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特許7416509ロードコーン用補助部材およびロードコーン用移動方法
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  • 特許-ロードコーン用補助部材およびロードコーン用移動方法 図1
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  • 特許-ロードコーン用補助部材およびロードコーン用移動方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ロードコーン用補助部材およびロードコーン用移動方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/02 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
E01F13/02 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023184325
(22)【出願日】2023-10-26
【審査請求日】2023-10-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511173169
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】河江 宏幸
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開実用新案第20-2010-0002475(KR,U)
【文献】特開平11-158824(JP,A)
【文献】特開2022-181612(JP,A)
【文献】特開2023-094828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦断面が台形の円錐状の本体部と、本体部の下側に本体部よりも幅広の台座部と、を備えた保安器具であるロードコーンを移動させるための補助部材であって、
握持可能なグリップ部と、
ロードコーンの本体部の頂部に設けられた開口部に嵌合するように差し込む差込部と、
を備え、
差込部は、その軸方向を中心にグリップ部に対して回転することを特徴としたロードコーン用補助部材。
【請求項2】
差込部は、グリップ部に連接する内筒と、内筒に環装される外筒と、からなることを特徴とした請求項1記載のロードコーン用補助部材。
【請求項3】
ロードコーンの台座部が、水平断面円形のものであることを特徴とした請求項1又は2記載のロードコーン用補助部材。
【請求項4】
縦断面が台形の円錐状の本体部と、本体部の下側に本体部よりも幅広の台座部と、を備えた保安器具であるロードコーンを移動させるための移動方法であって、
握持可能なグリップ部と、ロードコーンの本体部の頂部に設けられた開口部に嵌合するように差し込む差込部と、を備え、差込部は、その軸方向を中心にグリップ部に対して回転することを特徴としたロードコーン用補助部材を、ロードコーンの本体部の頂部に設けられた開口部に差し込む差込工程と、
ロードコーン用補助部材の差し込まれたロードコーンの台座部の側部が、設置面と当接するようにロードコーンを傾ける傾斜工程と、
一方の手でロードコーン用補助部材のグリップ部を握持して傾けたロードコーンを支持しつつ、他方の手でロードコーンの本体部を押し出す移動工程と、
を備えることを特徴としたロードコーン用移動方法。
【請求項5】
差込部は、グリップ部に連接する内筒と、内筒に環装される外筒と、からなることを特徴とした請求項4記載のロードコーン用移動方法。
【請求項6】
ロードコーンの台座部が、水平断面円形のものであることを特徴とした請求項4又は5記載のロードコーン用移動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、保安器具であるロードコーン(いわゆるカラーコーン:登録商標)を移動させるための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロードコーンは、様々な用途に使用することのできる非常に便利な用具である。例えば、工事現場や事故現場などである空間を規制する必要がある場合に、ロードコーンを規制するライン上に並べて、ロードコーンとロードコーンの間にはコーンバーを架設することで、簡易且つ迅速に規制線を設けることができる(特許文献1等)。
【0003】
この場合、複数のロードコーンを設置場所まで運ぶ必要があり、作業が終われば、配置したロードコーンを撤収する必要がある。つまり、ロードコーンには「移動」という作業が伴うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6998026号公報
【文献】特許第7282410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロードコーンを移動する場合、ロードコーンを持ち上げて移動するのが一般的である。
一方、ロードコーンには重ねることができるという利点があり、ロードコーンを重ねることで、一度に複数のロードコーンを移動させることができる。
【0006】
しかし、ロードコーンを多く重ねるとそれなりの大きさや重量になり、それらを一遍に持ち上げて移動させるのは大変であり、危険でもある。特に、昨今台座部に高比重の材質を使用した重量コーンが広く普及してきており、この重量コーンを重ねたものは重すぎるために人の手で持ち上げて移動することは極めて難しい。
【0007】
そこで、本願発明者は、ロードコーンの移動を無理なく行える技術の創作を目指し思索を重ね、これまでに無い画期的な移動手法(本願発明)を完成させた。そして、本願発明者が、以前発明した「その台座部を水平断面円形にしたロードコーン(特許文献2)」を使用することで、このロードコーンの移動手法(本願発明)がより有効に働くことになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の第1の発明は、縦断面が台形の円錐状の本体部と、本体部の下側に本体部よりも幅広の台座部と、を備えた保安器具であるロードコーンを移動させるための補助部材であって、握持可能なグリップ部と、ロードコーンの本体部の頂部に設けられた開口部に嵌合するように差し込む差込部と、を備え、差込部は、その軸方向を中心に回転することを特徴としたロードコーン用補助部材である。
第2の発明は、差込部が、グリップ部に連接する内筒と、内筒に環装される外筒と、からなることを特徴とした上記第1の発明に係るロードコーン用補助部材である。
第3の発明は、ロードコーンの台座部が、水平断面円形のものであることを特徴とした上記第1の発明又は第2の発明に係るロードコーン用補助部材である。
第4の発明は、縦断面が台形の円錐状の本体部と、本体部の下側に本体部よりも幅広の台座部と、を備えた保安器具であるロードコーンを移動させるための移動方法であって、握持可能なグリップ部と、ロードコーンの本体部の頂部に設けられた開口部に嵌合するように差し込む差込部と、を備え、差込部は、その軸方向を中心に回転することを特徴としたロードコーン用補助部材を、ロードコーンの本体部の頂部に設けられた開口部に差し込む差込工程と、ロードコーン用補助部材の差し込まれたロードコーンの台座部の側部が、設置面と当接するようにロードコーンを傾ける傾斜工程と、一方の手でロードコーン用補助部材のグリップ部を握持して傾けたロードコーンを支持しつつ、他方の手でロードコーンの本体部を押し出す移動工程と、を備えることを特徴としたロードコーン用移動方法である。
第5の発明は、差込部が、グリップ部に連接する内筒と、内筒に環装される外筒と、からなることを特徴とした上記第4の発明に係るロードコーン用移動方法である。
第6の発明は、ロードコーンの台座部が、水平断面円形のものであることを特徴とした上記第4の発明又は第5の発明に係るロードコーン用移動方法である。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)ロードコーン用補助部材が、握持可能なグリップ部と、ロードコーンの本体部の頂部に設けられた開口部に嵌合するように差し込む差込部と、を備え、差込部は、その軸方向を中心に回転することで、ロードコーンの本体部の頂部に設けられた開口部に差込部を差し込み、差込部の差し込まれたロードコーンの台座部の側部が設置面(ロードコーンと設置する面をいい、例えば、地面や床面などのことである。他に同じ)と当接するようにロードコーンを傾けて、一方の手でロードコーン用補助部材のグリップ部を握持して傾けたロードコーンを支持しつつ(方向性)、他方の手でロードコーンの本体部を押し出すことで(推進力)、ロードコーンを転がしながら、所望の場所に移動させることができる。
(2)差込部が、グリップ部に連接する内筒と、内筒に環装される外筒と、からなることで、不動の内筒に対して、その外周を覆うように位置する外筒が可動する。このため、ロードコーンの動き(回転)に従って外筒が可動しても、内筒は外筒の可動に影響を受けず、内筒に連接するグリップ部を握持する作業者の手は常に一定状態で固定されて、安全にロードコーンの移動作業を行える。
(3)ロードコーンの台座部が、水平断面円形のものであることで、ロードコーン用補助部材を使用してロードコーンを転がす場合に、弧状をなす台座部の側部が設置面と当接することになるので、タイヤを転がすように極めてスムーズにロードコーンを転がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願発明の第1実施形態を説明する説明図(1)。
図2】本願発明の第1実施形態を説明する説明図(2)。
図3】本願発明の第1実施形態を説明する説明図(3)。
図4】本願発明の第1実施形態を説明する説明図(4)。
図5】本願発明の第2実施形態を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願発明に係るロードコーン用補助部材の実施形態を、図面に基いて説明する。
なお、以下に説明する実施形態は本願発明の一例であり、これに限定されるものではない。
【0012】
図1図4は、本願発明に係るロードコーン用補助部材の第1実施形態を説明する説明図である。
まず、図1はロードコーン用補助部材10の外観図、図2は同ロードコーン用補助部材10の断面図である。
図示するように、ロードコーン用補助部材10は棒状をしており、握時するための(握時可能な)グリップ部11と、ロードコーンに差し込むための差込部15と、を備える。
そして、グリップ部11には、軸方向の一部に凹凸形状を設けた滑り止め機構12と、ロードコーン用補助部材10の後端側にストラップ用の丸孔13やフック用の長孔14を有する。
【0013】
また、差込部15は、グリップ部11に連接する内筒16と、同内筒16に環装される外筒17と、から構成されている。不動である内筒16に対して、その外周を覆うように環装されている外筒17は可動する。これにより、差込部15は、外筒17がその軸方向を中心に回転する構造となる。
なお、差込部15とグリップ部11の境目には周方向に鍔状のフランジ部18を設けて、差込部15をロードコーンに差し込む際の規制部となる。
【0014】
次に、図3及び図4はロードコーン用補助部材10の使用状態を図示した使用図である。
図3は、ロードコーン用補助部材10をロードコーン20に差し込む工程(差込工程)を図示している。図示するように、ロードコーン20には縦断面が台形の円錐状の本体部21の頂部22に保安灯・点滅灯等(図示省略)を取り付けられるように開口部23が設けられている。この開口部23にロードコーン用補助部材10の差込部15を差し込む。この時、差込部15は開口部23に嵌合するように差し込まれ、ロードコーン用補助部材10のフランジ部18がロードコーン20の頂部22に当接し、ロードコーン用補助部材10の差し込みが完了する。
【0015】
図4は、ロードコーン用補助部材10を使用して、ロードコーン20を傾斜させる工程(傾斜工程)と、ロードコーン20を移動させる工程(移動工程)と、を図示している。なお、図4(A)は上記工程を正面から見た図、図4(B)は上記工程を上面から見た図である。
【0016】
移動するために重ねた複数のロードコーン20(図示では5台)のうち一番上のロードコーン20の開口部23にロードコーン用補助部材10を差し込み、グリップ部11を握持したまま、ロードコーン20を傾斜させる(傾斜工程)。すると、ロードコーン20の本体部21の下側に本体部21よりも幅広に形成された台座部25の側部26が、ロードコーン20の置かれた設置面50と当接する。
【0017】
そして、グリップ部11を握持した手ではない、もう一方の手をロードコーン20の本体部21に添えながら、ロードコーン20を前方へ押し出すことで、ロードコーン20が簡単に移動できる(移動工程)。
ここで、ポイントが次のようにある。
(1)ロードコーン20の台座部25が水平断面円形なので、設置面50と当接する台座部25の側部26が弧状(R形状)であり、設置面50上をロードコーン20がスムーズに転がる。従って、重ねた複数のロードコーン20のうち、少なくても一番下のロードコーン20の台座部25aが水平断面円形であれば、この移動工程は上手くいく。なお、設置面50と当接する台座部25aは絶対「水平断面円形」でなければならないわけではなく、「水平断面方形」であっても移動工程は可能である。但し、「水平断面円形」である方がスムーズに転がるので、好ましい。
(2)ロードコーン20の本体部21に添えた手でロードコーン20を押し出すと、それに連動してロードコーン20に差し込んだロードコーン用補助部材10の差込部15の外筒17が回転するので、グリップ部11は回転すること無く、そのまま握持可能である。
(3)このロードコーン用移動手段(移動方法)は、グリップ部11を握持する手で移動するロードコーン20の「方向性」をコントロールし、ロードコーン20の本体部21に添えた手で移動するロードコーン20の「推進力(スピード)」をコントロールする役割を果たしている。
【0018】
図5は、本願発明に係るロードコーン用補助部材の第2実施形態を説明する説明図である。
図5に図示する第2実施形態のロードコーン用補助部材30は、図1図4に図示する第1実施形態のロードコーン用補助部材10と実質的には同じである。
異なる点は、ロードコーン用補助部材10がグリップ部11と差込部15をストレート(直線状)で形成しているのに対して、ロードコーン用補助部材30はグリップ部31を差込部35に対して角度を付けて(くの字形)に形成しているところにある。グリップ部31に角度を付けたことで、作業する人によってはグリップ部31を握持しやすくなる。
ロードコーン用補助部材30のその他の構造は、ロードコーン用補助部材10と同じであるので、その説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本願発明に係るロードコーン用補助部材及びロードコーン用移動方法は、ロードコーン(特に重ねた複数のロードコーン)を移動させる技術として、工事現場・その他で幅広く利用できるものである。
【符号の説明】
【0020】
10 ロードコーン用補助部材(第1実施形態)
11 グリップ部
12 滑り止め機構
13 丸孔
14 長孔
15 差込部
16 内筒
17 外筒
18 フランジ部
20 ロードコーン
21 本体部
22 頂部
23 開口部
25 台座部
26 側部
30 ロードコーン用補助部材(第2実施形態)
31 グリップ部
33 丸孔
35 差込部
36 内筒
37 外筒
38 フランジ部
50 設置面
【要約】
【課題】 ロードコーン(特に重ねた複数のロードコーン)の移動を無理なく行える技術を提供することにある。
【解決手段】 縦断面が台形の円錐状の本体部21と、本体部21の下側に本体部21よりも幅広の台座部25と、を備えた保安器具であるロードコーン20を移動させるための補助部材である。握持可能なグリップ部11と、ロードコーン20の本体部21の頂部22に設けられた開口部23に嵌合するように差し込む差込部15と、を備える。差込部15は、グリップ部11に連接する内筒16と、内筒16に環装される外筒17と、からなり、その軸方向を中心に回転することを特徴とする。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5