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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】臭気制御パルプ組成物
(51)【国際特許分類】
   D21H 17/63 20060101AFI20240110BHJP
   C08B 15/04 20060101ALI20240110BHJP
   C08H 8/00 20100101ALI20240110BHJP
   D21C 9/00 20060101ALI20240110BHJP
   D21H 11/04 20060101ALI20240110BHJP
   D21H 11/16 20060101ALI20240110BHJP
   A61F 13/15 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
D21H17/63
C08B15/04
C08H8/00
D21C9/00
D21H11/04
D21H11/16
A61F13/15 141
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019552032
(86)(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2018021991
(87)【国際公開番号】W WO2018175135
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2019-11-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】62/474,515
(32)【優先日】2017-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504293447
【氏名又は名称】インターナショナル・ペーパー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】フロアス,ピーター・エム
【合議体】
【審判長】山崎 勝司
【審判官】久保 克彦
【審判官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-14679(JP,A)
【文献】特表2016-513761(JP,A)
【文献】特開2012-211411(JP,A)
【文献】”規格適合 標準パルプ 1-04,5-96,E-16” 5-10頁,[online],2021年8月2日,アイジーティー・テスティングシステムズ株式会社,インターネット <https://www.igt.jp/canadianpaper/fpInnobr2019.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H 17/63 , C08B 15/04 , C08H 8/00 , D21C 9/00 , D21H 11/04 , D21H 11/16 , A61F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約2mmの長さ加重平均繊維長、
約7未満の銅価、
約3.5meq/100グラム超のカルボキシル含量、
少なくとも80のISO白色度、および
TAPPI T230-om99の手順により決定された約2mPa・sから約9mPa・sの粘度
を含む漂白クラフト繊維、ならびに
漂白クラフト繊維の約0.2重量ppmから5.2重量ppmの銅イオン含量
を含む、フラッフパルプ。
【請求項2】
銅イオン含量の銅イオンが、銅(I)塩、銅(II)塩、それらの水和物、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせを含む、請求項1に記載のフラッフパルプ。
【請求項3】
銅イオン含量の銅イオンが、元素銅、塩化銅(I)、酸化銅(I)、硫酸銅(I)、炭酸銅(II)、塩化銅(II)、リン酸銅(II)、硝酸銅(II)、過塩素酸銅(II)、リン酸銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、および銅(II)トリフラートのうちの1つまたは複数を含む、請求項1または2に記載のフラッフパルプ。
【請求項4】
さらに鉄イオンを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のフラッフパルプ。
【請求項5】
漂白クラフト繊維の約0.2重量ppmから約50重量ppmの鉄イオン含量を含む、請求項4に記載のフラッフパルプ。
【請求項6】
フラッフパルプが高吸水性ポリマー(SAP)を含まない、請求項1から5のいずれか一項に記載のフラッフパルプ。
【請求項7】
リグノセルロース材料の約0.5重量%から約5重量%の酸化剤の存在下で、リグノセルロース材料の約50重量ppmから約200重量ppmの、銅および鉄またはそれらの塩の組み合わせからなる触媒を加えることによりリグノセルロース材料を処理して、処理済み漂白クラフト繊維を生成するステップ
を含む、処理済み漂白クラフト繊維の約0.2重量ppmから約50重量ppmの銅イオン含量を有するフラッフパルプを調製する方法であって、
鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比が最大で約10:1であり、
処理済み漂白クラフト繊維が、
少なくとも約2mmの長さ加重平均繊維長、
約7未満の銅価、
約3.5meq/100グラム超のカルボキシル含量、
少なくとも80のISO白色度、および
TAPPI T230-om99の手順により決定された約2mPa・sから約6mPa・sの粘度を有し、 処理済み漂白クラフト繊維が、銅を含まない同様の方法により形成される第2の処理済み漂白クラフト繊維より少なくとも50%高いアンモニア形成に対する阻害効果を有する、
方法。
【請求項8】
銅またはその塩が、元素銅(Cu)、銅(I)塩、および銅(II)塩のうちの1つまたは複数からなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
銅またはその塩が、元素銅、塩化銅(I)、酸化銅(I)、硫酸銅(I)、炭酸銅(II)、塩化銅(II)、リン酸銅(II)、硝酸銅(II)、過塩素酸銅(II)、リン酸銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、銅(II)トリフラート、それらの水和物、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせからなる、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
鉄またはその塩が、元素鉄、二価鉄(Fe2+)塩、三価鉄(Fe3+)塩、それらの水和物、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせからなる、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
鉄またはその塩が、元素鉄、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、それらの水和物、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせからなる、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比が約10:1から約1:10である、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比が約3:1から約1:3である、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
酸化剤が過酸化水素を含む、請求項7から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
方法が多段階漂白プロセスを含み、処理ステップが多段階漂白プロセスにおける最後の漂白ステップである、請求項7から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
処理済みリグノセルロース材料が高吸水性ポリマー(SAP)を含まない、請求項7から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
酸性pHで、リグノセルロースクラフトパルプの約0.5重量%から約5重量%の酸化剤の存在下で、リグノセルロースクラフトパルプの約50重量ppmから約200重量ppmの、銅および鉄、またはそれらの塩の組み合わせからなる触媒を加えることにより、リグノセルロースクラフトパルプを処理して、処理済み漂白クラフト繊維を生成するステップ
を含む、処理済み漂白クラフト繊維の約0.2重量ppmから約50重量ppmの銅イオン含量を有するフラッフパルプを調製する方法であって、
添加される鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比が最大で10:1であり、
処理済み漂白クラフト繊維が、
少なくとも約2mmの長さ加重平均繊維長、
約7未満の銅価、
約3.5meq/100グラム超のカルボキシル含量、
少なくとも80のISO白色度、および
TAPPI T230-om99の手順により決定された約2mPa・sから約6mPa・sの粘度を有し、
処理済み漂白クラフト繊維が、銅を含まない同様の方法により形成される第2の処理済み漂白クラフト繊維より少なくとも50%高いアンモニア形成に対する阻害効果を有する、
方法。
【請求項18】
銅またはその塩が、元素銅、塩化銅(I)、酸化銅(I)、硫酸銅(I)、炭酸銅(II)、塩化銅(II)、リン酸銅(II)、硝酸銅(II)、過塩素酸銅(II)、リン酸銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、銅(II)トリフラート、それらの水和物、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせからなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
鉄またはその塩が、元素鉄、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、それらの水和物、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせからなる、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比が約10:1から約1:10である、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
酸化剤が過酸化水素を含む、請求項17から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
約2.5から約5のpHで、リグノセルロースクラフトパルプの約0.5重量%から約5重量%の酸化剤の存在下で、リグノセルロースクラフトパルプの約50重量ppmから約150重量ppmの、銅および鉄、またはそれらの塩の組み合わせからなる触媒を加えることによりリグノセルロースクラフトパルプを処理して、処理済みリグノセルロースクラフトパルプを生成するステップ
を含むフラッフパルプを調製する方法であって、
リグノセルロースクラフトパルプが、溶液中の水を基準にして約8wt%から約12wt%のリグノセルロースクラフトパルプの水溶液中に存在し
鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比が約8:1から約1:8であり、
処理済みリグノセルロース材料が、TAPPI T230-om99の手順により決定された約3mPa・sから約5mPa・sの粘度を有し、
処理済みリグノセルロースクラフトパルプが、銅を含まない同様の方法により形成される第2の処理済みリグノセルロースクラフトパルプより少なくとも50%高いアンモニア形成に対する阻害効果を有し、そして
処理済みリグノセルロースクラフトパルプが、少なくとも約2mmの長さ加重平均繊維長を有する漂白クラフト繊維を含む、
方法。
【請求項23】
方法が多段階漂白プロセスを含み、処理ステップが多段階漂白プロセスにおける最後の漂白ステップである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
処理済みリグノセルロース材料が高吸水性ポリマー(SAP)を含まない、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
フラッフパルプの臭気制御特性を改良する方法であって、
約1から約9のpHで、約3.5ppmから約200ppmの銅塩および約25ppmから約175ppmの鉄塩を加えることによりリグノセルロース材料を処理して、漂白クラフト繊維を形成するステップ、ここで漂白クラフト繊維は、少なくとも約2mmの長さ加重平均繊維長、約7未満の銅価、約3.5meq/100グラム超のカルボキシル含量、少なくとも80のISO白色度、およびTAPPI T230-om99の手順により決定された約2mPa・sから約9mPa・sの粘度を含む、
を含み、
鉄塩の銅塩に対する重量比が約8:1から約1:1であり、
乾燥した漂白クラフト繊維が、乾燥したリグノセルロース材料より少なくとも50%高いアンモニア形成に対する阻害効果を有する、
方法。
【請求項26】
漂白クラフト繊維が高吸水性ポリマー(SAP)を含まない、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本技術は、一般に、改良された臭気制御を備えるフラッフパルプ、およびそのようなフラッフパルプを製造する方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
[0002]一態様では、漂白クラフト繊維および漂白クラフト繊維の約0.2重量ppmから約50重量ppmの銅イオン含量を含むフラッフパルプが提供される。漂白クラフト繊維は、少なくとも約2mmの長さ加重平均繊維長、約7未満の銅価、約3.5meq/100グラム超のカルボキシル含量、少なくとも80のISO白色度、および約2cpsから約9cpsの粘度を含み、フラッフパルプは、漂白クラフト繊維の約0.2重量ppmから約50重量ppmの銅イオン含量を有する。
【0003】
[0003]関連する態様では、フラッフパルプを調製する方法が提供される。本方法は、リグノセルロース材料の約0.5重量%から約5重量%の酸化剤の存在下で、リグノセルロース材料の約50重量ppmから約200重量ppmの、銅および鉄またはそれらの塩の組み合わせからなる触媒を加えることによりリグノセルロース材料を処理して、処理済みリグノセルロース材料を生成するステップを含む。本方法において、鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比は最大で約10:1である。処理済みリグノセルロース材料は、約2cpsから約6cpsの粘度を有し、銅を含まない同様の方法によって形成される第2の処理済みリグノセルロース材料より少なくとも50%高いアンモニア形成に対する阻害効果を有する。リグノセルロース材料は、二酸化塩素で漂白されたリグノセルロースクラフトパルプなどのリグノセルロースクラフトパルプであってもよい。
【0004】
[0004]本明細書のいずれの実施形態でも、方法は、酸性pHで、リグノセルロースクラフトパルプの約0.5重量%から約5重量%の酸化剤の存在下で、リグノセルロースクラフトパルプの約50重量ppmから約200重量ppmの触媒を加えることによりリグノセルロースクラフトパルプを処理して、処理済みリグノセルロース材料を生成するステップを含んでもよい。
【0005】
[0005]本明細書のいずれの実施形態でも、方法は、約2.5から約5のpHで、リグノセルロースクラフトパルプの約0.5重量%から約5重量%の酸化剤の存在下で、リグノセルロースクラフトパルプの約50重量ppmから約150(または約200)重量ppmの触媒を加えることによりリグノセルロースクラフトパルプを処理して、処理済みリグノセルロース材料を生成するステップを含んでもよく、ここで、リグノセルロースクラフトパルプは、溶液中の水を基準にして約8wt%から約12wt%のリグノセルロースクラフトパルプの水溶液中に存在し、鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比は約8:1から約1:8であり、処理済みリグノセルロース材料は約3cpsから約5cpsの粘度を有する。
【0006】
[0006]さらなる関連する態様では、フラッフパルプの臭気制御特性を改良する方法が提供される。本方法は、約1から約9のpHで、約3.5ppmから約200ppmの銅塩および約25ppmから約175(または約196.5)ppmの鉄塩を加えることにより第1のリグノセルロース材料を処理して、第2のリグノセルロース材料を形成するステップを含み、ここで、鉄塩の銅塩に対する重量比は約8:1から約1:1であり、乾燥した第2のリグノセルロース材料は、乾燥した第1のリグノセルロース材料より少なくとも50%高いアンモニア形成に対する阻害効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
I.定義
[0007]以下の用語は、全体にわたって下記に定義されるように使用される。
[0008]本明細書で、および添付の特許請求の範囲において使用される場合、要素を記載する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)、「a」、「an」および「the」ならびに同様の指示対象などの単数形は、本明細書で別段に指示されない限り、または文脈により明らかに否定されない限り、単数と複数の両方を包含すると解釈される。本明細書での値の範囲の記載は、本明細書で別段に指示されない限り、単に、範囲内の別個の値のそれぞれを個別に指すための略記方法として使用することが意図され、別個の値のそれぞれは、本明細書で個別に記載されるかのように本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書で別段に指示されない限り、または文脈により明らかに否定されない限り、いずれの適切な順序でも実施することができる。いずれかのおよびすべての例、または本明細書で提供される例示的な言葉(例えば、「など」)の使用は、単に実施形態をより明確にすることが意図され、別段に明言されない限り、特許請求の範囲における限定を主張するものではない。本明細書において、本質としていかなる非請求要素をも示唆する言葉はないと解釈されるべきである。
【0008】
[0009]本明細書で使用される場合、「約」は当業者により理解され、それが使用される文脈に依存していくらかの範囲で変化するであろう。当業者にとって明らかでない用語の使用がある場合には、使用される文脈を考慮して、「約」は特定の用語のプラスまたはマイナス10%までを意味するであろう。
【0009】
[0010]当業者により理解されるように、いずれかのおよびすべての目的のため、特に記述された説明を提供する意味で、本明細書で開示されるすべての範囲は、いずれかのおよびすべての可能な部分範囲ならびにそれらの部分範囲の組み合わせを包括的に含む。いずれの列挙された範囲でも、同じ範囲が少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、十等分などに分割されることを十分に説明するものおよび可能にするものとして容易に認めることができる。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、直ちに下3分の1、中央3分の1、および上3分の1などに分割することができる。当業者により理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「超」、「未満」などのすべての言葉は、記載された数を含み、続いて上記で論じられた部分範囲に分割されることができる範囲を指す。最後に、当業者により理解されるように、範囲は個別のそれぞれの要素を含む。このように、例えば、1~3個の原子を有する基は、1、2または3個の原子を有する基を指す。同様に、1~5個の原子を有する基は、1、2、3、4、または5個の原子を有する基を指す、などである。
【0010】
[0011]本明細書で使用される「ハロゲン化物」という用語は、臭化物、塩化物、フッ化物、またはヨウ化物を指す。
II.本技術
[0012]セルロースパルプは、おむつフラッフまたは失禁物品などの、様々なパーソナルケアまたは医療用吸収性製品に使用されてきた。しかしながら、おむつフラッフの場合の尿からのアンモニア臭などの、体液により引き起こされる臭気は、重大な問題である。他の用途では、悪臭の問題は、他の窒素含有または硫黄含有物質により引き起こされるおそれがある。
【0011】
[0013]本技術は、改良された臭気制御を示すフラッフパルプ、およびこのような有利なフラッフパルプを生成する方法を対象とする。フラッフパルプは、少なくともある程度は、驚くほどに少量の銅を使用することにより、著しく改良された臭気制御を示す。本技術は特におむつフラッフおよび失禁物品に適しているが、臭気制御が有益および/または有利である、いずれかの状況にも適用される。
【0012】
[0014]このように、一態様では、漂白クラフト繊維および漂白クラフト繊維の約0.2重量ppmから約50重量ppmの銅イオン含量を含むフラッフパルプが提供される。漂白クラフト繊維は、少なくとも約2mmの長さ加重平均繊維長、約7未満の銅価、約3.5meq/100グラム超のカルボキシル含量、少なくとも80のISO白色度、および約2cpsから約9cpsの粘度を含む。フラッフパルプは、ポリアクリル酸ナトリウムポリマーおよびコポリマーなどの高吸水性ポリマー(SAP)を含んでも含まなくてもよい。このような繊維が本明細書でより詳細に記載される場合、クラフト繊維は、軟材繊維、硬材繊維、またはそれらの混合物に由来してもよく、このような繊維は本明細書でより詳細に記載される。
【0013】
[0015]本明細書でさらに記載される通り、フラッフパルプの他の特徴に加えて、驚くことに、銅を含まないフラッフパルプと比較して、銅の漂白クラフト繊維の約0.2重量ppmから約50重量ppmの銅イオン含量を含むことは、臭気制御特性を著しく改良したことが見出された。実際は、このような低い銅イオン含量の含有からの著しい臭気制御特性は、当業者によっても予期されていなかった。
【0014】
[0016]フラッフパルプは、同じ特徴を持つが銅を含まない、すなわち、銅イオンがフラッフパルプに含まれないことを除き同じ構成のフラッフパルプである、第2のフラッフパルプより少なくとも50%高いアンモニア形成に対する阻害効果を有することができる。「アンモニア形成に対する阻害効果」とは、銅イオンがフラッフパルプに含まれないことを除き同じ構成のフラッフパルプと比較して、フラッフパルプが、実施例1(SAPが存在しない)および/または実施例2(SAPが存在する)の試験により決定される気体アンモニアがより少ないことを示す場合のことである。理論に束縛されるものではないが、この阻害効果は、フラッフパルプにおけるNHの増大した吸収、窒素含有化合物のNHへの変化の防止、または両方の組み合わせによるものであり得る。阻害効果は、少なくとも約50%高く、少なくとも約55%高く、少なくとも約60%高く、少なくとも約65%高く、少なくとも約70%高く、少なくとも約75%高く、少なくとも約80%高く、少なくとも約85%高く、少なくとも約90%高く、少なくとも約92%高く、少なくとも約94%高く、少なくとも約96%高く、少なくとも約98%高く、少なくとも約99%高く、約100%高く、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。
【0015】
[0017]銅イオン含量の銅イオンは、漂白クラフト繊維と会合されてもよく、および/または銅(I)塩、銅(II)塩、それらの水和物、もしくはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせの形態であってもよい。銅(I)塩は、塩化銅(I)、酸化銅(I)、硫酸銅(I)、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。銅(II)塩は、炭酸銅(II)、塩化銅(II)、リン酸銅(II)、硝酸銅(II)、過塩素酸銅(II)、リン酸銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、銅(II)トリフラート、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。銅および/またはその塩の非クラフト繊維リガンドはフラッフパルプ中に含まれてもよく、ここで、このようなリガンドは、エチレンジアミン四酢酸、(S,S’)-エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレングリコール-ビス(2-アミノエチル)-N,N,N’,N’-四酢酸、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、またはそれらのいずれかの2つ以上の混合物を含んでもよいが、これらに限定されない。非クラフト繊維リガンドは、フラッフパルプに含まれなくてもよい。非クラフト繊維リガンドと比較して、「クラフト繊維リガンド」はクラフト繊維の部分または一部である。
【0016】
[0018]漂白クラフト繊維の重量により決定されるフラッフパルプの銅イオン含量は約0.2ppm、約0.5ppm、約1ppm、約2ppm、約3ppm、約4ppm、約5ppm、約6ppm、約7ppm、約8ppm、約9ppm、約10ppm、約12ppm、約14ppm、約16ppm、約18ppm、約20ppm、約22ppm、約24ppm、約26ppm、約28ppm、約30ppm、約32ppm、約34ppm、約36ppm、約38ppm、約40ppm、約42ppm、約44ppm、約46ppm、約48ppm、約50ppm、ならびにこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/または2つの間のいずれの範囲であってもよい。銅イオン含量は、ICP-原子吸光などの一般的な分析方法により決定されてもよい。このように、この銅イオン含量の値は、銅塩の合計質量(例えば、硫酸銅の合計質量)に対するCu+1イオンおよび/またはCu+2イオン自体の質量を指す。さらなる例として、硫酸銅における銅イオンの質量は、硫酸銅の合計質量の約0.4である。
【0017】
[0019]フラッフパルプはまた、鉄イオンも含んでも含まなくてもよい。漂白クラフト繊維と会合された鉄イオンは、二価鉄(Fe2+)塩、三価鉄(Fe3+)塩、それらの水和物、およびそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせの形態であってもよい。二価鉄塩および/または三価鉄塩は、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、およびそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせを含む。例として、硫酸第一鉄(例えば、硫酸第一鉄七水和物)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、またはクエン酸第二鉄アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。フラッフパルプ中の鉄イオンの量(「鉄イオン含量」)は、漂白クラフト繊維の約0.2重量ppmから約50重量ppmであってもよく、このように、漂白クラフト繊維の重量に対する鉄イオンの量は、約0.2ppm、約0.5ppm、約1ppm、約2ppm、約3ppm、約4ppm、約5ppm、約6ppm、約7ppm、約8ppm、約9ppm、約10ppm、約12ppm、約14ppm、約16ppm、約18ppm、約20ppm、約22ppm、約24ppm、約26ppm、約28ppm、約30ppm、約32ppm、約34ppm、約36ppm、約38ppm、約40ppm、約42ppm、約44ppm、約46ppm、約48ppm、約50ppm、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。鉄含量は、ICP-原子吸光などの一般的な分析方法により決定されてもよい。
【0018】
[0020]先に論じられたように、漂白クラフト繊維は、少なくとも約2mmの長さ加重平均繊維長を有する。漂白クラフト繊維は、約2mm、約2.1mm、約2.2mm、約2.3mm、約2.4mm、約2.5mm、約2.6mm、約2.7mm、約2.8mm、約2.9mm、約3.0mm、約3.1mm、約3.2mm、約3.3mm、約3.4mm、約3.5mm、約3.6mm、約3.7mm、約32.8mm、約3.9mm、約4.0mm、またはこれらの値のいずれかの1つ以上のいずれの範囲、あるいはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲の長さ加重平均繊維長を有する。このような長さ加重平均繊維長は、製造者の標準手順にしたがって、OPTEST、Hawkesbury、OntarioからのFiber Quality Analyzer(商標)によって決定されてもよい。
【0019】
[0021]漂白クラフト繊維は、約7未満の銅価を有する。このような銅価は、TAPPI T430-cm99によって測定されてもよい。漂白クラフト繊維は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、またはこれらの値のいずれかの1つより少ないいずれの範囲、あるいはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲を有してもよい。漂白クラフト繊維は、約3.5meq/100グラム超のカルボキシル含量も有し、ここで、カルボキシル含量はTAPPI T237-cm98によって測定されてもよい。このように、漂白クラフト繊維のカルボキシル含量(meq/100グラムで示す)は、約3.6、約3.8、約4.0、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。カルボキシル含量はTAPPI T237-cm98によって測定されてもよい。
【0020】
[0022]フラッフパルプの漂白クラフト繊維は、少なくとも80のISO白色度を有する。ISO白色度は、TAPPI T525-om02によって決定されてもよい。漂白クラフト繊維のISO白色度は、80、約82、約84、約86、約88、約90、約91、約92、約93、約94、約95、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。本明細書のいずれの実施形態でも、フラッフパルプは蛍光増白剤を含まなくてもよい。
【0021】
[0023]本明細書で前述された通り、フラッフパルプの漂白クラフト繊維は、約2cpsから約9cpsの粘度を有する。漂白クラフト繊維の粘度は、TAPPI T230-om99の手順によって決定されてもよい。このように、漂白クラフト繊維の粘度は、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。
【0022】
[0024]関連する態様では、フラッフパルプを調製する方法が提供される。本方法は、リグノセルロース材料の約0.5重量%から約5重量%の酸化剤の存在下で、リグノセルロース材料の約50重量ppmから約200重量ppmの、銅および/またはその塩ならびに鉄および/またはその塩の組み合わせからなる触媒を加えることによりリグノセルロース材料を処理して、処理済みリグノセルロース材料を生成するステップを含む。本方法において、鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比は最大で約10:1である。処理済みリグノセルロース材料は、約2cpsから約6cpsの粘度を有し、銅を含まない同様の方法により形成される第2の処理済みリグノセルロース材料より少なくとも50%高いアンモニア形成に対する阻害効果を有する。阻害効果は、少なくとも約50%高く、少なくとも約55%高く、少なくとも約60%高く、少なくとも約65%高く、少なくとも約70%高く、少なくとも約75%高く、少なくとも約80%高く、少なくとも約85%高く、少なくとも約90%高く、少なくとも約92%高く、少なくとも約94%高く、少なくとも約96%高く、少なくとも約98%高く、少なくとも約99%高く、約100%高く、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。
【0023】
[0025]リグノセルロース材料は、好ましくはウッドパルプであってもよい。リグノセルロース材料は、例えばパルプ繊維、微細繊維および/もしくは他のパルプ破片、ヘミセルロース、デンプン、ならびに/または多糖の粒子および粉末のような、繊維および/または微粒子形態であってもよい。リグノセルロース材料はまた、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体を含んでもよい。有用なリグノセルロース材料は、例えば植物のような、そのような材料の既知の供給源に由来するものを含むが、これらに限定されない。有用なリグノセルロース材料の実例は、参照により本明細書に援用される米国特許第8,007,635号に記載されているデンプンなどの多糖である。本明細書におけるいずれかの実施形態に記載される方法で使用するための、実例となるリグノセルロース材料は、ティッシュペーパー、タオル、おむつ、女性用衛生製品および大人用失禁製品の形態で使用され、他の種類のパルプ製品、紙、および/またはボール紙を作るために使用されるパルプ繊維である。このようなパルプ繊維は、例えば既知の機械、サーモメカニカル、化学およびセミケミカルなどの、当業者に既知のパルプ化および他のパルプ化プロセスのような、いずれかの既知の適切な蒸解、叩解、および/または漂白操作による製紙完成紙料で使用するために用意される硬材木、軟材木、または硬材木と軟材木の組み合わせに由来するものを含む。本明細書で使用される「硬材パルプ」という用語は、落葉樹(被子植物)の木質物質に由来する繊維状パルプを指すのに対して、「軟材パルプ」は針葉樹(裸子植物)の木質物質に由来する繊維状パルプである。有用なパルプ繊維は、ケナフ、アサ、ジュート、アマ、サイザルアサ、および/またはマニラアサを含むが、これらに限定されず、非木質の草質植物から用意されてもよいが、法的規定および他の考慮すべき事柄がアサおよび他の繊維源の利用を非実用的または不可能にする恐れがある。例えば未漂白クラフトおよび漂白クラフトパルプ(まとめて、「リグノセルロースクラフトパルプ」)のような漂白または未漂白パルプ繊維のいずれか、および/またはリサイクルパルプが、本明細書に記載される方法のいずれの実施形態においても利用されてもよい。パルプは、パルプ化および漂白において標準的であるいずれの処理加工に供されていてもよく、例えば制御された事前加水分解および/またはクラフトパルプ化前のチップの腐食性抽出物、クラフトパルプの酸および/または酵素(例えばセルラーゼおよび/またはヘミセルラーゼ)加水分解、および/またはパルプの「コールドソーダ」処理(マーセル加工強度まで)により意図的に修飾されてもよい。
【0024】
[0026]「銅および/またはその塩」は、元素銅(Cu)、銅(I)塩、銅(II)塩、それらの水和物、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせを指す。銅(I)塩は、塩化銅(I)、酸化銅(I)、硫酸銅(I)、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。銅(II)塩は、炭酸銅(II)、塩化銅(II)、リン酸銅(II)、硝酸銅(II)、過塩素酸銅(II)、リン酸銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、銅(II)トリフラート、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。本明細書のいずれの実施形態でも、添加される銅および/またはその塩の量は、リグノセルロース材料の約3.5重量ppmから約199.8重量ppmであってもよく、したがって、添加される銅またはその塩の量は、約3.5ppm、約4ppm、約4.5ppm、約5ppm、約5.5ppm、約6ppm、約7ppm、約8ppm、約9ppm、約10ppm、約12ppm、約14ppm、約16ppm、約18ppm、約20ppm、約22ppm、約24ppm、約26ppm、約28ppm、約30ppm、約32ppm、約34ppm、約36ppm、約38ppm、約40ppm、約42ppm、約44ppm、約46ppm、約48ppm、約50ppm、約55ppm、約60ppm、約65ppm、約70ppm、約75ppm、約80ppm、約85ppm、約90ppm、約95ppm、約100ppm、約120ppm、約140ppm、約160ppm、約180ppm、約190ppm、約199.8ppm、約200ppm、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。
【0025】
[0027]「鉄および/またはその塩」は、元素鉄(Fe)、二価鉄(Fe2+)塩、三価鉄(Fe3+)塩、それらの水和物、およびそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせを指す。二価鉄および/または三価鉄塩の好ましい塩は、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、およびそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせを含む。例として、硫酸第一鉄(例えば、硫酸第一鉄七水和物)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、またはクエン酸第二鉄アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書のいずれの実施形態でも、添加される鉄またはその塩の量は、リグノセルロース材料の約0.2重量ppmから約180重量ppmであってもよく、したがって、添加される鉄またはその塩の量は、約0.2ppm、約0.5ppm、約1ppm、約2ppm、約3ppm、約4ppm、約5ppm、約6ppm、約7ppm、約8ppm、約9ppm、約10ppm、約12ppm、約14ppm、約16ppm、約18ppm、約20ppm、約22ppm、約24ppm、約26ppm、約28ppm、約30ppm、約32ppm、約34ppm、約36ppm、約38ppm、約40ppm、約42ppm、約44ppm、約46ppm、約48ppm、約50ppm、約55ppm、約60ppm、約65ppm、約70ppm、約75ppm、約80ppm、約85ppm、約90ppm、約95ppm、約100ppm、約120ppm、約140ppm、約160ppm、約180ppm、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。
【0026】
[0028]方法において、鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比は、最大で約10:1である。「最大で約10:1」によって、本フレーズは、鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する11:1などのそれ以下の比が含まれることを意味するが、鉄が含まれない、すなわち、比がまったくない範囲を包含しない。鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比は、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。
【0027】
[0029]酸化剤は、過酸化水素、二酸化塩素、次亜塩素酸塩、および次亜塩素酸のうちの1つまたは複数を含んでもよい。好ましい酸化剤は過酸化水素を含む。酸化剤の量は、リグノセルロース材料の約0.5重量%から約5重量%の酸化剤であり、したがって、酸化剤の量は、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.2%、約1.4%、約1.6%、約1.8%、約2%、約2.2%、約2.4%、約2.6%、約2.8%、約3%、約3.2%、約3.4%、約3.6%、約3.8%、約4%、約4.2%、約4.4%、約4.6%、約4.8%、約5%、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。
【0028】
[0030]触媒は、約1から約9のpHで、リグノセルロース材料の重量に対する酸化剤の存在下で添加されてもよい。処理pHは幅広く変えてもよく、所望の処理済みリグノセルロース材料を形成するために十分ないずれかの温度が使用できる。処理pHは、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。例えば、pHは酸性pH(すなわち、約1から約7未満)であってもよく、pHは好ましくは約2から約6、より好ましくは約2.5から約5であってもよい。
【0029】
[0031]別の構成要素、例えばリグノセルロース材料の量が、重量に基づいて決定される場合、これは、リグノセルロース材料の乾燥重量に基づく。リグノセルロース材料(例えば、リグノセルロースクラフトパルプ)は、溶液中の水を基準にして約8wt%から約16wt%のリグノセルロース材料の水溶液中に存在してもよい。このように、リグノセルロース材料は、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、またはこれらの値を含むおよび/もしくはこれらの値の間のいずれの範囲の水溶液中に存在してもよい。
【0030】
[0032]処理温度は幅広く変えてもよく、所望の処理済みリグノセルロース生成物を形成するために十分ないずれかの温度が使用できる。処理温度は、通常は少なくとも約20℃であるが、所望のリグノセルロース材料を用意するために効果的であるならば、より低い温度が使用されてもよい。処理温度は、約20℃、約40℃、約50℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、約90℃、約95℃、約100℃、約110℃、約120℃、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。処理温度は、好ましくは約40℃から約120℃、さらにより好ましくは約40℃から約90℃、最も好ましくは約65℃から約90℃である。
【0031】
[0033]処理時間は幅広く変えてもよく、所望の処理済みリグノセルロース生成物を形成するために十分ないずれかの時間が使用できる。処理時間は、通常は少なくとも約5分であるが、所望のリグノセルロース材料を用意するために効果的であるならば、より長い処理時間が使用されてもよい。処理時間は好ましくは約5分から約20時間、より好ましくは約15分から約10時間、さらにより好ましくは約30分から約4時間である。適切な処理時間は、約5分、約10分、約30分、約1時間、約1時間半、約2時間、約3時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約15時間、約20時間、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲を含む。
【0032】
[0034]いずれか選択で、方法は、触媒および酸化剤に加えて、好ましくは、過酸化水素が酸化剤として使用される場合、UV照射の存在下で行われても行われなくてもよい。UV照射を含むことは、室温(または周囲温度)などのより低い温度で、装置を加熱する必要なく、より効果的である利点を有し、pH有効範囲を広げるために使用されてもよい。例えば、本方法は、UV照射の存在下で、例えばUVランプ出力に依存して、周囲温度(または加熱なし)で、ほぼ中性のpH(すなわち約6.8から約7.2)で、および/または数秒から約1時間の非常に短い時間、効果的に行うことができる。本方法で使用されるUVランプは、好ましくは、中圧水銀ランプもしくはその変形、パルスキセノンフラッシュランプ、またはエキシマランプなどの高強度ランプである。低価格で、商業供給源から容易に入手できる中圧水銀ランプを使用することが、最も好ましい。典型的にクオーツスリーブ中に挿入される1つまたは複数のUVランプは、照射のためパルプ中に挿入され(沈められ)てもよい。UVランプをリグノセルロース材料の混合懸濁液の上に置く方がより有利である場合がある。このタイプのUV照射に対して、水銀ランプおよび電極レスパワーランプ(Fusion UV社からなど)が使用されてもよい。水中におけるUV透過は非常に低く、ほとんどの化学的な作用が水溶液中の過酸化物のUV分解から生じるため、パルプが反応中に完全に混合されてよく撹拌されることが好ましい。本明細書のいずれかの実施形態では、UV処理はUV触媒を添加して行われても行われなくてもよい。有用なUV触媒は、マイクロもしくはナノ微粒子二酸化チタンまたは酸化亜鉛写真触媒、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、1,1’-アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(例えば、DuPont VAZO(登録商標)触媒88)、および/または(2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル)オキシル(TEMPO)などのアゾベース水溶性有機触媒を含むが、これらに限定されない。
【0033】
[0035]方法は、バッチ式で、連続的に、または半連続的に行われてもよい。方法は、機械、セミケミカル、または化学パルプ化プロセスの終わりのプロセスステップとしてパルプ化プロセスの一部として、または漂白プロセスの終わりにステップとして多段階漂白プロセスの一部として(すなわち、プロセスの処理ステップ後にさらなる漂白ステップは行われない)も実施されてもよい。方法はまた、例えばハイドロパルパーまたは同様の装置中で市販の製紙パルプまたはフラッフパルプを再スラッシュすることにより、市販の製紙パルプおよび/またはフラッフパルプを処理するために使用されてもよい。ハイドロパルパーまたは同様の装置中での処理は、条件を調節する柔軟性を有する。例として、処理は酸性pHで開始してもよく、いくらかの適切な時間の後に、処理は、腐食剤を加えることによりアルカリ性pHに調節し、より高いpHで反応を続けることを含む。この組み合わされた酸性-アルカリ性処理を使用して、処理済みリグノセルロース材料におけるカルボキシル基対カルボニル基の比を変えることができる。
【0034】
[0036]処理済みリグノセルロース材料は、フラッフパルプに対する前述のいずれかの1つまたは複数の特徴(例えば、少なくとも約2mmの長さ加重平均繊維長、約7未満の銅価、約3.5meq/100グラム超のカルボキシル含量、少なくとも80のISO白色度、および約2cpsから約9cpsの粘度、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせ)、および本明細書に記載されるいずれの範囲を有していてもよい。本明細書のいずれかの実施形態では、フラッフパルプに対して先に論じられたように、処理済みリグノセルロース材料は、処理済みリグノセルロース材料の約0.2重量ppmから約50重量ppm、または本明細書に記載されるいずれの範囲の銅イオン含量を有してもよい。本明細書のいずれかの実施形態では、フラッフパルプに対して先に論じられたように、処理済みリグノセルロース材料は、処理済みリグノセルロース材料の約0.2重量ppmから約50重量ppmの鉄イオン含量を有してもよい。
【0035】
[0037]さらなる関連する実施形態では、フラッフパルプの臭気制御特性を改良する方法が提供され、ここで、本方法は、約1から約9のpHで、約0.5ppmから約200ppmの銅塩を加えることにより第1のリグノセルロース材料を処理して、第2のリグノセルロース材料を形成するステップを含み、乾燥した第2のリグノセルロース材料は、乾燥した第1のリグノセルロース材料より少なくとも50%高いアンモニア形成に対する阻害効果を有する。阻害効果は、少なくとも約50%高く、少なくとも約55%高く、少なくとも約60%高く、少なくとも約65%高く、少なくとも約70%高く、少なくとも約75%高く、少なくとも約80%高く、少なくとも約85%高く、少なくとも約90%高く、少なくとも約92%高く、少なくとも約94%高く、少なくとも約96%高く、少なくとも約98%高く、少なくとも約99%高く、約100%高く、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。pHは、約1.0、約1.5、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。
【0036】
[0038]本明細書でのこのような方法のいずれかの実施形態では、第1のリグノセルロース材料は、約0.2ppmを超える銅を含有せず、好ましくは約0.1ppm以下の銅、さらに好ましくは約0.01ppm以下の銅を含有してもよい。本明細書のいずれかの実施形態では、第1のリグノセルロース材料は、ICP-原子吸光により測定される検出可能な銅を含有しなくてもよい。
【0037】
[0039]銅塩は前述され、「銅塩」という用語は、1つの銅塩、いずれかの2つ以上の銅塩の混合物、いずれかの1つまたは複数の前述のものの水和物、およびそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせのいずれかを意味すると意図され、ここで、添加される銅塩の量は、約0.5ppm、約0.6pm、約0.7ppm、約0.8ppm、約0.9ppm、約1.0ppm、約1.2ppm、約1.4ppm、約1.6ppm、約1.8ppm、約2.0ppm、約2.5ppm、約3.5ppm、約4ppm、約4.5ppm、約5ppm、約5.5ppm、約6ppm、約7ppm、約8ppm、約9ppm、約10ppm、約12ppm、約14ppm、約16ppm、約18ppm、約20ppm、約22ppm、約24ppm、約25ppm、約26ppm、約28ppm、約30ppm、約32ppm、約34ppm、約36ppm、約38ppm、約40ppm、約42ppm、約44ppm、約46ppm、約48ppm、約50ppm、約55ppm、約60ppm、約65ppm、約70ppm、約75ppm、約80ppm、約85ppm、約90ppm、約95ppm、約100ppm、約120ppm、約140ppm、約160ppm、約180ppm、約199.8ppm、約200ppm、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。
【0038】
[0040]リグノセルロース材料もまた前述されている。方法において、リグノセルロース材料は、好ましくは漂白クラフトパルプ、より好ましくは漂白クラフト繊維を含むフラッフパルプである。漂白クラフト繊維/パルプは、本技術のフラッフパルプの漂白クラフト繊維に対して記載されたいずれかの1つまたは複数の特徴(例えば、少なくとも約2mmの長さ加重平均繊維長、約7未満の銅価、約3.5meq/100グラム超のカルボキシル含量、少なくとも80のISO白色度、および約2cpsから約9cpsの粘度、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせ)、および本明細書に記載されるいずれの範囲を有していてもよい。
【0039】
[0041]さらに、約25ppmから約175ppmの鉄塩などの鉄塩が銅塩と共に添加されてもよい。鉄塩は前述され、ここで、「鉄塩」という用語は、1つの鉄塩、いずれかの2つ以上の鉄塩の混合物、いずれかの1つまたは複数の前述のものの水和物、およびそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせのいずれかを意味すると意図される。添加される鉄塩の量は、約25ppm、約26ppm、約28ppm、約30ppm、約32ppm、約34ppm、約36ppm、約38ppm、約40ppm、約42ppm、約44ppm、約46ppm、約48ppm、約50ppm、約55ppm、約60ppm、約65ppm、約70ppm、約75ppm、約80ppm、約85ppm、約90ppm、約95ppm、約100ppm、約120ppm、約140ppm、約160ppm、約165ppm、約170ppm、約175ppm、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。方法において、鉄塩の銅塩に対する重量比は、最大で約10:1である。「最大で約10:1」によって、本フレーズは、鉄塩の銅塩に対する、11:1などのそれ以下の比が含まれることを意味するが、鉄が含まれない、すなわち、比がまったくない範囲を包括的に含まない。鉄塩の銅塩に対する重量比は、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、またはこれらの値のいずれかの2つを含むおよび/もしくは2つの間のいずれの範囲であってもよい。
【0040】
[0042]例えば、方法は、約1から約9のpHで、約3.5ppmから約200ppmの銅塩および約25ppmから約175ppmの鉄塩を加えることにより第1のリグノセルロース材料を処理して、第2のリグノセルロース材料を形成するステップを含む。
【0041】
[0043]本明細書のいずれかの実施形態では、銅塩(および、適用可能な場合、鉄塩)は、水溶液として添加されてもよい。このような実施形態において、方法は、約1から約9のpHで、銅塩(および、適用可能な場合、鉄塩)の水溶液を加えることにより第1のリグノセルロース材料を処理して、濡れたリグノセルロース材料を得て、この濡れたリグノセルロース材料を乾燥して、第2のリグノセルロース材料を形成するステップを含んでもよく、ここで、第2のリグノセルロース材料は、約0.5ppmから約200ppm(またはいずれかの前述の範囲)の銅塩、および鉄塩が含まれる場合、約25ppmから約175ppm(またはいずれかの前述の範囲)の鉄塩を含んでもよい。さらに、方法は、濡れたリグノセルロース材料を乾燥し、続いて繊維化して第2のリグノセルロース材料を形成するステップを含む。
【0042】
[0044]本明細書のいずれかの実施形態では、第2のリグノセルロース材料は、フラッフパルプに対して前述のいずれかの1つまたは複数の特徴(例えば、少なくとも約2mmの長さ加重平均繊維長、約7未満の銅価、約3.5meq/100グラム超のカルボキシル含量、少なくとも80のISO白色度、および約2cpsから約9cpsの粘度、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせ)、および本明細書に記載されるいずれの範囲を有していてもよい。本明細書のいずれかの実施形態では、フラッフパルプに対して先に論じられたように、処理済みリグノセルロース材料は、処理済みリグノセルロース材料の約0.2重量ppmから約50重量ppm、または本明細書に記載される銅イオン含量のいずれの範囲の銅イオン含量を有してもよい。本明細書のいずれかの実施形態では、フラッフパルプに対して先に論じられたように、処理済みリグノセルロース材料は、処理済みリグノセルロース材料の約0.2重量ppmから約50重量ppmの鉄イオン含量を有してもよい。
【0043】
[0045]処理済みリグノセルロース材料または第2のリグノセルロース材料は、いくつもの続く処理にかけられ、材料の特性をさらに変えてもよい。例えば、本明細書のいずれかの実施形態では、処理済みリグノセルロース材料または第2のリグノセルロース材料は、(理論に束縛されるものではないが)処理済み材料の還元性官能基に結合すると考えられるカチオン剤で処理されてもよい。有用なカチオン材料は、幅広く変えることができ、ポリアミン、l-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)、臭化ヘキサジメトリン、ポリエチレンイミン(直鎖および/または分枝)、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)のコポリマー、ビニルピロリドン(VP)の四級化メタクリル酸ジエチルアミノエチル(DEAMEMA)とのコポリマー、ポリアミド、カチオン性ポリウレタンラテックス、カチオン性ポリビニルアルコール、ポリアルキルアミン、ジシアンジアミドコポリマー、グリシジルアミン添加ポリマー、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレン]ジクロリド、高電荷密度ポリビニルアミン、ポリアリルアミン(PAH)、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド塩酸塩)(PHMB)、ポリアミドアミン(またはポリエチレンイミン)などのカチオン窒素含有ポリマー、水溶性アルミニウム塩、カルシウム塩、および/またはジルコニウム塩などのカチオン性金属イオン、ならびにアミノ表面基を持つ(ポリアミドアミン)デンドリマー(PAMAMデンドリマー)、およびアミノ表面基を持つポリプロピレンイミンデンドリマーなどのカチオン性デンドリマーを含むが、これらに限定されない。理論に束縛されるものではないが、このようなカチオン性材料との処理は、良好な強度を維持し減少した保水値(WRV)および増加した自由度を有しながら、上質紙、ボール紙、ティッシュペーパー、タオル、および吸水性製品に望ましい紙バルクの増加などの特性を変え得ると考えられる。
【0044】
[0046]処理済みリグノセルロース材料または第2のリグノセルロース材料は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、および/またはシリカなどのマイクロまたはナノ微粒子金属酸化物で処理されてもよく、ここで、このような材料は、処理済みリグノセルロース材料により保持されて、着色剤固定、色素固定、蛍光増白剤固定、印刷適性、および/または臭気制御特徴などの特性を変える。処理済みリグノセルロース材料または第2のリグノセルロース材料は、製紙または繊維ネットワーク形成中に架橋材料で処理されてもよい。例示的な架橋材料は、1,6-ヘキサメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,8-オクタメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,10-デカメチレンビス(エチルカルボジイミド)、1,12-ドデカメチレンビス(エチルカルボジイミド)、PEG-ビス(プロピル(エチルカルボジイミド))、2,2’-ジチオエチルビス(エチルカルボジイミド)、1,1’-ジチオ-p-フェニレンビス(エチルカルボジイミド)、および1,1’-ジチオ-m-フェニレンビス(エチルカルボジイミド)などの水分散性または水溶性の二官能もしくは多官能カルボジイミドおよび/またはポリカルボジイミドを含む。二官能または多官能カルボジイミド基は、処理済みリグノセルロース材料(または第2のリグノセルロース材料)の還元性官能基、および紙または繊維ネットワーク構造内の材料の架橋繊維と反応する。
【0045】
[0047]処理済みリグノセルロース材料または第2のリグノセルロース材料は、従来の目的のためにその場でまたは従来の生成物単離技法を用いた単離の後に使用されてもよい。例えば、処理済みリグノセルロース材料または第2のリグノセルロース材料は、紙またはボール紙の基材またはウェブを作るために使用されてもよい。リグノセルロース繊維を形成された基材を調製するための方法および装置は、紙およびボール紙分野においてよく知られている。例えば、「Handbook For Pulp & Paper Technologies」第2版、G.A.Smook、Angus Wilde Publications(1992年)およびそこで引用されている参考文献を参照のこと。いずれかの従来の方法および装置が使用されてもよい。好ましくは、処理済みリグノセルロース材料(または第2のリグノセルロース材料)を使用するこのような方法は、a)処理済みリグノセルロース材料からのリグノセルロース繊維の水性懸濁液を製紙機の形成ワイヤ上に堆積して濡れた紙またはボール紙ウェブを形成するステップ、b)濡れた紙またはボール紙ウェブを乾燥して、乾燥済みの紙またはボール紙ウェブを得るステップ、およびc)乾燥済みの紙またはボール紙ウェブをカレンダーするステップを含む。これらに加えて、例えば、乾燥済みの紙またはボール紙ウェブの1つまたは複数の表面を、分散顔料を含有するバインダーを含むコーティング剤でコーティングするコーティングステップ、および/または乾燥済みの紙もしくはボール紙をデンプンなどのサイズ剤と共にサイズプレスで処理するステップのような、当業者に既知の追加のステップが用いられてもよい。
【0046】
[0048]処理済みリグノセルロース材料または第2のリグノセルロース材料は、従来の方法を使用して、例えば、おむつ、ティッシュペーパー、タオル、および/または個人用衛生製品などの吸収性物品を調製するために使用されてもよい。このような製品およびそれらの製造方法は、当業者に知られている。例えば、米国特許第6,063,982号および第5,766,159号(本教示と矛盾する恐れのある、それらのいずれかの部分を除き、いずれも参照により本明細書に援用される)、およびそこで記載された参考文献を参照のこと。処理済みリグノセルロースクラフトパルプ(処理済みクラフトパルプ繊維を必然的に含む)を使用して含浸クラフト紙を作製してもよい。含浸クラフト紙は、樹脂ポリマーで含浸および硬化するための基材として使用される未漂白クラフトパルプ(典型的には主となる硬材およびいくらかのサザンパインなどの軟材の混合物)から作製される紙シートである。含浸クラフト紙は、台所用調理台などの、家およびオフィスビル材料として使用される。含浸クラフト紙の有用な特性は、紙の透気度および密度を維持しながら、シートへの液体(典型的にはポリマー樹脂溶液)浸透速度を制御することである。含浸シートにおけるすべての硬材クラフト繊維は、例えば本明細書でのいずれかの実施形態の方法により処理されたサザンパインクラフト(外装用ライナ等級マツクラフト)などの軟材により置き換えられて、良好な液体輸送特性を有する含浸クラフト紙を提供してもよい。
【実施例
【0047】
[0049]本明細書での実施例は、本技術の利点を例示するために、およびさらに当業者が本技術の方法を準備または使用する助けとするために提供される。本明細書での実施例は、本技術の好ましい態様をより完全に例示するためにも提示される。実施例は、決して本技術の範囲を限定すると解釈されるべきではない。実施例は、上記の本技術のいずれかの変形形態、実施形態、または態様を含んでもよく、または組み込んでもよい。上記の変形形態、実施形態、または態様は、さらに本技術のいずれかのもしくはすべての他の変形形態、実施形態、または態様の変形形態も含んでもよく、または組み込んでもよい。
【0048】
実施例1
[0050]SAPなしのフラッフパルプのアンモニア阻害特性を測定する技法
[0051]フラッフパルプのシートを5.08cm(2インチ)細片に切り分け、Kamas H01実験室ハンマーミルを使用して繊維化する。繊維化パルプを、風成パッド作成器を使用して風成50mm直径パッドにする。特に言及されない限り、各パッドを4グラムの繊維化パルプで作製する。パッドをカーバープレスでおよそ0.15g/cc密度に圧縮する。2つの圧縮されたパッドを気密1リットル瓶内に置く。40mLの新たに準備された、合成尿(RICCA Chemical Company)中1.0%ウレアーゼ(Canavalia ensiformis(Jack Bean)からのウレアーゼ、Sigmaから購入)溶液を各4グラムのパッドに加え、瓶を密閉する。8時間後、ドレ-ゲル管を使用して瓶の上部空間中のアンモニア濃度を検出する。本手順により提供されるように、アンモニアの濃度が低ければ低いほど、繊維化フラッフパルプのアンモニア阻害効果は良好になる。
【0049】
実施例2
[0052]SAPありのフラッフパルプのアンモニア阻害特性を測定する技法
[0053]フラッフパルプのシートを5.08cm(2インチ)細片に切り分け、Kamas H01実験室ハンマーミルを使用して繊維化する。繊維化パルプを10グラムの合計量となるようにSAPと混合する。例えば、10%SAPパッドが必要であれば、次いで9グラムの繊維化パルプを1グラムのSAPと混合する。特に言及されない限り、使用されるSAPはHySorb(登録商標)9400(BASF)である。次いで、繊維化パルプおよびSAPの混合物を風成パッド作成器に送り込んで100cm円形パッドを形成する。パッドを、カーバープレスを使用しておよそ0.15g/ccに圧縮する。パッドを7リットル気密容器内に置く。100mlの1.0%ウレアーゼ溶液(実施例1に記載)をパッドに加え、容器を密閉する。8時間後、ドレ-ゲル管を使用して容器の上部空間中のアンモニア濃度を検出する。
【0050】
実施例3
[0054]
[0055]商業スケールDop漂白シーケンスにおける第1の二酸化塩素白色化(D)段階後にパルプを集め、パルプは16.5cps粘度を有していた。このパルプを、表1で示される、異なる種類および量の金属塩を含む酸漂白段階において処理した。各処理は、10%濃度(すなわち、溶液中10wt%パルプ)の100グラムの乾燥パルプおよび3%過酸化水素(すなわち、パルプを基準にして3wt%)を、85℃の温度で、130分の間、利用した。
【0051】
[0056]処理後、パルプを4Lの脱イオン水で洗浄し、およそ20%の固体に密集させた。次いで、密集させたパルプを脱イオン水でおよそ1%濃度に希釈し、20.32cm(8インチ)×20.32cm(8インチ)ハンドシート型上で750gsmハンドシートを形成した。濡れたパルプシートを吸い取り紙の間でプレスして余分な液体を除去し、続いて回転ドラム乾燥機で、121.11℃(250°F)で乾燥した。次いで、乾燥済みシートのアンモニア阻害特性を、実施例1および2に記載されたようにSAPありおよびなしで調査した。表1に示すように、FeSOとの組み合わせてわずか25ppmのCuSOを使用することは、アンモニア形成に対する明白な阻害効果を有した。25ppmのCuSOをエントリー1に対する酸性過酸化物漂白で使用したとき、SAPが含まれなかった場合、約50%(100%-(3ppmNH/6ppmNH×100%)=50%)のアンモニア阻害を有した。さらに、50ppmのCuSOを55ppmのFeSOと組み合わせて使用した場合、SAPが含まれなかった場合100%のアンモニア阻害があり、10%SAPが含まれた場合約82%のアンモニア阻害があった。
【0052】
【表1】
【0053】
実施例4
[0057]
[0058]商業製品条件を、International PaperのRiegelwood、NC工場で実施した。この工場は、クラフト軟材パルプをDop漂白シーケンスで漂白する。D段階を変更して、3%過酸化水素および金属塩組成および含量を変更した金属塩を使用して低粘度パルプを生成した。第1のパルプ(表2、エントリー1)を、唯一の金属塩として150ppmのFeSOを使用して生成した。第2のパルプ(表2、エントリー2)を、125ppmのFeSOおよび25ppmのCuSOを使用して生成した。これらの反応条件のいずれも、低粘度のパルプを生じた。
【0054】
[0059]次いで、各パルプを、円筒蒸気加熱缶乾燥機を備える長網型抄紙機上でフラッフパルプシートにした。次いで各乾燥済みシートの試料を集め、実施例1および2に記載されたようにアンモニア阻害を試験した。表2に示す通り、酸性過酸化水素漂白段階で使用されたわずか25ppmのCuSOは、アンモニア形成に対し明白な阻害効果を有した。この結果は、SAPありおよびなしで作製されたパッドからも見出された。
【0055】
【表2】
【0056】
実施例5
[0060]
[0061]フラッフパルプシート(RW SuperSoft(登録商標)Plus; International Paperにより商業的に生成される)を、硫酸銅(II)五水和物(CuSO・5HO)の濃度を上昇させながら、脱イオン水浴中に室温(22.22℃(72°F))で1分間浸漬した。浸漬手順後、パルプシートを吸い取り紙の間でプレスして余分な液体を除去し、シートを回転ドラム乾燥機で、121.11℃(250°F)で乾燥した。次いで、乾燥済みシートを、実施例1および2に記載されたアンモニア阻害に対して試験し、表3はこれらの試験の結果を示す。わずか1.0ppmのCu2+は、アンモニア形成に対する明白な阻害効果を有した。
【0057】
【表3】
【0058】
実施例6
[0062]
[0063]フラッフパルプシート(RW SuperSoft(登録商標)Plus;International Paperにより商業的に生成される)に、脱イオン水を含有し、硫酸銅(II)五水和物(CuSO・5HO)の濃度を変化させた様々な水溶液を噴霧した。目視で濡れた状態になるまでフラッフパルプシートに噴霧した。噴霧手順後、各パルプシートを吸い取り紙の間でプレスして余分な液体を除去し、シートを回転ドラム乾燥機で、121.11℃(250°F)で乾燥した。次いで、各乾燥済みシートを、実施例1に記載されたアンモニア阻害に対して試験し、表4はこれらの試験の結果を示す。わずか0.7ppmのCu2+は、アンモニア形成に対する明白な阻害効果を有した。
【0059】
【表4】
【0060】
[0064]本技術は、本技術の個別の態様の1つの実例として意図される、本明細書に記載される特定の図および例に関して限定されない。この本技術の多くの変更形態および変形形態は、当業者に明らかであるように、その趣旨および範囲から逸脱することなく作成できる。本技術の範囲内の機能的に同等な方法は、本明細書で列挙されたものに加えて、前述の記述から当業者に明らかであろう。このような変更形態および変形形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図する。この本技術は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、または標識化合物に限定されず、当然変更できると理解される。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様のみを記載する目的のためであり、限定することを意図していないことも理解される。
【0061】
[0065]本明細書で実例として記載される実施形態は、本明細書で明確に開示されないいずれかの要素(1つまたは複数)や限定(1つまたは複数)なしに、適切に実施されてもよい。このように、例えば、「含む(comprising)」、「含まれる(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、幅広く、限定なく読まれるものとする。加えて、本明細書で利用される用語および表現は、記述の用語として、限定なく使用されており、このような用語および表現の使用において、示され記載される特徴のいずれかの相当語句またはそれらの一部を除く意図はないが、様々な変更形態が請求される技術の範囲内で可能であることが認められる。加えて、「本質的に~からなる」という語句は、明確に記載されたそれらの要素、および根本に実質的に影響しないそれらの追加の要素および請求される技術の新規の特徴を含むことが理解されるであろう。「からなる」という語句は、記載されていないいずれかの要素を除く。
【0062】
[0066]加えて、本開示の特徴または態様がMarkushグループに関して記載される場合、当業者はそれによって本開示がMarkushグループのいずれかの個別のメンバーまたはメンバーのサブグループに関しても記載されることを認めるであろう。包括的な開示の範囲に入る各々のより狭い種および部分的な包括的グループも発明の一部を形成する。このことは、削除された材料が本明細書で明確に記載されるかされないかに関わらず、概念からいずれかの対象を除去する但し書きまたは否定的な限定を備える本発明の包括的記述を含む。
【0063】
[0067]本明細書において言及されるすべての刊行物、特許出願、発行特許、および他の文書(例えば、雑誌、記事および/または教科書)は、各個別の刊行物、特許出願、発行特許、または他の文書が明確におよび個別に示されてその全体において参照により本明細書に援用されるかのように、参照により本明細書に援用される。援用される文に含まれる定義は、それらが本開示において定義と矛盾する範囲で除外される。
【0064】
[0068]他の実施形態は、以下の特許請求の範囲において、このような特許請求の範囲が権利を有するのと同等の全範囲に沿って記載される。
[発明の態様]
[1]
少なくとも約2mmの長さ加重平均繊維長、
約7未満の銅価、
約3.5meq/100グラム超のカルボキシル含量、
少なくとも80のISO白色度、および
約2cpsから約9cpsの粘度
を含む漂白クラフト繊維、ならびに
漂白クラフト繊維の約0.2重量ppmから約50重量ppmの銅イオン含量
を含む、フラッフパルプ。
[2]
銅イオン含量の銅イオンが、銅(I)塩、銅(II)塩、それらの水和物、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせを含む、1に記載のフラッフパルプ。
[3]
銅イオン含量の銅イオンが、元素銅、塩化銅(I)、酸化銅(I)、硫酸銅(I)、炭酸銅(II)、塩化銅(II)、リン酸銅(II)、硝酸銅(II)、過塩素酸銅(II)、リン酸銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、および銅(II)トリフラートのうちの1つまたは複数を含む、1または2に記載のフラッフパルプ。
[4]
さらに鉄イオンを含む、1から3のいずれか一項に記載のフラッフパルプ。
[5]
漂白クラフト繊維の約0.2重量ppmから約50重量ppmの鉄イオン含量を含む、4に記載のフラッフパルプ。
[6]
フラッフパルプが高吸水性ポリマー(SAP)を含まない、1から5のいずれか一項に記載のフラッフパルプ。
[7]
リグノセルロース材料の約0.5重量%から約5重量%の酸化剤の存在下で、リグノセルロース材料の約50重量ppmから約200重量ppmの、銅および鉄またはそれらの塩の組み合わせからなる触媒を加えることによりリグノセルロース材料を処理して、処理済みリグノセルロース材料を生成するステップ
を含むフラッフパルプを調製する方法であって、
鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比が最大で約10:1であり、
処理済みリグノセルロース材料が約2cpsから約6cpsの粘度を有し、
処理済みリグノセルロース材料が、銅を含まない同様の方法により形成される第2の処理済みリグノセルロース材料より少なくとも50%高いアンモニア形成に対する阻害効果を有する、
方法。
[8]
銅またはその塩が、元素銅(Cu)、銅(I)塩、および銅(II)塩のうちの1つまたは複数からなる、7に記載の方法。
[9]
銅またはその塩が、元素銅、塩化銅(I)、酸化銅(I)、硫酸銅(I)、炭酸銅(II)、塩化銅(II)、リン酸銅(II)、硝酸銅(II)、過塩素酸銅(II)、リン酸銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、銅(II)トリフラート、それらの水和物、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせからなる、7または8に記載の方法。
[10]
鉄またはその塩が、元素鉄、二価鉄(Fe2+)塩、三価鉄(Fe3+)塩、それらの水和物、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせからなる、7から9のいずれか一項に記載の方法。
[11]
鉄またはその塩が、元素鉄、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、それらの水和物、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせからなる、7から10のいずれか一項に記載の方法。
[12]
鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比が約10:1から約1:10である、7から11のいずれか一項に記載の方法。
[13]
鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比が約3:1から約1:3である、7から11のいずれか一項に記載の方法。
[14]
酸化剤が過酸化水素を含む、7から13のいずれか一項に記載の方法。
[15]
方法が多段階漂白プロセスを含み、処理ステップが多段階漂白プロセスにおける最後の漂白ステップである、7から14のいずれか一項に記載の方法。
[16]
処理済みリグノセルロース材料が高吸水性ポリマー(SAP)を含まない、7から15のいずれか一項に記載の方法。
[17]
酸性pHで、リグノセルロース材料の約0.5重量%から約5重量%の酸化剤の存在下で、リグノセルロース材料の約50重量ppmから約200重量ppmの、銅および鉄、またはそれらの塩の組み合わせからなる触媒を加えることにより、リグノセルロースクラフトパルプを処理して、処理済みリグノセルロース材料を生成するステップ
を含むフラッフパルプを調製する方法であって、
添加される鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比が最大で10:1であり、
処理済みリグノセルロース材料が約2cpsから約6cpsの粘度を有し、
処理済みリグノセルロース材料が、銅を含まない同様の方法により形成される第2の処理済みリグノセルロース材料より少なくとも50%高いアンモニア形成に対する阻害効果を有する、
方法。
[18]
銅またはその塩が、元素銅、塩化銅(I)、酸化銅(I)、硫酸銅(I)、炭酸銅(II)、塩化銅(II)、リン酸銅(II)、硝酸銅(II)、過塩素酸銅(II)、リン酸銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、銅(II)トリフラート、それらの水和物、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせからなる、17に記載の方法。
[19]
鉄またはその塩が、元素鉄、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄アンモニウム、クエン酸第二鉄アンモニウム、それらの水和物、またはそれらのいずれかの2つ以上の組み合わせからなる、17または18に記載の方法。
[20]
鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比が約10:1から約1:10である、17から19のいずれか一項に記載の方法。
[21]
酸化剤が過酸化水素を含む、17から20のいずれか一項に記載の方法。
[22]
約2.5から約5のpHで、リグノセルロース材料の約0.5重量%から約5重量%の酸化剤の存在下で、リグノセルロース材料の約50重量ppmから約150重量ppmの、銅および鉄、またはそれらの塩の組み合わせからなる触媒を加えることによりリグノセルロースクラフトパルプを処理して、処理済みリグノセルロース材料を生成するステップ
を含むフラッフパルプを調製する方法であって、
リグノセルロースクラフトパルプが、溶液中の水を基準にして約8wt%から約12wt%のリグノセルロースクラフトパルプの水溶液中に存在し
鉄および鉄塩の銅および銅塩に対する重量比が約8:1から約1:8であり、
処理済みリグノセルロース材料が約3cpsから約5cpsの粘度を有し、
処理済みリグノセルロース材料が、銅を含まない同様の方法により形成される第2の処理済みリグノセルロース材料より少なくとも50%高いアンモニア形成に対する阻害効果を有する、
方法。
[23]
方法が多段階漂白プロセスを含み、処理ステップが多段階漂白プロセスにおける最後の漂白ステップである、22に記載の方法。
[24]
処理済みリグノセルロース材料が高吸水性ポリマー(SAP)を含まない、22または23に記載の方法。
[25]
フラッフパルプの臭気制御特性を改良する方法であって、
約1から約9のpHで、約3.5ppmから約200ppmの銅塩および約25ppmから約175ppmの鉄塩を加えることにより第1のリグノセルロース材料を処理して、第2のリグノセルロース材料を形成するステップ
を含み、
鉄塩の銅塩に対する重量比が約8:1から約1:1であり、
乾燥した第2のリグノセルロース材料が、乾燥した第1のリグノセルロース材料より少なくとも50%高いアンモニア形成に対する阻害効果を有する、
方法。
[26]
第2のリグノセルロース材料が高吸水性ポリマー(SAP)を含まない、25に記載の方法。