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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】システム、送信機、方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20240110BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20240110BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20240110BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/20
H02J50/80
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023083948
(22)【出願日】2023-05-22
【審査請求日】2023-05-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520354692
【氏名又は名称】エイターリンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小舘 直人
(72)【発明者】
【氏名】久保内 智洋
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-030273(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0212689(US,A1)
【文献】特開2018-201301(JP,A)
【文献】特開2014-089159(JP,A)
【文献】特開2012-257403(JP,A)
【文献】特開2012-075320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電のための無線信号を送信する複数の送信機と、
前記無線信号を送信するための電力を供給する情報処理装置と
を備え、
前記複数の送信機は、前記情報処理装置に対して電気的に直列に接続され
前記送信機は、
供給される電力を計測する手段と、
計測した前記電力が予め設定されている要件を満たすか否かを判断する手段と、
満たさない場合、判断の結果に関する情報を、ユーザ、前記情報処理装置、又はその両方へ通知する手段と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記複数の送信機のうち少なくともいずれかは、前記情報処理装置と他の送信機とに接続され、前記情報処理装置から供給される電力を受信し、受信した電力の少なくとも一部を接続する前記他の送信機へ供給し、
前記複数の送信機のうち少なくともいずれかは、送信機同士で数珠つなぎに接続され、前段の送信機から供給される電力を受信し、受信した電力の少なくとも一部を後段の送信機へ供給する請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の送信機は、前記情報処理装置、又は前段の送信機から供給される電力の一部を用いて前記無線信号を送信し、残りの電力の少なくとも一部を後段の送信機へ供給する請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の送信機のうち、少なくとも数珠つなぎの末端に接続する送信機は、終端抵抗を含む請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の送信機のうち少なくとも2台の送信機は、前記情報処理装置と他の送信機とに接続され、前記情報処理装置から供給される電力を受信し、受信した電力の少なくとも一部を接続される前記他の送信機へ供給する請求項1記載のシステム。
【請求項6】
給電のための無線信号を送信する複数の送信機と、
前記無線信号を送信するための電力を供給する情報処理装置と
を備え、
前記複数の送信機は、前記情報処理装置に対して電気的に直列に接続され、
前記送信機は、
供給される電力を計測する手段と、
計測した前記電力に関する情報を前記情報処理装置へ通知する手段と
を備え、
前記情報処理装置は、前記情報に基づき、前記送信機へ供給される電力が予め設定されている要件を満たすか否かを判断する手段を備えるステム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、前記無線信号を所定の周波数で生成させるための基準信号を、接続される前記送信機へ送信し、
前記送信機は、前記直列の接続を介し、前記情報処理装置、又は前段の送信機から供給される前記基準信号を後段の送信機へ送信する請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記情報処理装置、又は前記送信機は、前記電力と前記基準信号とを1本のケーブルで送信する請求項記載のシステム。
【請求項9】
前記情報処理装置は、所定の情報を含むデータ信号を、接続される前記送信機へ送信し、
前記送信機は、前記直列の接続を介し、前記情報処理装置、又は前段の送信機から供給される前記データ信号を後段の送信機へ送信する請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記情報処理装置、又は前記送信機は、前記電力と前記データ信号とを1本のケーブルで送信する請求項記載のシステム。
【請求項11】
前記情報処理装置は、所定の情報を含むデータ信号を、接続される前記送信機へ送信し、
前記送信機は、前記直列の接続を介し、前記情報処理装置、又は前段の送信機から供給される前記データ信号を後段の送信機へ送信し、
前記情報処理装置、又は前記送信機は、前記電力、前記基準信号、及び前記データ信号を1本のケーブルで送信する請求項記載のシステム。
【請求項12】
請求項1乃至請求項1のいずれかに記載されるシステムが備える送信機。
【請求項13】
給電のための無線信号を送信する複数の送信機と、前記無線信号を送信するための電力を供給する情報処理装置とを備えるシステムで実施される方法であって、
前記情報処理装置が、前記情報処理装置に対して電気的に直列に接続された前記複数の送信機へ電力を供給し、
前記複数の送信機が、前記情報処理装置、又は前段の送信機から供給される電力の一部を用いて前記無線信号を送信し、残りの電力の少なくとも一部を後段の送信機へ供給し、
前記複数の送信機が、供給される電力を計測し、
前記複数の送信機が、計測した前記電力が予め設定されている要件を満たすか否かを判断し、
計測した前記電力が予め設定されている要件を満たさない場合、前記複数の送信機が、判断の結果に関する情報を、ユーザ、前記情報処理装置、又はその両方へ通知する方法。
【請求項14】
給電のための無線信号を送信する複数の送信機を備えるシステムであって、
前記複数の送信機の少なくともいずれかの送信機は給電線から電力が供給され、
前記複数の送信機のうち、前記給電線から電力が供給される送信機以外の送信機は、前記給電線から電力が供給される送信機に対して電気的に直列に接続され、
前記送信機は、
供給される電力を計測する手段と、
計測した前記電力が予め設定されている要件を満たすか否かを判断する手段と、
満たさない場合、判断の結果に関する情報を、ユーザへ通知する手段と
を備えるシステム。
【請求項15】
給電線から電力が供給される少なくとも1台の送信機に対して複数の送信機が電気的に直列に接続され、供給される前記電力を用いて給電のための無線信号を送信する送信機であって、
供給される電力を計測する手段と、
計測した前記電力が予め設定されている要件を満たすか否かを判断する手段と、
満たさない場合、判断の結果に関する情報を、ユーザへ通知する手段と
を備える送信機。
【請求項16】
給電のための無線信号を送信する複数の送信機を備えるシステムで実施される方法であって、
前記複数の送信機のうち少なくともいずれかの送信機が、給電線から供給される電力を、当該送信機に電気的に直列に接続された複数の送信機へ供給し、
前記複数の送信機が、前記給電線、又は前段の送信機から供給される電力の一部を用いて前記無線信号を送信し、残りの電力の少なくとも一部を後段の送信機へ供給し、
前記複数の送信機が、供給される電力を計測し、
前記複数の送信機が、計測した前記電力が予め設定されている要件を満たすか否かを判断し、
計測した前記電力が予め設定されている要件を満たさない場合、前記複数の送信機が、判断の結果に関する情報を、ユーザへ通知する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム、送信機、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野で、ワイヤレス電力伝送(WPT:Wireless Power Transfer)が利用されている。WPTを活用することで、有線による電力伝送の場合と比較して、配線の負担、破断、メンテナンス等の問題を回避することができる。
【0003】
特許文献1では、マイクロ波送信によって、電力を必要とするデバイスに電力を供給するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-223018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、システムは、電力送信グリッドが、電源コンセントに差し込まれた電力コードを介して、AC主電源から動作電力を得ることで、電子/電気デバイスに無線充電及び/又は主電力を供給する。
【0006】
しかしながら、特許文献1では、複数の送信機により給電エリアを形成し、給電エリア内のデバイスへ電力を供給することについては記載されていない。
【0007】
本開示の目的は、複数の送信機により給電エリアを形成する際、給電システムの構築のための負担を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
給電のための無線信号を送信する複数の送信機と、無線信号を送信するための電力を供給する情報処理装置とを備え、複数の送信機は、情報処理装置に対して電気的に直列に接続されるシステム。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、複数の送信機により給電エリアを形成する際、給電システムの構築のための負担を軽減きる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るWPTシステム1の全体の構成を示す図である。
図2図1に示す送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。
図3】第1情報処理装置300と送信機100とが接続する際の構成例を表すブロック図である。
図4】第1情報処理装置300と送信機100とが接続する際のその他の構成例を表すブロック図である。
図5】第1情報処理装置300と送信機100Aとが接続する際のその他の構成例を表すブロック図である。
図6】複数の送信機100がケーブル301により第1情報処理装置300に接続される際の構成例を表すブロック図である。
図7】第1情報処理装置300と送信機100とが接続する際のその他の構成例を表すブロック図である。
図8】コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0012】
<概要>
給電のための無線信号を送信する複数の送信機と、無線信号を送信するための電力を供給する情報処理装置とを備えるWPT(Wireless Power Transfer)システムにおいて、複数の送信機は、情報処理装置に対して電気的に直列に接続される。
【0013】
<1 システム全体の構成図>
図1は、本実施形態に係るWPTシステム1の全体の構成を示す図である。
【0014】
図1に示すWPTシステム1は、例えば、送信機100、受信機200、第1情報処理装置300、及び第2情報処理装置400を備える。図1に示すWPTシステム1は、例えば、ビル、又は工場等で利用される。送信機100は、第1情報処理装置300に対してデイジーチェーン接続される。このことは、送信機100は、第1情報処理装置300に対して数珠つなぎに接続されると換言可能である。具体的には、送信機100-1と第1情報処理装置300とは、ケーブル301-1により接続される。送信機100-1と送信機100-2とは、ケーブル301-2により接続される。送信機100-2と送信機100-3とは、ケーブル301-3により接続される。なお、送信機100-1~100-3の構造は略同一であるため、区別が不要な場合には「送信機100」と称して説明する。第1情報処理装置300と第2情報処理装置400との接続は、有線であっても無線であっても構わない。
【0015】
図1において、WPTシステム1が送信機100を3台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる送信機100の数は、3台に限定されない。WPTシステム1に含まれる送信機100は、2台以下であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0016】
図1において、WPTシステム1が受信機200を7台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる受信機200の数は、7台に限定されない。WPTシステム1に含まれる受信機200は、6台以下であってもよいし、8台以上であってもよい。
【0017】
本実施形態において、送信機100は無線で電力を送信するという意味での(電力)送信機100であり、同様に、受信機200は無線で電力を受信するという意味での(電力)受信機200である。後述するように、受信機200は、例えば、受信機200の状態に関する情報、又はセンサによる計測結果に関する情報を、データ信号として送信機100へ送信し、送信機100はかかるデータ信号を受信することがある。この場合、送信機100はデータ信号を受信する受信機であり、受信機200はデータ信号を送信する送信機として機能する。
【0018】
図1において、WPTシステム1が第1情報処理装置300を2台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300の数は、2台に限定されない。WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300は、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0019】
送信機100は、例えば、受信機200へ給電信号、又はデータ信号を送信する。送信機100は、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する。送信機100は、例えば、2.4GHz帯の電波により、受信機200へデータ信号を送信する。送信機100は、データ信号を、920MHz帯の電波により送信してもよい。
【0020】
送信機100は、例えば、1台の受信機200へ給電してもよいし、複数台の受信機200へ給電してもよい。送信機100は、例えば、1台の受信機200へデータ信号を送信してもよいし、複数台の受信機200へデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、他の送信機100と同じデータ信号を送信してもよいし、他の送信機100と異なるデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、所定のコマンド信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよいし、予め設定された信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよい。
【0021】
送信機100は、例えば、受信機200から送信されるデータ信号を受信する。送信機100は、例えば、1台の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよいし、複数の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよい。送信機100は、受信機200から送信されるデータ信号を第1情報処理装置300へ送信する。送信機100は、送信機100の状態に関する情報を第1情報処理装置300へ送信する。送信機100から送信された信号は、デイジーチェーン接続される複数の送信機100を介して第1情報処理装置300へ伝送される。
【0022】
受信機200は、例えば、送信機100から送信される給電信号、又はデータ信号を受信する。受信機200は、例えば、蓄電部を有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力を蓄電部に貯える。受信機200は、例えば、所定のセンサを有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力によりセンサを駆動させる。
【0023】
受信機200は、例えば、受信機200の状態に関する情報、又はセンサによる計測結果に関する情報を、データ信号として送信機100へ送信する。
【0024】
第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200の動作を監視する情報処理装置である。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100、及び受信機200の状態に関する情報に基づき、送信機100、又は受信機200が予め設定された状態になっているか否かを判断する。予め設定された状態になっていると判断した場合、第1情報処理装置300は、所定の情報を第2情報処理装置400へ送信する。
【0025】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200についての情報を蓄積する。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を、第1情報処理装置300に設けられる記憶部に記憶する。
【0026】
また、第1情報処理装置300は、接続される送信機100へ電力を供給する。具体的には、例えば、第1情報処理装置300は、ケーブル301-1を介して送信機100-1へ所定の大きさの電力を供給する。供給する電力量は、予め設定されていてもよいし、接続される送信機の数に応じて変動してもよい。第1情報処理装置300から送信機100-1へ供給された電力は、デイジーチェーン接続される送信機100-2、送信機100-3へ順次伝送される。
【0027】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100の動作を制御する。例えば、第1情報処理装置300は、所定の指示、又は情報を送信機100へ送信する。第1情報処理装置300から送信される所定の指示、又は情報は、例えば、給電信号の送信タイミング、送信機100のオンオフ、送信機100の状態監視、送信機100の状態リセット、送信機100のバージョン取得、送信機100が受信したセンサーデータの取得、テストコマンドの送付等を含む。これらの指示、又は情報は、例えば、予め設定されているコマンドで送信されてもよい。
【0028】
具体的には、例えば、第1情報処理装置300は、送信機100-1~100-3の少なくともいずれかを指定し、所定の指示、又は情報を含むデータ信号を、ケーブル301-1を介して送信機100-1へ送信する。つまり、第1情報処理装置300は、伝送する線自体は異なるが、電力とデータ信号とを1本のケーブルで送信する。第1情報処理装置300から送信機100-1へ送信されたデータ信号は、デイジーチェーン接続される送信機100-2、送信機100-3を介し、指定された送信機100へ伝送される。第1情報処理装置300は、宛先を指定せず、任意の送信機100へ宛てたデータ信号を、送信機100-1へ送信してもよい。
【0029】
また、第1情報処理装置300は、第2情報処理装置400の動作を制御する。
【0030】
第2情報処理装置400は、例えば、WPTシステム1の管理者が操作する情報処理装置である。第2情報処理装置400は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっている旨の連絡を第1情報処理装置300から受信すると、送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっていることをユーザに提示する。
【0031】
また、第2情報処理装置400は、第1情報処理装置300に蓄積されている、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を分析し、所定の情報をユーザに提示する。所定の情報は、例えば、以下である。
・送信機100の配置に関する情報
・受信機200の配置に関する情報
・消費電力に関する情報
・電力量に関する情報
【0032】
<1.1 送信機と受信機の構成>
図2は、図1に示す送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。図2に示すように、送信機100と受信機200とは、例えば、互いに所定間隔で離間する。例えば、送信機100と受信機200とは、数m程度の距離だけ隔てられて設置される。具体的には、例えば、送信機100は、屋内の高所、例えば、天井、又は壁に設けられた所定の高位置に固定して設置される。受信機200は、屋内の所定のデバイスに設置されたり、給電が必要なデバイスの近傍に載置されたりする。また、受信機200は、ユーザにより携帯されてもよい。送信機100は、所定の周波数、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する。受信機200は、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力を充電するか、又は、変換した電力を所定のデバイスへ供給する。
【0033】
送信機100は、例えば、発振器101、送信アンテナ102、マイコン(制御器)103、データ送受信機104、データ送受信アンテナ105、第1接続部106、分配部107、第2接続部108を有する。発振器101、マイコン103、データ送受信機104、データ送受信アンテナ105、分配部107、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせは、例えば、PCB(プリント基板)に実装されていてもよい。なお、送信機100は、供給される電力を蓄積する蓄電部を有していてもよい。
【0034】
発振器101は、第1接続部106で受信された電力の一部により駆動され、所定周波数帯、例えば、920MHz帯の信号を発振させる。発振された信号は、必要に応じて、増幅されて、不要周波数成分が除去されてもよい。
【0035】
送信アンテナ102は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に送信可能に形成されている。送信アンテナ102は、発振器101で発振された信号を、給電信号として放射する。
【0036】
マイコン103は、送信機100の動作を制御する。マイコン103は、例えば、ARMプロセッサを搭載した半導体素子により実現される。マイコン103は、例えば、前段に配置される第1情報処理装置300、又は送信機100から供給されるデータ信号に基づき、送信アンテナ102による電波の送信を制御する。
【0037】
また、マイコン103は、例えば、前段に配置される第1情報処理装置300、又は送信機100から供給される電力が所定の要件を満たすか否かを判断する。具体的には、例えば、前段に配置される第1情報処理装置300、又は送信機100から供給される電力が、送信機100内に設けられる計測器(図示せず)により計測される。計測器は、電流量を計測してもよいし、電圧を計測してもよい。マイコン103は、計測結果が、予め設定される要件を満たすか否かを判断する。マイコン103は、計測結果が予め設定される要件を満たさないと判断する場合、判断結果をユーザに提示する。
【0038】
具体的には、例えば、送信機100を駆動可能な電力値が設定されており、マイコン103は、計測結果がこの電力値以上であるか否かを判断する。より具体的には、例えば、送信機100が受信機200へ1Wの給電信号を送信する場合、送信機100では、およそ6Wの電力が必要となる。マイコン103は、計測結果が6W以上であるか否かを判断する。マイコン103は、計測結果が設定されている電力値未満である場合、判断結果をユーザに提示する。
【0039】
送信機100は、発光部、又は発音部等を有していてもよい。マイコン103は、判断結果を、発光部により視覚的に提示したり、発音部により聴覚的に提示したりする。ユーザは、判断結果が提示されると、デイジーチェーン接続の末尾に接続した送信機100を取り外す。または、ユーザは、判断結果が提示されると、例えば、第1情報処理装置300を操作し、電力の供給量を増加させる。ユーザは、第1情報処理装置300の操作を、第1情報処理装置300から入力してもよいし、所持する操作端末から入力してもよい。
【0040】
計測器は、第1接続部106で受信された電力計測してもよい。このとき、例えば、接続されている数に応じた所定の電力が設定されており、マイコン103は、計測結果がこの電力値以上であるか否かを判断する。
【0041】
データ送受信機104は、デジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機104は、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号の復調、復調されたデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機104は、例えば、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号から所定の信号を抽出し、デジタルデータに変換してマイコン103へ送信する。
【0042】
データ送受信アンテナ105は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ105は、データ送受信機104から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ105は、受信機200から送信されたデータ信号を受信する。
【0043】
第1接続部106は、例えば、前段に配置される第1情報処理装置300、又は送信機100(前段に配置される装置)と接続する。具体的には、第1接続部106は、例えば、前段に配置される装置と、ケーブル301により接続される接続端子である。第1接続部106は、例えば、前段に配置される装置から供給される電力、又はデータ信号を、ケーブル301を介して受信する。第1接続部106で受信された電力の一部は、電力の計測器(図示せず)に供給され、電力値が計測された後、送信機100で使用される。送信機100が蓄電部を有している場合、電力値が計測されたのち、蓄電部に電力が供給されてもよい。送信機100で使用される電力が減じられた電力は第2接続部108へ出力される。第1接続部106で受信されたデータ信号は、分配部107へ出力される。
【0044】
また、第1接続部106は、第2接続部108が受信したデータ信号を、ケーブル301を介して前段に配置される装置へ送信する。また、第1接続部106は、マイコン103から出力されるデータ信号を、ケーブル301を介して前段に配置される装置へ送信する。
【0045】
分配部107は、例えば、第1接続部106から出力されるデータ信号を分配する。分配部107は、例えば、分配したデータ信号をマイコン103へ出力する。分配部107は、例えば、分配元のデータ信号を第2接続部108へ出力する。
【0046】
第2接続部108は、例えば、後段に配置される送信機100と接続する。具体的には、第2接続部108は、例えば、後段に配置される送信機100と、ケーブル301により接続される接続端子である。第2接続部108は、例えば、第1接続部106から出力される電力、及び分配部107から出力されるデータ信号を、後段に配置される送信機100へ、ケーブル301を介して送信する。
【0047】
また、第2接続部108は、後段に配置される送信機100から供給されるデータ信号を、ケーブル301を介して受信する。第2接続部108は、受信したデータ信号を第1接続部106へ出力する。
【0048】
受信機200は、例えば、受信アンテナ201、整流器202、電力管理部203、蓄電部204、マイコン205、データ送受信機206、データ送受信アンテナ207を有する。受信アンテナ201、整流器202、電力管理部203、蓄電部204、マイコン205、データ送受信機206、データ送受信アンテナ207、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせは、例えば、PCB又はFPC(フレキシブル基板)に実装されていてもよい。
【0049】
受信アンテナ201は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に受信可能に形成されている。受信アンテナ201は、送信アンテナ102から放射された給電信号を受信する。
【0050】
整流器202は、給電信号として受信した電波を整流し、直流電圧に変換する。
【0051】
電力管理部203は、直流電圧を管理する。例えば、電力管理部203は、直流電圧に基づいて充電電圧を制御する。電力管理部203は、充電電圧を制御することで、蓄電部204を充電する。また、電力管理部203は、例えば、蓄電部204に所定容量以上の電力が蓄えられると、直流電圧を、接続される部材へ供給する。
【0052】
また、電力管理部203は、マイコン205からの制御に応じ、蓄電部204に蓄えられた電力を放出させる。
【0053】
蓄電部204は、電力管理部203からの指示に応じて電力を蓄える。蓄電部204は、例えば、バッテリー、又はキャパシタ等により実現される。また、蓄電部204は、電力管理部203からの指示に応じて蓄えている電力を放出する。
【0054】
マイコン205は、受信機200の動作を制御する。マイコン205は、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204に蓄えられた電力により駆動される。マイコン205は、電力管理部203を制御し、蓄電部204に蓄えられた電力を放出させる。
【0055】
受信機200には、例えば、種々のセンサが接続可能である。例えば、熱センサ、温度センサ、光センサ、湿度センサ、振動センサ等が受信機200に接続される。受信機200に接続されたセンサは、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204から放出される電力により駆動される。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報等を、継続的又は断続的に監視する。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報等をデジタルデータとしてデータ送受信機206へ送信する。なお、センサは、受信機200に内蔵されていてもよい。
【0056】
データ送受信機206は、マイコン205から供給されるデジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機206は、データ送受信アンテナ207で受信されるデータ信号の復調、復調されたデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機206は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204から放出される電力により駆動される。
【0057】
データ送受信アンテナ207は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ207は、データ送受信機206から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ207は、送信機100から送信されたデータ信号を受信する。例えば、データ送受信アンテナ207は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204から放出される電力により駆動される。
【0058】
<2 デイジーチェーン接続>
図3は、第1情報処理装置300と送信機100とが接続する際の構成例を表すブロック図である。図3に示される図では、第1情報処理装置300に、複数の送信機100がデイジーチェーン接続されている。第1情報処理装置300と送信機100、及び送信機100同士は、ケーブル301により接続される。
【0059】
第1情報処理装置300は、給電部302を有している。具体的には、例えば、給電部302は、交流電圧を直流電圧に変換するコンバータを含んでおり、接続される送信機100へ直流電圧を供給する。給電部302から供給される電力は、予め設定されていてもよいし、接続される送信機の数に応じて変動されてもよいし、ユーザからの操作に応じて変動されてもよい。また、給電部302から供給される電力は、制御部303の制御に応じて変動されてもよい。なお、第1情報処理装置300へ直流電圧が供給されている場合、給電部302にコンバータの機能が含まれていなくてもよい。
【0060】
第1情報処理装置300から供給された電力は、デイジーチェーン接続された送信機100へ供給される。各送信機100では、供給された電力の強度が計測される。マイコン103は、計測された電力強度に基づき、供給された電力が送信機100を駆動可能か否かを判断する。マイコン103は、供給された電力が送信機100を駆動可能な電力未満である場合、その旨をユーザへ報知する。
【0061】
送信機100は、終端抵抗109を有している。図3では、終端に接続される送信機100のみが終端抵抗109を有するように記載しているが、すべての送信機100が終端抵抗109を有していてもよい。終端に接続される送信機100では、第1接続部106から出力される電力の出力先が第2接続部108ではなく、終端抵抗109に切り替えられている。
【0062】
第1情報処理装置300は、制御部303を有している。制御部303は、所定の指示、又は情報をデータ信号として、送信機100へ送信する。
【0063】
図2図3に示す説明では、送信機100が発光部、又は発声部等を有しており、送信機100に十分な電力が供給されているか否かを送信機100が判断し、判断結果に応じた通知をユーザへ提示する場合を説明した。しかしながら、第1情報処理装置300が判断結果に応じた通知をユーザへ提示してもよい。
【0064】
具体的には、例えば、デイジーチェーン接続される送信機100のいずれかが有するマイコン103は、第1接続部106から、第1情報処理装置300を送信先として判断結果を送信する。このとき、マイコン103は、例えば、自装置の識別情報を付加する。制御部303は、受信した情報を解析し、データを送信した送信機100を特定する。制御部303は、特定した送信機100において、電力が足りていない旨をユーザへ提示する。制御部303は、例えば、第1情報処理装置300が有する所定の報知機能を使用し、電力が足りていない旨をユーザへ報知する。制御部303は、通信回線を経て、ユーザが所持する端末へ、電力が足りていない旨を通知してもよい。また、制御部303は、電力が足りていない送信機100へ電力を供給可能なように、給電部302から供給される電力を増加させるようにしてもよい。
【0065】
また、図2図3に示す説明では、送信機100が、送信機100に十分な電力が供給されているか否かを送信機100が判断する場合を説明した。しかしながら、第1情報処理装置300が電力の供給に関する判断を実施してもよい。例えば、マイコン103は、計測機による計測結果を、第1情報処理装置300を送信先として第1接続部106から送信してもよい。このとき、マイコン103は、例えば、自装置の識別情報を付加する。制御部303は、受信した情報を解析し、データを送信した送信機100を特定する。制御部303は、計測結果が所定の要件を満たすか否かを判断する。計測結果が所定の要件を満たさない場合、制御部303は、特定した送信機100において、電力が足りていない旨をユーザへ提示する。また、制御部303は、電力が足りていない送信機100へ電力を供給可能なように、給電部302から供給される電力を増加させるようにしてもよい。
【0066】
また、図3に示す例では、終端抵抗109が送信機100に設けられる場合を説明した。しかしながら、終端抵抗109は、送信機100に設けられていなくてもよい。例えば、送信機100の第2接続部108に終端抵抗304が接続されてもよい。
【0067】
図4は、第1情報処理装置300と送信機100とが接続する際のその他の構成例を表すブロック図である。図4に示される図では、デイジーチェーン接続の終端に接続される送信機100の第2接続部108に終端抵抗304が接続されている。
【0068】
以上のように上記実施形態では、システム1は、給電のための無線信号を送信する複数の送信機100と、無線信号を送信するための電力を供給する第1情報処理装置300とを備える。複数の送信機100は、第1情報処理装置300に対して電気的に直列に接続される。これにより、送信機100それぞれへ給電のための給電線を設ける必要がなくなる。デイジーチェーン接続は、電力が足りなくなりがちなので、消費電力が大きいデバイスは接続されにくい。本実施形態では、送信機100のような消費電力の大きいデバイスを接続しているが、それぞれの送信機100で消費される電力は同等である。また、給電エリアを形成する送信機100において、消費電力が急に変動する可能性は低い。そのため、複数の送信機100をデイジーチェーン接続しているが、各送信機100へ安定して電力を供給することが可能となる。そのため、送信機100それぞれへ個別に給電するための配線等が不要となる。
【0069】
したがって、本実施形態に係るシステム1によれば、複数の送信機により給電エリアを形成する際、給電システムの構築のための負担を軽減できる。
【0070】
また、上記実施形態では、複数の送信機100のうち少なくともいずれかは、第1情報処理装置300と他の送信機100とに接続され、第1情報処理装置300から供給される電力を受信し、受信した電力の少なくとも一部を接続する他の送信機100へ供給する。複数の送信機100のうち少なくともいずれかは、送信機100同士で数珠つなぎに接続され、前段の送信機100から供給される電力を受信し、受信した電力の少なくとも一部を後段の送信機100へ供給する。これにより、第1情報処理装置300に対する送信機100のデイジーチェーン接続が実現される。
【0071】
また、上記実施形態では、複数の送信機100は、第1情報処理装置300、又は前段の送信機100から供給される電力の一部を用いて無線信号を送信し、残りの電力の少なくとも一部を後段の送信機100へ供給する。これにより、送信機100に対する個別の給電は不要となる。
【0072】
また、上記実施形態では、複数の送信機100のうち、少なくとも数珠つなぎの末端に接続する送信機100は、終端抵抗を含む。これにより、デイジーチェーン接続された送信機100を安定して駆動させることが可能となる。
【0073】
また、上記実施形態では、送信機100は、供給される電力の強度を計測する計測器と、計測した強度が予め設定されている要件を満たすか否かを判断するマイコン103と、満たさない場合、判断の結果に関する情報を、ユーザ、第1情報処理装置300、又はその両方へ通知する手段とを備える。これにより、供給される電力が不足している場合、不足している旨をユーザ、又は第1情報処理装置300へ通知することが可能となる。
【0074】
また、上記実施形態では、送信機100は、供給される電力の強度を計測する計測器と、計測した強度に関する情報を第1情報処理装置300へ通知する手段とを備える。第1情報処理装置300は、強度に関する情報に基づき、送信機100へ供給される電力が予め設定されている要件を満たすか否かを判断する制御部303を備える。これにより、第1情報処理装置300は、電力が不足している送信機100を把握することが可能となる。
【0075】
<変形例>
上記実施形態では、送信機100が発振器101を有し、第1情報処理装置300から供給される電力を用いて所定周波数帯の信号を発振させるようにしている。しかしながら、送信機100は、発振器101を有さず、周波数の基準信号を第1情報処理装置300から受信するようにしてもよい。
図5は、第1情報処理装置300と送信機100Aとが接続する際のその他の構成例を表すブロック図である。図3に示される図では、第1情報処理装置300に、複数の送信機100Aがデイジーチェーン接続されている。第1情報処理装置300と送信機100A、及び送信機100A同士は、ケーブル301により接続される。
第1情報処理装置300は、制御部303を有している。制御部303は、所定の指示、又は情報をデータ信号として、送信機100Aへ送信する。また、制御部303は、周波数の基準信号を送信機100Aへ送信する。
【0076】
第1接続部106は、例えば、前段に配置される第1情報処理装置300、又は送信機100A(前段に配置される装置)と接続する。第1接続部106は、例えば、前段に配置される装置から供給される電力、データ信号、又は基準信号を、ケーブル301を介して受信する。第1接続部106で受信された電力の一部は、電力の計測器(図示せず)に供給され、電力値が計測された後、送信機100Aで使用される。送信機100Aで使用される電力が減じられた電力は第2接続部108へ出力される。第1接続部106で受信されたデータ信号、基準信号は、分配部107へ出力される。
【0077】
分配部107は、例えば、第1接続部106から出力されるデータ信号を分配する。分配部107は、例えば、分配したデータ信号をマイコン103へ出力する。分配部107は、例えば、分配元のデータ信号を第2接続部108へ出力する。分配部107は、例えば、第1接続部106から出力される基準信号を分配する。分配部107は、例えば、分配した基準信号を送信アンテナ102へ出力する。基準信号は、必要に応じて、増幅されて、不要周波数成分が除去されて、送信アンテナ102へ出力されてもよい。分配部107は、例えば、分配元の基準信号を第2接続部108へ出力する。
【0078】
第2接続部108は、例えば、後段に配置される送信機100Aと接続する。第2接続部108は、例えば、第1接続部106から出力される電力、分配部107から出力されるデータ信号、及び分配部107から出力される基準信号を、後段に配置される送信機100Aへ、ケーブル301を介して送信する。
【0079】
また、第2接続部108は、後段に配置される送信機100Aから供給されるデータ信号を、ケーブル301を介して受信する。第2接続部108は、受信したデータ信号を第1接続部106へ出力する。
【0080】
このように、周波数の基準信号を第1情報処理装置300から送信機100Aへ送信することで、送信機100Aに発振器を設けなくても、送信機100Aから放射される給電信号の周波数を統一させることが可能となる。
【0081】
なお、第1情報処理装置300から周波数の基準信号が送信される場合であっても、送信機100が発振器101を有していてもよい。この場合、例えば、基準信号の周波数は10MHzであり、発振器101は、基準信号に基づき、920MHzの信号を発振させる。
【0082】
また、上記実施形態では、第1情報処理装置300とケーブル301により接続される送信機100が1台である場合を例に説明した。しかしながら、第1情報処理装置300とケーブル301により接続される送信機100は1台に限定されない。第1情報処理装置300は、数珠つなぎに接続された送信機100と複数接続されていてもよい。
【0083】
図6は、複数の送信機100がケーブル301により第1情報処理装置300に接続される際の構成例を表すブロック図である。図6に示される図では、第1情報処理装置300に2台の送信機100が接続されている。1系統のチェーンに接続可能な送信機100の数は第1情報処理装置300から供給される電力量に基づいて限界がある。しかしながら、系統を複数とすることで、接続可能な送信機100の数を増加させることが可能となる。
【0084】
また、上記実施形態では、マイコン103、又は制御部303が、送信機100に供給される電力の強度が所定の要件を満たすか否かを判断する場合を例に説明した。このときの所定の要件は、段階的な要件であってもよい。具体的には、例えば、電力の強度に基づき、第1閾値、第2閾値等が設定されていてもよい。例えば、第1閾値は、送信機100を駆動させるのに最低限必要な電力強度を表す。第2閾値は、例えば、第1閾値よりも高い電力強度を表す。マイコン103、又は制御部303は、例えば、計測値が第1強度未満である場合、供給されている電力だと電力が不足している旨をユーザに提示する。また、マイコン103、又は制御部303は、例えば、計測値が第1閾値以上、かつ、第2強度未満である場合、供給されている電力だと電力が不足する可能性が高い旨をユーザに提示する。
【0085】
また、上記実施形態では、交流信号からなる送信電力を送信機100から無線で受信機200に送信する、いわゆるWPTシステム1への適用について説明していたが、それ以外の手法により受信機200に電力を提供するシステムへの適用も当然に可能である。このようなシステムは既知であるので詳細な説明は割愛するが、一例として、太陽光発電により生成した電力を有線/無線を問わずに受信機200に送出するシステム、さらには、レーザー光により電力を有線/無線を問わずに受信機200に送出するシステム等が挙げられる。他に、振動や音を受信機200に与え、受信機200が振動等のパワーを電力に変換する構成であっても適用可能である。加えて、交流信号からなる送信電力を無線で受電する以外の、既知の非接触給電技術、一例として磁界結合方式による非接触給電技術を用いたシステムにも当然に適用可能である。
【0086】
また、上記実施形態では、第1情報処理装置300から電力が供給される場合を説明したが、電力の供給元は第1情報処理装置300からのみに限定されない。送信機100がデイジーチェーン接続されており、デイジーチェーン接続される少なくとも1台の送信機100に給電線が接続されてもよい。給電線が接続される送信機100から、デイジーチェーン接続される送信機100へ電力が供給される。給電線が接続される送信機100は、デイジーチェーン接続される最初の送信機100であってもよいし、最後の送信機100であってもよいし、途中の送信機100であってもよい。
図7は、第1情報処理装置300と送信機100とが接続する際のその他の構成例を表すブロック図である。図7に示す例では、デイジーチェーン接続される最初の送信機100に給電線が接続され、電力が供給されている。
【0087】
また、上記実施形態では、電力とデータ信号とが1本のケーブルで送信される場合、及び電力、データ信号、及び基準信号が1本のケーブルで送信される場合について説明した。しかしながら、デイジーチェーン接続される送信機100へ信号を送信するケーブルは、1本に限定されない。例えば、デイジーチェーン接続される送信機100間で電力を送信するケーブルと、デイジーチェーン接続される送信機100間でデータ信号を送信するケーブルとは別々のケーブルであってもよい。また、デイジーチェーン接続される送信機100間で基準信号を送信するケーブルは、電力を送信するためのケーブル、及びデータ信号を送信するためのケーブルと異なるケーブルであってもよい。
【0088】
<3 コンピュータの基本ハードウェア構成>
図8は、コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、通信IF99(インタフェース、Interface)を少なくとも備える。これらはバスにより相互に電気的に接続される。
【0089】
プロセッサ91とは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアである。プロセッサ91は、演算装置、レジスタ、周辺回路等から構成される。
【0090】
主記憶装置92とは、プログラム、及びプログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものである。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0091】
補助記憶装置93とは、データ及びプログラムを保存するための記憶装置である。例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0092】
通信IF99とは、有線又は無線の通信規格を用いて、他のコンピュータとネットワークを介して通信するための信号を入出力するためのインタフェースである。
ネットワークは、インターネット、LAN、無線基地局等によって構築される各種移動通信システム等で構成される。例えば、ネットワークには、3G、4G、5G移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))等が含まれる。無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が含まれる。有線で接続する場合は、ネットワークには、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続するものも含む。
【0093】
なお、各ハードウェア構成の全部または一部を複数のコンピュータ90に分散して設け、ネットワークを介して相互に接続することによりコンピュータ90を仮想的に実現することができる。このように、コンピュータ90は、単一の筐体、ケースに収納されたコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0094】
<コンピュータ90の基本機能構成>
図8に示すコンピュータ90の基本ハードウェア構成により実現されるコンピュータの機能構成を説明する。コンピュータは、制御部、記憶部、通信部の機能ユニットを少なくとも備える。
【0095】
なお、コンピュータ90が備える機能ユニットは、それぞれの機能ユニットの全部または一部を、ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータ90に分散して設けても実現することができる。コンピュータ90は、単一のコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0096】
制御部は、プロセッサ91が補助記憶装置93に記憶された各種プログラムを読み出して主記憶装置92に展開し、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。制御部は、プログラムの種類に応じて様々な情報処理を行う機能ユニットを実現することができる。これにより、コンピュータは情報処理を行う情報処理装置として実現される。
【0097】
記憶部は、主記憶装置92、補助記憶装置93により実現される。記憶部は、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置92または補助記憶装置93に確保することができる。また、制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶されたデータの追加、更新、削除処理を実行させることができる。
【0098】
データベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブルと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル同士の関係を設定し、関連づけることができる。
通常、各テーブルにはレコードを一意に特定するためのキーとなるカラムが設定されるが、カラムへのキーの設定は必須ではない。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶された特定のテーブルにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
【0099】
通信部は、通信IF99により実現される。通信部は、ネットワークを介して他のコンピュータ90と通信を行う機能を実現する。通信部は、他のコンピュータ90から送信された情報を受信し、制御部へ入力することができる。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、受信した情報に対する情報処理を実行させることができる。また、通信部は、制御部から出力された情報を他のコンピュータ90へ送信することができる。
【0100】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0101】
また、以上の説明において、「プロセッサ」は、1以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。
【0102】
また、少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
【0103】
また、以上の説明において、「xxxテーブル」といった表現により、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、この情報は、どのような構造のデータでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。
【0104】
また、以上の説明において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部又は一部が1つのテーブルであってもよい。
【0105】
また、以上の説明において、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサによって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶部及び/又はインタフェース部などを用いながら行うため、処理の主語が、プロセッサ(或いは、そのプロセッサを有するコントローラのようなデバイス、マイコン)とされてもよい。
【0106】
プログラムは、計算機のような装置にインストールされてもよいし、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な(例えば非一時的な)記録媒体にあってもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0107】
また、以上の説明において、種々の対象の識別情報として、識別番号が使用されるが、識別番号以外の種類の識別情報(例えば、英字や符号を含んだ識別子)が採用されてもよい。
【0108】
また、以上の説明において、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号(又は、参照符号のうちの共通符号)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、要素の識別番号(又は参照符号)を使用することがある。
【0109】
また、以下の説明において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
【0110】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
給電のための無線信号を送信する複数の送信機と、無線信号を送信するための電力を供給する情報処理装置とを備え、複数の送信機は、情報処理装置に対して電気的に直列に接続されるシステム。
(付記2)
複数の送信機のうち少なくともいずれかは、情報処理装置と他の送信機とに接続され、情報処理装置から供給される電力を受信し、受信した電力の少なくとも一部を接続する他の送信機へ供給し、複数の送信機のうち少なくともいずれかは、送信機同士で数珠つなぎに接続され、前段の送信機から供給される電力を受信し、受信した電力の少なくとも一部を後段の送信機へ供給する(付記1)に記載のシステム。
(付記3)
複数の送信機は、情報処理装置、又は前段の送信機から供給される電力の一部を用いて無線信号を送信し、残りの電力の少なくとも一部を後段の送信機へ供給する(付記2)に記載のシステム。
(付記4)
複数の送信機のうち、少なくとも数珠つなぎの末端に接続する送信機は、終端抵抗を含む(付記1)から(付記3)のいずれかに記載のシステム。
(付記5)
複数の送信機のうち少なくとも2台の送信機は、情報処理装置と他の送信機とに接続され、情報処理装置から供給される電力を受信し、受信した電力の少なくとも一部を接続される他の送信機へ供給する(付記1)から(付記4)のいずれかに記載のシステム。
(付記6)
送信機は、供給される電力を計測する手段と、計測した前記電力が予め設定されている要件を満たすか否かを判断する手段と、満たさない場合、判断の結果に関する情報を、ユーザ、情報処理装置、又はその両方へ通知する手段とを備える(付記1)から(付記5)のいずれかに記載のシステム。
(付記7)
送信機は、供給される電力を計測する手段と、計測した前記電力に関する情報を情報処理装置へ通知する手段とを備え、情報処理装置は、情報に基づき、送信機へ供給される電力が予め設定されている要件を満たすか否かを判断する手段を備える(付記1)から(付記5)のいずれかに記載のシステム。
(付記8)
情報処理装置は、無線信号を所定の周波数で生成させるための基準信号を、接続される送信機へ送信し、送信機は、直列の接続を介し、情報処理装置、又は前段の送信機から供給される基準信号を後段の送信機へ送信する(付記1)から(付記7)のいずれかに記載のシステム。
(付記9)
情報処理装置、又は送信機は、電力と基準信号とを1本のケーブルで送信する(付記8)に記載のシステム。
(付記10)
情報処理装置は、所定の情報を含むデータ信号を、接続される送信機へ送信し、送信機は、直列の接続を介し、情報処理装置、又は前段の送信機から供給されるデータ信号を後段の送信機へ送信する(付記1)から(付記9)のいずれかに記載のシステム。
(付記11)
情報処理装置、又は送信機は、電力とデータ信号とを1本のケーブルで送信する(付記10)に記載のシステム。
(付記12)
情報処理装置は、所定の情報を含むデータ信号を、接続される送信機へ送信し、送信機は、直列の接続を介し、情報処理装置、又は前段の送信機から供給されるデータ信号を後段の送信機へ送信し、情報処理装置、又は送信機は、電力、基準信号、及びデータ信号を1本のケーブルで送信する(付記8)に記載のシステム。
(付記13)
(付記1)から(付記12)のいずれかに記載されるシステムが備える送信機。
(付記14)
給電のための無線信号を送信する複数の送信機と、無線信号を送信するための電力を供給する情報処理装置とを備えるシステムで実施される方法であって、情報処理装置が、情報処理装置に対して電気的に直列に接続された複数の送信機へ電力を供給し、複数の送信機が、情報処理装置、又は前段の送信機から供給される電力の一部を用いて無線信号を送信し、残りの電力の少なくとも一部を後段の送信機へ供給する方法。
【符号の説明】
【0111】
1…WPTシステム
100…送信機
101…発振器
102…送信アンテナ
103…マイコン
104…データ送受信機
105…データ送受信アンテナ
200…受信機
201…受信アンテナ
202…整流器
203…電力管理部
204…蓄電部
205…マイコン
206…データ送受信機
207…データ送受信アンテナ
300…第1情報処理装置
400…第2情報処理装置
500…第3情報処理装置


【要約】      (修正有)
【課題】複数の送信機により給電エリアを形成する際、給電システムの構築のための負担を軽減する。
【解決手段】給電のための無線信号を送信する複数の送信機と、無線信号を送信するための電力を供給する情報処理装置とを備え、複数の送信機が、情報処理装置に対して電気的に直列に接続されるシステムで実施される方法であって、情報処理装置が、情報処理装置に対して電気的に直列に接続された複数の送信機へ電力を供給し、複数の送信機が、情報処理装置又は前段の送信機から供給される電力の一部を用いて無線信号を送信し、残りの電力の少なくとも一部を後段の送信機へ供給する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8