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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】減速機およびモータ付き減速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/28 20060101AFI20240110BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F16H1/28
H02K7/116
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020062339
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021162055
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】ニデックドライブテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】井上 仁
(72)【発明者】
【氏名】岡村 暉久夫
(72)【発明者】
【氏名】奥村 幹太
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-158721(JP,A)
【文献】国際公開第2018/218363(WO,A1)
【文献】特表平11-502286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/28
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力回転数の回転運動を、前記入力回転数よりも低い出力回転数の回転運動に変換する減速機であって、
中心軸を中心として前記入力回転数で回転する入力軸と、
前記入力軸に固定され、前記中心軸を中心として前記入力回転数で回転する太陽歯車と、
前記太陽歯車の外周面に形成された外歯に径方向外側から噛み合う外歯を有する複数の遊星歯車と、
前記複数の遊星歯車を、それぞれ自転軸を中心として自転可能に支持する複数の遊星軸を、周方向に公転可能に支持するキャリアと、
前記中心軸と同軸上に配置され、前記複数の遊星歯車の外歯に径方向外側から噛み合う内歯を内周面に有する内歯歯車と、
前記中心軸を中心として前記出力回転数で回転する出力軸と、
前記入力軸、前記太陽歯車、前記複数の遊星歯車、前記キャリア、前記内歯歯車、および前記出力軸の少なくとも一部を収容し、内周面に前記内歯歯車が固定されるケーシングと、
を有し、
前記遊星歯車は傘歯車であり、かつ、調整部材によって前記太陽歯車および前記内歯歯車に対する軸方向の相対位置を調整可能に配置されることによって、前記遊星歯車の外歯と前記太陽歯車の外歯および前記内歯歯車の内歯との隙間が調整可能であり、
前記遊星軸は、前記入力軸に対して傾斜している、減速機。
【請求項2】
請求項1に記載の減速機であって、
前記太陽歯車と前記遊星歯車とが噛み合う位置における、前記太陽歯車の外歯の歯筋を延長した直線と、前記遊星歯車の外歯の歯筋を延長した直線と、前記遊星歯車と前記内歯歯車とが噛み合う位置における、前記遊星歯車の外歯の歯筋を延長した直線と、前記内歯歯車の内歯の歯筋を延長した直線とは、前記中心軸上の1点において交差する、減速機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の減速機であって、
前記遊星歯車は、前記自転軸に沿って一方側へ向かうにつれて拡径し、
前記遊星軸は、
前記自転軸に沿う一方側の端部において前記自転軸に直交する方向へ拡がる鍔部
を有し、
前記遊星歯車は、前記鍔部によって、前記自転軸に沿う方向の移動が抑制される、減速機。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の減速機であって、
前記調整部材は、前記太陽歯車、前記キャリア、および前記内歯歯車の少なくとも1つと前記ケーシングとの間に、軸方向一方側および軸方向他方側から挟まれつつ固定される1または複数のシムである、減速機。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の減速機であって、
前記調整部材は、前記ケーシングに対して、前記太陽歯車、前記キャリア、および前記内歯歯車の少なくとも1つを軸方向一方側または軸方向他方側へ付勢するばねである、減速機。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の減速機であって、
前記入力軸は、前記ケーシングに対して第1軸受を介して回転可能に支持され、
前記ケーシングの内周面にはねじ溝が形成され、
前記調整部材は、前記ねじ溝と螺合しつつ軸方向に移動することによって、前記第1軸受を軸方向に押圧するねじである、減速機。
【請求項7】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の減速機であって、
前記出力軸は、前記ケーシングに対して第2軸受を介して回転可能に支持され、
前記出力軸の外周面にはねじ溝が形成され、
前記調整部材は、前記ねじ溝と螺合しつつ軸方向に移動することによって、前記第2軸受を軸方向に押圧するねじである、減速機。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の減速機であって、
前記太陽歯車の外歯の歯筋、前記遊星歯車の外歯の歯筋、および前記内歯歯車の内歯の歯筋は、それぞれ軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜し、
前記複数の遊星軸は、それぞれ前記キャリアに支持され、
前記調整部材により、前記太陽歯車が前記遊星歯車に対して軸方向に移動可能であることによって、前記太陽歯車の外歯と前記遊星歯車の外歯との隙間が調整可能であり、
または、
前記調整部材により、前記内歯歯車が前記遊星歯車に対して軸方向に移動可能であることによって、前記内歯歯車の内歯と前記遊星歯車の外歯との隙間が調整可能である、減速機。
【請求項9】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の減速機であって、
前記太陽歯車の少なくとも一部、前記遊星歯車の少なくとも一部、および前記内歯歯車の少なくとも一部は、前記中心軸に直交する同一の平面上に位置し、
前記キャリアは前記出力軸に連結され、前記中心軸を中心として前記出力回転数で回転する、減速機。
【請求項10】
請求項9に記載の減速機であって、
前記太陽歯車の外歯の歯筋、前記遊星歯車の外歯の歯筋、および前記内歯歯車の内歯の歯筋は、それぞれ軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜し、
前記調整部材により、前記複数の遊星軸は、それぞれ前記キャリアに対して径方向に変位可能であり、さらに、
前記遊星歯車は前記太陽歯車に対して軸方向に移動可能であることによって、前記遊星歯車の外歯と前記太陽歯車の外歯との隙間が調整可能であり、
または、
前記遊星歯車は前記内歯歯車に対して軸方向に移動可能であることによって、前記遊星歯車の外歯と前記内歯歯車の内歯との隙間が調整可能である、減速機。
【請求項11】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の減速機であって、
前記中心軸と同軸上に配置され、前記出力軸に連結され、前記内歯歯車の内歯とは歯数が異なる複数の第2内歯を内周面に有し、前記中心軸を中心として前記出力回転数で回転する出力歯車
をさらに有し、
前記複数の遊星軸はそれぞれ、前記キャリアに固定され、
前記キャリアは、前記入力軸の周囲に第3軸受を介して回転可能に支持され、
前記複数の遊星歯車はそれぞれ、
前記太陽歯車の外歯および前記内歯歯車の内歯とそれぞれ噛み合う大径部と、
前記大径部と隣接し、前記出力歯車の第2内歯と噛み合う小径部と、
を有し、
前記内歯歯車の内歯と前記出力歯車の第2内歯との歯数の違いによって、前記出力歯車は、前記内歯歯車に対して相対回転する、減速機。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の減速機であって、
前記太陽歯車の外歯の歯筋および前記遊星歯車の外歯の歯筋は、それぞれ軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜し、かつ、傾斜角度が前記中心軸に対して5°以下である、減速機。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の減速機と、モータと、を有するモータ付き減速機であって、
前記モータは、
前記ケーシングに固定されたステータを含む静止部と、
前記静止部に対して前記中心軸を中心として回転するロータを含み、前記入力軸が固定される回転部と、
を有する、モータ付き減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機、およびモータ付き減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットや無人搬送車等のさまざまな機器において、モータから得られる回転運動を減速させることによりトルクを増加させ、減速後の回転数で駆動対象を回転させる、減速機が用いられている。減速機としては、例えば、太陽歯車と遊星歯車とを有する遊星歯車機構を用いることが、知られている。遊星歯車機構の一例については、例えば、特開2002-5245号公報に記載されている。
【0003】
特開2002-5245号公報には、テーパー構造の太陽歯車(13)とテーパー構造の内歯車(14)との間に、複数のテーパー構造の遊星歯車(15)が配設された遊星歯車減速装置が開示されている。各遊星歯車(15)は、支承板(16)と支承リング(31)間とに軸支される。各遊星歯車(15)は、太陽歯車(13)に対して、スラスト移動可能に噛合しつつ、内歯車(14)に対しても、スラスト移動可能に噛合する。これにより、各遊星歯車(15)と太陽歯車(13)および内歯車(14)との間のバックラッシュが抑制されている。
【文献】特開2002-5245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2002-5245号公報の遊星歯車減速装置において、各遊星歯車(15)が有する歯の歯底から歯先までの歯丈は、スラスト方向に沿って概ね一定である。このような歯車を製造する場合、歯底付近の加工時にアンダーカットが発生し、強度が低下する場合がある。また、遊星歯車(15)はテーパー構造を有するため、回転時に遊星歯車(15)と太陽歯車(13)とが噛み合う(接触する)周方向の角度は、スラスト方向における一方側の端部と他方側の端部とでは異なる。また、回転時に遊星歯車(15)と内歯車(14)とが噛み合う(接触する)周方向の角度は、スラスト方向における一方側の端部と他方側の端部とでは異なる。このため、回転時に遊星歯車(15)と太陽歯車(13)および内歯車(14)との間で噛み合い部分の速度差による滑りが増大するという虞が生じる。この結果、遊星歯車(15)の磨耗や損傷、および遊星歯車(15)と太陽歯車(13)および内歯車(14)との間の回転の伝達効率の低下に繋がる虞がある。
【0005】
本発明の目的は、太陽歯車、遊星歯車、および内歯歯車を用いた遊星歯車減速機において、各歯車間のバックラッシを抑制しつつ、遊星歯車の摩耗や損傷、および遊星歯車と太陽歯車および内歯歯車との間の回転の伝達効率の低下を抑制できる構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、入力回転数の回転運動を、前記入力回転数よりも低い出力回転数の回転運動に変換する減速機であって、中心軸を中心として前記入力回転数で回転する入力軸と、前記入力軸に固定され、前記中心軸を中心として前記入力回転数で回転する太陽歯車と、前記太陽歯車の外周面に形成された外歯に径方向外側から噛み合う外歯を有する複数の遊星歯車と、前記複数の遊星歯車を自転可能に支持する複数の遊星軸を、周方向に公転可能に支持するキャリアと、前記中心軸と同軸上に配置され、前記複数の遊星歯車の外歯に径方向外側から噛み合う内歯を内周面に有する内歯歯車と、前記中心軸を中心として前記出力回転数で回転する出力軸と、前記入力軸、前記太陽歯車、前記複数の遊星歯車、前記キャリア、前記内歯歯車、および前記出力軸の少なくとも一部を収容し、内周面に前記内歯歯車が固定されるケーシングと、を有し、前記遊星歯車は傘歯車であり、かつ、調整部材によって前記太陽歯車および前記内歯歯車に対する軸方向の相対位置を調整可能に配置されることによって、前記遊星歯車の外歯と前記太陽歯車の外歯および前記内歯歯車の内歯との隙間が調整可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、遊星歯車として、傘歯車が用いられる。このため、遊星歯車を製造する際の、歯底付近の加工時にアンダーカットの発生が抑制されるため、強度が維持される。また、遊星歯車はテーパー形状を有するが、回転時に遊星歯車と太陽歯車とが噛み合う(接触する)周方向の角度は、軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。また、回転時に遊星歯車と内歯歯車とが噛み合う(接触する)周方向の角度は、軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。このため、遊星歯車と太陽歯車および内歯歯車との間での滑りの発生が抑制される。この結果、遊星歯車と太陽歯車および内歯歯車との間におけるバックラッシの調整を可能としつつ、遊星歯車の磨耗や損傷、および遊星歯車と太陽歯車および内歯歯車との間における回転の伝達効率の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る減速機の縦断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る減速機の横断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る太陽歯車、遊星歯車、および内歯歯車の位置関係を説明するための図である。
図4図4は、変形例に係るモータ付き減速機の縦断面図である。
図5図5は、第2実施形態に係る減速機の縦断面図である。
図6図6は、第2実施形態に係るキャリアおよび遊星軸の縦断面図である。
図7図7は、変形例に係る減速機の縦断面図である。
図8図8は、変形例に係る減速機の縦断面図である。
図9図9は、第3実施形態に係る減速機の縦断面図である。
図10図10は、第3実施形態に係る太陽歯車、遊星歯車、固定内歯歯車、および可動内歯歯車の位置関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、後述する減速機、およびモータ付き減速機の中心軸と平行な方向を「軸方向」、当該中心軸に直交する方向を「径方向」、当該中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願では、後述する図1図3図5,および図7図10において、軸方向に沿って右側を「軸方向一方側」、左側を「軸方向他方側」として、各部の形状や位置関係を説明する。また、本願において「平行な方向」とは、略平行な方向も含む。また、本願において「直交する方向」とは、略直交する方向も含む。
【0010】
<1.第1実施形態>
以下では、本発明の第1実施形態に係る減速機3の構成について説明する。
【0011】
本実施形態の減速機3は、例えば、ロボットの関節に用いられる。減速機3は、モータから得られる回転運動を減速させつつ出力トルクを増加させて、例えば、ロボットのアームへ伝達する。アームは、減速機3により減速された回転数で旋回する。ただし、本発明の減速機3、および後述するモータ付き減速機1(後述する図4参照)は、ロボット以外のアシストスーツ、ターンテーブル、工作機械の割出盤、車椅子、無人搬送車等の他の機器に組み込まれて、各種の回転運動を実現させるものであってもよい。
【0012】
減速機3は、モータから得られる入力回転数N1の回転運動を、入力回転数N1よりも低い出力回転数N2の回転運動に変換する。図1は、第1実施形態に係る減速機3の縦断面図である。図2は、図1のI-I位置を軸方向から見たときの減速機3の横断面図である。なお、図2においては、後述する太陽歯車32の外歯321および内歯歯車36の内歯361の凹凸構造をそれぞれ省略し、実線にて図示している。減速機3は、軸方向に延びる中心軸90に沿って配置される。
【0013】
図1および図2に示すように、減速機3は、入力軸31、太陽歯車32、複数(本実施形態では、3つ)の遊星歯車33、複数(本実施形態では、3つ)の遊星軸34、キャリア35、内歯歯車36、出力軸37、シム381,調整ねじ382、およびケーシング7を有する。本実施形態の減速機3には、太陽歯車32の外歯321と複数の遊星歯車33の外歯331、および複数の遊星歯車33の外歯331と内歯歯車36の内歯361とが互いに噛み合いながら回転することで動力を伝達する、いわゆる遊星歯車機構が用いられている。また、本実施形態の減速機3は、太陽歯車32の少なくとも一部、遊星歯車33の少なくとも一部、および内歯歯車36の少なくとも一部が中心軸90に直交する同一の平面上に位置する。
【0014】
ケーシング7は、第1ケーシング筒部71および第2ケーシング筒部72を有する。第1ケーシング筒部71および第2ケーシング筒部72はそれぞれ、中心軸90と略同軸に配置された部材である。第1ケーシング筒部71は、第1ケーシング本体部711、第1ケーシングフランジ部712、および第1ケーシング突出部713を有する。第1ケーシング本体部711は、中心軸90に沿って円筒状に延びる。第1ケーシング本体部711の外径は、第2ケーシング筒部72の外径よりも小さい。第1ケーシングフランジ部712は、第1ケーシング本体部711の軸方向一方側の端部から径方向外側へ拡がる。さらに、第1ケーシング突出部713は、第1ケーシングフランジ部712における径方向外側の部位から、軸方向一方側へ突出する。
【0015】
第2ケーシング筒部72は、第1ケーシングフランジ部712の軸方向一方側に隣接する。第2ケーシング筒部72は、第2ケーシング本体部721、第2ケーシング円環部722、第2ケーシング突出部723、および第2ケーシング円筒部724を有する。第2ケーシング本体部721は、中心軸90に沿って円筒状に延びる。第2ケーシング本体部721における軸方向他方側の端部は、第1ケーシングフランジ部712における径方向外側の端部に、締結部材741によって固定される。ただし、第2ケーシング本体部721は、第1ケーシングフランジ部712に、圧入によって固定されてもよく、接着によって固定されてもよい。また、上記の第1ケーシング突出部713は、第2ケーシング本体部721の径方向内側に隣接する。
【0016】
第2ケーシング円環部722は、第2ケーシング本体部721の軸方向一方側の端部から径方向内側へ拡がる。第2ケーシング円環部722は、中心軸90の周囲に円環状に拡がる。第1ケーシング筒部71および第2ケーシング筒部72によって囲まれる空間に、遊星歯車機構が収容される。第2ケーシング突出部723は、第2ケーシング本体部721から、径方向内側へ突出する。また、第2ケーシング突出部723は、第2ケーシング円環部722の軸方向他方側に連続する。さらに、第2ケーシング突出部723は、凹部725を有する。凹部725は、第2ケーシング突出部723の周方向の一部において、軸方向他方側の端面から軸方向一方側へ凹む。第2ケーシング円筒部724は、第2ケーシング円環部722の径方向内側の端部から中心軸90に沿って軸方向一方側に円筒状に突出する。第1ケーシング筒部71および第2ケーシング筒部72を含むケーシング7は、減速機3およびモータが配置される筐体等に対して移動不能および回転不能に固定される。
【0017】
入力軸31は、中心軸90に沿って円柱状に延びる部材である。入力軸31は、モータの回転軸232に対して、相対回転不能に固定される。また、入力軸31と第2ケーシング円環部722との径方向の間には、軸受391(第1軸受)が設けられる。本実施形態の軸受391には、ボールベアリングが用いられる。軸受391の内輪は、入力軸31の外周面に固定される。軸受391の外輪は、第2ケーシング円環部722の内周面に固定される。これにより、入力軸31は、モータの回転軸232とともに、第2ケーシング円環部722を含むケーシング7に対して、軸受391を介して回転可能に支持される。入力軸31は、モータの回転軸232とともに、中心軸90を中心として減速前の回転数である入力回転数N1で回転する。ただし、入力軸31とモータの回転軸232とは、単一部材から形成されてもよい。
【0018】
太陽歯車32は、中心軸90と略同軸に配置されたギアである。太陽歯車32は、入力軸31の周囲に、相対回転不能に固定される。これにより、モータを駆動させると、入力軸31および太陽歯車32は、中心軸90を中心として入力回転数N1で回転する。ただし、太陽歯車32と入力軸31とは、単一部材から形成されてもよい。太陽歯車32は、外周面に複数の外歯321を有する。複数の外歯321はそれぞれ、径方向外側に向かって突出する。複数の外歯321は、周方向に沿って、一定のピッチで配列される。また、太陽歯車32の外周面は、軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜する。
【0019】
図1に示すように、遊星歯車33は、太陽歯車32の周囲において、自転軸91に沿って配置される。自転軸91は、軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜する。遊星歯車33には、傘歯車が用いられる。遊星歯車33は、自転軸91に沿って一方側(本実施形態では、右側)へ向かうにつれて拡径する。また、図2に示すように、本実施形態では、太陽歯車32の周囲に、3個の遊星歯車33が等間隔に配置されている。ただし、減速機3が有する遊星歯車33の数は、2個であってもよく、4個以上であってもよい。各遊星歯車33は、外周面に複数の外歯331を有する。複数の外歯331はそれぞれ、外側に向かって突出する。
【0020】
本実施形態では、各遊星歯車33の径は、太陽歯車32の径よりもやや大きい。また、1つの遊星歯車33が有する外歯331の数は、太陽歯車32が有する外歯321の数よりも多い。各遊星歯車33の外歯331は、太陽歯車32の外歯321に対して径方向外側から噛み合っている。これにより、太陽歯車32が中心軸90を中心として回転すると、各遊星歯車33は、太陽歯車32からの動力を受け、自転軸91を中心として太陽歯車32の回転方向とは逆方向に自転する。さらに、3つの遊星歯車33はそれぞれ、貫通孔330を有する。各貫通孔330は、自転軸91に沿って遊星歯車33を貫通する。
【0021】
3つの遊星軸34はそれぞれ、遊星歯車33を自転可能に支持するための部材である。各遊星軸34には、例えば、自転軸91に沿って延びる柱状の部材が用いられる。遊星軸34は、遊星歯車33の貫通孔330に挿入される。また、遊星軸34と遊星歯車33との間には、軸受392が挿入される。本実施形態の軸受392には、ボールベアリングが用いられる。軸受392の内輪は、遊星軸34に固定される。軸受392の外輪は、遊星歯車33に固定される。これにより、遊星歯車33は、遊星軸34に対して、自転軸91を中心として自転可能に支持される。
【0022】
また、図1に示すように、各遊星軸34には鍔部340が設けられている。鍔部340は、遊星軸34における自転軸91に沿う一方側(本実施形態では、右上側)の端部において自転軸91に直交する方向へ、軸受392の内輪の側面付近まで拡がる。また、後述のとおり、遊星軸34における軸方向他方側の端部はキャリア35に固定される。これにより、遊星歯車33は、鍔部340によって、自転軸91に沿う一方側(本実施形態では、右上側)への移動が抑制される。特に、本実施形態では、後述のとおり遊星歯車33と噛み合う太陽歯車32および内歯歯車36を軸方向に移動させる場合でも、遊星歯車33がつられて自転軸91に沿う一方側(本実施形態では、右上側)へ移動することが防止される。
【0023】
キャリア35は、中心軸90を中心として環状に拡がる部材である。本実施形態のキャリア35は、出力軸37と単一の部材から形成されている。また、キャリア35の内周面と入力軸31の外周面との径方向の間には、軸受393(例えば、すべり軸受)が挿入される。これにより、キャリア35および出力軸37は、入力軸31に対して、軸受393を介して相対回転可能に支持される。また、後述のとおり、キャリア35および出力軸37は、ケーシング本体部を含むケーシング7に対して、軸受394および軸受395を介して、中心軸90を中心として回転可能に支持される。
【0024】
また、キャリア35は、複数(本実施形態では、3つ)の貫通孔350を有する。本実施形態では、3つの貫通孔350が、中心軸90を中心として互いに周方向に略120度の間隔を空けて設けられている。各貫通孔350は、キャリア35における径方向外側の部位において、キャリア35を自転軸91に沿って貫通する。そして、3つの遊星軸34はそれぞれ、1つの貫通孔350に挿入される。また、本実施形態では、各遊星軸34は、貫通孔350において接着または圧入等によりキャリア35に固定される。これにより、各遊星軸34は、キャリア35と互いに相対回転不能に固定され、支持される。上記のとおり、キャリア35および出力軸37が中心軸90を中心として回転すると、キャリア35に固定される3つの遊星軸34と、各遊星軸34に支持される遊星歯車33とが、中心軸90を中心として周方向に公転する。
【0025】
内歯歯車36は、中心軸90と略同軸に配置される。内歯歯車36は、第2ケーシング本体部721の径方向内側において、中心軸90を中心として円環状に拡がる部材である。内歯歯車36の内周面は、軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜する。また、内歯歯車36の内周面には、複数の内歯361が形成されている。複数の内歯361はそれぞれ、径方向内側に向かって突出する。複数の内歯361は、周方向に沿って、一定のピッチで配列される。また、内歯歯車36の内歯361は、3つの遊星歯車33のそれぞれの外歯331に対して径方向外側から噛み合っている。
【0026】
内歯歯車36の外径は、第2ケーシング本体部721の内径と略同一である。また、内歯歯車36には、凹部360が設けられている。凹部360は、内歯歯車36の周方向の一部の軸方向一方側の端面から、軸方向他方側へ凹む。凹部360には、軸方向に延びるピン727が挿入される。ピン727は、第2ケーシング突出部723の凹部725に挿入されつつ固定される。これにより、第2ケーシング筒部72を含むケーシング7に対する内歯歯車36の周方向の相対回転が阻止される。ただし、内歯歯車36は、後述のとおりシム381が配置されるまでは、ピン727に沿って軸方向に僅かに移動可能である。
【0027】
図1に示すように、内歯歯車36は、第1ケーシング突出部713の軸方向一方側に配置される。また、内歯歯車36と第1ケーシング突出部713との間には、さらにシム381が配置される。シム381は、本発明における「調整部材」の一つに相当する。シム381は、中心軸90を中心として円環状に拡がる樹脂製の部材である。ただし、シム381は、金属製であってもよい。また、シム381の外径は、内歯歯車36の外径と略同一である。
【0028】
内歯歯車36を含む減速機3を組み上げる途中または組み上げた後の調整段階において、内歯歯車36と第1ケーシング突出部713との軸方向の間にシム381を挟み込む。挟み込むシム381の枚数は、1枚であってもよく、複数枚であってもよい。また、挟み込むシム381の枚数は0枚(すなわち、挟み込まない)であってもよい。これにより、第1ケーシング突出部713を含むケーシング7に対する内歯歯車36の軸方向の位置を容易に調整することができる。
【0029】
図3は、太陽歯車32、遊星歯車33、および内歯歯車36の位置関係を説明するための図である。図3に示すように、内歯歯車36の内歯361の歯筋861および遊星歯車33の外歯331の歯筋831は、ともに軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜する。また、内歯歯車36は、シム381によってケーシング7に対する軸方向位置を調整可能に配置される。遊星歯車33は、ケーシング7に対する軸方向位置が不変である。すなわち、内歯歯車36は、遊星歯車33に対して軸方向に移動可能となる。これにより、内歯歯車36の内歯361と遊星歯車33の外歯331との間の軸方向および径方向の隙間(バックラッシ)を調整することができる。
【0030】
ただし、遊星歯車33に対する内歯歯車36の軸方向の位置を調整する方法は、これに限定されない。図4は、変形例に係る減速機3を含むモータ付き減速機1の縦断面図である。図4の変形例では、さらにモータ2が図示されている。モータ2は、上記の実施形態に用いられるモータと同等の構成を有する。また、本変形例では、入力軸31は、モータ2の回転軸232と単一部材から形成される。太陽歯車32は、入力軸31の周囲に、キー315を用いて相対回転不能に固定される。また、ケーシング7は、さらにケーシング底板部73を有する。
【0031】
ケーシング底板部73は、軸方向に延びる中心軸20を中心として径方向に円板状に拡がる。なお、当該中心軸20と、減速機3の中心軸90とは、互いに一致するものとする。ケーシング底板部73は、第2ケーシング本体部721の軸方向一方側の端部の開口を覆う。ケーシング底板部73は、第2ケーシング本体部721の軸方向一方側の端部に、締結部材742によって固定される。ただし、ケーシング底板部73は、第2ケーシング本体部721の軸方向一方側の端部に、圧入によって固定されてもよく、接着によって固定されてもよい。第2ケーシング円環部722よりも軸方向一方側における、第2ケーシング筒部72およびケーシング底板部73によって囲まれる空間に、モータ2が収容される。
【0032】
モータ2は、静止部22、回転部23、および軸受24を有する。静止部22は、ステータ221を含む。ステータ221は、第2ケーシング本体部721の内周面に固定される。回転部23は、ロータ231と回転軸232とを含む。回転軸232は、中心軸20に沿って円柱状に延びる。回転軸232の軸方向一方側の端部は、軸受24を介してケーシング底板部73に回転可能に支持される。ロータ231は、回転軸232の周囲に固定される。ロータ231の外周面は、ステータ221の内周面と径方向に僅かな間隙を空けて対向する。ロータ231を含む回転部23は、ステータ221を含む静止部22およびケーシング7に対して、中心軸20を中心として、入力回転数N1で回転する。
【0033】
図4の例では、第1ケーシング突出部713は、さらに複数の凹部715を有する。各凹部715は、第1ケーシング突出部713の周方向の一部における、軸方向一方側の端面から軸方向他方側へ凹む。各凹部715の底面(第1ケーシング筒部71における凹部715に面する軸方向他方側の端面)には、ばね385が固定される。ばね385は、本発明における「調整部材」の一つに相当する。ばね385の軸方向一方側の端部は、内歯歯車36の軸方向他方側の端面に接触する。これにより、ばね385は、内歯歯車36を軸方向一方側へ付勢する。
【0034】
内歯歯車36を含む減速機3を組み上げる途中の調整段階において、ばね385の弾性力や、ばね385の本数を変えることによって、内歯歯車36を軸方向一方側へ付勢する付勢力の大きさを調整する。すなわち、当該付勢力の大きさを調整することによって、遊星歯車33の外歯331に対する内歯歯車36の内歯361の噛み合い圧力を調整することができる。
【0035】
上記のとおり、内歯歯車36の内歯361の歯筋861および遊星歯車33の外歯331の歯筋831は、ともに軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜する。また、内歯歯車36は、ばね385によってケーシング7に対する軸方向位置を調整可能に配置される。遊星歯車33は、ケーシング7に対する軸方向位置が不変である。すなわち、内歯歯車36は、遊星歯車33に対して軸方向に移動可能となる。これにより、内歯歯車36の内歯361と遊星歯車33の外歯331との間の軸方向および径方向の隙間(バックラッシ)を調整することができる。
【0036】
特に、本変形例では、経年に伴って、遊星歯車33の外歯331の厚みや内歯歯車36の内歯361の厚みが、多少の摩耗により変化した場合でも、ばね385による付勢力によって、内歯歯車36の軸方向の位置が適度に調整される。この結果、内歯歯車36の内歯361と遊星歯車33の外歯331との間の軸方向および径方向の隙間(バックラッシ)を適度な大きさに維持することができる。
【0037】
なお、本変形例では、モータ2側にある軸受24とケーシング底板部73との軸方向の間に、さらにシム387が配置されている。これにより、軸受24と、軸受24の内輪に固定された回転軸232と、回転軸232と単一部材から形成された入力軸31と、入力軸31に固定された太陽歯車32との、ケーシング底板部73を含むケーシング7に対する軸方向の位置を調整することができる。この結果、本変形例では、さらに遊星歯車33に対する太陽歯車32の軸方向位置を調整することができる。
【0038】
図1図3に示す本実施形態の説明に戻る。出力軸37は、中心軸90に沿って円柱状に延びる部材である。上記のとおり、本実施形態の出力軸37は、キャリア35と単一部材から形成される。すなわち、出力軸37は、キャリア35と互いに相対回転不能に連結されている。ただし、出力軸37は、キャリア35に対して相対回転不能に連結されていれば、互いに別部材であってもよい。
【0039】
出力軸37と第1ケーシング本体部711との径方向の間には、軸受394および軸受395(第2軸受)が、互いに軸方向に間隙を隔てて配置される。本実施形態の軸受394および軸受395には、それぞれボールベアリングが用いられる。軸受394の内輪および軸受395の内輪は、出力軸37の外周面に固定される。軸受394の外輪および軸受395の外輪は、第1ケーシング本体部711の内周面に固定される。これにより、出力軸37およびキャリア35は、第1ケーシング本体部711を含むケーシング7に対して、中心軸90を中心として、軸受394および軸受395を介して回転可能に支持される。なお、本実施形態では、軸受394と軸受395との軸方向の間に、さらに円筒部材396(カラー)が配置される。円筒部材396は、出力軸37の周囲において、中心軸90に沿って円筒状に延びる。これにより、軸受394および軸受395の軸方向のずれが抑制される。
【0040】
調整ねじ382は、軸受391(第1軸受)を軸方向に押圧するための部材である。調整ねじ382は、本発明における「調整部材」の一つに相当する。調整ねじ382は、円筒部383とフランジ部384とを有する。円筒部383は、第2ケーシング円筒部724の径方向内側を中心軸90に沿って円筒状に延びる。フランジ部384は、円筒部383の軸方向一方側の端部から径方向外側へ拡がる。フランジ部384の外径は、第2ケーシング円筒部724の内径よりも大きい。
【0041】
円筒部383の外周面には、ねじ溝(例えば、雄ねじ)が形成されている。また、第2ケーシング円筒部724の内周面には、ねじ溝(例えば、雌ねじ)が形成されている。調整ねじ382は、当該ねじ溝において第2ケーシング円筒部724と螺合しつつ軸方向に移動することによって、軸受391を軸方向他方側へ押圧することができる。軸受391が軸方向他方側へ押圧されると、軸受391の内輪に固定された入力軸31と、入力軸31に固定された太陽歯車32とが、軸方向他方側へ移動する。
【0042】
図3に示すように、太陽歯車32の外歯321の歯筋821および遊星歯車33の外歯331の歯筋831は、ともに軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜する。また、太陽歯車32は、調整ねじ382によって軸方向位置を調整可能に配置される。遊星歯車33は、ケーシング7に対する軸方向位置が不変である。すなわち、太陽歯車32は、遊星歯車33に対して軸方向に移動可能となる。これにより、太陽歯車32の外歯321と遊星歯車33の外歯331との間の軸方向および径方向の隙間(バックラッシ)を調整することができる。特に、調整ねじ382を用いる場合、減速機3を組み上げた後でも、隙間(バックラッシ)を適度な大きさに調整できる。
【0043】
ケーシング7は、上記の各部を収容する。ただし、ケーシング7は、入力軸31、太陽歯車32、3つの遊星歯車33、キャリア35、内歯歯車36、および出力軸37の少なくとも一部を収容するものであればよい。
【0044】
モータを駆動させると、モータの回転軸232とともに、入力軸31および太陽歯車32は、中心軸90を中心として入力回転数N1で回転する。また、太陽歯車32と内歯歯車36との双方に噛み合う3つの遊星歯車33は、それぞれ自転軸91を中心として自転する。また、3つの遊星歯車33はそれぞれ、自転軸91を中心として自転しながら、内歯歯車36との噛み合いにより、遊星軸34とともに、中心軸90を中心として減速後の出力回転数N2で公転する。また、3つの遊星軸34が固定されたキャリア35は、出力軸37とともに、中心軸90を中心として減速後の出力回転数N2で回転する。
【0045】
上記のとおり、遊星歯車33には、傘歯車が用いられる。すなわち、図3に示すように、遊星歯車33は、円錐台形状を有する。また、遊星歯車33の外歯331の歯底Rから歯先Eまでの歯丈Lは、頂点へ向かうにつれて(本実施形態では、軸方向他方側へ向かうにつれて)小さくなる。このような遊星歯車33を用いる場合、製造過程で歯底R付近を加工する際に、アンダーカットが発生しにくい。このため、遊星歯車33の強度が維持される。これにより、駆動時に遊星歯車33が太陽歯車32や内歯歯車36と噛み合う際の、磨耗や損傷を抑制できる。なお、本実施形態では、太陽歯車32および内歯歯車36にも同様に、傘歯車が用いられる。これにより、同様に太陽歯車32および内歯歯車36の強度を維持しつつ、遊星歯車33と噛み合う際の摩耗や損傷を抑制できる。
【0046】
減速機3を組み上げる際には、太陽歯車32と遊星歯車33とが噛み合う位置における、太陽歯車32の外歯321の歯筋821を延長した直線と、遊星歯車33の外歯331の歯筋831を延長した直線と、遊星歯車33と内歯歯車36とが噛み合う位置における、遊星歯車33の外歯331の歯筋831を延長した直線と、内歯歯車36の内歯361の歯筋861を延長した直線とが、中心軸90上の1つの点Cにおいて交差するように、各歯車を配置する。歯筋821、歯筋831、および歯筋861は、それぞれ軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜し、かつ、傾斜角度が中心軸90に対して5°以下である。ただし、歯筋821、歯筋831、および歯筋861は、中心軸90上の点Cから若干、軸方向にずれた位置において、中心軸90と交点してもよい。
【0047】
このような構成を有することにより、回転時に遊星歯車33と太陽歯車32とが噛み合う周方向の角度は、軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。より具体的には、単位時間あたりに遊星歯車33の外周面における太陽歯車32と接触する領域の、遊星歯車33の自転軸91に対する回転角度が、遊星歯車33の軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。また、回転時に遊星歯車33と内歯歯車36とが噛み合う周方向の角度は、軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。より具体的には、単位時間あたりに遊星歯車33の外周面における内歯歯車36と接触する領域の、遊星歯車33の自転軸91に対する回転角度が、遊星歯車33の軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。このため、遊星歯車33と、太陽歯車32および内歯歯車36との間での滑りの発生が抑制される。この結果、遊星歯車33と、太陽歯車32および内歯歯車36との間における回転の伝達効率の低下が抑制される。
【0048】
<2.第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態に係る減速機3Bの構成について説明する。なお、以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同等の部分については、重複説明を一部省略する。
【0049】
図5は、第2実施形態に係る減速機3Bの縦断面図である。当該減速機3Bが接続されたモータを駆動すると、モータの回転軸232Bを含む回転部は、中心軸20Bを中心として、入力回転数N1で回転する。
【0050】
減速機3Bは、モータから得られる入力回転数N1の回転運動を、入力回転数N1よりも低い出力回転数N2の回転運動に変換する。図5に示すように、減速機3Bは、入力軸31B、太陽歯車32B、複数(本実施形態では、3つ)の遊星歯車33B、複数(本実施形態では、3つ)の遊星軸34B、キャリア35B、内歯歯車36B、出力軸37B、シム381B、およびケーシング7Bを有する。本実施形態の入力軸31B、太陽歯車32B、3つの遊星歯車33B、内歯歯車36B、および出力軸37Bは、第1実施形態の入力軸31、太陽歯車32、3つの遊星歯車33、内歯歯車36、および出力軸37と同等の構成を有する。
【0051】
本実施形態のケーシング7Bは、第1ケーシング筒部71Bおよび第2ケーシング筒部72Bを含む。第1ケーシング筒部71Bおよび第2ケーシング筒部72Bはそれぞれ、中心軸90Bと略同軸に配置される。
【0052】
第1ケーシング筒部71Bは、第1ケーシング本体部711B、第1ケーシングフランジ部712B、第1ケーシング突出部713B、および第1ケーシング円筒部714Bを有する。本実施形態の第1ケーシング本体部711B、第1ケーシングフランジ部712B、および第1ケーシング突出部713Bは、第1実施形態の第1ケーシング本体部711、第1ケーシングフランジ部712、および第1ケーシング突出部713と同等の構成を有する。また、第1ケーシング突出部713Bは、凹部715Bを有する。凹部715Bは、第1ケーシング突出部713Bの周方向の一部における、軸方向一方側の端面から軸方向他方側へ凹む。第1ケーシング円筒部714Bは、第1ケーシングフランジ部712Bの径方向外側の端部から、軸方向一方側へ円筒状に拡がる。第1ケーシング突出部713Bは、第1ケーシング円筒部714Bの径方向内側に連続する。
【0053】
第2ケーシング筒部72Bは、第1ケーシング筒部71Bの軸方向一方側に隣接する。第2ケーシング筒部72Bは、第2ケーシング円環部722B、第2ケーシング突出部723B、第2ケーシング円筒部724B、および第2ケーシング内側円環部726Bを有する。第2ケーシング円環部722Bは、中心軸90Bを中心として円環状に拡がる。また、第2ケーシング円環部722Bは、径方向内側へ向かうにつれて軸方向一方側へ傾斜する。第2ケーシング円環部722Bにおける径方向外側の端部は、第1ケーシング円筒部714Bにおける軸方向一方側の端部に、締結部材741Bによって固定される。第2ケーシング突出部723Bは、第2ケーシング円環部722Bにおける径方向外側の部位から、軸方向他方側へ突出する。第2ケーシング突出部723Bは、第1ケーシング円筒部714Bの径方向内側に隣接する。
【0054】
第2ケーシング円筒部724Bは、第2ケーシング円環部722Bの径方向内側の端部から、中心軸90に沿って軸方向一方側に円筒状に拡がる。第2ケーシング内側円環部726Bは、第2ケーシング円筒部724Bの軸方向一方側の端部から、径方向内側に拡がる。第2ケーシング内側円環部726Bは、中心軸90Bの周囲に円環状に拡がる。第1ケーシング筒部71Bおよび第2ケーシング筒部72Bによって囲まれる空間に、遊星歯車機構が収容される。第1ケーシング筒部71Bおよび第2ケーシング筒部72Bを含むケーシング7Bは、減速機3Bが配置される筐体等に対して移動不能および回転不能に固定される。
【0055】
モータを駆動させると、入力軸31Bは、軸受391B(第1軸受)を介して、中心軸90Bを中心として入力回転数N1で回転する。また、入力軸31Bに固定された太陽歯車32Bも同様に、中心軸90Bを中心として入力回転数N1で回転する。遊星歯車33Bには、傘歯車が用いられる。遊星歯車33Bの外歯331Bは、太陽歯車32Bの外歯321Bに対して径方向外側から噛み合っている。3つの遊星軸34Bはそれぞれ、自転軸91Bを中心として遊星歯車33Bを自転可能に支持する。自転軸91Bは、軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜する。入力軸31Bおよび太陽歯車32Bが中心軸90Bを中心として回転すると、3つの遊星歯車33Bはそれぞれ、太陽歯車32Bからの動力を受け、自転軸91Bを中心として自転する。
【0056】
キャリア35Bは、第1キャリア円環部351B、第2キャリア円環部352B、およびキャリア連結部353Bを有する。第1キャリア円環部351Bは、太陽歯車32Bよりも軸方向一方側において、中心軸90Bを中心として円環状に拡がる。第2キャリア円環部352Bは、太陽歯車32Bよりも軸方向他方側において、中心軸90Bを中心として円環状に拡がる。キャリア連結部353Bは、太陽歯車32Bよりも径方向外側において、軸方向に延びる。キャリア連結部353Bは、第1キャリア円環部351Bと第2キャリア円環部352Bとを軸方向に繋ぐ。ただし、キャリア連結部353Bは、遊星歯車33Bおよび遊星軸34Bとは周方向に異なる位置にあり、遊星歯車33Bおよび遊星軸34Bとは接触しない。本実施形態では、第1キャリア円環部351B、第2キャリア円環部352B、およびキャリア連結部353Bは、出力軸37Bとは異なる部材から形成され、相互にスプライン締結することによって、軸方向移動を可能にし、相対回転不能に係合されている。
【0057】
また、第1キャリア円環部351Bと第2ケーシング円筒部724Bとの径方向の間には、軸受397Bが配置される。本実施形態の軸受397Bには、ボールベアリングが用いられる。軸受397Bの内輪は、第1キャリア円環部351Bの外周面に固定される。軸受397Bの外輪は、第2ケーシング円筒部724Bの内周面に固定される。これにより、キャリア35Bは、ケーシング7Bに対して、軸受397Bを介して、中心軸90Bを中心として回転可能に支持される。また、第1実施形態と同様に、キャリア35Bおよび出力軸37Bは、ケーシング7Bに対して、軸受394Bおよび軸受395Bを介して、中心軸90Bを中心として回転可能に支持される。
【0058】
図6は、第2キャリア円環部352Bおよび遊星軸34Bを中心軸90Bに対して垂直な方向に切断した縦断面図である。図6に示すように、第2キャリア円環部352Bは、複数(本実施形態では、3つ)の凹部354Bを有する。3つの凹部354Bは、中心軸90Bを中心として互いに周方向に120度の間隔を空けて設けられている。3つの凹部354Bはそれぞれ、第2キャリア円環部352Bにおける外周面から径方向内側へ凹む。凹部354Bの側面355Bは、平面である。また、本実施形態の各遊星軸34Bは、断面視において略円形状を有するが、その両側部が切断されることにより、両側に平面341Bを有する。当該各平面341Bは、各凹部354Bの側面355Bと対向し、かつ、互いに平行である。また、当該平面341Bは、凹部354Bの側面355Bよりも、僅かに内側に位置する。
【0059】
そして、3つの遊星軸34はそれぞれ、凹部354Bに挿入されつつ、両側の平面341Bにおいて凹部354Bの側面355Bに接触する。これにより、各遊星軸34Bは、キャリア35Bによって相対回転不能に支持される。一方、各遊星軸34Bは、キャリア35Bに対して径方向には移動可能となる。すなわち、本実施形態では、平面341Bを含む遊星軸34Bと、側面355Bを含むキャリア35Bとによって、「調整部材」の一つが構成される。
【0060】
内歯歯車36Bは、第1ケーシング円筒部714Bの径方向内側において、中心軸90Bを中心として円環状に拡がる部材である。内歯歯車36Bの内周面には、複数の内歯361Bが形成されている。複数の内歯361Bは、遊星歯車33Bの外歯331Bに径方向外側から噛み合う。また、内歯歯車36Bには、凹部360Bが設けられている。凹部360Bは、内歯歯車36Bの周方向の一部の軸方向他方側の端面から、軸方向一方側へ凹む。凹部360Bには、ピン727Bが挿入される。ピン727Bは、第1ケーシング突出部713Bの凹部715Bに挿入されつつ固定される。これにより、第1ケーシング筒部71Bを含むケーシング7Bに対する内歯歯車36Bの周方向の相対回転が阻止される。
【0061】
モータを駆動させると、モータの回転軸232Bとともに、入力軸31Bおよび太陽歯車32Bは、中心軸90Bを中心として入力回転数N1で回転する。また、太陽歯車32Bと内歯歯車36Bとの双方に噛み合う3つの遊星歯車33Bは、それぞれ自転軸91Bを中心として自転する。また、3つの遊星歯車33Bはそれぞれ、自転軸91Bを中心として自転しながら、内歯歯車36Bとの噛み合いにより、遊星軸34Bとともに、中心軸90Bを中心として減速後の出力回転数N2で公転する。また、3つの遊星軸34Bが固定されたキャリア35Bは、出力軸37Bとともに、中心軸90Bを中心として減速後の出力回転数N2で回転する。
【0062】
第1実施形態と同様に、遊星歯車33Bには、傘歯車が用いられる。このため、遊星歯車33Bの製造過程でアンダーカットが発生しにくい。これにより、遊星歯車33Bの強度が維持される。この結果、駆動時に遊星歯車33Bが太陽歯車32Bや内歯歯車36Bと噛み合う際の、磨耗や損傷を抑制できる。また、太陽歯車32Bおよび内歯歯車36Bにも同様に、傘歯車が用いられる。これにより、同様に太陽歯車32Bおよび内歯歯車36Bの強度を維持しつつ、遊星歯車33Bと噛み合う際の摩耗や損傷を抑制できる。また、第1実施形態と同様に、太陽歯車32Bの外歯321Bの歯筋、遊星歯車33Bの外歯331Bの歯筋、および内歯歯車36Bの内歯361Bの歯筋は、軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜する。太陽歯車32Bと遊星歯車33Bとが噛み合う位置における、太陽歯車32Bの外歯321Bの歯筋を延長した直線と、遊星歯車33Bの外歯331Bの歯筋を延長した直線と、遊星歯車33Bと内歯歯車36Bとが噛み合う位置における、遊星歯車33Bの外歯331Bの歯筋を延長した直線と、内歯歯車36Bの内歯361Bの歯筋を延長した直線とが、中心軸90B上の略1点において交差する。
【0063】
このような構成を有することにより、回転時に遊星歯車33Bと太陽歯車32Bとが噛み合う周方向の角度は、軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。より具体的には、単位時間あたりに遊星歯車33Bの外周面における太陽歯車32Bと接触する領域の、遊星歯車33Bの自転軸91Bに対する回転角度が、遊星歯車33Bの軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。また、回転時に遊星歯車33Bと内歯歯車36Bとが噛み合う周方向の角度は、軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。より具体的には、単位時間あたりに遊星歯車33Bの外周面における内歯歯車36Bと接触する領域の、遊星歯車33Bの自転軸91Bに対する回転角度が、遊星歯車33Bの軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。このため、遊星歯車33Bと、太陽歯車32Bおよび内歯歯車36Bとの間での滑りの発生が抑制される。この結果、遊星歯車33Bと、太陽歯車32Bおよび内歯歯車36Bとの間における回転の伝達効率の低下が抑制される。
【0064】
また、上記のとおり、各遊星軸34Bは、キャリア35Bに対して径方向には変位可能である。すなわち、各遊星軸34Bと、各遊星軸34Bに支持される遊星歯車33Bは、太陽歯車32Bおよび内歯歯車36Bに対して軸方向に相対移動可能となる。これにより、遊星歯車33Bの外歯331Bと太陽歯車32Bの外歯321Bとの間、および遊星歯車33Bの外歯331Bと内歯歯車36Bの内歯361Bとの間の、軸方向および径方向の隙間(バックラッシ)を調整することができる。
【0065】
さらに、本実施形態では、第1キャリア円環部351Bを支持する軸受397Bと第2ケーシング内側円環部726Bとの軸方向の間に、シム381Bが配置されている。シム381Bの外径は、第2ケーシング円筒部724Bの内径と略同一である。これにより、軸受397Bと、軸受397Bの内輪に固定された第1キャリア円環部351Bを含むキャリア35Bと、キャリア35Bに支持された遊星軸34Bと、遊星軸34Bに支持された遊星歯車33Bとの、太陽歯車32Bおよび内歯歯車36Bに対する軸方向の位置を調整することができる。この結果、太陽歯車32Bおよび内歯歯車36Bに対する、遊星歯車33Bの軸方向位置を調整することができる。
【0066】
ただし、太陽歯車32Bおよび内歯歯車36Bに対する、遊星歯車33Bの軸方向位置を調整する方法は、これに限定されない。図7は、変形例に係る減速機3Bの縦断面図である。図7の例では、第1キャリア円環部351Bの周囲に、さらに皿ばね386Bが固定される。皿ばね386Bは、本発明における「調整部材」の一つに相当する。皿ばね386Bの軸方向一方側の端部は、軸受397Bの内輪に接触する。皿ばね386Bの軸方向他方側の端部は、遊星軸34Bの軸方向一方側の端部に接触する。皿ばね386Bは、遊星軸34Bを軸方向他方側へ付勢する。この結果、遊星軸34Bに支持される遊星歯車33Bの軸方向の位置を調整することができる。
【0067】
図8は、他の変形例に係る減速機3Bの縦断面図である。図8の例では、出力軸37B側に調整ねじ382Bが設けられている。調整ねじ382Bは、軸受395B(第2軸受)を軸方向に押圧しつつ出力軸37Bを軸方向に移動させるための部材である。調整ねじ382Bは、本発明における「調整部材」の一つに相当する。調整ねじ382Bは、出力軸37Bの周囲に円環状に配置される。
【0068】
調整ねじ382Bの内周面には、ねじ溝(例えば、雌ねじ)が形成されている。また、出力軸37Bの外周面には、ねじ溝(例えば、雄ねじ)が形成されている。調整ねじ382Bは、当該ねじ溝において出力軸37Bと螺合しつつ軸方向に移動する。しかしながら、調整ねじ382Bは、軸受395Bと接触すると、さらに軸方向一方側へ移動しようとして軸受395Bを押圧しても、軸受395Bの外輪は第1ケーシング本体部711Bの内周面に固定されているため、移動できない。このため、調整ねじ382Bと螺合する出力軸37Bの方のみが、軸方向他方側へ移動する。すなわち、このような調整ねじ382Bを用いることによって、出力軸37Bおよびキャリア35Bと、キャリア35Bに支持される遊星軸34Bと、遊星軸34Bに支持される遊星歯車33Bの、軸方向位置を調整することができる。
【0069】
<3.第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態に係る減速機3Cの構成について説明する。なお、以下では、第1実施形態および第2実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態および第2実施形態と同等の部分については、重複説明を一部省略する。
【0070】
図9は、第3実施形態に係る減速機3Cの縦断面図である。当該減速機3Cが接続されたモータを駆動すると、モータの回転軸232Cを含む回転部は、中心軸20Cを中心として、入力回転数N1で回転する。
【0071】
減速機3Cは、モータから得られる入力回転数N1の回転運動を、入力回転数N1よりも低い出力回転数N2の回転運動に変換する。本実施形態の減速機3Cには、後述する遊星歯車33Cの大径部332Cと小径部333Cとの歯数差を利用して、回転運動を変速しつつ動力を伝達する、いわゆる遊星差動歯車減速機構が用いられる。図9に示すように、減速機3Cは、入力軸31C、太陽歯車32C、複数(本実施形態では、3つ)の遊星歯車33C、複数(本実施形態では、3つ)の遊星軸34C、キャリア35C、固定内歯歯車362C、可動内歯歯車363C、出力軸37C、シム381C,387C,388C、およびケーシング7Cを有する。
【0072】
本実施形態のケーシング7Cは、第1実施形態のケーシング7と同等の構成を有する。ケーシング7Cの第1ケーシング筒部71Cおよび第2ケーシング筒部72Cによって囲まれる空間に、遊星差動歯車減速機構が収容される。また、本実施形態の第2ケーシング筒部72Cは、第2ケーシング内側円筒部728Cをさらに有する。第2ケーシング内側円筒部728Cは、第2ケーシング円環部722Cの径方向内側の端部付近から中心軸90Cに沿って軸方向他方側に円筒状に突出する。第1ケーシング筒部71Cおよび第2ケーシング筒部72Cを含むケーシング7Cは、減速機3Cが配置される筐体等に対して移動不能および回転不能に固定される。
【0073】
本実施形態の入力軸31Cおよび太陽歯車32Cは、第1実施形態の入力軸31および太陽歯車32と同等の構成を有する。モータを駆動させると、入力軸31Cは、軸受391C(第1軸受)を介して、中心軸90Cを中心として入力回転数N1で回転する。また、入力軸31Cに固定された太陽歯車32Cも同様に、中心軸90Cを中心として入力回転数N1で回転する。
【0074】
3つの遊星歯車33Cはそれぞれ、入力軸31Cおよび太陽歯車32Cの周囲において、自転軸91Cに沿って配置される。自転軸91Cは、軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜する。本実施形態では、3つの遊星歯車33Cが、中心軸90Cを中心として互いに周方向に120度の間隔を空けて配置されている。ただし、遊星歯車33Cの数は、2つであってもよく、4つ以上であってもよい。遊星歯車33Cには、2段構造を有する傘歯車が用いられる。すなわち、3つの遊星歯車33Cはそれぞれ、大径部332Cと、小径部333Cとを有する。大径部332Cと、小径部333Cとは、一繋がりに形成される。また、大径部332Cおよび小径部333Cはそれぞれ、軸方向他方側へ向かうにつれて徐々に縮径する。
【0075】
大径部332Cの外径は、小径部333Cの外径よりも大きい。また、大径部332C外周面には、複数の第1外歯81Cが形成されている。複数の第1外歯81Cはそれぞれ、外側へ突出する。また、複数の第1外歯81Cは、一定のピッチで配列される。複数の第1外歯81Cは、太陽歯車32Cの外歯321Cに対して径方向外側から噛み合っている。
【0076】
小径部333Cの外径は、大径部332Cの外径よりも小さい。小径部333Cは、大径部332Cの軸方向他方側に隣接する。また、小径部333Cの外周面には、複数の第2外歯82Cが形成されている。複数の第2外歯82Cはそれぞれ、外側へ突出する。また、複数の第2外歯82Cは、一定のピッチで配列される。大径部332Cが有する第1外歯81Cの歯数と、小径部333Cが有する第2外歯82Cの歯数とは、僅かに相違する。さらに、3つの遊星歯車33Cはそれぞれ、貫通孔330Cを有する。各貫通孔330Cは、自転軸91Cに沿って遊星歯車33Cを貫通する。
【0077】
3つの遊星軸34Cはそれぞれ、遊星歯車33Cを自転可能に支持するための部材である。各遊星軸34Cには、例えば、自転軸91Cに沿って延びる柱状の部材が用いられる。遊星軸34Cは、遊星歯車33Cの貫通孔330Cに挿入される。また、遊星軸34Cと遊星歯車33Cとの間には、軸受392Cが挿入される。遊星歯車33Cは、軸受392Cを介して、遊星軸34Cに対して、自転軸91Cを中心として自転可能に支持される。入力軸31Cおよび太陽歯車32Cが中心軸90Cを中心として回転すると、3つの遊星歯車33Cはそれぞれ、太陽歯車32Cからの動力を受け、自転軸91Cを中心として自転する。
【0078】
また、図9に示すように、各遊星軸34Cには鍔部340Cが設けられている。鍔部340Cは、遊星軸34Cにおける自転軸91Cに沿う一方側(本実施形態では、右上側)の端部において自転軸91Cに直交する方向へ、軸受392Cの内輪の側面付近まで拡がる。また、後述のとおり、遊星軸34Cにおける軸方向他方側の端部はキャリア35Cに固定される。これにより、遊星歯車33Cは、鍔部340Cによって、自転軸91Cに沿う一方側(本実施形態では、右上側)への移動が抑制される。特に、本実施形態では、後述のとおり遊星歯車33Cと噛み合う太陽歯車32C、固定内歯歯車362C、および可動内歯歯車363Cを軸方向に移動させる場合でも、遊星歯車33Cがつられて自転軸91Cに沿う一方側(本実施形態では、右上側)へ移動することが防止される。
【0079】
キャリア35Cは、中心軸90Cを中心として環状に拡がる部材である。本実施形態のキャリア35Cは、出力軸37Cとは連結されていない。キャリア35Cの内周面と入力軸31Cの外周面との径方向の間には、軸受393C(第3軸受)が挿入される。これにより、キャリア35Cは、入力軸31Cの周囲に、軸受393Cを介して相対回転可能に支持される。また、入力軸31Cは、可動内歯歯車363Cの内周面に、軸受398C(例えば、すべり軸受)を介して、相対回転可能に支持される。
【0080】
また、キャリア35Cは、複数(本実施形態では、3つ)の貫通孔350Cを有する。本実施形態では、3つの貫通孔350Cが、中心軸90Cを中心として互いに周方向に略120度の間隔を空けて設けられている。各貫通孔350Cは、キャリア35Cにおける径方向外側の部位において、キャリア35Cを自転軸91Cに沿って貫通する。そして、3つの遊星軸34Cはそれぞれ、1つの貫通孔350Cに挿入される。また、本実施形態では、各遊星軸34Cは、貫通孔350Cにおいて接着または圧入等によりキャリア35Cに固定される。これにより、各遊星軸34Cは、キャリア35Cと互いに相対回転不能に固定され、支持される。特に、本実施形態では、キャリア35Cを設けることによって、これらの3つの遊星軸34Cおよび3つの遊星歯車33Cを安定して保持することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記の第2ケーシング内側円筒部728Cの周囲には、中間軸受399Cが設けられている。中間軸受399Cには、例えば、ボールベアリングが用いられる。軸受399Cの内輪は、第2ケーシング内側円筒部728Cの外周面に固定される。軸受399Cの外輪は、上記の各遊星軸34Cの鍔部340C付近に位置する。このため、鍔部340Cを含む遊星軸34Cは、自転軸91Cに沿う一方側(本実施形態では、右上側)に移動しようとすると、中間軸受399Cに接触して止められる。これにより、後述のとおり遊星歯車33Cと噛み合う太陽歯車32C、固定内歯歯車362C、および可動内歯歯車363Cを軸方向に移動させる場合に、遊星歯車33C、遊星軸34、およびキャリア35Cがつられて軸方向一方側へ移動することが防止される。
【0082】
固定内歯歯車362Cは、第2ケーシング本体部721Cの径方向内側において、中心軸90Cを中心として円環状に拡がる部材である。固定内歯歯車362Cは、本発明における「内歯歯車」に相当する。固定内歯歯車362Cは、第2ケーシング本体部721Cの内周面に固定される。すなわち、第2ケーシング本体部721Cは、周方向、径方向、および軸方向の動きが制限される。また、固定内歯歯車362Cの内周面には、複数の第1内歯41Cが形成されている。複数の第1内歯41Cはそれぞれ、径方向内側へ突出する。複数の第1内歯41Cは、周方向に沿って、一定のピッチで配列される。複数の第1内歯41Cは、遊星歯車33Cの大径部332Cの外周面に形成された複数の第1外歯81Cに対して径方向外側から噛み合っている。すなわち、3つの遊星歯車33Cはそれぞれ、大径部332Cにおいて、太陽歯車32Cの外歯321Cおよび固定内歯歯車362Cの第1内歯41Cにそれぞれ噛み合う。
【0083】
可動内歯歯車363Cは、中心軸90Cと略同軸に配置される。可動内歯歯車363Cは、本発明における「出力歯車」に相当する。可動内歯歯車363Cは、可動歯車筒状部42Cと、複数の第2内歯43Cと、円環部44Cとを有する。可動歯車筒状部42Cは、中心軸90Cを中心として軸方向に筒状に延びる部位である。可動歯車筒状部42Cの軸方向一方側の端部付近の内周面には、複数の第2内歯43Cが形成されている。複数の第2内歯43Cはそれぞれ、可動歯車筒状部42Cの軸方向一方側の端部から径方向内側へ突出する。また、複数の第2内歯43Cは、周方向に沿って、一定のピッチで配列される。可動内歯歯車363Cが有する第2内歯43Cの歯数と、固定内歯歯車362Cが有する第1内歯41Cの歯数とは、僅かに相違する。複数の第2内歯43Cは、遊星歯車33Cの小径部333Cの外周面に形成された複数の第2外歯82Cに対して径方向外側から噛み合っている。
【0084】
円環部44Cは、可動歯車筒状部42Cの軸方向他方側の端部から径方向内側に拡がる部位である。円環部44Cは、中心軸90Cを中心として円環状に拡がる。本実施形態の円環部44Cは、出力軸37Cと単一部材から形成される。すなわち、可動内歯歯車363Cは、出力軸37Cと互いに相対回転不能に連結されている。
【0085】
出力軸37Cは、中心軸90Cに沿って円柱状に延びる部材である。上記のとおり、本実施形態の出力軸37Cは、可動内歯歯車363Cと単一部材から形成される。出力軸37Cとケーシング7Cの第1ケーシング本体部711Cとの径方向の間には、軸受394Cおよび軸受395Cが、互いに軸方向に間隙を隔てて配置される。これにより、出力軸37Cおよび可動内歯歯車363Cは、第1ケーシング本体部711Cを含むケーシング7Cに対して、中心軸90Cを中心として、軸受394Cおよび軸受395Cを介して回転可能に支持される。
【0086】
上記のとおり、入力軸31Cおよび太陽歯車32Cが中心軸90Cを中心として回転すると、3つの遊星歯車33Cはそれぞれ、太陽歯車32Cからの動力を受け、自転軸91Cを中心として自転する。各遊星歯車33Cは、大径部332Cの第1外歯81Cにおいて固定内歯歯車362Cの第1内歯41Cと噛み合い、小径部333Cの第2外歯82Cにおいて可動内歯歯車363Cの第2内歯43Cと噛み合う。また、3つの遊星歯車33Cはそれぞれ、自転軸91Cを中心として自転しながら、固定内歯歯車362Cと可動内歯歯車363Cとの噛み合いにより、遊星軸34Cとともに、キャリア35Cに支持されつつ、中心軸90Cを中心として公転する。
【0087】
各遊星歯車33Cの第2外歯82Cが可動内歯歯車363Cの第2内歯43Cと噛み合いながら自転および公転することによって、可動内歯歯車363Cおよび出力軸37Cは、中心軸90Cを中心として、入力回転数N1よりも低い出力回転数N2で回転する。すなわち、可動内歯歯車363Cおよび出力軸37Cは、固定内歯歯車362Cの第1内歯41Cと可動内歯歯車363Cの第2内歯43Cとの歯数の違いによって、固定内歯歯車362Cに対して相対回転する。ここで、各遊星歯車33Cの小径部333Cの外径は、大径部332Cの外径よりも小さい。このため、遊星歯車33Cの自転に伴う、小径部333Cの第2外歯82Cの移動距離は、大径部332Cの第1外歯81Cの移動距離よりも短くなる。このため、小径部333Cの第2外歯82Cと噛み合う可動内歯歯車363Cの回転数は、より小さくなる。このように、本実施形態の減速機3Cは、大径部332Cと小径部333Cとの歯数差に応じて、減速比をより大きくすることができる。
【0088】
図10は、太陽歯車32C、遊星歯車33C、固定内歯歯車362C、および可動内歯歯車363Cの位置関係を説明するための図である。図10に示すように、太陽歯車32Cの外歯321Cの歯筋821C、遊星歯車33Cの大径部332Cの第1外歯81Cの歯筋831a、遊星歯車33Cの小径部333Cの第2外歯82Cの歯筋831b、固定内歯歯車362Cの第1内歯41Cの歯筋861a、および可動内歯歯車363Cの第2内歯43Cの歯筋861bは、ともに軸方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜する。また、太陽歯車32Cは、第2ケーシング円環部722Cの径方向内側の端部と軸受391Cとの間に挿入されるシム387C(図9参照)を用いてケーシング7Cに対する軸方向位置を調整可能に配置される。すなわち、太陽歯車32Cは、遊星歯車33Cに対して軸方向に移動可能となる。これにより、太陽歯車32Cの外歯321Cと遊星歯車33Cの第1外歯81Cとの間の軸方向および径方向の隙間(バックラッシ)を調整することができる。また、固定内歯歯車362Cは、シム381C(図9参照)を用いてケーシング7Cに対する軸方向位置を調整可能に配置される。すなわち、固定内歯歯車362Cは、遊星歯車33Cに対して軸方向に移動可能となる。これにより、固定内歯歯車362Cの第1内歯41Cと遊星歯車33Cの第1外歯81Cとの間の軸方向および径方向の隙間(バックラッシ)を調整することができる。また、可動内歯歯車363Cは、シム388C(図9参照)を用いてケーシング7Cに対する軸方向位置を調整可能に配置される。すなわち、可動内歯歯車363Cは、遊星歯車33Cに対して軸方向に移動可能となる。これにより、可動内歯歯車363Cの第2内歯43Cと遊星歯車33Cの第2外歯82Cとの間の軸方向および径方向の隙間(バックラッシ)を調整することができる。
【0089】
また、遊星歯車33Cには、2段構造を有する傘歯車が用いられる。このため、遊星歯車33Cの製造過程でアンダーカットが発生しにくい。これにより、遊星歯車33Cの強度が維持される。この結果、駆動時に遊星歯車33Cが太陽歯車32C、固定内歯歯車362C、および可動内歯歯車363Cと噛み合う際の、磨耗や損傷を抑制できる。また、太陽歯車32C、固定内歯歯車362C、および可動内歯歯車363Cにも同様に、傘歯車が用いられる。これにより、同様に太陽歯車32C、固定内歯歯車362C、および可動内歯歯車363Cの強度を維持しつつ、遊星歯車33Cと噛み合う際の摩耗や損傷を抑制できる。また、太陽歯車32Cと遊星歯車33Cとが噛み合う位置における、太陽歯車32Cの外歯321Cの歯筋821Cを延長した直線と、遊星歯車33Cの第1外歯81Cの歯筋831aを延長した直線と、遊星歯車33Cと固定内歯歯車362Cとが噛み合う位置における、遊星歯車33Cの第1外歯81Cの歯筋831aを延長した直線と、固定内歯歯車362Cの第1内歯41Cの歯筋861aを延長した直線と、遊星歯車33Cと可動内歯歯車363Cとが噛み合う位置における、遊星歯車33Cの第2外歯82Cの歯筋831bを延長した直線と、可動内歯歯車363Cの第2内歯43Cの歯筋861bを延長した直線とは、中心軸90C上の略1点において交差する。
【0090】
このような構成を有することにより、回転時に遊星歯車33Cと太陽歯車32Cとが噛み合う周方向の角度は、軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。より具体的には、単位時間あたりに遊星歯車33Cの大径部332Cの外周面における太陽歯車32Cと接触する領域の、遊星歯車33Cの自転軸91Cに対する回転角度が、大径部332Cの軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。また、回転時に遊星歯車33Cと固定内歯歯車362Cとが噛み合う周方向の角度は、軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。より具体的には、単位時間あたりに遊星歯車33Cの大径部332Cの外周面における固定内歯歯車362Cと接触する領域の、遊星歯車33Cの自転軸91Cに対する回転角度が、大径部332Cの軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。また、回転時に遊星歯車33Cと可動内歯歯車363Cとが噛み合う周方向の角度は、軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。より具体的には、単位時間あたりに遊星歯車33Cの小径部333Cの外周面における可動内歯歯車363Cと接触する領域の、遊星歯車33Cの自転軸91Bに対する回転角度が、小径部333Cの軸方向における一方側の端部と他方側の端部とでは略一定となる。このため、遊星歯車33Cと、太陽歯車32C、固定内歯歯車362C、および可動内歯歯車363Cとの間での滑りの発生が抑制される。この結果、遊星歯車33Cと、太陽歯車32C、固定内歯歯車362C、および可動内歯歯車363Cとの間における回転の伝達効率の低下が抑制される。
【0091】
<4.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0092】
遊星歯車と、太陽歯車および内歯歯車との軸方向の相対的な位置関係を調整するための構成は、上記の実施形態において開示された構成には限定されない。本発明の減速機においては、遊星歯車と、太陽歯車および内歯歯車との軸方向の相対的な位置関係を調整するために、太陽歯車、遊星歯車を支持するキャリア、および内歯歯車の少なくとも1つと、ケーシングとの間に、調整部材としての1または複数のシムを設ければよい。そして、当該1または複数のシムを、軸方向一方側および軸方向他方側から挟みつつ固定すればよい。また、ケーシングに対して、太陽歯車、遊星歯車を支持するキャリア、および内歯歯車の少なくとも1つを軸方向一方側または軸方向他方側へ付勢する、調整部材としてのばねを設ければよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本願は、減速機およびモータ付き減速機に利用できる。
【符号の説明】
【0094】
1 モータ付き減速機
2 モータ
3,3B,3C 減速機
7,7B,7C ケーシング
22 静止部
23 回転部
31,31B,31C 入力軸
32,32B,32C 太陽歯車
33,33B,33C 遊星歯車
34,34B,34C 遊星軸
35,35B,35C キャリア
36,36B 内歯歯車
37,37B,37C 出力軸
41C 第1内歯
43C 第2内歯
81C 第1外歯
82C 第2外歯
90,90B,90C 中心軸
91,91B,91C 自転軸
321,321B,321C 外歯
331,331B 外歯
332C 大径部
333C 小径部
340,340C 鍔部
361,361B 内歯
362C 固定内歯歯車
363C 可動内歯歯車
381,381B,381C シム
382,382B 調整ねじ
385 ばね
386B 皿ばね
387,387C シム
388C シム
391,391B,391C 軸受(第1軸受)
393,393C 軸受(第3軸受)
395,395B,395C 軸受(第2軸受)
821,821C 歯筋
831,831a,831b 歯筋
861,861a,861b 歯筋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10