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特許7416656紙のカールに堅牢なモジュール間の媒体の取り扱い
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  • 特許-紙のカールに堅牢なモジュール間の媒体の取り扱い 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】紙のカールに堅牢なモジュール間の媒体の取り扱い
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/70 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B65H29/70
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020068655
(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公開番号】P2020180005
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】16/391,428
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・エム・テレロ
(72)【発明者】
【氏名】レイチェル・リン・タンチャク
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・エイ・アイリザリー
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン・ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】アリ・アール・ダーハム
(72)【発明者】
【氏名】グレン・バチェラー
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-032700(JP,A)
【文献】特開昭56-103047(JP,A)
【文献】特開昭55-052851(JP,A)
【文献】米国特許第08936243(US,B1)
【文献】米国特許第09079736(US,B1)
【文献】米国特許第09120634(US,B1)
【文献】米国特許第05242095(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する輸送部間の紙経路内で搬送される媒体中のカールを制御するための装置であって、
媒体を下流デバイスに搬送するための第1の輸送部と、
前記第1の輸送部の下流にあり、前記第1の輸送部と直列の第2の輸送部と、
前記第1の輸送部と前記第2の輸送部との間に位置付けられた半円形部材と、
前記半円形部材に隣接して位置付けられた空気流デバイスと、
前記半円形部材に取り付けられ、開口部を有する入口リブであって、前記開口部が、下方カールした媒体の境界条件を提供する一方で、同時に、前記空気流デバイスからの空気流が前記入口リブ間を通過することを可能にし、上方カールを有する媒体の初期取得を強化するように適合されている、入口リブと、
前記半円形部材に取り付けられ、下方カールした媒体のための境界条件を提供する一方で、同時に、前記第1の輸送部から前記第2の輸送部への前記媒体のハンドオフ中の軌道を提供するように構成された出口リブと、を備え、
前記空気流デバイスは、前記半円形部材に追従する高速空気層を適用して、前記媒体を前記半円形部材に向けて逸らすことによって、前記媒体の前縁からカールを除去するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記入口リブ及び前記出口リブが、バッフルから構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の輸送部がマーカ輸送部であり、前記第2の輸送部が乾燥機輸送部である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の輸送部の下流の第2の輸送部が、真空輸送部である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の輸送部の下流の第2の輸送部が、静電輸送部である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記空気流デバイスの制御が、前記媒体の種類及び重量に基づく、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記半円形部材が、バッフルである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
インクジェットデバイス内のマーカ輸送部と乾燥機モジュールとの間の紙経路内で搬送される媒体中の上方カール及び下方カールを制御するための構成であって、
下流方向に媒体を搬送するためのマーカ輸送部と、
前記マーカ輸送部の下流にあり、前記マーカ輸送部と直列の、かつ前記マーカ輸送部から媒体を受容するように適合された、少なくとも1つの乾燥機モジュールと、
前記マーカ輸送部と前記少なくとも1つの乾燥機モジュールとの間に位置付けられた湾曲部材と、
前記湾曲部材に隣接して位置付けられた空気流デバイスと、
前記湾曲部材に対して配置され、開口部を有する入口リブであって、前記開口部が、下方カールされた媒体のための境界条件を提供する一方で、同時に、前記空気流デバイスからの空気流が、前記湾曲部材の表面部分へと前記入口リブ間を通過することを可能にし、上方カールを有する媒体の初期取得を強化するように構成されている、入口リブと、
前記湾曲部材に対して構成された出口リブであって、下方カールした媒体のための境界条件を提供する一方で、同時に、第1の輸送部から第2の輸送部への前記媒体のハンドオフ中の軌道を提供する、出口リブと、を備え、
前記入口リブおよび前記出口リブは、それぞれ、下方カールした媒体を前記湾曲部材に入ったり離れたりするように導くことを助けるように構成された水平部分を含み、
前記空気流デバイスは、前記湾曲部材に追従する高速空気層を適用して、前記媒体を前記湾曲部材に向けて逸らすことによって、前記媒体の前縁からカールを除去するように構成されている、構成。
【請求項9】
前記入口リブ及び前記出口リブが、前記湾曲部材に取り付けられている、請求項8に記載の構成。
【請求項10】
前記出口リブは、前記空気流デバイスからの前記空気が、前記出口リブの前記水平部分を通って流れることを可能にするように構成されている、請求項8に記載の構成。
【請求項11】
前記マーカ輸送部及び前記少なくとも1つの乾燥機モジュールが、真空源からの真空で媒体を前記マーカ輸送部及び前記少なくとも1つの乾燥機モジュールの上に捕捉する、請求項8に記載の構成。
【請求項12】
前記湾曲部材が、バッフルである、請求項8に記載の構成。
【請求項13】
前記湾曲部材が、円筒形である、請求項8に記載の構成。
【請求項14】
前記湾曲部材が、半円形である、請求項8に記載の構成。
【請求項15】
隣接する輸送部間の紙経路内で搬送されるシート中のカールを制御するための装置であって、
下流デバイスにシートを搬送するための第1の輸送部と、
前記第1の輸送部の下流にあり、前記第1の輸送部と直列の第2の輸送部と、
前記第1の輸送部と前記第2の輸送部との間に位置付けられた湾曲部材と、
開口部を有する入口リブであって、前記開口部が、下方カールしたシートの境界条件を提供する一方で、同時に、空気流が前記入口リブ間を通過することを可能にし、上方カールしたシートの初期取得を強化するように構成された、入口リブ、下方カールしたシートの境界条件を提供する一方で、同時に、前記第2の輸送部への前記シートのハンドオフ中の軌道を提供する出口リブ、であって、前記入口リブと前記出口リブのそれぞれは、前記第1の輸送部および前記第2の輸送部と直列の前記湾曲部材から離れて伸びる部分を含む、入口リブおよび出口リブと、
前記湾曲部材に隣接して位置付けられた空気流デバイスと、を備え、
前記空気流デバイスは、前記湾曲部材に追従する高速空気層を適用して、前記シートを前記湾曲部材に向けて逸らすことによって、前記シートの前縁からカールを除去するように構成されている、装置。
【請求項16】
前記湾曲部材が、バッフルである、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の輸送部および前記第2の輸送部と直列の前記湾曲部材から離れて伸びる前記入口リブおよび前記出口リブの前記部分は開口部を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記入口リブおよび前記出口リブは、移行中の前記シートの軌道を制御し、同時に、前記シートが前記第2の輸送部によって安全に取得されることを可能にすることによって、シートの支持されていない長さを制限するように構成された、請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
相互参照は、Rachel L.Tanchakらによる、2019年4月23日に出願され、APPARATUS FOR CONTROLLING SHEET FLATNESS UNDER AN IMAGING SYSTEM ROBUST TO MEDIA CURLと題された、同一出願人による米国特許出願第16/391,418号(代理人整理番号20180561US01)、Roberto A Irizarryらによる、2019年4月23日に出願され、A SYSTEM FOR PREVENTING PAPER JAMS BETWEEN SUBSYSTEM TRANSITIONSと題された、米国特許出願第16/391,422号(代理人整理番号2018/0562US01)であり、これらの両方とも、参照によりそれらの全体が本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、画像化システム内の紙経路輸送中の紙の取り扱いに関し、より具体的には、シートが支持されていない紙経路輸送の部分、例えば、2つのサブシステム又はモジュール間の境界面などにおける、シートカールの取り扱いに関する。
【0003】
乾式複写法及びインクジェットデジタルプレスには、シートがシート輸送部間の移行中に支持されず、プロセス速度、上方カール及び下方カール、シート剛性などによって影響を受ける、紙経路に対処しなければならない媒体取り扱い構成が挙げられる。これらは、湿度、インク配置、トナー/インク量、織目方向、紙重量などによって更に影響を及ぼされ得る。シート軌道の制御は、予め融合又は予め乾燥させた画像を輸送する場合のように、従来の装置、例えば、ニップローラ及びバッフルを用いてシートの上面に触れることが禁止されている領域では、より困難になる場合がある。
【0004】
現在、マーカ輸送と乾燥機モジュールとの間のカールに起因して、シートの浮き上がりを伴うインクジェット製造印刷における問題が存在している。この問題の制御は、湿潤画像に接触するバッフルからの画像欠陥をもたらすバッフルの使用によって試みられた。また、インクは、バッフルに移送され、汚染されるか又は粘着性になり、シートがバッフルに接触すると詰まりにつながる。米国特許第8,794,624号に開示されているような典型的なデカーラ(decurler)は、プロセス方向のみにおいてカールを制御する。これは、乾燥していないインクに起因して、シート内の多結節カール及び局所的カールを平坦化することはできない。
【0005】
したがって、乾式複写法及びインクジェット画像化システムにおけるシートカール管理には改善の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0006】
したがって、この必要に応じて、重要な移行中の軌道を制御し、下流輸送による媒体の獲得を促進することによって、媒体の支持されていない長さを制限するシステムが開示される。本システムは、隣接する紙経路輸送部間に湾曲したバッフルを配置することと、湾曲したバッフルの表面上に高速均一空気流の薄層を適用して、シートの前縁を制御することとを含む。バッフルの湾曲面上の高速均一空気流の薄層は、湾曲したバッフルに追従し(コアンダ効果)、バッフルに向けてシートを逸らす(ベルヌーイ効果)傾向がある。媒体経路に沿って湾曲したバッフルを位置付けることによって、かつ高速均一空気流をそれに適用することによって、より低い圧力領域が生成される。これにより、シートの軌道が平坦化されるので、シートは、下流真空又は静電輸送によって確実に受容される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
上記及び更なる特徴及び利点の様々なものが、以下の実施例(複数可)及び特許請求の範囲に記載される特定の物又は方法から当業者には明らかとなるであろう。したがって、それらは、(ほぼ縮尺どおりの)図面を含む、これらの特定の実施形態(複数可)の本説明から、より良く理解される。
【0008】
図1】シートハンドオフを伴う複数のシート輸送部を示すシート輸送システムの側面図である。
図2】2つの輸送部間で搬送されたシート内の上方カール及び下方カールとは反対に湾曲したバッフルと共に使用されるシート入口及び出口リブを示す、本開示の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の特徴の一般的な理解のために、図面を参照する。図中、同様の参照番号は、全体をとおして、同一の要素を識別するために使用されている。
【0010】
シート輸送システム10の側面図は、図1に示され、これは、第2の乾燥機モジュール55の上流にある乾燥機モジュール50に向かって搬送されるマーカ輸送部40上にシート11を含む。シート11は、顕著な上方カールを有しており、ローラ16の周囲及び真空プレナム14上に引っ張られるベルト12によってマーカ輸送部40上で搬送される。乾燥機モジュール50は、ローラ24を包囲する駆動ベルト20を含み、真空プレナム22の上に重なる水平部分を有する。第2及び下流の乾燥機モジュール55は、駆動ベルト30を伸ばすローラ34を有し、駆動ベルトとその周りに真空プレナム32が連通している。下部バッフル18と上部バッフル19とを含むガイド部材は、マーカ輸送部40と乾燥機モジュール50との間に位置付けられ、マーカ輸送部と第1の乾燥機モジュールとの間のシート移送を容易にする。シート11の軌道を制御し、この移行中のシートの浮き上がりを防止することは、ローラ及びバッフルなどの従来の方法を使用することにより問題を引き起こす可能性があるので、困難である。例えば、シートは、上部バッフル19に接触して画像欠陥を引き起こし得る湿式インク画像を含む。図示のように、シート11は、場合によっては、マーカ輸送部40から乾燥機モジュール50に移行する際に上部バッフル19に接触することができる上方カールした前縁部を除いて輸送される際に、ベルト12に対して保持される。この上方カールは、下流輸送システム50に到達する前にシートが上部バッフル19に当たる場合、紙詰まりにつながる可能性がある。シート内に下方カールが存在する場合、それは、マーカモジュール40とガイド部材との間の間隙に入る可能性がある。
【0011】
本開示によれば、輸送された媒体のカールを制御するためにコアンダ効果及びベルヌーイ効果を使用する改善された装置の実施形態が開示される。図2では、エアナイフ19、湾曲したバッフル62、並びに入口リブ64及び出口リブ66をそれぞれ使用することによって、マーカ輸送部70と乾燥機輸送部80との間のインクジェットプリンタ環境で矢印67の方向に搬送される媒体11の支持されていない長さの軌道を制御する媒体取り扱い装置60が示されている。これは、シート11下の湾曲したバッフル62上にノズル19から矢印68の方向に高速空気の薄層を生成することによって達成される。高速空気流の制御は、媒体の種類及び重量に基づいて定義することができる。湾曲したバッフルに追従する(コアンダ効果)傾向を有する高速空気層は、バッフル62に向けてシートを逸らす(ベルヌーイ効果)。湾曲したバッフル62を媒体紙経路に沿って位置付けることによって、かつ均一空気流をそれに適用することによって、空気はバッフル62の湾曲した表面に追従し、シート11が追従する。加えて、開口部を有する入口リブ64を使用して、下方カールした媒体の境界条件を提供する一方で、同時に、空気流がリブ間を通過することを可能にし、上方カールしたシート11の初期取得を強化する。出口リブ66は、下方カールした媒体の境界条件を提供する一方で、同時に、媒体から別の輸送部へのハンドオフ中の軌道を提供するために含まれる。
【0012】
概括では、隣接する紙経路輸送部間に位置付けられた湾曲したバッフルを利用する、2つの輸送部間で媒体を移行させるための改善された装置が開示される。均一化された高速空気流が、湾曲したバッフルの表面上に適用される。高速空気層は、コアンダ効果に起因して湾曲したバッフルの湾曲に追従し、媒体は、湾曲したバッフルに向かって逸らされる(ベルヌーイ効果)。隣接する輸送部間に湾曲したバッフルを導入し、均一高速気流をそれに適用することにより、より低い圧力領域を生成させ、これは、媒体の軌道を平坦化し、媒体の下流輸送部への進入を確実にする。
【0013】
当初提示された、及び補正され得る特許請求の範囲は、現在、予想又は認識されないもの、並びに、例えば、出願人/特許権者及び他の者から生じ得るものを含む、本明細書に開示される実施形態及び教示の変形、代替、修正、改善、等価物、及び実質的な等価物を包含する。特許請求の範囲に具体的に列挙されない限り、特許請求の範囲の工程又は構成要素は、本明細書又は任意の他の特許請求の範囲から、特定の順序、数、位置、サイズ、形状、角度、色、又は材料に関して、暗示又は意味されるべきではない。
図1
図2