(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】食肉点検のための二重エネルギー微小焦点X線撮像方法
(51)【国際特許分類】
G01N 23/087 20180101AFI20240110BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20240110BHJP
G01N 23/18 20180101ALI20240110BHJP
【FI】
G01N23/087
G01N23/04
G01N23/18
(21)【出願番号】P 2019531439
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(86)【国際出願番号】 US2017066445
(87)【国際公開番号】W WO2018112218
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2019-08-27
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-14
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591072086
【氏名又は名称】バテル メモリアル インスティチュート
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】デイビス, リチャード ジェイ. ザ サード
【合議体】
【審判長】樋口 宗彦
【審判官】伊藤 幸仙
【審判官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-64642(JP,A)
【文献】国際公開第2016/171186(WO,A1)
【文献】特開平11-316198(JP,A)
【文献】特開2011-43474(JP,A)
【文献】特開2004-257884(JP,A)
【文献】特開2007-165236(JP,A)
【文献】特開2015-155830(JP,A)
【文献】特開2012-194100(JP,A)
【文献】特開2014-48178(JP,A)
【文献】特開平10-318943(JP,A)
【文献】特開2009-139230(JP,A)
【文献】欧州特許第3555617(EP,B1)
【文献】米国特許第10006873(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - 23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏肉処理における異物検出のためのシステムであって、
第1のX線エネルギーを出力する第1の微小焦点X線源と、
第2のX線エネルギーを出力する第2の微小焦点X線源であって、前記第2のX線エネルギーは、平均エネルギーが前記第1のX線エネルギーより適切に高いことによって前記第1のX線エネルギーとは異なって
おり、前記第1の微小焦点X線源および前記第2の微小焦点X線源は、15マイクロメートル~50マイクロメートルの範囲内の焦点スポットサイズを有する、第2の微小焦点X線源と、
前記第1の微小焦点X線源および前記第2の微小焦点X線源と反対に位置付けられた少なくとも1つの放射検出器であって、前記少なくとも1つの放射検出器は、前記第1の微小焦点X線源および前記第2の微小焦点X線源によって放出され、かつ、関連付けられた鶏肉製品を通過した二重エネルギーX線を受信する、少なくとも1つの放射検出器と、
メモリと通信するプロセッサを含む画像処理システムと
を備え、
前記メモリは、命令を記憶しており、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記関連付けられた鶏肉製品を通過した前記二重エネルギーX線のうちの第1のエネルギーX線を受信した前記少なくとも1つの放射検出器からの出力に対応する第1のX線エネルギー画像を生成することと、
前記関連付けられた鶏肉製品を通過した前記二重エネルギーX線のうちの第2のエネルギーX線を受信した前記少なくとも1つの放射検出器からの出力に対応する第2のX線エネルギー画像を生成することと、
二重エネルギーアルゴリズムに対応する少なくとも1つのスケーリング係数を前記少なくとも1つの放射検出器によって出力された前記第1のX線エネルギー画像および前記第2のX線エネルギー画像のそれぞれに適用することと、
スケーリングされた第1のX線エネルギー画像およびスケーリングされた第2のX線エネルギー画像から組み合わせられた第3の画像を生成することであって、前記組み合わせられた第3の画像は、前記スケーリングされた第2の画像から前記スケーリングされた第1の画像を減算することを介して生成され、前記組み合わせられた第3の画像は、前記二重エネルギーX線のうちの前記第1のエネルギーX線での異物の密度と前記二重エネルギーX線のうちの前記第2のエネルギーX線での前記異物の密度との間の密度差を示す、ことと、
前記二重エネルギーアルゴリズムに従って、前記組み合わせられた第3の画像から、前記関連付けられた鶏肉製品内の前記異物の存在および前記異物の材質タイプを同時に決定することと、
前記関連付けられた鶏肉製品内の前記異物の存在の決定に応答して、アラームを生成することと
を前記プロセッサに行わせる、鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項2】
前記プロセッサと通信するX線コントローラをさらに備え、前記X線コントローラは、前記第1のX線エネルギーおよび前記第2のX線エネルギーを選択し、前記第1のX線エネルギーおよび前記第2のX線エネルギーは、それぞれ、前記第1の微小焦点X線源および前記第2の微小焦点X線源によって放出され、前記関連付けられた鶏肉製品を通過する、請求項1に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項3】
前記画像処理システムと通信するアラーム構成要素をさらに備え、前記アラーム構成要素は、スピーカ、ディスプレイ、または、視覚的インジケータから成る群から選択される、請求項2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの放射検出器は、小ピクセルX線デジタル検出器である、請求項2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項5】
前記プロセッサと通信する物体識別子モジュールをさらに備え、前記物体識別子モジュールは、前記二重エネルギー処理アルゴリズムに従って、前記関連付けられた鶏肉製品内で検出された異物の材質タイプを識別する、請求項2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項6】
前記第1のエネルギーおよび前記第2のエネルギーのビーム焦点スポットサイズは、前記少なくとも1つの放射検出器の有効ピクセルサイズの20%以内である、請求項2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項7】
前記第1のエネルギーおよび前記第2のエネルギーのビームスポットサイズまたは前記少なくとも1つの放射検出器の有効ピクセルサイズのいずれかのより大きい方は、前記異物の幾何学的サイズ以下である、請求項
6に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項8】
前記第1のエネルギーおよび前記第2のエネルギーのビームスポットサイズまたは前記少なくとも1つの放射検出器の有効ピクセルサイズのいずれかのより大きい方は、前記異物の平均サイズの2分の1以下である、請求項
7に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項9】
前記異物の材質タイプは、骨、脂肪、軟骨、金属、または、プラスチックである、請求項
5に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項10】
前記画像処理システムと通信するディスプレイをさらに備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記関連付けられた鶏肉製品の組み合わせられた第3の画像のグラフィック図を前記ディスプレイ上に生成することと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の異物の場所を識別することと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の異物の材質タイプを識別することと
を前記プロセッサにさらに行わせる、請求項2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項11】
前記画像処理システムと通信するディスプレイをさらに備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記関連付けられた鶏肉製品の組み合わせられた第3の画像のグラフィック図を前記ディスプレイ上に生成することと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の脂肪成分の場所を識別することと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内で識別された脂肪成分の測定値を識別することと
を前記プロセッサにさらに行わせる、請求項2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの放射検出器は、前記第1の微小焦点X線源および前記第2の微小焦点X線源と反対に位置付けられたスタックされた放射検出システムを備える、請求項2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項13】
鶏肉処理における異物検出のための方法であって、
微小焦点X線源を通して、微小集束されたX線エネルギービームを関連付けられた鶏肉製品を通して放出すること
であって、前記微小焦点X線源は、15マイクロメートル~50マイクロメートルの範囲内の焦点スポットサイズを有する、ことと、
前記微小焦点X線源と反対に位置付けられたスタックされた放射検出器システムを介して、前記関連付けられた鶏肉製品を通して透過される微小集束されたエネルギーX線ビームを受信することと、
前記スタックされた放射検出器システムを介して、前記受信された微小集束されたエネルギーX線ビームを、低X線エネルギーおよび高X線エネルギーを含む二重エネルギーX線に分離することと、
二重エネルギー画像処理アルゴリズムを記憶するメモリと通信するプロセッサを用いて、前記スタックされた放射検出システムからの出力である前記二重エネルギーX線の前記低X線エネルギーに対応する低エネルギー画像を生成することと、
前記プロセッサを用いて、前記スタックされた放射検出システムからの出力である前記二重エネルギーX線の前記高X線エネルギーに対応する高エネルギー画像を生成することと、
前記プロセッサを用いて、前記二重エネルギーアルゴリズムに対応する少なくとも1つのスケーリング係数を前記低エネルギー画像および前記高エネルギー画像のそれぞれに適用することと、
前記プロセッサを用いて、スケーリングされた低エネルギー画像およびスケーリングされた高エネルギー画像から組み合わせられた二重エネルギー画像を生成することであって、前記組み合わせられた二重エネルギー画像は、前記スケーリングされた高エネルギー画像から前記スケーリングされた低エネルギー画像を減算することを介して生成され、前記組み合わせられた二重エネルギー画像は、前記低X線エネルギーでの異物の密度と前記高X線エネルギーでの前記異物の密度との間の密度差を示す、ことと、
前記プロセッサを用いて、前記二重エネルギー画像処理アルゴリズムに従って、前記組み合わせられた二重エネルギー画像を分析することにより、前記関連付けられた鶏肉製品内の異物の存在および異物の材質タイプを同時に識別することと、
前記分析に応答して、前記関連付けられた鶏肉製品内の異物の存在を示すアラームを生成することと
を含む、鶏肉処理における異物検出のための方法。
【請求項14】
前記アラームは、スピーカ、ディスプレイ、または、視覚的インジケータから成る群から選択される、請求項
13に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
【請求項15】
前記二重エネルギー画像処理アルゴリズムに従って、前記関連付けられた鶏肉製品内で識別された異物の材質タイプは、骨、脂肪、軟骨、金属、または、プラスチックである、請求項
13に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
【請求項16】
前記低エネルギーおよび前記高エネルギーのビーム焦点スポットサイズは、前記スタックされた放射検出器の有効ピクセルサイズの20%以内である、請求項
13に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
【請求項17】
前記低エネルギーおよび前記高エネルギーのビームスポットサイズまたは前記スタックされた放射検出器の有効ピクセルサイズのいずれかのより大きい方は、前記異物の幾何学的サイズ以下である、請求項
16に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
【請求項18】
前記低エネルギーおよび前記高エネルギーのビームスポットサイズまたは前記スタックされた放射検出器の有効ピクセルサイズのいずれかのより大きい方は、前記異物の平均サイズの2分の1以下である、請求項
17に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
【請求項19】
前記関連付けられた鶏肉製品の組み合わせられた二重エネルギー画像のグラフィック図を前記ディスプレイ上に生成することと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の異物の場所を識別することと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の異物の材質タイプを識別することと
をさらに含む、請求項
13に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
【請求項20】
前記関連付けられた鶏肉製品の組み合わせられた二重エネルギー画像のグラフィック図を前記ディスプレイ上に生成することと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の脂肪成分の場所を識別することと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の識別された脂肪成分の測定値を識別することと
をさらに含む、請求項
13に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
【請求項21】
食肉処理における異物検出のためのシステムであって、
15マイクロメートル~50マイクロメートルの範囲内の焦点スポットサイズを有する少なくとも1つの微小焦点X線管と、
前記少なくとも1つの微小焦点X線源と反対に位置付けられたスタックされた放射検出器であって、前記スタックされた放射検出器は、前記少なくとも1つの微小焦点X線源によって放出され、かつ、関連付けられた食肉製品を通過した二重エネルギーX線を受信する、スタックされた放射検出器と、
メモリと通信するプロセッサを含む画像処理システムと
を備え、
前記メモリは、命令を記憶しており、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記スタックされた放射検出器システムを介して、前記受信された二重エネルギーX線を低X線エネルギーおよび高X線エネルギーに分離することと、
前記スタックされた放射検出システムからの出力である前記二重エネルギーX線の前記低X線エネルギーに対応する低エネルギー画像を生成することと、
前記プロセッサを用いて、前記スタックされた放射検出システムからの出力である前記二重エネルギーX線の前記高X線エネルギーに対応する高エネルギー画像を生成することと、
スケーリング係数を前記低エネルギー画像および前記高エネルギー画像に適用することと、
スケーリングされた高エネルギー画像からスケーリングされた低エネルギー画像を減算することを介して、組み合わせられた二重エネルギー画像を生成することであって、前記組み合わせられた二重エネルギー画像は、前記低X線エネルギーでの異物の密度と前記高X線エネルギーでの前記異物の密度との間の密度差を示す、ことと、
二重エネルギーアルゴリズムに従って、前記組み合わせられた二重エネルギー画像から、前記関連付けられた食肉製品内の前記異物の存在および前記異物の材質タイプを同時に決定することと、
前記組み合わせられた二重エネルギー画像および前記二重エネルギーアルゴリズムから、前記関連付けられた食肉製品内の脂肪成分の測定値を決定することと、
前記関連付けられた食肉製品内の前記異物の存在の決定に応答して、アラームを生成することと
を前記プロセッサに行わせる、食肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項22】
前記プロセッサと通信するX線コントローラをさらに備え、前記X線コントローラは、前記少なくとも1つの微小焦点X線源によって放出され、かつ、前記関連付けられた食肉製品を通過した第1のX線エネルギーおよび第2のX線エネルギーを選択し、前記第1のX線エネルギーは、前記低エネルギー画像に関連付けられており、前記第2のX線エネルギーは、前記高エネルギー画像に関連付けられている、請求項
21に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項23】
前記画像処理システムと通信するアラーム構成要素をさらに備え、前記アラーム構成要素は、スピーカ、ディスプレイ、または、視覚的インジケータから成る群から選択される、請求項
22に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つの放射検出器は、小ピクセルX線デジタル検出器である、請求項
22に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項25】
前記プロセッサと通信する物体識別子モジュールをさらに備え、前記物体識別子モジュールは、前記二重エネルギー処理アルゴリズムに従って、前記組み合わせられた二重エネルギー画像から、前記関連付けられた食肉製品内で検出された異物の材質タイプを識別する、請求項
22に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項26】
前記異物の材質タイプは、骨、脂肪、軟骨、金属、または、プラスチックである、請求項
25に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項27】
前記低エネルギーおよび前記高エネルギーのビーム焦点スポットサイズは、前記スタックされた放射検出器の有効ピクセルサイズの20%以内である、請求項
21に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項28】
前記低エネルギーおよび前記高エネルギーのビームスポットサイズまたは前記スタックされた放射検出器の有効ピクセルサイズのいずれかのより大きい方は、前記異物の幾何学的サイズ以下である、請求項
27に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
【請求項29】
前記低エネルギーおよび前記高エネルギーのビームスポットサイズまたは前記スタックされた放射検出器の有効ピクセルサイズのいずれかのより大きい方は、前記異物の平均サイズの2分の1以下である、請求項
28に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2016年12月14日に出願された米国の優先審査に係る優先された特許出願第15/379,071号の一部継続出願である。その出願の全体は、参照により本明細書中に完全に援用される。
【0002】
以下は、概して、食品処理技術、食肉処理技術、放射線撮像技術、食品安全性技術、および同等物に関する。食肉および鶏肉処理産業と関連して特定の用途が見出され、特にそれを参照して説明されるであろう。しかしながら、また、他の使用シナリオでも用途が見出され、必ずしも、前述の用途に限定されないことを理解されたい。
【背景技術】
【0003】
食品処理産業では、特に、食肉および鶏肉の処理では、品質制御は、任意の混入物質の検出を伴う。特に懸念されるのは、食品製品の品質に影響を及ぼし、かつ消費安全性懸念を引き起こす、骨または他の硬質組織およびガラス、プラスチック、木材、および金属等の異物の存在である。
【0004】
鶏肉および食肉に関して、個別の動物の処理、特に、鋸切断および骨抜き処理は、骨断片の存在をもたらし得る。これらの断片は、食肉または鶏肉製品の価値を減少させるだけではなく、また、消費者による製品の消費を通して有害なリスクをもたらし得る。
【0005】
食肉製品内の骨または他の混入物質の存在を検出するために現在利用可能な種々の技法は、サンプルの実験室試験を要求し、これは、脂肪成分を検出するために好適であるが、製品全体を分析することができない。放射線技法を利用する試みは、限定された成功を伴って満たされている。製品全体が分析されることができるが、放射線技法において放出されるX線の減衰は、慎重に制御されることに関わる全ての他の変数、例えば、製品の厚さ、製品の脂肪成分、密度等を要求するため、問題が生じる。さらに、骨断片、特に、鶏肉のものの検出は、非鳥類種とは対照的に、そのような断片の小サイズおよび鶏肉骨の密度に起因して、行うことが困難である。特に、若鳥の処理における放射線技法の使用は、そのような若鳥における骨が骨の密度が周囲肉と実質的に異なる点に対して石灰化されていないため、特有の課題を提示する。例えば、鶏肉製品の処理では、Baiada Poultry Pty. Ltd.(New South Wales, Australia)等の企業が、長年、本問題を認識している。Baiada Poultry Pty. Ltd.およびDr.Anthony Pavicは、部分的に、本願に至った開発の支援および資金提供を含む、鶏肉内の骨または他の硬質組織および異物の検出に対する解決策を模索する先駆者である。
【0006】
したがって、製品内の望ましくないデブリを検出する確率を増加させる、システムおよび方法の必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によると、鶏肉処理における異物検出のためのシステムが、提供される。システムは、第1のX線エネルギーを出力する、第1の微小焦点X線源と、第2のX線エネルギーを出力する、第2の微小焦点X線源であって、第2のX線エネルギーは、平均エネルギーが第1のX線エネルギーより適切に高いことによって第1のX線エネルギーと異なる、第2の微小焦点X線源とを含む。本システムはまた、第1および第2の微小焦点X線源と反対に位置付けられ、関連付けられた鶏肉製品を通して第1および第2の微小焦点X線管によって放出される二重エネルギーX線を受信する、少なくとも1つの放射検出器を含む。加えて、本システムは、メモリと通信するプロセッサを含む、画像処理システムを含む。メモリは、命令を記憶し、これは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、関連付けられた鶏肉製品を通した二重エネルギーX線の少なくとも1つの放射検出器から出力された第1の画像および第2の画像を受信させ、少なくとも1つのスケーリング係数を第1および第2の画像に適用させ、スケーリングされた第1の画像をスケーリングされた第2の画像から減算することによって、組み合わせられた第3の画像を生成させ、組み合わせられた第3の画像から、二重エネルギーアルゴリズムに従って、関連付けられた鶏肉製品内の異物の存在およびタイプを決定させ、関連付けられた鶏肉製品内の異物の存在の決定に応答して、アラームを生成させる。
【0008】
別の実施形態によると、鶏肉処理における異物検出のための方法が、提供される。本方法は、微小焦点X線源を通して、微小集束されたX線エネルギービームを関連付けられた鶏肉製品を通して放出するステップと、微小焦点X線源と反対に位置付けられるスタックされた放射検出器システムを介して、関連付けられた鶏肉製品を通して透過される微小集束されたエネルギーX線ビームを受信するステップとを含む。本方法はまた、スタックされた放射検出器システムを介して、受信された微小集束されたエネルギーX線ビームを、低エネルギーX線画像および高エネルギーX線画像を備える、二重エネルギーX線に分離するステップと、二重エネルギー画像処理アルゴリズムを記憶するメモリと通信するプロセッサを用いて、二重エネルギーアルゴリズムに対応する少なくとも1つのスケーリング係数を低エネルギー画像および高エネルギー画像のそれぞれに適用するステップとを含む。本方法はさらに、プロセッサを用いて、組み合わせられた二重エネルギー画像をスケーリングされた低エネルギー画像およびスケーリングされた高エネルギー画像から生成するステップであって、組み合わせられた二重エネルギー画像は、スケーリングされた高エネルギー画像からのスケーリングされた低エネルギー画像の減算を介して生成される、ステップと、プロセッサを用いて、二重エネルギー画像処理アルゴリズムに従って、組み合わせられた二重エネルギー画像を分析し、関連付けられた鶏肉製品内の異物の存在およびタイプを識別するステップとを含む。さらに、本方法は、分析に応答して、関連付けられた鶏肉製品内の異物の存在を示すアラームを生成するステップを含む。
【0009】
別の実施形態では、少なくとも1つの微小焦点X線源と、スタックされた放射検出器と、画像処理システムとを含む、食肉処理における異物検出のためのシステムが、提供される。スタックされた放射検出器は、少なくとも1つの微小焦点X線源と反対にあって、関連付けられた食肉製品を通して少なくとも1つの微小焦点X線源によって放出される二重エネルギーX線を受信し、二重エネルギーX線を低エネルギー画像および高エネルギー画像に分離する。画像処理システムは、メモリと通信するプロセッサを含み、メモリは、命令を記憶し、これは、プロセッサによって実行され、プロセッサに、低エネルギー画像および高エネルギー画像をスタックされた放射検出器から受信させ、スケーリング係数を低エネルギー画像および高エネルギー画像に適用させ、スケーリングされた高エネルギー画像からのスケーリングされた低エネルギー画像の減算を介して、組み合わせられた二重エネルギー画像を生成させ、同時に、二重エネルギーアルゴリズムに従って、関連付けられた食肉製品内の異物の存在およびタイプを組み合わせられた二重エネルギー画像から決定させ、組み合わせられた二重エネルギー画像および二重エネルギーアルゴリズムから、関連付けられた食肉製品内の脂肪成分の測定値を決定させ、および関連付けられた食肉製品内の異物の存在の決定に応答して、アラームを生成させる。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
鶏肉処理における異物検出のためのシステムであって、
第1のX線エネルギーを出力する第1の微小焦点X線源と、
第2のX線エネルギーを出力する第2の微小焦点X線源であって、前記第2のX線エネルギーは、平均エネルギーが前記第1のX線エネルギーより適切に高いことによって前記第1のX線エネルギーと異なる、第2の微小焦点X線源と、
少なくとも1つの放射検出器であって、前記少なくとも1つの放射検出器は、前記第1および第2の微小焦点X線源と反対に位置付けられ、関連付けられた鶏肉製品を通して通過する前記第1および第2の微小焦点X線源によって放出される二重エネルギーX線を受信する、少なくとも1つの放射検出器と、
メモリと通信するプロセッサを含む画像処理システムであって、前記メモリは、命令を記憶しており、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記関連付けられた鶏肉製品を通した前記二重エネルギーX線の少なくとも1つの放射検出器から出力された第1の画像および第2の画像を受信することと、
二重エネルギーアルゴリズムに対応する少なくとも1つのスケーリング係数を前記少なくとも1つの放射検出器によって出力された前記第1の画像および前記第2の画像のそれぞれに適用することと、
組み合わせられた第3の画像をスケーリングされた第1の画像およびスケーリングされた第2の画像から生成することであって、前記組み合わせられた第3の画像は、前記スケーリングされた第2の画像からの前記スケーリングされた第1の画像の減算を介して生成される、ことと、
前記組み合わせられた第3の画像から、前記二重エネルギーアルゴリズムに従って、前記関連付けられた鶏肉製品内の異物の存在およびタイプを決定することと、
前記関連付けられた鶏肉製品内の異物の存在の決定に応答して、アラームを生成することと
を行わせる、画像処理システムと
を備える、鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目2)
前記プロセッサと通信するX線コントローラをさらに備え、前記X線コントローラは、前記第1のX線エネルギーおよび前記第2のX線エネルギーを選択し、前記第1のX線エネルギーおよび前記第2のX線エネルギーは、それぞれ、前記関連付けられた鶏肉製品を通して前記第1および第2の微小焦点X線源によって放出される、項目1に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目3)
前記画像処理システムと通信するアラーム構成要素をさらに備え、前記アラーム構成要素は、スピーカ、ディスプレイ、または視覚的インジケータから成る群から選択される、項目2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目4)
前記第1および第2の微小焦点X線源は、15~50マイクロメートルの範囲内の焦点スポットサイズを有する、項目1に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目5)
前記少なくとも1つの放射検出器は、小ピクセルX線デジタル検出器である、項目2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目6)
前記プロセッサと通信する物体識別子モジュールをさらに備え、前記物体識別子モジュールは、前記二重エネルギー処理アルゴリズムに従って、前記関連付けられた鶏肉製品内で検出された異物のタイプを識別する、項目2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目7)
前記第1および第2のエネルギーのビーム焦点スポットサイズは、前記少なくとも1つの放射検出器の有効ピクセルサイズの20%以内である、項目2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目8)
前記第1のエネルギーおよび前記第2のエネルギーのビームスポットサイズまたは前記少なくとも1つの放射検出器の有効ピクセルサイズのいずれかのより大きい方は、前記異物の幾何学的サイズ以下である、項目7に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目9)
前記第1のエネルギーおよび前記第2のエネルギーのビームスポットサイズまたは前記少なくとも1つの放射検出器の有効ピクセルサイズのいずれかのより大きい方は、前記異物の平均サイズの2分の1以下である、項目8に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目10)
前記異物のタイプは、骨、脂肪、軟骨、金属、またはプラスチックである、項目6に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目11)
前記画像処理システムと通信するディスプレイをさらに備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記関連付けられた鶏肉製品の組み合わせられた第3の画像のグラフィック図を前記ディスプレイ上に生成することと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の異物の場所を識別することと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の異物のタイプを識別することと
をさらに行わせる、項目2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目12)
前記画像処理システムと通信するディスプレイをさらに備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記関連付けられた鶏肉製品の組み合わせられた第3の画像のグラフィック図を前記ディスプレイ上に生成することと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の脂肪成分の場所を識別することと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内で識別された脂肪成分の測定値を識別することと
をさらに行わせる、項目2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目13)
前記少なくとも1つの放射検出器は、前記第1および第2の微小焦点X線源と反対に位置付けられるスタックされた放射検出システムを備える、項目2に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目14)
鶏肉処理における異物検出のための方法であって、
微小焦点X線源を通して、微小集束されたX線エネルギービームを関連付けられた鶏肉製品を通して放出するステップと、
前記微小焦点X線源と反対に位置付けられるスタックされた放射検出器システムを介して、前記関連付けられた鶏肉製品を通して透過される微小集束されたエネルギーX線ビームを受信するステップと、
前記スタックされた放射検出器システムを介して、前記受信された微小集束されたエネルギーX線ビームを、低エネルギーX線画像および高エネルギーX線画像を備える二重エネルギーX線に分離するステップと、
二重エネルギー画像処理アルゴリズムを記憶するメモリと通信するプロセッサを用いて、前記二重エネルギーアルゴリズムに対応する少なくとも1つのスケーリング係数を前記低エネルギー画像および前記高エネルギー画像のそれぞれに適用するステップと、
前記プロセッサを用いて、組み合わせられた二重エネルギー画像をスケーリングされた低エネルギー画像およびスケーリングされた高エネルギー画像から生成するステップであって、前記組み合わせられた二重エネルギー画像は、前記スケーリングされた高エネルギー画像からの前記スケーリングされた低エネルギー画像の減算を介して生成される、ステップと、
前記プロセッサを用いて、前記二重エネルギー画像処理アルゴリズムに従って、前記組み合わせられた二重エネルギー画像を分析し、前記関連付けられた鶏肉製品内の異物の存在およびタイプを識別するステップと、
前記分析に応答して、前記関連付けられた鶏肉製品内の異物の存在を示すアラームを生成するステップと
を含む、鶏肉処理における異物検出のための方法。
(項目15)
前記アラームは、スピーカ、ディスプレイ、または視覚的インジケータから成る群から選択される、項目14に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
(項目16)
前記二重エネルギー画像処理アルゴリズムに従って、前記関連付けられた鶏肉製品内で識別された異物のタイプは、骨、脂肪、軟骨、金属、またはプラスチックである、項目14に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
(項目17)
前記低および高エネルギーのビーム焦点スポットサイズは、前記スタックされた放射検出器の有効ピクセルサイズの20%以内である、項目14に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
(項目18)
前記低エネルギーおよび前記高エネルギーのビームスポットサイズまたは前記スタックされた放射検出器の有効ピクセルサイズのいずれかのより大きい方は、前記異物の幾何学的サイズ以下である、項目17に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
(項目19)
前記低エネルギーおよび前記高エネルギーのビームスポットサイズまたは前記スタックされた放射検出器の有効ピクセルサイズのいずれかのより大きい方は、前記異物の平均サイズの2分の1以下である、項目18に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
(項目20)
前記関連付けられた鶏肉製品の組み合わせられた二重エネルギー画像のグラフィック図を前記ディスプレイ上に生成するステップと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の異物の場所を識別するステップと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の異物のタイプを識別するステップと
をさらに含む、項目14に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
(項目21)
前記関連付けられた鶏肉製品の組み合わせられた二重エネルギー画像のグラフィック図を前記ディスプレイ上に生成するステップと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の脂肪成分の場所を識別するステップと、
前記ディスプレイ上のグラフィック図上の前記関連付けられた鶏肉製品内の識別された脂肪成分の測定値を識別するステップと
をさらに含む、項目14に記載の鶏肉処理における異物検出のための方法。
(項目22)
食肉処理における異物検出のためのシステムであって、
少なくとも1つの微小焦点X線源と、
スタックされた放射検出器であって、前記スタックされた放射検出器は、前記少なくとも1つの微小焦点X線源と反対に位置付けられ、関連付けられた食肉製品を通して前記少なくとも1つの微小焦点X線源によって放出される二重エネルギーX線を受信し、前記二重エネルギーX線を低エネルギー画像および高エネルギー画像に分離する、スタックされた放射検出器と、
メモリと通信するプロセッサを含む画像処理システムであって、前記メモリは、命令を記憶しており、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
前記低エネルギー画像および前記高エネルギー画像を前記スタックされた放射検出器から受信することと、
スケーリング係数を前記低エネルギー画像および前記高エネルギー画像に適用することと、
スケーリングされた高エネルギー画像からのスケーリングされた低エネルギー画像の減算を介して、組み合わせられた二重エネルギー画像を生成することと、
同時に、二重エネルギーアルゴリズムに従って、前記関連付けられた食肉製品内の異物の存在およびタイプを前記組み合わせられた二重エネルギー画像から決定することと、
前記組み合わせられた二重エネルギー画像および前記二重エネルギーアルゴリズムから、前記関連付けられた食肉製品内の脂肪成分の測定値を決定することと、
前記関連付けられた食肉製品内の異物の存在の決定に応答して、アラームを生成することと
を行わせる、食肉処理における異物検出のための画像処理システムと
を備える、システム。
(項目23)
前記プロセッサと通信するX線コントローラをさらに備え、前記X線コントローラは、前記関連付けられた食肉製品を通して前記少なくとも1つの微小焦点X線源によって放出される第1のX線エネルギーおよび第2のX線エネルギーを選択し、前記第1のX線エネルギーは、前記低エネルギー画像と関連付けられ、前記第2のX線エネルギーは、前記高エネルギー画像と関連付けられる、項目22に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目24)
前記画像処理システムと通信するアラーム構成要素をさらに備え、前記アラーム構成要素は、スピーカ、ディスプレイ、または視覚的インジケータから成る群から選択される、項目23に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目25)
前記少なくとも1つの放射検出器は、小ピクセルX線デジタル検出器である、項目23に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目26)
前記プロセッサと通信する物体識別子モジュールをさらに備え、前記物体識別子モジュールは、前記二重エネルギー処理アルゴリズムに従って、前記関連付けられた食肉製品内で検出された異物のタイプを前記組み合わせられた二重エネルギー画像から識別する、項目23に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目27)
前記異物のタイプは、骨、脂肪、軟骨、金属、またはプラスチックである、項目26に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目28)
前記低および高エネルギーのビーム焦点スポットサイズは、前記スタックされた放射検出器の有効ピクセルサイズの20%以内である、項目22に記載の食肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目29)
前記低エネルギーおよび前記高エネルギーのビームスポットサイズまたは前記スタックされた放射検出器の有効ピクセルサイズのいずれかのより大きい方は、前記異物の幾何学的サイズ以下である、項目28に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目30)
前記低エネルギーおよび前記高エネルギーのビームスポットサイズまたは前記スタックされた放射検出器の有効ピクセルサイズのいずれかのより大きい方は、前記異物の平均サイズの2分の1以下である、項目29に記載の鶏肉処理における異物検出のためのシステム。
(項目31)
前記少なくとも1つの微小焦点X線管は、15~50マイクロメートルの範囲内の焦点スポットサイズを有する、項目23に記載の食肉処理における異物検出のための方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は、種々の構成要素および構成要素の配列および種々のステップおよびステップの配列の形態をとり得る。図面は、好ましい実施形態を図示する目的のためだけのものであって、本開示を限定するように解釈されない。
【0011】
【
図1】
図1は、本願の一実施形態による、食肉および鶏肉製品内の異物を検出するためのシステムの例証である。
【0012】
【
図2】
図2は、本願の一実施形態による、食肉および鶏肉製品内の異物を検出するためのシステムおよび方法において使用される簡略化された二重エネルギーアルゴリズムの例証である。
【0013】
【
図3】
図3は、本願の一実施形態による、従来の微小焦点および二重エネルギー微小焦点技法を使用した混入物質の検出の確率のグラフィック図である。
【0014】
【
図4】
図4は、本願の一実施形態による、シミュレーションおよび実験結果のグラフィック図である。
【0015】
【
図5】
図5は、本願の一実施形態による、二重エネルギー微小焦点を使用した異物を検出するためのシステムおよび方法の実験用途において使用される、食肉(鶏肉)製品および種々の混入物質の写真である。
【0016】
【
図6】
図6は、本願に記載される異物を検出するためのシステムおよび方法の一実施形態に従って生成された個々の放射線写真および対応する二重エネルギー放射線写真の例証である。
【0017】
【
図7】
図7は、本願に記載される異物を検出するためのシステムおよび方法の一実施形態に従って生成された鶏肉製品内の骨混入物質の放射線写真の例証である。
【0018】
【
図8】
図8は、本願に記載される異物を検出するためのシステムおよび方法の一実施形態に従って生成された鶏肉製品内のプラスチック混入物質の放射線写真の例証である。
【0019】
【
図9】
図9は、本願に記載される異物を検出するためのシステムおよび方法の一実施形態に従って生成された鶏肉製品内の軟骨混入物質の放射線写真の例証である。
【0020】
【
図10】
図10は、本願の一例示的実施形態による、システムの動作のグラフィック図である。
【0021】
【
図11】
図11は、システム10の例証による、鶏肉製品内の混入物質の同時の検出および識別の写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1つ以上の実施形態が、ここで、添付の図面を参照して説明されるであろうが、同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を指すために使用される。食肉および鶏肉処理のためのシステムおよび方法に関連する例示的実施形態の側面が、本明細書に説明される。加えて、例示的実施形態は、鶏肉製品内の混入物質検出および同等物を参照して以降で提示されるが、しかしながら、記載されるシステムおよび方法の適用は、当業者によって理解されるように、他の分野でも行われることができる。微小焦点能力は、食肉および鶏肉処理産業では、これまで利用されていなかったことを理解されたい。さらに、マルチエネルギー画像は、いくつかの点検機器の中に組み込まれていたが、エネルギー相互作用における物理的差異を組み入れる、画像間の差異を利用し、合成画像を生成する、二重エネルギーアプローチは、組み込まれていなかった。故に、微小焦点技法と二重エネルギーアプローチの組み合わせを採用する、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、特に、より小サイズの異物に関して、検出の確率を増加させるであろう。
【0023】
本開示の一実施形態によると、食肉または鶏肉製品内のデブリを検出するために、二重エネルギーX線源と微小集束されたX線管を組み合わせる、システムおよび方法が、提供される。微小集束されたX線源は、マイクロメートルサイズ焦点スポットを利用してもよく、これは、本明細書に後述されるシステム、方法、およびアルゴリズムによって、二重エネルギー撮像および検出と組み合わせられ、食肉点検の間、低応答時間(例えば、1秒未満)検出を有して、小異物(例えば、食肉または鶏肉製品内の骨または軟骨の1立方ミリメートル未満片)を検出する。
【0024】
本明細書に開示される他の実施形態によると、鶏肉内の異物を検出および識別し、鶏肉内の脂肪成分を測定するための方法論が、提供され、これは、鶏肉製品の2つのX線画像を利用し、第3の画像を生成し、その第3の画像は、異物およびその識別に関連し、そして、他の2つの画像のいずれにも存在しないその脂肪成分に関連する放射線情報を含み、これは、異物の検出および識別と、他の2つの画像のいずれか内で確実に検出、識別、または測定されることができない、脂肪成分の測定とを可能にする。アルゴリズムは、両方とも微小集束されたX線ビームを使用して作成される、2つの画像に依拠し、1つの画像は、1つの平均X線エネルギーを使用して作成され、1つの画像は、異なる平均X線エネルギーを使用して作成される。アルゴリズムはさらに、数学的操作を考慮に組み入れることを通して第3の画像を作成する。いくつかの実施形態では、微小集束されたビームのみを使用して作成され得る、放射線情報は、例えば、限定ではないが、異物に関連する幾何学的情報およびそのような鶏肉製品の脂肪成分分布および詳細な放射線密度と、2つの明確に異なるX線エネルギー間の差異の関数(すなわち、比率ではなく、数学的減算)にすぎず、単一エネルギーレベルを通して取得されることができない、異物および脂肪成分の存在およびタイプに関連する放射線密度情報における差異とを含む。スケーリング(集束されるX線ビームのエネルギーレベルおよびサイズに関連する)が、具体的微小焦点二重エネルギーアルゴリズムに従って、放射検出器によって生成された2つのエネルギー画像のそれぞれに適用されてもよい。さらに、第3の画像の作成が、微小焦点二重エネルギーアルゴリズムに従って、スケーリングされた低エネルギー画像をスケーリングされた高エネルギー画像から減算することによって遂行され(本第3の画像は、本明細書では、微小集束された二重エネルギー画像と称される)、他の画像のいずれにも見出されない放射線情報を明らかにしてもよい。加えて、微小焦点二重エネルギー画像のみを使用して、適切な処理によって、かつ二重エネルギー検出アルゴリズムに従って、関連付けられた鶏肉製品内の異物の存在、異物の識別(具体的ベースラインにかかわらず、あらゆるタイプの異物が識別されることを可能にする、非バイナリ識別)、および脂肪成分の測定値が、本明細書に後述されるシステムおよび方法によって決定されてもよい。
【0025】
ここで
図1に目を向けると、本開示の一実施形態による、微小集束された二重エネルギーX線ビームおよび二重エネルギー画像処理アルゴリズムを利用する、食肉製品内の混入物質を検出するためのシステム100が、示される。
図1に描写される種々の構成要素は、例示的ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせの側面を図示する目的のためのものであって、本明細書では代用可能であることを理解されたい。
図1に描写されるように、システム100は、下記に説明されるように、好適な通信リンク154を介して、画像処理システム112と通信する、少なくとも1つの点検システム101を含む。好適な通信リンク154は、例えば、無線通信、例えば、Bluetooth(登録商標)、WiMax、802.11a、802.11b、802.11g、802.11(x)、専用通信ネットワーク、赤外線、光学、公衆交換電話網、または任意の好適な無線データ伝送システム、または有線通信等のデータ通信の任意の好適なチャネルを含んでもよい。
【0026】
図1に示されるように、点検システム101は、放射検出器104と反対に位置付けられ、X線106を製品108を通して放出し、異物110を検出するように構成される、1つ以上の微小焦点X線源102を備える。当業者によって理解されるように、本明細書に含まれるような微小焦点X線源102は、非常に小さな焦点スポットサイズ、典型的には、50μm未満の直径を生成し得る。本主題システム100内で利用される微小焦点X線源102は、例えば、限定ではないが、ソリッドアノード管、金属ジェットアノード管を含む、微小焦点X線管、所望の微小焦点X線ビームを作成するための好適なコリメーションを伴う、標準的X線管、および本分野で公知の他のX線源を備えてもよい。システム100において使用されることが可能な好適な微小焦点X線源102の実施例は、例えば、限定ではないが、YXLON製の高分解能Y.FXE微小焦点X線管(モデルFXE-160およびFXE-225)、X-RAY WorX高分解能微小焦点伝送X線管(モデルT、TC、THE、およびTCMFシリーズ)、Hamamatsu Photonics製の微小焦点X線管(Lシリーズ)、およびExcillum MetalJet D2シリーズの微小焦点X線管を含む。
【0027】
理解されるであろうように、本開示の微小焦点X線源102は、より小さい物体、すなわち、異物110が、より高い放射線コントラストを伴ってより小さい物体を検出する能力によって定義されるように、より高い検出の確率を伴って検出されることを可能にする。理解されるであろうように、標準的X線源は、焦点スポットサイズ1.5mmを有し、これは、検出をそのサイズ以上の物体に限定するが、本主題システムおよび方法において利用される微小焦点X線源102は、焦点スポットサイズ15~50マイクロメートルを提供する。故に、本開示の微小焦点X線源102は、従来のX線源に対して実質的画像拡大を可能にし、周囲組織に対してより良好なコントラストを伴って、より小さいアイテムが検出されることを可能にする。
【0028】
放射検出器104は、小ピクセルX線検出器であってもよく、そのピクセルサイズは、小物体を検出する高確率を伴って、小物体検出を可能にするように、微小焦点X線管のスポットサイズ102に匹敵する。放射検出器は、微小焦点X線源サイズのオーダーのピクセル分解能を伴って、同時に、または連続して供給される、二重エネルギープロセスに必要なエネルギー範囲を検出可能なライン走査またはフラットパネルタイプのいずれかであることができる。本願の一例示的実装によると、微小焦点X線源102のスポットサイズおよび対応する放射検出器104の有効ピクセルサイズは、相互に10~25%の範囲内、例えば、相互に20%以内である。システム100において使用可能な好適な放射検出器104の実施例は、例えば、限定ではないが、Hamamatsu Phonics製の二重エネルギーX線ライン走査カメラ(シリーズC10800-)、X-Scan Imaging Corporation製のXID8800シリーズライン走査カメラ、およびVarian製の非晶質シリコンセンサパネル(PaxScanシリーズ)を含む。加えて、微小焦点X線源102のスポットサイズおよび放射検出器104の有効ピクセルサイズのいずれかのより大きい方は、混入物質110が検出されるために、混入物質110の平均サイズ(全3つの最大寸法距離の平均として定義される)以下であってもよく、微小焦点X線源102のスポットサイズおよび放射検出器104の有効ピクセルサイズは、混入物質110が識別されるために、混入物質110の平均サイズ(全3つの最大寸法距離の平均として定義される)の2分の1以下であってもよい。
【0029】
本主題システム100の一実装によると、放射検出器104は、微小焦点X線源102と反対に位置付けられ、それに応じて、製品108は、その間を移動する。いくつかの実施形態では、放射検出器104は、検出および識別システム100によって利用される、スタックされた放射検出システムとして実装されてもよい。そのような実施形態によると、スタックされた放射検出器104は、微小焦点X線源102または他のそのようなX線発生デバイスと反対に位置付けられ、検出器104は、食肉または鶏肉製品108を通して通過する微小集束されたX線ビーム106を受信し、2つの明確に異なるエネルギー群、すなわち、高エネルギー群および低エネルギー群に分離する。製品108のための運搬手段は、当業者によって理解されるように、例えば、限定ではないが、異物110の検出のために、製品108を源102と検出器104との間で移送するためのコンベヤベルト、シュート、ランプ、スライド、回転式台、ローラ、または当技術分野において公知の多数の他の運搬手段を含んでもよい。
【0030】
微小焦点X線源102によって放出される二重エネルギーX線ビーム106は、2つの明確に異なるエネルギーにおける2つの放射線写真を組み合わせることを理解されたい。一実施形態によると、二重エネルギーX線ビーム106は、所望の食肉および異物に関して較正される、2つの明確に異なるエネルギーで入手された2つの放射線写真を組み合わせる。故に、各放射線写真は、別個に、食肉または鶏肉製品108と任意の着目異物混入物質/物体110との間の種々のコントラストを伴う、製品108の分析を提供する。本願の二重エネルギーアルゴリズム114を利用すると、結果として生じる組み合わせられた画像は、食肉製品108内の異物110(該当する場合)の特定のタイプを同時に識別しながら、着目関連材料(すなわち、食肉製品108)と、異物110(すなわち、混入物質)とを選択的に撮像する能力を提供する。例えば、混入物質対食肉のエネルギー依存差異は、独立画像を入手するために使用されるエネルギースペクトル差異によって決定される。これは、食肉/鶏肉製品108および異物110の両方の材料密度および原子数の両方を明らかにする。食肉製品108を混入し得る、異物110の実施例は、例えば、限定ではないが、骨断片、脂肪、軟骨、プラスチック断片、金属断片、または同等物を含んでもよい。エネルギーおよび材料タイプに関して適切に較正されると、二重エネルギー微小焦点X線106は、異物検出の間、材料組成物情報および改良された画像コントラストを提供することを理解されたい。
【0031】
画像処理システム112は、
図1に図示されるように、実装されてもよい。
図1のシステム112は、2つ以上の電子デバイス間のデータの交換を有効にすることが可能な任意の分散型通信システムを表す、コンピュータネットワーク等の分散型コンピューティング環境を使用して実装可能であることを理解されたい。さらに、そのようなコンピュータネットワークは、例えば、限定ではないが、仮想ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、パーソナルエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、インターネット、イントラネット、または任意の好適なそれらの組み合わせを含むことを理解されたい。故に、そのようなコンピュータネットワークは、例えば、限定ではないが、トークンリング、Ethernet(登録商標)、または他の無線または有線ベースのデータ通信機構等の種々の従来のデータトランスポート機構によって説明されるように、物理的層と、トランスポート層とを備える。さらに、ネットワーク化された構成要素のセットとして
図1に描写されるが、本システムおよび方法は、本明細書に説明される方法を実施するように適合される、独立型デバイス上への実装も可能である。
【0032】
図1に示されるように、画像処理システム112は、下記に説明される例示的方法を実装可能である。画像処理システム112は、コンピュータサーバ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、プログラマブル論理コントローラ、グライドステーション、ラップトップコンピュータ、携帯電話、タブレットコンピュータ、産業コントローラ、それらの組み合わせ、または例示的方法を実施するための命令を実行可能な他のコンピューティングデバイスを含んでもよい。
【0033】
一例示的実施形態によると、画像処理システム112は、関連付けられたユーザ、ネットワーク化されたデバイス、ネットワーク化された記憶装置、遠隔デバイス、または同等物と相互作用するように構成される、ハードウェア、ソフトウェア、および/または任意の好適なそれらの組み合わせを含む。例示的画像処理システム112は、プロセッサ120を含み、これは、プロセッサ120に接続されるメモリ122内に記憶される、処理命令124の実行による例示的方法を実施し、かつ画像処理システム112の全体的動作を制御する。
【0034】
命令124は、本願の一実施形態による、微小焦点X線源102によるX線の放出を制御するように構成される、X線コントローラ160を含む。一実施形態では、X線コントローラ160は、放射検出器104を介して、1つ以上の異物110の同時検出を可能にするように、微小焦点X線源102を制御し、第1のエネルギーレベルにおける微小集束X線および第2のエネルギーレベルにおける微小集束X線(すなわち、二重エネルギーX線106)を製品108を通して放出する。二重エネルギーX線源102からの高および低エネルギー(微小集束X線106)は、製品108と着目異物110(例えば、骨、脂肪、軟骨、ガラス、木材、およびプラスチック)との間の最大コントラストを作成する要望を介して決定される。本主題システムおよび方法の可変実装によると、2つのエネルギー範囲は、例えば、限定ではないが、低エネルギー範囲60~80keVと、高エネルギー範囲90~110keVとを備えてもよい。本主題システムおよび方法の例示的実装およびシミュレーションは、下記により詳細に議論されるように、前述の例示的範囲を説明する。
【0035】
命令124はさらに、放射検出器104からの出力を受信し、走査されている製品108内に含まれる異物110を識別するように構成される、物体識別子モジュール162を含む。一実施形態によると、物体識別子モジュール162は、下記により詳細に議論されるように、データ記憶装置132内に記憶されるデータをアルゴリズム114と併せて利用し、異物110が製品108内に存在するかどうかを決定する。一実施形態によると、物体識別子モジュール162はさらに、製品108内に存在する異物110のタイプ、例えば、骨、脂肪、軟骨、金属、プラスチック、ガラス、木材等を識別するように構成される。これらの異物110はそれぞれ、製品108(例えば、食肉または鶏肉)と異なる放射線パラメータのセットを有することを理解されたい。これらの差異は、微小焦点X線源102によって出力されたエネルギーの適切な選択によって最大限にされることができる。さらに、これらの放射線差異は、本明細書に記載される二重エネルギー方法論の使用により増強され得る。故に、微小焦点X線源102の適切な採用は、より小さい異物110への本方法の適用を可能にする。
【0036】
画像処理システム112の命令124はさらに、物体識別子モジュール162から、製品108内で検出された異物110のタイプを示す出力を受信し、異物110のタイプに基づいて、好適な通信リンク152を介して画像処理システム112に結合されるアラーム構成要素118をアクティブ化するように構成される、アラームモジュール164を含んでもよい。好適な通信リンク152は、例えば、無線通信、例えば、Bluetooth(登録商標)、WiMax、802.11a、802.11b、802.11g、802.11(x)、専用通信ネットワーク、赤外線、光学、公衆交換電話網、または任意の好適な無線データ伝送システム、または有線通信等のデータ通信の任意の好適なチャネルを含んでもよい。
【0037】
本願の可変実施形態では、アラーム構成要素118は、スピーカ、ディスプレイ、視覚的インジケータ(LED光、点滅光等)、テキストアラート、可聴アラート、物体110を除去/排出するための自動化された抽出器/排出器、またはオペレータに製品108内に存在する異物110の存在および/またはタイプに関してアラートするための他の感覚デバイスとして実装されてもよい。例えば、物体識別子162が異物を金属として識別する場合、1つのタイプのアラートは、アラーム構成要素118を介して行われてもよい一方、異物110が、モジュール162によって骨断片として識別される場合、異なるタイプのアラートが、アラーム構成要素118を介して行われる。異物110の検出からのそのようなアラームは、エンドユーザによって所望され得るように、部分的または全体的に、自動化された機械的システムとして構成され、混入された製品108を除去し、通知が種々の可聴および可視アラームシステムを用いて監視ユーザに行われてもよい。
【0038】
上記に示されるように、メモリ122はさらに、着目異物110を識別するために画像処理システム112のプロセッサ120によって実行される、少なくとも1つの二重エネルギー画像処理アルゴリズム114を記憶する。一実施形態によると、アルゴリズム114は、二重エネルギー減算方法論に基づき、これは、食肉108および混入物質110が低および高エネルギー(管電圧において測定される)X線106を減衰させる程度における差異を利用する。これらの差異は、選択的二重エネルギー画像を生成するために使用される。より小さい混入物質に関する検出の確率を増加させる試みとして、アルゴリズム114は、X線生成器の微小焦点側面(例えば、スポットサイズ)、すなわち、微小焦点X線源102、検出器104特性(例えば、ピクセルサイズ)、およびシステム100の放射線幾何学形状を組み入れる。
【0039】
上記を用いて、アルゴリズム114は、限定ではないが、単一暴露システムおよび二重暴露システムを含む、任意のタイプの二重エネルギーシステムに適用されることができる。単一暴露システムでは、1つの放射線写真が、放射線フィルタ(図示せず)によって分離される2つの放射検出器104を暴露させることによって取得されることを理解されたい。正面検出器は、全体的非断片化エネルギービームを受信し、これは、低エネルギー画像を作成する。放射線フィルタは、背面検出器が、主に、より高いエネルギー光子を受信するように、より低いエネルギー光子を選別する。二重暴露システムでは、2つのシーケンシャル放射線写真が、それぞれ、低および高エネルギーで取得される。高エネルギー暴露は、高エネルギー画像を作成するために使用され、その逆も同様である。2つの暴露間には、わずかな(約200ミリ秒の)遅延が存在する。
【0040】
二重エネルギー微小焦点アルゴリズム114は、2つの微小焦点画像を2つのX線エネルギー106で(低および高エネルギーで)入手し、次いで、これらの画像を処理し、食肉情報を抑制し、次いで、混入物質情報を露見させることを伴う。アルゴリズムの簡略化されたバージョン(下記により詳細に説明される)が、
図2に図示される。
図2に示されるように、2つの異なるエネルギーレベルが、製品108上で使用される。第1の未加工画像200が、第1のエネルギーレベルから生成され、第2の未加工画像202が、第2のエネルギーレベルから生成される。未加工画像200および202は、個別の調節された画像204および206を作成するように調節される(下記に議論されるように)。これらの調節された画像204および206は、
図2に描写される簡略化されたアルゴリズム212を使用して組み合わせられ、合成二重エネルギー画像208を形成する。示されるように、組み合わせられた画像208(基本投影画像)(A
0)は、方程式[A
0=A
Lsin(Φ)+A
Hcos(Φ)]を介して、線形組み合わせを調節するように変動された位相角度(Φ)を使用して、調節された低エネルギー基本画像204(A
L)および調節された高エネルギー基本画像206(A
H)から計算される。その後、異物検出210が、本明細書に後述されるように実施される。
【0041】
基本数学モデルは、管出力放射が既知であって、散乱された放射が小さいと仮定することを理解されたい。この場合、より低い(L)X線エネルギーで入手され、対数変換(IL)に従う、点検される製品食肉(m)および/または混入物質(c)の領域を通して透過される放射強度は、以下によって与えられる。
【0042】
IL=μmLxm+μcLxc
【0043】
式中、
【0044】
μmLは、管放射出力スペクトルにわたって平均された、より低い(L)X線エネルギーにおける食肉の線形減衰係数であって、
【0045】
xmは、食肉の厚さであって、
【0046】
μcLは、低X線エネルギーにおける混入物質の線形減衰係数であって、
【0047】
xcは、混入物質の厚さである。
【0048】
同様に、より高いX線エネルギーで入手された画像の同一領域に関する透過された放射強度(IH)の対数変換は、以下によって与えられる。
【0049】
IH=μmHxm+μcHxc
【0050】
式中、
【0051】
μmHは、より高い(H)X線エネルギーにおける食肉の線形減衰係数であって、
【0052】
μcHは、より高い(H)X線エネルギーにおける混入物質の線形減衰係数である。
【0053】
所与の材料(i)に関する減衰因子は、管出力の低および高エネルギースペクトル出力S(V)にわたる平均である。したがって、以下となる。
【0054】
【0055】
式中、
【0056】
Vは、管電圧;高(H)および低(L)設定であって、
【0057】
Eは、管電圧(V)における管の出力からのスペクトルエネルギーであって、
【0058】
μi(E)は、スペクトルエネルギー(E)の関数としての材料の線形減衰係数である。
【0059】
減衰因子のエネルギー関数もまた、材料の密度(例えば、食肉中の水分量)の関数として変動するであろう。測定プロセスの間の画像の放射線密度分析は、アルゴリズムにコード化された既存のチャートに基づいて、適切な最適化された値を選定するであろう。
【0060】
ステップ1:μiVに関するベースライン値を仮定する。
【0061】
ステップ2:高および低エネルギーにおける平均放射線密度(d)を取得する。
【0062】
【0063】
および
【0064】
μiV(調節される)=f(davg
V)
【0065】
式中、
【0066】
Vは、高(H)または低(L)管エネルギーであって、
【0067】
dは、画像内のi番目のピクセルにおける測定された放射線密度であって、
【0068】
Tは、平均の食肉厚さである。
【0069】
いったんμiLおよびμiHに関する値が決定されると、2つの画像(ILおよびIH)は、その個別の加重係数kLおよびkHによって乗算される。2つの画像は、以下によって与えられるように、組み合わせられ、複合二重エネルギー画像(IDE)を形成する。
【0070】
IDE=kLIL+kHIH
【0071】
したがって、
【0072】
IDE=(kLμmL+kHμmH)xt+(kLμcL+kHμcH)xc(1)
【0073】
係数は、食肉108からの画像情報を相殺し、混入物質110の画像情報のみを残すように選定される。したがって、xmの係数は、ゼロと等しくなるように設定され、すなわち、以下となる。
【0074】
kLμmL+kHμmH=0
【0075】
したがって、
【0076】
kLμmL=-kHμmH
【0077】
および
【0078】
μmL/μmH=-kH/kL
【0079】
これは、上記の方程式(1)における加重係数の比率が2つのX線エネルギーにおける組織の減衰係数の比の負値に等しくなるように選定されるとき、組織が複合画像から抑制され得ることを示す。食肉情報は、減衰率が、管出力低および高エネルギースペクトル出力にわたる平均であるが、選定される具体的エネルギーレベル、管タイプ、ビームハードニングの量等に依存するので、完全に排除されることは決してなく、最適な比の値は、変分原理を使用して取得され得るということを理解されたい。
【0080】
【0081】
上記の計算は、原理上、検出器104上の個々のピクセル読取値(pi)を参照し、検出器のピクセルサイズ(p)、微小焦点管のスポットサイズ(s)、および源-検出器および源-製品距離によって与えられる放射線拡大(RM)係数の関数である。上記の計算は、検出器104内の各ピクセルに対し、これらの影響の関数のいずれかとして算出され、検出器104にわたる加重された平均をもたらすことができる。
【0082】
各ピクセルiに対し、ωi=fi(p,s,RM)
【0083】
【0084】
IDEの画像内では、ベースライン最適コントラストCopt以上のコントラスト差異が、異物の決定のために必要である。Coptは、ユーザによって選定される。異物110は、以下の場合に検出される。
【0085】
IDE→C>Copt
【0086】
メモリ122は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、磁気ディスクまたはテープ、光ディスク、フラッシュメモリ、またはホログラフィックメモリ等の任意のタイプの非一過性コンピュータ可読媒体を表してもよい。一実施形態では、メモリ122は、ランダムアクセスメモリと読取専用メモリの組み合わせを備える。いくつかの実施形態では、プロセッサ120およびメモリ122は、単一チップ内に組み合わせられてもよい。ネットワークインターフェース126、128は、コンピュータがコンピュータネットワークを介して他のデバイスと通信することを可能にし、変調器/復調器(MODEM)を備えてもよい。メモリ122は、方法において処理されるデータならびに例示的方法を実施するための命令を記憶してもよい。
【0087】
デジタルプロセッサ120は、シングルコアプロセッサ、デュアルコアプロセッサ(またはより一般的には、複数のコアプロセッサによって)、デジタルプロセッサおよび協働する数値演算コプロセッサ、デジタルコントローラ、または同等物等によって、多様に具現化されることができる。デジタルプロセッサ120は、画像処理システム112の動作を制御することに加え、
図2に概略された方法を実施するためのメモリ108内に記憶される命令124を実行する。
【0088】
用語「ソフトウェア」は、本明細書で使用されるように、ソフトウェアが意図するタスクを実施するようにコンピュータまたは他のデジタルシステムを構成するように、コンピュータまたは他のデジタルシステムによって実行可能な命令の任意の集合またはセットを包含するように意図される。用語「ソフトウェア」は、本明細書で使用されるように、RAM、ハードディスク、光ディスク等の記憶媒体内に記憶されるそのような命令を包含するように意図され、また、ROM等の上に記憶されるソフトウェアである、いわゆる「ファームウェア」を包含するように意図される。そのようなソフトウェアは、種々の方法で編成されてもよく、ライブラリ、遠隔サーバ等の上に記憶されるインターネットベースのプログラム、ソースコード、解釈コード、オブジェクトコード、直接実行可能コード等として編成される、ソフトウェア構成要素を含んでもよい。ソフトウェアは、サーバまたは他の場所上に常駐する他のソフトウェアへのシステムレベルコードまたはコールを呼び出し、ある機能を実施し得ることが検討される。
【0089】
画像処理システム112はまた、外部デバイスと通信するための1つ以上の入力/出力(I/O)インターフェースデバイス124および126を含む。I/Oインターフェース124は、情報を表示するためのディスプレイデバイス116、テキストを入力するためのキーボードまたはタッチまたは書込可能画面等のユーザ入力デバイス117、および/またはユーザ入力情報およびコマンド選択をプロセッサ120に通信するためのマウス、トラックボール、または同等物等のカーソル制御デバイスのうちの1つ以上のものと通信してもよい。画像処理システム112の種々の構成要素は全て、データ/制御バス128によって接続されてもよい。画像処理システム102のプロセッサ120は、リンク132を介して、関連付けられたデータ記憶装置130と通信する。好適な通信リンク132は、例えば、無線通信、例えば、Bluetooth(登録商標)、WiMax、802.11a、802.11b、802.11g、802.11(x)、専用通信ネットワーク、赤外線、光学、公衆交換電話網、または任意の好適な無線データ伝送システム、または有線通信等のデータ通信の任意の好適なチャネルを含んでもよい。データ記憶装置130は、例えば、ローカルメモリ122内に記憶される画像処理システム112の構成要素上、すなわち、ハードドライブ、仮想ドライブ、または同等物上、または画像処理システム112にアクセス可能な遠隔メモリ上に実装可能である。
【0090】
関連付けられたデータ記憶装置130は、1つ以上の目的のために使用されるデータの任意の編成された集合に対応し、そのようなデータは、例えば、限定ではないがJPG、PNG、RAD、およびBMPを含む種々のファイルフォーマットにおける放射線データ写真、限定ではないがFORTRANおよびC(全てのバージョン)を含む種々のファイルフォーマットにおけるアルゴリズムソフトウェアコード、限定ではないがASCII、Excelを含むフォーマットにおける変数およびデータ密度定数を含むデータシート、および前述のソフトウェアコードにおけるハードコード、および同等物などである。関連付けられたデータ記憶装置130の実装は、任意の大容量記憶デバイス、例えば、磁気記憶ドライブ、ハードディスクドライブ、光学記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、または好適なそれらの組み合わせ上で生じることが可能である。関連付けられたデータ記憶装置130は、例えば、メモリ122内に常駐する画像処理システム112の構成要素または同等物として実装されてもよい。
【0091】
図1に描写されるように、システム100は、好適なリンク150を介して画像処理システム112と相互作用可能である、ディスプレイデバイス、例えば、グラフィカルユーザインターフェースを表示可能なデバイスとして
図1に描写される、1つ以上のユーザアクセスデバイス116を含む、またはそれと通信してもよい。ディスプレイデバイス116は、画像処理システム112、または任意のパーソナルコンピューティングデバイス、例えば、パーソナルコンピュータ、ネットブックコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、携帯情報端末、ウェブ対応携帯電話、タブレットコンピュータ、専用ネットワークデバイス、または他のウェブ対応電子デバイス等に物理的に結合される統合されたユーザインターフェース等の任意のインターフェースデバイスを表す。画像処理システム112とディスプレイデバイス116との間のデータ通信リンク150は、無線通信、例えば、Bluetooth(登録商標)、WiMax、802.11a、802.11b、802.11g、802.11(x)、専用通信ネットワーク、赤外線、光学、公衆交換電話網、または任意の好適な無線データ伝送システム、または有線通信等のデータ通信の任意の好適なチャネルを介して、遂行されてもよい。ディスプレイデバイス116が、画像処理システム112の構成要素として実装されるとき、通信リンク150は、バス128、USBコネクティビティ、HDMI(登録商標)、専用コネクティビティ、または同等物に類似し、ディスプレイデバイス116と画像処理システム112のプロセッサ120との間のデータおよび命令の双方向通信を可能にしてもよい。
【0092】
図示されないが、ディスプレイデバイス116は、プロセッサと、システムメモリと、システム記憶装置と、システムメモリを含む種々のシステム構成要素を処理ユニットに結合するバスと、同等物とを含んでもよい。ディスプレイデバイス116は、画像処理システム112と相互作用すること、データ記憶装置130にアクセスすること、放射検出器104からの出力を精査すること、微小焦点X線源102の動作を指示すること、製品108を識別すること、デブリ/混入物質110を表示すること、アラーム構成要素118をアクティブ化またはシャットオフすること、グラフィカルユーザインターフェースを生成すること、別様にユーザと相互作用すること、および同等物を行うように好適に構成されてもよい。ディスプレイデバイス116が画像処理システム112と別個の実施形態では、ディスプレイデバイス116は、ウェブブラウザ、専用アプリケーション、または画像処理システム112と相互作用するように動作可能である、例えば、メモリ内に記憶される、他のシンクライアントインターフェースを含んでもよい。シンクライアントは、グラフィカルユーザインターフェースを表示すること、放射検出器104の出力を表示すること、および同等物を行うように好適に構成されてもよい。そのような独立型ディスプレイデバイス116のプロセッサおよびメモリは、画像処理システム112のプロセッサ120およびメモリ122に関して上記に記載されるように構成されることができることを理解されたい。
【0093】
実験結果
【0094】
一連のシミュレーションモデルおよび実験データが、上記に議論される技法を検証するために行われた。本明細書で後述される
図3-9に図示されるように、シミュレーションデータは、本明細書に説明されるような微小焦点および二重エネルギー技法を採用する際、食肉内の異物の検出の確率に増加が認められたことを実証する。例証目的のために、
図3のグラフ300は、小骨断片を伴う鶏肉の高および低エネルギー放射線写真を生成するためのシミュレーションモデルを使用して生成された。青色ライン302は、より小さいサイズの断片を検出するための従来のシステムの能力の効果を示す。赤色ライン304は、より小さいサイズの断片を検出するための微小焦点システムの能力の効果を示す。緑色ライン306は、より小さいサイズの断片の検出に関する二重エネルギー微小焦点システム100の能力の効果を示す。微小焦点304および上記に説明される二重エネルギー技法を伴う微小焦点306が採用されるとき、検出の確率に増加が認められることに留意されたい。
【0095】
本主題システムおよび方法の一実装を利用して、一連の実験試みが、本技法が有効であることを証明するために行われた。これらの実験では、鶏肉が、使用され、1~5mmの最大サイズに及ぶサイズの3つの異なる異物のタイプ(骨、軟骨、およびプラスチック)が、使用された。本明細書に記載される結果および図から明白となるであろうように、実験試みは、シミュレーション結果を検証し、上記に説明されるような微小焦点二重エネルギー技法が証明された。
【0096】
図4は、シミュレーション検証の例証的グラフ400を提供し、シミュレートされた結果と、骨402、プラスチック404、および軟骨406に関する実験結果との比較を描写する。シミュレートされた結果および実験結果は、実質的に合致することを理解されたい。
【0097】
図5-11を参照すると、実験結果のいくつかの実施例が、示される。故に、
図5は、サンプル鶏肉製品500と、製品の中に埋め込まれた3つの明確に異なる異物のタイプ、例えば、軟骨断片502、プラスチック断片504、および骨断片506とを図示する。
【0098】
ここで
図6を参照すると、本願の一実施形態による、例示的な高エネルギー放射線写真604および低エネルギー放射線写真602と、結果として生じる二重エネルギー放射線写真606との例証600が、示される。
図6はさらに、異物粒子、すなわち、骨断片608を識別するために使用される、コントラスト測定値610を描写する。
図6に図示される実施例では、高エネルギー画像604または低エネルギー画像602のいずれも、個別では、異物混入物質608を判別可能ではなかったことを理解されたい。
【0099】
ここで
図7および8に目を向けると、上記に記載される微小焦点二重エネルギーシステムおよび方法による、そうでなければ検出不可能な混入物質を検出可能にする例示的出力画像が、示される。
図7は、本願の一実施形態による、システム100によって生成された微小焦点二重エネルギー放射線写真700、702、および704を図示する。示されるように、各放射線画像700-704は、それぞれ、706(3mm)、708(4mm)、および710(5mm)において描写される、異なるサイズの骨混入物質を図示する。同様に、
図8は、本願の一実施形態による、プラスチック混入物質804-810の検出を反映している微小焦点二重エネルギー放射線写真800および802を含む。例えば、放射線写真800は、1mmプラスチック(804)および2mmプラスチック(806)混入物質が上記に説明されるシステムおよび方法を使用して検出された、2分の1インチ厚の鶏肉を描写する。放射線写真800は、1mm(808)および2mm(810)片のプラスチックが検出された、1インチ厚の鶏肉を描写する。前述に加え、
図9は、本願の一実施形態による、軟骨混入物質910、912、および914の検出を反映している微小焦点二重エネルギー放射線写真900、902、904、906、および908を含む。
図9に示されるように、放射線写真900-904は、本開示に記載されるシステムおよび方法を介して検出された、軟骨混入物質910(3mm)、912(4mm)、および914(5mm)を描写する。放射線写真906は、2分の1インチ厚の食肉製品916内の3mm軟骨断片910の検出図を提供する。同様に、放射線写真908は、1インチ厚の食肉製品918内の3mm軟骨断片910の検出図を提供する。
【0100】
ここで
図10および11に目を向けると、微小焦点アルゴリズム114を利用する、二重エネルギー検出システムの別の例示的実装1000および複合画像1020が、示される。
図10に示されるように、第1の画像1002は、第1のエネルギーレベルにおいて微小焦点X線源102および検出器104の動作を介して入手される。第2の画像1004もまた、入手されるが、第2のエネルギーレベルにおいてであって、第1および第2のエネルギーレベルは、異なるエネルギーである。スケーリング1006が、次いで、第1の画像1002および第2の画像1004に実施される。スケーリングは、スペクトルエネルギー、ビームサイズ、有効ピクセルサイズ、食肉タイプ、および同等物の関数として実装され得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0101】
結果として生じるスケーリングされた画像1008および1010は、その後、1014において、複合画像1016を生成するために利用される。本生成は、1012に示されるように、第2のスケーリングされた画像1010からの第1のスケーリングされた画像1008の減算を介して遂行され得る。微小集束された二重エネルギー画像1016は、次いで、1018において、物体識別子モジュール162によって利用され、対応する食肉製品108内の各混入物質110(該当する場合)を検出および識別し得る。
【0102】
図11の微小焦点二重エネルギー複合画像1020に示されるように、本願のシステム100は、複数の異なるタイプ(およびサイズ)の混入物質を複合画像1020から同時に検出および識別することが可能である。したがって、物体識別子モジュール162(またはシステム100の他の好適な構成要素)は、例えば、限定ではないが、食肉製品1022内の可変サイズの3つの明確に異なるタイプの小混入物質を識別することが可能である。示されるように、システム100は、複合画像1020を利用して、同時に、プラスチック混入物質1024、骨混入物質1026、および脂肪1028を識別する。複合画像1020は、前述のアルゴリズム114と併せて、関連付けられた食肉製品108内で一度に3つより多いまたはそれ未満の混入物質を識別するために利用されてもよく、3つの明確に異なるタイプの混入物質1024、1026、および1028の
図11における例証は、例証および例示目的のためだけにすぎないことを理解されたい。
【0103】
本明細書に提示される特定の例証的実施形態に関連して、ある構造および/または機能特徴は、画定された要素および/または構成要素内に組み込まれるように説明されることを理解されたい。しかしながら、これらの特徴は、同一または類似利点のために、そして同様に、必要に応じて、他の要素および/または構成要素内に組み込まれてもよいことが検討される。また、例示的実施形態の異なる側面は、必要に応じて、所望の用途に好適な他の代替実施形態を達成するために選択的に採用されてもよく、他の代替実施形態は、それによって、その中に組み込まれる側面の個別の利点を実現することを理解されたい。
【0104】
また、本明細書に説明される特定の要素または構成要素は、その機能性を、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせを介して好適に実装させてもよいことを理解されたい。加えて、ともに組み込まれるような本明細書に説明されるある要素は、好適な状況下では、独立型要素である、または別様に分割されてもよいことを理解されたい。同様に、1つの特定の要素によって実施されるように説明される複数の特定の機能は、個々の機能を行うように独立して作用する複数の明確に異なる要素によって実施されてもよい、またはある個々の機能は、連動して作用する複数の明確に異なる要素によって分割および実施されてもよい。代替として、そうでなければ明確に相互に異なるように本明細書に説明および/または図示されるいくつかの要素または構成要素は、必要に応じて、物理的または機能的に組み合わせられてもよい。
【0105】
要するに、本明細書は、好ましい実施形態を参照して記載されている。明らかに、修正および改変が、本明細書の熟読および理解に応じて、当業者に想起されるであろう。本発明は、添付の請求項またはその均等物の範囲内である限り、全てのそのような修正および改変を含むように解釈されることが意図される。すなわち、上記に開示される種々および他の特徴および機能またはその代替は、望ましくは、多くの他の異なるシステムまたはアプリケーションの中に組み合わせられてもよく、そして、その中の種々の現在予測または予期されていない代替、修正、変形例、または改良も、以後、当業者によって行われ得、これも同様に、以下の請求項によって包含されることが意図されることを理解されたい。