IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイエムエス ソフトウェア サービシズ リミテッドの特許一覧

特許7416679情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20240110BHJP
【FI】
G16H20/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020174113
(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公開番号】P2022065492
(43)【公開日】2022-04-27
【審査請求日】2021-03-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】506369036
【氏名又は名称】アイエムエス ソフトウェア サービシズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134474
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 恭弘
(74)【代理人】
【識別番号】100161399
【弁理士】
【氏名又は名称】大戸 隆広
(72)【発明者】
【氏名】別府 秀一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 重人
(72)【発明者】
【氏名】西田 圭伸
(72)【発明者】
【氏名】松井 信智
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝宜
(72)【発明者】
【氏名】大木 拓野
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】古川 哲也
【審判官】緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-14582(JP,A)
【文献】特開2019-128904(JP,A)
【文献】特開2018-194904(JP,A)
【文献】特開2014-182472(JP,A)
【文献】特開2003-167959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H10/00-80/00
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
プロセッサと、
命令を記憶するメモリと、を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行された場合に、前記情報処理装置に、
診断及び治療のための医療検査の結果を示す第1データと、健康診断のための医療検査の結果を示す第2データとを記憶装置から読み出すことと、
前記第1データにおいて第1年齢区分に含まれる検査結果と、前記第1データにおいて第2年齢区分に含まれる検査結果との関係を導出することと、
前記第2データにおいて前記第1年齢区分に含まれる検査結果に対して前記関係を適用することによって、前記第2データにおいて前記第2年齢区分に含まれる検査結果を推定することと、
を実行させる、情報処理装置。
【請求項2】
前記第1年齢区分は、65歳未満の年齢を含み、前記第2年齢区分は、65歳以上の年齢を含む、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項4】
コンピュータによって実行される情報処理方法であって、
診断及び治療のための医療検査の結果を示す第1データと、健康診断のための医療検査の結果を示す第2データとを記憶装置から読み出すことと、
前記第1データにおいて第1年齢区分に含まれる検査結果と、前記第1データにおいて第2年齢区分に含まれる検査結果との関係を導出することと、
前記第2データにおいて前記第1年齢区分に含まれる検査結果に対して前記関係を適用することによって、前記第2データにおいて前記第2年齢区分に含まれる検査結果を推定することと、
を有する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
健康診断における検査結果を利用して、様々な分析が行われている。特許文献1は、健康診断の結果に基づいて、ユーザの健康管理を支援するための支援情報を生成する技術を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-101654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
労働安全衛生法によって、企業は従業員に対して健康管理を行うことが義務付けられている。そのため、定年退職前の年齢層(例えば、65歳未満)については健康診断のデータが得られやすい。一方、定年退職後、自らの意思で健康診断を受ける人は少なくなる。そのため、定年退職後の年齢層について健康診断のデータが少なくなる。その結果、健康診断のデータにおける全年齢層にわたる分析が困難となる場合がある。健康診断以外の目的の医療検査についても同様のことが成り立ちうる。本発明の一部の側面は、医療検査の結果を示すデータの量の年代間のばらつきを軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑みて、情報処理装置であって、プロセッサと、命令を記憶するメモリと、を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行された場合に、前記情報処理装置に、診断及び治療のための医療検査の結果を示す第1データと、健康診断のための医療検査の結果を示す第2データとを記憶装置から読み出すことと、前記第1データにおいて第1年齢区分に含まれる検査結果と、前記第1データにおいて第2年齢区分に含まれる検査結果との関係を導出することと、前記第2データにおいて前記第1年齢区分に含まれる検査結果に対して前記関係を適用することによって、前記第2データにおいて前記第2年齢区分に含まれる検査結果を推定することと、を実行させる、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
上記手段により、医療検査の結果を示すデータの量の年代間のばらつきが軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一部の実施形態に係る情報処理装置の構成例を説明するブロック図。
図2図1の情報処理装置が用いる検診データ及び病院データの例を説明する図。
図3図1の情報処理装置の動作例を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うちの二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
図1のブロック図を参照して、本発明の一部の実施形態に係る情報処理装置100の構成について説明する。情報処理装置100は、医療検査の結果を示すデータを補完するための動作を行う。処理の詳細については後述する。情報処理装置100は、例えばパーソナルコンピュータやワークステーション、スマートフォン、タブレットデバイスなどの情報処理装置で実現される。情報処理装置100は、単体の装置で実現されてもよいし、ネットワークを介して相互に接続された複数の装置で実現されてもよい。情報処理装置100は、図1に示す各構成要素を有する。
【0010】
プロセッサ101は、情報処理装置100全体の動作を制御する。プロセッサ101は、例えばCPUとして機能する。メモリ102は、情報処理装置100の動作に用いられるプログラムや一時データなどを記憶する。メモリ102は、例えばROMやRAMなどにより実現される。入力部103は、情報処理装置100のユーザが情報処理装置100への入力を行うために用いられ、例えばマウスやキーボードなどの入力装置で実現される。出力部104は、情報処理装置100からユーザへ情報を出力するために用いられ、例えば表示装置(ディスプレイ)や音響装置(スピーカー)で実現される。通信部105は、情報処理装置100が他の装置と通信する機能を提供し、例えばネットワークカードなどで実現される。他の装置との通信は有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0011】
記憶部106は、情報処理装置100の動作に用いられるデータ、例えば健診データ107及び診断・治療データ108を記憶する。これらのデータの詳細については後述する。記憶部106は、ディスクドライブ(例えば、HDDやSSD)などの記憶装置で実現される。本実施形態で、健診データ107及び診断・治療データ108は情報処理装置100に記憶される。これに代えて、このデータの一部又は全部が情報処理装置100とは異なる装置(外部記憶装置)に記憶されてもよい。この場合に、情報処理装置100は、通信部105を用いて、他の装置から健診データ107及び診断・治療データ108を受信する。健診データ107及び診断・治療データ108は、ファイル形式で記憶されてもよいし、データベースや他の形式で記憶されてもよい。
【0012】
図2を参照して、健診データ107及び診断・治療データ108の一例について説明する。健診データ107とは、健康診断における医療検査の結果を示すデータのことである。健康診断とは、病気の有無にかかわらず、人が健康状態を調べるために定期的に受ける検査のことである。健康診断は、人間ドックを含んでもよい。診断・治療データ108とは、診断及び治療のために行われる医療検査の結果を示すデータのことである。診断及び治療のために行われる医療検査は、典型的に、身体に不調を有する人が病院を受診した際に行われる。
【0013】
健診データ107の詳細について説明する。健診データ107の各レコードは、1人に対して1回の健康診断で行われた検査の結果を示す。カラム201は、被検者の年齢を示す。カラム202は、被検者の性別を示す。カラム203は、検査日を示す。カラム204は、様々な検査項目の検査結果(測定値や所見)を示す。なお、健診データ107は、匿名化されていてもよい(すなわち、被検者の識別情報(氏名など)を含まなくてもよい)。
【0014】
診断・治療データ108の詳細について説明する。診断・治療データ108のレコードは、1人に対して1回の診断・治療で行われた検査の結果を示す。カラム211は、患者の年齢を示す。カラム212は、患者の性別を示す。カラム213は、患者の疾患(診断名)を示す。カラム214は、検査日を示す。カラム215は、様々な検査項目の検査結果(測定値や所見)を示す。なお、診断・治療データ108は、匿名化されていてもよい(すなわち、患者の識別情報(氏名など)を含まなくてもよい)。
【0015】
図3のフローチャートを参照して、情報処理装置100が、医療検査の結果を示すデータを補完する動作の一例について説明する。具体的に、以下の例では、健診データ107における65歳以上の年齢区分の検査結果を補完する。以下の説明において、65歳以上の年齢区分を高齢層と呼び、65歳未満の年齢区分を若年層と呼ぶ。一般的に、健康診断を受けるのは主に若年層である。そのため、健診データ107は、若年層のデータを多数含むが、高齢層のデータが少ない。また、病院での診察・治療における検査は、年齢区分を問わず行われる。そのため、診断・治療データ108は、若年層、高齢層ともに十分なデータ件数を含む。そこで、以下の方法では、健診データ107における高齢層のレコードを、健診データ107における若年層のレコードを用いて補完する。この補完において、診断・治療データ108における高齢層の検査結果と、診断・治療データ108における若年層の検査結果との関係を利用する。
【0016】
図3に説明する方法の各工程は、例えばプロセッサ101がメモリ102に格納されたプログラムを実行することによって実施される。これに代えて、この方法の一部又は全部の工程が、ASIC(特定用途向け集積回路)のようなハードウェアで実現されてもよい。図3の動作の開始時点で、情報処理装置100が健診データ107及び診断・治療データ108を利用可能であるとする。例えば、情報処理装置100の運営者は、病院等から取得した検査結果のレコードを記憶部106に記憶しておく。
【0017】
ステップS301で、プロセッサ101は、記憶部106から健診データ107及び診断・治療データ108を読み出す。レコードの補完は、特定の期間に対して行われてもよい。例えば、プロセッサ101は、健診データ107及び診断・治療データ108のうち、検査日(カラム203)が特定の期間(例えば、2020年1月)であるレコードのみを読み出してもよい。
【0018】
ステップS302で、プロセッサ101は、高齢層と若年層とのそれぞれについて、健診データ107のレコード数を特定する。その後、プロセッサ101は、高齢層において補完すべきレコード数を決定する。例えば、プロセッサ101は、高齢層のレコード数と、若年層のレコード数との比率が、国民全体における高齢層の人数と若年層の人数との比率に一致するように、高齢層において補完すべきレコード数を決定してもよい。
【0019】
ステップS303で、プロセッサ101は、診断・治療データ108のうちの高齢層の検査結果と、診断・治療データ108のうちの若年層の検査結果との関係を導出する。例えば、診断・治療データ108のうちの若年層のレコードのLDHコレステロールの平均値が150であり、診断・治療データ108のうちの高齢層のレコードのLDHコレステロールの平均値が170であるとする。この場合に、プロセッサ101は、これらの検査結果の比率(170/150)を両者の関係として導出してもよい。プロセッサ101は、性別(カラム202)ごとに、上記の関係を導出してもよい。プロセッサ101は、年齢階層(例えば、20代、30代など)ごとに推定値を求めるために、若年層のうち60歳以上65歳未満のレコードと、高齢層のうち65歳以上70歳未満との間の関係を導出してもよい。また例えば、プロセッサ101は、診断・治療データ108のうちのLDHコレステロールの値を目的変数とし、年齢、性別、LDHコレステロール以外の検査結果等を説明変数とした回帰式に基づき、上記の関係を導出してもよい。
【0020】
ステップS304で、プロセッサ101は、健診データ107における若年層の検査結果に対して、診断・治療データ108における高齢層の検査結果と若年層との検査結果との関係を適用することによって、健診データ107における高齢層の検査結果を推定する。例えば、健診データ107のうちの若年層(上述のように、60歳以上65歳未満であってもよい)のレコードのLDHコレステロールの平均値が140であるとする。この場合に、プロセッサ101は、140×(170/150)≒159を、健診データ107のうちの高齢層(上述のように、65歳以上70歳未満であってもよい)のレコードのLDHコレステロールの推定値としてもよい。プロセッサ101は、検査項目ごとに上記の推定を行ってもよい。プロセッサ101は、性別(カラム212)ごとに、上記の推定を行ってもよい。プロセッサ101は、診断・治療データ108のうちのLDHコレステロールの値を目的変数とし、年齢、性別、LDHコレステロール以外の検査結果等を説明変数とした回帰式に基づき、上記の推定を行ってもよい。
【0021】
ステップS305で、プロセッサ101は、ステップS302で決定された数のレコードを作成し、記憶部106に記憶する。作成されるレコードの年齢(カラム201)は、ステップS303で使用された診断・治療データ108のうちの高齢層のレコードの年齢のいずれかの値(例えば、ランダムに選択されたレコードの年齢)であってもよい。これにかえて、レコードの年齢は、高齢層のレコードの年齢の代表値(平均値や中央値)であってもよい。作成されるレコードの検査日(カラム203)は、ステップS304で使用された健診データ107のうちの若年層のレコードの検査日のいずれかの値(例えば、ランダムに選択されたレコードの検査日)であってもよい。これにかえて、レコードの検査日は、若年層のレコードの検査日の代表値(平均値や中央値)であってもよい。作成されるレコードの検査結果(カラム204)は、ステップS304で推定された検査結果である。
【0022】
上記の方法で高齢層のレコードが保管された健診データは、様々な用途(例えば、健康支援などの用途)に使用されうる。このような用途は既存のものであってもよいため、詳細な説明を省略する。上記の例では、健診データ107における高齢層のレコード数が少ないという事情を鑑みて、健診データ107における高齢層のレコードを補完した。レコード数が少ないデータ及び年齢区分は、社会情勢によって異なりうる。そのため、補完対象のレコードは、他のもの、例えば、健診データ107における若年層のレコード、診断・治療データ108における若年層のレコード、又は診断・治療データ108における高齢層のレコードであってもよい。また、使用される2つのデータも健診データ107及び診断・治療データ108に限られず、医療検査の結果を示す他のデータであってもよい。
【0023】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0024】
100 情報処理装置、107 健診データ、108 診断・治療データ
図1
図2
図3