(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】カテーテル位置追跡システムのマップシフトの補正
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20240110BHJP
【FI】
A61B34/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019090484
(22)【出願日】2019-05-13
【審査請求日】2022-04-06
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シャウル・ハイム・ラズ
(72)【発明者】
【氏名】アビグドール・ローゼンバーグ
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/137558(WO,A2)
【文献】国際公開第2012/168855(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/112136(WO,A1)
【文献】特開2010-082446(JP,A)
【文献】特開2017-047215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00 - 34/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
プロセッサであって、
(i)患者の胸部の外部に取り付けられた1つ又は2つ以上の胸部位置センサの測定位置、及び(ii)前記患者の背部の外部に取り付けられた1つ又は2つ以上の背部位置センサの測定位置を表す電気信号を受信し、
(i)前記1つ又は2つ以上の胸部位置センサ
ごとの、前記測定位置とそれぞれの事前定義位置との間の
ベクトルである第1のシフトと、(ii)前記1つ又は2つ以上の背部位置センサ
ごとの、前記測定位置とそれぞれの事前定義位置との間の
ベクトルである第2のシフトと
、を対応する前記胸部位置センサと前記背部位置センサについて比較し、かつ
前記第1のシフトと前記第2のシフトとの間の不一致の検出に応答して、警報を生成するように構成されている、プロセッサと、
ユーザに前記警報を出力するように構成された出力装置と、を備える、システム。
【請求項2】
前記プロセッサが、前記事前定義位置を受信した後に、前記測定位置の各々を受信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記測定位置と前記それぞれの事前定義位置との間の距離
ベクトルを推定し、推定
された距離
ベクトルに基づいて、前記不一致を検出するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記距離
ベクトルの距離値のうちの少なくとも1つが事前定義閾値を超えていることを検出することによって、前記不一致を検出するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記出力装置は、前記距離
ベクトルの距離値の少なくとも1つの値を表示するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記警報に基づいて、前記不一致を低減させるための
指示を生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサが、(i)前記事前定義位置に基づいて、事前定義した幾何学的重心(COG)を計算し、(ii)前記測定位置に基づいて、測定した幾何学的COGを計算し、(iii)所与の一組の前記測定した幾何学的COGと、それぞれの事前定義した幾何学的COGとを比較し、かつ(iv)前記測定した幾何学的COGと前記事前定義した幾何学的COGとの間の不一致の検出に応答して、前記警報を生成するように構成されて
おり、
前記幾何学的COGが前記胸部位置センサのみから、及び前記背部位置センサのみから計算される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
プロセッサを備えるシステムの作動方法であって、
前記プロセッサが(i)患者の胸部の外部に取り付けられた1つ又は2つ以上の胸部位置センサ
ごとの測定位置、及び(ii)前記患者の背部の外部に取り付けられた1つ又は2つ以上の背部位置センサ
ごとの測定位置を表す電気信号を受信することと、
前記プロセッサが(i)前記1つ又は2つ以上の胸部位置センサの、前記測定位置とそれぞれの事前定義位置との間の
ベクトルである第1のシフトと、(ii)前記1つ又は2つ以上の背部位置センサの、前記測定位置とそれぞれの事前定義位置との間の
ベクトルである第2のシフトと
、を対応する前記胸部位置センサと前記背部位置センサについて比較することと、
前記プロセッサが前記第1のシフトと前記第2のシフトとの間の不一致の検出に応答して、警報を生成することと、
前記プロセッサがユーザに前記警報を出力することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記電気信号を受信することが、前記事前定義位置を受信した後に、前記測定位置の各々を受信することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記測定位置とそれぞれの事前定義位置とを比較することが、前記測定位置と前記それぞれの事前定義位置との間の距離
ベクトルを推定することを含み、前記警報を生成することが、推定
された距離
ベクトルに基づいて、前記不一致を検出することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記不一致を検出することは、前記距離
ベクトルの距離値のうちの少なくとも1つが事前定義閾値を超えていることを検出することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記警報を出力することが、前記距離
ベクトルの距離値の少なくとも1つの値を表示することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記警報に基づいて、前記不一致を低減させるための
指示を生成することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記測定位置と前記それぞれの事前定義位置とを比較することが、(i)前記事前定義位置に基づいて、事前定義した幾何学的重心(COG)を計算することと、(ii)前記測定位置に基づいて、測定した幾何学的COGを計算することと、(iii)所与の一組の前記測定した幾何学的COGと、それぞれの事前定義した幾何学的COGとを比較することと、を含み、前記警報を生成することが、前記測定した幾何学的COGと前記事前定義した幾何学的COGとの間の不一致の検出に応答して、前記警報を生成することを含
み、
前記幾何学的COGが前記胸部位置センサのみから、及び前記背部位置センサのみから計算される、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療用装置に関し、特に、位置追跡システムにおけるマップシフトを検出及び修正するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療システムの座標を視覚化及びマッピングするための種々の技術は、当技術分野において周知である。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2012/0296202号は、超音波画像及び生理学的モデルをX線透視画像と位置合わせするための方法及びシステムを記載する。経食道心エコー検査(Transesophageal Echocardiography、TEE)画像などの蛍光透視画像及び超音波画像が受信される。蛍光透視画像内の超音波プローブの2D位置が検出される。蛍光透視画像内の検出された超音波プローブの2D位置に基づいて、超音波プローブの3D姿勢が推定される。
【0004】
米国特許出願公開第2015/0018668号は、蛍光透視撮像システム及び位置追跡システムを共通基準系と位置合わせすることを含む方法を記載する。位置追跡システムによって、患者体内の対象領域がマークされる。共通基準系を使用して、対象領域が視野内に現れるように、蛍光透視撮像システムの視野が設定される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載される本発明の一実施形態は、プロセッサと、出力装置と、を含むシステムを提供する。(a)(i)患者の胸部の外部に取り付けられた1つ又は2つ以上の胸部位置センサの測定位置、及び(ii)患者の背部の外部に取り付けられた1つ又は2つ以上の背部位置センサの測定位置を表す電気信号を受信し、(b)(i)1つ又は2つ以上の胸部位置センサの、測定位置とそれぞれの事前定義位置との間の第1のシフトと、(ii)1つ又は2つ以上の背部位置センサの、測定位置とそれぞれの事前定義位置との間の第2のシフトとを比較し、かつ(c)第1のシフトと第2のシフトとの間の不一致の検出に応答して、警報を生成するように構成されている。出力装置は、ユーザに警報を出力するように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、事前定義位置を受信した後に、測定位置の各々を受信するように構成されている。他の実施形態において、プロセッサは、測定位置とそれぞれの事前定義位置との間の距離を推定し、推定距離に基づいて、不一致を検出するように構成されている。更に他の実施形態において、プロセッサは、事前定義位置とそれぞれの測定位置との間の距離のうちの少なくとも1つが事前定義閾値を超えていることを検出することによって、不一致を検出するように構成されている。
【0007】
一実施形態において、出力装置は、距離のうちの少なくとも1つの値を表示するように構成されている。別の実施形態において、プロセッサは、警報に基づいて、不一致を低減させるための応答アクションを開始するように構成されている。更に別の実施形態において、プロセッサは、(i)事前定義位置に基づいて、事前定義した幾何学的重心(Center-of-Gravity、COG)を計算し、(ii)測定位置に基づいて、測定した幾何学的COGを計算し、(iii)所与の一組の測定した幾何学的COGと、それぞれの事前定義した幾何学的COGとを比較し、かつ(iv)測定した幾何学的COGと事前定義した幾何学的COGとの間の不一致の検出に応答して、警報を生成するように構成されている。
【0008】
加えて、本発明の一実施形態に従って、方法が提供され、方法は、(i)患者の胸部の外部に取り付けられた1つ又は2つ以上の胸部位置センサの測定位置、及び(ii)患者の背部の外部に取り付けられた1つ又は2つ以上の背部位置センサの測定位置を表す電気信号を受信することを含む。比較は、(i)1つ又は2つ以上の胸部位置センサの、測定位置とそれぞれの事前定義位置との間の第1のシフトと、及び(ii)1つ又は2つ以上の背部位置センサの、測定位置とそれぞれの事前定義位置との間の第2のシフトとの間で行われる。警報は、第1のシフトと第2のシフトとの間の不一致の検出に応答して生成される。警報は、ユーザに出力される。
【0009】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による、患者の心臓のカテーテル処置のためのシステムの概略画像図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、患者の心臓画像に重ね合わせられたパッチアイコンの概略画像図である。
【
図3】本発明の一実施形態による、マップシフトを警告及び修正するための方法を概略的に例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概論
以下に記載される本発明の実施形態は、心臓アブレーションなどの医療的手順中に起こるマップシフトを検出及び修正するための、改善された方法及びシステムを提供する。
【0012】
アブレーション手順は、典型的に、後で実際のアブレーションを実行する際に使用される心臓の電極電位(Electropotential、EP)マップを作成するために、患者の心臓の1つ又は2つ以上の位置までアブレーションカテーテルを誘導することが必要である。カテーテルの誘導は、磁気位置追跡システムなどの任意の好適な位置追跡システムを使用して実行することができる。
【0013】
いくつかの事例において、位置マップのシフトは、例えば、患者の動きによって、又は金属製の物体が磁気位置追跡システムと干渉することによって引き起こされる場合がある。その結果、カテーテルが心臓の画像上の誤った位置に表示される場合がある。そのようなマップシフトの検出及び修正に失敗すると、アブレーションカテーテルの測定位置と実際の位置との不一致をもたらす場合があり、これは、マッピング手順を繰り返し、したがって、アブレーション手順のサイクルタイムを延長することが必要になる場合がある。
【0014】
アブレーションシステムのユーザ、例えば医師がマップシフトのイベントを認識している場合であっても、医師は、典型的に、シフトを正確に修正するためのいかなる手段も有しないことに留意されたい。例えば、シフトは、例えばアブレーションに関連する痛みのため、又は他の何らかの理由のため、アブレーション中に患者が自分の肩を持ち上げるとき起こり得る。この例において、医師は、動いている肩を再度位置付けしようと試みることができるが、おそらくは正確な元の位置ではない。
【0015】
いくつかの実施形態において、マップシフトを検出及び修正するためのシステムは、患者の胴体の外部に取り付けられた複数のパッチを備え、パッチは、典型的に、操縦の目的で使用される。いくつかの実施形態では、6つのパッチを使用することができ、3つの背部パッチが患者の背部に取り付けられて、幾何学的三角形を形成し、3つの胸部パッチが患者の胸部に取り付けられ、各々をそれぞれの背部パッチと向い合せることができる。
【0016】
いくつかの実施形態において、パッチの各々は、磁気位置追跡システムの座標系でそれぞれのパッチの位置を表す位置信号を生成するように構成された磁気位置センサを備える。
【0017】
いくつかの実施形態において、マップシフト補正システムは、マッピング及びアブレーション手順中に位置信号を受信するように構成されたプロセッサを備える。マッピングを行う前に測定されるパッチの初期位置は、本明細書において「事前定義位置」と称され、アブレーション手順中に更に測定されるパッチの位置は、本明細書において「測定位置」と称される。6つのパッチの場合には、6つの事前定義位置及び6つのそれぞれの測定位置が存在する。
【0018】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、測定位置の胸部パッチセンサの相対位置及び背部パッチセンサの相対位置と、それぞれの事前定義位置とを比較するように構成されている。プロセッサは、背部位置センサに対する胸部位置センサの少なくとも1つの、測定相対位置と事前定義相対位置との間の不一致の検出に応答して、略リアルタイム(Real-Time、RT)警報を生成するように更に構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態において、プロセッサは、事前定義位置及び測定位置の両方をユーザに表示するように更に構成され、よって、ユーザは、患者の胴体を好適な姿勢に動かすことによって、マップシフトを修正することができる。
【0020】
開示される技術は、マップシフトの略RT警報、及びそのマップシフトを適宜修正するためにプロセッサによって又はユーザによって実行される応答アクションをユーザに提供し、それによって、位置追跡精度を向上させ、かつアブレーション手順の全体的なサイクルタイムを低減させる。
【0021】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、患者の心臓40を電気生理学的にマッピングし、焼灼するためのシステム10の概略画像図である。
【0022】
いくつかの実施形態において、システム10は、カテーテル12などの医療用プローブを含み、このカテーテルは、磁気位置センサ及び/又はインピーダンスセンサなどの複数のデバイス(図示せず)を備える遠位先端部13を含む。マッピング段階中に、医師16は、挿入地点30を介して、カテーテル12を患者14の脈管構造の中へ挿入し、そして、磁気位置追跡システムの位置センサに基づいて、カテーテル先端部を患者の心臓に誘導する。その後、カテーテル12は、EPをマッピングし、その後に心臓40の組織を焼灼するために使用される。
【0023】
いくつかの実施形態において、コンソール18は、メモリ22と、通常汎用コンピュータであるプロセッサ20と、を備え、カテーテル12から信号を受信するための、及び本明細書に記載されるシステム10の他の構成要素を制御するための、好適なフロントエンド及びインターフェース回路を有する。
【0024】
プロセッサ20は、システムによって使用される機能を実行するようにソフトウェアにプログラムすることができ、プロセッサは、ソフトウェアのためのデータをメモリ22に記憶する。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを通じて電子的形態でコンソール18にダウンロードすることができ、又は光学的、磁気的、若しくは電子的メモリ媒体等の、非一時的な有形媒体に提供することができる。代替的に、プロセッサ20の機能のいくつか又は全部を、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行することができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、システム10は、磁気位置追跡システム及び/又はインピーダンスに基づく能動的現在場所特定(Active Current Location、ACL)システムを更に備える。これらのシステムの各々は、患者14の心臓40内のEPマッピング及びアブレーション位置にカテーテル12を誘導するために、遠位先端部13の位置を追跡するために使用することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、磁気位置追跡システムは、位置パッド(図示せず)を備え、この位置バッドは、患者14の外部の、例えばテーブル27に横たわる患者の背部の下側又はテーブル27の下側の、既知の位置に配置された複数(例えば、3つ)の磁場発生器36を備える。一実施形態において、コンソール18は、本明細書に記載される技術の実行を支援する。
【0027】
いくつかの実施形態では、コンソール18は、ケーブル38を介して磁場発生器36を駆動するように構成された駆動回路21を含む。遠位先端部13が医師16によって心臓40の中へ誘導されると、遠位先端部13の磁気位置センサは、磁場発生器36によって生成された、感知した外部磁場に応答して位置信号を生成し、それによって、プロセッサ20が心臓40の空洞内の遠位先端部13の位置を識別することを可能にする。
【0028】
遠位先端部の磁気位置センサは、カテーテル近位端部でプロセッサ20と統合されるインターフェース回路に接続される。一実施形態において、遠位先端部13の位置は、ユーザディスプレイ34に表示される心臓40の画像42上に示される。いくつかの実施形態において、画像42は、蛍光透視撮像システム24又は任意の他の好適な撮像技術などの、解剖学的撮像システムを使用して取得することができる。蛍光透視撮像システム24は、コンソール18を介して磁気位置追跡システムに接続される。
【0029】
一実施形態において、蛍光透視撮像システム24は、典型的に、患者の胸部の上側の特定の高さにおいて、患者14に対する基底位置に位置付けられる。例えば、患者胸部に対して直角である前後方向(anterior-posterior、AP)位置に、又は患者の胸部に対して任意の他の好適な角度に位置付けられる。手順中に、オペレータ(例えば、医師16)は、システム24を、典型的に患者14により近い、
図1に示される画像取得位置に移動させて、画像42を取得することができる。
【0030】
この磁場に基づく位置検知方法は、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,Calif.)が製造するCARTO(商標)システムにおいて実行されており、その詳細は、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に記載されており、それらの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
いくつかの実施形態において、システム20は、例えば患者14の皮膚に付着させるパッチ29を使用して、患者14の身体に結合される、複数の位置センサ28を備える。他の実施形態において、インピーダンス測定電極(図示せず)又は任意の他の好適な電極などの追加の電極を少なくとも1つのパッチ29に結合することができる。
【0032】
図1の実施例において、システム10は、6つの位置センサを備え、これらのうち、位置センサ28a、28b、及び28cは、患者14の前部(例えば、胸部)に結合され、位置センサ28d、28e、及び28fは、患者14の背部に結合される。
【0033】
他の実施形態において、システム10は、任意の好適な配設で患者の皮膚に結合される、任意の好適な数の位置センサを含むことができる。
【0034】
一実施形態において、各位置センサ28は、磁気位置追跡システムの座標系でそれぞれのパッチ29の位置を表す信号を生成する。
【0035】
それぞれのパッチ29の位置センサ28は、典型的に、ケーブル32を介して、位置センサから位置信号を受信するように構成されたプロセッサ20に接続される。プロセッサ20は、位置信号に基づいて、各パッチ29の位置を推定するように構成されている。
【0036】
ディスプレイ34は、典型的には、関連する情報を医師16に表示することによって、マッピング及び/又はアブレーション手順の実施を円滑にするように構成されている。例えば、下の
図2において詳細に表されるように、プロセッサ20は、位置信号に基づいて、例えば遠位先端部13及びカテーテル12を表すアイコンを画像42の上に重ね合わせることによって、画像42内のパッチ29及びカテーテル13の遠位先端部13の位置を表示するように構成されている。
【0037】
以下、画像42の拡大であるインサート41を参照する。上に記載したように、カテーテル12及び遠位先端部13の推定位置は、ディスプレイ34上のマーカー62(カテーテル12を示す)及びマーカー63(遠位先端部13を示す)などの、好適なアイコンとして医師に示すことができる。この指示に基づいて、医師16は、カテーテル12の遠位先端部13を心臓40内の1つ又は2つ以上の所望の場所に誘導することができる。
【0038】
他の実施形態では、マーカー63だけがディスプレイ34に表示される場合があり、一方で、カテーテル12は、遠位先端部13だけに結合された位置センサを有する場合がある。代替の実施形態では、蛍光透視撮像システム24を使用して、心臓40内のカテーテル12の画像を取得することができ、よって、プロセッサ20は、取得した画像に基づいて、マーカー62を表示することができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、医療(EPマッピング及び/又はアブレーション)手順は、パッチ29に装着された位置センサ28a~28fの初期位置を測定することによって開始する。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、本明細書において「事前定義位置」と称されるこれらの初期位置を、例えば、メモリ22に、又はプロセッサ20の内部メモリに記憶するように構成されている。
【0040】
EPマッピング及び/又はアブレーション手順中に、医師16は、EPマッピング又はアブレーション手順を実行するために、遠位先端部13を誘導して、心臓40内の複数の位置を訪れる。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、訪れた場所の各々において、磁気位置追跡システムによって測定される、訪れた場所の位置座標をカテーテル12から受信するように構成されている。同時に、プロセッサ20はまた、位置センサ28からそれぞれのパッチ29の位置を示す位置信号も受信する。
【0041】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、画像42に重ね合わせられた各パッチ29及び遠位先端部13の現在の測定位置を、ディスプレイ34又は任意の他の好適な出力装置に表示するように構成されている。
【0042】
典型的に、プロセッサ20は、汎用プロセッサを備え、この汎用プロセッサは、本明細書に記載される機能を実行するように、ソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えばネットワークを通じて、電子的形態でコンピュータにダウンロードすることができ、又は代替的若しくは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ、又は電子メモリなどの、非一時的有形媒体に提供及び/又は記憶することができる。
【0043】
マップシフトの警報及び応答アクションの提供
図2は、本発明の一実施形態による、画像42に重ね合わせられた、それぞれのパッチ29の位置を示すアイコン58及び60の概略画像図である。
【0044】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、位置センサ28a~28fの事前定義位置及び測定位置を視覚化するように構成されている。例えば、下に詳細に記載されるように、プロセッサ20は、位置センサ28の事前定義位置及び測定位置をそれぞれ示すように、アイコン58及び60をディスプレイ34に表示するように構成されている。
【0045】
いくつかの実施形態において、アイコン58a~58fは、それぞれの位置センサ28a~28fが結合されたパッチ29の事前定義位置を示す。アイコン58a~58cは、本明細書で胸部位置センサと称される、患者14の胸部に結合されたそれぞれの位置センサ28a~28cの事前定義位置を示す。アイコン58d~58fは、本明細書で背部位置センサと称される、患者14の背部に結合されたそれぞれの位置センサ28d~28fの事前定義位置を示す。
【0046】
プロセッサ20は、例えば医療的手順の初期化ステップで取得した、位置センサ28a~28fの事前定義位置値をメモリに記憶し、かつ、例えば画像42に重ね合わせられた、それぞれのアイコン58a~58fを表示するように構成されている。
【0047】
胸部位置センサ28a~28cは、患者14の呼吸サイクルにより移動していることに留意されたい。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、ある期間にわたって胸部位置センサ28a~28cの複数の位置測定値を収集し、かつ平均化などの種々の統計ツールを適用して、アイコン58a~58cの位置を推定するように構成されている。
【0048】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、その原点がパッチ29の位置に基づく、身体座標系(Body Coordinate System、BCS)を生成するように構成されている。
図2の実施例では、それぞれの背部位置センサ28d~28fを視覚化するアイコン58d~58fの中心が、仮想三角形66の頂点に位置付けられる。いくつかの実施形態において、BCSの原点は、例えば仮想三角形66の幾何学的重心(COG)である地点70に基づいて決定することができる。「幾何学的COG」という用語は、簡潔にするために、以下、単純に「COG」と称される。
【0049】
他の実施形態において、BCSの原点は、背部位置センサ28d~28fのうちの選択された位置センサから受信される位置信号に基づいて決定することができる。BCSでのアイコン58の位置は、(a)位置センサ28から受信される位置信号、及び(b)磁場発生器36のCOG(図示せず)とBCSの地点70との間の推定ベクトル、に基づいて決定されることに留意されたい。
【0050】
医療的手順中に、患者14の背部は、典型的に、磁場発生器36のCOGに対して実質的に変化せず、したがって、地点70は、磁気位置システムの座標系において実質的に変化しない。例示的な事例において、胸部位置センサ28a~28c及び心臓40の位置は、例えば患者14が肩を持ち上げるときに、地点70に対してシフトする場合がある。
【0051】
これらの事例において、心臓40のシフトした位置は、上に記載した事前定義位置と測定位置との間にマップシフトを引き起こす場合がある。そのようなマップシフトの検出及び修正に失敗すると、遠位先端部13の誤った位置追跡をもたらす場合があり、深刻な事例では、マッピング手順を繰り返し、医療的手順のサイクルタイムを延長することが必要になる場合がある。
【0052】
図2の実施例において、心臓40は、概略的なアイコン46として示される初期位置から、概略的なアイコン48として示されるシフト位置にシフトされる。概略的なアイコン46及び48は、明確にするために
図2に示されおり、実際には画像42内に表示されない場合があることに留意されたい。他の実施形態において、心臓40の画像は、例えば蛍光透視法撮像システム24を使用して、シフトの前及び後に取得し、プロセッサ20によってディスプレイ34に表示することができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、そこに装着されているそれぞれの位置センサ28a~28fの現在の測定位置を示すアイコン60a~60fを表示するように構成されている。アイコン60a~60cは、それぞれの胸部位置センサ28a~28cの現在の測定位置を示し、アイコン60d~60fは、それぞれの背部位置センサ28d~28fの現在の測定位置を示す。本開示及び特許請求の範囲の文脈において、「現在の測定」及び「測定」という用語は、交換可能に使用され、また、それぞれの位置センサ28を使用して測定される1つ又は2つ以上の所与のパッチ29の現在位置を指す。
【0054】
図2の実施例において、胸部位置センサ28a~28cのそれぞれの事前定義位置を表すアイコン58a~58cは、アイコン58a~58cの中心が三角形64の頂点に位置付けられるように、仮想三角形64内に配設される。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、三角形64の幾何学的COGを示す地点80を計算(及び随意に表示)し、かつ地点70と80との間のベクトル82を計算するように構成されている。
【0055】
同様に、胸部位置センサ28a~28cのそれぞれの現在位置を表すアイコン60a~60cの中心は、仮想三角形68の頂点に位置付けられる。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、三角形68のCOGを示す地点90を計算(及び随意に表示)し、かつ地点70と90との間のベクトル84を計算するように構成されている。
【0056】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、患者の肩の移動によって引き起こされるマップシフトのレベルを示す、地点80と90の間の距離88を推定するように構成されている。一実施形態において、プロセッサ20は、ベクトル82と84との間で減算することによって距離88を計算することができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、地点80と90との間の距離が指定の閾値の範囲内であるかどうかを判定するために、距離と比較される指定の閾値を、例えばメモリ22に記憶するように構成されている。例えば、指定の閾値は、4mmに決定することができる。
【0058】
図2の実施例において、プロセッサ20は、4.6mmである距離88と閾値とを比較するように構成されている。プロセッサ20は、距離88が閾値を超えたことを検出することに応答して、システム10のオペレータ(例えば、医師16)への警報を生成するように構成されている。
【0059】
いくつかの実施形態において、
図2に示されるように、警報は、距離88の値として示される。他の実施形態において、警報は、エラーコードを含むテキストを画像42に重ね合わせること、閾値を超えていない距離を緑色で表示すること、及び閾値を超えた距離を赤色で表示すること、などによって、任意の他の好適な形態を使用して示すことができる。
【0060】
上に記載したように、位置センサ28a~28f間の相対位置は、互いに対してパッチ29を移動させる、患者14の胴体の意図しない移動により変化する場合がある。他の事例において、金属製の物体(例えば、蛍光透視撮像システム24又は別の医療用ツール若しくはシステム)が、磁気位置追跡システムの磁場において干渉を引き起こす場合がある。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、マップシフトを検出するように構成され、また、システム10のオペレータが、マップシフトを引き起こす源を識別し、シフトを修正するのを支援することができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、地点70、80、及び90などのCOG間で比較する代わりに、プロセッサ20は、事前定義位置のうちの任意の選択位置の位置と、位置センサ28a~28fのそれぞれの測定位置とを比較し、かつ位置及び比較結果を、例えば表示34に出力するように構成されている。例示的な一実施形態において、プロセッサ20は、アイコン58c及び60cの中心間の距離である距離44を計算するように構成され、また、胸部位置センサ28cの位置シフトを示す。この例において、プロセッサ20は、地点70のシフトと距離44とを比較するように構成されている。
【0062】
別の例において、プロセッサ20は、胸部位置センサ28cの前に位置付けられた背部位置センサ28fの位置シフトを示す距離50を計算し、かつ距離44と50とを比較するように構成されている。同じ比較を、位置センサ28aと28dとの間、及び位置センサ28bと28eとの間などの、任意の位置センサの間で実行することができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、各一対のアイコン58及び60間の距離が指定の閾値、例えば4mm以内、であるかどうかを判定するために、距離と比較される指定の閾値を記憶するように構成されている。全ての測定距離が4mmを超えるが、距離及び方向が実質的に同様であるように、患者14の胴体が剛体として移動する場合、プロセッサ20は、警報を発行しない。
【0064】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、上に記載した比較の各々について閾値を記憶するように構成されている。閾値は、各比較について異なり得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、閾値に対する距離の値に従って表示を出力するように構成されている。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、以下の3つの表示モードをサポートする。(i)値が指定の閾値より低い場合に距離の値だけを表示する。この表示モードは、位置合わせが仕様の範囲内であることを示す。(ii)距離の値の下側に下線を表示する。この下線は、距離の値が指定の値を超えているが、それぞれのパッチが胸部に付着されており、したがって、位置合わせの問題を引き起こすことは疑われないことを示す。(iii)距離の値を取り囲むフレームを表示する。このフレームは、距離の値が患者14の背部に付着させたパッチの指定の値を超えていることを示す。
【0066】
この表示モードは、プロセッサ20が測定位置と事前定義位置との間の不一致を検出したことを示し、この不一致は、マップにシフトを引き起こし得る患者の姿勢の変化を示すことができる。換言すれば、胸部位置センサの少なくとも1つとBCSとの間のシフトが仕様を超え、応答アクションが必要とされる。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、プロセッサ20は、マップシフトの方向を示す矢印(図示せず)を示すように更に構成されている。他の実施形態において、プロセッサ20は、任意の他の好適な表示モードをサポートすることができ、この表示モードは、システム10のユーザによって事前定義又は構成することができる。
【0067】
上に記載したように、金属製の物体は、磁気位置追跡システムの磁場において干渉を引き起こし、1つ又は2つ以上の位置センサ28の測定位置と事前定義位置との間の不一致をもたらす場合がある。本発明者らは、そのような干渉が、それぞれのパッチ29の事前定義位置と測定位置との間に、実質的に4mmよりも大きい距離のシフトを引き起こし得ることを見出した。
【0068】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、不一致の源が磁場干渉であるか、又は患者の肩若しくは胴体の別の部位の動きなどの別の源であるかを判定するように構成されている。マップシフトに関して誤って警告しないために、プロセッサ20は、センサ28の移動の源を識別することが必要である。
【0069】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、限定されないが場所アルゴリズムの場所収束の性能指数などの、種々の方法を使用して磁気干渉を検出するように構成されている。
【0070】
位置センサ28d~28fのうちの1つ又は2つ以上において磁気干渉の検出に応答して、プロセッサ20は、検出した不一致の警報を出力するように構成されている。プロセッサ20は、メッセージを(例えば、ディスプレイ34に)更に表示することができ、このメッセージは、蛍光透視システム24が、胸部位置センサから現在使用されている距離よりも大きい距離に、又は例えば上に記載した基底位置に移動したことを、システム10のオペレータ(例えば、医師16)に示唆する。
【0071】
例示的な実施形態において、プロセッサ20は、地点80と90との間で、例えば4mmの閾値よりも大きい距離値を検出することに応答して、矢印(図示せず)を表示するように構成され、この矢印は、マップシフトによって、例えば患者14が左肩を移動させることによって引き起こされた方向を示す。これらの実施形態において、医師16又は任意の他の関係者は、矢印方向の反対方向に患者14の左肩を移動させて、シフトを修正し、マッピング又は手順を再開することができる。
【0072】
図2に表示されるアイコン、マーカー、及び警報は、本発明の実施形態によって対象とされる特定の問題を例示するために、及びシステム10の性能を高める際のこれらの実施形態の応用例を立証するために、一例として示される。
【0073】
しかしながら、本発明の実施形態は、決して、これらの特定の種類の実施例に限定されない。他の実施形態において、測定位置と事前定義位置との間の不一致を示す距離値は、異なる色を有することができる。例えば、白色及び赤色の距離値は、それぞれ、4mm未満であること、及びそれを超えることを示す。
【0074】
更に、プロセッサ20は、限定されないがテキスト、音、画像、又は三次元(3D)表現などの任意の適切な様式で、検出した不一致の警報を出力するように構成されている。
【0075】
図3は、本発明の一実施形態による、患者14の身体に付着させた1つ又は2つ以上のパッチの測定位置と事前定義した相対位置との間の不一致を警告及び修正するための方法を概略的に例示するフローチャートである。
【0076】
本方法は、事前定義位置保持ステップ100から始まり、プロセッサ20は、それぞれのパッチ29によって患者の外部に取り付けられた位置センサ28a~28fの初期(「事前定義」と表される)位置値を受信し、保持する。いくつかの実施形態において、位置センサ28a~28fの事前定義位置値は、医療的手順の初期化、又は手順中に実行される位置追跡の一部として取得される。測定位置取得ステップ102で、医療的手順中に、プロセッサ20が、センサ28a~28fのそれぞれの現在位置を示す位置信号を受信する。
【0077】
比較ステップ104で、プロセッサ20が、それぞれの位置センサの事前定義位置と測定位置とを比較する。
図2の実施例において、地点80は、三角形64のCOGを示し、地点90は、三角形68のCOGを示す。この実施例では、プロセッサ20によって、地点80と90との間の距離88として、4.6mmの距離が測定される。
【0078】
検出ステップ106で、プロセッサ20が、事前定義位置と測定位置との間の不一致が存在するかどうかをチェックする。いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、閾値、例えば4mmと、上の比較ステップ104で推定した距離88とを比較し、これは、医療的手順中に生じたマップシフトに比例する。これらの実施形態において、プロセッサ20は、推定距離が閾値よりも大きいときに、事前定義位置と測定位置との間の不一致を検出する。いかなる不一致も検出されない場合、本方法は、手順実行ステップ108を続けて、オペレータ(例えば、医師16)は、システム10を適用して、医療的手順を実行する。
【0079】
図2の実施例では、地点80と90との間で、4mmの閾値を超える、4.6mmの距離の値で測定されたマップシフトを示す不一致が検出されている。警報出力ステップ110で、プロセッサ20が、検出した不一致の警報を出力する。
【0080】
いくつかの実施形態において、プロセッサ20は、プロセッサ20によって検出された不一致のタイプを示すエラーコード番号(図示せず)をディスプレイ34に表示するように更に構成されている。例えば、単一の位置センサ(例えば、位置センサ28d)で検出された不一致は、所与のエラーコード番号を受信し、複数の位置センサ28の間に配置された2つのそれぞれの三角形のCOGの間で、例えば地点80と90との間で検出された不一致は、異なるエラーコード番号を受信する。
【0081】
上の
図2に記載したように、不一致は、磁気位置追跡システムの磁場における干渉によって引き起こされる場合がある。システム10の構成において、典型的に金属部品を備える蛍光透視撮像システム24が動作位置にあるときに、金属部品のうちのいくつかは、パッチ29及び磁場発生器36に近接しており、したがって、磁気干渉を引き起こす場合がある。
【0082】
干渉チェックステップ112で、プロセッサ20が、胸部位置センサ28a~28cから受信された信号に磁気干渉が検出されたかどうかをチェックする。干渉が検出された場合、プロセッサ20は、システム24を移動させる警報を生成する。蛍光透視鏡移動ステップ114で、システム10のオペレータが、干渉が許容強度の範囲内になるまで、システム24を、より大きい距離に及び/又は異なる角度に、例えばAPの位置に、胸部位置センサ28a~28cから遠ざけ、続いて、本方法は、測定位置取得ステップ102にループバックする。
【0083】
プロセッサ20がパッチの相対位置の不一致を検出し、かついかなる磁気干渉の指示も存在しなかった場合、プロセッサ20は、患者14を移動させる警報を生成する。患者移動ステップ116で、臨床オペレータが、それぞれのアイコン58と60とを整列させることによってマップシフトを修正するように患者14を移動させる。続いて、本方法は、測定位置取得ステップ102にループバックする。
【0084】
システム10の構成は、概念的に明瞭にするために一例として表される。代替の実施形態において、システム10は、上の
図1~3に記載した実施形態を可能にするように構成された任意の好適な追加又は代替の構成要素及びモジュールを含むことができる。
【0085】
上に記載した方法のステップは、事前定義値と測定値との間にいかなる不一致も存在しなくなるまで、反復的に続けることができ、よって、システム10のオペレータが医療的手順を実行することができ、そして、本方法は終了する。
【0086】
本明細書に記載される実施形態は、主として電気生理学的マッピング手順における位置追跡を対象にするが、本明細書に記載される方法及びシステムはまた、他の用途でも使用することができる。
【0087】
したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上記に具体的に示し説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及びその一部の組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者により想到されるであろう、また従来技術において開示されていないそれらの変形及び修正を含むものである。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0088】
〔実施の態様〕
(1) システムであって、
プロセッサであって、
(i)患者の胸部の外部に取り付けられた1つ又は2つ以上の胸部位置センサの測定位置、及び(ii)前記患者の背部の外部に取り付けられた1つ又は2つ以上の背部位置センサの測定位置を表す電気信号を受信し、
(i)前記1つ又は2つ以上の胸部位置センサの、前記測定位置とそれぞれの事前定義位置との間の第1のシフトと、(ii)前記1つ又は2つ以上の背部位置センサの、前記測定位置とそれぞれの事前定義位置との間の第2のシフトとを比較し、かつ
前記第1のシフトと前記第2のシフトとの間の不一致の検出に応答して、警報を生成するように構成されている、プロセッサと、
ユーザに前記警報を出力するように構成された出力装置と、を備える、システム。
(2) 前記プロセッサが、前記事前定義位置を受信した後に、前記測定位置の各々を受信するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記プロセッサが、前記測定位置と前記それぞれの事前定義位置との間の距離を推定し、前記推定距離に基づいて、前記不一致を検出するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記プロセッサは、前記事前定義位置とそれぞれの測定位置との間の距離のうちの少なくとも1つが事前定義閾値を超えていることを検出することによって、前記不一致を検出するように構成されている、実施態様3に記載のシステム。
(5) 前記出力装置は、前記距離の少なくとも1つの値を表示するように構成されている、実施態様3に記載のシステム。
【0089】
(6) 前記プロセッサが、前記警報に基づいて、前記不一致を低減させるための応答アクションを開始するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記プロセッサが、(i)前記事前定義位置に基づいて、事前定義した幾何学的重心(COG)を計算し、(ii)前記測定位置に基づいて、測定した幾何学的COGを計算し、(iii)所与の一組の前記測定した幾何学的COGと、それぞれの事前定義した幾何学的COGとを比較し、かつ(iv)前記測定した幾何学的COGと前記事前定義した幾何学的COGとの間の不一致の検出に応答して、前記警報を生成するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(8) 方法であって、
(i)患者の胸部の外部に取り付けられた1つ又は2つ以上の胸部位置センサの測定位置、及び(ii)前記患者の背部の外部に取り付けられた1つ又は2つ以上の背部位置センサの測定位置を表す電気信号を受信することと、
(i)前記1つ又は2つ以上の胸部位置センサの、前記測定位置とそれぞれの事前定義位置との間の第1のシフトと、(ii)前記1つ又は2つ以上の背部位置センサの、前記測定位置とそれぞれの事前定義位置との間の第2のシフトとを比較することと、
前記第1のシフトと前記第2のシフトとの間の不一致の検出に応答して、警報を生成することと、
ユーザに前記警報を出力することと、を含む、方法。
(9) 前記電気信号を受信することが、前記事前定義位置を受信した後に、前記測定位置の各々を受信することを含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記測定位置とそれぞれの事前定義位置とを比較することが、前記測定位置と前記それぞれの事前定義位置との間の距離を推定することを含み、前記警報を生成することが、前記推定距離に基づいて、前記不一致を検出することを含む、実施態様8に記載の方法。
【0090】
(11) 前記不一致を検出することは、前記事前定義位置とそれぞれの測定位置との間の距離のうちの少なくとも1つが事前定義閾値を超えていることを検出することを含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記警報を出力することが、前記距離の少なくとも1つの値を表示することを含む、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記警報に基づいて、前記不一致を低減させるための応答アクションを開始することを含む、実施態様8に記載の方法。
(14) 前記測定位置と前記それぞれの事前定義位置とを比較することが、(i)前記事前定義位置に基づいて、事前定義した幾何学的重心(COG)を計算することと、(ii)前記測定位置に基づいて、測定した幾何学的COGを計算することと、(iii)所与の一組の前記測定した幾何学的COGと、それぞれの事前定義した幾何学的COGとを比較することと、を含み、前記警報を生成することが、前記測定した幾何学的COGと前記事前定義した幾何学的COGとの間の不一致の検出に応答して、前記警報を生成することを含む、実施態様8に記載の方法。