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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】レール積み下ろし装置
(51)【国際特許分類】
   E01B 29/16 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
E01B29/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023191732
(22)【出願日】2023-11-09
【審査請求日】2023-11-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】312000561
【氏名又は名称】昭栄工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592169806
【氏名又は名称】シーエヌ建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 洋介
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 康人
(72)【発明者】
【氏名】青木 太治
(72)【発明者】
【氏名】安藤 泰晴
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-210780(JP,A)
【文献】実公昭44-021842(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3116107(JP,U)
【文献】実開平07-038076(JP,U)
【文献】実開昭52-049408(JP,U)
【文献】特開平09-164946(JP,A)
【文献】特開平07-228484(JP,A)
【文献】国際公開第2017/194184(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 29/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール(15)を走行するレール運搬車(10)に備えられるレール積み下ろし装置(20)において、
前記レール運搬車の車幅方向の両端部にそれぞれ設けられた土台部(22A,22B)と、
前記各土台部から上方に延びる支柱部(23A,23B)と、
前記各支柱部に支持されるとともに、前記車幅方向に延びる桁部(24)と、
前記桁部の長手方向に沿って移動可能に前記桁部に設けられ、レールを吊り下げる吊り下げ装置(30)と、
前記各支柱部に対応して個別に設けられ、前記支柱部を回動させて倒した状態にする支柱回動機構(55A,55B)と、
前記各支柱部に対応して個別に設けられ、前記各支柱部の上端部と前記桁部とを連結する連結機構(60A,60B)と、
を備え、
前記各連結機構は、
前記支柱部の上端部に設けられ、前記桁部の長手方向と直交する水平方向に貫通する柱側貫通孔(82)が形成された柱側ジョイント部(80)と、
前記桁部に設けられ、前記桁部の長手方向と直交する水平方向に貫通する桁側貫通孔(71)が形成された桁側ジョイント部(70)と、
を有し、
前記桁側ジョイント部には、前記桁側貫通孔を円弧中心とし、下向きに凸となる桁側円弧面(72)が形成されており、
前記柱側ジョイント部には、前記柱側貫通孔を円弧中心とし、下向きに凹む柱側円弧面(83)が形成されており、
前記桁側円弧面の曲率半径と、前記柱側円弧面の曲率半径とは同等であり、
前記各連結機構は、前記桁側円弧面と前記柱側円弧面とが当接した状態で、前記桁側貫通孔及び前記柱側貫通孔に挿通されるピン部材(90)を有する、レール積み下ろし装置。
【請求項2】
前記柱側ジョイント部のうち、前記柱側円弧面の周方向において前記柱側円弧面に隣接する部分には、前記柱側円弧面の周方向端部の接線方向に延びる柱側傾斜面(84)が形成されており、
前記桁側ジョイント部のうち、前記桁側円弧面の周方向において前記桁側円弧面に隣接する部分には、前記桁側円弧面の周方向端部の接線方向に延びる傾斜面であって、前記柱側傾斜面が当接する桁側傾斜面(73)が形成されており、
前記桁側傾斜面が前記柱側傾斜面に当接した状態において、水平方向に対する前記桁部の傾斜角度(θ)が所定角度に制限される、請求項1に記載のレール積み下ろし装置。
【請求項3】
前記桁部は、前記車幅方向の両側において前記支柱部よりも外側まで延びており、
前記桁部の長手方向における端部と、前記土台部又は前記支柱部とを連結するとともに、長さを調整可能な伸縮部(40A,40B)を備え、
前記伸縮部の長手方向における前記桁部側の端部は、前記桁部の長手方向と直交する水平方向まわりに回動可能に前記桁部に連結されており、
前記伸縮部の長手方向における前記土台部側の端部は、前記桁部の長手方向と直交する水平方向まわりに回動可能に前記土台部に連結されている、請求項2に記載のレール積み下ろし装置。
【請求項4】
前記伸縮部は、作業者により長さを調整可能なターンバックル(41A,41B)を有する、請求項3に記載のレール積み下ろし装置。
【請求項5】
駆動回転体(37)が取り付けられた回転軸を有し、前記桁部の長手方向の一端部に設けられたモータ(36)と、
前記桁部の長手方向の他端部に設けられた従動回転体(38)と、
前記駆動回転体と前記従動回転体とに巻き掛けられた伝動無端帯(39)と、
を備え、
前記駆動回転体及び前記従動回転体は、前記桁部の長手方向と直交する水平方向を回転中心として回転可能に構成されており、
前記吊り下げ装置は、前記駆動回転体の回転による前記伝動無端帯の移動に伴って移動するように構成されている、請求項2~4のいずれか1項に記載のレール積み下ろし装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールを走行するレール運搬車に備えられるレール積み下ろし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置としては、特許文献1に記載されているように、レールを走行する台車と、台車のうち車幅方向の端部に設けられた支柱と、支柱の上端部から車幅方向に延びるアームとを備えるものが知られている。アームには、アームの長手方向に沿って移動可能に設けられ、レールを吊り下げるクレーンが設けられている。この装置によれば、台車の車幅方向の一方側からレールを積み下ろしできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6621090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レールの積み下ろし作業の作業性を高める上では、レール積み下ろし装置の改善の余地がある。
【0005】
本発明は、レール積み下ろし作業の作業性を高めることができるレール積み下ろし装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、レールを走行するレール運搬車に備えられるレール積み下ろし装置において、
前記レール運搬車の車幅方向の両端部にそれぞれ設けられた土台部と、
前記各土台部から上方に延びる支柱部と、
前記各支柱部に支持されるとともに、前記車幅方向に延びる桁部と、
前記桁部の長手方向に沿って移動可能に前記桁部に設けられ、レールを吊り下げる吊り下げ装置と、
前記各支柱部に対応して個別に設けられ、前記支柱部を回動させて倒した状態にする支柱回動機構と、
前記各支柱部に対応して個別に設けられ、前記各支柱部の上端部と前記桁部とを連結する連結機構と、
を備え、
前記各連結機構は、
前記支柱部の上端部に設けられ、前記桁部の長手方向と直交する水平方向に貫通する柱側貫通孔が形成された柱側ジョイント部と、
前記桁部に設けられ、前記桁部の長手方向と直交する水平方向に貫通する桁側貫通孔が形成された桁側ジョイント部と、
を有し、
前記桁側ジョイント部には、前記桁側貫通孔を円弧中心とし、下向きに凸となる桁側円弧面が形成されており、
前記柱側ジョイント部には、前記柱側貫通孔を円弧中心とし、下向きに凹む柱側円弧面が形成されており、
前記桁側円弧面の曲率半径と、前記柱側円弧面の曲率半径とは同等であり、
前記各連結機構は、前記桁側円弧面と前記柱側円弧面とが当接した状態で、前記桁側貫通孔及び前記柱側貫通孔に挿通されるピン部材を有する。
【0007】
支柱部の上端部に設けられた柱側ジョイント部には、柱側貫通孔を円弧中心とし、下向きに凹む柱側円弧面が形成されている。桁部に設けられた桁側ジョイント部には、桁側貫通孔を円弧中心とし、下向きに凸となる桁側円弧面が形成されている。
【0008】
ここで、桁側円弧面の曲率半径と、柱側円弧面の曲率半径とは同等である。このため、桁側円弧面を柱側円弧面に当接させることによって桁側貫通孔の中心と柱側貫通孔の中心とが同軸上に位置するようになる。これにより、桁側貫通孔と柱側貫通孔との位置決め精度を高めることができる。その結果、桁側円弧面を柱側円弧面に当接させた状態で、桁側貫通孔及び柱側貫通孔にピン部材を挿通しやすくできる。
【0009】
以上説明した構成は、レール運搬車の車幅方向のどちら側からでもレールの積み下ろしをできるようにするためのものである。ここで、2つの支柱部のうち、一方を第1支柱部(23A)と称し、他方を第2支柱部(23B)と称すこととする。また、第1支柱部に対応して設けられた連結機構を第1連結機構(60A)と称し、第2支柱部に対応して設けられた連結機構を第2連結機構(60B)と称すこととする。以下では、まず、レール運搬車の車幅方向において第1支柱部側をレール積み下ろし側とする場合について説明し、その後、レール積み下ろし側を第1支柱部側から第2支柱部側に切り替える場合について説明する。
【0010】
まず、第1支柱部側をレール積み下ろし側とする場合について説明する。
【0011】
桁部が第1,第2支柱部により支持された状態において、第1連結機構のピン部材が桁側貫通孔及び柱側貫通孔から取り外される。その後、第2連結機構のピン部材を回動中心として、桁部が第1支柱部の上端部から離れるように桁部を回動させる。そして、第1支柱部に設けられた支柱回動機構により、第1支柱部が倒された状態にされる。
【0012】
その後、第2連結機構のピン部材を回動中心として、桁部が水平状態になるまで桁部を回動させる。これにより、レール運搬車の車幅方向において第1支柱部側から、吊り下げ装置によりレールの積み下ろしをできるようになる。
【0013】
続いて、レール積み下ろし側を第1支柱部側から第2支柱部側に切り替える場合について説明する。
【0014】
第2連結機構のピン部材を回動中心として、桁部の第1支柱部側を持ち上げるように桁部を回動させる。そして、第1支柱部に設けられた支柱回動機構により、第1支柱部が直立状態にされる。その後、第2連結機構のピン部材を回動中心として、第1連結機構の桁側円弧面と柱側円弧面とが当接するまで桁部が回動させられる。ここで、桁側円弧面の曲率半径と、柱側円弧面の曲率半径とが同等であるため、桁側円弧面と柱側円弧面とが当接すると、第1連結機構において、桁側貫通孔の中心と柱側貫通孔の中心とが同軸上になる。これにより、第1連結機構において、桁側貫通孔及び柱側貫通孔にピン部材を挿通しやすくなる。その結果、レール積み下ろし側を第1支柱部側から第2支柱部側に切り替える場合の作業性を高めることができる。
【0015】
その後、第2連結機構において、ピン部材が桁側貫通孔及び柱側貫通孔から取り外される。その後、第1連結機構のピン部材を回動中心として、桁部が第2支柱部の上端部から離れるように桁部が回動させられる。そして、第2支柱部に設けられた支柱回動機構により、第2支柱部が倒された状態にされる。
【0016】
その後、第1連結機構のピン部材を回動中心として、桁部が水平状態になるまで桁部が回動させられる。これにより、レール運搬車の車幅方向において第2支柱部側から、吊り下げ装置によりレールの積み下ろしをできるようになる。
【0017】
以上説明した本発明によれば、レール積み下ろし作業の作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】レール運搬車の側面図。
図2】レール運搬車の正面図。
図3】桁部の上面図。
図4】支柱回動機構により直立状態にされた支柱部の側面図。
図5】支柱回動機構により倒された状態にされた支柱部の側面図。
図6】桁側ジョイント部を示す図。
図7】柱側ジョイント部を示す図。
図8】桁側ジョイント部及び柱側ジョイント部がピン部材により連結された状態を示す図。
図9図8の9-9線断面図。
図10】桁部が傾斜状態の場合における各ジョイント部及びピン部材の断面図。
図11】第1サイド支持部による連結を解除した状態のレール運搬車の正面図。
図12】桁部の第1支柱部側を持ち上げた状態のレール運搬車の正面図。
図13】第1支柱部側からレールを積み込む場合のレール運搬車の正面図。
図14】第2サイド支持部による連結を解除した状態のレール運搬車の正面図。
図15】桁部の第2支柱部側を持ち上げた状態のレール運搬車の正面図。
図16】第2支柱部側からレールを積み下ろす場合のレール運搬車の正面図。
図17】土台回動機構の平面図。
図18図17の18-18線断面図。
図19】玉配置部の平面図。
図20】載置部に対して土台部が離間した状態を示す土台回動機構の断面図。
図21】土台部及び桁部の回動態様の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るレール積み下ろし装置を具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。レール積み下ろし装置は、軌道を走行するレール運搬車に備えられている。
【0020】
図1及び図2に示すように、レール運搬車10は、台車11と、台車11の下部に設けられた車輪12とを備えている。レール運搬車10は、鉄道車両が走行するための一対のレール15を走行する。
【0021】
台車11には、レール積み下ろし装置20が設けられている。レール積み下ろし装置20は、この装置の土台構造として、台車11の上部に固定されたベース部21と、第1土台部22Aと、第2土台部22Bとを備えている。第1土台部22Aは、ベース部21のうち、レール運搬車10の車幅方向の一端側に設けられ、第2土台部22Bは、車幅方向の他端側に設けられている。第1土台部22A及び第2土台部22Bは、ベース部21のうち、レール運搬車10の車長方向の中央部に設けられており、矩形板状をなしている。
【0022】
レール積み下ろし装置20は、第1土台部22Aから上方に延びる第1支柱部23Aと、第2土台部22Bから上方に延びる第2支柱部23Bと、各支柱部23A,23Bに支持される桁部24とを備えている。桁部24は、レール運搬車10の車幅方向に延びている。桁部24は、長手方向の両側において第1,第2支柱部23A,23Bよりも外側まで延びており、具体的には、台車11の車幅方向の端部よりも外側まで延びている。
【0023】
第1支柱部23Aは、レール運搬車10に車長方向(進行方向)に並んで第1土台部22Aに2つ設けられており、第2支柱部23Bも、図1に示すように、車長方向に並んで2つ設けられている。桁部24は、図3に示すように、平行に延びる2つの第1,第2桁部25A,25Bと、第1,第2桁部25A,25Bの長手方向の両端部を連結する桁連結部26とを備えている。車幅方向において同一位置に設けられた2組の第1,第2支柱部23,23Bのうち、一方の組に第1桁部25Aが支持され、他方の組に第2桁部25Bが支持される。
【0024】
レール積み下ろし装置20は、桁部24の長手方向に沿って移動可能に桁部24に設けられた吊り下げ装置30を備えている。吊り下げ装置30は、チェーンブロック31と、チェーンブロック31が搭載されるとともに車輪32を有する移動体33とを備えている。移動体33は、各桁部25A,25Bを跨いだ状態で桁部25A,25Bの上部に設けられ、車輪32によって桁部25A,25Bの長手方向に移動可能とされている。移動体33は、桁部24において、各支柱部23A,23Bとの連結部分よりも長手方向外側まで移動可能になっている。これにより、台車11の車幅方向外側の地面に置かれたレール(例えば交換用レール)を吊り下げることができる。
【0025】
本実施形態のチェーンブロック31は、電動式のものであり、各桁部25A,25Bの間の隙間から下方に垂らされたチェーン34と、チェーン34の下端部に設けられたフック35とを備えている。なお、チェーン34に代えて、ワイヤが用いられてもよい。
【0026】
レール積み下ろし装置20は、移動体33を移動させるための構成として、移動体33の移動動力源となるモータ36と、駆動スプロケット37(「駆動回転体」に相当)と、従動スプロケット38(「従動回転体」に相当)と、伝動チェーン39(「伝動無端帯」に相当)とを備えている。モータ36は、桁部24の長手方向の両端部のうち第1支柱部23A側の端部に設けられている。モータ36の回転軸は、桁部24の長手方向と直交する水平方向に延びており、駆動スプロケット37が取り付けられている。従動スプロケット38は、桁部24の長手方向の両端部のうち第2支柱部23B側の端部に設けられている。各スプロケット37,38は、桁部24の長手方向と直交する水平方向を回転中心として回転可能に構成されている。各スプロケット37,38には、伝動チェーン39が巻き掛けられている。
【0027】
モータ36への通電制御により、モータ36の回転軸が第1回転方向に回転(例えば図2において右回転)する場合、モータ36の回転動力が伝動チェーン39を介して移動体33に伝わる。これにより、移動体33は、桁部24において第1方向(例えば右方向)に移動する。一方、モータ36の回転軸が、第1回転方向とは逆方向の第2回転方向に回転(例えば図2において左回転)する場合、移動体33は、桁部24において第1方向とは逆方向の第2方向(例えば左方向)に移動する。なお、移動体33の移動及びフック35の昇降動作は、レール積み下ろし装置20が備える図示しないコントローラが作業者により操作されることにより制御される。
【0028】
レール積み下ろし装置20は、第1支柱部23Aに対する桁部24の片持ち支持状態を維持するための第1片持ち支持部として、第1サイド支持部40A(「伸縮部」に相当)を備えている。第1サイド支持部40Aは、桁部24の長手方向両端部のうち第1支柱部23A側の端部と、第1土台部22Aとを連結する部材であり、第1サイドターンバックル41Aと、第1サイド連結部42Aとを備えている。
【0029】
第1サイドターンバックル41Aは、棒状のターンバックル本体と、ターンバックル本体の両端部に設けられたネジ部とを備えている。ターンバックル本体に設けられた取手部43Aが作業者に回転操作されることにより、ターンバックル本体が回転すると、第1サイドターンバックル41Aの長さが調整される。なお、本実施形態の第1サイドターンバックル41Aにおいて、ターンバックル本体の雌ネジ及びネジ部の雄ネジとして、台形ねじが形成されている。
【0030】
第1サイドターンバックル41Aの第1端部は、桁部24の長手方向と直交する水平方向を回動中心として、桁部24の長手方向における第1支柱部23A側の端部に回動可能に連結されている。
【0031】
第1サイドターンバックル41Aの第2端部と第1サイド連結部42Aの第1端部とは、第1サイド用ピン部材44Aを介して、第1サイド用ピン部材44Aを回動中心として回動可能に連結されている。第1サイド連結部42Aの第2端部は、桁部24の長手方向と直交する水平方向を回動中心として、第1土台部22Aに回動可能に連結されている。
【0032】
レール積み下ろし装置20は、第2支柱部23Bに対する桁部24の片持ち支持状態を維持するための第2片持ち支持部として、第2サイド支持部40B(「伸縮部」に相当)を備えている。第2サイド支持部40Bは、桁部24の長手方向両端部のうち第2支柱部23B側の端部と、第2土台部22Bとを連結する部材であり、取手部43Bを有する第2サイドターンバックル41Bと、第2サイド連結部42Bと、第2サイド用ピン部材44Bとを備えている。なお、第2サイド支持部40Bの構成は、第1サイド支持部40Aの構成と同様である。このため、第2サイド支持部40Bの詳細な説明を省略する。
【0033】
レール積み下ろし装置20は、第1支柱部23Aに対する桁部24の片持ち支持状態をサポートするための第1センター支持部として、第1センターターンバックル50Aを備えている。第1センターターンバックル50Aは、各桁部25A,25Bに対応して個別に設けられている。第1センターターンバックル50Aの第1端部は、桁部24のうち長手方向中央部よりも第1支柱部23Aよりに設けられた第1センター連結部27Aに、桁部24の長手方向と直交する水平方向を回動中心として回動可能に連結されている。第1センターターンバックル50Aの第2端部は、第1支柱部23Aのうち長手方向中央部よりも上側の部分に、桁部24の長手方向と直交する水平方向を回動中心として回動可能に連結されている。第1センターターンバックル50Aのターンバックル本体に設けられた取手部51Aが作業者に回動操作されることにより、第1センターターンバックル50Aが伸縮する。なお、第1センターターンバックル50Aは、第1センター連結部27A及び第1支柱部23Aから取り外し可能に構成されている。
【0034】
レール積み下ろし装置20は、第2支柱部23Bに対する桁部24の片持ち支持状態をサポートするための第2センター支持部として、取手部51Bを有する第2センターターンバックル50Bを備えている。第2センターターンバックル50Bの第1端部は、桁部24のうち長手方向中央部よりも第2支柱部23Bよりに設けられた第2センター連結部27Bに連結されている。なお、第2センターターンバックル50Bの構成は、第1センターターンバックル50Aの構成と同様である。このため、第2センターターンバックル50Bの詳細な説明を省略する。
【0035】
レール積み下ろし装置20は、レール運搬車10の車幅方向両側のどちらからでもレールの積み下ろしをできるようにするため第1の特徴的構成と、ベース部21に対して各土台部22A,22Bを回動させる第2の特徴的構成とを備えている。以下、各特徴的構成について順に説明する。
【0036】
<第1の特徴的構成>
まず、第1の特徴的構成について説明する。
【0037】
各第1支柱部23Aの下端部には、第1支柱回動機構55Aが設けられている。第1支柱回動機構55Aは、各第1支柱部23Aの上端部から桁部24が離間した状態において、桁部24の長手方向を回動中心として、第1土台部22Aに対して第1支柱部23Aを回動させて倒した状態又は直立状態にする機構である。各第1支柱部23Aは、図4及び図5に示すように、各第1支柱部23Aの並び方向において互いに離間するように、第1土台部22Aに対して倒した状態とされる。なお、第1支柱回動機構55Aは、各第1支柱部23A同士が接触しないようにするための構成として、各第1支柱部23Aの直立状態をサポートするストッパ部56Aを備えている。
【0038】
各第2支柱部23Bの下端部には、第2支柱回動機構55Bが設けられている。第2支柱回動機構55Bは、各第2支柱部23Bの上端部から桁部24が離間した状態において、桁部24の長手方向を回動中心として、第2土台部22Bに対して第2支柱部23Bを回動させて倒した状態又は直立状態にする機構である。なお、第2支柱回動機構55Bの構成は、第1支柱回動機構55Aの構成と同様である。このため、第2支柱回動機構55Bの詳細な説明を省略する。
【0039】
第1支柱部23Aの上端部と桁部24とは、第1連結機構60Aによって連結され、第2支柱部23Bの上端部と桁部24とは、第2連結機構60Bによって連結されている。各連結機構60A,60Bの構成が同様のため、以下、第1連結機構60Aを例にして説明する。
【0040】
図2,6~9に示すように、第1連結機構60Aは、各桁部24の下端部に設けられた桁側ジョイント部70と、各第1支柱部23Aの上端部に設けられた柱側ジョイント部80とを備えている。
【0041】
桁側ジョイント部70には、図6に示すように、桁部24の長手方向と直交する水平方向に貫通する桁側貫通孔71が形成されている。桁側ジョイント部70の下端部には、桁側貫通孔71の中心O1を円弧中心とし、下向きに凸となる桁側円弧面72が形成されている。図6において、桁側円弧面72は、点A1から点A2までの円弧面である。
【0042】
柱側ジョイント部80は、図7,8に示すように、桁側貫通孔71の貫通方向に並ぶ2つの接続部81と、各接続部81の間の部分であって下側に凹む凹部82とを備えている。各接続部81には、桁部24の長手方向と直交する水平方向に貫通する柱側貫通孔85が形成されている。各接続部81の柱側貫通孔85の中心は同軸である。各柱側貫通孔85の内径寸法と、桁側貫通孔71の内径寸法とは同等(具体的には同じ)である。
【0043】
柱側ジョイント部80の凹部82には、図7に示すように、柱側貫通孔85の中心O2を円弧中心とし、下向きに凹む柱側円弧面83が形成されている。図7において、柱側円弧面83は、点B1から点B2までの円弧面である。
【0044】
第1連結機構60Aは、桁側円弧面72と柱側円弧面83とが当接した状態で、桁側貫通孔71及び柱側貫通孔85に挿通されるピン部材90を備えている。桁側円弧面72の曲率半径R1と、柱側円弧面83の曲率半径R1とは同等(具体的には同じ)である。これにより、桁側円弧面72と柱側円弧面83とが当接した状態における桁側貫通孔71及び柱側貫通孔85の中心位置の位置決めを容易かつ高精度に行うことができる。
【0045】
各ジョイント部70,80には、水平方向に対する桁部24の傾斜角度θを制限するための構成がもうけられている。詳しくは、図6に示すように、桁側ジョイント部70のうち、桁側円弧面72の周方向において桁側円弧面72に隣接する両側部分には、桁側円弧面72の周方向端(A1,A2)の接線方向に延びる平面である桁側傾斜面73が形成されている。
【0046】
図7に示すように、柱側ジョイント部80のうち、柱側円弧面83の周方向において柱側円弧面83に隣接する両側部分には、柱側円弧面83の周方向端(B1,B2)の接線方向に延びる平面である柱側傾斜面84が形成されている。柱側傾斜面84は、桁側傾斜面73に当接する傾斜面である。
【0047】
図9,10に示すように、ピン部材90を回動中心として桁部24が回動させられて桁側傾斜面73が柱側傾斜面84に当接すると、水平方向に対する桁部24の傾斜角度θが所定角度に制限される。これにより、桁部24が傾きすぎることを防止できる。なお、所定角度は、例えば、15度以下、12度以下、9度以下又は6度以下の角度である。所定角度が小さめに設定されていることにより、桁部24の持ち上げに要する作業者の作業負荷を軽減できる。
【0048】
続いて、レール運搬車10の車幅方向において第1支柱部23A側(左側)をレールの積み下ろし側とする場合について説明し、その後、レールの積み下ろし側を第1支柱部23A側から第2支柱部23B側(右側)に切り替える場合について説明する。
【0049】
まず、第1支柱部23A側をレールの積み下ろす側とする場合における作業者の作業方法について説明する。以下では、図2に示した状態からの作業方法について説明する。
【0050】
図11に示すように、第1サイドターンバックル41Aと第1サイド連結部42Aとを連結する第1サイド用ピン部材44Aを取り外す。これにより、第1サイドターンバックル41Aと第1サイド連結部42Aとの連結が解除される。なお、第1サイドターンバックル41Aは、例えば、各桁部25A,25Bの間に収容されればよい。また、第1サイド連結部42Aは、例えば、ベース部21に倒した状態にすればよい。なお、以降で説明する図11,12では、第1サイドターンバックル41A及び第1サイド連結部42Aの図示を省略する。
【0051】
続いて、第1センターターンバックル50Aを第1センター連結部27A及び第1支柱部23Aから取り外し、第2センターターンバックル50Bの第2端部を第2支柱部23Bから取り外す。また、第1連結機構60Aのピン部材90を桁側貫通孔71及び柱側貫通孔85から取り外す。そして、第2サイドターンバックル41Bの取手部43Bが作業者に回転操作されることにより、第2サイドターンバックル41Bの長さが短くなる。その結果、図12に示すように、第2連結機構60Bのピン部材90を回動中心として、桁部24の桁側ジョイント部70が第1支柱部23Aの柱側ジョイント部80から離れるように桁部24が回動させられる。詳しくは、第2連結機構60Bの柱側傾斜面84が桁側傾斜面73に当接して桁部24の傾斜角度θが所定角度になるまで、桁部24が傾斜させられる。
【0052】
第2サイドターンバックル41Bの第1端部が桁部24の長手方向端部に連結されている。このため、第2サイドターンバックル41Bの長さを短くする場合において、桁部24を持ち上げるためのピン部材90まわりのモーメントを大きくできる。その結果、作業者の作業負荷を軽減できる。
【0053】
吊り下げ装置30を移動させるためのモータ36及び従動スプロケット38が桁部24の長手方向において分散配置されている。これにより、桁部24を持ち上げるために要するピン部材90まわりのモーメントを小さくでき、作業者の作業負荷を軽減できる。
【0054】
なお、第2連結機構60Bのピン部材90を回動中心として桁部24を傾斜させる場合、吊り下げ装置30の位置を、桁部24のうち長手方向中央部よりも第2支柱部23B寄りの位置にしておいてもよい。これにより、桁部24を持ち上げるために要するピン部材90まわりのモーメントを小さくでき、作業者の作業負荷を軽減できる。
【0055】
その後、図13に示すように、第1支柱回動機構55Aにより、各第1支柱部23Aを倒した状態にする。そして、第2サイドターンバックル41Bの取手部43Bが作業者に回転操作されることにより、第2サイドターンバックル41Bの長さが長くなる。その結果、第2連結機構60Bのピン部材90を回動中心として桁部24が回動し、桁部24が水平状態となる。その後、桁部24の第2センター連結部27Bと第2支柱部23Bとを第2センターターンバックル50Bによって連結する。
【0056】
これにより、レール運搬車10の車幅方向において第1支柱部23A側から、吊り下げ装置30によりレールRLを積み下ろすことができる。図13には、台車11の車幅方向外側の地面に置かれたレールRLを吊り下げ装置30によって吊り下げる例を示す。その後、チェーンブロック31によりチェーン34を巻き取り、モータ36の駆動によって吊り下げ装置30を移動させ、レールRLをベース部21に積み込む。
【0057】
続いて、レールの積み下ろし側を第1支柱部23A側から第2支柱部23B側に切り替える場合について説明する。
【0058】
図13に示す状態において、第2サイドターンバックル41Bの取手部43Bが作業者に回転操作されることにより、第2連結機構60Bのピン部材90を回動中心として、桁部24の第1支柱部23A側を持ち上げるように桁部24を回動させる。そして、第1支柱回動機構55Aにより、第1支柱部23Aを直立状態にする。
【0059】
その後、第2サイドターンバックル41Bの取手部43Bが作業者に回転操作されることにより、第2連結機構60Bのピン部材90を回動中心として、第1連結機構60Aの桁側円弧面72と柱側円弧面83とが当接するまで桁部24を回動させる(図14参照)。ここで、桁側円弧面72の曲率半径R1と、柱側円弧面83の曲率半径R2とが同等であるため、桁側円弧面72と柱側円弧面83とが当接すると、第1連結機構60Aにおいて桁側貫通孔71及び柱側貫通孔85が連通した状態となる。これにより、第1連結機構60Aにおいて、桁側貫通孔71及び柱側貫通孔85にピン部材90を挿通しやすくなる。その結果、レールの積み下ろし側を第1支柱部23A側から第2支柱部23B側に切り替える場合の作業性を高めることができる。
【0060】
その後、第2センターターンバックル50B材を第2センター連結部27B及び第2支柱部23Bから取り外す。また、第1センターターンバックル50Aの第1端部を第1センター連結部27Aに連結する。
【0061】
第2連結機構60Bにおいて、ピン部材90を桁側貫通孔71及び柱側貫通孔85から取り外す。また、第2サイドターンバックル41Bと第2サイド連結部42Bとを連結する第2サイド用ピン部材44Bを取り外す。これにより、第2サイドターンバックル41Bと第2サイド連結部42Bとの連結が解除される。なお、第2サイドターンバックル41Bは、例えば、各桁部25A,25Bの間に収容されればよい。また、第2サイド連結部42Bは、例えば、ベース部21に倒した状態にすればよい。なお、以降で説明する図15,16では、第2サイドターンバックル41B及び第2サイド連結部42Bの図示を省略する。
【0062】
第1サイド支持部40Aによって桁部24と第1支柱部23Aとを連結する。そして、第1サイドターンバックル41Aの取手部43Aが作業者に回転操作されることにより、第1サイドターンバックル41Aの長さが短くなる。その結果、図15に示すように、第1連結機構60Aのピン部材90を回動中心として、桁部24の桁側ジョイント部70が第2支柱部23Bの柱側ジョイント部80から離れるように桁部24が回動させられる。詳しくは、第1連結機構60Aの柱側傾斜面84が桁側傾斜面73に当接して桁部24の傾斜角度θが所定角度になるまで、桁部24が傾斜させられる。
【0063】
なお、第1連結機構60Aのピン部材90を回動中心として桁部24を傾斜させる場合、吊り下げ装置30の位置を、桁部24のうち長手方向中央部よりも第1支柱部23A寄りの位置にしておいてもよい。これにより、作業者の作業負荷を軽減できる。
【0064】
その後、第2支柱回動機構55Bにより、各第2支柱部23Bを倒した状態にする(図16参照)。そして、第1サイドターンバックル41Aの取手部43Aが作業者に回転操作されることにより、第1サイドターンバックル41Aの長さが長くなる。その結果、第1連結機構60Aのピン部材90を回動中心として、桁部24が回動し、桁部24が水平状態となる。その後、桁部24の第1センター連結部27Aと第1支柱部23Aとを第1センターターンバックル50Aによって連結する。
【0065】
これにより、レール運搬車10の車幅方向において第2支柱部23B側から、吊り下げ装置30によりレールを積み下ろすことができる。図16には、ベース部21に載置されたレールRLを第2支柱部23B側から地面に下す例を示す。
【0066】
以上説明した第1の特徴的構成によれば、レール積み下ろし作業の作業性を高めることができる。また、レール積み下ろし側の切り替えを作業者の人力のみで行うことができる。
【0067】
<第2の特徴的構成>
続いて、図17,18を用いて、ベース部21に対して各土台部22A,22Bを回動させる第2の特徴的構成について説明する。レール積み下ろし装置20は、各土台部22A,22Bに対応した土台回動機構100を備えている。各土台部22A,22Bに対応した土台回動機構100は同様の構成のため、以下、第1土台部22Aに対応する土台回動機構100を例にして説明する。
【0068】
土台回動機構100は、上下方向に延びる軸線を回動中心としてベース部21に対して第1土台部22Aを回動させる機構である。第1土台部22Aは、矩形板状をなしている。第1土台部22Aの中央部には、上下方向に貫通する貫通孔101が形成されている。2つの第1支柱部23Aの下端部に設けられた第1支柱回動機構55Aは、貫通孔101を挟んで第1土台部22Aに固定されている。
【0069】
土台回動機構100は、ベース部21に設けられた載置部102を備えている。載置部102は、平面視において矩形状をなしており、載置部102の上部は、水平方向に延びる平坦な載置面103とされている。第1土台部22Aの裏面は平坦面とされており、第1土台部22Aの裏面が載置面103に当接した状態で第1土台部22Aが載置部102に載置されている。なお、載置部102は、ベース部21の一部であってもよいし、ベース部21とは別部材であってもよい。
【0070】
第1土台部22Aは、固定具としてのボルト107により載置部102に固定されている。詳しくは、第1土台部22A及び載置部102のうち、平面視において第1支柱回動機構55Aが設けられていない領域には、雌ネジ孔が形成されている。雌ネジ孔にボルト107がねじ込まれることにより、第1土台部22Aが載置部102に固定される。これにより、吊り下げ装置30によるレールの吊り下げ作業時において、第1支柱部23Aをベース部21に対して強固に固定する。
【0071】
土台回動機構100は、軸受支持部104を備えている。軸受支持部104は、有底円筒状をなしており、円筒部105及び底部106を備えている。円筒部105は、載置面103の中央部から下方に延びている。
【0072】
土台回動機構100は、筒状部110を備えている。筒状部110は、円筒状のネジ孔形成部111と、ネジ孔形成部111の上端部に形成された鍔部112とを備えている。ネジ孔形成部111の外径寸法は、円筒部105の内周面の内径寸法よりも小さい。ネジ孔形成部111が貫通孔101に挿通されるとともに、第1土台部22Aのうち貫通孔101の周縁部に鍔部112が当接した状態で、筒状部110が第1土台部22Aに固定されている。
【0073】
ネジ孔形成部111には、上下方向に貫通する雌ネジ孔113が形成されている。雌ネジ孔113は、ネジ孔形成部111のうち長手方向全域にわたって形成されていてもよいし、ネジ孔形成部111の長手方向の一部に形成されていてもよい。例えば、雌ネジ孔113は、ネジ孔形成部111のうち、長手方向中央部よりも上端部側に形成されていてもよい。
【0074】
土台回動機構100は、軸受支持部104の円筒部105に対して筒状部110を回転可能に支持するための構成として、上側軸受120を備えている。上側軸受120は、転がり軸受であり、ネジ孔形成部111の外周面に固定された上側内輪121と、円筒部105の内周面に当接する上側外輪122と、上側内輪121及び上側外輪122の間に設けられた上側転動体123(例えば、玉又はころ)とを備えている。本実施形態において、上側軸受120は、上下方向に並んで複数(2つ)設けられている。
【0075】
筒状部110の傾きを抑制しつつ筒状部110を的確に支持するために、各上側軸受120は、上下方向に離間して設けられている。上下方向に並ぶ上側外輪122には、円筒状をなす外側カラー部材140が当接している。上下方向に並ぶ上側内輪121には、円筒状をなす内側カラー部材141が当接している。内側カラー部材141の外径寸法は、外側カラー部材140の内径寸法よりも小さい。内側カラー部材141の上下方向寸法は、外側カラー部材140の上下方向寸法と同等(具体的には同じ)である。各カラー部材140,141が設けられることにより、上下方向に並ぶ上側軸受120の相対的な位置ずれを抑制できる。
【0076】
なお、円筒部105の下端部には、上下方向に並ぶ各上側軸受120のうち一番下側の上側軸受に当接するスナップリング108が設けられている。これにより、各上側軸受120及び各カラー部材140,141の位置ずれを抑制する。
【0077】
土台回動機構100は、ネジ部材130を備えている。ネジ部材130の上端部には、ネジ部材130を工具で回転させるためのボルト頭部131(例えば、六角ボルト頭部)が設けられている。ネジ部材130の下端部は、雄ネジが形成されていない軸受取付部132とされている。ネジ部材130のうち上端部と下端部との間の中間部133には、雄ネジが形成されている。本実施形態では、ネジ部材130の雄ネジ及び筒状部110の雌ネジとして、台形ねじが形成されている。ネジ部材130は、中間部133の雄ネジが筒状部110のネジ孔形成部111の雌ネジと噛み合った状態で、筒状部110に挿通されている。第1土台部22Aの裏面が載置面103に当接した状態において、ボルト頭部131は、鍔部112よりも上方に突出している。
【0078】
土台回動機構100は、ネジ部材130が軸受支持部104の底部106に対して回転可能なようにネジ部材130の下端部を支持するための下端支持部として、下側軸受150、荷重受け部160、鋼球であるベアリング玉180、及びベアリング玉180が配置される玉配置部170を備えている。
【0079】
下側軸受150は、下側内輪151と、下側外輪152と、下側内輪151及び下側外輪152の間に設けられた下側転動体153(例えば、玉又はころ)とを備える転がり軸受である。下側内輪151は、軸受取付部132の外周面に固定されている。
【0080】
荷重受け部160は、下側外輪152を下側から支持するための部材であり、下側外輪152の径方向外側部分に当接する周壁部161と、周壁部161の下端部から水平方向に延びる円板状の玉当接部162とを備えている。玉当接部162の中央部には、軸受取付部132の下端部が挿通される貫通孔163が形成されている。
【0081】
なお、軸受取付部132の下端部には、下側軸受150及び荷重受け部160の上下方向の位置ずれを抑制するためのスナップリング109が設けられている。
【0082】
玉配置部170は、底部106に設けられ、図18及び図19に示すように、外側周壁部171と、内側周壁部172と、外側周壁部171及び内側周壁部172それぞれの下端部を繋ぐとともに水平方向に延びる配置底部173とを備えている。配置底部173には、直径が同等(具体的には同じ)の多数のベアリング玉180が配置されている。玉当接部162の下面は、水平方向に延びる平坦面とされており、多数のベアリング玉180により支持されている。これにより、第1支柱部23A及び桁部24等の重量物の支持荷重を分散させつつ、ネジ部材130を回転可能に支持できる。
【0083】
外側周壁部171及び内側周壁部172は、円環状をなしている。これにより、各周壁部171,172にベアリング玉180が移動して当たったとしても、ベアリング玉180がスムーズに移動する。内側周壁部172は、ベアリング玉180が軸受取付部132側に転がるのを阻止する。
【0084】
続いて、土台回動機構100を用いた作業者による第1土台部22Aの回動作業方法について説明する。
【0085】
まず、工具を用いてボルト107を取り外す。これにより、第1土台部22Aと載置部102との連結が解除される。
【0086】
続いて、工具を用いてネジ部材130のボルト頭部131を第1回転方向(時計回り方向)に回す。この場合、ネジ部材130と下側軸受150の下側内輪151とは一体回転するものの、下側外輪152は回転しない。これにより、第1支柱部23A等の重量物の影響を受けることなく、ボルト頭部131を容易に回転させることができる。
【0087】
ネジ部材130の回転によりネジ部材130が筒状部110にねじ込まれようとするものの、ネジ部材130の下端部は下側軸受150及び荷重受け部160を介して多数のベアリング玉180により支持されている。その結果、ネジ部材130の上下方向位置は変化せず、ネジ部材130の第1回転方向への回転に伴い、図20に示すように、第1土台部22A、筒状部110、上側軸受120及び各カラー部材140,141が一体となって上昇する。これにより、第1土台部22Aが載置部102の載置面103から上方に離間する。なお、第1土台部22Aと載置面103との離間距離は、例えば、2~5mmであればよい。
【0088】
その後、桁部24及び第1支柱部23Aとともに、第1土台部22A、筒状部110、上側軸受120及び各カラー部材140,141を作業者により一体回動させる。図21には、桁部24の長手方向がレール運搬車10の車長方向を向くように、第1土台部22Aを回動させる例を示す。
【0089】
第1土台部22Aを回動させる場合、筒状部110が上側軸受120によって支持されるため、第1土台部22Aを安定して回動できる。また、筒状部110の下端部が荷重受け部160を介して多数のベアリング玉180によって支持されているため、重量物の荷重を分散させつつ、第1土台部22Aを安定して回動できる。
【0090】
その後、第1土台部22Aの裏面が載置面103に当接するまで、工具を用いてネジ部材130のボルト頭部131を、第1回転方向とは逆方向の第2回転方向(反時計回り方向)に回す。そして、工具を用いてボルト107を雌ネジ孔にねじ込むことにより、第1土台部22Aと載置部102とを連結する。
【0091】
以上説明した第2の特徴的構成によれば、桁部24の向きの変更作業を容易に行うことができる。また、上記変更作業を作業者の人力のみで行うことができる。
【0092】
レール積み下ろし装置20ではなく、レール運搬車10の外部のクレーンを用いて、レール運搬車10のベース部21にレールの積み下ろし作業を行うことがある。積み下ろし対象となるレールは、通常、レール運搬車10の車長方向に沿わせてベース部21に載置される。このため、桁部24が車幅方向に延びていると、桁部24が積み下ろし作業の支障になり得る。この点、本実施形態の土台回動機構100によれば、桁部24の向きを変えることができるため、積み下ろし作業の作業性を高めることができる。
【0093】
レール運搬車10を走行させるために、走行動力源(例えば、モータ又は内燃機関)を備える機動車がレール運搬車10に連結されることがある。この場合、桁部24が車幅方向に延びていると、機動車の運転手の進行方向の視界が桁部24に遮られることがある。この点、本実施形態の土台回動機構100によれば、桁部24の向きを変えることができるため、運転手の視界が遮られる事態の発生を回避できる。
【0094】
<その他の実施形態>
本発明は、上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0095】
・駆動スプロケット37及び従動スプロケット38に代えて、例えば駆動プーリ及び従動プーリが用いられてもよい。この場合、伝動チェーンに代えて、例えば伝動ベルトが用いられてもよい。
【0096】
・桁部24に設けられるセンター連結部は、2つに限らず、例えば、桁部24の長手方向中央部に1つもうけられていてもよい。この場合、センターターンバックルは、レール積み下ろし装置20に1つだけ備えられていてもよい。
【0097】
・上側軸受120は、転がり軸受に限らず、例えばすべり軸受であってもよい。
【0098】
・第1,第2サイド支持部40A,40Bは、第1,第2土台部22A,22Bではなく、第1,第2支持部23A,23Bに連結されていてもよい。
【0099】
・吊り下げ装置30は、桁部24の上部に限らず、桁部24の下部を移動可能に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0100】
10…レール運搬車、20…レール積み下ろし装置、22A,22B…第1,第2土台部、23A,23B…第1,第2支柱部、24…桁部、30…吊り下げ装置、55A,55B…第1,第2支柱回動機構、60A,60B…第1,第2連結機構、70…桁側ジョイント部、71…桁側貫通孔、72…桁側円弧面、80…柱側ジョイント部、83…柱側円弧面、85…柱側貫通孔、90…ピン部材。
【要約】
【課題】本発明は、レール積み下ろし作業の作業性を高めることができるレール積み下ろし装置を提供する。
【解決手段】レール積み下ろし装置20は、第1,第2支柱部23A,23Bに支持される桁部24と、第1,第2支柱部23A,23Bを回動させて倒した状態にする第1,第2支柱回動機構55A,55Bと、第1,第2支柱部23A,23Bの上端部と桁部24とを連結する第1,第2連結機構60A,60Bと、を備える。各連結機構60A,60Bにおいて、桁側ジョイント部70には、桁側貫通孔を円弧中心とし、下向きに凸となる桁側円弧面が形成されており、柱側ジョイント部80には、柱側貫通孔を円弧中心とし、下向きに凹む柱側円弧面が形成されている。桁側円弧面の曲率半径と、柱側円弧面の曲率半径とは同等である。各連結機構60A,60Bは、桁側円弧面と柱側円弧面とが当接した状態で、各貫通孔に挿通されるピン部材90を備える。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21