(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ポジ型感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜
(51)【国際特許分類】
G03F 7/023 20060101AFI20240110BHJP
G03F 7/075 20060101ALI20240110BHJP
C08F 220/18 20060101ALN20240110BHJP
G03F 7/032 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
G03F7/023
G03F7/075 521
C08F220/18
G03F7/032 501
(21)【出願番号】P 2019212287
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0150669
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム・ヨンオク
(72)【発明者】
【氏名】フ・クン
(72)【発明者】
【氏名】チュン・チュヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・チョンハン
【審査官】高草木 綾音
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-173741(JP,A)
【文献】国際公開第2009/028360(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポジ型感光性樹脂組成物であって、
(A)アクリルコポリマー;
(B)シロキサンコポリマー;及び
(C)1,2-キノンジアジド化合物
を含み、前記アクリルコポリマー(A)は、下記の式1:
【化1】
によって表される構造単位(a-1)
及び下記の式1-1:
【化2】
によって表される構造単位(a-2)を含み、
上記
の式1において、R
1は、C
1~4アルキルであ
り、
上記の式1-1において、R
a
及びR
b
は、それぞれ独立に、C
1~4
アルキルであり、
前記構造単位(a-1)と前記構造単位(a-2)は、5:95~40:60の含量比を有する、ポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記アクリルコポリマー(A)は、前記アクリルコポリマー(A)の全重量に基づいて5~30重量%の量において、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組合せに由来する構造単位(a-3)を含む、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記シロキサンコポリマー(B)は、下記の式2:
[式2]
(R
3)
nSi(OR
4)
4-n
によって表されるシラン化合物に由来する構造単位を含み、上記
の式2において、
nは、0~3の整数であり、
R
3は、それぞれ独立に、C
1~12アルキル、C
2~10アルケニル、C
6~15アリール、3~12員ヘテロアルキル、4~10員ヘテロアルケニル又は6~15員ヘテロアリールであり、及び
R
4は、それぞれ独立に、水素、C
1~6アルキル、C
2~6アシル又はC
6~15アリールであり、
前記ヘテロアルキル、前記ヘテロアルケニル及び前記ヘテロアリール基は、それぞれ独立に、O、N及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記シロキサンコポリマー(B)は、固体含量に基づいた100重量部の前記アクリルコポリマー(A)に基づいて1~400重量部の量で用いられる、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記1,2-キノンジアジドをベースとする化合物(C)は、固体含量に基づいた100重量部の前記アクリルコポリマー(A)に基づいて2~30重量部の量で用いられる、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
エポキシ化合物をさらに含む、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物から調製される硬化膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及びそれから調製される硬化膜に関する。さらに具体的には、本発明は、優れた感受性を実現するポジ型感光性樹脂組成物及びそれから調製される、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどにおいて使用される硬化膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイデバイス、例えば薄膜トランジスタ(TFT)型液晶ディスプレイデバイスにおいて、例えば窒化ケイ素でできた無機保護膜は、TFT回路を保護及び絶縁するための保護膜として使用されてきた。しかし、このような無機保護膜は、その高い比誘電率によって開口率を高めることが困難であるという問題を有するため、この問題に取り組むために低い比誘電率を有する有機絶縁膜に対する需要が増加している。
【0003】
光及び電子ビームと化学的に反応して特定の溶媒へのその溶解性を変化させるポリマー化合物である感光性樹脂が一般に使用される。感光性樹脂は、現像中の曝露部分の溶解性により、ポジ型及びネガ型に分類される。ポジ型において、曝露部分は、現像液によって溶解されてパターンを形成する。ネガ型において、曝露部分は、現像液によって溶解されず、非曝露部分が溶解されてパターンを形成する。
【0004】
ポジ型有機絶縁膜は、ネガ型有機絶縁膜と比較して光硬化要素を有さないため、これは、感受性及び下にある膜への接着を確保することが困難であるという不都合を有する。
【0005】
このように、ポリシロキサン樹脂及びアクリル樹脂が一緒に用いられて、それにより優れた感受性及び接着性を有する感光性樹脂組成物並びにそれから調製される硬化膜が提案されてきた((特許文献1)を参照されたい)。しかし、感受性は、満足できるレベルまで依然として改善されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、上記の問題を解決するために、本発明は、ポリシロキサン樹脂及びアクリル樹脂を含むポジ型感光性樹脂組成物(ここで、感受性は、ポリマー中で自由に回転することができる官能基をアクリルコポリマー中に導入することによってさらに増進され得る);並びに液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどにおいて使用される、それから調製される硬化膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物であって、(A)アクリルコポリマー;(B)シロキサンコポリマー;及び(C)1,2-キノンジアジド化合物を含み、アクリルコポリマー(A)は、下記の式1:
【化1】
によって表される構造単位(a-1)を含む、ポジ型感光性樹脂組成物を提供する。
【0009】
上記の式1において、R1は、C1~4アルキルである。
【0010】
別の目的を達成するために、本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物から調製される硬化膜を提供する。
【0011】
発明の効果
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、ポリマー中で自由に回転することができる官能基を有するアクリルコポリマーを含み、それにより、組成物は、現像ステップ中に現像液に容易に溶解し、それにより感受性を増進させる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(A)アクリルコポリマー;(B)シロキサンコポリマー;及び(C)1,2-キノンジアジド化合物を含み、アクリルコポリマー(A)は、下記の式1:
【化2】
によって表される構造単位(a-1)を含む。
【0013】
上記の式1において、R1は、C1~4アルキルである。
【0014】
本明細書において使用する場合、用語「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を指し、用語「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を指す。
【0015】
下記のような各成分の重量平均分子量(g/モル、Da)は、ポリスチレン標準物質を参照したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶離液:テトラヒドロフラン)によって測定される。
【0016】
(A)アクリルコポリマー
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、アクリルコポリマー(A)を含み得る。
【0017】
アクリルコポリマー(A)は、下記の式1:
【化3】
によって表される構造単位(a-1)を含み得る。
【0018】
上記の式1において、R1は、C1~4アルキルである。
【0019】
具体的には、構造単位(a-1)中の官能基は、ポリマー中で自由に回転することができ、これは、現像中の現像液の浸透を可能とする。このように、コーティング膜は、光への曝露後、現像中により容易に現像され、それにより優れた感受性を確保する。
【0020】
構造単位(a-1)の含量は、アクリルコポリマー(A)の全重量に基づいて1~30重量%、好ましくは2~20重量%であり得る。上記の範囲内において、優れた感受性を有するコーティング膜のパターンを達成することが可能である。アクリルコポリマー(A)は、下記の式1-1:
【化4】
によって表される構造単位(a-2)をさらに含み得る。
【0021】
上記の式1-1において、Ra及びRbは、それぞれ独立に、C1~4アルキルである。
【0022】
アクリルコポリマー(A)は、構造単位(a-1)及び構造単位(a-2)を同時に含むため、膜保持率を維持する一方、感受性を改善させることが有利である。
【0023】
構造単位(a-1)及び構造単位(a-2)は、1:99~80:20の含量比、好ましくは5:95~40:60の含量比を有し得る。上記の範囲内において、膜保持率を維持する一方、感受性を改善させることが有利である。
【0024】
アクリルコポリマー(A)は、現像ステップにおいて現像性を具体化するためのアルカリ溶解性樹脂であり、またコーティングによって膜を形成するためのベース及び最終パターンを形成するための構造の役割を果たす。
【0025】
アクリルコポリマー(A)は、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組合せに由来する構造単位(a-3)をさらに含み得る。
【0026】
具体的には、構造単位(a-3)は、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組合せに由来し得る。エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物又はこれらの組合せは、分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を含有する重合可能な不飽和化合物である。これは、不飽和モノカルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸及びケイ皮酸;不飽和ジカルボン酸及びその無水物、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物及びメサコン酸;3以上の原子価を有する不飽和ポリカルボン酸及びその無水物;並びに二価以上の原子価のポリカルボン酸のモノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステル、例えばモノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]スクシネート、モノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタレートなどから選択される少なくとも1つであり得る。しかし、これは、それらに限定されない。上記の中で、(メタ)アクリル酸は、現像性の観点から好ましい。
【0027】
構造単位(a-3)の含量は、アクリルコポリマー(A)の全重量に基づいて5~30重量%であり得る。上記の範囲内において、良好な現像性を有するコーティング膜のパターンを達成することが可能である。
【0028】
アクリルコポリマー(A)は、構造単位(a-1)、(a-2)及び(a-3)と異なるエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位(a-4)をさらに含み得る。構造単位(a-1)、(a-2)及び(a-3)と異なるエチレン性不飽和化合物は、芳香族環を有するエチレン性不飽和化合物、例えばフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、プロポキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、アセチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル及びp-ビニルベンジルメチルエーテル;不飽和カルボン酸エステル、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニル(メタ)アクリレート;エポキシ基を含有する不飽和モノマー、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル及び2-メチルアリルグリシジルエーテル;N-ビニル基を含有するN-ビニル第三級アミン、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール及びN-ビニルモルホリン;不飽和エーテル、例えばビニルメチルエーテル及びビニルエチルエーテル;並びに不飽和イミド、例えばN-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド及びN-シクロヘキシルマレイミドからなる群から選択される少なくとも1つであり得る。
【0029】
上記で例示した化合物に由来する構造単位は、単独で又はその2つ以上のものを組み合わせてコポリマー中に含まれ得る。
【0030】
コポリマーが、好ましくは、上記の中でエポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物に由来する構造単位、より好ましくはグリシジル(メタ)アクリレート又は3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を含む場合、これは、共重合可能性及び絶縁膜の強度の改善に関してより有利であり得る。
【0031】
構造単位(a-4)の含量は、アクリルコポリマー(A)を構成する構造単位の全重量に基づいて5~70重量%、好ましくは15~65重量%であり得る。上記の範囲内において、アクリルコポリマー(すなわちアルカリ溶解性樹脂)の機械的特性及び熱硬化性要素を増加させることが可能であり、その結果、感光性樹脂組成物のコーティング膜の形成による機械的膜特性及び耐化学性の特徴は、著しく増進することができる。
【0032】
アクリルコポリマー(A)は、構造単位(a-1)、(a-2)、(a-3)及び(a-4)を実現する化合物のそれぞれを配合し、そこに分子量制御剤、重合開始剤、溶媒などを加え、それに続いてそこに窒素を導入し、重合のために混合物をゆっくりと撹拌することによって調製され得る。分子量制御剤は、メルカプタン化合物、例えばブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタンなど、又はα-メチルスチレン二量体であり得るが、これは、特にそれらに限定されない。
【0033】
重合開始剤は、アゾ化合物、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)及び2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル);又は過酸化ベンゾイル;ラウリルペルオキシド;t-ブチルペルオキシピバレート;1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどであり得るが、これは、それらに限定されない。重合開始剤は、単独で又はその2つ以上のものを組み合わせて使用され得る。
【0034】
さらに、溶媒は、アクリルコポリマー(A)の調製において一般に使用される任意の溶媒であり得る。これは、好ましくは、メチル3-メトキシプロピオネート又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)であり得る。
【0035】
特に、重合反応中に反応条件をより穏やかに維持する一方、反応時間をより長く保つことにより、未反応のモノマーの残留量を低減させることが可能である。
【0036】
反応条件及び反応時間は、特に限定されない。例えば、反応温度は、通常の温度より低い温度、例えば室温~60℃又は室温~65℃で調節され得る。次いで、反応時間は、十分な反応が起こるまで維持される。
【0037】
アクリルコポリマー(A)が上記のプロセスによって調製されるとき、アクリルコポリマー(A)中の未反応のモノマーの残留量を非常に僅かなレベルまで低減させることが可能である。
【0038】
ここで、アクリルコポリマー(A)の未反応のモノマー(又は残留モノマー)という用語は、本明細書において使用する場合、アクリルコポリマー(A)の構造単位(a-1)~(a-4)を実現することを目的とするが、反応に関与しない(すなわちコポリマーの鎖を形成しない)化合物(すなわちモノマー)の量を指す。
【0039】
具体的には、本発明の感光性樹脂組成物中に残存するアクリルコポリマー(A)の未反応のモノマーの量は、(固体含量に基づいた)100重量部のコポリマーに基づいて2重量部以下、好ましくは1重量部以下であり得る。
【0040】
ここで、固体含量という用語は、溶媒を除いた組成物の量を指す。
【0041】
このように調製されたアクリルコポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、5,000~20,000Da、好ましくは8,000~13,000Daの範囲であり得る。上記の範囲内において、基板への接着性が優れており、物理的及び化学的特性が良好であり、粘度が適切である。
【0042】
アクリルコポリマー(A)は、溶媒を除いて固体含量に基づいた感光性樹脂組成物の全重量に基づいて10~90重量%、好ましくは30~80重量%、より好ましくは45~65重量%の量で用いられ得る。上記の範囲内において、現像性が適正に制御され、これは、膜保持に関して有利である。
【0043】
(B)シロキサンコポリマー
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、シロキサンコポリマー(又はポリシロキサン)を含み得る。
【0044】
シロキサンコポリマー(B)は、シラン化合物の縮合物及び/又はその加水分解産物を含む。このような場合、シラン化合物又はその加水分解産物は、単官能性~四官能性のシラン化合物であり得る。
【0045】
その結果、シロキサンコポリマー(B)は、下記のQ、T、D及びM型から選択されるシロキサン構造単位を含み得る。
- Q型シロキサン構造単位:例えば、4つの加水分解性基を有する四官能性シラン化合物又はシラン化合物の加水分解産物に由来し得る、ケイ素原子及び4つの隣接する酸素原子を含むシロキサン構造単位。
- T型シロキサン構造単位:例えば、3つの加水分解性基を有する三官能性シラン化合物又はシラン化合物の加水分解産物に由来し得る、ケイ素原子及び3つの隣接する酸素原子を含むシロキサン構造単位。
- D型シロキサン構造単位:例えば、2つの加水分解性基を有する二官能性シラン化合物又はシラン化合物の加水分解産物に由来し得る、ケイ素原子及び2つの隣接する酸素原子を含むシロキサン構造単位(すなわち直鎖状シロキサン構造単位)。
- M型シロキサン構造単位:例えば、1つの加水分解性基を有する単官能性シラン化合物又はシラン化合物の加水分解産物に由来し得る、ケイ素原子及び1つの隣接する酸素原子を含むシロキサン構造単位。
【0046】
例えば、シロキサンコポリマー(B)は、下記の式2によって表されるシラン化合物に由来する構造単位を含み得、シロキサンポリマー(B)は、例えば、下記の式2によっ
て表されるシラン化合物の縮合物及び/又はその加水分解産物であり得る。
[式2]
(R3)nSi(OR4)
4-n
【0047】
上記の式2において、nは、0~3の整数であり、R3は、それぞれ独立に、C1~12アルキル、C2~10アルケニル、C6~15アリール、3~12員ヘテロアルキル、4~10員ヘテロアルケニル又は6~15員ヘテロアリールであり、及びR4は、それぞれ独立に、水素、C1~6アルキル、C2~6アシル又はC6~15アリールであり、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル及びヘテロアリール基は、それぞれ独立に、O、N及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する。
【0048】
構造単位(式中、R3は、ヘテロ原子を有する)の例は、エーテル、エステル及びスルフィドを含む。
【0049】
化合物は、四官能性シラン化合物(式中、nは、0である)、三官能性シラン化合物(式中、nは、1である)、二官能性シラン化合物(式中、nは、2である)又は単官能性シラン化合物(式中、nは、3である)であり得る。
【0050】
シラン化合物の特定の例は、例えば、四官能性シラン化合物として、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジルオキシシラン及びテトラプロポキシシラン;三官能性シラン化合物として、メチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、d3-メチルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、p-ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシ-5-(p-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及び3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸;二官能性シラン化合物として、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-クロロプロピルジメトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン及びジメトキシジ-p-トリルシラン;並びに単官能性シラン化合物として、トリメチルシラン、トリブチルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリブチルエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン及び(3-グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランを含み得る。
【0051】
四官能性シラン化合物の中で好ましいものは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラブトキシシランであり;三官能性シラン化合物の中で好ましいものは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン及びブチルトリメトキシシランであり;二官能性シラン化合物の中で好ましいものは、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン及びジメチルジエトキシシランである。
【0052】
これらのシラン化合物は、単独で又はその2つ以上のものを組み合わせて使用され得る。
【0053】
上記の式1のシラン化合物の加水分解産物又は縮合物を得るための条件は、特に限定されない。例えば、式2のシラン化合物は、溶媒、例えばエタノール、2-プロパノール、アセトン、酢酸ブチルなどで任意選択で希釈され、反応に不可欠である水及び酸(例えば、塩酸、酢酸、硝酸など)又は塩基(例えば、アンモニア、トリエチルアミン、シクロヘキシルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウムなど)を触媒としてそれに加え、それに続いて混合物を撹拌して、加水分解重合反応を完了させ、それにより所望の加水分解産物又はその縮合物を得ることができる。
【0054】
上記の式2のシラン化合物の加水分解重合によって得られる縮合物(すなわちシロキサンポリマー)の重量平均分子量は、好ましくは、500~50,000Daの範囲である。上記の範囲内において、これは、膜形成の特徴、現像液への溶解性、溶解速度などに関してより好ましい。
【0055】
溶媒又は酸若しくは塩基触媒のタイプ及び量は、特に限定されない。さらに、加水分解重合反応は、20℃以下の低温で行われ得る。代わりに、反応は、加熱又は還流によって促進され得る。
【0056】
必要とされる反応時間は、シラン構造単位のタイプ及び濃度、反応温度などによって調節され得る。例えば、通常、反応は、このように得られた縮合物の分子量が概ね500~50,000Daとなるまで進行するために15分~30日かかる。しかし、これは、それらに限定されない。
【0057】
シロキサンコポリマー(B)は、直鎖状シロキサン構造単位(すなわちD型シロキサン構造単位)を含み得る。この直鎖状シロキサン構造単位は、二官能性シラン化合物、例えば上記の式2によって表される化合物(式中、nは、2である)に由来し得る。特に、シロキサンコポリマー(B)は、Si原子のモル数に基づいて0.5~50モル%、好ましくは1~30モル%の量において、上記の式2のシラン化合物(式中、nは、2である)に由来する構造単位を含み得る。上記の含量範囲内において、特定のレベルの硬度を維持する一方、硬化膜が可撓性の特徴を有し得ることが可能であり、それにより外部応力への亀裂抵抗をさらに増進させることができる。
【0058】
さらに、シロキサンコポリマー(B)は、上記の式2によって表されるシラン化合物(式中、nは、1である)に由来する構造単位(すなわちT型構造単位)を含み得る。好ましくは、シロキサンコポリマー(B)は、Si原子のモル数に基づいて40~85モル%、より好ましくは50~80モル%の量において、上記の式2のシラン化合物(式中、nは、1である)に由来する構造単位を含み得る。上記の含量範囲内において、正確なパターンプロファイルを形成することがより有利である。
【0059】
さらに、硬化膜の硬度、感受性及び保持率を考慮して、シロキサンコポリマー(B)がアリール基を有するシラン化合物に由来する構造単位を含むことが好ましい。例えば、シロキサンコポリマー(B)は、Si原子のモル数に基づいて30~70モル%、好ましくは35~50モル%の量において、アリール基を有するシラン化合物に由来する構造単位を含み得る。上記の含量範囲内において、1,2-ナフトキノンジアジド化合物とのシロキサンコポリマーの適合性が優れており、これは、硬化膜のより好ましい透明性を達成する一方、感受性における過剰な減少を防止し得る。アリール基を有するシラン化合物に由来する構造単位は、上記の式2のシラン化合物(式中、R3は、アリール基である)、好ましくは上記の式1のシラン化合物(式中、nは、1であり、R3は、アリール基である)、特に上記の式2のシラン化合物(式中、nは、1であり、R3は、フェニル基である)に由来する構造単位(すなわちT-フェニル型のシロキサン構造単位)であり得る。
【0060】
シロキサンコポリマー(B)は、上記の式2によって表されるシラン化合物(式中、nは、0である)に由来する構造単位(すなわちQ型構造単位)を含み得る。好ましくは、シロキサンコポリマー(B)は、Si原子のモル数に基づいて10~40モル%、好ましくは15~35モル%の量において、上記の式2によって表されるシラン化合物(式中、nは、0である)に由来する構造単位を含み得る。上記の含量範囲内において、感光性樹脂組成物は、パターンの形成中に適切なレベルでアルカリ性水溶液へのその溶解性を維持し、それにより溶解性における低減又は組成物の溶解性における劇的な増加によってもたらされるいかなる欠陥も防止し得る。
【0061】
用語「Si原子のモル数に基づいたモル%」は、本明細書において使用する場合、シロキサンポリマーを構成する構造単位の全てにおいて含有されるSi原子の総モル数に関して、特定の構造単位中に含有されるSi原子のモル数の百分率を指す。
【0062】
シロキサンポリマー(B)中のシロキサン単位のモル量は、Si-NMR、1H-NMR、13C-NMR、IR、TOF-MS、元素分析、灰分測定などの組合せによって測定され得る。例えば、フェニル基を有するシロキサン単位のモル量を測定するために、Si-NMR分析は、全シロキサンポリマー上で行い、それに続いてフェニル結合Siピーク面積及びフェニル非結合Siピーク面積の分析を行う。次いで、モル量は、これらの間のピーク面積比から計算することができる。
【0063】
シロキサンコポリマー(B)は、溶媒を除いて固体含量に基づいた100重量部のアクリルコポリマー(A)に基づいて1~400重量部、好ましくは2~200重量部、より好ましくは5~80重量部の量で用いられ得る。上記の範囲内において、現像性が適正に制御され、これは、膜保持及び分離度に関して有利である。
【0064】
(C)1,2-キノンジアジドをベースとする化合物
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、1,2-キノンジアジドをベースとする化合物(C)を含み得る。
【0065】
1,2-キノンジアジドをベースとする化合物は、フォトレジストの分野における感光剤として使用される化合物であり得る。
【0066】
1,2-キノンジアジドをベースとする化合物の例は、フェノール化合物及び1,2-ベンゾキノンジアジド-4-スルホン酸又は1,2-ベンゾキノンジアジド-5-スルホン酸のエステル;フェノール化合物及び1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸又は1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸のエステル;フェノール化合物のスルホンアミド(ここで、ヒドロキシル基は、アミノ基で置換されている)及び1,2-ベンゾキノンジアジド-4-スルホン酸又は1,2-ベンゾキノンジアジド-5-スルホン酸;フェノール化合物のスルホンアミド(ここで、ヒドロキシル基は、アミノ基で置換されている)及び1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸又は1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸を含む。上記の化合物は、単独で又はその2つ以上のものを組み合わせて使用され得る。
【0067】
フェノール化合物の例は、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3-トリス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロパン、4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、ビス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインデン-5,6,7,5’,6’,7’-ヘキサノール、2,2,4-トリメチル-7,2’,4’-トリヒドロキシフラバンなどを含む。
【0068】
1,2-キノンジアジドをベースとする化合物のより特定の例は、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン及び1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸のエステル、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン及び1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸のエステル、4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール及び1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸のエステル、4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール及び1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸のエステルなどを含む。
【0069】
上記の化合物は、単独で又はその2つ以上のものを組み合わせて使用され得る。
【0070】
上記で例示した好ましい化合物が使用される場合、感光性樹脂組成物の透明性は、増進され得る。
【0071】
1,2-キノンジアジドをベースとする化合物(C)は、固体含量に基づいた100重量部のアクリルコポリマー(A)に基づいて2~30重量部、好ましくは5~25重量部の量で用いられ得る。上記の含量範囲内において、パターンは、より容易に形成され、その形成によるコーティングされた膜の粗い表面などの欠陥及び現像によるパターンの下側部分において出現するスカムなどのパターン形状を防止し、且つ優れた透過率を確保することが可能である。
【0072】
(D)溶媒
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、上記の成分が溶媒と混合される液体組成物の形態で調製され得る。溶媒は、例えば、有機溶媒であり得る。
【0073】
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物中の溶媒の量は、特に限定されない。例えば、固体含量が組成物の全重量に基づいて10~70重量%、好ましくは15~60重量%であるように溶媒を用い得る。
【0074】
固体含量という用語は、溶媒を除いた組成物を構成する成分を指す。溶媒の量が上記の範囲内である場合、組成物のコーティングを容易に行うことができ、その流動性は、適切なレベルで維持することができる。
【0075】
本発明の溶媒は、これが上記の成分を溶解することができ、且つ化学的に安定である限り、特に限定されない。例えば、溶媒は、アルコール、エーテル、グリコールエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールアルキルエーテルプロピオネート、芳香族炭化水素、ケトン、エステルなどであり得る。
【0076】
溶媒の特定の例は、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、アセト酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、γ-ブチロラクトン、エチル2-ヒドロキシプロピオネート、エチル2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオネート、エトキシ酢酸エチル、エチルヒドロキシアセテート、メチル2-ヒドロキシ-3-メチルブタノエート、メチル2-メトキシプロピオネート、メチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-メトキシプロピオネート、エチル3-エトキシプロピオネート、メチル3-エトキシプロピオネート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどを含む。
【0077】
上記の中で好ましいものは、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、ケトンなどである。特に、好ましいのは、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、メチル2-メトキシプロピオネート、γ-ブチロラクトン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノンなどである。
【0078】
上記で例示した溶媒は、単独で又はその2つ以上のものを組み合わせて使用され得る。
【0079】
(E)エポキシ化合物
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物において、エポキシ化合物は、シロキサンバインダー(すなわちシロキサンコポリマー)の内部密度を増加させるためにシロキサンコポリマー(B)と一緒にさらに用いられて、それにより、そこから調製される硬化膜の耐化学性を改善し得る。
【0080】
エポキシ化合物は、少なくとも1つのエポキシ基を含有する不飽和モノマーのホモオリゴマー又はヘテロオリゴマーであり得る。
【0081】
少なくとも1つのエポキシ基を含有する不飽和モノマーの例は、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル及びこれらの混合物を含み得る。好ましくは、メタクリル酸グリシジルを使用し得る。
【0082】
エポキシ化合物は、当技術分野で周知の任意の方法によって合成され得る。
【0083】
市販のエポキシ化合物の一例は、GHP03(メタクリル酸グリシジルホモポリマー、Miwon Commercial Co.,Ltd.)であり得る。
【0084】
エポキシ化合物(E)は、下記の構造単位をさらに含み得る。
【0085】
その特定の例は、スチレン;アルキル置換基を有するスチレン、例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン;ハロゲンを有するスチレン、例えばフルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン及びヨードスチレン;アルコキシ置換基を有するスチレン、例えばメトキシスチレン、エトキシスチレン及びプロポキシスチレン;アセチルスチレン、例えばp-ヒドロキシ-α-メチルスチレン;芳香族環を有するエチレン性不飽和化合物、例えばジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル及びp-ビニルベンジルメチルエーテル;不飽和カルボン酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート;N-ビニル基を有する第三級アミン、例えばN-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール及びN-ビニルモルホリン;不飽和エーテル、例えばビニルメチルエーテル及びビニルエチルエーテル;不飽和イミド、例えばN-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド及びN-シクロヘキシルマレイミドに由来する任意の構造単位を含み得る。上記で例示した化合物に由来する構造単位は、単独で又はその2つ以上のものを組み合わせてエポキシ化合物(E)中に含有され得る。
【0086】
上記の化合物の中でスチレンをベースとする化合物は、重合可能性を考慮して好ましくあり得る。
【0087】
特に、耐化学性に関して、上記の中でカルボキシル基を含有するモノマーに由来する構造単位を使用しないことにより、エポキシ化合物(E)がカルボキシル基を含有しないことがより好ましい。
【0088】
構造単位は、エポキシ化合物(E)を構成する構造単位の総モル数に基づいて0~70モル%、好ましくは10~60モル%の量で用いられ得る。上記の含量範囲内において、これは、膜強度に関してより有利であり得る。
【0089】
エポキシ化合物(E)の重量平均分子量は、好ましくは、100~30,000Daであり得る。その重量平均分子量は、より好ましくは、1,000~15,000Daであり得る。エポキシ化合物の重量平均分子量が少なくとも100Daである場合、硬化膜の硬度は、より好ましくあり得る。これが30,000Da以下である場合、硬化膜は、均一な厚さを有し得、これは、その上に任意のステップを平坦化するのに適している。
【0090】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、エポキシ化合物(E)は、固体含量に基づいた100重量部のアクリルコポリマー(A)に基づいて0~40重量部、好ましくは5~25重量部の量で用いられ得る。上記の含量範囲内において、感光性樹脂組成物の耐化学性及び接着性がより好ましくあり得る。
【0091】
(F)シラン化合物
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、少なくとも1種の下記の式3によって表されるシラン化合物、特にT型及び/又はQ型のシランモノマーを含み、それにより、エポキシ化合物、例えばエポキシオリゴマーと関連して、シロキサンコポリマー中の高度に反応性のシラノール基(Si-OH)を低減させることにより、事後加工における処理中に耐化学性を増進し得る。
[式3]
(R5)nSi(OR6)4~n
【0092】
上記の式3において、nは、0~3の整数であり、R5は、それぞれ独立に、C1~12アルキル、C2~10アルケニル、C6~15アリール、3~12員ヘテロアルキル、4~10員ヘテロアルケニル又は6~15員ヘテロアリールであり、及びR6は、それぞれ独立に、水素、C1~6アルキル、C2~6アシル又はC6~15アリールであり、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル及びヘテロアリール基は、それぞれ独立に、O、N及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する。
【0093】
構造単位(式中、R5は、ヘテロ原子を有する)の例は、エーテル、エステル及びスルフィドを含む。
【0094】
本発明によれば、化合物は、四官能性シラン化合物(式中、nは、0である)、三官能性シラン化合物(式中、nは、1である)、二官能性シラン化合物(式中、nは、2である)又は単官能性シラン化合物(式中、nは、3である)であり得る。
【0095】
シラン化合物の特定の例は、例えば、四官能性シラン化合物として、テトラアセトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジルオキシシラン及びテトラプロポキシシラン;三官能性シラン化合物として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、d3-メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、p-ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2-(p-ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4-ヒドロキシ-5-(p-ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン及び3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸;二官能性シラン化合物として、ジメチルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン及びジメトキシジ-p-トリルシラン;並びに単官能性シラン化合物として、トリメチルシラン、トリブチルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリブチルエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン及び(3-グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランを含み得る。
【0096】
四官能性シラン化合物の中で好ましいものは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラブトキシシランであり;三官能性シラン化合物の中で好ましいものは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランであり;二官能性シラン化合物の中で好ましいものは、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ジブチルジメトキシシラン及びジメチルジエトキシシランである。
【0097】
これらのシラン化合物は、単独で又はその2つ以上のものを組み合わせて使用され得る。
【0098】
シラン化合物(F)は、固体含量に基づいた100重量部のアクリルコポリマー(A)に基づいて0~20重量部、好ましくは4~12重量部の量で用いられ得る。上記の含量範囲内において、形成される硬化膜の耐化学性をさらに増進し得る。
【0099】
(G)界面活性剤
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、その被覆性を増進させる界面活性剤を必要に応じてさらに含み得る。
【0100】
界面活性剤の種類は、限定されない。その例は、フッ素をベースとする界面活性剤、ケイ素をベースとする界面活性剤、非イオン性界面活性剤などを含み得る。
【0101】
界面活性剤(G)の具体例は、フッ素及びケイ素をベースとする界面活性剤、例えばDow Corning Toray Co.,Ltd.によって供給されるFZ-2122、BM CHEMIE Co.,Ltd.によって供給されるBM-1000及びBM-1100、Dai Nippon Ink Chemical Kogyo Co.,Ltd.によって供給されるMegapack F-142D、F-172、F-173及びF-183、Sumitomo 3M Ltd.によって供給されるFlorad FC-135、FC-170C、FC-430及びFC-431、Asahi Glass Co.,Ltd.によって供給されるSufron S-112、S-113、S-131、S-141、S-145、S-382、SC-101、SC-102、SC-103、SC-104、SC-105及びSC-106、Shinakida Kasei Co., Ltd.によって供給されるEftop EF301、EF303及びEF352、Toray Silicon Co.,Ltd.によって供給されるSH-28PA、SH-190、SH-193、SZ-6032、SF-8428、DC-57及びDC-190;非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどを含めたポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどを含めたポリオキシエチレンアリールエーテル;並びにポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどを含めたポリオキシエチレンジアルキルエステル;並びにオルガノシロキサンポリマーKP341(Shin-Etsu Chemical Co.,Ltd.が製造)、(メタ)アクリレートをベースとするコポリマーPolyflow57番及び95番(Kyoei Yuji Chemical Co., Ltd.が製造)などを含み得る。これらは、単独で又はその2つ以上のものを組み合わせて使用され得る。
【0102】
界面活性剤(G)は、感光性樹脂組成物の全重量に基づいて0.001~5重量部、好ましくは0.05~2重量部の量で用いられ得る。上記の範囲内において、組成物のコーティングは、スムーズに行われる。
【0103】
(H)接着補助剤
本発明の感光性樹脂組成物は、基板への接着性を増進させる接着補助剤をさらに含み得る。
【0104】
接着補助剤は、カルボキシル基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基及びエポキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性基を有し得る。
【0105】
接着補助剤の種類は、特に限定されない。これは、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン及びβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つであり得る。好ましいのは、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン又はN-フェニルアミノプロピルトリメトキシシランであり、これは、膜保持率を増進させることができ、且つ基板への接着性において優れている。
【0106】
接着補助剤(H)は、感光性樹脂組成物の全重量に基づいて0~5重量部、好ましくは0.001~2重量部の量で用いられ得る。上記の範囲内において、基板への接着性は、さらに増進され得る。
【0107】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物の物理的特性が悪影響を受けない限り、他の添加物をさらに含み得る。
【0108】
本発明による感光性樹脂組成物は、ポジ型感光性樹脂組成物として使用され得る。
【0109】
特に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、ポリマー中で自由に回転することができる官能基を有するアクリルコポリマーを含み、それにより感受性をさらに増進させることができる。
【0110】
本発明は、感光性樹脂組成物から形成される硬化膜を提供する。
【0111】
硬化膜は、当技術分野において公知の方法、例えば感光性樹脂組成物が基板上にコーティングされ、次いで硬化される方法によって形成され得る。
【0112】
さらに具体的には、硬化ステップにおいて、基板上にコーティングされた感光性樹脂組成物を例えば60~130℃の温度において事前焼成に供し、溶媒を除去し;次いで所望のパターンを有するフォトマスクを使用して光に曝露させ;現像液、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液を使用して現像に供し、コーティング層上にパターンを形成し得る。その後、パターニングされたコーティング層は、必要に応じて、例えば150~300℃の温度において10分間~5時間にわたって事後焼成に供され、所望の硬化膜を調製する。光への曝露は、200~500nmの波長域において365nmの波長をベースとして10~200mJ/cm2の曝露率で行われ得る。本発明のプロセスによると、プロセスの観点から所望のパターンを容易に形成することが可能である。
【0113】
基板上への感光性樹脂組成物のコーティングは、例えば、2~25μmの所望の厚さでスピンコーティング法、スリットコーティング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、アプリケーター法などによって行われ得る。さらに、曝露(照射)のために使用される光源として、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲン化金属ランプ、アルゴンガスレーザーなどを使用し得る。X線、電子線なども必要に応じて使用し得る。
【0114】
本発明の感光性樹脂組成物は、耐熱性、透明性、比誘電率、耐溶剤性、耐酸性及び耐アルカリ性に関して優れた硬化膜を形成することができる。したがって、このように形成された本発明の硬化膜は、これが熱処理に供されるか、又は溶媒、酸、塩基などに浸漬されるか、又は溶媒、酸、塩基などと接触したとき、表面粗さを欠いている優れた光透過率を有する。このように、硬化膜は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイの薄膜トランジスタ(TFT)基板のための平坦化膜;有機ELディスプレイのパーティション;半導体デバイスの層間絶縁体;光導波路のコア又はクラッド材などとして効果的に使用することができる。さらに、本発明は、硬化膜を保護膜として含む電子部品を提供する。
【0115】
本発明のためのモード
以下では、本発明を、下記の実施例を参照してより詳細に記載する。しかし、これらの例は、本発明を例示するために提供し、本発明の範囲は、それらのみに限定されない。
【0116】
下記の合成例において、重量平均分子量は、ポリスチレン標準物質を参照してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、溶離液:テトラヒドロフラン)によって決定する。
【0117】
合成例1:アクリルコポリマー(A-1)の合成
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに溶媒として200重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を導入し、溶媒をゆっくりと撹拌する一方、溶媒の温度を70℃に上昇させた。それに続いて、それに加えたのは、20.3重量部のスチレン(Sty)、29.3重量部のメタクリル酸メチル(MMA)、20.8重量部のメタクリル酸グリシジル(GMA)、17.6重量部のメタクリル酸(MAA)及び12.0重量部のアクリル酸メチル(MA)であった。次に、ラジカル重合開始剤として3重量部の2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を、そこに5時間にわたり滴下で添加し、重合反応を行った。このように得られたコポリマー(固体含量:32重量%)の重量平均分子量は、9,000~11,000Daであった。
【0118】
合成例2~5:アクリルコポリマー(A-2~A-5)の合成
アクリルコポリマー(A-2~A-5)は、それぞれの成分の種類及び含量を下記の表1において示すように変化させたことを除いて、実施例1におけるのと同じ様式でそれぞれ得た。
【0119】
【0120】
合成例6:シロキサンポリマー(B)の合成
還流冷却器を備えた反応器に20重量部のフェニルトリメトキシシラン、30重量部のメチルトリメトキシシラン、20重量部のテトラエトキシシラン及び15重量%の精製水を導入し、それに続いて15重量%のプロピレングリコールモノメチルアセテート(PGMEA、Chemtronics)を加え、これを0.1重量%のシュウ酸触媒の存在下で還流させながら6時間撹拌した。次いで、混合物を冷却し、固体含量が30%であるようにPGMEAで希釈し、それによりシロキサンポリマー(B)を得た。GPC分析の結果として、ポリマーの重量平均分子量は、ポリスチレンを参照して9,000~15,000Daであった。
【0121】
合成例7:エポキシ化合物(E)の調製
三つ口フラスコは、冷却管を備えており、サーモスタットを備えた撹拌機上に配置した。フラスコに、100モル%のメタクリル酸グリシジル、10重量部の2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)及び100重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)からなる100重量部のモノマーを導入し、それに続いてそれに窒素を導入した。その後、これをゆっくりと撹拌する一方、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を5時間維持した。次いで、固体含量が20重量%であるようにPGMEAを加え、それにより3,000~6,000Daの重量平均分子量を有するエポキシ化合物を得た。
【実施例】
【0122】
実施例及び比較例:感光性樹脂組成物の調製
下記の実施例及び比較例の感光性樹脂組成物は、上記の合成例において調製した化合物を使用して調製した。
【0123】
下記の実施例及び比較例において使用する成分は、下記の通りである。
【0124】
【0125】
実施例1:感光性樹脂組成物の調製
釣り合った量の溶媒を除いた感光性樹脂組成物の全重量に基づいて57.92重量%の合成例1のアクリルコポリマー(A-1)、(固体含量に基づいた)100重量部のアクリルコポリマーに基づいて45.45重量部の合成例6のシロキサンコポリマー(B)、(固体含量に基づいた)100重量部のアクリルコポリマーに基づいて6.06重量部の合成例7のエポキシ化合物(E)、(固体含量に基づいた)100重量部のアクリルコポリマーに基づいて20.72重量部の1,2-キノンジアジド化合物(C)及び(固体含量に基づいた)100重量部のアクリルコポリマーに基づいて0.24重量部の界面活性剤(G)を均一に混合し、固体含量が22%であるように、溶媒(D)としてPGMEAに3時間溶解した。これを、0.2μmの孔径を有するメンブランフィルターを通して濾過し、22重量%の固体含量を有する組成物溶液を得た。
【0126】
実施例2~4及び比較例1
感光性樹脂組成物溶液は、それぞれの成分の種類及び/又は含量を下記の表3において示すように変化させたことを除いて、それぞれ実施例1におけるのと同じ様式で調製した。
【0127】
【0128】
試験例1:感受性の評価
実施例及び比較例において調製した組成物をスピンコーティングによってそれぞれガラス基板上にコーティングした。次いで、コーティングされた基板を105℃において保持したホットプレート上で105秒間事前焼成し、溶媒を除去し、それによって乾燥膜を形成させた。1μm~30μmn範囲のサイズの角ホールのパターンを有するマスクを、乾燥した膜上に配置した。次いで、膜を、200nm~450nmの波長を有する光を発するアライナー(モデル名:MA6)を使用して光に曝露させた。このような場合、マスクと基板との間のギャップは、光曝露に基づいて25μmであり、曝露は、365nmの波長に基づいて0~200mJ/cm2の曝露率で特定の期間行われた(すなわち漂白ステップ)。次いで、これを、2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液である現像液でパドルノズルを通して23℃において80秒間現像した。次いで、200nm~450nmの波長を有する光を発するアライナー(モデル名:MA6)を使用して、現像された膜を、365nmの波長に基づいて特定の期間40mJ/cm2及び80mJ/cm2の曝露率で光に曝露させた(すなわち漂白ステップ)。曝露された膜を対流式オーブンにおいて230℃において30分間加熱し、3.5μmの厚さを有する硬化膜を調製した。上記の手順で10μmのサイズのマスク毎に形成されるホールパターンについて、10μmの限界寸法(CD、単位:μm)を達成するための曝露エネルギーの量を測定した。値(mJ/cm2)が低いほど、感受性がより良好である。
【0129】
試験例2:パターニングされたホールパターンにおけるCDのサイズの評価
実施例及び比較例において調製した組成物をスピンコーティングによってそれぞれガラス基板上にコーティングした。次いで、コーティングされた基板を105℃において保持したホットプレート上で105秒間事前焼成し、溶媒を除去し、それによって乾燥膜を形成させた。乾燥した膜を、200nm~450nmの波長を有する光を発するアライナー(モデル名:MA6)を使用して、1μm~30μmの範囲のサイズで角ホールのパターンを有するマスクを通して365nmの波長に基づいて特定の期間0~200mJ/cm2の曝露率で光に曝露させた。このような場合、マスクと基板との間のギャップは、光曝露に基づいて25μmであった(すなわち漂白ステップ)。次いで、これを、2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液である現像液でパドルノズルを通して23℃において80秒間現像した。次いで、200nm~450nmの波長を有する光を発するアライナー(モデル名:MA6)を使用して、現像された膜を、365nmの波長に基づいて特定の期間40mJ/cm2及び80mJ/cm2の曝露率で光に曝露させた(すなわち漂白ステップ)。曝露された膜を対流式オーブンにおいて230℃において30分間加熱し、3.5μmの厚さを有する硬化膜を調製した。上記の手順で10μmのサイズのマスク毎に形成されるホールパターンについて、CDのサイズを測定した。10μmのホールサイズが大きいほど、感受性がより速い。
【0130】
【0131】
表4において示すように、本発明の範囲内の実施例の組成物は、感受性において速く、優れている一方、本発明の範囲外である比較例の組成物は、感受性に乏しかった。