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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】適応ビーム形成の共分散行列
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/06 20060101AFI20240110BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240110BHJP
【FI】
H04B7/06 950
H04W16/28
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021510071
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 US2019049871
(87)【国際公開番号】W WO2020055674
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】16/127,597
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ベック、アンドリュー、エス.
(72)【発明者】
【氏名】カネモリ、ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】エキフア、オトン
(72)【発明者】
【氏名】トロン、トンプソン
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-243419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/06
H04W 16/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッファに格納されたアンテナビームからの入力信号に基づいて、デジタルビーム形成のための共分散行列をコンピュータプロセッサにより生成する方法であって、
前記バッファから、N=アンテナビーム数であり、N sym =複数のデータシンボルの数であるときに、N xN sym の行列として表される入力信号の集合を受信し
(i)記入力信号の集合における列ベクトルを集合Aと集合Bとに分割し、
(ii)前記集合Aに対して複素共役乗算演算を実行し、その結果を前記集合Aに関する前の集合A累積器の結果に加算し、前記集合A累積器に記憶し、
(iii)前記集合Bに対して複素共役乗算演算を実行し、その結果を前記集合Bに関する前の集合B累積器の結果に加算し、前記集合B累積器に記憶し、
(iv)前記集合Aおよび前記集合Bに関する結果を組み合わせて、 xN の一時行列を作成する
前記(i)~(iv)までの処理を繰り返して最終的に形成された前記N xN の一時行列を前記共分散行列として出力すること
を含む方法。
【請求項2】
前記(i)~(iv)までの処理は、前記複数のデータシンボルのそれぞれについて繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記集合A累積器および前記集合B累積器は、前記共分散行列が生成された後にクリアされる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記データシンボルの数は42である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記データシンボルの数は84である請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記データシンボルの数は168である請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記アンテナビームの数が7である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記 xN の一時行列のNの対角要素の集合を決定し、
前記対角要素の集合内の各要素について、
当該要素を定数でスケール変換し、
前記スケール変換された結果を前記対角要素の集合の最大要素と比較し、
前記比較の結果に基づいて対応する要素真または偽としてマーキングされたマスキングインデックスを作成し、
前記マスキングインデックスを使用して前記 xN の一時行列の要素を選択する
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マスキングインデックスは、前記NxN一時行列の行と列の両方で使用される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記定数は、アンテナの動作環境に基づく可変ビーム閾値である請求項8に記載の方法。
【請求項11】
マルチビームアンテナの1以上の要素から入力信号をデジタルビーム形成するための共分散行列を生成する方法を実行するように構成されたコンピュータプロセッサ装置であって、
=アンテナビーム数であり、N sym =複数のデータシンボルの数であるときに、N xN sym の行列として表される入力信号の集合を保存するためのバッファと、
記入力信号の集合からNxNの一時行列を生成するためのロジック要素と、
(N+1)/4の複素共役乗算器の集合と、
前記 xN 時行列の上右三角要素を含む、前記 xN 時行列のN(N+1)/2の要素を受信するための第1マルチプレクサであって、前記第1マルチプレクサは、前記N(N+1)/2の要素を、半数ずつ、前記複素共役乗算器の集合に交互に結合し、
前記複素共役乗算器の集合からの出力を交互に受信する第1および第2のN(N+1)/4の累積器の集合で構成された(N+1)/2の累積器の集合と、
前記第1および第2のN(N+1)/4の累積器の集合の出力を、前記N(N+1)/4の複素共役乗算器の集合の入力に交互に結合する第2のマルチプレクサと
を含み、
前記共分散行列は、前記第1および第2のN (N +1)/4の累積器の集合の出力に基づいて作成される、
装置。
【請求項12】
前記Nは7である請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記 xN の一時行列の対角要素の集合を格納するためのNのバッファと、
前記対角要素の集合の中の各要素を定数によりスケール変換するためのスケール変換論理要素と、
各スケール変換された要素を前記対角要素の集合の最大要素と比較し、前記比較の結果に対応する真または偽の出力を生成するための比較器と、
前記対角要素の集合内の各要素について前記比較器の出力を格納するためのNのマスクバッファと
をさらに含む請求項11記載の装置。
【請求項14】
前記Nのマスクバッファを使用して前記 xN の一時行列の要素を選択するための選択装置をさらに備える、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記定数は、前記マルチビームアンテナの動作環境に基づく可変ビーム閾値である請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府契約)
米国空軍は、政府契約番号F04701-02-C-0002に従って本発明の権利を有する。
(技術分野)
様々な実施例は一般に、適応ビーム形成に関し、より詳細には、共分散行列を用いて最適な組み合わせ重みを得ることに関する。
【背景技術】
【0002】
適応ビーム形成はアンテナのアレイからの信号を組み合わせて、好ましい位置への、または好ましい位置からの信号強度を増加させるために、空間信号処理を使用する技術である。これは、信号の送受信の両方で使用される。空間信号処理は各信号(ビームとも言う)が結合される前に、各信号(ビーム)に対する最適な重みを決定することを含み、したがって、特定の方向に送信されるか、または特定の方向から受信される信号の信号対雑音比(SNR)を最大化する。
【0003】
空間信号処理は、信号間の変動の相関統計を記憶する共分散行列の使用を含み得る。共分散行列を計算することは、処理システムにとって非常に資源集約的である。例えば、16個の要素の4×4アレイに対して、136個の相関が計算されなければならない。これは、重要なハードウェア能力、言い換えれば、乗算器および/またはメモリを必要とする可能性がある。また、それは、強力な共通プロセッサまたは複雑な多重化スキームを必要とし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、適応ビーム形成中の共分散行列の計算のためのハードウェアを単純化する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
マルチビームアンテナの適応ビーム形成中に共分散行列を生成する方法及び装置が開示されている。この方法は、共分散行列を効率的に計算するために複素共役乗算器の共分散と時分割の上部右三角要素を使用する。加えて、可変数のビームが、マルチビームアンテナの動作環境に従って、共分散行列において選択されてもよい。
【0006】
一実施形態における本発明は、バッファに格納されたアンテナビームからの入力信号に基づいて、コンピュータプロセッサ内のデジタルビーム形成のための共分散行列を生成する方法を包含する。この手法はN=アンテナビームの数であるバッファからNの入力信号の集合を受け取るステップ、NxNの一時的共分散行列を生成するステップ、N入力信号を集合Aと集合Bに分割するステップ、集合Aに対して複素共役乗算演算を実行し、結果を前の集合A累積器結果に加算して集合A累積器に保存するステップ、集合Bに対して複素共役乗算演算を実行し、結果を前の集合B累積器結果に加算して集合B累積器に保存するステップ、および集合Aと集合Bの結果を組み合わせてNxNの共分散行列を形成するステップを含む。
【0007】
さらなる実施形態では各入力信号が複数のデータシンボルをさらに含み、この方法は複数のシンボルのそれぞれについて繰り返される。
【0008】
別の実施形態では、集合Aおよび集合Bの累積器が、共分散行列が生成された後にクリアされる。
【0009】
いくつかの実施形態では、データシンボルの数が例えば、42、84、または168であってもよい。
【0010】
上記の実施形態のいずれにおいても、アンテナビームの数は7であってもよい。
【0011】
さらなる実施形態では、本方法がNxNの共分散行列の対角要素の集合を決定するステップと、対角要素の集合内の要素ごとに、要素を定数でスケール変換するステップと、スケール変換された結果を対角要素の集合の最大要素と比較するステップと、マスキングインデックス内の対応する要素を真または偽としてマーキングするステップと、マスキングインデックスを用いてNxNの共分散行列内の要素を選択するステップとを含む。
【0012】
別の実施形態では、マスキングインデックスがNxNの共分散行列の行と列の両方で使用されてもよい。
【0013】
さらなる実施形態では、定数がアンテナの動作環境に基づく可変ビーム閾値であってもよい。
【0014】
別の実施形態では、本発明がマルチビームアンテナの1つまたは複数の素子からの入力信号をデジタルビーム形成するための共分散行列を生成する方法を実行するように構成されたコンピュータプロセッサ装置を包含する。コンピュータプロセッサ装置は、N=アンテナ光線の数であるNの入力信号を記憶するためのバッファと、Nの入力信号からNxNの一時的共分散行列を生成するための論理要素と、一時的共分散行列のN(N+1)/2の要素を受信し、一時的共分散行列の上右三角を有し、かつN(N+1)/2の要素を複素共役乗算器の集合に交互に結合するための第1のマルチプレクサと、複素共役乗算器の集合から出力を交互に受信する第1及び第2のN(N+1)/4の累積器の集合に分割されるN(N+1)/2の累積器の集合と、N(N+1)/4の複素共役乗算器の集合の入力に第1及び第2のN(N+1)/4の累積器の出力を交互に結合するための第2のマルチプレクサを含む。
【0015】
さらなる実施形態では、Nは7であってもよい。
【0016】
別の実施形態では、機器はまた、共分散行列の対角要素の集合を記憶するためのNのバッファと、対角要素の集合内の各要素を一定値だけスケール変換するためのスケール変換ロジック要素と、各スケール変換された要素を対角要素の集合の最大要素と比較し、比較の結果に対応する真または偽の出力を生成するための比較器と、対角要素の集合内の各要素に対する比較器の出力を記憶するためのNのマスクバッファとを含む。
【0017】
さらに別の実施形態では、装置がNのマスクバッファを使用して共分散行列の要素を選択するための選択装置を含む。
【0018】
別の実施形態では、定数値がマルチビームアンテナの動作環境に基づく可変ビーム閾値であってもよい。
【0019】
本発明の例示的な実施形態の特徴は、説明、特許請求の範囲、および添付の図面から明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】共分散行列を計算するための累積器を示す図である。
図2】共分散行列を計算するための装置を示す図である。
図3図2の共分散行列を用いた可変ビーム選択の方法を示す図である。
図4図3のマスクを用いて更新された共分散行列を示す。
図5】共分散行列による可変ビーム選択の一例を示す図である。
図6】共分散行列を処理するさらなる方法を示す図である。
図7】アルファベクトル内の要素を選択するために共分散行列マスクを使用するプロセスを示す図である。
図8】QR分解処理に用いるテーブルである。
図9】QR分解処理に用いる別のテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、本発明の1つ以上の実施形態を詳細に参照する。本発明はこれらの実施形態に関して説明されるが、本発明はいかなる特定の実施形態にも限定されないことが理解されるべきである。さらに、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に入る可能性がある代替物、修正物、および均等物を含む。さらに、以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な態様の詳細が記載される。本発明は、これらの特定の詳細の一部または全てがなくても実施することができる。他の例では、本発明を曖昧にすることを避けるために、周知の構造および動作原理は詳細に説明されていない。
【0022】
一般に、ビーム形成は、アンテナのアレイからの信号を組み合わせて、建設的干渉と破壊的干渉の原理を用いて指向性信号を送受信する。アレイ内の各アンテナによって検出される信号は端末から所望の信号を送信または受信するように、量を変化させることによって、位相調整されるか、または重み付けされる。一実施形態では、これはターゲット環境として周波数ホップシステムを使用するアルゴリズムで達成することができる。周波数ホップシステムは、異なる周波数チャネル間を迅速に切り替えることによって信号を伝送する。このアプローチは、AWGN(加法性白色ガウス雑音)と妨害環境を持つAWGNの両方を含むシナリオで動作可能である。さらに、このアプローチはまた、混雑した電気通信環境においてしばしば生じるような非敵対的な干渉の存在下で使用され得る。ビーム形成アルゴリズム及び装置は例えば、最尤アルファ推定器、シンボル品質推定器、及び動的雑音負荷を有する最適結合アルゴリズムを含むことができる。ビームアンテナ入力信号から生成される共分散行列とアルファ推定と同様にQR分解は、ビーム形成のための結合重みを生成するために使用される中間ステップのいくつかである。
【0023】
一実施形態によると、マルチビームアンテナは7つのアンテナを含むが、任意の数のアンテナを使用することができる。以下の説明において、単に説明の目的のために、7つのビームアンテナを考察する。ビーム形成は、NxNsym(N=アンテナビーム数およびNsym=各ビームからの記号の数)の行列Xである入力信号Xに対して実行される。7つのビームの実施形態では例えば、行列Xは7×42の寸法を有するものとして定義されてもよいが、Nsymの他の値、例えば、84または168が使用されてもよい。入力信号は次の式で与えられる。
【数1】
【0024】
典型的な7つのビームの実施形態には、Nsym[7×1]個の列ベクトルがある。たとえば、最初のシンボルの列ベクトルは次のように指定される。
【数2】
【0025】
各列ベクトルvが(第1の定義された列から開始して)読み出されると、一時共分散行列が以下のように計算される。
【数3】
【0026】
ここでv’=共役(v)とRXX=RXX+TmpRXX、initializeRXX=(7,7)のゼロ行列となる。実施形態では、v’=(v’)’であるので、RXXの対称共役特性のため上三角要素の累積結果から下三角が直接的に計算されるので、TmpRXXの右上三角要素のみを計算し、合計する必要がある。一実施形態ではAcc[1]からAcc[28]までの右上三角要素の累積器は全部で28個あり、それぞれの累積器は上から下および左から右に始まるRXXの上三角要素に対応する。この原理を表1に示す。
【表1】
【0027】
ダイナミックローディングを伴う共分散RXX計算のための複素共役乗算器・累積器100の表現が図1に示されている。乗算器・累積器100は、Acc=Ar+jAjの計算を実行する。v=a+jbとv+jd=c+jd=c’=c-jdとすると、v’=(a+jb)(c-jd)=(ac+bd)+j(bc-ad)となる。(ac+bd)=a(c+d)-d(a-b)および(bc-ad)=c(a+b)-a(c+d)であるので、乗算器・累積器100はArおよびAjを計算するために、102で表される加算器および104で表される乗算器を用いて設計される。累積反復回数と同様に、スケール係数はNsymによって異なる。累積器は、各ホップの開始時にクリアされる。
【0028】
一実施形態では、共分散行列が以下のステップに従って、図2に示すように反復的に計算される。(1)入力データバッファ202からv...v列ベクトルを読み出すステップ。(2)論理要素204内でTmpRxxを生成し、マルチプレクサ206に送信するステップ。(3)共用乗算器208内で複素共役乗算を実行し、マルチプレクサ210からの以前の結果に加算するステップ。(4)新しい7×7の結果を累積器レジスタ212内に格納して、次の反復の準備をするステップ。(5)ステップ1からステップ5を、42番目の反復処理まで繰り返すステップ。
【0029】
表1を参照して上述したように、7×7の共分散行列は、28個の要素の右上三角要素のみを使用して計算することができる。一実施形態では、本発明の実施が複素共役乗算器の数を半分に減らし、時分割スキームを使用することによって最適化される。表1の左3列に示される共分散行列の右上三角要素は表2に示されるように、集合Aおよび集合Bにさらに分割されてもよい。図2を参照すると、列ベクトルは、集合A及び集合Bに分割され、マルチプレクサ206に入力される。乗算器208は、216に乗算器#1を、218に乗算器#14を示す拡大図214に示されている。乗算器#2~#13は暗黙的に示さされている。マルチプレクサ206の出力220は、乗算器#1~#14の各々の入力222に時分割で接続され、その結果、表2に示されるような集合Aの結果が最初に計算され、次に集合Bの結果が計算される。各乗算器の出力224および226も同様に出力228に送られ、集合Aの結果が集合A累積器230に送られ、一方、集合ABの結果が集合AB累積器232に送られる。以前の結果は、累積器230および232からマルチプレクサ210を介して送られる。マルチプレクサ210の出力234は、各マルチプレクサ#1~#14の入力236及び238に結合される。
【表2】
【0030】
さらなる実施形態では、ビーム形成スピードおよび他の特性が図3~4に示される可変ビーム選択を使用してさらに最適化されてもよく、上述のように、最初の7×7の共分散行列RXXが計算された後、28個のエントリの上三角アレイが生成される。このアレイから、可変ビーム選択を、図3に示す以下のステップで計算することができる。
【0031】
図3の300に示すように、RXXから7つの対角要素をRXXDiag[0:6]として保存する。
【0032】
可変ビーム選択しきい値VarBeamThを選択する。この値は、妨害信号が存在するか否かのような動作信号環境に基づいて変化する定数であっても、プログラム可能な変数であってもよい。一実施形態では、VarBeamTh=96である。
【0033】
XXDiag[0:6]の要素ごとに、図3の302の定数VarBeamThで要素をスケール変換するステップを実行し、スケール変換された結果を304に示すようにMaxRXXDiagと比較し、306に示すようにRXXMask[0:6]インデックスの対応する要素を「真」または「偽」としてマーキングする。
【0034】
このRXXマスク[0:6]は、QR分解(QRD)の新しい更新RXXのインデックスを形成するために使用される。それはまた、QRDのためのアルファ推定およびアルファ更新プロセッサによって生成されたアルファベクトルから正しいアルファ要素を選択するために使用される。
【0035】
可変ビーム選択を使用する実施形態では、図4に示すように、RXXマスクを使用して新しく更新されたRXX共分散行列が生成される。
【0036】
RxxMask[0:6]は図4に示される以下のステップにおいて、新しく更新されたRxxに使用する要素を決定するために、列と行の両方に使用される。
【0037】
(1)RxxMaskを使用して、二次元アレイ300を形成する。RxxMask(col)402およびRxxMask(row)404と同じRxxMaskが列と行の両方で使用される。
【0038】
(2)RxxMask(col)402およびRxxMask(row)404に従って、真である行および列の両方の交差を有する要素を選択する。
【0039】
(3)最初に計算された上三角アレイから要素を抽出するために使用される6ビットインデックス(3ビット行×3ビット列)を形成する。
【0040】
QR分解(QRD)は、SGR処理のために一度に1つの要素しか必要とせず、上から下へ、および左から右へ進むことに留意されたい(図4の点線406)。QRDが更新されたRxxを処理する際にも、この規則は正しいが、一部の要素は使用されない。基本的には、元の7x7アレイの部分集合のみが使用される。
【0041】
新しく更新されたRxxは、7×7(すべての交差が真である場合)から1×1(1つの交差のみが真である)までとすることができる。この違いは、VarBeamThによって決定される。
【0042】
この方法の一例を図5に示す。この例では、VarBeamThが最初の7×7のRxxから3×3のRxxを抽出するために選択される。この例では、RxxMaskが真として設定されたビーム0、3および5を有すると仮定する。新しいRxx二次元アレイインデックスは図5に示されるように、(0,0)、(0,3)、(0,5)、(3,0)、(3,3)、(3,5)、(5,0)、(5,3)および(5,5)である。
【0043】
すべての新しいRxxインデックスがRxxMaskに基づいて決定された後、次のステップは図6に示されるように、最初の7x7の上三角累積アレイ(28個のエントリ)から対応する要素を抽出することである。新しいRxxインデックスは通常、前の図に示すように、QRDスケジューラに従って読み出される。新しいRXX要素を抽出するために、次の手順が実行される。
【0044】
(1)図6および表3(図8、800)に示すように、上三角マップ表600に新しいRXX6ビット索引を取る。このテーブルでは、アドレス入力列は新しいRXX6ビットインデックスで、アドレス出力はマッピングされた6ビットインデックスである。6ビット入力では63(0-63)のエントリが可能になるが、表示されるテーブルには7x7=49のエントリしかないため、使用されない入力アドレスは決して発生せず、無視されることに注意する。行および列の値に基づく入力アドレスの範囲は0~54であってもよいが、7、15、23、31、39および47などの特定の値は使用されない。使用される値は、3ビット行と3ビット列の連結から導出される。表3と表4との比較は、最初の7×7の上三角累算アレイの対応する要素を示す。
【0045】
(2)マッピングされた6ビットの下位5ビットを使用して、図6の7×7の上三角アレイ602および表4(28エントリ)(図9、802)にインデックスを付け、正しい要素を得る。上三角には28個(0~27)のエントリしかなく、5ビットが32個のエントリを意味するので、テーブル4の値28~31は使用されない/無視される。
【0046】
(3)図6の604で出力要素をスケール変換した後、マッピングされた6ビットの最上位ビットを使用して、マルチプレクサ606において、図6に示すような処理のためにQRDの共役値と非共役値との間で選択する。
【0047】
可変ビーム選択方法はまた、QR分解(QRD)で処理するアルファ要素を選択するために使用されてもよい。図7に示すように、アルファベクトル要素は、図3からのRXXマスクに基づいて選択される。RXXマスク700内のマスクビットの位置またはインデックスごとに、真になるように設定され、次に、対応するアルファ要素702が選択される。言い換えれば、同じインデックスが、QRDに送られた入力アルファベクトル704からアルファ要素を抽出するために使用される。可変ビーム選択が使用されない場合、換言すれば、7つのビーム全てで処理が実行された場合、アルファ要素選択は必要とされない。図3の例に基づく表現を表5に示すが、これはアドレス出力の5ビットlsb(最下位ビット)に基づいてQRDに送信する正しい要素を得るために、入力インデックスを上三角表4にマッピングする方法を示す。QRDは、一度に1つの要素を処理することに留意されたい。1ビットmsb(最上位ビット)が真であるときはいつでも、スケール変換された出力の共役を取る。
【表5】

(表5)
【0048】
使用され、別段の記載がない限り、用語「上」、「下」、「前」、「後」、「上」、「下」、および同様のそのような用語は、本発明を特定の向きに限定するものと解釈されるべきではない。代わりに、これらの用語は、相対的にのみ使用される。
【0049】
一例で上述した装置は、1つまたは複数の電子構成要素またはハードウェア構成要素などの複数の構成要素を備える。多数のそのような構成要素は、装置内で組み合わされるか、または分割されることが可能である。一例における装置は任意の(例えば、水平、斜め、または垂直)向きを含み、本明細書の説明および図は説明の目的のために、装置の1つの例示的な向きを示す。
【0050】
本明細書で説明されるステップまたは動作は単なる例である。本発明の精神から逸脱することなく、これらのステップまたは動作に多くの変形があり得る。例えば、ステップは異なる順序で実行されてもよく、あるいはステップが追加、削除、または修正されてもよい。本発明の例示的な実施態様を本明細書に示し、詳細に説明したが、本発明の精神から逸脱することなく、様々な修正、追加、置換などを行うことができ、したがって、これらは以下の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内にあると考えられることが、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9