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特許7416649電子時計、電子時計の制御方法、及び電子時計制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電子時計、電子時計の制御方法、及び電子時計制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G04C 10/00 20060101AFI20240110BHJP
   G04C 3/14 20060101ALI20240110BHJP
   G04G 19/08 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G04C10/00 Z
G04C3/14 G
G04G19/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020045053
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021148437
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】502366745
【氏名又は名称】セイコーウオッチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】中村 征幸
(72)【発明者】
【氏名】野邉 哲也
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-184001(JP,A)
【文献】特開2010-243193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00 - 99/00
G04G 3/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準位置を基準として回転する指針と、
前記指針が所定の範囲を超えて回転することを制限する部材である復帰部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
所定以上の電力を消費する処理である重負荷処理が行われているか否かを判定する重負荷処理判定部と、
前記重負荷処理判定部の判定結果に基づいて、前記重負荷処理が行われている時期において前記指針を所定のパターンにおいて回転させる重負荷処理運針制御部と、
前記重負荷処理判定部の判定結果に基づいて、前記重負荷処理が終了した場合、前記指針を前記復帰部を用いて前記基準位置に復帰させる復帰実行部と、
を備え
前記復帰実行部は、前記重負荷処理判定部が前記重負荷処理が終了したと判定した場合、前記指針を前記復帰部の位置まで回転させた後、所定のステップ数に基づいて前記基準位置に復帰させる
電子時計。
【請求項2】
前記制御部は、
前記指針を回転させる動力源に電気エネルギーを供給する電池の電圧の値を示す電圧データを取得する電圧データ取得部と、
前記重負荷処理が行われている時期において前記電圧データにより示される前記電圧の値が所定の値以下であるか否かを判定する電圧判定部と、
前記電圧データにより示される前記電圧の値が所定の値以下であると判定された場合、前記重負荷処理を終了させる重負荷処理終了部と、
をさらに備える請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記復帰部の位置から前記基準位置までの、前記指針が回転する方向の距離は所定の距離以下である
請求項1または請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記指針は、所定の範囲を往復する
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の電子時計。
【請求項5】
前記指針が回転する範囲は、前記重負荷処理が行われている場合と前記重負荷処理が行われていない場合とで異なる
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の電子時計。
【請求項6】
前記指針は、通信機能に関する情報を示すための指針である
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の電子時計。
【請求項7】
基準位置を基準として回転する指針と、前記指針が所定の範囲を超えて回転することを制限する部材である復帰部と、を備える電子時計の制御方法であって、
所定以上の電力を消費する処理である重負荷処理が行われているか否かを判定し、
前記判定の結果に基づいて、前記重負荷処理が行われている時期において指針を所定のパターンにおいて回転させ、
前記判定の結果に基づいて、前記重負荷処理が終了した場合、前記指針を基準位置に復帰させ、
前記重負荷処理が終了したと判定した場合、前記指針を前記復帰部の位置まで回転させた後、所定のステップ数に基づいて前記基準位置に復帰させる
電子時計の制御方法。
【請求項8】
基準位置を基準として回転する指針と、
前記指針が所定の範囲を超えて回転することを制限する部材である復帰部と、
を備える電子時計に搭載された制御回路に、
所定以上の電力を消費する処理である重負荷処理が行われているか否かを判定する重負荷処理判定機能と、
前記重負荷処理判定機能の判定結果に基づいて、前記重負荷処理が行われている時期において前記指針を所定のパターンにおいて回転させる重負荷処理運針制御機能と、
前記重負荷処理判定機能の判定結果に基づいて、前記重負荷処理が終了した場合、前記指針を前記復帰部を用いて前記基準位置に復帰させる復帰実行機能と、
を実現させ
前記復帰実行機能において、前記重負荷処理判定機能において前記重負荷処理が終了したと判定した場合、前記指針を前記復帰部の位置まで回転させた後、所定のステップ数に基づいて前記基準位置に復帰させる
電子時計制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計、電子時計の制御方法、及び電子時計制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電池の電圧低下時に、指針の位置を見失わないように第二の電源を使って指針を基準位置まで移動してから機能停止するアナログ電子時計が知られている(特許文献1)。また、従来技術では、Bluetooth(登録商標)のアドバタイズ中や通信処理中など、負荷により電圧低下の可能性がある時期において運針を停止していた。これは、Bluetooth動作はハードウェアで動作しており、動作負荷が非同期かつ、マイコンでタイミングを把握できないためである。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のアナログ電子時計では、第二の電源が必要であり、かつ、第二の電源は基準位置まで移動できるだけの容量が必要である。そのため、追加部品が必要となりコストが増大するだけでなく、仮に第二の電源の容量が足りずに基準位置まで戻れなかった場合は、指針の位置を見失うことになる。
第二の電源を使わずに第一の電源だけで重負荷処理中に運針した場合、重負荷と運針のタイミングによっては電圧が低下し、運針がミスしてしまう場合がある。その場合の電圧低下は検出できても、運針がミスしたかどうかは判別できないため、基準位置がずれてしまったかどうか判別できない。
【0004】
また、従来技術では、Bluetoothのアドバタイズ中や通信処理中に瞬間的な電圧低下が起きた場合、運針停止が間に合わず、運針ミスにより基準位置がずれてしまう。そのため、Bluetoothのアドバタイズ中や通信処理中は運針ができず、特定の箇所(3時位置など)を指針に指示させることによってアドバタイズ中であることや通信処理中であることを表していた。この動作では指針の動きがないため、電子時計自体が動作しているのか分かりにくかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-021888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、重負荷処理中に運針を行いつつ重負荷処理後に指針を基準位置へと復帰できる電子時計、電子時計の制御方法、及び電子時計制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る電子時計は、基準位置を基準として回転する指針と、前記指針が所定の範囲を超えて回転することを制限する部材である復帰部と、制御部と、を備え、前記制御部は、所定以上の電力を消費する処理である重負荷処理が行われているか否かを判定する重負荷処理判定部と、前記重負荷処理判定部の判定結果に基づいて、前記重負荷処理が行われている時期において前記指針を所定のパターンにおいて回転させる重負荷処理運針制御部と、前記重負荷処理判定部の判定結果に基づいて、前記重負荷処理が終了した場合、前記指針を前記復帰部を用いて前記基準位置に復帰させる復帰実行部と、を備え、前記復帰実行部は、前記重負荷処理判定部が前記重負荷処理が終了したと判定した場合、前記指針を前記復帰部の位置まで回転させた後、所定のステップ数に基づいて前記基準位置に復帰させる
【0008】
また、本発明の一態様に係る電子時計において、前記制御部は、前記指針を回転させる動力源に電気エネルギーを供給する電池の電圧の値を示す電圧データを取得する電圧データ取得部と、前記重負荷処理が行われている時期において前記電圧データにより示される前記電圧の値が所定の値以下であるか否かを判定する電圧判定部と、前記電圧データにより示される前記電圧の値が所定の値以下であると判定された場合、前記重負荷処理を終了させる重負荷処理終了部と、をさらに備える。
【0010】
また、本発明の一態様に係る電子時計において、前記復帰部の位置から前記基準位置までの、前記指針が回転する方向の距離は所定の距離以下である。
【0011】
また、本発明の一態様に係る電子時計において前記指針は、所定の範囲を往復する。
【0012】
また、本発明の一態様に係る電子時計において、前記指針が回転する範囲は、前記重負荷処理が行われている場合と前記重負荷処理が行われていない場合とで異なる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る電子時計において、前記指針は、通信機能に関する情報を示すための指針である。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る電子時計の制御方法は、基準位置を基準として回転する指針と、前記指針が所定の範囲を超えて回転することを制限する部材である復帰部と、を備える電子時計の制御方法であって、所定以上の電力を消費する処理である重負荷処理が行われているか否かを判定し、前記判定の結果に基づいて、前記重負荷処理が行われている時期において指針を所定のパターンにおいて回転させ、前記判定の結果に基づいて、前記重負荷処理が終了した場合、前記指針を基準位置に復帰させ、前記重負荷処理が終了したと判定した場合、前記指針を前記復帰部の位置まで回転させた後、所定のステップ数に基づいて前記基準位置に復帰させる
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る電子時計制御プログラムは、基準位置を基準として回転する指針と、前記指針が所定の範囲を超えて回転することを制限する部材である復帰部と、を備える電子時計に搭載された制御回路に、所定以上の電力を消費する処理である重負荷処理が行われているか否かを判定する重負荷処理判定機能と、前記重負荷処理判定機能の判定結果に基づいて、前記重負荷処理が行われている時期において前記指針を所定のパターンにおいて回転させる重負荷処理運針制御機能と、前記重負荷処理判定機能の判定結果に基づいて、前記重負荷処理が終了した場合、前記指針を前記復帰部を用いて前記基準位置に復帰させる復帰実行機能と、を実現させ、前記復帰実行機能において、前記重負荷処理判定機能において前記重負荷処理が終了したと判定した場合、前記指針を前記復帰部の位置まで回転させた後、所定のステップ数に基づいて前記基準位置に復帰させる
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、重負荷処理中に運針を行いつつ重負荷処理後に指針を基準位置へと復帰できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る電子時計の構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る動力原駆動回路及び動力源の構成の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る電子時計が通信端末と無線通信をする携帯の一例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る電子時計が備えるボタン及び指針の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係るアドバタイズが実行されている場合の指針の動きの一例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る基準位置復帰処理の一例を示す図である。
図7】第2の実施形態に係る電子時計の構成の一例を示す図である。
図8】第2の実施形態に係るアドバタイズが実行されている場合の表示針の動きの一例を示す図である。
図9】第2の実施形態に係る基準位置復帰処理の一例を示す図である。
図10】第2の実施形態に係る度当たりの位置まで回転した表示針の位置の一例を示す図である。
図11】第2の実施形態に係る基準位置に復帰した表示針の位置の一例を示す図である。
図12】実施形態の変形例に係る電子時計が備える指針の一例を示す図である。
図13】実施形態の変形例に係る電子時計が備える複数の指針と度当たりとの高さの関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る電子時計1の構成の一例を示す図である。電子時計1は、発振回路11と、分周回路12と、入力回路13と、ボタン13Aと、ボタン13Bと、ボタン13Cと、制御回路14と、駆動信号発生回路15と、電池16と、動力源駆動回路17と、動力源18と、指針19と、機能部20と、位置検出センサ21とを備える。
【0019】
発振回路11は、所定の周波数を有する信号を発生させ、発生した信号を分周回路12に送信する。分周回路12は、発振回路11から受信した信号を分周して計時の基準となる時計信号を発生させ、発生した時計信号を制御回路14に送信する。入力回路13は、ユーザが電子時計1を操作することにより生成された信号を受信し、受信した信号を制御回路14に送信する。このような信号は、例えば、ユーザが図1に示したボタン13A、ボタン13B又はボタン13Cを押下したり、一定時間以上押下し続けたりすることにより生成される。また、ユーザは、例えば、エンドユーザである。
【0020】
制御回路14は、分周回路12から受信した時計信号等に基づいて、電子時計1の各部に制御信号を送信し、電子時計1の各部の動作を制御する。また、制御回路14は、電源制御部141と、機能制御部142と、動力源制御部143とを備える。電源制御部141、機能制御部142、及び動力源制御部143各々の詳細については、後述する。
【0021】
駆動信号発生回路15は、制御回路14から受信した制御信号に基づいて、動力源駆動回路17に駆動信号を送信する。この駆動信号は、例えば、ハイレベルのゲート信号又はローレベルのゲート信号を含む櫛歯状の電圧パルス、矩形の電圧パルスである。また、駆動信号発生回路15は、ハイレベルのゲート信号とローレベルのゲート信号の比率を調整することにより、駆動信号のデューティ比を調整することができる。
【0022】
電池16は、例えば、酸化銀電池、アルカリボタン電池、リチウム電池であり、駆動信号発生回路15が駆動信号を生成するために必要な電気エネルギーを駆動信号発生回路15に供給する。また、電池16は、機能部20が後述する機能を実行するために必要な電気エネルギーを機能部20に供給する。なお、電池16は、駆動信号発生回路15及び機能部20だけではなく、発振回路11、分周回路12、入力回路13、制御回路14、及び位置検出センサ21の少なくとも一つに電気エネルギーを供給してもよい。
【0023】
動力源駆動回路17は、駆動信号発生回路15から受信した駆動信号に基づいて動力源18を制御する。
動力源18は、ステッピングモータ2を少なくとも一つ含む。ステッピングモータ2は、例えば、後述する時針191H、分針191M及び表示針192の少なくとも一つを文字盤D上で所定の方向に回転させる。表示針192は、時刻を表示する機能以外の機能を有する。
【0024】
ここで図2を参照し、動力源駆動回路17及び動力源18の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る動力源駆動回路17及び動力源18の構成の一例を示す図である。図2に示すように、動力源駆動回路17は、トランジスタTP1と、トランジスタTP2と、トランジスタTP3と、トランジスタTP4と、トランジスタTN1と、トランジスタTN2と、検出抵抗Rs1と、検出抵抗Rs2と、端子ОUT1と、端子ОUT2とを備える。
【0025】
トランジスタTP1、トランジスタTP2、トランジスタTP3及びトランジスタTP4は、PチャネルのMОSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)であり、ハイレベルのゲート信号を受信するとオンになり、ローレベルのゲート信号を受信するとオフになる。また、トランジスタTN1及びトランジスタTN2は、NチャネルのMОSFETであり、ハイレベルのゲート信号を受信するとオフになり、ローレベルのゲート信号を受信するとオンになる。なお、ハイレベルの電位は、動力源駆動回路17の電源電圧であるVDDと等しい電位である。また、ローレベルの電位は、0V又は基準電圧であるVSSと等しい電位である。
【0026】
トランジスタTP1、トランジスタTP2、トランジスタTP3及びトランジスタTP4のドレインは、互いに電気的に接続されており、動力源駆動回路17の電源電圧であるVDDが供給される。トランジスタTP3のソースは、検出抵抗Rs1の一端に電気的に接続されている。また、トランジスタTP1のソース、トランジスタTN1のソース及び検出抵抗Rs1の他端は、端子ОUT1に電気的に接続されている。トランジスタTP4のソースは、検出抵抗Rs2の一端に電気的に接続されている。また、トランジスタTP4のソース、トランジスタTN2のソース及び検出抵抗Rs2の他端は、端子ОUT2に電気的に接続されている。トランジスタTN1及びトランジスタTN2のソースは、互いに電気的に接続されており、0V又は基準電圧であるVSSが供給される。
【0027】
図1に戻って電子時計1の構成の説明を続ける。
機能部20は、電子時計1において時刻を表示する機能以外の機能を実行する。機能部20は、一例として、外部機器と無線通信を行う無線通信モジュールを備える。機能部20は、Bluetooth(登録商標)等の無線通信を実行する。なお、無線通信モジュールが行う通信は、ブルートゥース(登録商標)に限定されず、種々の通信方式を採用可能である。無線通信モジュールは、時刻情報や位置情報等を、通信アンテナを介して外部機器と無線通信する機能を有している。外部機器としては、例えば携帯端末或いはサーバ等が挙げられるが、特定の機器に限定されるものではない。通信アンテナは必須なものではなく、具備しなくても構わない。図3に電子時計1が、外部機器の一例として通信端末Mと無線通信をする形態を示す。
機能部20は、電力が供給されている動作状態と、電力が供給されていない非動作状態とを有する。つまり、機能部20は間欠的に駆動される。
【0028】
ここで図4及び図5を参照し、電子時計1が備えるボタン及び指針について説明する。図4は、本実施形態に係る電子時計1が備えるボタン及び指針の一例を示す図である。図4に示すように、電子時計1は、文字盤Dと、ボタン13Aと、ボタン13Bと、ボタン13Cと、時針191Hと、分針191Mと、軸191Xと、表示針192と、軸192Xとを備える。時針191H、分針191M、及び表示針192は、基準位置を基準として回転する指針である。
【0029】
時針191H、分針191M及び表示針192は、いずれも上述した指針19に含まれる。時針191H及び分針191Mは、軸191Xに取り付けられている。また、軸191Xは、秒針が取り付けられていてもよい。一方、表示針192は、軸191Xと文字盤D上における位置が異なる軸192Xに取り付けられている。
【0030】
表示針192は、時刻を表示する機能以外の機能を有する。表示針192は、例えば、AMとPMとの区別を示す機能を有する。表示針192は、現在がAMである場合、文字盤Dにおいて「AM」の文字の位置を示し、現在がPMである場合、文字盤Dにおいて「PM」の文字の位置を示す。
【0031】
表示針192は、文字盤Dのうち最も広い面を基準とした高さが指針19よりも低い位置又は高い位置で回転する。ここで表示針192は、軸191Xと軸192Xとの間の距離よりも長い。したがって、表示針192は、軸191Xが存在する高さで回転する場合、文字盤D上で軸191Xにぶつかるため、文字盤D上で回転可能な範囲が360度未満となる。このように軸191Xは、表示針192が所定の範囲を超えて移動することを制限する部材である。このような部材を、度あたりともいう。
なお、表示針192は、軸191Xが存在する高さで回転する場合又は軸191Xと軸192Xとの間の距離よりも短い場合、他に障害となる物体が存在しない限り、文字盤D上で回転可能な範囲が360度となる。
【0032】
本実施形態では、時針191Hは、時刻を表示する機能以外に無線通信の通信状態や通信結果を示す機能を有する。文字盤D上に設けられた表示領域Eは、無線通信の通信状態や通信結果を示すための領域である。表示領域Eにおいて「OFF」の文字は、無線通信が実行されていない状態を示す。「0」、「50」、及び「100」の文字はそれぞれ、無線通信によって外部機器から受信した外部機器の情報(目標達成割合や電池残量等)を示す。
【0033】
図5は、本実施形態に係るアドバタイズが実行されている場合の指針19の動きの一例を示す図である。本実施形態では、無線通信を開始するためのアドバタイズが開始されると、一例として、分針191M及び表示針192は停止する。一方、時針191Hは、アドバタイズが開始されると、文字「OFF」の位置から文字「0」の位置までの範囲において所定のパターンに基づいて回転する。例えば、時針191Hは、文字「OFF」の位置から文字「0」の位置までを所定の周期において往復する。
【0034】
なお、時針191Hのアドバタイズが実行されている時期における動きは上述した動きに限らない。時針191Hは、アドバタイズが実行されている時期において、時計周りまたは半時計周りに回転してもよい。
【0035】
アドバタイズが終了すると、時針191H及び分針191Mは時刻を示すための位置に戻る。一方、表示針192は、アドバタイズが終了すると、通信結果を示す位置において停止する。
【0036】
図1に戻って電子時計1の構成の説明を続ける。
位置検出センサ21は、時針191Hの位置を検出する。位置検出センサ21は、例えば、発光素子及び受光素子を有する光センサである。発光素子及び受光素子はそれぞれ、例えば発光ダイオード、フォトダイオードである。位置検出センサ21は、例えば、指針19と同期回転する歯車の透過孔を通過する光を検出することによって、指針19の位置を検出する。本実施形態では、位置検出センサ21は、時針191Hと同期回転する歯車の透過孔を通過する光を検出することによって、時針191Hの位置を検出する。
【0037】
次に制御回路14に備えられる電源制御部141、機能制御部142、及び動力源制御部143各々の詳細について説明する。
電源制御部141は、電池16から機能部20に供給される電力を制御する。具体的には、電源制御部141は、機能部20を動作状態に制御する場合には機能部20に対して電力を供給する。また、電源制御部141は、機能部20を非動作状態に制御する場合には機能部20に対して電力を供給しない。
【0038】
電源制御部141は、例えば、入力回路13から機能部20に動作をさせるための信号を受信した場合に、機能部20を動作状態に制御する。この信号は、ボタン13Aからボタン13Cのいずれかを介して、機能部20に動作をさせるための操作がユーザによって行われた場合に入力回路13によって生成される。
なお、電源制御部141は、所定の時期に機能部20を動作状態に制御してもよい。所定の時期とは、機能部20が実行する電子時計1において時刻を表示する機能以外の機能が無線通信である場合には、例えば、1日のうちの所定の時刻である。
【0039】
機能制御部142は、機能部20と信号線により接続され、機能部20の制御を行う。機能制御部142は、電源制御部141によって機能部20が動作状態に制御されている間、機能部20の制御を実行する。機能制御部142は無線通信モジュールである機能部20と、シリアルインタフェース、IC(Inter-Integrated Circuit、アイ・スクエア・シー)、SPI(シリアル・ペリフェラル・インタフェース)等の通信規格で通信を行う。
なお、この一例において、機能制御部142と機能部20との間で行われる通信方式は上記した通信規格に限定されない。
【0040】
動力源制御部143は、駆動信号発生回路15及び動力源駆動回路17を介して動力源18を制御する。動力源制御部143は、通常時運針制御部144と、機能動作時運針制御部145と、重負荷処理判定部146と、電圧データ取得部147と、電圧判定部148と、重負荷処理終了部149と、復帰実行部1410とを備える。動力源制御部143は、重負荷処理判定部と、重負荷処理運針制御部と、復帰実行部とを備える制御部の一例である。
【0041】
通常時運針制御部144は、機能部20が非動作状態にある場合に、動力源18を制御して指針19を回転させる。通常時運針制御部144は、分周回路12から受信した時計信号等に基づいて、時針191H、分針191M及び表示針192の少なくとも一つを文字盤D上で所定の方向に回転させるように、駆動信号発生回路15及び動力源駆動回路17を介して動力源18を制御する。
【0042】
機能動作時運針制御部145は、機能部20が動作状態にある場合に、動力源18を制御して時針191Hを回転させる。機能動作時運針制御部145は、例えば図5において示したような所定のパターンにおいて時針191Hを回転させる。ここで時針191Hを回転させるとは、時針191Hを所定の範囲の角度において回転させることである。
【0043】
重負荷処理判定部146は、所定以上の電力を消費する処理である重負荷処理が行われているか否かを判定する。重負荷処理判定部146は、例えば、電源制御部141が機能部20への電力の供給の有無に基づいて判定を行う。重負荷処理とは、例えば、機能部20によって実行される無線通信におけるアドバタイズである。なお、本実施形態では、機能部20によって実行される無線通信において、アドバタイズが成功した後に実行される無線通信は、重負荷処理には含まれない。
【0044】
電圧データ取得部147は、指針19を回転させる動力源18に電気エネルギーを供給する電池16の電圧の値である電圧値Vを示す電圧データVDを取得する。
電圧判定部148は、重負荷処理が行われている時期において電圧データVDにより示される電圧値Vが所定の値以下であるか否かを判定する。
重負荷処理終了部149は、電圧データVDにより示される電圧値Vが所定の値以下であると判定された場合、重負荷処理を終了させる。
【0045】
復帰実行部1410は、重負荷処理判定部146の判定結果に基づいて、重負荷処理が終了した場合、時針191Hを基準位置に復帰させる。復帰実行部1410は、位置検出センサ21による時針191Hの位置の検出結果に基づいて、時針191Hの位置の基準位置からのずれ量を算出し、算出したずれ量に基づいて時針191Hを基準位置に復帰させる。位置検出センサ21は、指針の位置の基準位置からのずれ量に基づいて指針を基準位置に復帰させるための復帰部の一例である。
【0046】
次に図6を参照し、電子時計1の動作の一例を説明する。図6は、本実施形態に係る基準位置復帰処理の一例を示す図である。基準位置復帰処理は、重負荷処理が終了した場合に重負荷処理の過程において回転する指針を基準位置に復帰させるための処理である。基準位置復帰処理は、動力源制御部143によって実行される。
【0047】
重負荷処理判定部146は、重負荷処理が開始されたか否かを判定する(ステップS10)。重負荷処理判定部146は、電源制御部141が機能部20への電力の供給を開始すると重負荷処理が開始されたと判定する。重負荷処理判定部146が重負荷処理が開始されたと判定した場合(ステップS10;YES)、動力源制御部143はステップS20の処理を実行する。一方、重負荷処理判定部146が重負荷処理が開始されていないと判定した場合(ステップS10:NO)、動力源制御部143は、ステップS10の処理を再度実行する。
【0048】
機能動作時運針制御部145は、所定のパターンにおいて時針191Hを回転させる(ステップS20)。機能動作時運針制御部145は、重負荷処理判定部146の判定結果に基づいて、重負荷処理が行われている時期において指針を所定のパターンにおいて回転させる重負荷処理運針制御部の一例である。
【0049】
重負荷処理判定部146は、重負荷処理が終了したか否かを判定する(ステップS30)。重負荷処理判定部146は、電源制御部141が機能部20への電力の供給を停止すると重負荷処理が終了したと判定する。重負荷処理判定部146が重負荷処理が終了したと判定した場合(ステップS30;YES)、動力源制御部143は、基準位置復帰処理を終了する。一方、重負荷処理判定部146が重負荷処理が終了していないと判定した場合(ステップS30;NO)、動力源制御部143は、ステップS40の処理を実行する。
【0050】
電圧判定部148は、電池16の電圧の値が所定の値以下であるか否かを判定する(ステップS40)。電圧判定部148は、電圧データ取得部147が取得する電圧データVDにより示される電圧値Vに基づいて判定を行う。電圧判定部148が電池16の電圧の値が所定の値以下であると判定する場合(ステップS40;YES)、動力源制御部143は、ステップS50の処理を実行する。一方、電圧判定部148が電池16の電圧の値が所定の値以下でないと判定する場合(ステップS40;NO)、動力源制御部143は、ステップS30の処理を再度実行する。
【0051】
重負荷処理終了部149は、重負荷処理を終了させる(ステップS50;NO)。重負荷処理終了部149は、電源制御部141に機能部20への電力の供給を停止させることによって重負荷処理を終了させる。
【0052】
復帰実行部1410は、時針191Hの位置の検出結果に基づいて、時針191Hを基準位置に復帰させる(ステップS60;NO)。ここで復帰実行部1410は、重負荷処理判定部の判定結果が重負荷処理が終了したことを示す場合に、時針191Hを基準位置に復帰させる。復帰実行部1410は、位置検出センサ21による時針191Hの位置の検出結果に基づいて、時針191Hの位置の基準位置からのずれ量を算出する。復帰実行部1410は、算出したずれ量に基づいて時針191Hを基準位置に復帰させる。時針191Hの基準位置は、一例として文字盤Dにおいて文字「0」の位置である。
【0053】
上述したように復帰実行部1410は、重負荷処理終了部149の判定結果に基づいて、重負荷処理が終了した場合、時針191Hを、位置検出センサ21による時針191Hの位置の検出結果を用いて基準位置に復帰させる。
以上で、動力源制御部143は、基準位置復帰処理を終了する。
【0054】
本実施形態では、時針191Hが、重負荷処理中に回転して、重負荷処理後に復帰部によって基準位置に復帰される指針である場合の一例について説明したが、これに限らない。分針191Mが重負荷処理中に回転して、重負荷処理後に復帰部によって基準位置に復帰されてもよい。その場合、復帰実行部1410は、位置検出センサ21による分針191Mの位置の検出結果に基づいて、分針191Mの位置の基準位置からのずれ量を算出する。
【0055】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
上記第1の実施形態では、電子時計は、重負荷処理の過程において回転する指針の位置を位置検出センサ21によって検出し、当該指針の位置の基準位置からのずれ量に基づいて当該指針を基準位置に復帰させる場合について説明をした。本実施形態では、電子時計が、度当たりの位置と基準位置とのずれ量に基づいて、重負荷処理の過程において回転する指針を基準位置に復帰させる場合について説明をする。
本実施形態に係る電子時計を電子時計1aという。
【0056】
図7は、本実施形態に係る電子時計1aの構成の一例を示す図である。本実施形態に係る電子時計1a(図7)と第1の実施形態に係る電子時計1(図1)とを比較すると、電子時計1aでは、位置検出センサ21が備えられていない点と、動力源制御部143a及び指針19aの構成とが異なる。ここで、他の構成要素が持つ機能は第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と同じ機能の説明は省略し、第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0057】
本実施形態では、表示針192aは、例えば、機能部20が実行する無線通信の通信状態を示す機能を有する。つまり、表示針192aは、通信機能に関する情報を示すための指針である。一方、本実施形態では、時針191Hは、時刻を表示する機能のみを有する。
【0058】
動力源制御部143aは、通常時運針制御部144と、機能動作時運針制御部145aと、重負荷処理判定部146と、電圧データ取得部147と、電圧判定部148と、重負荷処理終了部149と、復帰実行部1410aとを備える。動力源制御部143aは、機能動作時運針制御部145a及び復帰実行部1410aを備える点が、図1に示した動力源制御部143の構成と異なる。
【0059】
機能動作時運針制御部145aは、機能部20が動作状態にある場合に、動力源18を制御して表示針192aを所定のパターンにおいて回転させる。
【0060】
復帰実行部1410aは、重負荷処理が終了した場合、表示針192aを度当たりの位置まで回転させた後、所定のステップ数に基づいて表示針192aを基準位置に復帰させる。ここで度当たりは、文字盤Dに備えられた軸191Xである。軸191Xは、表示針192aが所定の範囲を超えて回転することを制限する部材である。軸191Xは、指針の位置の基準位置からのずれ量に基づいて指針を基準位置に復帰させるための復帰部の一例である。所定のステップ数とは、度当たりである軸191Xの位置と、基準位置とのずれ量を、動力源18に備えらえるステップモータのステップ数を単位として数えた数である。
【0061】
次に図9を参照し、電子時計1aの動作の一例を説明する。図9は、本実施形態に係る基準位置復帰処理の一例を示す図である。なお、ステップS110、ステップS130、ステップS140、及びステップS150の各処理は、図6におけるステップS10、ステップS30、ステップS40、及びステップS50の各処理と同様であるため、説明を省略する。
【0062】
機能動作時運針制御部145aは、所定のパターンにおいて表示針192を回転させる(ステップS120)。
【0063】
ここで図8を参照し、アドバタイズが実行されている場合の指針19aの動きについて説明する。図8は、本実施形態に係るアドバタイズが実行されている場合の表示針192aの動きの一例を示す図である。無線通信を開始するためのアドバタイズが開始されると、時針191H及び分針191Mは停止する。一方、表示針192aは、アドバタイズが開始されると、文字「OFF」の位置から文字「0」の位置までの範囲において所定のパターンに基づいて回転する。表示針192aは、例えば、250ms毎に文字「OFF」の位置から文字「0」の位置まで所定の角度ずつ回転して、文字「0」の位置に到達すると、500msの間停止した後、文字「OFF」の位置まで戻る動きを、アドバタイズが開始されてから無線通信が開始されるまでの期間において繰り返す。
【0064】
表示針192aは、度当たりである軸191Xのために、回転できる範囲が制限されている。表示針192aは、所定の範囲を往復する。
【0065】
なお、アドバタイズが終了し、無線通信が行われている時期には、表示針192は、無線通信の状態に応じて表示領域Eのうち文字「0」の位置から文字「100」の位置の範囲を回転する。表示針192が回転する範囲は、アドバタイズが行われている場合とアドバタイズが行われていない場合とで異なる。つまり、表示針192が回転する範囲は、重負荷処理が行われている場合と重負荷処理が行われていない場合とで異なる。表示針192は、アドバタイズが行われている場合に、アドバタイズが行われていない場合に回転する範囲とは異なる範囲を回転するため、ユーザはアドバタイズが行われていることを視認しやすい。
【0066】
なお、アドバタイズが実行されている場合の表示針192aの動きの所定のパターンは、上述したパターンに限定されない。例えば、表示針192aは、アドバタイズ中に文字「OFF」の位置から文字「0」の位置までを所定の周期において往復して移動してもよい。
【0067】
アドバタイズが終了すると、時針191H及び分針191Mは時刻を示すための位置に戻る。一方、表示針192aは、アドバタイズが終了すると、通信結果を示す位置において停止する。
【0068】
図9に戻って基準位置復帰処理の説明を続ける。
復帰実行部1410aは、重負荷処理が終了した場合、表示針192aを度当たり(軸191X)の位置まで回転させる(ステップS160)。図10は、度当たりの位置まで回転した表示針192aの位置の一例を示す図である。図10において、表示針192a-1は、重負荷処理が停止された直後の表示針192aの位置を示し、表示針192a-2は、度当たりの位置まで回転した表示針192aの位置を示す。本実施形態では、一例として、復帰実行部1410aは、表示針192aを反時計周りに回転させて度当たり(軸191X)の位置まで回転させる。
【0069】
復帰実行部1410aは、所定のステップ数に基づいて表示針192aを基準位置に復帰させる(ステップS170)。図11は、基準位置に復帰した表示針192aの位置の一例を示す図である。図11において、表示針192の基準位置は、一例として文字盤Dにおいて文字「0」の位置である。表示針192a-3は、基準位置に復帰した表示針192aの位置を示す。
【0070】
ここで、本実施形態に係る電子時計1aでは、度当たり(軸191X)の位置から基準位置(文字「0」の位置)までの、表示針192が回転する方向の距離が所定の距離以下となるように、文字盤Dにおいて軸191X、及び軸192Xは配置されている。そのため、表示針192が度当たり(軸191X)の位置から基準位置(文字「0」の位置)に復帰するためのステップ数は所定のステップ数以下となる。電子時計1aでは、表示針192を基準位置に復帰させるための消費電力を、度当たり(軸191X)の位置から基準位置(文字「0」の位置)までの、表示針192が回転する方向の距離が所定の距離以下となっていな場合に比べて少なくできる。
以上で、動力源制御部143aは、基準位置復帰処理を終了する。
【0071】
上述のステップS160及びステップS170において説明したように、復帰実行部1410aは、重負荷処理判定部146が重負荷処理が終了したと判定した場合、表示針192aを度当たり(軸191X)の位置まで回転させた後、所定のステップ数に基づいて基準位置に復帰させる。
【0072】
なお、ステップS160において、復帰実行部1410aは、表示針192aを時計周りに回転させて度当たり(軸191X)の位置まで回転させてもよい。度当たりの位置まで表示針192aを回転させる方向について、時計回りと半時計周りとのうち、重負荷処理が行われている時期に表示針192aが回転する範囲に含まれる位置から、度当たりまでの回転方向の距離が短い方が選択された方が、消費電力を少なくできるため好ましい。
【0073】
本実施形態に係る電子時計1aでは、上述した第1の実施形態に係る電子時計1に比べて位置検出センサ21を備えていない点で、部品の数が少ない。電子時計1aでは、第1の実施形態に係る電子時計1に比べて簡素な構成によって、重負荷処理中に運針を行いつつ重負荷処理後に指針を基準位置へと復帰できる。
【0074】
以上に説明したように、本実施形態に係る電子時計1、1aは、基準位置を基準として回転する指針(上述した各実施形態において時針191Hまたは表示針192)と、指針の位置の基準位置からのずれ量に基づいて指針を基準位置に復帰させるための復帰部(上述した各実施形態において位置検出センサ21または軸191X)と、制御部(上述した各実施形態において動力源制御部143、143a)を備える。
制御部は、重負荷処理判定部146と、重負荷処理運針制御部(上述した各実施形態において機能動作時運針制御部145)と、復帰実行部1410とを備える。
重負荷処理判定部146は、所定以上の電力を消費する処理である重負荷処理が行われているか否かを判定する。
重負荷処理運針制御部は、重負荷処理判定部146の判定結果に基づいて、重負荷処理が行われている時期において指針(上述した各実施形態において時針191Hまたは表示針192)を所定のパターンにおいて回転させる。
復帰実行部1410は、重負荷処理判定部146の判定結果に基づいて、重負荷処理が終了した場合、指針(上述した各実施形態において時針191Hまたは表示針192)を復帰部(上述した各実施形態において位置検出センサ21または軸191X)を用いて基準位置に復帰させる。
【0075】
この構成により、上述した各実施形態に係る電子時計1、1aでは、指針の位置の基準位置からのずれ量に基づいて指針を基準位置に復帰させるための復帰部を備えて、かつ
重負荷処理(アドバタイズなど)が行われている時期において当該指針を所定のパターンにおいて回転させることができるため、重負荷処理中に運針を行いつつ重負荷処理後に指針を基準位置へと復帰できる。電子時計1、1aでは、電池の電圧低下時に指針を基準位置まで移動させてから機能停止するための電源を別途設ける必要がない。
【0076】
上述した各実施形態に係る電子時計1、1aでは、電池16の電圧が低下する恐れのある重負荷処理が行われている時期において、電池16の電圧の値が所定の値以下であるか否かを判定して電池16の電圧の値が所定の値以下である場合に、重負荷処理を終了させた後、指針を基準位置に復帰させる。ここで重負荷処理が行われている時期であっても、電池16の電圧の値が所定の値以下とならない場合には、指針の運針がミスして基準位置からずれてしまうとは限らない。指針を基準位置に復帰させる動作には、所定の電力を消費するため、指針が基準位置からずれてない場合に当該動作が行われると余分な電力を消費してしまう。
電子時計1、1aでは、重負荷処理が行われている時期において電池16の電圧の値が所定の値以下となった場合に指針を基準位置に復帰させるため、指針を基準位置に復帰させる動作を不必要に行うことを抑止でき、所定の電力を消費することを抑止できる。
【0077】
なお、図6に示した基準位置復帰処理においてステップS40及びステップS60の処理が省略されてもよい。つまり、基準位置復帰処理において、電圧データVDにより示される電圧値Vが所定の値以下であると判定された場合に重負荷処理を終了させる処理が省略されてもよい。その場合、重負荷処理が終了すると、電圧値Vによらずに指針を基準位置に復帰させる処理が実行される。同様に、図9に示した基準位置復帰処理においてステップS140及びステップS160の処理が省略されてもよい。それらの場合、動力源制御部143の構成から電圧データ取得部147及び電圧判定部148が省略されてよい。
【0078】
上述した電子時計1aでは、表示針192が、時針191H及び分針191Mが取り付けられている軸191X以外の軸192Xに取り付けられている場合の一例について説明したが、これに限らない。表示針は、時針191H及び分針191Mが取り付けられている軸191Xに取り付けられてもよい。その場合、この表示針は、軸191Xとは別に設けられた度当たりによって、所定の範囲を超えて回転することが制限される。
【0079】
図12、及び図13は、表示針192bが時針191H及び分針191Mが取り付けられている軸191Xに取りつけられている場合の指針の一例を示す図である。文字盤Dbにおいて、表示針192bは、時針191H及び分針191Mが取り付けられている軸191Xに取りつけられている。表示針192bは、度当たりSTによって所定の範囲を超えて回転することが制限されている。ここで表示針192は、時針191H及び分針191Mよりも低い位置において軸191Xに取り付けられている。また、図13に示すように、度当たりSTの高さは、時針191H及び分針191Mが軸191Xに取り付けられている位置の高さよりも低く、かつ表示針192bが軸191Xに取り付けられている位置の高さよりも高い。
表示領域Ebは、無線通信の通信状態や通信結果を示すための領域である。表示針192bは、無線通信の通信状態や通信結果に応じて表示領域Ebの所定の文字を指し示す。
【0080】
なお、上述した各実施形態では、表示針192が無線通信の通信状態や通信結果を示す場合、あるいはAMとPMとの区別を示す場合の一例について説明したが、これに限らない。表示針192、192aは、電子時計1、1aが示す時刻について、当該時刻がいずれの都市の時刻を示すかを示してもよい。
また、別の例として、表示針192、192aは、電子時計1、1aが無線通信を行う通信端末Mについての情報を示してもよい。例えば、表示針192、192aは、通信端末Mについて、機内モードのオンオフ、アクティブ状態またはスリープ状態の区別、電池の残量、メール通知の有無、次回に通信を行う時期などの情報を示してもよい。
【0081】
なお、上述した各実施形態では、機能部20が無線モジュールである場合の一例について説明したが、これに限らない。機能部20は、文字盤Dを照明するライトであってもよい。また、機能部20は、ブザー音を鳴らす音源及びスピーカであってもよい。ライトの点灯や、ブザー音を鳴らす処理は、所定以上の電力を消費する重負荷処理の一例である。
【0082】
なお、上述した電子時計1、1aが備える機能の全部又は一部は、プログラムとしてコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録され、このプログラムがコンピュータシステムにより実行されてもよい。コンピュータシステムは、周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置、インターネット等のネットワーク上のサーバ等が備える揮発性メモリ(Random Access Memory:RAM)である。なお、揮発性メモリは、一定時間プログラムを保持する記録媒体の一例である。
【0083】
また、上述したプログラムは、伝送媒体、例えば、インターネット等のネットワーク、電話回線等の通信回線により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
また、上記プログラムは、上述した機能の全部又は一部を実現するプログラムであってもよい。なお、上述した機能の一部を実現するプログラムは、上述した機能をコンピュータシステムに予め記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるプログラム、いわゆる差分プログラムであってもよい。
【0084】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1、1a…電子時計、19、19a…指針、191H…時針、191M…分針、192、192a…表示針、21…位置検出センサ、191X…軸、16…電池、14…制御回路、143…動力源制御部、146…重負荷処理判定部、145…機能動作時運針制御部、147…電圧データ取得部、148…電圧判定部、149…重負荷処理終了部、1410、1410a…復帰実行部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13