション結果を示している。
図9において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸はリアクタンス[Ω]である。
図9は、リアクタンスXyz_45からリアクタンスXyz_zeroを差し引いた差分DXyz45と、リアクタンスXyz_90からリアクタンスXyz_zeroを差し引いた差分DXyz90と、リアクタンスXyz_135からリアクタンスXyz_zeroを差し引いた差分DXyz135と、リアクタンスXyz_180からリアクタンスXyz_zeroを差し引いた差分DXyz180とを示している。ここで、リアクタンスXyz_zeroは、屈曲角度θyzがゼロ度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXyzである。また、リアクタンスXyz_45は、屈曲角度θyzが45度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXyzである。また、リアクタンスXyz_90は、屈曲角度θyzが90度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXyzである。また、リアクタンスXyz_135は、屈曲角度θyzが135度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXyzである。また、リアクタンスXyz_180は、屈曲角度θyzが180度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXyzである。
【0080】
図9を参照して、差分DXyz45,DXyz90,DXyz135,DXyz180はこの順に大きく、いずれも負の値である。すなわち、屈曲角度θyzがゼロ度のときのリアクタンスXxy_zero、屈曲角度θyzが45度のときのリアクタンスXyz_45、屈曲角度θyzが90度のときのリアクタンスXyz_90、屈曲角度θyzが135度のときのリアクタンスXyz_135、および屈曲角度θyzが180度のときのリアクタンスXyz_180は、この順に大きい。
【0081】
図9を参照して説明したシミュレーション結果によれば、リアクタンスXに基づいて、屈曲角度θyzを検知することができる。
【0082】
たとえば、記憶部15は、リアクタンスXの基準値SX2を記憶している。基準値SX2は、屈曲角度θyzがゼロ度である対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXに基づいて予め設定される。なお、基準値SX2は、屈曲角度θyzがゼロ度である対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数のリアクタンスXに基づいて予め設定されてもよい。基準値SX2は、上述した基準値SX1と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0083】
検知部14は、リアクタンスXを算出するたびに、記憶部15から基準値SX2を取得し、リアクタンスXから基準値SX2を差し引いた差分DX2を算出する。
【0084】
図10は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。
図10を参照して、記憶部15は、検知部14により算出される差分DX2と、屈曲角度θyzとの対応関係を示す判定テーブルTX2を記憶している。
【0085】
たとえば、検知部14は、算出した差分DX2と、記憶部15における判定テーブルTX2とに基づいて、屈曲角度θyzを検知する。より詳細には、検知部14は、差分DX2がしきい値ThX21以上である場合、屈曲角度θyzはゼロ度であると判定する。また、検知部14は、差分DX2が、しきい値ThX22以上であり、かつしきい値ThX21未満である場合、屈曲角度θyzは45度であると判定する。また、検知部14は、差分DX2が、しきい値ThX23以上であり、かつしきい値ThX22未満である場合、屈曲角度θyzは90度であると判定する。また、検知部14は、差分DX2が、しきい値ThX24以上であり、かつしきい値ThX23未満である場合、屈曲角度θyzは135度であると判定する。また、検知部14は、差分DX2がしきい値ThX24未満である場合、屈曲角度θyzは180度であると判定する。
【0086】
たとえば、しきい値ThX21,ThX22,ThX23,ThX24は、上述したリアクタンスXyz_zero,Xyz_45,Xyz_90,Xyz_135,Xyz_180に基づいて予め設定される。
【0087】
たとえば、検知部14は、差分DX2を算出するたびに、算出した差分DX2を記憶部15に蓄積することにより、差分DX2の時系列データTSD2を生成する。また、たとえば、検知部14は、差分DX2を算出するたびに、算出した差分DX2および判定テーブルTX2に基づいて屈曲角度θyzを検知し、検知した屈曲角度θyzを記憶部15に蓄積することにより、屈曲角度θyzの時系列データTSDyzを生成する。
【0088】
(2)曲率
たとえば、検知部14は、リアクタンスXに基づいて、対象伝送線の曲率の変化を検知する。ここで、対象伝送線の曲率は、曲率半径Rcの逆数である。
【0089】
図11は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるリアクタンスXのシミュレーション結果を示す図である。
図11は、
図5に示すようにXY平面において屈曲された1000mmの伝送線10へ計測信号を出力したときに、検知部14により算出されるリアクタンスXのシミュレーション結果を示している。
図11において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸はリアクタンス[Ω]である。
図11は、屈曲角度θxyが45度であり、かつ曲率半径Rcが10mmである伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXxy45_R10と、屈曲角度θxyが45度であり、かつ曲率半径Rcが20mmである伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXxy45_R20とを示している。
【0090】
図11を参照して、屈曲角度θxyが45度である場合において、曲率半径Rcが10mmであるときのリアクタンスXxy45_R10と、曲率半径Rcが20mmであるときのリアクタンスXxy45_R20とは、互いに異なる。
【0091】
図12は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるリアクタンスXのシミュレーション結果を示す図である。
図12は、
図5に示すようにXY平面において屈曲された1000mmの伝送線10へ計測信号を出力したときに、検知部14により算出されるリアクタンスXのシミュレーション結果を示している。
図12において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸はリアクタンス[Ω]である。
図12は、屈曲角度θxyが180度であり、かつ曲率半径Rcが10mmである伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXxy180_R10と、屈曲角度θxyが180度であり、かつ曲率半径Rcが20mmである伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるリアクタンスXxy180_R20とを示している。
【0092】
図12を参照して、屈曲角度θxyが180度である場合において、曲率半径Rcが10mmであるときのリアクタンスXxy180_R10と、曲率半径Rcが20mmであるときのリアクタンスXxy180_R20とは、互いに異なる。
【0093】
図11および
図12を参照して説明したシミュレーション結果によれば、リアクタンスXに基づいて、曲率半径Rcおよび対象伝送線の曲率を検知することができる。
【0094】
たとえば、通信システム301における対象伝送線の初期の敷設状態に応じて、対象伝送線は、屈曲角度θおよび曲率のうちのいずれが変化しやすい傾向にあるかを推測することができる。検知部14は、対象伝送線の初期の敷設状態を示す情報およびリアクタンスXに基づいて、対象伝送線の屈曲角度θの変化および対象伝送線の曲率の変化の少なくともいずれか一方を検知する。
【0095】
(検知例2)
(1)屈曲角度
検知部14は、評価値EVとして、対象伝送線のレジスタンスRを算出する。検知部14は、算出したレジスタンスRに基づいて、対象伝送線の屈曲角度θの変化を検知する。
【0096】
より詳細には、検知部14は、検知例1において説明した処理を行うことによりインピーダンスZを算出する。そして、検知部14は、インピーダンスZの実部であるレジスタンスRを取得する。
【0097】
図13は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるレジスタンスRのシミュレーション結果を示す図である。
図13は、
図5に示すようにXY平面において屈曲され、かつ屈曲部分における曲率半径Rcが10mmである500mmの伝送線10へ計測信号を出力したときに、検知部14により算出されるレジスタンスRであるレジスタンスRxyのシミュレーション結果を示している。
図13において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸はレジスタンス[Ω]である。
図13は、レジスタンスRxy_45からレジスタンスRxy_zeroを差し引いた差分DRxy45と、レジスタンスRxy_90からレジスタンスRxy_zeroを差し引いた差分DRxy90と、レジスタンスRxy_135からレジスタンスRxy_zeroを差し引いた差分DRxy135と、レジスタンスRxy_180からレジスタンスRxy_zeroを差し引いた差分DRxy180とを示している。ここで、レジスタンスRxy_zeroは、屈曲角度θxyがゼロ度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRxyである。また、レジスタンスRxy_45は、屈曲角度θxyが45度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRxyである。また、レジスタンスRxy_90は、屈曲角度θxyが90度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRxyである。また、レジスタンスRxy_135は、屈曲角度θxyが135度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRxyである。また、レジスタンスRxy_180は、屈曲角度θxyが180度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRxyである。
【0098】
図13を参照して、差分DRxy180,DRxy135,DRxy90,DRxy45はこの順に大きく、いずれも正の値である。すなわち、屈曲角度θxyが180度のときのレジスタンスRxy_180、屈曲角度θxyが135度のときのレジスタンスRxy_135、屈曲角度θxyが90度のときのレジスタンスRxy_90、屈曲角度θxyが45度のときのレジスタンスRxy_45、および屈曲角度θxyがゼロ度のときのレジスタンスRxy_zeroは、この順に大きい。
【0099】
図13を参照して説明したシミュレーション結果によれば、レジスタンスRに基づいて、屈曲角度θxyを検知することができる。
【0100】
たとえば、記憶部15は、レジスタンスRの基準値SR1を記憶している。基準値SR1は、屈曲角度θxyがゼロ度である対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRに基づいて予め設定される。なお、基準値SR1は、屈曲角度θxyがゼロ度である対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数のレジスタンスRに基づいて予め設定されてもよい。
【0101】
たとえば、検知部14は、算出周期Cmに従う算出タイミングにおいて、リアクタンスXを算出する。検知部14は、レジスタンスRを算出するたびに、記憶部15から基準値SR1を取得し、レジスタンスRから基準値SR1を差し引いた差分DR1を算出する。
【0102】
図14は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。
図14を参照して、記憶部15は、検知部14により算出される差分DR1と、屈曲角度θxyとの対応関係を示す判定テーブルTR1を記憶している。
【0103】
たとえば、検知部14は、算出した差分DR1と、記憶部15における判定テーブルTR1とに基づいて、屈曲角度θxyを検知する。より詳細には、検知部14は、差分DR1がしきい値ThR11未満である場合、屈曲角度θxyはゼロ度であると判定する。また、検知部14は、差分DR1が、しきい値ThR11以上であり、かつしきい値ThR12未満である場合、屈曲角度θxyは45度であると判定する。また、検知部14は、差分DR1が、しきい値ThR12以上であり、かつしきい値ThR13未満である場合、屈曲角度θxyは90度であると判定する。また、検知部14は、差分DR1が、しきい値ThR13以上であり、かつしきい値ThR14未満である場合、屈曲角度θxyは135度であると判定する。また、検知部14は、差分DR1がしきい値ThR14以上である場合、屈曲角度θxyは180度であると判定する。
【0104】
たとえば、しきい値ThR11,ThR12,ThR13,ThR14は、上述したレジスタンスRxy_zero,Rxy_45,Rxy_90,Rxy_135,Rxy_180に基づいて予め設定される。
【0105】
たとえば、検知部14は、差分DR1を算出するたびに、算出した差分DR1を記憶部15に蓄積することにより、差分DR1の時系列データTSD1を生成する。また、たとえば、検知部14は、差分DR1を算出するたびに、算出した差分DR1および判定テーブルTR1に基づいて屈曲角度θxyを検知し、検知した屈曲角度θxyを記憶部15に蓄積することにより、屈曲角度θxyの時系列データTSDxyを生成する。
【0106】
図15は、本開示の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるレジスタンスRのシミュレーション結果を示す図である。
図15は、
図6に示すようにYZ平面において屈曲され、かつ屈曲部分における曲率半径Rcが10mmである500mmの伝送線10へ計測信号を出力したときに、検知部14により算出されるレジスタンスRであるレジスタンスRyzのシミュレーション結果を示している。
図15において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸はレジスタンス[Ω]である。
図15は、レジスタンスRyz_45からレジスタンスRyz_zeroを差し引いた差分DRyz45と、レジスタンスRyz_90からレジスタンスRyz_zeroを差し引いた差分DRyz90と、レジスタンスRyz_135からレジスタンスRyz_zeroを差し引いた差分DRyz135と、レジスタンスRyz_180からレジスタンスRyz_zeroを差し引いた差分DRyz180とを示している。ここで、レジスタンスRyz_zeroは、屈曲角度θyzがゼロ度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRyzである。また、レジスタンスRyz_45は、屈曲角度θyzが45度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRyzである。また、レジスタンスRyz_90は、屈曲角度θyzが90度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRyzである。また、レジスタンスRyz_135は、屈曲角度θyzが135度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRyzである。また、レジスタンスRyz_180は、屈曲角度θyzが180度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRyzである。
【0107】
図15を参照して、差分DRyz45,DRyz90,DRyz135,DRyz180はこの順に大きく、いずれも負の値である。すなわち、屈曲角度θyzがゼロ度のときのレジスタンスRxy_zero、屈曲角度θyzが45度のときのレジスタンスRyz_45、屈曲角度θyzが90度のときのレジスタンスRyz_90、屈曲角度θyzが135度のときのレジスタンスRyz_135、および屈曲角度θyzが180度のときのレジスタンスRyz_180は、この順に大きい。
【0108】
図15を参照して説明したシミュレーション結果によれば、レジスタンスRに基づいて、屈曲角度θyzを検知することができる。
【0109】
たとえば、記憶部15は、レジスタンスRの基準値SR2を記憶している。基準値SR2は、屈曲角度θyzがゼロ度である対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRに基づいて予め設定される。なお、基準値SR2は、屈曲角度θyzがゼロ度である対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数のレジスタンスRに基づいて予め設定されてもよい。基準値SR2は、上述した基準値SR1と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0110】
検知部14は、レジスタンスRを算出すると、記憶部15から基準値SR2を取得し、レジスタンスRから基準値SR2を差し引いた差分DR2を算出する。
【0111】
図16は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。
図16を参照して、記憶部15は、検知部14により算出される差分DR2と、屈曲角度θyzとの対応関係を示す判定テーブルTR2を記憶している。
【0112】
たとえば、検知部14は、算出した差分DR2と、記憶部15における判定テーブルTR2とに基づいて、屈曲角度θyzを検知する。より詳細には、検知部14は、差分DR2がしきい値ThR21以上である場合、屈曲角度θyzはゼロ度であると判定する。また、検知部14は、差分DR2が、しきい値ThR22以上であり、かつしきい値ThR21未満である場合、屈曲角度θyzは45度であると判定する。また、検知部14は、差分DR2が、しきい値ThR23以上であり、かつしきい値ThR22未満である場合、屈曲角度θyzは90度であると判定する。また、検知部14は、差分DR2が、しきい値ThR24以上であり、かつしきい値ThR23未満である場合、屈曲角度θyzは135度であると判定する。また、検知部14は、差分DR2がしきい値ThR24未満である場合、屈曲角度θyzは180度であると判定する。
【0113】
たとえば、しきい値ThR21,ThR22,ThR23,ThR24は、上述したレジスタンスRyz_zero,Ryz_45,Ryz_90,Ryz_135,Ryz_180に基づいて予め設定される。
【0114】
たとえば、検知部14は、差分DR2を算出するたびに、算出した差分DR2を記憶部15に蓄積することにより、差分DR2の時系列データTSD2を生成する。また、たとえば、検知部14は、差分DR2を算出するたびに、算出した差分DR2および判定テーブルTR2に基づいて屈曲角度θyzを検知し、検知した屈曲角度θyzを記憶部15に蓄積することにより、屈曲角度θyzの時系列データTSDyzを生成する。
【0115】
(2)曲率
たとえば、検知部14は、レジスタンスRに基づいて、対象伝送線の曲率の変化を検知する。
【0116】
図17は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるレジスタンスRのシミュレーション結果を示す図である。
図17は、
図5に示すようにXY平面において屈曲された1000mmの伝送線10へ計測信号を出力したときに、検知部14により算出されるレジスタンスRのシミュレーション結果を示している。
図17において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸はレジスタンス[Ω]である。
図17は、屈曲角度θxyが45度であり、かつ曲率半径Rcが10mmである伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRxy45_R10と、屈曲角度θxyが45度であり、かつ曲率半径Rcが20mmである伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRxy45_R20とを示している。
【0117】
図17を参照して、屈曲角度θxyが45度である場合において、曲率半径Rcが10mmであるときのレジスタンスRxy45_R10と、曲率半径Rcが20mmであるときのレジスタンスRxy45_R20とは、互いに異なる。
【0118】
図18は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出されるレジスタンスRのシミュレーション結果を示す図である。
図18は、
図5に示すようにXY平面において屈曲された1000mmの伝送線10へ計測信号を出力したときに、検知部14により算出されるリアクタンスXのシミュレーション結果を示している。
図18において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸はレジスタンス[Ω]である。
図18は、屈曲角度θxyが180度であり、かつ曲率半径Rcが10mmである伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRxy180_R10と、屈曲角度θxyが180度であり、かつ曲率半径Rcが20mmである伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出されるレジスタンスRxy180_R20とを示している。
【0119】
図18を参照して、屈曲角度θxyが180度である場合において、曲率半径Rcが10mmであるときのレジスタンスRxy180_R10と、曲率半径Rcが20mmであるときのレジスタンスRxy180_R20とは、互いに異なる。
【0120】
図17および
図18を参照して説明したシミュレーション結果によれば、レジスタンスRに基づいて、曲率半径Rcおよび対象伝送線の曲率を検知することができる。
【0121】
たとえば、検知部14は、対象伝送線の初期の敷設状態を示す情報およびレジスタンスRに基づいて、対象伝送線の屈曲角度θの変化および対象伝送線の曲率の変化の少なくともいずれか一方を検知する。
【0122】
(検知例3)
(1)屈曲角度
検知部14は、評価値EVとして、計測信号と応答信号との位相差を算出する。一例として、検知部14は、対象伝送線へ出力された計測信号と、応答信号に含まれる反射信号との位相差pdを算出する。検知部14は、算出した位相差pdに基づいて、対象伝送線の屈曲角度θを検知する。
【0123】
より詳細には、信号出力部12は、対象伝送線へ計測信号を出力し、出力した計測信号に対応するデジタル信号Ds1を検知部14へ出力する。
【0124】
検知部14は、信号出力部12からデジタル信号Ds1を受けて、受けたデジタル信号Ds1に基づいて、計測信号の位相を示す位相データDs1pを生成する。検知部14は、計測部13から受けた位相データDs3pと、算出した位相データDs1pとの差分をたとえば計測信号の1周期ごとに算出する。
【0125】
検知部14は、計測信号の1周期ごとの当該差分に基づいて位相差pdを算出する。
【0126】
図19は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出される位相差pdのシミュレーション結果を示す図である。
図19は、
図5に示すようにXY平面において屈曲され、かつ屈曲部分における曲率半径Rcが10mmである伝送線10へ計測信号を出力したときに、検知部14により算出される位相差pdである位相差pdxyのシミュレーション結果を示している。
図19において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸は位相差[degree]である。
図19は、位相差pdxy_45から位相差pdxy_zeroを差し引いた差分Dpdxy45と、位相差pdxy_90から位相差pdxy_zeroを差し引いた差分Dpdxy90と、位相差pdxy_135から位相差pdxy_zeroを差し引いた差分Dpdxy135と、位相差pdxy_180から位相差pdxy_zeroを差し引いた差分Dpdxy180とを示している。ここで、位相差pdxy_zeroは、屈曲角度θxyがゼロ度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdxyである。また、位相差pdxy_45は、屈曲角度θxyが45度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdxyである。また、位相差pdxy_90は、屈曲角度θxyが90度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdxyである。また、位相差pdxy_135は、屈曲角度θxyが135度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdxyである。また、位相差pdxy_180は、屈曲角度θxyが180度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdxyである。
【0127】
図19を参照して、たとえば計測信号の周波数が25MHzである場合、差分Dpdxy45,Dpdxy90,Dpdxy180,Dpdxy135はこの順に大きく、差分Dpdxy45は正の値であり、差分Dpdxy90,Dpdxy180,Dpdxy135は負の値である。すなわち、屈曲角度θxyが45度のときの位相差pdxy_45、屈曲角度θxyがゼロ度のときの位相差pdxy_zero、屈曲角度θxyが90度のときの位相差pdxy_90、屈曲角度θが180度のときの位相差pdxy_180、および屈曲角度θxyが135度のときの位相差pdxy_135は、この順に大きい。
【0128】
図19を参照して説明したシミュレーション結果によれば、位相差pdに基づいて、対象伝送線の屈曲角度θxyを検知することができる。
【0129】
たとえば、記憶部15は、位相差pdの基準値Spd1を記憶している。基準値Spd1は、屈曲角度θxyがゼロ度である対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出される位相差pdに基づいて予め設定される。なお、基準値Spd1は、屈曲角度θxyがゼロ度である対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数の位相差pdに基づいて予め設定されてもよい。
【0130】
たとえば、検知部14は、算出周期Cmに従う算出タイミングにおいて、位相差pdを算出する。検知部14は、位相差pdを算出するたびに、記憶部15から基準値Spd1を取得し、位相差pdから基準値Spd1を差し引いた差分Dpd1を算出する。
【0131】
図20は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。
図20を参照して、記憶部15は、検知部14により算出される差分Dpd1と、屈曲角度θxyとの対応関係を示す判定テーブルTpd1を記憶している。
【0132】
たとえば、検知部14は、算出した差分Dpd1と、記憶部15における判定テーブルTpd1とに基づいて、対象伝送線の屈曲角度θxyを判定する。より詳細には、検知部14は、差分Dpd1がしきい値Thp11以上である場合、屈曲角度θxyは45度であると判定する。また、検知部14は、差分Dpd1が、しきい値Thp12以上であり、かつしきい値Thp11未満である場合、屈曲角度θxyはゼロ度であると判定する。また、検知部14は、差分Dpd1が、しきい値Thp13以上であり、かつしきい値Thp12未満である場合、屈曲角度θxyは90度であると判定する。また、検知部14は、差分Dpd1が、しきい値Thp14以上であり、かつしきい値Thp13未満である場合、屈曲角度θxyは180度であると判定する。また、検知部14は、差分Dpd1がしきい値Thp14未満である場合、屈曲角度θxyは135度であると判定する。
【0133】
たとえば、しきい値Thp11,Thp12,Thp13,Thp14は、上述した位相差pdxy_zero,pdxy_45,pdxy_90,pdxy_135,pdxy_180に基づいて予め設定される。
【0134】
たとえば、検知部14は、差分Dpd1を算出するたびに、算出した差分Dpd1を記憶部15に蓄積することにより、差分Dpd1の時系列データTSD1を生成する。また、たとえば、検知部14は、差分Dpd1を算出するたびに、算出した差分Dpd1および判定テーブルTDpd1に基づいて屈曲角度θxyを検知し、検知した屈曲角度θxyを記憶部15に蓄積することにより、屈曲角度θxyの時系列データTSDxyを生成する。
【0135】
たとえば、検知部14は、上述した検知例1および検知例2と同様にして、位相差pdに基づいて、屈曲角度θyzの検知および時系列データTSDyzの作成をさらに行う。
【0136】
また、たとえば、検知部14は、対象伝送線の初期の敷設状態を示す情報および位相差pdに基づいて、対象伝送線の屈曲角度θの変化および対象伝送線の曲率の変化の少なくともいずれか一方を検知する。
【0137】
(検知例4)
(1)屈曲角度
検知部14は、評価値EVとして、応答信号と計測信号との振幅の比である反射係数を算出する。一例として、検知部14は、応答信号に含まれる反射信号と計測信号との振幅の比である反射係数rcを算出する。検知部14は、算出した反射係数rcに基づいて、対象伝送線の屈曲角度θの変化を検知する。
【0138】
より詳細には、検知部14は、検知例1において説明した処理を行うことにより反射係数rcの絶対値Arcを算出する。
【0139】
図21は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における検知部により算出される反射係数rcの絶対値Arcのシミュレーション結果を示す図である。
図21は、
図5に示すようにXY平面において屈曲され、かつ屈曲部分における曲率半径Rcが10mmである伝送線10へ計測信号を出力したときに、検知部14により算出される反射係数rcの絶対値Arcである絶対値Arcxyのシミュレーション結果を示している。
図21において、横軸は計測信号の周波数[MHz]であり、縦軸は反射係数の絶対値である。
図21は、絶対値Arcxy_45から絶対値Arcxy_zeroを差し引いた差分Drcxy45と、絶対値Arcxy_90から絶対値Arcxy_zeroを差し引いた差分Drcxy90と、絶対値Arcxy_135から絶対値Arcxy_zeroを差し引いた差分Drcxy135と、絶対値Arcxy_180から絶対値Arcxy_zeroを差し引いた差分Drcxy180とを示している。ここで、絶対値Arcxy_zeroは、屈曲角度θxyがゼロ度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出される反射係数rcの絶対値Arcxyである。また、絶対値Arcxy_45は、屈曲角度θxyが45度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出される反射係数rcの絶対値Arcxyである。また、絶対値Arcxy_90は、屈曲角度θxyが90度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出される反射係数rcの絶対値Arcxyである。また、絶対値Arcxy_135は、屈曲角度θxyが135度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出される反射係数rcの絶対値Arcxyである。また、絶対値Arcxy_180は、屈曲角度θxyが180度である伝送線10へ計測信号を出力したときに検知部14により算出される反射係数rcの絶対値Arcxyである。
【0140】
図21を参照して、たとえば計測信号の周波数が30MHzである場合、差分Drcxy180,Drcxy135,Drcxy90,Drcxy45はこの順に大きく、いずれも正の値である。すなわち、屈曲角度θxyが180度のときの絶対値Arcxy_180、屈曲角度θxyが135度のときの絶対値Arcxy_135、屈曲角度θxyが90度のときの絶対値Arcxy_90、屈曲角度θが45度のときの絶対値Arcxy_45、および屈曲角度θxyがゼロ度のときの絶対値Arcxy_zeroは、この順に大きい。
【0141】
図21を参照して説明したシミュレーション結果によれば、反射係数rcの絶対値Arcxyに基づいて、対象伝送線の屈曲角度θxyを検知することができる。
【0142】
たとえば、記憶部15は、反射係数rcの基準値Src1を記憶している。基準値Src1は、屈曲角度θxyがゼロ度である対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出される絶対値Arcxyに基づいて予め設定される。なお、基準値Src1は、屈曲角度θxyがゼロ度である対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数の絶対値Arcxyに基づいて予め設定されてもよい。
【0143】
たとえば、検知部14は、算出周期Cmに従う算出タイミングにおいて、反射係数rcおよび絶対値Arcを算出する。検知部14は、絶対値Arcを算出するたびに、記憶部15から基準値Src1を取得し、絶対値Arcから基準値Src1を差し引いた差分Drc1を算出する。
【0144】
図22は、本開示の第1の実施の形態に係る検知装置における記憶部が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。
図22を参照して、記憶部15は、検知部14により算出される差分Drc1と、屈曲角度θxyとの対応関係を示す判定テーブルTrc1を記憶している。
【0145】
たとえば、検知部14は、算出した差分Drc1と、記憶部15における判定テーブルTrc1とに基づいて、屈曲角度θxyを検知する。より詳細には、検知部14は、差分Drc1がしきい値Thr11未満である場合、屈曲角度θxyはゼロ度であると判定する。また、検知部14は、差分Drc1が、しきい値Thr11以上であり、かつしきい値Thr12未満である場合、屈曲角度θxyは45度であると判定する。また、検知部14は、差分Drc1が、しきい値Thr12以上であり、かつしきい値Thr13未満である場合、屈曲角度θxyは90度であると判定する。また、検知部14は、差分Drc1が、しきい値Thr13以上であり、かつしきい値Thr14未満である場合、屈曲角度θxyは135度であると判定する。また、検知部14は、差分Drc1がしきい値Thr14以上である場合、屈曲角度θxyは180度であると判定する。
【0146】
たとえば、しきい値Thr11,Thr12,Thr13,Thr14は、上述した絶対値Arcxy_zero,Arcxy_45,Arcxy_90,Arcxy_135,Arcxy_180に基づいて予め設定される。
【0147】
たとえば、検知部14は、差分Drc1を算出するたびに、算出した差分Drc1を記憶部15に蓄積することにより、差分Drc1の時系列データTSD1を生成する。また、たとえば、検知部14は、差分Drc1を算出するたびに、算出した差分Drc1および判定テーブルTrc1に基づいて屈曲角度θxyを検知し、検知した屈曲角度θxyを記憶部15に蓄積することにより、屈曲角度θxyの時系列データTSDxyを生成する。
【0148】
たとえば、検知部14は、上述した検知例1および検知例2と同様にして、反射係数rcに基づいて、屈曲角度θyzの検知および時系列データTSDxyの作成をさらに行う。
【0149】
また、たとえば、検知部14は、対象伝送線の初期の敷設状態を示す情報および反射係数rcに基づいて、対象伝送線の屈曲角度θの変化および対象伝送線の曲率の変化の少なくともいずれか一方を検知する。
【0150】
(検知例5)
(1)屈曲角度
検知部14は、評価値EVとして、対象伝送線のインピーダンスZを算出する。検知部14は、算出したインピーダンスZに基づいて、対象伝送線の屈曲角度θの変化および曲率の変化を検知する。
【0151】
より詳細には、検知部14は、検知例1において説明した処理を行うことによりインピーダンスZを算出する。
【0152】
たとえば、記憶部15は、インピーダンスZの基準値SZを記憶している。基準値SZは、屈曲角度θxy,θyzがゼロ度である対象伝送線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出されるインピーダンスZに基づいて予め設定される。なお、基準値SZは、屈曲角度θxy,θyzがゼロ度である対象伝送線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数のインピーダンスZに基づいて予め設定されてもよい。
【0153】
たとえば、検知部14は、算出周期Cmに従う算出タイミングにおいて、インピーダンスZを算出する。検知部14は、インピーダンスZを算出するたびに、記憶部15から基準値SZを取得し、インピーダンスZから基準値SZを差し引いた差分DZを算出する。
【0154】
たとえば、検知部14は、算出した差分DZに基づいて、屈曲角度θxy,θyzおよび対象伝送線の曲率の検知、ならびに時系列データTSDxy,TSDyzの作成を行う。
【0155】
たとえば、記憶部15は、対象伝送線に対して検知処理を行う場合において用いるべき評価値EVの種類を示す種類情報を記憶している。検知部14は、記憶部15における当該種類情報が示す種類の評価値EVを算出し、算出した評価値EVに基づいて当該対象伝送線の曲がり度合いの変化を検知する。すなわち、検知部14は、記憶部15における当該種類情報に従って、上述した検知例1~検知例5のうちのいずれか1つを行うことにより対象伝送線の曲がり度合いの変化を検知する。
【0156】
なお、検知部14は、複数種類の評価値EVを算出し、算出した複数種類の評価値EVを総合評価することにより、対象伝送線の曲がり度合いの変化を検知する構成であってもよい。より詳細には、たとえば、検知部14は、複数種類の評価値EVに基づく検知結果のうちの、曲がり度合いの変化が最も顕著である検知結果を採用する。あるいは、検知部14は、複数種類の評価値EVに基づく複数の曲がり度合いの変化の平均値を採用する。
【0157】
(曲げ回数のカウント)
たとえば、検知部14は、対象伝送線の曲がり度合いの変化の検知結果に基づいて、対象伝送線の曲げ回数NBをカウントする。一例として、検知部14は、対象伝送線が所定値以上の屈曲角度θで曲げられた回数である曲げ回数NBをカウントする。より詳細には、検知部14は、時系列データTSD1における差分Dのピーク値を検知すると、検知したピーク値と、記憶部15における判定テーブルとに基づいて、当該ピーク値に対応する屈曲角度θを検知する。検知部14は、ピーク値に対応する屈曲角度θが所定値以上である場合、曲げ回数NBのカウント値Vcntを加算する。
【0158】
たとえば、検知部14は、屈曲角度θの大きさに応じて、曲げ回数NBのカウント値に重み付けを行う。より詳細には、検知部14は、ピーク値に対応する屈曲角度θxyおよびピーク値に対応する屈曲角度θyzの少なくともいずれか一方が角度θ1以上である場合、曲げ回数NBのカウント値Vcntを「1」加算する。また、検知部14は、ピーク値に対応する屈曲角度θxyおよびピーク値に対応する屈曲角度θyzの少なくともいずれか一方が角度θ2以上である場合、曲げ回数NBのカウント値Vcntを「2」加算する。ここで、角度θ2は角度θ1よりも大きいものとする。
【0159】
あるいは、検知部14は、屈曲角度θの大きさに応じて、複数の曲げ回数NBを個別にカウントする。より詳細には、検知部14は、ピーク値に対応する屈曲角度θxyおよびピーク値に対応する屈曲角度θyzの少なくともいずれか一方が角度θ1以上であり、かつ角度θ2未満である場合、曲げ回数NBである曲げ回数NBθ1のカウント値Vcntを「1」加算する。また、検知部14は、ピーク値に対応する屈曲角度θxyおよびピーク値に対応する屈曲角度θyzの少なくともいずれか一方が角度θ2以上である場合、曲げ回数NBである曲げ回数NBθ2のカウント値Vcntを「1」加算する。
【0160】
検知部14は、曲げ回数NBのカウント値Vcntがしきい値Thwrnを超えた場合、所定の通知処理を行う。より詳細には、検知部14は、曲げ回数NBのカウント値Vcntがしきい値Thwrnを超えた場合、通知処理として、たとえばカウント結果を図示しない通信部および通信装置111を介してユーザへ通知する。検知部14は、通知処理を行うたびに、しきい値Thwrnを更新する。より詳細には、検知部14は、通知処理を行うと、しきい値Thwrnを、通知処理を行ったときのカウント値Vcntに所定値を加算した値に更新する。
【0161】
[動作の流れ]
図23は、本開示の第1の実施の形態に係る中継装置が検知処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0162】
図23を参照して、まず、中継装置101は、たとえば中継装置101の電源がオンされると、計測信号の出力および応答信号の受信を開始する(ステップS102)。
【0163】
次に、中継装置101は、評価値EVの算出タイミングを待ち受け(ステップS104でNO)、算出タイミングが到来すると(ステップS104でYES)、応答信号の振幅および位相を計測する。より詳細には、中継装置101は、応答信号に含まれる反射信号の振幅を示す振幅データDs3a、および反射信号の位相を示す位相データDs3pを生成する(ステップS106)。
【0164】
次に、中継装置101は、計測信号の振幅を示す振幅データDs1a、計測信号の位相を示す位相データDs1p、振幅データDs3a、および位相データDs3pに基づいて、評価値EVを算出する(ステップS108)。
【0165】
次に、中継装置101は、算出した評価値EVと当該評価値EVの基準値Sとの差分Dを算出する(ステップS110)。
【0166】
次に、中継装置101は、算出した差分Dに基づいて、記憶部15における時系列データTSD1を更新する(ステップS112)。
【0167】
次に、中継装置101は、時系列データTSD1における差分Dのピーク値を検知するまで(ステップS114でNO)、ステップS104からステップS112の処理を繰り返し、差分Dのピーク値を検知すると(ステップS114でYES)、検知したピーク値と、記憶部15における判定テーブルとに基づいて、当該ピーク値に対応する屈曲角度θxyを検知する(ステップS116)。
【0168】
次に、中継装置101は、屈曲角度θxyの検知結果を記憶部15に保存する(ステップS118)。
【0169】
次に、中継装置101は、屈曲角度θxyが所定値未満である場合(ステップS120でNO)、ステップS104からステップS118の処理を繰り返す。
【0170】
一方、中継装置101は、屈曲角度θxyが所定値以上である場合、曲げ回数NBのカウント値Vcntを加算する(ステップS122)。
【0171】
次に、中継装置101は、加算後のカウント値Vcntがしきい値Thwrn以下である場合(ステップS124でNO)、ステップS104からステップS122の処理を繰り返す。
【0172】
一方、中継装置101は、加算後のカウント値Vcntがしきい値Thwrnを超えた場合(ステップS124でYES)、カウント結果をユーザへ通知する通知処理を行う。そして、中継装置101は、しきい値Thwrnを、現在のカウント値Vcntに所定値を加算した値に更新する(ステップS126)。
【0173】
次に、中継装置101は、ステップS104からステップS126の処理を繰り返す。
【0174】
なお、中継装置101は、ステップS116において、屈曲角度θxyに加えて、または屈曲角度θxyの代わりに、屈曲角度θxyおよび対象伝送線の曲率の少なくともいずれか一方を検知してもよい。
【0175】
また、本開示の第1の実施の形態に係る通信システム301では、中継装置101は、伝送線10を介して通信装置111と1対1で接続されている構成であるとしたが、これに限定するものではない。中継装置101は、バス型の伝送線10を介して複数の通信装置111と1対多で接続されている構成であってもよい。
【0176】
また、本開示の第1の実施の形態に係る通信システム301では、中継装置101が検知処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。通信システム301における中継装置101とは別の装置が検知処理を行う構成であってもよい。具体的には、たとえば通信装置111が、検知装置として機能し、検知処理を行う構成であってもよい。
【0177】
また、本開示の第1の実施の形態に係る中継装置101では、信号出力部12は、中継装置101の電源がオンされている期間である検知期間T1において、中継部11により対象伝送線を介して送受信される通信信号の周波数帯域とは異なる周波数帯域の計測信号を当該対象伝送線へ出力する構成であるとしたが、これに限定するものではない。信号出力部12は、中継装置101の電源がオンされている期間のうちの、中継部11による中継処理が行われない期間において、通信信号の周波数帯域の一部または全部を包含する周波数帯域の計測信号を対象伝送線へ出力する構成であってもよい。
【0178】
また、本開示の第1の実施の形態に係る中継装置101では、計測部13は、信号出力部12により出力された計測信号と、当該計測信号が反射された信号である反射信号とを含む応答信号を対象伝送線から対応の通信ポート16経由で受信する構成であるとしたが、これに限定するものではない。計測部13は、計測信号を含まない応答信号を受信する構成であってもよい。すなわち、計測部13は、反射信号を応答信号として受信する構成であってもよい。より詳細には、たとえば、信号出力部12は、方向性結合器および通信ポート16を介して計測信号を対象伝送線へ出力する。計測部13は、当該通信ポート16および当該方向性結合器を介して、計測信号を含まない応答信号を対象伝送線から受信する。
【0179】
また、本開示の第1の実施の形態に係る中継装置101では、計測部13は、デジタル信号Ds2からデジタル信号Ds1の成分を差し引くことにより、反射信号を示すデジタル信号Ds3を生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。計測部13は、信号出力部12から計測信号を受けて、受信した応答信号から計測信号の成分を差し引くことにより、反射信号を示すアナログ信号を生成し、生成したアナログ信号をデジタル変換することによりデジタル信号Ds3を生成する構成であってもよい。
【0180】
また、本開示の第1の実施の形態に係る中継装置101では、検知部14は、屈曲角度θの変化を検知する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、検知部14は、屈曲角度θの変化を検知する代わりに、対象伝送線の曲がりの程度を示す屈曲レベルの変化を検知する構成であってもよい。
【0181】
また、本開示の第1の実施の形態に係る中継装置101では、検知部14は、屈曲角度θの変化の検知結果および対象伝送線の曲率の変化の検知結果を記憶部15に保存する構成であるとしたが、これに限定するものではない。検知部14は、記憶部15への検知結果の保存を行わない構成であってもよい。
【0182】
また、本開示の第1の実施の形態に係る中継装置101では、検知部14は、時系列データTSD1,TSD2,TSDxy,TSDyzを生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。検知部14は、曲げ回数NBのカウントを行う一方で、時系列データTSD1,TSD2,TSDxy,TSDyzの生成を行わない構成であってもよい。
【0183】
また、本開示の第1の実施の形態に係る中継装置101では、検知部14は、曲げ回数NBをカウントする構成であるとしたが、これに限定するものではない。検知部14は、曲げ回数NBのカウントを行わない構成であってもよい。
【0184】
また、本開示の第1の実施の形態に係る中継装置101では、検知部14は、曲げ回数NBのカウント値が所定値を超えた場合、通知処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。検知部14は、通知処理を行わない構成であってもよい。
【0185】
ところで、簡易な構成で伝送線10の状態を確認することが可能な技術が望まれる。より詳細には、伝送線10は、屈曲されることにより疲労劣化し、断線する場合がある。また、伝送線10は、伝送線10の耐屈曲性を超える屈曲角度または曲率で屈曲されたり、不正な目的で屈曲されたりする場合がある。伝送線10が正常かつ安全に使用されていない状況においてユーザに警告を上げる等の適切な対処を行うために、伝送線10の状態を確認することが可能な技術が望まれる。
【0186】
たとえば、従来、TDR(Time Domain Reflectometry)を用いて、伝送線10の特性を検出する技術が知られている。このような技術を用いて伝送線10の特性の変化を検出し、検出結果に基づいて伝送線10の状態の確認を試みる場合、伝送線10の特性の変化を正確に検出するために、高い再現性で立ち上がりパルスを伝送線10へ出力する必要があり、その結果、高性能のパルス信号発生器が必要となる。
【0187】
また、ネットワークアナライザを用いて伝送線10のSパラメータ等の特性を計測し、計測結果に基づいて伝送線10の状態の確認を試みる場合、十分な検知精度を得るために、高価かつ複雑な計測機器を用いる必要があり、また、計測のたびに計測機器の校正を行う必要がある。
【0188】
これに対して、本開示の第1の実施の形態に係る中継装置101では、信号出力部12は、周波数成分を有する計測信号を伝送線10へ出力する。計測部13は、計測信号が反射された信号を含む応答信号を伝送線10から受信し、受信した応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測する。検知部14は、計測部13による計測結果に基づいて評価値EVを算出し、算出した評価値EVの時間変化に基づいて、伝送線10の曲がり度合いの変化を検知する。
【0189】
このように、周波数成分を有する計測信号を伝送線10へ出力し、伝送線10から受信した応答信号の振幅および位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて評価値EVを算出し、算出した評価値EVの時間変化に基づいて伝送線10の曲がり度合いの変化を検知する構成により、伝送線10とは別の検知線および曲げセンサ等を必要とすることなく、伝送線10の曲がり度合いの変化を検知することができる。したがって、簡易な構成で伝送線10の状態を確認することができる。
【0190】
次に、本開示の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0191】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る中継装置101と比べて、検知線20の曲がり度合いの変化を検知する中継装置102に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る中継装置101と同様である。
【0192】
図24は、本開示の第2の実施の形態に係る中継装置の構成を示す図である。
図24を参照して、中継装置102は、中継装置101と比べて、複数の検知ポート17をさらに備える。より詳細には、中継装置102は、通信ポート16の数と同数の検知ポート17を備える。各検知ポート17には、検知線20の第1端であるコネクタ部が接続される。
【0193】
検知線20は、伝送線10に沿って設けられる。検知線20は、伝送線10の第1端から第2端までの領域において伝送線10に沿って設けられてもよいし、伝送線10の第1端から第2端までの領域の一部において伝送線10に沿って設けられてもよい。
【0194】
たとえば、伝送線10のシース2の内部に設けられる。あるいは、検知線20は、伝送線10と束ねられる。この場合、たとえば、検知線20は、通信に用いられない専用線である。
【0195】
検知線20の第1端とは反対側の第2端は、開放されているか、グランドノードに接続されているか、または終端回路を介してグランドノードに接続されている。当該グランドノードは、信号のリターンパスにおけるノードであってもよいし、通信システム301が設けられる車両などの構造物のシャーシにおけるノードであってもよい。当該終端回路は、たとえば、検知線20の終端を整合させるための、検知線20の特性インピーダンスに応じた抵抗値を有する抵抗器である。なお、終端回路は、検知線20の終端を正確に整合させるものでなくてもよい。以下、第2端が開放された検知線20を、「開放検知線」とも称する。また、第2端がグランドノードに接続された検知線20を、「短絡検知線」とも称する。また、第2端が終端回路を介してグランドノードに接続された検知線20を、「整合検知線」とも称する。
【0196】
検知線20は、通信システム301の運用時において、たとえば外力が加わることにより、伝送線10と共にXY平面またはYZ平面において屈曲される場合がある。以下、XY平面における検知線20の屈曲角度θdを屈曲角度θdxyと称し、YZ平面における検知線20の屈曲角度θdを屈曲角度θdyzと称する。屈曲角度θdは、検知線20の曲がり角度の一例である。
【0197】
中継装置102は、周波数成分を有する計測信号を検知線20へ出力し、計測信号が反射された信号を含む応答信号を検知線20から受信する。中継装置102は、受信した応答信号の振幅および位相を計測し、計測結果に基づいて評価値EVを算出する。そして、中継装置102は、算出した評価値EVの時間変化に基づいて、検知線20の曲がり度合いの変化を検知する。上述したように、検知線20は、伝送線10に沿って設けられ、伝送線10と共に屈曲される。したがって、検知線20の曲がり度合いの変化を検知することにより、伝送線10の状態を確認することができる。検知線20は、対象線の一例である。
【0198】
たとえば、中継装置102は、検知ポート17の数と同数の検知処理部21を備える。より詳細には、検知処理部21は、検知ポート17に対応して設けられ、対応の検知ポート17に接続された検知線20の曲がり度合いの変化を検知する検知処理を行う。以下、中継装置102における1つの検知処理部21による検知処理について代表して説明する。また、当該検知処理部21の検知対象の検知線20を、「対象検知線」とも称する。
【0199】
(検知例6)
検知部14は、評価値EVとして、対象検知線のキャパシタンスCを算出する。たとえば、検知部14は、開放検知線のキャパシタンスCを算出する。検知部14は、算出したキャパシタンスCに基づいて、対象検知線の屈曲角度θdおよび対象検知線の曲率を検知する。
【0200】
より詳細には、信号出力部12は、対象検知線である開放検知線へ計測信号を出力し、出力した計測信号に対応するデジタル信号Ds1を検知部14へ出力する。
【0201】
検知部14は、信号出力部12からデジタル信号Ds1を受けて、受けたデジタル信号Ds1に基づいて、検知例1において説明した処理を行うことによりインピーダンスZを算出する。
【0202】
以下、開放検知線のインピーダンスZを、インピーダンスZopと称する。インピーダンスZopは、以下の式(2)により表される。
【数2】
【0203】
ここで、Gは、対象検知線のコンダクタンスである。jは、虚数単位である。ωは、角速度[rad/秒]である。
【0204】
検知部14は、インピーダンスZopを算出すると、インピーダンスZopの虚部からキャパシタンスCを取得する。
【0205】
たとえば、記憶部15は、キャパシタンスCの基準値SCを記憶している。基準値SCは、屈曲角度θdxy,θdyzがゼロ度である対象検知線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出されるキャパシタンスCに基づいて予め設定される。なお、基準値SCは、屈曲角度θdxy,θdyzがゼロ度である対象検知線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数のキャパシタンスCに基づいて予め設定されてもよい。
【0206】
検知部14は、キャパシタンスCを算出するたびに、記憶部15から基準値SCを取得し、キャパシタンスCから基準値SCを差し引いた差分DCを算出する。
【0207】
たとえば、検知部14は、算出した差分DCに基づいて、屈曲角度θdxy,θdyzの変化および対象検知線の曲率の変化を検知する。
【0208】
(検知例7)
検知部14は、評価値EVとして、対象検知線のインダクタンスLを算出する。たとえば、検知部14は、短絡検知線のインダクタンスLを算出する。検知部14は、算出したインダクタンスLに基づいて、屈曲角度θdおよび対象検知線の曲率を検知する。
【0209】
より詳細には、信号出力部12は、対象検知線である短絡検知線へ計測信号を出力し、出力した計測信号に対応するデジタル信号Ds1を検知部14へ出力する。
【0210】
検知部14は、信号出力部12からデジタル信号Ds1を受けて、受けたデジタル信号Ds1に基づいて、検知例1において説明した処理を行うことによりインピーダンスZを算出する。
【0211】
以下、短絡検知線のインピーダンスZを、インピーダンスZstと称する。インピーダンスZstは、以下の式(3)により表される。
【数3】
【0212】
ここで、Rは、対象検知線の単位長さあたりの直流抵抗[Ω]である。
【0213】
検知部14は、インピーダンスZstを算出すると、インピーダンスZstの虚部からインダクタンスLを取得する。
【0214】
たとえば、記憶部15は、インダクタンスLの基準値SLを記憶している。基準値SLは、屈曲角度θdxy,θdyzがゼロ度である対象検知線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出されるインダクタンスLに基づいて予め設定される。なお、基準値SLは、屈曲角度θdxy,θdyzがゼロ度である対象検知線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数のインダクタンスLに基づいて予め設定されてもよい。
【0215】
検知部14は、インダクタンスLを算出するたびに、記憶部15から基準値SLを取得し、インダクタンスLから基準値SLを差し引いた差分DLを算出する。
【0216】
たとえば、検知部14は、算出した差分DLに基づいて、屈曲角度θdxy,θdyzの変化および対象検知線の曲率の変化を検知する。
【0217】
(検知例8)
検知部14は、評価値EVとして、対象検知線の特性インピーダンスZcを算出する。検知部14は、算出した特性インピーダンスZcに基づいて、対象検知線の屈曲角度θdの変化を検知する。
【0218】
より詳細には、信号出力部12は、対象検知線の第2端が開放された状態において、当該対象検知線へ計測信号を出力し、出力した計測信号に対応するデジタル信号Ds1を検知部14へ出力する。
【0219】
検知部14は、信号出力部12からデジタル信号Ds1を受けて、受けたデジタル信号Ds1に基づいて、検知例6において説明した処理を行うことによりインピーダンスZopを算出する。
【0220】
次に、信号出力部12は、対象検知線の第2端がグランドノードに接続された状態において、当該対象検知線へ計測信号を出力し、出力した計測信号に対応するデジタル信号Ds1を検知部14へ出力する。
【0221】
検知部14は、信号出力部12からデジタル信号Ds1を受けて、受けたデジタル信号Ds1に基づいて、検知例7において説明した処理を行うことによりインピーダンスZstを算出する。なお、検知部14は、先にインピーダンスZstを算出し、次にインピーダンスZopを算出してもよい。
【0222】
そして、検知部14は、以下の式(4)に従って、特性インピーダンスZcを算出する。
【数4】
【0223】
たとえば、記憶部15は、特性インピーダンスZcの基準値SZcを記憶している。基準値SZcは、屈曲角度θdxy,θdyzがゼロ度である対象検知線へ特定の周波数の計測信号を出力したときに検知部14により算出される特性インピーダンスZcに基づいて予め設定される。なお、基準値SZcは、屈曲角度θdxy,θdyzがゼロ度である対象検知線へ特定の複数の周波数の計測信号をそれぞれ出力したときに、計測信号の周波数ごとに検知部14により算出される複数の特性インピーダンスZcに基づいて予め設定されてもよい。
【0224】
検知部14は、特性インピーダンスZcを算出するたびに、記憶部15から基準値SZcを取得し、特性インピーダンスZcから基準値SZcを差し引いた差分DZcを算出する。
【0225】
たとえば、検知部14は、算出した差分DZcに基づいて、屈曲角度θdxy,θdyzの変化および対象検知線の曲率の変化を検知する。
【0226】
なお、検知部14は、整合検知線、開放検知線または短絡検知線のリアクタンスXを算出し、算出したリアクタンスXに基づいて屈曲角度θdの変化および検知線20の曲率の変化を検知する構成であってもよい。
【0227】
また、検知部14は、整合検知線、開放検知線または短絡検知線のレジスタンスRを算出し、算出したレジスタンスRに基づいて屈曲角度θdの変化および対象検知線の曲率の変化を検知する構成であってもよい。
【0228】
また、検知部14は、整合検知線、開放検知線または短絡検知線へ出力された計測信号と、応答信号に含まれる反射信号との位相差pdを算出し、算出した位相差pdに基づいて屈曲角度θdの変化および対象検知線の曲率の変化を検知する構成であってもよい。
【0229】
また、検知部14は、整合検知線、開放検知線または短絡検知線へ出力された計測信号と、応答信号に含まれる反射信号との反射係数rcを算出し、算出した反射係数rcに基づいて屈曲角度θdの変化および対象検知線の曲率の変化を検知する構成であってもよい。
【0230】
なお、検知部14は、整合検知線、開放検知線または短絡検知線のインピーダンスZを算出し、算出したインピーダンスZに基づいて屈曲角度θdの変化および対象検知線の曲率の変化を検知する構成であってもよい。
【0231】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0232】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0233】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
周波数成分を有する計測信号を対象線へ出力する信号出力部と、
前記計測信号が反射された信号を含む応答信号を前記対象線から受信し、受信した前記応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測する計測部と、
前記計測部による計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した前記評価値の時間変化に基づいて、前記対象線の曲がり度合いの変化を検知する検知部とを備え、
前記検知部は、前記対象線の屈曲角度の変化を検知し、前記屈曲角度の変化の検知結果に基づいて、前記対象線の曲げ回数をカウントし、
前記検知部は、前記屈曲角度の大きさに応じて、前記曲げ回数のカウント値に重み付けを行う、検知装置。
【0234】
[付記2]
処理回路を備え、
前記処理回路は、
周波数成分を有する計測信号を対象線へ出力し、
前記計測信号が反射された信号を含む応答信号を前記対象線から受信し、受信した前記応答信号の、振幅および位相の少なくともいずれか一方を計測し、
前記振幅および前記位相の少なくともいずれか一方の計測結果に基づいて評価値を算出し、算出した前記評価値の時間変化に基づいて、前記対象線の曲がり度合いの変化を検知する、検知装置。
【符号の説明】
【0235】
1 芯線
2 シース
3 素線
4 絶縁層
10 伝送線
20 検知線
11 中継部
12 信号出力部
13 計測部
14 検知部
15 記憶部
16 通信ポート
17 検知ポート
21 検知処理部
101,102 中継装置
111 通信装置
301 通信システム
TX1,TX2,TR1,TR2,Tpd1,Trc1 判定テーブル