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特許7416677外部物質を遮断する構成を有するケーシングアセンブリ
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  • 特許-外部物質を遮断する構成を有するケーシングアセンブリ 図1
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  • 特許-外部物質を遮断する構成を有するケーシングアセンブリ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】外部物質を遮断する構成を有するケーシングアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/00 20060101AFI20240110BHJP
   H05K 5/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65D25/00
H05K5/06 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020172129
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2021138449
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2020-10-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】109107576
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502361706
【氏名又は名称】技嘉科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Giga-Byte Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.6,Bau-Chiang Road, Hsin-Tien Dist. New Taipei City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チー-ミン ライ
(72)【発明者】
【氏名】ユ チ ペン
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】筑波 茂樹
【審判官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-72944(JP,A)
【文献】特開2007-191194(JP,A)
【文献】特開2006-176191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/24
B65D 43/00-43/08
B65D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部物質を遮断するための少なくとも1つの構成を有するケーシングアセンブリであって、前記ケーシングアセンブリは、
接触部と第1凹部とを備える第1シェル部と、
段差部と突出部とを備え、前記段差部は前記第1シェル部の前記接触部に接触し、前記接触部と外部に露出する装飾スロットを形成し、前記第1凹部は、前記装飾スロットから離れて位置する前記接触部の側面に位置し、前記突出部は、前記装飾スロットから離れて位置する前記段差部の側面に位置し、前記第1凹部内に位置する、第2シェル部と、を有し、
前記突出部は前記第1凹部に向かって対向する上面を有し、前記第1凹部は底面を有し、かつ、前記突出部の上面と前記第1凹部の底面との間にアイドルキャビティが形成されており、
前記第2シェル部は、第2本体部をさらに含み、前記段差部及び前記突出部は、前記第2本体部から延びており、
前記第2シェル部において、前記装飾スロットに配置され、前記第1シェル部と向かい合う前記第2本体部の表面と、前記アイドルキャビティに面する前記突出部の表面の少なくとも一部と、前記段差部のうち前記接触部に接触する表面とが、互いに同一面になく、かつ互いに平行である、ケーシングアセンブリ。
【請求項2】
前記装飾スロット側に面する前記突出部の表面は、前記接触部に接触する前記段差部の表面に対して実質的に垂直である、請求項1に記載のケーシングアセンブリ。
【請求項3】
前記第1シェル部は、第1遮断壁をさらに備え、前記第1遮断壁は前記装飾スロットから離れて位置するとともに、前記装飾スロットから離れて位置する前記突出部の側面に位置する前記第1凹部の側面から延在する、請求項1に記載のケーシングアセンブリ。
【請求項4】
前記第1凹部の底面からの前記第1遮断壁の突出長さは、前記第1凹部の底面からの前記接触部の突出長さよりも大きい、請求項3に記載のケーシングアセンブリ。
【請求項5】
前記第2シェル部は、第2凹部および第2遮断壁をさらに備え、前記第2凹部は、前記装飾スロットから離れて位置する前記突出部の側面に位置し、前記第1遮断壁は前記第2凹部に位置し、前記第2遮断壁は前記装飾スロットから離れて位置する前記第2凹部の側面に位置する、請求項3に記載のケーシングアセンブリ。
【請求項6】
前記第1遮断壁は、前記第2凹部の遮断面に接している、請求項5に記載のケーシングアセンブリ。
【請求項7】
前記第2凹部の遮断面に対する前記突出部の突出長さは、前記第2凹部の遮断面に対する前記第2遮断壁の突出長さよりも小さい、請求項5に記載のケーシングアセンブリ。
【請求項8】
前記装飾スロット側に面する前記第2遮断壁の面は、前記第2凹部の遮断面に対して実質的に垂直である、請求項5に記載のケーシングアセンブリ。
【請求項9】
前記突出部、前記第1遮断壁、および前記第2遮断壁が交互に配置される、請求項5に記載のケーシングアセンブリ。
【請求項10】
前記第1凹部には、ゴムが存在しない、請求項1に記載のケーシングアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年3月9日に台湾R.O.C.に提出された特許出願番号109107576号の、35U.S.C.§119(a)に基づく優先権を主張しており、上記台湾出願の全開示内容が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示はケーシングアセンブリ(casing assembly)に関し、より詳細には、外部物質を遮断するための構成を有するケーシングアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
ほとんどの場合、製造公差および材料などの固有の特性のために、一緒に組み立てられる任意のケーシング(casing)またはシェル(shell)の間の継ぎ目は、全体的かつ完全に密封されないことがある。特に、継ぎ目(seam)が外部に露出している外装やシェルについては、継ぎ目の割れ目が無くなったり、小さくなったりしないと製品外観に悪影響を及ぼすことがある。この問題を解決するために、最も一般的な解決策は継ぎ目に沿って適当な大きさの装飾スロット(いわゆる「装飾溝」または「装飾継ぎ目」)を形成して、継ぎ目の不利な視覚的影響を排除するか、またはあまり目立たないようにすることであり、また、装飾スロットは、いくつかの特定の視覚的効果を達成するためにケーシングを互いにより独立して見えるようにする。
【0004】
一方、外部物質(例えば、水分または塵埃)が装飾スロットまたは継ぎ目を介してケーシング内に侵入するのを防止するために、継ぎ目に沿った防水または防塵構造が不可欠である。従来、一般的な解決方法は互いに組み立てられるケーシング間にゴム棒またはリングを適用することであるが、ケーシング間の間隔はゴム棒のために増大することになり、その結果、装飾スロットが広くなり、それによって外観上の魅力が低下する。さらに、ゴム棒の設置はコストおよび全体的な構造の複雑さを増加させるだけでなく、複雑でエラーを起こしやすいプロセスをも含み、それによって全体的な製造コストおよび時間を増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本開示はゴムを用いることなく、外部水分や塵埃等の外部物質を遮断することができ、装飾スロットの最適な大きさを得ることができる、外部物質を遮断するための構成を有するケーシングアセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態は、外部物質を遮断するための少なくとも1つの構成を有し、第1シェル部および第2シェル部を含むケーシングアセンブリを提供する。第1シェル部は、接触部と第1凹部とを有している。第2シェル部は、段差部と突出部とを含む。段差部は第1シェル部の接触部と接触し、接触部と外部に露出する装飾スロットを形成する。第1凹部は、装飾スロットから離れて位置する接触部の側面に位置する。突出部は、装飾スロットから離れて位置する段差部の側面に位置し、第1凹部内に位置する。突出部は第1凹部に向かって対向する上面を有し、第1凹部は底面を有し、かつ、突出部の上面と第1凹部の底面との間にアイドルキャビティ(idle cavity)が形成されている。
【0007】
上述した外部物質を遮断する構成を有するケーシングアセンブリによれば、第1シェル部の接触部は、第2シェル部の段差部と接触しており、ケーシングアセンブリ内に侵入する外部物質(例えば、外部水分または塵埃)を防止するために、外部物質を遮断するための構成が装飾スロット上に形成される。また、装飾スロットから離れて位置する第2シェル部の段差部の側面から突出する突出部が存在し、この突出部は外部物質がケーシングアセンブリ内に入る経路を著しく長くして、外部物質を遮断するための別の構成としての役割を果たすことができ、それによって、外部物質がケーシングアセンブリ内に侵入する可能性を著しく低減する。さらに、アイドルキャビティは、第2シェル部の突出部分と第1シェル部の第1凹部との間に形成され、アイドルキャビティは、外部物質を遮断するための前記構成を予期せずに通過する水分または塵埃を保持および溜め込むことができ、したがって、アイドルキャビティは、外部物質を遮断するための第3の構成として役立つ。
【0008】
IEC/EN60529に規定されている防水試験および防塵試験の結果によれば、外部物質を遮断する上記のような構成を有するケーシングアセンブリを用いた装置は、必要とされるまたは十分に高い防水レベルおよび防塵レベルに到達することができる。また、ケーシングアセンブリの外部物質を遮断するためのこれらの構成は、ゴム棒またはリングを使用しない。したがって、本発明のケーシングアセンブリは、従来のケーシングがゴムリングの存在により広い装飾スロットを有するという問題を伴わない。したがって、本開示のケーシングアセンブリの装飾スロットは、所望の小さな寸法で作ることができ、外観の魅力を向上させるために、装飾スロットの微細で繊細な寸法を達成することができる。
【0009】
また、段差部は、外部物質を遮断するための第1の構成を形成することができるだけでなく、装飾スロットの深さを減少することができ、ケーシングアセンブリの魅力をさらに向上させることができる。
【0010】
上述したように、本開示のケーシングアセンブリは、ゴム棒またはリングを使用することなく、必要な防水レベルおよび防塵レベルに到達することができ、装飾スロットの微細で繊細な寸法を有しながら、ゴムリングを使用するケーシングよりも高い防水レベルおよび防塵レベルに到達することさえできる。これらの利点は、本開示のケーシングアセンブリを用いた製品の総合的な価値を向上させることができるだけでなく、製造費用および構造的な煩雑さを低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示は、本明細書において以下に与えられる詳細な説明および例示としてのみ与えられる添付の図面からよりよく理解されるものであり、本開示を限定することを意図するものではない。
【0012】
図1】本開示の一実施形態に係る外部物質を遮断するための構成を有するケーシングアセンブリ、およびケーシングアセンブリを含む装置の斜視図である。
図2図1における線2-2に沿ったケーシングアセンブリの部分的に拡大された側面断面図である。
図3】本開示の他の一実施形態に係る外部物質を遮断するための構成を有するケーシングアセンブリの部分的に拡大された側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明において、説明の目的のために、開示された実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が説明される。しかしながら、これらの特定の詳細を伴わずに、1つ以上の実施形態が実施されてもよいことは明らかであろう。
【0014】
なお、説明を簡単にするために、周知の特徴を模式的に示し、不要な詳細は図面から省略される場合がある。また、本開示の図面における特徴の大きさまたは比率は例示のために誇張されていることがあるが、本開示はこれに限定されるものではない。なお、本開示の教示に基づき製造される製品の実際の大きさや設計は、実際の要求に応じて適宜変更してもよい。
【0015】
また、「端部」、「部分」または「面積」という用語は、構成要素上または構成要素間の技術的特徴を記述するために使用されることがあるが、技術的特徴はこれらの用語によって限定されるものではない。以下において、「および/または」という用語は、それが接続するケースの1つ以上が発生する可能性があることを示すために使用され得る。また、以下の段落において、「実質的に」、「おおよそ」、または「約」などの用語を使用している。これらの用語が、大きさ、濃度、温度、またはその他の物理的または化学的特性または特徴と組み合わせて使用される場合、これらは、これらの特性または特徴の範囲の上限および/または下限に存在する偏差、または製造公差または分析プロセスによって引き起こされた許容公差であっても、所望の効果を達成することができることを表すために使用される。
【0016】
さらに、別段の定義がない限り、技術用語および科学用語を含む、本開示で使用されるすべての用語は、当業者によって理解され得るそれらの通常の意味を有する。さらに、上記の用語の定義は、本開示に関連する技術分野と一致するものとして解釈されるべきである。特に定義されない限り、これらの用語は、あまりに理想的または形式的な意味として解釈されるべきではない。
【0017】
第1に、図1を参照すると、本開示の一実施形態は、外部物質を遮断するための構成を有するケーシングアセンブリ1を提供する。ケーシングアセンブリ1は、装置9の外側ケーシングまたはシェル(shell)として構成される。装置9は表示部を含む電子装置(例えば、顔認識装置)であってもよいが、本開示はこれに限定されない。他のいくつかの実施形態では、ケーシングアセンブリ1が電子/電気構成要素を含まない電子装置または機械装置の他のタイプの外側ケーシングまたはシェルとして構成されてもよい。
【0018】
さらに、本実施形態では、ケーシングアセンブリ1が少なくとも第1シェル部10および第2シェル部20を含んでもよく、第1シェル部10および第2シェル部20は任意の好適な方法によって組み立てることができ、本開示はこれに限定されない。また、第1シェル部10および第2シェル部20はそれらの継ぎ目(例えば、次の図2に示す継ぎ目C)に沿って装飾スロットG(いわゆる「装飾溝」または「装飾継ぎ目」)を形成してもよい。装飾スロットGの機能としては、ケーシングアセンブリ1の外観を視覚的に装飾したり、外観から見て第1シェル部10と第2シェル部20との継ぎ目の視覚的な悪影響を軽減したりすることが挙げられる。さらに、装飾スロットGは、互いにより独立して見えるように第1シェル部10と第2シェル部20との間にきれいな縁部を作り出して、特定の視覚的作用を達成することができる。なお、図1以降に示す装飾スロットGや他の関連する構成については説明を明確にするために誇張して示しているが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0019】
場合によっては製造公差が不可避であり、したがって、一緒に組み立てられる任意の2つのケーシング間の継ぎ目は完全かつ完全に密封されないことがある。継ぎ目の不利な視覚効果を排除するか、またはそれほど目立たないようにするために、最も一般的な解決策は、継ぎ目に沿ってスロットまたは溝を形成することである。この問題に関して、継ぎ目に沿った装飾スロットは、ケーシングまたはシェル組立体を有する製品(例えば、本実施形態のケーシングアセンブリ1)に必須であり得ることが理解される。しかしながら、上記の説明は、本開示のケーシングアセンブリの第1シェル部と第2シェル部との間の継ぎ目が上記の問題を有していなければならないことを意味するものではなく、上記の問題が本開示のケーシングアセンブリの第1シェル部および第2シェル部によって引き起こされることを意味するものではない。
【0020】
本実施形態において、ケーシングアセンブリ1の構成は比較的小型の装飾スロットGを特徴とすることができ、ケーシングアセンブリ1を有する装置9を必要な防水レベルおよび防塵レベルに到達させることができる。詳細は、図2を参照すると、本実施形態では、第1シェル部10は、第1外表面11と、第1内表面12と、第1本体部100と、第1組立部101とを含む。第1外表面11とは、外側に露出され、ケーシングアセンブリ1の外観の一部としての役割を果たす第1シェル部10の表面であり、つまり、第1外表面11とは、ケーシングアセンブリ1の外側からユーザが容易に直接的に見ることができる第1シェル部10の一部を指す。第1外表面11に関して、第1内表面12とは、外部に露出していないか、ケーシングアセンブリ1の外観としての役割を果たしていない第1シェル部10の表面を指し、つまり、第1内表面12とは、ケーシングアセンブリ1の外側からユーザが容易に直接的に見ることができない第1シェル部10の一部を指す。
【0021】
第1組立部101は、装飾スロットGおよび外部物質を遮断するための構成を形成するように構成するために、第2シェル部20に組み立てられる第1シェル部10の一部であり、第1本体部100は、第1シェル部10の残りの部分を指す。本実施の形態では、第1組立部101は、接触部1011と、第1凹部1013と、第1遮断壁1015とを含んでいてもよく、少なくとも第1凹部1013、第1遮断壁1015、および接触部1011の一部は、第1内表面12に形成されている。なお、本実施形態では、第1シェル部10が単一部品から一体的に形成されていてもよいが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0022】
第2シェル部20は、第2外表面21と、第2内表面22と、第2本体部200と、第2組立部201とを含む。第2外表面21とは、外側に露出され、ケーシングアセンブリ1の外観の一部としての役割を果たす第2シェル部20の表面であり、つまり、第2外表面21とは、ケーシングアセンブリ1の外側からユーザが容易に直接的に見ることができる第2シェル部20の一部を指す。第2外表面21に関して、第2内表面22とは、外部に露出されていないか、ケーシングアセンブリ1の外観としての役割を果たしていない第2シェル部20の表面を指し、つまり、第2内表面22とは、ケーシングアセンブリ1の外側からユーザが容易に直接的に見ることができない第2シェル部20の一部を指す。
【0023】
第2組立部201は、第1シェル部10の第1組立部101に組み立てられて装飾スロットGおよび外部物質を遮断するための構成を形成するように構成された第2シェル部20の一部であり、第2本体部200は、第2シェル部20の残りの部分を指す。本実施形態では、第2組立部201は、段差部2011と、突出部2013とを含んでいてもよく、少なくとも突出部2013および段差部2011の一部は、第2内表面22に形成されている。なお、本実施形態では、第2シェル部20が単一部品から一体的に形成されてもよいが、本開示はこれに限定されるものではない。
【0024】
また、図示のように、第1シェル部10の第1内表面12と第2シェル部20の第2内表面22とは、共に内部空間Sを形成することができる。内部空間Sは、装置9のための任意の必要な機構または電子/電気構成要素または装置(図示しないが、本開示はこれに限定されない)を収容するように構成されてもよい。
【0025】
次に、第1シェル部10の第1組立部101と第2シェル部20の第2組立部201との間の接続を以下に詳細に示す。また、本実施形態では、第1組立部101の接触部1011および第1遮断壁1015が第1本体部100から第2組立部201に向かって延びている。第1凹部1013は、接触部1011と第1遮断壁1015との間に形成されている;換言すれば、接触部1011と第1遮断壁1015とは、第1凹部1013の2つの対向する側面にそれぞれ形成されている。具体的には、接触部1011が、第1外表面11または装飾スロットGにより近接して位置する第1凹部1013の側面に位置し、第1遮断壁1015は、第1外表面11または装飾スロットGから離れて位置する第1凹部1013の別の側面から延在し、装飾スロットGから離れて位置する突出部2013の側面に対向して位置する。
【0026】
本実施形態では、第1凹部1013の2つの対向する側面の深さが異なっている。具体的には、第1凹部1013の底面10131から第1遮断壁1015の突出長さL1が、第1凹部1013の底面10131からの接触部1011の突出長さL2よりも大きい。すなわち、第1外表面11または装飾スロットGから離れて位置する第1凹部1013の側面の深さは、第1外表面11または装飾スロットGにより近くに位置する第1凹部1013の別の側面の深さよりも大きい。
【0027】
一方、第2組立部201の段差部2011および突出部2013は、第2本体部200から第1シェル部10の第1組立部101に向かって延びており、段差部2011は、突出部2013よりも第2外表面21または装飾スロットGのより近くに位置している。さらに、段差部2011からの突出部2013の突出長さL3は、第1遮断壁1015の前述の突出長さL1および接触部1011の第2突出長さL2よりも小さい。すなわち、段差部2011からの突出部2013の突出長さL3は、第1凹部1013の任意の側面の深さよりも小さい。
【0028】
本実施形態では、接触部1011に位置する第1シェル部10の第1内表面12の一部、および段差部2011に位置する第2シェル部20第2内表面22の一部は、例えば平面的に、互いに直接接していてもよい。したがって、接触部1011の表面と段差部2011の表面とが、第1シェル部10と第2シェル部20との間に継ぎ目Cを形成し、外部に露出し、継ぎ目Cに沿って延びる装飾スロットGを形成してもよい。ここで、接触部1011と段差部2011との密着は、装飾スロットGにおける外部物質を遮断し、ケーシングアセンブリ1内に侵入する外部物質(例えば、外部水分や塵)を防止する第1の構成を形成する。本実施形態では、第2シェル部20において、第2本体部200のうち装飾スロットGに配置され、第1シェル部10と向かい合う表面と、突出部2013のうちアイドルキャビティA1に対向する表面の少なくとも一部と、段差部2011のうち接触部1011に接触する表面とは、互いに同一面になく、互いに平行である。
【0029】
また、第2シェル部20の突出部2013は、段差部2011に対して実質的に垂直であり、さらに、突出部2013上の装飾スロットG側に面する第2内表面22の一部は、段差部2011の第1シェル部10に向かって対向する第2内表面22の一部と実質的に垂直である。すなわち、装飾スロットGの側面に向かって対向する突出部2013の表面は、第1シェル部10の接触部1011に接触する段差部2011の表面に対して実質的に垂直である。これにより、第2シェル部20の突出部2013は、外部物質を遮断し、ケーシングアセンブリ1の内部空間Sへ侵入する外部物質を防止する、第2の構成を形成する。
【0030】
また、第2シェル部20の突出部2013は、第1シェル部10の第1凹部1013内に位置し、かつ段差部2011から突出部2013の突出長さL3が第1凹部1013の任意の側面の深さよりも小さいため、第1凹部1013に位置する突出部2013は、第1凹部1013の底部に接触しない。このような配置により、突出部2013上に位置する第2内表面22の一部と、第1凹部1013上に位置する第1内表面12の一部とが共にアイドルキャビティA1を形成する。より具体的には、第1凹部1013の底部に位置する第1内表面12の一部を、底面10131と呼び、突出部2013で底面10131に向かって対向する第2内表面22の一部を上面20131と呼び、突出部2013の上面20131と第1凹部1013の底面10131は、互いから、およびそれらの間のアイドルキャビティA1から離間している。アイドルキャビティA1は、少なくとも、液体または塵のような一定量の外部物質を溜め込むように構成されてもよく、つまり、アイドルキャビティA1は、第2の構成を予期せず通過する外部物質を保持および溜め込むことができる。したがって、アイドルキャビティA1は、外部物質を遮断するための第3の構成として役立つ。また、第1遮断壁1015と突出部2013との交互配置により、アイドルキャビティA1から内部空間Sへの経路が増加し、アイドルキャビティA1から内部空間Sへの外部物質の進入の可能性を大幅に低減できるようになっている。
【0031】
上述したように、第1シェル部10の第1組立部101と第2シェル部20の第2組立部201との協働は、ケーシングアセンブリ1内に侵入する外部物質を防止するための少なくとも3つの構成を形成することができる。ケーシングアセンブリ1を有する装置9の防水試験および防塵試験の結果に基づいて、ケーシングアセンブリ1の前記構成は、装置9を必要な防水レベルおよび防塵レベルに到達させるか、またはそれを超えさせることさえできる。
【0032】
具体的には、IEC/EN60529(IPX)に従った防水試験が、上記実施形態のケーシングアセンブリ1を有する顔認識装置に対して実施され、防水試験は、装置9が動作していない状態で、環境温度25℃±10℃、および相対湿度(RH)50%±25%にて実施され、この試験は、ケーシングアセンブリ1の全面(前面、裏面、上面等を含む)について、それぞれ約0.7リットル/分の水量を噴射角度±60で噴射する噴射ノズル16個を用いて5分間噴霧して実施された。その結果、ケーシングアセンブリ1の内部に液体は存在せず、装置9は依然として機能している。
【0033】
一方、IEC/EN60529(IP5X)による固体粒子防御試験は、同一の環境条件下で同一の装置に対して実施され、固体粒子防御試験は、装置9は作動していない状態で、100%乾燥および2.03g/cmの密度のタルク粒子(粉末)を合計2kgを使用して、8時間、ケーシングアセンブリ1の全表面に対して実施され、ここで、粒子の総量に対する直径が5マイクロメートル未満の粒子の量の比は33.1%±5であり、粒子の総量に対する直径が5~10マイクロメートルの範囲の粒子の量の比は36.97%±5であり、粒子の総量に対する直径が10~20マイクロメートルの範囲の粒子の量の比は25%±5であり、粒子の総量に対する直径が20~44マイクロメートルの範囲の粒子の量の比は4.92%±5である。その結果、ケーシングアセンブリ1の内部にタルク粒子は存在せず、装置9は依然として機能している。
【0034】
従って、ケーシングアセンブリ1の前述の構成は、防水・防塵機能を備えることができ、また、IEC/EN60529によって定義された要求防水レベルおよび防塵レベルと同じレベルを有する装置9を形成することができる。試験結果が、装飾スロットGに沿って接触部1011および段差部2011によって形成される第1の構成が水分および粒子を遮断するのに十分かつ効果的であることをすでに証明している場合であっても、突出部2013によって形成された第2の構成およびアイドルキャビティA1によって形成された第3の構成を有するケーシングアセンブリ1は、実際に、装置9をより高い防水レベルおよび防塵レベルを達成することができることが理解される。
【0035】
また、これらの構成では、ケーシングアセンブリ1の外部物質を遮断するためのゴム棒やリングは使用されていない。例えば、第1凹部1013上または互いに接する任意の表面の間に存在するゴムが存在しない。したがって、ケーシングアセンブリ1は、従来のケーシングがゴムリングの存在により広い装飾スロットを有するという課題を伴わない。すなわち、ケーシングアセンブリ1の装飾スロットGを、所望の小型で作ることができ、ケーシングアセンブリ1の魅力を向上させるために装飾スロットの微細で繊細な寸法を達成することができる。また、段差部2011は、外部物質を遮断するための第1の構成を形成できるだけでなく、装飾スロットGの深さを減少することができ、ケーシングアセンブリ1の魅力をさらに向上させることができる。
【0036】
上述したように、本開示のケーシングアセンブリは、ゴム棒またはリングを使用することなく、必要な防水レベルおよび防塵レベルに到達することができ、装飾スロットの微細で繊細な寸法を有しながら、ゴムリングを使用するケーシングよりも高い防水レベルおよび防塵レベルに到達することさえできる。これらの利点は、本開示のケーシングアセンブリを用いて製品の総合的な価値を向上させることができるだけでなく、製造費用および構造的な煩雑さを低減することもできる。
【0037】
ただし、本開示は、上記実施形態のケーシングアセンブリに限定されるものではない。例えば、図3を参照すると、本開示の他の実施形態に係る外部物質を遮断するための構成を有するケーシングアセンブリ1’の部分的に拡大された側面断面図が示されている。なお、図3中のケーシングアセンブリ1’とケーシングアセンブリ1との主な相違点は、第2シェル部の第2組立部の構成であり、従って、以下の記載は主として、それらの相違点に着目したものであり、ここでは、同一の参照番号を類似または同一の構成要素と表記し、上記の記載を参考にして、類似または同一の部分と理解することができるので、繰り返しの説明は省略する。
【0038】
図面に示すように、本実施形態では、ケーシングアセンブリ1’の第2シェル部20’の第2組立部201’は、第2遮断壁2017と、第2内表面22’に形成された第2凹部2015とをさらに含む。具体的には、第2遮断壁2017は、第2本体部200から第1シェル部10の第1組立部101に向かって延びており、第2凹部2015は突出部2013と第2遮断壁2017との間に形成されている。言い換えれば、突出部2013および第2遮断壁2017は、第2凹部2015の2つの対向する側面にそれぞれ形成され、突出部2013は、第2外表面21または装飾スロットGの近くに位置する第2凹部2015の側面に位置し、第2遮断壁2017は、第2外表面21または装飾スロットGから離れて位置する第2凹部2015の別の側面に位置する。
【0039】
本実施形態では、第2凹部2015の2つの対向する側面の深さが異なっている。具体的には、第2凹部2015の遮断面20151からの突出部2013の突出長さL4は、第2凹部2015の遮断面20151からの第2遮断壁2017の突出長さL5よりも小さい。すなわち、第2外表面21または装飾スロットGから離れて位置する第2凹部2015の側面の深さは、第2外表面21または装飾スロットGの近くに位置する第2凹部2015の他の側面の深さよりも深い。
【0040】
本実施形態では、第1シェル部10の第1遮断壁1015は、第2凹部2015内に位置し、第1遮断壁1015に位置する第1内表面12の一部は、第2凹部2015に位置する第2内表面22’の一部(すなわち、第2凹部2015の遮断面20151)と接して、外部物質を遮断し、外部物質がケーシングアセンブリ1’の内部空間Sに入るのを防止する第4の構成を形成することができる。
【0041】
また、第2遮断壁2017の装飾スロットG側に面する第2内表面22’の一部は、第2凹部2015(すなわち、第2凹部2015の遮断面20151)に位置する第2内表面22’の底部の一部に対して実質的に垂直であるため、第2シェル部20’の第2遮断壁2017は、ケーシングアセンブリ1’の内部空間Sに侵入する外部物質を防止するように、外部物質を遮断するための第5の構成を形成することができる。また、第2シェル部20’の第2遮断壁2017と第1シェル部10の第1遮断壁1015とを交互に配置することにより、第2凹部2015から内部空間Sへの経路が増大し、それによって、外部物質が第2凹部2015から内部空間Sに侵入する可能性が大幅に低減される。
【0042】
上述したように、本実施形態によって提供されるケーシングアセンブリ1’は、外部物質を遮断するための2つの構成をさらに形成する。したがって、ケーシングアセンブリ1’は、より高い防水レベルおよび防塵レベルに達することができることが理解され得る。確かに、実際の要求に従って、ケーシングアセンブリは、上記実施形態の教示に基づいて、外部物質を遮断するためのより多くの構成をさらに形成することができる。
【0043】
上述した外部物質を遮断する構成を有するケーシングアセンブリによれば、第1シェル部の接触部は、第2シェル部の段差部と接触しており、外部物質を遮断する構成が、ケーシングアセンブリに侵入する外部物質(例えば、外部水分または塵埃)を防止するために装飾スロット上に形成される。また、装飾スロットから離れて位置する第2シェル部の段差部の側面から突出部が存在し、この突出部は、外部物質がケーシングアセンブリ内に侵入する経路を著しく長くすることで、外部物質を遮断するための別の構成としての役割を果たすことができ、それによって、外部物質がケーシングアセンブリ内に侵入する可能性を著しく低減することができる。さらに、アイドルキャビティは、第2シェル部の突出部分と第1シェル部の第1凹部との間に形成され、アイドルキャビティは、外部物質を遮断するために前記構成を予期せず通過する水分または塵を保持および溜め込むことができ、したがって、アイドルキャビティは、外部物質を遮断するための第3の構成として役立つ。
【0044】
IEC/EN60529で規定されている防水試験、防塵試験の結果によれば、外部物質を遮断するために前述の構成を持つケーシングアセンブリを使用した装置は、要求される、あるいはさらに高い防水レベル、防塵レベルに到達する可能性がある。また、ケーシングアセンブリの外部物質を遮断するためのこれらの構成はゴム棒またはリングを使用せず、したがって、本開示のケーシングアセンブリは従来のケーシングがゴムリングの存在により広い装飾スロットを有するという問題を伴わない。したがって、本開示のケーシングアセンブリの装飾スロットは所望の小さな寸法で作ることができ、外観の魅力を向上させるために、装飾スロットの微細で繊細な寸法を達成することができる。
【0045】
また、段差部は、外部物質を遮断するための第1の構成を形成することができるだけでなく、装飾スロットの深さを小さくすることができ、ケーシングアセンブリの魅力をさらに向上させることができる。
【0046】
上述したように、本開示のケーシングアセンブリはゴム棒またはリングを使用することなく、必要な防水レベルおよび防塵レベルに到達することができ、装飾スロットの微細で繊細な寸法を有しながら、ゴムリングを使用するケーシングよりも高い防水レベルおよび防塵レベルに到達することさえできる。これらの利点は、本開示のケーシングアセンブリを用いて製品の総合的な価値を向上させることができるだけでなく、製造費用および構造的な煩雑さを低減することもできる。
【0047】
当業者には、本開示に対して様々な修正および変形を行うことができることは、当技術に熟練した当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は、例示的な実施形態としてのみ考えられることが意図されており、開示の範囲は、以下の特許請求の範囲および等価物によって示される。
【符号の説明】
【0048】
1:ケーシングアセンブリ、1’:ケーシングアセンブリ、9:装置、10:第1シェル部、11:第1外表面、12:第1内表面、20:第2シェル部、20’:第2シェル部、21:第2外表面、22:第2内表面、22’:第2内表面、100:第1本体部、101:第1組立部、200:第2本体部、201:第2組立部、201’:第2組立部、1011:接触部、1013:第1凹部、1015:第1遮断壁、2011:段差部、2013:突出部、2015:第2凹部、2017:第2遮断壁、10131:底面、20131:上面、20151:遮断面、A1:アイドルキャビティ、C:継ぎ目、G:装飾スロット、L1-L5:突出長さ、S:内部空間
図1
図2
図3