(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】化粧品組成物及び皮膚の処置方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20240110BHJP
A61K 8/368 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/368
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2020518029
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(86)【国際出願番号】 IB2018056985
(87)【国際公開番号】W WO2019064109
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-18
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522236350
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ブラン・セシリア
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー・クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】オドス・ティエリ
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-137940(JP,A)
【文献】特表平09-512830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチノイドで皮膚を処置する方法であって、前記方法は、前記レチノイドとして、式(I):
【化1】
の化合物またはその対応する塩を含む組成物を前記皮膚に塗布することを含み、
式中、点線は、単結合又は二重結合を表し、
R
1は、Hであり、
R
2は、メチル(-CH
3)又はメチレン(=CH
2)部分であり、
Aは、6個の炭素原子の、直鎖、環状、又は分枝鎖の飽和若しくは不飽和の炭酸鎖を表す、方法。
【請求項2】
前記点線のうちの1本は二重結合である、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
Aが芳香族部分である、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
Aがフェニル部分である、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物が、(2E,4E,6E)-7-(1,1,2,2,3,3-ヘキサメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-3-メチルオクタ-2,4,6-トリエン酸である、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が、4-(1-(1,1,2,2,3,3-ヘキサメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)ビニル)安息香酸である、請求項
1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レチノール様活性を有する組成物、及び皮膚を処理するために当該組成物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は、特定の老化プロセスを受けるが、そのうちのいくつかは、内因性プロセス(例えば、経年老化)に起因し、いくつかは、外因性因子(例えば、光老化)に起因する。加えて、皮膚に対する一時的又は更には持続的な変化、例えば、にきび、脂っぽい又は乾燥した皮膚、角化症、酒さ、光感受性、炎症性、紅斑性、及びアレルギー又は自己免疫反応性の反応、例えば、皮膚炎及び光線皮膚症が生じる可能性がある。
【0003】
上述の老化プロセスの結果としては、皮膚の薄化、表皮及び真皮の交絡の脆弱化、並びに細胞の数及び供給血管の減少を挙げることができる。これは、多くの場合、小じわ及びしわの形成をもたらし、色素の欠陥が生じる場合がある。
【0004】
レチノイドは、内因性老化、外因性因子、又は皮膚疾患によって引き起こされる皮膚の状態を処置するために使用されてきた。しかしながら、レチノイド処置の有益な効果にもかかわらず、その利益は、レチノイドの皮膚刺激が原因で限定されている。これらの副作用によって、レチノイドの使用が制限されることがある。
【0005】
これまで、レチノイドを置き換えるための代替化合物の探索は、皮膚萎縮、にきび、光老化などの老化に関連する皮膚の状態の処置において、並びにしわ、小じわ、妊娠線、又はセルライトの外観の低減において、ある程度の成功を収めている。
【0006】
様々な芳香族化合物が特定され、様々なパーソナルケア効果を提供するために皮膚に対して使用されてきた。例えば、Henkelに譲渡された米国特許第4,939,171号は、抗脂漏特性を提供するために3-(4-ファルネシルオキシフェニル)-プロピオン酸を含む化合物の使用を開示している。しかしながら、この特許は、その中で組成物に関連する何らかの老化防止特性を特定していない。
【0007】
加えて、Ecobiotics LTDに譲渡された米国特許出願第2011/0318439号は、酸化防止剤、抗菌剤、駆虫剤、抗炎症剤、癌化学予防剤、食品添加剤及び/又は芳香剤の成分として使用するための、3-(4-ファルネシルオキシフェニル)-プロピオン酸を含むアクロニシア(Acronychia)属の植物由来の化合物を開示している。しかしながら、この特許は、その中で組成物に関連する何らかの老化防止特性を特定していない。
【0008】
米国特許第7,173,062号は、ビタミンA及びレチノイン酸を縮合させることによって得られる、皮膚の老化を阻止する活性を有する化合物を開示している。国際公開第2005/066116号は、カルコンオキシム部分を有するレチノイド様化合物を開示している。欧州特許第1723952号は、皮膚に対する刺激の低減された、しわ防止作用を有する組成物を開示している。欧州特許第0983992号は、RXR及びRAR選択的レチノイド化合物を教示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、レチノイド投与の有害反応を回避する、皮膚の状態を処置するための新規の組成物及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
当業者であれば、本明細書の記載に基づいて本発明を最大限に利用できると考えられる。以下の具体的な実施形態は、あくまで例示的なものとして解釈され得、いかなる意味においても以下の開示を限定するものとして解釈してはならない。
【0011】
特段の記載がない限り、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。更に、本明細書において言及する刊行物、特許出願、特許、及びその他の引用文献は全て参照により援用するものである。本明細書で使用するとき、全ての百分率は、特に規定しない限り、全組成物の重量による。
【0012】
本明細書で使用するとき、ある成分を「本質的に含まない」組成物とは、組成物の総重量に基づいて、その成分を約2重量%以下しか有しない組成物を意味する。好ましくは、ある成分を本質的に含まない組成物は、組成物の総重量に基づいて、約1重量%以下、より好ましくは約0.5重量%以下、より好ましくは約0.1重量%以下、より好ましくは約0.05重量以下、より好ましくは約0.01重量%以下しか当該成分を有しない。特定のより好ましい実施形態では、ある成分を本質的に含まない組成物は、その成分を含まない、すなわち組成物中にその成分が存在しない。
【0013】
本明細書で使用するとき、「化粧用として/皮膚科学的に許容可能な」とは、この用語が説明する成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激、アレルギー反応などを伴わず、組織(例えば、皮膚又は毛髪)と接触して使用するのに好適であることを意味する。当業者に認識されるように、化粧用として/皮膚科学的に許容可能な塩は、酸性/アニオン性又は塩基性/カチオン性の塩である。
【0014】
本明細書で使用するとき、「安全かつ有効な量」とは、所望の効果を誘導するのに十分であるが、重篤な副作用を回避するのに十分少ない抽出物又は組成物の量を意味する。化合物、抽出物、又は組成物の安全かつ有効な量は、例えば、エンドユーザーの年齢、健康状態及び環境曝露、処置の期間及び性質、使用される具体的な抽出物、成分、又は組成物、使用される具体的な製薬上許容できるキャリア、及び同様の要因に応じて異なる。
【0015】
一般に、IUPAC命名法は、本明細書において、以下の用語の定義に従って使用される。
【0016】
用語「C1~8アルキル」は、単独で使用されようと、置換基の一部として使用されようと、1~8個の炭素原子を有する飽和脂肪族分枝鎖又は直鎖一価炭化水素ラジカルを指す。例えば、「C1~8アルキル」は、具体的には、ラジカルメチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、tert-ブチル、1-ブチル、1-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、1-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、1-オクチル、2-オクチル、3-オクチルなどを含む。この用語はまた、対応するアルキルジイルラジカルも指し得る。アルキル及びアルキルジイルラジカルは、末端炭素原子を介して又は鎖内の原子を介してコア分子に結合し得る。同様に、利用可能な原子価が許せば、任意の数の置換基変数(substituent variables)が、アルキル又はアルキルジイルラジカルに結合し得る。
【0017】
用語「C1~4アルキル」は、単独で使用されようと、置換基の一部として使用されようと、指定の数の炭素原子を有する飽和脂肪族分枝鎖又は直鎖一価炭化水素ラジカル又はアルキルジイル連結基を指し、当該ラジカルは、炭素原子から1個の水素原子を除去することによって得られ、当該アルキルジイル連結基は、鎖内の2個の炭素原子のそれぞれから1個の水素原子を除去することによって得られる。用語「C1~4アルキル」は、直鎖又は分枝鎖配置の1~4個の炭素原子を有するラジカルを指す。例えば、「C1~4アルキル」は、具体的には、ラジカルメチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、tert-ブチル、1-ブチルなどを含む。アルキル及びアルキルジイルラジカルは、末端炭素原子を介して又は鎖内の原子を介してコア分子に結合し得る。同様に、利用可能な原子価が許せば、任意の数の置換基変数が、アルキル又はアルキルジイルラジカルに結合し得る。
【0018】
用語「C2~4アルケニル」は、2~4個の炭素原子を有するアルケニルラジカルを指す。例えば、具体的には、ラジカルエテニル、プロペニル、アリル(2-プロペニル)、ブテニルなどを含む。上述のように、アルケニルラジカルも同様にコア分子に結合し得、指定される場合は更に置換されてもよい。
【0019】
用語「ハロ」は、それ自体又は他の用語と組み合わせて、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードなどのハロゲン原子を意味する。
【0020】
用語「置換された」は、1個以上の水素原子が、利用可能な原子価が許す量の置換基で置換されているコア分子を指す。置換は、コア分子には限定されず、置換基ラジカルでも生じ得、それによって、ラジカルは連結基になる。
【0021】
用語「独立して選択される」は、置換基変数群から選択され得る2つ以上の置換基を指し、選択された置換基は同じであっても異なっていてもよい。
【0022】
用語「依存的に選択される」は、コア分子内の置換について指定の組み合わせで特定される1つ以上の置換基変数(例えば、化合物の表のリストに記載されている置換基の群を指す変数)を指す。
【0023】
無機塩基由来の許容可能な塩としては、例えば、ナトリウム又はカリウムの塩などが挙げられる。有機塩基由来の許容可能な塩としては、例えば、一級、二級、又は三級のアミンなどと形成された塩が挙げられる。
【0024】
本発明は、式(I):
【0025】
【化1】
の化合物を目的とし、式中、
点線は、単結合又は二重結合を表し、好ましくは、点線のうちの1本は二重結合であり、
R
1は、H、1~20個の炭素原子を含む、直鎖、環状(cyclic)、又は分枝鎖の飽和又は不飽和の炭酸鎖を表し、
R
2は、1~20個の炭素原子を含む、直鎖、環状、又は分枝鎖の飽和又は不飽和の炭酸鎖を表し、好ましくは、メチル(-CH
3)又はメチレン(=CH
2)部分であり、
aは、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、より好ましくは6個の炭素原子を含む、直鎖、環状(ringed)、又は分枝鎖の飽和若しくは不飽和の炭酸鎖を表し、好ましくは、芳香族部分、好ましくはフェニル部分、好ましくは、2-メチル-プロパ-1,3-ジエンである。
【0026】
化合物は、Li+、Na+、K+、Ca2+、又はMg2+を含むがこれらに限定されない、対応する塩を含む。
【0027】
より好ましい実施形態では、化合物は、以下のものである:
【0028】
【化2】
(2E,4E,6E)-7-(1,1,2,2,3,3-ヘキサメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-3-メチルオクタ-2,4,6-トリエン酸
又は
【0029】
【化3】
4-(1-(1,1,2,2,3,3-ヘキサメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)ビニル)安息香酸。
【0030】
本発明は、刺激の可能性が低減された、皮膚においてレチノイド様活性を示す、(2E,4E,6E)-7-(1,1,2,2,3,3-ヘキサメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-3-メチルオクタ-2,4,6-トリエン酸及び4-(1-(1,1,2,2,3,3-ヘキサメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)ビニル)安息香酸、並びにこれらの誘導体などの化合物を目的とする。これらの化合物は、刺激が低減された、局所的に皮膚に塗布するためのレチノイドの有用な代替物であり得る。これらの化合物は、老化している皮膚及び肌理の処置、小じわ及びしわの最小化、加齢によるシミ、皮膚の色素沈着及び皮膚の色調、乾燥した皮膚、にきび、乾癬、並びにいぼの処置に使用することができるが、これらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】化合物(1)及び(2)のアゴニストモード(AG)及びポジティブアロステリック調節因子モード(PAM)の両方における、RARγ受容体における用量応答を示すグラフである。
【
図2】48時間目のヒト皮膚外植片における、誘導されたCRABP2(細胞レチノイン酸結合タンパク質-II)遺伝子発現の結果を示す棒グラフである。
【
図3】48時間目のヒト皮膚外植片における、誘導されたHBEGF(ヘパリン結合表皮成長因子様成長因子)遺伝子発現の結果を示す棒グラフである。
【
図4】48時間目の皮膚外植片における、炎症性メディエーターインターロイキン8(IL-8 mRNA)の放出についての試験の結果の棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
好ましくは、本発明の方法は、老化防止に有効な量、好ましくは安全かつ有効な量の式Iの化合物を皮膚に塗布することを含む。一実施形態では、当該方法は、0超~約20%の式Iの化合物を、必要としている皮膚に塗布することを含む。別の実施形態では、当該方法は、約0.0001~約20%、約0.001~約10%、約0.01~約5%、約0.1~約5%、又は約0.2~約2%の式Iの化合物を、必要としている皮膚に塗布することを含む。更に別の実施形態では、当該方法は、0超~約1%、約0.0001~約1%、約0.001~約1%、又は約0.01~約1%の式Iの化合物を皮膚に含む。
【0033】
任意の好適なキャリアを本発明の組成物で使用することができる。好ましくは、スキンケア組成物では、キャリアは化粧用として許容可能なキャリアである。当業者に認識されるように、化粧用として許容可能なキャリアは、過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激、アレルギー反応などを伴わずに、老化防止用途のために身体、特に皮膚と接触して使用するのに好適なキャリアを含む。安全かつ有効な量のキャリアは、組成物の約50%~約99.999%、好ましくは約80%~約99.9%、より好ましくは約99.9%~約95%、最も好ましくは約99.8%~約98%である。担体は、多種多様な形態であってよい。例えば、水中油型、油中水型、水中油中水型、及びシリコーン中水中油型のエマルションを含むがこれらに限定されないエマルションキャリアが、本明細書において有用である。これらのエマルションは、例えば約100cP~約200,000cPの広範囲にわたる粘度を網羅し得る。好適な化粧用として許容可能なキャリアの例としては、化粧用として許容可能な溶媒、並びに化粧用の溶液、懸濁液、ローション、クリーム、セラム、エッセンス、ゲル、トナー、スティック、スプレー、軟膏、洗浄液及び固形石鹸、シャンプー、ヘアコンディショナー、ペースト、フォーム、ムース、パウダー、シェービングクリーム、ワイプ、パッチ、ストリップ、粉末状パッチ(powered patches)、マイクロニードルパッチ、バンデージ、ヒドロゲル、フィルム形成製品、フェイシャル及びスキンマスク、メークアップ、リキッドドロップなどのための材料が挙げられる。これらの製品の種類は、溶液、懸濁液、マイクロエマルション及びナノエマルションなどのエマルション、ゲル、固形物、リポソーム、他のカプセル化技術などを含むがこれらに限定されない、数種類の化粧用として許容可能なキャリアを含有し得る。
【0034】
以下は、このようなキャリアの非限定的な例である。当業者によれば他のキャリアを配合することもできる。一実施形態では、キャリアは水を含む。更なる一実施形態では、キャリアは、1つ又は2つ以上の水性又は有機溶媒を更に含んでもよい。有機溶媒の例としては、これらに限定されるものではないが、ジメチルイソソルビド、ミリスチン酸イロプロピル、カチオン性、アニオン性、及び非イオン性の界面活性剤、植物油、鉱物油、ワックス、ガム、合成及び天然ゲル化剤、アルカノール、グリコール、及びポリオールが挙げられる。グリコールの例としては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、カプリルグリコール、グリセロール、ブタンジオール及びヘキサントリオール、並びにこれらのコポリマー又は混合物が挙げられるが、これらに限定されない。アルカノールの例としては、イソプロパノール及びエタノールなどの約2個の炭素原子~約12個の炭素原子(例えば、約2個の炭素原子~約4個の炭素原子)を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。ポリオールの例としては、プロピレングリコールなどの約2個の炭素原子~約15個の炭素原子(例えば、約2個の炭素原子~約10個の炭素原子)を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。有機溶媒は、キャリアの総重量に基づいて約1パーセント~約99.99パーセント(例えば約20パーセント~約50パーセント)の量でキャリア中に存在してよい。水は、キャリア中に、キャリアの総重量に対して約5%~約95%(例えば約50%~約90%)の量で存在してよい(使用の前に)。溶液は、約40~約99.99%を含む任意の適当な量の溶媒を含むことができる。特定の好ましい溶液は、約50~約99.9%、約60~約99%、約70~約99%、約80~約99%、又は約90~約99%を含有する。
【0035】
ローションはそのような溶液から作製され得る。ローションは、典型的には、溶媒に加えて少なくとも1つの皮膚軟化剤を含有する。ローションは、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤と、約50%~約90%(例えば、約60%~約80%)の水と、を含み得る。本明細書で使用するとき、「皮膚軟化剤」は、乾燥の防止又は軽減、並びに皮膚又は毛髪の保護のために使用される材料を指す。皮膚軟化剤の例としては、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,eds.Wenninger and McEwen,pp.1656-61,1626,and 1654-55(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Assoc,Washington,D.C.,7th Edition,1997)(以後、「ICI Handbook」)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
溶液から配合できる別の種類の製品はクリームである。クリームは、典型的には、約5%~約50%(例えば、約10%~約20%)の皮膚軟化剤(複数可)と、約45%~約85%(例えば、約50%~約75%)の水と、を含有する。
【0037】
更に、溶液から配合できる別の種類の製品は軟膏である。軟膏は、動物油、植物油、若しくは合成油、又は半固体の炭化水素の単純なベースを含有し得る。軟膏は、約2%~約10%の皮膚軟化剤(複数可)と、約0.1%~約2%の増粘剤(複数可)と、を含有し得る。
【0038】
本発明に有用な組成物はエマルションとして配合することもできる。キャリアがエマルションである場合、キャリアの約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)が乳化剤を含有する。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、又はカチオン性であってもよい。乳化剤の例としては、ICI Handbookの1673~1686ページに記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
ローション及びクリームを、エマルションとして配合することができる。かかるローションは、典型的には、0.5%~約5%の乳化剤を含有し、かかるクリームは、典型的には、約1%~約20%(例えば約5%~約10%)の皮膚軟化剤を含有する。約20%~約80%(例えば、約30%~約70%)の水と、約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)の乳化剤(複数可)と、を含有する。
【0040】
水中油型及び油中水型の、ローション及びクリームなどの単相エマルションのスキンケア製剤は、当該技術分野で周知であり、本発明に有用である。水中油中水型又は油中水中油型などの多相エマルション組成物も、本発明に有用である。一般に、そのような単相又は多相のエマルションは、必須成分として水、皮膚軟化剤、及び乳化剤を含有する。
【0041】
本発明の組成物は、ゲル(例えば、好適なゲル化剤(複数可)を使用した水性、アルコール、アルコール/水、又は油ゲル)として配合することもできる。水性及び/又はアルコール性ゲル用の好適なゲル化剤には、天然ゴム、アクリル酸及びアクリレートのポリマー及びコポリマー、並びにセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース)が挙げられる、これらに限定されない。油(鉱油など)用の好適なゲル化剤としては、水素添加ブチレン/エチレン/スチレンコポリマー及び水素添加エチレン/プロピレン/スチレンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このようなゲルは、典型的には、約0.1重量%~約5重量%のこのようなゲル化剤を含有する。
【0042】
本発明の組成物は、固形製剤(例えば、ワックス系スティック、固形石鹸組成物、パウダー、又はワイプ)に製剤化することもできる。本発明の組成物は、固体、半固体、又は可溶性の基材(例えば、ワイプ、マスク、パッド、手袋、又はストリップ)と組み合わせることもできる。
【0043】
本発明の組成物は、任意の様々な追加の化粧用活性剤を更に含んでよい。好適な追加の活性剤の例としては、追加の皮膚美白剤、黒化剤、抗にきび剤、光沢調整剤、抗微生物剤(例えば、抗酵母剤、抗真菌剤及び抗細菌剤)、抗炎症剤、抗寄生虫剤、外用鎮痛剤、日焼け止め剤、光防護剤、酸化防止剤、角質溶解剤、洗剤/界面活性剤、保湿剤、栄養素、ビタミン、エネルギーエンハンサ、制汗剤、皮膚収斂剤、防臭剤、脱毛剤、発毛強化剤、発毛遅延剤、安定剤、水和増進剤、有効性増進剤、抗たこ剤、皮膚コンディショニング剤、抗セルライト剤、フルオリド、歯ホワイトニング剤、歯石防止剤、及び歯石溶解剤、悪臭防止剤(例えば、悪臭マスキング剤)又はpH変更剤などが挙げられる。様々な好適な追加の化粧用として許容可能な活性物質の例としては、ヒドロキシ酸、過酸化ベンゾイル、D-パンテノール、UVフィルタ、例えば、限定されるものではないが、アボベンゾン(Parsol 1789)、ビスジスリゾール二ナトリウム(Neo Heliopan AP)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(Uvinul A Plus)、エカムスル(Mexoryl SX)、アントラニル酸メチル、4-アミノ安息香酸(PABA)、シノキセート、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul T150)、ホモサラート、4-メチルベンジリデンカンファー(Parsol 5000)、メトキシケイ皮酸オクチル(Octinoxate)、サリチル酸オクチル(Octisalate)、パジメートO(Escalol 507)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(Ensulizole)、ポリシリコーン-15(Parsol SLX)、トロラミンサリチル酸、ベモトリジノール(Tinosorb S)、ベンゾフェノン1-12、ジオキシベンゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XL)、イソコトリジノール(Uvasorb HEB)、オクトクリレン、オキシベンゾン(Eusolex 4360)、スルイソベンゾン、ビスオクトリゾール(Tinosorb M)、二酸化チタン、酸化亜鉛、カロテノイド、フリーラジカル捕捉剤、スピントラップ、レチノイド及びレチノールなどのレチノイド前駆体、レチノイン酸及びパルミチン酸レチニル、セラミド、多価不飽和脂肪酸、必須脂肪酸、酵素、酵素阻害剤、ミネラル、エストロゲンなどのホルモン、ヒドロコルチゾンなどのステロイド、2-ジメチルアミノエタノール、塩化銅などの銅塩、Cu:Gly-His-Lysなどの銅を含有するペプチド、コエンザイムQ10、プロリンなどのアミノ酸、ビタミン、ラクトビオン酸、アセチル補酵素A、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、リボース、NADH及びFADH2などの電子輸送体、並びにオーツ麦、アロエベラ、ナツシロギク、ダイズ、シイタケ抽出物などの他の植物抽出物、並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられる。
【0044】
一実施形態では、本発明の組成物は、式Iの化合物及び少なくとも1つの皮膚美白活性剤を含むスキンケア組成物である。好適な皮膚美白活性剤の例としては、チロシナーゼ阻害物質、メラニン阻害剤、メラノソーム移動阻害剤(PAR-2アンタゴニストを含む)、剥離剤、日焼け止め剤、レチノイド、酸化防止剤、トラネキサム酸、皮膚白化剤、アラントイン、乳白剤、タルク及びシリカ、亜鉛塩など、並びにSolano et al.Pigment Cell Res.2006,19(550~571)に記載の他の剤が挙げられるが、これらに限定されない。好適なチロシナーゼ阻害物質の例としては、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、コウジ酸、アルブチン、レゾルシノール、ヒドロキノン、フラボン(例えば、カンゾウフラバノイド、カンゾウ根抽出物、クワ根抽出物、ディオスコレア・コポジータ(Dioscorea Coposita)根抽出物、ユキノシタ科抽出物など)、エラグ酸、サリチル酸塩及び誘導体、グルコサミン及び誘導体、フラーレン、ヒノキチオール、二酸、アセチルグルコサミン、マグノリグナン、これらのうちの2つ以上の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。ビタミンCの誘導体の例としては、これらに限定されるものではないが、アスコルビン酸及びその塩、アスコルビン酸-2-グルコシド、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、及びビタミンCを濃縮した天然抽出物が挙げられる。ビタミンEの誘導体の例としては、これらに限定されるものではないが、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、及びこれらの混合物、酢酸トコフェロール、リン酸トコフェロール、及びビタミンE誘導体を濃縮した天然抽出物が挙げられる。レゾルシノール誘導体の例としては、レゾルシノール、4-置換レゾルシノール、例えば、4-ブチルレゾルシノール(ルシノール)、4-ヘキシルレゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、1-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-3-(2,4-ジメトキシ-3-メチルフェニル)-プロパンなどの4-アルキルレゾルシノール、及びレゾルシノールを多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。サリチル酸塩の例としては、サリチル酸、アセチルサリチル酸、4-メトキシサリチル酸及びこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、チロシナーゼ阻害物質としては、4-置換レゾルシノール、ビタミンC誘導体、又はビタミンE誘導体が挙げられる。より好ましい実施形態では、チロシナーゼ阻害物質は、フェニルエチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、又はアスコルビル-2-グルコシドを含む。
【0045】
好適なメラニン分解剤の例としては、ペルオキシド及び酵素(例えば、ペルオキシダーゼ及びリグニナーゼ)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、メラニン阻害剤としては、ペルオキシド及びリグニナーゼが挙げられる。
【0046】
好適なメラノソーム移動阻害剤の例としては、PAR-2アンタゴニスト(例えば、ダイズトリプシン阻害物質又はボーマン-バーク阻害物質)、ビタミンB3及び誘導体(例えば、ナイアシンアミド)、必須ダイズ、全ダイズ、ダイズ抽出物が挙げられる。特定の好ましい実施形態では、メラノソーム移動阻害剤としては、ダイズ抽出物又はナイアシンアミドが挙げられる。
【0047】
剥離剤の例としては、α-ヒドロキシ酸(例えば、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、又は前述のもののいずれかの任意の組み合わせ)、β-ヒドロキシ酸(例えば、サリチル酸、ポリヒドロキシ酸、例えば、ラクトビオン酸及びグルコン酸)、及び機械的剥離剤(例えば、マイクロ皮膚擦傷剤)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、剥離剤としては、グリコール酸又はサリチル酸が挙げられる。
【0048】
日焼け止めの例としては、アボベンゾン(Parsol1789)、ビスジスリゾール二ナトリウム(Neo Heliopan AP)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(Uvinul A Plus)、エカムスル(Mexoryl SX)、メチルアントラニレート、4-アミノ安息香酸(PABA)、シノキセート、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul T150)、ホモサレート、4-メチルベンジリデンカンファー(Parsol5000)、オクチルメトキシシンナメート(Octinoxate)、オクチルサリチレート(Octisalate)、パジメートO(Escalol507)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(Ensulizole)、ポリシリコーン-15(Parsol SLX)、トロラミンサリチレート、ベモトリジノール(Tinosorb S)、ベンゾフェノン1-12、ジオキシベンゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XL)、イスコトリジノール(Uvasorb HEB)、オクトクリレン、オキシベンゾン(Eusolex4360)、スルイソベンゾン、ビソクトリゾール(Tinosorb M)、二酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
レチノイドの例としては、レチノール、レチンアルデヒド、レチノイン酸、パルミチン酸レチニル、イソトレチノイン、タザロテン、ベキサロテン、及びアダパレンが挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、レチノイドは、レチノールである。
【0050】
酸化防止剤の例としては、スルフヒドリル化合物及びその誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム及びN-アセチル-システイン、グルタチオン)、リポ酸及びジヒドロリポ酸、スチルベノイド(例えば、レスベラトロル及び誘導体)、ラクトフェリン、並びにアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(例えば、アスコビル-2-グルコシド、パルミチン酸アスコルビル及びアスコビルポリペプチド)などの水溶性酸化防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物に使用するのに好適な油溶性酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例えば、レチノール及びパルミチン酸レチニル)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェロール)、トコトリエノール、及びユビキノンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物に使用するのに適した酸化防止剤を含有する天然抽出物としては、フラボノイド及びイソフラボノイドを含有する抽出物、及びその誘導体(例えば、ゲニステイン及びダイゼイン)、レスベラトロルを含有する抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。このような天然抽出物の例としては、ブドウ種子、緑茶、マツ樹皮、ナツシロギク、パルテノライドを含まないナツシロギク、オート麦抽出物、グレープフルーツ抽出物、小麦胚抽出物、ヘスペリジン、ブドウ抽出物、スベリヒユ抽出物、リコカルコン、カルコン、2,2’-ジヒドロキシカルコン、サクラソウ抽出物、プロポリスなどが挙げられる。
【0051】
追加の化粧用活性剤は、任意の好適な量、例えば、組成物の約0.0001重量%~約20重量%、例えば、約0.001重量%~約10重量%、例えば、約0.01重量%~約5重量%などの量で組成物中に存在してよい。特定の好ましい実施形態では、0.1%~5%、他の好ましい実施形態では、1%~2%の量である。
【0052】
様々な他の材料が本発明の組成物中に存在してもよい。これらとしては、例えば、キレート剤、保湿剤、乳白剤、コンディショナー、防腐剤、芳香剤などが挙げられる。組成物は、界面活性剤、例えば、アニオン性、非イオン性、両性、カチオン性、又はこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるものを含んでいてよい。
【0053】
特定の好ましい実施形態では、本発明は、このような材料を含む基材を介して本発明の化合物又は組成物を適用することを含む。本発明では、任意の好適な基材を使用することができる。好適な基材及び基材材料の例は、例えば、その全体が本明細書に参照により援用される米国特許出願公開第2005/022683号及び同第2009/0241242号に開示されている。
【0054】
特定の好ましい実施形態では、基材は、ワイプ又はフェイシャルマスクである。好ましくは、このような実施形態は、上記に引用した参照文献において定義されるような水溶性基材で構成される。特定の実施形態では、水溶性基材はヒトユーザーの顔面を覆うことでユーザーの顔面の周囲にマスク基材として水溶性基材を配置することを容易とするようなサイズ及び形状を有することができる。例えば、水溶性マスク基材は、ユーザーの口、鼻、及び/又は両目に対する開口部を有することができる。あるいは、水溶性基材はこのような開口部を有さなくともよい。開口部のないこのような構成は、水溶性基材が皮膚の顔面以外の部分を覆って被せられるような本発明の実施形態において、又は水溶性基材がワイプとして使用されることを目的とするような場合に有用となり得る。水溶性基材は、角張った形状(例えば、矩形)、又は円形若しくは楕円形などの弓状の形状など、様々な形状を有することができる。
【0055】
本発明の一実施形態では、製品は、異なる形状の複数の水溶性基材を含む。本発明の一実施形態では、製品は、第1の非水溶性基材及び第2の非水溶性基材を含む。第1の非水溶性基材は、額に適用されるような形状であり、第2の非水溶性基材は、唇、顎、及び/又は頬の上及び/又は下の領域など、口に近接して適用されるような形状である。本発明の一実施形態では、第1の非水溶性基材は、顔の鼻領域にも適用される。第1の非水溶性基材は、約100cm2~約200cm2、例えば約120cm2~約160cm2の表面積を有していてよく、第2の非水溶性基材は、約100cm2~約300cm2、例えば約150cm2~約250cm2の表面積を有する。本発明の一実施形態では、非水溶性基材は、例えば、ユーザーの顔又は他の身体部分を容易に覆うか又は一致し得るように、低い剛性を有する。
【0056】
本発明は、人体における処置を必要としている任意の皮膚への塗布を含んでいてよい。例えば、顔、首、胸、背中、腕、腋、手、及び/又は足の皮膚のうちの任意の1つ以上に塗布されてよい。特定の好ましい実施形態では、当該方法は、式Iの化合物を顔の皮膚に塗布することを含む。
【0057】
必要としている皮膚に抽出物を塗布する任意の好適な方法を、本発明に従って使用することができる。例えば、抽出物を、必要としている皮膚にパッケージから直接塗布してもよく、必要としている皮膚に手で塗布してもよく、ワイプ若しくはマスクなどの基材から移動させてもよく、又はこれらのうちの2つ以上の組み合わせであってもよい。他の実施形態では、抽出物は、スポイト、チューブ、ローラー、スプレー、パッチを介して塗布されてもよく、あるいは、浴、又はそうでなければ皮膚に塗布される水などに添加されてもよい。
【0058】
特定の実施形態では、本発明の方法は、ある期間にわたって式Iの化合物を皮膚と接触させておく工程を更に含む。例えば、特定の好ましい実施形態では、塗布後に、約15分間以上にわたって化合物を皮膚と接触させておく。特定のより好ましい実施形態では、約20分間以上、より好ましくは約1時間以上にわたって抽出物を皮膚と接触させておく。
【0059】
特定の実施形態では、本発明の方法は、選択された期間にわたって複数回、式Iの化合物を皮膚に塗布することを含むレジメンを含む。例えば、特定の実施形態では、本発明は、老化の徴候を処置する方法であって、少なくとも12週間、好ましくは少なくとも8週間、より好ましくは少なくとも2週間にわたって、1日1回又は2回、式Iの化合物を含む組成物を老化防止を必要としている皮膚に塗布することを含む方法を提供する。
【0060】
特定の好ましい実施形態では、本発明の方法は、式Iの化合物を含む少なくとも2つの異なる組成物又は製品を皮膚に塗布することを含む。例えば、当該方法は、式Iの化合物を含む第1の組成物を老化防止を必要としている皮膚に塗布し、続いて、式Iの化合物を含むが、その他の点で第1の組成物とは異なる第2の組成物を、老化防止を必要としている皮膚に塗布することを含み得る。特定の好ましい実施形態では、第1及び第2の組成物は、ローション、クレンザー、マスク、ワイプ、クリーム、セラム、ゲルなどからなる群から独立して選択することができる。特定の好ましい実施形態では、第1及び第2の組成物の少なくとも一方は、クレンザー、ローション、クリーム、エッセンス、又はセラムであり、他方は、フェイシャルマスク又はワイプである。特定の他の好ましい実施形態では、第1及び第2の組成物の少なくとも一方はクレンザーであり、他方はローション又はクリームである。
【0061】
特定の他の好ましい実施形態では、当該方法は、式Iの化合物を含む少なくとも3つの製品を老化防止処置を必要としている皮膚に塗布することを含む。好ましくは、このような3つの製品は、クレンザー、ローション、クリーム、エッセンス、及びフェイスマスクからなる群から選択される。
【0062】
本発明に係る組成物は、皮膚老化、皮膚炎症、及び皮膚色素沈着の外観を低減するなど、様々な皮膚の疾患及び状態を処置するために使用することができる。
【0063】
本発明の組成物の局所又は経口使用によって処置され得る皮膚老化の例としては、皮膚のしわ、皮膚のはり又は弾力の損失、たるみ、ゆるみが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用するとき、用語「しわ」は、小じわ、細かいしわ、粗いしわ、セルライト、瘢痕、及び妊娠線を含む。しわの例としては、目の周囲の細かいしわ(例えば、「カラスの足跡」)、額及び頬のしわ、眉間のしわ、口の周囲の豊齢線が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
本発明の組成物の局所又は経口使用によって処置され得る皮膚炎症の例としては、関節炎、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、脂漏性皮膚炎、湿疹、アレルギー性皮膚炎、多形日光疹、炎症性皮膚病、毛嚢炎、脱毛症、ウルシ皮膚炎、咬虫症、化学物質、外傷、汚染物質(例えば、タバコの煙)、及びUV又は風への曝露を含むがこれらに限定されない外的要因によって誘発される刺激、並びに乾燥症、皮脂過多、そう痒症、炎症後色素沈着、瘢痕などを含むがこれらに限定されない炎症から生じる二次的病態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本発明の組成物の局所又は経口使用によって処置され得る皮膚色素沈着の例としては、皮膚の色素沈着過剰、皮膚の白い領域(light areas)、皮膚の不均一な色調、眼の周囲の変色及び腫れが挙げられるが、これらに限定されない。目の周囲の変色及び腫れとしては、目の下のくま及び黒ずみが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、処置される目の下のくまは、眼の下の皮膚の血液濃度増加の結果である。
【0066】
局所使用
式(I)の少なくとも1つの化合物と化粧用として許容可能なキャリアとを含有する本発明の組成物の局所使用は、ヒトの皮膚の老化、乾燥した皮膚、色素の欠陥、皮膚上のUV損傷、しわ、小じわ、肌荒れ、又はクレーター肌などの皮膚の不均一性、並びに皮膚老化に関連する疾患、例えば、欠陥のある角質化、にきび、湿疹、炎症、及び皮膚萎縮のためである。
【0067】
本明細書で使用するとき、「局所使用」又は「局所的に塗布」とは、例えば、手、又はワイプなどのアプリケータを使用することによって、皮膚、毛髪、又は爪に直接塗るか又は広げることを意味する。
【0068】
追加の化粧用活性剤
一実施形態では、局所用組成物は、化粧用活性剤を更に含む。「化粧用活性剤」とは、皮膚、毛髪、又は爪に対して美容又は治療上の効果を有する化合物、例えば、美白剤、セルフタンニング剤などの黒化剤、抗にきび剤、光沢調整剤、抗微生物剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、外用鎮痛剤、日焼け止め剤、光保護剤、酸化防止剤、角質溶解剤、洗剤/界面活性剤、保湿剤、栄養素、ビタミン、エネルギーエンハンサ、制汗剤、収斂剤、防臭剤、脱毛剤、安定剤、抗たこ剤、並びに毛髪、爪、及び/又は皮膚コンディショニング用の剤である。
【0069】
一実施形態では、化粧用活性剤は、ヒドロキシ酸、過酸化ベンゾイル、硫黄レゾルシノール、アスコルビン酸、D-パンテノール、ヒドロキノン、メトキシケイ皮酸オクチル、二酸化チタン、サリチル酸オクチル、ホモサラート、アボベンゾン、ポリフェノール、カロテノイド、フリーラジカル捕捉剤、セラミド、多価不飽和脂肪酸、必須脂肪酸、酵素、酵素阻害剤、ミネラル、エストロゲンなどのホルモン、ヒドロコルチゾンなどのステロイド、2-ジメチルアミノエタノール、塩化銅などの銅塩、コエンザイムQ10、リポ酸、プロリン及びチロシンなどのアミノ酸、ビタミン、ラクトビオン酸、アセチル-補酵素A、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、リボース、NADH及びFADH2などの電子輸送体、並びにアロエベラ、ナツシロギク、及びダイズなどの他の植物抽出物、並びにこれらの誘導体及び混合物からなる群から選択されるが、これらに限定されない。化粧用活性剤は、典型的には、組成物の約0.001重量%~約20重量%、例えば、約0.1重量%~約5重量%などの約0.01重量%~約10重量%の量で本発明の組成物中に存在する。
【0070】
ビタミンの例としては、ビタミンA、ビタミンB群(例えば、ビタミンB3、ビタミンB5、及びビタミンB12)、ビタミンC、ビタミンK、及びビタミンE、並びに誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
一実施形態では、当該組成物は1つ以上の酸化防止剤も含有する。酸化防止剤の例としては、水溶性酸化防止剤、例えば、スルフヒドリル化合物及びその誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム及びN-アセチル-システイン)、リポ酸及びジヒドロリポ酸、レスベラトロル、ラクトフェリン、アスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル及びアスコルビルポリペプチド)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物に使用するのに好適な油溶性酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェリル)、トコトリエノール、及びユビキノンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物に使用するのに適した酸化防止剤を含有する天然抽出物としては、フラボノイド及びイソフラボノイドを含有する抽出物、及びその誘導体(例えば、ゲニステイン及びダイゼイン)、レスベラトロルを含有する抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。このような天然抽出物の例には、ブドウ種、緑茶、松の樹皮、及びプロポリスが挙げられる。酸化防止剤の他の例は、ICI Handbookの1612~13ページに見出すことができる。
【0072】
ミネラルウォーター
本発明の組成物は、ミネラルウォーター、例えば、Evian(登録商標)Mineral Water(Evian,France)などの自然に鉱化されたミネラルウォーターを使って調製できる。一実施形態において、ミネラルウォーターは、少なくとも約200mg/L(例えば、約300mg/L~約1000mg/L)の鉱化を有する。一実施形態では、ミネラルウォーターは、少なくとも約10mg/Lのカルシウム及び/又は少なくとも約5mg/Lのマグネシウムを含有する。
【0073】
その他の材料
種々の他の材料もまた、本発明に有用な組成物中に存在してもよい。これらの材料は、保湿剤、タンパク質及びポリペプチド、防腐剤及びアルカリ剤を含む。このような剤の例は、ICI Handbookの1650~1667ページに開示されている。
【0074】
本発明の組成物は、キレート剤(例えば、EDTA)及び防腐剤(例えば、パラベン)を更に含有していてもよい。好適な防腐剤及びキレート剤の例は、ICI Handbookの1626及び1654~55ページに列挙されている。更に、本明細書で有用な組成物は、染料及び顔料などの着色剤、乳白剤(例えば、二酸化チタン)、並びに芳香剤などの従来の化粧用補助剤を含有し得る。
【0075】
本発明のこのような組成物を含有する組成物及び製品は、当業者に周知の方法を用いて調製することができる。
【実施例】
【0076】
以下の試験方法を実施例で使用した。
【0077】
試験方法1 RARγトランス活性化細胞アッセイ
このアッセイ系は、ヒトレチノイン酸受容体ガンマ、リガンド依存性転写因子の構成的高発現を提供するように操作された非ヒト細胞を使用する。細胞は、RARγ応答性プロモーターに機能的に連結されたルシフェラーゼレポーター遺伝子を含む。したがって、処理されたレポーター細胞におけるルシフェラーゼ発現の変化を定量することにより、RARγ活性の変化の感度の高い測定が提供される。
【0078】
操作された細胞を96ウェルプレートに播種し、3つの濃度:0.1μM、1μM及び10μMの評価された化合物で処理する。24時間インキュベーションした後、処理培地を廃棄し、ルシフェラーゼ検出試薬を添加する。各アッセイウェルからの発光を、プレート読み取り照度計を使用して定量する。化合物(1)及び(2)は両方とも、Indigo Biosciences(製品番号IB02001)製の特異的RARγトランス活性化細胞アッセイにおいてRARγトランス活性化を示した。
【0079】
試験方法2 アゴニストモード(AG)及びポジティブアロステリック調節因子モード(PAM)の両方におけるRARγ受容体
アゴニストモード(AG)及びポジティブアロステリック調節因子モード(PAM)の両方におけるRARγ受容体に対する用量応答活性を、製造業者の指示に従ってInvitrogenのGenBLAzer(登録商標)RARガンマ細胞ベースアッセイを使用して試験した。
【0080】
試験方法3 ヒト外植片におけるCRABP2(細胞レチノイン酸結合タンパク質-II)及びHBEGF(ヘパリン結合表皮成長因子様成長因子)遺伝子発現
細胞レチノイド結合タンパク質(CRABP)は、レチノールの取り込みを促進し、レチノールの自発的な非酵素的異性化及び酸化を防ぐことが示されている細胞質結合タンパク質のファミリーである。CRABP2メッセージは、インビボ及びインビトロの両方で、ヒトの皮膚におけるレチノールによる処置によってアップレギュレートされたことが示されている。更に、レチノイドで局所処置した後の表皮成長が、基底層上角化細胞から放出されたHB-EGFによって少なくとも部分的に誘導されたことが示されている。
【0081】
ヒト皮膚外植片を、Bellemere et al.(Journal of Investigative Dermatology(2008)128,542~548)に記載のとおり調製し、2つの濃度:10μM及び100μMの化合物(1)又は(2)(図中化合物(1)及び化合物(2))4μLで処理し、1.5mLの培地を含有する6ウェルプレート中において37℃、5%CO2で48時間インキュベートした。48時間後、各外植片の表皮を真皮から分離し、(i)Qiagen RneasyキットでRNA抽出のために溶解させ、(ii)Biorad and Applied BiosystemsキットからのサーモサイクラーiCyclerを使用して逆転写させ、(iii)Applied Biosystems製のCFX96 Biorad Q-PCRシステム及びPower Sybergreen PCRマスターミックスを使用してqPCRを行うことによって遺伝子発現を分析する。全工程を、製造業者の説明書に従って実施した。両化合物は、局所的に塗布されたとき、ヒト皮膚外植片におけるCRABP2(細胞レチノイン酸結合タンパク質-II)及びHBEGF(ヘパリン結合表皮成長因子様成長因子)遺伝子発現を誘導した。CRABP2及びHB-EGF遺伝子発現の誘導によって示されるように、10μM及び100μMの用量で使用した化合物(1)及び(2)は、レチノール様生物活性を惹起する。
【0082】
試験方法4炎症性メディエーターインターロイキン8(IL-8 mRNA)の遺伝子発現
試験方法3で使用した皮膚外植片を使用して、IL-8 mRNAの遺伝子の発現を測定した。
【0083】
両化合物は、この活性を示し、ポジティブレファレンスNeutrogena Rapid Wrinkle Repair(0.1%レチノール)と比較して、炎症性メディエーターインターロイキン8の放出などのレチノイドによる皮膚の副作用が少なかった。以下の図に示すように、Neutrogena RWRと比較して、化合物(1)及び(2)の両方で処理された外植片では、IL-8 mRNAの発現がより低い。
【0084】
材料供給源-化合物1及び2は、Sigmaで購入したが、最初はMolMall SARLで供給されていた。
【0085】
(実施例1)
化合物1及び2は、試験方法1を使用して、レチノイン酸受容体ガンマトランス活性化を示した。結果を以下の表1に示す。
【0086】
【0087】
(実施例2)
化合物1及び2は、試験方法2を用いて、アゴニストモード(AG)及びポジティブアロステリック調節因子モード(PAM)の両方において、RARγ受容体における用量応答を示した。結果を
図1に示す。
【0088】
図1は、4つのグラフ:A、B、C及びDを示す。これらのグラフは、化合物(1)及び(2)について、アゴニストモード(グラフA及びC)及びポジティブアロステリック調節因子モード(グラフB及びD)におけるRARγ受容体における用量応答活性を示す。
【0089】
縦軸に、比:(460nmでの発光-バックグラウンド)/(530nmでの発光-バックグラウンド)をとる。
【0090】
横軸を対数で記載する(μM)。
【0091】
グラフAは、化合物(1)のアゴニストモードにおけるRARγにおける用量応答活性を表す。表示されている各菱形は実験結果を示し、対応する曲線をトレースし、平均EC50を計算する:8.31×10-5±1.15×10-5。
【0092】
グラフBは、化合物(1)のポジティブアロステリック調節因子モードにおけるRARγにおける用量応答活性を表す。表示されている各菱形は実験結果を示し、対応する曲線をトレースし、平均EC50を計算する:3.01×10-5±3.27×10-6。
【0093】
グラフCは、化合物(2)のアゴニストモードにおけるRARγにおける用量応答活性を表す。表示されている各菱形は実験結果を示し、対応する曲線をトレースし、平均EC50を計算する:0,0071±0,0007。
【0094】
グラフDは、化合物(2)のポジティブアロステリック調節因子モードにおけるRARγにおける用量応答活性を表す。表示されている各菱形は実験結果を示し、対応する曲線をトレースし、平均EC50を計算する:0,0067±0,0027。
【0095】
(実施例3)
試験方法3を使用してサンプルを試験した。
【0096】
CRABP2及びHB-EGF遺伝子発現の誘導によって示されるように、10μM及び100μMの用量で使用した化合物(1)及び(2)によるヒト皮膚外植片の局所処置は、レチノール様生物活性を惹起する。両化合物は、この活性を示し、ポジティブレファレンスNeutrogena Rapid Wrinkle Repair(0.1%レチノール)と比較して、炎症性メディエーターインターロイキン8の放出などのレチノイドによる皮膚の副作用が少なかった。
【0097】
図2は、48時間目の皮膚外植片におけるCRABP2 mRNA発現を示す棒グラフである。
【0098】
縦軸に、mRNA濃度(%対照)をとる。
【0099】
棒グラフAは未処理対照サンプルの結果を表し、%値は100である。
【0100】
棒グラフBは、ビヒクルサンプル(PG70/EtOH30)の結果を表し、%値は102である。
【0101】
棒グラフCは、ビヒクル中10-5Mで本発明に係る化合物(1)を含むサンプルの結果を表し、%値は256である。結果は、未処理対照及びビヒクルに対して有意である。
【0102】
棒グラフDは、ビヒクル中10-4Mで本発明に係る化合物(1)を含むサンプルの結果を表し、%値は496である。結果は、未処理対照及びビヒクルに対して有意である。
【0103】
棒グラフEは、ビヒクル中10-5Mで本発明に係る化合物(2)を含むサンプルの結果を表し、%値は191である。結果は、未処理対照及びビヒクルに対して有意である。
【0104】
棒グラフFは、ビヒクル中10-4Mで本発明に係る化合物(2)を含むサンプルの結果を表し、%値は340である。結果は、未処理対照及びビヒクルに対して有意である。
【0105】
棒グラフGは、市販のNeutrogena Rapid Wrinkle Repairのサンプルの結果を表し、活性化合物はレチノールであり、0.1%値は597である。結果は、未処理対照に対して有意である。
【0106】
図3は、48時間目の皮膚外植片におけるHB-EGF遺伝子発現を示す棒グラフである。
【0107】
棒グラフAは未処理対照サンプルの結果を表し、%値は100である。
【0108】
棒グラフBは、ビヒクルサンプル(PG70/EtOH30)の結果を表し、%値は81である。
【0109】
棒グラフCは、ビヒクル中10-5Mで本発明に係る化合物(1)を含むサンプルの結果を表し、%値は218である)。
【0110】
棒グラフDは、ビヒクル中10-4Mで本発明に係る化合物(1)を含むサンプルの結果を表し、%値は513である。結果は、未処理対照及びビヒクルに対して有意である。
【0111】
棒グラフEは、ビヒクル中10-5Mで本発明に係る化合物(2)を含むサンプルの結果を表し、%値は173である。
【0112】
棒グラフFは、ビヒクル中10-4Mで本発明に係る化合物(2)を含むサンプルの結果を表し、%値は358である。結果は、未処理対照及びビヒクルに対して有意である。
【0113】
棒グラフGは、市販のNeutrogena Rapid Wrinkle Repairのサンプルの結果を表し、活性化合物はレチノールであり、0.1%値は902である。結果は、未処理対照に対して有意である。
【0114】
(実施例4)
試験方法4を使用してサンプルを試験した。結果を
図4に示す。
【0115】
縦軸に、mRNA濃度(%対照)をとる。
【0116】
棒グラフAは未処理対照サンプルの結果を表し、%値は100である。
【0117】
棒グラフBは、ビヒクルサンプル(PG70/EtOH30)の結果を表し、%値は194である。
【0118】
棒グラフCは、ビヒクル中10-5Mで本発明に係る化合物(1)を含むサンプルの結果を表し、%値は422である。結果は、未処理対照に対して有意である。
【0119】
棒グラフDは、ビヒクル中10-4Mで本発明に係る化合物(1)を含むサンプルの結果を表し、%値は410である。結果は、未処理対照に対して有意である。
【0120】
棒グラフEは、ビヒクル中10-5Mで本発明に係る化合物(2)を含むサンプルの結果を表し、%値は334である。結果は、未処理対照に対して有意である。
【0121】
棒グラフFは、ビヒクル中10-4Mで本発明に係る化合物(2)を含むサンプルの結果を表し、%値は690である。結果は、未処理対照に対して有意である。
【0122】
棒グラフGは、市販のNeutrogena Rapid Wrinkle Repairのサンプルの結果を表し、活性化合物はレチノールであり、0.1%値は597である。結果は、未処理対照に対して有意である。
【0123】
(実施例5)
化合物1又は2を含む化粧品組成物を、以下の処方に従って作製する。
【0124】
【0125】
以上、本発明についてその具体的な実施形態に関して説明してきたが、本明細書に開示される本発明の概念から逸脱することなく、多くの変更、修正、及び変形が可能であることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び広義の範囲内にある、全てのかかる変更、修正、及び変形を全て包含するものとする。
【0126】
〔実施の態様〕
(1) 皮膚を処置する方法であって、式(I):
【化4】
の化合物を含む組成物を前記皮膚に塗布することを含み、
式中、点線は、単結合又は二重結合を表し、好ましくは、前記点線のうちの1本は二重結合であり、
R
1は、H、1~20個の炭素原子を含む、直鎖、環状、又は分枝鎖の飽和若しくは不飽和の炭酸鎖(carbonated chain)を表し、
R
2は、1~20個の炭素原子を含む、直鎖、環状、又は分枝鎖の飽和若しくは不飽和の炭酸鎖を表し、好ましくは、メチル(-CH
3)又はメチレン(=CH
2)部分であり、
aは、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、より好ましくは6個の炭素原子を含む、直鎖、環状、又は分枝鎖の飽和若しくは不飽和の炭酸鎖を表し、好ましくは、芳香族部分、好ましくはフェニル部分、好ましくは、2-メチル-プロパ-1,3-ジエンであり;対応する塩(Li
+、Na
+、K
+、Ca
2+、Mg
2+)を含む、方法。
(2) 前記点線が二重結合であり、R
2がメチル(-CH3)又はメチレン(=CH2)部分であり、Aが1~20個の炭素原子である、実施態様1に記載の方法。
(3) Aが6個の炭素原子である、実施態様2に記載の方法。
(4) Aが芳香族部分である、実施態様3に記載の方法。
(5) Aがフェニル部分である、実施態様4に記載の方法。
【0127】
(6) Aが2-メチル-プロパ-1,3-ジエンである、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記化合物が、(2E,4E,6E)-7-(1,1,2,2,3,3-ヘキサメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)-3-メチルオクタ-2,4,6-トリエン酸である、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記化合物が、4-(1-(1,1,2,2,3,3-ヘキサメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)ビニル)安息香酸である、実施態様1に記載の方法。