(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電子部品の試験システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
G01R31/00
(21)【出願番号】P 2021107073
(22)【出願日】2021-06-28
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591009705
【氏名又は名称】株式会社 東京ウエルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】中村 優太
(72)【発明者】
【氏名】木下 博貴
(72)【発明者】
【氏名】大西 裕己
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-102178(JP,U)
【文献】特開昭60-106123(JP,A)
【文献】中国実用新案第212625221(CN,U)
【文献】特開2002-214283(JP,A)
【文献】特開2008-32740(JP,A)
【文献】特開2002-243784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
H01G 13/00
B65G 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が電子部品を収納するとともに円周状に配置された複数のポケットを有し、円盤状の構造をもつ回転自在のインデックステーブルと、
前記インデックステーブル上に設けられ、前記電子部品に対して熱負荷をかけながら電気的試験を行うプローブを有する電子部品試験装置と、
前記インデックステーブルの前記ポケット内の電気的試験が終了した前記電子部品を排出する電子部品排出部と、
前記インデックステーブルまたは前記プローブの少なくとも一方を加熱する加熱装置と、
前記電子部品排出部に排出経路を介して接続された回収装置と、を備え、
前記回収装置は、上方開口と側面と底面とを有する回収装置本体と、前記電子部品排出部に前記排出経路を介して連通し、前記回収装置本体に前記上方開口から挿入された筒状の冷却体とを有し、前記冷却体は前記回収装置本体に対して上下方向に相対的に移動可能となって前記底面と前記冷却体の下端との間に隙間を形成する、電子部品の試験システム。
【請求項2】
前記冷却体に冷却装置が設けられている、請求項1記載の電子部品の試験システム。
【請求項3】
前記冷却体の下方部に、前記電子部品の有無を検出する電子部品センサが設けられている、請求項1または2記載の電子部品の試験システム。
【請求項4】
前記電子部品センサからの信号に基づいて、駆動機構を制御して、前記冷却体を上下方向に移動させる制御部を設けた、請求項3記載の電子部品の試験システム。
【請求項5】
前記冷却体は、筒状の冷却体本体と、前記冷却体本体の上方部に設けられたフランジ部と有し、
前記冷却装置は前記フランジ部に設けられている、請求項2記載の電子部品の試験システム。
【請求項6】
前記回収装置は前記電子部品の電気的試験結果に対応して複数、設置されている、請求項1乃至5のいずれか記載の電子部品の試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多数の電子部品をインデックステーブル上で所定間隔をおいて配置して搬送するとともに電子部品に対して試験を行う電子部品の試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生産された例えばコンデンサ等の電子部品は、全数について所定の試験が行われ、良品のみが出荷される。
【0003】
高信頼用途においては、特許文献2のように電子部品を加熱して、熱負荷をかけながら電子部品に対して電気的負荷印加を行う試験によって信頼性の低い個体をスクリーニングすることが知られている。
【0004】
試験が行われた電子部品は、その後回収装置により回収される。
【0005】
しかしながら熱負荷がかけられた電子部品は高温となるため、回収装置内でも高温を引き続いて維持することになり、作業者が回収装置あるいは電子部品に触れてやけどを負う危険もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2014/010720A1号公報
【文献】特許第3620636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、電子部品に対して高温で熱負荷をかけながら電気的試験を行った後、回収装置により電子部品を回収した際、作業者が電子部品あるいは回収装置によってやけどを負う危険性を除くことができる電子部品の試験システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、各々が電子部品を収納するとともに円周状に配置された複数のポケットを有し、円盤状の構造をもつ回転自在のインデックステーブルと、前記インデックステーブル上に設けられ、前記電子部品に対して熱負荷をかけながら電気的試験を行うプローブを有する電子部品試験装置と、前記インデックステーブルの前記ポケット内の試験が終了した前記電子部品を排出する電子部品排出部と、前記インデックステーブルまたは前記プローブの少なくとも一方を加熱する加熱装置と、前記電子部品排出部に排出経路を介して接続された回収装置と、を備え、前記回収装置は、上方開口と側面と底面とを有する回収装置本体と、前記電子部品排出部に前記排出経路を介して連通し、前記回収装置本体に前記上方開口から挿入された筒状の冷却体とを有し、前記冷却体は前記回収装置本体に対して上下方向に相対的に移動可能となって前記底面と前記冷却体の下端との間に隙間を形成する、電子部品の試験システムである。
【0009】
本開示は、前記冷却体に冷却装置が設けられている、電子部品の試験システムである。
【0010】
本開示は、前記冷却体の下方部に、前記電子部品の有無を検出する電子部品センサが設けられている、電子部品の試験システムである。
【0011】
本開示は、前記電子部品センサからの信号に基づいて、駆動機構を制御して、前記冷却体を上下方向に移動させる制御部を設けた、電子部品の試験システムである。
【0012】
本開示は、前記冷却体は、筒状の冷却体本体と、前記冷却体本体の上方部に設けられたフランジ部と有し、前記冷却装置は前記フランジ部に設けられている、電子部品の試験システムである。
【0013】
本開示は、前記回収装置は前記電子部品の試験結果に対応して複数、設置されている、電子部品の試験システムである。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本開示によれば、電子部品に対して高温で熱負荷をかけながら電気的試験を行うことができ、かつ試験が終了した電子部品を回収装置により回収した際、この電子部品を冷却する。このため作業者が電子部品あるいは回収装置によってやけどを負うことがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】
図1Aは本開示による電子部品の試験システムを示す概略斜視図。
【
図1B】
図1Bは本開示による電子部品の試験システムを示す概略側面図。
【
図2】
図2はインデックステーブル上に設けられたインデックスカバーを示す斜視図。
【
図3】
図3はインデックステーブルと、インデックスカバーと、安全カバーとを示す斜視図。
【
図4A】
図4Aはインデックステーブルと、インデックスカバー、安全カバーとの関係を示す断面図。
【
図6】
図6はインデックステーブル上に設けられた電子部品貯留部を示す図。
【
図7】
図7は電子部品貯留部と電子部品供給部の接続構造を示す図。
【
図8】
図8は電子部品貯留部と、電子部品供給部と、供給フィーダの接続構造を示す図。
【
図9】
図9はインデックステーブルと、電子部品貯留部との接続構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して電子部品の試験システムの実施の形態について説明する。
【0017】
まず
図1Aおよび
図1Bにより、電子部品の試験システム10の概略を説明する。
【0018】
図1Aおよび
図1Bに示すように、電子部品の試験システム10はインデックステーブル11に形成されたポケット12内にコンデンサ等の電子部品W(
図5参照)を収納し、インデックステーブル11を間欠回転させることにより電子部品Wを搬送して、電子部品Wに対して熱負荷をかけながら、電気的試験を行うものである。そして電子部品Wは試験結果に応じて分類される。
【0019】
このような電子部品の試験システム10は、傾斜面10aを有する構造体10Aと、構造体10Aの傾斜面10a上に設けられ、各々が電子部品Wを収納するとともに円周状に多列、例えば16列に配置されたポケット12を有する円盤状の構造をもつインデックステーブル11と、インデックステーブル11上に設けられ、インデックステーブル11のポケット12内に収納された電子部品Wに対して熱負荷をかけながら電気的試験を行う電子部品試験装置30Aと、電子部品試験装置30Aで電気的試験が行われた電子部品Wを排出する電子部品排出部50と、電子部品排出部50に排出経路51を介して接続された回収装置1と、を備えている。
【0020】
このうち構造体10Aの傾斜面10aは、水平面に対して約60度傾斜しており、インデックステーブル11はこの傾斜面10a上で時計方向に間欠回転する。なおインデックステーブル11を傾斜面10a上に配置する代わりに、傾斜面10aではなく、構造体10Aの垂直面(図示せず)に配置してもよい。
【0021】
本明細書において、「上方」あるいは「下方」とは、電子部品の試験システム10を
図1Aおよび
図1Bのように配置した場合における「上方」あるいは「下方」をいう。
【0022】
電子部品試験装置30Aは、インデックステーブル11のポケット12内に収納された電子部品Wに対して、電気的試験を行う複数のプローブ30を有する。具体的には、各プローブ30は電子部品Wを例えば、100~170℃まで加熱して熱負荷をかけながら同時に電子部品Wに対して電気的試験を行う。そして電子部品Wはこの試験結果に基づいて、電子部品排出部50により選別されて、回収装置1へ送られる。本実施の形態において、電子部品試験装置30Aは構造体10Aの傾斜面10aにインデックステーブル11を覆うように設けられている。
【0023】
上述のように電子部品試験装置30Aの複数のプローブ30は、電子部品Wに対して熱負荷をかけながら電気的試験を行うものである。プローブ30が行う電気的試験あるいは電気的負荷としては以下のようなものがある。
【0024】
例えばプローブ30が行う電気的負荷としては、以下のようなものがある。電子部品Wがコンデンサの場合、定格電圧の2.5倍の直流電圧負荷が考えられ、例えば定格電圧10Vの場合、直流電圧25Vの負荷が考えられる。また電子部品Wがコンデンサの場合、定格電圧の2.5倍の交流電圧負荷が考えられ、例えば定格電圧10Vの場合、最大交流電圧25V、50Hzの負荷が考えられる。さらに電子部品がインダクタの場合、定格電流の1.5倍の電流負荷が考えられ、例えば定格直流電流1,000mAの場合、1,500mAの負荷が考えられる。
【0025】
またプローブ30は電気的負荷を行う機能に加えて、電子部品Wに対して熱負荷をかけながら電気的試験を実施する機能をもっている。プローブ30は電子部品Wがコンデンサの場合、静電容量(C)、損失係数(Df)、品質係数(Q:Dfの逆数)を検出することもできる。あるいはプローブ30は漏れ電流(漏れ電流と印加電圧から計算で絶縁抵抗を求める。)、直流電圧バイアスの静電容量(直流電圧を印加した状態で交流での静電容量)、耐電圧(BDV 絶縁破壊電圧)、突入電流によるプローブ30と電子部品Wの接触を検出することもできる。あるいはプローブ30は電子部品Wがインダクタの場合、インダクタンス(L)、直流抵抗(Rdc)、耐電流を検出することもできる。
【0026】
本実施の形態において、通常は電子部品試験装置30Aのプローブ30は電子部品Wに対して熱負荷をかけながら電気的試験を行う。そして電子部品Wはこの電気的試験の結果に基づいて、電子部品排出部50により選別されて、回収装置1へ送られる。
【0027】
次に電子部品試験装置30Aについて更に述べる。電子部品試験装置30Aは、上述のように電子部品Wに対して電気的試験を行う複数のプローブ30を有し、各プローブ30は各電子部品Wに対応して設けられている。
【0028】
さらに各プローブ30は、
図5に示すようにプローブホルダ31により保持されている。各プローブ30は熱膨張性が高く、熱伝導性が高く、かつ導電性が高い材料、例えば、ベリリウム銅などの銅合金からなる。
【0029】
他方、各プローブ30を保持するプローブホルダ31は、多層、例えば3層に配置されたプローブホルダ本体32a,32b,32cと、各プローブホルダ本体32a,32b,32cの間に介在されたシート材33a,33bとを含む。本実施の形態において、プローブホルダ31のプローブホルダ本体32a,32b,32cは、ホトベール材のような熱膨張性が小さく、熱伝導性が小さく、かつ導電性が小さい材料からなる。
【0030】
またプローブホルダ31の中層のプローブホルダ本体32c内には、プローブホルダ31全体を加熱するためラバーヒータ(プローブ用ヒータ)35が設けられている。なおプローブホルダ本体32a,32b,32cは、全体として熱伝導性が小さいため、ラバーヒータ35からの熱がプローブホルダ31全体に伝熱することがむずかしくなる。
【0031】
本実施の形態において、プローブホルダ本体32a,32b,32cの間に介在されたシート材33a,33bとして、熱伝導性が高くかつ導電性が高いグラファイトシート材が用いられている。このことによりプローブホルダ31によりプローブ30を効果的に加熱することができ、プローブ30によって電子部品Wを加熱して熱負荷をかけながら、同時に電子部品Wに対して電気的試験を実施することができる。
【0032】
なお、グラファイトシート材からなるシート材33a,33bは熱伝導性および導電性が高い。このためシート材33a,33bとプローブ30との間の導通を防ぐため、シート材33a,33bにはプローブ30の外径よりかなり大きな貫通口を形成し、この貫通口内にプローブ30を配置することが好ましい。
【0033】
また
図5に示すように、プローブホルダ31により保持されたプローブ30の下方には、プローブ30との間で電子部品Wに対して電気的試験を実施する電極部36Aが設けられている。
【0034】
電極部36Aは電子部品Wに対してプローブ30との間で電気的試験を実施する電極36と、電極36を保持する電極ホルダ37とを有し、電極ホルダ37内に電極ホルダ37を加熱するラバーヒータ38が設けられている。
【0035】
そしてこのラバーヒータ38により電極36を加熱し、この電極36側からも電子部品Wを加熱することができる。
【0036】
またプローブホルダ31により保持されたプローブ30と、電極部36Aの電極36は、いずれも電気回路30aに接続され、この電気回路30aによってプローブ30と電極36との間で電子部品Wに対して電気的試験が実施される。
【0037】
さらにまた、
図5に示すように電気回路30aは制御部40に接続されている。
【0038】
本実施の形態において、プローブ30と、プローブ30を保持するとともにラバーヒータ35を含むプローブホルダ31と、プローブ30の下方に設けられた電極部36Aと、電気回路30aとにより、電子部品試験装置30Aが構成される。
【0039】
次にその他の構成部品について更に述べる。電子部品排出部50は、
図1Aおよび
図1Bに示すように構造体10Aの傾斜面10aに設けられた排出板50aと、排出板50aに取り付けられ、インデックステーブル11のポケット12内に収納された電子部品Wを外部へ排出する排出経路51とを有する。そして排出経路51には、回収装置1が接続されている。
【0040】
本実施の形態において、電子部品試験装置30Aのプローブ30によって電子部品Wに対して熱負荷をかけながら電気的試験が行われる。そして電子部品Wはこのプローブ30による電気的試験の結果に基づいて電子部品排出部50により選別されて、排出経路51から所定の回収装置1まで送られる。
【0041】
具体的には、プローブ30による電気的試験結果が電気回路30aから制御部40に送られる。制御部40はこの電気的試験結果に基づいて、電子部品排出部50において、図示しないエア噴射機構によりエア噴射を行い、インデックステーブル11のポケット12内にある電子部品Wを排出経路51を介して所定の回収装置1まで送る。本実施の形態において、回収装置1は、プローブ30による電気的試験の結果に基づいて選別される電子部品Wの選別区分毎に、複数例えば6台設置されている。本実施の形態において、各回収装置1は、構造体10Aの下方部に設置されている。
【0042】
そしてインデックステーブル11のポケット12内にある電子部品Wは、電子部品排出部において選別されて、排出経路51を介して各々所定の回収装置1まで送られる。
【0043】
【0044】
回収装置1は上方開口2aと、側面2bと、底面2cとを有する回収装置本体2と、電子部品排出部50に排出経路51を介して連通するとともに回収装置本体2に上方開口2aから挿入された筒状の冷却体3とを有する。
【0045】
このうち、筒状の冷却体3は構造体10A内に配置されるとともに、構造体10Aに対して支持機構(図示せず)により固定されている。
【0046】
一方、回収装置本体2は、構造体10A内に配置されている。そして同様に構造体10A内に配置された駆動機構5により、回収装置本体2は上下方向に移動可能となっている。
【0047】
なお、回収装置本体2を上下方向に移動させる駆動機構5は、制御部40により駆動制御される。
【0048】
図10および
図11A~
図11Dに示すように、回収装置本体2は上方開口2aと、側面2bと、底面2cとを有する箱型形状をもつ。
【0049】
一方、筒状の冷却体3は筒状の冷却体本体3bと、冷却体本体3bの上方部に設けられたフランジ部3aとを有し、このフランジ部3a内に水冷管(冷却装置)4が設けられている。
【0050】
冷却体3内には後述のように、排出経路51を介して高温の電子部品Wが送られてくる。そして冷却体3内に送られてくる電子部品Wは、フランジ部3aに設けられた水冷管4により冷やされた冷却体3により冷却される。
【0051】
本実施の形態において、冷却体3は熱伝導率が240W/mKのアルミニウム材からなるため、水冷管4により冷却体3を効果的に冷やして、高温の電子部品Wを確実に冷却することができる。
【0052】
冷却体3により冷却された電子部品Wは、その後回収装置本体2内に収納される。このように電子部品Wを冷却体3により冷却することができるので、回収装置本体2内において高温の電子部品Wを冷却して常温に保つことができる。
【0053】
このため、回収装置本体2内に収納された電子部品Wあるいは回収装置1に作業者が触れてやけど等を負うことはなく、電子部品Wを安全に取り扱うことができる。
【0054】
なお回収装置1の回収装置本体2は、鋼製となっている。
【0055】
また、
図11A~
図11Dに示すように、冷却体3の下方部には、冷却体3の下方領域3c上端に電子部品Wが貯留していることを検出する透過センサ(電子部品センサ)6が設けられている。そしてこの透過センサ6からの信号が制御部40に送られる。制御部40は透過センサ6からの信号に基づいて、冷却体3の下方領域に電子部品Wが貯留していると判断して駆動機構5を駆動制御して回収装置本体2を降下させる。このことにより冷却体3を回収装置本体2に対して上方向に相対的に移動させ、回収装置本体2の底面2cと冷却体3の下端との間に隙間gを形成し、冷却体3内の電子部品Wを回収装置本体2側へ排出するようになっている。
【0056】
次に、その他の構成部品について更に述べる。
図1Aおよび
図1Bに示すように、構造体10Aの傾斜面10aには、インデックステーブル11の下方部に、電子部品貯留部20が設けられ、さらにこの電子部品貯留部20には電子部品貯留部20に電子部品Wを供給する電子部品供給部15が接続されている。このうち電子部品貯留部20は、貯留部本体21と、貯留部本体21内に設けられた複数の壁面22とを有し、壁面22間にインデックステーブル11の対応する別のポケット12内に収納される電子部品Wが収納される。
【0057】
また電子部品供給部15には、電子部品供給部15へ電子部品Wを補充する供給フィーダ18が接続されている。
【0058】
ところでインデックステーブル11は、回動軸11aの回りに間欠回転する。またインデックステーブル11の回動軸11aは、図示しない駆動機構により駆動される。
【0059】
さらに上述した構成要素、例えばインデックステーブル11の駆動機構、供給フィーダ18、電子部品供給部15、電子部品試験装置30A、プローブ30、および電子部品排出部50のエア噴射機構、および回収装置1の駆動機構5は、いずれも制御部40により駆動制御される。
【0060】
上述のように、本実施の形態において、電子部品試験装置30Aのプローブ30によって電子部品Wを加熱して熱負荷をかけながら同時に電子部品Wに対して電気的試験を行っている。
【0061】
この場合、電子部品試験システム10全体として、電子部品Wを迅速かつ確実に加熱し、かつ電子部品Wを高温に維持することができれば、電子部品に対して効率良くかつ迅速に熱負荷をかけながら電気的試験を行うことができて都合が良い。
【0062】
このため本実施の形態においては、インデックステーブル11を全体として覆うとともに、インデックステーブル11を全体として加熱することにより、インデックステーブル11のポケット12内に収納されている電子部品Wを加熱し、かつこの加熱状態を維持する構造が設けられている。
【0063】
具体的には
図2乃至
図4Bに示すように、電子部品の試験システム10は、インデックステーブルを覆うインデックステーブルカバー60と、インデックステーブルカバー60内に設けられたカバー用ヒータ71,72,73とを備える。
【0064】
このうちインデックステーブルカバー60は、インデックステーブル11を下方から覆うベース板60Aと、インデックステーブルを上方から覆う表面板60Bとを有する。
【0065】
本実施の形態において、インデックステーブルカバー60のベース板60Aは構造体10Aの傾斜面10a自体であってもよく、構造体10Aの傾斜面10aと別体に設けられたベース板60Aであってもよい。いずれにしてもベース板60Aは構造体10Aの傾斜面10aに設けられたインデックステーブル11の裏面側に位置し、矩形状に形成されている。
【0066】
またインデックステーブルカバー60の表面板60Bは、インデックステーブル11の表面側に設けられ、3つに分割された第1表面板61と、第2表面板62と、第3表面板63とを有する。
【0067】
第1表面板61と、第2表面板62と、第3表面板63は、
図2に示すように3分割されて互いの間に隙間65が形成されている。このうち第1表面板61は表面板60Bのうち左下方部の領域を構成している。本実施の形態において、第1表面板61は電子部品貯留部20の貯留部本体21としても機能する。
【0068】
また第2表面板62は表面板60Bのうち上方部の領域全体を構成している。本実施の形態において、第2表面板62は電子部品試験装置30Aのプローブ30を保持するプローブホルダ31としても機能する。
【0069】
さらに第3表面板63は表面板60Bのうち右下方部の領域を構成している。本実施の形態において、第3表面板63は電子部品排出部50の排出板50aとしても機能する。
【0070】
また
図4Aおよび
図4Bに示すように、第1表面板61の裏面側には、第1表面板ヒータ71が設けられ、この第1表面板ヒータ71によってベース板60Aと第1表面板61との間の空間66を加熱して、インデックステーブル11のポケット12内に収納されている電子部品Wを加熱して高温に維持することができる。
【0071】
また第1表面板61の裏面側には、ベース板60Aと第1表面板61との間の空間66内の温度を検出して第1表面板ヒータ71を温調する温度センサ71aが設けられている。
【0072】
また
図4Aおよび
図4Bに示すように、第2表面板62の裏面側には、第2表面板ヒータ72が設けられ、この第2表面板ヒータ72によってベース板60Aと第2表面板62との間の空間66を加熱して、インデックステーブル11のポケット12内に収納されている電子部品Wを加熱して高温に維持することができる。
【0073】
また第2表面板62の裏面側には、ベース板60Aと第2表面板62との間の空間66内の温度を検出して第2表面板ヒータ72を温調する温度センサ72aが設けられている。
【0074】
さらに
図4Aおよび
図4Bに示すように、第3表面板63の裏面側には、第3表面板ヒータ73が設けられ、この第3表面板ヒータ73によってベース板60Aと第3表面板63との間の空間66を加熱して、インデックステーブル11のポケット12内に収納されている電子部品Wを加熱して高温に維持することができる。
【0075】
また第3表面板63の裏面側には、ベース板60Aと第3表面板63との間の空間66内の温度を検出して第3表面板ヒータ73を温調する温度センサ73aが設けられている。
【0076】
そして上記第1表面板ヒータ71と、第2表面板ヒータ72と、第3表面板ヒータ73とによりカバー用ヒータ71,72,73が構成される。
【0077】
さらにまた、
図4Aおよび
図4Bに示すように第1表面板61と第2表面板62と第3表面板63とからなる表面板60B上に、表面板60Bとの間に断熱空間81を形成する安全カバー80が設けられている。この安全カバー80はベース板60Aと、第1表面板61、第2表面板62および第3表面板63からなる表面板60Bとの間の空間66が加熱された場合、作業中、作業者が高温となる表面板60Bに触れて怪我をしてしまうことを防止するものである。
【0078】
表面板60Bと安全カバー80との間の断熱空間81には空気層が形成され、断熱空間81内の対流を防いで断熱性を高めるため、断熱空間81の隙間の厚みlは1mm程度となっている。このように断熱空間81の隙間の厚みlを1mm程度設定することにより、断熱空間81内における対流を防止して断熱空間81の断熱性を高めることができる。
【0079】
また安全カバー80内部に冷却水を供給する冷却水供給部85と、冷却水を排出する冷却水排出部86を設けてもよい。この冷却水供給部85から安全カバー80内部に冷却水を循環することにより、安全カバー80が高温になることを確実に防ぐことができる。
【0080】
次にベース板60Aと、第1表面板61、第2表面板62および第3表面板63からなる表面板60Bと、安全カバー80の材料について述べる。
【0081】
ベース板60Aおよび表面板60Bは熱膨張率が小さいホトベール材製となっている。また安全カバー80は熱伝導率が大きく水冷効果が大きい材料、例えばアルミ材料からなる。高温になるインデックステーブルカバー60と安全カバー80の間に介在される後述するボルト93のような材料は例えば熱伝導率が10W/mK以下の合成樹脂材料あるいはセラミック材料からなる。この際、上述のように、表面板60Bの第2表面板62がプローブホルダ31として機能する場合、第2表面板62はホトベール材のようなプローブホルダ本体32a,32b,32cと、これらのプローブホルダ本体32a,32b,32c間に介在されたシート材33a,33bからなる。
【0082】
また表面板60Bと安全カバー80の対向する面の表面に鏡面処理などの表面処理を施すことにより放射率を0.2以下とすることができ、表面板60Bと安全カバー80からの輻射を防ぐことができる。
【0083】
このように表面板60Bと安全カバー80の材料を選択して、表面板60Bと安全カバー80からの伝導と輻射を抑え、かつ表面板80Bと安全カバー80との間の断熱空間81内の隙間を小さく抑えて対流を防止する。このようにして安全カバー80に伝わる熱を最小に抑えることができ、作業者の怪我を防ぐことができる。
【0084】
なお
図4Bに示すように、ベース板60Aと、表面板60Bには各々貫通孔が形成されている。そして、この貫通孔内にボルト91を挿着し、ボルト91をナット90により締め付けることにより、ベース板60Aと表面板60Bを互いに堅固に固定することができる。またベース板60Aと、安全カバー80には各々貫通孔が形成されている。そして、この貫通孔内にボルト93を挿着し、ボルト93をナット92により締め付けることにより、ベース板60Aと安全カバー80を互いに堅固に固定することができる。
【0085】
この場合、ベース板60Aと表面板60Bを高温に維持し、安全カバー80を低温に維持する必要があるため、ベース板60Aと安全カバー80との間には、断熱パッキン95が介在されている。また、高温となるベース板60Aと、低温に維持したい安全カバー80の間に介在されるボルト93およびナット92の材料は、上記のように、例えば熱伝導率が10W/mK以下の合成樹脂材料あるいはセラミック材料からなる。
【0086】
次に
図6乃至
図9により、インデックステーブル11上に設けられた電子部品貯留部20と、電子部品貯留部20へ電子部品Wを供給する電子部品供給部15と、電子部品供給部15へ電子部品Wを補充する供給フィーダ18について述べる。
【0087】
図6乃至
図9に示すように、電子部品貯留部20はインデックステーブル11上で電子部品Wを貯留する貯留セクション23を有し、この貯留セクション23はインデックステーブル11の16列のポケット12に対応して16列設けられている。
【0088】
すなわち電子部品貯留部20は貯留部本体21と、貯留部本体21内に設けられた複数の壁面22とを有し、電子部品貯留部20の壁面22間に16列の貯留セクション23が形成されている。そして各貯留セクション23内には、インデックステーブル11の対応する列のポケット12内に収納される電子部品Wが貯留される。
【0089】
この場合、インデックステーブル8には16列のポケット12が円周状に配置されているため、16列のポケット12に対応して電子部品貯留部20の壁面22、および壁面22間に形成された貯留セクション23も円周状に構成されている。
【0090】
また電子部品供給部15は平面扇形をもつ仕切板15bを有し、仕切板15bの基部に開口15aが形成されている。そして電子部品供給部15が回動し、仕切板15b内に蓄積された電子部品Wが開口15aから所望の貯留セクション23内に供給されるようになっている(
図7および
図8参照)。
【0091】
本実施の形態において、電子部品供給部15は供給部本体15Aを有し、この供給部本体15A内に開口15aを有する仕切板15bが設けられている。
【0092】
そして電子部品供給部15の供給部本体15Aは、基台17上に回動軸16を介して取り付けられており、基台17上で回動軸16が回動することにより開口15aの位置が変化して、仕切板15b内に蓄積されていた電子部品Wが開口15aから所望の貯留セクション23内に投入される。
【0093】
また電子部品供給部15には、
図8に示すように、電子部品供給部15内に電子部品Wを補充する供給フィーダ18が接続されており、この供給フィーダ18の出口には電子部品の供給量を検出する供給量検出センサ19が設けられている。供給フィーダ18から電子部品供給部15内に補充された電子部品Wは、電子部品供給部15から開口15aを介して所望の貯留セクション23内に投入されるため、供給量検出センサ19は電子部品供給部15から貯留セクション23へ供給される電子部品Wの供給量を検出するよう機能する。
【0094】
ところで電子部品貯留部20の各貯留セクション23は、少なくともインデックステーブル11の下端部11Aから下流側に向かって45度の範囲内に配置されている。本実施の形態においては、各貯留セクション23はインデックステーブル11の下端部11Aを基準として上流側に向かって15度、下流側に向かって90度の範囲α1に渡って配置されている(
図6参照)。
【0095】
また、電子部品貯留部20には、各貯留セクション23に対応して、インデックステーブル11の下端部11Aから下流側に向かって10度~20度の範囲α2内のいずれかの位置に、本実施の形態においてはインデックステーブル11の下端部11Aから下流側に向かって15度の位置に電子部品Wがポケット12内に収納されたか否かを検出する電子部品検出部25が設けられている。
【0096】
電子部品貯留部20に設けられた電子部品検出部25は、上述のように各貯留セクション23に対応して設けられ、この電子部品検出部25は、裏側の投光部から光を投光し、表側の受光センサで受光してポケット12内の電子部品Wを検出する透過型センサ、または表側からポケット12内の電子部品Wに光を投光し、電子部品Wからの反射光を検出する反射型センサのいずれかからなる。
【0097】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0098】
まず電子部品供給部15内のコンデンサ等からなる電子部品Wが、電子部品貯留部20の所望の貯留セクション23内に供給され、各貯留セクション23内の電子部品Wはこの貯留セクション23内に貯留される。
【0099】
この間、インデックステーブル11が時計方向に回転し、インデックステーブル11の各ポケット12内に貯留セクション23内に貯留された電子部品Wが収納される。この場合、インデックステーブル11の裏側に吸引機構(図示せず)が設けられ、貯留セクション23内の電子部品Wは吸引機構により吸引されてインデックステーブル11の各ポケット12内に収納される。
【0100】
電子部品Wが電子部品供給部15から各貯留セクション23内に供給される場合、電子部品Wは電子部品供給部15の開口15aを介して貯留セクション23内に上方部から投入され、貯留セクション23内に投入された電子部品Wは重力により落下して各貯留セクション23の下方部に貯留される。
【0101】
各貯留セクション23内に電子部品供給部15から電子部品Wが投入される間、インデックステーブル11は時計方向に間欠的に回転しているため、各貯留セクション23内の電子部品Wはインデックステーブル11との摩擦力により、インデックステーブル11の下端部11Aを基準として下流側に向かって15度の位置を中心に固まりとなって貯留する。そして各貯留セクション23内で固まりとなって貯留する電子部品Wは、下端部11Aから下流側に向かって15度の位置を中心としてその数が最大となり、電子部品Wの数は下流側に向かって45°の位置まで徐々に減少し、同様にインデックステーブルの下端部11Aまで徐々に減少する。
【0102】
このように、各貯留セクション23内の電子部品Wの数は下端部11Aから下流側に向かって15度の位置を中心とする山形をなし、電子部品Wは下流側に向かって45°の位置まで徐々にその数を減らしながら存在し、同様に上流側に向かって下端部11Aまで徐々にその数を減らしながら存在する。
【0103】
本実施の形態によれば、各貯留セクション23内の電子部品Wの数はインデックステーブル11の下端部11Aから下流側に向かって15度の位置を中心とする山形をなし、電子部品Wは下端部11Aから下流側に向かって45度の位置から下端部11Aまで分布する。このため下端部11Aから下流側に向かって45度の位置から下端部11Aまでの範囲において、インデックステーブル11のポケット12内に電子部品Wが収納されることになる。
【0104】
また本実施の形態においては、電子部品貯留部20には、各貯留セクション23に対応してインデックステーブル11の下端部11Aから下流側に向かって10度~20度の範囲α2の範囲内、好ましくは下端部11Aから下流側に向かって15度の位置に電子部品検出部25が設けられている。このためこの電子部品検出部25によって、この電子部品検出部25の設定位置において、電子部品Wがポケット12内に収納されたか否かを検出することができる。
【0105】
このように電子部品検出部25によってポケット12内の電子部品Wの有無を検出することにより、後述のように電子部品Wを電子部品貯留部20内に適切な分量だけ供給することができ、ポケット12内に確実に電子部品Wを供給することができる。
【0106】
電子部品貯留部20においてインデックステーブル11のポケット12内に収納された電子部品Wは、インデックステーブル11が間欠回転することにより電子部品試験装置30Aまで搬送される。
【0107】
この間、電子部品貯留部20において、ベース板60Aと第1表面板61との間の空間66が第1表面板ヒータ71により加熱され、空間66内のインデックステーブル11およびインデックステーブル11のポケット12内に収納された電子部品Wが設定目標温度-10℃以上、たとえば設定目標温度が170℃の場合160℃以上まで加熱される。
【0108】
このようにして、電子部品Wはインデックステーブル11が間欠回転することにより電子部品試験装置30Aまで搬送される。そしてベース板60Aと第2表面板62との間の空間66が第2表面板ヒータ72により加熱され、空間66内のインデックステーブルおよびインデックステーブル11のポケット12内に収納された電子部品Wが設定目標温度±3℃以内、例えば設定目標温度が170℃の場合167~173℃まで加熱される。
【0109】
本実施の形態において、インデックステーブル11は100等分間欠回転する。すなわちインデックステーブル11は3.6°ずつ回転して停止し(1ステップ)、この動作を順次繰り返す。
【0110】
そしてインデックステーブル11が50ステップ動作した後、インデックステーブル11の電子部品Wが電子部品試験装置30Aの領域内(約180°の領域内)に達した場合、インデックステーブル11は間欠回転の動作を停止する。このとき電子部品試験装置30Aのプローブ30は、電子部品試験装置30Aの領域内(約180°の領域内)にあるすべての電子部品Wに対して一度に熱負荷をかけながら電気的試験を行う。
【0111】
なお、電子部品試験装置30Aのプローブ30により、まず電子部品Wに対して熱負荷と電気的負荷を同時に印加して、信頼性の低い電子部品Wを故障させ、その後にプローブ30により電子部品Wに対して熱負荷をかけながら電気的試験を行ってもよい。
【0112】
次にインデックステーブル11のポケット12内の電子部品Wは、インデックステーブル11の間欠回転に伴って電子部品排出部50まで搬送される。このときインデックステーブル11のポケット12内の電子部品Wは加熱されて高温となっている。プローブ30により熱負荷をかけながら電気的試験が行われた電子部品Wはこの電子部品排出部50から外方へ排出される。
【0113】
具体的には、電子部品Wはプローブ30による電気的試験の結果に基づいて電子部品排出部50により選別されて、排出経路51から所定の回収装置1まで送られる。
【0114】
この場合、まずプローブ30による電気的試験結果が電気回路30aから制御部40に送られる。制御部40はこの電気的試験結果に基づいて、電子部品排出部50において、図示しないエア噴射機構によりエア噴射を行い、インデックステーブル11のポケット12内にある電子部品Wを排出経路51を介して所定の回収装置1まで送る。本実施の形態において、回収装置1は、プローブ30による電気的試験の結果に基づいて選別される電子部品Wの選別区分毎に、複数例えば6台設置されている。
【0115】
インデックステーブル11のポケット12内にある電子部品Wは、電子部品排出部50において選別されて、排出経路51を介して各々所定の回収装置1まで送られる。
【0116】
回収装置1まで送られた高温の電子部品Wは、最初に冷却体3内に入る。そして冷却体3内に入った電子部品Wは、フランジ部3aに設けられた水冷管4により冷やされた冷却体3内で冷却される。
【0117】
当初、筒状の冷却体3の下端は回収装置本体2の底面2cに当接しており、冷却体3内に入る電子部品Wは、冷却体3内に少しずつ溜まってくる。そして、電子部品Wは冷却体3により冷却される(
図11A参照)。その後、冷却体3の下方領域3c上端に設けられた透過センサ6により、冷却体3の下方領域3cに一定量の電子部品Wが貯留していることが検出される。そしてこの透過センサ6からの信号が制御部40に送られる。制御部40は透過センサ6からの信号に基づいて、冷却体3の下方領域3cに電子部品Wが貯留していると判断して駆動機構5を駆動制御して回収装置本体2を降下させる。すなわち、回収装置本体2に対して、冷却体3を上方向に相対的に移動させ、回収装置本体2の底面2cと冷却体3の下端との間に隙間gを形成し、冷却体3内の電子部品Wを回収装置本体2側へ排出する(
図11B参照)。
【0118】
その後、冷却体3内に電子部品Wが再び溜まってくる。この間、電子部品は冷却体3により冷却される(
図11C参照)。
【0119】
次に、冷却体3の透過センサ6により冷却体3の下方領域3cに電子部品Wが貯留していることが検出される。そして透過センサ6からの信号に基づいて制御部40は駆動機構5を駆動制御して回収装置本体2を降下させる。すなわち、回収装置本体2に対して、冷却体3を上方向に相対的に移動させ、回収装置本体2の底面2cと冷却体3の下端との間の隙間gを大きく拡げることにより、冷却体3内の電子部品Wは回収装置本体2側へ排出される(
図11D参照)。
【0120】
このように本実施の形態によれば、高温の電子部品Wを水冷管4が設けられた冷却体3により効果的に冷却することができ、冷却体3により冷却された電子部品Wは回収装置本体2内に収納される。
【0121】
ところで、インデックステーブル11が電子部品排出部50まで達した場合、インデックステーブル11は、引き続いてベース板60Aと第3表面板63との間の空間66内で第3表面板ヒータ73により加熱される。このようにインデックステーブル11は電子部品貯留部20と、電子部品試験装置30Aと、電子部品排出部50を通る際、その全周(360°)に渡って加熱されることになり、電子部品試験装置30Aに送られるインデックステーブル11のポケット12内の電子部品Wを迅速かつ効果的に加熱することができる。
【0122】
以上のように、本実施の形態によれば、水冷管4により冷却体3を効果的に冷却することができ、この冷却体3により高温の電子部品Wを確実に冷却することができる。
【0123】
冷却体3により冷却された電子部品Wは、その後回収装置本体2内に収納される。このように電子部品Wを冷却体3により効果的に冷却することができるので、回収装置本体2内において高温の電子部品Wを冷却して常温に保つことができる。
【0124】
このため、回収装置本体2内に収納された電子部品W、あるいは回収装置2に作業者が触れてやけど等を負うことはなく、電子部品Wを安全に取り扱うことができる。
【0125】
またインデックステーブル11をベース板60Aと表面板60Bとからなるインデックステーブルカバー60により覆うとともに、ベース板60Aと表面板60Bとの間の空間66を第1表面板ヒータ71、第2表面板ヒータ72および第3表面板ヒータ73により加熱することができる。
【0126】
このため電子部品貯留部20からインデックステーブル11のポケット12内に収納された電子部品Wを電子部品貯留部20から電子部品試験装置30Aに到る短時間に、迅速かつ確実に加熱することができる。このことにより電子部品試験装置30Aに送る電子部品Wを別途設けた加熱装置を用いて長時間かけて加熱する必要はない。
【0127】
あるいは電子部品試験装置30Aに送る電子部品Wを高価な急速加熱機を用いて加熱する必要がなく、低コストで電子部品Wを加熱することができる。
【0128】
さらにインデックステーブル11は電子部品貯留部20と、電子部品試験装置30Aと、電子部品排出部50に到るその全周(約360°)に渡って加熱されるため、電子部品貯留部20からインデックステーブル11のポケット12内に収納された電子部品Wが電子部品試験装置30Aに達するまでの短時間の間にこのように加熱されたインデックステーブル11により電子部品Wを迅速かつ確実に加熱することができる。
【0129】
また表面板60B上に安全カバー80を設けるとともに表面板60Bと安全カバー80との間に断熱空間81を形成したので、作業中に作業者が高温の表面板60Bに触れて怪我をしてしまうことを未然に防ぐことができる。
【符号の説明】
【0130】
1 回収装置
2 回収装置本体
2a 上方開口
2b 側面
2c 底面
3 冷却体
3a フランジ部
4 水冷管
5 駆動機構
10 電子部品の試験システム
10A 構造体
10a 傾斜面
11 インデックステーブル
11a 回動軸
12 ポケット
15 電子部品供給部
18 供給フィーダ
19 供給量検出センサ
20 電子部品貯留部
21 貯留部本体
22 壁面
23 貯留セクション
25 電子部品検出部
30 プローブ
30A 電子部品試験装置
30a 電気回路
31 プローブホルダ
32a,32b,32c,32d プローブホルダ本体
33a,33b シート材
35 ラバーヒータ
36 電極
36A 電極部
37 電極ホルダ
38 ラバーヒータ
40 制御部
50 電子部品排出部
51 排出経路
60 インデックステーブルカバー
60A ベース板
60B 表面板
61 第1表面板
62 第2表面板
63 第3表面板
66 空間
71 第1表面板ヒータ
72 第2表面板ヒータ
73 第3表面板ヒータ
80 安全カバー
81 断熱空間
g 隙間
W 電子部品