(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電気配線システム、並びに、それに関連するワイヤ束クランプのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F16B 2/12 20060101AFI20240110BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20240110BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20240110BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20240110BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F16B2/12 Z
F16B2/08 Z
F16B7/04 301H
B64C1/00 A
H02G3/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019127824
(22)【出願日】2019-07-09
【審査請求日】2022-07-06
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モールマン, ショーン ディー.
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-023095(JP,A)
【文献】特開2013-096576(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0211847(US,A1)
【文献】実開昭61-086044(JP,U)
【文献】特開2006-180664(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0104494(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/00- 7/22
F16B 2/00- 2/26
B64C 1/00
H02G 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
様々なサイズのうちの任意のサイズを有する少なくとも1つのワイヤ束(114)を、横方向(112)に延びているレール(116)に固定するためのクランプシステム(130)であって、
第1凹型係合面(137A)を備え、かつ、前記レール(116)に固定的に取り付けられるよう構成された、第1クランプ構成要素(132)と、
第2凹型係合面(137B)を備え、かつ、前記レール(116)に摺動可能に取り付けられるよう構成された、第2クランプ構成要素(134)とを備え、
前記第1クランプ構成要素(132)及び前記第2クランプ構成要素(134)が前記レール(116)に取り付けられると、前記第1凹型係合面(137A)と前記第2凹型係合面(137B)とは互いに対面して、間に前記ワイヤ束(114)を捕捉することが可能になり、前記第1凹型係合面(137A)と前記第2凹型係合面(137B)との間の距離は調整可能であ
り、
前記レール(116)が、前記横方向(112)に離間した複数の孔(122)を備え、
前記第1クランプ構成要素(132)は、前記第1クランプ構成要素(132)が前記レール(116)に対して前記横方向(112)に動くことを防止するために前記孔(122)のうちの対応する1つと係合可能な、小突起(144)を備える、
クランプシステム(130)。
【請求項2】
前記第1クランプ構成要素(132)が、互いから離間したアーム(142A)であって、前記第1クランプ構成要素(132)が前記レール(116)に対して、前記横方向(112)に対して垂直な直立方向(120)に動くことを制限するために、アーム(142A)同士の間に前記レール(116)が取り外し可能に係合されるよう構成された、アーム(142A)を備える、請求項
1に記載のクランプシステム(130)。
【請求項3】
前記第2クランプ構成要素(134)を前記レール(116)に摺動可能に取り付けることで、前記第2クランプ構成要素(134)の、前記レール(116)に沿った前記横方向(112)の摺動が促進され、
前記第2クランプ構成要素(134)が、互いから離間したアーム(142B)であって、前記第2クランプ構成要素(134)が前記レール(116)に対して、前記横方向(112)に対して垂直な直立方向(120)に動くことを制限するために、アーム(142B)同士の間に前記レール(116)が取り外し可能に係合されるよう構成された、アーム(142B)を備える、請求項
1又は
2に記載のクランプシステム(130)。
【請求項4】
前記第1クランプ構成要素(132)が、反対方向に面している2つの第1凹型係合面(137A)を備える、請求項1から
3のいずれか一項に記載のクランプシステム(130)。
【請求項5】
前記ワイヤ束(114)を前記第1クランプ構成要素(132)及び前記第2クランプ構成要素(134)に少なくとも部分的に固定するために、前記第1クランプ構成要素(132)、前記第2クランプ構成要素(134)、及び前記ワイヤ束(114)と係合可能な、可撓性の保持ストラップ(124)を更に備える、請求項1から
4のいずれか一項に記載のクランプシステム(130)。
【請求項6】
前記可撓性の保持ストラップ(124)と前記第1クランプ構成要素(132)及び前記第2クランプ構成要素(134)との係合により、前記第2クランプ構成要素(134)が前記第1クランプ構成要素(132)から前記横方向(112)に離れるように動くことが制限される、請求項
5に記載のクランプシステム(130)。
【請求項7】
前記第1クランプ構成要素(132)と前記第2クランプ構成要素(134)の一方が、前記第1クランプ構成要素(132)と前記第2クランプ構成要素(134)の前記一方と一体化されたラチェット機構(140)を備え、
前記ラチェット機構(140)は、前記可撓性の保持ストラップ(124)と係合し、前記可撓性の保持ストラップ(124)が前記ラチェット機構(140)を通って一方向にだけ動くことを可能にするよう構成されている、請求項
5又は
6に記載のクランプシステム(130)。
【請求項8】
前記第1クランプ構成要素(132)が少なくとも2つの第1クランプ構成要素開孔(158、160)を備え、前記可撓性の保持ストラップ(124)と前記第1クランプ構成要素(132)とを連結させるために、前記可撓性の保持ストラップ(124)は前記第1クランプ構成要素開孔を通って延在可能であり、
前記第2クランプ構成要素(134)が少なくとも2つの第2クランプ構成要素開孔(152、154)を備え、前記可撓性の保持ストラップ(124)と前記第2クランプ構成要素(134)とを連結させるために、前記可撓性の保持ストラップ(124)は前記第2クランプ構成要素開孔を通って延在可能である、請求項
5又は
6に記載のクランプシステム(130)。
【請求項9】
前記第1クランプ構成要素(132)が、前記第1クランプ構成要素(132)内に形成された貫通チャネル(150)であって、前記少なくとも2つの第1クランプ構成要素開孔(158、160)同士を相互連結する、貫通チャネル(150)を更に備える、請求項
8に記載のクランプシステム(130)。
【請求項10】
前記少なくとも2つの第1クランプ構成要素開孔(158、160)及び前記少なくとも2つの第2クランプ構成要素開孔(152、154)のうちの1つが、前記可撓性の保持ストラップ(124)のラチェット機構(125)と補完的に係合するよう構成されたポケット(146)を備える、請求項
8又は
9に記載のクランプシステム(130)。
【請求項11】
長手方向(110)に延びている少なくとも1つのワイヤ束(114)を、横方向(112)に延びているレール(116)に固定する方法(200)であって、
第1クランプ構成要素(132)を、前記第1クランプ構成要素(132)の第1凹型係合面(137A)が前記横方向(112)に面するように、前記レール(116)に非可動式に取り付けることと、
第2クランプ構成要素(134)を、前記第2クランプ構成要素(134)の第2凹型係合面(137B)が前記第1クランプ構成要素(132)の前記第1凹型係合面(137A)に面するように、前記レール(116)に摺動可能に取り付けることと、
第1のサイズの前記少なくとも1つのワイヤ束(114)を、前記第1凹型係合面(137A)と前記第2凹型係合面(137B)との間に位置付けることと、
前記第1のサイズの前記少なくとも1つのワイヤ束(114)が前記第1凹型係合面(137A)と前記第2凹型係合面(137B)との間にある状態で、前記第1のサイズの前記少なくとも1つのワイヤ束(114)を前記第1凹型係合面(137A)と前記第2凹型係合面(137B)との間に捕捉するために、前記第2クランプ構成要素(134)を、前記第1クランプ構成要素(132)に向けて、前記レール(116)に沿って摺動させることと、
可撓性の保持ストラップ(124)により、前記第1クランプ構成要素(132)に対して前記第2クランプ構成要素(134)を保持することとを含む、
方法(200)。
【請求項12】
前記第1のサイズの前記少なくとも1つのワイヤ束(114)を、前記第1凹型係合面(137A)と前記第2凹型係合面(137B)との間から除去することと、
前記第1のサイズとは異なる第2のサイズの前記少なくとも1つのワイヤ束(114)を、前記第1凹型係合面(137A)と前記第2凹型係合面(137B)との間に位置付けることと、
前記第2のサイズの前記少なくとも1つのワイヤ束(114)が前記第1凹型係合面(137A)と前記第2凹型係合面(137B)との間にある状態で、前記第2のサイズの前記少なくとも1つのワイヤ束(114)を前記第1凹型係合面(137A)と前記第2凹型係合面(137B)との間に捕捉するために、前記第2クランプ構成要素(134)を、前記第1クランプ構成要素(132)に向けて、前記レール(116)に沿って摺動させることとを更に含む、請求項
11に記載の方法(200)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのワイヤ束(114)は複数のワイヤ束を含み、
前記複数のワイヤ束のうちの少なくとも1つではあるが前記複数のワイヤ束の全てよりは少ないワイヤ束を、前記第1凹型係合面(137A)と前記第2凹型係合面(137B)との間から除去することと、
前記複数のワイヤ束のうちの少なくとも1つではあるが前記複数のワイヤ束の全てよりは少ないワイヤ束が、前記第1凹型係合面(137A)と前記第2凹型係合面(137B)との間から除去された後に、残ったワイヤ束を捕捉するために、前記第2クランプ構成要素(134)を、前記第1クランプ構成要素(132)に向けて、前記レール(116)に沿って摺動させることとを更に含む、請求項
11又は
12に記載の方法(200)。
【請求項14】
前記第1凹型係合面(137A)と前記第2凹型係合面(137B)との間の前記少なくとも1つのワイヤ束(114)に、少なくとも1つの更なるワイヤ束を追加することと、
前記少なくとも1つのワイヤ束(114)及び前記少なくとも1つの更なるワイヤ束を、前記第1凹型係合面(137A)と前記第2凹型係合面(137B)との間に捕捉するために、前記第2クランプ構成要素(134)を、まずは前記第1クランプ構成要素(132)から離れるように、次いで前記第1クランプ構成要素(132)に向けて、前記レール(116)に沿って摺動させることとを更に含む、請求項
11から
13のいずれか一項に記載の方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して電気配線システムに関し、より詳細には、航空機の電気配線システムのためのクランプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]航空機のための電気配線システムは、航空機の胴体に沿ってワイヤの束を固定するのに役立つ。従来型の電気配線システムでは、ワイヤの束を捕捉し、保持する、様々な種類の保持デバイスが用いられる。しかし、航空機の組み立て中に従来型の保持デバイスを調整して、別様にサイズ設定されたワイヤの束に(とりわけ飛行中に)適応させることは、たとえ可能であっても、困難なことでありうる。
【発明の概要】
【0003】
[0003]本出願の主題は、当該技術分野の現状に応じて、詳細には、現在使用可能な技法によってまだ完全には解決されていない航空機(又はその他の輸送体若しくは構造物)の電気配線システムの欠点に応じて、進展してきたものである。したがって、本出願の主題は、従来技術の技法の上述した欠点の少なくとも一部を克服する、電気配線システム及びそれに関連する方法を提供するために、進展してきたものである。
【0004】
[0004]本書では、様々なサイズのうちの任意のサイズを有する少なくとも1つのワイヤ束を、横方向に延びているレールに固定するためのクランプシステムが、開示されている。このクランプシステムは、第1凹型係合面を備える第1クランプ構成要素であって、レールに固定的に取り付けられるよう構成された、第1クランプ構成要素を備える。クランプシステムは、第2凹型係合面を備える第2クランプ構成要素であって、レールに摺動可能に取り付けられるよう構成された、第2クランプ構成要素も備える。第1クランプ構成要素及び第2クランプ構成要素がレールに取り付けられると、第1凹型係合面と第2凹型係合面とは互いに対面して、間にワイヤ束を捕捉することが可能になり、第1凹型係合面と第2凹型係合面との間の距離は調整可能である。この段落の前述の記載は、本開示の例1を特徴付けるものである。
【0005】
[0005]レールは、横方向に離間した複数の孔を備える。第1クランプ構成要素は、第1クランプ構成要素がレールに対して横方向に動くことを防止するために孔のうちの対応する1つと係合可能な、小突起を備える。この段落の上述の記載は本開示の例2を特徴付けており、例2は、上述の例1に係る記載も含む。
【0006】
[0006]第1クランプ構成要素は、互いから離間したアームであって、第1クランプ構成要素がレールに対して、横方向に対して垂直な直立方向に動くことを制限するために、アーム同士の間にレールが取り外し可能に係合されるよう構成された、アームを備える。この段落の上述の記載は本開示の例3を特徴付けており、例3は、上述の例2に係る記載も含む。
【0007】
[0007]第2クランプ構成要素をレールに摺動可能に取り付けることで、第2クランプ構成要素の、レールに沿った横方向の摺動が促進される。第2クランプ構成要素は、互いから離間したアームであって、第2クランプ構成要素がレールに対して、横方向に対して垂直な直立方向に動くことを制限するために、アーム同士の間にレールが取り外し可能に係合されるよう構成された、アームを備える。この段落の上述の記載は本開示の例4を特徴付けており、例4は、上述の例2又は例3に係る記載も含む。
【0008】
[0008]第1クランプ構成要素は、反対方向に面している2つの第1凹型係合面を備える。この段落の上述の記載は本開示の例5を特徴付けており、例5は、上述の例1から例4のいずれか1つに係る記載も含む。
【0009】
[0009]クランプシステムは、ワイヤ束を第1クランプ構成要素及び第2クランプ構成要素に少なくとも部分的に固定するために第1クランプ構成要素、第2クランプ構成要素、及びワイヤ束と係合可能な、可撓性の保持ストラップを更に備える。この段落の上述の記載は本開示の例6を特徴付けており、例6は、上述の例1から例5のいずれか1つに係る記載も含む。
【0010】
[0010]可撓性の保持ストラップと第1クランプ構成要素及び第2クランプ構成要素との係合により、第2クランプ構成要素が第1クランプ構成要素から横方向に離れるように動くことが制限される。この段落の上述の記載は本開示の例7を特徴付けており、例7は、上述の例6に係る記載も含む。
【0011】
[0011]第1クランプ構成要素と第2クランプ構成要素の一方は、第1クランプ構成要素と第2クランプ構成要素のこの一方と一体化されたラチェット機構を備える。ラチェット機構は、可撓性の保持ストラップと係合し、可撓性の保持ストラップがラチェット機構を通って一方向にだけ動くことを可能にするよう、構成される。この段落の上述の記載は本開示の例8を特徴付けており、例8は、上述の例6又は例7に係る記載も含む。
【0012】
[0012]第1クランプ構成要素は少なくとも2つの開孔を備え、可撓性の保持ストラップと第1クランプ構成要素とを連結させるために、可撓性の保持ストラップはこれらの開孔を通って延在可能である。第2クランプ構成要素は少なくとも2つの開孔を備え、可撓性の保持ストラップと第2クランプ構成要素とを連結させるために、可撓性の保持ストラップはこれらの開孔を通って延在可能である。この段落の上述の記載は、本開示の例9を特徴付けており、例9は、上記の例6から例8のいずれか1つに係る記載も含む。
【0013】
[0013]第1クランプ構成要素は、第1クランプ構成要素内に形成された貫通チャネルであって、少なくとも2つの開孔同士を相互連結する、貫通チャネルを更に備える。この段落の上述の記載は本開示の例10を特徴付けており、例10は、上述の例9に係る記載も含む。
【0014】
[0014]少なくとも2つの開孔及び少なくとも2つの開孔のうちの1つは、可撓性の保持ストラップのラチェット機構と補完的に係合するよう構成されたポケットを備える。この段落の上述の記載は本開示の例11を特徴付けており、例11は、上記の例9又は例10に係る記載も含む。
【0015】
[0015]本書では、電気配線システムが更に開示されている。この電気配線システムは、横方向に延びている少なくとも1つのレールを備える。電気配線システムは、横方向に対して垂直な長手方向に延びている、複数のワイヤを備える少なくとも1つのワイヤ束も備える。電気配線システムは、少なくとも1つのクランプシステムを更に備える。少なくとも1つのクランプシステムは、レールに非可動式に取り付けられた第1クランプ構成要素であって、第1凹型係合面を備える、第1クランプ構成要素を備える。少なくとも1つのクランプシステムは、レールに摺動可能に取り付けられ、かつ第1凹型係合面と対面する第2凹型係合面を備える、第2クランプ構成要素であって、レールに沿って横方向に摺動可能であり、第1凹型係合面と第2凹型係合面との間にワイヤ束が捕捉される、第2クランプ構成要素も備える。少なくとも1つのクランプシステムは、ワイヤ束を第1クランプ構成要素及び第2クランプ構成要素に少なくとも部分的に固定し、かつ、第2クランプ構成要素が第1クランプ構成要素から横方向に離れるように動くことを制限するために、第1クランプ構成要素、第2クランプ構成要素、及びワイヤ束と係合される、可撓性の保持ストラップを更に備える。この段落の前述の記載は、本開示の例12を特徴付けるものである。
【0016】
[0016]電気配線システムは、複数のワイヤ束と、複数のクランプシステムとを備える。各クランプシステムは、複数のワイヤ束のうちの対応する少なくとも1つを捕捉する。複数のワイヤ束同士は、横方向に離間している。この段落の上述の記載は本開示の例13を特徴付けており、例13は、上述の例12に係る記載も含む。
【0017】
[0017]複数のクランプシステムのうちの1つのクランプシステムの第1凹型係合面及び第2凹型係合面のサイズは、複数のクランプシステムのうちの別のクランプシステムとは異なる。この段落の上述の記載は本開示の例14を特徴付けており、例14は、上述の例13に係る記載も含む。
【0018】
[0018]複数のクランプシステムのうちの2つの隣接したクランプシステムの第1クランプ構成要素同士は、一体型のモノリシック構造を形成するよう、一体化される。2つの隣接したクランプシステムの第1クランプ構成要素のうちの第1のものの第1凹型係合面は、2つの隣接したクランプシステムの第1クランプ構成要素のうちの第2のものの第1凹型係合面と反対の方向に面している。この段落の上述の記載は本開示の例15を特徴付けており、例15は、上記の例13又は例14に係る記載も含む。
【0019】
[0019]レールは、横方向に離間した複数の孔を備える。第1クランプ構成要素は、第1クランプ構成要素がレールに対して横方向に動くことを防止するために孔のうちの対応する1つと係合される、小突起を備える。この段落の上述の記載は本開示の例16を特徴付けており、例16は、上記の例12から例15のいずれか1つに係る記載も含む。
【0020】
[0020]電気配線システムは、長手方向に離間した複数のレールを備える。電気配線システムは、複数のクランプシステムであって、各々が複数のレールのうちの対応する1つに取り付けられた、複数のクランプシステムを備える。少なくとも1つのワイヤ束は、複数のクランプシステムの各々の、第1凹型係合面と第2凹型係合面との間に捕捉される。この段落の上述の記載は本開示の例17を特徴付けており、例17は、上記の例12から例16のいずれか1つに係る記載も含む。
【0021】
[0021]電気配線システムは、航空機の客室のフロアと航空機の貨物室との間で航空機に連結されるよう構成される。この段落の上述の記載は、本開示の例18を特徴付けており、例18は、上記の例12から例17のいずれか1つに係る記載も含む。
【0022】
[0022]加えて、本書では、長手方向に延びている少なくとも1つのワイヤ束を、横方向に延びているレールに固定する方法が、開示されているこの方法は、第1クランプ構成要素を、第1クランプ構成要素の第1凹型係合面が横方向に面するように、レールに非可動式に取り付けることを含む。方法は、第2クランプ構成要素を、第2クランプ構成要素の第2凹型係合面が第1クランプ構成要素の第1凹型係合面に面するように、レールに摺動可能に取り付けることも含む。方法は、第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束を、第1凹型係合面と第2凹型係合面との間に位置付けることを更に含む。方法は加えて、第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束が第1凹型係合面と第2凹型係合面との間にある状態で、第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束を第1凹型係合面と第2凹型係合面との間に捕捉するために、第2クランプ構成要素を、第1クランプ構成要素に向けて、レールに沿って摺動させることを含む。方法は、可撓性の保持ストラップにより、第1クランプ構成要素に対して第2クランプ構成要素を保持することも含む。この段落の前述の記載は、本開示の例19を特徴付けるものである。
【0023】
[0023]方法は、第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束を、第1凹型係合面と第2凹型係合面との間から除去することを更に含む。方法は、第1のサイズとは異なる第2のサイズの少なくとも1つのワイヤ束を、第1凹型係合面と第2凹型係合面との間に位置付けることも含む。方法は加えて、第2のサイズの少なくとも1つのワイヤ束が第1凹型係合面と第2凹型係合面との間にある状態で、第2のサイズの少なくとも1つのワイヤ束を第1凹型係合面と第2凹型係合面との間に捕捉するために、第2クランプ構成要素を、第1クランプ構成要素に向けて、レールに沿って摺動させることを含む。この段落の上述の記載は本開示の例20を特徴付けており、例20は、上述の例19に係る記載も含む。
【0024】
[0024]少なくとも1つのワイヤ束は、複数のワイヤ束を含む。方法は、複数のワイヤ束のうちの少なくとも1つではあるが複数のワイヤ束の全てよりは少ないワイヤ束を、第1凹型係合面と第2凹型係合面との間から除去することを更に含む。方法は、複数のワイヤ束から少なくとも1つを取り除いたワイヤ束を、第1凹型係合面と第2凹型係合面との間に捕捉するために、第2クランプ構成要素を、第1クランプ構成要素に向けて、レールに沿って摺動させることを更に含む。この段落の上述の記載は、本開示の例21を特徴付けており、例21は、上記の例19又は例20による記載も含む。
【0025】
[0025]方法は、第1凹型係合面と第2凹型係合面との間の少なくとも1つのワイヤ束に、少なくとも1つの更なるワイヤ束を追加することを更に含む。方法は、少なくとも1つのワイヤ束、及び少なくとも1つの更なるワイヤ束を、第1凹型係合面と第2凹型係合面との間に捕捉するために、第2クランプ構成要素を、まずは第1クランプ構成要素から離れるように、次いで第1クランプ構成要素に向けて、レールに沿って摺動させることを更に含む。この段落の上述の記載は、本開示の例22を特徴付けており、例22は、上記の例19から例21のいずれか1つに係る記載も含む。
【0026】
[0026]本開示の主題の前述の特徴、構造、利点、及び/又は特性は、一又は複数の実施形態及び/又は実行形態において、任意の好適な様態で組み合わされうる。以下の説明において、本開示の主題の実施形態についての網羅的な理解を促すために、多数の具体的な詳細事項が提示される。当業者は、本開示の主題が、特定の実施形態又は実行形態の具体的な特徴、詳細事項、構成要素、材料、及び/又は方法のうちの一又は複数がなくとも実践されうることを、認識しよう。他の事例としては、特定の実施形態及び/又は実行形態において、全ての実施形態又は実行形態には存在するわけではないことがある追加の特徴及び利点が、認識されうる。更に、場合によっては、本開示の主題の態様を不明瞭にしないよう、周知の構造、材料、又は動作は、詳細に図示されることも、説明されることもない。本開示の主題の特徴及び利点は、下記の説明及び付随する特許請求の範囲から一層網羅的に明らかになるか、又は、以下に明記するように本主題を実践することにより理解されうる。
【0027】
[0027]本主題の利点がより容易に理解されうるように、上記で概説した本主題についてのより詳細な説明が、付随する図面に示している具体的な実施形態を参照することにより付与される。これらの図面は、本主題の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定するとみなされるべきではないことが理解された上で、本主題は、以下の図面を使用することにより、更なる具体性及び詳細を伴って説明され、解説される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】[0028]本開示の一又は複数の例による、電気配線システムを有する航空機の断面斜視図である。
【
図2】[0029]本開示の一又は複数の例による、電気配線システムの斜視図である。
【
図3】[0030]本開示の一又は複数の例による、電気配線システムの正面立面図である。
【
図4】[0031]本開示の一又は複数の例による、電気配線システムの、
図2の線4-4に類する線に沿って切断された断面の正面立面図である。
【
図5】[0032]本開示の一又は複数の例による、ワイヤ束が電気配線システムの第1クランプ構成要素と第2クランプ構成要素との間に捕捉された状態の、
図3の電気配線システムの正面立面図である。
【
図6】[0033]本開示の一又は複数の例による、
図3の電気配線システムの、
図3の線6-6に沿って切った断面の側面立面図である。
【
図7】[0034]本開示の一又は複数の例による、
図3の電気配線システムの、
図3の線7-7に沿って切った断面の側面立面図である。
【
図8】[0035]本開示の一又は複数の例による、電気配線システムの、
図2の線4-4に類する線に沿って切った断面の正面立面図である。
【
図9】[0036]本開示の一又は複数の例による、電気配線システムの、
図2の線4-4に類する線に沿って切った断面の正面立面図である。
【
図10】[0037]本開示の一又は複数の例による、ワイヤ束をレールに固定する方法の概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[0038]この明細書全体を通じて言及されている「一実施形態(one embodiment/an embodiment)」又は類似の文言は、この実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。この明細書全体を通じて出現する「一実施形態では(in one embodiment/in an embodiment)」という表現及び類似の文言は、全て同一の実施形態を意味することもあるが、必ずしもそうであるわけではない。同様に、「実行形態(implementation)」という語の使用は、本開示の一又は複数の実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性を有する一実行形態を意味するが、明示的な相互関係が別途示されない限り、一実行形態は一又は複数の実施形態に関連付けられうる。
【0030】
[0039]
図1を参照するに、一例によると、航空機100は、通常長手方向110に延びている胴体102を含む。航空機100は、胴体102の内部空間を客室104と貨物室106とに分ける、フロア108又は仕切りを含む。一部の実行形態では、客室104は、飛行中に乗客が着席可能な座席と、小型荷物及び持ち込み手荷物を保管するための頭上収納庫とを含む。貨物室106は、客室104の下に位置しており、大型荷物及び/又は積載貨物を保管するために使用されうる。ある種の実行形態では、貨物室106がフロア108からオフセットした上側仕切りを含むことにより、フロア108と貨物室106の上側仕切りとの間に間隙が画定される。一実行形態では、この間隙は約2インチ(25.4mm)である。航空機100は、大型の商用旅客機として描かれているが、他の例では、より多くの積載貨物及び(存在するとしても)より少数の旅客を輸送するために設計された、貨物輸送機でありうる。かかる貨物輸送用の航空機では、内部空間を2つの別個の貨物室106に分けるフロア108が用いられることもある。本開示の航空機100は、本開示の本質から逸脱しない、その他の種類の航空機も含みうる。
【0031】
[0040]航空機100は、胴体102内に電気配線システム113を含む。航空機100は、図示していないが、多数の電気システムであって、各々が、一又は複数のワイヤ118を介して電力及びデータ信号を受信又は供給する、多数の電気システムを含む。便宜上、並びに、整頓(organization)及び空間的理由のために、ワイヤ118はワイヤ束114に整理されてよく、ワイヤ束114の各々は、適切にきっちりとまとめられた一又は複数のワイヤ118で作られる。電気配線システム113は、少なくとも2つのワイヤ束114を含む。
図2に示しているように、ワイヤ束114のワイヤ118は、ワイヤ束114の長さに沿った様々な場所で、ワイヤ束114の周りに巻かれた、一又は複数の可撓性の保持ストラップ124によって、束形状に保持されうる。ワイヤ束114は胴体102に沿った様々な場所のうちの任意のところで、始端し、終端しうるが、各ワイヤ束114は概して、ワイヤ束114のワイヤ118の中心軸に平行な方向に延びている。電気配線システム113では、同じ分離特性を有する複数のワイヤ束114が、ひとつにグループ化されて、ワイヤ束群115(例えば
図5を参照)を形成しうる。換言すると、各ワイヤ束群115は、ひとつにグル―プ化された複数のワイヤ束114を含む。各ワイヤ束114のワイヤ118は、そのワイヤ束114が概して決まった(defined)断面形状を有するように配置されうる。加えて、ワイヤ束群115のワイヤ束114は、そのワイヤ束群115が概して決まった断面形状を有するように配置されうる。一実行形態では、ワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115は、概して円形又は楕円形の断面形状を有する。例えば、
図5に示しているように、各ワイヤ束114及びワイヤ束群115は、円形の断面形状を有する。他の実行形態によると、ワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115は、円形でも楕円形でもない断面形状を有しうる。
【0032】
[0041]一部の例では、電気配線システム113の少なくとも一部のワイヤ束114の各々のワイヤ118は、様々な要因のうちの任意のもの(例えば信号の種類、ワイヤの発端、ワイヤの終端、共通サブシステムなど)に基づいて、規則的にひとつに束ねられる。例えば、電力を伝送するワイヤ118が、1つのワイヤ束114にまとめられてグループ化されうる。一例によると、加熱・通気・空調(HVAC)サブシステムを動作させるための電力又はデータを伝送するワイヤ118が、1つのワイヤ束114にまとめられてグループ化されうる。規則の中には、ある種のワイヤ束114同士の間に一定の間隔を求めるものもある。かかる間隔は、ワイヤ束114の長さに沿って維持されるべきである。同様の規則により、類似の種類の複数のワイヤ束114を集めて、ワイヤ束群115にすることが許容されている。電気配線システム113は、ワイヤ118のワイヤ束114を、胴体102に対して固定すること、及び、異種のワイヤ束114同士の間に規定された間隔を維持し、かつ、望まれるのであれば、同種のワイヤ束114のワイヤ束群115へのグループ化を容易にすることに、役立つ。
【0033】
[0042]一部の実行形態では、各ワイヤ束114又は各ワイヤ束群115の最終的なサイズを予測することは困難である。換言すると、ワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115のサイズは、ワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115がひとつにまとめられ、胴体102に設置されるばかりになった後に、初めてわかる。電気配線システム113は、ワイヤ束114とワイヤ束群115の予測不能なサイズに適応するよう、航空機100の組み立て中に容易に調整可能である。
【0034】
[0043]電気配線システム113は、様々な固定機構のうちの任意のもの(例えばファスナ、ブラケット、溶接など)を介して胴体102に対して非可動式に固定された、レール116を含む。レール116は、一部の実行形態では、フロア108と貨物室106との間に配置される。
図1に示しているように、レール116同士は、長手方向110に、又は胴体102の長さに沿って、互いから離間している。図示している例では、各レール116は、胴体102に対して固定されると、長手方向110及び直立方向120に対して垂直な、横方向112に延びることになる。直立方向120は、長手方向110に対しても垂直である。レール116は実質的に剛性である。
【0035】
[0044]
図2、
図6、及び
図7を参照するに、各レール116は、レール116の長さに沿って離間した、複数の孔122を含む。したがって、複数の孔122は、胴体102に対して固定されると、横方向112に離間することになる。一部の例では、各孔122は、隣の孔122から同じ距離だけ離間している。レール116は、孔122が形成される底部壁と、底部壁から離れるように延在する両側壁とを含みうる。
【0036】
[0045]電気配線システム113は、複数のクランプシステム130であって、各々が、複数のレール116のうちの1つに連結される(例えば取り付けられる)よう構成された、複数のクランプシステム130を更に含む。各クランプシステム130は、第1クランプ構成要素132と、第2クランプ構成要素134とを含む。第1クランプ構成要素132は、レール116に固定的に取り付けられるよう構成される。対照的に、第2クランプ構成要素134は、第1クランプ構成要素132と第2クランプ構成要素134との間の距離が容易に調整可能になるように、レール116に摺動可能に取り付けられるよう構成される。
【0037】
[0046]
図3及び
図6を参照するに、第1クランプ構成要素132は、基部138Aと、基部138Aに固定的に連結された束係合フィーチャ136Aとを備える。一実行形態では、基部138Aと束係合フィーチャ136Aとは、一体型の単一的モノリシック構造を有するよう、共形成される。
【0038】
[0047]基部138Aにより、第1クランプ構成要素132のレール116への固定的な取り付けが容易になる。例えば、基部138Aは、アーム142A(例えば
図6を参照)であって、アーム142A同士の間に間隙が画定されるように互いから離間している、アーム142Aを含む。アーム142A同士の間の間隙は、その中にレール116の幅を受容するのに十分な程度の大きさを有する。アーム142Aは、アーム142Aの自由端部にレール保持フィーチャ143A(例えばタブ、歯状部など)を更に含む。レール保持フィーチャ143A同士の間の距離は、レール116の幅を下回るが、アーム142Aの長さからレール保持フィーチャ143Aの長さを引いた長さは、レール116の厚さよりも長い。
【0039】
[0048]更に、第1クランプ構成要素132の基部138Aは、第1クランプ構成要素132がレール116に対して、直立方向120に動くことを制限する(例えば防止する)よう、部分的にレール116の周囲にスナップ嵌合しうる。基部138Aのアーム142Aは、レール保持フィーチャ143A同士の間の距離を一時的に増大させるために、互いから離れるように弾性的に可撓性である。アーム142Aが、この様態で、互いから離れるように弾性的に曲がると、レール116は、レール保持フィーチャ143A同士の間を通ってアーム142A同士の間の間隙に入ることが可能になる。レール116がアーム142A同士の間の間隙に入った後に、アーム142Aは真っ直ぐになってよく、これにより、レール保持フィーチャ143Aがレール116と係合することになる。レール保持フィーチャ143Aとレール116とが係合することで、レール116がアーム142A同士の間の間隙内に保持され、第1クランプ構成要素132がレール116に対して直立方向120に動くことが制限される。一部の例では、レール保持フィーチャ143Aは、傾斜前縁を含み、この傾斜前縁は、レール116に押し付けられると、レール保持フィーチャ143Aを外側に弾性的に曲げて、レール116を受容するのに役立つ。図示している例の基部138Aはアーム142Aの単一の対を含んでいるが、他の例では、基部138Aはアーム142Aの複数の対を含む。第1クランプ構成要素132をレール116から取り外すには、単純に、アーム142Aを互いから離れるように弾性的に曲げつつ、第1クランプ構成要素132を、レール116から離れるように動かす。
【0040】
[0049]
図4及び
図6を参照するに、第1クランプ構成要素132の基部138Aは、基部138Aの一方の側から突出している小突起144を更に含み、その反対側からは、束係合フィーチャ136Aが延在している。小突起144は、レールの孔122のうちの1つの中に載置されるよう構成された、様々にサイズ設定された様々な形状の突起のうちの任意のものでありうる。換言すると、一部の例では、小突起144は、孔122のサイズ及び形状を補完する、サイズ及び形状を有する。図示している例では、小突起144は円形形状を有し、孔122も円形形状を有する。概括的には、小突起144が孔122と係合すると、小突起144と孔122とのこの係合により、第1クランプ構成要素132が、レール116に対して(又はレールに沿って)横方向112に動くことが防止される。小突起144がレール116の孔122のうちのいずれか1つの中に嵌合しうるので、第1クランプ構成要素132は、レール116に沿った様々な場所のうちの任意のところで、非可動式に固定されうる。
【0041】
[0050]更に、第1クランプ構成要素132は、分離ファスナを使用せずにレール116に取り外し可能に固定されているので、レール116に沿った第1クランプ構成要素の位置は、迅速かつ容易に調整されうる。詳細には、クランプシステム130同士の間の距離D2が、例えば空間的規制に適応するために調整されるべきなのであれば、この距離D2を迅速かつ容易に調整するために、一又は複数のクランプシステム130の第1クランプ構成要素132の位置が調整されうる(例えば
図2参照)。図示している例の第1クランプ構成要素132は、1つの小突起144を含んでいるが、他の例では、第1クランプ構成要素132は、レール116の複数の孔122と一度に係合するための、複数の小突起144を有しうる。
【0042】
[0051]
図3を参照するに、第1クランプ構成要素132の束係合フィーチャ136Aは第1凹型係合面137Aを含む。図示している例では、第1凹型係合面137Aは、一定の曲率半径を伴う湾曲面である。しかし、他の例では、第1凹型係合面137Aは、一定の曲率半径を有さないことも、湾曲面ではないこともある(例えば、集合的に凹型面を画定する一連の複数の平坦面を含みうる)。第1凹型係合面137Aの凹部は、ワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115を捕捉し、保持するのに役立つ。ワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115の捕捉及び保持を更に容易にするために、一部の例では、第1凹型係合面137Aの凹部が少なくとも90度延在することにより、束係合フィーチャ136Aが少なくとも部分的な張り出し部(overhang)を有することになる。この張り出し部は、捕捉されたワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115の直立方向120への動きを制限するのに役立つ。第1凹型係合面137Aは高さH1を有する。第1凹型係合面137Aの凹部及び高さH1は、第1クランプ構成要素132によって捕捉されるべきワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115の、望ましい形状及びサイズに対応する。
図2を参照するに、電気配線システム113が複数のクランプシステム130を含む一部の実行形態では、複数のクランプシステム130のうちの1つのクランプシステムの第1凹型係合面137Aは、異なる形状及び/又は異なるサイズを有するワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115を捕捉するためのクランプシステム130のうちの別のものの第1凹型係合面137Aとは異なる、凹部及び/又は高さH1を有しうる。例えば、図示されているワイヤ束114の右側の第1クランプ構成要素132の第1凹型係合面137Aは、図示されているワイヤ束114の左側の第1クランプ構成要素132よりも大きくなる。
【0043】
[0052]束係合フィーチャ136Aは、第1凹型係合面137Aの反対側の第1凸型面も有することにより、概してC字型の断面を有しうる。一部の例では、束係合フィーチャ136Aは、アーム142Aの弾性曲がりを促進するために、基部138Aの幅の一部分だけにわたって延在する(例えば
図6参照)。しかし、他の例では、束係合フィーチャ136Aは、基部138Aの全幅にわたって延在しうる。
【0044】
[0053]
図3に示しているような一部の例では、第1クランプ構成要素132は、単一の束係合フィーチャ136を含み、ゆえに、単一の凹型係合面137Aを含む。しかし、
図2に示しているような他の例では、第1クランプ構成要素132は、2つの束係合フィーチャ136を含み、ゆえに、2つの凹型係合面137Aを含む。このことは、他にもある利点の中でも特に、複雑性、部品点数、及び重量を低減するのに役立つ。同一の第1クランプ構成要素132の2つの第1凹型係合面137Aは、反対方向に面している。本書で明確にしているように、1つの第2クランプ構成要素134と、2つの第1凹型係合面137のうちの一方とを対にすることで、1つのクランプシステム130が形成され、別の第2クランプ構成要素134と、2つの第1凹型係合面137のうちの他方とを対にすることで、別のクランプシステム130が形成される。
【0045】
[0054]
図3及び
図6をここでも参照するに、第2クランプ構成要素134は、基部138Bと、基部138Bに固定的に連結された束係合フィーチャ136Bとを備える。一実行形態では、基部138Bと束係合フィーチャ136Bとは、一体型の単一的モノリシック構造を有するよう、共形成される。
【0046】
[0055]基部138Bにより、第2クランプ構成要素132のレール116への摺動可能な取り付けが容易になる。例えば、基部138Bは、アーム142B(例えば
図7を参照)であって、アーム142B同士の間に間隙が画定されるように互いから離間している、アーム142Bを含む。アーム142B同士の間の間隙は、その中にレール116の幅を受容するのに十分な程度の大きさを有する。アーム142Bは、アーム142Bの自由端部にレール保持フィーチャ143B(例えばタブ、歯状部など)を更に含む。レール保持フィーチャ143B同士の間の距離は、レール116の幅を下回るが、アーム142Bの長さからレール保持フィーチャ143Bの長さを引いた長さは、レール116の厚さよりも長い。
【0047】
[0056]更に、第2クランプ構成要素134の基部138Bは、第2クランプ構成要素134がレール116に対して、直立方向120に動くことを制限する(例えば防止する)よう、部分的にレール116の周囲にスナップ嵌合しうる。基部138Bのアーム142Bは、レール保持フィーチャ143B同士の間の距離を一時的に増大させるために、互いから離れるように弾性的に可撓性である。アーム142Bが、この様態で、互いから離れるように弾性的に曲がると、レール116は、レール保持フィーチャ143B同士の間を通ってアーム142B同士の間の間隙に入ることが可能になる。レール116がアーム142B同士の間の間隙に入った後に、アーム142Bは真っ直ぐになってよく、これにより、レール保持フィーチャ143Bがレール116と係合することになる。レール保持フィーチャ143Bとレール116とが係合することで、レール116がアーム142B同士の間の間隙内に保持され、第2クランプ構成要素134のレール116に対する直立方向120の動きが制限される。一部の例では、レール保持フィーチャ143Bは、傾斜前縁を含み、この傾斜前縁は、レール116に押し付けられると、レール保持フィーチャ143Bを外側に弾性的に曲げて、レール116を受容するのに役立つ。図示している例の基部138Bはアーム142Bの単一の対を含んでいるが、他の例では、基部138Bはアーム142Bの複数の対を含む。第2クランプ構成要素134をレール116から取り外すには、単純に、アーム142Bを互いから離れるように曲げつつ、第2クランプ構成要素134を、レール116から離れるように動かす。
【0048】
[0057]第2クランプ構成要素134の基部138Bは、第1クランプ構成要素132とは異なり、小突起144を含まない。したがって、第2クランプ構成要素134の基部138Bは、レール116の孔122と係合せず、これにより、第2クランプ構成要素134は、摺動可能に動くことを可撓性の保持ストラップ124によって制限されない限り、レールに沿って自由に摺動することが可能になる。
【0049】
[0058]
図3を参照するに、第2クランプ構成要素134の束係合フィーチャ136Bは第2凹型係合面137Bを含む。図示している例では、第2凹型係合面137Bは、一定の曲率半径を伴う湾曲面である。しかし、他の例では、第2凹型係合面137Bは、一定の曲率半径を有さないことも、湾曲面ではないこともある(例えば、集合的に凹型面を画定する一連の複数の平坦面を含みうる)。第2凹型係合面137Bの凹部は、ワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115を捕捉し、保持するのに役立つ。ワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115の捕捉及び保持を更に容易にするために、一部の例では、第2凹型係合面137Bの凹部が少なくとも90度延在することにより、束係合フィーチャ136Bが少なくとも部分的な張り出し部を有することになる。この張り出し部は、捕捉されたワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115の直立方向120への動きを制限するのに役立つ。第2凹型係合面137Bは高さH1を有する。第2凹型係合面137Bの凹部及び高さH1は、第2クランプ構成要素134によって捕捉されるべきワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115の、望ましい形状及びサイズに対応する。
図2を参照するに、電気配線システム113が複数のクランプシステム130を含む一部の実行形態では、複数のクランプシステム130のうちの1つのクランプシステムの第2凹型係合面137Bは、異なる形状及び/又は異なるサイズを有するワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115を捕捉するためのクランプシステム130のうちの別のものの第2凹型係合面137Bとは異なる、凹部及び/又は高さH1を有しうる。例えば、図示されているワイヤ束114の右側の第2クランプ構成要素134の第2凹型係合面137Bは、図示されているワイヤ束114の左側の第2クランプ構成要素134よりも大きくなる。
【0050】
[0059]束係合フィーチャ136Bは、第2凹型係合面137Bの反対側の第1凸型面も有することにより、概してC字型の断面を有しうる。一部の例では、束係合フィーチャ136Bは、アーム142Bの弾性曲がりを促進するために、基部138Bの幅の一部分だけにわたって延在する(例えば
図7参照)。しかし、他の例では、束係合フィーチャ136Bは、基部138Bの全幅にわたって延在しうる。
【0051】
[0060]クランプシステム130の第1クランプ構成要素132及び第2クランプ構成要素134は、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとが互いに対面するように、レール116に取り付けられる。ワイヤ束捕捉スペースが、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に画定される。ワイヤ束捕捉スペースのサイズは、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間の距離D1を調整することによって、調整可能である。第1クランプ構成要素132がレール116に固定されている一方で、第2クランプ構成要素134をレール116に沿って摺動させることにより、距離D1は調整可能である。距離D1が、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間におけるワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115の許容可能な捕捉に対応している場合、距離D1は、第1クランプ構成要素132から離れる第2クランプ構成要素134の動きを、保持デバイス(例えば、第1クランプ構成要素132と第2クランプ構成要素134とを相互連結させる保持ストラップ124)で制限することによって、固定される。
【0052】
[0061]保持デバイスによる第1クランプ構成要素132と第2クランプ構成要素134との相互連結は、第1クランプ構成要素132及び第2クランプ構成要素134の保持フィーチャによって支援される。
図3を参照するに、保持フィーチャは、第2クランプ構成要素134が第1クランプ構成要素132に対して摺動しないように、かつ、ワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115が、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に固定的に捕捉されるように、保持デバイスを第1クランプ構成要素132及び第2クランプ構成要素134に固定するのに、役立つ。図示している例では、保持デバイスは保持ストラップ124であり、第1クランプ構成要素132及び第2クランプ構成要素134の保持フィーチャは、保持ストラップ124を保持し、かつ、保持ストラップ124によるワイヤ束114の少なくとも部分的な束縛を促進する、孔、チャネル、溝などである。換言すると、一部の例では、保持ストラップ124は、第1クランプ構成要素132と第2クランプ構成要素134とをひとつに相互連結させるのに加えて、ワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115に少なくとも部分的に巻き付けられる。
図5に示しているように、ワイヤ束114及びワイヤ束群115は、第1凹型係合面137Aと、第2凹型係合面137Bと、保持ストラップ124との組み合わせによって、十分に束縛される(例えば外周を取り囲まれる)。
【0053】
[0062]第1クランプ構成要素132の保持フィーチャは第1開孔158及び第2開孔160を含み、第1凹型係合面137Aは、第1開孔158と第2開孔160との間にある。同様に、第2クランプ構成要素134の保持フィーチャは第1開孔152及び第2開孔154を含み、第2凹型係合面137Bは、第1開孔152と第2開孔154との間にある。第1クランプ構成要素132の第1開孔158と第2開孔160の各々、及び、第2クランプ構成要素134の第1開孔152と第2開孔154の各々は、保持ストラップ124がそれらを通ることを可能にするよう、サイズ設定され、形作られる。
図4に示しているように、保持ストラップ124は、第1クランプ構成要素132と第2クランプ構成要素134とをひとつに相互連結させるだけでなく、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間でワイヤ束114の周りに巻き付けられるよう、第1クランプ構成要素132の第1開孔158と第2開孔160、及び第2クランプ構成要素134の第1開孔152と第2開孔154の各々を通って、ループ状にされうる。
【0054】
[0063]
図4に示している例では、第1クランプ構成要素132の保持フィーチャは、束係合フィーチャ136Aを通って形成された貫通チャネル150も含む。貫通チャネル150は、第1開孔158と第2開孔160とを相互連結させるこの様態では、保持ストラップ124は、束係合フィーチャ136Aに沿って、その内部を通りうる。しかし、
図8に示している別の例では、第1クランプ構成要素132は貫通チャネル150を含まず、保持ストラップ124は、第1開孔158と第2開孔160との間で、束係合フィーチャ136Aの外表面の周りの、外側に延在する。
【0055】
[0064]一部の例では、保持ストラップ124は、ラチェットシステムの可動歯止めと係合するよう構成された、一連の歯状部を含む。ラチェットシステムは、歯状部と歯止めとの係合状態を維持する、外周が封鎖されたハウジングを更に含む。概括的には、この歯止めは、歯止めに対するストラップ124の一方向への動きを可能にするが、歯状部と係合して、歯止めに対するストラップ124の反対方向への動きを防止する。歯止めは、ストラップ124の両方向への動きを可能にするため(例えば、望まれるのであれば、保持ストラップ124を歯止めから解放するため)に、係合解除されうる。一例では、保持ストラップ124は、従来型の結束バンド又はパンドウィット(panduit)のストラップである。保持ストラップ124が、歯止めと係合している時に閉じたループを形成しうるように、歯止めは保持ストラップ124と一体化されることもある。この閉じたループは、歯止めを通る保持ストラップ124を引っ張ることによって締め付けられうる。保持ストラップ124の張力は、保持ストラップ124の歯状部と係合している歯止めの効果によって維持され、保持ストラップ124が歯止めを通って戻ることを防止する。
【0056】
[0065]
図4に示している例によると、第2クランプ構成要素132はラチェット機構140を含み、ラチェット機構140は、第2クランプ構成要素132と一体化された(例えば恒久的に固定された、組み込まれた等)歯止め156を含む。かかる例では、第2クランプ構成要素132は、保持ストラップ124に組み込まれたラチェット機構を載置可能に受容するための、ポケット146(例えば凹部)も含みうる。ポケット146は、ポケット146内への受容時には、ラチェット機構の更なる運動を防止することによって保持ストラップ124のラチェット機構を拘束するための、止め具として作用する。保持ストラップ124は次いで、保持ストラップ124を固定的に締め付けるためにラチェット機構140に通される前に、第1クランプ構成要素132及び第2クランプ構成要素134の開孔又はチャネルを通ってループ状にされうる。
【0057】
[0066]
図9に示している別の例では、クランプシステム130は、一体型のラチェット機構140を含まない。むしろ、保持ストラップ124を、そのラチェット機構を通してループ状にすることによって保持ストラップ124を固定的に締め付けるために、保持ストラップ124のラチェット機構が使用される。
【0058】
[0067]一部の保持フィーチャ(例えばラチェット機構140、ポケット146、及び貫通チャネル150)が、第2クランプ構成要素134の一部を形成するように図示されているが、ラチェット機構140、ポケット146、及び貫通チャネル150のうちの一又は複数は、第2クランプ構成要素134ではなく第1クランプ構成要素132に形成されることもあると、認識される。
【0059】
[0068]
図10を参照するに、一例によると、ワイヤ束114及び/又はワイヤ束群115をレール116に固定する方法200が示されている。方法200は、1つのワイヤ束114又は(ワイヤ束群115の形態の)複数のワイヤ束114を固定するために使用されうるので、下記では、「少なくとも1つのワイヤ束114を固定する方法200」と記載される。本書で明確にしているように、少なくとも1つのワイヤ束114は、1つのワイヤ束114でも、複数のワイヤ束114のワイヤ束群115でもありうる。少なくとも1つのワイヤ束114は長手方向110に延びており、レールは横方向112に延びている。方法200は、ステップ202において、第1クランプ構成要素132を、第1クランプ構成要素132の第1凹型係合面137Aが横方向112に面するように、レール116に非可動式に取り付けることを含む。加えて、方法200は、ステップ204において、第2クランプ構成要素134を、第2クランプ構成要素134の第2凹型係合面137Bが第1クランプ構成要素132の第1凹型係合面137Aに面するように、レール116に摺動可能に取り付けることも含む。方法200は、ステップ206において、少なくとも1つのワイヤ束114を、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に位置付けることを更に含む。少なくとも1つのワイヤ束114が第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間にある状態で、方法200は、ステップ208において、第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束114を第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に捕捉するために、第2クランプ構成要素134を、第1クランプ構成要素132に向けて、レール116に沿って摺動させることも含む。加えて、方法200は、ステップ210において、可撓性の保持ストラップ124により、第1クランプ構成要素132に対して第2クランプ構成要素134を保持することも含む。
【0060】
[0069]一部の実行形態では、少なくとも1つのワイヤ束114は第1のサイズを有し、方法200は、第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束114を、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間から除去することと、第1のサイズとは異なる第2のサイズの少なくとも1つのワイヤ束114を、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に位置付けることと、第2のサイズの少なくとも1つのワイヤ束114が第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間にある状態で、第2のサイズの少なくとも1つのワイヤ束114を第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に捕捉するために、第2クランプ構成要素134を、第1クランプ構成要素132に向けて、レール116に沿って摺動させることとを、更に含む。
【0061】
[0070]ある種の実行形態では、少なくとも1つのワイヤ束114は複数のワイヤ束114を含み、方法200は、複数のワイヤ束114のうちの少なくとも1つ(ただし、複数のワイヤ束114の全てではない)を、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間から除去することと、複数のワイヤ束114から少なくとも1つを取り除いたワイヤ束114を、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に捕捉するために、第2クランプ構成要素134を、第1クランプ構成要素132に向けて、レール116に沿って摺動させることとを、更に含む。あるいは、1つのワイヤ束114全体を除去する代わりに、一部の実行形態では、ワイヤ束114のうちの単一のワイヤ118又は全てよりは少ないワイヤ118が除去されうる。
【0062】
[0071]ある種の実行形態によると、方法200は、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間の少なくとも1つのワイヤ束114に、少なくとも1つの更なるワイヤ束114を追加することと、少なくとも1つのワイヤ束114、及び少なくとも1つの更なるワイヤ束114を、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に捕捉するために、第2クランプ構成要素134を、まずは第1クランプ構成要素132から離れるように、次いで第1クランプ構成要素132に向けて、レール116に沿って摺動させることとを、更に含む。あるいは、1つのワイヤ束114全体が追加される代わりに、一部の実行形態では、ワイヤ束114に配置されていない、単一のワイヤ118又は複数のワイヤ118が追加されうる。
【0063】
[0072]本開示は、以下に列挙している例示的かつ非限定的な例を更に含み、これらの例は、特許請求されることも、されないこともある。
【0064】
1.様々なサイズのうちの任意のサイズを有する少なくとも1つのワイヤ束114を、横方向112に延びているレール116に固定するためのクランプシステム130であって、
第1凹型係合面137Aを備え、かつ、レール116に固定的に取り付けられるよう構成された、第1クランプ構成要素132と、
第2凹型係合面137Bを備え、かつ、レール116に摺動可能に取り付けられるよう構成された、第2クランプ構成要素134とを備え、
第1クランプ構成要素132及び第2クランプ構成要素134がレール116に取り付けられると、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとは互いに対面して、間にワイヤ束114を捕捉することが可能になり、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間の距離は調整可能である、
クランプシステム130。
【0065】
2.
レール116が、横方向112に離間した複数の孔122を備え、
第1クランプ構成要素132は、第1クランプ構成要素132がレール116に対して横方向112に動くことを防止するために孔122のうちの対応する1つと係合可能な、小突起144を備える、例1に記載のクランプシステム130。
【0066】
3.第1クランプ構成要素132が、互いから離間したアーム142Aであって、第1クランプ構成要素132がレール116に対して、横方向112に対して垂直な直立方向120に動くことを制限するために、アーム142A同士の間にレール116が取り外し可能に係合されるよう構成された、アーム142Aを備える、例2に記載のクランプシステム130。
【0067】
4.
第2クランプ構成要素134をレール116に摺動可能に取り付けることで、第2クランプ構成要素134の、レール116に沿った横方向112の摺動が促進され、
第2クランプ構成要素134が、互いから離間したアーム142Bであって、第2クランプ構成要素134がレール116に対して、横方向112に対して垂直な直立方向120に動くことを制限するために、アーム142B同士の間にレール116が取り外し可能に係合されるよう構成された、アーム142Bを備える、例2又は3に記載のクランプシステム130。
【0068】
5.第1クランプ構成要素132が、反対方向に面している2つの第1凹型係合面137Aを備える、例1から4のいずれか1つに記載のクランプシステム130。
【0069】
6.ワイヤ束114を第1クランプ構成要素132及び第2クランプ構成要素134に少なくとも部分的に固定するために、第1クランプ構成要素132、第2クランプ構成要素134、及びワイヤ束114と係合可能な、可撓性の保持ストラップ124を更に備える、例1から5のいずれか1つに記載のクランプシステム130。
【0070】
7.可撓性の保持ストラップ124と第1クランプ構成要素132及び第2クランプ構成要素134との係合により、第2クランプ構成要素134が第1クランプ構成要素132から横方向112に離れるように動くことが制限される、例6に記載のクランプシステム130。
【0071】
8.
第1クランプ構成要素132と第2クランプ構成要素134の一方が、第1クランプ構成要素132と第2クランプ構成要素134のこの一方と一体化されたラチェット機構140を備え、
ラチェット機構140は、可撓性の保持ストラップ124と係合し、可撓性の保持ストラップ124がラチェット機構140を通って一方向にだけ動くことを可能にするよう構成されている、例6又は7に記載のクランプシステム130。
【0072】
9.
第1クランプ構成要素132が少なくとも2つの第1クランプ構成要素開孔158、160を備え、可撓性の保持ストラップ124と第1クランプ構成要素132とを連結させるために、可撓性の保持ストラップ124はこれらの開孔を通って延在可能であり、
第2クランプ構成要素134が少なくとも2つの第2クランプ構成要素開孔152、154を備え、可撓性の保持ストラップ124と第2クランプ構成要素134とを連結させるために、可撓性の保持ストラップ124はこれらの開孔を通って延在可能である、例6又は7に記載のクランプシステム130。
【0073】
10.第1クランプ構成要素132が、第1クランプ構成要素132内に形成された貫通チャネル150であって、少なくとも2つの第1クランプ構成要素開孔158、160同士を相互連結する、貫通チャネル150を更に備える、例9に記載のクランプシステム130。
【0074】
11.少なくとも2つの第1クランプ構成要素開孔158、160及び少なくとも2つの第2クランプ構成要素開孔152、154のうちの1つが、可撓性の保持ストラップ124のラチェット機構125と補完的に係合するよう構成されたポケット146を備える、例9又は10に記載のクランプシステム130。
【0075】
12.
横方向112に延びている少なくとも1つのレール116と、
横方向112に対して垂直な長手方向110に延びている複数のワイヤ118を備える、少なくとも1つのワイヤ束114と、
少なくとも1つのクランプシステム130であって、
レール116に非可動式に取り付けられ、かつ第1凹型係合面137Aを備える、第1クランプ構成要素132、
レール116に摺動可能に取り付けられ、かつ第1凹型係合面137Aと対面する第2凹型係合面137Aを備える、第2クランプ構成要素134であって、レール116に沿って横方向112に摺動可能であり、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間にワイヤ束114が捕捉される、第2クランプ構成要素134、及び、
ワイヤ束114を第1クランプ構成要素132及び第2クランプ構成要素134に少なくとも部分的に固定し、かつ、第2クランプ構成要素134が第1クランプ構成要素132から横方向112に離れるように動くことを制限するために、第1クランプ構成要素132、第2クランプ構成要素134、及びワイヤ束114と係合される、可撓性の保持ストラップ124を備える、
少なくとも1つのクランプシステム130とを備える、
電気配線システム113。
【0076】
13.
電気配線システム113が、複数のワイヤ束114と、複数のクランプシステム130とを備え、
各クランプシステム130が、複数のワイヤ束114のうちの対応する少なくとも1つを捕捉し、
複数のワイヤ束114同士は、横方向112に離間している、例12に記載の電気配線システム113。
【0077】
14.複数のクランプシステム130のうちの1つのクランプシステムの第1凹型係合面137A及び第2凹型係合面137Bのサイズは、複数のクランプシステム130のうちの別のクランプシステムとは異なる、例13に記載の電気配線システム113。
【0078】
15.
複数のクランプシステム130のうちの2つの隣接したクランプシステム130の第1クランプ構成要素132同士は、一体型のモノリシック構造を形成するよう一体化されており、
2つの隣接したクランプシステム130の第1クランプ構成要素132のうちの第1のものの第1凹型係合面137Aは、2つの隣接したクランプシステム130の第1クランプ構成要素132のうちの第2のものの第1凹型係合面137Aと反対の方向に面している、例13又は14に記載の電気配線システム113。
【0079】
16.
レール116が、横方向112に離間した複数の孔122を備え、
第1クランプ構成要素132は、第1クランプ構成要素132がレール116に対して横方向112に動くことを防止するために孔122のうちの対応する1つと係合される、小突起144を備える、例12から15のいずれか1つに記載の電気配線システム113。
【0080】
17.
長手方向110に離間した複数のレール116と、
複数のクランプシステム130であって、各々が複数のレール116のうちの対応する1つに取り付けられた、複数のクランプシステム130とを更に備え、
少なくとも1つのワイヤ束114が、複数のクランプシステム130の各々の、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に捕捉される、例12から16のいずれか1つに記載の電気配線システム113。
【0081】
18.航空機100の客室104のフロア108と航空機100の貨物室106との間で航空機100に連結されるよう構成されている、例12から17のいずれか1つに記載の電気配線システム113。
【0082】
19.長手方向110に延びている少なくとも1つのワイヤ束114を、横方向112に延びているレール116に固定する方法200であって、
第1クランプ構成要素132を、第1クランプ構成要素132の第1凹型係合面137Aが横方向112に面するように、レール116に非可動式に取り付けることと、
第2クランプ構成要素134を、第2クランプ構成要素134の第2凹型係合面137Bが第1クランプ構成要素132の第1凹型係合面137Aに面するように、レール116に摺動可能に取り付けることと、
第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束114を、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に位置付けることと、
第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束114が第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間にある状態で、第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束114を第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に捕捉するために、第2クランプ構成要素134を、第1クランプ構成要素132に向けて、レール116に沿って摺動させることと、
可撓性の保持ストラップ124により、第1クランプ構成要素132に対して第2クランプ構成要素134を保持することとを含む、
方法200。
【0083】
20.
第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束114を、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間から除去することと、
第1のサイズとは異なる第2のサイズの少なくとも1つのワイヤ束114を、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に位置付けることと、
第2のサイズの少なくとも1つのワイヤ束114が第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間にある状態で、第2のサイズの少なくとも1つのワイヤ束114を第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に捕捉するために、第2クランプ構成要素134を、第1クランプ構成要素132に向けて、レール116に沿って摺動させることとを更に含む、例19に記載の方法200。
【0084】
21.
少なくとも1つのワイヤ束114は複数のワイヤ束114を含み、
複数のワイヤ束114のうちの少なくとも1つではあるが複数のワイヤ束114の全てよりは少ないワイヤ束を、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間から除去することと、
複数のワイヤ束から少なくとも1つを取り除いたワイヤ束114を、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に捕捉するために、第2クランプ構成要素134を、第1クランプ構成要素132に向けて、レール116に沿って摺動させることとを更に含む、例19又は20に記載の方法200。
【0085】
22.
第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間の少なくとも1つのワイヤ束114に、少なくとも1つの更なるワイヤ束114を追加することと、
少なくとも1つのワイヤ束114、及び少なくとも1つの更なるワイヤ束114を、第1凹型係合面137Aと第2凹型係合面137Bとの間に捕捉するために、第2クランプ構成要素134を、まずは第1クランプ構成要素132から離れるように、次いで第1クランプ構成要素132に向けて、レール116に沿って摺動させることとを更に含む、例19から21のいずれか1つに記載の方法200。
【0086】
1A.様々なサイズのうちの任意のサイズを有する少なくとも1つのワイヤ束(114)を、横方向(112)に延びているレール(116)に固定するためのクランプシステム(130)であって、
第1凹型係合面(137A)を備え、かつ、レール(116)に固定的に取り付けられるよう構成された、第1クランプ構成要素(132)と、
第2凹型係合面(137B)を備え、かつ、レール(116)に摺動可能に取り付けられるよう構成された、第2クランプ構成要素(134)とを備え、
第1クランプ構成要素(132)及び第2クランプ構成要素(134)がレール(116)に取り付けられると、第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)とは互いに対面して、間にワイヤ束(114)を捕捉することが可能になり、第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間の距離は調整可能である、
クランプシステム(130)。
【0087】
2A.
レール(116)が、横方向(112)に離間した複数の孔(122)を備え、
第1クランプ構成要素(132)が、第1クランプ構成要素(132)がレール(116)に対して横方向(112)に動くことを防止するために孔(122)のうちの対応する1つと係合可能な、小突起(144)を備える、例1Aに記載のクランプシステム(130)。
【0088】
3A.第1クランプ構成要素(132)が、互いから離間したアーム(142A)であって、第1クランプ構成要素(132)がレール116に対して、横方向(112)に対して垂直な直立方向(120)に動くことを制限するために、アーム(142A)同士の間にレール(116)が取り外し可能に係合されるよう構成された、アーム(142A)を備える、例2Aに記載のクランプシステム(130)。
【0089】
4A.
第2クランプ構成要素(134)をレール(116)に摺動可能に取り付けることで、第2クランプ構成要素(134)の、レール(116)に沿った横方向(112)の摺動が促進され、
第2クランプ構成要素(134)が、互いから離間したアーム(142B)であって、第2クランプ構成要素(134)がレール(116)に対して、横方向(112)に対して垂直な直立方向(120)に動くことを制限するために、アーム(142B)同士の間にレール(116)が取り外し可能に係合されるよう構成された、アーム(142B)を備える、例2A又は3Aに記載のクランプシステム(130)。
【0090】
5A.第1クランプ構成要素(132)が、反対方向に面している2つの第1凹型係合面(137A)を備える、例1Aから4Aのいずれか1つに記載のクランプシステム(130)。
【0091】
6A.ワイヤ束(114)を第1クランプ構成要素(132)及び第2クランプ構成要素(134)に少なくとも部分的に固定するために、第1クランプ構成要素(132)、第2クランプ構成要素(134)、及びワイヤ束(114)と係合可能な、可撓性の保持ストラップ(124)を更に備える、例1Aから5Aのいずれか1つに記載のクランプシステム(130)。
【0092】
7A.可撓性の保持ストラップ(124)と第1クランプ構成要素(132)及び第2クランプ構成要素(134)との係合により、第2クランプ構成要素(134)が第1クランプ構成要素(132)から横方向(112)に離れるように動くことが制限される、例6Aに記載のクランプシステム(130)。
【0093】
8A.
第1クランプ構成要素(132)と第2クランプ構成要素(134)の一方が、第1クランプ構成要素(132)と第2クランプ構成要素(134)のこの一方と一体化されたラチェット機構(140)を備え、
ラチェット機構(140)は、可撓性の保持ストラップ(124)と係合し、可撓性の保持ストラップ(124)がラチェット機構(140)を通って一方向にだけ動くことを可能にするよう構成されている、例6A又は7Aに記載のクランプシステム(130)。
【0094】
9A.
第1クランプ構成要素(132)が少なくとも2つの第1クランプ構成要素開孔(158、160)を備え、可撓性の保持ストラップ(124)と第1クランプ構成要素(132)とを連結させるために、可撓性の保持ストラップ(124)はこれらの開孔を通って延在可能であり、
第2クランプ構成要素(134)が少なくとも2つの第2クランプ構成要素開孔(152、154)を備え、可撓性の保持ストラップ(124)と第2クランプ構成要素(134)とを連結させるために、可撓性の保持ストラップ(124)はこれらの開孔を通って延在可能である、例6A又は7Aに記載のクランプシステム(130)。
【0095】
10A.第1クランプ構成要素(132)が、第1クランプ構成要素(132)内に形成された貫通チャネル(150)であって、少なくとも2つの第1クランプ構成要素開孔(158、160)同士を相互連結する、貫通チャネル(150)を更に備える、例9Aに記載のクランプシステム(130)。
【0096】
11A.少なくとも2つの第1クランプ構成要素開孔(158、160)及び少なくとも2つの第2クランプ構成要素開孔(152、154)のうちの1つが、可撓性の保持ストラップ(124)のラチェット機構(125)と補完的に係合するよう構成されたポケット(146)を備える、例9A又は10Aに記載のクランプシステム(130)。
【0097】
12A.
横方向(112)に延びている少なくとも1つのレール(116)と、
少なくとも1つのワイヤ束(114)であって、各々が、横方向(112)に対して垂直な長手方向(110)に延びている複数のワイヤ(118)を備える、少なくとも1つのワイヤ束(114)と、
複数のクランプシステム(130)であって、各々が、
レール(116)に非可動式に取り付けられ、かつ第1凹型係合面(137A)を備える、第1クランプ構成要素(132)、
レール(116)に摺動可能に取り付けられ、かつ第1凹型係合面(137A)と対面する第2凹型係合面(137A)を備える、第2クランプ構成要素(134)であって、レール(116)に沿って横方向(112)に摺動可能であり、第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間にワイヤ束(114)が捕捉される、第2クランプ構成要素(134)、及び、
ワイヤ束(114)を第1クランプ構成要素(132)及び第2クランプ構成要素(134)に少なくとも部分的に固定し、かつ、第2クランプ構成要素(134)が第1クランプ構成要素(132)から横方向(112)に離れるように動くことを制限するために、第1クランプ構成要素(132)、第2クランプ構成要素(134)、及びワイヤ束(114)と係合される、可撓性の保持ストラップ(124)を備える、
複数のクランプシステム(130)とを備える、
電気配線システム(113)。
【0098】
13A.
複数のクランプシステム(130)の各々が、複数のワイヤ束(114)のうちの対応する1つを捕捉し、
複数のワイヤ束(114)が1つずつ、横方向(112)に離間している、例12Aに記載の電気配線システム(113)。
【0099】
14A.複数のクランプシステム(130)のうちの1つのクランプシステムの第1凹型係合面(137A)及び第2凹型係合面(137B)のサイズは、複数のクランプシステム(130)のうちの別のクランプシステムとは異なる、例13Aに記載の電気配線システム(113)。
【0100】
15A.
複数のクランプシステム(130)のうちの1つのクランプシステムの第1構成要素(132)と、複数のクランプシステム(130)のうちの隣接した1つのクランプシステムの第1クランプ構成要素(132)とが、一体型のモノリシック構造を形成するよう一体化されており、
複数のクランプシステム(130)のうちの1つのクランプシステムの第1クランプ構成要素(132)の第1凹型係合面(137A)は、複数のクランプシステム(130)のうちの隣接した1つのクランプシステムの第1クランプ構成要素(132)の第1凹型係合面(137A)と反対の方向に面している、例13A又は14Aに記載の電気配線システム(113)。
【0101】
16A.
レール(116)が、横方向(112)に離間した複数の孔(122)を備え、
第1クランプ構成要素(132)は、第1クランプ構成要素(132)がレール(116)に対して横方向(112)に動くことを防止するために孔(122)のうちの対応する1つと係合される、小突起(144)を備える、例12Aから15Aのいずれか1つに記載の電気配線システム(113)。
【0102】
17A.
長手方向(110)に離間した複数のレール(116)と、
複数のクランプシステム(130)であって、各々が、複数のレール(116)のうちの対応する1つに取り付けられた、複数のクランプシステム(130)とを更に備え、
少なくとも1つのワイヤ束(114)が、複数のクランプシステム(130)の各々の、第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間に捕捉される、例12Aから16Aのいずれか1つに記載の電気配線システム(113)。
【0103】
18A.航空機(100)の客室(104)のフロア(108)と航空機(100)の貨物室(106)との間で航空機(100)に連結されるよう構成されている、例12Aから17Aのいずれか1つに記載の電気配線システム(113)。
【0104】
19A.長手方向(110)に延びている少なくとも1つのワイヤ束(114)を、横方向(112)に延びているレール(116)に固定する方法(200)であって、
第1クランプ構成要素(132)を、第1クランプ構成要素(132)の第1凹型係合面(137A)が横方向(112)に面するように、レール(116)に非可動式に取り付けることと、
第2クランプ構成要素(134)を、第2クランプ構成要素(134)の第2凹型係合面(137B)が第1クランプ構成要素(132)の第1凹型係合面(137A)に面するように、レール(116)に摺動可能に取り付けることと、
第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束(114)を、第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間に位置付けることと、
第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束(114)が第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間にある状態で、第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束(114)を第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間に捕捉するために、第2クランプ構成要素(134)を、第1クランプ構成要素(132)に向けて、レール(116)に沿って摺動させることと、
可撓性の保持ストラップ(124)により、第1クランプ構成要素(132)に対して第2クランプ構成要素(134)を保持することとを含む、
方法(200)。
【0105】
20A.
第1のサイズの少なくとも1つのワイヤ束(114)を、第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間から除去することと、
第1のサイズとは異なる第2のサイズの少なくとも1つのワイヤ束(114)を、第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間に位置付けることと、
第2のサイズの少なくとも1つのワイヤ束(114)が第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間にある状態で、第2のサイズの少なくとも1つのワイヤ束(114)を第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間に捕捉するために、第2クランプ構成要素(134)を、第1クランプ構成要素(132)に向けて、レール(116)に沿って摺動させることとを更に含む、例19Aに記載の方法(200)。
【0106】
21A.
少なくとも1つのワイヤ束(114)は複数のワイヤ束を含み、
複数のワイヤ束のうちの少なくとも1つではあるが複数のワイヤ束の全てよりは少ないワイヤ束を、第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間から除去することと、
複数のワイヤ束のうちの少なくとも1つではあるが複数のワイヤ束の全てよりは少ないワイヤ束が第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間から除去された後に、残ったワイヤ束を捕捉するために、第2クランプ構成要素(134)を、第1クランプ構成要素(132)に向けて、レール(116)に沿って摺動させることとを更に含む、例19A又は20Aに記載の方法(200)。
【0107】
22A.
第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間の少なくとも1つのワイヤ束(114)に、少なくとも1つの更なるワイヤ束を追加することと、
少なくとも1つのワイヤ束(114)、及び少なくとも1つの更なるワイヤ束を、第1凹型係合面(137A)と第2凹型係合面(137B)との間に捕捉するために、第2クランプ構成要素(134)を、まずは第1クランプ構成要素(132)から離れるように、次いで第1クランプ構成要素(132)に向けて、レール(116)に沿って摺動させることとを更に含む、例19Aから21Aのいずれか1つに記載の方法(200)。
【0108】
[0073]航空機100が図示されているが、ワイヤがひとつに束ねられ、他の束に対して整理配置される、その他の可動輸送体又は非可動構造物においても、電気配線システム113は実装されうる。
【0109】
[0074]上記の説明において、「上(up)」、「下(down)」、「上側(upper)」、「下側(lower)」、「水平(horizontal)」、「垂直(vertical)」、「左(left)」、「右(right)」、「上方(over)」、「下方(under)」などといった、特定の語が使用されていることがある。これらの語は、相互関係について触れている場合に、説明に何らかの明確性をもたらすために、適宜使用されている。しかし、これらの語は、絶対的な関係性、位置、及び/又は配向を含意するためのものではない。例えば、ある対象物に関して、単にこの対象物の上下を逆にすることで、「上側」表面が「下側」表面になりうる。それでもなお、これは同じ対象物である。更に、「含む(including)」、「備える(comprising)」、「有する(having)」という語、及びこれらの変化形は、別途明示的に規定していない限り、「~を含むがそれらに限定されるわけではない(including but not limited to)」ことを意味する。列挙されたアイテムは、別途明示的に規定していない限り、それらのアイテムのいずれか又は全てが相互排他的及び/又は相互含有的であることを、含意するわけではない。「1つの(a/an)」、及び「その/この/前記(the)」という語も、別途明示的に規定していない限り、「一又は複数の(one or more)」という意味を表わす。更に、「複数(plurality)」という語は、「少なくとも2つ(at least two)」であると定義されうる。更に、特に記載していない限り、本書で明確にしているように、複数の特定の特徴は、必ずしも、特定の特徴のセットまたはクラス全体のあらゆる特定の特徴を意味するわけではない。
【0110】
[0075]加えて、この明細書における、1つの要素が別の要素に「連結される(coupled)」事例は、直接的及び間接的な連結を含みうる。直接的な連結は、1つの要素が別の要素に連結しており、かつ、別の要素と何らかの接触があることであると、定義されうる。間接的な連結は、2つの要素間の連結であって、互いに直接接触していないが、連結された要素同士の間に一又は複数の追加の要素を有する連結であると、定義されうる。更に、本書において、1つの要素を別の要素に固定することは、直接的に固定すること及び間接的に固定することを含みうる。加えて、本書において、「隣接(adjacent)」は必ずしも接触を意味するものではない。例えば、1つの要素は、別の要素に接触することなく隣接しうる。
【0111】
[0076]本書において、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ(at least one of)」という表現は、列挙されたアイテムのうちの一又は複数の種々の組み合わせが使用可能であり、必要とされうるのは列挙されたアイテムのうち1つだけでありうることを、意味している。アイテムとは、特定の物体、物品、又はカテゴリでありうる。換言すると、「~のうちの少なくとも1つ」は、任意の組み合わせのアイテム又は任意の数のアイテムが列挙された中から使用されうるが、列挙されたアイテムの全てが必要とされるわけではないことを、意味している。例えば、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」とは、「アイテムA」、「アイテムAとアイテムB」、「アイテムB」、「アイテムAとアイテムBとアイテムC」、又は「アイテムBとアイテムC」を意味しうる。場合によっては「アイテムA、アイテムB、及びアイテムCのうちの少なくとも1つ」とは、限定する訳ではないが例としては、「2つのアイテムA、1つのアイテムB、及び、10のアイテムC」、「4つのアイテムB及び7つのアイテムC」、又は、他の何らかの好適な組み合わせを意味しうる。
【0112】
[0077]別途指示していない限り、「第1(first)」、「第2(second)」などの語は、本書では単に符号として使用されており、これらの語が表わすアイテムに、順序的、位置的、又は序列的な要件を課すことを意図するものではない。更に、例えば「第2」のアイテムへの言及は、例えば「第1」の若しくはより小さい数がふられたアイテム、及び/又は、例えば「第3」の若しくはより大きな数がふられたアイテムの存在を、必要とすることも、排除することもない。
【0113】
[0078]本書において、特定の機能を実施する「よう構成/設定された(configured to)」システム、装置、構造物、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、実際には、いかなる変更も伴わずにその特定の機能を実施することが可能であり、更なる改変の後にその特定の機能を実施する可能性があるにすぎないというものではない。換言すると、特定の機能を実施する「よう構成/設定された」システム、装置、構造物、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、その特定の機能を実施するという目的のために、特に選択され、作り出され、実装され、利用され、プログラムされ、かつ/又は設計される。本書において、「よう構成/設定された」という表現は、システム、装置、構造物、物品、要素、構成要素、又はハードウェアが更なる改変を伴わずに特定の機能を実施することを可能にする、システム、装置、構造物、物品、要素、構成要素、又はハードウェアの特性が、存在することを意味する。この開示において、特定の機能を実施する「よう構成/設定され」ていると説明されているシステム、装置、構造物、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、追加的又は代替的には、その機能を実施するよう「適合している(adapted to)」、及び/又は、実施するよう「動作可能である(operative to)」とも説明されうる。
【0114】
[0079]本書に含まれている概略フロー図は、概括的には、論理フロー図として明示されている。そのため、記載の順序及び標識されたステップは、提示されている方法の一実施形態を示している。機能、論理、又は効果の点で図示している方法の一又は複数のステップ又はステップの部分と均等な、他のステップ及び方法も想起されうる。加えて、用いられている形式及び記号は、方法の論理ステップを解説するために提示されており、方法の範囲を限定するものではないと理解される。フロー図には様々な種類の矢印及び線が用いられうるが、これらは、対応する方法の範囲を限定するものではないと理解される。実際、一部の矢印又はその他の接続部は、方法の論理フローを示すためにのみ使用されうる。例えば、矢印は、図示している方法の列挙されたステップ同士の間の、不特定の長さの待機期間又はモニタリング期間を示しうる。加えて、特定の方法が行われる順序は、対応するステップの図示している順序に厳格に従うことも、従わないこともある。
【0115】
[0080]本書の主題は、その本質及び実質的な特性から逸脱することなく、他の具体的な形態において具現化されうる。説明されている実施形態はあらゆる点で例示にすぎず、限定的ではないとみなすべきである。特許請求の範囲の意義及び均等範囲に該当する全ての変更が、特許請求の範囲に包含されるものとする。