IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ YKK AP株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-目隠しユニットの取付構造 図1
  • 特許-目隠しユニットの取付構造 図2
  • 特許-目隠しユニットの取付構造 図3
  • 特許-目隠しユニットの取付構造 図4
  • 特許-目隠しユニットの取付構造 図5
  • 特許-目隠しユニットの取付構造 図6
  • 特許-目隠しユニットの取付構造 図7
  • 特許-目隠しユニットの取付構造 図8
  • 特許-目隠しユニットの取付構造 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】目隠しユニットの取付構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/01 20060101AFI20240110BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E06B9/01 E
E06B9/01 B
E06B5/16
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020076697
(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公開番号】P2021173034
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 猛
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-075973(JP,A)
【文献】特開2018-162600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
E06B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防火設備と目隠しユニットとが互いに対向する状態で支持部材を介して前記目隠しユニットを被支持体に支持させる目隠しユニットの取付構造であって、
前記支持部材の少なくとも一部には、前記防火設備の構造材よりも融点の低い材質で成形された溶融部が設けられ
前記支持部材は、前記目隠しユニット及び前記被支持体の間に設けられ、前記目隠しユニットに対して上下に沿ってスライド可能となる取付ブラケットと、前記取付ブラケット及び前記目隠しユニットの間に介在することにより、前記取付ブラケットに対する前記目隠しユニットのスライドを阻止する連結体とを備え、
前記連結体が前記溶融部として構成され、前記取付ブラケットに対して前記目隠しユニットが上方に配置された状態で互いの間に前記連結体が介在されていることを特徴とする目隠しユニットの取付構造。
【請求項2】
前記目隠しユニットの構造材に上下に沿った長孔が設けられているとともに、前記取付ブラケットに設けたガイドピンが前記長孔にスライド可能に貫通され、シート状に成形した前記連結体を介して前記ガイドピンに締め付け部材を螺合することにより、前記取付ブラケットに対する前記目隠しユニットのスライドが阻止されていることを特徴とする請求項1に記載の目隠しユニットの取付構造。
【請求項3】
前記目隠しユニットと前記被支持体との間には、前記防火設備に対する前記目隠しユニットの移動範囲を制限する制限部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の目隠しユニットの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面格子やガラリ、ルーバー等の目隠しユニットを設けるための構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建具には、外部からの視界を遮るために、室外側となる部分に面格子やガラリ、ルーバー等の目隠しユニットを付設するようにしたものがある。この種の目隠しユニットは、例えば建具との間に取付ブラケットを介させることにより、建具の面材との間に隙間を確保した状態で面材の全面を覆うように支持されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-20878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、昨今の建具には、枠や框に熱膨張性部材を設けることにより、防火性の向上を図るようにしたものが提供されている。この種の防火性を高めた建具(以下、防火設備という)を対象として目隠しユニットを設けた場合には、例えば室内側に火災が発生すると、防火設備と目隠しユニットとの間に熱が籠もり、防火設備の防火性に影響が及ぶ懸念がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、防火設備の防火性に影響を与えることなく目隠しユニットを被支持体に支持させることのできる目隠しユニットの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る目隠しユニットの取付構造は、防火設備と目隠しユニットとが互いに対向する状態で支持部材を介して前記目隠しユニットを被支持体に支持させる目隠しユニットの取付構造であって、前記支持部材の少なくとも一部には、前記防火設備の構造材よりも融点の低い材質で成形された溶融部が設けられ、前記支持部材は、前記目隠しユニット及び前記被支持体の間に設けられ、前記目隠しユニットに対して上下に沿ってスライド可能となる取付ブラケットと、前記取付ブラケット及び前記目隠しユニットの間に介在することにより、前記取付ブラケットに対する前記目隠しユニットのスライドを阻止する連結体とを備え、前記連結体が前記溶融部として構成され、前記取付ブラケットに対して前記目隠しユニットが上方に配置された状態で互いの間に前記連結体が介在されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、火災等によって高温に晒されると、溶融部が溶融することで目隠しユニットの支持状態が解除され、防火設備の表面が開放された状態となる。これにより、防火設備と目隠しユニットとの間に熱が籠もる事態が防止され、防火設備の防火性に影響が及ぶおそれがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1である取付構造を適用して目隠しユニットが取り付けられた防火設備を概念的に示す縦断面図である。
図2図1に示した防火設備において目隠しユニットが開放された状態の縦断面図である。
図3図1に示した防火設備の横断面図である。
図4図1に示した防火設備において支持部材と目隠しユニットとの連結状態を示す要部拡大縦断面図である。
図5】本発明の実施の形態2である取付構造を適用して目隠しユニットが取り付けられた防火設備を概念的に示す縦断面図である。
図6図5に示した防火設備において目隠しユニットが開放された状態の縦断面図である。
図7図5に示した防火設備の横断面図である。
図8図5に示した防火設備において支持部材と目隠しユニットとの連結状態を示す要部拡大縦断面図である。
図9図5に示した防火設備において支持部材と目隠しユニットとの連結状態を示す要部拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る目隠しユニットの取付構造の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1図4は、本発明の実施の形態1である取付構造を適用して目隠しユニットが取り付けられた防火設備を示したものである。防火設備(被支持体)10は、加熱した場合に加熱面以外の面に20分間火炎を出さないように構成された設備であり、ビル等の建築物1に設けられた開口に装着した状態で建築物1に取り付けてある。図には明示していないが、例えば、枠体及び障子を備えた建具であれば、枠体を構成する枠や障子を構成する框の適宜箇所に熱膨張性部材を設けることにより、防火設備10として用いることができる。熱膨張性部材は、熱により膨張する不燃性または難燃性の耐火材である。この種の熱膨張性部材としては黒鉛含有の発泡材を適用することができる。熱膨張性部材の発泡温度は、例えば約200℃である。図からも明らかなように、実施の形態1の防火設備10は、枠体11において下方の横材となる下枠11aに水切り部材12を備えている。水切り部材12は、下枠11aの室外側となる縁部の下面から室外に向けて漸次下方となるように傾斜して延在したものである。防火設備10を構成する枠体11、水切り部材12及び図示せぬ障子等の構造材は、いずれもアルミニウム合金等の金属によって成形した押出形材である。
【0011】
目隠しユニット20は、防火設備10の室外側に互いに対向した状態で設置される面材であり、例えば面格子やガラリ、ルーバー等が含まれる。図示の例では、四周枠組みしたユニット枠体21の内部に左右に沿った羽根板22を上下に複数枚並設したルーバーを示している。ユニット枠体21及び羽根板22についても、防火設備10と同様、アルミニウム合金等の金属によって成形してある。この目隠しユニット20は、ヒンジ(制限部材)30及び取付ブラケット40により、ユニット枠体21を介して防火設備10に支持してある。
【0012】
ヒンジ30は、ユニット枠体21において下方の横材となるユニット下枠21aと、防火設備10の水切り部材12との間に設けたもので、ユニット下枠21aの長手に沿ってほぼ水平となるヒンジ軸31を中心に回転可能となる状態で目隠しユニット20と防火設備10との間を接続している。より具体的に説明すると、ヒンジ30を構成する2枚のヒンジプレート32がそれぞれヒンジネジ33によってユニット下枠21a及び水切り部材12に取り付けてある。上述したように、防火設備10は、建築物1に取り付けたものである。従って、この実施の形態1では、防火設備10に対して目隠しユニット20がヒンジ軸31を中心に回転し、図1に示すように、室外において防火設備10に対向した対向位置から、図2に示すように、ユニット枠体21において上方の横材となるユニット上枠21bが室外に突出する開放位置までの間を移動することが可能である。図2に示す開放位置においては、ユニット下枠21aの下面が水切り部材12に当接することにより、防火設備10に対する目隠しユニット20のそれ以上の回転が阻止されている。上述したヒンジ30を構成する2枚のヒンジプレート32及びヒンジネジ33は、いずれも鋼材等の金属によって成形してある。
【0013】
取付ブラケット40は、図1図4に示すように、矩形の平板状を成す基板部41の一方の縁部にカシメ固定部42を有し、他方の縁部にネジ固定部43を有したもので、ヒンジ30と同様、鋼材等の金属によって成形してある。カシメ固定部42は、基板部41からほぼ直角に屈曲した後、この屈曲部分に重なるように折り返すことによって構成したものである。このカシメ固定部42は、防火設備10の縦枠11bに設けた固定ヒレ部11b1を互いの間に挿入した後、両側から加圧力を付与することによって固定ヒレ部11b1に接合してある。縦枠11bの固定ヒレ部11b1は、縦枠11bにおいて室外側の縁部から内周側に向けて突出した薄板状を成すものである。図示の例では、左右の縦枠11bにそれぞれ複数の取付ブラケット40が設けてある。ネジ固定部43は、基板部41から内周側に向けてほぼ直角となるように屈曲した平板状部分であり、上下2つのネジ挿通孔43aを有している。この取付ブラケット40のネジ固定部43に対しては、図3図4に示すように、室外側となる表面43bにユニット縦枠21cの見付け壁部21c1を当接させ、ネジ固定部43のネジ挿通孔43a及び見付け壁部21c1のネジ挿通孔21c2を介して裏板44に取付ネジ(連結体:溶融部)45を螺合することにより、目隠しユニット20が取り付けてある。取付ネジ45は、防火設備10を構成する縦枠11b等の構造材よりも融点が低い材質、例えば樹脂や錫、鉛等の金属によって成形してある。裏板44は、鋼材等の金属によって成形したもので、固定ネジ46によって見付け壁部21c1の室外側となる表面21c3に取り付けてある。裏板44を見付け壁部21c1に取り付ける固定ネジ46は、鋼材等の金属によって成形したものである。
【0014】
上記のように構成した防火設備10及び目隠しユニット20を備える建築物1では、防火設備10の室外側となる表面が目隠しユニット20によって覆われた状態となる。従って、室外から建築物1の内部を視認することが困難となる。しかも、目隠しユニット20を取り付けるためのヒンジ30や取付ブラケット40が目隠しユニット20よりも室内側に設けてあり、室外側からヒンジ30や取付ブラケット40を取り外すことも困難となる。従って、こうした目隠しユニット20を備える建築物1によれば、防犯性の点で有利となる。さらに、室内側において火災が発生する等、防火設備10が高温に晒された場合には、防火設備10の構造材よりも融点の低い取付ネジ45が早期に溶融する。換言すれば、防火設備10の構造材が溶融する以前の温度状態において取付ネジ45が溶融することになる。このため、図2に示すように、取付ブラケット40による目隠しユニット20の支持状態が解除され、目隠しユニット20が開放位置に移動することで防火設備10の室外に臨む表面が開放された状態となる。これにより、防火設備10の熱が室外側に放出されることになり、防火設備10と目隠しユニット20との間に熱が籠もる事態が防止される。従って、防火設備10においては、あらかじめ設定された温度状態に到達した時点で熱膨張性部材が所望の部位で膨張することになり、室内側の火炎が室外側に到達するような貫通口が生じる事態を防止することができるようになる。その後においても、防火設備10の枠や框等の構造材が早期に溶融する事態を招来するおそれもなくなる。加えて、取付ブラケット40による目隠しユニット20の支持状態が解除された後においても、図2に示すように、目隠しユニット20がヒンジ30によって防火設備10に支持された状態が維持されるため、建築物1から目隠しユニット20が脱落することに起因した二次的な問題を来すおそれもない。
【0015】
なお、上述した実施の形態1では、溶融部として、取付ネジ45を例示しているが、必ずしも取付ネジ45に限らず、裏板44や取付ブラケット40のいずれか一つを溶融部として構成しても良いし、これら部材の複数を溶融部として構成しても構わない。取付ブラケット40を溶融部として構成する場合には、その全部を融点の低い材質によって成形しても良いし、目隠しユニット20の支持状態が解除できれば、取付ブラケット40の一部のみを融点の低い材質によって成形しても良い。
【0016】
(実施の形態2)
図5図9は、本発明の実施の形態2である取付構造を適用して目隠しユニットが取り付けられた防火設備を示したものである。ここで例示する防火設備(被支持体)10及び目隠しユニット20は、実施の形態1と同様のものであり、実施の形態1とは目隠しユニット20を支持するための取付構造のみが異なっている。以下、実施の形態1と異なる構成について詳述し、実施の形態1と同様の構成について同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0017】
実施の形態2では、実施の形態1で適用したヒンジ30を用いず、取付ブラケット40のみで目隠しユニット20を防火設備10に支持するようにしている。取付ブラケット40は、基板部41、カシメ固定部42及びネジ固定部43を有する点で実施の形態1と同様であるが、基板部41の寸法が実施の形態1よりも長く構成してある。すなわち、実施の形態2の取付ブラケット40は、カシメ固定部42を介して縦枠11bの固定ヒレ部11b1に接合した場合、ネジ固定部43が建築物1の外壁面よりも室外側に突出するように基板部41の寸法が設定してある。取付ブラケット40の材質は、実施の形態1と同様鋼材等の金属である。
【0018】
一方、目隠しユニット20のユニット縦枠21cには、見付け壁部21c1に上下に沿って長孔21c4が形成してある。この長孔21c4は、図には明示していないが、見付け壁部21c1の上端に開放する一方、下端が閉塞した一連のものである。取付ブラケット40のネジ固定部43には、実施の形態1と同様、2つのネジ挿通孔43aが上下に設けてある。この取付ブラケット40のネジ固定部43に対しては、図7図8に示すように、室外側となる表面43bにユニット縦枠21cの見付け壁部21c1を当接させるとともに、室内側となる表面43cにワッシャー(連結体:溶融部)47を当接させ、ワッシャー47のネジ挿通孔47a、ネジ固定部43のネジ挿通孔43a及び見付け壁部21c1の長孔21c4を介して裏板(締め付け部材)144に取付ネジ(ガイドピン)145を螺合することにより、目隠しユニット20が取り付けてある。ワッシャー47は、防火設備10を構成する縦枠11b等の構造材よりも融点が低い材質、例えば樹脂や錫、鉛等の金属によって成形したものである。本実施の形態2では、見付け壁部21c1よりも大きな板厚を有したワッシャー47を適用している。裏板144及び取付ネジ145については、いずれも鋼材等の金属によって成形してある。
【0019】
上記のように構成した防火設備10及び目隠しユニット20を備える建築物1では、防火設備10の室外側となる表面が目隠しユニット20によって覆われた状態となるため、室外から建築物1の内部を視認することが困難となる。しかも、目隠しユニット20を取り付けるための取付ブラケット40が目隠しユニット20よりも室内側に設けてあるため、室外から取付ブラケット40を取り外すことも困難となる。従って、こうした目隠しユニット20を備える建築物1によれば、防犯性の点で有利となる。さらに、室内側において火災が発生する等、防火設備10が高温に晒された場合には、防火設備10の構造材よりも融点の低いワッシャー47が早期に溶融する。このため、図9に示すように、取付ネジ145の頭部145aから裏板144までの間の隙間が、目隠しユニット20の見付け壁部21c1と、取付ブラケット40のネジ固定部43との合計板厚よりも大きくなり、取付ブラケット40に対する目隠しユニット20の支持状態が解除される。この結果、長孔21c4を介して目隠しユニット20の見付け壁部21c1が取付ネジ145のネジ固定部43に対して下方に移動し、図6に示すように、防火設備10の室外に臨む表面が開放された状態となる。これにより、防火設備10の熱が室外側に放出されることになり、防火設備10と目隠しユニット20との間に熱が籠もる事態が防止される。従って、防火設備10においては、あらかじめ設定された温度状態に到達した時点で熱膨張性部材が所望の部位で膨張することになり、室内側の火炎が室外側に到達するような貫通口が生じる事態を防止することができるようになる。その後においても、防火設備10の枠や框等の構造材が早期に溶融する事態を招来するおそれもなくなる。本実施の形態2においては、見付け壁部21c1に設けた長孔21c4の上端が開放しているため、ワッシャー47が溶融した後においては、目隠しユニット20が落下することになる。しかしながら、例えば、目隠しユニット20と防火設備10との間に鋼材によって成形したワイヤー等の制限部材を介在させておけば、取付ブラケット40による支持状態が解除された後においても、目隠しユニット20が防火設備10に支持された状態を維持することが可能となる。例えば、制限部材としてワイヤーを適用する場合、常態においてはワイヤーを防火設備を構成する構造材や目隠しユニットを構成する構造材の内部に収容させておくことが好ましい。
【0020】
なお、上述した実施の形態1及び実施の形態2では、いずれも目隠しユニットとしてユニット枠体を備えたルーバーを例示しているが、防火設備に対向した状態で設けられるものであれば、必ずしもルーバーである必要はなく、面格子やガラリを支持させる場合にも同様に適用可能である。また、目隠しユニットの支持対象として防火設備を例示しているが、被支持体は防火設備である必要はなく、例えば建築物の外壁面に支持させるようにしても良い。さらに、実施の形態1においては溶融部である取付ネジ45が溶融した後にヒンジ30によって目隠しユニット20を回転させることで防火設備10を開放し、実施の形態2においては溶融部であるワッシャー47が溶融した後に長孔21c4及び取付ネジ145によって目隠しユニット20を下方にスライドさせることで防火設備10を開放するようにしているが、目隠しユニットの移動態様は必ずしもこれらに限定されない。この場合、重力の作用によって目隠しユニットを移動させる必要もなく、例えばバネの弾性復元力を利用して目隠しユニットを開放するようにしても構わない。
【0021】
以上のように本発明に係る目隠しユニットの取付構造は、防火設備と目隠しユニットとが互いに対向する状態で支持部材を介して前記目隠しユニットを被支持体に支持させる目隠しユニットの取付構造であって、前記支持部材の少なくとも一部には、前記防火設備の構造材よりも融点の低い材質で成形された溶融部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、火災等によって高温に晒されると、溶融部が溶融することで目隠しユニットの支持状態が解除され、防火設備の表面が開放された状態となる。これにより、防火設備と目隠しユニットとの間に熱が籠もる事態が防止され、防火設備の防火性に影響が及ぶおそれがなくなる。
【0022】
また本発明は、上述した目隠しユニットの取付構造において、前記支持部材は、前記目隠しユニット及び前記被支持体の間に設けられる取付ブラケットと、前記取付ブラケットを前記目隠しユニットに連結する連結体とを備え、前記連結体が前記溶融部として構成されていることを特徴としている。
この発明によれば、火災等によって高温に晒されると、連結体が溶融することで取付ブラケットと目隠しユニットとの連結状態が解除され、防火設備の表面が開放されることになる。
【0023】
また本発明は、上述した目隠しユニットの取付構造において、前記目隠しユニットは、下縁部を構成する構造材がヒンジを介して前記被支持体に回転可能に支持されているとともに、前記ヒンジよりも上方に位置する構造材に前記取付ブラケットが設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、取付ブラケットとの連結状態が解除された目隠しユニットがヒンジを介して回転する。これにより、目隠しユニットが被支持体に支持された状態で防火設備の表面が開放されることになり、目隠しユニットが落下する事態を招来することなく防火設備の防火性を維持することが可能となる。
【0024】
また本発明は、上述した目隠しユニットの取付構造において、前記支持部材は、前記目隠しユニット及び前記被支持体の間に設けられ、前記目隠しユニットに対して上下に沿ってスライド可能となる取付ブラケットと、前記取付ブラケット及び前記目隠しユニットの間に介在することにより、前記取付ブラケットに対する前記目隠しユニットのスライドを阻止する連結体とを備え、前記連結体が前記溶融部として構成され、前記取付ブラケットに対して前記目隠しユニットが上方に配置された状態で互いの間に前記連結体が介在されていることを特徴としている。
この発明によれば、火災等によって高温に晒されると、連結体が溶融することで取付ブラケットに対して目隠しユニットが下方にスライドする。これにより、目隠しユニットが取付ブラケットに支持された状態で防火設備の表面が開放されることになり、目隠しユニットが落下する事態を招来することなく防火設備の防火性を維持することが可能となる。
【0025】
また本発明は、上述した目隠しユニットの取付構造において、前記目隠しユニットの構造材に上下に沿った長孔が設けられているとともに、前記取付ブラケットに設けたガイドピンが前記長孔にスライド可能に貫通され、シート状に成形した前記連結体を介して前記ガイドピンに締め付け部材を螺合することにより、前記取付ブラケットに対する前記目隠しユニットのスライドが阻止されていることを特徴としている。
この発明によれば、火災等によって高温に晒されると、シート状の連結体が溶融することで目隠しユニットの長孔をガイドピンが下方にスライドし、防火設備の表面が開放されることになる。
【0026】
また本発明は、上述した目隠しユニットの取付構造において、前記目隠しユニットと前記被支持体との間には、前記防火設備に対する前記目隠しユニットの移動範囲を制限する制限部材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、連結体が溶融した場合にも制限部材によって目隠しユニットが落下する事態を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0027】
1 建築物、10 防火設備、11 枠体、11a 下枠、11b 縦枠、11b1 固定ヒレ部、12 水切り部材、20 目隠しユニット、21 ユニット枠体、21a ユニット下枠、21b ユニット上枠、21c ユニット縦枠、21c1 見付け壁部、21c4 長孔、30 ヒンジ、40 取付ブラケット、44 裏板、45 取付ネジ、47 ワッシャー、144 裏板、145 取付ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9