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特許7416415泡消火設備及び泡消火薬剤水溶液の充填方法
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  • 特許-泡消火設備及び泡消火薬剤水溶液の充填方法 図1
  • 特許-泡消火設備及び泡消火薬剤水溶液の充填方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】泡消火設備及び泡消火薬剤水溶液の充填方法
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/60 20060101AFI20240110BHJP
   A62C 5/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A62C35/60
A62C5/02 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020068324
(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公開番号】P2021164526
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000114905
【氏名又は名称】ヤマトプロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 辰基
(72)【発明者】
【氏名】姉崎 教史
(72)【発明者】
【氏名】東 瑞記
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-058493(JP,A)
【文献】特開平10-201874(JP,A)
【文献】特開2014-183869(JP,A)
【文献】特開2003-164543(JP,A)
【文献】特開平08-215335(JP,A)
【文献】特開2001-346899(JP,A)
【文献】特開2003-135620(JP,A)
【文献】米国特許第06006840(US,A)
【文献】中国特許出願公開第106730551(CN,A)
【文献】実開昭57-165156(JP,U)
【文献】特開昭50-146189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 35/60
A62C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災感知用ヘッドを備える配管と、
前記配管に充填される泡消火薬剤水溶液と、
泡消火薬剤原液と水とを混合して所定濃度の泡消火薬剤水溶液を供給する混合器と、を含む泡消火設備であって、
前記配管に充填される泡消火薬剤水溶液は、前記所定濃度よりも高く、かつ、前記泡消火設備の設置場所における最低気温の予想値を所定温度だけ下回る凝固点に対応する濃度に設定されること、
を具備することを特徴とする泡消火設備。
【請求項2】
流水検知装置の2次側に接続されて消火用ヘッドを備える配管と、
前記配管に充填される泡消火薬剤水溶液と、
泡消火薬剤原液と水とを混合して所定濃度の泡消火薬剤水溶液を供給する混合器と、を含む泡消火設備であって、
前記配管に充填される泡消火薬剤水溶液は、前記所定濃度よりも高く、かつ、前記泡消火設備の設置場所における最低気温の予想値を所定温度だけ下回る凝固点に対応する濃度に設定されること、
を具備することを特徴とする泡消火設備。
【請求項3】
前記配管は、前記配管の流路を区分けする弁を含み、
前記濃度を持つ泡消火薬剤水溶液が前記弁よりも下流側の流路に充填され、
前記所定濃度を持つ泡消火薬剤水溶液が前記弁よりも上流側の流路に充填されること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の泡消火設備。
【請求項4】
前記配管は、前記配管の流路を区分けする複数の弁を含み、
前記複数の弁によって区分された前記流路の各区域には、異なる前記濃度を持つ泡消火薬剤水溶液が充填されること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の泡消火設備。
【請求項5】
火災感知用ヘッドを備えて感知ラインを構成する配管と、前記配管に接続されて前記感知ラインを手動で起動させるための弁と、を含む泡消火設備における前記配管に泡消火薬剤水溶液を充填する方法であって、
前記弁から前記配管に前記泡消火薬剤水溶液を充填すること、
を特徴とする泡消火薬剤水溶液の充填方法。
【請求項6】
流水検知装置と、前記流水検知装置の2次側に接続されて消火用ヘッドを備える配管と、前記配管に接続されて前記消火用ヘッドを試験するための弁と、を含む泡消火設備における前記配管に泡消火薬剤水溶液を充填する方法であって、
前記弁から前記配管に前記泡消火薬剤水溶液を充填すること、
を特徴とする泡消火薬剤水溶液の充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡消火設備及び泡消火薬剤水溶液の充填方法に関し、特に、感知ラインを構成する配管又は流水検知装置の2次側の配管に消火薬剤水溶液が充填される泡消火設備及び当該泡消火設備への泡消火薬剤水溶液の充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
開放型泡消火設備において感知ラインを構成する配管、及び、閉鎖型泡消火設備において流水検知装置よりも2次側の配管には、常時、消火薬剤の水溶液が充填されている。これらの配管は、例えば自走式駐車場の各階の天井付近に配置される配管のように、半屋外の場所に露出し外気に曝されることが多く、寒冷地における冬場の配管の凍結対策が求められる。
【0003】
従来、感知ラインの消火薬剤水溶液に不凍液(エチレングリコールを主成分としたもの)を添加したり、2次側配管にヒーター入りの保温材を巻いたりする等の対処が行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平成10-201874号公報、段落0008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、不凍液を感知ライン内に添加することは手間であり、コストの増加を招く。また、2次側配管に保温材を巻くことは、施工にかかる時間、保温機材の費用、ヒーターの電気代を発生させ、やはりコスト増加を招く。
【0006】
そこで、本発明は、泡消火設備において、外気に曝される配管の凍結を簡易な手法で効果的に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決すべく、本発明の第1の形態は、
火災感知用ヘッドを備える配管と、
前記配管に充填される泡消火薬剤水溶液と、
泡消火薬剤原液と水とを混合して所定濃度の泡消火薬剤水溶液を供給する混合器と、を含む泡消火設備であって、
前記配管に充填される泡消火薬剤水溶液は、前記所定濃度よりも高く、かつ、前記泡消火設備の設置場所における最低気温の予想値を所定温度だけ下回る凝固点に対応する濃度に設定されること、
を具備することを特徴とする泡消火設備を提供する。
ここで、前記配管に充填される泡消火薬剤水溶液は、泡消火薬剤原液でもよいものとする。
【0008】
また、本発明の第2の形態は、
流水検知装置の2次側に接続されて消火用ヘッドを備える配管と、
前記配管に充填される泡消火薬剤水溶液と、
泡消火薬剤原液と水とを混合して所定濃度の泡消火薬剤水溶液を供給する混合器と、を含む泡消火設備であって、
前記配管に充填される泡消火薬剤水溶液は、前記所定濃度よりも高く、かつ、前記泡消火設備の設置場所における最低気温の予想値を所定温度だけ下回る凝固点に対応する濃度に設定されること、
を具備することを特徴とする泡消火設備を提供する。
【0009】
本発明の泡消火設備では、
前記配管は、前記配管の流路を区分けする弁を含み、
前記濃度を持つ泡消火薬剤水溶液が前記弁よりも下流側の流路に充填され、
前記所定濃度を持つ泡消火薬剤水溶液が前記弁よりも上流側の流路に充填されること、が好ましい。
【0010】
また、本発明の泡消火設備では、
前記配管は、前記配管の流路を区分けする複数の弁を含み、
前記複数の弁によって区分された前記流路の各区域には、異なる前記濃度を持つ泡消火薬剤水溶液が充填されること、が好ましい。
【0011】
また、本発明の第3の形態は、
火災感知用ヘッドを備えて感知ラインを構成する配管と、前記配管に接続されて前記感知ラインを手動で起動させるための弁と、を含む泡消火設備における前記配管に泡消火薬剤水溶液を充填する方法であって、
前記弁から前記配管に前記泡消火薬剤水溶液を充填すること、
を特徴とする泡消火薬剤水溶液の充填方法を提供する。
【0012】
また、本発明の第4の形態は、
流水検知装置と、前記流水検知装置の2次側に接続されて消火用ヘッドを備える配管と、前記配管に接続されて前記消火用ヘッドを試験するための弁と、を含む泡消火設備における前記配管に泡消火薬剤水溶液を充填する方法であって、
前記弁から前記配管に前記泡消火薬剤水溶液を充填すること、
を特徴とする泡消火薬剤水溶液の充填方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、泡消火設備において、外気に曝される配管の凍結を簡易な手法で効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る泡消火設備1の模式図である。
図2】第2実施形態に係る泡消火設備2の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の代表的な実施形態に係る泡消火設備及び泡消火薬剤水溶液の充填方法を、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本発明はこれら図面に限定されるものではない。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。
【0016】
1.第1実施形態
1-1.泡消火設備の構成
図1を参照して、第1実施形態に係る泡消火設備1の構成を説明する。
泡消火設備1は、開放型の泡消火設備であって、1次側配管11、一斉開放弁17、感知ライン19、水源25、ポンプP、貯蔵槽27、混合器29及び流水検知装置31を含んで構成されている。
【0017】
1次側配管11は、流水検知装置31の1次側に接続されている配管であり、換言すれば、水源25から流水検知装置31に至る配管である。1次側配管11には、水源25から水を吸い上げるポンプP、泡消火薬剤の原液を貯留する貯蔵槽27、水源25からの水に所定濃度(例えば3~4%)で泡消火薬剤の原液を混合して泡消火薬剤水溶液(混合液)を生成する混合器29が接続されている。また、2次側配管13は、流水検知装置31の2次側に接続された配管であり、消火用ヘッド15を備えている。ここでは、消火用ヘッド15は、火災感知部を備えていない開放型のヘッドである。
【0018】
感知ライン19は、一斉開放弁17に接続される配管であって、火災感知用ヘッド21を備えている。ここで、火災感知用ヘッド21は、火災感知部を備えた閉鎖型のヘッド(例えばスプリンクラーヘッド等)である。感知ライン19には、泡消火薬剤水溶液が充填されている。本実施形態では、感知ライン19に充填される泡消火薬剤水溶液の濃度は、混合器29における泡消火薬剤原液と水との混合液(混合物)の濃度よりも高く、かつ、泡消火設備1の設置場所における最低気温の予想値を所定温度だけ下回る凝固点に対応する濃度に設定されている。
【0019】
例えば、感知ライン19に、泡消火薬剤の原液(100%)そのもの、又は、当該原液を含む高濃度の水溶液を満たしておくとよい。より具体的には、-20℃仕様の泡消火薬剤の原液を感知ライン19に充填してもよい。あるいは、泡消火設備1の設置場所の気候を踏まえ、例えば過去の最低気温(例えば-5℃)から-10℃程度までしか下がらないものと想定し、想定される最低気温(-15℃)を下回る凝固点を持つ水溶液(例えば75%水溶液)を採用する。これにより準備すべき泡消火薬剤原液の量を抑制することができる。いずれの場合にも、泡消火設備1の性能に支障をきたすことなく、感知ライン19の凍結防止を実現可能である。更には、感知ライン19内に添加するためだけに少量の不凍液(エチレングリコール)を別途手配する必要が無くなり、コスト、施工面でメリットがある。
【0020】
ただし、感知ライン19の全てを高濃度の泡消火薬剤水溶液で満たす必要はない。例えば、弁23を感知ライン19に設けて感知ライン19内の流路を区域19A,19Bに分けておき、各区域で異なる設計濃度の水溶液を満たしてもよい。弁23としては、上流側(区域19A)から下流側(区域19B)への流入を許容しつつ反対方向への流れを抑止する逆止弁が好適である。
【0021】
この場合、弁23よりも下流側(区域19B)の流路には高濃度の泡消火薬剤水溶液が充填されるとともに、弁23よりも上流側(区域19A)の流路には所定濃度の泡消火薬剤水溶液(又は下流側の泡消火薬剤水溶液よりも低濃度の泡消火薬剤水溶液)が充填されてもよい。低温に曝される箇所が予め判明しているのであれば、その低温曝露が想定される領域の上流側に弁23を設け、その弁23の下流側のみを高濃度の泡消火薬剤水溶液で満たせばよいのである。これにより、感知ライン19の凍結防止を確実にかつコスト面で効率的に実施することが可能となる。
【0022】
あるいは、感知ライン19は、感知ライン19内の流路を3以上に区分けする、図示しない複数の弁を含んでいてもよい。複数の弁によって区分された流路の各区域に、異なる濃度(少なくとも1つの区域には高濃度の)の泡消火薬剤水溶液が充填されることで、より効率的に感知ライン19の凍結防止を実施することができる。
【0023】
感知ライン19は、感知ライン19に接続されて感知ライン19に泡消火薬剤水溶液を注入可能な弁33をひとつ又は複数個備えていてもよい。例えば、感知ライン19が複数の弁で区分されている場合、区分された流路の各区域に泡消火薬剤水溶液を注入可能な弁33をひとつずつ設けることが好ましい。弁33は、感知ライン19を手動で起動させるために感知ライン19の末端に接続された手動起動弁で代用されてもよい。
【0024】
上述した泡消火設備1では、感知ライン19において低温に曝される箇所の凍結防止を確実かつ低コストで実現する。火災発生時には、感知ライン19は、火災感知用ヘッド21の作動又は弁33の操作を介した火災感知を一斉開放弁17に伝達し、対応する消火用ヘッド15からの放水を促すことができる。
【0025】
1-2.泡消火薬剤水溶液の充填方法
上述した泡消火設備1の感知ライン19に泡消火薬剤水溶液を充填する方法を説明する。すなわち、泡消火設備1の設置時又は施工時に、弁33を開き、末端の排水口から感知ライン19に泡消火薬剤水溶液を充填したうえで、弁33を閉じる。好ましくは、所定濃度よりも高濃度の泡消火薬剤水溶液が弁33を介して感知ライン19に充填されるとよい。
【0026】
また、感知ライン19が弁23を含む場合、高濃度の泡消火薬剤水溶液を弁33から区域19Bに充填するとともに、所定濃度を持つ泡消火薬剤水溶液を、ポンプPにより一斉開放弁17経由で、感知ライン19内の上流側(区域19A)に充填してもよい。弁23が逆止弁である場合、区域19B内の充填圧力を、区域19Aの充填圧力よりも高くしておくことで、2つの区域を異なる濃度の泡消火薬剤水溶液で充填しておくことができる。さらに、感知ライン19が複数の弁(逆止弁)で区分されている場合には、区分された流路の各区域に設けた泡消火薬剤水溶液を注入可能な弁33を介して、下流側の区域から順に設定した濃度の泡消火薬剤水溶液を充填していくとよい。このとき、下流側の区域の充填圧力が上流側の区域の充填圧力よりも高くなるように設定すればよい。このようにすれば、既存の設備を有効に活用して、濃度の異なる泡消火薬剤水溶液を感知ライン19内に充填することができる。
【0027】
2.第2実施形態
2-1.泡消火設備の構成
図2を参照して、第2実施形態に係る泡消火設備2を説明する。
泡消火設備2は、閉鎖型の泡消火設備であって、1次側配管11、2次側配管13、水源25、ポンプP、貯蔵槽27、混合器29及び流水検知装置31を含んで構成されている。2次側配管13に取り付けられている消火用ヘッド15は火災感知部を兼ね備えた閉鎖型のヘッドである。
【0028】
2次側配管13は、流水検知装置31の2次側に接続され、消火用ヘッド15を有している。2次側配管13には、泡消火薬剤水溶液が充填されている。
【0029】
2次側配管13に充填される泡消火薬剤水溶液は、混合器29における泡消火薬剤原液と水との混合液の所定濃度(例えば3~4%)よりも高く、かつ、泡消火薬剤水溶液が泡消火設備2の設置場所における最低気温の予想値を所定温度だけ下回る凝固点に対応する濃度に設定される。泡消火薬剤水溶液については(例えば濃度)は、第1実施形態に係る泡消火薬剤水溶液についての考え方を適用してよい。これにより、閉鎖型の泡消火設備2の2次側配管13に、保温材やヒーター制御が不要となる。
【0030】
ただし、2次側配管13の全てを高濃度の泡消火薬剤水溶液で満たす必要はなく、弁35で2次側配管13を区域13A,13Bに分けておき、各区域で異なる設計濃度の水溶液を満たしてもよい。弁35としては、上流側(区域13A)から下流側(区域13B)への流入を許容しつつ反対方向への流れを抑止する逆止弁が好適である。
【0031】
あるいは、2次側配管13は、2次側配管13内の流路を3以上に区分けする、図示しない複数の弁を含んでいてもよい。複数の弁によって区分された流路の各区域に、異なる濃度(少なくとも1つの区域には高濃度の)の泡消火薬剤水溶液が充填されることで、より効率的に2次側配管13の凍結防止を実施することができる。
【0032】
2次側配管13は、2次側配管13に接続されて2次側配管13に泡消火薬剤水溶液を注入可能な弁37をひとつ又は複数個備えていてもよい。例えば、2次側配管13が複数の弁で区分されている場合、区分された流路の各区域に泡消火薬剤水溶液を注入可能な弁37をひとつずつ設けることが好ましい。弁37は、泡消火設備2を試験するために2次側配管13の末端に接続された試験弁で代用されてもよい。
【0033】
上述した泡消火設備2では、2次側配管13において低温に曝される箇所の凍結防止を確実かつ低コストで実現する。火災発生時には、所定濃度の泡消火薬剤水溶液が混合器29から流水検知装置31を経て2次側配管13を流れ、消火用ヘッド15から放水される。
【0034】
2-2.泡消火薬剤水溶液の充填方法
上述した泡消火設備2の2次側配管13に泡消火薬剤水溶液を充填する方法を説明する。すなわち、泡消火設備2の設置時又は施工時に、弁37を開き、末端の排水口から2次側配管13に泡消火薬剤水溶液を充填したうえで、弁37を閉じる。好ましくは、所定濃度よりも高濃度の泡消火薬剤水溶液が2次側配管13に充填されるとよい。
【0035】
2次側配管13が弁35を含む場合、高濃度の泡消火薬剤水溶液を弁37から区域13Bに充填するとともに、所定濃度を持つ泡消火薬剤水溶液を、ポンプPにより流水検知装置31経由で、2次側配管13内の上流側(区域13A)に充填してもよい。弁35が逆止弁である場合、区域13B内の充填圧力を、区域13Aの充填圧力よりも高くしておくことで、2つの区域を異なる濃度の泡消火薬剤水溶液で充填しておくことができる。さらに、2次側配管13が複数の弁(逆止弁)で区分されている場合には、区分された流路の各区域に設けた泡消火薬剤水溶液を注入可能な弁37を介して、下流側の区域から順に設定した濃度の泡消火薬剤水溶液を充填していくとよい。このとき、下流側の区域の充填圧力が上流側の区域の充填圧力よりも高くなるように設定すればよい。このようにすれば、既存の設備を有効に活用して、濃度の異なる泡消火薬剤水溶液を2次側配管13内に充填することができる。
【0036】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、それらも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1・・・泡消火設備
11・・・1次側配管
13・・・2次側配管
15・・・消火用ヘッド
17・・・一斉開放弁
19・・・感知ライン
21・・・火災感知用ヘッド
23,33,35,37・・・弁
31・・・流水検知装置
図1
図2