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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】グリース定量化装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 13/00 20060101AFI20240110BHJP
   F04B 9/08 20060101ALI20240110BHJP
   F04B 49/12 20060101ALI20240110BHJP
   F16N 13/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F04B13/00 F
F04B9/08 H
F04B49/12
F16N13/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023535795
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2021081515
(87)【国際公開番号】W WO2022141813
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】202011612069.1
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522222009
【氏名又は名称】上海精智実業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI JINGZHI INDUSTRY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 101,Block D,Building 11,128 Xiangyin Road,Yangpu District Shanghai 200433,China
(74)【代理人】
【識別番号】100178434
【弁理士】
【氏名又は名称】李 じゅん
(72)【発明者】
【氏名】呉 永利
(72)【発明者】
【氏名】沈 国双
(72)【発明者】
【氏名】王 長陽
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-328928(JP,A)
【文献】特開昭62-224779(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102518926(CN,A)
【文献】中国実用新案第203442453(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第105387322(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 13/00
F04B 9/08
F04B 49/12
F16N 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティ本体(11)、前記キャビティ本体(11)の内部に摺動可能に設けられるピストンアセンブリ、前記キャビティ本体(11)に接続される油圧電気制御弁(12)、及び前記キャビティ本体(11)の前端に固定されるキャビティエンドカバー(13)を含む給脂機構であって、前記ピストンアセンブリは、固定接続されるピストン(14)とピストンロッド(15)を含み、前記ピストン(14)は、前記キャビティ本体(11)の内部を第1のキャビティ(111)及び第2のキャビティ(112)に分け、前記キャビティエンドカバー(13)にグリース供給口(131)及びグリース排出口(132)が設けられており、前記グリース供給口(131)は、常に前記第2のキャビティ(112)に連通し、前記グリース供給口(131)は、前記油圧電気制御弁(12)によって前記第1のキャビティ(111)にグリースを充填でき、且つ前記第1のキャビティ(111)内のグリースは、前記油圧電気制御弁(12)によって前記グリース排出口(132)から排出できる給脂機構と、
ブラケット(21)、前記ブラケット(21)に固定される駆動機構(22)、前記駆動機構(22)に伝動接続されるスクリュー(23)、前記スクリュー(23)にねじ接続される固定スリーブ(24)、及び前記固定スリーブ(24)内に摺動可能に設けられるプランジャチャック(25)を含む定量調節機構であって、前記駆動機構(22)は、前記スクリュー(23)が回動して前記固定スリーブ(24)に沿って前進するか又は後退するように駆動でき、前記固定スリーブ(24)は、前記キャビティ本体(11)の後端に固定接続され、前記プランジャチャック(25)の前端は、前記ピストンロッド(15)に接続され、後端は、前記スクリュー(23)に当接する定量調節機構と、
を含むグリース定量化装置であって、
前記プランジャチャック(25)は、円錐体状構造を呈し、前記スクリュー(23)の前端に互いに分離する複数の弾性爪(232)を有し、複数の前記弾性爪(232)の間に前記プランジャチャック(25)の形状に適合する円錐形溝(233)が形成され、前記プランジャチャック(25)が前記円錐形溝(233)にきつく押し付けられたとき、複数の前記弾性爪(232)は、外へ広がると共に、前記固定スリーブ(24)の雌ねじと係止することを特徴とする、前記グリース定量化装置。
【請求項2】
グリース排出検出機構を更に含み、前記グリース排出検出機構は、固定カバー(31)、端部感知ロッド(32)、第1の圧縮ばね(33)及び第1の位置センサ(34)を含み、前記キャビティエンドカバー(13)に取り付け孔(133)が貫通して開設されており、前記固定カバー(31)は、前記取り付け孔(133)内に取り付けられ、前記第1の位置センサ(34)は、前記固定カバー(31)の一端に固定され、前記端部感知ロッド(32)は、前記固定カバー(31)を摺動可能に貫通し、前記端部感知ロッド(32)に突起(321)が設けられており、前記第1の圧縮ばね(33)は、前記端部感知ロッド(32)に嵌設され、且つ前記第1の圧縮ばね(33)の一端は、前記突起(321)に接続され、他端は、前記第1の位置センサ(34)に接続され、前記第1の位置センサ(34)は、前記端部感知ロッド(32)の位置を検出することに用いられる請求項1に記載のグリース定量化装置。
【請求項3】
グリース戻し検出機構を更に含み、前記グリース戻し検出機構は、グリース戻し摺動ロッド(41)、第2の圧縮ばね(42)及び第2の位置センサ(43)を含み、前記グリース戻し摺動ロッド(41)は、前記スクリュー(23)内に摺動可能に設けられ、前記グリース戻し摺動ロッド(41)の一端は、前記プランジャチャック(25)に固定接続され、前記スクリュー(23)内に取り付け溝(231)が更に設けられており、前記第2の圧縮ばね(42)は、前記グリース戻し摺動ロッド(41)に嵌設され、且つ前記第2の圧縮ばね(42)の一端は、前記取り付け溝(231)に当接し、他端は、前記プランジャチャック(25)に当接し、前記第2の位置センサ(43)は、前記グリース戻し摺動ロッド(41)の位置を検出することに用いられる請求項1又は2に記載のグリース定量化装置。
【請求項4】
前記プランジャチャック(25)の外周にラグ(251)が更に設けられており、前記固定スリーブ(24)の内壁に、その軸方向に延伸するスライド溝(241)が設けられており、前記ラグ(251)は、前記スライド溝(241)に摺動可能に接続される請求項1に記載のグリース定量化装置。
【請求項5】
前記駆動機構(22)は、サーボモータ(221)及び歯車アセンブリ(222)を含み、前記サーボモータ(221)は、前記歯車アセンブリ(222)を介して前記スクリュー(23)に伝動接続される請求項3に記載のグリース定量化装置。
【請求項6】
前記歯車アセンブリ(222)の外部に更にハウジング(223)が覆うように設けられ、前記ハウジング(223)は、前記ブラケット(21)に固定接続され、前記第2の位置センサ(43)は、前記ハウジング(223)に固定される請求項に記載のグリース定量化装置。
【請求項7】
台座(5)を更に含み、前記固定スリーブ(24)は、前記台座(5)に固定され、前記ブラケット(21)は、ガイドロッド(6)を介して前記固定スリーブ(24)に摺動可能に接続される請求項1に記載のグリース定量化装置。
【請求項8】
前記ピストンロッド(15)と前記固定スリーブ(24)の間、前記ピストン(14)と前記キャビティ本体(11)の間、及び前記端部感知ロッド(32)と前記固定カバー(31)の間のいずれにも、シールリング(7)が設けられている請求項2に記載のグリース定量化装置。
【請求項9】
前記グリース排出口(132)には、グリースの排出量を検出することに用いられる流量検出機構が更に接続されている請求項1に記載のグリース定量化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年12月30日に中国特許局に提出され、出願番号が202011612069.1である中国特許出願の優先権を主張し、この出願の内容は、全て援用により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、自動車関連技術分野に関し、例えば、グリース定量化装置に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車部品の組み立てプロセスにおいて多くの箇所にグリースを塗って取り付ける必要があり、且つグリース塗り量が厳しく要求されている。現在、市場での給脂方法は、多種多様であり、手動及び機械の2種類の方法が存在している。手動による給脂方法では、作業者が定量スプーンを使用して毎回対応する量だけ関連部位に注入し、主に機械設備でカバーできない部品に使用される。機械による給脂方法では、給脂システムによって圧縮空気を動力源又は電動シリンダを動力源として給脂し、空気動力源は、独立した空気源装置を配置する必要があるが、空気源装置は、外形や体積が大きく、コストが高く、且つ高圧・高粘性の密封されたグリースを提供する空気圧ブースタポンプは、ガスの圧縮性のため、空気圧ブースタポンプの圧力出力が安定しない。電動シリンダを動力源とする給脂システムは、電動シリンダの出力ロッド又は延長ロッドの精度が制限されるため、給脂精度が制限され、給脂システムが高速に定量化できると共に給脂範囲が制御・調節可能であるという要件を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、精度が高く、コストが低く、出力が安定し、且つ給脂範囲が制御・調節可能であるグリース定量化装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
キャビティ本体、前記キャビティ本体の内部に摺動可能に設けられるピストンアセンブリ、前記キャビティ本体に接続される油圧電気制御弁、及び前記キャビティ本体の前端に固定されるキャビティエンドカバーを含む給脂機構であって、前記ピストンアセンブリは、固定接続されるピストンとピストンロッドを含み、前記ピストンは、前記キャビティ本体の内部を第1のキャビティ及び第2のキャビティに分け、前記キャビティエンドカバーにグリース供給口及びグリース排出口が設けられており、前記グリース供給口は、常に前記第2のキャビティに連通し、前記グリース供給口は、前記油圧電気制御弁によって前記第1のキャビティにグリースを充填し、且つ前記第1のキャビティ内のグリースは、前記油圧電気制御弁によって前記グリース排出口から排出される給脂機構と、
ブラケット、前記ブラケットに固定される駆動機構、前記駆動機構に伝動接続されるスクリュー、前記スクリューにねじ接続される固定スリーブ、及び前記固定スリーブ内に摺動可能に設けられるプランジャチャックを含む定量調節機構であって、前記駆動機構は、前記スクリューが回動して前記固定スリーブに沿って前進するか又は後退するように駆動し、前記固定スリーブは、前記キャビティ本体の後端に固定接続され、前記プランジャチャックの前端は、前記ピストンロッドに接続され、前記プランジャチャックの後端は、前記スクリューに当接する定量調節機構と、
を含むグリース定量化装置を提供する。
【0006】
グリース定量化装置の選択可能な態様として、グリース排出検出機構を更に含み、前記グリース排出検出機構は、固定カバー、端部感知ロッド、第1の圧縮ばね及び第1の位置センサを含み、前記キャビティエンドカバーに取り付け孔が貫通して開設されており、前記固定カバーは、前記取り付け孔内に取り付けられ、前記第1の位置センサは、前記固定カバーの一端に固定され、前記端部感知ロッドは、前記固定カバーを摺動可能に貫通し、前記端部感知ロッドに突起が設けられており、前記第1の圧縮ばねは、前記端部感知ロッドに嵌設され、且つ前記第1の圧縮ばねの一端は、前記突起に接続され、第1の圧縮ばねの他端は、前記第1の位置センサに接続され、前記第1の位置センサは、前記端部感知ロッドの位置を検出するように設けられる。
【0007】
グリース定量化装置の選択可能な態様として、グリース戻し検出機構を更に含み、前記グリース戻し検出機構は、グリース戻し摺動ロッド、第2の圧縮ばね及び第2の位置センサを含み、前記グリース戻し摺動ロッドは、前記スクリュー内に摺動可能に設けられ、前記グリース戻し摺動ロッドの一端は、前記プランジャチャックに固定接続され、前記スクリュー内に取り付け溝が更に設けられており、前記第2の圧縮ばねは、前記グリース戻し摺動ロッドに嵌設され、且つ前記第2の圧縮ばねの一端は、前記取り付け溝に当接し、第2の圧縮ばねの他端は、前記プランジャチャックに当接し、前記第2の位置センサは、前記グリース戻し摺動ロッドの位置を検出するように設けられる。
【0008】
グリース定量化装置の選択可能な態様として、前記プランジャチャックは、円錐体状構造を呈し、前記スクリューの前端に互いに分離する複数の弾性爪を有し、複数の弾性爪の間に前記プランジャチャックの形状に適合する円錐形溝が形成され、前記プランジャチャックが前記円錐形溝にきつく押し付けられた場合、複数の弾性爪は、外へ広がると共に、前記固定スリーブの雌ねじと係止する。
【0009】
グリース定量化装置の選択可能な態様として、前記プランジャチャックの外周にラグが更に設けられており、前記固定スリーブの内壁に固定スリーブの軸方向に延伸するスライド溝が設けられており、前記ラグは、前記スライド溝に摺動可能に接続される。
【0010】
グリース定量化装置の選択可能な態様として、前記駆動機構は、サーボモータ及び歯車アセンブリを含み、前記サーボモータは、前記歯車アセンブリを介して前記スクリューに伝動接続される。
【0011】
グリース定量化装置の選択可能な態様として、前記歯車アセンブリの外部に更にハウジングが覆うように設けられ、前記ハウジングは、前記ブラケットに固定接続され、前記第2の位置センサは、前記ハウジングに固定される。
【0012】
グリース定量化装置の選択可能な態様として、台座を更に含み、前記固定スリーブは、前記台座に固定され、前記ブラケットは、ガイドロッドを介して前記固定スリーブに摺動可能に接続される。
【0013】
グリース定量化装置の選択可能な態様として、前記ピストンロッドと前記固定スリーブの間、前記ピストンと前記キャビティ本体の間、及び前記端部感知ロッドと前記固定カバーの間のいずれにも、シールリングが設けられている。
【0014】
グリース定量化装置の選択可能な態様として、前記グリース排出口には、グリースの排出量を検出するように設けられる流量検出機構が更に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本出願の実施例により提供されるグリース定量化装置の構造概略図である。
図2】本出願の実施例により提供されるグリース定量化装置の平面図である。
図3図2のA-A方向に沿った断面図である。
図4】本出願の実施例により提供されるグリース定量化装置からハウジングを取り外した後の構造概略図である。
図5】本出願の実施例により提供されるグリース定量化装置から駆動機構を取り外した後の構造概略図である。
図6】本出願の実施例により提供されるピストンアセンブリ及びプランジャチャックの構造概略図である。
図7】本出願の実施例により提供される固定スリーブの構造概略図である。
図8】本出願の実施例により提供されるスクリューの構造概略図である。
図9】本出願の実施例により提供されるグリース定量化装置の局所的構造概略図である。
図10図9のグリース排出検出機構を取り外した後の構造概略図である。
図11図10の第1の断面に沿った断面図である。
図12図10の第2の断面に沿った断面図である。
図13図10の第3の断面に沿った断面図である。
図14】本出願の実施例により提供される別のグリース定量化装置の局所的構造概略図である。
図15図14の第4の断面に沿った断面図である。
図16図14の第5の断面に沿った断面図である。
図17図14の第6の断面に沿った断面図である。
図18図14の第7の断面に沿った断面図である。
図19図14の第8の断面に沿った断面図である。
【0016】
(符号の説明)
図中において、11 キャビティ本体;111 第1のキャビティ;112 第2のキャビティ;12 油圧電気制御弁;121 第1の接続口;122 第2の接続口;123 第3の接続口;124 第4の接続口;13 キャビティエンドカバー;131 グリース供給口;132 グリース排出口;133 取り付け孔;14 ピストン;15 ピストンロッド;21 ブラケット;22 駆動機構;221 サーボモータ;222 歯車アセンブリ;223 ハウジング;23 スクリュー;231 取り付け溝;232 弾性爪;233 円錐形溝;24 固定スリーブ;241 スライド溝;25 プランジャチャック;251 ラグ;31 固定カバー;32 端部感知ロッド;321 突起;33 第1の圧縮ばね;34 第1の位置センサ;41 グリース戻し摺動ロッド;42 第2の圧縮ばね;43 第2の位置センサ;5 台座;6 ガイドロッド;7 シールリング;101 第1の通路;102 第2の通路;103 第3の通路;104 第4の通路;105 第5の通路;106 第6の通路;107 第7の通路である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面及び実施例を参照しながら本出願を説明する。ここに記載される実施例は、本出願を説明するためのものに過ぎず、本出願を限定するものではない。説明しやすくするために、図面において、本出願に関連する部分のみを示しており、全ての構造を示しているわけではない。
【0018】
本出願の説明において、別に規定及び限定がない限り、「繋がる」、「接続」、「固定」という用語は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、又は一体になってもよく、機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体による間接接続であってもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。本出願における上記用語の意味は、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0019】
本出願において、別に規定及び限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1の特徴が第2の特徴に直接接触することを含んでもよく、第1の特徴と第2の特徴が直接接触しておらず、それらの間の他の特徴によって接触することを含んでもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上及び斜め上方にあることを含み、又は第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも高いことを示すだけである。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下及び斜め下方にあることを含み、又は第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも小さいことを示すだけである。
【0020】
本実施例の説明において、用語「上」、「下」、「左」、「右」などの方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、単に説明しやすく操作を簡略化するためであり、示された装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成・操作しなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本出願を限定するものとして理解してはならない。また、「第1」、「第2」という用語は、単に説明を区別するために用いられ、特別な意味を有しない。本実施例において、「前進」とは、図3における固定スリーブ24の軸線方向に沿って上へ移動することを意味し、「後退」とは、図3における固定スリーブ24の軸線方向に沿って下へ移動することを意味する。
【0021】
図1図19に示すように、本実施例は、給脂機構及び定量調節機構を含むグリース定量化装置を提供する。給脂機構は、キャビティ本体11、キャビティ本体11の内部に摺動可能に設けられるピストンアセンブリ、キャビティ本体11に接続される油圧電気制御弁12、及びキャビティ本体11の前端に固定されるキャビティエンドカバー13を含み、ピストンアセンブリは、固定接続されるピストン14とピストンロッド15を含み、ピストン14は、キャビティ本体11の内部を第1のキャビティ111及び第2のキャビティ112に分け、キャビティエンドカバー13にグリース供給口131及びグリース排出口132が設けられており、グリース供給口131は、常に第2のキャビティ112に連通し、グリース供給口131は、油圧電気制御弁12によって第1のキャビティ111にグリースを充填することができ、且つ第1のキャビティ111内のグリースは、油圧電気制御弁12によってグリース排出口132から排出することができる。定量調節機構は、ブラケット21、ブラケット21に固定される駆動機構22、駆動機構22に伝動接続されるスクリュー23、スクリュー23にねじ接続される固定スリーブ24、及び固定スリーブ24内に摺動可能に設けられるプランジャチャック25を含み、駆動機構22は、スクリュー23が回動して固定スリーブ24に沿って前進するか又は後退するように駆動することができ、固定スリーブ24は、キャビティ本体11の後端に固定接続され、プランジャチャック25は、前端がピストンロッド15に接続され、後端がスクリュー23に当接する。
【0022】
本出願により提供されるグリース定量化装置では、駆動機構22によってスクリュー23が回動するように駆動することで、スクリュー23が回動中に固定スリーブ24の軸方向に沿って移動し、プランジャチャック25及びピストンアセンブリも固定スリーブ24の軸方向に沿って同期移動し、それにより、第1のキャビティ111の大きさを調整し、即ち、第1のキャビティ111の容量を変更することができ、第1のキャビティ111がグリースで満たされる場合、この時のグリース量は、グリースを外へ1回排出する所定量である。グリースを外へ排出する過程で、第2のキャビティ112にグリースを注入することにより、第2のキャビティ112の圧力を増加させ、ピストン14が第1のキャビティ111の方向へ移動(前進)するように駆動し、同時に油圧電気制御弁12によって第1のキャビティ111内のグリースを全て外へ排出し、第1のキャビティ111に収容されるグリースの量が一定であるため、グリースを定量排出する作用を達成する。1回の給脂が完了した後、更に油圧電気制御弁12によって第1のキャビティ111にグリースを充填し、この時、ピストンが第1のキャビティ111内のグリース圧力の作用により第2のキャビティ112の方向へ移動(後退)し、ピストンロッド15及びプランジャチャック25も同期後退し、プランジャチャック25がスクリュー23にきつく押し付けられた場合、プランジャチャック25及びピストンアセンブリは後退を停止し、この時、ピストン14は初期位置に回復し、即ち、第1のキャビティ111に注入されるグリース量は、所定値に達する。
【0023】
選択的に、本実施例の駆動機構22は、サーボモータ221及び歯車アセンブリ222を含み、サーボモータ221は、歯車アセンブリ222を介してスクリュー23に伝動接続される。サーボモータ221は、制御精度が高く、歯車アセンブリ222は、伝動が確実であり、運転が安定し、当該グリース定量化装置の給脂精度を向上させることができる。一実施例において、歯車アセンブリ222の外部に更にハウジング223が覆うように設けられ、ハウジング223は、ブラケット21に固定接続され、ハウジング223を設けることにより、歯車アセンブリ222を効果的に保護し、歯車アセンブリ222の安全性を高めて使用寿命を延長する。本出願は、試験及び計算により、サーボモータ221の1回転当たりに対応するピストン14の変位量が得られ、サーボモータ221の出力回動量を設定することにより、毎回外へ排出するグリースの量を正確に制御するように、第1のキャビティ111の大きさを正確に調整することができ、定量給脂の精度が高く、コストが低く、体積が小さく、空気圧ブースタポンプを採用する必要がなく、圧力出力が安定し、給脂システムが高速に定量化できると共に給脂範囲が制御・調節可能であるという要件を満たすことができる。
【0024】
一実施例において、本実施例のグリース定量化装置は、グリースを所定の位置に排出することを検出するためのグリース排出検出機構を更に含む。当該グリース排出検出機構は、固定カバー31、端部感知ロッド32、第1の圧縮ばね33及び第1の位置センサ34を含み、キャビティエンドカバー13に取り付け孔133が貫通して開設されており、固定カバー31は、取り付け孔133内に取り付けられ、第1の位置センサ34は、固定カバー31の一端に固定され、端部感知ロッド32は、固定カバー31を摺動可能に貫通し、端部感知ロッド32に突起321が設けられており、第1の圧縮ばね33は、端部感知ロッド32に嵌設され、且つ第1の圧縮ばね33の一端は、突起321に接続され、第1の圧縮ばね33の他端は、第1の位置センサ34に接続され、第1の位置センサ34は、端部感知ロッド32の位置を検出するように設けられる。本実施例において、グリースを外へ給脂する過程で、ピストン14は、徐々に前端へ移動し、第1のキャビティ111内のグリースがグリース排出口132を介して外へ排出されるように押し、ピストンロッド15の前端が端部感知ロッド32に接触すると、端部感知ロッド32が前へ移動するように押すと共に、第1の圧縮ばね33を押圧し、この時、第1の位置センサ34は、所定の位置に排出された信号を取得し、第1のキャビティ111内のグリースが完全に排出され、今回のグリース注出プロセスが終了したことを示す。再び第1のキャビティ111にグリースを充填する場合、ピストンアセンブリが後退し、端部感知ロッド32は、第1の圧縮ばね33の弾力作用により元の位置に回復し、プランジャチャック25がスクリュー23にきつく当接するまでピストンアセンブリが後退した場合、第1のキャビティ111が再びグリースで満たされる。本実施例は、グリース排出検出機構を設けることにより、当該グリース定量化装置が外へ給脂する状況を正確に取得することができ、制御しやすく、グリース注出精度を向上させる。
【0025】
一実施例において、本実施例のグリース定量化装置は、第1のキャビティ111における所定の位置にグリースを充填したか否かを検出するためのグリース戻し検出機構を更に含む。当該グリース戻し検出機構は、グリース戻し摺動ロッド41、第2の圧縮ばね42及び第2の位置センサ43を含み、グリース戻し摺動ロッド41は、スクリュー23に摺動可能に設けられ、グリース戻し摺動ロッド41の一端は、プランジャチャック25に固定接続され、スクリュー23に取り付け溝231が更に設けられており、第2の圧縮ばね42は、グリース戻し摺動ロッド41に嵌設され、且つ第2の圧縮ばね42は、一端が取り付け溝231に当接し、他端がプランジャチャック25に当接し、第2の位置センサ43は、ハウジング223に固定され、第2の位置センサ43は、グリース戻し摺動ロッド41の位置を検出するように設けられる。本実施例において、第1のキャビティ111にグリースを充填する場合、ピストンアセンブリが後退し、同時にプランジャチャック25及びグリース戻し摺動ロッド41が後退するように押し、第2の圧縮ばね42が力を受けて圧縮され、プランジャチャック25がスクリュー23にきつく押し付けられた場合、グリース戻し摺動ロッド41は移動を停止し、第2の位置センサ43は、グリース戻し摺動ロッド41の信号を検出し、この時に第1のキャビティ111における所定の位置にグリースを充填したことを示す。再び外へ給脂する場合、ピストンアセンブリが前進し、この時、プランジャチャック25及びグリース戻し摺動ロッド41も、第2の圧縮ばね42の弾力作用により上へ移動して元の位置に回復する。本実施例は、グリース戻し検出機構を設けることにより、第1のキャビティ111にグリースを充填する状況を正確に取得することができ、制御しやすく、当該グリース定量化装置の精度を向上させる。
【0026】
選択的に、図6図8に示すように、本実施例のプランジャチャック25は、円錐体状構造を呈し、スクリュー23の前端に互いに分離する複数の弾性爪232を有し、複数の弾性爪232の間にプランジャチャック25の形状に適合する円錐形溝233が形成され、プランジャチャック25が円錐形溝233にきつく押し付けられた場合、複数の弾性爪232を外へ広げることにより、複数の弾性爪232が固定スリーブ24の雌ねじに押し付けられて係止し、ピストンアセンブリ及びプランジャチャック25の後退を防止し、第1のキャビティ111の容量が変わらないように保証し、装置の使用時の信頼性を向上させる。プランジャチャック25の外周にラグ251が更に設けられており、固定スリーブ24の内壁にその軸方向に延伸するスライド溝241が設けられており、ラグ251は、スライド溝241に摺動可能に接続され、ラグ251とスライド溝241の滑り嵌合により、プランジャチャック25の移動精度を向上させる。
【0027】
一実施例において、本実施例のグリース定量化装置は、台座5を更に含み、固定スリーブ24は、台座5に固定される。一実施例において、固定スリーブ24は、円筒状構造を呈する第1の接続セグメントと、方形構造を呈する第2の接続セグメントとを含み、第1の接続セグメントの内部には、スクリュー23にねじ接続するための雌ねじが設けられており、第2の接続セグメントは、台座5に固定され、第2の接続セグメントの内部には、ピストンロッド15が貫通するための貫通孔が設けられており、且つ貫通孔がピストンロッド15の直径に適合する。一実施例において、本実施例のピストンロッド15と固定スリーブ24の第2の接続セグメントの間、ピストン14とキャビティ本体11の間、及び端部感知ロッド32と固定カバー31の間のいずれにも、シールリング7が設けられており、それにより、システム全体のシール性を保証し、装置の制御精度及び使用時の信頼性を向上させる。好ましくは、ブラケット21にガイドロッド6が更に設けられており、固定スリーブ24の第1の接続セグメントにフランジが設けられており、フランジにスライド溝が設けられており、ガイドロッド6がスライド溝内に穿設され、それにより、ブラケット21と固定スリーブ24の摺動可能な接続を実現し、このように設けられることにより、スクリュー23の移動の精度と安定性を向上させる。また、本実施例は、グリースの排出量を検出するために、更にグリース排出口132に流量計などの流量検出機構を接続することができ、それにより、装置全体に対するフィードバックを形成し、第1のキャビティ111の大きさを調整するか又は他の構造を修正することを容易にする。
【0028】
以下、図10図19を参照しながら、本出願の給脂機構の動作原理を説明する。本実施例において、油圧電気制御弁12は、選択的に3位置4方電磁弁であってよく、第1の接続口121、第2の接続口122、第3の接続口123及び第4の接続口124を含む。キャビティ本体11に第1の通路101、第3の通路103、第4の通路104、第5の通路105及び第6の通路106が開設されており、キャビティエンドカバー13に第2の通路102が開設されており、固定スリーブ24の第2の接続セグメントに第7の通路107が開設されている。第1の通路101は、キャビティ本体11の軸方向に沿って設けられ、第1の通路101は、一端が第1の接続口121に接続され、他端が第2の通路102に連通する。第2の通路102は、キャビティエンドカバー13の縦方向に沿って設けられ、第1のキャビティ111に連通する。第3の通路103は、キャビティ本体11の軸方向に沿って設けられ、第3の通路103は、一端がグリース排出口132に連通し、他端が第6の通路106に連通する。第6の通路106は、キャビティ本体の横方向に沿って設けられ、第4の接続口124に接続される。第4の通路104は、キャビティ本体11の軸方向に沿って設けられ、第4の通路104は、一端がグリース供給口131に連通し、他端が第7の通路107に連通し、中央部が第5の通路105に連通する。第7の通路107は、固定スリーブ24の横方向に沿って設けられ、第2のキャビティ112に連通する。第5の通路105は、キャビティ本体11内に傾斜して設けられ、第5の通路105は、一端が第4の通路104に連通し、他端が第3の接続口123に接続される。第2の接続口122は、空き位置であり、いかなる通路にも接続されない。
【0029】
本実施例において、第1のキャビティ111にグリースを充填する場合、油圧電気制御弁12は、グリースが順にグリース供給口131、第4の通路104、第5の通路105、第3の接続口123、第1の接続口121、第1の通路101、第2の通路102を経て第1のキャビティ111に入るように制御し、それと同時に、第2のキャビティ112内の一部のグリースは、順に第7の通路107、第4の通路104、第5の通路105、第3の接続口123、第1の接続口121、第1の通路101、第2の通路102を経て第1のキャビティ111に入る。
【0030】
本実施例において、第1のキャビティ111内のグリースを外へ排出する場合、油圧電気制御弁12は、グリースが順に第2の通路102、第1の通路101、第1の接続口121、第4の接続口124、第6の通路106、第3の通路103、グリース排出口132を経て外へ排出されるように制御し、それと同時に、注入設備は、第2のキャビティ112に一部のグリースを充填する。
【0031】
本実施例は、グリースを定量注出することができるだけでなく、他の液体を注出するために用いることもでき、本実施例に限定されない。

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