(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】伸縮性のある配線に接続されたセンサ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240110BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/041 600
G06F3/041 640
G06F3/044
(21)【出願番号】P 2021517386
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 FI2019050689
(87)【国際公開番号】W WO2020065136
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-26
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519012677
【氏名又は名称】フォルシオット オイ
【氏名又は名称原語表記】FORCIOT OY
【住所又は居所原語表記】Hermiankatu 12 B Tampere Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】イソ-ケトラ,ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】カッコーネン,ラリ
(72)【発明者】
【氏名】リイマッタ,トニ
(72)【発明者】
【氏名】ラーデスマキ,セッポ
(72)【発明者】
【氏名】マキランタ,アンネ
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0192478(US,A1)
【文献】特開2018-056321(JP,A)
【文献】国際公開第2018/011464(WO,A1)
【文献】特開2008-090112(JP,A)
【文献】特表2016-508787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性で伸縮性のある第1導電性ワイヤ(222)と、
圧縮性層(310)と、
一体型補強構造(320)と、
静電容量を測定するための第1電極(224)であって、第1導電性ワイヤ(222)に結合される、第1電極(224)とを含む静電容量式センサ(100)において、
静電容量式センサ(100)は、
静電容量式センサ(100)の第1部分(100a)であって、センサの厚みの方向(Sz)にセンサ(100)を通って延び、
補強構造(320)の第1部分(320a)と、
第1導電性ワイヤ(222)の第1部分(222a)と、
圧縮性層(310)の第1部分(310a)とを含み、
補強構造(320)の第1部分の少なくとも一部が、センサ(100)の厚みの方向(Sz)において、圧縮性層(310)の第1部分(310a)の少なくとも一部と重なり、
圧縮性層(310)の第1部分(310a)の少なくとも一部が、センサ(100)の厚みの方向(Sz)において、第1導電性ワイヤ(222)の第1部分(222a)の少なくとも一部と重なる、静電容量式センサ(100)の第1部分(100a)と、
静電容量式センサ(100)の第2部分(100b)であって、センサの厚みの方向(Sz)にセンサ(100)を通って延び、
補強構造(320)の第2部分(320b)と、
第1導電性ワイヤ(222)の第2部分(222b)とを含む、静電容量式センサ(100)の第2部分(100b)と、
に分割可能であり、
第1導電性ワイヤ(222)は、第1ワイヤ(222)を、フレキシブル回路基板(410)またはコネクタ(405)などの他の導電性構造(400)に接続するための第1接合部(226)に取り付けられ、
第1導電性ワイヤ(222)は、第1接合部(226)から、センサ(100)の第2部分(100b)を介して、センサ(100)の第1部分(100a)まで、そしてさらに第1電極(224)まで延び、
[A]
センサ(100)の第2部分(100b)は、圧縮性層(310)の第2部分(310b)を含み、
圧縮性層(310)の第2部分(310b)の面内剛性は、圧縮性層(310)の第1部分(310a)の面内剛性よりも小さい、または
[B]
圧縮性層(310)はセンサ(100)の第2部分(100b)まで延在しない、
ことを特徴とする静電容量式センサ(100)。
【請求項2】
圧縮性層(310)の第2部分(310b)のヤング率は、圧縮性層(310)の第1部分(310a)のヤング率よりも小さい、および/または
圧縮性層(310)の第2部分(310b)の厚み(T
310b)は、圧縮性層(310)の第1部分(310a)の厚み(T
310a)よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の静電容量式センサ(100)。
【請求項3】
センサ(100)の第1部分(100a)内で、第1導電性ワイヤ(222)の第1部分(222a)は、直接または少なくとも1つの層を介して、センサ(100)の厚みの方向(Sz)に、補強構造(320)の第1部分(320a)に取り付けられ、
センサ(100)の第2部分(100b)内で、第1導電性ワイヤ(222)の第2部分(222b)は、直接または少なくとも1つの層を介して、センサ(100)の厚みの方向(Sz)に、補強構造(320)の第2部分(320b)に取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の静電容量式センサ(100)。
【請求項4】
センサ(100)の変形された第1部分(100a’)は、第1面内剛性を有し、センサ(100)の変形された第2部分(100b’)は、第1面内剛性よりも低い第2面内剛性を有し、
変形された第1部分(100a’)は、センサ(100)の第1部分(100a)から補強構造(320)の第1部分(320a)を除去することによって、センサ(100)の第1部分(100a)から変形され、
変形された第2部分(100b’)は、センサ(100)の第2部分(100b)から補強構造(320)の第2部分(320b)を除去することによって、センサ(100)の第2部分(100b)から変形さ
れることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の静電容量式センサ(100)。
【請求項5】
第1導電性ワイヤ(222)に接続されるフレキシブル基板(410)を含
むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の静電容量式センサ(100)。
【請求項6】
静電容量式センサ(100)の第1部分(100a)の外側に配置され、かつ
第1接合部(226)に電気的に接続される、剛性構成要素(420)を含
むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の静電容量式センサ(100)。
【請求項7】
静電容量式センサ(100)の第1部分(100a)の外側に配置され、かつ
第1接合部(226)に電気的に接続される、剛性構成要素(420)を含み、
フレキシブル基板(410)は、第1導電性ワイヤ(222)に接続され、
フレキシブル基板(410)は、剛性構成要素(420)
に接続さ
れることを特徴とする請求項5に記載の静電容量式センサ(100)。
【請求項8】
可撓性で伸縮性のある基板(210)を含む多層導体構造(200)を含み、
第1導電性ワイヤ(222)は、基板(210)上に配置されることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の静電容量式センサ(100)。
【請求項9】
静電容量式センサ(100)の第2部分(100b)内で、第1導電性ワイヤ(222)は蛇行して
いることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の静電容量式センサ(100)。
【請求項10】
静電容量式センサ(100)の第2部分(100b)内で、第1導電性ワイヤ(222)は、センサ(100)の厚みの方向(Sz)に蛇行していることを特徴とする請求項9に記載の静電容量式センサ(100)。
【請求項11】
センサ(100)の第2部分(100b)の少なくとも一部は、接合部(226)とセンサ(100)の第1部分(100a)との間に、センサ(100)の厚みの方向(Sz)に垂直な方向に配置され、
第2部分(100b)内に延びる第1ワイヤ(222)の部分の長さ(L
222b)は、第1部分(100a)内の圧縮性層(310)の厚み(T
310a)よりも大きいことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の静電容量式センサ(100)。
【請求項12】
第1共通電位電極(340)を含み、
圧縮性層(310)の一部は、センサ(100)の厚みの方向(Sz)において、第1共通電位電極(340)と第1電極(224)との間に配置さ
れることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の静電容量式センサ(100)。
【請求項13】
スペーサ層(330)を含み、
第1導電性ワイヤ(222)の少なくとも一部は、センサ(100)の厚みの方向(Sz)において、圧縮性層(310)とスペーサ層(330)との間に配置されることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の静電容量式センサ(100)。
【請求項14】
第2共通電位電極(350)を含み、
スペーサ層(330)の一部は、センサ(100)の厚みの方向(Sz)において、第2共通電位電極(350)と第1電極(224)との間に配置さ
れることを特徴とする請求項13に記載の静電容量式センサ(100)。
【請求項15】
第2電極(225)と、
第2導電性ワイヤ(223)とを含み、
第2導電性ワイヤ(223)は、第2導電性ワイヤ(223)を、フレキシブル回路基板(410)またはコネクタ(405)などの別の導電性構造(400)に接続するための第2接合部(227)に取り付けられ、
第2導電性ワイヤ(223)は、第2接合部(227)から多層導体構造(200)の第2部分(200b)を介して、多層導体構造(200)の第1部分(200a)まで、そしてさらに第2電極(225)まで延
びることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の静電容量式センサ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力センサ、圧力センサ、およびタッチセンサに関する。本発明は、静電容量式力センサ、静電容量式圧力センサ、および静電容量式タッチセンサに関する。本発明は、ウェアラブル静電容量式力、圧力およびタッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
健康への関心が高まっている。これは、個人の健康、およびヘルスケアを含む。これは、センサなどの多くの個人用および医療用監視デバイスをもたらした。このようなセンサは、グローブ、ミット、履物、ヘルメットなどの衣類に埋め込むことができる。衣類のための力または圧力センサに関して、それらは、たとえば、圧電抵抗式、圧電式、または静電容量式であってもよい。タッチセンサ、すなわち触覚センサは、ほとんどの場合静電容量式である。静電容量式の力/圧力/タッチセンサは、典型的には、容易に入手できる材料だけに関与している。一例として、フィンランド国特許第127245号明細書は、静電容量式力および/または圧力センサを開示している。力および/または圧力センサとは対照的に、タッチセンサは電極の近くに変形可能な材料を有する必要はない。
【0003】
図1を参照すると、このようなセンサは、典型的には、剛性構成要素である超小型電子チップ910を備える。超小型電子チップ910は、バンプなどの入力/出力チャネル912a,912bを備える。これらの入力/出力チャネル912a,912bは、より良い機能のためにチップ910用の多くの入力/出力チャネル912a,912bを有するために、互いに近くに配置されている。
【0004】
特にウェアラブルセンサでは、使用の快適さが望まれる。したがって、センサの大部分は、適合シート930上に形成されてもよい。適合シート930は、適合し導電性でもある配線932を含んでもよい。このような配線932は、たとえば、印刷することによって作製されてもよい。しかしながら、製造技術のために、適合配線932の線幅は、典型的には、超小型電子チップ910の入力/出力チャネル912a,912b間の距離によって必要とされるものよりもはるかに大きい。
【0005】
適合配線932を入力/出力チャネル912a、912bに電気的に結合するために、超小型電子チップ910と適合シート930との間にフレキシブル回路基板920が使用されてもよい。フレキシブル回路基板920は、適合配線932の線幅よりもはるかに小さい線幅で製造することができる。したがって、フレキシブル回路基板上の配線922は、第1位置で、入力/出力チャネル912a,912に接触させるように十分に狭くすることができ、第2位置では、配線922のワイヤは、適合配線932のワイヤに接触させるように互いに分離することができる。
【0006】
しかしながら、このような解決手段は、しばしば機械的に信頼できない。特に、適合部品930および/または可撓性部品920の形状が変化するような方法で使用されるとき、信頼性の問題がしばしば発生する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、適合部分および可撓性部分を有する静電容量式センサに関する。特に、本発明は、静電容量式センサに関し、適合部分は、機械的に変化する環境においても取り付けの信頼性が高くなるように、可撓性部分に取り付け可能である。電気配線の伸縮性を活用することで信頼性が向上される。伸縮性は、たとえば、フレキシブル基板に接続するための接合部の近くにセンサをより弾力的にすることによって、主に利用することができる。本発明は、独立請求項1により具体的な用語で開示されている。伸縮性を改善するいくつかの方法は、請求項2に開示されている。伸縮性は、ワイヤを、センサの厚みの方向において第1点で補強構造に接続することによって、そして、ワイヤを、センサの厚みの方向において第2点で補強構造に接続しないことによって二次的に利用することができ、補強構造は、第1点から第2点まで延びる。実施形態は、従属請求項3においてより具体的な用語で開示されている。センサのいくつかの部分の伸縮性は、従属請求項4においてより具体的に開示されている。
【0008】
図において、方向Szは、センサの厚みの方向を示している。方向SxおよびSyは、相互に垂直であり、Szに垂直である。図は、センサを実質的に平面の形で示しているが、センサは適合性があるので、別の形に形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2b】第1ワイヤを含む配線を含む多層導体構造の一部を側面図で示す。
【
図2c】第1ワイヤを含む配線を含む別の多層導体構造の一部を側面図で示す。
【
図2d】ワイヤを含まない多層導体構造の一部を側面図で示す。
【
図3a1】静電容量式センサ100の一部を側面図で示す。
【
図3a2】第1部分100aおよび第2部分100bに分割された
図3a1に示された部分を側面図で示し、第1部分および第2部分を点線で示す。
【
図3a3】補強構造を取り外した後の
図3a2の部分の面内弾性係数を側面図で示す。
【
図3a4】
図3a1に示される部分の代替としてのセンサの一部を側面図で示す。
【
図3b1】静電容量式センサ100の一部を側面図で示す。
【
図3b2】第1部分100aおよび第2部分100bに分割された
図3b1に示された部分を側面図で示し、第1部分および第2部分を点線で示す。
【
図3b3】補強構造を取り除いた後の
図3b2の部分の面内弾性係数を側面図で示す。
【
図3b4】
図3b1に示される部分の代替としてのセンサの一部を側面図で示す。
【
図3c1】静電容量式センサ100の一部を側面図で示す。
【
図3c2】第1部分100aおよび第2部分100bに分割された
図3c1に示された部分を側面図で示し、第1部分および第2部分を点線で示す。
【
図3c3】補強構造を取り除いた後の
図3c2の部品の面内弾性係数を側面図で示す。
【
図3d】第1部分100aおよび第2部分100bに分割されたセンサの一部を側面図で示す。第1部分および第2部分を点線で示す。
【
図3e1】センサの一部を側面図で示し、接着剤が圧縮性層の一部を形成している。
【
図3e2】センサの一部を側面図で示し、第2部分の圧縮性材料は、第1部分よりも薄い。
【
図3f】センサを側面図で示し、電子機器のパッケージが補強構造を形成している。
【
図4a】静電容量式センサ100の一部を側面図で示す。
【
図4b】第1部分100aおよび第2部分100bに分割された
図4aに示された部分を側面図で示し、第1部分および第2部分を点線で示す。
【
図4c】静電容量式センサ100の一部を側面図で示す。
【
図4d】第1部分100aおよび第2部分100bに分割された
図4cに示された部分を側面図で示し、第1部分および第2部分を点線で示す。
【
図6b】静電容量式センサ100の一部を側面図で示す。
【
図8a1】第1部分100a、第2部分100bおよび第3の部分100cに分割された静電容量式センサ100を側面図で示し、第1、第2および第3の部分を点線で示す。
【
図8b1】第1部分100a、第2部分100bおよび第3の部分100cに分割された静電容量式センサ100を側面図で示し、第1、第2および第3の部分を点線で示す。
【
図9a】静電容量式センサ100の一部を側面図で示す。
【
図9b】静電容量式センサ100の一部を側面図で示す。
【
図9c】静電容量式センサ100の一部を側面図で示す。
【
図9d】静電容量式センサ100の一部を側面図で示す。
【
図10】静電容量式センサ100の部品を側面図で示す。
【
図11】静電容量式センサ100の部品を側面図で示す。
【
図12】中敷きとして使用するための静電容量式センサを示す。
【
図13a】他の用途のための静電容量式センサを示す。
【
図13b】他の用途のための静電容量式センサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
背景技術に示されるように、本発明は、さまざまな機械的応力下での信頼性が向上した静電容量式センサ、たとえば、力および/または圧力センサまたはタッチセンサに関する。好ましくは、センサは適合性である。
【0011】
静電容量式センサでは、電極の静電容量が測定される。静電容量は、周囲に対して、または接地電極などの別の電極に対して測定可能である。一般に、3つの動作原理がある。(1)電極に近い(たとえば、2つの電極の間)誘電体材料が変化し、これによって静電容量が変化し、(2)2つの電極間の距離が変化し、これによってこれらの電極間の静電容量が変化し、および/または(3)電極の面積が変化するか、または2つの電極間の相互面積が変化し、これによって、電極の静電容量が(たとえば、別の電極または周囲に対して)変化する。
相互面積は、たとえば、せん断荷重下で変化してもよい。
これらの原理は当業者に知られている。簡単な形では、物体が電極に近づいたり遠ざかったりすると、周囲に対する電極の静電容量が変化する。典型的には、2つの電極は、電極間の材料が使用中に圧縮されるように精度を向上させるために使用される。このようなセンサは、フィンランド国特許第127245号明細書に開示されている。タッチセンサでは、接触する物体(たとえば、ユーザの指)は、たとえば空気とは異なる誘電率を有する。したがって、電極の静電容量は、(上記の動作原理1に従って)接触する物体の動きによって変化する。
【0012】
典型的には、力および/または圧力センサでは、測定電極の近傍の弾性材料は、たとえば、2つの電極の間で、(局所的に)印加された圧力に応じて少なくとも局所的に圧縮および変形される。第2電極は必ずしも必要ではない。なぜなら典型的には、圧力を形成する物体は圧縮された弾性材料とは異なる誘電率を有し、それによってすでに変形が周囲に対する静電容量の変化を引き起こすからである。したがって、電極近傍の局所的な圧力を決定することができる。さらに、複数の電極が異なる場所で使用される場合、複数の局所圧力を異なる場所で決定することができる。力は圧力の積分ある。したがって、力を測定するためには、前述の特許に記載されているように、実質的にすべての測定領域が測定に使用される電極で覆われている必要がある。したがって、力センサでは、実質的にすべての測定領域が測定に使用される電極で覆われている必要があるが、圧力センサでは、圧力が測定されるべき領域にのみ測定に使用される電極を提供するだけで十分である。
【0013】
背景技術に示されるように、さまざまな形状の物体に広く適用できるようにするには、センサ、または少なくともセンサの大部分が適合している必要がある。適合センサは、ウェアラブル電子機器など、その形状が変化を受ける環境でも使用できる。
【0014】
ここで、適合性という用語は、少なくとも可撓性で伸縮性があり、好ましくは圧縮性でもある材料を指す。可撓性という用語については、平面可撓性材料を20°Cの温度で材料を破壊することなく、曲率半径10mm(またはそれ以下)まで曲げることができる。さらに、その後、可撓性材料を材料を破壊することなく、20℃の温度で平面形態に戻すことができ、または、破損することなく自然に平面に戻ってもよい。伸縮性という用語に関しては、伸縮性のある材料は、可逆的に少なくとも10%だけ伸ばすことができる。特に、伸縮性材料の層は、層の厚みの方向に垂直な方向に可逆的に少なくとも10%だけ伸ばすことができる。伸縮の可逆性は自発的、すなわち弾性的である。圧縮性という用語に関しては、圧縮性材料は可逆的に少なくとも10%だけ圧縮することができる。特に、圧縮性材料の層は、層の厚みの方向に可逆的に少なくとも10%だけ圧縮することができる。圧縮の可逆性は自発的、すなわち弾性的である。このようにして、平面適合材料は、上記に示したように可撓性があり、平面適合材料の平面の方向に伸縮性があり、好ましくは、上記で詳述したように、その厚みの方向にも圧縮性がある。平面適合材料は、半径10cm(またはそれ以下)の球の半球の表面を、20℃の温度で破壊することなく適合させるように配置することができる。典型的には、平面適合材料は、材料に有意な塑性(すなわち不可逆的)変形を導入することなく、20℃の温度で半径10cm(またはそれ以下)を有する半球の表面に適合するように配置することができる。ここで、「有意な」という用語は、半球上に配置されたとき、適合材料の弾性ひずみがその塑性ひずみよりも大きいことを意味する。したがって、平面適合材料は、たとえば、足または拳の表面に適合するように配置することができる。
【0015】
図2a~
図2dは、いくつかのセンサの一部を示す。
図2aは上面図であり、
図2b~
図2dは、図の方向Sx,Sy,Szによって示されるような側面図である。Szは、センサ100の厚みの方向を指す。方向Sx,SyおよびSzは、相互に垂直であり、少なくともセンサが平面でないとき、位置に依存してもよい。従来のように、「厚み」という用語は、センサが最も伸びない方向を指す。したがって、厚みは長さまたは幅よりも小さくなる。
図2a~
図2cを参照すると、センサ100は、第1導電性ワイヤ222を含む導電性配線220を備える。センサ100は、静電容量を測定し、第1導電性ワイヤ222に結合された第1電極224を備える。ワイヤ222の機能は、測定回路に電極224をたとえば、可撓性構造を介して結合することである。したがって、第1接合部226は、たとえば、
図3a1に示されるように、第1ワイヤ222に接合される。結合部226は、ワイヤ222を他の電子機器に結合するのに適している。電極224は、配線220の一部を形成してもよい。配線220、特にその第1ワイヤ222は、これらの用語について上記で論じた意味で可撓性で伸縮性がある。好ましくは、第1電極224もまた、これらの用語について上記で論じた意味で可撓性で伸縮性がある。以下に詳述するように、配線220は、導電性多層構造200の一部として配置されてもよい。
【0016】
図3a1~
図3fを参照すると、センサ100は、第1導電性ワイヤ222を備える。第1導電性ワイヤ222は、これらの用語について上記で論じた意味で可撓性で伸縮性がある。第1導電性ワイヤ222は、配線220の少なくとも一部を形成する(
図2aを参照)。配線220および/またはワイヤ222は、印刷などの伸縮性のある導電性配線を製造する積層造形技術を使用することによって製造されてもよい。あるいは、配線は材料の層に積層されてもよい。配線220は、可撓性で伸縮性のある基板210上に製造(たとえば、印刷または積層)されてもよい。あるいは、配線220は、圧縮性層310上に製造(たとえば、印刷または積層)されてもよい。
【0017】
図3a1~
図3fを参照すると、センサ100は、圧縮性層310を備える。力および/または圧力センサでは、圧縮性層310は、使用中の圧力下で圧縮および変形するように構成される。さらに、容量性動作原理のために、圧縮性層310はまた、電気絶縁性である。層310の他の特性および適切な材料について、以下で説明する。センサ100がタッチセンサ(すなわち、触覚センサ)として使用されるとき、圧縮性層310は、電極(224,225)近傍に必要とされない。しかしながら、タッチセンサにおいても、圧縮性層310は、信頼性を改善するために使用されてもよい。したがって、圧縮性層310は、第1電極224と重なるように延びる必要はない。
【0018】
図3a1~
図3fを参照すると、センサ100は、補強層などの補強構造320を備える。補強構造320の機能は、センサ100の第1部分100aをセンサの電子部品、特にフレキシブル基板410に接続することである。したがって、補強構造320の機能は、第1部分100aと接合部226との間でセンサの第2部分100bの大きすぎる面内伸縮を防止することである。このようにして、補強構造320の機能は、少なくとも、第1ワイヤ222の他の電子機器との接続の近傍でセンサ100を補強することである。適切に補強するために、補強構造320は一体型である、すなわち、別個の部品から構成されていない。したがって、補強構造320は、補強構造320の各2点の間で延びる。特に、補強構造320の第1部分320aは、補強構造320の第2部分320bまで延びる(これらの部分は後で定義される)。これらの部品(320a,320b)は、直接または補強構造320の別の部分を介して接続されている。さらに、好ましくは、第1部分320aと第2部分320bとの間に材料界面が配置されていない。第1導電性ワイヤ222と圧縮性層310とは、補強構造320の同じ側に配置されている。それに応じて、補強構造320の一部は、センサ100の厚みの方向Szにおいて、第1導電線222と圧縮性層310との間に配置されていない。好ましくは、圧縮性層310の一部は、方向Szにおいて、第1導電性ワイヤ222と補強構造320との間に配置される。しかしながら、
図3dに示されるように、第1導電性ワイヤ222の一部は、圧縮性層310と補強構造320との間に配置されてもよい。補強構造320は、適切な補強材料の層であってもよく、適切な補強材料の層を含んでもよい。補強構造320は、
図3fのように、センサ100の剛性構成要素420および/またはフレキシブル基板410のためのパッケージングの一部であってもよく、パッケージングの一部を形成してもよい。補強構造320は導電性であってもよく、それによって、共通電位電極340と同様に、接地電極として使用されてもよい。補強構造320は、最上層であってもよく、必要に応じて仕上げることができる。したがって、補強構造は、最上層380として使用することができる。
【0019】
第1ワイヤ222の伸縮性を利用して、センサ100の信頼性を向上できることに気付いた。特に、第1ワイヤ222は伸縮性があるので、その伸縮能力を利用して信頼性を向上させてもよい。この特性は、使用中に、第1ワイヤ222の一部(すなわち、以下で説明するように、センサの第2部分100b内のワイヤ222の一部)がほとんどの機械的変形を取り込むように利用することができる。これは、接合部226近傍で、補強構造320を除いて、センサ100が接合部226からさらに遠く離れるよりも容易に面内で変形するように材料設計によって達成することができる。接合部226は、第1ワイヤ222に接続され、第1ワイヤ222を介して第1電極224に接続される。
【0020】
より具体的には、
図3a2、
図3b2および
図3e2を参照して、補強構造を除いて、接合部226近傍のセンサ100の弾力性は、少なくとも以下の3つの解決手段によって向上させることができる。
(i)
図3a1および
図3a2に示されるように、センサ100の第2部分100bは、圧縮性層310の第2部分310bを含み、圧縮性層310の第2部分310bのヤング率が、圧縮性層310の第1部分310aのヤング率よりも小さい、または
(ii)
図3b2に示されるように、圧縮性層310は、センサ100の第2部分100bまで延在しない、または
(iii)
図3e1および
図3e2に示されるように、圧縮性層310の第2部分310bの厚みT
310bは、圧縮性層310の第1部分310aの厚みT
310aよりも小さい。
【0021】
以下に詳述するように、これらの解決手段の少なくとも1つを利用することによって、センサ100の第2部分100bの弾力性が向上される。特に、代替案(i)および(iii)のそれぞれは、圧縮性層310の第2部分310bの面内剛性が、圧縮性層310の第1部分310aの面内剛性よりも小さいという技術的効果を有する。ここで、部分310a,310bの面内剛性は、その部分の厚みを掛けたものとしてのその部分の面内弾性係数を指す。本明細書では、面内弾性係数は、面内ヤング率と同等であるとみなされ、用語もまた、この特性にも一般的に使用される。
【0022】
代替案(ii)に関しては、圧縮性層310は第2部分100bまで延在しないので、間隙312は、圧縮性層の第1部分310aに隣接して残され、事実上、間隙の面内剛性は、ゼロである。したがって、すべての代替案(i)~(iii)は、第2部分100b内の圧縮性層の面内剛性を低下させることを目的としている。さらに、第2部分100bの少なくとも一部は、接合部226と第1部分100aとの間に配置されている。ここで、「間に」という用語は、センサの厚みの方向Szに垂直な方向の間にあることを指す。
【0023】
しかしながら、構造の他の層はまた弾力性に影響を与えてもよい。センサが、第1面内剛性を有する変形された第1部分100a’と、第1面内剛性よりも低い第2面内剛性を有する変形された第2部分100b’とを有するとき、信頼性がさらに向上され、ることが見出され、ここで、変形された第1部分100a’は、補強構造320の第1部分320aを除去することによってセンサ100の第1部分100aから変形され、変形された第2部分100b’は、補強構造320の第2部分320bを除去することによるセンサ100の第2部分100bから変形された。面内剛性は、面内弾性係数(Y
100a,Y
100b)に層の厚みを掛けたものを指す。変形された第1(100a’)および第2(100b’)の部分、ならびに対応する面内弾性係数は、
図3a3、
図3b3および
図3c3に示される。ここでも、第2部分100bの少なくとも一部は、センサの厚みの方向Szに垂直な方向において接合部226と第1部分100aとの間に配置されている。さらに、好ましくは、接合部226と第1部分100aとの間の全領域は、第1部分100aよりも弾力性がある。より正確には、一実施形態では、センサ100は、(i)接合部226と第1部分100aとの間に配置され、(ii)その面内剛性(たとえば、弾性係数)が補強構造320の除去後の第1面内剛性(たとえば、弾性係数Y
100a)以上である部分を有さない。より好ましくは、センサ100は、(i)接合部226と第1部分100aの間に配置され、(ii)その面内剛性(たとえば、弾性係数)は、補強構造320の除去後の第2面内剛性(たとえば、弾性係数Y
100b)よりも高い部分を有さない。一実施形態では、センサの第2部分100bは、第1部分100aおよび第2部分100bの共通の縁100abから接合部226まで延びる。
【0024】
図3a1~
図3fに示されるように、静電容量式センサ100は、静電容量式センサ100の第1部分100aと、静電容量式センサ100の第2部分100bとを有する。したがって、センサは、部分100a,100bに分割可能である。センサ100のこのような分割は、たとえば、点線の長方形によって
図3a1~
図3dおよび
図4a~
図4dに示される。第1部分100aは、センサ100の厚みの方向Szにセンサ100を通って延びる。第2部分100bは、センサ100の厚みの方向Szにセンサ100を通って延びる。
図3a2は、
図3a1のセンサのこれらの2つの部分への分割を示し、
図3b2は、
図3b1のセンサのこれらの2つの部分への分割を示し、
図3c2は、
図3c1のセンサのこれらの2つの部分への分割を示し、
図4bは、
図4aのセンサのこれらの2つの部分への分割を示し、
図4dは、
図4cのセンサのこれらの2つの部分への分割を示している。
図8a1~
図8b2に示されるように、センサは3つ以上の部分に分割することができる。分割は、物理センサ100が物理的に分割さないそのような部分を定義する精神的工程として理解されるべきである。
図3a2、
図3b2、
図3c2および
図12に示されるように、センサ100の第1部分100aおよびセンサ100の第2部分100bは、それらが共通の縁100abを共有するように定義される。
【0025】
センサ100の第1部分100aは、(上記で論じたような)補強構造320の第1部分320aと、第1導電性ワイヤ222の第1部分222aと、圧縮性層310の第1部分310aとを含む。これらの層は、補強構造320の第1部分320aが、センサ100の厚みの方向Szにおいて、第1導電性ワイヤ222の第1部分222a、または第1導電性ワイヤ222の第1部分222aに合理的に近い少なくとも1つの領域と重なるように、互いに対して配置されている。したがって、圧縮性層310は、補強構造320の支持力を、第1部分100a内の第1導電性ワイヤ222に伝達する。たとえば、補強構造320は、開口が第1導電性ワイヤ222の第1部分222aと重なるように開口を備えてもよい。好ましい実施形態では、第1部分100a内で、補強構造320の第1部分320aは、第1ワイヤ222の第1部分222aの位置で厚みの方向Szに平行であり、第1ワイヤ222の第1部分122aを貫通する直線を半径方向に取り囲む。
【0026】
さらに、補強構造の第1部分320aは、センサ100の厚みの方向Szにおいて、圧縮性層310の第1部分310a(またはその少なくとも一部)と重なる。本明細書全体を通して、重なるという用語は、層の一部がセンサ100の厚みSzの方向において、互いの上に配置されていることを指す。たとえば
図3b2に示されるように、第1導電性ワイヤ222の第1部分222aは、多層導体構造200の第1部分200aによって構成されてもよい。このような場合、好ましくは、補強構造320の第1部分320aは、センサ100の厚みの方向Szにおいて多層導体構造200の第1部分200aと重なる。さらに、圧縮性層310の第1部分310aの少なくとも一部は、センサ100の厚みの方向Szにおいて、第1導電性ワイヤ222の第1部分222aの少なくとも一部と重なる。典型的には、圧縮性層310の第1部分310aの一部は、センサ100の厚みの方向Szにおいて第1導電性ワイヤ222の第1部分222aと重なる。
【0027】
静電容量式センサ100の第2部分100bは、補強構造320の第2部分320bと、第1導電性ワイヤ222の第2部分222bとを備える。これらの層は、補強構造320の第2部分320bが、センサ100の厚みの方向Szにおいて第1導電性ワイヤ222の第2部分222bと重なる、または第2部分222bに少なくとも近接するように互いに対して配置されていてもよい。好ましい実施形態では、第2部分100b内で、補強構造320の第2部分320bは、第1ワイヤ222の第2部分222bの位置で厚みの方向Szに平行であり、第1ワイヤ222の第2部分122b貫通するような直線を半径方向に取り囲む。たとえば、
図3b2に示されるように、第1導電性ワイヤ222の第2部分222bは、多層導体構造200の第2部分200bによって構成されてもよい
【0028】
上記に示したように、一実施形態では、センサ100の変形された第1部分100a’であって、補強構造320以外のセンサ100の他のすべての部分を含む変形された第1部分100a’は、第1面内弾性係数Y
100aを有する。面内弾性係数という用語は、たとえば、試験で測定されたヤング率を指し、ここで、変形の方向は、センサ100の厚みの方向Szに垂直である。このような場合、変形の方向は、垂直方向SxおよびSy(SxおよびSy自体を含む)の線形結合に平行である。センサ100が平面である場合、変形の方向はセンサ100の平面内にある。さらに、このような実施形態では、センサ100の変形された第2部分100b’であって、補強構造320以外のセンサ100の他のすべての部分を含む変形された第2部分100’は、第2面内弾性係数Y
100bを有する。一実施形態では、第2面内弾性係数Y
100bは、第1面内弾性係数Y
100aよりも小さい。第1および第2弾性係数Y
100aおよびY
100bは、
図3a3、
図3b3および
図3c3に示される。特に
図3a3および
図3c3を参照すると、第2弾性係数Y
100bは小さい。なぜなら、これらの実施形態では、センサの第2部分100b内で、圧縮性層310の第2部分310bの材料が、たとえば、圧縮層の第1部分の310aの材料などのセンサの第1部分100a内の材料よりも柔らいからである。特に
図3b3を参照すると、第2部分100bは圧縮性層310の一部を含まないので、第2弾性係数はより大きくてもよい。しかしながら、このような場合、変形された第2部分100b’の面内剛性は、上記で論じたように、変形された第1部分100aの面内剛性よりも小さい。さらに、
図3b2において、間隙312は、ワイヤ222の第2部分222bと補強構造320の第2部分320bとの間に形成される。弾力性(または剛性)は、変形された部分100a’および100b’に関して与えられる。なぜなら補強構造320が、信頼性に有意な影響を与えることなく、局所的に(すなわち、部分100aおよび100bの両方で別々に)必要に応じて設計できることに気付いたからである。
【0029】
圧縮性層310(存在する場合)の第2部分310bの材料は、圧縮性層310の第1部分310aの材料よりも低いヤング率、たとえば、すくなくとも25%低いヤング率を有していてもよい。第2部分310bの材料の代わりに間隙312が使用される場合、間隙の弾性係数は定義されず、実質的にゼロである。
【0030】
図3e2を参照すると、面内剛性は、さらに、または代わりに、層の厚みによって影響を受ける可能性がある。
図3e2に示されるように、第1部分100a内で、圧縮性層310は、第2部分100b内よりも厚くしてもよく、これによって、高さが層310の厚みよりも小さい間隙312が、圧縮性層310に隣接して残される。したがって、センサ100の変形された第1部分100a’の面内剛性は、センサ100の変形された第2部分100b’の面内剛性よりも大きい。なぜなら圧縮性層310が、第2部分100b内でより薄いからである。これは、圧縮性層の第1部分310aと第2部分310bの材料が同じであっても起こる。圧縮性層の第1部分310aの厚みはT
310aで示され、圧縮性層の第2部分310bの厚みはT
310bで示される。
図3e1では、層310は、第1部分100aに存在し、圧縮性層310の一部を形成する接着剤314の欠如のために、第2部分10bよりより薄い。第2部分310bの厚みT
310bは、特に接着剤314が第1部分100aにおいてだけ層310を厚くされて使用する場合に、第1部分310aの厚みT
310aの、たとえば最大で98%であってもよい。このような場合、接着剤314は、典型的には、圧縮性層の残余の部分よりも堅い。
【0031】
図2a~
図2dは、センサの一部を示し、配線220は、導電性多層構造200の一部として配置されている。
【0032】
図2bを参照すると、一実施形態では、センサ100は、第1導電性ワイヤ222を有する配線220を含む、多層導体構造200を備える。多層導体構造200は、可撓性で伸縮性のある基板210を含む。このように、基板は、これらの用語について上記で説明した意味で、可撓性と伸縮性とがある。好ましくは、可撓性で伸縮性のある基板210はまた、圧縮性であり、それにより、好ましくは適合性である。配線220、特に第1導電性ワイヤ222は、基板210上に配置される。したがって、可撓性で伸縮性のある基板210は、第1導電性ワイヤ222との界面236を形成する。
図3a4を参照すると、基板210は、少なくとも多層導体構造200が配線と基板210のみを含むとき、配線220(およびワイヤ222)を保護するために使用することができる。少なくとも導電性ワイヤ222との界面236を形成するように基板210を有する場合、ワイヤ222は、少なくとも片側で、弾性層210に取り付けられるので、構造の信頼性が向上させる(
図2bを参照)。
【0033】
図2cを参照すると、より好ましくは、多層導体構造200は、可撓性で伸縮性のある保護層230をさらに含む。保護層230は、配線220の少なくとも一部をさらに保護していてもよい。さらに、他の部分では、保護層230は、基板210に取り付けられる。したがって、配線220は、可撓性で伸縮性のある基板210と可撓性で伸縮性のある保護層230との間に配置される。一実施形態では、第1導電性ワイヤ222の少なくとも一部は、可撓性で伸縮性のある基板210と可撓性で伸縮性のある保護層230との間に配置される。配線が存在しないような場所に配置されると、保護層230は、可撓性で伸縮性のある基板210との第1界面232を形成する(
図2dを参照)。同様に、配線220が存在するような場所において、保護層230は、第1導電性ワイヤ222との第2界面234を形成する(
図2c)。また、第1導電性ワイヤ222との界面234を形成するように保護層230を有する場合、ワイヤ222は、両側で弾性層210,230に取り付けられるので、構造の信頼性がさらに向上させる。(
図2cを参照)。
【0034】
第1電極224が配線220の一部を形成するこのような実施形態では、第1電極224の少なくとも一部は、配線220と同じ可撓性で伸縮性のある基板210の側に配置される。このような場合、好ましくは、第1電極224(の全体)は、可撓性で伸縮性のある基板210の、配線220と同じ側に配置される。保護層230も使用され、第1電極224が配線220の一部を形成する場合、第1電極224の少なくとも一部は、可撓性で伸縮性のある基板210と可撓性で伸縮性のある保護層230との間に配置される。このような場合、好ましくは、第1電極224(の全体)は、可撓性で伸縮性のある基板210と可撓性で伸縮性のある保護層230の間に配置される。
【0035】
好ましくは、多層導体構造200は、可撓性で伸縮性のある基板210と可撓性で伸縮性のある保護層230との間に、可撓性で伸縮性のある基板210と、可撓性で伸縮性のある保護層230と、1または複数の層とから成る。上記で示されたように、一実施形態では、配線220の少なくとも一部は、可撓性で伸縮性のある基板210と可撓性で伸縮性のある保護層230との間に配置される。しかしながら、ある接着剤はまた、複数の層を結合するために、可撓性で伸縮性のある基板210と可撓性で伸縮性のある保護層230の間に配置されてもよい。
【0036】
好ましくは、センサ100は、第1電極224および第2電極225などの複数の電極を含む(
図2aを参照)。
図2aはまた、たとえ明確化のための独自の参照番号がない場合であっても、他の電極を示している。好ましくは、電極は、すべての電極を同時に使用して静電容量が測定可能であるように配置される。対照的に、いくつかの従来技術の用途では、多重化が使用され、それによって、複数の電極の一部だけが静電容量を測定するために一度に使用できる。特に、一実施形態では、複数の電極は、センサの断面積の大部分、たとえば断面積の少なくとも50%または少なくとも80%をカバーし、静電容量は、すべての電極を使用して電極によってカバーされた全断面積にわたって同時に測定可能である。
【0037】
したがって、一実施形態では、電極224(または電極224,225)は、測定領域を規定する。測定領域は、厚みの方向Szにセンサ100を通って延びているセンサ100の一部である。測定領域内には、少なくとも1つの電極224(または225)が配置される。電極によって規定される測定領域は、静電容量が電極によって測定されるように構成されている領域である。さらに、2つの異なる測定領域の電極は互いにガルバニック接触ではない。さらに、センサ100の剛性構成要素420は、電極を使用して測定領域のそれぞれの静電容量を測定するように構成されてもよく、その各電極は、測定領域のうちの唯一の測定領域を規定する。好ましくは、剛性構成要素420は、ある時点で第1電極224の全領域からの静電容量を測定するように構成される。言い換えれば、好ましくは、後続の測定は、第1電極224の全領域からの静電容量を測定するために実行されない。これは、多重化を使用する必要がないので、測定の時間精度を向上できるという有益な効果を有する。より好ましくは、各測定領域について、センサは、電極224,225に導電的に取り付けられたワイヤ222、223を含む。これは、静電容量が各測定領域から同時に測定可能であるという有益な効果を有する。好ましくは、第1ワイヤ222は、1つの電極224だけに電気的に接続されている。より好ましくは、各ワイヤ222,223は、1つの電極(それぞれ224,225)だけに電気的に接続されている。
【0038】
圧縮性層310の範囲またはその部分310a,310bの材料選択に加えて、センサ100の第1部分100a内に、第1ワイヤ222を、随意に他の層を介して、センサの厚みの方向Szにおいて補強構造320に取り付けることによって信頼性がさらに向上され得ることに注目した。センサの厚みの方向Szに取り付けることは、補強構造320が、たとえばワイヤ222の第1部分222aと補強構造320との間に材料の層が配置されているときに、ワイヤ222の第1部分222aと重なる必要があることを意味するものではない。
図3a2を参照すると、ワイヤ222の第1部分222aは、圧縮性層310の第1部分310aに(Sz方向において)取り付けられており、圧縮性層310の第1部分310aは、補強構造320の第1部分320aに(Sz方向において)取り付けられている。これは、補強構造320が、たとえば、補強構造320がワイヤ222と重なる開口部を備えていて、ワイヤ222と重ならなくても、行われてもよい。ワイヤの第1部分222aを補強構造320に取り付けることによって、補強構造320は、構造を強化して信頼性を向上させる。
【0039】
さらに、センサ100の第2部分100b内で、ワイヤ222の第2部分222bを、センサ100の厚みSzの方向において直接であれ、他の層を介してであれ補強構造320の第2部分320bに取り付けないことによって信頼性を向上させることができる。
図3a2を参照すると、このような場合、(i)ワイヤ222の第2部分222bが、圧縮性層の第2部分310bに取り付けられておらず、および/または(ii)圧縮性層の第2部分310bが、補強構造320の第2部分320bに取り付けられていない。ワイヤ222を(第2部分100b内で)補強構造320に取り付けないことによって、ワイヤ222は、補強構造320に対して自由に動くように構成され、これによって、ワイヤ222が機械的ひずみを取り込むことを可能にする。
【0040】
上記のように、第1導電性ワイヤ222が多層導体構造200の一部を形成する場合、製造上の理由から、第2部分100b内に、第1導電性ワイヤ222は、多層導体構造200の他の層210または層210,230に取り付けられたままである多層導体構造200の第2部分200bを補強構造320の第2部分320bに取り付けないようにしてもよい。
【0041】
したがって、一実施形態では、多層導体構造の第1部分200a(または、層210,230のいずれも使用されない場合、ワイヤ222の第1部分222a)は、センサの第1部分100a内の信頼性を向上させるために隣接層310,320,330、好ましくは、存在する場合、両方の隣接層にに取り付けられる。さらに、隣接層は、隣接層がすでに補強構造320である場合を除いて、補強構造320の第1部分320aに取り付けられている。一実施形態では、多層導体構造の第2部分200bは、接続付近の信頼性をさらに向上させるために、隣接層310,320,330に対して比較的自由に移動するように構成される。「隣接層」という用語に関しては、この用語は、多層導体構造200の隣にある層を指す。たとえば、
図3a1から
図3a3では、圧縮性層310は、ワイヤ222の隣接層を形成する。たとえば、
図3b1~
図3c3では、圧縮性層310は、多層導体構造200の隣接層を形成する。
図3dでは、補強層320と圧縮性層310の両方が隣接層であり、いずれか一方を隣接層と見なすことができる。
図4a~
図4dでは、圧縮性層310とスペーサ層330の両方が隣接層であり、いずれか一方が隣接層と見なすことができる。「比較的自由に移動する」という用語、および第2部分100bの定義に関しては、好ましくは、多層導体構造の第2部分200b全体が、隣接層310,320,330に対して比較的自由に移動するように構成される。したがって、一実施形態では、第1導電性ワイヤ222の第2部分222bのいずれの部分も、直接または他の層を介して、センサ100の厚みの方向Szにおいて、補強構造320の第2部分320bに取り付けられていない。
【0042】
センサの第1部分100a内で、第1ワイヤ222の第1部分222aは、センサ100の厚みSzの方向において、隣接層または両方の隣接層に、さらに、補強構造320の第1部分320aに取り付けられている(第1部分320aがすでに隣接層である場合を除く)。それは接着剤を使用して取り付けられてもよい。これによって、第1部分100a内の信頼性が向上させる。さらに、一実施形態では、ワイヤ222の第2部分222bは、補強構造320(存在する場合)の第2部分320bに取り付けられていない。その一部では、これによって、層の自由な移動を相互に可能とする。
【0043】
上記に示したように、比較的自由な移動は、第一に、圧縮性層310の範囲またはその部分310a,310bの材料選択によって、第二に、第1ワイヤ222の第2部分222bを補強構造320の第2部分320bに取り付けないことによって、第三に、それぞれの変形された部分100a’,100b’の厚みと面内弾性係数Y100a,Y100bの積によって定義される異なる面内弾性剛性によって達成される。
【0044】
補強層320の外側で、多層導体構造200は、使用される場合、取り扱いを助け、信頼性を向上させるために、好ましくは隣接層(310,330)に取り付けられる。多層導体構造200が使用されない場合、補強層320の外側で、第1導電性ワイヤ222は、取り扱いを助け、信頼性を向上させるために、好ましくはワイヤ222に隣接する隣接層(310,330)に取り付けられる。
【0045】
他の電子機器への接続の信頼性を向上させるために、第1導電性ワイヤ222は、第1ワイヤ222を別の導電性構造400に接続するための第1接合部226に取り付けられる。このような結合部226は、
図3a1、
図3a2、
図3b2、
図3c2、
図3d、
図4b、
図4d、
図6b、および
図12に示される。たとえ図示されていない場合でも、このような接合部は、他の実施形態にも存在する。このような別の導電性構造400は、たとえばフレキシブル回路基板410またはコネクタ405であってもよい。コネクタ405は、ワイヤ222をフレキシブル基板またはチップに接続するために使用されてもよい。さらに、第1接合部226、第1ワイヤ222、および第1電極224を測定に使用するために、第1導電性ワイヤ222は、第1接合部226からセンサ100の第2部分100bを介してセンサ100の第1部分100aまで、そしてさらに第1電極224まで延びる。第1接合部226は、センサ100の第2部分100b内に配置されていてもよい。または、第1接合部226は、第1部分100aの外側および第2部分100bの外側に配置されていてもよい。しかしながら、上記に示したように、第2部分100bの少なくとも一部は、接合部226と第1部分100aとの間に配置されている。ここで、「間に」という用語は、センサ100の厚みの方向Szに垂直な方向(Sx、Sy、またはそれらの線形結合)における間にあることを指す。好ましい実施形態では、補強構造320の一部は、第1接合部226と重なる。しかしながら、補強構造は、第1接合部226と重なる必要はない。補強構造320は、第1結合部226の位置において、厚みの方向Szに平行であり、第1結合部226を貫通する直線を少なくとも部分的に半径方向に取り囲むことで十分である。これは、信頼性をさらに向上させる。別の好ましい実施形態では、補強構造320の一部は、フレキシブル回路基板410の少なくとも一部と重なる。これは、信頼性をさらに改善する。
【0046】
信頼性を向上させるための第2部分100bの能力に関して、第1ワイヤ222は、第2部分100b内(たとえば、第1接合部226と第1部分100aの間)に妥当な長さだけ延びるべきである。好ましくは、第1ワイヤ222は、第1部分100a内の圧縮性層310の厚みT310aよりも長い距離、第2部分100b内に延びる。したがって、
図3a2および
図3b2を参照すると、好ましくは、センサ100の第2部分100b内に延びる第1ワイヤ222の部分222bの長さL
222bは、第1部分100a内の圧縮性層310の厚みT
310aよりも大きい、すなわちL
222b>T
310a(
図3a2および
図3b2を参照)である。加えて、または代わりに、長さL
222bは、たとえば、少なくとも1mm、少なくとも2mm、または少なくとも5mmである。第1ワイヤ122が蛇行する場合、長さL
222bは、ワイヤ222に沿って測定され得る。
【0047】
上記に示したように、多層導体構造200は、使用される場合、可撓性で伸縮性があり、好ましくは適合性がある。さらに、可撓性で伸縮性のある基板210、および使用される場合は、可撓性で伸縮性のある保護層230は、電気的に絶縁されている。たとえばそれらの電気抵抗率は、23℃の温度で少なくとも10Ωmであってもよい。少なくとも以下の材料が層210および/または230に適している。すなわちポリウレタン、ポリエチレン、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニル、ポリボロジメチルシロキサン、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、スチレン-ブタジエンスチレン、エチレンプロピレンゴム、ネオプレン、コルク、ラテックス、天然ゴム、シリコーン、および熱可塑性エラストマゲル。層210,230の一方または両方は、この材料の群から選択されてもよい。
【0048】
配線220に関しては、一実施形態では、第1ワイヤ222は、破損することなく少なくとも10%伸縮可能であるような材料から成る。さらに、一実施形態では、第1電極224は、破壊することなく少なくとも10%伸縮可能であるような材料から成る。このような材料は、たとえば、インク、ペースト、または導電性ポリマなどである。一実施形態では、第1ワイヤ222(および随意に第1電極224)は、23℃の温度で少なくとも1S/mの導電率を有するいくつかの材料を含む。一実施形態では、第1ワイヤ122(および随意に第1電極224)は、導電的に互いに付着した薄片またはナノ粒子などの導電性粒子を含む。一実施形態では、第1ワイヤ222(および随意に第1電極224)は、23℃の温度で少なくとも1S/mの導電率を有するいくつかの材料の導電性粒子を含む。一実施形態では、第1ワイヤ222(および随意に第1電極224)は、炭素、亜鉛、ニッケル、白金、鉄、銅、銀、アルミニウム、および金のうちの少なくとも1つを含む導電性粒子を含む。一実施形態では、第1ワイヤ222(および随意に第1電極224)は、ポリアニリン、ポリビニル(たとえば、ポリビニルアルコールまたはポリ塩化ビニル)、および/またはPEDOT:PSS(すなわち、ポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸)のような導電性ポリマを含む。いくつかの導電性ポリマでは、導電性は、上記のような導電性粒子の結果であってもよい。第1ワイヤ222の材料について述べられたことは、一実施形態では、配線220(すなわち、すべてのワイヤ222、223)および/または全ての電極(224,225)に、随意に共通電位電極(340,350)にも適用される。
【0049】
補強構造320は、信頼性を向上させることが観察されているという意味での補強である。硬かったり剛であったりする必要はない。
図3e1を参照すると、一実施形態では、補強は、布地および/またはフィルムを含んでいてもよい。したがって、
図11の最上層380と同様の最上層は、補強構造320として機能していてもよい。しかしながら、
図11に示されるように、センサは、最上層と補強構造との両方を含んでいてもよい。
図3e1に示されるように、圧縮性層310は、圧縮性本体310’および接着剤314を含んでいてもよい。接着剤314は、圧縮性本体310’をワイヤ222に取り付けられていてもよい。接着剤314は、圧縮性層310をさらに厚くし、面内剛性を増加させる。
図3e1において、センサ100の第1部分100aは、接着剤314を含み、接着剤314は、センサの第2部分100bまで延在しない。このようにして、第1部分100aの圧縮性層310の厚みは、第2部分100bよりも薄い。さらに、第2部分100b(または変形された第2部分100b’)の面内剛性は、第2部分100bの接着剤314が存在しないために、第1部分100a(または変形された第1部分100a’)の面内剛性よりも小さい。
【0050】
しかしながら、好ましくは、補強構造320は、適度に厚く、適度に硬いという意味での補強である。ヤング率に関して、補強構造320は、圧縮性層310、可撓性で伸縮性のある基板210(存在する場合)、および可撓性で伸縮性のある保護層230(存在する場合)のそれぞれよりも高いヤング率を有する材料から成っていてもよく、少なくともそれを含んでいてもよい。補強構造320のヤング率は、たとえば、15MPaより大きくてもよい。一実施形態では、補強構造320の厚みは、少なくとも0.1mmであり、好ましくは少なくとも0.5mmである。補強構造320は、ガラス繊維、アラミド繊維、および炭素繊維のうちの少なくとも1つなどの繊維材料を含んでいてもよい。補強構造320は、ポリマ、たとえばヤング率が15MPaより大きいポリマを含んでいてもよい。
図3fを参照すると、補強構造320は、たとえば、フレキシブル基板410および/または剛性構成要素420の少なくとも一部などの他の電子機器のパッケージ422であってもよい。センサ100の能動電子機器のパッケージ422が補強構造320の少なくとも一部を形成するとき、補強構造320は、たとえばヤング率が15MPaより大きい、随意に上記のように繊維で補強された、ポリマを含んでいてもよい。
【0051】
圧縮性層310の圧縮性のレベルは、たとえばヤング率に関して定義されてもよい。一実施形態では、圧縮性層310のヤング率は、0.05MPa~15MPaであり、たとえば0.2MPa~5MPaである。圧縮性層310の電気抵抗率は、23℃の温度で少なくとも10Ωmでああってもよい。さらに、層310は圧縮性であるので、可逆的に少なくとも10%まで圧縮することができる。
【0052】
基板210と同じ材料が圧縮性層310に適している。したがって、一実施形態では、圧縮性層310の材料は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニル、ポリボロジメチルシロキサン、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、スチレン-ブタジエンスチレン、エチレンプロピレンゴム、ネオプレン、コルク、ラテックス、天然ゴム、シリコーン、および熱可塑性エラストマゲルから成る群から選択される。圧縮性層310の厚みT310aは、好ましくは、少なくとも0.5mmである。
【0053】
フレキシブル回路基板410に適した材料として、これらには、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエーテルエーテルケトンが含まれる。一実施形態では、フレキシブル回路基板410は、これらの材料から成る群から選択される材料を含む。フレキシブル回路基板410の可撓性はまた、基板410が比較的薄い結果である。一実施形態では、フレキシブル回路基板410の厚みは、1mmより小さく、たとえば最大で0.5mmまたは0.4mmより小さい。さらに、フレキシブル回路基板410は、上記のように導電性配線を備える。
【0054】
このような材料は可撓性があるが、可逆的に大きく伸縮させることはできない。一部の材料は、数パーセント可逆的に引き伸ばされる場合があるが、伸縮性材料について上記で定義されたほどでははない。低い伸縮性のために、エッチングなどの従来の回路基板製造技術を使用して、配線を備えた可撓性基板410を製造してもよい。これらの製造技術と、伸縮性もない配線材料とのために、線幅は、可撓性で伸縮性のある多層導体構造200の線幅よりもはるかに小さくすることができる。したがって、一実施形態では、フレキシブル基板410は、導電性配線を含む。フレキシブル基板410の配線の電気伝導率は、23℃の温度で少なくとも1S/mであってもよい。一実施形態では、第1導電性ワイヤ222は第1線幅を有し、フレキシブル基板410の配線は、第2線幅を有するワイヤを含み、第2線幅は第1線幅よりも小さい。
【0055】
図5aおよび
図5bを参照すると、一実施形態では、センサ100は、剛性構成要素420を備える。剛性構成要素420は、センサ100の第1部分100aの外側に配置される。剛性構成要素420は、第1結合部226に電気的に接続されている。典型的に、センサ100は、第2接合部227も含み、剛性構成要素420は、第2接合部227にも電気的に接続され、第2接合部227を介して第2ワイヤ223に、さらに第2電極225に電気的に接続される。剛性構成要素は、受動電子部品(たとえばコネクタ)または能動電子部品(たとえばチップ)を指す。剛性構成要素という用語は、厚み(すなわち、3つの垂直な寸法のうちの最小値)が0.1mmを超え、少なくとも1GPaのヤング率を持つ材料を含む構成要素を指す。このような高いヤング率を有する材料に加えて、剛性構成要素は、より低いヤング率を有する別の材料を含んでいてもよい。たとえば、剛性構成要素は、いくつかの柔らかい機械的部品に加えてシリコンを含むチップを含んでいてもよい。なお、結晶シリコンの弾性特性は配向に依存するが、一般にそれらは60GPa~170GPaの範囲である。一実施形態では、補強構造320の一部が剛性構成要素420と重なる。これは、剛性構成要素420の近くでも信頼性を向上させる。また、いくつかの用途では、たとえばセンサ100が中敷きまたはミットで使用される場合、補強構造320が剛体構成要素420によって引き起こされる応力を分散するので、これは使用の快適さを向上させる。
【0056】
剛性構成要素420は、1つ以上の電子チップを含む電子チップ構成と、随意にそれに関連するパッケージとを備えていてもよい。電子チップ構成は、第1電極224の静電容量を測定するように構成される。上記で詳述したように、好ましくは、剛性構成要素420は、ある時点で第1電極224の全領域からの静電容量を測定するように構成される。より好ましくは、剛性構成要素420は、ある時点で第1電極224の全領域からの静電容量を測定し、同じまたは別の時点で第2電極223の全領域からの静電容量を測定するように構成される。静電容量は、周囲、または共通電位電極340などの別の電極に対して測定されてもよい。静電容量は、アナログ形式で受信機に転送可能であってもよい。しかしながら、好ましくは、電子チップ構成は、測定された静電容量をデジタル信号に変換するように構成される。好ましくは、剛性構成要素420は、静電容量をデジタル形式に変換するように構成された電子チップを含む。このようなチップは、一般に静電容量-デジタルコンバータ(CDC)として知られている。一実施形態では、剛性構成要素420は、静電容量-デジタルコンバータを含む。
【0057】
図5aおよび
図5bを参照すると、一実施形態では、センサ100は、第1接合部226を介して第1導電性ワイヤ222に接続されたフレキシブル基板410を備える。さらに、このような実施形態では、フレキシブル基板410は、剛性構成要素420に接続される。したがって、剛性構成要素420は、フレキシブル基板410を介して第1接合部226に接続される。したがって、剛性構成要素420は、フレキシブル基板410を介して第2接合部227に接続されてもよい。ワイヤ-基板コネクタは、剛性構成要素420をフレキシブル基板410に接続するために使用できる。一実施形態では、フレキシブル基板410の少なくとも一部は、補強構造320の一部と重なる。これは、第1接合部226近傍の信頼性、すなわち多層構造200とフレキシブル基板410の間の信頼性をさらに向上させる。
【0058】
一実施形態では、フレキシブル基板410は、圧着接続または異方性導電接着剤(ACF)などの導電性接着剤などの適切な接合技術を使用して、第1導電性ワイヤ222に接続される。このような場合、導電性接着剤は、第1接合部226またはその一部を形成してもよい。導電性接着剤は、信頼性の高い接合部を形成することがわかっている。最も好ましくは、補強構造320の一部は、剛性構成要素420と重なり、補強構造320の別の部分は、フレキシブル基板410の少なくとも一部と重なる。これは、剛性構成要素420近傍と第1接合部226近傍との両方の信頼性を向上させる。フレキシブル基板410は、第2接合部227の一部を形成するように、同様に第2ワイヤ223に接続されてもよい。
【0059】
図6aおよび
図6bを参照すると、第1ワイヤ222を第1接合部226近傍で蛇行させることによって、第1接合部226近傍の信頼性をさらに向上できることが注目される。蛇行ワイヤは、伸縮性がある場合でも、まっすぐなワイヤよりもさらに効果的に機械的応力を取り込む。したがって、一実施形態では、静電容量式センサ100の第2部分100b内で、第1導電性ワイヤ222が蛇行する。第1導電性ワイヤ222は、第1導電性ワイヤが第1点P1から第2点P2まで延び、第1導電性ワイヤ222に沿って測定されたときのこれらの点の間の距離(P1,P2)が、これらの点(P1,P2)間の真っ直ぐに測定された距離よりも大きいように、少なくとも第2部分100b内で蛇行していてもよい。好ましくは、第1導電性ワイヤ222は、第1導電性ワイヤが第1点P1から第2点P2まで延び、第1導電性ワイヤ222に沿って測定されたときのこれらの点の間の距離(P1、P2)が、これらの点(P1,P2)間の真っ直ぐに測定された距離よりも少なくとも5%大きいように、第2部分100b内で蛇行する。第2点P2は、第1接合部226に配置されてもよい。第1点P1は、センサ100の第1部分100aおよびセンサ100の第2部分100bの共通の縁100abに配置されていてもよい。
【0060】
図6aを参照すると、一実施形態では、第1導電性ワイヤ222は、基板210上で(上から見て)、たとえば基板210と保護層230との間で蛇行している。基板210は蛇行する必要はないが、蛇行していてもよい。したがって、ワイヤ222は、(少なくとも)基板210の接平面内で蛇行していてもよい。さらに、または代わりに、多層導体構造200は、
図6bに示されるように、厚みの方向Szで蛇行していてもよい。特にセンサの厚みの方向Szでの蛇行は、Sz方向に蛇行するワイヤーが面内方向(すなわちSzに垂直)で極めて弾力性があるので、信頼性を向上させることが注目される。第1導電性ワイヤ222は、基板210および保護層230の一方のみが使用されているか、またはどちらも使用されていない場合でも、蛇行していてもよい。
【0061】
上記で動機付けられたように、センサ100の少なくとも一部、たとえば半分以上が適合している。しかしながら、補強構造320は、適合性である必要はなく、または少なくともセンサ100の残りの部分ほど適合性である必要はない。
図7を参照すると、一実施形態では、第1導電性ワイヤ222は、補強構造320の縁322を超えて延びる。したがって、第1導電性ワイヤ222の一部は、補強構造320と重ならない。さらに、一実施形態では、補強構造320は、第1電極224の一部と重ならない。しかしながら、一実施形態では、補強構造320は、第1電極224全体と重なる。さらに、一実施形態では、補強構造320は、すべての電極(224および225を含む)と重なる。これによって、信頼性が向上する場合がある。
【0062】
断面積に関して、一実施形態では、補強層のA
320の断面積(
図12を参照)は、センサ100(たとえば、多層導体構造200)の断面積A
200の最大で50%または最大で35%である。ここで、断面積は、センサ100の接線面上で測定される断面の面積を指す。センサ100が略平面であるか、または略平面の形態にすることができる場合、断面積は、センサの厚みの方向Szに法線を有する平面上の断面の領域を指す。このタイプの比較的小さな補強層を持つことで、センサの使いやすさが向上する。
【0063】
図の多くに示されるように、補強構造320の一部は、第1導電性ワイヤ122と重なってもよいが、上記のように、重なっている必要はない。特に、第1導電性ワイヤ222は、第1接合部226から、多層導体構造の第2部分200bを介して、多層導体構造の第1部分200aまで、そしてさらに第1電極224まで延びる。一実施形態では、多層導体構造200の第1部分200aは、第1ワイヤ222の第1部分222aを含む。一実施形態では、多層導体構造200の第2部分200bは、第1ワイヤ222の第2部分222bを含む。第1ワイヤ222に加えて、基板210および保護層230も、補強構造320の縁322を超えて延びてもよい。さらに、この実施形態では、圧縮性層310も、補強構造320の縁322を超えて延びる。
図8a1~
図8b2に示されたように、このような場合、センサ100は、センサ100の厚みの方向Szにセンサ100を通って延び、補強構造320の一部を含まない第3の部分100cにさらに分割可能である。さらに、センサの第3の部分100cは、第3の面内弾性係数Y
100cを有する。第3の面内弾性率Y
100cは、変形された第1部分100a’、すなわち補強構造320のない第1部分100aの第1面内弾性率Y
100cと同じか、または略同じであってもよい。あるいは、上記、特にタッチセンサに関連して示したように、圧縮性層310および共通電位電極340は、縁322を超えて延びる必要はない。このような場合、第3の部分100cの面内剛性は、変形された第1部分の剛性100a’面内剛性よりも小さいであろう。
【0064】
上記に示したように、測定の精度は、2つの電極間の静電容量を測定することによって向上されてもよい。2つの電極のうちの他方の電極は、第1共通電位電極340を指してもよい(
図8a1および
図8b1を参照)。第1共通電位電極340の電位が接地電位に設定されている場合、該電極は、第1接地電極を指してもよい。第1共通電位電極340は、第1対の電極(第1共通電位電極340および第1電極224を含む)および第2対の電極(第1共通電位電極340および第2電極225)に共通である第1電極として機能してもよい。圧縮性層310の一部が第1共通電位電極340と第1電極224との間に置かれているとき、特に第1共通電位電極340に対する第1電極224の静電容量を測定することができる。
【0065】
したがって、一実施形態では、センサ100は、第1共通電位電極340を備える。さらに、圧縮性層310の一部は、第1共通電位電極340と第1電極224との間に配置される。このようにして、測定可能な静電容量は、第1共通電位電極340と第1電極224の間で生じる。好ましくは、センサ100のこれらの層は、第1共通電位電極340の少なくとも一部が、第1電極224の少なくとも一部と重なるように、互いに対して配置される。さらに、圧縮性層310の一部は、センサ100の厚みの方向Szにおいて、第1共通電位電極340と第1電極224との間に配置される。より好ましくは、共通電位電極340の少なくとも一部は、第1電極224全体と重なる。一実施形態では、第1共通電位電極340は、剛性構成要素420に接続される。第1共通電位電極340はまた、必要な変更を加えて同様にして第2電極225にも重ねてもよい。
【0066】
第1共通電位電極340は、均一に導電性であってもよく、たとえば均一な表面に導電性インク、ペースト、または導電性ポリマを使用して作られてもよい。導電性材料に関しては、(上記のように)第1ワイヤ222に適した材料は、第1共通電位電極340の導電性材料にも適している。あるいは、第1共通電位電極340は、導電性糸のメッシュであってもよく、たとえば導電性インクまたはペーストまたはフィラメントを使用して作られてもよい。第1共通電位電極340が蛇行した導電線から成ることも十分あり得る。第1共通電位電極340が複数の別個の導電線を含むことも十分あり得る。一実施形態では、第1共通電位電極340の少なくとも一部は、導電性インクから成る。一実施形態では、第1共通電位電極340は、導電性布を含む。一実施形態では、第1共通電位電極340は、導電性ポリマ(たとえば、ポリアニリン、ポリビニル、PEDOT:PSSまたは導電性粒子を有するポリマ)を含む。
【0067】
図4a~
図4dを参照すると、センサ100の信頼性は、スペーサ層330を適用することによってさらに向上されてもよい。スペーサ層330は、上記で論じられた隣接層として機能してもよい。スペーサ層330が、随意に多層構造200の他の部分を介して第1ワイヤー222に取り付けられるとき、スペーサ層330もまた、ワイヤ222の機械的支持を提供し、このようにして、少なくとも第2部分100bでの弾力性が折り合わないとき、信頼性を向上させる。図に示すように、第1ワイヤ222の少なくとも一部は、センサの厚みの方向Szにおいて、圧縮性層310とスペーサ層330との間に、配置されている。
【0068】
スペーサ層330の材料は、必要に応じて選択されてもよい。スペーサ層330が適合性である必要がある場合、および/または使用中に圧縮されるように構成される必要がある場合、スペーサ層330の材料は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニル、ポリボロジメチルシロキサン、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、スチレン-ブタジエンスチレン、エチレンプロピレンゴム、ネオプレン、コルク、ラテックス、天然ゴム、シリコーン、および熱可塑性エラストマゲルよりなる群から選択されてもよい。しかしながら、スペーサ層330が可撓性であることが十分である場合には、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエーテルエーテルケトンから成る群から選択される材料も、いくつかの他の柔軟な材料に加えて使用することができる。さらに、スペーサ層330がさらに可撓性である必要がない場合、エポキシおよび/またはフェノール樹脂もスペーサ層330の材料として使用されてもよい。好ましくは、スペーサ層330は、少なくとも可撓性であり、より好ましくは伸縮性でもある。スペーサ層330がさらに可撓性でない場合、センサ100全体が剛性であってもよく、その場合、構造自体は、機械的信頼性の問題をそう簡単には示さない。このようにして、好ましい実施形態では、センサ100の断面の少なくとも半分などのセンサ100の少なくとも一部は、上記で定義された意味で可撓性である。さらに、別の好ましい実施形態では、センサ100の断面の少なくとも半分などのセンサ100の少なくとも一部は、上記で定義された意味で可撓性で伸縮性がある。スペーサ層330の厚みは、たとえば、少なくとも0.1mm、たとえば少なくとも0.5mmであってもよい。スペーサ層330が使用中に変形する層として使用され、これによって、たとえば第1電極のたとえば第2共通電位電極350に対する静電容量も使用時に変化する場合、スペーサ層330の厚みは、好ましくは少なくとも0.5mmである。このような用途に適した材料については、上記のように、圧縮性層310に適した材料は、スペーサ層330にも使用可能である。
【0069】
図4a、
図4bおよび
図9cのように、スペーサ層330が、センサの第2部分100bまで延びる場合、スペーサ層330の第2部分330bの材料について、第2部分330bはセンサ100の第2部分100bで構成され、第2部分330bは、好ましくは、スペーサ層330の第1部分330aよりも柔軟な材料から成り、第1部分330aはセンサ100の第1部分100aで構成されている。あるいは、スペーサ層330が、センサの第2部分100bまでは延びないように、センサの第1部分100aにスペーサ層330を有することによって、相対的な弾力性を向上させることができる。(
図8b1を参照)。
【0070】
図8b1、
図9b、
図9d、
図10および
図11を参照すると、一実施形態では、静電容量式センサは、第2共通電位電極350を備える。さらに、スペーサ層330の一部は、第2共通電位電極350と第1電極224との間に配置されている。このようにして、第1電極224の別の静電容量、すなわち、第2共通電位電極350に対するその静電容量を測定することができる。さらに、第2共通電位電極350の少なくとも一部が第1電極224の少なくとも一部と重なる場合、他の静電容量は、圧力に敏感である。したがって、実施形態では、これらの電極224,250の少なくとも一部はこのようにして重なる。第2共通電位電極350は、必要な変更を加えて同様にして第2電極225と重ねてもよい。第1共通電位電極340の材料について述べられたことは、第2共通電位電極350の材料にも当てはまる。
【0071】
図2a、
図5a、
図5bおよび
図6aを参照すると、好ましくは、多層導体構造200は、第2導電性ワイヤ223を含む。第2導電性ワイヤ223の少なくとも一部は、可撓性で伸縮性のある基板210上、たとえば可撓性で伸縮性のある基板210と可撓性で伸縮性のある保護層230との間で配置されてもよい。第2導電性ワイヤ223は、第2ワイヤ223を、フレキシブル回路基板410またはコネクタ405などの他の導電性構造400に第2ワイヤ223を接続するための第2接合部227に取り付けられている。さらに、第2導電性ワイヤ223は、第2接合部227からセンサの第2部分100bを介してセンサの第1部分100aまで、そしてさらに第2電極225まで延びる。一実施形態では、センサの第1部分100aは、第2ワイヤ223の第1部分を含む。一実施形態では、センサの第2部分100bは、第2ワイヤ223の第2部分を含む。また第2ワイヤ223は、これらの用語について上記で論じた意味で可撓性で伸縮性がある。第1ワイヤ222の材料について述べられたことは、第2ワイヤ223の材料にも当てはまる。好ましくは、第2電極225もまた、これらの用語について上で論じた意味で可撓性で伸縮性がある。第1電極224の材料について述べられたことは、第2電極225の材料にも当てはまる。
【0072】
図9aおよび
図9bを参照すると、一実施形態では、センサ100は、最下層360を備える。圧縮性層100の一部は、補強構造320と最下層360との間に配置されている。
図9aおよび
図9bにおいて、第1ワイヤ222の一部は、補強構造320と最下層360との間に配置される。第2面内剛性を低減するために、間隙312は、補強構造320の第2部分320bと第1ワイヤ222の第2部分222bとの間に配置される。したがって、間隙312は、また、補強構造320の第2部分320bと最下層360との間に配置される。
図9bでは、間隙332もまた、補強構造320の第2部分320bと最下層360との間に配置される。このような間隙(312,332)は、隣接層(310,330)と同じレベルで厚みの方向Szに残される。それに対応して、間隙312は、圧縮性層310のレベルで残されてもよい。ここにおいてレベルは、センサの厚みの方向Szにおける補強構造320からの距離を示す。同様にして、間隙332をスペーサ層330のレベルで残してもよい。
【0073】
しかしながら、
図9cおよび
図9dを参照すると、間隙312,332の少なくとも1つは、柔らかい材料で充填されて、圧縮性層310の第2部分310b,330bおよび/またはスペーサ層330を形成してもよい。圧縮性層310の第2部分310bの材料が、圧縮性層310の第1部分310aの材料よりも柔らかい場合、センサの変形された第2部分100b’の面内弾性係数Y
100bは、センサの変形された第1部分100a’の面内弾性係数Y
100aよりも小さい。このようにして、多層導体構造の第2部分200bは、使用中の機械的変形を取り込むように構成される。ここで、センサ100の第1部分100aは、圧縮性層310の第1部分310aを含み、センサ100の第2部分100bは、圧縮性層310の第2部分310bを含む。この場合、隣接層310の材料は、静電容量式センサ100の第1部分100a内の隣接層310の材料よりも、静電容量式センサ100の第2部分100b内でより柔らかい。
【0074】
同じことがスペーサ層330にも当てはまる。スペーサ層330の第2部分330bの材料が、スペーサ層330の第1部分330aの材料よりも有意に柔らかい場合、多層導体構造の第2部分200bは、機械的変形を取り込むように構成される。ここで、センサ100の第1部分100aは、スペーサ層330の第1部分330aを含み、センサ100の第2部分100bは、スペーサ層330の第2部分330bを含む。この場合、隣接層330の材料は、静電容量式センサ100の第1部分100a内の隣接層330の材料よりも、静電容量式センサ100の第2部分100b内でより柔らかい。スペーサ層330(存在する場合)の第2部分330bの材料は、スペーサ層330の第1部分330aの材料よりも低いヤング率、たとえば25%低いヤング率を有する。
【0075】
センサ100は、さらに層を含んでいてもよい。
図10を参照すると、センサ100は、第2補強層370などの第2補強構造370を備えていてもよく、この場合、補強構造320は、第1補強構造320と呼ばれてもよい。第1ワイヤ222の一部および圧縮性層310の一部は、(第1)補強構造320と第2補強構造370との間に配置される。共通電位電極340の少なくとも一部は、存在する場合、第1補強構造320と第2補強構造370との間に配置されてもよい。第2共通電位電極350の少なくとも一部は、存在する場合、第1補強構造320と第2補強層構造との間に配置されてもよい。スペーサ層330の少なくとも一部は、存在する場合、第1補強構造320と第2補強構造370との間に配置されてもよい。ここで、「間に」という用語は、厚みの方向Szを指す。しかしながら、センサ100が第2補強構造370と最下層360との両方を含む場合、好ましくは、第1補強構造320と第2補強構造370との両方は、最下層360の同じ側に配置される。したがって、最下層360は、たとえば、センサの外観および/または使いやすさの向上のため仕上げられていてもよい。第2補強構造370は、上記で述べられたような第1補強構造320に適しているような材料から成っていてもよい。
【0076】
図11を参照すると、センサ100は、最上層380を備えていてもよい。補強構造320、第1ワイヤ222の一部、および圧縮性層310の一部は、最上層380の同じ側に配置される。したがって、最上層380は、たとえば、センサの外観および/または使いやすさの向上のため仕上げられていてもよい。好ましくは、最上層380は、繊維(合成または天然)から成る。一実施形態では、最上層380は繊維状材料を含む。一実施形態では、最上層380は、織られた繊維材料を含む。センサは、以下の層、すなわち第2補強層370、最下層360、(第1)共通電位電極340、第2共通電位電極350 およびスペーサ層330の1つまたは複数を含まない場合でも、最上層380を含んでいてもよい。
【0077】
したがって、上記で詳細に論じたように、信頼性は、第1導電性ワイヤ222の第2部分222bが補強構造に対して比較的自由に動くことを可能にすることによって向上されてもよい。次の2つの選択肢が特定された。
・層(310,330)を使用し、その少なくとも一部は、ワイヤ222まで横方向(すなわち、厚みの方向Szに垂直)に延びない。その結果、間隙312,332が形成され、これは事実上、第2部分100bの面内剛性を低減する。
・第1部分100a内よりも第2部分100b内の層(310,330)に柔らかい材料を使用する。
【0078】
第1選択肢に関しては、層(310,330)の薄い部分(たとえば、本体310’)が、別の部分(たとえば、接着剤314)が伸びないときに横方向に伸び、これによって間隙を形成することで十分である。
【0079】
図に示されていない場合でも、ソフト領域(310b,330b、たとえば、第2部分100b内)とハード領域(第1部分100a内)との両方を有する層(310,330)を使用することが可能であり、さらに、接合部226とソフト領域(310b,330b)との間に残される間隙(312,332)をさらに有することも可能である。
【0080】
さらに、上記で詳細に論じたように、信頼性は、一方で、厚みの方向Szに第1部分100a内で第1導電性ワイヤ222を補強構造320に取り付けることによって、そして、厚みの方向Szに第2部分100b内で導電性ワイヤ222を補強構造320に取り付けないことによって、さらに向上させてもよい。取り付けないことは、間隙(312,332)を使用することによって、または間隙が充填されている場合、間隙を充填する材料を少なくとも間隙を充填する材料に隣接する層に取り付けないことによって、達成されてもよい。
【0081】
さらに、変形された部分(100a’,100b’)の面内剛性は、上記のように設計されて、信頼性をさらに向上させてもよい。可能性は、変形された部分(100a’,100b’)の弾性係数(Y100a,Y100b)を設計すること、および/または変形された部分(100a’,100b’)の厚みを設計することを含む。
【0082】
このようなセンサは、手袋、ミット、履物(靴、中敷き、靴下)、ヘルメットなどの衣類を含むさまざまな用途で使用できるが、これらに限定されない。衣類では、特に2つの用途、ボクシンググローブおよび履物用の中敷きが指摘される。他の用途は、たとえばさまざまなユーザーインターフェイスデバイス用の質量および触覚センサを測定するためのスケールを含む。
【0083】
この目的のために、
図12は、センサ100を示しており、センサ100は、履物用の中敷きとして形作られている。チップなどの剛性構成要素420を含む測定電子機器は、使用中、足の土踏まずの下に配置される場所に配置される。構成要素420は、可撓性で伸縮性のある多層導体構造の第1ワイヤ222に取り付けられたフレキシブル基板410に取り付けられている。構成要素420、フレキシブル基板410、および第1ワイヤ222の一部は、補強構造320の下に配置される。センサ100は、補強層320の外側に横方向に延在し、補強構造320の外側にも、補強構造320の一部と、圧縮性層310の一部と、典型的には共通電位電極340の一部とを含む。第1電極224は、多層導体構造200の配線の一部を形成し、可撓性で伸縮性のある基板210と可撓性で伸縮性のある保護層230との間に配置される。センサ100の第1部分100aおよび第2部分100bの可能性のある選択は、
図12に示される。上記に示したように、第1および第2部分(100a,100b)の両方が、それらの両方とも補強構造320の一部を含むように選択される。上述のように、変形された第1部分100a’の面内弾性係数Y
100aは、変形された第2部分100b’の面内弾性係数Y
100bよりも大きくてもよい。さらに、
図12の実施形態では、第1部分100a内に、多層導体構造200が、たとえば接着剤を用いて、圧縮性層310に取り付けられている。また、補強構造320の外側に、多層導体構造200が圧縮性層310に取り付けられている。センサが中敷きとして使用されるとき、多層導体構造200は、異なる面内弾性係数による変形によって応力を取り込む。たとえ
図12が電極が2つしかないセンサ100を示したとしても、センサは、必要に応じて複数の電極を設けることができる。たとえば、センサ100は、フィンランド国特許第127245号明細書に開示されている電極構成を備えていてもよい。
【0084】
図13aおよび
図13bは、中敷き以外の用途向けのセンサの他の形状を示している。