(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】パネルファスナー
(51)【国際特許分類】
F16B 21/04 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
F16B21/04 E
(21)【出願番号】P 2019222172
(22)【出願日】2019-12-09
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000108708
【氏名又は名称】タキゲン製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 志朗
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-081031(JP,A)
【文献】特開平08-135630(JP,A)
【文献】特開2012-229762(JP,A)
【文献】特表2013-500439(JP,A)
【文献】登録実用新案第3060257(JP,U)
【文献】特開平10-266674(JP,A)
【文献】特表2007-524018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 19/00
F16B 21/06
F16B 21/04
F16B 5/00- 5/12
F16B 12/00- 12/60
E05C 19/06
E05C 19/08
F16B 2/22
F16B 2/24
D06F 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付孔を形成した2つのパネルを合わせ、前記2つのパネルのうち一方のパネルの前記取付孔から他方のパネルの前記取付孔に通され、前記他方のパネルの前記取付孔の縁部又は縁部周囲に係止されて、前記2つのパネルを接合するパネルファスナーにおいて、
前記一方のパネルの前記取付孔よりも大きい平面を有する取付プレートと、
前記取付プレートの平面に当該平面の周縁部をフランジとして残して前記各パネルの前記各取付孔を挿通可能に平行に突出され、その突出端の中間部に溝を有する一対の軸受プレート、及び前記一対の軸受プレート間の中央に前記取付プレートの平面から前記各軸受プレートの前記溝の底部又はその近傍まで突出され、その突出端面から前記取付プレートまで貫通するシャフト挿通部を有する台座とからなり、前記台
座の両側に延びる前記各軸受プレートをそれぞれ、一対の軸受とする軸受・台座ブロックと、
各々、前記軸受・台座ブロックの前記各一対の軸受間に嵌合可能に略コマ状に形成され、前記各一対の軸受間に一端縁部を前記各軸受の突出端側に向けて他端縁部を前記取付プレート側に向けて嵌合配置された状態で当該各軸受に対向される両側部において前記各軸受の突出端側で前記溝の位置よりも前記取付プレート側に寄った位置に回動中心を設けられ、前記各一対の軸受間に嵌合配置された状態で当該各軸受の両側縁部間から外側に表れる外面部から前記他端縁部にかけてを係止爪とし、前記各軸受間に対称的に嵌合配置され、前記各一対の軸受の突出端側に一対の軸を介して回動可能に支持されて、前記各係止爪を前記各一対の軸受の各側縁部間から出没可能に配置される一対のフックと、
前記一対のフックと前記台座との間に介装され、前記各フックを常態として前記各軸受の各側縁部間から突出可能に回動付勢するばね部材と、
前記軸受・台座ブロックの前記台座のシャフト挿通部に挿通され、一端に前記台座の突出端面から突出される解除レバー取付部を有し、他端に前記取付プレートに開口される前記シャフト挿通部の周囲に回転可能に配置される解除レバー回転操作部及び前記解除レバー回転操作部に係止溝と係止爪の弾性係合によるロック形式で着脱可能に連結される解除ハンドルを有するシャフト、及び前記シャフトの前記解除レバー取付部に前記シャフトと一体回転可能に固定されて、前記台座の突出端面で前記一対の軸受プレートの各溝間に前記一対のフックの一端間に係合可能に配置され、前記解除レバー回転操作部の回転操作により、前記台座の突出端面で旋回されて前記各フックの一端間を押し広げ、前記各フックの係止爪を前記各一対の軸受の各側縁部間に没入させる解除レバーと、
を備え、
前記軸受・台座ブロックを前記2つのパネルの前記各取付孔にワンプッシュで通し、前記各フックの係止爪を前記他方のパネルの前記取付孔の縁部又は縁部周囲に係合させ、
また、前記解除レバー回転操作部に前記解除ハンドルを前記係止溝と前記係止爪の弾性係合により連結ロックして、前記解除レバー回転操作部を前記解除ハンドルにより回転操作することにより前記各フックの係止爪と前記他方のパネルの前記取付孔の縁部又は縁部周囲との係合を解除する、
ことを特徴とするパネルファスナー。
【請求項2】
シャフトの解除レバー回転操作部は、円板状に形成され、その周縁部又は一方の面内で相互に対向する位置にそれぞれ係止溝を有し、解除ハンドルは、ベースプレートと、前記ベースプレートの一方の面の両側から平行に延びる一対の支持プレートと、各々、各本体部を前記各支持プレート間に前記各支持プレートの一方の側部側と他方の側部側に対称的に配置可能にコマ状に形成されて、前記各本体部の一端に前記各支持プレートの各先端間から突出されて前記解除レバー回転操作部の前記各係止溝に係脱可能な一対の係止爪を有し、前記各本体部が、前記各支持プレート間で前記各支持プレートの先端側に、回動軸を介して、前記各本体部の回動により、前記各係止爪が回動され、前記解除レバー回転操作部の前記各係
止溝に係脱可能にかつ前記各本体部の前記各支持プレートの各側部間から外側に表れる外面部と前記各本体部の他端とに取り囲まれる前記各本体部の一部又はその一部が前記各支持プレートの各側部間から出没可能に取り付けられる一対の操作レバーと、前記各操作レバー間に介装され、常態として前記各係止爪を前記各係止溝に対して係合可能にかつ前記各操作レバーの前記各本体部の一部又はその一部を常態として前記各支持プレートの各側部間から突出可能に回動付勢するばね部材とを有する請求項1に記載のパネルファスナー。
【請求項3】
各フックの回動中心が前記フックの一端縁部、他端縁部間の中間部で前記一端縁部寄りに設けられ、前記各フックの他端縁部は円の中心を前記各フックの回動中心よりも前記各フックの一端縁部に近くかつ外面部とは反対側の内面部寄りの位置におく円弧状に形成される請求項1又は2に記載のパネルファスナー。
【請求項4】
各フックの外面部は
前記各フックが各軸受プレートの両側縁部間に没入して嵌合配置された状態で前記各軸受プレートの両側縁部と平行に形成され、前記各フックの一端縁部は前記外面部側よりも内面部側が突出されて略刀の刃先状に斜めに形成され、前記フックの前記内面部は一端側が前記外面部と略平行に形成され、中間部が前記内面部の一端側とともに略くの字形を呈して前記外面部に対して離れる方向に斜めに形成され、他端側が前記外面部と略平行に形成される請求項1乃至3のいずれかに記載のパネルファスナー。
【請求項5】
各フックの内面部に筒状の溝が形成され、前記フックの内面部が対向される台座の各側面部に筒状の孔が形成されて、ばね部材としてコイルスプリングが採用され、前記コイルスプリングは一端が前記各フックの前記各溝に保持され、他端が前記台座の前記各孔を通して前記シャフトの外周面に圧接されて、前記各フックと前記台座との間に介装される請求項1乃至4のいずれかに記載のパネルファスナー。
【請求項6】
シャフトの外周面の周方向対称位置に各コイルスプリングの他端が嵌合可能に溝形の受部が形成され、前記各コイルスプリングの他端は台座の孔を通して前記シャフトの前記各受部に保持される請求項5に記載のパネルファスナー。
【請求項7】
軸受・台座ブロックが各フックとともに2つのパネルの各取付孔に通される前又は後、前記各フックの係止爪が前記軸受・台座ブロックの各軸受の各側縁部間から突出されたときに、コイルスプリングが取付プレート側に凸の円弧状に変形可能に、かつ前記軸受・台座ブロックが前記各フックとともに前記2つのパネルの各取付孔に通され前記各フックの係止爪が前記各軸受間に没入されたときに、前記コイルスプリングを前記取付プレートとは反対側に凸の円弧状に変形可能に、前記各フックの溝は、前記各フックの内面部から前記各フックの他端縁部側方向斜めに所定の角度を付けて形成され、かつ前記各
フックの溝の前記フックの他端縁部側及び/又は一端縁部側の内周面の一部が、前記
各フックの溝の奥側から開口側に向けて漸次拡径される所定の角度の傾斜を付けて形成される請求項5又は6に記載のパネルファスナー。
【請求項8】
解除レバーは各フックに係合される両側面の両端側が両端方向に漸次先細のテーパ状を呈する略舟形のブロック状に形成される請求項1乃至7のいずれかに記載のパネルファスナー。
【請求項9】
解除レバーは台座の突出端面に対向する面の両端側が両端方向に前記台座の突出端面に対して漸次離間する傾斜状に形成される請求項1乃至8のいずれかに記載のパネルファスナー。
【請求項10】
取付プレートは一方のパネルの取付孔よりも少し大きい角形のプレートからなり、軸受・台座ブロックの一対の軸受プレートはそれぞれ、2つのパネルの各取付孔に嵌装可能な大きさで、当該各取付孔を通り抜け可能に所定の長さを有する角形に形成されて、2つのパネルの各取付孔は角形に開口される請求項1乃至9のいずれかに記載のパネルファスナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚のパネルの接合に使用するパネルファスナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のパネルからなる組み立て式のラックやキャビネットなどの組み立てに、2枚のパネル間を手早くかつ簡単に接合するための、各種のパネルファスナーが提案されている。
【0003】
この種のパネルファスナーが特許文献1に開示されている。
この文献1のファスナは、中心回転軸と、中心回転軸のパネル挿入方向の先端部に設けた鎖錠片と、中心回転軸のパネル挿入方向末端部に設けたファスナ回転操作部と、中心回転軸より鎖錠片と同方向に延出して形成され、ファスナを取付パネルに固定する保持機構と、ファスナの回転を規制する係止部とを備える。
この場合、ファスナ回転操作部の表面側には、コインやマイナスドライバで操作可能な溝部が形成される。また、保持機構として、中心回転軸に直交して腕部が形成される。
一方、取付パネルのファスナ取り付け位置には、取付孔部が形成される。この場合、取付孔部は、ファスナの中心回転軸を保持する一対の張出部からなる回転軸支持部と、鎖錠片および腕部が通り抜け可能な貫通部と、ファスナに形成された係止部を係止する回転規制部とを有する。回転軸支持部の一対の張出部は、中心回転軸を保持するために細径の孔部を形成している。一方の回転規制部は、ファスナの回転を反時計方向で規制し、他方の回転規制部は、ファスナの回転を時計方向で規制し、ファスナの最大回転角度を90度に規制する。また、本体パネルのファスナ取り付け位置には、係止孔部が形成される。この場合、係止孔部は、ファスナの中心回転軸が通り抜け可能な回転軸貫通部と、鎖錠片が通り抜け可能な鎖錠片貫通部を有する。さらに、本体パネルの両端には折曲部を形成し、取付パネルとの間に形成される空間部でファスナの腕部の厚みを吸収する構造とする。
このようにしてファスナを取付パネルに形成された取付孔部に取付パネルの表面側から挿入し反時計方向に回転してファスナを保持した後、取付パネルの裏面側を本体パネルに当接させて、ファスナの先端部を本体パネルに形成された係止孔部に挿入し時計方向に回転して、取付パネルを本体パネルに固定するようになっている。このようなパネルの取付構造により、2枚のパネルを手早くかつ簡単に接合することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のパネルファスナーでは、このパネルファスナーを2枚のパネルの取付孔に取り付ける場合、各パネルの取付孔に通し回転させて固定するので、パネルファスナーを回転させるための工具を必要とし、パネルファスナーの取付作業が煩雑である、という問題がある。また、2枚のパネルの一方を取付孔部とし、他方を係止孔部として、各孔を異なる特殊な形状とするため、孔の形状が複雑で、孔明けに要するコストが増大する、という問題がある。さらに、このパネルファスナーを2枚のパネルの取付孔から取り外す必要がある場合、取付作業とは反対に、このパネルファスナーを回転させて各パネルの取付孔から引き抜く必要があり、取り外し作業は煩雑とならざるを得ない、という問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、この種のパネルファスナーにおいて、パネルファスナーを工具を用いることなし2枚のパネルの取付孔にワンプッシュで通し係止させて取付作業を簡単にし、2枚のパネルを従来にも増して手早くかつ簡単に接合できるようにすること、2枚のパネルの取付孔を単純な形状とし、孔明けに要するコストを低く抑えること、パネルファスナーを2枚のパネルの取付孔に取り付けた後の取り外しも簡単に行えること、さらに、パネルファスナーを2枚のパネルの取付孔に取り付けた後のパネルファスナーを、セキュリティーなどの必要から、簡単には取り外せないようにすること、など、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、
取付孔を形成した2つのパネルを合わせ、前記2つのパネルのうち一方のパネルの前記取付孔から他方のパネルの前記取付孔に通され、前記他方のパネルの前記取付孔の縁部又は縁部周囲に係止されて、前記2つのパネルを接合するパネルファスナーにおいて、
前記一方のパネルの前記取付孔よりも大きい平面を有する取付プレートと、
前記取付プレートの平面に当該平面の周縁部をフランジとして残して前記各パネルの前記各取付孔を挿通可能に平行に突出され、その突出端の中間部に溝を有する一対の軸受プレート、及び前記一対の軸受プレート間の中央に前記取付プレートの平面から前記各軸受プレートの前記溝の底部又はその近傍まで突出され、その突出端面から前記取付プレートまで貫通するシャフト挿通部を有する台座とからなり、前記台座の両側に延びる前記各軸受プレートをそれぞれ、一対の軸受とする軸受・台座ブロックと、
各々、前記軸受・台座ブロックの前記各一対の軸受間に嵌合可能に略コマ状に形成され、前記各一対の軸受間に一端縁部を前記各軸受の突出端側に向けて他端縁部を前記取付プレート側に向けて嵌合配置された状態で当該各軸受に対向される両側部において前記各軸受の突出端側で前記溝の位置よりも前記取付プレート側に寄った位置に回動中心を設けられ、前記各一対の軸受間に嵌合配置された状態で当該各軸受の両側縁部間から外側に表れる外面部から前記他端縁部にかけてを係止爪とし、前記各軸受間に対称的に嵌合配置され、前記各一対の軸受の突出端側に一対の軸を介して回動可能に支持されて、前記各係止爪を前記各一対の軸受の各側縁部間から出没可能に配置される一対のフックと、
前記一対のフックと前記台座との間に介装され、前記各フックを常態として前記各軸受の各側縁部間から突出可能に回動付勢するばね部材と、
前記軸受・台座ブロックの前記台座のシャフト挿通部に挿通され、一端に前記台座の突出端面から突出される解除レバー取付部を有し、他端に前記取付プレートに開口される前記シャフト挿通部の周囲に回転可能に配置される解除レバー回転操作部及び前記解除レバー回転操作部に係止溝と係止爪の弾性係合によるロック形式で着脱可能に連結される解除ハンドルを有するシャフト、及び前記シャフトの前記解除レバー取付部に前記シャフトと一体回転可能に固定されて、前記台座の突出端面で前記一対の軸受プレートの各溝間に前記一対のフックの一端間に係合可能に配置され、前記解除レバー回転操作部の回転操作により、前記台座の突出端面で旋回されて前記各フックの一端間を押し広げ、前記各フックの係止爪を前記各一対の軸受の各側縁部間に没入させる解除レバーと、
を備え、
前記軸受・台座ブロックを前記2つのパネルの前記各取付孔にワンプッシュで通し、前記各フックの係止爪を前記他方のパネルの前記取付孔の縁部又は縁部周囲に係合させ、
また、前記解除レバー回転操作部に前記解除ハンドルを前記係止溝と前記係止爪の弾性係合により連結ロックして、前記解除レバー回転操作部を前記解除ハンドルにより回転操作することにより前記各フックの係止爪と前記他方のパネルの前記取付孔の縁部又は縁部周囲との係合を解除する、
ことを要旨とする。
【0008】
また、このパネルファスナーは各部が次のように構成されることが好ましい。
(1)シャフトの解除レバー回転操作部は、円板状に形成され、その周縁部又は一方の面内で相互に対向する位置にそれぞれ係止溝を有し、解除ハンドルは、ベースプレートと、前記ベースプレートの一方の面の両側から平行に延びる一対の支持プレートと、各々、各本体部を前記各支持プレート間に前記各支持プレートの一方の側部側と他方の側部側に対称的に配置可能にコマ状に形成されて、前記各本体部の一端に前記各支持プレートの各先端間から突出されて前記解除レバー回転操作部の前記各係止溝に係脱可能な一対の係止爪を有し、前記各本体部が、前記各支持プレート間で前記各支持プレートの先端側に、回動軸を介して、前記各本体部の回動により、前記各係止爪が回動され、前記解除レバー回転操作部の前記各係止溝に係脱可能にかつ前記各本体部の前記各支持プレートの各側部間から外側に表れる外面部と前記各本体部の他端とに取り囲まれる前記各本体部の一部又はその一部が前記各支持プレートの各側部間から出没可能に取り付けられる一対の操作レバーと、前記各操作レバー間に介装され、常態として前記各係止爪を前記各係止溝に対して係合可能にかつ前記各操作レバーの前記各本体部の一部又はその一部を常態として前記各支持プレートの各側部間から突出可能に回動付勢するばね部材とを有する。
(2)各フックの回動中心が前記フックの一端縁部、他端縁部間の中間部で前記一端縁部寄りに設けられ、前記各フックの他端縁部は円の中心を前記各フックの回動中心よりも前記各フックの一端縁部に近くかつ外面部とは反対側の内面部寄りの位置におく円弧状に形成される。
(3)各フックの外面部は前記各フックが各軸受プレートの両側縁部間に没入して嵌合配置された状態で前記各軸受プレートの両側縁部と平行に形成され、前記各フックの一端縁部は前記外面部側よりも内面部側が突出されて略刀の刃先状に斜めに形成され、前記フックの前記内面部は一端側が前記外面部と略平行に形成され、中間部が前記内面部の一端側とともに略くの字形を呈して前記外面部に対して離れる方向に斜めに形成され、他端側が前記外面部と略平行に形成される。
(4)各フックの内面部に筒状の溝が形成され、前記フックの内面部が対向される台座の各側面部に筒状の孔が形成されて、ばね部材としてコイルスプリングが採用され、前記コイルスプリングは一端が前記各フックの前記各溝に保持され、他端が前記台座の前記各孔を通して前記シャフトの外周面に圧接されて、前記各フックと前記台座との間に介装される。
この場合、シャフトの外周面の周方向対称位置に各コイルスプリングの他端が嵌合可能に溝形の受部が形成され、前記各コイルスプリングの他端は台座の孔を通して前記シャフトの前記各受部に保持されることが好ましい。
また、この場合、軸受・台座ブロックが各フックとともに2つのパネルの各取付孔に通される前又は後、前記各フックの係止爪が前記軸受・台座ブロックの各軸受の各側縁部間から突出されたときに、コイルスプリングが取付プレート側に凸の円弧状に変形可能に、かつ前記軸受・台座ブロックが前記各フックとともに前記2つのパネルの各取付孔に通され前記各フックの係止爪が前記各軸受間に没入されたときに、前記コイルスプリングを前記取付プレートとは反対側に凸の円弧状に変形可能に、前記各フックの溝は、前記各フックの内面部から前記各フックの他端縁部側方向斜めに所定の角度を付けて形成され、かつ前記各フックの溝の前記フックの他端縁部側及び/又は一端縁部側の内周面の一部が、前記各フックの溝の奥側から開口側に向けて漸次拡径される所定の角度の傾斜を付けて形成されることが好ましい。
(5)解除レバーは各フックに係合される両側面の両端側が両端方向に漸次先細のテーパ状を呈する略舟形のブロック状に形成される。
(6)解除レバーは台座の突出端面に対向する面の両端側が両端方向に前記台座の突出端面に対して漸次離間する傾斜状に形成される。
(7)取付プレートは一方のパネルの取付孔よりも少し大きい角形のプレートからなり、軸受・台座ブロックの一対の軸受プレートはそれぞれ、2つのパネルの各取付孔に嵌装可能な大きさで、当該各取付孔を通り抜け可能に所定の長さを有する角形に形成されて、2つのパネルの各取付孔は角形に開口される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパネルファスナーによれば、上記の構成により、次のような本発明独自の格別な効果を奏する。
(1)パネルファスナーを工具を用いることなしに2枚のパネルの取付孔にワンプッシュで通し係止させることができ、取付作業を簡単にし、2枚のパネルを従来にも増して手早くかつ簡単に接合することができる。
(2)取付プレートを一方のパネルの取付孔よりも少し大きい角形のプレートとし、一対の軸受プレートをそれぞれ、2つのパネルの各取付孔に嵌装可能な大きさで、当該各取付孔を通り抜け可能に所定の長さを有する角形にすることで、2つのパネルの各取付孔を角形に開口すればよく、2枚のパネルの取付孔を単純な形状にすることができ、孔明けに要するコストを低く抑えることができる。
(3)このパネルファスナーを2枚のパネルから取り外す場合で、各フックの係止爪と他方のパネルの取付孔の縁部又は縁部周囲との係合位置に直接手が入る場合は、他方のパネルの取付孔の縁部又は縁部周囲で、各フックを直接手で(親指と人差し指などで挟み)軸受・台座ブロックの各一対の軸受の各側縁部間に押し込めば、各フックと他方のパネルの取付孔の縁部又は縁部周囲との係合が解除され、パネルファスナーを各パネルの取付孔から引き抜けば、パネルファスナーを2枚のパネルから簡単に取り外すことができる。
(4)このパネルファスナーを2枚のパネルから取り外す場合で、各フックの係止爪と他方のパネルの取付孔の縁部又は縁部周囲との係合位置に手が入らず、各フックを他方のパネルの取付孔の縁部又は縁部周囲で直接手で押し込むことができない場合でも、解除ハンドルを解除レバー回転操作部に連結ロックして、解除ハンドルで解除レバー回転操作部を回転操作することにより、解除レバーが軸受・台座ブロックの台座の突出端面で旋回されて各フックの一端間を押し広げる一方、各フックが軸受・台座ブロックの各一対の軸受の各側縁部間に没入されて各フックと他方のパネルの取付孔の縁部又は縁部周囲との係合が解除され、解除ハンドルを使ってパネルファスナーを各パネルの取付孔から引き抜けば、パネルファスナーを2枚のパネルから簡単に取り外すことができる。
(5)このパネルファスナーは、既述のとおり、2枚のパネルに簡単に取り付け、取り外しができるが、2枚のパネルの一部に各フックに近接して遮蔽壁を設けるなどして各フックを直接手で軸受・台座ブロックの各一対の軸受の各側縁部間に押し込めないようにしておくことにより、このパネルファスナーは解除ハンドルを使わなければ、簡単には取り外すことができないため、セキュリティーなどの必要がある場合に、対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るパネルファスナーの全体構成を示す図((a)は軸受・台座ブロック側から見た斜視図(b)は取付プレート側から見た斜視図)
【
図2】同パネルファスナーの各部の構成を示す図((a)は背面図(b1)、(b2)は側面図(b3)、(b4)、(b5)は側面断面図(c)は平面図)
【
図3】同パネルファスナーの特にフックの構成を示す図((a1)は側面図(a2)は側面断面図(b)は内面部の図)
【
図4】同パネルファスナーの特にシャフトの構成を示す図((a1)は背面図(b1)は側面図(b2)は側面断面図(c)は正面図)
【
図5】同パネルファスナーの特に解除レバーの構成を示す図((a)は背面図(b1)は側面図(b2)は側面断面図(c)は正面図)
【
図6】同パネルファスナーを組み立て式のラックの組み立てに使用する場合の使用例を示す図
【
図7】同パネルファスナーの同使用例において同パネルファスナーの使い方及び同パネルファスナーの持つ作用を示す図(斜視図)
【
図8】同パネルファスナーの同使用例において同パネルファスナーの使い方及び同パネルファスナーの持つ作用を示す図(断面図)
【
図9】同パネルファスナーの同使用例において同パネルファスナーの使い方及び同パネルファスナーの持つ作用を示す図(斜視図)
【
図10】同パネルファスナーの同使用例において同パネルファスナーの使い方及び同パネルファスナーの持つ作用を示す図(断面図)
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1、
図2にパネルファスナーの全体構成を示し、
図3、
図4及び
図5にパネルファスナーの各部の構成を示している。
なお、ここでいうパネルは例えば組み立て式のラックやキャビネットなどを構成するもの(部材)である。このパネルは金属製のものであるか合成樹脂製のものであるかは問わない。
【0012】
図1に示すように、パネルファスナーFは、取付孔を形成した2つのパネルを合わせ、2つのパネルのうち一方のパネルの取付孔から他方のパネルの取付孔に通され、他方のパネルの取付孔の縁部又は縁部周囲に係止されて、2つのパネルを接合する形式のものになっている。
【0013】
図1、
図2に示すように、このパネルファスナーFは、取付プレート1と、一対の軸受プレート2及び台座22とからなる軸受・台座ブロック2Aと、一対のフック3と、ばね部材5と、一端に解除レバー取付部71を有し、他端に解除レバー回転操作部72及び解除ハンドル8を有するシャフト7と、解除レバー73と、を備える。
【0014】
パネルファスナーFの各部は次のように構成される。
(1)取付プレート1は、一方のパネルの取付孔よりも大きい平面を有する。
(2)軸受・台座ブロック2Aは、一対の軸受プレート2が取付プレート1の平面に当該平面の周縁部をフランジ11として残して各パネルの各取付孔を挿通可能に平行に突出され、その突出端201の中間部に溝202を有し、台座22が一対の軸受プレート2間の中央に取付プレート1の平面から各軸受プレート2の溝202の底部又はその近傍まで突出され、その突出端面221から取付プレート1まで貫通するシャフト挿通部220を有し、台座22の両側に延びる各軸受プレート22をそれぞれ一対の軸受23とする。
(3)一対のフック3は、各々、軸受・台座ブロック2Aの各一対の軸受23間に嵌合可能に略コマ状に形成され、各一対の軸受23間に一端縁部301を各軸受23の突出端側に向けて他端縁部302を取付プレート1側に向けて嵌合配置された状態で各軸受23に対向される両側部において各軸受23の突出端側で溝202の位置よりも取付プレート1側に寄った位置に回動中心を設けられ、各一対の軸受23間に嵌合配置された状態で各軸受23の両側縁部203間、204間から外側に表れる外面部303から他端縁部302にかけてを係止爪31とし、各軸受23間に対称的に嵌合配置され、各一対の軸受23の突出端側に一対の軸4を介して回動可能に支持されて、各係止爪31を各一対の軸受23の各側縁部203間、204間から出没可能に配置される。
(4)ばね部材5は、一対のフック3と台座22との間に介装され、各フック3を常態として各軸受23の各側縁部203間、204間から突出可能に回動付勢する。
(5)シャフト7は、軸受・台座ブロック2Aの台座22のシャフト挿通部220に挿通され、一端の解除レバー取付部71が台座22の突出端面221から突出され、他端の解除レバー回転操作部72が取付プレート1に開口されるシャフト挿通部220の周囲に回転可能に配置され、解除ハンドル8が解除レバー回転操作部72に係止溝720と係止爪832の弾性係合によるロック形式で着脱可能に連結される。
(6)解除レバー73は、シャフト7の解除レバー取付部71にシャフト7と一体回転可能に固定されて、台座22の突出端面221で一対の軸受プレート2の各溝202間に一対のフック3の一端間に係合可能に配置され、解除レバー回転操作部72の回転操作により、台座22の突出端面221で旋回されて各フック3の一端間を押し広げ、各フック3の係止爪31を各一対の軸受23の各側縁部203間、204間に没入させる。
【0015】
また、
図1、
図2はパネルファスナーFの各部の一具体例を示している。
【0016】
取付プレート1は一方のパネルの取付孔よりも少し大きい角形の、具体的には長方形状の、全体としてフラットなプレートからなる。
【0017】
軸受・台座ブロック2Aは、一対の軸受プレート2がそれぞれ、取付プレート1の一方の平面に一体に、この平面の全周縁をフランジ11として残すように取付プレート1の各長辺側の縁部101、102、各短辺側の縁部103、104よりも少し内側に入った位置に各長辺の縁部101、102と平行に、2つのパネルの各取付孔に嵌装可能な大きさで当該各取付孔を通り抜け可能に所定の長さを有する角形に、具体的には長方形状(この場合、取付プレート1の各長辺側の縁部101、102と平行な両縁部を長辺側の縁部201(つまり、突出端201)、201bとし、取付プレート1の長辺側の縁部101、102と直角の各縁部を短辺側の側縁部203、204とする長方形状)に、全体としてフラットなプレート状に形成される。
【0018】
台座22は、取付プレート1の平面に、一対の軸受プレート2とともに一体に、一対の軸受プレート2間の中央に取付プレート1の平面から各軸受プレート2の溝202の底部又はその近傍まで角柱状に突出され、この台座22の軸心上にシャフト挿通部220が突出端面221から取付プレート1まで貫通して円筒状に形成される。この場合、シャフト挿通部220の取付プレート1側の開口の周囲に、後述するシャフト7の解除レバー回転操作部72が嵌合可能にシャフト挿通部220の径よりも大きい円形の凹部105が形成される。また、この凹部105の内周縁部で取付プレート1の各短辺側の縁部103、104の中央に対応する位置にそれぞれ相互に対向して溝部106が併せて形成される。これらの溝部106は凹部105の内周縁部に沿って外側に後述するシャフト7の解除レバー回転操作部72の各係止溝(挿入溝)と略同じ大きさ、形状に形成される。また、この場合、台座22の両側面222でその長手方向中間部に円筒状の孔223が後述するコイルスプリング5が嵌合可能に開口形成される。そして、この台座22の両側(両側面222の両側)に延びる各軸受プレート2がそれぞれ、一対の軸受23になっており、各軸受23の突出端側で溝202の位置よりも取付プレート1側に寄った所定の位置にそれぞれ、軸4を挿通可能な軸挿通部20が円形の孔として形成される。この場合、一対の軸受23の一方の軸挿通部20は他方の軸挿通部20よりも少し小さい径に形成され、その一方の軸受23の外側(言い換えれば、外向き)の平面で一方の軸挿通部20の全周縁部にテーパ状の凹部200(
図1(a)参照)が併せて形成される。一方、各軸4は一端が他端よりも小径に形成され、一端が各軸受23の一方の軸挿通部20に通され、他端が各軸受23の他方の軸挿通部20に通され、一端がテーパ状の凹部200内でカシメられて固定される。かかる取付プレート1及び軸受・台座ブロック2Aの形状により、2つのパネルP1、P2の各取付孔61、62(
図7参照)がそれぞれ一対の軸受プレート2が嵌装可能に角形に、具体的には長方形状の単純な形状に開口される。この場合、各取付孔61、62は長辺方向の縁部の寸法が各軸受プレート2の長辺方向の縁部201の寸法と略同じかそれよりも僅かに大きく、短辺方向の縁部の寸法が各軸受プレート2の外側(外向き)の面間の寸法と略同じかそれよりも僅かに大きい開口になっている。
【0019】
一対のフック3はそれぞれ、一対の軸受23内に配置可能な大きさで、台座22を対称中心として対称的なコマ形状になっている。
図3に示すように、これらフック3の回動中心はそれぞれ、フック3の一端縁部301、他端縁部302間の中間部で一端縁部301寄りに設けられ、そこに軸4を挿通可能に軸挿通部30が形成される。取付プレート1側に対応する各フック3の他端縁部302は円の中心を各フック3の回動中心よりも各フック3の一端縁部301に近くかつ外面部303とは反対側の内面部304寄りの位置におく円弧状に形成される。
【0020】
また、各フック3の外面部303は各軸受プレート2の両側縁部203、204と平行に断面直線状のフラットな面として形成され、各フック3の一端縁部301は外面部303側よりも内面部304側が突出されて断面略刀の刃先状に斜めに形成され、各フック3の内面部304は一端側が外面部303と略平行に形成され、中間部が内面部304の一端側とともに略くの字形を呈して外面部303に対して離れる方向に斜めに形成され、他端側が外面部303と断面略平行に形成される。各フック3の内面部304には後述するばね部材5としてのコイルスプリングの一端を保持可能に円筒状の溝33が形成される。
【0021】
ばね部材5は、コイルスプリングが採用され(以下、コイルスプリング5という。)、コイルスプリング5は一端が各フック3の各溝33に保持され、他端が台座22の孔223を通してシャフト7に圧接されて、各フック3と台座22との間に介装される。ばね部材にコイルスプリング5が用いられたことで、各フック3の各溝33は、
図3に示すように、このパネルファスナーFが2枚のパネルの各取付孔に取り付けられる際に軸受・台座ブロック2Aが各フック3とともに2つのパネルの各取付孔に通される前又は後、各フック3の各係止爪31が軸受・台座ブロック2Aの各軸受プレート2の各側縁部203間、204間から突出されたときに、コイルスプリング5が取付プレート1側に凸の円弧状に変形可能に、かつ軸受・台座ブロック2Aが各フック3とともに2つのパネルの各取付孔に通され各フック3の係止爪31が各軸受プレート2の各側縁部203間、204間に没入されたときに、コイルスプリング5を取付プレート1とは反対側に凸の円弧状に変形可能に、各フック3の溝33は、各フック3の内面部304から各フック3の他端縁部302側方向斜めに所定の角度を付けて形成され、かつ各溝33の各フック3の他端縁部302側及び/又は一端縁部301側の内周面の一部331が、溝33の奥側から開口側に向けて漸次拡径される所定の角度の傾斜を付けて形成される。
【0022】
シャフト7は、台座22のシャフト挿通部220に挿通可能にシャフト挿通部220の内径と略同径の円筒状に形成される。また、シャフト7の外周面には、
図4に示すように、周方向所定の対称位置にそれぞれ、各コイルスプリング5の他端が嵌合可能に溝形の受部701が形成され、各コイルスプリング5の他端は台座22の孔223に通されてシャフト7の各受部701に保持される。この場合、各受部701はコイルスプリング5の径と略同じ内径の溝として形成される。
【0023】
シャフト7の解除レバー取付部71はシャフト7の一端に周方向に対向する外周縁部の一部が平行に断面直線状に形成され、残部が対称的に断面円弧状に形成され、その一端面から軸心上にねじ孔710が切られる。
【0024】
シャフト7の解除レバー回転操作部72は、シャフト7の他端に円板状に形成され、その周縁部で相互に対向する位置にそれぞれ係止溝720を有する。この場合、解除レバー回転操作部72はシャフト7の断面よりも少し大きい円形のプレート状に形成される。各係止溝720は、解除レバー回転操作部72の周縁部において(シャフト7の軸方向から見る)平面視でシャフト挿通部220の各受部101に対向する位置にそれぞれ、解除レバー回転操作部72の外向きの面側の半部にシャフト7の軸心と平行に形成される挿入溝721と、解除レバー回転操作部72の内向きの面側の半部に挿入溝701の奥側に連続して挿入溝721に対してシャフト7の軸方向に向けて直角に延びる係合溝722とからなる。
【0025】
シャフト7の解除ハンドル8は、シャフト7とは別体に形成され、ベースプレート81と、一対の支持プレート82と、一対の操作レバー83と、ばね部材84とを有する。
【0026】
ベースプレート81は円板状に形成される。この場合、ベースプレート81は解除レバー回転操作部72よりも少し大きい長方形のプレート状に形成される。
【0027】
一対の支持プレート82はベースプレート81の一方の面の両側から平行に延びる。この場合、一対の支持プレート82はそれぞれ、長さが台座22と略同じ所定の寸法で、幅が解除レバー回転操作部72の直径よりも少し小さい所定の寸法の矩形のプレート状に形成され、ベースプレート81の一方の面内で中心から幅方向に同じ所定の寸法だけ離れた両側に当該一方の面に対して直角に形成される。また、この場合、一対の支持プレート82間で各支持プレート82の幅方向中央に各支持プレート82間を連結して各支持プレート82間を2つの空間に分ける中央プレート821を有する。この中央プレート821はベースプレート81の一方の面から延び、その延びる方向中間部、この場合、その延びる方向中央に2つの空間を連通する孔822が形成される。また、この中央プレート821の両側面で中央の孔822よりも先端側の面にそれぞれ断面円弧状の凹溝823が形成される。これら凹溝823の円弧の中心となる位置に対応する各支持プレート82の先端側所定の位置に回動軸挿通部824が併せて形成される。
【0028】
一対の操作レバー83は各々、本体部831が各支持プレート82間に各支持プレート82の一方の側部側と他方の側部側に対称的に配置可能にコマ状に形成されて、各本体部831の一端に各支持プレート82の各先端間から突出されて解除レバー回転操作部72の各係止溝720に係脱可能な一対の係止爪832を有し、各本体部831が、各支持プレート82間で各支持プレート82の先端側に、回動軸833を介して、各本体部831の回動により、各係止爪832が回動され、解除レバー回転操作部72の各係止溝720に係脱可能にかつ各本体部831の各支持プレート82の各側部間から外側に表れる外面部831aと各本体部831の他端831bとに取り囲まれる各本体部831の一部831cが各支持プレート82の各側部間から出没可能に取り付けられる。この場合、各操作レバー83は各本体部831が各支持プレート82間の2つの空間に配置可能に各空間の長さと略同じで各空間の幅よりも少し大きい各支持プレート82の延びる方向に長い略台形のプレート状に形成され、各々、内側面部831dの先端側で中央プレート821の凹溝823に対応する部分に当該凹溝823に沿って当接可能に円弧状の凸状部831eが形成される。各本体部831においてこの円弧の中心となる位置に回転軸挿通部831fが設けられる。また、各本体部831には、各凸部831eの後端側(この場合、内面部831dの長さ方向略中央)にコイルスプリングの受部831gが併せて設けられる。各係止爪832は各本体部831の先端で外面部831a側から、解除レバー回転操作部72の各係止溝720の挿入溝721に挿入可能でかつ係合溝722に係合可能に、各本体部831に内側方向に略L字形に延びるフック形状に形成される。
【0029】
ばね部材84は、各操作レバー83間に介装され、常態として各操作レバー83の各係止爪832を解除レバー回転操作部72の各係止溝720の各係合溝722に対して係合可能にかつ各操作レバー83の各本体部831の一部831cを常態として各支持プレート82の各側部間から突出可能に回動付勢する。この場合、ばね部材84はコイルスプリングが採用される(以下、コイルスプリング84という。)。コイルスプリング84は一対の支持プレート82間の中央プレート821の孔822に通されて、一端が一方の操作レバー83の受部831gに保持され、他端が他方の操作レバー83の受部831gに保持されて、各操作レバー83間に介装される。
【0030】
かくして解除ハンドル8は、一対の操作レバー83が一対の支持プレート82間に各支持プレート82間の中央プレート821を対称中心として対称的に配置され、各支持プレート82の先端側、各本体部831の先端側の各回動軸挿通部824、831fに回動軸833が挿通されて、各支持プレート82間に回動可能に組み立てられ、コイルスプリング84が中央プレート821の孔822に通され、各操作レバー83の受部831g間に介装されて、各操作レバー83が外側方向に回動付勢され、常態として各操作レバー83の一部831cが各支持プレート82の各側部間から外側に突出される。かかる構成から、各支持プレート82の各側部間から外側に突出される各操作レバー83の本体部831を手の指で各支持プレート82間の中央プレート821に向けて押操作することにより、各操作レバー83の各係止爪832が解除レバー回転操作部72の各挿入溝721に対して挿入可能に外側に向けて回動され、各操作レバー83の押操作を解除することにより、各係止爪832が解除レバー回転操作部72の各挿入溝721に挿入後の各係合溝722に対して係合可能に内側に向けて回動付勢される。
【0031】
解除レバー73は、
図5に示すように、各フック3に係合される両側面731の両端側が両端方向に漸次先細のテーパ状を呈する略舟形(略ボート形)のブロック状に形成され、解除レバー73の台座22の突出端面221に対向する面(背面)735の両端側が両端方向に台座22の突出端面221に対して漸次離間する傾斜状に形成される。この場合、解除レバー73の各フック3に係合される両側面731両端側のテーパ形状はこの両側面731の両端が各フック3の内面部304に対して円滑に係合可能な程度にテーパ形状であればよく、解除レバー73の台座22の突出端面221に対向する面(背面)735の両端側の傾斜形状は、解除レバー73が台座22の突出端面221に対して円滑に旋回(回転)可能な程度に傾斜形状であればよい。このようにして台座22の突出端面221において(言い換えれば、解除レバー73の回転中心に近い位置において)解除レバー73の旋回(回り)を円滑にする。また、解除レバー73の正面736の中心と背面735の中心との間に取付ねじ挿通孔732が穿設され、背面735側の取付ねじ挿通孔732の開口周囲に、凹部733が、シャフト7の一端の解除レバー取付部71を嵌合可能に、取付ねじ挿通孔732の径よりも少し大きい円形を基本形とし、周方向に対向する内周縁部の一部を平行に断面直線状にして、残部を対称的に断面円弧状にして形成される。
【0032】
パネルファスナーFは、各部がかかる構成を有し、一対のフック3が各一対の軸受23間に各軸受プレート2間の台座22を対称中心として対称的に配置され、各軸受プレート2の突出端201側の各軸挿通部20と各フックの軸挿通部30とを合せて、これらの軸挿通部20、30にそれぞれ軸4が通されて、各軸受23間に回動可能に支持されて、組み立てられる。なお、この場合、各軸4は一端が、既述のとおり、各軸受23の一方のテーパ状の溝200内でカシメられて固定される。また、台座22のシャフト挿通部220に取付プレート1側の開口からシャフト7が一端の解除レバー取付部71から通されて、一端の解除レバー取付部71が台座22の突出端面221から突出され、シャフト7の他端の解除レバー回転操作部72が取付プレート1側の開口周囲の凹部105に嵌合されて、シャフト7が台座22のシャフト挿通部220に回転可能に挿着される。このとき、各フック3と台座22の孔223を通してシャフト7の各受部701との間にコイルスプリング5が介装されることで、シャフト7は仮止めされ、台座22から抜け外れることがない。そして、台座22の突出端面221から突出されるシャフト7の解除レバー取付部71が解除レバー73の背面735側から凹部733に嵌め込まれ、解除レバー73の正面736側から取付ねじ挿通孔732に取付ねじ734が通されてシャフト7の一端のねじ孔710に締結されることにより、シャフト7に解除レバー73が一体的に取り付けられる。
【0033】
このようにしてパネルファスナーFは軸受・台座ブロック2Aを各フック3とともに2つのパネルの各取付孔にワンプッシュで通し、各フック3の係止爪31を他方のパネルの取付孔の縁部又は縁部周囲に係合させ、また、解除レバー回転操作部72に解除ハンドル8を係止溝720と係止爪832の弾性係合により連結ロックして、解除レバー回転操作部72を解除ハンドル8により回転操作することにより各フック3の係止爪31と他方のパネルの取付孔の縁部又は縁部周囲との係合を解除するようになっている。
【0034】
図6乃至
図11にパネルファスナーFを組み立て式のラックRの組み立てに使用する場合を例示している。なお、このラックRもまた、
図6に示すように、天面パネル、底面パネル、左右の側面パネル、正面の扉パネル、背面パネルからなり、各パネル間の固定位置に角形(長方形)の取付孔が穿設されていて、各パネルの取付孔が合わせられ、各パネルの取付孔間にパネルファスナーFを挿通係止することにより組み立てられる。
【0035】
以下、パネルファスナーFの使い方とともにこのパネルファスナーFの持つ作用について具体的に説明する。なお、この場合、どこのパネルとどこのパネルとの間でもパネルファスナーFの使い方は同じなので、ここでは、接合するパネルについては特に言及せず、単に2枚のパネルP1、P2、各パネルP1、P2、一方のパネルP1(ここでは、2枚のパネルP1、P2を組み合わせたときに取付孔61が外側になるパネルをいう。)、他方のパネルP2、(ここでは、2枚のパネルP1、P2を組み合わせたときに取付孔62が内側になるパネルをいう。)などと称することにする。
【0036】
図1に示すように、このパネルファスナーFの使用前の通常の状態は、各一対の軸受23の間で一対のフック3が各フック3と台座22との間のコイルスプリング5により各軸受23の各側縁部203、204方向に押圧付勢されて、各フック3の外面部303から他端縁部302の一部、すなわち、係止爪31が各軸受23の各側縁部203間、204間から外側に突出される。
【0037】
そして、この組み立て式のラックRの組み立てに当たり、
図7に示すように、2枚のパネルP1、P2を組み合わせ各パネルP1、P2の取付孔61、62を合せて、パネルファスナーFを、各パネルP1、P2の取付孔61、62の向きに合せ、この場合は、縦向きの取付孔61、62に合わせて縦向きにして、軸受・台座ブロック2Aを各フック3とともに各パネルP1、P2の取付孔61、62に差し込み押し込む(ワンプッシュする)。
【0038】
このようにすると、
図8(1)、(2)に示すように、パネルファスナーFは軸受・台座ブロック2Aが、各軸受プレート2の各側縁部203、204及び各外側(外向き)の平面が先端から中間へ、中間から基端へ各パネルP1、P2の取付孔61、62の短辺方向及び長辺方向の各縁部を摺動しつつ、各パネルP1、P2の取付孔61、62を通過する。この間、各軸受プレート2の各側縁部203間、204間から外側に突出される各フック3の各係止爪31は各パネルP1、P2の取付孔61、62の各短辺方向の縁部に接触して押圧され、各係止爪31が各フック3と台座22との間のコイルスプリング5の付勢力に抗して(コイルスプリング5を圧縮しながら)徐々に各軸受23間に向けて回動し各軸受23の両側縁部203間、204間に没入されていく。そして、
図8(3-1)、(3-2)に示すように、(パネルファスナーFが取付孔61、62に押し込まれた瞬間)各係止爪31が完全に各軸受23の各側縁部203間、204間に没入されて軸受・台座ブロック2Aが各パネルP1、P2の取付孔61、62を完全に通過され、取付プレート1は平面の全周縁部のフランジ11が一方のパネルP1の取付孔61の全周縁部の周辺に当接し、各軸受23間内の各フック3は各パネルP1、P2の取付孔61、62を通り抜けて他方のパネルP2の取付孔62の内側で各フック3と台座22との間のコイルスプリング5の付勢力(コイルスプリング5の弾性復帰)により各係止爪31が各軸受23間から各軸受23の各側縁部203、204方向に回動し各軸受2の各側縁部203間、204間から外側に突出されて、他方のパネルP2の取付孔62の各短辺方向の縁部に弾性係止される。ここで、このパネルファスナーFでは、
図3に示したように、各フック3の回動中心が各フック3の一端縁部301側で外面部303寄りに設けられ、各フック3の他端縁部302が円の中心を各フック3の回動中心よりも各フック3の一端縁部301に近く内面部304寄りの位置におく円弧状に形成されたことで、各フック3は、各係止爪31の外側への回動とともに各係止爪31の円弧状の部分が取付孔62の縁部に向けて迫り出し、取付孔62の短辺方向の各縁部に食い込んでいく。これにより、軸受・台座ブロック2Aは、
図8(3-1)、(3-2)に示すように、一方のパネルP1の取付孔61から他方のパネルP2の取付孔62に引き寄せられ、取付プレート1の平面のフランジ11が一方のパネルP1の取付孔61の全周縁部の周辺に圧接し、2枚のパネルP1、P2は取付プレート1と一対のフック3との間で締め付けられて接合される。この場合、パネルファスナーFは2枚のパネルP1、P2間に縦向きに取り付けられ、取付プレート1上の解除レバー回転操作部72の各係止溝720は縦向きになっている。なお、
図8(3-1)には、パネルP1、P2の厚みが小さい場合を例示し、
図8(3-2)には、パネルP1、P2の厚みが大きい場合を例示している。
【0039】
また、パネルファスナーFで2枚のパネルP1、P2が接合された後、この2枚のパネルP1、P2からパネルファスナーFを取り外す場合は、一方の手でパネルP1の取付孔61側の取付プレート1を掴み、他方の手でパネルP2の取付孔62側の各フック3を各軸受23間に押し込みながら、片側一方の手で取付プレート1を引いてパネルファスナーFを引き抜けばよい。この引き抜きにより、パネルファスナーFは使用前の通常の状態に戻される。
【0040】
さらに、パネルファスナーFを2枚のパネルP1、P2から取り外す場合で、各フック3の係止爪31と他方のパネルP2の取付孔62の縁部又は縁部周囲との係合位置に例えばパネルの他の部材などが障害物となって手が入らず、各フック3を他方のパネルP2の取付孔62の縁部又は縁部周囲で直接手で押し込むことができない場合は、この2枚のパネルP1、P2からパネルファスナーFを解除ハンドル8を使って簡単に取り外すことができる。
【0041】
図9、
図10(1)、(2)に示すように、まず、解除ハンドル8を手に持ち、この解除ハンドル8の各操作レバー83を押操作して一対の係止爪832を外側に開き、これらの係止爪832を取付プレート1の凹部105内に嵌め込まれている解除レバー回転操作部72の各係止溝720の各挿入溝721に差し込む。そして、各操作レバー83の押操作を解除すると、各係止爪832はコイルスプリング84の付勢力により閉じ各係合溝722に係止される。これにより解除ハンドル8は解除レバー回転操作部72に連結ロックされる。
【0042】
この状態から、
図10(3)に示すように、解除ハンドル8を時計回り方向に90°回す。この解除ハンドル8を90°回すことで、シャフト7が回転し、一対のフック3の一端間で解除レバー73が旋回(回転)する。また、シャフト7の回転により、各コイルスプリング5とシャフト7の各受部701との係合が外れて、各コイルスプリング5がシャフト7の各受部701間を摺動する。そして、解除ハンドル8の各係止爪832が解除レバー回転操作部72の各係止溝720内で各係止溝720の縁部と取付プレート1の凹部105の内周縁部との間に挟持されて、解除ハンドル8が解除レバー回転操作部72から外れない状態となる。この解除レバー73の旋回により、解除レバー73は両側面731両端側のテーパ形状の係合案内により各フック3の内面部304が押圧されて各フック3の一端間が開く方向に回動され、また、解除レバー73の背面の両端側の傾斜形状により解除レバー73の回転中心に近い位置で解除レバー73が円滑に回転される。この解除レバー73の回転により、各フック3の一端間が開いていくことで、各フック3の各係止爪31がパネルP2の取付孔62の縁部から外れ、各軸受23間に没入されていく。
【0043】
このようにして解除ハンドル8で解除レバー回転操作部72を90°回すと、解除レバー73はその両端で各フック3の内面部304を押圧して各フック3の一端間を最大限に開き、各フック3の各係止爪31が各軸受23間に完全に没入される。すなわち、このパネルファスナーFと2枚のパネルP1、P2との係合は完全に解除され、パネルファスナーFは各パネルP1、P2の各取付孔61、62から取り外し可能となる。この状態から、
図10(4)に示すように、片側一方の手で解除ハンドル8を引けば、この解除ハンドル8に連結されたパネルファスナーFが2枚のパネルP1、P2から引き抜かれる。パネルファスナーFを2枚のパネルP1、P2から引き抜いた後、この解除ハンドル8で解除レバー回転操作部72を反時計回り方向に90°回転させて元の位置に回す(戻す)と、シャフト7が元の位置まで回転されて、解除レバー73が戻り、各フック3の一端間が閉じて各フック3の各係止爪31が各軸受23から突出され、各コイルスプリング5とシャフト7の各受部701が係合される。これらの状態は、各コイルスプリング5とシャフト7の各受部701との係合による手応えによって即時に分かる。
【0044】
以上説明したように、このパネルファスナーFは、取付プレート1と、一対の軸受プレート2及び台座22からなる軸受・台座ブロック2Aと、一対のフック3と、コイルスプリング5と、一端に解除レバー取付部71を有し、他端に解除レバー回転操作部72及び解除ハンドル8を有するシャフト7と、解除レバー73とを備えて構成される。このようにして軸受・台座ブロック2Aを各フック3とともに2つのパネルの各取付孔にワンプッシュで通し、各フック3の係止爪31を他方のパネルの取付孔の縁部又は縁部周囲に係合させるようにしたので、パネルファスナーFを工具を用いることなし2枚のパネルの取付孔にワンプッシュで通し係止させることができ、2枚のパネルを従来にも増して手早くかつ簡単に接合することができ、また、解除レバー回転操作部72に解除ハンドル8を係止溝720と係止爪832の弾性係合により連結ロックして、解除レバー回転操作部72を解除ハンドル8により回転操作することにより各フック3の係止爪31と他方のパネルの取付孔の縁部又は縁部周囲との係合を解除するようにしたので、このパネルファスナーFを2枚のパネルから取り外す場合で、各フック3の係止爪31と他方のパネルの取付孔の縁部又は縁部周囲との係合位置に手が入らず、各フック3を他方のパネルの取付孔の縁部又は縁部周囲で直接手で押し込むことができない場合でも、このパネルファスナーFを2枚のパネルから簡単に取り外すことができる。さらにこのパネルファスナーFは、2枚のパネルに簡単に取り付け、取り外しができるばかりでなく、2枚のパネルの一部に各フック3に近接して遮蔽壁を設けるなどして各フック3を直接手で軸受・台座ブロック2Aの各一対の軸受23の各側縁部間に押し込めないようにしておくことにより、このパネルファスナーFは解除ハンドル8を使わなければ、簡単には取り外すことができないため、セキュリティーなどの必要がある場合に、対応が可能である。
【0045】
さらに、このパネルファスナーFはさらに次のような利点を有する。
【0046】
各フック3の回動中心がフック3の一端縁部301、他端縁部302間の中間部で一端縁部301寄りに設けられ、各フック3の他端縁部302は円の中心を各フック3の回動中心よりも各フック3の一端縁部301に近くかつ外面部303とは反対側の内面部304寄りの位置におく円弧状に形成されることで、このパネルファスナーFを2枚のパネルの取付孔に通しワンプッシュした後の各フック3を、係止爪31の外側への回動とともにこの係止爪31の円弧状の部分が取付孔の縁部に向けて迫り出し、この係止爪31を取付孔の縁部に食い付かせることができ、これにより、軸受・台座ブロック2Aを一方のパネルの取付孔から他方のパネルの取付孔に引き寄せ、取付プレート1の平面のフランジ11を一方のパネルの取付孔の周縁部の周辺に圧接して、2枚のパネルを取付プレート1と一対のフック3との間で締め付けて接合することができ、2枚のパネルの板厚に多少のバラつきがあっても、 各パネルをガタツクことなく確実に接合することができる。
【0047】
各フック3の外面部303は各軸受プレート2の両側縁部203、204と平行に形成され、各フック3の一端縁部301は外面部303側よりも内面部304側が突出されて略刀の刃先状に斜めに形成され、各フック3の内面部304は一端側が外面部303と略平行に形成され、中間部が内面部304の一端側とともに略くの字形を呈して外面部303に対して離れる方向に斜めに形成され、他端側が外面部303と略平行に形成されることで、各フック3を角形の一対の軸受23間に各係止爪31のみが各軸受23の両側縁部203間、204間から出没可能に配置することができる。
【0048】
各フック3の内面部304に筒状の溝33が形成され、各フック3の内面部304が対向される台座22の各側面222に筒状の孔223が形成されて、ばね部材としてコイルスプリング5が採用され、コイルスプリング5は一端が各フック3の各溝33に保持され、他端が台座22の各孔223を通してシャフト7に圧接されて、各フック3と台座22との間に介装されるようにしたことで、各フック3を簡単な構造で各軸受23の両側縁部203、204方向に確実に回動付勢することができる。
【0049】
この場合、シャフト7の外周面に周方向対称位置に各コイルスプリング5の他端が嵌合可能に溝形の受部701が形成され、各コイルスプリング5の他端は台座22の孔223を通してシャフト7の各受部701に保持されるので、次のような多くの利点を有する。
【0050】
すなわち、各コイルスプリング5の他端は台座22の孔223を通してシャフト7の各受部701に保持されるので、各コイルスプリング5の巻数を台座22の各側面222からシャフト7の各受部701までの距離だけ多くしてばね力を高めることができ、これにより、各フック3を各係止爪31が各軸受23間から有効に突出可能に確実に回動付勢することができる。また、各コイルスプリング5の他端は台座22の孔223を通してシャフト7の各受部701内でシャフト7を押圧するので、例えばシャフト7の解除レバー回転操作部72の各係止溝720が縦向きの状態で、各コイルスプリング5とシャフトの各受部701が係合するようにしておくことにより、解除レバー73を回転させて各フック3を各軸受23間に没入させるときに、解除レバー回転操作部72の各係止溝720に解除ハンドル8の各係止爪832を係合させてシャフト7を回すと、各コイルスプリング5とシャフト7の各受部701との係合が外れて各コイルスプリング5はシャフト7の各受部701間を摺動し、そして、解除レバー73を戻して各フック3を各軸受23間から突出させるために、解除ハンドル8でシャフト7を戻す方向に回すと、各コイルスプリング5とシャフト7の各受部701が係合し、この手応えにより、解除レバー回転操作部72が元の位置、つまり、各係止溝720が縦向きの状態に戻ったことが即時に分かり、シャフト7の解除レバー回転操作部72による解除レバー73の回転(旋回)操作がしやすい。さらに、軸受・台座ブロック2Aとシャフト7及び解除レバー73の組み立ての際に、台座22のシャフト挿通部220にシャフト7を挿通すれば、シャフト7の外周面が各コイルスプリング5に押圧されて、シャフト7は仮止め(仮抜け止め)されるので、シャフト7の解除レバー取付部71に解除レバー73を容易に配置でき、シャフト7の先端に取付ねじ734を容易に締め込むことができ、解除レバー73の組み立て作業を簡易に行うことができる。また、この場合、軸受・台座ブロック2Aが各フック3とともに2つのパネルの各取付孔に通される前又は後、各フック3の係止爪31が軸受・台座ブロック2Aの各軸受23の各側縁部203間、204間から突出されたときに、コイルスプリング5が取付プレート1側に凸の円弧状に変形可能に、かつ軸受・台座ブロック2Aが各フック3とともに2つのパネルの各取付孔に通され各フック3の係止爪31が各軸受2の各側縁部203間、204間に没入されたときに、コイルスプリング5を取付プレート1とは反対側に凸の円弧状に変形可能に、各フック3の溝33は、各フック3の内面部304から各フック3の他端縁部302側方向斜めに所定の角度を付けて形成され、かつ各溝33のフック3の他端縁部302側及び/又は一端縁部301側の内周面の一部331が、溝33の奥側から開口側に向けて漸次拡径される所定の角度の傾斜を付けて形成されるので、コイルスプリング5の伸縮変形を良好にし、各フック3の係止爪31を各軸受3の各側縁部203間、204間から確実かつ円滑に出没させることができる。
【0051】
シャフトの解除レバー回転操作部72は、円板状に形成され、その周縁部で相互に対向する位置にそれぞれ係止溝720が設けられる。解除ハンドル8は、ベースプレート81と、一対の支持プレート82と、一対の操作レバー83とを有する。ベースプレート81は円板状に形成され、ベースプレート81の一方の面の両側から一対の支持プレート82が平行に延ばされる。一対の操作レバー83は各々、各本体部831が各支持プレート82間に各支持プレート82の一方の側部側と他方の側部側に対称的に配置可能にコマ状に形成されて、各本体部831の一端に各支持プレート82の各先端間から突出されて解除レバー回転操作部72の各係止溝721に係脱可能な一対の係止爪832が設けられる。各本体部831が各支持プレート82間で各支持プレート82の先端側に、回動軸833を介して、各本体部831の回動により、各係止爪832が回動され、解除レバー回転操作部72の各係止溝720に係脱可能にかつ各本体部831の一部831cが各支持プレート82の各側部間から出没可能に取り付けられる。コイルスプリング84が各操作レバー83間に介装され、常態として各係止爪832を各係止溝720に対して係合可能にかつ各操作レバー83の各本体部831の一部831cを常態として各支持プレート82の各側部間から突出可能に回動付勢する。このようにして解除レバー回転操作部72と解除ハンドル8との連結は、解除ハンドル8を手に持ち、まず、この解除ハンドル8の各操作レバー83を押操作して一対の係止爪832を外側に開き、解除レバー回転操作部72の各係止溝720の各挿入溝721に差し込み、続けて、各操作レバー83の押操作を解除して、各係止爪832を内側に閉じ各係合溝722に係止すればよく、両者の連結を容易かつ迅速に行うことができる。そして、パネルファスナーFを取り外す場合は、解除ハンドル8を時計回り方向に90°回して、シャフト7を回転し、一対のフック3の一端間で解除レバー73を旋回(回転)させることで、各フック3の一端間を開く方向に回動させて、各フック3の各係止爪31をパネルの取付孔の縁部から外し、各軸受23間に没入させる。これにより、このパネルファスナーFと2枚のパネルとの係合は完全に解除され、パネルファスナーFは各パネルの各取付孔から取り外し可能となる。したがって、解除ハンドルを引けば、この解除ハンドル8とともにパネルファスナーFを2枚のパネルから引き抜くことができる。この解除ハンドル8を使って、パネルファスナーFを2枚のパネルから簡単かつ迅速に取り外すことができる。
【0052】
解除レバー73は各フック3に係合される両側面731の両端側が両端方向に漸次先細のテーパ状を呈する略舟形のブロック状に形成されるので、台座22の突出端面221で解除レバー73が旋回されると、解除レバー73の両側面731が各フック3の内面部304に対して円滑に係合して各フック3を円滑に回動させることができる。この場合、解除レバー73は台座22の突出端面221に対向する面の両端側が両端方向に台座22の突出端面221に対して漸次離間する傾斜状に形成されるので、解除レバー73の回転時に解除レバー73の回転中心に近い位置での解除レバー73と軸受・台座ブロック2Aとの接触抵抗が小さくなり、解除レバー73を旋回しやすくすることができる。
【0053】
取付プレート1は一方のパネルの取付孔よりも少し大きい角形のプレートからなり、軸受・台座ブロック2Aの一対の軸受プレート2はそれぞれ、2つのパネルの各取付孔に嵌装可能な大きさで、当該各取付孔を通り抜け可能に所定の長さを有する角形に形成されて、2つのパネルの各取付孔は角形に開口されるので、2枚のパネルの取付孔を単純な形状にし、孔明けに要するコストを低く抑えることができる。
【0054】
一対のフック3は各一対の軸受23間に各軸受プレート2間の台座22を対称中心として対称的に配置され、各軸受プレート2の突出端201側の各軸挿通部20と各フックの軸挿通部30とを合せて、これらの軸挿通部20、30にそれぞれ軸4が通されて、各軸受23間に回動可能に支持されて、組み立てられる。この際に、各軸4の一端が他端よりも小径に形成され、各軸受23の一方の軸挿通部30が小径に形成され、その外面側にテーパ状の溝200が形成されて、各軸4の一端が一方の軸挿通部30に挿通され、テーパ状の溝200内でカシメられて固定されるので、カシメ加工が半分で済み、作業性を良好にすることができる。
【0055】
シャフト7の解除レバー取付部71はシャフト7の一端に周方向に対向する外周面の一部が平行に断面直線状に形成され、残部が対称的に断面円弧状に形成され、解除レバー73の背面735側の取付ねじ挿通孔732の開口周囲に、シャフト7の一端の解除レバー取付部71が嵌合可能に、取付ねじ挿通孔732の径よりも少し大きい円形を基本形とする凹部733が周方向に対向する内周縁部の一部を平行に断面直線状にして、残部を対称的に断面円弧状にして形成されて、かかる形状の解除レバー取付部71が解除レバー73の凹部733に嵌め込まれて、解除レバ73ーを回り止めしたので、このシャフト7と解除レバー73の回り止めの加工が2面で済み、作業性を良好にすることができる。
【0056】
なお、この実施の形態では、ばね部材にコイルスプリング5が用いられ、コイルスプリング5が一対のフック3と台座22との間に介装されるものとしたが、このばね部材にトーションスプリングや板ばねが用いられ、各フックと台座との間に介装されるものであってもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0057】
また、この実施の形態では、シャフト7の解除レバー回転操作部72は、シャフト7の他端に円板状に形成され、その周縁部で相互に対向する位置にそれぞれ係止溝720が設けられるものとしたが、解除レバー回転操作部72の各係止溝720は解除レバー回転操作部72の一方の面(平面)内で相互に対向する位置にそれぞれ設けられてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0058】
また、解除ハンドル8の一対の操作レバー83はそれぞれ、各本体部831の各支持プレート82の各側部間から外側に表れる外面部831aと各本体部831の他端831bとに取り囲まれる各本体部831の一部831cが各支持プレート82の各側部間から出没可能に取り付けられるものとしたが、各本体部831の各支持プレート82の各側部間から外側に表れる外面部831aと各本体部831の他端831bとに取り囲まれる各本体部831の一部831cのうちの一部が各支持プレート82の各側部間から出没可能になっていてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0059】
さらに、解除ハンドル8のコイルスプリング84は、各操作レバー83間に介装され、各操作レバー83の各本体部831の一部が常態として各支持プレート82の各側部間から突出可能に回動付勢されるものとしたが、各操作レバー83の各本体部831の一部のうちの一部が常態として各支持プレート82の各側部間から突出可能に回動付勢されるようにしてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0060】
さらに、この実施の形態では、パネルファスナーFは2枚のパネルの接合に使用されるものとしているが、2枚のパネル間に他の部材を介在する場合や3枚以上のパネルを重ねて結合する場合にも、同様に適用できることは言うまでもなく、2枚のパネルの接合のみの使用に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0061】
F パネルファスナー
1 取付プレート
101、102 長辺側の縁部
103、104 短辺側の縁部
105 凹部
106 溝部
11 フランジ
2A 軸受・台座ブロック
2 軸受プレート
201 突出端(長辺側の縁部)
202 溝
203、204 側縁部(短辺側の縁部)
20 軸挿通部
200 凹部
22 台座
220 シャフト挿通部
221 突出端面
222 側面
223 孔
23 軸受
3 フック
301 一端縁部
302 他端縁部
303 外面部
304 内面部
30 軸挿通部
31 係止爪
33 溝
331 内周面の一部
4 軸
5 ばね部材(コイルスプリング)
R ラック
P1 (一方の)パネル
P2 (他方の)パネル
61、62 取付孔
7 シャフト
701 受部
71 解除レバー取付部
710 ねじ孔
72 解除レバー回転操作部
720 係止溝
721 挿入溝
722 係合溝
73 解除レバー
731 側面
732 取付ねじ挿通孔
733 凹部
734 取付ねじ
735 背面
736 正面
8 解除ハンドル
81 ベースプレート
82 支持プレート
821 中央プレート
822 孔
823 凹溝
824 回転軸挿通部
83 操作レバー
831 本体部
831a 外面部
831b 他端
831c 一部
831d 内面部
831e 凸状部
831f 回転軸挿通部
831g 受部
832 係止爪
833 回転軸
84 ばね部材(コイルスプリング)