(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】補修用カバー装置および補修用カバー装置システム
(51)【国際特許分類】
E03B 7/00 20060101AFI20240110BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20240110BHJP
F16L 55/18 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E03B7/00 A
F16L57/00 C
F16L55/18 B
(21)【出願番号】P 2020184628
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000230526
【氏名又は名称】日本ヴィクトリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】田中 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 延広
(72)【発明者】
【氏名】池田 直生
(72)【発明者】
【氏名】野田 祐司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良晋
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-181984(JP,U)
【文献】特開2014-084903(JP,A)
【文献】特開平09-250674(JP,A)
【文献】特開2010-091408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 7/00
F16L 57/00
F16L 55/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に配置された主配管に導入管を介して接続され、空気弁が取り付けられるとともに、
前記水平方向に直交する垂直方向に延びる取り付け管であって、前記導入管側の導入管フランジに取り付けられた下部取り付けフランジと、前記空気弁側の空気弁フランジに取り付けられる上部取り付けフランジとを有する取り付け管を外側から覆う補修用カバー装置において、
前記垂直方向に延びる垂直面を介して互いに分割された複数の分割カバー装置を備え、
各分割カバー装置は前記下部取り付けフランジ上に載置される分割されたリング状の下板と、分割された円筒状の側板と、前記空気弁フランジまたは前記上部取り付けフランジの外方側面に当接する分割されたリング状の上板とを有し、
前記下板は、前記導入管フランジおよび前記下部取り付けフランジに取り付けられる、補修用カバー装置。
【請求項2】
前記下板は前記導入管フランジおよび前記下部取り付けフランジに、前記下板を前記下部取り付けフランジ側へ押し付けるリテーナを介して取り付けられる、請求項1記載の補修用カバー装置。
【請求項3】
前記導入管フランジおよび前記下部取り付けフランジを貫通して取り付けボルトが設けられ、当該取り付けボルトは前記リテーナを貫通し、前記取り付けボルトに前記リテーナを前記下部取り付けフランジ側へ押し付ける押圧ナットを取り付けた、請求項2記載の補修用カバー装置。
【請求項4】
前記下板と、前記導入管フランジおよび前記下部取り付けフランジは、クランプにより挟持される、請求項1記載の補修用カバー装置。
【請求項5】
水平方向に配置された主配管に設けられ、導入管フランジを有する導入管と、
前記導入管に垂直方向に延びるよう設けられ、前記導入管フランジに接合される下部取り付けフランジと、上部取り付けフランジを有する取り付け管と、
前記取り付け管に設けられ、前記上部取り付けフランジに接合される空気弁フランジを有する空気弁と、
前記取り付け管を外側から覆う補修用カバー装置とを備えた補修用カバー装置システムであって、
前記補修用カバー装置は、垂直面を介して互いに分割された複数の分割カバー装置を備え、
各分割カバー装置は前記下部取り付けフランジ上に載置される分割されたリング状の下板と、分割された円筒状の側板と、前記空気弁フランジまたは前記上部取り付けフランジの外方側面に当接する分割されたリング状の上板とを有し、
前記下板は、前記導入管フランジおよび前記下部取り付けフランジに取り付けられる、補修用カバー装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は水道橋等の水道管(以下、主配管ともいう)または埋設された水道管に設置された空気弁を取り付けるための取り付け管を外側から覆う補修用カバー装置、および補修用カバー装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水を送るために水道管システムが設置されている。水道管システムにおいて通水部を主配管と呼び上部位置に取り付け管を介して空気弁が設置されている。
【0003】
また空気弁を取り付けるための取り付け管は、主配管に設置された導入管に接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように空気弁は、取り付け管を介して主配管に接続されている。このような場合、とりわけ空気弁を取り付けるための取り付け管は、腐食等により穴が開くことがある。しかしながら、この取り付け管は管厚が薄くなっているにも拘わらず、水運用上、断水することが不可能であり、取り付け管自体を交換したり補修することはむずかしい。
【0005】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、取り付け管を外側から覆って、取り付け管に穴が開いた場合でも、取り付け管から漏水した水が外方へ放出されることを防止することにより無収水量の削減、漏水事故の低減に寄与できる補修用カバー装置および補修用カバー装置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、水平方向に配置された主配管に導入管を介して接続され、空気弁が取り付けられるとともに、垂直方向に延びる取り付け管であって、前記導入管側の導入管フランジに取り付けられた下部取り付けフランジと、前記空気弁側の空気弁フランジに取り付けられる上部取り付けフランジとを有する取り付け管を外側から覆う補修用カバー装置において、垂直面を介して互いに分割された複数の分割カバー装置を備え、各分割カバー装置は前記下部取り付けフランジ上に載置される分割されたリング状の下板と、分割された円筒状の側板と、前記空気弁フランジまたは前記上部取り付けフランジの外方側面に当接する分割されたリング状の上板とを有し、前記下板は、前記導入管フランジおよび前記下部取り付けフランジに取り付けられる、補修用カバー装置である。
【0007】
本開示は、前記下板は前記導入管フランジおよび前記下部取り付けフランジに、前記下板を前記下部取り付けフランジ側へ押し付けるリテーナを介して取り付けられる、補修用カバー装置である。
【0008】
本開示は、前記導入管フランジおよび前記下部取り付けフランジを貫通して取り付けボルトが設けられ、当該取り付けボルトは前記リテーナを貫通し、前記取り付けボルトに前記リテーナを前記下部取り付けフランジ側へ押し付ける押圧ナットを取り付けた、補修用カバー装置である。
【0009】
本開示は、前記下板と、前記導入管フランジおよび前記下部取り付けフランジは、クランプにより挟持される、補修用カバー装置である。
【0010】
本開示は、水平方向に配置された主配管に設けられ、導入管フランジを有する導入管と、前記導入管に垂直方向に延びるよう設けられ、前記導入管フランジに接合される下部取り付けフランジと、上部取り付けフランジを有する取り付け管と、前記取り付け管に設けられ、前記上部取り付けフランジに接合される空気弁フランジを有する空気弁と、前記取り付け管を外側から覆う補修用カバー装置とを備えた補修用カバー装置システムであって、前記補修用カバー装置は、垂直面を介して互いに分割された複数の分割カバー装置を備え、各分割カバー装置は前記下部取り付けフランジ上に載置される分割されたリング状の下板と、分割された円筒状の側板と、前記空気弁フランジまたは前記上部取り付けフランジの外方側面に当接する分割されたリング状の上板とを有し、前記下板は、前記導入管フランジおよび前記下部取り付けフランジに取り付けられる、補修用カバー装置システムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、水道管の空気弁を取り付けるための取り付け管を補修用カバー装置で外方から覆うことができる。このため取り付け管が腐食した場合でも、取り付け管から漏水した水が外方へ放出されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は第1の実施の形態による補修用カバー装置を示す側断面図。
【
図2】
図2は第1の実施の形態による補修用カバー装置を示す平面図。
【
図3】
図3は第1の実施の形態による補修用カバー装置システムを示す図。
【
図4】
図4は第1の実施の形態による分割カバー装置を示す正面図。
【
図5】
図5は第1の実施の形態による分割カバー装置を示す平面図。
【
図6】
図6は第1の実施の形態による分割カバー装置を示す底面図。
【
図7】
図7は第1の実施の形態による分割カバー装置を示す断面図。
【
図8】
図8は第1の実施の形態による分割カバー装置を示す側面図。
【
図13】
図13は第2の実施の形態による補修用カバー装置を示す側断面図。
【
図14】
図14は第2の実施の形態による補修用カバー装置を示す平面図。
【
図15】
図15は第2の実施の形態による分割カバー装置を示す正面図。
【
図16】
図16は第2の実施の形態による分割カバー装置を示す平面図。
【
図17】
図17は第2の実施の形態による分割カバー装置を示す底面図。
【
図20】
図20は第3の実施の形態による補修用カバー装置を示す側断面図。
【
図21】
図21は第3の実施の形態による補修用カバー装置を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して本開示の第1の実施の形態について説明する。
【0014】
図1乃至
図12は本開示の第1の実施の形態を示す図である。
【0015】
まず
図3により補修用カバー装置10の概略について述べる。
図3に示すように、水道管は外方へ露出するとともに水平方向に延びる円筒状の主配管1を有し、この主配管1の上部位置には、主配管1内の空気を出し入れするための空気弁5が設置されている。
【0016】
すなわち
図3に示すように、水平方向に配置された主配管1の上部に、導入管フランジ2aを有する導入管2が設置され、この導入管2に垂直方向に延びるように取り付け管3が取り付けられている。この場合、取り付け管3はその下部に、導入管2の導入管フランジ2aに接合される下部取り付けフランジ3aを有し、また上部に上部取り付けフランジ3bを有する。また取り付け管3と下部取り付けフランジ3aとの間に三角形状の補強リブ3cが設けられている。また取り付け管3には空気弁5が取り付けられ、空気弁5は、取り付け管3の上部取り付けフランジ3bに接合される空気弁フランジ5aを有する。そして外方から空気弁5を操作することにより、主配管1の上部に溜まった空気を定期的に外方へ放出することができる。
【0017】
また空気弁5は空気弁カバー5bにより外方から覆われている。
【0018】
さらにまた取り付け管3の外方には補修用カバー装置10が設置され、この補修用カバー装置10により取り付け管3が外方から覆われる。このことにより取り付け管3が経年変化により腐食して取り付け管3に穴が開いたとしても、補修用カバー装置10により取り付け管3から漏水する水が外方へ放出されることを防止することができる。
【0019】
なお、上述した主配管1に設けられた導入管2と、取り付け管3と、空気弁5と、取り付け管3を外方から覆う補修用カバー装置10とにより、補修用カバー装置システム1Aが構成される。
【0020】
次に補修用カバー装置10について
図1乃至
図12により説明する。補修用カバー装置10は垂直面10Bを介して互いに分割された複数、例えば2つの分割カバー装置10Aを有する。そして各分割カバー装置10Aは略同一構造をもつ。
【0021】
すなわち
図1乃至
図8に示すように、各々の分割カバー装置10Aは取り付け管3の下部取り付けフランジ3a上に載置される2つに分割されたリング状の下板11と、2つに分割された円筒状の側板12と、2つに分割されたリング状の上板13とを有する。このうち下板11の外周には複数の突部11aが設けられている。また2つに分割されたリング状の上板13は、空気弁5の空気弁フランジ5aの外方側面に当接し、このことにより上板13と空気弁フランジ5aとの間を密封している。
【0022】
なお、上板13は空気弁5の空気弁フランジ5aの外方側面ではなく、取り付け管3の上部取り付けフランジ3bの外方側面に当接し、このことにより上板13と上部取り付けフランジ3bとの間を密封してもよい。また各分割カバー装置10Aの下板11と側板12との間には、複数、例えば5個の三角形状の補強リブ14が設けられている。
【0023】
このように構成された補修用カバー装置10により取り付け管3を外方から覆うことができる。また補修用カバー装置10内に溜まった空気あるいは液体を抜くため、上板13に空気抜き弁16が設けられている。
【0024】
上述のように補修用カバー装置10は2つに分割された分割カバー装置10Aからなるが、各分割カバー装置10Aは互いに対向する部分に設けられた接合体15を有し、各分割カバー装置10Aは互いの接合体15を接合面15aで接合し、接合体15に装着されたボルト28とナット29を締め付けることにより、互いに固定して補修用カバー装置10を組み立てる。このとき各分割カバー装置10Aの接合体15の接合面15a間に上述した垂直面10Bが形成される。
【0025】
また分割カバー装置10Aのリング状の下板11は上述のように取り付け管3の下部取り付けフランジ3a上に載置される。下板11の下面には円周状に延びるパッキン溝31aが形成され、このパッキン溝31a内に円周状に延びる第1水平パッキン31が配置され、第1水平パッキン31により下部取り付けフランジ3aと下板11との間が密封される。
【0026】
またリング状の上板13の内周端には、半径方向内方へ開口するパッキン溝32aを有するパッキン収納体17が設けられている。そしてパッキン収納体17のパッキン溝32a内に、円周状に延びる第2水平パッキン32が配置され、第2水平パッキン32により上板13と空気弁フランジ5aとの間が密封される。
【0027】
さらに各分割カバー装置10Aの接合体15の接合面15aに垂直方向に延びるパッキン溝33aが設けられている。そしてこの接合体15のパッキン溝33a内に垂直方向に配置された垂直パッキン33により各分割カバー装置10Aの接合体15同士が密封される。この場合、垂直パッキン33は2つに分割され、2つに分割された垂直パッキン33はパッキン溝33a内に逆L字状に延びている(
図4参照)。
【0028】
また下板11に設けられた第1水平パッキン31と、垂直パッキン33と、上板13に設けられた第2水平パッキン32は互いに接触して、補修用カバー装置10の密封性を高めている。
【0029】
ところで上記構造において、取り付け管3の上部取り付けフランジ3bと空気弁フランジ5aはボルト6とナット7とにより締結されている。
【0030】
また導入管フランジ2aと下部取り付けフランジ3aは、導入管フランジ2aと下部取り付けフランジ3aを貫通する取り付けボルト20により取り付けられている。この場合、取り付けボルト20は導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aを貫通して下部取り付けフランジ3aから上方へ突出する。そしてまず取り付けボルト20に装着されたナット21を締め付けることにより導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aが締め付け固定される。また補修用カバー装置10の下板11上に複数、例えば合計12個のリテーナ22が配置され、取り付けボルト20はこのリテーナ22を貫通して更に上方へ突出する。そしてリテーナ22から上方へ突出する取り付けボルト20に押圧ナット23を装着し、この押圧ナット23を締め付けることにより、導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aに対して下板11をリテーナ22により下方へ押し付ける。このことにより、下板11を導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aに押し付け固定することができる。
【0031】
次にリテーナ22の構成について
図10乃至
図12により説明する。上述のように、補修用カバー装置10の下板11上に合計12個のリテーナ22に配置されている。各リテーナ22は取り付けボルト20が貫通する2つの開口22aを有している。また各リテーナ22は
図12に示す側断面において、断面略L字状を有し、下板11に当接する当接部22Aと、押圧ナット23により下方へ押圧される押圧部23Bとを有する。そして取り付けボルト20に装着された押圧ナット23により押圧部23Bを下方へ押圧することにより、当接部22Aが下板11と当接する。このようにしてリテーナ22により下板11を下部取り付けフランジ3aに押し付けて、下板11を導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aに固定することができる。
【0032】
次にこのような構成からなる補修用カバー装置10の組み立て方法について、
図9A乃至
図9Dにより説明する。
【0033】
まず組み立て前の状態において、
図9Aに示すように、導入管2の導入管フランジ2aに取り付け管3の下部取り付けフランジ3aが接合され、導入管フランジ2aと下部取り付けフランジ3aは取り付けボルト20Aとナット21とにより締結されている。このとき取り付けボルト20Aは通常の長さをもつ取り付けボルト20Aであって、後述するリテーナ22が装着される取り付けボルト20より長さが短くなっている。
【0034】
また取り付け管3の上部取り付けフランジ3bに空気弁5の空気弁フランジ5aが接合され、上部取り付けフランジ3bと空気弁フランジ5aはボルト6とナット7とによって締結されている。なお、
図9A乃至
図9Dにおいて、空気弁カバー5bは便宜上、取り除かれている。
【0035】
次に
図9Bに示すように短い取り付けボルト20Aからナット21が取り外され、短い取り付けボルト20Aが導入管フランジ2aと下部取り付けフランジ3aから引き抜かれ、取り付けボルト20Aの代わりに、リテーナ22が装着される長い取り付けボルト20が導入管フランジ2aと下部取り付けフランジ3aに挿入される。
【0036】
次に取り付けボルト20にナット21が再度装着され、ナット21を締め付けることにより、導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aが締め付け固定される。
【0037】
次に
図9Cに示すように、2つに分割された分割カバー装置10Aが、取り付け管3の側方に設置される。この場合、2つの分割カバー装置10Aは取り付け管3の外を覆うように設置される。そして各分割カバー装置10Aの下板11が取り付け管3の下部取り付けフランジ3a上に載置され、上板13の内周端が空気弁フランジ5aの外方側面に当接する。
【0038】
同時に各分割カバー装置10A同士が接合体15を介して接合され、各分割カバー装置10Aの接合体15間に垂直面10Bが形成される。
【0039】
この段階で、各分割カバー装置10Aの下板11と下部取り付けフランジ3aとの間は、下板11に設けられた第1水平パッキン31により密封され、上板13と空気弁フランジ5aとの間は、上板13に設けられた第2水平パッキン32により密封される。また各分割カバー装置10Aの接合体15同士は、接合体15に設けられた垂直パッキン33により互いに密封されている。
【0040】
また取り付けボルト20、および取り付けボルト20に装着されたナット21は下板11の突部11a間の凹部11bに位置する。
【0041】
次に各分割カバー装置10Aの各接合体15同士をボルト28と、このボルト28に装着されたナット29とにより締め付け固定する。
【0042】
次に
図9Dに示すように、補修用カバー装置10の下板11上に合計12個のリテーナ22が装着される。このとき各リテーナ22は、その開口22aに取り付けボルト20を貫通させて下板11の突部11a上に載置される。
【0043】
次に取り付けボルト20に押圧ナット23を装着し、この押圧ナット23を締め付けることによって、リテーナ22により下板11を下部取り付けフランジ3a側へ押し付ける。このことにより下板11を導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aに固定することができる。
【0044】
このようにして2つの分割カバー装置10Aからなる補修用カバー装置10が得られる。
【0045】
以上のように本実施の形態によれば、主配管1に空気弁5を取り付けるための取り付け管3を分割カバー装置10Aからなる補修用カバー装置10により外方から覆うことができる。このため取り付け管3が腐食した場合でも、取り付け管3から漏水した水が外方へ放出されることはない。
【0046】
また補修用カバー装置10は、2つの分割カバー装置10Aを取り付け管3の外方に設置し、押圧ナット23を取り付けボルト20に締め付けて下板11を下部取り付けフランジ3aにリテーナ22を介して押圧し、かつ分割カバー装置10A同士をボルト28とナット29により締め付け固定するだけで容易かつ簡単に組み立てることができる。
【0047】
また取り付けボルト20、ナット21および押圧ナット23は、下板11の突部11a間の凹部11bに位置するため、ナット21をめがねレンチやソケットレンチを用いて取り外したり、締め付けることができる。また押圧ナット23をめがねレンチやソケットレンチを用いて締め付けることにより、容易かつ簡単に下板11を導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aに固定することができる。
【0048】
<第2の実施の形態>
次に
図14乃至
図19により本開示の第2の実施の形態について説明する。
【0049】
図14乃至
図19に示す第2の実施の形態は補修用カバー装置10の下板11を導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aに固定する構成が第1の実施の形態と異なっている。
【0050】
補修用カバー装置10は
図13および
図14に示すように、垂直面10Bを介して互いに分割された複数、例えば2つの分割カバー装置10Aを有する。そして各分割カバー装置10Aは略同一構造をもつ。
【0051】
すなわち
図13および
図14に示すように、各々の分割カバー装置10Aは取り付け管3の下部取り付けフランジ3a上に載置される2つに分割されたリング状の下板11と、2つに分割された円筒状の側板12と、2つに分割されたリング状の上板13とを有する。このうち下板11の外周には複数の突部11aが設けられている。また2つに分割されたリング状の上板13は、空気弁5の空気弁フランジ5aの外方側面に当接し、このことにより上板13と空気弁フランジ5aとの間を密封している。
【0052】
なお、上板13は空気弁5の空気弁フランジ5aの外方側面ではなく、取り付け管3の上部取り付けフランジ3bの外方側面に当接し、このことにより上板13と上部取り付けフランジ3bとの間を密封してもよい。また各分割カバー装置10Aの下板11と側板12との間には、複数、例えば5個の四角形状の補強リブ14が設けられている。
【0053】
このように構成された補修用カバー装置10により取り付け管3を外方から覆うことができる。また補修用カバー装置10内に溜まった空気あるいは液体を抜くため、上板13に空気抜き弁16が設けられている。
【0054】
上述のように補修用カバー装置10は2つに分割された分割カバー装置10Aからなるが、各分割カバー装置10Aは互いに対向する部分に設けられた接合体15を有し、各分割カバー装置10Aは互いの接合体15を接合面15aで接合し、接合体15に装着されたボルト28とナット29を締め付けることにより、互いに固定して補修用カバー装置10を組み立てる。このとき各分割カバー装置10Aの接合体15の接合面15a間に上述した垂直面10Bが形成される。
【0055】
また分割カバー装置10Aのリング状の下板11は上述のように取り付け管3の下部取り付けフランジ3a上に載置される。下板11の下面には円周状に延びるパッキン溝31aが形成され、このパッキン溝31a内に円周状に延びる第1水平パッキン31が配置され、第1水平パッキン31により下部取り付けフランジ3aと下板11との間が密封される。
【0056】
またリング状の上板13の内周端には、半径方向内方へ開口するパッキン溝32aを有するパッキン収納体17が設けられている。そしてパッキン収納体17のパッキン溝32a内に、円周状に延びる第2水平パッキン32が配置され、第2水平パッキン32により上板13と空気弁フランジ5aとの間が密封される。
【0057】
さらに各分割カバー装置10Aの接合体15の接合面15aに垂直方向に延びるパッキン溝33aが設けられている。そしてこの接合体15のパッキン溝33a内に垂直方向に配置された垂直パッキン33により各分割カバー装置10Aの接合体15同士が密封される。この場合、垂直パッキン33は2つに分割され、2つに分割された垂直パッキン33はパッキン溝33a内に逆L字状に延びている(
図15参照)。
【0058】
また下板11に設けられた第1水平パッキン31と、垂直パッキン33と、上板13に設けられた第2水平パッキン32は互いに接触して、補修用カバー装置10の密封性を高めている。
【0059】
ところで、上記構造において、取り付け管3の上部取り付けフランジ3bと空気弁フランジ5aはボルト6とナット7とにより締結されている。
【0060】
また導入管フランジ2aと下部取り付けフランジ3aは、導入管フランジ2aと下部取り付けフランジ3aを貫通する長さが短い取り付けボルト20Aにより取り付けられている。この場合、取り付けボルト20Aは導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aを貫通して下部取り付けフランジ3aから上方へ突出する。そして取り付けボルト20に装着されたナット21を締め付けることにより導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aが締め付け固定される。
【0061】
また
図13および
図14に示すように、補修用カバー装置10の下板11と、導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aは、下板11に沿って設けられた所定の数のたとえば合計10個のクランプ40により挟持され、このようにして下板11は導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aに固定される。
【0062】
クランプ40は
図19に示すように、その下部に当接部46を有し、クランプ40の上部45に挿入された押圧ボルト44を締め付けることにより、押圧ボルト44と当接部46との間で、下板11と、導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aとを挟持して固定することができる。
【0063】
またクランプ40の上部45には延長板41が取り付けられている。そして延長板41を四角形状の補強リブ14に重ね合わせ、補強リブ14と延長板41をボルト42とナット43とにより締め付けることにより、クランプ40の延長板41を補強リブ14に固定することができる。
【0064】
図14に示すように、本実施の形態において、合計10個のクランプ40が下板11に沿って円周方向に配置されている。
【0065】
また下板11と側板12との間に、設けられた四角形状の補強リブ14も、クランプ40と同様、下板11に沿って円周方向に10個配置されている。
【0066】
次にこのような構成からなる補修用カバー装置10の組み立て方法について、
図18A乃至
図18Cにより説明する。
【0067】
まず組み立て前の状態において、
図18Aに示すように、導入管2の導入管フランジ2aに取り付け管3の下部取り付けフランジ3aが接合され、導入管フランジ2aと下部取り付けフランジ3aは取り付けボルト20Aとナット21とにより締結されている。このとき取り付けボルト20Aは通常の長さをもつ比較的短い取り付けボルト20Aである。
【0068】
また取り付け管3の上部取り付けフランジ3bに空気弁5の空気弁フランジ5aが接合され、上部取り付けフランジ3bと空気弁フランジ5aはボルト6とナット7とによって締結されている。なお、
図18A乃至
図18Cにおいて、空気弁カバー5bは便宜上、取り除かれている。
【0069】
次に
図18Bに示すように、2つに分割された分割カバー装置10Aが、取り付け管3の側方に設置される。この場合、2つの分割カバー装置10Aは取り付け管3の外を覆うように設置される。そして各分割カバー装置10Aの下板11が取り付け管3の下部取り付けフランジ3a上に載置され、上板13の内周端が空気弁フランジ5aの外方側面に当接する。
【0070】
同時に各分割カバー装置10A同士が接合体15を介して接合され、各分割カバー装置10Aの接合体15間に垂直面10Bが形成される。
【0071】
この段階で、各分割カバー装置10Aの下板11と下部取り付けフランジ3aとの間は、下板11に設けられた第1水平パッキン31により密封され、上板13と空気弁フランジ5aとの間は、上板13に設けられた第2水平パッキン32により密封される。また各分割カバー装置10Aの接合体15同士は、接合体15に設けられた垂直パッキン33により互いに密封されている。
【0072】
また取り付けボルト20A、および取り付けボルト20Aに装着されたナット21は、下板11の突部11a間の凹部11bに位置する。
【0073】
次に各分割カバー装置10Aの各接合体15同士をボルト28と、このボルト28に装着されたナット29とにより固定する。
【0074】
次に下板11に沿って合計10個のクランプ40を配置し、クランプ40の延長板41を四角形状の補強リブ14に重ね合わせ、補強リブ14と延長板41を、ボルト42とナット43とにより締め付けて、クランプ40の延長板41を補強リブ14に固定する。このようにしてクランプ40は下板11の突部11aに対応する位置にくるよう位置決めされる。
【0075】
次に
図18Cに示すように、下板11に対して位置決めされたクランプ40により、下板11と、導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aに挟持され、このようにして下板11は導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aに固定される。
【0076】
この場合、クランプ40は下板11の突部11aに対応する位置に予め位置決めされている。そしてクランプ40の上部45に挿入された押圧ボルト44を締め付けることにより、押圧ボルト44が下板11の突部11aの上面を押圧する。同時にクランプ40の下部に設けられた当接部46が導入管フランジ2aの下面を押圧する。このことにより押圧ボルト44と当接部46との間で、下板11と、導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aとを挟持して固定する。
【0077】
このようにして2つの分割カバー装置10Aからなる補修用カバー装置10が得られる。
【0078】
以上のように本実施の形態によれば、主配管1に空気弁5を取り付けるための取り付け管3を分割カバー装置10Aからなる補修用カバー装置10により外方から覆うことができる。このため取り付け管3が腐食した場合でも、取り付け管3から漏水した水が外方へ放出されることはない。
【0079】
また補修用カバー装置10は、2つの分割カバー装置10Aを取り付け管3の外方に設置し、下板11と、導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aをクランプ40で挟持し、かつ分割カバー装置10A同士をボルト28とナット29により締め付け固定するだけで容易かつ簡単に組み立てることができる。
【0080】
また四角形状の補強リブ14と延長板41を取り付けてクランプ40を下板11に対して位置決めした後、クランプ40を締め付けることができ、下板11の突部11aを精度良く導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aに対して押圧して固定することができる。
【0081】
<第3の実施の形態>
次に
図20および
図21により、本開示の第3の実施の形態について説明する。
上記の
図1乃至
図12に示す第1の実施の形態、および
図13乃至
図19に示す第2の実施の形態において、各々の分割カバー装置10Aは2つに分割された円筒状の側板12と、この側板12の上部に連結されるとともに2つに分割され水平面上に配置されたリング状の上板13とを有する例を示した。しかしながら、これに限らず、各々の分割カバー装置10Aは2つに分割された円錐状の側板12と、この側板12の上部に連結されるとともに2つに分割され鉛直状に配置されたリング状の上板13とを有していてもよい。
【0082】
すなわち
図20および
図21に示すように、各々の分割カバー装置10Aは取り付け管3の下部取り付けフランジ3a上に載置される2つに分割されたリング状の下板11と、2つに分割された円錐状の側板12と、この側板12の上部に連結されるとともに、2つに分割され鉛直状に配置されたリング状の上板13とを有する。このうち下板11の外周には複数の突部11aが設けられている。また2つに分割されたリング状の上板13は、空気弁5の空気弁フランジ5aの外方側面に当接し、このことにより上板13と空気弁フランジ5aとの間を密封している。
【0083】
なお、上板13は空気弁5の空気弁フランジ5aの外方側面ではなく、取り付け管3の上部取り付けフランジ3bの外方側面に当接し、このことにより上板13と上部取り付けフランジ3bとの間を密封してもよい。
【0084】
このように構成された補修用カバー装置10により取り付け管3を外方から覆うことができる。また補修用カバー装置10内に溜まった空気あるいは液体を抜くため、円錐状の側板12に空気抜き弁16が設けられている。
【0085】
上述のように補修用カバー装置10は2つに分割された分割カバー装置10Aからなるが、各分割カバー装置10Aは互いに対向する部分に設けられた接合体15を有し、各分割カバー装置10Aは互いの接合体15を接合面15aで接合し、接合体15に装着されたボルト28とナット29を締め付けることにより、互いに固定して補修用カバー装置10を組み立てる。このとき各分割カバー装置10Aの接合体15の接合面15a間に上述した垂直面10Bが形成される。
【0086】
また分割カバー装置10Aのリング状の下板11は上述のように取り付け管3の下部取り付けフランジ3a上に載置される。下板11の下面には円周状に延びるパッキン溝31aが形成され、このパッキン溝31a内に円周状に延びる第1水平パッキン31が配置され、第1水平パッキン31により下部取り付けフランジ3aと下板11との間が密封される。
【0087】
またリング状の上板13の内周端には、半径方向内方へ開口するパッキン溝32aを有するパッキン収納体17が設けられている。そしてパッキン収納体17のパッキン溝32a内に、円周状に延びる第2水平パッキン32が配置され、第2水平パッキン32により上板13と空気弁フランジ5aとの間が密封される。
【0088】
また導入管フランジ2aと下部取り付けフランジ3aは、導入管フランジ2aと下部取り付けフランジ3aを貫通する取り付けボルト20により取り付けられている。この場合、取り付けボルト20は導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aを貫通して下部取り付けフランジ3aから上方へ突出する。そしてまず取り付けボルト20に装着されたナット21を締め付けることにより導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aが締め付け固定される。また補修用カバー装置10の下板11上に複数、例えば合計12個のリテーナ22が配置され、取り付けボルト20はこのリテーナ22を貫通して更に上方へ突出する。そしてリテーナ22から上方へ突出する取り付けボルト20に押圧ナット23を装着し、この押圧ナット23を締め付けることにより、導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aに対して下板11をリテーナ22により下方へ押し付ける。このことにより、下板11を導入管フランジ2aおよび下部取り付けフランジ3aに押し付け固定することができる。
【0089】
なお、第3の実施の形態は基本的に、
図1乃至
図12に示す第1の実施の形態の変形例となっている。しかしながら、これに限らず、第3の実施の形態に示す、各々の分割カバー装置10Aが2つに分割された円錐状の側板12と、この側板12の上部に連結されるとともに2つに分割され鉛直状に配置されたリング状の上板13とを有する構造を、
図13乃至
図19に示す第2の実施の形態に適応してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 主配管
1A 補修用カバー装置システム
2 導入管
2a 導入管フランジ
3 取り付け管
3a 下部取り付けフランジ
3b 上部取り付けフランジ
5 空気弁
5a 空気弁フランジ
6 ボルト
7 ナット
10 補修用カバー装置
10A 分割カバー装置
10B 垂直面
11 下板
12 側板
13 上板
14 補強リブ
15 接合体
15a 接合面
20 取り付けボルト
20A 取り付けボルト
21 ナット
22 リテーナ
23 押圧ナット
31 第1水平パッキン
32 第2水平パッキン
33 垂直パッキン
40 クランプ