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特許7416629免疫応答を増強するための物質および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】免疫応答を増強するための物質および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20240110BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240110BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240110BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240110BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20240110BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20240110BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20240110BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240110BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240110BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240110BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240110BHJP
   C07K 14/74 20060101ALN20240110BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20240110BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20240110BHJP
   A61P 35/02 20060101ALN20240110BHJP
【FI】
C12N5/10
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/86 Z
C12N15/861 Z
C12N15/867 Z
C12N7/01
C12M1/00 A
A61K48/00
A61K35/76
A61P35/00
C07K14/74
C07K19/00
A61K39/395 T
A61P35/02
【請求項の数】 50
(21)【出願番号】P 2019569301
(86)(22)【出願日】2018-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 US2018037874
(87)【国際公開番号】W WO2018232318
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】62/521,011
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/618,399
(32)【優先日】2018-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501083115
【氏名又は名称】メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピース,ラリー アール.
【審査官】小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/031380(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0250161(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0226664(US,A1)
【文献】国際公開第2017/015427(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/075389(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/034615(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0141537(US,A1)
【文献】J. Immunol.,2001年,Vol.166,pp.5430-5438
【文献】Molecular Therapy,2016年,Vol.24, Suppl.1, No.506,p.S201
【文献】PNAS,2001年,Vol.98, No.8,pp.3199-3203
【文献】Immunological Reviews,1997年,Vol.156, No.1,pp.67-78
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 1/00- 7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Google/Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物においてナイーブT細胞を操作するための第1の方法において使用するための第1組成物、および
該操作されたナイーブT細胞を該哺乳動物において活性化するための第2の方法において使用するための第2組成物
を含む組合せ組成物であって、
該第1組成物は、抗原受容体をコードする核酸を含むウイルスを含み、
該第2組成物は、同種主要組織適合性複合体クラスI抗原をコードする核酸を含むウイルスを含み、
該第1の方法は、該第1組成物を該哺乳動物に投与して、該抗原受容体を発現するように該ナイーブT細胞をインサイチュ操作し、それにより、操作されたナイーブT細胞を生成することを含み、かつ
該第2の方法は、該第2組成物を該哺乳動物に投与して、該操作されたナイーブT細胞を該哺乳動物において活性化すること
を含む、組合せ組成物。
【請求項2】
該哺乳動物がヒトである、請求項1記載の組合せ組成物。
【請求項3】
該ナイーブT細胞がナイーブ細胞傷害性Tリンパ球である、請求項1または2記載の組合せ組成物。
【請求項4】
該抗原受容体がキメラ抗原受容体である、請求項1~3のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項5】
該抗原受容体が腫瘍特異的抗原受容体である、請求項1~4のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項6】
該第1の方法における該投与が皮内注射を含む、請求項1~5のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項7】
該皮内注射を該哺乳動物のリンパ節内に直接的に行う、請求項6記載の組合せ組成物。
【請求項8】
該第1組成物の該ウイルスがアデノウイルスベクターである、請求項1~7のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項9】
該第2組成物の該ウイルスがアデノウイルスベクターである、請求項1~8のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項10】
該第2の方法における該投与が皮内注射を含む、請求項1~9のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項11】
該皮内注射を該哺乳動物のリンパ節内に直接的に行う、請求項10記載の組合せ組成物。
【請求項12】
癌を有する哺乳動物の治療方法において使用するための組合せ組成物であって、該組合せ組成物は第1組成物および第2組成物を含み、
該第1組成物は、腫瘍特異的抗原受容体をコードする核酸を含むウイルスを含み、
該第2組成物は、同種主要組織適合性複合体クラスI抗原をコードする核酸を含むウイルスを含み、
該方法は、
(a)該第1組成物を該哺乳動物に投与して、該腫瘍特異的抗原受容体を発現するようにイーブT細胞のインサイチュ操作をし、それにより、操作されたナイーブT細胞を生成すること、および
(b)該第2組成物を該哺乳動物に投与して、該操作されたナイーブT細胞をインビボで活性化すること
を含む、組合せ組成物。
【請求項13】
該哺乳動物がヒトである、請求項12記載の組合せ組成物。
【請求項14】
該癌が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMOL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、卵巣癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌からなる群から選択される、請求項12または13記載の組合せ組成物。
【請求項15】
該癌が、腫瘍特異的抗原を発現する癌細胞を含む、請求項12~14のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項16】
該ナイーブT細胞が、該腫瘍特異的抗原を標的化する腫瘍特異的抗原受容体を発現するように操作されている、請求項15記載の組合せ組成物。
【請求項17】
該腫瘍特異的抗原が、ムチン1(MUC-1)、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER-2)およびエストロゲン受容体(ER)からなる群から選択される、請求項16記載の組合せ組成物。
【請求項18】
ステップ(a)における該投与が皮内注射を含む、請求項12~17のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項19】
該皮内注射を該哺乳動物のリンパ節内に直接的に行う、請求項18記載の組合せ組成物。
【請求項20】
該第1組成物の該ウイルスがレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである、請求項12~19のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項21】
該第2組成物の該ウイルスがアデノウイルスベクターである、請求項12~20のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項22】
ステップ(b)における該投与が皮内注射を含む、請求項12~21のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項23】
該皮内注射を該哺乳動物のリンパ節内に直接的に行う、請求項22記載の組合せ組成物。
【請求項24】
該癌が固形腫瘍を含む、請求項12~23のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項25】
該癌が寛解状態である、請求項12~24のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項26】
該癌が静止期癌細胞を含む、請求項12~25のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項27】
該癌が、化学療法を逃れた癌細胞または化学療法に非応答性である癌細胞を含む、請求項12~26のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項28】
哺乳動物内で活性化T細胞を得るための方法において使用するための組合せ組成物であって、該組合せ組成物は第1組成物および第2組成物を含み、
該活性化T細胞が異種抗原受容体を含み、
該第1の組成物は、該異種抗原受容体をコードする核酸を含み、
該第2の組成物は、同種MHCクラスIポリペプチドをコードする核酸を含むウイルスを含み、
ここで該方法が、
該第1組成物および該第2組成物を、哺乳動物に投与することを含み、
該第1組成物の該核酸が該哺乳動物内のT細胞内に導入されて該異種抗原受容体を含むインサイチュ操作されたT細胞が生成され、
該第2組成物の投与が該哺乳動物内のT細胞を活性化し、
該哺乳動物内の少なくとも1つのT細胞が該異種抗原受容体を含み、かつ活性化される、
組合せ組成物。
【請求項29】
該哺乳動物がヒトである、請求項28記載の組合せ組成物。
【請求項30】
前記の少なくとも1つのT細胞が細胞傷害性Tリンパ球である、請求項28または29記載の組合せ組成物。
【請求項31】
該抗原受容体がキメラ抗原受容体である、請求項28~30のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項32】
該抗原受容体が腫瘍特異的抗原受容体である、請求項28~31のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項33】
該異種抗原受容体をコードする該核酸を、該核酸を含むウイルスベクターを使用して該T細胞内に導入する、請求項28~32のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項34】
該ウイルスベクターがレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである、請求項33記載の組合せ組成物。
【請求項35】
該第1組成物を静脈内注射により該哺乳動物に投与する、請求項28~34のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項36】
該第1組成物を該哺乳動物のリンパ節内への注射により該哺乳動物に投与する、請求項28~34のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項37】
該第2組成物の該ウイルスがアデノウイルスまたはラブドウイルスである、請求項28~36のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項38】
該第2組成物を皮内注射により該哺乳動物に投与する、請求項28~37のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項39】
該第2組成物を該哺乳動物のリンパ節内への直接投与により該哺乳動物に投与する、請求項28~37のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項40】
該第2組成物を該哺乳動物に投与する前に、該第1組成物を該哺乳動物に投与する、請求項28~39のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項41】
該異種抗原受容体をコードする核酸を、該核酸を含むレンチウイルスベクターを使用して該T細胞内に導入する、請求項40記載の組合せ組成物。
【請求項42】
該第2組成物を該哺乳動物に投与した後、該第1組成物を該哺乳動物に投与する、請求項28~39のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項43】
該第1組成物に含まれる該異種抗原受容体をコードする該核酸を、該核酸を含むレトロウイルスベクターを使用して該T細胞内に導入する、請求項42記載の組合せ組成物。
【請求項44】
該MHCクラスIポリペプチドがHLA-A、HLA-BまたはHLA-Cポリペプチドである、請求項28~43のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項45】
前記の少なくとも1つのT細胞が天然T細胞受容体を含む、請求項28~44のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項46】
前記の少なくとも1つのT細胞が、該異種抗原受容体を含む複数の活性化T細胞である、請求項28~45のいずれか1項記載の組合せ組成物。
【請求項47】
前記の複数の活性化T細胞のそれぞれの活性化T細胞が、異なる天然T細胞受容体を含む、請求項46記載の組合せ組成物。
【請求項48】
哺乳動物においてナイーブT細胞を操作するための第1の方法において使用するための第1組成物であって、
該操作されたナイーブT細胞を該哺乳動物において活性化するための第2の方法において使用するための第2組成物
と組み合せて使用するためのものであり、
該第1組成物は、抗原受容体をコードする核酸を含むウイルスを含み、
該第2組成物は、同種主要組織適合性複合体クラスI抗原をコードする核酸を含むウイルスを含み、
該第1の方法は、該第1組成物を該哺乳動物に投与して、該抗原受容体を発現するように該ナイーブT細胞をインサイチュ操作し、それにより、操作されたナイーブT細胞を生成することを含み、かつ
該第2の方法は、該第2組成物を該哺乳動物に投与して、該操作されたナイーブT細胞を該哺乳動物において活性化すること
を含む、組成物。
【請求項49】
癌を有する哺乳動物の治療方法において使用するための第1組成物であって、第2組成物と組み合せて使用するためのものであり、
該第1組成物は、腫瘍特異的抗原受容体をコードする核酸を含むウイルスを含み、
該第2組成物は、同種主要組織適合性複合体クラスI抗原をコードする核酸を含むウイルスを含み、
該方法は、
(a)該第1組成物を該哺乳動物に投与して、該腫瘍特異的抗原受容体を発現するようにイーブT細胞のインサイチュ操作をし、それにより、操作されたナイーブT細胞を生成すること、および
(b)該第2組成物を該哺乳動物に投与して、該操作されたナイーブT細胞をインビボで活性化すること
を含む、組成物。
【請求項50】
哺乳動物内で活性化T細胞を得るための方法において使用するための第1組成物であって、第2組成物と組み合せて使用するためのものであり、
該活性化T細胞が異種抗原受容体を含み、
該第1の組成物は、該異種抗原受容体をコードする核酸を含み、
該第2の組成物は、同種MHCクラスIポリペプチドをコードする核酸を含むウイルスを含み、
ここで該方法が、
該第1組成物および該第2組成物を、哺乳動物に投与することを含み、
該第1組成物の該核酸が該哺乳動物内のT細胞内に導入されて該異種抗原受容体を含むインサイチュ操作されたT細胞が生成され、
該第2組成物の投与が該哺乳動物内のT細胞を活性化し、
該哺乳動物内の少なくとも1つのT細胞が該異種抗原受容体を含み、かつ活性化される、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は2018年1月17日付け出願の米国特許出願第62/618,399号および2017年6月16日付け出願の米国特許出願第62/521,011号に基づく優先権を主張するものである。該先行出願の開示は本出願の開示の一部とみなされ、それらの全体を本出願に組み入れることとする。
【0002】
1.技術分野
本明細書は、ナイーブT細胞をインビボで活性化するための物質および方法に関する。例えば、ナイーブT細胞のインビボ活性化は、腫瘍抗原(例えば、腫瘍特異的抗原)を発現する細胞(例えば、癌細胞)を標的化するために用いることができる。
【背景技術】
【0003】
2.背景情報
世界中で毎日約22,000人が癌で死亡している。CD8+ T細胞により浸潤された癌は、これらの免疫細胞を欠く癌より良好な予後を有する傾向にある。しかし、有効な抗腫瘍細胞性免疫は、腫瘍関連抗原に特異的な低アフィニティ受容体から主に構成される利用可能なT細胞受容体(TcR)レパートリーによって制限される。
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書は、ナイーブT細胞(例えば、腫瘍抗原受容体を発現するナイーブT細胞)をインビボで活性化するための物質および方法を提供する。例えば、腫瘍特異的抗原受容体を発現するナイーブT細胞は、リンパ節において抗原(例えば、被膜下洞マクロファージおよび/または樹状細胞などの抗原提示細胞(APC)上で提示された抗原)に遭遇することにより、インビボで活性化されうる(例えば、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)になる)。インビボ活性化T細胞は、腫瘍特異的抗原受容体により認識される抗原(例えば、腫瘍抗原)を提示する細胞(例えば、癌細胞)を標的化できる。幾つかの場合には、インビボ活性化T細胞はインビボで増殖可能である。また、本発明は、本明細書に記載されているナイーブT細胞のインビボ活性化を使用するための方法(例えば、腫瘍特異的抗原受容体を発現するナイーブT細胞のインビボ活性化による方法)も提供する。例えば、本明細書に記載されているナイーブT細胞のインビボ活性化は、癌を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を治療するために使用できる。
【0005】
本明細書において実証されているとおり、養子移入されたナイーブCD8+ T細胞はリンパ節に移動し、そこで、該細胞は、ナイーブCD8+ T細胞をインビボで活性化できる同種主要組織適合性複合体クラスI(MHC I)抗原をコードするウイルス(例えば、アデノウイルス)に遭遇しうる。抗原受容体(例えば、腫瘍特異的抗原受容体)を発現するナイーブT細胞をインビボで活性化する能力を有することは、抗原受容体により認識されうる腫瘍抗原(例えば、腫瘍特異的抗原)を発現する細胞(例えば、癌細胞)を標的化可能な(例えば、該細胞を探し当て、それを破壊しうる)CTLを生成する特有かつ未だ実現されていない機会をもたらす。例えば、腫瘍特異的抗原受容体を発現するナイーブT細胞をインビボで活性化する能力は、それがなければ免疫系により検出不可能な固形腫瘍内の癌細胞を含む癌細胞(例えば、静止期癌細胞を含む癌および/または化学療法を逃れた癌)を標的化する機会をもたらす。また、本明細書に記載されている物質および方法は、「既製」試薬に、より有用なものでありうる。したがって、腫瘍特異的免疫応答の形態での個別化療法を、コストを抑制しつつ、迅速かつ効率的に広範な患者集団に適用できる。
【0006】
同様に本明細書に記載されているとおり、哺乳動物内でナイーブT細胞を活性化するためにMHC Iポリペプチド(例えば、同種MHC Iポリペプチド)を発現するように設計されたウイルス(例えば、アデノウイルス)を使用することは、哺乳動物内で多数の異なるナイーブT細胞の活性化をもたらし、それにより、哺乳動物においてポリクローナルT細胞応答を生成できる。幾つかの場合には、MHC Iポリペプチド(例えば、同種MHC Iポリペプチド)を発現するように設計されたウイルス(例えば、アデノウイルス)を使用して、哺乳動物内のナイーブT細胞の1、2.5、5、10、15または20%超を活性化することが可能であり、あるいは該ウイルスを使用して、哺乳動物のリンパ節内のナイーブT細胞の1、2.5、5、10、15または20%超を活性化することが可能である。また、MHC Iポリペプチド(例えば、同種MHC Iポリペプチド)を発現するように設計されたウイルス(例えば、アデノウイルス)を使用してインビボで活性化されたCD8+ T細胞は、それらの活性化CD8+ T細胞により認識される標的細胞の強力な殺傷因子でありうる。標的細胞殺傷のこのレベルは、インビトロで活性化された同等のCD8+ T細胞で観察されるものより大きいレベルであり得る。
【0007】
本明細書に更に記載されているとおり、本明細書に記載されているMHC Iポリペプチド(例えば、同種MHC Iポリペプチド)を発現するように設計されたウイルス(例えば、アデノウイルス)を使用して活性化されるナイーブT細胞は、活性化される前に(あるいは、インビボアプローチの場合には、その後またはそれと同時に)、所望の標的に対する抗原受容体を発現するように操作(例えば、インビボまたはインビトロで操作)されうる。例えば、ナイーブT細胞をインビボで操作する場合、MHC Iポリペプチド(例えば、同種MHC Iポリペプチド)を発現するように設計されたウイルス(例えば、アデノウイルス)を哺乳動物に投与する前に、またはMHC Iポリペプチド(例えば、同種MHC Iポリペプチド)を発現するように設計されたウイルス(例えば、アデノウイルス)を哺乳動物に投与した後に、またはMHC Iポリペプチド(例えば、同種MHC Iポリペプチド)を発現するように設計されたウイルス(例えば、アデノウイルス)を哺乳動物に投与するのと同時に、抗原受容体(例えば、キメラ抗原受容体、例えば、腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体)をコードするベクター(例えば、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター)を哺乳動物(例えば、ヒト)に投与することが可能である。幾つかの場合には、ナイーブT細胞をインビボで操作する場合には、MHC Iポリペプチド(例えば、同種MHC Iポリペプチド)を発現するように設計されたウイルス(例えば、アデノウイルス)の哺乳動物への投与の前および後に、抗原受容体(例えば、キメラ抗原受容体、例えば、腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体)をコードするベクター(例えば、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター)を哺乳動物(例えば、ヒト)に投与することが可能である。幾つかの場合には、ナイーブT細胞をインビボで操作する場合には、MHC Iポリペプチド(例えば、同種MHC Iポリペプチド)を発現するように設計されたウイルス(例えば、アデノウイルス)の哺乳動物への投与の前、後およびそれと同時に、抗原受容体(例えば、キメラ抗原受容体、例えば、腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体)をコードするベクター(例えば、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター)を哺乳動物(例えば、ヒト)に投与することが可能である。
【0008】
ナイーブT細胞をインビトロで操作する場合には、抗原受容体(例えば、キメラ抗原受容体、例えば、腫瘍抗原に特異的なキメラ抗原受容体)をコードするベクター(例えば、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター)を、哺乳動物(例えば、ヒト)から得られたナイーブT細胞内にインビトロで導入し、それをその哺乳動物に再び導入した後、MHC Iポリペプチド(例えば、同種MHC Iポリペプチド)を発現するように設計されたウイルス(例えば、アデノウイルス)をその哺乳動物に投与することが可能である。幾つかの場合には、インビトロナイーブT細胞は、該細胞内へのベクターの導入の前、後または前および後の両方において、細胞を刺激するように設計された1以上の物質(例えば、抗CD3物質、抗CD38物質、インターロイキン(IL)2、IL15またはそれらの組合せ)で処理されうる。
【0009】
本明細書に記載されている方法および物質を特にヒトまたはヒト細胞に適用する場合、本明細書に記載されているMHC IポリペプチドはHLAポリペプチド(例えば、HLA-A、HLA-Bおよび/またはHLA-Cポリペプチド)またはヒトMHC Iポリペプチドと称されうる。
【0010】
一般に、本明細書の1つの態様は、哺乳動物においてナイーブT細胞を活性化するための方法に関する。該方法は、抗原受容体を発現するようにナイーブT細胞を操作し、それにより、操作されたナイーブT細胞を生成すること、および操作されたナイーブT細胞を哺乳動物において活性化することを含むか、または本質的にそれからなる。哺乳動物はヒトでありうる。ナイーブT細胞はナイーブ細胞傷害性Tリンパ球でありうる。抗原受容体はキメラ抗原受容体でありうる。抗原受容体は腫瘍特異的受容体または抗原受容体でありうる。幾つかの場合には、操作はエクスビボ(ex vivo)操作を含みうる。エクスビボ操作は、哺乳動物からナイーブT細胞を得ること、抗原受容体をコードする核酸をナイーブT細胞内に導入して、操作されたナイーブT細胞を作製すること、および操作されたナイーブT細胞を哺乳動物に投与することを含む。該導入は、抗原受容体をコードするウイルスベクターでナイーブT細胞を形質導入することを含みうる。ウイルスベクターはレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターでありうる。投与は静脈内注射を含みうる。幾つかの場合には、操作はインサイチュ(in situ)操作を含みうる。インサイチュ操作は、抗原受容体をコードするウイルスベクターを哺乳動物に投与することを含む。投与は皮内注射を含みうる。皮内注射はリンパ節内に直接的に行われうる。ウイルスベクターはアデノウイルスベクターでありうる。操作されたナイーブT細胞をインビボで活性化することは、抗原をコードするウイルスベクターを哺乳動物に投与することを含みうる。抗原はアロ抗原でありうる。アロ抗原は同種主要組織適合性複合体クラスI抗原でありうる。ウイルスベクターはアデノウイルスベクターでありうる。投与は皮内注射を含みうる。皮内注射はリンパ節内に直接的に行われうる。
【0011】
別の態様においては、本明細書は、癌を有する哺乳動物の治療方法に関する。該方法は、腫瘍特異的抗原受容体を発現するようにナイーブT細胞を操作し、それにより、操作されたナイーブT細胞を生成すること、および操作されたナイーブT細胞をインビボで活性化することを含むか、または本質的にそれからなる。哺乳動物はヒトでありうる。癌は急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMOL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、卵巣癌、乳癌、前立腺癌または結腸癌でありうる。癌は、腫瘍特異的抗原を発現する癌細胞を含みうる。ナイーブT細胞は、腫瘍特異的抗原を標的化する腫瘍特異的抗原受容体を発現するように操作されうる。腫瘍特異的抗原はムチン1(MUC-1)、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER-2)またはエストロゲン受容体(ER)でありうる。幾つかの場合には、操作はエクスビボ操作を含みうる。エクスビボ操作は、哺乳動物からナイーブT細胞を得ること、抗原受容体をコードする核酸をナイーブT細胞内に導入して、操作されたナイーブT細胞を作製すること、および操作されたナイーブT細胞を哺乳動物に投与することを含む。該導入は、抗原受容体をコードするウイルスベクターでナイーブT細胞を形質導入することを含みうる。ウイルスベクターはレンチウイルスベクターでありうる。投与は静脈内注射を含みうる。投与は、約200~約1500個の操作されたナイーブT細胞(例えば、約300個の操作されたナイーブT細胞)を哺乳動物に投与することを含みうる。幾つかの場合には、操作はインサイチュ(in situ)操作を含みうる。インサイチュ操作は、抗原受容体をコードするウイルスベクターを哺乳動物に投与することを含む。投与は皮内注射を含みうる。皮内注射はリンパ節内に直接的に行われうる。ウイルスベクターはアデノウイルスベクターでありうる。操作されたナイーブT細胞をインビボで活性化することは、抗原をコードするウイルスベクターを哺乳動物に投与することを含みうる。抗原はアロ抗原でありうる。アロ抗原は同種主要組織適合性複合体クラスI抗原でありうる。ウイルスベクターはアデノウイルスベクターでありうる。投与は皮内注射を含みうる。皮内注射はリンパ節内に直接的に行われうる。癌は固形腫瘍を含みうる。癌は寛解状態でありうる。癌は静止期癌細胞を含みうる。癌は、化学療法を逃れた癌細胞または化学療法に非応答性である癌細胞を含みうる。
【0012】
別の態様においては、本明細書は、哺乳動物内で活性化T細胞を得るための方法に関するものであり、ここで、活性化T細胞は異種抗原受容体を含む。該方法は、(a)哺乳動物から得られたT細胞内に、異種抗原受容体をコードする核酸をインビトロで導入して、操作されたT細胞を得ること、(b)操作されたT細胞を該哺乳動物に投与すること、および(c)MHCクラスIポリペプチドをコードする核酸を含むウイルスを該哺乳動物に投与し、ここで、工程(b)において哺乳動物に投与された前記の操作されたT細胞のうちの操作されたT細胞が活性化されることを含むか、または本質的にそれからなる。哺乳動物はヒトでありうる。哺乳動物から得られたT細胞はナイーブT細胞でありうる。ナイーブT細胞はナイーブ細胞傷害性Tリンパ球でありうる。抗原受容体はキメラ抗原受容体でありうる。抗原受容体は腫瘍特異的抗原受容体でありうる。異種抗原受容体をコードする核酸は、該核酸を含むウイルスベクターを使用してT細胞内に導入されうる。ウイルスベクターはレンチウイルスベクターでありうる。操作されたT細胞は静脈内注射により哺乳動物に投与されうる。操作されたT細胞は哺乳動物のリンパ節内への注射により哺乳動物に投与されうる。ウイルスはアデノウイルスまたはラブドウイルスでありうる。ウイルスは皮内注射により哺乳動物に投与されうる。ウイルスは哺乳動物のリンパ節内への直接投与により哺乳動物に投与されうる。MHCクラスIポリペプチドは同種MHCクラスIポリペプチドでありうる。MHCクラスIポリペプチドはHLA-A、HLA-BまたはHLA-Cポリペプチドでありうる。工程(c)で哺乳動物内で活性化された操作されたT細胞は天然T細胞受容体を含みうる。工程(c)は哺乳動物内で複数の操作されたT細胞を活性化しうる。複数の操作されたT細胞の活性化T細胞は、異なる天然T細胞受容体を含みうる。
【0013】
別の態様においては、本明細書は、哺乳動物内で活性化T細胞を得るための方法に関するものであり、ここで、活性化T細胞は異種抗原受容体を含む。該方法は、(a)異種抗原受容体をコードする核酸と、(b)MHCクラスIポリペプチドをコードする核酸を含むウイルスとを、哺乳動物に投与することを含むか、または本質的にそれからなり、ここで、該核酸が該哺乳動物内のT細胞内に導入されて、異種抗原受容体を含む操作されたT細胞が生成され、ここで、該ウイルスの投与は該哺乳動物内でT細胞を活性化し、該哺乳動物内の少なくとも1つのT細胞は異種抗原受容体を含み、活性化される。哺乳動物はヒトでありうる。前記の少なくとも1つのT細胞は細胞傷害性Tリンパ球でありうる。抗原受容体はキメラ抗原受容体でありうる。抗原受容体は腫瘍特異的抗原受容体でありうる。異種抗原受容体をコードする核酸は、該核酸を含むウイルスベクターを使用してT細胞内に導入されうる。ウイルスベクターはレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターでありうる。核酸は静脈内注射により哺乳動物に投与されうる。核酸は該哺乳動物のリンパ節内への注射により哺乳動物に投与されうる。ウイルスはアデノウイルスまたはラブドウイルスでありうる。ウイルスは皮内注射により哺乳動物に投与されうる。ウイルスは哺乳動物のリンパ節内への直接投与により哺乳動物に投与されうる。ウイルスを哺乳動物に投与する前に、核酸を哺乳動物に投与してもよい。異種抗原受容体をコードする核酸は、該核酸を含むレンチウイルスベクターを使用してT細胞内に導入されうる。ウイルスを哺乳動物に投与した後、核酸を哺乳動物に投与してもよい。異種抗原受容体をコードする核酸は、該核酸を含むレトロウイルスベクターを使用してT細胞内に導入されうる。MHCクラスIポリペプチドは同種MHCクラスIポリペプチドでありうる。MHCクラスIポリペプチドはHLA-A、HLA-BまたはHLA-Cポリペプチドでありうる。前記の少なくとも1つのT細胞は天然T細胞受容体を含みうる。前記の少なくとも1つのT細胞は、異種抗原受容体を含む複数の活性化T細胞でありうる。複数の活性化T細胞のうちの活性化T細胞は、異なる天然T細胞受容体を含みうる。
【0014】
別の態様においては、本明細書は、MHCクラスIポリペプチドをコードする核酸を含む単離されたウイルスに関する。ウイルスはピコルナウイルス、アデノウイルスまたはラブドウイルス(例えば、水疱性口内炎ウイルス)でありうる。ウイルスは複製欠損型でありうる。MHCクラスIポリペプチドはヒトMHCクラスIポリペプチドでありうる。MHCクラスIポリペプチドは、配列番号4に記載されたアミノ酸配列を含みうる。
【0015】
別の態様においては、本明細書は、抗原受容体をコードする核酸を含む第1ウイルスを含む第1容器と、MHCクラスIポリペプチドをコードする核酸を含む第2ウイルスを含む第2容器とを有するキットに関する。第1ウイルスはレンチウイルスまたはレトロウイルスでありうる。抗原受容体はキメラ抗原受容体でありうる。第2ウイルスはピコルナウイルス、アデノウイルスまたはラブドウイルス(例えば、水疱性口内炎ウイルス)でありうる。第2ウイルスは複製欠損型でありうる。MHCクラスIポリペプチドはヒトMHCクラスIポリペプチドでありうる。MHCクラスIポリペプチドは、配列番号4に記載されたアミノ酸配列を含みうる。
【0016】
特に示されていない限り、本明細書中で用いる全ての科学技術用語は、本発明に関連する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および物質(材料)を使用して本発明を実施することが可能であるが、以下には適切な方法および物質を記載する。本書中に挙げられている全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献の全体を、参照により本明細書に組み入れることとする。矛盾する場合には、定義を含め、本明細書が優先される。また、該物質、方法および実施例は単なる例示に過ぎず、限定的なものではない。
【0017】
本発明の1以上の実施形態の詳細は添付図面および以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的および利点は該説明および図面ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、代理(surrogate)抗原受容体を発現するナイーブT細胞のインビボ活性化の例示的スキームを示す。(1)単離されたCD8+ T細胞を、代理受容体をコードするレンチウイルスまたはレトロウイルスで形質導入し、それを宿主の静脈内に養子移入して戻し(下)、あるいはT細胞を流入領域リンパ節内にインサイチュで形質導入する(上)。(2)皮内に導入されたアデノウイルスにより同種MHC I(アロ-MHC I)が発現される。(3)形質導入されたT細胞はリンパ節に移動し、アロ-MHC Iを発現するAPCに遭遇する。(4)同種反応性CTLが活性化され、そして(5)リンパ節を離れ、代理受容体により標的化される抗原を発現する細胞を破壊する。
図2図2Aおよび2Bは、正常組織がウイルス活性化組織特異的CTLにより標的化され、破壊されたことを示す。1200個のOT-1 T細胞をRIP-OVAマウスに養子移入し、次いでTMEV-OVAで活性化した。図2Aは、ウイルスによるCTL誘導から5日以内の膵炎を示す、インスリンについての免疫組織化学(IHC)染色ならびにヘモトキシリンおよびエオシン(H&E)染色の写真を含む。図2Bは、生存マウスにおける第21日の膵島の顕著な破壊を示すグラフを含む。膵臓においてウイルスはPCRで検出されなかった。膵臓は、数が増加したOT-1細胞によって完全に破壊された。卵白アルブミンをコードする複製欠損アデノウイルスを使用してOT-1 T細胞による膵臓破壊を誘発した場合、類似した結果が観察された。
図3図3A~3Cは、リンパ節(LN)細胞の形質導入を示す蛍光顕微鏡写真である。creリコンビナーゼを発現するアデノウイルス(アデノ-cre)を皮内感染によりmTmG-マウスに感染させた。図3Aは、アデノ(adeno)対照ウイルスがLN細胞に感染したことを示している。図3Bは、アデノ-creがLNに感染し、creリコンビナーゼをLN内で発現したことを示している。図3Cは、形質導入細胞の周辺位置を示す、LNの低倍率の図を示す。
図4図4Aは、普遍的アロ抗原として機能する突然変異MHC分子を発現する例示的な複製欠損アデノウイルス(血清型6)ベクターの概略図である。図4Bは、当該ベクター構築物の一般的形態であり、操作された突然変異MHC分子を使用することにより、MHCは任意の者に対して普遍的に同種でありうる。あるいは、天然に存在するMHCクラスI分子を使用することにより、MHCは集団のコホートまたはサブセットと同種でありうる。
図5図5は、同種MHC Iをコードするアデノウイルスに応答して同種反応性CTLが生成されたことを示すドットプロットを含む。アロ-MHC Iアデノウイルスを皮内注射によりLN内に導入した。4日後、同系(BALB/c)、同種(B6)および第三者(C3H)標識標的細胞を、インビボCTLアッセイで、チャレンジした宿主に静脈内投与で養子移入した。4時間後、脾臓細胞を採取し、導入された標的細胞の存在に関してフローサイトメトリーにより分析した。B6標的細胞(導入されたアロ-MHC Iを発現する標的)をインビボで完全に除去した。
図6図6は、養子移入されたCD8+ T細胞がアデノ-アロMHCIに応答したことを示すドットプロットを含む。新たに単離された同系CD8+ T細胞を、移入前にカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識し、次いでアデノ-アロ-MHC Iまたは対照ウイルスでチャレンジした。図6Aおよび6Cは、養子移入されたCFSE標識T細胞がLNに移動し、そこで、該細胞が、形質導入されたアロ-MHC I分子に遭遇し、それに応答することを示している。図6Cは、アロ-MHC Iで刺激されると刺激された細胞は増殖し、CFSEを希釈したことも示している。図6Bおよび6Dは、CFSE希釈集団が、対照アデノウイルスでチャレンジされたリンパ節から単離されたCFSE希釈細胞(B)と比較して、高いCD44およびPD-1を発現する、より活性化された表現型を示したことを示している(D)。
図7図7は、mTmGレポーターマウスからのナイーブCD8+ 脾臓細胞のレンチウイルス形質導入を示す蛍光顕微鏡写真である。CD8+濃縮ナイーブ脾臓細胞にレンチウイルス-creを形質導入した。次いで該細胞を抗CD3/CD28+ IL-2で活性化して、培養における生存性を4日間維持した。形質導入の成功は赤色蛍光から緑色蛍光への変化をもたらす。
図8図8は、活性化リンパ節細胞内へのトランスジーンのインサイチュ導入の成功を示すドットプロットである。アロMHCをコードするアデノウイルスベクターをmTmGレポーターマウスに皮内注射して、流入領域リンパ節を刺激し、4日後、レンチウイルス-creを、肥大したリンパ節内に直接注射した。24時間後、リンパ節からCD8+ T細胞を採取し、IL2+IL7の存在下で3日間培養して、膜eGFP発現させた。
図9図9は、ヒト細胞内へのトランスジーンの形質導入の成功を示すドットプロットを含む。ヒトCARレンチウイルスベクターはヒトへの形質導入には有効であるが、マウスT細胞への形質導入には有効でない。
図10図10は、非複製ウイルスの皮内導入を示す写真を含む。Hu-NSGマウスはリンパ節を欠く。WT、NOD Scid IL-2Rγ-/-(NSG)およびヒトCD34+ 造血細胞再構成NSGマウス(hu-NSG)の鼠径リンパ節を標識するために、エヴァンスブルーを尾部に皮内注射した。
図11図11は、インビボCTLのための代替投与経路を示すドットプロットを含む。B6標的細胞の相対的枯渇により示されるとおり、3つ全ての免疫化経路が有効であった。
図12図12は、hu-NSG宿主を使用するための例示的スキームを示す。(1)hu-NSG宿主内を循環するヒトB細胞を評価する。(2)nu-NSG宿主の脾臓からのT細胞を、標的抗原をコードするレンチウイルスと接触させ、nu-NSG宿主マウスに静脈内注射する。MHC同種抗原H-2Kbをコードする複製欠損アデノウイルス6を静脈内注射し、同一用量を腹腔内注射した。(3)処置の1週間後、血液中のヒトB細胞の組成を評価する。
図13図13は、hu-NSGマウスの実験の前のヒト白血球組成を示すグラフを含む。
図14図14は、hu-NSG宿主においてインビボCTLがヒト免疫細胞を活性化することを示すグラフを含む。Kb+ 脾臓細胞の優先的殺傷を示す3匹全てのレシピエントにおいて、回収された標的細胞の予想された1:1の比は変化した(パネルA)。回収されたKb+ 細胞の、Kb- 標的細胞と比較した比率は、有意に低かった(パネルB)。
図15図15は、CART処置およびAD6ワクチン接種を受けたhu-NSGマウスにおけるB細胞数の減少の生データを示すグラフを含む。
図16図16は、同一ヒトドナーからのCD34+ 細胞で再構成されたhu-NSGマウスからのAd6-アロMHC(Kb)およびレンチ-CAR19形質導入脾臓細胞の導入の後のCD19+ B細胞の正規化変化を示すグラフを含む。a 統計的評価は、採血の反復により引き起こされたマウスにおける末梢血細胞集団の枯渇を考慮して正規化されている。* 治療後のT細胞の増加は以前のCART療法の知見と一致している。
図17-1】図17は、ヒトMHC Iポリペプチド(HLA-B40:28)をコードする核酸配列(配列番号1)およびそのヒトMHC Iポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号3)の配列リスト、ならびにヒトMHC Iポリペプチド(HLA-DRB1* 12:01:01:01)をコードする核酸配列(配列番号2)およびそのヒトMHC Iポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号4)の配列リストを含む。
図17-2】図17は、ヒトMHC Iポリペプチド(HLA-B40:28)をコードする核酸配列(配列番号1)およびそのヒトMHC Iポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号3)の配列リスト、ならびにヒトMHC Iポリペプチド(HLA-DRB1* 12:01:01:01)をコードする核酸配列(配列番号2)およびそのヒトMHC Iポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号4)の配列リストを含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本明細書は、ナイーブT細胞(例えば、腫瘍特異的抗原受容体を発現するナイーブT細胞)をインビボで活性化するための(例えば、インビボ活性化CTLを製造するための)物質および方法を提供する。例えば、腫瘍特異的抗原受容体を発現するナイーブT細胞は、リンパ節において抗原(例えば、被膜下洞マクロファージおよび/または樹状細胞などのAPC上で提示された抗原)に遭遇することにより、インビボで活性化されうる(例えば、CTLになる)。インビボ活性化CTLには、エフェクターT細胞および/または記憶T細胞が含まれうる。幾つかの場合には、ナイーブT細胞を操作してエクスビボで腫瘍特異的抗原受容体を発現させることが可能である。例えば、ナイーブT細胞を得て、エクスビボで操作して腫瘍特異的抗原受容体を発現させ、哺乳動物に(例えば、養子移入により)投与することが可能である。養子移入されたナイーブT細胞は、1以上のリンパ節に移動して、インビボで活性化されうる。幾つかの場合には、ナイーブT細胞を操作してインサイチュで腫瘍特異的抗原受容体を発現させることが可能である。例えば、発現ベクター(例えば、ウイルスベクター)を二次リンパ器官内に注入して、ナイーブT細胞をインサイチュで操作して腫瘍特異的抗原受容体を発現させるようにすることが可能である。腫瘍特異的抗原受容体を発現するナイーブT細胞が抗原(例えば、被膜下洞マクロファージおよび/または樹状細胞などのAPCにより提示された抗原)に遭遇すると、ナイーブT細胞はインビボで活性化される(例えば、CTLになる)。インビボ活性化T細胞は、腫瘍特異的抗原受容体により認識される抗原(例えば、腫瘍抗原)を発現する細胞(例えば、癌細胞)を標的化できる。幾つかの場合には、インビボ活性化T細胞は、現在および/または従前の炎症を有さない組織における癌細胞を標的化できる。幾つかの場合には、インビボ活性化T細胞は正常(例えば、健常非癌性)細胞を標的化しない。
【0020】
本明細書に記載されているようにインビボで活性化できるナイーブT細胞は任意の適切なナイーブT細胞でありうる。ナイーブT細胞の例には、CTL(例えば、CD4+ CTLおよび/またはCD8+ CTL)が含まれるが、これらに限定されるものではない。例えば、本明細書に記載されているようにインビボで活性化できるナイーブT細胞はCD8+ CTLでありうる。幾つかの場合には、1以上のナイーブT細胞は哺乳動物(例えば、癌を有する哺乳動物)から得ることができる。例えば、ナイーブT細胞は、本明細書に記載されている物質および方法で治療される哺乳動物から得られうる。
【0021】
本明細書に記載されているようにインビボで活性化されたナイーブT細胞は任意の適切な抗原受容体を発現できる(例えば、発現するように操作できる)。幾つかの場合には、抗原受容体は異種抗原受容体でありうる。幾つかの場合には、抗原受容体はキメラ抗原受容体(CAR)でありうる。幾つかの場合には、抗原受容体は腫瘍抗原(例えば、腫瘍特異的抗原)受容体でありうる。例えば、ナイーブT細胞は、癌を有する哺乳動物における癌細胞により発現された腫瘍抗原(例えば、細胞表面腫瘍抗原)を標的化する腫瘍特異的抗原受容体を発現するように操作されうる。幾つかの場合には、抗原受容体は間接的な抗原受容体でありうる。例えば、ナイーブT細胞は、第1抗原(例えば、外因性抗原)を標的化する間接的な抗原受容体を発現するように操作されうる。幾つかの場合には、標的細胞(例えば、癌を有する哺乳動物における癌細胞)は、第2抗原を含有する試薬(例えば、抗体)により認識されうる第1抗原(例えば、腫瘍抗原)を発現することが可能であり、ナイーブT細胞は、第2抗原を標的化する抗原受容体を発現するように操作されうる。幾つかの場合には、腫瘍抗原は腫瘍特異的抗原(TSA;例えば、腫瘍細胞上にのみ存在する腫瘍抗原)でありうる。幾つかの場合には、腫瘍抗原は腫瘍関連抗原(TAA;例えば、腫瘍細胞上に存在する異常タンパク質)でありうる。ナイーブT細胞において発現される腫瘍抗原受容体により認識されうる腫瘍抗原の例には、ムチン1(MUC-1)、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER-2)、エストロゲン受容体(ER)、上皮増殖因子受容体(EGFR)、葉酸受容体アルファおよびメソセリンが含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載されているとおり、ナイーブT細胞は、任意の適切な抗原を認識する抗原受容体(例えば、異種抗原受容体)を有するように操作されうる。幾つかの場合には、ナイーブT細胞は、持続性ウイルス抗原または老化細胞を認識する抗原受容体(例えば、異種抗原受容体)を有するように操作されうる。
【0022】
任意の適切な方法を用いて、ナイーブT細胞上で抗原受容体を発現させることができる。例えば、抗原受容体をコードする核酸を1以上のナイーブT細胞内に導入することが可能である。幾つかの場合には、ウイルス形質導入を用いて、抗原受容体をコードする核酸を非分裂細胞内に導入しうる。抗原受容体をコードする核酸は、任意の適切な方法を用いて、ナイーブT細胞内に導入されうる。幾つかの場合には、抗原受容体をコードする核酸は、形質導入(例えば、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターを使用するウイルス形質導入)またはトランスフェクションによりナイーブT細胞内に導入されうる。幾つかの場合には、抗原受容体をコードする核酸は1以上のナイーブT細胞内にエクスビボで導入されうる。例えば、抗原受容体を発現するナイーブT細胞のエクスビボ操作は、単離されたナイーブT細胞に、抗原受容体をコードするレンチウイルスベクターで形質導入することを含む。ナイーブT細胞を、抗原受容体を発現するようにエクスビボで操作する場合には、ナイーブT細胞は任意の適切な入手源(例えば、治療すべき哺乳動物もしくはドナー哺乳動物などの哺乳動物、または細胞系)から得られたものでありうる。幾つかの場合には、抗原受容体をコードする核酸は、リンパ系内(例えば、リンパ節および脾臓などの1以上の二次リンパ器官内)で、1以上のナイーブT細胞内にインサイチュで導入されうる。例えば、抗原受容体を発現させるためのナイーブT細胞のインサイチュ操作には、抗原受容体をコードするレンチウイルスベクターの皮内(ID)注射(例えば、1以上のリンパ節内への直接的なもの)が含まれる。
【0023】
任意の適切な方法を用いて、本明細書に記載されているナイーブT細胞(例えば、腫瘍特異的抗原受容体を発現するように設計されたナイーブT細胞などの、操作されたナイーブT細胞)を活性化することができる。例えば、1以上の免疫原(例えば、抗原)を哺乳動物に投与することにより、腫瘍特異的抗原受容体を発現するナイーブT細胞がインビボで活性化されうる。任意の適切な免疫原を使用して、本明細書に記載されているナイーブT細胞を活性化することができる。幾つかの場合には、免疫原は細胞表面抗原(例えば、癌細胞により発現される細胞表面抗原)でありうる。幾つかの場合には、免疫原は同種免疫原(例えば、同種抗原(アロ抗原とも称される))でありうる。本明細書に記載されているナイーブT細胞を活性化するために使用されうる抗原の例には、同種MHCクラスIポリペプチド(アロ-MHC IまたはアロMHC Iポリペプチド)および同種MHCクラスIIポリペプチド(アロ-MHC IIまたはアロMHC IIポリペプチド)が含まれるが、これらに限定されるものではない。そのような抗原は、MHC IのようなMHC分子との関連で1以上の断片として提示されうる。例えば、腫瘍特異的抗原受容体を発現するナイーブT細胞は、アロMHC Iを哺乳動物に投与することにより、インビボで活性化されうる。
【0024】
任意の適切な方法が用いて、免疫原(例えば、抗原)を哺乳動物(例えば、ヒト)に投与することができる。免疫原を哺乳動物に投与する方法の例には、注射(例えば、静脈内(IV)、ID、筋肉内(IM)注射または皮下)が含まれうるが、これに限定されるものではない。幾つかの場合には、抗原はベクター(例えば、ウイルスベクター)によりコードされ、該ベクターが哺乳動物に投与されうる。
【0025】
ヒトアロMHC Iをコードする例示的な核酸配列としては、配列番号1に記載された配列を挙げることができる。ヒトMHC Iポリペプチド(例えば、HLA-Aポリペプチド、HLA-BポリペプチドまたはHLA-Cポリペプチド)をコードする核酸は、ウイルスベクターに感染した細胞がコード化MHC Iポリペプチドを発現するように、該ウイルスベクター内に含めることができる。幾つかの場合には、ヒトアロMHC Iをコードする核酸配列はいずれかに記載されているとおりでありうる(例えば、Pimtanothaiら, 2000 Human Immunology 61:808-815を参照されたい)。幾つかの場合には、ヒトアロMHC Iをコードする核酸配列は、National Center for Biotechnology Informationのようなデータベースに掲載されているとおりでありうる(例えば、GenBank(登録商標)アクセッション番号M84384.1、AF181842およびAF181843を参照されたい)。
【0026】
配列番号1
ATGCGGGTCACGGCGCCCCGAACCCTCCTCCTGCTGCTCTGGGGGGCAGTGGCCCTGACCGAGACCTGGGCTGGCTCCCACTCCATGAGGTATTTCCACACCTCCGTGTCCCGGCCCGGCCGCGGGGAGCCCCGCTTCATCACCGTGGGCTACGTGGACGACACGCTGTTCGTGAGGTTCGACAGCGACGCCACGAGTCCGAGGAAGGAGCCGCGGGCGCCATGGATAGAGCAGGAGGGGCCGGAGTATTGGGACCGGGAGACACAGATCTCCAAGACCAACACACAGACTTACCGAGAGAGCCTGCGGAACCTGCGCGGCTACTACAACCAGAGCGAGGCCGGGTCTCACATCATCCAGAGGATGTATGGCTGCGACCTGGGGCCGGACGGGCGCCTCCTCCGCGGGCATAACCAGTACGCCTACGACGGCAAAGATTACATCGCCCTGAACGAGGACCTGAGCTCCTGGACCGCGGCGGACACCGCGGCTCAGATCACCCAGCGCAAGTGGGAGGCGGCCCGTGAGGCGGAGCAGCTGAGAGCCTACCTGGAGGGCCTGTGCGTGGAGTGGCTCCGCAGACACCTGGAGAACGGGAAGGAGACGCTGCAGCGCGCGGACCCCCCAAAGACACACGTGACCCACCACCCCATCTCTGACCATGAGGCCACCCTGAGGTGCTGGGCCCTGGGCTTCTACCCTGCGGAGATCACACTGACCTGGCAGCGGGATGGCGAGGACCAAACTCAGGACACTGA
【0027】
ヒトアロMHC IIをコードする例示的な核酸配列としては、配列番号2に記載された配列を挙げることができる。ヒトMHC IIポリペプチド(例えば、HLA-DPポリペプチド、HLA-DMポリペプチド、HLA-DOAポリペプチド、HLA-DOBポリペプチド、HLA-DQポリペプチドまたはHLA-DRポリペプチド)をコードする核酸を、ウイルスベクターに感染した細胞がコード化MHC IIポリペプチドを発現するように、該ウイルスベクター内に含めることができる。幾つかの場合には、ヒトアロMHC IIをコードする核酸配列はいずれかに記載されているとおりでありうる(例えば、Robinsonら, 2005 Nucleic Acids Research 331:D523-526; およびRobinsonら, 2013 Nucleic Acids Research 41:D1234-40を参照されたい)。
【0028】
配列番号2
ATGGTGTGTCTGAGGCTCCCTGGAGGCTCCTGCATGGCAGTTCTGACAGTGACACTGATGGTGCTGAGCTCCCCACTGGCTTTGGCTGGGGACACCAGACCACGTTTCTTGGAGTACTCTACGGGTGAGTGTTATTTCTTCAATGGGACGGAGCGGGTGCGGTTACTGGAGAGACACTTCCATAACCAGGAGGAGCTCCTGCGCTTCGACAGCGACGTGGGGGAGTTCCGGGCGGTGACGGAGCTGGGGCGGCCTGTCGCCGAGTCCTGGAACAGCCAGAAGGACATCCTGGAAGACAGGCGCGCCGCGGTGGACACCTATTGCAGACACAACTACGGGGCTGTGGAGAGCTTCACAGTGCAGCGGCGAGTCCATCCTAAGGTGACTGTGTATCCTTCAAAGACCCAGCCCCTGCAGCACCACAACCTCCTGGTCTGTTCTGTGAGTGGTTTCTATCCAGGCAGCATTGAAGTCAGGTGGTTCCGGAATGGCCAGGAAGAGAAGACTGGGGTGGTGTCCACGGGCCTGATCCACAATGGAGACTGGACCTTCCAGACCCTGGTGATGCTGGAAACAGTTCCTCGGAGTGGAGAGGTTTACACCTGCCAAGTGGAGCACCCAAGCGTGACAAGCCCTCTCACAGTGGAATGGAGAGCACGGTCTGAATCTGCACAGAGCAAGATGCTGAGTGGAGTCGGGGGCTTTGTGCTGGGCCTGCTCTTCCTTGGGGCCGGGCTGTTCATCTACTTCAGGAATCAGAAAGGACACTCTGGACTTCAGCCAAGAGGATTCCTGAGCTGA
【0029】
幾つかの場合には、図17に記載された核酸を、ヒトMHC Iポリペプチドを発現するようにウイルスベクター内に含めることが可能であり、そのウイルスベクターを使用して、哺乳動物内のナイーブT細胞を活性化することが可能である。
【0030】
幾つかの場合には、本明細書に記載されているようにナイーブT細胞をインビボで活性化するためのウイルスベクターは、MHC Iポリペプチドの断片またはMHC IIポリペプチドの断片を発現するように設計されうる。MHC IポリペプチドまたはMHC IIポリペプチドの断片は約182アミノ酸~約273アミノ酸(例えば、約182アミノ酸~約250アミノ酸、約182アミノ酸~約225アミノ酸、約182アミノ酸~約200アミノ酸、約200アミノ酸~約273アミノ酸、約225アミノ酸~約273アミノ酸、約250アミノ酸~約273アミノ酸、約190アミノ酸~約260アミノ酸、約200アミノ酸~約250アミノ酸、約215アミノ酸~約235アミノ酸、約200アミノ酸~約220アミノ酸、約220アミノ酸~約240アミノ酸、約240アミノ酸~約260アミノ酸、または約260アミノ酸~約280アミノ酸)長でありうる。
【0031】
本明細書に記載されているようにナイーブT細胞をインビボで活性化するためのウイルスベクターはウイルスワクチンであるか、またはウイルスワクチンに由来するものであってよい。幾つかの場合には、本明細書に記載されているように使用されるウイルスベクターは複製欠損型でありうる。幾つかの場合には、本明細書に記載されているように使用されるウイルスベクターは免疫原性でありうる。MHCクラスIまたはクラスIIポリペプチドをコードするように設計され、哺乳動物内でT細胞(例えば、ナイーブT細胞)を活性化するために使用されうるウイルスベクターの例には、ピコルナウイルスワクチン、アデノウイルスワクチン、ラブドウイルス(例えば、水疱性口内炎ウイルス(VSV))、パラミクソウイルスおよびレンチウイルスが含まれるが、これらに限定されるものではない。幾つかの場合には、本明細書に記載されているナイーブT細胞は、アロMHC Iをコードする免疫原性複製欠損アデノウイルスベクターをヒトに投与することにより、インビボで活性化されうる。アロMHC Iおよび/またはアロMHCクラスIIをコードする例示的なアデノウイルスベクターを図4Bに示す。
【0032】
本明細書はまた、癌(例えば、腫瘍抗原を発現する癌細胞を含む癌)を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を治療するための物質および方法を提供する。例えば、本明細書に記載されているナイーブT細胞(例えば、腫瘍特異的抗原を発現するナイーブT細胞)は、癌を有するヒトを治療するためにインビボで活性化されうる。幾つかの場合には、本明細書に記載されているナイーブT細胞のインビボ活性化は、哺乳動物内の癌細胞(例えば、腫瘍抗原を発現する癌細胞)の数を減少させるために用いられうる。幾つかの場合には、本明細書に記載されているナイーブT細胞のインビボ活性化は、癌(例えば、寛解状態の癌)の再発を遅延させ、および/または予防するために用いられうる。幾つかの場合には、本明細書に記載されているナイーブT細胞のインビボ活性化は、静止期および/または非分裂癌細胞(例えば、腫瘍抗原を発現する癌細胞)を標的化するために用いられうる。
【0033】
幾つかの場合には、癌を有する哺乳動物(例えば、ヒト)を治療するための本明細書に記載されている方法は、癌を有する哺乳動物を特定することを含みうる。任意の適切な方法が用いて、哺乳動物を癌を有するものとして特定することができる。癌を有すると特定されたら、ナイーブT細胞(例えば、癌を有する哺乳動物から得られたナイーブT細胞)は、抗原受容体(例えば、腫瘍特異的抗原受容体)を発現するように操作され(例えば、インビトロまたはインビボで操作され)、本明細書に記載されているようにインビボで活性化されうる。
【0034】
本明細書に記載されている物質および方法を使用して、癌を有する任意の種類の哺乳動物を治療することが可能である。本明細書に記載されているナイーブT細胞のインビボ活性化により治療されうる哺乳動物の例には、霊長類(例えば、ヒトおよびサル)、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウサギ、マウスおよびラットが含まれるが、これらに限定されるものではない。例えば、癌を有するヒトは、本明細書に記載されているナイーブT細胞のインビボ活性化を用いて治療されうる。
【0035】
本明細書に記載されている物質および方法を使用して、任意の適切な種類の癌を治療することが可能である。幾つかの場合には、本明細書に記載されているように治療される癌には、1以上の固形腫瘍が含まれうる。幾つかの場合には、本明細書に記載されているように治療される癌は寛解状態の癌でありうる。幾つかの場合には、本明細書に記載されているように治療される癌には、静止期(例えば、休眠または非分裂状態)の癌細胞が含まれうる。幾つかの場合には、本明細書に記載されているように治療される癌は、化学療法を逃れたおよび/または化学療法に非応答性である癌でありうる。本明細書に記載されているナイーブT細胞のインビボ活性化により治療されうる癌の例には、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMOL))、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫)、骨髄腫、卵巣癌、乳癌、前立腺癌、結腸癌、胚細胞腫瘍、肝細胞癌、腸癌、肺癌およびメラノーマ(例えば、悪性メラノーマ)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本明細書に記載されている物質および方法は、抗原(例えば、腫瘍特異的抗原のような腫瘍抗原)を発現する細胞(例えば、癌細胞)を特異的に標的化するために使用されうる。例えば、本明細書に記載されているナイーブT細胞のインビボ活性化は、腫瘍抗原を標的化できる(例えば、認識し、それに結合できる)腫瘍特異的抗原受容体を発現するようにナイーブT細胞を操作することを含みうる。幾つかの場合には、腫瘍抗原は細胞表面腫瘍抗原でありうる。腫瘍特異的抗原受容体を発現するインビボ活性化T細胞により標的化されうる腫瘍抗原の例には、MUC-1(乳癌、多発性骨髄腫、結腸直腸癌および膵臓癌に関連している)、HER-2(胃癌、唾液管癌、乳癌、精巣癌および食道癌に関連している)、およびER(乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌および子宮内膜癌に関連している)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
本明細書に記載されているナイーブT細胞(例えば、腫瘍特異的抗原受容体を発現するナイーブT細胞)を、本明細書に記載されているように異種抗原受容体(例えば、異種腫瘍特異的抗原受容体)を発現するようにエクスビボで操作し、哺乳動物(例えば、ヒト)に(例えば、養子移入により)投与する場合、ナイーブT細胞(例えば、操作されたナイーブT細胞)を投与するために任意の適切な方法が用いられうる。異種抗原受容体を発現するように操作されたナイーブT細胞を哺乳動物に投与する方法の例には、注射(例えば、IV、ID、IMまたは皮下注射)が含まれるが、これに限定されるものではない。例えば、腫瘍特異的抗原受容体を発現するナイーブT細胞はIV注射によりヒトに投与されうる。
【0038】
本明細書に記載されているナイーブT細胞(例えば、腫瘍特異的抗原受容体を発現するナイーブT細胞)を、異種抗原受容体(例えば、異種腫瘍特異的抗原受容体)を発現するようにエクスビボで操作し、哺乳動物(例えば、ヒト)に(例えば、養子移入により)投与する場合、任意の適切な数のナイーブT細胞(例えば、操作されたナイーブT細胞)を哺乳動物(例えば、癌を有する哺乳動物)に投与することが可能である。幾つかの場合には、約200~約1500個の本明細書に記載されているナイーブT細胞(例えば、約200~約1300個のナイーブT細胞、約200~約1250個のナイーブT細胞、約200~約1000個のナイーブT細胞、約200~約750個のナイーブT細胞、約200~約500個のナイーブT細胞または約200~約400個のナイーブT細胞)を哺乳動物(例えば、ヒト)に投与することが可能である。例えば、腫瘍特異的抗原受容体を発現する約300個のナイーブT細胞を、癌を有するヒトに投与することが可能であり、この場合、次いでナイーブT細胞はアロMHC I(例えば、アロMHC Iをコードする免疫原性複製欠損アデノウイルスベクターを使用して、癌を有するヒトに投与されたアロMHC I)によりインビボで活性化される。
【0039】
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、該実施例は、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定しない。
【実施例
【0040】
実施例1:細胞傷害性T細胞(CTL)のプライミング
標的化可能な抗原を発現する静止期細胞を探索し殺傷するようにCTLをプライミングすることができるかどうかを調べるために、1200個のOT-1 T細胞をRIP-OVAマウス(膵島においてオボアルブミン(OVA)抗原を発現している)に養子移入し、次いでTMEV-OVAピコルナウイルスワクチンで活性化した。
【0041】
インスリンについてH&E染色およびIHC染色を用いて、膵臓組織を検査した。ウイルスによるCTL誘導から5日以内に膵炎が見られた(図2A)。第21日に生存マウスにおいて膵島の顕著な破壊が観察された(図2B)。膵臓においてウイルスはPCRで検出されなかった。ピコルナウイルスワクチンによりインビボで活性化された僅か300個のナイーブT細胞が、活性化から10日以内に正常なウイルスフリーの膵島の完全な破壊を誘発した。これとは対照的に、ドナーマウスにおいて活性化され、RIP-OVAマウス内に導入された8×107個のOT-1脾臓細胞は病原性ではなかった。
【0042】
これらの結果は、活性化T細胞が関連抗原に関して体内の細胞を走査(スキャン)し、既存炎症の非存在下で免疫破壊を誘発することができることを示している。
【0043】
実施例2:同種反応性細胞傷害性T細胞(CTL)の活性化
同種MHC I分子をコードするアデノウイルスが同種反応性CTLを活性化できるかどうかを決定するために、LN抗原提示細胞へのアデノウイルス感染の状況で同種MHCクラスI遺伝子を発現させた。
【0044】
Creリコンビナーゼを発現するアデノウイルスを皮内注射によりmTmGレポーターマウスのリンパ管内に導入した。mTmGレポーターマウスは、loxPで挟んだ(floxed)膜赤色蛍光体「トマト(tomato)」およびサイレンシングされた膜GFP遺伝子を発現する。発現されたcreの存在下、トマトはサイレンシングされ、GFPは活性化される。トマトを発現するT細胞とGFPを発現するT細胞は、creを発現するアデノウイルスまたは対照アデノウイルスの導入の後、蛍光顕微鏡検査により区別することができる。形質導入の成功は赤色蛍光から緑色蛍光への変化をもたらす。Creリコンビナーゼは被膜下洞マクロファージ内に導入された(図3A~3C)。
【0045】
普遍的アロ抗原として機能する突然変異MHC分子を発現する複製欠損アデノウイルス(血清型6)ベクター(図4A)を皮内注射によりLNに導入した。同種MHC Iをコードするアデノウイルスの導入の4日後、同系(BALB/c)、同種(B6)および第三者(C3H)標識標的細胞を、インビボCTLアッセイで、チャレンジした宿主に静脈内投与で養子移入した。4時間後、脾臓細胞を採取し、導入された標的細胞の存在に関してフローサイトメトリーにより分析した。B6標的細胞(導入されたアロMHC Iを発現する標的)はインビボで完全に除去された。強力な同種反応性CD8+ T細胞が僅か4日のうちに活性化された(図5)。
【0046】
これらの結果は、アロMHC Iを発現する皮内注射されたアデノウイルスが被膜下洞マクロファージにおいてアロMHC I抗原を提示し、アロMHC Iを発現する細胞を標的化するCTLを活性化できることを示している。
【0047】
実施例3:ナイーブ細胞傷害性T細胞(CTL)の養子移入
養子移入されたナイーブCTL前駆体が二次リンパ器官に移動し、アデノ-MHCIウイルスにより活性化されるかどうかを調べるために、アロタイプ特徴付けナイーブT細胞をCFSEで標識し、ナイーブ宿主の静脈内に養子移入し、次いでこれをアデノ-MHCIで皮内チャレンジして、導入された細胞からの同種反応性CTL応答を誘発させた。
【0048】
養子移入されたCFSE標識T細胞はLNに移動し、そこで、該細胞は、形質導入されたアロMHCI分子に遭遇し、それに応答した(図6Aおよび6C)。アロMHCIで刺激されると刺激された細胞は増殖し、CFSEを希釈した(図6C)。CFSE希釈集団は、対照アデノウイルスでチャレンジされたリンパ節から単離されたCFSE希釈細胞(図6B)と比較して、高いCD44およびPD-1を発現する、より活性化された表現型を示した(図6D)。第4日に存在する導入された細胞の約4.5%が増殖し(図6Aおよび6C)、活性化マーカーのアップレギュレーションを示した(図6Bおよび6D)。
【0049】
これらの結果は、養子移入されたCD8+ T細胞がLNに移動可能であり、アロMHC Iをコードするアデノウイルスワクチンにより活性化されることができることを実証している。
【0050】
実施例4:ナイーブ細胞傷害性T細胞(CTL)のインビボ活性化
インビボ活性化T細胞が腫瘍内に移動できるかどうかを調べるために、エクスビボのT細胞のウイルス形質導入の効率を評価するためのアプローチを、mTmGレポーターマウスを使用して確立した。MTMGレポーターマウス由来のナイーブCD8+ 脾臓細胞を、ウイルスおよびポリブレンの遠心濃縮により、creを発現するレンチウイルスで形質導入し、次いで抗CD3/CD28+ IL-2で活性化して、培養における生存性を4日間維持した。形質導入の成功は赤色蛍光から緑色蛍光への変化をもたらす(図7および図8)。MTMGレポーターマウスを使用して、トランスフェクションの効率、養子移入されたT細胞の、リンパ節内への移動、および養子移入されたT細胞の、腫瘍内への移動を測定できる。
【0051】
実施例5:ナイーブ細胞傷害性T細胞(CTL)のインビボ活性化
確立されたヒト造血を示すヒト化NSG(hu-NSG)マウスは、概念実証を確立するためにレンチウイルスCARを使用するためのモデルを提供する。循環中の検証されたヒト白血球を有するドナー一致バッチでのhu-NSGマウスを得た。これらのマウスを、CAR形質導入スキームのためのヒト細胞のドナーとして使用した。
【0052】
CARがCTLをインビボで活性化できるかどうかを判定するために、新たに単離したT細胞を、ヒトCAR19を発現するレンチウイルスベクター(レンチ-CAR19)で形質導入した。プールしたCD4およびCD8 T細胞に、活性化(抗CD3/CD28)の前または後にレンチ-CAR19で形質導入し、4日間培養して遺伝子発現させ、次いで抗マウス抗体で染色し、フローサイトメトリーを使用して分析した。新たに単離した脾臓細胞をレンチ-CAR19で1時間形質導入し、直ちに同系hu-NSGレシピエント(1個のドナー脾臓/レシピエント)内に導入した。マウスは細胞導入時にAd6-Kbワクチンの投与も受けた。3匹のレシピエントにおいて、回収されたヒト脾臓細胞の約10%がCAR+であった。図9に示されているとおり、ヒトT細胞はlento-CAR19で有効に形質導入されたが、マウス細胞はそうではなかった。
【0053】
Hu-NSGマウスはリンパ節を有さない。hu-NSGマウスにはリンパ節が存在しないため、アプローチの変更が必要であった。hu-NSGマウスにおける非複製性ウイルスの皮内導入の有効性を評価するために、WT、NOD Scid IL-2Rγ-/-(NSG)およびヒトCD34+造血細胞再構成NSGマウス(hu-NSG)の鼠径リンパ節を標識するために、エバンスブルーを尾部に皮内注射した。
【0054】
インビボCTLに代替投与経路が使用できるかどうかを判定するために、アロMHC Iをコードする複製欠損アデノウイルスベクター(Ad6-同種MHC(Kb))をhu-NSGマウスに複数の経路で送達し、強力なCTL活性を誘導する能力を評価した。BALB/cマウスに1010のAd6-Kbを静脈内(IV)、皮内(ID)または腹腔内(IP)で投与した。1週間後、差次的標識BALB/c(自己)およびB6(アロMHC)標的細胞をマウスにIV投与した。導入された集団の両方に関して、脾臓に移動する細胞を評価した。有効性はB6標的細胞の相対的枯渇により示された。IV、IDおよびIPワクチン接種は強力なCTL活性の誘導について同等に有効であった(図11)。NSGマウスの脾臓および腹膜におけるヒト免疫細胞の分布および輸送が十分には明らかでないため、後続実験において、IVワクチンの半分およびIPワクチンの半分をマウスに投与した。
【0055】
同種MHC I分子をコードするアデノウイルスが同種反応性CTLを活性化して、標的抗原を発現する細胞を排除できるかどうかを判定するために、レンチウイルス-CAR19形質導入hu-NSG脾臓細胞およびMHC同種抗原H-2Kbをコードする複製欠損アデノウイルスをhu-NSGマウスに投与した。この方法の概要を図12に示す。既知T細胞再構成を有する3匹のhu-NSGマウスをリンパ球ドナーとして選択した。ドナーとして選択されたhu-NSGマウスおよびレシピエントとして選択されたhu-NSGマウスのヒト白血球組成を図13に示す。ドナー動物からの脾臓細胞を回収し、プールし、ACKを使用して赤血球を溶解し、産物全体を100μLの未希釈レンチ-CAR19ウイルス(MOI)に懸濁させた。ポリブレンを8μg/mLの最終濃度で添加した。懸濁液を800×gで31℃で90分間遠心分離した。ウイルス上清を除去し、細胞ペレットを300μLのPBSに懸濁させ、IV注射した(100μL/マウス)。MHC同種抗原H-2Kbをコードする複製欠損アデノウイルス6のウイルス粒子5×109個をIV注射し、また同一用量をIP注射した。マウスを毎日モニターした。有害な表現型は1週間観察されなかった。第7日に、マウスから採血し、血液中のヒトB細胞の組成を評価した。
【0056】
インビボCTLがhu-NSG宿主において抗Kb細胞傷害活性を誘発したかどうかを判定するために、Kb-標的細胞とKb+標的細胞との混合物でマウスをチャレンジし、レシピエントマウスの脾臓を検査した。hu-NSGレシピエント(これは1週間前にレンチウイルス-CAR19形質導入hu-NSG脾臓細胞およびAd6-H-2Kbワクチンの投与を受けていた)から血液および脾臓細胞を採取する4時間前に、CFSEで差次的に標識されたKb+同種B6脾臓標的細胞とKb-同系NOD脾臓標的細胞との1:1混合物でマウスをチャレンジした。4時間のインビボインキュベーション時間の後、レシピエントマウスの脾臓のそれぞれを持続性標識Kb-およびKb+標的細胞の比に関して調べた。Kb+ 脾臓細胞の優先的殺傷を示す3匹全てのレシピエントにおいて、予想された1:1の比は変化した(図14、パネルA)。回収されたKb+ 細胞の比率は、Kb- 標的細胞と比較して有意に低かった(図14、パネルB)。この分析は、Kb発現細胞を標的化するhu-NSGマウスにおけるAd6-H-2Kbでのワクチン接種によりCTL活性が誘導されたことを示した。
【0057】
標的抗原を発現する細胞に対してインビボCTLが活性化したかどうかを判定するために、CART治療およびAD6ワクチン接種を受けたhu-NSG宿主からのヒト脾臓細胞をCAR19タンパク質の発現に関して評価した。hu-NSGマウスにおけるB細胞数の減少の生データを図15に示す。治療の前および後に回収されたB細胞の絶対数は非常に意義深いものであった。しかし、2つの変数、すなわち、採血の反復による、B細胞を含む末梢血細胞集団の非特異的枯渇、およびCAR T細胞療法の意図される効果、がこの結論に寄与していた可能性がある。B細胞数の減少がCAR T細胞療法によるものであったことを確認するために、データを正規化して、考えられうる非特異的な枯渇の影響を排除した。式(治療前の全CD45+ 細胞数/治療後のCD45細胞数×治療後の細胞系統+ 細胞の絶対数)を用いて、治療後の値を治療前の値に対して正規化することは通常のアプローチであった。これは、採血の反復によるB細胞の非特異的枯渇による、B細胞画分における治療前の値と治療後の値との間の観察された差異の大きさを低減する。片側仮説検定は、該仮説を反映させるために対応t検定を用いた。治療後のT細胞の見掛け上の増加は以前のCART療法の知見と一致している。しかし、この可能性の評価は元の仮説の一部ではなかったため、両側検定を用いた。骨髄球数の変化の非存在は、観察されたB細胞減少およびT細胞の見掛け上の増加が細胞系統に特異的であるらしいことを示唆している(図16)。レシピエントマウスの脾臓における、B細胞枯渇の度合とT細胞及びCAR19発現レベルの増加(図16、パネルB)との間には相関性が存在するようであり、この関連性はCART療法においても以前に認められている。
【0058】
この分析は、Ad6-Kbが抗原特異的殺傷を活性化することを証明した。レシピエントマウスにおける循環CD19+ B細胞の枯渇により示されるとおり、マウスはAd6-MHCの投与後にCD19標的に対する活性を示した。
【0059】
これらの結果は、腫瘍特異的抗原受容体を発現するナイーブT細胞が、標的抗原に遭遇することにより、インビボで特異的に活性化され(例えば、CTLになり)、インビボ活性化T細胞が、当該抗原を発現する細胞を標的化できることを実証している。
【0060】
実施例6:ウイルスベクターの作製
HLA-B* 4028のような希少HLAクラスI分子をコードするウイルスベクターを開発するために、エキソン2および3をコードする部分核酸配列を、公的に利用可能なデータベース(例えば、それぞれ、GenBank: AF181842およびAF181843を参照されたい; その後、AH008245.2により置換)から得て、それらを使用して、全長HLA-B* 4028ポリペプチド(例えば、配列番号3)を産生可能なHLA-B* 4004(例えば、GenBank:M84384.1を参照されたい)の全長コード配列の改変を誘導した。HLA-DRB1* 12:01:01:01のような希少HLAクラスII分子をもコードするウイルスベクターを開発するために、公的に利用可能なデータベースから配列番号2を得て(例えば、Robinsonら, 2005 Nucleic Acids Research 331:D523-526; およびRobinsonら, 2013 Nucleic Acids Research 41:D1234-40を参照されたい)、これを使用して完全長HLA-DRB1* 12:01:01:01ポリペプチド(例えば、配列番号4)を作製した。
【0061】
他の実施形態
本発明はその詳細な説明によって説明されているが、前記説明は、添付の特許請求の範囲により定められる本発明を例示するものであり、限定するものではないと理解されるべきである。他の態様、利点および改変は以下の特許請求の範囲内にある。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[1](a)抗原受容体を発現するようにナイーブT細胞を操作し、それにより、操作されたナイーブT細胞を生成すること、および
(b)前記の操作されたナイーブT細胞を哺乳動物において活性化すること
を含む、該哺乳動物内でナイーブT細胞を活性化するための方法。
[2]該哺乳動物がヒトである、[1]記載の方法。
[3]該ナイーブT細胞がナイーブ細胞傷害性Tリンパ球である、[1]~[2]のいずれか記載の方法。
[4]該抗原受容体がキメラ抗原受容体である、[1]~[3]のいずれか記載の方法。
[5]該抗原受容体が腫瘍特異的抗原受容体である、[1]~[4]のいずれか記載の方法。
[6]該操作がエクスビボ(ex vivo)操作を含む、[1]~[5]のいずれか記載の方法。
[7]該エクスビボ操作が、
(a)該哺乳動物から該ナイーブT細胞を得ること、
(b)該抗原受容体をコードする核酸を該ナイーブT細胞内に導入して、前記の操作されたナイーブT細胞を作製すること、および
(c)前記の操作されたナイーブT細胞を該哺乳動物に投与すること
を含む、[6]記載の方法。
[8]該導入が、該抗原受容体をコードするウイルスベクターで該ナイーブT細胞を形質導入することを含む、[7]記載の方法。
[9]該ウイルスベクターがレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである、[8]記載の方法。
[10]該投与が静脈内注射を含む、[7]~[9]のいずれか記載の方法。
[11]該操作がインサイチュ(in situ)操作を含む、[1]~[11]のいずれか記載の方法。
[12]該インサイチュ操作が、該抗原受容体をコードするウイルスベクターを該哺乳動物に投与することを含む、[11]記載の方法。
[13]該投与が皮内注射を含む、[12]記載の方法。
[14]該皮内注射を該哺乳動物のリンパ節内に直接的に行う、[13]記載の方法。
[15]該ウイルスベクターがアデノウイルスベクターである、[12]~[14]のいずれか記載の方法。
[16]前記の操作されたナイーブT細胞をインビボで活性化することが、抗原をコードするウイルスベクターを該哺乳動物に投与することを含む、[1]~[15]のいずれか記載の方法。
[17]該抗原がアロ抗原である、[16]記載の方法。
[18]該アロ抗原が同種主要組織適合性複合体クラスI抗原である、[17]記載の方法。
[19]該ウイルスベクターがアデノウイルスベクターである、[16]~[18]のいずれか記載の方法。
[20]該投与が皮内注射を含む、[19]記載の方法。
[21]該皮内注射を該哺乳動物のリンパ節内に直接的に行う、[20]記載の方法。
[22](a)腫瘍特異的抗原受容体を発現するようにナイーブT細胞を操作し、それにより、操作されたナイーブT細胞を生成すること、および
(b)前記の操作されたナイーブT細胞をインビボで活性化すること
を含む、癌を有する哺乳動物の治療方法。
[23]該哺乳動物がヒトである、[22]記載の方法。
[24]該癌が、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性単球性白血病(AMOL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、卵巣癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌からなる群から選択される、[22]~[23]のいずれか記載の方法。
[25]該癌が、腫瘍特異的抗原を発現する癌細胞を含む、[22]~[24]のいずれか記載の方法。
[26]該ナイーブT細胞が、該腫瘍特異的抗原を標的化する腫瘍特異的抗原受容体を発現するように操作されている、[25]記載の方法。
[27]該腫瘍特異的抗原が、ムチン1(MUC-1)、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER-2)およびエストロゲン受容体(ER)からなる群から選択される、[26]記載の方法。
[28]該操作がエクスビボ操作を含む、[22]~[27]のいずれか記載の方法。
[29]該エクスビボ操作が、
(a)該哺乳動物から該ナイーブT細胞を得ること、
(b)該抗原受容体をコードする核酸を該ナイーブT細胞内に導入して、前記の操作されたナイーブT細胞を作製すること、および
(c)前記の操作されたナイーブT細胞を該哺乳動物に投与すること
を含む、[28]記載の方法。
[30]該導入が、該抗原受容体をコードするウイルスベクターで該ナイーブT細胞を形質導入することを含む、[29]記載の方法。
[31]該ウイルスベクターがレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである、[30]記載の方法。
[32]該投与が静脈内注射を含む、[29]~[31]のいずれか記載の方法。
[33]該投与が、約200~約1500個の操作されたナイーブT細胞を該哺乳動物に投与することを含む、[29]~[32]のいずれか記載の方法。
[34]該投与が、約300個の操作されたナイーブT細胞を該哺乳動物に投与することを含む、[33]記載の方法。
[35]該操作がインサイチュ操作を含む、[22]~[34]のいずれか記載の方法。
[36]該インサイチュ操作が、該抗原受容体をコードするウイルスベクターを該哺乳動物に投与することを含む、[35]記載の方法。
[37]該投与が皮内注射を含む、[36]記載の方法。
[38]該皮内注射を該哺乳動物のリンパ節内に直接的に行う、[37]記載の方法。
[39]該ウイルスベクターがレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである、[36]~[38]のいずれか記載の方法。
[40]前記の操作されたナイーブT細胞をインビボで活性化することが、抗原をコードするウイルスベクターを該哺乳動物に投与することを含む、[22]~[39]のいずれか記載の方法。
[41]該抗原がアロ抗原である、[40]記載の方法。
[42]該アロ抗原が同種主要組織適合性複合体クラスI抗原である、[41]記載の方法。
[43]該ウイルスベクターがアデノウイルスベクターである、[40]~[42]のいずれか記載の方法。
[44]該投与が皮内注射を含む、[40]記載の方法。
[45]該皮内注射を該哺乳動物のリンパ節内に直接的に行う、[44]記載の方法。
[46]該癌が固形腫瘍を含む、[22]~[45]のいずれか記載の方法。
[47]該癌が寛解状態である、[22]~[46]のいずれか記載の方法。
[48]該癌が静止期癌細胞を含む、[22]~[47]のいずれか記載の方法。
[49]該癌が、化学療法を逃れた癌細胞または化学療法に非応答性である癌細胞を含む、[22]~[48]のいずれか記載の方法。
[50]哺乳動物内で活性化T細胞を得るための方法であって、該活性化T細胞が異種抗原受容体を含み、
(a)哺乳動物から得られたT細胞内に、該異種抗原受容体をコードする核酸をインビトロで導入して、操作されたT細胞を得ること、
(b)前記の操作されたT細胞を該哺乳動物に投与すること、および
(c)MHCクラスIポリペプチドをコードする核酸を含むウイルスを該哺乳動物に投与し、ここで、工程(b)において該哺乳動物に投与された前記の操作されたT細胞のうちの操作されたT細胞が活性化されること
を含む、
方法。
[51]該哺乳動物がヒトである、[50]記載の方法。
[52]該哺乳動物から得られた該T細胞がナイーブT細胞である、[50]~[51]のいずれか記載の方法。
[53]該ナイーブT細胞がナイーブ細胞傷害性Tリンパ球である、[52]記載の方法。
[54]該抗原受容体がキメラ抗原受容体である、[50]~[53]のいずれか記載の方法。
[55]該抗原受容体が腫瘍特異的抗原受容体である、[50]~[54]のいずれか記載の方法。
[56]該異種抗原受容体をコードする該核酸が、該核酸を含むウイルスベクターを使用して該T細胞内に導入される、[50]~[55]のいずれか記載の方法。
[57]該ウイルスベクターがレンチウイルスベクターである、[56]記載の方法。
[58]前記の操作されたT細胞を静脈内注射により該哺乳動物に投与する、[50]~[57]のいずれか記載の方法。
[59]前記の操作されたT細胞を該哺乳動物のリンパ節内への注射により該哺乳動物に投与する、[50]~[58]のいずれか記載の方法。
[60]該ウイルスがアデノウイルスまたはラブドウイルスである、[50]~[59]のいずれか記載の方法。
[61]該ウイルスを皮内注射により該哺乳動物に投与する、[50]~[60]のいずれか記載の方法。
[62]該ウイルスを該哺乳動物のリンパ節内への直接投与により該哺乳動物に投与する、[50]~[60]のいずれか記載の方法。
[63]該MHCクラスIポリペプチドが同種MHCクラスIポリペプチドである、[50]~[62]のいずれか記載の方法。
[64]該MHCクラスIポリペプチドがHLA-A、HLA-BまたはHLA-Cポリペプチドである、[50]~[63]のいずれか記載の方法。
[65]工程(c)で該哺乳動物内で活性化される前記の操作されたT細胞が天然T細胞受容体を含む、[50]~[64]のいずれか記載の方法。
[66]工程(c)が該哺乳動物における複数の操作されたT細胞を活性化する、[50]~[65]のいずれか記載の方法。
[67]前記の複数の操作されたT細胞の活性化T細胞が、異なる天然T細胞受容体を含む、[66]記載の方法。
[68]哺乳動物内で活性化T細胞を得るための方法であって、該活性化T細胞が異種抗原受容体を含み、ここで該方法が、(a)該異種抗原受容体をコードする核酸と、(b)MHCクラスIポリペプチドをコードする核酸を含むウイルスとを、哺乳動物に投与することを含み、該核酸が該哺乳動物内のT細胞内に導入されて該異種抗原受容体を含む操作されたT細胞が生成され、該ウイルスの投与が該哺乳動物内のT細胞を活性化し、該哺乳動物内の少なくとも1つのT細胞が該異種抗原受容体を含み、かつ活性化される、方法。
[69]該哺乳動物がヒトである、[68]記載の方法。
[70]前記の少なくとも1つのT細胞が細胞傷害性Tリンパ球である、[68]~[69]のいずれか記載の方法。
[71]該抗原受容体がキメラ抗原受容体である、[68]~[70]のいずれか記載の方法。
[72]該抗原受容体が腫瘍特異的抗原受容体である、[68]~[71]のいずれか記載の方法。
[73]該異種抗原受容体をコードする該核酸を、該核酸を含むウイルスベクターを使用して該T細胞内に導入する、[68]~[72]のいずれか記載の方法。
[74]該ウイルスベクターがレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクターである、[73]記載の方法。
[75]該核酸を静脈内注射により該哺乳動物に投与する、[68]~[74]のいずれか記載の方法。
[76]該核酸を該哺乳動物のリンパ節内への注射により該哺乳動物に投与する、[68]~[74]のいずれか記載の方法。
[77]該ウイルスがアデノウイルスまたはラブドウイルスである、[68]~[76]のいずれか記載の方法。
[78]該ウイルスを皮内注射により該哺乳動物に投与する、[68]~[77]のいずれか記載の方法。
[79]該ウイルスを該哺乳動物のリンパ節内への直接投与により該哺乳動物に投与する、[68]~[77]のいずれか記載の方法。
[80]該ウイルスを該哺乳動物に投与する前に、該核酸を該哺乳動物に投与する、[68]~[79]のいずれか記載の方法。
[81]該異種抗原受容体をコードする核酸を、該核酸を含むレンチウイルスベクターを使用して該T細胞内に導入する、[80]記載の方法。
[82]該ウイルスを該哺乳動物に投与した後、該核酸を該哺乳動物に投与する、[68]~[79]のいずれか記載の方法。
[83]該異種抗原受容体をコードする該核酸を、該核酸を含むレトロウイルスベクターを使用して該T細胞内に導入する、[82]記載の方法。
[84]該MHCクラスIポリペプチドが同種MHCクラスIポリペプチドである、[68]~[83]のいずれか記載の方法。
[85]該MHCクラスIポリペプチドがHLA-A、HLA-BまたはHLA-Cポリペプチドである、[68]~[84]のいずれか記載の方法。
[86]前記の少なくとも1つのT細胞が天然T細胞受容体を含む、[68]~[85]のいずれか記載の方法。
[87]前記の少なくとも1つのT細胞が、該異種抗原受容体を含む複数の活性化T細胞である、[68]~[86]のいずれか記載の方法。
[88]前記の複数の活性化T細胞のそれぞれの活性化T細胞が、異なる天然T細胞受容体を含む、[87]記載の方法。
[89]MHCクラスIポリペプチドをコードする核酸を含む単離されたウイルス。
[90]該ウイルスがピコルナウイルス、アデノウイルスまたはラブドウイルスである、[89]記載のウイルス。
[91]該ウイルスが複製欠損型である、[89]~[90]のいずれか記載のウイルス。
[92]該MHCクラスIポリペプチドがヒトMHCクラスIポリペプチドである、[89]~[91]のいずれか記載のウイルス。
[93]該MHCクラスIポリペプチドが、配列番号4に記載されたアミノ酸配列を含む、[89]~[92]のいずれか記載のウイルス。
[94]抗原受容体をコードする核酸を含む第1ウイルスを含む第1容器と、[89]~[93]のいずれか記載の第2ウイルスを含む第2容器とを含むキット。
[95]該第1ウイルスがレンチウイルスまたはレトロウイルスである、[94]記載のキット。
[96]該抗原受容体がキメラ抗原受容体である、[94]~[95]のいずれか記載のキット。
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