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  • 特許-パネル用コーナージョイント 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】パネル用コーナージョイント
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/06 20060101AFI20240110BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20240110BHJP
   F16B 12/20 20060101ALI20240110BHJP
   F16B 12/32 20060101ALI20240110BHJP
   F16B 12/46 20060101ALI20240110BHJP
   F16B 12/50 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F16B5/06 G
E04B2/56 601D
E04B2/56 621J
F16B5/06 X
F16B12/20 B
F16B12/32 B
F16B12/46 A
F16B12/50 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019238918
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107720
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】592245890
【氏名又は名称】井上金物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】大澤 智秀
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-041978(JP,A)
【文献】実開昭52-024312(JP,U)
【文献】特開昭51-113311(JP,A)
【文献】実公昭08-000578(JP,Y1)
【文献】実開平02-076655(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/06
F16B 12/20
E04B 2/56
F16B 12/32
F16B 12/46
F16B 12/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直角に突き合わせた2つのパネルを連結するパネル用コーナージョイントであって、
前記パネルの隅の外側に当接するカバーと、
前記パネルの隅の内側に当接する受け部材と、
前記受け部材と前記カバーとを締め付けてそれらに前記パネルを挟持させるボルトと、
前記受け部材と前記カバーとの間に配置されてそれらを離隔させる方向に付勢するバネと、
を備え
前記受け部材は、
前記2つのパネルの内面に当接する断面三角形状の下部と、
前記2つのパネルの端面に当接する断面逆三角形状の上部と、
前記上部と下部の間に形成されるくびれとを有し、
前記受け部材の上部には前記ボルトが螺合するインサートナットが埋め込まれていて、該インサートナットは前記くびれに到達していないことを特徴とするパネル用コーナージョイント。
【請求項2】
前記バネは、前記ボルトを中心として対称な形状であることを特徴とする請求項1に記載のパネル用コーナージョイント。
【請求項3】
前記バネは、前記受け部材と一体成型されていることを特徴とする請求項1または2に記載のパネル用コーナージョイント。
【請求項4】
前記くびれの幅は前記インサートナットの径よりも狭いことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパネル用コーナージョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直角に突き合わせた2つのパネルを連結するパネル用コーナージョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のパネルをパネル用コーナージョイントによって連結して家具や間仕切りを組み立てることが知られている。例えば特許文献1では、基部および押え部からなる接合金具が開示されている。特許文献1では、接着剤を塗布した基部および押え部によって2つのパネルの端部を挟み込んで固定する構造が開示されている。基部はパネルの内側および端面に当接する。抑え部はパネルの外側に当接する。そして、基部と押え部とをタッピングネジで押圧することによって2つのパネルを接合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭51-113311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の接合金具はプレハブ式ルームを組み立てる際に用いられることを想定している。このような場合、施工は業者が行うこととなるため、作業に携わる作業員の人数をある程度確保することができる。しかしながら、室内で使う家具等の比較的小型なものを組み立てる場合、作業する者は本業ではない一般のユーザーであり、また一人で作業を行うことが想定される。すると、誰でも容易に組み立てられるように、組立作業の手間を軽減する必要がある。特許文献1のように接合金具に接着剤を塗布するような作業が必要であると、組立作業の手間が増えてしまう。
【0005】
組立作業の手間を軽減するためには、接着剤のような別の材料を用いることなく、接合金具のみによって組立作業が完結することが望ましい。しかし、特許文献1のように基部および押え部といった2つの部材からなる接合金具では、基部と押え部との間にパネルを差し込む際に、それらを手に持った状態としてパネルを差し込む隙間を形成する必要がある。このため、一人で作業を行うことが難しい。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、作業者が一人で作業を行う場合であっても、パネルの連結作業を容易に行うことが可能なパネル用コーナージョイントを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかるパネル用コーナージョイントの代表的な構成は、直角に突き合わせた2つのパネルを連結するパネル用コーナージョイントであって、パネルの隅の外側に当接するカバーと、パネルの隅の内側に当接する受け部材と、受け部材とカバーとを締め付けてそれらにパネルを挟持させるボルトと、受け部材とカバーとの間に配置されてそれらを離隔させる方向に付勢するバネと、を備えることを特徴とする。なお「パネルの隅」とは、詳しくは、「直角につきあわせた2つのパネルが形成する隅」である。
【0008】
上記構成によれば、カバーを受け部材にボルトによって仮止めした際に、バネがカバーを受け部材から離れさせるため、これらの間に広い隙間が確保される。したがって、作業者は、コーナージョイントを片手に持った状態で、カバーと受け部材との隙間にパネルの端部を挿入することができる。そして、受け部材とカバーとの間の隙間にパネルの端部を挿入した後にボルトを締め付けていく。すると、バネが縮み、受け部材とカバーとによってパネルが挟持され、2つのパネルが連結される。したがって、作業者が一人で作業を行う場合であっても、パネルの連結作業を容易に行うことが可能である。
【0009】
上記バネは、ボルトを中心として対称な形状であるとよい。かかる構成によれば、受け部材とカバーとの間の隙間を、ボルトを中心として均一にすることが可能となる。
【0010】
上記バネは、受け部材と一体成型されているとよい。これにより、パネル用コーナージョイントの部品点数の削減を図ることが可能となる。
【0011】
上記受け部材は、2つのパネルの内面に当接する断面三角形状の下部と、2つのパネルの端面に当接する断面逆三角形状の上部と、上部と下部の間に形成されるくびれとを有し、受け部材の上部にはボルトが螺合するインサートナットが埋め込まれていて、該インサートナットはくびれに到達していないとよい。
【0012】
かかる構成のようにボルトが螺合する箇所をインサートナットとすることにより、受け部材に雌ネジを切ってボルトを螺合する場合に比して、高い強度を得ることができる。またインサートナットが受け部材のくびれに到達していないことにより、くびれの幅を狭くすることができる。したがって、パネル用コーナージョイントによって連結された2つのパネルの間隔を狭めることが可能となる。
【0013】
上記くびれの幅はインサートナットの径よりも狭いとよい。これにより、ボルトがパネルの間を貫通する構造よりも、パネル同士の隙間を狭くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業者が一人で作業を行う場合であってもパネルの連結作業を容易に行うことが可能であり、かつパネル同士の隙間を小さくすることが可能なパネル用コーナージョイントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態にかかるパネル用コーナージョイントの全体斜視図である。
図2】パネル用コーナージョイントの4面図である。
図3】パネル用コーナージョイントによってパネルを連結する図である。
図4】受け部材の断面斜視図である
図5】本実施形態のコーナージョイントの使用態様図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
図1は、本実施形態にかかるパネル用コーナージョイント(コーナージョイント100)の全体斜視図である。図2は、パネル用コーナージョイント(コーナージョイント100)の4面図である。図3は、パネル用コーナージョイント(コーナージョイント100)によってパネル102・104を連結する図である。図3(a)(b)は、2枚のパネル102・104を連結する前のコーナージョイント100の状態を示していて、図3(c)(d)は、2枚のパネル102・104を連結した後のコーナージョイント100の状態を示している。
【0018】
本実施形態のコーナージョイント100は、図3に示す直角に突き合わせた2つのパネル102・104を連結する。図1および図2に示すように、本実施形態のコーナージョイント100は、カバー110(例えばアルミニウム製)、受け部材120(例えば樹脂製)、ボルト130およびバネ140(例えば樹脂製)を含んで構成される。
【0019】
図3に示すように、カバー110は、パネル102・104の隅の外側102a・104aに当接する部材である。図1および図2に示すように、カバー110の断面は、下面が開口した台形状であり、上面112および当接面114を有する。当接面114は、パネル102・104の外側102a・104a(図3参照)に当接する。またカバー110の上面112には、ボルト130が挿通されるボルト穴116が形成されている。
【0020】
図3に示すように、受け部材120は、パネル102・104の隅の内側102b・104bおよび端面102c・104cに当接する部材である。図1および図2に示すように、受け部材120は、上部122および下部124によって構成されている。上部122は、断面逆三角形状の部位であり、側面に2つのパネル102・104の端面102c・104cが当接する。下部124は、断面三角形状の部位であり、側面に2つのパネル102・104の内側102b・104bが当接する。これらの上部122および下部124との間にはくびれ126が形成されている。
【0021】
ボルト130は、受け部材120とカバー110とを締め付けてそれらにパネル102・104を挟持させる部材である。バネ140は、受け部材120とカバー110との間に配置されてそれらを離隔させる方向に付勢する。バネ140には、貫通するボルト穴142が形成されている。
【0022】
本実施形態のコーナージョイント100によってパネル102・104を連結する際には、まずカバー110のボルト穴116およびバネ140のボルト穴116・142にボルト130を挿通する。そして、図3(a)(b)に示すように、受け部材120、カバー110およびバネ140をボルト130によって仮止めする。
【0023】
このとき、本実施形態のコーナージョイント100では、カバー110と受け部材120との間にバネ140が設けられていることにより、カバー110と受け部材120とが離隔する方向に付勢される。これにより、受け部材120とカバー110との間の隙間Hが広く確保される。このため、作業者はコーナージョイント100を一方の手に持った状態で、他方の手で受け部材120とカバー110との間の隙間Hにパネル102・104の端部を容易に挿入することができる。
【0024】
そして、受け部材120とカバー110との間の隙間にパネル102・104の端部を挿入した後にボルト130を締め付けていく。これにより、図3(c)(d)に示すように、バネ140が縮み、受け部材120とカバー110とによってパネル102・104が挟持され、2つのパネル102・104が連結される。したがって、作業者が一人で作業を行う場合であっても、パネル102・104の連結作業を容易に行うことが可能である。
【0025】
本実施形態では特に、図3に示すように、バネ140は、ボルト130を中心として対称な形状である。これにより、受け部材120とカバー110との間の隙間Hを、ボルト130を中心として均一にすることが可能となる。
【0026】
また本実施形態のコーナージョイント100では、図1に示すように、バネ140は、受け部材120と一体成型された樹脂製の部材である。これにより、コーナージョイント100の部品点数の削減を図ることが可能となる。
【0027】
なお、バネ140は受け部材120と一体でなくてもよく、別体であってもよい。別体の場合は、大きなバネワッシャのようにボルト130に通すだけで組み込むことができる。またバネ140は金属製であってもよい。
【0028】
図4は、受け部材120の断面斜視図である。図4に示すように、受け部材120の上部にはボルト130が螺合するインサートナット150が埋め込まれている。これにより、樹脂製の受け部材120に雌ネジを切ってボルト130を螺合する場合に比して、高い強度を得ることができる。
【0029】
そして、受け部材120の上部に埋設されたインサートナット150は、くびれ126に到達していない。これにより、くびれ126の幅Wを狭くすることができる。したがって、コーナージョイント100によって連結された2つのパネル102・104同士の隙間106(図5参照)の間隔を狭めることが可能となる。
【0030】
特に本実施形態のコーナージョイント100では、くびれ126の幅Wをインサートナット150の径Dよりも狭くしている。上述したようにインサートナット150が受け部材120のくびれ126に到達していないことにより、くびれ126の幅Wをインサートナット150の径Dよりも狭くすることができ、2つのパネル102・104同士の隙間106の間隔を確実に狭めることが可能となる。
【0031】
図5は、本実施形態のコーナージョイント100の使用態様図である。図5では、4つのパネル102の端部それぞれをコーナージョイント100によって連結している。これにより、連結するパネル102の数を変えることで、収納棚や机、椅子等の様々な家具を自由に作ることが可能となる。
【0032】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は斯かる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、パネル用コーナージョイントとして利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
100…コーナージョイント、102…パネル、102a…外側、102b…内側、102c…端面、104…パネル、104a…外側、104b…内側、104c…端面、106…パネル同士の隙間、110…カバー、112…上面、114…当接面、116…ボルト穴、120…受け部材、122…上部、124…下部、126…くびれ、130…ボルト、140…バネ、142…ボルト穴、150…インサートナット、H…パネルとカバーの間の隙間、D…インサートナットの径、W…くびれの幅
図1
図2
図3
図4
図5