(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電子部品試験装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20240110BHJP
【FI】
G01R31/26 H
(21)【出願番号】P 2021107060
(22)【出願日】2021-06-28
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591009705
【氏名又は名称】株式会社 東京ウエルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】小森 太陽
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特許第5987977(JP,B2)
【文献】特開2005-043332(JP,A)
【文献】特開2001-281294(JP,A)
【文献】特開2018-054433(JP,A)
【文献】特開2018-046233(JP,A)
【文献】特開2006-278414(JP,A)
【文献】特開2008-304274(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0106292(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2006-0100189(KR,A)
【文献】中国実用新案第212255564(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/26-27、
31/28-31/3193、
1/06-1/073、
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1外部電極と第2外部電極とを有し自己発熱を生じる電子部品を常温より高い所定の試験温度で試験する電子部品試験装置において、
前記電子部品の前記第1外部電極に当接する第1プローブと、
前記電子部品の前記第2外部電極に当接する第2プローブと、
前記第1プローブに接続された、第1プローブヒータおよび第1プローブ温度センサと、
前記第2プローブに接続された、第2プローブヒータおよび第2プローブ温度センサと、
制御部とを備え、
前記第1プローブと、前記第2プローブとの間で前記電子部品に対して電気が印加され、
前記制御部は、前記第1プローブ温度センサからの信号に基づいて、前記第1プローブの温度を前記電子部品の試験温度より高い加熱温度に維持するよう、前記第1プローブヒータを制御し、前記第2プローブ温度センサからの信号に基づいて、前記第2プローブの加熱温度を前記試験温度より低い加熱温度に維持するよう、前記第2プローブヒータを制御する、電子部品試験装置。
【請求項2】
前記制御部は前記第1プローブの加熱温度と前記第2プローブの加熱温度との間の温度差を5℃~15℃の範囲とするよう前記第1プローブヒータおよび前記第2プローブヒータを制御する、請求項1記載の電子部品試験装置。
【請求項3】
前記電子部品試験装置は複数の電子部品を試験するものであり、前記第1プローブは第1プローブホルダに保持され、複数の電子部品に対応する単一の第1プローブ要素を含み、
前記第1プローブヒータおよび前記第1プローブ温度センサは、前記第1プローブホルダに内蔵され、
前記第2プローブは第2プローブホルダに保持され、各電子部品に対応する複数の第2プローブ要素を含み、
前記第2プローブヒータおよび前記第2プローブ温度センサは、前記第2プローブホルダに内蔵されている、請求項1または2記載の電子部品試験装置。
【請求項4】
前記電子部品試験装置は複数の電子部品を試験するものであり、前記第1プローブは第1プローブホルダに保持され、各電子部品に対応する複数の第1プローブ要素を含み、
前記第1プローブヒータおよび前記第1プローブ温度センサは、前記第1プローブホルダに内蔵され、
前記第2プローブは第2プローブホルダに保持され、各電子部品に対応する複数の第2プローブ要素を含み、
前記第2プローブヒータおよび前記第2プローブ温度センサは、前記第2プローブホルダに内蔵されている、請求項1または2記載の電子部品試験装置。
【請求項5】
前記第1プローブと前記第2プローブとの間で、前記電子部品に対して直流電圧、または直流電流、または交流電圧、または交流電流、または直流電圧と交流電圧の重畳、または直流電流と交流電流の重畳を印加する、請求項1乃至4のいずれか記載の電子部品試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自己発熱を生じる電子部品を常温より高い所定の試験温度で試験する電子部品試験置に関する。
【背景技術】
【0002】
自己発熱を生じる電子部品に対して、常温より高い所定の試験温度で電圧、または電流を印加して試験を行う電子部品試験装置が知られている。
【0003】
しかしながら、従来より試験対象となる電子部品を所定の試験温度まで加熱して維持するとともに、試験中に自己発熱する電子部品から効果的に熱を放熱する電子部品試験装置を開発されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、試験対象となる電子部品を所定の試験温度まで加熱して維持するとともに、試験中に自己発熱する電子部品から効果的に熱を放熱する電子部品試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、第1外部電極と第2外部電極とを有し自己発熱を生じる電子部品を常温より高い所定の試験温度で試験する電子部品試験装置において、前記電子部品の前記第1外部電極に当接する第1プローブと、前記電子部品の前記第2外部電極に当接する前記第2プローブと、前記第1プローブに接続された、第1プローブヒータおよび第1プローブ温度センサと、前記第2プローブに接続された、第2プローブヒータおよび第2プローブ温度センサと、制御部とを備え、前記第1プローブと前記第2プローブとの間で前記電子部品に対して電気が印加され、前記制御部は、前記第1プローブ温度センサからの信号に基づいて、前記第1プローブの温度を前記電子部品の試験温度より高い加熱温度に維持するよう、前記第1プローブヒータを制御し、前記第2プローブ温度センサからの信号に基づいて、前記第2プローブの加熱温度を前記試験温度より低い加熱温度に維持するよう、前記第2プローブヒータを制御する、電子部品試験装置である。
【0007】
本開示は、前記制御部は前記第1プローブの加熱温度と前記第2プローブの加熱温度との間の温度差を5℃~15℃の範囲とするよう前記第1プローブヒータおよび前記第2プローブヒータを制御する、電子部品試験装置である。
【0008】
本開示は、前記電子部品試験装置は複数の電子部品を試験するものであり、前記第1プローブは第1プローブホルダに保持され、複数の電子部品に対応する単一の第1プローブ要素を含み、前記第1プローブヒータおよび前記第1プローブ温度センサは、前記第1プローブホルダに内蔵され、前記第2プローブは第2プローブホルダに保持され、各電子部品に対応する複数の第2プローブ要素を含み、前記第2プローブヒータおよび前記第2プローブ温度センサは、前記第2プローブホルダに内蔵されている、電子部品試験装置である。
【0009】
本開示は、前記電子部品試験装置は複数の電子部品を試験するものであり、前記第1プローブは第1プローブホルダに保持され、各電子部品に対応する複数の第1プローブ要素を含み、前記第1プローブヒータおよび前記第1プローブ温度センサは、前記第1プローブホルダに内蔵され、前記第2プローブは第2プローブホルダに保持され、各電子部品に対応する複数の第2プローブ要素を含み、前記第2プローブヒータおよび前記第2プローブ温度センサは、前記第2プローブホルダに内蔵されている、電子部品試験装置である。
【0010】
本開示は、前記第1プローブと前記第2プローブとの間で、前記電子部品に対して直流電圧、または直流電流、または交流電圧、または交流電流、または直流電圧と交流電圧の重畳、または直流電流と交流電流の重畳を印加する、電子部品試験装置である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、試験対象となる電子部品を所定の試験温度まで加熱して維持するとともに、試験中に自己発熱する電子部品から効果的に熱を放熱する電子部品試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の第1の実施形態による電子部品試験装置の構成を示す図。
【
図3】本開示の第2の実施形態による電子部品試験装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施の形態>
以下、
図1および
図2を参照して本開示の第1の実施の形態について説明する。
【0014】
本実施の形態による電子部品試験装置10は、自己発熱を生じる複数の電子部品(例えば積層セラミックコンデンサ)Wを常温より高い所定の試験温度(例えば100℃~170℃)に加熱して電子部品Wに対して試験を行うものである。ここで、電子部品Wに対して試験を行うとは、電子部品Wを加熱して熱負荷をかけながら、電気的負荷を印加する試験、あるいは電子部品Wを加熱して熱負荷をかけながら、電気的負荷を印加し、かつ電子部品Wの電気的測定を行う試験を含む。
【0015】
まず第1の実施の形態により試験される電子部品Wについて説明する。
図1に示すように、電子部品Wは電子部品本体W0と、電子部品本体W0に設けられた第1外部電極W1および第2外部電極W2とを有する。そして電子部品試験装置10はこのような電子部品Wを常温よりも高い所定の温度(試験温度)に加熱し、試験温度まで加熱した後、電子部品に電気を印加して、バーンインのようなスクリーニング工程や、高温での測定工程を施すものである。
【0016】
具体的には電子部品試験装置10は、複数、例えば200個の積層セラミックコンデンサからなる電子部品Wを常温より高い試験温度(100℃~170℃)まで加熱し、この電子部品Wに対して電気を印加して、例えば耐電圧試験、静電容量、絶縁抵抗、漏れ電流等の電気的試験を行う。
【0017】
このような電子部品試験装置10は、電子部品Wの第1外部電極W1に当接する第1プローブ11と、電子部品Wの第2外部電極W2に当接する第2プローブ21と、第1プローブ11に接続された第1プローブヒータ13および第1プローブ温度センサ15と、第2プローブ21に接続された第2プローブヒータ23および第2プローブ温度センサ25とを備えている。
【0018】
このうち、第1プローブ11は、水平方向に延びる細長状の第1プローブホルダ12に保持され、複数の電子部品Wに対応する単一の第1プローブ要素11aを含む。本実施の形態において第1プローブ11の第1プローブ要素11aは帯状の導電体からなる。
【0019】
また第1プローブヒータ13は第1プローブホルダ12内に内蔵され、第1プローブホルダ12の長手方向略全長に渡って延びるラバーヒータからなり、第1プローブ温度センサ15は第1プローブホルダ12の長手方向略中央部に設けられている。
【0020】
一方、第2プローブ21は、水平方向に延びる細長状の第2プローブホルダ22に保持され、複数の電子部品Wに対応して設けられた複数の第2プローブ要素21aを含む。本実施の形態において、第2プローブ21の各第2プローブ要素21aは、各々の電子部品Wに対応して設けられたピン状の導電体からなる。
【0021】
また第2プローブヒータ23は第2プローブホルダ22内に内蔵され、第2プローブホルダの長手方向略全長に渡って延びるラバーヒータからなり、第2プローブ温度センサ25は第2プローブホルダ22の長手方向略中央部に設けられている。
【0022】
上述のように、第1プローブ要素11aは帯状の導電体からなり、第2プローブ要素21aはピン状の導電体からなる。また第1プローブホルダ12および第2プローブホルダ22は、いずれも非導電体、例えばマシナブルセラミックスのような材料からなる。
【0023】
さらに第1プローブ11と第2プローブ21との間には、電子部品Wに対して直流電圧、または直流電流、または交流電圧、または交流電流、または直流電圧と交流電圧の重畳、または直流電流と交流電流の重畳を印加して、電子部品Wの電気的負荷印加、または電気的測定、またはその両方を行う試験回路部30が配線31,32を介して接続されている。
【0024】
さらに電子部品試験装置10は、上記の構成部分を駆動制御する制御部40を有する。
【0025】
本実施の形態による電子部品試験装置10を用いて試験を行うことが可能な電子部品としては、上述のような積層セラミックコンデンサ以外にも、負特性サーミスタ、ダイオード、トランジスタなどの半導体素子、セラミックコンデンサ以外のコンデンサの一部などが例示される。
【0026】
次に電子部品試験装置10の各構成部分について以下説明する。
【0027】
電子部品試験装置10のうち、第1プローブ11は単一の第1プローブ要素11aを含み、この第1プローブ要素11aは、帯状の金属製導電体からなる。そして、電子部品Wを所定の位置に配置したときに、第1プローブ要素11aは電子部品Wの第1外部電極W1と当接する。
【0028】
第1プローブ要素11aに用いられる金属材料としては、例えば、Cu、Fe、Alなどの金属が挙げられる。
【0029】
また、良好な電気的接触を図るため、第1プローブ要素11aには、電子部品Wの第1外部電極W1との接触面に、Au、Ag、Ni、Snなどのめっきを施すことも可能である。
【0030】
また第2プローブ21は、ピン状の複数の第2プローブ要素21aを有する。そして電子部品Wを所定の位置に配置したときに、各第2プローブ要素21aは電子部品Wの第2外部電極W2と当接する。
【0031】
第2プローブ要素21aに用いられる金属材料としては、例えば、Cu、Fe、Alなどの金属が挙げられる。また良好な電気的接触を図るため、第2プローブ要素21aには、電子部品Wの第2外部電極W2との接触面に、Au、Ag、Ni、Snなどのめっきを施すことも可能である。
【0032】
また第1プローブ11側の第1プローブ温度センサ15、および第2プローブ21側の第2プローブ温度センサ25は、いずれも熱電対型またはPt測温抵抗体型またはサーミスタの温度センサからなる。
【0033】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について
図2を用いて説明する。
【0034】
まず制御部40は第1プローブヒータ13を駆動して、第1プローブホルダ12を加熱する。このことにより第1プローブ11が加熱される。
【0035】
同時に制御部40は第2プローブヒータ23を駆動して、第2プローブホルダ22を加熱する。このことにより第2プローブ21が加熱される。
【0036】
この間、第1プローブ温度センサ15および第2プローブ温度センサ25からの信号が制御部40に入力され、制御部40は第1プローブヒータ13および第2プローブヒータ23を駆動制御して、第1プローブ11および第2プローブ21を各々所定の温度に維持する。
【0037】
本実施の形態において、電子部品Wを所定の試験温度(例えば150℃)で加熱しながら、電子部品Wに対して電気を印加することにより電子部品Wの電気的試験を行うことを考える。
【0038】
この場合、制御部40は第1プローブ11を150℃の試験温度よりわずかに高い153℃に維持するよう第1プローブヒータ13を駆動制御する。同様に制御部40は第2プローブ21を150℃の試験温度よりわずかに低い147℃に維持するよう第2プローブヒータ23を駆動制御する。
【0039】
このように第1プローブ11を153℃まで加熱して維持し、かつ第2プローブ21を147℃まで加熱して維持することにより、電子部品Wは第1プローブ11と第2プローブ21により加熱され、電子部品Wの温度が第1プローブ11の温度と、第2プローブ21の温度との中間の値、すなわち150℃の試験温度まで上昇して維持される。
【0040】
本実施の形態において、第1プローブ11の加熱温度と、第2プローブ21の加熱温度との差は6℃となっているが、この第1プローブ11の加熱温度と第2プローブ21の加熱温度の差は5℃~15℃となっていることが好ましい。
【0041】
この場合、第1プローブ11と第2プローブ21との間の加熱温度の差が5℃以下となると、後述のように電子部品Wが自己発熱した際、この自己発熱により生じた熱を第2プローブ21から放熱することがむずかしくなる。
【0042】
他方、第1プローブ11と第2プローブ21との間の加熱温度の差が15℃以上となると、電子部品Wの温度制御がむずかしくなる。
【0043】
次に試験回路部30から第1プローブ11と第2プローブ21との間に、直流電圧、または直流電流、または交流電圧、または交流電流等の電気が印加され、電子部品Wに対する電気的特性を試験する。
【0044】
このようにして、電子部品Wに対する電気的試験が行われる間、電子部品Wが自己発熱を生じさせ、電子部品Wの温度が上記試験温度、150℃から例えば153℃まで上昇する。
【0045】
上述のように電子部品Wは、第1プローブ11および第2プローブ21により加熱されて、その温度が試験温度(150℃)まで加熱されてその温度が維持される。この場合、電子部品Wは、電子部品Wの試験温度より高温の第1プローブ11からより高温で加熱され、電子部品Wの熱が電子部品Wの試験温度より低温の第2プローブ21側へ放熱されている。このため電子部品Wに対して電気的試験を行う前から第1プローブ11、電子部品Wおよび第2プローブ21間には熱の移動が生じており、これら第1プローブ11、電子部品Wおよび第2プローブ21間では熱に対する応答性が高い状態が形成されている。
【0046】
このため電子部品Wに対する電気的試験が行われて、電子部品Wが自己発熱により例えばその温度が150℃から153℃へ上昇した場合、153℃に加熱されている第1プローブ11から電子部品W側から熱が伝わることはない。
【0047】
他方、電子部品Wからの熱が第2プローブ21側へ伝わるため、電子部品Wが電気的試験をする間に印加される電気により高温に加熱されても、電子部品Wの熱を第2プローブ21により効果的に放熱することができる。このため電子部品Wの急速な高温加熱(いわゆる熱暴走)が生じることを未然に防止することができる。例えば電子部品Wが自己発熱により153℃まで加熱された場合、153℃の電子部品Wと147℃の第2プローブ21との間の温度差は3℃から6℃まで増加するため、自己発熱により加熱した電子部品Wの熱を第2プローブ21により効果的に放熱することができる。
【0048】
以上のように本実施の形態によれば、電子部品Wの一つ一つについてその温度を検出する必要はなく、第1プローブ11と第2プローブ21を各々所定の加熱温度まで加熱するだけで、電子部品Wの試験温度を第1プローブ11の加熱温度と、第2プローブ21の加熱温度の中間の値に確実に維持することができる。また電子部品Wが電気的試験を行う間に印加される電気により自己発熱が生じて温度が上昇しても、この電子部品Wの熱を第2プローブ21により効果的に放熱することができる。
【0049】
さらに本実施の形態によれば、電子部品Wは第1プローブ11と第2プローブ21とにより加熱された電子部品Wの試験温度は、第1プローブ11の加熱温度と第2プローブ21の加熱温度の中間の値をとり、このため加熱後の電子部品W中には第1プローブ11側から第2プローブ21側に向かって温度分布が生じる。
【0050】
しかしながら、上述のように第1プローブ11の加熱温度と第2プローブ21の加熱温度との差は、5℃~15℃となっているため、電子部品W中の温度分布を比較的小さく抑えることができ、このため電子部品Wの電気的試験をする際に支障が生じることはない。
【0051】
さらにまた、電子部品Wの一つ一つに対応してプローブ温度センサを設ける必要はなく、第1プローブ11側に単一の第1プローブヒータ13と単一の第1プローブ温度センサ15を設け、第2プローブ21側に単一の第2プローブヒータ23と単一の第2プローブ温度センサ25を設けられている。そして、第1プローブヒータ13を第1プローブ温度センサ15からの信号により制御部40により制御し、第2プローブヒータ23を第2プローブ温度センサ25からの信号により制御部40により制御する。このため装置全体の簡略化を図り、制御系をできる限り単純化することができる。
【0052】
<第2の実施の形態>
次に
図3により本開示の第2の実施の形態について説明する。
【0053】
図3に示す第2の実施の形態において、
図1および
図2に示す第1の実施の形態と同一部分については同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
図3に示すように、電子部品試験装置10は、複数、例えば200個の積層セラミックコンデンサからなる電子部品Wを常温より高い試験温度(100℃~170℃)まで加熱し、この電子部品Wに対して電気を印加して、例えば耐電圧試験、静電容量、絶縁抵抗、漏れ電流等の電気的試験を行うものである。
【0055】
このような電子部品試験装置10は、電子部品Wの第1外部電極W1に当接する第1プローブ11と、電子部品Wの第2外部電極W2に当接する第2プローブ21と、第1プローブ11に接続された第1プローブヒータ13および第1プローブ温度センサ15と、第2プローブ21に接続された第2プローブヒータ23および第2プローブ温度センサ25とを備えている。
【0056】
このうち、第1プローブ11は、水平方向に延びる細長状の第1プローブホルダ12に保持され、複数の電子部品Wに対応して設けられた複数の第1プローブ要素11aを含む。本実施の形態において第1プローブ11の第1プローブ要素11aは各々の電子部品Wに対応して設けられたピン状の導電体からなる。
【0057】
また第1プローブヒータ13は第1プローブホルダ12内に内蔵され、第1プローブホルダ12の長手方向略全長に渡って延びるラバーヒータからなり、第1プローブ温度センサ15は第1プローブホルダ12の長手方向略中央部に設けられている。
【0058】
一方、第2プローブ21は、水平方向に延びる細長状の第2プローブホルダ22に保持され、複数の電子部品Wに対応して設けられた複数の第2プローブ要素21aを含む。本実施の形態において、第2プローブ21の各第2プローブ要素21aは、各々の電子部品Wに対応して設けられたピン状の導電体からなる。
【0059】
また第2プローブヒータ23は第2プローブホルダ22内に内蔵され、第2プローブホルダの長手方向略全長に渡って延びるラバーヒータからなり、第2プローブ温度センサ25は第2プローブホルダ22の長手方向略中央部に設けられている。
【0060】
上述のように、第1プローブ要素11aはピン状の導電体からなり、第2プローブ要素21aはピン状の導電体からなる。また第1プローブホルダ12および第2プローブホルダ22は、いずれも非導電体、例えばマシナブルセラミックスのような材料からなる。
【0061】
さらに第1プローブ11と第2プローブ21との間には、電子部品Wに対して直流電圧、または直流電流、または交流電圧、または交流電流、または直流電圧と交流電圧の重畳、または直流電流と交流電流の重畳を印加して、電子部品Wの電気的試験を行う試験回路部30が配線31,32を介して接続されている。
【0062】
さらに電子部品試験装置10は、上記の構成部分を駆動制御する制御部40を有する。
【0063】
図3に示す第2の実施の形態における電子部品試験装置10の作用効果は、
図1および
図2に示す第1の実施の形態における電子部品試験装置10の作用効果と略同一である。
【符号の説明】
【0064】
10 電子部品試験装置
11 第1プローブ
11a 第1プローブ要素
12 第1プローブホルダ
13 第1プローブヒータ
15 第1プローブ温度センサ
21 第2プローブ
21a 第2プローブ要素
22 第2プローブホルダ
23 第2プローブヒータ
25 第2プローブ温度センサ
30 試験回路部
40 制御部
W 電子部品
W0 電子部品本体
W1 第1外部電極
W2 第2外部電極