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特許7416559太陽光集光アレイの電力比を制御するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】太陽光集光アレイの電力比を制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/22 20140101AFI20240110BHJP
   F24S 23/70 20180101ALI20240110BHJP
【FI】
H02S40/22
F24S23/70
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017009160
(22)【出願日】2017-01-23
(65)【公開番号】P2017200425
(43)【公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-01-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】15/012,658
(32)【優先日】2016-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベーレンス, ジョン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】シンジャー, スコット ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ブリーン, マーク エル.
【合議体】
【審判長】山村 浩
【審判官】松川 直樹
【審判官】吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-18899(JP,A)
【文献】特開2017-93127(JP,A)
【文献】特開昭61-235298(JP,A)
【文献】実開昭56-103400(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0244316(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S40/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の集光モジュール上への衝突による前記集光モジュールの電力出力を制御するための方法であって、前記集光モジュールはプロセッサを有する制御モジュールと、スペースクラフトに連結されている複数の光起電力電池と、複数の反射器とを備え、前記方法が、
前記プロセッサにおいて、前記集光モジュールの前記複数の光起電力電池から電力出力を生成するために、前記複数の反射器の位置を変更する信号を前記スペースクラフトから受け取ることと、
前記プロセッサにおいて、前記複数の光起電力電池に連結された前記スペースクラフトの電力要求を決定することと、
前記プロセッサにおいて、前記電力要求に基づいて前記複数の光起電力電池のうち光源から光を受光する所定の数の光起電力電池を決定することであって、前記光源から光を受光しない前記複数の光起電力電池の一部と前記光源から光を受光する前記複数の光起電力電池の残りの部分が特定される、前記複数の光起電力電池のうち前記光源から光を受光する所定の数の光起電力電池を決定することと、
前記プロセッサにおいて、前記複数の反射器のうちの一部を光起電力電池励起位置に移行させるために前記複数の反射器のうちの前記一部を配置することであって、光起電力電池非励起位置にある前記複数の反射器の一部は前記光源から光を受光しない前記複数の光起電力電池の前記一部に対応しており、前記複数の反射器の残りの部分は光起電力電池励起位置にあり、前記光起電力電池励起位置は前記光源から光を受光する前記所定の数の光起電力電池に前記電力出力を生成させるものである、前記複数の反射器の一部を配置することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記プロセッサにおいて、前記複数の光起電力電池からの利用可能な総電力出力を決定することをさらに含み、前記複数の光起電力電池のうち前記光源から光を受光する前記所定の数の光起電力電池は前記利用可能な総電力出力に基づいてさらに決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセッサにおいて、電力供給する光起電力電池の電力供給しない光起電力電池に対する比を示す送信を前記スペースクラフトから受け取ることをさらに含み、前記複数の光起電力電池のうち前記光源から光を受光する前記所定の数の光起電力電池は前記比に基づいて決定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の光起電力電池のうち前記光源から光を受光する前記所定の数の光起電力電池は、ある時刻における前記複数の光起電力電池と前記光源との間の第1の距離に基づいて決定され、
別の時刻における前記複数の光起電力電池と前記光源との間の第2の距離に基づいて前記複数の光起電力電池のうち前記光源から光を受光する別の数の前記光起電力電池を決定することであって、前記光源から光を受光しない前記複数の光起電力電池の別の一部と前記光源から光を受光する前記複数の光起電力電池の別の残りの部分が特定される、前記複数の光起電力電池のうち前記光源から光を受光する別の数の前記光起電力電池を決定することと、
記複数の反射器のうちの別の一部を光起電力電池励起位置に配置することであって、光起電力電池非励起位置にある前記複数の反射器の別の一部は前記光源から光を受光しない前記複数の光起電力電池の前記別の一部に対応しており、前記複数の反射器の別の残りの部分は光起電力電池励起位置にあり、前記光起電力電池励起位置は前記複数の光起電力電池のうち前記光源から光を受光する前記別の数の光起電力電池に前記電力出力を生成させるものである、前記複数の反射器の別の一部を配置することと、
を更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の距離が前記第2の距離より大きい場合に、前記複数の光起電力電池のうち前記光源から光を受光する前記所定の数の前記光起電力電池は前記複数の光起電力電池のうち前記光源から光を受光する前記別の数の前記光起電力電池より多くの光起電力電池を含み、
前記第2の距離が前記第1の距離より大きい場合に、前記複数の光起電力電池のうち前記光源から光を受光する前記別の数の前記光起電力電池は前記複数の光起電力電池のうち前記光源から光を受光する前記所定の数の前記光起電力電池より多くの光起電力電池を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記光源が太陽であり、前記複数の光起電力電池が太陽の方向について移動する前記スペースクラフトに連結されている、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の反射器の位置を変更する前記信号を受け取る間は前記複数の反射器のうちの別の一部が光起電力電池励起位置にあり、前記複数の反射器のうちの前記別の一部によって生成される電力が前記電力要求よりも大きいという決定に応じて、前記複数の反射器のうちの前記一部は前記複数の反射器のうちの前記別の一部よりも小さい電力を生成するように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
集光モジュールを備えるスペースクラフトに連結されている太陽電源であって、
光の前記集光モジュール上への衝突により電力出力が生成され、前記集光モジュールは複数の太陽電池と、複数の反射器と、制御モジュールとを備え、前記制御モジュールはプロセッサと非一過性のコンピュータ可読記憶媒体とを備え、前記記憶媒体は、前記プロセッサによって実行されると、
前記集光モジュールの前記複数の太陽電池から電力出力を生成するために、前記複数の反射器の位置を変更する信号を前記スペースクラフトから受け取り、
前記複数の太陽電池に連結された前記スペースクラフトの電力要求を決定し、
前記電力要求に基づいて前記複数の太陽電池のうち太陽から光を受光する所定の数の太陽電池を決定し、太陽から光を受光しない前記複数の太陽電池の一部と太陽から光を受光する前記複数の太陽電池の残りの部分が特定され、
記複数の反射器のうちの一部を太陽電池励起位置に移行させるために前記複数の反射器の前記一部を配置し、太陽電池非励起位置にある前記複数の反射器の一部は太陽から光を受光しない前記複数の太陽電池の前記一部に対応しており、前記複数の反射器の残りの部分は太陽電池励起位置にあり、前記太陽電池励起位置は前記複数の太陽電池のうち太陽から光を受光する前記所定の数の太陽電池に前記電力出力を生成させるものである、
ように動作する、実行可能な命令を記憶する、
太陽電源。
【請求項9】
前記非一過性のコンピュータ可読記憶媒体が、前記プロセッサによって実行されると、
記複数の太陽電池からの利用可能な総電力出力を決定し、前記複数の太陽電池のうち太陽から光を受光する前記所定の数の太陽電池は前記利用可能な総電力出力に基づいて決定される、
ように更に動作する、実行可能な命令を記憶する、請求項8に記載の太陽電源。
【請求項10】
前記非一過性のコンピュータ可読記憶媒体が、前記プロセッサによって実行されると、
電力供給する太陽電池の電力供給しない太陽電池に対する比を示す送信を前記スペースクラフトから受け取り、前記複数の太陽電池のうち太陽から光を受光する前記所定の数の太陽電池は前記比に基づいて決定される、
ように更に動作する、実行可能な命令を記憶する、請求項8又は9に記載の太陽電源。
【請求項11】
前記複数の太陽電池のうち太陽から光を受光する前記所定の数の太陽電池は、ある時刻における前記複数の太陽電池と太陽との間の第1の距離に基づいて決定され、
前記非一過性のコンピュータ可読記憶媒体が、前記プロセッサによって実行されると、
別の時刻における前記複数の太陽電池と太陽との間の第2の距離に基づいて前記複数の太陽電池うち太陽から光を受光する別の数の前記太陽電池を決定し、太陽から光を受光しない前記複数の太陽電池の別の一部と太陽から光を受光する前記複数の太陽電池の別の残りの部分が特定され
前記複数の反射器うちの別の一部を太陽電池励起位置に配置し、前記複数の反射器の別の一部は太陽から光を受光しない前記複数の太陽電池の別の一部に対応しており、前記複数の反射器の別の残りの部分は太陽電池励起位置にあり、前記太陽電池励起位置は前記複数の太陽電池のうち太陽から光を受光する前記別の数の太陽電池に前記電力出力を生成させるものである、
ように更に動作する、実行可能な命令を記憶する、請求項8から10のいずれか一項に記載の太陽電源。
【請求項12】
前記第1の距離が前記第2の距離より大きい場合に、前記複数の太陽電池のうち太陽から光を受光する前記所定の数の前記太陽電池は前記複数の太陽電池のうち太陽から光を受光する前記別の数の前記太陽電池より多くの太陽電池を含み、
前記第2の距離が前記第1の距離より大きい場合に、前記複数の太陽電池のうち太陽から光を受光する前記別の数の前記太陽電池は前記複数の太陽電池のうち太陽から光を受光する前記所定の数の前記太陽電池より多くの太陽電池を含む、請求項11に記載の太陽電源。
【請求項13】
各反射器が、アクチュエータに連結された小型ミラーを有する微小電気機械システム(MEMS)デバイスであり、前記非一過性のコンピュータ可読記憶媒体が、前記プロセッサによって実行されると、
選択された数の前記反射器に含まれる各反射器を調整するうえで、前記アクチュエータに対し、光を対応する前記太陽電池に向かって反射させるように前記小型ミラーを配置する信号を送信する
ように更に動作する、実行可能な命令を記憶する、請求項8から12のいずれか一項に記載の太陽電源。
【請求項14】
前記複数の反射器の位置を変更する前記信号を受け取る間は前記複数の反射器のうちの別の一部が太陽電池励起位置にあり、前記複数の反射器のうちの前記別の一部によって生成される電力が前記電力要求よりも大きいという決定に応じて、前記複数の反射器のうちの前記一部は前記複数の反射器のうちの前記別の一部よりも小さい電力を生成するように構成される、請求項8から13のいずれか一項に記載の太陽電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示されるシステム及び方法は、太陽光発電システム、具体的には、集光式太陽アレイの電力出力を制御するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池又は光起電力電池からの発電は、以前から関心を集めている。太陽電池は、典型的には太陽からの、光エネルギーを電気エネルギーに変換する。太陽電池上の光強度を太陽数と呼び、1太陽濃度は地上で1kW/mの標準照明に相当する。
【0003】
現在利用可能な集光式太陽発電機はフラットパネル技術を採用しており、太陽電力変換の分野において太陽電池と呼ばれる光起電力電池は、反射器群又は集光器群から一定の距離にある二次元アレイ上に配置される。太陽光は、反射器に反射されて太陽電池に向かい、太陽電池は光エネルギーを電気エネルギーに変換する。各太陽電池の電圧は、集光アレイの電圧出力に集められ、負荷に送達される。集光アレイから出力される電力の量は、使用される太陽電池の性能と、集光アレイの面積及び密度により決定される。集光アレイは、規定数の太陽電池及び反射器群を有するユニットに設けられ、平面に沿って配置されて更に大きなパネルを形成し、太陽アレイからの利用可能な電力を更に増加させる。
【0004】
最近開発された太陽アレイは、微小電気機械システム(MEMS)反射器として利用可能な反射器を含む。MEMS反射器は、小型ミラー及び制御コンポーネントを備える。対応する太陽電池に光を方向付けるように構成された一群のMEMS反射器は、モジュールとして実装される。太陽電池及び小型化MEMS反射器、又はマイクロ集光器は、集光アレイ、又はマイクロ集光アレイ(「MCM」)上において、典型的な太陽アレイ内の太陽電池及び反射器より高い密度に構成することができる。
【0005】
太陽電池及び反射器は、様々な用途に使用されている。それらの一つは、スペースクラフト上の電力供給源としての用途である。他の用途には、地上ソーラー電源が含まれる。スペースクラフト上において太陽光集光アレイを使用することに伴う一つの問題は、スペースクラフトが太陽から離れる方向に移動するときに生じる。太陽に接近する方向に目的地を有するミッションの場合、スペースクラフトの太陽光集光アレイは最初から必要な電力出力を生成する。スペースクラフトが太陽に接近すると、光強度が高まることに起因して太陽光集光アレイは過剰な電力を生成する。
【0006】
いずれの場合も、太陽光集光アレイにより生成される過剰な電力は、そのような電力レベルについて評価されていないスペースクラフトのシステムに損傷を与えるか、又は太陽電池そのものに損傷/熱損傷を与えるのに十分である。したがって、太陽光集光アレイの設計において、過剰な電力による損傷を回避する手段が講じられ、スペースクラフトの建造コストを上昇させている。そのような手段のために加えられるコンポーネントは、構造に重量を付加することにもなる。過剰な利用可能電力はまた、例えば太陽電池をガラス基板に固定するために使用される接着剤を溶融することにより、パネルの温度を、パネル自体を損傷させるレベルまで上昇させ得る。
【0007】
当技術分野では、上述の問題及び他のあり得る問題に対処する、スペースクラフトに電力供給するためのシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
上記に鑑み、集光アレイを用いた発電のための方法及びシステムの例が提供される。一実施例では、複数の光起電力電池と、反射器の群に配置された、複数の光起電力電池に対応する複数の反射器とを備える集光アレイの電力出力を制御するための方法が提供される。この方法は、集光アレイ上の選択された数の反射器を、集光アレイから電力出力を生成する光起電力電池励起位置へと配置する信号を受信することを含む。選択される反射器の数は、複数の反射器の集光比である。選択された数の反射器は、集光アレイから電力出力を生成する光起電力電池励起位置に配置される。
【0009】
別の実施例では、太陽電源が提供される。太陽電源には、複数の太陽電池と、各群が太陽電池の一つに対応する複数の群の反射器とを備える集光アレイが含まれる。電力出力部は、各太陽電池に接続されて、光が反射器から太陽電池に反射されるとき、各太陽電池により生成される電力を受け取る。太陽電源は、プロセッサと、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体とを有する制御モジュールを含み、記憶媒体は、プロセッサによって実行されると、
・複数の反射器の集光比である集光アレイ上の選択された数の反射器を、集光アレイから電力出力を生成する太陽電池励起位置に配置する信号を受け取り、
・選択された数の反射器を、集光アレイから電力出力を生成する太陽電池励起位置に配置する
ように動作する、実行可能な命令を記憶する。
【0010】
本発明の他のデバイス、装置、システム、方法、特徴及び利点は、以下の図面及び詳細な説明を精査することにより当業者に明らかである又は明らかになるであろう。そのような付加的なシステム、方法、特徴、及び利点のすべては本明細書の記載に含まれ、本発明の範囲に含まれ、且つ特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
例示的な実施例の特徴と考えられる新規の特性は、特許請求の範囲に明記される。しかしながら、実施例は、添付図面を参照して本開示の実施例についての以下の詳細な説明を読むことにより、最もよく理解されるだろう。
【0012】
図1A】太陽光集光アレイの一実施例の斜視図である。
図1B】スペースクラフトに電力を提供する太陽電源の一実施例の概略図である。
図2A】太陽電池及び太陽電池励起位置にある対応する反射器の一実施例の断面図である。
図2B】太陽電池及び太陽電池非励起位置にある対応する反射器の一実施例の断面図である。
図2C】光が太陽電源に直角でないときの、太陽電池及び太陽電池励起位置にある対応する反射器の一実施例の断面図である。
図2D】選択された反射器が太陽電池励起位置にあり、他の反射器が太陽電池非励起位置にある、太陽電池及び対応する反射器の一実施例の断面図である。
図3】集光アレイからの電力出力を制御するための例示的方法の動作を示すフローチャートである。
図4】太陽から遠ざかるスペースクラフトのために集光比を変化させる方法の一実施例の動作を示すフローチャートである。
図5】太陽に向かうスペースクラフトのために集光比を変化させる方法の一実施例の動作を示すフローチャートである。
図6A】集光比を用いて太陽電池を励起するための方法の一実施例を示す例示的太陽電源のブロック図である。
図6B】集光比を用いて太陽電池を励起するための方法の別の実施例を示す例示的太陽電源のブロック図である。
図7】集光比を変化させる太陽電源からの電力出力と、変化させない太陽電源による電力出力との比較を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1Aは、光から電力を生成するための集光モジュールの一実施例の斜視透視図である。集光モジュール10は集光アレイ12を含み、この集光アレイは、カバーガラス20、複数の光起電力電池22、基板24、及び複数の反射器、又は集光器30を備えている。集光モジュール10は制御モジュール32も含む。
【0014】
図1Aに示すように、光起電力電池22は、カバーガラス20において5×5のアレイに構成され、その結果集光アレイ12内部には合計25の光起電力電池22が含まれる。しかしながら、当業者であれば、集光アレイ12が任意の数の光起電力電池22を含み得ることを理解するであろう。反射器30は、各々が対応する光起電力電池22に関連付けられた反射器群40に配置することができる。反射器群40内部に含まれる各反射器30は、光源(図示しない)によって光起電力電池22上に生じる複数の光ビーム42を集束又は反射させるために、関連付けられた光起電力電池22に対して配置することができる。
【0015】
光源は、例えば、建造物の人工的照明、レーザ、又は太陽といった任意の種類の放射エネルギー源でよい。各反射器30は、光源の位置が変化すると、関連付けられた反射器群40内部に位置する各反射器30がそれに応じて傾斜し、関連付けられた光起電力電池22に対して変化した光源の位置を追跡するように、選択的に傾斜角を変更することができる。光起電力電池に向かって光を方向付けるように配向された反射器は、光起電力電池励起位置にある。光起電力電池励起位置は、変更及び連続的に更新可能である。例えば、光源が太陽である場合、関連付けられた反射器群40の内部に位置する各反射器30は、一日を通して変化する太陽の位置を追跡するように、それに応じて傾斜角を変更することができる。光起電力電池から光を逸らすように配向された反射器は、光起電力電池非励起位置にある。
【0016】
集光モジュール10は、光エネルギーが電気エネルギーに変換される任意の用途で使用され得る。本明細書に記載される実施態様の実施例は、主として太陽電力変換用途における集光モジュールの使用に関する。図1Aは、例えば、スリムラインポケットサイズポータブル発電機のような、比較的小型の用途において使用される単一の集光モジュール10を示している。しかしながら、単一の集光モジュール10は、大規模な太陽発電機において使用される複数の集光モジュールの二次元又はタイル式のアレイ(図示しない)を形成するために、他の集光モジュールに電気接続されるか又は他の集光モジュールと群化される。このような太陽発電機は、例えば、地上ポータブル発電機、無人航空機(UAV)、又は衛星といった用途に使用され得る。
【0017】
カバーガラス20は、光ビーム42が、例えば、ガラス、プラスチック、又は二酸化ケイ素を通過することを可能にする任意の透明材料から構築され得る。基板24は、反射器30を支持又は搭載するために使用され得る。一つの非限定的態様では、基板24は融合シリカから構成される。
【0018】
制御モジュール32は、集光モジュール10の制御及びテレメトリ機能を提供する。制御モジュール32は、プロセッサのような処理リソースと、プログラムされた機能を実施するためのデータ及び命令を記憶する記憶能とを含むことができる。制御モジュール32は、以下に詳述するような、反射器30の位置及び方向を制御するための機能を含む。例示的実装態様では、制御モジュール32は、対応する光起電力電池22に向かって光を方向付ける反射器30又は反射器群40の数を制御することができ、ここで、そのように制御される反射器群40の数は、集光アレイ12上の反射器群40の総数の集光比である。制御モジュール32は、例えば、スペースクラフト上のフライトコンピュータといった他のコンピューティングコンポーネントから信号又は命令を受信するための通信インターフェースも含むことができる。
【0019】
図1B~7を参照して以下に記載される例示的実装態様において、太陽電源、特にスペースクラフトに使用される太陽電源の観点から集光モジュール10の実施例が記載される。本発明が、特定の用途又は使用、或いは装置又は方法の詳細な形態に限定されないことを理解されたい。加えて、以下の集光アレイの記載は、太陽電池としての光起電力電池に言及している。用語「光起電力電池」及び「太陽電池」は互換可能に使用され得る。
【0020】
図1Bは、スペースクラフト110に電力を提供する太陽電源100の一実施例の概略図である。太陽光集光システム100は、ソーラーウィングと呼ばれる平坦な二次元パネルを形成するように構成された複数の集光モジュール104a-iを備える。集光モジュール104a-iの各々は、各集光モジュール104a-i内の太陽光集光アレイ108から電力出力を生成する。各集光モジュール104a-iの電力出力は、集光アレイの電力出力Voutを提供するように接続され、この電力出力はスペースクラフト110に電力を提供するために使用される。
【0021】
スペースクラフト110は、電力コントローラ112、及び通信モジュール116を含む。電力コントローラ112は、集光アレイの電力出力(Voutで)に接続され、太陽電源100からの電力をスペースクラフト110内の様々な負荷に分配するように構成されている。また、電力コントローラ112は、太陽電源100及びスペースクラフト110からデータを収集し、収集したデータを太陽電源100の制御に使用することができる。通信モジュール116は、地上制御システム(図示しない)と通信するための無線及びアンテナへの通信インターフェースを含む。電力コントローラ112は、太陽電源100の制御に関する機能を実行するためのプロセッサ114a及びメモリリソース114bを含むことができる。例えば、メモリリソース114bは、プロセッサ114aによって実行されると本明細書に記載される機能を実施するように動作する、実行可能な命令を記憶するための、非一過性のコンピュータ可読媒体を含む。このような機能には、集光比を決定するステップ、及び集光比に従って、反射器を太陽電池励起位置に位置させるように集光モジュール104a-iに信号送信するステップが含まれる。これらの機能及び他の機能について、以下に更に詳述する。
【0022】
別の例示的実装態様では、電力コントローラ112は、処理及びメモリリソースに関してスペースクラフトのフライトコンピュータ(図示しない)と通信する。このような例示的実装態様では、フライトコンピュータは、電力コントローラ112によって提供されるテレメトリ信号を使用して、太陽電源100の総電力出力を制御するように集光モジュール104に信号送信又はコマンド送信する。フライトコンピュータも、集光モジュール104に対する信号通信及びコマンドを提供することができる。
【0023】
電力制御機能の実施に使用されるプロセッサ114a及びメモリ114bは、本明細書では電力コントローラ112のコンポーネントとして記載される。このような記載は、記載される電力制御機能を実施するための処理リソースを、電力コントローラ112内の処理リソースに限定することを意図するものではない。上記のように、スペースクラフトはフライトコンピュータを含むことができ、これは、本明細書に記載される電力制御機能の一部又は全部を実施するために使用され得る。また、電力コントローラ112は、固有の処理リソース及びソフトウエアコンポーネントを備える独立したハードウエアコンポーネントとして、又はスペースクラフトのフライトコンピュータ内部に動作可能に接続又は統合された機能的コンポーネントとして動作することができる。
【0024】
複数の集光モジュール104a-iは、構造的に統合されて、太陽電源100のソーラーウィング、又はパネルを形成し得る。複数の集光モジュール104a-iは、集光アレイの電力出力Voutに接続された電力出力を有し、これは、太陽電源100内の集光モジュール104a-iのすべての総電力出力である。図1Bの集光モジュール104aに示されるように、各集光モジュール104a-iは、制御モジュール106及び太陽光集光アレイ108を含む。
【0025】
各集光モジュール104a-iは、図1Aを参照して上述したように構成される。集光アレイ108は、図1Bに集光アレイ108内の正方形として示される複数の太陽電池及び反射器群ユニット120を含む。各集光モジュール104a-i内の制御モジュール106はプロセッサ106aを含むことができ、これはASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)として実装され得る。制御モジュール106はメモリ106bも含むことができ、これは、プロセッサによって実行されると集光モジュール104a-iの機能を実施するように動作する、実行可能な命令を記憶する非一過性のコンピュータ可読媒体を含む。このような機能は、例えば、太陽電池励起位置にある選択された数の反射器を集光比に従って制御することを含み得る。制御モジュール106は太陽電池及び反射器群ユニット120への制御インターフェースを含むことができ、これを通して反射器群の反射器の制御が実施される。
【0026】
太陽電源100の電力出力は、有利には、スペースクラフト110に電力供給するために最低限必要なレベルと、集光比により最大限利用可能な電力出力のレベルの間の所望の電力出力レベルを生成するように制御される。集光比は、図4及び5を参照する以下の記載に示すように、利用可能な電力出力とスペースクラフトの電力要件とを決定すること、及び集光アレイの電力出力が、過剰ではないがスペースクラフトの電力要件を満たすために十分であることを保証するように集光比を調整することにより、任意の時点で決定することができる。
【0027】
別の実施例では、集光比は、地上制御部から地上制御通信部を介して受け取られる設定点集光比として制御モジュール106に提供される。地上制御部は、ミッションの間のスペースクラフトの位置を追跡し、太陽電源により生成される電力が不十分又は過剰(太陽に対するスペースクラフトの方向に応じて)となる程度まで、スペースクラフトから太陽までの距離が太陽光強度に影響する時を決定する。地上制御部は、スペースクラフトから太陽までの距離に基づいて設定点集光比を決定し、設定点集光比をスペースクラフトに伝達する。スペースクラフトがミッションの間に太陽に対するその位置を追跡することができるのであれば、スペースクラフトが太陽に対するその位置に基づいて設定点集光比を決定してもよい。次いでスペースクラフトは、集光比を、スペースクラフトにより決定された設定点集光比に設定する。
【0028】
集光比は、太陽電池を励起するために使用される反射器又は集光器の総数の割合という意味に定義することができる。個々の反射器又は集光器を、太陽電池へと光を方向付ける太陽電池励起位置、又は太陽電池から光を逸らす太陽電池非励起位置に配置することができる。太陽電池は、励起されると、受け取った光の光強度に応じて電気エネルギーを生成する。太陽電池励起位置にある反射器の総数の集光比により、反射器の総数より少ない数の反射器により太陽電池のすべてが励起され、その結果電力出力が集光アレイ108の最大電力出力能より小さくなることが有りえる。
【0029】
別の実施例では、集光比は反射器群の集光比であり、含まれるすべての反射器が太陽電池励起位置にある、太陽電源100上の総数より少ない太陽電池又は対応する反射器群の数として定義される。残りの反射器群に含まれるすべての反射器は太陽電池非励起位置にある。別の実施例では、集光比は、太陽電源100上の集光アレイ108の総数より少ない集光アレイ108の数(すべての集光モジュール104a-iが同数の太陽電池を有する集光アレイ108を備えるとみなす)として定義される。
【0030】
また別の実施例では、集光比は面積の観点から定義され得る。太陽電源100は均等に分配された集光モジュール104a-iを備え、各集光モジュールは均等に分配された太陽電池及び反射器群120を有することで、太陽電池が太陽電源100上に均等に分配される。このような均等な分配を前提として、集光比は、太陽電源100を形成するパネルの総面積の一部分として定義することもできる。例えば、太陽光集光アレイ108は、30個の1平方インチの太陽電池を含む30平方インチの面積を有することができる。各太陽電池は、励起されると、総電力容量の1/30を提供する。集光比の1/2は、30平方インチの集光アレイ108の半分を指し、集光アレイ108の面積の半分に含まれる15個の太陽電池が励起され、他の15個の太陽電池は励起されない。
【0031】
太陽電源100の一実施例は、動作に1kWの電力を必要とするスペースクラフトのために、合計100個の太陽電池により最大電力容量25kWを生成する。集光比は電力出力の観点から指定することができ、集光比25:1が太陽電池励起位置に配向されたすべての反射器に対応する。集光比は、スペースクラフトが地球で又は地球の近くで動作するとき、初期集光比が電力容量の1/25となるように設定される。このような初期集光比を前提に、スペースクラフト110は、反射器の総数の1/25を太陽電池励起位置に置いて1kWの電力を生成するように、太陽電源を制御する。
【0032】
集光比は、ミッションの間に、太陽電源100が、必要とされる電力出力を過剰にならないように生成することを保証するように修正される。例えば、最大25kWを生成する太陽電源を用い、動作に1kWの電力を必要とするスペースクラフトは、初期集光比1/25で地球(1AUの距離)から木星(5AUの距離)までのミッションを開始する。スペースクラフトが地球(及び太陽)から遠ざかるにつれ、光強度は低下し、その結果励起された太陽電池からの電力出力が減少する。したがって、スペースクラフトが地球から遠ざかるにつれ、集光比を増加させて電力を生成するために動員する太陽電池の数を増加させる。スペースクラフトが火星に到着するまでに、集光比は、スペースクラフトを動作させるために必要な1kWを生成するために利用可能な太陽電池をすべて励起する25:1となる。
【0033】
地球より太陽に近い目的地を有するスペースクラフトの太陽電源100も、集光比を用いて制御することができる。例えば、地球上で最大容量1kWの太陽光集光アレイにより電力供給されて金星へのミッションにあるスペースクラフトは、地球上ですべての太陽電池を励起してミッションを開始する。次いで、スペースクラフトが金星に接近するにつれて集光比を減少させる。したがって、スペースクラフトが金星に接近するにつれ、スペースクラフトに電力供給するために励起される太陽電池の数は減少する。
【0034】
上記のように、スペースクラフトが太陽に近付く又は太陽から遠ざかるにつれ太陽電源100の利用可能な電力出力が変化するため、集光比はミッションの間に変更される。例示的な一実装態様では、集光比は、プロセッサ114aによって決定され、各集光モジュール104a-iに対し、電力コントローラ112から各集光モジュール104a-iの各制御モジュール106への信号(図1Bの信号)により提供される。プロセッサ114aは、このようにして少なくとも一つの集光アレイに信号送信することができる。各集光モジュール104a-iは、太陽電池励起位置へと配向されるように選択される反射器の数を特定することにより集光比を適用し、ここで選択される反射器の数は、各集光モジュール104a-i内の反射器の総数のうちの反射器の集光比に相当する。
【0035】
集光比は、反射器の総数のうち太陽電池励起位置へと配向する太陽光集光アレイ108内の反射器の数を計算するプロセッサ114aによって決定して使用することもできる。このとき、電力コントローラ112は、太陽電池励起位置に配向する反射器の数を各集光モジュール104a-iの各制御モジュール106に信号送信することができる。
【0036】
図2Aは、図1Bの集光アレイ108に使用され得る太陽電池及び反射器群ユニット200の一実施例の断面図である。図2Aの太陽電池及び反射器群ユニット200は、好ましくはガラス、又は図1Aを参照して上述したような他の適切な透明材料から作製された第1の平面基板202に搭載された太陽電池204を含む。対応する反射器群は、第1の平面基板202に平行で第1の平面基板から離間した第2の平面基板208に搭載された複数の反射器206を含み、よって太陽電池204は反射器群の反射器206に直接対向する。第1及び第2の基板202、208は、光201が第1の平面基板202の位置でパネルに入射するように配向される。光201は、図2Aにおいては第1の平面基板202に対して実質的に直角な入射角に方向付けられているが、図2Cを参照して後述するように、反射器206は、光201の入射角が直角から逸れる方向にシフトするとき、光を太陽電池204に向かうように維持するように調整することができる。光201は、反射器群の反射器206に向かって透明な第1の平面基板201を通過する。反射器206は、光205を、第1の平面基板202上の太陽電池204に戻るように方向付ける。
【0037】
本明細書に記載される例示的実装態様では、太陽電池204は、光を受け取って光強度を示す電気信号を生成する任意の適切な電子コンポーネントでよい。対応する反射器206は、光を反射させて太陽電池204に戻すように構成されたミラーを備える。例示的実装態様では、反射器206は、小型ミラー及び集光アレイ上の太陽電池及び反射器群ユニット200の密度を上昇させる制御コンポーネントを取り込んだ微小電気機械システム(MEMS)のコンポーネントとして実装される。各反射器206は、一又は複数の次元でミラーを回転させることにより反射器206を配向するように構成されたアクチュエータ210により制御することができる。アクチュエータ210は、反射器を太陽電池204に近づける又は太陽電池から遠ざけることにより併進配向を提供することもできる。アクチュエータ210は、制御モジュール106から、制御モジュール106によるコマンドに従って反射器206を移動させる信号を受信することができる。
【0038】
各反射器の配向を制御することにより、制御モジュール106は、反射器に対応する太陽電池に方向付けられる光強度を制御することができる。例えば、制御モジュール106は、反射器群の各反射器206に対し、図2Aに示されるように光205を太陽電池204へと方向付ける信号を送信することができる。図2Aに示される各反射器206のこのような位置は、太陽電池励起位置と呼ばれ、これは、反射器206が光を太陽電池204へと方向付けることを可能にする反射器206の位置又は配向である。
【0039】
図2Bは、太陽電池、及び太陽電池非励起位置に配向された反射器206を含む反射器群ユニット200の断面図である。制御モジュール106は、アクチュエータ210に対し、光203が太陽電池204から逸れるように反射器206を配向する信号を送信することができる。反射器206が、光203を、光203が太陽電池204を励起しないように方向付けるとき、太陽電池204は電気信号を生成せず、集光モジュール104a(図1B)の電力出力に寄与しない。図2Bに示される反射器206は、光201の入射角に沿って光を戻すように配向されている。しかしながら、太陽電池非励起位置は、反射器206が光を太陽電池204に向かわないいずれかの方向に方向付けることを可能にする、反射器206のどのような位置又は配向でもよい。
【0040】
上述のように、集光比は、すべての反射器が太陽電池励起位置にある反射器群の総数より少ない反射器群の数と定義することができる。図2A及び2Bは、このように定義された集光比が、集光アレイ108の電力出力を制御するためにどのように使用されるかを示している。図2Aに示すように、各太陽電池及び反射器群ユニット120内の反射器206のすべてが太陽電池励起位置に配向されている場合、各太陽電池204は、入射光強度に対応して実質的に最大の電気出力を生成している。図2Bに示すように、各太陽電池及び反射器群120内の反射器206のすべてが太陽電池非励起位置に配向されている場合、対応する各太陽電池204から出力される電力は実質的にゼロである。集光比を増加させることにより、すべての反射器が太陽電池励起位置にある反射器群の数が増加する結果、電力出力が高まる。集光比を減少させることにより、すべての反射器が非太陽電池励起位置にある反射器群の数が増加する結果、電力出力が低下する。
【0041】
太陽電池励起位置は、スペースクラフト110の動作の間に変動し得る。上述のように、太陽電源100のカバーパネル上における光の入射角は、実質的に90°から変動し得る。スペースクラフト110は、スペースクラフト110が宇宙を移動するときに入射角を実質的に90°に維持するために太陽電源100の配向及び位置を制御するハードウエア及びソフトウエアコンポーネントを含み得る。スペースクラフト110が、太陽電源100上に90°の光入射角を維持することは常に可能でない。実質的に90°の光入射角が維持できない場合、太陽電池204を励起する反射器群の反射器206は、励起される太陽電池204上に最大強度を維持するように調整され得る。実際には、反射器206の太陽電池励起位置は、太陽電源100の配向の変化に応じて修正される。
【0042】
図2Cは、光201が太陽電源100(図1B)に直角でないときの、太陽電池204及び太陽電池励起位置にある対応する反射器206の断面図である。図2Cに示される実施例における光201の入射角は、図2A及び2Bの実施例に示される光201の入射角とは異なり、実質的に90°ではない。入射角が直角から逸れるにつれ、制御モジュール106(図1B)は、光205を太陽電池204へと方向付け続けるように反射器206を配置する信号をアクチュエータ210に送信することにより、反射器206を制御する。したがって、反射器206の太陽電池励起位置は、反射器及び光201の入射角に応じて変動する。
【0043】
上述のように、集光比は、集光アレイ内又は太陽電源内の反射器の総数と定義してもよい。これにより、集光比は、反射器群内の反射器の数に適用される。図2Dは、選択された反射器206が太陽電池励起位置にあり、他の反射器212が太陽電池非励起位置にある、太陽電池204及び対応する反射器の一実施例の断面図である。太陽電池励起位置へと配向される選択された数の反射器206が反射器群の反射器のすべてより少ないとき、太陽電池204は最大量未満の電力を生成する。図2Dに示すように、反射器群内のいくつかの反射器206は太陽電池励起位置に、同じ反射器群内の他の反射器212は太陽電池非励起位置に配置される。集光アレイ内で太陽電池励起位置に配置される選択された反射器206の総数は、集光アレイにおける反射器の総数の集光比に相当する。
【0044】
有利には、集光アレイ108の電力出力を制御するために集光比を使用することにより、スペースクラフトの電力要件が過剰な電力レベルを生じさせずに満たされることが保証される。地球から木星へと移動する、1kWの電力を必要とするスペースクラフトは、初期集光比を、1kWの電力を生成するために十分な最大集光比未満に設定し、木星の近くで同じ1kWの電力を生成するために、最大集光比に達するまで集光比を増加させて。同様に、地球から金星へと移動する、1kWの電力を必要とするスペースクラフトは、初期集光比を、1kWの電力を生成するために十分な最大集光比に設定し、金星で同じ1kWの電力を生成するために必要な最小集光比に達するまで集光比を減少させる。
【0045】
図3~5は、集光比を用いて集光アレイの電力出力を制御するための方法を示すフローチャートである。図3~5に示される方法では、集光比が利用可能な電力出力とスペースクラフトの電力要件とに基づくことが前提であることに注意されたい。上述のように、集光比は、限定しないが、太陽までの距離といった他の方法を使用して決定することもできる。図3~5の方法の以下の記載では、特に別途断らない限り、図1Bに示されるコンポーネントに言及する。図3~5の方法は、制御モジュール106又はスペースクラフト110上の別のコンピューティングデバイスに、メモリに記憶されてプロセッサにより実行されるコンピュータ実施命令を含むソフトウエアコンポーネントとして実装され得る。
【0046】
図3は、集光アレイ108からの電力出力を制御するための第1の例示的方法300の動作を示すフローチャートである。図1Bに示される非限定的実施例の実装態様では、電力コントローラ112が、集光比を決定し、集光比に関する情報(又は集光比そのもの)を制御モジュール106に伝達する。ステップ302において、制御モジュール106は、選択された数の反射器を太陽電池励起位置に配置する信号又はコマンドを受け取る。ここで、選択された反射器の数は、集光アレイ108上における反射器の集光比である。
【0047】
ステップ304では、制御モジュール106は、集光アレイ108上の選択された数の反射器を、集光アレイ108から電力出力を生成する太陽電池励起位置に配置する。制御モジュール106は、選択された数の反射器に対応するアクチュエータに信号送信することにより、反射器を配置する。
【0048】
上述のように、集光比は、有利には、太陽から遠ざかるスペースクラフトについて、及び太陽に向かうスペースクラフトについて、調整することができる。図4は、太陽から遠ざかるスペースクラフトのために集光比を変化させる方法400の一実施例の動作を示すフローチャートである。図4の方法400は、各集光モジュール104a-iの制御モジュール106に信号送信する集光比を決定するために、電力コントローラ112によって実施される。別の実施例では、太陽電源100は、電力コントローラ112について本明細書に記載される動作を実施する制御モジュール106を有する単一の集光モジュール104a-iを用いて実現される。
【0049】
ステップ402では、最大集光比より小さい初期集光比が決定される。電力要件が1kWであり、総最大電力出力容量が25kWであるスペースクラフトが木星に向かう上記実施例では、実質的に地球上にいる間に必要な1kWを生成するために、初期集光比は1/25に設定される。1/25に対応する数の反射器群が選択されて、太陽電池励起位置に配向される。ステップ404では、電力コントローラ112は、スペースクラフトの電力要件を決定するためにバス電力負荷を評価する。ステップ406では、集光アレイ108、又はアレイ群からの利用可能な電力出力が測定される。上述のように、利用可能な電力出力は、光強度の低下に起因して、スペースクラフトが太陽から遠ざかるにつれて低下する。
【0050】
判定ブロック408において、利用可能な電力出力がスペースクラフトの電力要件と比較される。利用可能な電力出力がスペースクラフトの電力要件より大きい場合(YES)、集光比は変更されない。利用可能な電力出力がスペースクラフトの電力要件より小さい場合(NO)、集光比はステップ410で増加させることができる。利用可能な電力がスペースクラフトの電力要件+閾値に維持されるべきである場合、閾値を適用してもよいことに注意されたい。
【0051】
方法400における制御は、両判定ブロック408及びステップ410から、スペースクラフトの電力要件を連続的に監視するステップ404へ、次いで利用可能な電力出力を連続的に監視するステップ406へと進行する。
【0052】
図5は、太陽に向かうスペースクラフトのために集光比を変化させる方法500の一実施例の動作を示すフローチャートである。図5の方法500は、各集光モジュール104a-iの制御モジュール106に信号送信する集光比を決定するために、電力コントローラ112によって実施される。別の実施例では、太陽電源100は、電力コントローラ112について本明細書に記載される動作を実施する制御モジュール106を有する単一の集光モジュール104a-iを用いて実現される。
【0053】
ステップ502では、初期位置において最小集光比より大きい初期集光比が決定される。電力要件が1kWであり、総最大電力出力容量が1kWであるスペースクラフトが金星に向かう上記実施例では、実質的に初期位置(地球)上にいる間に必要な1kWを生成するために、初期集光比は10/1に設定される。10:1に対応する数の反射器群、又は反射器群のすべてが選択されて、太陽電池励起位置に配向される。ステップ504では、電力コントローラ112は、集光アレイ108に要求される電力を決定するためにバス電力負荷を評価する。ステップ506では、集光アレイ108、又はアレイ群からの利用可能な電力が測定される。上述のように、電力出力は、スペースクラフト110が太陽に接近するにつれて上昇する光強度に起因して、スペースクラフトが太陽に向かって移動するにつれて増加する。
【0054】
判定ブロック508において、利用可能な電力出力はスペースクラフトの電力要件と比較される。利用可能な電力出力がスペースクラフトの電力要件+閾値より小さい場合(NO)、集光比は変更されない。利用可能な電力がスペースクラフトの電力要件+閾値を上回る場合(YES)、集光比はステップ510で減少させることができる。閾値は、過剰とみなされる電力レベルを示す適切な値とすることができる。
【0055】
方法500における制御は、両判定ブロック508及びステップ510から、スペースクラフトの電力要件を連続的に監視するステップ504へ、次いで利用可能な電力出力を連続的に監視するステップ506へと進行する。
【0056】
上述のように、集光比は、選択された数の反射器に対して個々に、又は反射器群内に適用することができる。図6Aは、太陽電源602によって電力供給されるスペースクラフト610を含む例示的な太陽駆動宇宙システム600のブロック図であり、集光比に従う反射器群の励起を示している。太陽電源602は、複数のマイクロ集光モジュール(「MCM」)604a-iを備え、各MCM604a-iは制御モジュール606とマイクロ集光アレイ608を含んでいる。図6Aのマイクロ集光アレイ608は、太陽電池と対応するMEMS反射器群とを含む。MCM604a-iは、図1A及び1Bを参照して上述した集光モジュール10及び104a-iの例である。マイクロ集光アレイ608は、図1A及び1Bを参照して上述した集光アレイ12及び108の例である。
【0057】
図6Aのマイクロ集光アレイ604aの制御モジュール606は、図3を参照して上述した方法300を実施することができる。集光比に従う数の反射器が、反射器群において選択される。このように、選択された反射器の数は、太陽電池の数である反射器群の総数の集光比である。選択された数の反射器群の各々に含まれる反射器のすべては、図2Aに示される太陽電池励起位置に配向される。図6Aは、第1組の反射器群620に対応する太陽電池を励起するように選択されていない反射器群として、第1組の反射器群620を示している。図6Aにおいてグレイの四角で示されている第2組の反射器群622は、第2組の反射器群622の各々に対応する太陽電池を励起するように選択された集光比1/2に対応する選択された数の反射器群である。図6Aの実施例は、各太陽電池の最大電力を出力するように励起する太陽電池の集光比の選択を示している。マイクロ集光アレイ604aの総電力出力は、マイクロ集光アレイ604aの総電力出力容量の集光比である。
【0058】
図6Bは、太陽アレイ652を用いてスペースクラフト610に電力供給するための例示的宇宙システムのブロック図である。太陽アレイ652は、複数のマイクロ集光モジュール660及び662を含み、各マイクロ集光モジュール660及び662は、図6AのMCM604a-iとして構成されている。図6Bに示される実施例では、スペースクラフト610は、集光比を決定し、集光比に対応するMCM658の数を選択し、次いで選択されたMCM658上の反射器群のすべてを励起して太陽電池励起位置に配向する。図6Bは太陽アレイ652を示し、図中グレイの四角として示す第1組のMCM660は、MCM658の最大電力出力容量を生成するために選択されたMCM660を表している。第1組のMCM660では、各MCM660の各マイクロ集光アレイ608(図6A)内の各太陽電池に対応する各反射器群が、太陽電池励起位置、例えば図2Aの反射器206の配向に配向されている。白い四角で示される第2組のMCM662は、発電するように選択されていないMCM662を表している。第2組のMCM660では、各MCM662の各マイクロ集光アレイ608(図6A)内の各太陽電池に対応する各反射器群が、太陽電池非励起位置、例えば図2Bの反射器206の配向に配向されている。
【0059】
図7は、ミッションの間に集光比が変更される太陽光集光アレイ104a-iを有する図1Bの太陽電源100の例示的一実装態様の電力出力と、集光比の変更を実施しない太陽光集光アレイを有する一般的な太陽電池の電力出力との比較を示すグラフ700である。図7のグラフ700は二つの垂直軸を有している。右側の垂直軸(「アレイ電力」)は、値1がスペースクラフトの電力要件を表し、値20がスペースクラフトの電力要件の20倍を表すように正規化された電力出力を表す。左側の垂直軸(「集光」)は、図1Bの太陽電源100の例示的実装態様により使用され得る集光比の値を表す。
【0060】
グラフ700は、一般的な太陽電源の電力出力を表す第1の曲線702を示す。第1の曲線702は、右側の垂直軸(「アレイ電力」)を用いて、太陽までの距離が増すにつれて下降する電力出力を示している。第1の曲線702によって示される電力出力は、ペースクラフトの電力要件の約25倍である(地球での)1AUにおける電力出力から、太陽からの木星の距離5AUにおける電力出力約1まで下降する。電力出力の低下は、スペースクラフトが太陽から遠ざかるにつれて光強度が低下することに起因する。
【0061】
図7は、集光モジュール104a-iの集光比を変化させる図1Bの太陽電源100の例示的実装態様の電力出力を表す第2の曲線704を示している。第2の曲線704も、右側の垂直軸(「アレイ電力」)を用いて、スペースクラフトが太陽から遠ざかっても、ミッションの過程を通して実質的に一定である電力出力を示している。
【0062】
図7は、第3の曲線706において、太陽電源100の例示的実装態様の集光比と電力出力の関係を示している。第3の曲線706は、左側の垂直軸(「集光」)を用いて、スペースクラフトが太陽から遠ざかるにつれて、電力出力を第2の曲線704に示されるように一定に維持するために、集光比が増加することを示している。上述のように、ミッション開始時に小さい集光比は、各MCM内部の反射器の一部は太陽電池励起位置に、残りの反射器を太陽電池非励起位置に配向する。第3の曲線706により示されるように、スペースクラフトが太陽から遠ざかるにつれて集光比は増加する。集光比の増加により、約5A.Uにおいて反射器のすべてが太陽電池励起位置に位置するまで、ミッションの間に太陽電池励起位置に配向される反射器の数が次第に増す。電力出力は、ミッションの過程を通して実質的に一定である。
【0063】
電気エネルギーを生成するために光起電力電池に光を集束させる集光器を用いて集光アレイの電力出力を制御するためのシステム及び方法の例示的実装態様。反射器群の個々の反射器が、電力分配の管理に関係のない機能のために太陽電池非励起位置に配向されてもよいことに注意されたい。例えば、スペースクラフトは、スペースクラフトに損傷を生じさせるのに十分な光エネルギーに突発的に曝されることがある。このような曝露は、スペースクラフトの破壊を目的とするエンティティによるレーザ攻撃、又は自然発生源若しくは他の非自然発生源からの高強度の発光に起因して起こりうる。
【0064】
突発的な破壊的光エネルギーは、スペースクラフトにより検出され得る。例えば、ミッションの間に、電力コントローラ112は利用可能な電力出力を連続的に監視する。利用可能な電力出力の監視中、電力コントローラ112は、集光アレイ108上への太陽光の入射により生じたとは思われないスパイク又は突然の電力サージを感知することがある。電力コントローラ112は、スパイク又は突然の電力サージから、スペースクラフトが損傷を生じるのに十分な突発的光エネルギーによる攻撃を受けていると決定することができる。これに応答して、集光アレイ108は、スペースクラフトから逸れるようにレーザ光を方向付けるために、選択された数の反射器群を太陽電池非励起位置に配向するように制御することができる。選択数は、スペースクラフトへの電力が遮断される、反射器群のすべてとしてもよく、又はレーザのエネルギーをスペースクラフトから逸らすために十分な数としてもよい。このような応答は、制御プログラミングに自律的にプログラムすることができるか、又は既知の脅威に先立ち地上から命令することができる。
【0065】
複数の光起電力電池と、複数の光起電力電池に対応する反射器の群に配置された複数の反射器とを備える集光アレイの電力出力を制御するための例示的方法が上記に記載され、この方法は、
集光アレイ上の、複数の反射器の集光比である選択された数の反射器を、集光アレイから電力出力を生成する光起電力電池励起位置に配置する信号を受け取ること、及び
選択された数の反射器を、集光アレイから電力出力を生成する光起電力電池励起位置に配置すること
を含む。
【0066】
この例示的方法の一態様では、各反射器は、アクチュエータに連結された小型ミラーを有する微小電気機械システム(MEMS)デバイスであり、選択された数の反射器の各反射器を調整するステップは、アクチュエータに対し、小型ミラーが対応する光起電力電池に向かって光を反射するように小型ミラーを配置するように信号伝達する。
【0067】
この例示的方法の更なる態様では、反射器群内で、選択された数の反射器が選択され、選択された数の反射器を含む反射器群の数は反射器群の集光比に対応し、したがって、選択された数の反射器を配置するステップは、選択された数の反射器を、集光比に対応する数の光起電力電池を励起する反射器群として配置することを含む。
【0068】
太陽電源の一実施例が上記に記載され、この太陽電源は、
複数の太陽電池と、各群が太陽電池の一つに対応する複数の群の反射器とを備える集光アレイ、
各太陽電池に接続されて、光が反射器から太陽電池に反射されるとき、各太陽電池により生成される電力を受け取る電力出力部、
プロセッサと、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体とを有する制御モジュールであって、記憶媒体は、プロセッサによって実行されると、
集光アレイ上の、複数の反射器の集光比である選択された数の反射器を、集光アレイから電力出力を生成する太陽電池励起位置に配置する信号を受け取り;
選択された数の反射器を、集光アレイから電力出力を生成する太陽電池励起位置に配置する
ように動作する、実行可能な命令を記憶する、制御モジュール
を備える。
【0069】
この例示的太陽電源の態様では、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行されると、集光比に対応する数の太陽電池を励起する反射器群として、選択された数の反射器を配置するように更に動作する、実行可能な命令を記憶する。
【0070】
スペースクラフトの実施例が上記に記載される。スペースクラフトは、
複数の太陽電池と、各反射器群が太陽電池の一つに対応する複数の反射器群とを含み、複数の太陽電池が、集光アレイの電力出力を生成するように構成されている少なくとも一つの集光アレイ、
少なくとも一つの集光アレイの各々に接続されて、光が反射器から太陽電池に反射されるとき、太陽電池により生成される集光アレイの電力出力を受け取る電力出力部、並びに
電力出力を受け取り、少なくとも一つの集光アレイからの集光アレイの電力出力をスペースクラフトに分配するように接続された電力コントローラであって、プロセッサ及び非一過性のコンピュータ可読記憶媒体を含み、記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、
少なくとも一つの集光アレイの集光比を決定し、
少なくとも一つの集光アレイに対し、集光比に基づく選択された数の反射器を、対応する少なくとも一つの集光アレイから電力出力を生成する太陽電池励起位置に配置する信号を送信する
ように動作する、実行可能な命令を記憶する、電力コントローラ
を備える。
【0071】
一態様では、スペースクラフトは、地上制御部と通信するための通信モジュールを更に備える。
【0072】
スペースクラフトの別の態様では、電力コントローラにおいて、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行されると、
地上制御部から通信モジュールを介して設定点集光比を受信し、
集光比の決定において、地上制御部から受信した設定点集光比に集光比を設定する
ように更に動作する、実行可能な命令を記憶する。
【0073】
スペースクラフトの別の態様では、電力コントローラにおいて、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行されると、
太陽に対するスペースクラフトの位置を受信し、
スペースクラフトが太陽から遠ざかるにつれて、集光比を決定するステップにおいて集光比を増加させる
ように更に動作する、実行可能な命令を記憶する。
【0074】
スペースクラフトの別の態様では、電力コントローラにおいて、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行されると、
太陽に対するスペースクラフトの位置を受信し、
スペースクラフトが太陽に近付くにつれて、集光比を決定するステップにおいて集光比を減少させる
ように更に動作する、実行可能な命令を記憶する。
【0075】
スペースクラフトの別の態様では、電力コントローラにおいて、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行されると、
利用可能な電力出力を測定し、
スペースクラフトの電力要件を測定し、
利用可能な電力出力とスペースクラフトの電力要件との差異を決定し、
集光比を決定するステップにおいて、集光比を、利用可能な電力出力とスペースクラフトの電力要件との差異に基づかせる
ように更に動作する、実行可能な命令を記憶する。
【0076】
別の態様では、スペースクラフトは、
複数の集光アレイ
を更に備え、
電力コントローラにおいて、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって実行されると、
少なくとも一つの集光アレイに対する信号送信において、
複数の集光アレイのうちの第1の選択された複数に対し、第1の選択された複数の集光アレイの各々の反射器のすべてを、太陽電池励起位置に配置する信号を送信し、
複数の集光アレイのうちの第2の選択された複数に対し、第2の選択された複数の集光アレイの各々の反射器のすべてを、太陽電池非励起位置に配置する信号を送信する
ように更に動作する、実行可能な命令を記憶し、
ここで第1の選択された複数の集光アレイに含まれる集光アレイの数は、集光比に対応する。
【0077】
少なくとも一つの集光モジュールによりスペースクラフトのための発電を行うための例示的方法が記載される。各集光モジュールは、複数の太陽電池と、複数の太陽電池に対応する、反射器群に配置される複数の反射器とを有する集光アレイを備える。方法は、
少なくとも一つの集光アレイの集光比を決定すること、
少なくとも一つの集光アレイに対し、集光比に基づく選択された数の反射器を、対応する少なくとも一つの集光アレイから電力出力を生成する太陽電池励起位置に配置する信号を送信すること
を含む。
【0078】
この方法の一態様では、太陽光発電システムは複数の集光アレイを備え、集光アレイに信号送信するステップは、
複数の集光アレイのうちの第1の選択された複数に対し、第1の選択された複数の集光アレイの各々の反射器のすべてを太陽電池励起位置に配置する信号を送信すること、及び
複数の集光アレイのうちの第2の選択された複数に対し、第2の選択された複数の集光アレイの各々の反射器のすべてを太陽電池非励起位置に配置する信号を送信すること
を含み、
ここで第1の選択された複数の集光アレイに含まれる集光アレイの数は、集光比に対応する。
【0079】
さらに、本開示は下記の条項に係る実施例を含む。
条項1. 複数の光起電力電池と、複数の光起電力電池に対応する反射器群に配置された複数の反射器とを備える集光アレイの電力出力を制御するための方法であって、集光アレイ上の、複数の反射器の集光比である選択された数の反射器を、集光アレイから電力出力を生成する光起電力電池励起位置に配置する信号を受信すること、及び選択された数の反射器を、集光アレイから電力出力を生成する光起電力電池励起位置に配置することを含む方法。
条項2. 集光比が、スペースクラフトの電力要件を決定すること、利用可能な電力出力を測定すること、及び利用可能な電力とスペースクラフトの電力要件との差異に基づいて集光比を変化させることにより決定される、条項1の方法。
条項3. 集光比が、地上制御通信部から設定点集光比を受信することにより決定される、条項1又は2の方法。
条項4. 集光アレイによって電力供給されるスペースクラフトの初期位置において、最大集光比より小さい初期集光比を決定することを更に含み、ここで、スペースクラフトが太陽から遠ざかるとき、集光比を変化させるステップが集光比を増加させることを含む、条項1から3のいずれか一つの方法。
条項5. 集光アレイによって電力供給されるスペースクラフトの初期位置において、最小集光比より大きい初期集光比を決定することを更に含み、ここで、スペースクラフトが太陽に近付くとき、集光比を変化させるステップが集光比を減少させることを含む、条項1から4のいずれか一つの方法。
条項6. 選択された数の反射器を配置するステップが、選択された数の反射器に含まれる各反射器を、太陽光を反射させてその光を対応する光起電力電池に方向付けるように調整することを含む、条項1から5のいずれか一つの方法。
条項7. 選択された数の反射器に含まれない複数の反射器を、太陽光を、集光アレイ内のいずれの光起電力電池からも逸れる方向に反射させるように配置することを更に含む、条項1から6のいずれか一つの方法。
条項8. 複数の太陽電池と、各群が太陽電池の一つに対応する複数群の反射器とを含む集光アレイ、各太陽電池に接続されて、光が反射器から太陽電池上に反射されるとき各太陽電池によって生成される電力を受け取る電力出力部、及びプロセッサと非一過性のコンピュータ可読記憶媒体とを含む制御モジュールであって、記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、集光アレイ上の、複数の反射器の集光比である選択された数の反射器を、集光アレイから電力出力を生成する太陽電池励起位置に配置する信号を受信し、
選択された数の反射器を、集光アレイから電力出力を生成する太陽電池励起位置に配置するように動作する、実行可能な命令を記憶する、制御モジュールを備える。
条項9. 非一過性のコンピュータ可読記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、スペースクラフトの電力要件を決定し;利用可能な電力出力を測定し、利用可能な電力出力とスペースクラフトの電力要件との差異に基づいて集光比を変化させるように更に動作する、実行可能な命令を記憶する、条項8の太陽電源。
条項10. 非一過性のコンピュータ可読記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、地上制御通信部から設定点集光比を受信するように更に動作する、実行可能な命令を記憶する、条項8又は9の太陽電源。
条項11. 非一過性のコンピュータ可読記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、集光アレイによって電力供給されるスペースクラフトの初期位置において、最大集光比より小さい初期集光比を決定するように更に動作する、実行可能な命令を記憶し、スペースクラフトが太陽から遠ざかるとき、集光比を変化させることが集光比を増加させることを含む、条項8から10のいずれか一つの太陽電源。
条項12. 非一過性のコンピュータ可読記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、集光アレイによって電力供給されるスペースクラフトの初期位置において、最小集光比より大きい初期集光比を決定するように更に動作する、実行可能な命令を記憶し、スペースクラフトが太陽に近付くとき、集光比を変化させることが集光比を増加させることを含む、条項8から11のいずれか一つの太陽電源。
条項13. 非一過性のコンピュータ可読記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、選択された数の反射器を配置するうえで、選択された数の反射器に含まれる各反射器を、太陽光を反射させてその光を対応する太陽電池に方向付けるように調整するように更に動作する、実行可能な命令を記憶する、条項8から12のいずれか一つの太陽電源。
条項14. 各反射器が、アクチュエータに連結された小型ミラーを有する微小電気機械システム(MEMS)デバイスであり、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、選択された数の反射器に含まれる各反射器を調整するうえで、アクチュエータに対し、対応する太陽電池に向かって光を反射させるように小型ミラーを配置する信号を送信するように更に動作する、実行可能な命令を記憶する、条項8から13のいずれか一つの太陽電源。
条項15. 非一過性のコンピュータ可読記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、選択された数の反射器に含まれない複数の反射器を、太陽アレイのいずれの太陽電池からも逸れる方向に太陽光を反射させるように配置するように更に動作する、実行可能な命令を記憶する、条項8から14のいずれか一つの太陽電源。
条項16. 少なくとも一つの集光モジュールによりスペースクラフトのための発電を行う方法であって、各集光モジュールが、複数の太陽電池と、複数の太陽電池に対応する反射器群に配置された複数の反射器とを含む集光アレイを備え、方法が、少なくとも一つの集光アレイの集光比を決定すること、少なくとも一つの集光アレイに対し、集光比に基づく選択された数の反射器を、対応する少なくとも一つの集光アレイから電力出力を生成する太陽電池励起位置に配置する信号を送信することを含む方法。
条項17. 地上制御部から設定点集光比を受信することを更に含み、集光比を決定するステップが集光比を設定点集光比に設定することを含む、条項16の方法。
条項18.利用可能な電力出力を測定すること、スペースクラフトの電力要件を測定すること、利用可能な電力出力とスペースクラフトの電力要件との差異を決定することを更に含み、集光比を決定するステップが、集光比を、利用可能な電力出力とスペースクラフトの電力要件との差異に基づかせることを含む、条項16又は17の方法。
条項19. スペースクラフトの電力要件を示す信号を受信するステップが、太陽に対するスペースクラフトの位置を受信することを含み、スペースクラフトが太陽に近付くとき、集光比を決定するステップは集光比を減少させることを含む、条項16から18のいずれか一つの方法。
条項20. スペースクラフトの電力要件を示す信号を受信するステップが、太陽に対するスペースクラフトの位置を受信することを含み、スペースクラフトが太陽から遠ざかるとき、集光比を決定するステップは集光比を増加させることを含む、条項16から19のいずれか一つの方法。
【0080】
図示された異なる実施例におけるフロー図及びブロック図は、一実施例の装置及び方法の幾つかの可能な実行態様の構造、機能、及び動作を示している。これに関し、フロー図又はブロック図の各ブロックは、一つのモジュール、セグメント、機能、操作又はステップの一部、これらの何らかの組み合わせを表わすことができる。
【0081】
実施例のいくつかの代替的な実装態様においては、ブロックに記される一又は複数の機能は、図中に記載の順序を逸脱して起こり得る。例えば、場合によっては、連続して示されている二つのブロックが実質的に同時に実行されること、又は含まれる機能によってはブロックが時に逆順に実施されることもあり得る。また、フロー図又はブロック図に示されるブロックに加えて他のブロックが追加されてもよい。
【0082】
種々の実施例の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的な説明であること、又は開示された形態の実施例に限定することを意図しない。当業者には、多くの修正例及び変形例が明らかであろう。更に、異なる実施例は、他の望ましい実施例とは異なる特徴を提供することができる。選択された一又は複数の実施例は、実施例の原理、実際の用途を最もよく説明するため、及び他の当業者に対し、様々な実施例の開示内容と、考慮される特定の用途に適した様々な修正例との理解を促すために選択及び記述されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7