(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】濾過アセンブリ
(51)【国際特許分類】
C12M 1/12 20060101AFI20240110BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240110BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C12M1/12
C12M1/34 B
C12Q1/04
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022163025
(22)【出願日】2022-10-11
【審査請求日】2022-10-11
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ザルジッキ, マレック
(72)【発明者】
【氏名】プーリオ, ケイシー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェイクリン, ジョセフ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】レック, アリアナ
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113654873(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0063169(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)濾過されるべき流体試料を保持する試料リザーバであって、開放上端部と、開放下端部と、前記開放下端部に配置され、
前記試料リザーバに摺動可能に取り付けられた少なくとも2つの内向きのアームとを有し、弾性側壁を有する、試料リザーバと、
(b)前記試料リザーバと流体連通している流体ポートと、
(c)前記試料リザーバと前記流体ポートとの間の流路を横切って配置された多孔質微生物捕獲フィルターエレメントであって、前記少なくとも2つの内向きのアームによって脱着可能に保持される、多孔質微生物捕獲フィルターエレメントと、
(d)前記多孔質微生物捕獲フィルターエレメント及び前記少なくとも2つの内向きのアームの下方に配置された吸収パッドであって、前記試料リザーバと前記流体ポートとの間の前記流路を横切って配置された吸収パッドと、
(e)前記試料リザーバに脱着可能に取り付けられたベースであって、前記流体ポートと、前記吸収パッドを支持するための支持面とを含むベースと
を備える濾過アセンブリであって、
前記ベースが前記試料リザーバから取り外された後に、前記弾性側壁を押圧することにより、前記少なくとも2つの内向きのアームから前記多孔質微生物捕獲フィルターエレメントが取り外される、濾過アセンブリ。
【請求項2】
前記試料リザーバの前記開放下端部は、互いに対向する直線部分及び互いに対向する湾曲部分を有する、請求項1に記載の濾過アセンブリ。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の濾過アセンブリと、培養プレート及び培養プレートカバーを有する培養アセンブリとを備える、濾過システム。
【請求項4】
前記培養プレートが寒天を含む、請求項
3に記載の濾過システム。
【請求項5】
流体中の少なくとも1つの微生物の有無を判定するための方法であって、
前記流体を請求項1
又は2に記載の濾過アセンブリを通して流すステップと、
多孔質微生物捕獲フィルターエレメントが保持されている前記試料リザーバを前記ベースから取り外すステップと、
前記多孔質微生物捕獲フィルターエレメントを前記試料リザーバから外して培養プレート内に入れるステップと、
外した前記多孔質微生物捕獲フィルターエレメントをインキュベート処理するステップと、
前記多孔質微生物捕獲フィルターエレメントに少なくとも1つの微生物が存在するか否かを判定するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
[0001]流体中の微生物の存在を判定するための一般的な方法は、第1の容器内に流体試料を収集し、その後、それをフィルターエレメントを含むフィルター装置に移送することを含む。次いで、試料を、特定のサイズよりも大きい微生物を捕捉することができるフィルターエレメントに通す。試料の濾過後、捕捉された微生物を有するフィルターエレメントを、微生物の増殖を支援する栄養溶液を含むペトリ皿に移す。栄養溶液はフィルターエレメントを透過して微生物に達し、微生物がフィルターエレメントの上で培養されることを可能にする。しかしながら、改良されたフィルター装置が未だ必要とされている。
【0002】
[0002]本発明は、先行技術の問題点の少なくともいくつかを改善するものである。本発明のこれらの利点及び他の利点は、以下に示す説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本発明の一態様は、濾過アセンブリを提供することであり、この濾過アセンブリは、(a)濾過されるべき流体試料を保持する試料リザーバであって、開放上端部と、開放下端部と、開放下端部に配置された少なくとも2つの内向きのアームとを有し、弾性側壁を有する、試料リザーバと、(b)試料リザーバと流体連通している流体ポートと、(c)試料リザーバと流体ポートとの間の流路を横切って配置された多孔質微生物捕獲(microorganism-capturing)フィルターエレメントであって、少なくとも2つの内向きのアームによって脱着可能に保持される、多孔質微生物捕獲フィルターエレメントと、(d)多孔質微生物捕獲フィルターエレメント及び少なくとも2つの内向きのアームの下方に配置された吸収パッドであって、試料リザーバと流体ポートとの間の流路を横切って配置された吸収パッドと、(e)試料リザーバに脱着可能に取り付けられたベースであって、流体ポートと、吸収パッドを支持するための支持面とを含むベースとを備える。また、ベースは試料リザーバから取り外された後に、弾性側壁を押圧することにより、少なくとも2つの内向きのアームから多孔質微生物捕獲フィルターエレメントが外されるようになっている。
【0004】
[0004]本発明の別の態様では、濾過アセンブリの一態様と、培養プレート及び培養プレートカバーを有する培養アセンブリとを備える濾過システムが提供される。
【0005】
[0005]他の態様では、培養アセンブリを使用して、流体中の少なくとも1つの微生物の有無を判定するための方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】本発明の一態様による、弾性側壁及びリザーバに摺動可能に取り付けられた内向きのアームを有するリザーバと、多孔質微生物捕獲フィルターエレメントとを備える濾過装置を備える濾過システムの分解図であり、濾過システムは、本発明の別の態様による、濾過装置及び吸収パッドを有する濾過アセンブリと、ベースとを備え、濾過システムは、本発明の別の態様による、濾過後に多孔質微生物捕獲フィルターエレメントを処理するための培養プレート及び培養プレートカバーを有する培養アセンブリをさらに備える。
【
図1C】
図1Aに示されたアームを含むブラケットの内側を示す図である。
【
図2A】
図2A~
図2Cは本発明の一態様による、濾過前の濾過デバイスの初期組立体を示す図であり、リザーバが上下逆にされ、多孔質微生物捕獲フィルターエレメントがリザーバの開放下部に配置され、アームによって保持されている。
図2Aは、リザーバの下部と位置合わせされたフィルターエレメントを示す。
【
図2B】矢印の方向に摺動されようとしている摺動可能に取り付けられたアームを示す。
【
図2C】フィルターエレメントが定位置に保持されるように摺動されたアームを示す。
【
図3A】
図3A~
図3Eは、滅菌後、濾過の準備中、真空マニホールド内に配置される前の、組み立てられたフィルターデバイスを含む濾過アセンブリを示す図である。
図3Aは、
図2Cに示されるような、フィルターエレメントが保持されているリザーバの分解図であり、リザーバは吸収パッド及びベースと位置合わせされている。
【
図3B】保持されたフィルターエレメントが保持されているリザーバをベースに配置する前の、ベースに係合された吸収パッドを示す図(断面図)である。
【
図3C】パッド及びベースを有する組み立てられたフィルター装置を示す断面図である。
【
図3D】組み立てられたフィルター装置を示す斜視図である。
【
図4A】
図4A~
図4Cは、濾過後及びベースからの除去後に、培養プレートと位置合わせされた、組み立てられたフィルターデバイスを示す図である。培養プレートは、リザーバ上のアームを受容するために培養プレート側壁の互いに対向する部分に切欠きを有する。
図4Aは上面斜視図である。
【
図4C】リザーバの弾性側壁を押圧することによってアームを外向きに移動され、フィルターエレメントが外れて培養プレート内に配置されることを示している。
【
図5】培養のために培養プレートカバーによって覆われようとしている、培養プレート内に解放されたフィルターエレメントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0011]本発明の一態様によれば、濾過アセンブリが提供され、この濾過アセンブリは、(a)濾過されるべき流体試料を保持する試料リザーバであって、開放上端部と、開放下端部と、開放下端部に配置された少なくとも2つの内向きのアームとを有し、弾性側壁を有する、試料リザーバと、(b)試料リザーバと流体連通している流体ポートと、(c)試料リザーバと流体ポートとの間の流路を横切って配置された多孔質微生物捕獲(microorganism-capturing)フィルターエレメントであって、少なくとも2つの内向きのアームによって脱着可能に保持される、多孔質微生物捕獲フィルターエレメントと、(d)多孔質微生物捕獲フィルターエレメント及び少なくとも2つの内向きのアームの下方に配置された吸収パッドであって、試料リザーバと流体ポートとの間の流路を横切って配置された吸収パッドと、(e)試料リザーバに脱着可能に取り付けられたベースであって、流体ポートと、吸収パッドを支持するための支持面とを含むベースとを備える。また、ベースは試料リザーバから取り外された後に、弾性側壁を押圧することにより、少なくとも2つの内向きのアームから多孔質微生物捕獲フィルターエレメントが外されるようになっている。
【0008】
[0012]本発明の他の態様では、濾過アセンブリの一態様と、培養プレート及び培養プレートカバーを有する培養アセンブリとを備える濾過システムが提供される。
【0009】
[0013]別の態様では、培養アセンブリを用いて、流体中の少なくとも1つの微生物の有無を判定する方法が提供される。
【0010】
[0014]例えば、一態様では、流体中の少なくとも1つの微生物の有無を判定するための方法であって、流体を一態様の濾過アセンブリを通して流すステップと、多孔質微生物捕獲フィルターエレメントが保持されている試料リザーバをベースから取り外すステップと、多孔質微生物捕獲フィルターエレメントを試料リザーバから外して培養プレート内に入れるステップと、外した多孔質微生物捕獲フィルターエレメントをインキュベート(培養)処理するステップと、多孔質微生物捕獲フィルターエレメントに少なくとも1つの微生物が存在するか否かを判定するステップとを含む方法が提供される。
【0011】
[0015]有利には、本発明の諸態様は、濾過後のフィルターエレメントの取り扱いを最小限に抑えた微生物検査を提供する。例えば、濾過後、フィルターエレメントはリザーバから外され、作業者が手で又は鉗子を使用してフィルターエレメントに触れることなく受容プレート内に配置される。したがって、このプロセスは「タッチレス」と呼ぶことができる。
【0012】
[0016]次に、本発明の構成要素のそれぞれについて以下でより詳細に説明するが、同様の構成要素は同様の参照番号を付するものとする。
【0013】
[0017]濾過システム2000の一態様として、濾過デバイス500の一態様を含む濾過アセンブリ1000の一態様を備えるものが
図1Aに示されている。
【0014】
[0018]滅菌可能である図示の濾過デバイス500の態様は、濾過されるべき流体試料を保持するための試料リザーバ100を備え、試料リザーバは、開放上端部101と、開放下端部102(互いに対向する直線部分102A及び互いに対向する湾曲部分102Bを有することが
図1B及び2Aに図示される)と、弾性側壁110と、開放下端部に配置される少なくとも2つの内向きのアーム150A、150B(
図1C及び
図1Dも参照)とを有し、少なくとも2つの内向きのアームは、側壁の互いに対向する部分に取り付けられるように示されている。濾過デバイス500は、上流側の面501Aと下流側の面501Bとを有する多孔質微生物捕捉(microorganism-capturing)フィルターエレメント501を含む。
【0015】
[0019]好適な態様では、
図1A、
図2B及び
図2Cに示すように、内向きのアーム150A、150Bは、それぞれブラケット160A、160Bによって側壁110の互いに対向する部分に摺動可能に取り付けられる。いくつかの用途では、摺動可能な構成は、リザーバの開放下端部に対するフィルターエレメントの封止性を向上させる。
【0016】
[0020]必要な場合には、
図1Aに示されるように、リザーバは、突起171A、171Bの対(突起171Bの対の部材については
図1B及び
図2Aを参照)を有する柱状部170A、170Bを含むことができ、突起171A、171Bの対はブラケット160A、160Bにおける互いに対応する凹部の対(ブラケット160Aの凹部172Aの対は
図1A~
図1Cに示され、ブラケット160Bの凹部の対は図示されていない)と係合し、濾過アセンブリを組み立てる作業者が係合したことを聞き取り及び/又は感じることを可能にし、フィルターエレメントが意図されるように組み立てられたことを作業者に知覚させる。
図1A~
図1A及び
図2Aに示される態様を用いる場合、ブラケット160Aは、内面に肩部161Aを有し(ブラケット160Bは同一)、この肩部はリザーバの外面と突起の内面との間の間隙に嵌まり摺動する。
【0017】
[0021]
図2A~
図2Cに示されるように、一態様では、濾過デバイスは、リザーバ100を上下を逆にして、フィルターエレメント501を下端部102と接触するように配置し、ブラケット160A、160Bを摺動させて、アーム150A、150Bがフィルターエレメントを下端部102に接した状態で保持するようにすることによって、組み立てることができる。一態様では、開放下端部は、
図2Aに示されるように、略楕円形の開放端部(例えば、互いに対向する直線部分102A及び互いに対向する湾曲部分102B)を有する。いくつかの用途では、これは、リザーバの開放下端部に対するフィルターエレメントの上流側の面の封止性の改善をもたらす。
【0018】
[0022]滅菌可能でもある
図1Aに示される濾過アセンブリ1000の態様はまた、多孔質微生物捕獲濾過エレメント500及び少なくとも2つの内向きのアーム150A、150Bの下に配置される吸収パッド1030と、吸収パッドのための支持面1051を有するベース1050とを含み、ベースは流体ポート1075(
図3A、
図3C及び
図3Eに示される)を含む。好ましくは、吸収パッドを支持するためのベースの支持面は、例えば、封止性の向上及び液体移動の改善のために複数のリブを含む。
【0019】
[0023]濾過アセンブリは、試料リザーバ100とベース1050の流体ポート1075との間に流体流路を有し、多孔質微生物捕獲フィルターエレメント及び吸収パッドは、濾過される流体が多孔質微生物捕獲フィルターエレメント及びパッドを通るよう流路を横切って配置される。いくつかの態様では、フィルターエレメントの下流側の面の少なくとも一部(例えば、アームに接触していない面の部分)がパッドに接触する。
【0020】
[0024]吸収パッドは、フィルターエレメントよりも多孔性であり、濾過中にフィルターエレメントを機械的に支持する。パッドは、メッシュ、紙又は織布の層を含むことができる。様々なパッドが適し、市販されている。
【0021】
[0025]ベースは、試料リザーバに脱着可能に取り付けられる。一態様では、ベースと試料リザーバの下部との間は摩擦的な嵌合又は圧縮的な嵌合となっており、ベースの上部及び試料リザーバの下部は対応の楕円形状を有し、互いに対向する直線部分(ベースでは1052A、リザーバの下部では102A)と、互いに対向する湾曲部分(ベースでは1052B、リザーバの底部では102B)とは正確な位置合わせを確実にする。
【0022】
[0026]必要な場合、リザーバ及びベースは、組み立てられたときに可聴の「クリック音」を提供するような構造を含み得、その結果、作業者は、それらが正しく係合されていることを認識する。例示的に、
図1Bはリザーバ上の2つの構造107C及び107Dを示し、それぞれ、ベースにおける半リング1057C及び1057D(
図1A及び
図3Aに示される)と係合するリップ及び溝を含む。
【0023】
[0027]以下でより詳細に述べるように、
図1に示される濾過システム2000の態様はまた、培養プレート750及び培養カバー775を有する培養アセンブリ700を含むが、培養アセンブリは、流体の濾過中には使用されない。
【0024】
[0028]好ましくは、濾過デバイス500は(
図2A~
図2Cに関して説明されるように)組み立てられ、パッド及びベースとともに、包装され、滅菌され(例えば、ガンマ線照射等の照射によって)、培養プレート及び培養カバーは、別個に包装され、滅菌され、2つのパッケージはユーザによって入手される。
【0025】
[0029]組み立てられた濾過デバイス500及びパッド1030は、
図3A~
図3Dに示されるようにベース1050に挿入され、濾過アセンブリ1000をもたらす。典型的には、濾過アセンブリ1000は、真空マニホールド(図示せず)等の濾過マニホールド内に設置され、リザーバは、流体で充填され、真空を付与し、流体を濾過要素並びにパッド及びポート1075に流通させる(
図3Eはポート1075を含むベースの下部を示す)。
【0026】
[0030]その後、濾過デバイス500は、ベースから取り外され、
図4A~
図4Cに示されるように、好ましくは、例えば寒天を含有するような微生物増殖培地を含む培養プレート750と整列され、プレートは取り外されたエレメントを受容する。培養プレート750は、好ましくは隆起面751を有し、また複数のリブを含み、これらのリブは、プレートにどれだけの増殖培地が加えられたかを示すために用いられることができ、その場合、リブは増殖培地に浸漬される。
【0027】
[0031]培養プレート750(従来のペトリ皿でもよい)は、側壁752を有する。好ましくは、
図1及び
図4A(
図4Cも参照)に示されるように、側壁は、下端部102が培養プレート750内に配置されると、アーム150A、150Bと位置合わせされ得る互いに対向する切欠き部752A、752Bを有する。
図4Cを参照すると、作業者がリザーバの弾性側壁110の一部を押圧すると、アーム150A、150Bは外方に移動し、フィルターエレメント501が外れて培養プレート内に配置される。リザーバを離したならば、培養カバー775を、培養プレートを含むフィルターエレメント上に配置することができ、フィルターエレメントを所望の時間インキュベート(培養)処理し、1つ又は複数の微生物の有無について分析することができる。培養及び1つ以上の微生物の存在についての分析のための種々の技術が、当該分野で公知である。1つの技術が、ASTM F83815(「Standard Test Method for Determining Bacterial Retention of Membrane Filters Utilized for Liquid Filtration」)に提示されている。
【0028】
[0032]フィルターエレメント(例えば、膜)は、任意の好適な細孔構造、例えば、細孔サイズ(例えば、バブルポイントから、又は例えば米国特許第4,340,479号に記載されるようなKLから、又は毛管凝縮流ポロメトリーから明らかとされるもの)、平均流細孔(MFP)サイズ(例えば、Porvair Porometer(英国ノーフォーク州のPorvair plc)などのポロメータ又はPOROLUX(ベルギーのPorometer.com)の商標名で入手可能なポロメータを使用して特徴付けられる場合など)、細孔等級、細孔径(例えば、米国特許第4,925,572号に記載されている修正OSU F2試験を用いて特徴付けられる場合など)、又は除去等級を有することができる。典型的には、フィルターエレメントは、0.1ミクロン~5ミクロンの範囲の細孔サイズ、好ましくは0.2ミクロン~0.8ミクロンの範囲の細孔サイズ、例えば0.2ミクロン、0.45ミクロン、及び0.8ミクロンの細孔サイズを有する。
【0029】
[0033]多孔質微生物捕捉フィルターエレメントは、好ましくは、濾過される流体と適合性があり、流体から対象の微生物を除去することができる少なくとも1つのフィルターメディアを含む。フィルターメディアは、例えば、様々な材料の微多孔膜又は繊維要素、濾紙のようななどの任意の所望のタイプとすることができる。微生物研究のための多種多様なフィルターメディアが市販されており、任意のそのようなフィルターメディアを、多孔質微生物捕捉フィルターエレメントとして本発明と共に使用することができる。フィルターメディアは、任意の所望の態様で、例えばサイズに従って、吸着及び/又は親和性結合によって、微生物を捕捉してもよい。微生物研究に使用するためのフィルターメディアは、平坦な膜ディスクであることが多いが、多孔質微生物捕捉フィルターエレメントは特定の形状を有する必要はない。典型的なフィルターメディアは、例えば、ポリエチレンスルホン及び変性セルロースを含む。
【0030】
[0034]リザーバ、アーム及びベースは、処理される流体と適合性がある任意の不浸透性熱可塑性材料(例えば、射出成形によって製作される)を含む、任意の好適な剛性を有する不浸透性材料から製作されることができる。好ましい態様において、これらの構成要素は、いくつかの態様では、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はポリカーボネート樹脂などのポリマーから製造される。
【0031】
[0035]構成要素は、付加製造(「付加層製造」又は「3Dプリント」と呼ばれることもある)によって調製することができる。
【0032】
[0036]典型的には、培養プレート及びカバーは、ポリマー又はガラスから作製され、そして使用を容易にするために、典型的には両方とも同じ材料から作製される。
【0033】
[0037]本明細書で引用する刊行物、特許出願、及び特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個別にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
[0038]本発明を説明する文脈において(特に特許請求の範囲の文脈において)用語「1つ(a)」及び「1つ(an)」及び「その(the)」及び「少なくとも1つ(at least one)」及び同様の指示対象の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を対象とすると解釈されるものである。「少なくとも1つ」という用語の後に1つ又は複数の項目のリスト(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)を使用することは、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、リストされた項目から選択された1つの項目(A又はB)、又はリストされた項目の2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味すると解釈されるものである。「備える」、「有する」、「含む」、及び「含有する」という用語は、別段明記しない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるものである。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書で別段の指示がない限り、範囲内にある各個別の値を個別に参照する簡略化された方法として役立つことを意図するにすぎず、各個別の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に説明するすべての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本発明をよりよく明らかにすることを意図するにすぎず、別段の請求がない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書中の言語は、請求されていない要素を本発明の実施に必須であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0035】
[0039]本発明を実施するために発明者に知られている最良の形態を含む、本発明の好ましい態様が、本明細書に説明される。これらの好ましい態様の変形は、前述の説明を読むことで、当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に説明する以外の方法で本発明を実施することを意図する。したがって、本発明は、適用される法律によって許可されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に列挙された主題のすべての改変形態及び同等物を含む。さらに、そのすべての可能な変形における上記で説明する要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【符号の説明】
【0036】
100…試料リザーバ、101…開放上端部、102…開放下端部、110…弾性側壁、150A…アーム、160A、160B…ブラケット、500…濾過デバイス、501…多孔質微生物捕獲フィルターエレメント、700…培養アセンブリ、750…培養プレート、775…培養カバー、1000…濾過アセンブリ、1030…吸収パッド、1050…ベース、1075…流体ポート、2000…濾過システム。