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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】媒体排出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/18 20060101AFI20240110BHJP
   B65H 31/24 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65H31/18
B65H31/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019178965
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021054590
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】杉谷 寛
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-347635(JP,A)
【文献】特開平06-144687(JP,A)
【文献】特開平06-127809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00- 31/40
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が積載される積載台と、
前記積載台を昇降させる昇降駆動部と、
前記昇降駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、少なくとも、前記積載台における前記媒体の積載量が積載可能量に到達する前に前記媒体の排出が途中停止となったこと、及び前記積載台に積載されている前記媒体の積載量が所定量以上であることに基づいて、前記積載台に前記媒体の取り出し高さまで下降する取り出し下降動作を行わせるように前記昇降駆動部を制御する
ことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記媒体の排出が途中停止になる前に入力された前記取り出し下降動作を行うか否かの設定を受け付け、
前記制御部は、少なくとも、前記積載台における前記媒体の積載量が積載可能量に到達する前に前記媒体の排出が途中停止となったこと、前記積載台に積載されている前記媒体の積載量が所定量以上であること、及び前記取り出し下降動作を行う設定がされていることに基づいて、前記積載台に前記取り出し下降動作を行わせるように前記昇降駆動部を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の媒体排出装置。
【請求項3】
媒体が積載される複数の積載台と、
前記複数の積載台を昇降させる複数の昇降駆動部と、
前記複数の昇降駆動部を制御する制御部と、
前記媒体の排出経路を前記複数の積載台のいずれかに切り替える排出経路切り替え部とを備え、
前記制御部は、前記複数の積載台のうち、一部の前記積載台への排出が、当該積載台における前記媒体の積載量が積載可能量に到達する前に途中停止となった場合に、他の積載台に前記媒体が所定量以上積載されているか否かに基づいて、前記一部の積載台又は前記他の積載台に前記媒体の取り出し高さまで下降する取り出し下降動作を行わせるように前記昇降駆動部を制御するとともに、前記媒体の排出が再開される場合、前記取り出し下降動作を行っていない前記積載台に前記媒体が排出されるように前記排出経路切り替え部を制御する
ことを特徴とする媒体排出装置。
【請求項4】
媒体が積載される積載台と、
前記積載台を昇降させる昇降駆動部と、
前記昇降駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、少なくとも、前記積載台における前記媒体の積載量が積載可能量に到達する前に前記媒体の排出が途中停止となったこと、及び排出予定枚数の前記媒体が、前記積載台から前記媒体が取り出されないと前記積載台に積載できないことに基づいて、前記積載台に前記媒体の取り出し高さまで下降する取り出し下降動作を行わせるように前記昇降駆動部を制御する
ことを特徴とする媒体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体が積載される媒体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置において印刷が行われた媒体は、印刷装置とは別体に配置された媒体排出装置又は印刷装置に一体に組み込まれた媒体排出装置へ排出され、媒体排出装置に積載される。
【0003】
印刷装置では、インク切れ、媒体の搬送ジャム、印刷ヘッドのクリーニング動作などによって、印刷が途中停止されることがある。このような印刷の途中停止は、中断スイッチの操作によっても行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-105383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように印刷が途中停止されると、印刷装置から排出された媒体が積載される媒体排出装置では、媒体の積載量が積載可能量に到達する前に媒体の排出が途中停止することになる。
【0006】
媒体排出装置では、媒体の排出が途中停止されると、途中停止の原因が解消するまで、すなわち、印刷装置の使用者がインクカートリッジ交換や搬送ジャムが生じた媒体の除去などの対処を行ったり、クリーニング動作などの処理が終了したりするまで、媒体の排出は再開されない。
【0007】
そして、媒体排出装置のダウンタイムは、上述のように使用者が対処を行う場合、排出の途中停止後、使用者が印刷装置に到着するまでの時間も含まれる。
【0008】
また、媒体排出装置のダウンタイムは、媒体の排出が途中停止された場合のみならず、媒体の積載量が積載可能量に到達した場合にも、使用者が媒体を取出す作業時間、及び使用者が媒体排出装置に到着するまでの時間だけかかることになる。
【0009】
なお、媒体排出装置は、印刷装置に限らず、例えば、処理装置、搬送装置などの媒体を排出する装置から排出された媒体が積載される場合にも、同様に、媒体を排出する装置の途中停止に伴って、媒体排出装置における媒体の排出も途中停止することになる。
【0010】
本発明の目的は、ダウンタイムを低減することができる媒体排出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの態様では、媒体排出装置は、媒体が積載される積載台と、前記積載台を昇降させる昇降駆動部と、前記昇降駆動部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、少なくとも、前記積載台における前記媒体の積載量が積載可能量に到達する前に前記媒体の排出が途中停止となったことに基づいて、前記積載台に前記媒体の取り出し高さまで下降する取り出し下降動作を行わせるように前記昇降駆動部を制御する。
【発明の効果】
【0012】
前記態様によれば、媒体排出装置のダウンタイムを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施の形態における印刷システムを示す構成図である。
図2】一実施の形態における印刷システムの一部の制御構成を示す図である。
図3】一実施の形態に係る媒体排出装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図4A】一実施の形態における媒体の積載量が少量の場合の取り出し高さを説明するための説明図である。
図4B】一実施の形態における媒体の積載量が多量の場合の取り出し高さを説明するための説明図である。
図5】一実施の形態に係る媒体排出装置の第1変形例の動作を説明するためのフローチャートである。
図6】一実施の形態に係る媒体排出装置の第2変形例の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係る媒体排出装置について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、一実施の形態における印刷システム100を示す構成図である。
図2は、印刷システム100の一部の制御構成を示す図である。
【0016】
図1に示すように、印刷システム100は、媒体供給装置110と、第1印刷装置120と、反転装置130と、第2印刷装置140と、媒体排出装置1とを備える。また、図2に示すように、印刷システム100は、操作パネル150を備える。
【0017】
なお、図1には、例えば用紙(枚葉紙)である媒体Mの第1供給経路R1、第2供給経路R2、直進搬送経路R3,R6-1,R7,R10-1、第1排出経路R11、及び第2排出経路R12を実線で、循環搬送経路R4,R8を2点鎖線で、反転搬送経路R5,R6-2,R9,R10-2を破線で示す。
【0018】
媒体供給装置110は、第1積載台111と、第2積載台112と、第1供給部113と、第2供給部114と、複数の搬送ローラ対115とを有する。第1積載台111及び第2積載台112は、媒体Mが積載される複数の積載台の一例である。
【0019】
第1積載台111及び第2積載台112には、媒体Mが積載されている。第1積載台111及び第2積載台112には、異なるサイズ(種類の一例)の媒体Mが積載されてもよい。この媒体Mの種類としては、サイズに限らず、例えば、媒体Mがマット紙であるか否か、媒体Mが厚紙であるか否か、媒体の色なども挙げられる。また、第1積載台111及び第2積載台112のそれぞれには、一例ではあるが、数千枚(例えば4000枚)程度の媒体Mが積載可能であるとよい。媒体供給装置110には、単一の積載台のみが配置されていてもよいし、或いは、3つ以上の積載台が配置されてもよい。また、各々が積載台を有する複数の媒体供給装置が配置されていてもよい。
【0020】
第1供給部113は、第1積載台111に積載された複数枚の媒体Mのうち最上位に位置する媒体Mを繰り出して搬送するローラ或いはベルトなどの搬送部材と、この搬送部材を駆動するモータ等の供給駆動手段(アクチュエータ)とを有する。
【0021】
第2供給部114は、第2積載台112に積載された複数枚の媒体Mのうち最上位に位置する媒体Mを繰り出して搬送するローラ或いはベルトなどの搬送部材と、この搬送部材を駆動するモータ等の供給駆動手段(アクチュエータ)とを有する。
【0022】
搬送ローラ対115は、第1積載台111から媒体Mが供給される第1供給経路R1、第2積載台112から媒体Mが供給される第2供給経路R2、及びこれらが合流した直進搬送経路R3のそれぞれに配置され、媒体Mをニップしながら搬送する。
【0023】
第1印刷装置120は、複数の搬送ローラ対121と、印刷部122と、吸着搬送部123と、搬送経路切り替え部124,125と、排出部126とを有する。また、図2に示すように、第1印刷装置120は、制御部127と、記憶部128と、インターフェース部129とを有する。
【0024】
搬送ローラ対121は、印刷装置120内に複数対配置され、媒体Mをニップしながら搬送する。
【0025】
印刷部122は、例えば、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有し、媒体Mに印刷を行う。なお、印刷部122の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。
【0026】
吸着搬送部123は、印刷部122に対向するように配置されている。吸着搬送部123は、媒体Mを吸着しながらベルトによって媒体Mを搬送する。吸着搬送部123は、搬送手段の一例である。
【0027】
一方の搬送経路切り替え部124は、印刷部122によって印刷が行われた媒体Mの搬送経路(直進搬送経路R3)を、反転装置130へそのまま続く直進搬送経路R3と、排出部126や反転搬送経路R5へ続く循環搬送経路R4とに切り替える。
【0028】
他方の搬送経路切り替え部125は、媒体Mの循環搬送経路R4を、排出部126へ続く搬送経路と、反転搬送経路R5へ続く搬送経路とに切り替える。なお、媒体Mは、反転搬送経路R5において表裏が逆転し、再び印刷部122へ搬送される。
【0029】
排出部126には、媒体排出装置1へ排出されない媒体Mが積載される。
図2に示す制御部127は、第1印刷装置120全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有し、印刷部122、吸着搬送部123等の第1印刷装置120の各部の動作を制御する。なお、後述する第2印刷装置140の制御部147、媒体排出装置1の制御部51などのうちの少なくとも1つと、第1印刷装置120の制御部127とを兼ねる制御部が配置されていてもよい。
【0030】
記憶部128は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などである。
【0031】
インターフェース部129は、印刷システム100の媒体排出装置1、媒体供給装置110、反転装置130、第2印刷装置140などや、印刷ジョブを印刷システム100に送信するコンピュータなどとの間で各種情報の授受を行う。
【0032】
図1に示すように、反転装置130は、複数の搬送ローラ対131と、搬送経路切り替え部132と、スイッチバックローラ対133とを有する。
【0033】
搬送ローラ対131は、第1印刷装置120から排出された媒体Mをニップしながら搬送する。
【0034】
搬送経路切り替え部132は、第1印刷装置120から排出された媒体Mをそのまま第2印刷装置140に搬送する直進搬送経路R6-1と、スイッチバックローラ対133によって媒体Mの表裏を逆転させる反転搬送経路R6-2とに搬送経路を切り替える。
【0035】
第2印刷装置140は、第1印刷装置120と同様に、複数の搬送ローラ対141と、印刷部142と、吸着搬送部143と、搬送経路切り替え部144,145と、排出部146とを有する。また、図2に示すように、第2印刷装置140は、制御部147と、記憶部148と、インターフェース部149とを有する。
【0036】
第2印刷装置140の構成は、第1印刷装置120の構成と同様にすることができるため詳細な説明は省略するが、一方の搬送経路切り替え部144は、印刷部142によって印刷が行われた媒体Mの搬送経路を、媒体排出装置1へ続く直進搬送経路R7と、排出部146や反転搬送経路R9へ続く循環搬送経路R8とに切り替える。他方の搬送経路切り替え部145は、媒体Mの循環搬送経路R8を、排出部146へ続く搬送経路と、反転搬送経路R9へ続く搬送経路とに切り替える。
【0037】
なお、印刷システム100は、第1印刷装置120の印刷部122及び第2印刷装置140の印刷部142の計2つの印刷部を備えるが、単一の印刷部のみを備えていてもよいし、或いは、3つ以上の印刷部を備えていてもよい。
【0038】
操作パネル150は、例えば、各種情報を表示するディスプレイ、このディスプレイの表示内容を制御する表示制御部、ディスプレイの上に配置されたタッチパネル、印刷システム100の各種操作を行うための操作キーなどを有し、印刷システム100の表示部、表示制御部、及び入力部の一例として機能する。なお、操作パネル150は、第1印刷装置120及び第2印刷装置140の一方又は両方に備えられている操作パネルであってもよい。
【0039】
操作パネル150は、詳しくは後述するが、媒体排出装置1の積載台11,21への媒体Mの排出が途中停止になった場合に積載台11が取り出し高さまで下降する取り出し下降動作を行うか否かの設定が入力される。この取り出し下降動作を行うか否かの設定は、予め入力されていてもよいが、媒体Mの排出が途中停止になった場合に使用者に設定の入力が報知された後、使用者によって入力されてもよい。また、取り出し下降動作を行うか否かの設定は、印刷ジョブを印刷システム100に送信するコンピュータなどにおいて入力されてもよい。操作パネル150又はコンピュータなどにおいて入力された取り出し下降動作を行うか否かの設定の情報は、後述する媒体排出装置1の制御部51に送られる。
【0040】
図1に示すように、媒体排出装置1は、第1媒体積載部10と、第2媒体積載部20と、第1中間搬送部30と、第2中間搬送部40とを備える。また、図2に示すように、媒体排出装置1は、制御部51と、記憶部52と、インターフェース部53とを備える。
【0041】
なお、第1媒体積載部10及び第2媒体積載部20のうち一方が省略され、単一の媒体積載部のみが配置されていてもよい。また、第1中間搬送部30及び第2中間搬送部40のうち少なくとも一方が省略され、第2印刷装置140から第1媒体積載部10及び第2媒体積載部20のうち少なくとも一方に直接的に媒体Mが搬送されてもよい。また、媒体排出装置1は、第1媒体積載部10、第2媒体積載部20、第1中間搬送部30、及び第2中間搬送部40のうち少なくとも2つが一体となっている媒体排出装置であってもよい。また、媒体排出装置1は、例えば単一の印刷装置などの媒体Mを排出する装置に一体に組み込まれているものであってもよい。
【0042】
第1媒体積載部10は、積載台11と、可動エンドフェンス12と、オフセットガイド13と、上面検知センサ14とを有する。また、図2に示すように、第1媒体積載部10は、積載台昇降駆動部15と、オフセット駆動部16とを有する。
【0043】
積載台11には、第1中間搬送部30から排出された媒体M、すなわち第1印刷装置120及び第2印刷装置140のうち少なくとも一方において印刷が行われた媒体Mが順次積載される。積載台11は、積載台昇降駆動部15の駆動によって昇降する。積載台11には、一例ではあるが、数千枚(例えば4000枚)程度の媒体Mが積載可能であるとよい。
【0044】
なお、積載台11は、媒体Mが積載されるベルトコンベアやローラコンベアなど、すなわち、搬送手段を有する積載台であってもよい。また、積載台11は、台車に媒体Mを受け渡すことができるように、台車と同じ高さに下降しても台車と干渉しないための溝などが設けられていてもよい。
【0045】
可動エンドフェンス12及びオフセットガイド13は、積載台11に積載される媒体Mを仕切る仕切り動作を行う仕切り手段の一例である。可動エンドフェンス12及びオフセットガイド13は、仕切り動作の一例として、積載台11における媒体Mの積載位置をオフセットするオフセット動作を行う。但し、仕切り動作は、例えば、媒体Mの間にテープや白紙などの挿入物を挿入したり、媒体Mを折り曲げたり、媒体Mに目印をつけたり、或いは複数枚の媒体Mをステープルによって束ねたりする動作などであってもよく、オフセット動作に限られない。
【0046】
可動エンドフェンス12及びオフセットガイド13は、オフセット駆動部16の駆動によって、媒体Mの積載位置を例えば排出方向の前後(図1における左右方向)に移動させる。可動エンドフェンス12には、第1中間搬送部30から排出される媒体Mの先端が突き当てられる。オフセットガイド13は、媒体Mの後端をガイドする。
【0047】
上面検知センサ14は、積載台11における積載面の高さ、すなわち、最上位の媒体Mの高さ(媒体Mが積載されていない状態では積載台11の上面の高さ)を検知するためのセンサである。上面検知センサ14は、例えば、所望の積載面となる高さに水平に光(図1に点線で図示)を照射する発光部と、この光を受光する受光部とを有する。後述する制御部51は、上面検知センサ14の発光部から照射された光が媒体Mによって遮られて上面検知センサ14の受光部が受光しない場合に、積載台11を例えば媒体M数枚分の高さだけ下降させるように積載台昇降駆動部15を制御する。
【0048】
積載台昇降駆動部15は、積載台11を昇降させる昇降駆動部の一例である。積載台昇降駆動部15は、例えばモータ等のアクチュエータである。
【0049】
オフセット駆動部16は、可動エンドフェンス12及びオフセットガイド13を排出方向の前後(図1における左右方向)に移動させることによって、媒体Mの積載位置を排出方向の前後に変化させる。オフセット駆動部16は、例えばモータ等のアクチュエータである。
【0050】
第2媒体積載部20は、第1媒体積載部10と同様に、積載台21と、可動エンドフェンス22と、オフセットガイド23と、上面検知センサ24と、積載台昇降駆動部25と、オフセット駆動部26とを有する。
【0051】
第2媒体積載部20の構成は、第1媒体積載部10の構成と同様にすることができるため、詳細な説明は省略するが、積載台21には、第1中間搬送部30から直接排出される媒体Mではなく、第1中間搬送部30及び第2中間搬送部40を搬送され、第2中間搬送部40から排出された媒体Mが積載される。
【0052】
なお、媒体排出装置1は、複数の積載台の一例として、2つの積載台11,21を備えるが、1つのみ又は3つ以上の積載台を備えていてもよい。
【0053】
図1に示すように、第1中間搬送部30は、複数の搬送ローラ対31と、搬送経路切り替え部32と、スイッチバックローラ対33と、排出経路切り替え部34とを有する。
【0054】
搬送ローラ対31は、第2印刷装置140から排出された媒体Mをニップしながら搬送する。
【0055】
搬送経路切り替え部32は、第2印刷装置140から排出された媒体Mの搬送経路(直進搬送経路R7)を、そのまま排出経路切り替え部34に搬送する直進搬送経路R10-1と、スイッチバックローラ対33によって媒体Mの表裏を逆転させる反転搬送経路R10-2とに切り替える。なお、第1中間搬送部30の反転搬送経路R10-2及びスイッチバックローラ対33は、省略されてもよい。
【0056】
排出経路切り替え部34は、直進搬送経路R10-1と反転搬送経路R10-2とが合流した媒体Mの排出経路を、第1媒体積載部10へ続く第1排出経路R11と、第2中間搬送部40を介して第2媒体積載部20へ続く第2排出経路R12とに切り替える。排出経路切り替え部34は、例えばフリッパである。なお、上述のように、媒体排出装置1が3つ以上の積載台(媒体積載部)を有する場合には、1つ又は複数の排出経路切り替え部が、媒体Mの排出経路を3つ以上の積載台(媒体積載部)のいずれかに切り替えることになる。
【0057】
第2中間搬送部40は、第1中間搬送部30から排出された媒体Mを第2媒体積載部20へ搬送する。第2中間搬送部40は、複数の搬送ローラ対41を有する。搬送ローラ対41は、媒体Mをニップしながら第2媒体積載部20へ搬送する。
【0058】
なお、第2中間搬送部40も、第1中間搬送部30と同様に媒体Mの表裏を逆転させる反転搬送経路を有していてもよい。
【0059】
図2に示す媒体排出装置1の制御部51は、媒体排出装置1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU)を有し、積載台昇降駆動部15,25、排出経路切り替え部34等の各部の動作を制御する。なお、制御部51は、単一の制御部に限られず、例えば、第1媒体積載部10を制御する制御部と、第2媒体積載部20を制御する制御部と、第1中間搬送部30(排出経路切り替え部34)を制御する制御部と、第2中間搬送部40を制御する制御部とのうち少なくとも1つが分離して配置されたものであってもよい。また、第1印刷装置120の制御部127、第2印刷装置140の制御部147などのうちの少なくとも1つと、媒体排出装置1の制御部51とを兼ねる制御部が配置されていてもよい。
【0060】
記憶部52は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAMなどである。
【0061】
インターフェース部53は、印刷システム100の第1印刷装置120、第2印刷装置140などや、印刷ジョブを印刷システム100に送信するコンピュータなどとの間で各種情報の授受を行う。
【0062】
なお、媒体排出装置1は、第1印刷装置120及び第2印刷装置140のうち少なくとも一方において印刷が行われた媒体Mが積載されるのではなく、媒体Mに印刷以外の処理を行う処理装置や、媒体Mを搬送する搬送装置から排出される媒体Mが積載されてもよい。
【0063】
以下、図3を参照しながら媒体排出装置1の動作について、上述の説明と重複する事項については適宜省略しながら説明する。
【0064】
図3は、媒体排出装置1の動作を説明するためのフローチャートである。
図3に示すフローチャートの各処理は、図2に示す媒体排出装置1の制御部51によって行われる。但し、各処理は、印刷システム100の他の制御部(例えば、第1印刷装置120及び第2印刷装置140の制御部127,147)によって行われ、その処理に基づき、制御部51が媒体排出装置1の動作を制御してもよい。
【0065】
なお、以下では、第1媒体積載部10の積載台11に媒体Mが積載される例について説明するが、第2媒体積載部20の積載台21に媒体Mが積載される場合でも同様のことがいえる。
【0066】
まず、第1印刷装置120及び第2印刷装置140における印刷が開始され、第1媒体積載部10の積載台11への媒体Mの排出が開始すると、媒体排出装置1の制御部51は、例えば、積載台11の高さを検知する図示しない高さ検知センサの検知結果に基づき、積載台11における媒体Mの積載量が満タンになったか(積載可能量に到達したか)、或いは、第1印刷装置120、第2印刷装置140等から受ける情報に基づき、媒体Mの排出(印刷)が終了したかを判定する(ステップS101)。
【0067】
制御部51は、積載台11における媒体Mの積載量が満タンになった場合、或いは、媒体Mの排出(印刷)が終了した場合(ステップS101:YES)、積載台11に図4Bに示す媒体Mの取り出し高さH2まで下降する取り出し下降動作を行わせるように積載台昇降駆動部15を制御し(ステップS102)、図3に示す処理を終了する。
【0068】
一方、積載台11における媒体Mの積載量が満タンになっておらず、且つ媒体Mの排出(印刷)が終了していない場合(ステップS101:NO)、制御部51は、媒体Mの排出が途中停止となったか否かを判定する(ステップS103)。この途中停止は、例えば、印刷部122,142におけるインク切れやクリーニング動作の開始、印刷システム100における媒体Mの搬送ジャム、使用者による中断操作(例えば、中断スイッチの押下)などによるものであり、制御部51は、例えば、第1印刷装置120、第2印刷装置140などから途中停止となったことの情報を受ける。
【0069】
制御部51は、媒体Mの排出が途中停止となっていない場合(ステップS103:NO)、上述のステップS101から処理を繰り返す。
【0070】
制御部51は、媒体Mの排出が途中停止となった場合(ステップS103:YES)、上述のように、操作パネル150などにおいて積載台11が取り出し高さまで下降する取り出し下降動作を行う設定がされているか否かを判定する(ステップS104)。
【0071】
制御部51は、取り出し下降動作を行う設定がされている場合(ステップS104:YES)、積載台11に媒体Mの取り出し高さ(図4A及び図4Bに示す取り出し高さH1,H2)まで下降する取り出し下降動作を行わせるように積載台昇降駆動部15を制御する(ステップS105)。なお、取り出し下降動作が行われた場合、上述の図2に示す操作パネル150などにおいて、積載台11が取り出し高さまで下降したことが媒体排出装置1の使用者に報知されるとよい。また、第1媒体積載部10及び第2媒体積載部20に媒体Mの積載空間を開閉するための扉などが設けられ、この扉がロックされている場合には、取り出し下降動作に伴ってロックが解除されるとよい。また、取り出し下降動作を行う設定がされているか否かの判定処理(ステップS104)は、省略されてもよい。
【0072】
また、取り出し下降動作を行う設定がされているか否かの判定処理(ステップS104)に代えて、或いはこの判定処理(ステップS104)の前後に、例えば、積載台11の高さを検知する図示しない高さ検知センサの検知結果に基づき、積載台11に積載されている媒体Mの積載量を判別する処理が行われてもよい。例えば、積載台11に積載されている媒体Mの積載量が所定量未満である場合、積載台11の取り出し下降動作(ステップS105)を回避するとよい。
【0073】
また、取り出し下降動作を行う設定がされているか否かの判定処理(ステップS104)に代えて、或いはこの判定処理(ステップS104)の前後に、例えば、残りの印刷ジョブ及び積載台11の高さを検知する図示しない高さ検知センサの検知結果に基づき、排出予定枚数の媒体Mが、積載台11から媒体Mが取り出されなくても積載台11に積載可能であるか否かの判定処理が行われてもよい。例えば、排出予定枚数の媒体Mが、積載台11から媒体Mが取り出されなくても積載台11に積載可能である場合、積載台11の取り出し下降動作(ステップS105)を回避するとよい。
【0074】
図4Aは、媒体Mの積載量が少量の場合の取り出し高さH1を説明するための説明図であり、図4Bは、媒体Mの積載量が多量の場合の取り出し高さH2を説明するための説明図である。
【0075】
媒体Mの排出が途中停止となった場合(ステップS103:YES)、積載台11の積載量が満タンではないため(ステップS101:NO)、図4Aに示すように積載量が少量となる場合もある。この場合に、図4Bに示すように、上述の積載量が満タンの場合(ステップS102)の取り出し高さH2まで下降させると、媒体排出装置1の使用者が積載台11上から媒体Mを取り出しにくい。そこで、積載量が少量(例えば1000枚未満)の場合には、積載台11は、第1媒体積載部10における中央程度の高さ(満タンの場合の取り出し高さH2よりも上方)の取り出し高さH1まで下降するとよい。一方、積載量が多量(例えば1000枚以上)の場合には、積載台11は、積載量が満タンの場合(ステップS102)の取り出し高さH2まで下降するとよい。なお、積載台11の取り出し高さは、2つの取り出し高さH1,H2に限られず、積載量に応じて3段階以上に変動する高さであってもよい。
【0076】
図3のフローチャートに戻り、取り出し下降動作(ステップS105)が行われた場合、及び取り出し下降動作を行う設定がされていない場合(ステップS104:NO)の続きの処理について説明を続ける。
【0077】
制御部51は、媒体排出装置1の使用者がインクカートリッジ交換や搬送ジャムが生じた媒体Mの除去などの対処を行ったり、クリーニング動作などの処理が終了したりすることで途中停止の原因が解消した後、使用者が印刷(排出)再開の操作を例えば図2に示す操作パネル150において行ったか、すなわち媒体Mの排出が再開可能となったかを、排出が再開可能となるまで繰り返し判定する(ステップS106)。
【0078】
なお、取り出し下降動作(ステップS105)が行われた後、媒体排出装置1の使用者が積載台11に積載された媒体Mを取り出さない場合もある。この場合、制御部51は、例えば、図2に示す操作パネル150における使用者の操作に基づき、或いは、第1媒体積載部10の扉の開閉状態や上面検知センサ14の検知結果などに基づき、第1媒体積載部10の媒体Mが取り出されなかったことを判別するとよい。
【0079】
制御部51は、排出が再開可能となると(ステップS106:YES)、積載台11(媒体Mが取り出されなかった場合には媒体M)が上面検知センサ14で検知されるまで上昇するように積載台昇降駆動部15を制御するとともに、第1中間搬送部30の排出経路切り替え部34に、排出経路をそのまま第1媒体積載部10(第1排出経路R11)とさせたまま、搬送ローラ対31等に媒体Mの排出を行わせる(ステップS107)。その後、制御部51は、上述のステップS101から処理を繰り返す。
【0080】
ここで、例えば、5000枚の印刷ジョブにおいて、1分毎に150枚のA4サイズ横向きの媒体Mが排出されている途中で、2000枚の媒体Mが排出された時点で排出が途中停止となったときに、積載台11が取り出し下降動作を行う場合(本実施の形態)と行わない場合(比較例)とのそれぞれについて、媒体排出装置1の動作の流れを説明する。なお、積載台11には、4000枚の媒体Mが積載可能であるものとする。
【0081】
まず、本実施の形態のように排出の途中停止後に積載台11が取り出し下降動作を行う場合、「2000枚印刷」(13.3分)、「印刷再開処理及び媒体M取り出し」、「3000枚印刷」(20分)、「媒体M取り出し」で、印刷の33.3分と、「印刷再開処理及び媒体M取り出し」の時間並びに「媒体M取り出し」の時間とがかかる。
【0082】
一方、比較例のように排出の途中停止後に積載台11が取り出し下降動作を行わない場合、「2000枚印刷」(13.3分)、「印刷再開処理」、「2000枚印刷」(13.3分)、「媒体M取り出し」、「1000枚印刷」(6.7分)、「媒体M取り出し」で、印刷の33.3分と、「印刷再開処理」及び2回の「媒体M取り出し」の時間とがかかる。
【0083】
本実施の形態では、1回目の「媒体M取り出し」が「印刷再開処理」と同時に行われるため、使用者が媒体排出装置1に足を運ぶ回数が2回であるのに対し、比較例では、使用者が媒体排出装置1に足を運ぶ回数が3回である。
【0084】
そのため、本実施の形態では、使用者が媒体排出装置1に到着するまでの時間が比較例よりも1回分少なくて済み、ひいては印刷(排出)完了までの時間が比較例よりも短時間で済み、画像形成(印刷)の生産性が向上する。更には、本実施の形態では、比較例の最長13.3分よりも長い20分の連続した使用者の手離れ時間が得られるため、使用者が他の作業を行いやすくなる。
【0085】
以下、図5を参照しながら媒体排出装置1の第1変形例の動作について、上述の説明と重複する事項については適宜省略しながら説明する。
【0086】
図5は、第1変形例の動作を説明するためのフローチャートである。
図5に示すフローチャートの各処理は、例えば図2に示す媒体排出装置1の制御部51によって行われる。
【0087】
本第1変形例では、第1媒体積載部10(積載台11)及び第2媒体積載部20(積載台21)のそれぞれに媒体Mが積載される例について説明する。
【0088】
まず、第1印刷装置120及び第2印刷装置140における印刷が開始され、第1媒体積載部10又は第2媒体積載部20の積載台11,21への媒体Mの排出が開始すると、媒体排出装置1の制御部51は、積載台11,21における媒体Mの積載量が満タンになったか(積載可能量に到達したか)、或いは、媒体Mの排出(印刷)が終了したかを判定する(ステップS201)。
【0089】
制御部51は、積載台11,21における媒体Mの積載量が満タンになった場合、或いは、媒体Mの排出(印刷)が終了した場合(ステップS201:YES)、積載台11,21に媒体Mの取り出し高さH2(図4B参照)まで下降する取り出し下降動作を行わせるように積載台昇降駆動部15,25を制御し(ステップS202)、図5に示す処理を終了する。
【0090】
一方、積載台11,21における媒体Mの積載量が満タンになっておらず、且つ媒体Mの排出(印刷)が終了していない場合(ステップS201:NO)、制御部51は、媒体Mの排出が途中停止となったか否かを判定する(ステップS203)。
【0091】
制御部51は、媒体Mの排出が途中停止となっていない場合(ステップS203:NO)、上述のステップS201から処理を繰り返す。
【0092】
制御部51は、媒体Mの排出が途中停止となった場合(ステップS203:YES)、上述のように、操作パネル150などにおいて、積載台11が取り出し高さまで下降する取り出し下降動作を行う設定がされているか否かを判定する(ステップS204)。
【0093】
制御部51は、取り出し下降動作を行う設定がされていない場合(ステップS204:NO)、後述するステップS207の処理を行う。
【0094】
制御部51は、取り出し下降動作を行う設定がされている場合(ステップS204:YES)、媒体Mが積載されていた積載台11,21とは異なる他の積載台11,21に媒体Mが積載されているかを判定する(ステップS205)。
【0095】
制御部51は、他の積載台11,21に媒体Mが積載されている場合(ステップS205:YES)、他の積載台11,21に、媒体Mの取り出し高さまで下降する取り出し下降動作を行わせるように積載台昇降駆動部15,25を制御する(ステップS206)。この処理は、媒体Mの取り出しを促すものであり、後述するステップS208の処理で元の積載台11,21に媒体Mが排出されるので、その間に媒体Mを取り出すことができる。
【0096】
次に、制御部51は、途中停止の原因が解消した後、使用者が印刷(排出)再開の操作を例えば図2に示す操作パネル150において行ったか、すなわち媒体Mの排出が再開可能となったかを、排出が再開可能となるまで繰り返し判定する(ステップS207)。
【0097】
制御部51は、排出が再開可能となると(ステップS207:YES)、媒体Mが積載されていた元の積載台11,21が上面検知センサ14,24で検知されるまで上昇するように積載台昇降駆動部15,25を制御するとともに、第1中間搬送部30の排出経路切り替え部34に、排出経路を元の積載台11,21とさせたまま、搬送ローラ対31等に媒体Mの排出を行わせる(ステップS208)。その後、制御部51は、上述のステップS201から処理を繰り返す。
【0098】
制御部51は、上述のステップS205において、他の積載台11,21に媒体Mが積載されていない場合(ステップS205:NO)、媒体Mが積載されていた元の積載台11,21に、媒体Mの取り出し高さまで下降する取り出し下降動作を行わせるように積載台昇降駆動部15,25を制御する(ステップS209)。この処理は、媒体Mの取り出しを促すものであり、後述するステップS211の処理で他の積載台11,21に媒体Mが排出されるので、その間に媒体Mを取り出すことができる。本第1変形例では、1つの積載台が媒体取り出し位置に来て、媒体Mを取り出すことと並行して排出が他の積載台に再開されるので、排出再開後、2つの積載台をフル容量排出できる。
【0099】
次に、制御部51は、途中停止の原因が解消した後、使用者が印刷(排出)再開の操作を例えば図2に示す操作パネル150において行ったか、すなわち媒体Mの排出が再開可能となったかを、排出が再開可能となるまで繰り返し判定する(ステップS210)。
【0100】
制御部51は、排出が再開可能となると(ステップS210:YES)、排出経路切り替え部34に、排出経路を元の積載台11,21から他の積載台11,21に切り替えさせ、搬送ローラ対31等に媒体Mの排出を行わせる(ステップS211)。その後、制御部51は、上述のステップS201から処理を繰り返す。
【0101】
なお、本第1変形例では、上述のステップS205において、媒体Mの積載状況の一例として、他の積載台11,21に媒体Mが積載されているかを判定しており、媒体Mが積載されている場合には他の積載台11,21から媒体が取り出されることになるため、他の積載台11,21がごく少量の媒体Mを積載している場合にも取り出し下降動作が行われることになる。そこで、上述のステップS205において、媒体Mの積載状況の別の一例として、他の積載台11,21に媒体Mが所定量以上積載されているか否かを判定してもよい。
【0102】
以下、図6を参照しながら媒体排出装置1の第2変形例の動作について、上述の説明と重複する事項については適宜省略しながら説明する。本第2変形例では、2つの積載台を使って、それぞれオフセット動作を行う排出を行い、一方の積載台でオフセット動作中に、排出経路を他の積載台に切り替え、他の積載台に排出を行わせる場合に、媒体Mの排出が途中停止となる例について説明する。
【0103】
後述するステップS307の処理のように、2つの積載台を取り出し位置に移動させ、2つともいったん媒体Mを取り出すことができるが、媒体Mの取り出しタイミングを、各々の積載台に応じて変えている。
【0104】
図6は、第2変形例の動作を説明するためのフローチャートである。
図6に示すフローチャートの各処理は、例えば図2に示す媒体排出装置1の制御部51によって行われる。
【0105】
本第2変形例においても、上述の第1変形例と同様に、第1媒体積載部10(積載台11)及び第2媒体積載部20(積載台21)のそれぞれに媒体Mが積載される。
【0106】
まず、第1印刷装置120及び第2印刷装置140における印刷が開始され、第1媒体積載部10又は第2媒体積載部20の積載台11,21への媒体Mの排出が開始すると、媒体排出装置1の制御部51は、積載台11,21における媒体Mの積載量が満タンになったか(積載可能量に到達したか)、或いは、媒体Mの排出(印刷)が終了したかを判定する(ステップS301)。
【0107】
制御部51は、積載台11,21における媒体Mの積載量が満タンになった場合、或いは、媒体Mの排出(印刷)が終了した場合(ステップS301:YES)、積載台11,21に媒体Mの取り出し高さH2(図4B参照)まで下降する取り出し下降動作を行わせるように積載台昇降駆動部15,25を制御し(ステップS302)、図6に示す処理を終了する。
【0108】
一方、積載台11,21における媒体Mの積載量が満タンになっておらず、且つ媒体Mの排出(印刷)が終了していない場合(ステップS301:NO)、制御部51は、媒体Mの排出が途中停止となったか否かを判定する(ステップS303)。
【0109】
制御部51は、媒体Mの排出が途中停止となっていない場合(ステップS303:NO)、上述のステップS301から処理を繰り返す。
【0110】
制御部51は、媒体Mの排出が途中停止となった場合(ステップS303:YES)、上述のように、操作パネル150などにおいて、積載台11が取り出し高さまで下降する取り出し下降動作を行う設定がされているか否かを判定する(ステップS304)。
【0111】
制御部51は、取り出し下降動作を行う設定がされていない場合(ステップS304:NO)、途中停止の原因が解消した後、使用者が印刷(排出)再開の操作を例えば図2に示す操作パネル150において行ったか、すなわち媒体Mの排出が再開可能となったかを、排出が再開可能となるまで繰り返し判定する(ステップS305)。
【0112】
制御部51は、排出が再開可能となると(ステップS305:YES)、第1中間搬送部30の排出経路切り替え部34に、排出経路を、媒体Mが積載されていた元の積載台11,21とさせたまま、搬送ローラ対31等に媒体Mの排出を行わせる(ステップS306)。その後、制御部51は、上述のステップS301から処理を繰り返す。
【0113】
上述のステップS304において、取り出し下降動作を行う設定がされている場合(ステップS304:YES)、制御部51は、すべての積載台11,21に、媒体Mの取り出し高さまで下降する取り出し下降動作を行わせるように積載台昇降駆動部15,25を制御する(ステップS307)。
【0114】
次に、制御部51は、途中停止の原因が解消した後、使用者が印刷(排出)再開の操作を例えば図2に示す操作パネル150において行ったか、すなわち媒体Mの排出が再開可能となったかを、排出が再開可能となるまで繰り返し判定する(ステップS308)。
【0115】
制御部51は、排出が再開可能となると(ステップS308:YES)、媒体Mが取り出された積載台11,21が上面検知センサ14,24で検知されるまで上昇するように積載台昇降駆動部15,25を制御するとともに、第1中間搬送部30の排出経路切り替え部34に、排出経路を媒体Mが取り出された積載台11,21として、搬送ローラ対31等に媒体Mの排出を行わせる(ステップS309)。その後、制御部51は、上述のステップS201から処理を繰り返す。
【0116】
ここで、印刷ジョブの区切り、媒体Mの種類(例えば、サイズ、マット紙か否か、厚紙か否か、色など)の変化などによって、仕分け単位の媒体Mの排出が終了すると、オフセット動作(仕切り動作の一例)が行われることが望ましい場合がある。しかしながら、オフセット動作が行われると、その間に媒体Mの排出が停止する。そこで、排出経路切り替え部34は、仕分け単位の媒体Mの排出が終了すると、他の積載台11,21に排出経路を切り替える。本第2変形例では、排出経路の切り替え先の他の積載台11,21については、排出経路が切り替えられるまでに媒体Mの取り出しが行われればよい。
【0117】
そのため、制御部51は、仕分け単位の媒体Mの排出が終了し、排出経路切り替え部34によって排出経路が他の積載台11,21に切り替えられるかを、切り替えられるまで判定する(ステップS310)。
【0118】
制御部51は、排出経路が他の積載台11,21に切り替えられる場合(ステップS310:YES)、排出経路の切り替え先である他の積載台11,21から媒体Mが取り出されたかを、媒体Mが取り出されるまで判定する(ステップS311)。なお、使用者が媒体Mを取り出さないことの操作を例えば図2に示す操作パネル150において行った場合、媒体Mが取り出された場合と同様に扱われるとよい。
【0119】
制御部51は、他の積載台11,21から媒体Mが取り出されている場合(ステップS311:YES)、排出経路切り替え部34に、排出経路を媒体Mが取り出された他の積載台11,21に切り替えさせ、搬送ローラ対31等に媒体Mの排出を行わせる(ステップS312)。
【0120】
そして、制御部51は、元の積載台11,21の可動エンドフェンス12,22及びオフセットガイド13,23に上述のオフセット動作を行わせるようにオフセット駆動部16,26を制御する(ステップS313)。その後、制御部51は、上述のステップS301から処理を繰り返す。
【0121】
このように、本第2変形例では、制御部51は、すべての積載台11,21に取り出し下降動作を行わせ(ステップS307)、媒体Mが取り出された一部の積載台11,21に媒体の排出を行わせ(ステップS309)、他の積載台11,21については、仕分け単位の媒体Mの排出が終了した後に、媒体Mの排出が行われる。
【0122】
そのため、媒体Mの排出が再開(ステップS309)されるまでは、一部の積載台11,21から媒体Mを取り出せばよく、他の積載台11,21からは、媒体Mの排出が再開された積載台11,21から排出経路が切り替えられるまでに媒体Mを取り出せばよい。そのため、媒体Mの取り出し時間のために媒体Mの排出が停止するのを回避することができる。
【0123】
更には、本第2変形例では、媒体Mに仕切り動作(オフセット動作)が行われるため、仕切り動作が行われていない場合よりも、積載台11,21からの媒体Mの取り出しを慎重に行うことが望ましい。そのため、媒体Mの取り出しに時間を要しても、上述のとおり、媒体Mの排出が再開(ステップS309)されるまでは、一部の積載台11,21から媒体Mを取り出せばよく、媒体Mの排出が停止するのをより有効に回避することができる。
【0124】
以上説明した本実施の形態では、媒体排出装置1は、媒体Mが積載される積載台11,21と、この積載台11,21を昇降させる積載台昇降駆動部(昇降駆動部)15,25と、この積載台昇降駆動部15,25を制御する制御部51とを備える。この制御部51は、少なくとも、積載台11,21における媒体Mの積載量が積載可能量に到達する前に媒体Mの排出が途中停止となったことに基づいて、積載台11,21に媒体Mの取り出し高さH1,H2まで下降する取り出し下降動作を行わせるように積載台昇降駆動部15,25を制御する。
【0125】
これにより、媒体Mの排出が途中停止した場合、媒体排出装置1の使用者がインクカートリッジ交換や搬送ジャムが生じた媒体Mの除去などの対処を行ったとき、或いはクリーニング動作などの処理が終了するまでの間に、使用者が媒体Mを取り出すことができる。そのため、使用者が積載台11,21から媒体Mを取り出すために媒体排出装置1に足を運ぶ回数を減らすことができ、ひいては使用者が媒体排出装置1に到着するまで媒体Mの排出が停止する期間を短縮することができる。更には、排出再開後の媒体Mを積載台11,21の積載可能量まで排出することができるため、排出再開後、積載台11,21における媒体Mの積載量が積載可能量に到達するまでの時間を引き延ばすこともできる。よって、本実施の形態によれば、媒体排出装置1のダウンタイムを低減することができる。したがって、媒体排出装置1の排出(印刷)を短時間で行うこともできる。また、媒体排出装置1の使用者が積載台11,21から媒体Mを取り出すために媒体排出装置1に足を運ぶ回数を減らすことができることで、使用者の手離れ時間を引き延ばすことができるため、使用者が他の作業を行いやすくなる。
【0126】
また、本実施の形態では、制御部51は、媒体Mの排出が途中停止になる前又は後に入力された取り出し下降動作を行うか否かの設定を受け付ける。また、制御部51は、少なくとも、積載台11,21における媒体Mの積載量が積載可能量に到達する(満タンになる)前に媒体Mの排出が途中停止となったこと(ステップS103,S203,S303:YES)、及び取り出し下降動作を行う設定がされていること(ステップS104,S204,S304:YES)に基づいて、積載台11,21に取り出し下降動作を行わせるように昇降駆動部15,25を制御する。
【0127】
これにより、例えば、使用者が頻繁に媒体Mを取り出さない場合などには、取り出し下降動作を行わない設定を予め入力しておくことで、不要な取り出し下降動作が行われるのを回避することができる。また、使用者が排出の途中停止の対処などのために媒体排出装置1に足を運んでも媒体Mを取り出さない場合には、取り出し下降動作を行うか否かの設定を媒体Mの排出が途中停止になった後に入力することで、不要な取り出し下降動作が行われるのを回避することができる。
【0128】
また、本実施の形態の第1変形例では、媒体排出装置1は、複数の積載台11,21と、この複数の積載台11,21を昇降させる複数の昇降駆動部15,25と、媒体Mの排出経路を複数の積載台11,21のいずれかに切り替える排出経路切り替え部34とを備える。制御部51は、複数の積載台11,21のうち、一部の積載台11,21への排出が途中停止となった場合に、他の積載台11,21の媒体Mの積載状況に基づいて、一部の積載台又は他の積載台に取り出し下降動作を行わせるように昇降駆動部15,25を制御するとともに(ステップS206,S209)、媒体Mの排出が再開される場合(ステップS207,S210:YES)、取り出し下降動作を行っていない積載台11,21に媒体Mが排出されるように排出経路切り替え部34を制御する(ステップS210,S211)。
【0129】
これにより、取り出し下降動作を行っていない積載台11,21、すなわち媒体Mが取り出されていない積載台11,21に対して、媒体Mの排出を再開することができるため、媒体Mの取り出し時間のために媒体Mの排出が停止するのを回避することができる。
【0130】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0131】
[付記1]
媒体が積載される積載台と、
前記積載台を昇降させる昇降駆動部と、
前記昇降駆動部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、少なくとも、前記積載台における前記媒体の積載量が積載可能量に到達する前に前記媒体の排出が途中停止となったことに基づいて、前記積載台に前記媒体の取り出し高さまで下降する取り出し下降動作を行わせるように前記昇降駆動部を制御する
ことを特徴とする媒体排出装置。
【0132】
[付記2]
前記制御部は、前記媒体の排出が途中停止になる前又は後に入力された前記取り出し下降動作を行うか否かの設定を受け付け、
前記制御部は、少なくとも、前記積載台における前記媒体の積載量が積載可能量に到達する前に前記媒体の排出が途中停止となったこと、及び前記取り出し下降動作を行う設定がされていることに基づいて、前記積載台に前記取り出し下降動作を行わせるように前記昇降駆動部を制御する
ことを特徴とする付記1記載の媒体排出装置。
【0133】
[付記3]
複数の前記積載台と、
前記複数の積載台を昇降させる複数の前記昇降駆動部と、
前記媒体の排出経路を前記複数の積載台のいずれかに切り替える排出経路切り替え部とを備え、
前記制御部は、前記複数の積載台のうち、一部の前記積載台への排出が途中停止となった場合に、他の積載台の前記媒体の積載状況に基づいて、前記一部の積載台又は前記他の積載台に前記取り出し下降動作を行わせるように前記昇降駆動部を制御するとともに、前記媒体の排出が再開される場合、前記取り出し下降動作を行っていない前記積載台に前記媒体が排出されるように前記排出経路切り替え部を制御する
ことを特徴とする付記1又は2記載の媒体排出装置。
【符号の説明】
【0134】
1 媒体排出装置
10 第1媒体積載部
20 第2媒体積載部
11,21 積載台
12,22 可動エンドフェンス
13,23 オフセットガイド
14,24 上面検知センサ
15,25 積載台昇降駆動部
16,26 オフセット駆動部
30 第1中間搬送部
31 搬送ローラ対
32 搬送経路切り替え部
33 スイッチバックローラ対
34 排出経路切り替え部
40 第2中間搬送部
41 搬送ローラ対
51 制御部
52 記憶部
53 インターフェース部
100 印刷システム
110 媒体供給装置
120 第1印刷装置
130 反転装置
140 第2印刷装置
150 操作パネル
H1,H2 取り出し高さ
M 媒体
R11 第1排出経路
R12 第2排出経路
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6