(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】外科用クリップ及びクリップアプライヤ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/122 20060101AFI20240110BHJP
A61B 17/128 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A61B17/122
A61B17/128
(21)【出願番号】P 2019552082
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(86)【国際出願番号】 US2018023600
(87)【国際公開番号】W WO2018175610
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2019-11-13
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-27
(32)【優先日】2018-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515257519
【氏名又は名称】テレフレックス メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TELEFLEX MEDICAL INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】シェレンバーガー カーソン ジェイ
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】井上 哲男
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105054989(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106264646(CN,A)
【文献】米国特許第3867944(US,A)
【文献】英国特許出願公開第2054027(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を結紮するための組立体であって、
第1のスロット
が形成された第1の可撓性部材を備える第1の顎部材と、第2のスロット
が形成された第2の可撓性部材を備える第2の顎部材と、を有するクリップアプライヤと、
組織を結紮するように構成された外科用クリップであって、第1の近位部、第1の遠位部、第1の内面、及び凸状湾曲を有する第1の外面を含む第1の脚部材と、第2の近位部、第2の遠位部、第2の内面、及び第2の外面を含む第2の脚部材と、を有する外科用クリップと、
を備え、
更に、前記第2の脚部材は、チャネルによって分離されポリマで一体的に形成された内側部と外側部とを含み、前記チャネルは、前記第2の脚部材の対向する側面の間に延び、前記第2の内面は、前記第2の近位部から前記第2の遠位部へ延びる凸状湾曲を有し、前記第2の外面は、前記外側部に形成され且つ凸状湾曲を有し、
前記第1の脚部材は、前記クリップアプライヤの
前記第1の可撓性部材の前記第1のスロットに係合するように構成された第1の長手方向突起部を備え、前記第2の脚部材は、前記クリップアプライヤの
前記第2の可撓性部材の前記第2のスロットに係合するように構成された第2の長手方向突起部を備えている、組立体。
【請求項2】
前記外側部は、前記第2の脚部材の長さの4分の1を超えて延びている、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記外側部は、前記第2の脚部材の長さの2分の1を超えて延びている、請求項1に記載の組立体。
【請求項4】
前記外側部の幅は、前記内側部の幅より小さい、請求項1に記載の組立体。
【請求項5】
前記第2の外面の前記凸状湾曲は、前記外側部の近位端から前記外側部の遠位端まで延びている、請求項1に記載の組立体。
【請求項6】
前記第1の外面は第1の長手方向突起部を備え、前記第2の外面は第2の長手方向突起部を備えている、請求項1に記載の組立体。
【請求項7】
更に、前記第1の脚部材及び第2の脚部材の一方の脚部材の遠位部上のフック部材と、前記第1の脚部材及び第2の脚部材の他方の脚部材上の先端部材と、を備え、前記フック部材は閉鎖構成において前記先端部材を受け入れるように構成されている、請求項1に記載の組立体。
【請求項8】
更に、前記第1の近位部と前記第2の近位部とを回転可能に結合するヒンジ部材を備えている、請求項1に記載の組立体。
【請求項9】
組織を結紮するための組立体であって、
第1のスロット
が形成された第1の可撓性部材を備える第1の顎部材と、第2のスロット
が形成された第2の可撓性部材を備える第2の顎部材と、を有するクリップアプライヤと、
組織を結紮するように構成された外科用クリップであって、
第1の近位部、第1の遠位部、凹状湾曲を有する第1の内面、及び凸状湾曲を有する第1の外面、を含む第1の脚部材と、
第2の近位部、第2の遠位部、第2の内面、及び第2の外面、を含む第2の脚部材であって、更に、前記第2の脚部材は、チャネルによって分離された内側部と外側部とを含み、前記チャネルは、前記第2の脚部材の対向する側面の間に延び、前記第2の内面は、前記内側部に形成されて前記第2の近位部から前記第2の遠位部へ延びる凸状湾曲を有し、前記第2の外面は、前記外側部に形成されて凸状湾曲を有し、前記内側部と前記外側部がポリマから一体的に形成される第2の脚部材と、
前記第1の近位部と前記第2の近位部とを回転可能に結合するヒンジ部材と、
前記第1の脚部材の前記第1の遠位部にあるフック部材と、
前記第2の脚部材の前記第2の遠位部にある先端部材であって、前記フック部材は、閉鎖構成において前記先端部材の周りに撓んで前記外科用クリップを固定するように構成される先端部材と、
を有する外科用クリップと、
を備え、
前記第1の脚部材は、前記クリップアプライヤの
前記第1の可撓性部材の前記第1のスロットに係合するように構成された第1の長手方向突起部を備え、前記第2の脚部材は、前記クリップアプライヤの
前記第2の可撓性部材の前記第2のスロットに係合するように構成された第2の長手方向突起部を備えている、組立体。
【請求項10】
組織を結紮するように構成されたクリップアプライヤシステムであって、
第1の顎部材と第2の顎部材とを有するクリップアプライヤと、
前記クリップアプライヤに装填される外科用クリップと、
を備え、
前記外科用クリップは、第1の近位部、第1の遠位部、第1の内面、及び前記第1の顎部材と係合する凸状湾曲を有する第1の外面、を含む第1の脚部材と、第2の近位部、第2の遠位部、第2の内面、及び第2の外面、を含む第2の脚部材と、を備え、
更に、前記第2の脚部材は、チャネルによって分離されポリマで一体的に形成された内側部と外側部とを含み、前記チャネルは、前記第2の脚部材の圧縮を可能にするために前記第2の脚部材の対向する側面の間に延び、前記第2の内面は、前記第2の近位部から前記第2の遠位部へ延びる凸状湾曲を有し、前記第2の外面は、外側部に形成されて、前記第2の顎部材と係合する凸状湾曲を有し、
前記クリップアプライヤの前記第1の顎部材は、前記外科用クリップの前記第1の脚部材と係合するように構成された第1の可撓性部材を備え、前記クリップアプライヤの前記第2の顎部材は、前記外科用クリップの前記第2の脚部材と係合するように構成された第2の可撓性部材を備えている、
クリップアプライヤシステム。
【請求項11】
前記第1の可撓性部材は、前記第1の外面と係合するように付勢され、前記第2の可撓性部材は、前記第2の外面と係合するように付勢されている、請求項10に記載のクリップアプライヤシステム。
【請求項12】
前記第1の可撓性部材の一部分は前記第1の顎部材のチャネル内に受け入れられ、前記第2の可撓性部材の一部分は前記第2の顎部材のチャネル内に受け入れられている、請求項10に記載のクリップアプライヤシステム。
【請求項13】
前記第1の可撓性部材の遠位部は前記第1の顎部材に固定され、前記第2の可撓性部材の遠位部は前記第2の顎部材に固定されている、請求項10に記載のクリップアプライヤシステム。
【請求項14】
前記第1の可撓性部材の近位部と前記第2の可撓性部材の近位部は離間している、請求項10に記載のクリップアプライヤシステム。
【請求項15】
前記第1の可撓性部材の近位部と前記第2の可撓性部材の近位部は、接合又は一体化されている、請求項10に記載のクリップアプライヤシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本国際特許出願は、2017年3月21日出願の米国特許仮出願第62/474538号及び2018年2月7日出願の米国特許仮出願第62/627536号に対する優先権を主張するものであり、これらの開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般に、外科用クリップ及びクリップアプライヤに関し、より詳細には、安定性を改善した外科用クリップ及びクリップアプライヤに関する。
【背景技術】
【0003】
組織(例えば、血管、リンパ節、神経、卵管、及び心臓組織)の結紮は、多くの外科手術に対する一般的な方法である。これは、外科用クリップで血管を閉鎖することによって、又は外科用糸で血管を縫合することによって実行することができる。外科用糸の使用には、血管を固定するために必要な結び目を形成するために針及び外科用糸の複雑な操作が必要とされる。このような複雑な操作は、特に限られたスペース及び/又は視認性を特徴とする内視鏡外科手術において、時間が掛かり、実行するのが難しい。対照的に、外科用クリップは、適用するのが比較的迅速且つ容易である。それゆえ、内視鏡及び切開外科手術における外科用クリップの使用は劇的に増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、クリップアプライヤにおける外科用クリップの安定性など、外科用クリップの1又は2以上の特徴を改善する必要があることを認識している。現行のクリップアプライヤは、多くの場合、外科用クリップの脚部材の遠位端にあるボスにより提供される2つの接触点で外科用クリップを固定する。しかしながら、これらのボスは、外科手術中にクリップアプライヤに対して移動し、又は顎部材から脱落することさえあるので、外科用クリップに十分な安定性を提供しない。例えば、外科用クリップは、外科用クリップの長さに沿って十分な安定性を提供しない顎部材の間に受け入れられる時に、尻振りを生じる場合がある。現行の外科用クリップはまた、自動クリップアプライヤのシャフトを通して供給するのが難しい。開示されるデバイス及び方法は、従来技術の上述の問題及び/又は他の問題の1又は2以上を軽減又は克服することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様は、組織を結紮するように構成された外科用クリップに関する。外科用クリップは、第1の近位部、第1の遠位部、第1の内面、及び第1の外面を有する第1の脚部材を含むことができる。第1の外面は、凸状湾曲を有することができる。外科用クリップはまた、第2の近位部、第2の遠位部、第2の内面、及び第2の外面を有する第2の脚部材を含むことができる。第2の脚部材は、チャネルによって分離された内側部と外側部とを更に含むことができる。第2の外面は、外側部上に形成され、凸状湾曲を有することができる。
【0006】
一部の実施形態では、内側部と外側部は一体的に形成することができる。一部の実施形態では、内側部と外側部はポリマを含むことができる。一部の実施形態では、外側部は、第2の脚部材の長さの少なくとも4分の1を延びることができる。一部の実施形態では、外側部は、第2の脚部材の長さの少なくとも2分の1を延びることができる。一部の実施形態では、外側部は、第2の脚部材の実質的に全長にわたって延びることができる。一部の実施形態では、外側部の幅は、内側部の幅より小さいとすることができる。一部の実施形態では、第2の外面の凸状湾曲は、外側部の近位端から外側部の遠位端まで延びることができる。一部の実施形態では、第1の外面は第1の長手方向突起部を有することができ、第2の外面は第2の長手方向突起部を有することができる。一部の実施形態では、外科用クリップは、第1及び第2の脚部材の一方の脚部材の遠位部上にフック部材と、第1及び第2の脚部材の他方の脚部材上に先端部材とを更に有することができ、フック部材は閉鎖構成において先端部材を受け入れるように構成される。一部の実施形態では、フック部材は第1の脚部材の上に存在することができ、先端部材は第2の脚部材の上に存在することができる。一部の実施形態では、少なくとも1つの歯状部が第1の内面上に存在することができ、少なくとも1つの歯状部が第2の内面上に存在することができる。一部の実施形態では、第1の内面は凹状湾曲を含むことができ、第2の内面は凸状湾曲を含むことができる。
【0007】
第2の態様は、組織を結紮するように構成された外科用クリップに関する。外科用クリップは、第1の近位部、第1の遠位部、第1の内面、及び第1の外面を有する第1の脚部材を含むことができる。第1の内面は凹状湾曲を有することができ、第1の外面は凸状湾曲を有することができる。外科用クリップは、第2の近位部、第2の遠位部、第2の内面、及び第2の外面を有する第2の脚部材を含むことができる。第2の脚部材は、チャネルによって分離された内側部と外側部とを更に含むことができる。第2の内面は、内側部に形成されて凸状湾曲を有することができ、第2の外面は、外側部に形成されて凸状湾曲を有することができる。内側部と外側部を一体的に形成することができ、外側部は、第2の脚部材の長さの少なくとも4分の1を延びることができる。フック部材は第1の脚部材の第1の遠位部にあるとすることができ、先端部材は第2の脚部材の第2の遠位部にあるとすることができる。フック部材は、外科用クリップを閉鎖構成に固定するために、先端部材の周りに撓むように構成することができる。ヒンジ部材は、第1の近位部と第2の近位部とを回転可能に結合することができる。
【0008】
第3の態様は、組織を結紮するように構成されたクリップアプライヤに関する。クリップアプライヤシステムは、外科用クリップと、第1の顎部材及び第2の顎部材を有するクリップアプライヤとを含むことができる。外科用クリップは、第1及び第2の脚部材を含むことができる。第1の脚部材は、近位部、遠位部、第1の内面、及び第1の外面を有することができる。第1の外面は、第1の顎部材と係合する凸状湾曲を有することができる。第2の脚部材は、近位部、遠位部、第2の内面、及び第2の外面を有することができる。第2の脚部材は、チャネルによって分離された内側部と外側部とを更に含むことができる。第2の内面は、内側部に形成することができ、第2の外面は、外側部に形成されて、第2の顎部材と係合する凸状湾曲を有することができる。
【0009】
一部の実施形態では、クリップアプライヤは、第1の脚部材と係合する第1の可撓性部材と、第2の脚部材と係合する第2の可撓性部材とを含むことができる。一部の実施形態では、第1の可撓性部材は、第1の外面と係合するように付勢することができ、第2の可撓性部材は、第2の外面と係合するように付勢することができる。一部の実施形態では、第1の可撓性部材の一部分を第1の顎部材のチャネル内に受け入れることができ、第2の可撓性部材の一部分を第2の顎部材のチャネル内に受け入れることができる。一部の実施形態では、第1の可撓性部材の遠位部を第1の顎部材に固定することができ、第2の可撓性部材の遠位部を第2の顎部材に固定することができる。一部の実施形態では、第1の可撓性部材の近位部と第2の可撓性部材の近位部とは、離間しているとすることができる。一部の実施形態では、第1の可撓性部材の近位部と第2の可撓性部材の近位部とは、接合又は一体化される。一部の実施形態では、第1の脚部材は、第1の顎部材の第1のスロットに受け入れられるように構成された第1の長手方向突起部を有することができ、第2の脚部材は、第2の顎部材の第2のスロットに受け入れられるように構成された第2の長手方向突起部を有することができる。
【0010】
第4の態様は、クリップアプライヤに外科用クリップを装填する方法に関する。クリップアプライヤは、第1の顎部材及び第2の顎部材を含むことができ、外科用クリップは、第1の脚部材及び第2の脚部材を含むことができる。第1の脚部材は、第1の近位部、第1の遠位部、第1の内面、及び第1の外面を有することができ、第1の外面は凸状湾曲を有することができる。第2の脚部材は、第2の近位部、第2の遠位部、第2の内面、及び第2の外面を有することができる。第2の脚部材は、チャネルによって分離された内側部及び外側部を更に有することができ、第2の外面は外側部に形成され、凸状湾曲を有する。本方法は、第1の顎部材と第2の顎部材との間に外科用クリップを受け入れるステップと、第1の外面の凸状湾曲を第1の顎部材と係合させるステップと、第2の外面の凸状湾曲を第2の顎部材と係合させるステップとを含むことができる。
本開示を容易に理解できるようにするために、本開示の態様を添付図面において例として示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本開示による例示的な開放構成にある外科用クリップの第1の例示的な実施形態の側面図である。
【
図1B】例示的な閉鎖構成にある
図1Aの外科用クリップの側面図である。
【
図2A】
図1A~Bの外科用クリップが装填された手動クリップアプライヤの第1の例示的な実施形態の側面図である。
【
図2B】
図2Aの例示的な手動クリップアプライヤ及び外科用クリップの斜視図である。
【
図3】
図1A~Bの外科用クリップが装填された自動クリップアプライヤの例示的な実施形態の側面図である。
【
図4】本開示による例示的な開放構成にある外科用クリップの、第2の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図5A】
図4の外科用クリップが装填された手動クリップアプライヤの第2の例示的な実施形態の側面図である。
【
図5B】
図5Aの例示的な手動クリップアプライヤ及び外科用クリップの斜視図である。
【
図5C】
図5A~Bの手動クリップアプライヤの可撓性部材の例示的な実施形態の斜視図である。
【
図6A】
図4の外科用クリップが装填された第3の手動クリップアプライヤの例示的な実施形態の側面図である。
【
図6B】
図6Aの例示的な手動クリップアプライヤの斜視図である。
【
図7A】
図4の外科用クリップが装填された第4の手動クリップアプライヤの例示的な実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面及び以下の詳細な説明では、同じ部分又は類似の部分を言及するために同じ又は類似の参照番号を使用する。
【0013】
ここで、全体を通して同様の参照番号が同様の部分を指す図面を参照しながら本発明を説明する。従来の慣例に従って、本明細書で用いる場合、本明細書で特に明記しない限り、用語「近位部」は、使用することが意図された時にデバイスを扱う又は操作する医療関係者により近いデバイス又はその構成要素の特定の部分を指し、用語「遠位部」は、近位部とは反対側のデバイス又はその構成要素の特定の部分を指すとする。用語「長手方向」は、近位部からそれぞれの遠位部まで構成要素の長さに沿って延びる寸法に関する。「横断」方向は、構成要素の長手方向長さに直交する何れかの軸又は方向に関する。従って、用語「長さ」は、長手方向に沿った構成要素の寸法を指す。用語「高さ」又は「垂直方向」は、クリップアプライヤ及び/又は外科用クリップの圧縮方向に沿った構成要素の寸法を指す。用語「厚さ」は、圧縮又は垂直方向に沿った構成要素の対向する縁部間の寸法を指す。用語「幅」は、長さ及び高さを実質的に横断する横方向での構成要素の寸法を指す。用語「凹状の」及び「凸状の」は、表面又は構成要素の外側を見た時に見える表面又は構成要素の湾曲を指す。書面の開示全体を通して、同様の用語を使用する。
【0014】
本発明は一般に、組織の結紮などの医療処置で使用可能な外科用クリップ及び/又はクリップアプライヤに関する。外科用クリップ及び/又はクリップアプライヤは、クリップアプライヤで適用される時に外科用クリップの相対的な動きを低減する、改良された保持機構を含むことができる。外科用クリップの脚部材は、チャネルによって分離された内側部(例えば、内側リブ)と外側部(例えば、外側リブ)とを含むことができる。外科用クリップの各脚部材は、外科用クリップとクリップアプライヤとの間の接触面積を増加させる凸状湾曲を備えた外面を有することができる。クリップアプライヤは、外側部の外面などの外科用クリップの外面を受け入れる、及び/又はこれと係合する1又は2以上の可撓性部材を有することができる。可撓性部材をクリップアプライヤの各顎部材に配置して、外科用クリップのそれぞれの脚部材と係合させることができる。可撓性部材は、外科用クリップの脚部材を受け入れるよう、及び/又はこれと係合するように付勢されるばねベースの金属(例えば、ばね鋼)とすることができる。クリップアプライヤが外科用クリップを組織に押し付ける時に、可撓性部材を圧縮することができる。可撓性部材はまた、クリップアプライヤが閉じて外科用クリップの完全な閉鎖を可能にする時に、第1及び第2の顎部材の長手方向チャネルに嵌まり込むように構成することができる。一部の実施形態では、外科用クリップの外側表面は、外科用クリップの横方向の動きを低減するために、可撓性部材の長手方向スロットに受け入れられるように構成された長手方向突起部を含むことができる。
【0015】
図1Aは、開放構成の外科用クリップ100の側面図を示し、
図1Bは、閉鎖構成の外科用クリップ100の側面図を示す。図示するように、外科用クリップ100は、近位部と遠位部とを有することができる。外科用クリップ100は、近位部及び遠位部を有する第1の脚部材102と、近位部及び遠位部を有する第2の脚部材104とを更に含むことができる。第1及び第2の脚部材102、104は、ヒンジ部材106によって近位部で一体的に接合することができる。
【0016】
第1及び第2の脚部材102、104は、湾曲部分を有する表面を含むことができる。例えば、第1の脚部材102は、第1の内面108と第1の外面110とを含むことができ、第2の脚部材104は、第2の内面112と第2の外面114とを含むことができる。
図1Aに示すように、第1の内面108は凹状湾曲を有することができ、第1の外面110は凸状湾曲を有することができる。第2の内面112は凸状湾曲を有することができ、第2の外面114は凸状湾曲を有することができる。第1の内面108の凹状湾曲及び/又は第1の外面110の凸状湾曲は、実質的に第1の脚部材102の全長にわたって延びることができる。第2の内面112の凸状湾曲及び/又は第2の外面114の凸状湾曲は、実質的に第2の脚部材104の全長にわたって延びることができる。内面108、112は、閉鎖構成において接近する又は接触することができる。第1の脚部材102はまた、対向する側面(
図1A~Bのページの内外に突出する)を含むことができ、第2の脚部材104は、対向する側面(
図1A~
図1のページの内外に突出する)を含むことができる。
【0017】
第2の脚部材104は、近位部120及び遠位部122で一体的に接合された内側部116(例えば、内側リブ)及び外側部118(例えば、外側リブ)を含むことができる。内側部116は、第2の内面112の少なくとも一部を形成し、凹状湾曲を有する外面を有することができ、外側部118は、第2の外面114の少なくとも一部を形成し、凹状湾曲を有することができる。内側部116及び/又は外側部118の湾曲は、それぞれの内側及び外側部116、118の近位端(例えば、近位部120)から遠位端(例えば、遠位部122)まで延びることができる。内側部116及び外側部118の内の少なくとも一方は、第1の脚部材102の厚さよりも小さい厚さを有することができる。内側部116及び/又は外側部118のより小さな厚さは、より大きな可撓性を提供して、種々の厚さの組織に対する第2の内面112の撓みを可能にすることができる。内側部116、外側部118、及び/又は第1の脚部材102は、実質的に同じ曲率半径を有することができる。外科用クリップ100は、第1及び第2の脚部材102、104の凸状外面110、114のため、長手方向軸に沿ってほぼ対称的な外側輪郭を有することができる。外科用クリップ100の全体的な対称性は、クリップアプライヤとの係合を容易にすることができる。
【0018】
内側部116及び外側部118は、第2の脚部材104の圧縮を可能にするために、第1の脚部材104の側面間に延びる少なくとも1つの横断アパーチャ又はチャネル124によって分離されるとすることができる。例えば、チャネル124は、内側部116を外側部118に向かって弾性的に押し付けることを可能にして組織の長さに沿って荷重を分配し、一方で外科用クリップ100内に組織をより効果的に把持して保持することができる。一部の実施形態では、内側部116、外側部118、及び/又はチャネル124は、第2の脚部材104の長さの4分の1を超えて延びることができる。一部の実施形態では、内側部116、外側部118、及び/又はチャネル124は、第2の脚部材104の長さの2分の1を超えて延びることができる。一部の実施形態では、内側部116、外側部118、及び/又はチャネル124は、実質的に第2の脚部材104の全長にわたって延びることができる。外側部118は、内側部116が閉鎖及び/又は係止中に屈曲して平らになる時に、可撓性を高めて内側部116の可撓性に関する拘束を低減するために、内側部116よりも小さい幅及び/又は厚さを有することができる。内側部116及び/又は外側部118は、製造を容易にするために、同じ材料で一体的に形成することができる(例えば、ポリマから射出成形される)。
【0019】
ヒンジ部材106は、弾性的に可撓性であり、第1及び第2の脚部材102、104と一体的に形成することができる。ヒンジ部材106は、凹状の内面と凸状の外面とを有することができる。ヒンジ部材106の凹状内面は、第1の脚部材102の内面108と第2の脚部材104の内面112とを接合することができる。ヒンジ部材106の凸状外面は、第1の脚部材102の第1の外面110と第2の脚部材104の第2の外面114とを接合することができる。ヒンジ部材106はまた、ヒンジ部材106の可撓性を高めるために、ヒンジ表面間に位置する湾曲スロットを含むことができる。
【0020】
外科用クリップ100はまた、1又は2以上の連動要素又は係止要素を有する係止機構を含むことができる。例えば、第1の脚部材102は、その遠位部でフック部材126に移行することができ、第2の脚部材104は、その遠位部で先端部材128に移行することができる。フック部材126の遠位部は、内方に湾曲し、ほぼヒンジ部材106の凹状内面の方に向いているとすることができる。フック部材126は、1又は2つ以上の横断傾斜面と、内面108と合わさって係止凹部を画定する凹状内面とを有することができる。先端部材128は、フック部材126が先端部材128の周りで撓む時に、傾斜面を受け入れるように構成されたスロットを画定するV字形とすることができる。フック部材126と先端部材128は、係合して係止機構を形成することができる。例えば、係止凹部は、外科用クリップ100を圧縮して血管又は他の組織の周りに固定する閉鎖構成(例えば、
図1B)にする過程で、先端部材128と係合することができる。
【0021】
脚部材102、104は、クリップアプライヤの顎部材と係合するために、長さに沿って1又は2以上のボス130~136を含むことができる。例えば、第1の脚部材102は、その遠位部に隣接してフック部材126のすぐ近位にある対向側面の各々に対して垂直に突出するボス130、132を含むことができる。外科用クリップ100の図示する例では、ボス130、132は円柱状であって、第1の脚部材102の側面を越えて外方に突出することができる。ボス130、132はまた、ブリッジ部分(431、
図4に示す)で互いに結合させることができる。第2の脚部材104も、その遠位部にボス134、136を含むことができる。ボス134、136は円柱状であり、第2の脚部材104の対向側面の各々に対して垂直に突出して、先端部材128の尖端の長手方向遠位に延びることができる。ボス134、136は、(例えば、
図4に示すように)先端部材128のV字形スロットで分離されるとすることができる。クリップアプライヤの顎部材は、ボス130~136と係合し、脚部材102、104をヒンジ部材106の周りに回転させて、外科用クリップ100を圧縮して血管の周りで閉鎖及び/又は係止構成にすることができる。
【0022】
外科用クリップ100は、第1の脚部材102の内面108に位置決めされた少なくとも1つの第1の歯状部140と、第2の脚部材104の内面112に位置決めされた少なくとも1つの第2の歯状部142とを含むことができる。例えば、外科用クリップ100は、第1の脚部材102の内面108に位置決めされた複数の第1の歯状部140と、第2の脚部材104の内面112に位置決めされた複数の第2の歯状部142とを含むことができる。
【0023】
図2A~Bは、外科用クリップ100が装填された手動クリップアプライヤ200を示す。図示のように、クリップアプライヤ200は、外科用クリップ100を組織の上へ閉鎖及び/又は係止するために、互いに回転可能に結合された第1の顎部材202及び第2の顎部材204を含むことができる。第1の顎部材202は、第1の脚部材102の外面110を受け入れるよう、及び/又はこれと係合するように構成することができ、第2の顎部材204は、第2の脚部材104の外面114を受け入れるよう、及び/又はこれと係合するように構成することができる。図示のように、第1の顎部材202は、第1の脚部材102の外面110を受け入れるよう、及び/又はこれと係合するように構成された第1の可撓性部材206を含むことができ、第2の顎部材204は、第2の脚部材104の外面114を受け入れるよう、及び/又はこれと係合するように構成された第2の可撓性部材208を含むことができる。
【0024】
可撓性部材206、208は、それぞれの第1及び第2の顎部材202、204の遠位部に据付け又は固定(例えば、溶接)された遠位部(例えば、
図5A~Cに示すように516)を有することができる。可撓性部材206、208の遠位部は、それぞれの顎部材202、204の内側部の長手方向チャネル210に受け入れることができる。可撓性部材206、208の近位部は、クリップアプライヤ200へ直接取り付けられずに離間していてもよい。可撓性部材206、208は、外科用クリップ100の脚部材102、104を受け入れるよう、及び/又はこれと係合するように付勢されるばねベースの金属(例えば、ばね鋼)とすることができる。可撓性部材206、208は、第1及び第2の顎部材202、204が開放構成にある時、弓形の形状を有することができる。可撓性部材206、208は、第1及び第2の顎部材202、204が外科用クリップ100を閉鎖する時に、撓むように、及び/又はまっすぐになるように構成することができる。例えば、第1及び第2の顎部材202、204が外科用クリップ100を閉鎖する時に、可撓性部材206、208は、外科用クリップ100の撓みと、第1及び第2の顎部材102、104の接近とに適応するために、それぞれの顎部材202、204に向かって半径方向外側に撓む、及び/又は長手方向にまっすぐになる(伸びる)ことができる。
【0025】
可撓性部材206、208は各々、第1及び第2の脚部材102、104を横方向に安定させるように構成された近位部に保持部材212、214を含むことができる。図示のように、保持部材212、214は各々、脚部材102、104を受け入れて外科用クリップ100の横方向の動きを防止又は低減するように構成された第1及び第2の対向側壁を含むことができる。保持部材212、214の各々は、それぞれの可撓性部材206、208と一体的に形成することができる。
図2Bに更に示すように、第1及び第2の顎部材202、204の各々の長手方向チャネル210は、可撓性部材206、208のより狭い遠位部を受け入れるように構成されたより狭い部分と、第1及び第2の顎部材202、204が接近及び/又は閉鎖する時に保持部材212、214の幅を受け入れるように構成されたより広い部分と、を有することができる。従って、可撓性部材206、208は、クリップアプライヤが外科用クリップ100を閉鎖する時に、第1及び第2の顎部材202、204に嵌まり込むように構成することができる。可撓性部材206、208は、外科用クリップ100の閉鎖及び/又はロックを通して外科用クリップ100と係合する及び/又はこれを受け入れることができる。
【0026】
クリップアプライヤ200はまた、第1及び第2の脚部材102、104の遠位部を固定するように構成された第1及び第2の顎部材202、204の各遠位部に特徴部を含むことができる。例えば、図示するように、第1及び第2の顎部材202、204の各々は、外科用クリップ100のボス130~136を受け入れるように構成された少なくとも1つの溝220を含むことができる。更に
図6B及び7Bに示すように、第1及び第2の顎部材202、204の各々は、チャネル210によって分離されてボス130~136を受け入れるように構成された第1及び第2の溝220を有することができる。
【0027】
図3は、外科用クリップ100の1又は2以上が装填された自動クリップアプライヤ300を示す。クリップアプライヤ300は、組織の周りで外科用クリップ100を閉鎖及び/又はロックするように構成された第1及び第2の顎部材302、304を含むことができる。
【0028】
更に図示するように、クリップアプライヤ300は、第1及び第2の顎部材302、304と連通するチャネル308を有する細長いシャフト306を含むことができる。クリップアプライヤ300は、供給部(例えば、カートリッジ)からチャネル308を通して第1及び第2の顎部材302、304の間の位置に外科手術クリップ100を前進させるように構成されたフィーダ310を更に含むことができる。外科用クリップ100のほぼ対称な外面110、114は、チャネル308内に良好な嵌合を提供して、外科用クリップ100を垂直方向に整列させることができる。第2の脚部材104の外側部118は、細長いシャフト306の内面に接触することによって外科用クリップ100の前進を促進し、外科用クリップ100を垂直方向に安定させることができる。外科用クリップ100の嵌合は、外科用クリップ100の垂直方向への相対的な動きを防止するように設計されるフィーダ310の遠位端において小指を不要にすることができる。外科用クリップ100の凸状外面は、第1及び第2の顎部材302、304が係合する表面積を更に増加させて、第1及び第2の顎部材302、304の閉鎖中に外科用クリップ100の長さに沿ってより均一な圧縮を提供することができる。
【0029】
クリップアプライヤ300はまた、第1及び第2の脚部材102、104の遠位部を固定するように構成された第1及び第2の顎部材302、304の各遠位部に特徴部を含むことができる。例えば、図示するように、第1及び第2の顎部材302、304の各々は、外科用クリップ100のボス130~136を受け入れるように構成された少なくとも1つの溝320を含むことができる。また、外科用クリップ100の外面110、114を第1及び第2の顎部材302、304の凹状内面311に受け入れて、チャネル308から溝320内へのボス130~136の供給を促進することができる。
【0030】
図4は、外科用クリップ400の背面斜視図を示す。外科用クリップ400は、外科用クリップ100(
図1A~B)と同様の特徴を有することができる。同様の参照番号は、外科用クリップ100の同様の部分を指すとすることができる。
【0031】
図示のように、外科用クリップ400は、近位部と遠位部とを有することができる。外科用クリップ400は、近位部及び遠位部を有する第1の脚部材402と、近位部及び遠位部を有する第2の脚部材404とを更に含むことができる。第1及び第2の脚部材402、404は、ヒンジ部材406によって近位部で一体的に接合することができる。
【0032】
第1及び第2の脚部材402、404は、湾曲部分を有する表面を含むことができる。例えば、第1の脚部材402は、第1の内面408と第1の外面410とを含むことができ、第2の脚部材404は、第2の内面412と第2の外面414とを含むことができる。第1の内面408は凹状湾曲を有することができ、第1の外面410は凸状湾曲を有することができる。第2の内面412は凸状湾曲を有することができ、第2の外面414は凸状湾曲を有することができる。第1の内面408の凹状湾曲及び/又は第1の外面410の凸状湾曲は、実質的に第1の脚部材402の全長にわたって延びることができる。第2の内面412の凸状湾曲及び/又は第2の外面414の凸状湾曲は、実質的に第2の脚部材404の全長にわたって延びることができる。内面408、412は、閉鎖構成で接近する又は接触することができる。また、第1の脚部材402は対向する側面を含むことができ、第2の脚部材404は対向する側面を含むことができる。
【0033】
第2の脚部材404は、近位部420及び遠位部422で一体的に接合された内側部416(例えば、内側リブ)と外側部418(例えば、外側リブ)とを含むことができる。内側部416は、第2の内面412の少なくとも一部と凹状湾曲を備えた外面とを形成することができ、外側部418は、第2の外面414の少なくとも一部を形成し、凹状湾曲を備えた内面を有することができる。内側部416及び/又は外側部418の湾曲は、近位端(例えば、近位部420)から遠位端(例えば、遠位部422)まで延びることができる。内側部416及び外側部418の少なくとも一方は、第1の脚部材402の厚さよりも小さい厚さを有することができる。内側部416及び/又は外側部418のより小さな厚さは、より大きな可撓性を提供して、第2の内側表面412の種々の厚さの組織への撓みを可能にすることができる。内側部416、外側部418、及び/又は第1の脚部材402は、実質的に同じ曲率半径を有することができる。外科用クリップ400は、第1及び第2の脚部材402、404の凸状外面410、414により、長手方向軸に沿ってほぼ対称的な外形を有することができる。外科用クリップ400の全体的な対称性は、クリップアプライヤとの係合を容易にすることができる。
【0034】
内側部416及び外側部418は、第2の脚部材404の圧縮を可能にするために、第2の脚部材404の側面間に延びる少なくとも1つの横断アパーチャ又はチャネル424によって分離されるとすることができる。例えば、チャネル424は、内側部416を外側部418に向かって弾性的に押し付けることを可能にして組織の長さに沿って荷重を分配し、一方で外科用クリップ400内に組織をより効果的に把持して保持することができる。一部の実施形態では、内側部416、外側部418、及び/又はチャネル424は、第2の脚部材404の長さの4分の1を超えて延びることができる。一部の実施形態では、内側部416、外側部418、及び/又はチャネル424は、第2の脚部材404の長さの2分の1を超えて延びることができる。一部の実施形態では、内側部416、外側部418、及び/又はチャネル424は、実質的に第1の脚部材402の全長にわたって延びることができる。外側部418は、内側部416が閉鎖及び/又は係止中に屈曲して平らになる時に、可撓性を高めて内側部416の可撓性に関する拘束を低減するために、内側部416よりも小さい幅及び/又は厚さを有することができる。内側部416及び/又は外側部418は、製造を容易にするために、同じ材料で一体的に形成することができる(例えば、ポリマから射出成形される)。
【0035】
第1の脚部材402の外面410は、長手方向突起部450を含むことができ、第2の脚部材404の外面414は、長手方向突起部452を含むことができる。長手方向突起部450、452は、クリップアプライヤと係合する及び/又はそれに受け入れられて、外科用クリップ400の横方向の動きを防止することができる。長手方向突起部450、452は、実質的にそれぞれの外面410、414の全長にわたって延びることができる。
【0036】
ヒンジ部材406は、弾性的に可撓性であり、第1及び第2の脚部材402、404と一体的に形成することができる。ヒンジ部材406は、凹状の内面と凸状の外面とを有することができる。ヒンジ部材406の凹状内面は、第1の脚部材402の内面408と第2の脚部材404の内面412とを接合することができる。ヒンジ部材406の凸状外面は、第1の脚部材402の第1の外面410と第2の脚部材404の第2の外面414とを接合することができる。ヒンジ部材406はまた、ヒンジ部材406の可撓性を高めるために、ヒンジ表面間に位置する湾曲スロットを含むことができる。
【0037】
外科用クリップ400はまた、1又は2以上の連動要素又は係止要素を有する係止機構を含むことができる。例えば、第1の脚部材402は、その遠位部でフック部材426に移行することができ、第2の脚部材404は、その遠位部で先端部材428に移行することができる。フック部材426の遠位部は、内方に湾曲し、ほぼヒンジ部材406の凹状内面の方に向いているとすることができる。フック部材426は、1又は2つ以上の横断傾斜面と、内面408と合わさって係止凹部を画定する凹状内面とを有することができる。先端部材428は、フック部材426が先端部材428の周りで撓む時に、傾斜面を受け入れるように構成されたスロットを画定するV字形とすることができる。フック部材426と先端部材428は、係合して係止機構を形成することができる。例えば、係止凹部は、外科用クリップ400を閉鎖構成に圧縮して血管又は他の組織の周りに固定する過程で先端部材428と係合することができる。
【0038】
脚部材402、404は、クリップアプライヤの顎部材と係合するために、長さに沿って1又は2以上のボス430~436を含むことができる。例えば、第1の脚部材402は、その遠位部に隣接してフック部材426のすぐ近位にある対向側面の各々に対して垂直に突出するボス430、432を含むことができる。外科用クリップ400の図示する例では、ボス430、432は円柱形であって、第1の脚部材402の第1の外面410を越えて外方に突出することができる。ボス430、432はまた、ブリッジ部分431で互いに結合させることができる。第2の脚部材404も、その遠位部にボス434、436を含むことができる。ボス434、436は円柱状であり、第2の脚部材404の対向側面の各々に対して垂直に突出して、先端部材428の尖端の長手方向遠位に延びることができる。ボス434、436は、先端部材328のV字形スロットで分離されるとすることができる。クリップアプライヤの顎部材は、ボス430~436と係合し、脚部材402、404をヒンジ部材406の周りに回転させて、外科用クリップ400を圧縮して血管の周りで閉鎖及び/又は係止構成にすることができる。
【0039】
外科用クリップ400は、第1の脚部材402の内面408に位置決めされた少なくとも1つの第1の歯状部440と、第2の脚部材404の内面412に位置決めされた少なくとも1つの第2の歯442とを含むことができる。例えば、外科用クリップ400は、第1の脚部材402の内面408に位置決めされた複数の第1の歯状部440と、第2の脚部材404の内面412に位置決めされた複数の第2の歯状部442とを含むことができる。
【0040】
図5A~C、6A~B、及び7A~Bは、外科用クリップ400を適用するように構成された手動クリップアプライヤ500、600、700(以下、500~700)の様々な実施形態を示す。(外科用クリップ400を用いて図示するが、クリップアプライヤ500~700は、付加的に又は代替的に、外科用クリップ100と共に使用できることを容易に理解すべきである。)図示のように、クリップアプライヤ500~700は、外科用クリップ400を組織の上へ閉鎖及び/又は係止するために、互いに回転可能に結合された第1の顎部材502~702及び第2の顎部材504~704を含むことができる。第1の顎部材502~702は、第1の脚部材402の外面410を受け入れるよう、及び/又はこれと係合するように構成することができ、第2の顎部材504~704は、第2の脚部材404の外面414を受け入れるよう、及び/又はこれと係合するように構成することができる。図示のように、第1の顎部材502~702は、第1の脚部材402の外面410を受け入れるよう、及び/又はこれと係合するように構成された第1の可撓性部材506~706を含むことができ、第2の顎部材504~704は、第2の脚部材404の外面414を受け入れるよう、及び/又はこれと係合するように構成された第2の可撓性部材508~708を含むことができる。
【0041】
可撓性部材506~706、508~708は、それぞれの第1及び第2の顎部材502~702、504~704の遠位部に据付け又は固定(例えば、溶接)された遠位部(例えば、
図5A~Cに示すように516)を有することができる。可撓性部材506~706、508~708の遠位部は、それぞれの顎部材502~702、504~704の内側部の長手方向チャネル510~710に受け入れることができる。一部の実施形態では、
図5A~Cに示すように、可撓性部材506、508は、自由近位部518を有することができる。近位部518は、クリップアプライヤ200への直接取付けがなく、離間しているとすることができる。近位部518は、長手方向チャネル510に受け入れられ、可撓性部材506、508が撓む及び/又はまっすぐになるに従って近位部518が並進する時の摩擦を低減するために、湾曲又はカールした先端を有することができる。一部の実施形態では、
図6A~Cに示すように、可撓性部材606、608の近位部は、接続部620にて接合又は溶接することができる。一部の実施形態では、
図7A~Bに示すように、可撓性部材706、708の近位部は、湾曲部722を備えて一体的に形成することができる。
【0042】
可撓性部材506~706、508~708は、外科用クリップ400の脚部材402、404を受け入れる及び/又はそれらと係合するように付勢されるばねベースの金属(例えば、ばね鋼)とすることができる。一部の実施形態では、可撓性部材506~706、508~708は、弓形の形状(例えば、
図5A~5C及び6A~6B)を有することができ、或いは第1及び第2の顎部材502~702、504~704が開放構成にある時にまっすぐとなる(例えば、
図7A~B)とすることができる。可撓性部材506~706、508~708は、第1及び第2の顎部材502~702、504~704が外科用クリップ400を閉鎖する時に、半径方向に撓む及び/又は長手方向にまっすぐになるように構成することができる。例えば、第1及び第2の顎部材502~702、504~704が外科用クリップ400を閉鎖する時に、可撓性部材506~706、508~708は、外科用クリップ400の撓みに適応するために、半径方向に撓む及び/又は長手方向にまっすぐになることができる。
【0043】
可撓性部材506~706、508~708は各々、第1及び第2の脚部材402、404を横方向に安定させるように構成された保持部材を含むことができる。図示のように、保持部材は各々、長手方向突起部450、452に係合する及び/又はそれらを受け入れて、外科用クリップ400の装填、送出し、及び/又は閉鎖の間外科用クリップ400の横方向の動きを防止又は低減するように構成された長手方向スロット又はチャネル515~715を含むことができる。更に図示するように、可撓性部材506~706、508~708は、外科用クリップ400の幅に有利に対応する、減少させた実質的に均一な幅を有することができる。可撓性部材506~706、508~708はまた、第1及び第2の顎部材502~702、504~704が外科用クリップの上へ閉鎖する時に、長手方向チャネル510~710に受け入れられるとすることができる。可撓性部材506~706、508~708は、クリップアプライヤ200が外科用クリップ100を閉鎖する時に、第1及び第2の顎部材202、204に嵌まり込むように構成することができる。従って、可撓性部材506~706、508~708は、外科用クリップ400の閉鎖及び/又はロックを通して外科用クリップ400と係合する及び/又はこれを受け入れることができる。長手方向チャネル515~715は、クリップアプライヤ500~700が外科用クリップ400を閉鎖及び/又はロックする時に、長手方向突起部450、452を解放するように構成することができ、可撓性部材506~706、508~708の付勢により、クリップアプライヤ500~700が再び開かれる時に、外科用クリップ400は顎部材502~702、504~704から離れるように促されるとすることができる。
【0044】
クリップアプライヤ500~700はまた、第1及び第2の脚部材402、404の遠位部を固定するように構成された第1及び第2の顎部材502~702、504~704の各遠位部に特徴部を含むことができる。例えば、図示するように、第1及び第2の顎部材502~702、504~704の各々は、外科用クリップ400のボス430~436を受け入れるように構成された少なくとも1つの溝520~720を含むことができる。更に
図6B及び7Bに示すように、第1及び第2の顎部材502~702、504~704の各々は、チャネル510~710によって分離されてボス430~436を受け入れるように構成された第1及び第2の溝520~720を有することができる。
【0045】
本発明の外科用クリップ100、400の様々な実施形態は、何れかの適切なサイズで製造することができ、血管、リンパ節、神経、卵管、又は心臓組織など、何れの数の組織にも適用することができる。外科用クリップ100、400の様々な実施形態は、金属及びポリマなど、何れかの適切な生体適合性材料から構成することができる。しかしながら、本発明は、ポリマクリップでの実行に特に適している。従って、外科用クリップ100、400の様々な実施形態は、外科用インプラントに一般に使用されるタイプなど、適切な強度の生体適合性エンジニアリングプラスチックから形成された一体型のポリマ本体から成ることが好ましい。例示的な材料には、ホモポリマ又はコポリマポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン、或いは、射出成形、押出し成形、又は別な方法で加工して同様の物品にできる同様の特性を有する他の熱可塑性材料が含まれる。
【0046】
本発明の多くの特徴及び利点は詳細な明細書から明らかである。更に、数多くの変更形態及び変形形態が当業者には容易に見出されることになるので、本発明を図示し説明した正確な構造及び動作に限定することは望ましくなく、従って、全ての適切な変更形態及び等価物に対処可能であり、それらは本発明の範囲に入る。
【符号の説明】
【0047】
100 外科用クリップ
102 第1の脚部材
104 第2の脚部材
106 ヒンジ部材
108 第1の内面
110 第1の外面
112 第2の内面
114 第2の外面
116 内側部
118 外側部
120 近位部
122 遠位部
124 横断アパーチャ又はチャネル
126 フック部材
128 先端部材
130 ボス
134 ボス
140 歯状部
142 歯状部