(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】マッサージ装置
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A61H7/00 320A
(21)【出願番号】P 2020064571
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】石橋 和馬
(72)【発明者】
【氏名】岡本 祐介
(72)【発明者】
【氏名】森元 学
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-000688(JP,A)
【文献】特開平03-237947(JP,A)
【文献】特開平10-216041(JP,A)
【文献】特開平10-085290(JP,A)
【文献】特開2009-018194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(2)と、該ケーシング(2)の装着壁(34)に配されて人体表面に押圧されるマッサージ体(3)と、該ケーシング(2)の内部に配されてマッサージ体(3)を往復動作させる駆動構造(4)とを備えており、
駆動構造(4)は、回転駆動源(36)と、回転駆動源(36)の回転運動を往復運動に変換する運動変換機構(39)とを含み、
運動変換機構(39)が、回転駆動源(36)で回転駆動されるカム原節(45)と、該カム原節(45)で往復駆動されるカム従節(46)とを備えるカム機構で構成されて
おり、
回転駆動源(36)は、該回転駆動源(36)の出力軸(38)の軸心がカム従節(46)の運動方向と一致する方向に設置され、回転駆動源(36)の出力軸(38)にカム原節(45)が連結されており、
カム原節(45)が、出力軸(38)で回転駆動されるピンフレーム(47)と、ピンフレーム(47)に設けられて出力軸(38)の周囲を回転するカムピン(48)で構成され、
カム従節(46)が、カムピン(48)と係合する波形溝(51)が凹み形成された中空円筒状の円筒カム(52)で構成され、
円筒カム(52)が、回転駆動源(36)の周囲に被さる状態で配されて、回転駆動源(36)に外嵌状に支持されており、
カムピン(48)および波形溝(51)が、出力軸(38)の軸心方向における回転駆動源(36)の長さ寸法幅内に収まる状態で配されていることを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
マッサージ体(3)は、ケーシング(2)に支持されて厚み方向に弾性変形可能な円盤状の弾性ベース(12)と、弾性ベース(12)の外面から外向きに突出形成されて人体表面に押圧される一群の突起(13)と、弾性ベース(12)の内面から内向きに突出形成されて、カム従節(46)に連結される連結体(14)とを含み、
カム従節(46)と連結体(14)とが連動体(65)を介して連動されている請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項3】
ケーシング(2)の内部は、該ケーシング(2)に固定された弾性変形可能な隔膜(76)で、マッサージ体(3)が配される装着壁(34)に臨む第1領域(74)と、駆動構造(4)が配される第2領域(75)とに区画されており、
連動体(65)が、隔膜(76)を水密状に貫通するとともに、貫通部分において隔膜(76)に固定されている請求項
2に記載のマッサージ装置。
【請求項4】
ケーシング(2)の第1領域(74)には、外部水源から水が供給される給水口(85)が設けられており、
マッサージ体(3)が配されたケーシング(2)の装着壁(34)に、第1領域(74)を介して給水口(85)から供給された水を吐出する一群の吐水口(86)が設けられている請求項
3に記載のマッサージ装置。
【請求項5】
第1領域(74)に、隔膜(76)から隔てた状態で給水口(85)から一群の吐水口(86)に至る通水路(87)が形成されている請求項4に記載のマッサージ装置。
【請求項6】
一群の吐水口(86)が、マッサージ体(3)の弾性ベース(12)の外周縁に臨む装着壁(34)に形成されている請求項4または5に記載のマッサージ装置。
【請求項7】
マッサージ体(3)
の弾性ベース(12)がリング状に形成されており、
一群の吐水口(86)が、弾性ベース(12)で囲まれる装着壁(34)に形成されている請求項
4または5に記載のマッサージ装置。
【請求項8】
マッサージ体(3)の弾性ベース(12)がリング状に形成されており、
一群の吐水口(86)が、マッサージ体(3)の弾性ベース(12)の外周縁に臨む装着壁(34)、および弾性ベース(12)で囲まれる装着壁(34)にそれぞれ形成されている請求項
4または5に記載のマッサージ装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮等の人体表面に対してマッサージ刺激を付与するマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のマッサージ装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1のマッサージ装置は、マッサージ体(施療部)と、該マッサージ体を支持する枠体と、該マッサージ体を動作させる駆動構造(駆動部)とを備えている。マッサージ体は、可撓性を有する円板状の基板と、該基板の面に対して交差する方向に突出形成された突起とを備え、基板が枠体で支持されている。駆動構造は、基板をその面と交差する方向に凹凸変形させる往復駆動手段を備えている。往復駆動手段は、減速機構を有するモータと、該モータのモータ軸に取り付けられたクランク機構と、該クランク機構の偏心軸に対して一側が回転自在に連結されると共に、他側が基板の略中央に対して揺動自在に連結されたコンロッドを備えている。モータは、モータ軸が基板の凹凸変形方向に沿う軸線に直交する姿勢で設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のマッサージ装置においては、クランク機構でモータの回転動力を往復運動に変換して基板を凹凸変形させるので、比較的簡素な構造でマッサージ体の突起を動作させることができる。しかし、クランク機構ではモータが一回転する毎にマッサージ体が一定の振幅で一往復されるのみであり、人体表面に対して単調なマッサージ刺激しか付与することができない。また、クランク機構ではマッサージ体を人体表面に押圧したときの反作用力のほとんどをコンロッドで受止めるので、コンロッド両端の軸と軸受けによる回転摺動部分が早期に摩耗しやすく、経時的な摩耗で当該部分のガタツキが増大すると、マッサージ体の動作がぎくしゃくする。
【0005】
本発明の目的は、比較的簡素な駆動構造でマッサージ体を動作させつつ、振幅に変化のあるマッサージ刺激を付与することができ、さらに長期にわたって良好な動作状態を維持できるマッサージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ケーシング2と、該ケーシング2の装着壁34に配されて人体表面に押圧されるマッサージ体3と、該ケーシング2の内部に配されてマッサージ体3を往復動作させる駆動構造4とを備えるマッサージ装置1を対象とする。駆動構造4は、回転駆動源36と、回転駆動源36の回転運動を往復運動に変換する運動変換機構39とを含む。そして、運動変換機構39が、回転駆動源36で回転駆動されるカム原節45と、該カム原節45で往復駆動されるカム従節46とを備えるカム機構で構成されていることを特徴とする。なお、ここで言う「カム原節」とは、カム機構において動きを伝える元となる側、すなわち駆動源側に連結されている部材のことを意味し、「カム従節」とは、カム原節から動きが伝えられて仕事をする部材を意味する。
【0007】
回転駆動源36は、該回転駆動源36の出力軸38の軸心がカム従節46の運動方向と直交する方向に設置され、回転駆動源36の出力軸38にカム原節45が連結されている。カム原節45は、周面にカム面151を有する偏芯カム152で構成され、カム従節46は、偏芯カム152のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を偏芯カム152に向かって付勢する付勢体155とを含んで構成されている。
【0008】
回転駆動源36は、該回転駆動源36の出力軸38の軸心がカム従節46の運動方向と一致する方向に設置され、回転駆動源36の出力軸38にカム原節45が連結されている。カム原節45は、端面に周回状のカム面151を有する端面カム180で構成され、カム従節46は、端面カム180のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を端面カム180に向かって付勢する付勢体155とを含んで構成されている。
【0009】
回転駆動源36は、該回転駆動源36の出力軸38の軸心がカム従節46の運動方向と一致する方向に設置され、回転駆動源36の出力軸38にカム原節45が連結されている。カムピン48を有するピンフレーム47、あるいはカムピン48と係合する波形溝51が凹み形成された円筒カム52のいずれか一方でカム原節45が構成され、残る他方でカム従節46が構成されている。
【0010】
円筒カム52は中空円筒状に形成されている。円筒カム52は回転駆動源36の周囲に被さる状態で配されて、カムピン48および波形溝51が、出力軸38の軸心方向における回転駆動源36の長さ寸法幅内に収まる状態で配されている。
【0011】
カム従節46は中空円筒状の円筒カム52で構成されている。
【0012】
マッサージ体3は、ケーシング2に支持されて厚み方向に弾性変形可能な円盤状の弾性ベース12と、弾性ベース12の外面から外向きに突出形成されて人体表面に押圧される一群の突起13と、弾性ベース12の内面から内向きに突出形成されて、カム従節46に連結される連結体14とを含む。カム従節46と連結体14とは連動体65を介して連動されている。
【0013】
ケーシング2の内部は、該ケーシング2に固定された弾性変形可能な隔膜76で、マッサージ体3が配される装着壁34に臨む第1領域74と、駆動構造4が配される第2領域75とに区画されている。連動体65は、隔膜76を水密状に貫通するとともに、貫通部分において隔膜76に固定されている。
【0014】
ケーシング2の第1領域74には、外部水源から水が供給される給水口85が設けられている。マッサージ体3が配されたケーシング2の装着壁34に、第1領域74を介して給水口85から供給された水を吐出する一群の吐水口86が設けられている。
【0015】
第1領域74に、隔膜76から隔てた状態で給水口85から一群の吐水口86に至る通水路87が形成されている。
【0016】
一群の吐水口86は、マッサージ体3の弾性ベース12の外周縁に臨む装着壁34に形成されている。
【0017】
マッサージ体3の弾性ベース12はリング状に形成されている。一群の吐水口86は、弾性ベース12で囲まれる装着壁34に形成されている。
【0018】
マッサージ体3の弾性ベース12はリング状に形成されている。一群の吐水口86は、マッサージ体3の弾性ベース12の外周縁に臨む装着壁34、および弾性ベース12で囲まれる装着壁34にそれぞれ形成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明のマッサージ装置においては、回転駆動源36の回転運動を往復運動に変換する運動変換機構39を、回転駆動源36で回転駆動されるカム原節45と、該カム原節45で往復駆動されるカム従節46とを備えるカム機構で構成した。このように、運動変換機構39をカム機構で構成していると、従来のマッサージ装置に適用されていたクランク機構に比べて、回転駆動源36の一回転当たりの往復駆動の往復回数を増加させることができ、さらに一往復毎の振幅をそれぞれ異なったものにすることができる。また、カム機構は軸と軸受けによる回転摺動部分を有しないため、摩耗により機構部にガタツキが生じるのを抑制することができる。以上のように、本発明のマッサージ装置1によれば、カム機構という比較的簡素な駆動構造4でマッサージ体3を動作させつつ、振幅に変化のある刺激を付与することができ、さらに長期にわたって良好な動作状態を維持できる。
【0020】
回転駆動源36が、該回転駆動源36の出力軸38の軸心がカム従節46の運動方向と直交する方向に設置され、回転駆動源36の出力軸38にカム原節45が連結されていると、回転駆動源36の軸心方向をケーシング2の装着壁34と平行な方向に沿わせることができるので、ケーシング2の装着壁34と正対する向きを正面視と規定したとき、回転駆動源36によって正面視におけるケーシング2の奥行方向の寸法が長尺化するのを抑制できる。また、カム原節45が、周面にカム面151を有する偏芯カム152で構成され、カム従節46が、偏芯カム152のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を偏芯カム152に向かって付勢する付勢体155とを含んで構成されていると、偏芯カム152のカム面151の形状を変更することで、多様な往復運動を実現できるので、簡単な構造で振幅が多様に変化するマッサージ刺激を付与することができる。
【0021】
回転駆動源36が、該回転駆動源36の出力軸38の軸心がカム従節46の運動方向と一致する方向に設置され、回転駆動源36の出力軸38にカム原節45が連結されていると、回転駆動源36の軸心方向をケーシング2の装着壁34に直交する方向に沿わせることができるので、回転駆動源36によって正面視におけるケーシング2の径方向の寸法が大径化するのを抑制できる。また、カム原節45が、端面に周回状のカム面151を有する端面カム180で構成され、カム従節46が、端面カム180のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を端面カム180に向かって付勢する付勢体155とを含んで構成されていると、端面カム180のカム面151の形状を変更することで、多様な往復運動を実現できるので、簡単な構造で振幅が多様に変化するマッサージ刺激を付与することができる。
【0022】
回転駆動源36が、該回転駆動源36の出力軸38の軸心がカム従節46の運動方向と一致する方向に設置され、回転駆動源36の出力軸38にカム原節45が連結されていると、上記と同様に回転駆動源36の軸心方向をケーシング2の装着壁34に直交する方向に沿わせることができるので、回転駆動源36によって正面視におけるケーシング2の径方向の寸法が大径化するのを抑制できる。また、カムピン48を有するピンフレーム47、あるいはカムピン48と係合する波形溝51が凹み形成された円筒カム52のいずれか一方でカム原節45が構成され、残る他方でカム従節46が構成されていると、円筒カム52の波形溝51の形状を変更することで、多様な往復運動を実現できるので、簡単な構造で振幅が多様に変化するマッサージ刺激を付与することができる。
【0023】
円筒カム52は中空円筒状に形成されており、円筒カム52が回転駆動源36の周囲に被さる状態で配されて、カムピン48および波形溝51が、出力軸38の軸心方向における回転駆動源36の長さ寸法幅内に収まる状態で配されていると、出力軸38の軸心方向において回転駆動源36と運動変換機構39とを重畳する状態で配置できるので、正面視におけるケーシング2の奥行方向の寸法が長尺化するのを抑制できる。
【0024】
カム従節46が中空円筒状の円筒カム52で構成されていると、一周当たりの波形溝51の距離を大きくするために円筒カム52の直径を大径化した場合でも、円柱状の円筒カムに比べて軽量に形成できる。これにより、往復運動の方向が反転する際の円筒カム52の慣性力を可及的に抑えて、回転駆動源36の負荷が大きく変動するのを抑制でき、さらに、カムピン48の回転に対して円筒カム52を的確に追随させることができる。
【0025】
マッサージ体3は、ケーシング2に支持されて厚み方向に弾性変形可能な円盤状の弾性ベース12と、弾性ベース12の外面から外向きに突出形成されて人体表面に押圧される一群の突起13と、弾性ベース12の内面から内向きに突出形成されて、カム従節46に連結される連結体14とを含み、カム従節46と連結体14とが連動体65を介して連動されていると、カム従節46と連結体14とが直結されている場合に比べて、マッサージ体3を人体表面に押圧したときの瞬間的な反作用力を連動体65に吸収させることができるので、駆動構造4に過度な負荷が作用するのを可及的に阻止できる。
【0026】
ケーシング2の内部が、該ケーシング2に固定された隔膜76で、マッサージ体3が配される装着壁34に臨む第1領域74と、駆動構造4が配される第2領域75とに区画されていると、マッサージ体3が配される第1領域74側に付着した汗等の水分が、駆動構造4が配される第2領域75に侵入するのを阻止できるので、水分によって駆動構造4が動作不良に陥るのを防止できる。また、連動体65が、隔膜76を水密状に貫通するとともに、貫通部分において弾性変形可能な隔膜76に固定されていると、連動体65と隔膜76とを一体的に往復運動させることができるので、貫通部分を介して水分が第1領域74から第2領域75へと侵入するのをより阻止できる。因みに、連動体65が、隔膜76を水密状に貫通しているのみであると、連動体65が隔膜76に対して摺動しつつ往復運動するので、摺動に伴って水分が第1領域74から第2領域75へと僅かずつ侵入するおそれがある。
【0027】
ケーシング2の第1領域74には、外部水源から水が供給される給水口85が設けられており、マッサージ体3が配されたケーシング2の装着壁34に、第1領域74を介して給水口85から供給された水を吐出する一群の吐水口86が設けられていると、マッサージ体3による人体表面のマッサージ刺激に加えて、吐水口86から噴射される水の圧力刺激を人体表面に付与することができるので、マッサージ効果をより高めることができる。また、頭皮に対してマッサージ装置1を使用した場合には、洗髪しながら頭皮にマッサージ刺激を付与することができる。
【0028】
第1領域74に、隔膜76から隔てた状態で給水口85から一群の吐水口86に至る通水路87が形成されていると、第1領域74内に水が充満するのを防止できるので、隔膜76に水が接触することがなく、第2領域75に水が侵入するのを確実に阻止できる。
【0029】
一群の吐水口86が、マッサージ体3の弾性ベース12の外周縁に臨む装着壁34に形成されていると、マッサージ装置1を一方向に移動させたとき、マッサージ体3によるマッサージ刺激と、吐水口86から噴射される水の圧力刺激とを、人体表面に対して順に付与することができる。
【0030】
マッサージ体3の弾性ベース12がリング状に形成されており、一群の吐水口86が、弾性ベース12で囲まれる装着壁34に形成されていると、上記と同様にマッサージ装置1を一方向に移動させたとき、マッサージ体3によるマッサージ刺激と、吐水口86から噴射される水の圧力刺激とを、人体表面に対して順に付与することができる。また、噴射され人体表面で反射した水をマッサージ体3の突起13で受止めることができるので、噴射された水が周囲に飛散するのを可及的に阻止できる。
【0031】
マッサージ体3の弾性ベース12がリング状に形成されており、一群の吐水口86が、マッサージ体3の弾性ベース12の外周縁に臨む装着壁34、および弾性ベース12で囲まれる装着壁34にそれぞれ形成されていると、上記と同様に、人体表面に対してマッサージ刺激と圧力刺激とを順に付与することができる。また、頭皮に対してマッサージ装置1を使用した場合には、マッサージ体3の内外から多量の水を頭髪に供給できるので、より素早く洗剤等を洗い流すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施例1に係るマッサージ装置の要部を示す概念図である。
【
図2】実施例1に係るマッサージ装置を示す正面図である。
【
図7】ヘッドケースからマッサージ体を分離した状態を示す正面図である。
【
図8】ヘッドケースからマッサージ体および電源ユニットを分離した状態を示す側面図である。
【
図9】本発明の実施例2に係るマッサージ装置のカム従節の展開図である。
【
図10】本発明の実施例3に係るマッサージ装置の駆動構造を示す概念図である。
【
図11】本発明の実施例4に係るマッサージ装置の駆動構造を示す概念図である。
【
図12】本発明の実施例5に係るマッサージ装置の駆動構造を示す概念図である。
【
図13】本発明の実施例6に係るマッサージ装置の駆動構造を示す概念図である。
【
図14】本発明の実施例7に係るマッサージ装置の駆動構造を示す概念図である。
【
図15】本発明の実施例8に係るマッサージ装置を示す正面図である。
【
図17】実施例8に係るマッサージ装置の要部を示す概念図である。
【
図18】ヘッドケースからマッサージ体を分離した状態を示す正面図である。
【
図19】本発明の実施例9に係るマッサージ装置の駆動構造を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(実施例1)
図1から
図8に、本発明に係るマッサージ装置の実施例1を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、
図2、
図3および
図8に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2においてマッサージ装置1は、同装置1の外殻を構成するケーシング2と、人体表面に押圧されてマッサージ刺激を付与するマッサージ体3と、ケーシング2の内部に配されてマッサージ体3を往復動作させる駆動構造4とを備える。本実施例では、マッサージ装置1はシャワーヘッドに組み込まれており、ケーシング2は太鼓状のヘッドケース5と、ヘッドケース5の周囲下面から前方下向きに延設されるグリップ6とを備えている。
【0034】
図3および
図8に示すように、ヘッドケース5の後部には、駆動構造4に電力を供給する電源ユニット7が着脱自在に装着されており、電源ユニット7の外観形状は円錐台状を呈している。グリップ6の前面上寄りの内部には、駆動構造4の動作を切換える切換スイッチ8と、駆動構造4の動作状態を表示する、チップLEDからなる2個の表示光源9とが基板に実装されて設置されている。駆動構造4が停止している状態からグリップ6の表面を介して切換スイッチ8を操作すると、駆動構造4が低速で駆動され下側の表示光源9が点灯される。次いで切換スイッチ8を操作すると、駆動構造4が高速で駆動され下側の表示光源9が消灯し上側の表示光源9が点灯される。次いで切換スイッチ8を操作すると、駆動構造4の動作が停止され上側の表示光源9が消灯される。表示光源9の光は、グリップ6の表面を透過して目視することができる。
【0035】
マッサージ体3の全体は、弾性変形可能で透光性を有する素材で一体的に形成されており、
図1および
図4に示すように、リング状の円盤からなる弾性ベース12と、該弾性ベース12の前面(外面)から前向き(外向き)に突出形成される一群の突起13と、該弾性ベース12の後面(内面)から後向き(内向き)に突出形成される4個の連結体14とを備えている。一群の突起13は弾性ベース12の二重同心円上に等間隔置きに形成されて、弾性ベース12および一群の突起13はブラシ状を呈している。連結体14は等間隔置きに設けられており、その後端寄りに貫通状の接続孔15がそれぞれ開設されている。弾性ベース12は、外周縁から後方に向かって伸びる周回状の外周壁16を備えており、該外周壁16は断面が多段状の中空円筒状に形成されている。また、弾性ベース12は、内周縁から後方に向かって伸びる周回状の内周壁17を備えており、該内周壁17は断面が横臥V字状の中空円筒状に形成されている。
【0036】
図3および
図5に示すようにヘッドケース5は、中間ケース20と、該中間ケース20の後方に装着される後ケース21と、該後ケース21の外面に被さるように装着されるカバーケース22と、中間ケース20の前側に着脱自在に装着される前ケース23とを備えている。中間ケース20は、円筒状の中間周壁24と、該中間周壁24の前側開口を塞ぐ中間底壁25とで後ろ向きに開口する有底筒状に形成されており、中間周壁24の下面にグリップ6が連結されるグリップベース26が設けられている。
【0037】
後ケース21は、円筒状の後周壁27と、該後周壁27の後開口を塞ぐ後底壁28とで前向きに開口する有底筒状に形成されており、同様にカバーケース22は、円筒状のカバー周壁29と、該カバー周壁29の後開口を塞ぐカバー底壁30とで前向きに開口する有底筒状に形成されている。前ケース23は、円筒状の前周壁31と、該前周壁31の前端内面側に設けられるリング状の前底壁32とを備えている。該前底壁32の内方は、マッサージ体3を装着するための装着開口33とされており、前底壁32はマッサージ体3が装着される装着壁34とされている。
【0038】
図1および
図6に示すように駆動構造4は、電源ユニット7から供給される電力で駆動される直流式のモータ(回転駆動源)36と、モータ36が固定されるモータケース37と、モータ36の出力軸38の回転運動を往復運動に変換する運動変換機構39などを備える。モータ36は減速機を一体に備えている。モータケース37は、前モータケース40と後モータケース41とでモータ36を収容できる中空筒状に形成されており、両ケース40・41は4個のビス42で一体に締結固定される。前モータケース40には、後述する連動体65が挿通される貫通孔43が開設されている(
図4参照)。なお、回転駆動源36はモータと減速機とが別体に構成されていてもよく、またモータ単体であってもよい。
【0039】
運動変換機構39は、モータ36の出力軸38に連結されて回転駆動されるカム原節45と、該カム原節45で往復駆動されるカム従節46とを備えるカム機構で構成されている。カム原節45は、出力軸38で回転駆動されるピンフレーム47と、ピンフレーム47に設けられて出力軸38の周囲を回転するカムピン48とで構成されている。ピンフレーム47は、円筒状のフレーム周壁49と、該フレーム周壁49の後開口を塞ぐフレーム底壁50とで前向きに開口する有底筒状に形成されており、フレーム周壁49の前端内面の対向位置に一対のカムピン48が設置されている。フレーム底壁50にはモータ36の出力軸38が固定される。ピンフレーム47(カム原節45)は正面視において時計まわり方向に回転駆動される。
【0040】
カム従節46は、周囲にカムピン48を受け入れる波形溝51が凹み形成された中空円筒状の円筒カム52で構成されており、該波形溝51は展開状態で振幅が同一である二周期分の正弦波形状に形成されている。波形の一周期は、円筒カム52(カム従節46)を最前方位置から最後方位置へと変位させる後進領域BWと、円筒カム52を最後方位置から最前方位置へと変位させる前進領域FWとで構成されている(
図1参照)。後進領域BWおよび前進領域FWは、円筒カム52の外周面における周方向の長さ寸法(以下、適宜に「円筒カム52の周寸法」という)が同一に設定されている。
【0041】
円筒カム52は、その外径がピンフレーム47の内径寸法よりも僅かに小さく形成され、その内径が後モータケース41の外径と略同一に形成されている。先のピンフレーム47および円筒カム52は、後モータケース41に外嵌する状態で配置されており、前記寸法関係により、円筒カム52は後モータケース41で外嵌状に支持され、ピンフレーム47は円筒カム52に非接触状に外嵌される。円筒カム52の前端内面にはガイド溝53が凹み形成されており、該ガイド溝53は、後モータケース41に突出形成されたガイドリブ54に係合している(
図4参照)。ガイド溝53およびガイドリブ54は等間隔置きに4組設けられており、円筒カム52は、これらガイド溝53およびガイドリブ54により、前後軸(出力軸38の軸心方向)まわりに回転不能かつ前後方向にスライド可能な状態で後モータケース41に支持されている。
【0042】
図6に示すように円筒カム52は、波形溝51にカムピン48を係合させるために、円筒状のカム本体57と、該カム本体57の後端に固定されるリング状のカム蓋58の2ピース構造とされている。カム本体57の後端外側の対向周面には、カムピン48を後方から波形溝51へと係合させるための一対の切欠き59が設けられており、カム蓋58には、同蓋58をカム本体57に固定した際に、切欠き59を塞ぎつつ波形溝51の一部を構成する一対の蓋突起60が設けられている。ピンフレーム47と円筒カム52との組み付けは、まずピンフレーム47のフレーム周壁49の内部にカム蓋58を挿入したのち、カム本体57の切欠き59に対してカムピン48を位置合わせした状態で、カムピン48を切欠き59を介して波形溝51に侵入させる。次いで蓋突起60を切欠き59に差し込みつつカム本体57とカム蓋58とを接着剤で固定する。これにより、カムピン48と波形溝51とが係合した状態で、ピンフレーム47と円筒カム52とを相対回転可能に一体的に構成できる。
【0043】
上記の一体化されたピンフレーム47および円筒カム52に対して、モータケース37に収容されたモータ36の出力軸38をフレーム底壁50に固定することにより、モータ36、モータケース37、ピンフレーム47(カム原節45)、および円筒カム52(カム従節46)が駆動構造4として一体化される。本実施例の駆動構造4においては、モータ36の出力軸38の軸心方向と、カム従節46の運動方向とが一致している。駆動構造4が一体化された状態では、モータ36が収容されたモータケース37に中空円筒状の円筒カム52が被さり、該円筒カム52にピンフレーム47のフレーム周壁49が被さることで、カムピン48、および波形溝51は、モータ36の前後寸法(出力軸38の軸心方向におけるモータ36の長さ寸法)内に収まるように配置される。駆動構造4は、前モータケース40が、ヘッドケース5を構成する中間ケース20と後ケース21との間において、両者20・21で挟持された状態でヘッドケース5内に収容配置される。前モータケース40と中間ケース20とは6個のビス61で締結固定され、前モータケース40と後ケース21とは4個のビス62(
図4参照)で締結固定される。
【0044】
図1および
図4に示すように、モータ36の回転運動を運動変換機構39で往復運動に変換して得られた往復動力をマッサージ体3に伝動するために、円筒カム52(カム従節46)と、マッサージ体3の連結体14とが4個の連動体65を介して連動される。各連動体65は直線軸状の主軸部66と、主軸部66の前端に一体に設けられるコ字軸状の接続軸部67とで形成されている。連動体65と円筒カム52とは、円筒カム52の前端に形成された連動座69に開設された貫通孔70に主軸部66を挿通し、主軸部66の後端側に刻設された雄ねじ部68に螺合させた一対のナット71を連動座69に向かって移動させ、両ナット71で連動座69を挟持することにより固定される。4個の連動体65は、正面視においてモータ36の出力軸38を中心とする円上に配置されており、接続軸部67の開放端側の軸心方向は、当該円の接線方向に指向している(
図7参照)。
【0045】
図4に示すように、中間ケース20の中間底壁25と、モータケース37の前モータケース40との間には、ヘッドケース5(ケーシング2)の内部をマッサージ体3が配置される装着壁34に臨む第1領域74と、駆動構造4が配置される第2領域75とに区画する隔膜76が固定されている。隔膜76は、弾性変形可能で透光性を有する素材で円盤状に形成されており、その外周縁部分と中央部分が、中間底壁25と前モータケース40とで前後に挟持され固定されている。
【0046】
図1および
図4に示すように、隔膜76の半径方向中央部分には、前後に貫通する貫通孔77が開設された貫通座78が先の連動体65に対応して4個設けられている。また、中間底壁25には、連動体65に対応して4個の導出開口79が開設されている。先の貫通孔43、貫通孔77、および導出開口79を介して、連動体65の接続軸部67が第1領域74に位置している。連動体65の主軸部66の中途部には、円盤状のフランジ80と軸径が大きな大径軸部81が前後に形成されており、また、貫通座78の貫通孔77の中途部には孔径が大きな大径孔部82が形成されている。貫通座78を貫通する主軸部66は、大径孔部82に大径軸部81が係合し、さらに貫通座78の前面にフランジ80の後面が密着している。これにより、連動体65は、隔膜76を水密状に貫通するとともに、貫通部分において隔膜76に固定されている。連動体65が往復駆動されると、ヘッドケース5で挟持固定されていない部分の隔膜76は連動体65とともに前後方向に弾性変形され、ふいご様の動きが生じる。
【0047】
図8に示すように、ヘッドケース5(ケーシング2)には給水口85が設けられており、外部水源からの水がグリップ2を介して給水口85に供給される。給水口85は第1領域74に連通している。第1領域74に臨む装着壁34(前底壁32)には、給水口85へと供給された水を吐出する一群の吐水口86が設けられている。第1領域74には、給水口85から一群の吐水口86に至る通水路87が形成されており、該通水路87は第1領域74に設けられた水路枠88で区画形成される。
【0048】
図3および
図7に示すように水路枠88は、円リング状の外枠89と、前向きに開口する有底筒状の内枠90と、外枠89の内周面と内枠90の外周面とを連結する、放射状に設けられる4個の放射枠91とを備えており、中間ケース20の中間底壁25の前面に固定されている。各放射枠91は中空状に形成されて、その軸心部分に連通水路92を備えており、該連通水路92の一端は外枠89の外周面に開口し、他端は内枠90の内周面に開口している。内枠90には、同枠90の前方開口を塞ぐ前壁95を有するキャップ体96が着脱自在に装着されている。
図4および
図8において符号99は水路枠88を中間底壁24に固定するための5個のビスである。
【0049】
マッサージ体3は、先の前ケース23とキャップ体96とにより、ヘッドケース5(ケーシング2)に装着される。前ケース23は中間ケース20に対して、雌雄のねじ部101・102からなる螺合構造で着脱自在に構成されており、前ケース23の後側内縁に雌ねじ部101が刻設され、中間ケース20の前側外縁に雄ねじ部102が刻設されている。また、キャップ体96は内枠90に対して、雌雄のねじ部103・104からなる螺合構造で着脱自在に構成されており、キャップ体96の後側内縁に雌ねじ部103が刻設され、内枠90の前側外縁に雄ねじ部104が刻設されている。ヘッドケース5に対してマッサージ体3が装着された状態において、中間底壁25、前周壁31、前底壁32、および外枠89で円環状の環状水路97が画成され、内枠90とキャップ体96とで円柱状の柱状水路98が画成される。環状水路97および柱状水路98は先の連通水路92で連通されており、これら3者92・97・98で通水路87が構成される。
【0050】
本実施例では、マッサージ体3の弾性ベース12の外周縁に臨む前底壁32とともに、キャップ体96の前壁95がマッサージ体3の装着壁34を構成しており、
図2および
図7に示すように一群の吐水口86は、前底壁32および前壁95においてそれぞれ二重同心円上に等間隔置きに形成されている。
図4において符号105はシールリングであり、それぞれ中間底壁25と前周壁32との間、中間底壁25と外枠89との間、および中間底壁25と内枠90との間をシールしている。また、前底壁32と外枠89との間はマッサージ体3の外周壁16でシールされており、内枠90とキャップ体96との間はマッサージ体3の内周壁17でシールされている。これらシール構造により、先の環状水路97および柱状水路98は水密状の水路として構成され、通水路87の水は、通水路87外の第1領域74へと漏れ出ることはない。
【0051】
図3および
図8に示すように電源ユニット7は、中空円錐台状のユニットケース108と、ユニットケース108の内部に配置される二次電池109および二次電池109の充放電を制御する電池基板110と、一部がユニットケース108の外面に露出する一対の出力端子111と、二次電池109へ充電電力を供給するための充電端子112などを備えている。充電端子112は電源ユニット7の前面凹部に配置されており、該前面凹部は水密蓋113で開閉できる。水密蓋113の前面はユニットケース108の前面と面一状になっている。ユニットケース108の前面には、電源ユニット7をヘッドケース5(ケーシング2)に装着するための断面L字状の係合爪114が突出形成されており、係合爪114はユニットケース108の前面中央を中心とする円上に等間隔置きに4個設けられている。一対の出力端子111は、対向位置にある係合爪114の前面にそれぞれ露出されている。
【0052】
カバーケース22のカバー底壁30には、先の係合爪114に対応して4個の係合孔115が形成されており、係合爪114を係合孔115に差込み、背面視において電源ユニット7を時計まわり方向に回転させることにより、係合孔115に係合爪114を係止できる。
図8において符号116は前後スライド可能なロックピース、符号117はユニットケース108に形成したロック溝117であり、該ロックピース116を後方にスライドさせてロック溝117に係合させることにより、ヘッドケース5に対する電源ユニット7の回転をロックでき、両者5・7の固定状態を維持できる。電源ユニット7を分離する際には、ロックピース116を前方にスライドさせてロック溝117との係合を解除し、背面視において電源ユニット7を反時計まわり方向に回転させることにより、係合孔115から係合爪114を分離できる。
【0053】
出力端子111が露出された係合爪114に対応する係合孔115に臨むように、出力端子111と接触する入力端子118が設けられている。入力端子118は、同端子118部分においてヘッドケース5の水密を図るパッキン119で前後スライド可能に支持されており、さらに圧縮コイル型の押圧ばね120で後方に向かって付勢されている。ヘッドケース5に電源ユニット7が装着された状態においては、入力端子118は押圧ばね120の付勢力で出力端子111に圧接されており、両端子111・118どうしが適正に接触されるようになっている。
【0054】
図3に示すように第2領域75には、駆動構造4とともにマッサージ装置1を制御する制御基板123が設けられており、制御基板123は半リング状に形成されて、中間ケース20と駆動構造4との間の周回状の空間に配置されている。また、中間ケース20とモータケース37との間の第2領域75には、リング状の照明基板124に実装された、フルカラーチップLEDからなる8個の照明光源125が設けられている(
図5、
図7参照)。照明光源125の光は、透光性を有する隔膜76およびマッサージ体3を透過して外部に照射され、表示光源9に同期して駆動構造4の駆動状態(低速あるいは高速)を表示し、同時に水の吐水方向を照明する。また、照明光源125は点灯状態や発光色を様々に変化させることで、イルミネーションとして機能させることができ、マッサージ装置1の趣向性やデザイン性を向上させることができる。さらに、照明光源125に電源ユニット7が適正に装着されたかどうかを表示する確認表示機能を付与することもできる。この場合には、電源ユニット7が適正に装着されたときに、例えば照明光源125を青色に点灯させ、所定時間(10秒)経過後に消灯させる。この照明光源125の光は、マッサージ体3の表面から照射されるので、マッサージ装置1を使用するユーザーの目に付きやすく、駆動構造4の動作状態、電源ユニット7の装着状態の確認の容易化を図ることができ、優れた表示手段として機能させることができる。
【0055】
マッサージ体3の装着は、まず
図7の状態からマッサージ体3を先の水路枠88に前側から被せつけ、接続軸部67の開放端側の先端と、連結体14の接続孔15を正対させ、この状態から正面視においてマッサージ体3を時計まわり方向に回転させる。これにより、接続軸部67が接続孔15に侵入して連動体65とマッサージ体3とが連結される。次いで前ケース23を中間ケース20に装着し、さらにキャップ体96を内枠90に装着することにより、マッサージ体3はヘッドケース5に固定される。前ケース23の雌ねじ部101と中間ケース20の雄ねじ部102とを螺合させると、外枠89と装着開口33の後端とでマッサージ体3の外周壁16の後端が挟持保持される。また、内枠90の雄ねじ部104とキャップ体96の雌ねじ部103とを螺合させると、内枠90とキャップ体96の後端とでマッサージ体3の内周壁17の後端が挟持保持される。これにより、マッサージ体3は、弾性ベース12が前後方向に弾性変形可能な状態でヘッドケース5に固定される。洗浄等のためにヘッドケース5からマッサージ体3を分離する際には、前ケース23およびキャップ体96の螺合構造を解除することで簡便に取外すことができる。
【0056】
マッサージ装置1は、ヘッドケース5にマッサージ体3、前ケース23、およびキャップ体96が装着された状態においては、マッサージ体3やパッキン105に係るシール構造により、隔膜76に臨む第1領域74に水が侵入することはない。しかし、マッサージ体3の洗浄や交換のために
図7のようにマッサージ体3を分離したとき、つまりヘッドケース5と前ケース23およびキャップ体96の螺合を解除してマッサージ体3を取り外した時には、ヘッドケース5の正面に隔膜76が露出する。仮に隔膜76がないとすると、マッサージ体3の洗浄等の際に駆動構造4に水が付着するおそれがある。こうした不具合を回避するために隔膜76が必要であり、該隔膜76で水を受止めて駆動構造4等の防水を図る。
【0057】
マッサージ装置1で人体表面のマッサージ刺激を付与する際には、切換スイッチ8を操作して駆動構造4を駆動させる。モータ36が低速あるいは高速で駆動されると、ピンフレーム47によりカムピン48がモータ36の周囲で回転駆動され、該カムピン48の回転を波形溝51で受止めた円筒カム52は、モータ36の出力軸38の軸心方向(前後方向)と一致する方向に往復駆動される。円筒カム52の動きは連動体65を介してマッサージ体3に伝動され、弾性ベース12が前後方向に弾性変形する。これに伴い各突起13は正面視において放射方向(径方向)に拡縮され人体表面にマッサージ刺激が付与される。本実施例においては、周回状に配置された突起13が径方向に拡縮されるので、拡開状態にある突起13が収縮状態へと変位するとき、マッサージ刺激は人体表面のもみ動作となる。当該もみ動作時のカム従節46は前方から後方へ向かって変位している。
【0058】
円筒カム52の波形溝51は二周期分の正弦波形状であるので、モータ36が一回転する毎に、各カムピン48が波形溝51の後進領域BWと前進領域FWとをそれぞれ二度通過するので、円筒カム52は二往復移動する。なお、波形溝51の周期毎の振幅は同一に形成されているが、振幅は周期毎に異ならせてあってもよく、この場合には、周期毎の円筒カム52、すなわちマッサージ体3の移動距離を異ならせることができる。また、波形溝51の周期は三周期以上あるいは一周期であってもよい。また、波形溝51は曲線のみで構成されたもの、直線のみ構成されたもの(折線状)、あるいは曲線と直線を組み合わせたもののいずれかで構成でき、本実施例では、曲線のみで波形溝51が構成されている。
【0059】
上記実施例1のマッサージ装置によれば、中空円筒状に形成した円筒カム52をモータ36の周囲に被さる状態で配置して、カムピン48、および波形溝51を、出力軸38の軸心方向におけるモータ36の長さ寸法幅内に収まる状態で配置したので、出力軸38の軸心方向においてモータ36と運動変換機構39とを重畳する状態で配置して、正面視におけるケーシング2の奥行方向(前後方向)の寸法が長尺化するのを抑制できる。
【0060】
カム従節46を中空円筒状の円筒カム52で構成したので、一周当たりの波形溝51の距離を大きくするために円筒カム52の直径を大径化した場合でも、円柱状の円筒カムに比べて軽量に形成できる。これにより、往復運動の方向が反転する際の円筒カム52の慣性力を可及的に抑えて、モータ36の負荷が大きく変動するのを抑制でき、さらに、カムピン48の回転に対して円筒カム52を的確に追随させることができる。
【0061】
円筒カム52からなるカム従節46と連結体14とを連動体65を介して連動するように構成したので、円筒カム52と連結体14とが直結されている場合に比べて、マッサージ体3を人体表面に押圧したときの瞬間的な反作用力を連動体65に吸収させることができ、駆動構造4に過度な負荷が作用するのを可及的に阻止できる。
【0062】
ケーシング2の内部を、マッサージ体3が配される装着壁34に臨む第1領域74と、駆動構造4が配される第2領域75とに隔膜76で区画したので、マッサージ体3が配される第1領域74側に付着した汗等の水分を、第2領域75に侵入するのを阻止して、水分によって駆動構造4が動作不良に陥るのを防止できる。また、連動体65を、隔膜76を水密状に貫通するとともに、貫通部分において弾性変形可能な隔膜76に固定したので、連動体65と隔膜76とを一体的に往復運動させて、貫通部分を介して水分が第1領域74から第2領域75へと侵入するのをより阻止できる。因みに、連動体65が、隔膜76を水密状に貫通しているのみであると、連動体65が隔膜76に対して摺動しつつ往復運動するので、摺動に伴って水分が第1領域74から第2領域75へと僅かずつ侵入するおそれがある。
【0063】
マッサージ体3を配置したケーシング2の装着壁34に、第1領域74を介して給水口85から供給された水を吐出する一群の吐水口86を設けたので、マッサージ体3による人体表面のマッサージ刺激に加えて、吐水口86から噴射される水の圧力刺激を人体表面に付与して、マッサージ効果をより高めることができる。また、頭皮に対してマッサージ装置1を使用した場合には、洗髪しながら頭皮にマッサージ刺激を付与することができる。
【0064】
第1領域74に、隔膜76から隔てた状態で給水口85から一群の吐水口86に至る通水路87を形成したので、第1領域74内に水が充満するのを防止して、隔膜76に水が接触することに伴って、第2領域75に水が侵入するのを確実に阻止できる。
【0065】
マッサージ体3の弾性ベース12をリング状に形成し、一群の吐水口86を、マッサージ体3の弾性ベース12の外周縁に臨む前底壁32(装着壁34)、および弾性ベース12で囲まれる前壁95(装着壁34)にそれぞれ形成したので、マッサージ装置1を一方向に移動させたとき、人体表面に対してマッサージ刺激と圧力刺激とを順に付与することができる。また、頭皮に対してマッサージ装置1を使用した場合には、マッサージ体3の内外から多量の水を頭髪に供給できるので、より素早く洗剤等を洗い流すことができる。前壁95に形成された一群の吐水口86から噴射され人体表面で反射した水はマッサージ体3の突起13で受止められるので、水が周囲に飛散するのを可及的に阻止できる。なお、一群の吐水口86は、弾性ベース12の外周縁に臨む前底壁32と、弾性ベース12で囲まれる前壁95のいずれか一方のみに形成するようにしてもよく、この場合も上記と同様にマッサージ装置1を一方向に移動させたとき、人体表面に対してマッサージ刺激と圧力刺激とを順に付与することができる。
【0066】
(実施例2)
図9に、本発明に係るマッサージ装置の実施例2を示す。本実施例では、円筒カム52の波形溝51の形状が実施例1と異なる。その他の点は、実施例1と同じであるので、同じ構造や部材には同じ符号を付してその説明を省略する。以下の各実施例においても同じとする。
【0067】
図9は、円筒カム52(カム従節46)の展開図であり、波形溝51の波形とカムピン48を概念的に示している。円筒カム52には二周期分の波形からなる波形溝51が形成されている。後進領域BW(収縮(もみ)動作の領域)は、円筒カム52を最前方位置から後進中途部まで変位させる第1領域Z1と、円筒カム52を後進中途部で一時的に位置保持する第2領域Z2と、円筒カム52を後進中途部から最後方位置まで変位させる第3領域Z3とを備えている。前進領域FW(拡開動作の領域)は、円筒カム52を最後方位置で一時的に位置保持する第4領域Z4と、円筒カム52を最後方位置から最前方位置まで変位させる第5領域Z5とを備えている。第1領域Z1、第3領域Z3、および第5領域Z5の波形溝51は、円筒カム52の周方向に対して傾斜するように形成されており、第2領域Z2および第4領域Z4の波形溝51は、円筒カム52の周方向に沿うように形成されている。円筒カム52を展開した状態においては、同カム52の周方向に対して傾斜する第1領域Z1、第3領域Z3、および第5領域Z5の波形溝51は直線状であり、その始端および終端は、隣り合う領域と滑らかに接続するように丸められている。このように、隣り合う領域間の接続部分が丸められていると、各領域間を跨ぐ際のカムピン48の移動をスムーズにすることができる。
【0068】
後進領域BWの円筒カム52の周寸法をLA、前進領域FWの円筒カム52の周寸法をLB、第1領域Z1の円筒カム52の周寸法をLC、第2領域Z2の円筒カム52の周寸法をLD、第3領域Z3の円筒カム52の周寸法をLE、第4領域Z4の円筒カム52の周寸法をLFと規定する。このとき、周寸法LAおよびLBは同一に設定され、周寸法LC、LDおよびLEの関係は、不等式(0<LD<(LC+LE))を満足するように設定されている。また、周寸法LAおよびLCの関係は、不等式(LC≧LA/2)を満足するように設定されている。さらに、周寸法LDおよびLFの関係は、不等式(0<LF<LD)を満足するように設定されている。本実施例では、上記各周寸法はLDを1としたとき、LAおよびLBは6.5、LCは3.5、LEは2、LFは0.7に設定した。
【0069】
円筒カム52の周方向に対して、第1領域Z1における波形溝51の傾斜角度をα、第3領域Z3における波形溝51の傾斜角度をβと規定したとき、傾斜角度αおよびβの関係は、不等式(α<β)を満足するように設定されている。
【0070】
上記のように構成した波形溝51を備えた円筒カム52によるマッサージ体3の往復動作を説明する。まずカムピン48が波形溝51の第1領域Z1で受止められるとき、つまり円筒カム52が最前方位置から後方へ向かって変位されるときには、マッサージ体3は拡開状態から収縮動作(以下、適宜「もみ動作」という)を一定の速度で行う。次いでカムピン48が波形溝51の第2領域Z2で受止められるとき、つまり円筒カム52が一時的に位置保持されるときには、マッサージ体3はもみ動作を一旦停止する。次いでカムピン48が波形溝51の第3領域Z3で受止められるとき、つまり円筒カム52が再度後方へ向かって変位されるときには、マッサージ体3はもみ動作を再開する。このとき、第1領域Z1と第3領域Z3の波形溝51の傾斜角度αおよびβの関係で、前段のもみ動作よりも後段のもみ動作の方が動作速度は速い。
【0071】
次いでカムピン48が波形溝51の第4領域Z4で受止められるとき、つまり円筒カム52が最後方で一時的に位置保持されるときには、マッサージ体3はもみ動作を終えた状態で一旦停止する。次いでカムピン48が波形溝51の第5領域Z5で受止められるとき、つまり円筒カム52が最前方へ向かって変位されるときには、マッサージ体3は収縮状態から拡開動作を一定の速度で行い、こののちは前記もみ、停止、もみ、停止、拡開の動作を繰り返す。
【0072】
上記の実施例では、周寸法LAおよびLBは同一に設定して、ブラシ状のマッサージ体3の収縮動作時の時間と拡開動作時の時間を同一にしたが、上記LAおよびLBを異ならせて、収縮動作時の時間と拡開動作時の時間が異なるようにすることもできる。円筒カム52の展開状態における第1領域Z1、第3領域Z3、および第5領域Z5の波形溝51は、曲線状であってもよい。第1領域Z1および/または第5領域Z5の中途部で、第2領域Z2のような一時停止部分を設けることもできる。
【0073】
上記実施例2に係るマッサージ装置は以下のように表現できる。
【0074】
ケーシング2と、該ケーシング2の装着壁34に配されて人体表面に押圧されるマッサージ体3と、該ケーシング2の内部に配されてマッサージ体3を往復動作させる駆動構造4とを備えており、
駆動構造4は、回転駆動源36と、回転駆動源36の回転運動を往復運動に変換する運動変換機構39とを含み、
運動変換機構39は、回転駆動源36で回転駆動されるカム原節45と、該カム原節45で往復駆動されるカム従節46とを備えるカム機構で構成されており、
カム原節45は、カムピン48を有するピンフレーム47で構成され、カム従節46は、カムピン48と係合する波形溝51が凹み形成された円筒カム52で構成されており、
マッサージ体3は、ケーシング2に支持されて厚み方向に弾性変形可能な円盤状の弾性ベース12と、弾性ベース12の外面から外向きに突出形成されて人体表面に押圧される一群の突起13とを含み、円筒カム52の往復運動に同期して弾性ベース12が前後方向(厚み方向)に弾性変形されるように構成されており、
波形溝51は、カムピン48の回転を受止めて円筒カム52を後方に変位させる後進領域BWと、カムピン48の回転を受止めて円筒カム52を前方に変位させる前進領域FWとを備えており、
後進領域BWが、円筒カム52の後進を一時的に中断する第2領域Z2を備えるように構成されているマッサージ装置。
【0075】
上記のマッサージ装置1のように、円筒カム52の後進を一時的に中断する第2領域Z2を備えるように後進領域BWが構成されていると、マッサージ体3をもみ動作の途中で一時的に停止させて、もみ動作を2段階に分けて行うことができるので、もみ動作に変化を持たせてマッサージ感を高めることができる。
【0076】
後進領域BWは、円筒カム52を最前方位置から後進中途部まで変位させる第1領域Z1と、円筒カム52を後進中途部で一時的に位置を保持する第2領域Z2と、円筒カム52を後進中途部から最後方位置まで変位させる第3領域Z3とを備えており、
第1領域Z1の円筒カム52の周寸法をLC、第2領域Z2の円筒カム52の周寸法をLD、第3領域Z3の円筒カム52の周寸法をLEと規定したとき、前記周寸法LC、LDおよびLEの関係が、不等式(0<LD<(LC+LE))を満足するように設定されているマッサージ装置。
【0077】
上記のマッサージ装置1のように、第1から第3の領域Z1~Z3の周寸法の関係が、不等式(0<LD<(LC+LE))を満足するように設定されていると、マッサージ体3によるもみ保持時間よりももみ動作時間の方を長くすることができるので、もみ動作中にマッサージ体3を停止させた場合でも、充分なマッサージ感を得ることができる。
【0078】
後進領域BWの円筒カム52の周寸法をLAと規定したとき、周寸法LAおよびLCの関係が、不等式(LC≧LA/2)を満足するように設定されているマッサージ装置。
【0079】
上記のマッサージ装置1のように、周寸法LAおよびLCの関係が、不等式(LC≧LA/2)を満足するように設定されていると、比較的大きくもみ動作を行わせたのちもみ保持し、こののち比較的小さくもみ動作を行うマッサージ刺激を人体表面に付与できるので、2段階のもみ動作に大小の変化を持たせてマッサージ感をより高めることができる。
【0080】
前進領域FWが、円筒カム52を最後方位置で一時的に位置を保持する第4領域Z4と、円筒カム52を最後方位置から最前方位置まで前方に向かって変位させる第5領域Z5とを備えているマッサージ装置。
【0081】
上記のマッサージ装置1のように、前進領域FWが、円筒カム52を最後方位置で一時的に位置を保持する第4領域Z4を備えていると、もみ動作の終わりつまり最大にもみ込まれた状態を維持できるので、人体表面にメリハリのあるマッサージ動作を付与して、マッサージ感をさらに高めることができる。また、後進領域BWの第3領域Z3と前進領域FWの第5領域Z5との間における円筒カム52の移動方向の切換りを第4領域Z4で緩衝できるので、円筒カム52に大きな慣性力が生じるのを回避してカムピン48の移動をスムーズにすることが可能となる。
【0082】
第4領域Z4の円筒カム52の周寸法をLFと規定したとき、周寸法LDおよびLFの関係が、不等式(0<LF<LD)を満足するように設定されているマッサージ装置。
【0083】
上記のマッサージ装置1のように、周寸法LDおよびLFの関係が、不等式(0<LF<LD)を満足するように設定されていると、強くもみ込まれた状態で長時間もみ保持されるのを回避できるので、強いマッサージ刺激が持続することによるマッサージ感の低下を抑制できる。
【0084】
円筒カム52の周方向に対する、第1領域Z1における波形溝51の傾斜角度をα、第3領域Z3における波形溝51の傾斜角度をβと規定したとき、前記傾斜角度αおよびβの関係が、不等式(α<β)を満足するように設定されているマッサージ装置。
【0085】
上記のマッサージ装置1のように、傾斜角度αおよびβの関係が、不等式(α<β)を満足するように設定されていると、2段階のもみ動作の前段のもみ速度よりも後段のもみ速度の方を速くできるので、人体表面にさらにメリハリのあるマッサージ動作を付与できる。
【0086】
(実施例3)
図10に、本発明に係るマッサージ装置の実施例3を示す。本実施例では、駆動構造4が実施例1と異なる。ピンフレーム47は、出力軸38に固定される円盤状の回転ベース127と、回転ベース127の前面に対向配置された一対の回転アーム128とで構成され、回転アーム128の先端(前端)にカムピン48がそれぞれ設けられている。このように、回転アーム128の先端にカムピン48が設けられているピンフレーム47によれば、回転アーム128を弾性変形させて、円筒カム52の波形溝51にカムピン48を係合させることができるので、実施例1のように円筒カム52を2ピース構造にする必要がない分、駆動構造4の構成を簡略化できる。
【0087】
(実施例4)
図11に、本発明に係るマッサージ装置の実施例4を示す。本実施例のピンフレーム47は、片持ち梁状の回転ベース127と、該回転ベース127の先端に設けた回転アーム128とで構成され、同アーム128の先端にカムピン48が設けられている。本実施例ではカムピン48を1個とした点が実施例3と異なる。上記実施例1から2のように、2個のカムピン48が1個の波形溝51に係合する形態であると、円筒カム52の波形溝51の周期も偶数にする必要があるが、カムピン48を1個とすることにより周期の制約がなくなるので、波形溝51の形状は1以上の周期の形状のものを自由に選択できる。
【0088】
(実施例5)
図12に、本発明に係るマッサージ装置の実施例5を示す。本実施例では、波形溝51が凹み形成された中空円筒状の円筒カム52がカム原節45とされ、波形溝51に係合するカムピン48を有するピンフレーム47がカム従節46とされている。ピンフレーム47はリング状の往復ベース129と、一対の往復アーム130とで構成され、同アーム130の先端にそれぞれカムピン48が設けられている。連動座69は往復ベース129に設けられている。このように、カム原節45とカム従節46との構成が逆であってもよい。
【0089】
(実施例6)
図13に、本発明に係るマッサージ装置の実施例6を示す。本実施例のピンフレーム47は、片持ち梁状の往復ベース129と、該往復ベース129の先端に設けた往復アーム130とで構成され、同アーム130の先端にカムピン48が設けられている。本実施例ではカムピン48を1個とした点と、円筒カム52の後側にモータ36を配置した点とが実施例5と異なる。このように、カム原節45とカム従節46との構成が逆であっても、カムピン48を1個とすることにより周期の制約がなくなるので、波形溝51の形状は1以上の周期の形状のものを自由に選択できる。
【0090】
(実施例7)
図14に、本発明に係るマッサージ装置の実施例7を示す。本実施例は、基本構造は先の実施例5と同じであるが、カムピン48毎に波形溝51を設けた点が異なる。このように、各カムピン48に対応する波形溝51が形成されている場合でも、波形溝51の周期の制約をなくすことができる。また、本実施例のようにモータ36は、カム原節45およびカム従節46と重畳する状態で配置する必要はない。
【0091】
上記実施例1から7のマッサージ装置1によれば、出力軸38の軸心がカム従節46の運動方向と一致する方向にモータ36を設置し、出力軸38にカム原節45を連結したので、モータ36の軸心方向をヘッドケース5(ケーシング2)の装着壁34に直交する方向に沿わせて、モータ36によって正面視におけるヘッドケース5の径方向の寸法が大径化するのを抑制できる。また、カムピン48を有するピンフレーム47、あるいはカムピン48と係合する波形溝51が凹み形成された円筒カム52のいずれか一方でカム原節45を構成し、残る他方でカム従節46を構成したので、円筒カム52の波形溝51の形状を変更することで、多様な往復運動を実現でき、簡単な構造で振幅が多様に変化するマッサージ刺激を付与することができる。
【0092】
上記の各実施例では、カムピン48はピンフレーム47から内向きに突出形成し、波形溝51は中空円筒状の円筒カム52の外周面に凹み形成したが、カムピン48をピンフレーム47から外向きに突出形成し、波形溝51を中空円筒状の円筒カム52の内周面に凹み形成することもできる。
【0093】
(実施例8)
図15から
図18に、本発明に係るマッサージ装置の実施例8を示す。
図15に示すように、本実施例のマッサージ装置1もシャワーヘッドに組み込まれている。
【0094】
マッサージ体3の全体は弾性変形可能であり、さらに透光性を有する素材で一体的に形成されている。
図15および
図16に示すように、リング状の円盤からなる弾性ベース12と、該弾性ベース12の前面(外面)から前向き(外向き)に突出形成される一群の突起13と、該弾性ベース12の後方に設けられる連結体14と、弾性ベース12の外周縁から後方に向かって伸びる周回状の外周壁16とを備えている。一群の突起13は弾性ベース12の三重同心円上に等間隔置きに形成されて、弾性ベース12および一群の突起13はブラシ状を呈している。突起13は外周側に配置されるものほど、その長さ寸法が大きく設定されている。連結体14は弾性ベース12の内周縁に連続する有底筒状に形成されて、その底壁132にビス通孔133が開設されている。外周壁16は断面が多段状の中空円筒状に形成されている。
【0095】
図15および
図16に示すようにヘッドケース5は、ヘッドケース5の大半を占める主ケース134と、該主ケース134の後方に装着される後面カバー135と、該主ケース134の前方に着脱自在に装着される前面カバー136とを備えている。主ケース134は円筒状の周壁137と、該周壁137で囲まれる内部空間に設けられる隔壁138と、周壁137の下面に設けられる、グリップ6が連結されるグリップベース139とを備える。隔壁138は、周壁137内面に連続する第1リング壁140と、第1リング壁140の内周縁から前向きに連設される筒壁141と、該筒壁141の前端内面から内向きに連設される第2リング壁142とを備える。
【0096】
後面カバー135は、後方に膨出する皿状に形成されており、周壁137の後方開口を塞ぐように固定されている。前面カバー136は、装着開口33を備えるカバー壁145と、該カバー壁145の外周縁から後向きに延設される縁周壁146とを備えており、カバー壁145がマッサージ体3の装着壁34として構成されている。本実施例では、モータ36に電力を供給する二次電池109はヘッドケース5の内部に固定されている。
【0097】
図16および
図17に示すように駆動構造4は、二次電池109から供給される電力で駆動される直流式のモータ(回転駆動源)36と、モータ36の出力軸38の回転運動を往復運動に変換する、カム原節45とカム従節46からなるカム機構で構成される運動変換機構39などを備える。モータ36は減速機を一体に備えており、後述する支持フレーム164および第1リング壁140と、後面カバー135とにそれぞれ設けた支持リブ147・148で挟持固定されている。モータ36の出力軸38は、上下方向に沿う方向に配置されて、出力軸38の軸心方向と、カム従節46の運動方向は直交している。
【0098】
カム原節45は、周面にカム面151を有する偏芯カム152で構成され、カム従節46は、偏芯カム152のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を偏芯カム152に向かって付勢する、圧縮コイル型の付勢ばね(付勢体)155とを備えている。
図17に示すように偏芯カム152は、所定距離を置いて配置された曲率が大小に異なる第1円弧部156および第2円弧部157と、両円弧部156・157の共通接線からなる一対の直線部158とで構成されるカム面151を有する平面視で涙滴状に形成されている。第1円弧部156は第2円弧部157よりも曲率が大きく設定されている。モータ36の出力軸38は、涙滴型の長径方向(第1円弧部156と第2円弧部157の円弧中心を結んだ方向)の中心よりも、第1円弧部156寄りに配置されている。
【0099】
従動体154は、上面にカム受面153を有する当接板161と、該当接板161の前側に設けられる有底筒状の連動筒162と、当接板161の後側上下に設けられる一対の規制板163とを備えている。規制板163は、偏芯カム152と接触することにより、従動体154が前後軸まわりに回転するのを規制している。従動体154は、連動筒162が支持フレーム164で前後方向にスライド可能に支持されており、該支持フレーム164は、連動筒162を摺動案内する支持筒165と、支持筒165の前端外面から外向きに連続する円盤状のフレーム壁166と、該フレーム壁166の外周縁から前向きに連続するフレーム周壁167と、該フレーム周壁167の前端外面から外向きに連続するリング状のフレーム座168とを備えている。支持フレーム164は、隔壁138に対してそのフレーム座168が不図示のビスで締結固定されている。先の付勢ばね155は、当接板161とフレーム壁166との間に介在している。
【0100】
連動体65は、直線棒状の連動棒171と、該連動棒171の前端に設けられて、連結体14を受け入れる有底筒状の接続カップ172とを備えており、連動棒171は連動体65の連動筒162にビス173で締結固定されている。主ケース134の隔壁138と支持フレーム164との間には、ヘッドケース5(ケーシング2)の内部を第1領域74と第2領域75とに区画する隔膜76が固定されている。隔膜76は、その外周縁部分が、第2リング壁142とフレーム座168とで前後に挟持され固定されている。隔膜76の中央部分には、前後に貫通する貫通孔77が開設された貫通座78が設けられている。該貫通孔77を介して、連動体65の接続カップ172が第1領域74に位置している。連動体65の連動棒171の中途部には、軸径が大きな大径軸部81が形成されており、また、貫通座78の貫通孔77には孔径が大きな大径孔部82が形成されている。貫通座78を貫通する連動棒171は、大径孔部82に大径軸部81が係合している。これにより、連動体65は、隔膜76を水密状に貫通するとともに、貫通部分において隔膜76に固定されている。連動体65が往復駆動されると、固定されていない部分の隔膜76は連動体65とともに前後方向に弾性変形され、ふいご様の動きが生じる。
【0101】
図16に示すように、ヘッドケース5(ケーシング2)には給水口85が設けられており、外部水源からの水がグリップ2を介して給水口85に供給される。給水口85は第1領域74に連通している。第1領域74に臨むカバー壁145(装着壁34)には、給水口85へと供給された水を吐出する一群の吐水口86が設けられている。第1領域74には、給水口85から一群の吐水口86に至る通水路87が形成されている。具体的には、ヘッドケース5に対してマッサージ体3が装着された状態において、周壁137、隔壁138、カバー壁145で円環状の通水路87が画成される。
【0102】
マッサージ体3の装着は、まず
図18の状態からマッサージ体3を筒壁141に前側から被せつけ、次いで前面カバー136を周壁137に装着し、連結体14の底壁132を連動体65の接続カップ172にビス174で締結固定することにより、マッサージ体3はヘッドケース5に固定される。具体的には、前面カバー136は周壁137に対して、雌雄のねじ部175・176からなる螺合構造で着脱自在に構成されており、縁周壁146の内面に雌ねじ部175が刻設され、周壁137の前側外縁に雄ねじ部176が刻設されている。周壁137の雄ねじ部176と縁周壁146の雌ねじ部175とを螺合させると、筒壁141の前端と、装着開口33の後端とでマッサージ体3の外周壁16の後端が挟持保持される。連結体14は、ビス174を底壁132に開設したビス通孔133を介して連動体65にねじ込むことにより、連動体65と一体化される。洗浄等のためにヘッドケース5からマッサージ体3を分離する際には、前面カバー136およびビス174の螺合構造を解除することで簡便に取外すことができる。
【0103】
図16において符号105はシールリングであり、周壁137と縁周壁146との間をシールしている。また、カバー壁145と筒壁141との間は、マッサージ体3の外周壁16でシールされている。これらシール構造により、通水路87は水密状の水路として構成され、通水路87の水は、通水路87を除く第1領域74へと漏れ出ることはない。
【0104】
切換スイッチ8は、ヘッドケース5の内部に配置されており、後面カバー135を介して操作することができる。切換スイッチ8は制御基板123上に実装されている。フレーム壁166、フレーム周壁167、および隔膜76で囲まれる第2領域75には、リング状の照明基板124に実装された、フルカラーチップLEDからなる4個の照明光源125が設けられている(
図18参照)。照明光源125の光は、透光性を有する隔膜76およびマッサージ体3を透過して外部に照射され、駆動構造4の駆動状態(低速あるいは高速)を表示し、水の吐水方向を照明する。また、点灯状態や発光色を様々に変化させてイルミネーションとして機能させ、マッサージ装置1の趣向性やデザイン性を向上させることができる。
【0105】
マッサージ装置1で人体表面にマッサージ刺激を付与する際には、切換スイッチ8を操作して駆動構造4を駆動させる。モータ36が低速あるいは高速で駆動されると、偏芯カム152が回転駆動され、該偏芯カム152のカム面151をカム受面153で受止めた従動体154がモータ36の出力軸38の軸心方向(上下方向)と直交する方向(前後方向)に往復駆動される。従動体154の動きは連動体65を介してマッサージ体3に伝動され、弾性ベース12が前後方向に弾性変形する。これに伴い各突起13は正面視において放射方向に拡縮され人体表面にマッサージ刺激が付与される。
【0106】
本実施例では、モータ36が一回転する毎に、従動体154は二往復移動する。第1円弧部156を経て一方の直線部158から他方の直線部158に至るカム面151で従動体154が往復操作されるときの振幅および周期は、第2円弧部157を経て一方の直線部158から他方の直線部158に至るカム面151で従動体154が往復操作されるときの振幅および周期より小さく設定されている。偏芯カム152は円弧部を3個以上設けてもよく、あるいは円形や楕円形で形成してもよい。
【0107】
上記実施例8のマッサージ装置1においては、出力軸38の軸心がカム従節46の運動方向と直交する方向にモータ36を設置し、出力軸38にカム原節45を連結したので、モータ36の軸心方向をヘッドケース5(ケーシング2)の装着壁34と平行な方向に沿わせて、モータ36によって正面視におけるケーシング2の奥行方向の寸法が長尺化するのを抑制できる。また、カム原節45を、周面にカム面151を有する偏芯カム152で構成し、カム従節46を、偏芯カム152のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を偏芯カム152に向かって付勢する付勢ばね155とを含んで構成したので、偏芯カム152のカム面151の形状を変更することで、多様な往復運動を実現でき、簡単な構造で振幅が多様に変化するマッサージ刺激を付与することができる。
【0108】
(実施例9)
図19に、本発明に係るマッサージ装置の実施例9を示す。本実施例では、駆動構造4が実施例8と異なる。本実施例では、モータ36の出力軸38の軸心方向をカム従節46の運動方向に一致する上下方向として、円柱の一端面(前端)にカム面151を有する端面カム180でカム原節45を構成した点と、従動体154のカム受面153を半球状にした点が実施例8と異なる。カム受面153は、連動筒162の後面に形成した連動軸181の後端に設けられている。カム面151は、出力軸38の軸心方向と交差する斜面で構成されており、モータ36が一回転する毎に、従動体154は一往復する。なお、カム受面153を周方向に波打つ波状面として、モータ36が一回転する毎に、従動体154を複数回往復動するように構成することもできる。また、カム原節45は、円筒の一端面にカム面を有する端面カム180であってもよい。
【0109】
上記実施例9のマッサージ装置1においては、出力軸38の軸心がカム従節46の運動方向と一致する方向にモータ36を設置し、出力軸38にカム原節45を連結したので、モータ36の軸心方向をヘッドケース5(ケーシング2)の装着壁34に直交する方向に沿わせて、モータ36によって正面視におけるケーシング2の径方向の寸法が大径化するのを抑制できる。また、カム原節45を、端面に周回状のカム面151を有する端面カム180で構成し、カム従節46を、端面カム180のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を端面カム180に向かって付勢する付勢ばね155とを含んで構成したので、端面カム180のカム面151の形状を変更することで、多様な往復運動を実現でき、簡単な構造で振幅が多様に変化するマッサージ刺激を付与することができる。
【0110】
以上のように、上記各実施例のマッサージ装置1においては、駆動構造4の運動変換機構39を、モータ36で回転駆動されるカム原節45と、該カム原節45で往復駆動されるカム従節46とを備えるカム機構で構成したので、従来のマッサージ装置に適用されていたクランク機構に比べて、モータ36の一回転当たりの往復駆動の往復回数を増加させることができ、さらに一往復毎の振幅をそれぞれ異なったものにすることができる。また、カム機構は軸と軸受けによる回転摺動部分を有しないため、摩耗により機構部にガタツキが生じるのを抑制することができる。以上のように、上記各実施例のマッサージ装置1によれば、カム機構という比較的簡素な駆動構造4でマッサージ体3を動作させつつ、振幅に変化のあるマッサージ刺激を付与することができ、さらに長期にわたって良好な動作状態を維持できる。
【0111】
上記の各実施例では、マッサージ装置1をシャワーヘッドに組み込んだが、これに限らずマッサージ専用の装置としてマッサージ装置1を構成することができる。また、マッサージ体3の構成は、カム従節46の前後駆動に連動して、正面視において突起13を有するブラシ状のものが拡縮されるものに限られない。
【0112】
マッサージ体3の別の実施形態として、ゴム等で形成される球体や角柱体などのブロック体で構成することができる。この場合には、駆動構造4で前後方向に往復駆動されるマッサージ体3により、人体表面に対して連続する押圧刺激を付与することができる。1個の連動体65のそれぞれで1個のブロック体または複数のブロック体を動作させる、あるいは複数の連動体65で1個のブロック体を動作させることができ、ブロック体の表面に複数の突起を設けてもよい。また、マッサージ体3のさらに別の実施形態として、板状体で構成することもできる。この場合には、軸心がカム従節46の往復方向と交差するように配置された軸体で板状体を軸支し、連動体65を板状体の一端側に接続する。これにより、板状体は駆動構造4で前後方向にシーソー揺動されるので、人体表面に対して連続する回動押圧刺激を付与することができる。上記と同様に板状体の接触面に複数の突起を設けてもよい。
【0113】
上記の実施形態のように、マッサージ体3の構成は、発明内容を逸脱しない範囲であれば種々の形態に変更することができる。また、カム従節46は前後方向にのみ移動可能にガイドされているので、上記各実施例や実施形態において、連動体65を省略してカム従節46とマッサージ体3とを直結することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 マッサージ装置
2 ケーシング
3 マッサージ体
4 駆動構造
12 弾性ベース
13 突起
14 連結体
34 装着壁
36 回転駆動源(モータ)
38 出力軸
39 運動変換機構
45 カム原節
46 カム従節
47 ピンフレーム
48 カムピン
51 波形溝
52 円筒カム
65 連動体
74 第1領域
75 第2領域
76 隔膜
85 給水口
86 吐水口
87 通水路
151 カム面
152 偏芯カム
153 カム受面
154 従動体
155 付勢体(付勢ばね)
180 端面カム