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特許7416692低色澱粉材料、ならびにその製造および使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】低色澱粉材料、ならびにその製造および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 30/12 20060101AFI20240110BHJP
   A23L 29/212 20160101ALI20240110BHJP
【FI】
C08B30/12
A23L29/212
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020534396
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018066903
(87)【国際公開番号】W WO2019126561
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】62/609,323
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522149980
【氏名又は名称】テイト アンド ライル ソリューションズ ユー・エス・エー エル・エル・シー
【氏名又は名称原語表記】Tate & Lyle Solutions USA LLC
【住所又は居所原語表記】5450 Prairie Stone Parkway, Hoffman Estates, IL 60192, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウェイチャン リウ
(72)【発明者】
【氏名】ヂョン ヨウ
(72)【発明者】
【氏名】ペネロープ エイ. パットン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エイ. コビー
(72)【発明者】
【氏名】ティム ウィンドバンク
(72)【発明者】
【氏名】サージ ロクトマン
(72)【発明者】
【氏名】マリアナ ペレス エレラ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ スムート
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-095170(JP,A)
【文献】米国特許第04477480(US,A)
【文献】国際公開第2017/185151(WO,A1)
【文献】福場博保ら,表面活性剤による禾本科澱粉の精製(第1報),澱粉工業学会誌,1958年,第6巻,第1号,pp.27-29
【文献】Hui-Tin Chan et al.,Effect of deproteinization on degree of oxidation of ozonated starch,Food Hydrocolloids,2012年,Vol.26,No.2,pp.339-343,DOI: 10.1016/j.foodhyd.2011.03.006
【文献】I. Khatijah et al.,Physico-chemical properties of local native starches,Journal of Tropical Agriculture and Food Science,1998年,Vol.26,No.1,pp.99-104
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B、A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワキシータピオカ澱粉における色形成(color formation)を防止する方法であって、
ワキシータピオカ澱粉を提供するステップ、
前記ワキシータピオカ澱粉を
8~9.9の範囲のpHを有する水性アルカリ液、および
少なくとも11の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する界面活性剤を含む水性界面活性剤液からなる群から選択される水性脱色液と接触させるステップ;および
前記水性脱色液を前記ワキシータピオカ澱粉から実質的に除去するステップを含み、
前記水性脱色液は、漂白剤または酸化剤が実質的に欠けている、方法。
【請求項2】
前記水性脱色液は、アルカリ性組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水性アルカリ液は、炭酸塩塩基、重炭酸塩塩基、および水酸化物塩基のうちの1つ以上を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記水性脱色液は、界面活性剤を含む水性アルカリ液である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記水性脱色液の界面活性剤は、少なくとも13の親水性-親油性バランス(HLB)値を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記水性脱色液は、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも2Lの比率で使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記水性脱色液は、0.5重量%未満の任意の有機溶媒を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記水性脱色の水は、少なくとも1MΩ・cmの抵抗率を有する脱イオン水である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記接触は、澱粉の澱粉分子が改変されないように行われ、前記水性脱色液との接触は、ワキシータピオカ澱粉がゲル化またはペースト化しない条件下で行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
(a)水性媒体中に懸濁されたワキシータピオカ澱粉を含む澱粉ミルク(starch milk)を提供するステップ;および
前記水性媒体に塩基および/または界面活性剤を添加して、水性脱色液と接触するワキシータピオカ澱粉を提供するステップを含む、または、
(b)タピオカパルプを水性脱色液で洗浄して、そこから澱粉を抽出することにより、前記水性脱色液と接触するワキシータピオカ澱粉を含む澱粉ミルクを形成するステップを含み、
前記塩基および/または界面活性剤との接触は、澱粉ミルクから澱粉を単離しないで行われる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、水性媒体中に懸濁されたワキシータピオカ澱粉を有する澱粉ミルクを提供するステップ;前記澱粉ミルクから澱粉を単離して含湿固体を提供するステップ;および前記含湿固体を実質的に乾燥させることなく、前記含湿固体を水性脱色液と接触させるステップを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、低色を有する、すなわち、8以下の黄色度指数を有する乾燥ワキシータピオカ澱粉を提供する、および/または同じ澱粉の未洗浄されたサンプルと比較したとき、少なくとも3のペーストの色相単だけ澱粉の色を改善する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ワキシータピオカ澱粉は、少なくとも10%の塊茎上に残る表皮を有するキャッサバ塊茎からタピオカパルプを形成するステップを含む方法によって製造される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月21日付で出願された米国仮特許出願第62/609323号に対する優先権の利益を主張し、同文献全体を本明細書に援用する。
【0002】
本開示の背景
本開示の分野
本開示は、一般的に澱粉製品に関する。より詳細には、本開示は、低色澱粉材料、ならびにそれらの製造および使用方法を含む、それらに関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
技術背景
ワキシー澱粉は、アミロペクチンの形態で、すなわち、非ワキシー澱粉のようにアミロペクチンおよびアミロースの混合物とは対照的に、高いパーセンテージの澱粉多糖類含量を有する澱粉である。本明細書で使用されるように、「ワキシー」澱粉(「waxy」starch)は、少なくとも90%のアミロペクチン形態の澱粉含量を有する。ワキシー澱粉は、様々な食品に多数の望ましい特性を提供することができる。例えば、ワキシーコーン澱粉およびワキシータピオカ澱粉のようなワキシー澱粉は、ベーカリーフィリング(例えば、パイ用のフルーツフィリング)、生地、衣、チーズソースのようなソース、およびグレービーのような食品に望ましい食感(texture)と濃厚さを提供することができる。ワキシー澱粉は、通常、対応する非ワキシー澱粉よりも高い粘度および粘度安定性を提供する。
【0004】
ワキシータピオカ澱粉は、もち品種(waxy variety)のキャッサバ植物の根から抽出される。キャッサバ木(Manihot esculenta)は、南アメリカおよびアジアの一部地域固有の木質低木(woody shrub)で、トウダイグサ科(spurge family)のトウダイグサ科(Euphorbiaceae)の一部である。これは、一般にキャッサバ、ユカ(yuca)、マニオック(manioc)、「マンジオッカ(mandioca)」およびブラジル産のアロールート(Brazilian arrowroot)と呼ばれている。固有の形態および様々なアルファ化され、抑制され改変された形態のワキシータピオカ澱粉は、高い凍結-解凍および保存安全性を有する良好なテクスチャー化(texturizing)および増粘化(thickening)特性の組み合わせにより、食品用の添加剤としてますます人気が高まっている。
【0005】
色は澱粉のテクスチャー性能に影響を及ぼさないが、それでも、市場で重要な属性である。消費者は、澱粉材料が添加された食品に色を付けない澱粉材料を好む。一般に、非ワキシータピオカ澱粉は、白色または淡い色を有する粉末として販売されている。これらの非ワキシータピオカ澱粉は、それらが添加される食品に実質的な色を付けないため、消費者に受け入れられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、ワキシータピオカ澱粉における色形成(color formation)を防止する方法であって、方法は、
ワキシータピオカ澱粉を提供するステップ、
ワキシータピオカ澱粉を
水性アルカリ液、および
水性界面活性剤液からなる群から選択される水性脱色液と接触させるステップ;および
上記水性脱色液を上記ワキシータピオカ澱粉から実質的に除去するステップを含む。
【0007】
本開示の別の態様は、本明細書に記載のような低色ワキシータピオカ澱粉である。
【0008】
本発明の別の態様は、本明細書に記載のワキシータピオカ澱粉を水の存在下で調理するステップ、および調理された澱粉を1つ以上の他の食品成分と組み合わせて提供するステップを含む、食品の製造方法である。
【0009】
本発明の別の態様は、本明細書に記載のワキシータピオカ澱粉を調理された形態で含む食品である。
【0010】
本発明の別の態様は、本明細書に記載のワキシータピオカ澱粉を1つ以上の追加の乾燥食品成分との混和物として含む乾燥ミックスである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に記載されているカラー本は、米国仮特許出願第62/609323号の出願ファイルで入手可能であり、その全文が本明細書に参照により組み込まれる。
図1】実施例1に関して説明されたような、様々な洗浄済みおよび未洗浄のワキシータピオカ澱粉の澱粉ペーストのセットの写真である。
図2】実施例2に関して説明されたような、異なるpH値での濾液セットの写真であり、ここで、pH9.5濾液は、H9.0濾液およびpH8.5濾液よりも著しく暗褐色である。
図3】実施例2に関して説明されたような、様々な洗浄済みおよび未洗浄のワキシータピオカ澱粉の澱粉ペーストのセットの写真であり、ここで、各シリーズにおいて、左側のサンプルは中央の2つのサンプルよりも暗い色であり、これらの中央のサンプルは、右側のサンプルよりも暗い色である。
図4】実施例2に関して説明されたような、異なる水源を使用した異なるpH値での濾液セットの写真であって、ここで、pH9.5サンプルは、pH10サンプルよりも暗褐色ではない。
図5】実施例2に関して説明されたような、様々な洗浄済みおよび未洗浄のワキシータピオカ澱粉の澱粉ペーストのセットの写真であり、ここで、未処理されたサンプルは、他のサンプルよりも暗褐色である。
図6】実施例3に関して説明されたような、異なるpH値での濾液セットの写真であり、ここで、濾液1は濾液2よりも暗褐色であり、濾液2は濾液3よりも暗褐色であり、濾液3は濾液4よりも暗褐色である。
図7】実施例3に関して説明されたような、様々な洗浄手順からの濾液のUV-visスペクトルのセットである。
図8】実施例3に関して説明されたような、異なるpH値での濾液セットの写真であり、ここで、濾液1は濾液2よりも暗褐色であり、濾液2は濾液3よりも暗褐色である。
図9】実施例3に関して説明されたような、様々な洗浄手順からの濾液のUV-visスペクトルのセットである。
図10】実施例3に関して説明されたような、異なるpH値での濾液セットの写真であり、ここで、未調整のサンプルは、他のサンプルよりも暗褐色である。
図11】実施例3に関して説明されたような、様々な洗浄手順からの濾液のUV-visスペクトルのセットである。
図12】実施例3に関して説明されたような、水源としてミリ(Milli)-Q(登録商標)水を使用して洗浄した濾液の写真セットであり、ここで、各シリーズにおいて、左側のサンプルはほぼ無色であり、中央のサンプルはわずかに褐色であり、右側のサンプルは中央のサンプルよりも暗褐色である。
図13】実施例3に関して説明されたような、洗浄済みおよび未洗浄の澱粉ペーストのセットの写真であり、ここで、上部左側のサンプルは他のすべてのサンプルよりも暗褐色である。
図14】実施例4に関して説明されたような、洗浄済みおよび未洗浄の澱粉ペーストのセットの写真であり、ここで、未洗浄されたサンプルは他のすべてのサンプルよりも暗褐色である。
図15】実施例4に関して説明されたような、洗浄済みおよび未洗浄の澱粉ペーストのセットの写真である。
図16】実施例5に関して説明されたような、洗浄済みおよび未洗浄の澱粉ペーストのセットの写真である。
図17】実施例6に関して説明されたような、洗浄済みおよび未洗浄の澱粉ペーストのセットの写真である。
図18】実施例6に関して説明されたような、洗浄済みおよび未洗浄の澱粉ペーストのセットの写真である。
図19】実施例6に関して説明されたような、洗浄済みおよび未洗浄の澱粉ペーストのセットの写真である。
図20】実施例6に関して説明されたような、洗浄済みおよび未洗浄の澱粉ペーストのセットの写真である。
図21】実施例6に関して説明されたような、洗浄済みおよび未洗浄の澱粉ペーストのセットの写真である。
図22】実施例7に関して説明されたような、キャッサバ塊茎(cassava tuber)の写真セットである。
図23】実施例7に関して説明されたような、皮をむいたキャッサバ塊茎の写真セットである。
図24】実施例7に関して説明されたような、単利された澱粉材料の写真セットである。
図25】実施例7に関して説明されたような、濾液の写真セットであり、ここで、右側のサンプルは褐色であり、左側および中央のサンプルは無色を示す。
図26】実施例7に関して説明されたような、濾液の写真セットであり、ここで、サンプル1はサンプル2および3よりも暗褐色であり、サンプル2および3はサンプル4よりも暗褐色である。
図27】実施例7に関して説明されたような、澱粉ペーストのセットの写真であり、ここで、高pHのサンプルは、他のサンプルよりも暗褐色ではない。
図28】実施例7に関して説明されたような、澱粉ペーストのセットの写真であり、ここで、高pHのサンプルは、他のサンプルよりも暗褐色ではない。
図29】実施例7に関して説明されたような、澱粉ペーストのセットの写真であり、ここで、高pHのサンプルは、他のサンプルよりも暗褐色ではない。
図30】実施例7に関して説明されたような、澱粉ペーストのセットの写真であり、ここで、高pHのサンプルは、他のサンプルよりも暗褐色ではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
消費者が好む非ワキシータピオカ澱粉のように、ワキシータピオカ澱粉は、一般に、白色または淡い色の粉末として提供される。しかしながら、本発明者らは、ワキシータピオカ澱粉が食品で使用するために加工されたとき、より暗く、くすんでおり、褐色がかった調理された水性ペーストを形成することができることに注目した。そのような色が澱粉のテクスチャー化挙動に強い影響を及ぼさないが、消費者の選好度に関連して著しく不利である。
【0013】
本発明者らは、特定の澱粉洗浄方法論を利用した多くの実験を通じて、低色ワキシータピオカ澱粉が本明細書に記載された特定の方法を使用して提供され得ることが分かった。本開示の澱粉は、粉末形態で色が低いことができるだけでなく、ペーストに調理されたときにも色が低いことができる。
【0014】
当業者は、様々な天然澱粉が澱粉多糖類の2つの主要成分である、アミロース(直鎖、アルファ-1,4-結合されたポリグルコシド)およびアミロペクチン(アルファ-1,6-結合された分枝点を有する分枝型アルファ-1,4-結合されたポリグルコシド)を異なる相対量で有することを理解するであろう。いわゆる「ワキシー(waxy)」澱粉は、少なくとも90%のアミロペクチン(すなわち、アミロースおよびアミロペクチンの総量に基づいて)を有する。’典型的な非ワキシー澱粉は、70~85%の範囲の量でアミロペクチンを有する。特定の実施形態において、本明細書に特に記載されるワキシータピオカ澱粉は、95%~100%の範囲のアミロペクチン含量を有する。他の実施形態において、本明細書に特に記載されるワキシータピオカ澱粉は、少なくとも99%、または少なくとも99.9%のアミロペクチン含量を有する。高度のアミロペクチンは、ワキシー澱粉に非ワキシー澱粉とは異なる特性、例えば、向上した鮮明度、より低い脆性のゲル、より長くより凝集性のペーストの形成、老化(retrogradation)に対するより高い耐性を提供する。
【0015】
当業者は、例えば、顕微鏡検査および標準との比較によって、異なる澱粉供給源を区別することができる。当業者は、例えば、任意選択でヨウ化物で染色して顕微鏡で澱粉材料を観察し、観察された顆粒の大きさおよび形状を使用して澱粉の類型を決定することができる。当業者は、異なる供給源からの異なる類型の澱粉の調理されたペーストは、異なるテクスチャーおよびレオロジー特性を有することができ、したがって、異なる食品用途での使用に望ましいことがあることを理解するであろう。したがって、当業者は、ワキシータピオカ澱粉を他のワキシー澱粉と区別することができるであろう。
【0016】
したがって、本開示の一態様は、ワキシータピオカ澱粉における色形成(color formation)、例えば、未調理形態における色形成または調理された(ペースト)形態における色形成を防止する方法である。上記の方法は、ワキシータピオカ澱粉(例えば、天然のワキシータピオカ澱粉)を提供するステップ、上記ワキシータピオカ澱粉を水性アルカリ液である水性脱色液と接触させるステップ;および上記水性脱色液を上記ワキシータピオカ澱粉から実質的に除去するステップを含む。本発明者らは、ワキシータピオカ澱粉を水性アルカリ液で洗浄すると、特に後で調理されるとき(例えば、ペーストに)、澱粉の色を著しく減少させることができることを明らかにした。上述のように、これは、消費者の選好度が高い材料を提供することができ、その理由は、最終的な食品においてより低い程度の色形成を提供することができるのである。
【0017】
本明細書に別途記載される特定の実施形態において、上記水性アルカリ液は、約7.5~約12の範囲のpHを有する。例えば、特定の実施形態において、水性アルカリ液は、約7.5~約10.5、または約7.5~約10、または約7.5~9.9、または約7.5~約9.7、または約8~約11、または約8~約10.5、または約8~約10、または約8~9.9、または約8~約9.7、または約8.5~約11、または約8.5~約10.5、または約8.5~約10、または約8.5~9.9、または約8.5~約9.7、または約9~約12、または約9~約11.5、または約9~約11、または約9~約10.5、または約9~約10、または約9~9.9、または約9~約9.7、または約9.2~約11、または約9.2~約10.5、または約9.2~約10、または約9.2~9.9、または約9.2~約9.7の範囲のpHを有する。例えば、かかる特定の実施形態において、水性アルカリ液のpHは、約9~約10、例えば、約9.2~約9.7、または約9~9.9の範囲である。そして、かかる特定の実施形態において、水性アルカリ液のpHは、約7.5~9.9、例えば、約8~9.9、または約8.5~9.9、または約9~9.9、または約9.2~9.9の範囲である。本明細書の開示に基づいて、当業者は、望ましいpHを他の工程パラメーターとともに、選択して望ましい低色を有する澱粉を提供するであろう。
【0018】
このような特定の実施形態において、本明細書に別途記載される洗浄方法は、澱粉に約11以上のpH値を適用することを含まない。例えば、特定の実施形態において、本明細書に別途記載される洗浄方法は、澱粉に約10以上のpH値を適用することを含まない。
【0019】
水性アルカリ液に所望のpHを提供するために、様々な塩基または緩衝剤システムが使用され得る。例えば、本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性アルカリ液は、アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムのような炭酸塩塩基を含む。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性アルカリ液は、アルカリ金属重炭酸塩のような重炭酸塩塩基を含む。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性アルカリ液は、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムのような水酸化物塩基を含む。当業者が理解しているように、溶液中の水酸化物塩基は、例えば、対応する酸化物または水酸化物から形成され得る。緩衝が必須ではないが、特定の実施形態において、水性アルカリ液を緩衝することができる。
【0020】
本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性アルカリ液は、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約1Lの総比率(すなわち、単一洗浄ステップ、複数洗浄ステップ、または連続洗浄ステップにおいて、澱粉と接触される水性アルカリ液の総量に基づいて)で使用される。当業者は、使用のために要求される水性アルカリ液の量が、必要な減色量、使用される特定の装備および洗浄方法論、および使用される特定の水性アルカリ液を含む多くの要因に依存することを理解するであろう。当業者は、本明細書の開示に基づいて、所望の低色澱粉を提供するために、適切な量の水性アルカリ液を、他の工程パラメーターとともに使用するであろう。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性アルカリ液は、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約1.5Lの比率で、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約2Lの比率で、またはさらには乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約3Lの比率で使用される。当業者は、比較的多量の水性界面活性剤液が使用されることができ;量が多くなるほど収益は減少傾向になるはずだが、色を除去するのにより多くの量がより効果的であることを理解するであろう。特定の実施形態において、水性界面活性剤液は、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり約10L以下、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり約20L以下、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり約50L以下、またはさらには乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり約100L以下の比率で使用される。当業者は、本明細書の開示に基づいて、過度の無駄なしに所望の色除去を提供する液体使用比率を選択するであろう。
【0021】
当業者は、水性アルカリ液とワキシータピオカ澱粉との接触が様々な時間行われ得ることを理解するであろう。接触時間は、水性組成物と澱粉との総接触時間である(それが液体の全容量であるかどうか関係なく、例えば、澱粉のベッドを通して流体を洗浄する場合、総時間は、洗浄の始まりから洗浄の終わりまでの時間である)。当業者は、使用のために要求される接触時間が、必要な減色量、使用される特定の装備および洗浄方法論、および使用される特定の水性アルカリ液を含む多くの要因に依存することを理解するであろう。当業者は、本明細書の開示に基づいて、適切な接触時間を使用するであろう。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性アルカリ液は、少なくとも5分間ワキシータピオカ澱粉と接触される。例えば、このような特定の実施形態において、水性アルカリ液は、少なくとも約10分間、例えば、少なくとも約15分間ワキシータピオカ澱粉と接触される。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性アルカリ液は、約72時間以下、例えば、約36時間以下または約24時間以下で、ワキシータピオカ澱粉と接触される。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性アルカリ液は、約120分以下、例えば、約60分以下で、ワキシータピオカ澱粉と接触される。勿論、他の実施形態において、より長いまたはより短い時間が使用され得る。
【0022】
本開示の別の態様は、ワキシータピオカ澱粉における色形成、例えば、未調理形態における色形成または調理された(ペースト)形態における色形成を防止する方法である。上記方法は、ワキシータピオカ澱粉(例えば、天然ワキシータピオカ澱粉)を提供するステップ、上記ワキシータピオカ澱粉を水性界面活性剤液である水性脱色液と接触させるステップ;および上記水性脱色液を上記ワキシータピオカ澱粉から実質的に除去するステップを含む。本発明者らは、ワキシータピオカ澱粉を水性界面活性剤液で洗浄すると、特に後で調理されるとき(例えば、ペーストに)、澱粉の色を著しく減少させることができることを明らかにした。上述のように、これは、消費者の選好度が高い材料を提供することができ、その理由は、最終的な食品においてより低い程度の色形成を提供することができるのである。
【0023】
様々な界面活性剤が、水性界面活性剤液に使用され得る。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性界面活性剤液の界面活性剤は、少なくとも約11の親水性-親油性バランス(Hydrophile-Lipophile Balance)(HLB)値を有する。例えば、本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性界面活性剤液の界面活性剤は、少なくとも約13、例えば、少なくとも約16、または少なくとも約20のHLB値を有する。様々な特定の界面活性剤を使用され得る。例えば、本明細書に別途記載される特定の実施形態において、界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤である。本明細書に記載した方法で使用するのに適した陰イオン性界面活性剤の例は、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、脂肪アルコールサルフェート、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルサルフェート、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルフォスフェート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネートのような澱粉ナトリウムオクテニルサクシネート;ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウムラウレスサルフェート、およびβ-アミラーゼで処理されたn-オクテニル無水コハク酸でエステル化された食品澱粉を含む。本明細書に別途記載される他の実施形態において、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。本明細書に記載された方法で使用するのに適した非イオン性界面活性剤の例は、ポロキサマー(Poloxamer)の商品名で入手可能なもののようなポリ(エチレンオキシド)/ポリ(プロピレンオキシド)/ポリ(エチレンオキシド)ブロック共重合体;メチルグルコシドの脂肪酸エステル(例えば、メチルグルコシドのココナッツオイルエステル);およびポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65およびポリソルベート80のようなポリソルベートを含む。特定の特に望ましい実施形態において、界面活性剤は、食品安全等級の界面活性剤である。
【0024】
界面活性剤は、水性界面活性剤液で様々な濃度で使用され得る。当業者は、水性界面活性剤液で使用するのに望ましい界面活性剤の濃度が、必要な減色量、使用される特定の装備および洗浄方法論、水性界面活性剤液の使用量、および接触時間を含む多くの要因に依存することを理解するであろう。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、界面活性剤は、水性界面活性剤液内に少なくともその臨界ミセル濃度の量で存在する。臨界ミセル濃度は、当業者が分かるように、界面活性剤が水溶液でミセルを形成する最低濃度である。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、界面活性剤は、水性界面活性剤液内に約0.005重量%~約1重量%の範囲の量で存在する。例えば、かかる様々な実施形態において、界面活性剤は、水性界面活性剤液内に約0.005重量%~約0.5重量%、または約0.005重量%~約0.2重量%、または約0.005重量%~約0.1重量%、または約0.01重量%~約1重量%、または約0.01重量%~約0.5重量%、または約0.01重量%~約0.2重量%、または約0.01重量%~約0.1重量%、または約0.02重量%~約1重量%、または約0.02重量%~約0.5重量%、または約0.02重量%~約0.2重量%、または約0.02重量%~約0.1重量%の範囲の量で存在する。
【0025】
本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性界面活性剤液は、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約1Lの総比率(すなわち、単一洗浄ステップ、複数洗浄ステップ、または連続洗浄ステップにおいて、澱粉と接触される水性界面活性剤液の総量に基づいて)で使用される。当業者は、使用のために要求される水性界面活性剤液の量が、必要な減色量、使用される特定の装備および洗浄方法論、および使用される特定の水性界面活性剤液を含む多くの要因に依存することを理解するであろう。当業者は、本明細書の開示に基づいて、所望の低色澱粉を提供するために、適切な量の水性界面活性剤液を他の工程パラメーターとともに使用するであろう。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性界面活性剤液は、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約1.5Lの比率で、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約2Lの比率で、またはさらには乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約3Lの比率で使用される。当業者は、比較的多量の水性界面活性剤液が使用されることができ;量が多くなるほど収益は減少傾向になるはずだが、色を除去するのにより多くの量がより効果的であることを理解するであろう。特定の実施形態において、水性界面活性剤液は、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり約10L以下、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり約20L以下、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり約50L以下、またはさらには乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり約100L以下の比率で使用される。当業者は、本明細書の開示に基づいて、過度の無駄なしに所望の色除去を提供する液体使用比率を選択するであろう。
【0026】
当業者は、水性界面活性剤液とワキシータピオカ澱粉との接触が様々な時間行われ得ることを理解するであろう。接触時間は、水性組成物と澱粉との総接触時間である(それが液体の全容量であるかどうか関係なく、例えば、澱粉のベッドを通して流体を洗浄する場合、総時間は、洗浄の始まりから洗浄の終わりまでの時間である)。当業者は、使用のために要求される接触時間が、必要な減色量、使用される特定の装備および洗浄方法論、および使用される特定の水性界面活性剤液を含む多くの要因に依存することを理解するであろう。当業者は、本明細書の開示に基づいて、適切な接触時間を使用するであろう。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性界面活性剤液は、少なくとも5分間ワキシータピオカ澱粉と接触される。例えば、このような特定の実施形態において、水性界面活性剤液は、少なくとも約10分間、例えば、少なくとも約15分間ワキシータピオカ澱粉と接触される。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性界面活性剤液は、約72時間以下、例えば、約36時間以下または約24時間以下で、ワキシータピオカ澱粉と接触される。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性界面活性剤液は、約120分以下、例えば、約60分以下で、ワキシータピオカ澱粉と接触される。勿論、他の実施形態において、より長いまたはより短い時間が使用され得る。
【0027】
本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性脱色液は、界面活性剤を含む水性アルカリ液である(すなわち、これは、水性アルカリ液である同時に水性界面活性剤液である)。このような水性脱色液は、水性アルカリ液および水性界面活性剤液に関連した特徴の任意の組み合わせにおいて、上述のとおりであり得る。
【0028】
上述のように、本明細書に記載された水性脱色液は、水と、塩基と界面活性剤中の少なくとも1つとを含む。望ましくは、本明細書に記載された水性脱色液は、実質的に唯一の溶媒として水を有する。例えば、特定のこのような実施形態において、水性脱色液は、約2重量%未満、約1重量%未満、またはさらには約0.5重量%未満の任意の有機溶媒を有する。しかしながら、他の実施形態において、より多くの量、例えば、15重量%以下またはさらには20重量%以下の他の溶媒が存在することができる。他の溶媒が存在する場合、それらは望ましくは食品安全等級の溶媒、例えば、エタノールである。
【0029】
当業者が分かるように、水性脱色液は、洗浄性能に悪影響を及ぼさない限り、他の成分(例えば、塩)を含むことができる。
【0030】
さらに、特定の実施形態において、接触は、異なる水性脱色液と連続的に行われることができる。例えば、水性アルカリ液で洗浄した後、水性界面活性剤液で洗浄するか、またはその逆に洗浄され得ることができる。
【0031】
本発明者らは、水性液体に対する溶媒として脱イオン水を使用すると、本明細書に記載された方法で特に良好な結果を提供できることを確認した。したがって、本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性脱色液の水は脱イオン水である(例えば、実質的に存在する唯一のイオンは、塩基および/または界面活性剤および、存在する場合、澱粉からのイオンである)。本明細書に別途記載される特定の実施形態において、水性脱色液は、脱イオン水を提供するステップ、および上記脱イオン水から(例えば、これを塩基および/または界面活性剤と組み合わせることにより)水性脱色液を形成するステップを含む工程によって製造される。特定の実施形態において、脱イオン水は、少なくとも約1MΩ・cm、例えば、少なくとも約5MΩ・cm、またはさらには少なくとも約10MΩ・cmの抵抗率を有する。脱イオン水は、様々な方式、例えば、蒸溜、イオン交換、または逆浸透方式で提供され得る。特定の実施形態において、水性脱色液は、約10ppm未満、約5ppm未満、またはさらには約1ppm未満のカルシウムおよびマグネシウム総含量を有する。特定の実施形態において、水性脱色液は、アルカリ金属、カルシウムおよびマグネシウム以外に、約500ppb未満、約100ppb未満、またはさらには約10ppb未満の他の金属を有する。特定の実施形態において、水性脱色液は、アルカリ金属以外に、約500ppb未満、約100ppb未満、またはさらには約10ppb未満の他の金属を有する。
【0032】
水性脱色液は、塩基または緩衝剤システム以外の成分を含むことができる。しかしながら、特定の望ましい実施形態において、水性脱色液は、澱粉分子自体と反応して澱粉材料を改変させる化合物、例えば、陽イオン化剤(すなわち、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドおよび3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジエチルアミノエチルクロリドのような澱粉に陽イオン性官能基を付加する化合物)、陰イオン化剤(すなわち、澱粉に陰イオン性官能基を付加する化合物、例えば、クロロヒドロキシプロピオン酸、スクシニル化試薬、ヘキサメタリン酸ナトリウム)、アミラーゼ、プロテアーゼ、架橋結合剤(すなわち、反応して澱粉を架橋結合させる化合物、例えば、POClおよび他のリン酸塩架橋結合試薬、アジピン酸無水物);エーテル化剤(例えば、プロピレンオキシド、エチレンオキシド);およびエステル化剤(例えば、無水酢酸、無水コハク酸、酢酸ビニル)が実質的に欠けている。同様に、特定の望ましい実施形態において、水性アルカリ液は、漂白または酸化成分(例えば、次亜塩素酸塩、過酸化物、過酸、過硫酸塩、過マンガン酸塩、亜塩素酸塩)が欠けている。特定の望ましい実施形態において、水性脱色液は、澱粉と共有結合する成分が実質的に欠けている。例えば、特定のこのような実施形態において、水性脱色液は、約0.1重量%未満、例えば、約0.05重量%未満またはさらには約0.01重量%未満のこのような成分を含む。
【0033】
特定の望ましい実施形態において、水性脱色液は、水性溶媒、1つ以上の界面活性剤および1つ以上の塩基以外に、約2重量%以下の他の成分を含む。例えば、特定の実施形態において、水性脱色液は、水性溶媒、1つ以上の界面活性剤および1つ以上の塩基以外の任意の成分約1重量%以下、またはさらには水性溶媒、1つ以上の界面活性剤および1つ以上の塩基以外の任意の成分約0.5重量%を含む。
【0034】
特定の望ましい実施形態において、水性脱色液は、例えば、澱粉分子上で共有結合改変または触媒活性により、澱粉分子自体と反応する約1重量%未満の成分を含む。特定の望ましい実施形態において、水性脱色液は、約0.5重量%未満、または約0.1重量%未満のこのような成分、例えば、約0.05重量%未満または約0.01重量%未満のこのような成分を含む。
【0035】
特定の望ましい実施形態において、接触は、澱粉分子自体が共有反応によって、例えば、陽イオン化、陰イオン化、エステル化、エーテル化、架橋結合、または他の方法で改変されることによって実質的に改変されないように行われる。望ましい実施形態において、このような改変の程度は、約0.05重量%未満、例えば、約0.01重量%未満、またはさらには約0.005重量%未満である。
【0036】
特定の望ましい実施形態において、接触は、澱粉分子が実質的に加水分解されないように行われる。例えば、特定の実施形態において、接触は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された澱粉の重量平均分子量が、約5%超過、例えば、約2%以下、または約1%以下に変化しないように行われる。
【0037】
ワキシータピオカ澱粉の接触は、様々な温度で行われることができる。当業者は、使用のために要求される温度が、必要な減色量、使用される特定の装備および洗浄方法論、使用される特定の水性脱色液、および接触時間を含む多くの要因に依存することを理解するであろう。また、加熱が一般的に効率を改善させることができるが、当業者は、温度が高すぎる場合、澱粉がペースト化されることができ、これは澱粉が水性脱色液を保持させることにより、洗浄工程を妨げることができることを理解するであろう。当業者は、本明細書の開示に基づいて、適切な接触温度を使用するであろう。特定の特に望ましい実施形態において、接触は、澱粉がゼラチン化またはペースト化しない条件下で行われる。本明細書に別途記載された特定の実施形態において、接触は、約15℃~約70℃の範囲、例えば、約15℃~約65℃の範囲、または約15℃~約60℃の範囲、または約15℃~約55℃の範囲、または約15℃~約50℃の範囲、または約15℃~約45℃の範囲、または約15℃~約40℃の範囲、または約20℃~約70℃の範囲、または約20℃~約65℃の範囲、または約20℃~約60℃の範囲、または約20℃~約55℃の範囲、または約20℃~約50℃の範囲、または約20℃~約45℃の範囲、または約20℃~約40℃の範囲、または約30℃~約70℃の範囲、または約30℃~約65℃の範囲、または約30℃~約60℃の範囲、または約30℃~約55℃の範囲、または約30℃~約50℃の範囲の温度において行われる。かかる特定の実施形態において、接触は、約40℃~約70℃の範囲、または約45℃~約70℃の範囲、または約50℃~約70℃の範囲、または約40℃~約60℃の範囲の約範囲、または約45℃~約65℃の範囲の約範囲の温度において行われる。
【0038】
当業者は、接触および除去作業を様々な手法で行うことができることを理解するであろう。例えば、澱粉は、これを水性脱色液中でスラリー化することによって接触されることができ、次いで、水は、濾過、遠心分離、または膜分離のような通常的な脱水技法によって除去され得る。ハイドロサイクローニング(hydrocycloning)もまた、スラリーを脱水するのに使用され得る。他の実施形態において、液体は、澱粉のベッド(例えば、ケーキ)を通って流れ、これを通過するときに澱粉と接触し、澱粉から除去される。当業者は、本明細書の開示に基づいて、接触および除去作業の望ましいセットを選択するであろう。
【0039】
特定の望ましい実施形態において、接触および除去作業は、澱粉抽出工程中に、例えば、タピオカ塊茎から固体澱粉製品(例えば、粉末形態)を形成する工程において行われる。特に、これらの方法は、澱粉ミルクから澱粉を最初に単利することなく行われることができる。例えば、特定の実施形態において、これらの方法は、水性媒体中に懸濁されたワキシータピオカ澱粉(すなわち、小粒子として)を有する澱粉ミルクを提供するステップ;および水性媒体に塩基および/または界面活性剤を添加して、水性脱色液と接触するワキシータピオカ澱粉を提供するステップを含む。澱粉ミルクは、通常的な方法を使用して提供され得る。例えば、キャッサバ塊茎は、皮むきされるか、または他の方法で処理されて大部分の外皮(skin)が除去され、次いで破片されてパルプを形成することができる。特定のこのような実施形態において、少なくとも約30%、少なくとも約60%、またはさらには少なくとも約90%の外皮が塊茎から除去される。しかしながら、場合によっては、塊茎からすべての外皮を残り無く除去するのが望ましくない工程集約的なことであり得;したがって、特定の実施形態において、キャッサバ塊茎は、それがパルプに形成されるときに少なくとも約10%、少なくとも約20%、またはさらには少なくとも約30%の表皮を有する。パルプ中の繊維は、水洗により澱粉から機械的に分離し、水性媒体中のワキシータピオカ澱粉の懸濁液として澱粉ミルクを形成することができる。塩基および/または界面活性剤との接触は、澱粉ミルク中で、例えば、澱粉が澱粉ミルクから実質的に単利される前に行われることができる。また他の実施形態において、上記方法は、タピオカパルプを水性脱色液で洗浄して、そこから澱粉を抽出することにより、水性脱色液と接触するワキシータピオカ澱粉を含む澱粉ミルクを形成するステップを含む。ここで、また、上記方法は、澱粉が澱粉ミルクから実質的に単利される前に行われることができる。
【0040】
他の実施形態において、接触および除去作業は、塊茎から抽出した後、抽出された澱粉が実質的に乾燥する前に行われる。例えば、特定の実施形態において、上記方法は、水性媒体中に懸濁されたワキシータピオカ澱粉(すなわち、小粒子として)を有する澱粉ミルクを提供するステップ;上記澱粉ミルクから澱粉を単利して、湿潤澱粉ケーキ(すなわち、含湿固体)を提供するステップ;および上記湿潤澱粉ケーキを実質的に乾燥させることなく、上記湿潤澱粉ケーキを水性脱色液と接触させるステップを含む。特定のこのような実施形態における塊茎からの湿潤澱粉ケーキは、例えば、約25%の水分、約35%の水分、またはさらには約45%の水分含量未満に落ちない。
【0041】
特定の実施形態において、ワキシータピオカ澱粉は、固体の形態で提供され;上記固体は、水性脱色液と接触される。固体は、例えば、乾燥粉末、または含湿固体(例えば、脱水されているが、前工程ステップから乾燥していない)であり得る。例えば、接触は、ワキシータピオカ澱粉の固体ベッドに水性脱色液を通過させることにより行われることができる。
【0042】
特定のこのような実施形態において、水性脱色液がワキシータピオカ澱粉と接触した後、ワキシータピオカ澱粉を脱水させて水性脱色液をそこから除去する。当業者が理解するであろうように、様々な脱水技法が使用され得る。他の実施形態において、澱粉は、濾過、例えば、回転式真空濾過、回転式加圧濾過またはプレス濾過を使用して脱水させる。他の代替実施形態において、澱粉を脱水させるのに遠心分離が使用される。特に、澱粉と水性脱色液との接触は、澱粉から水性脱色液を除去するのと同じ装置で行われることができる。
【0043】
理論に拘束されるつもりはないが、本発明者らは、着色-誘発物質が澱粉に対してある程度は親和力があると想定する。ハイドロサイクロンの使用でのように、可溶性物質の連続的な希釈は、着色-誘発物質の可溶化に対して平衡を誘導するであろう。ハイドロサイクロンと回転式真空濾過または回転式加圧濾過の組み合わせは、例えば、連続工程が可能になる。
【0044】
当業者は、様々な接触および除去作業が組み合わせられて、所望の洗浄効率および澱粉収率を提供することができることを理解するであろう。
【0045】
特に、本発明者らは、澱粉から除去された液体が一般には高度に着色されることを明らかにし、これが澱粉からかなりの程度の色形成成分を運ぶことを立証した。
【0046】
本明細書に別途記載される方法の特定の実施形態において、上記方法は、澱粉から水性脱色液を除去した後、澱粉を洗浄(rinsing)するステップをさらに含む。澱粉を洗浄(例えば、水または他の水性洗浄液で)するステップは、残留塩基および/または界面活性剤を除去することができ、多くの場合に、可溶化された色形成成分をさらに除去することができる。例えば、特定の実施形態において、澱粉は、少なくとも1容量の水性洗浄液(例えば、水)、例えば、少なくとも2容量またはさらには少なくとも4容量の水性洗浄液で洗浄される。洗浄は、当業者が分かるように、撹拌しながら行われることができる。しかしながら、洗浄が必須ではなく、他の実施形態において、澱粉は、水性脱色液が澱粉から除去された後に洗浄される。
【0047】
特定の実施形態において、水性脱色液がアルカリ性である場合、例えば、乾燥ステップでもはやアルカリ性にならないように澱粉によって保持された水性流体のpHを調整することが望ましいことがある。例えば、特定の実施形態において、澱粉によって保持された水性流体のpHは、さらなる処理作業時、例えば、乾燥作業時、約7.5以下である。例えば、澱粉によって保持される水性液のpHは、約4~約7.5、例えば、約4~約7、または約4~約6.5、または約4.5~約7.5、または約4.5~約7、または約4.5~約6.5、または約5~約7.5、または約5~約7、または約5.5~約7.5の範囲であり得る。当業者は、多くの方式で、例えば、水で洗浄するか、または弱酸または緩衝液で処理することにより、このようなpHに到達することができる。
【0048】
特定の実施形態において、澱粉は、そこから水性脱色液が除去された後に乾燥することができる。望ましくは、乾燥は、澱粉が任意の残留塩基および/または界面活性剤と反応しない温度で行われる。また、前述されたように、アルカリ処理からpHを減少させるための洗浄または他の処理は、乾燥前に行われることができる。例えば、特定の実施形態において、乾燥は、約25℃~約85℃、例えば、約25℃~約65℃、または約25℃~約60℃、または約25℃~約55℃、または約25℃~約50℃、または約30℃~約70℃、または約30℃~約65℃、または約30℃~約60℃、または約30℃~約55℃、または約30℃~約50℃、または約35℃~約70℃、または約35℃~約65℃、または約35℃~約60℃、または約35℃~約55℃、または約40℃~約85℃、または約40℃~約80℃、または約40℃~約70℃、または約40℃~約65℃、または約50℃~約85℃、または約50℃~約80℃の範囲の温度において行われる。
【0049】
当業者が理解できるように、ワキシータピオカ澱粉は、例えば、澱粉固有のものであるか、他に存在する望ましくない香味、匂いおよび色相を減少させるために、例えば、他の従来の方法を使用することによってさらに精製することができる。例えば、蒸気ストリッピング、イオン交換工程、透析、濾過、例えば、亜塩素酸塩などによる漂白、酵素改質(例えば、タンパク質を除去するために)および/または遠心分離などの方法を用いて他の不純物を減少させることができる。当業者は、このような精製作業が工程中の様々な適切な時点で実施され得ることを理解できるであろう。
【0050】
さらに、本明細書に記載された接触および除去ステップ後に、澱粉はさらに加工され、例えば、抑制、改変(化学的、酵素的、物理的、または熱的で、またはこれらの組み合わせで)、およびアルファ化中の1つ以上で加工された澱粉を提供することができる。
【0051】
また、他の実施形態において、本明細書に記載されたような接触および除去ステップは、抑制、改変およびアルファ化中の1つ以上のステップで既に加工された澱粉上で行われることができる。
【0052】
特に、本明細書に記載された方法は、特定の特に望ましい実施形態において、約10以下の黄色度を有することにより、低色を有する乾燥ワキシータピオカ澱粉を提供することができる。例えば、本明細書に記載の方法の特定の実施形態は、約3~約10または約5~約10の範囲の黄色度指数を有する乾燥タピオカ澱粉を提供することができる。特定の望ましい実施形態において、黄色度指数は、約8以下(例えば、約3~約8または約5~約8)である。黄色度指数は、ASTM E313によって測定される。
【0053】
さらにより特に、本明細書に記載された方法は、特定の実施形態において、約7以下のペーストの色を有するワキシータピオカ澱粉を提供することができる。特定のこのような実施形態において、ペーストの色は、約6以下、約5以下、約4以下、約3.5以下、またはさらには約3以下である。本明細書で使用されたように、ペーストの色は、塩緩衝液(salted buffer)(RVA pH6.5緩衝液(Ricca Chemical Company、製品番号6654、1.00重量%のリン酸ナトリウム二塩基性;0.30重量%クエン酸;0.20重量%安息香酸ナトリウム;0.08重量%p-ヒドロキシ安息香酸メチル;0.02重量%p-ヒドロキシ安息香酸プロピル)中の10g/L NaCl)中の5%固体で、澱粉ペースト上で測定される。澱粉を塩緩衝液に分散させ、95℃で、手動で撹拌しながら6分間調理した後、95℃でさらに20分間撹拌しなかった。ペーストの色は、10mmキュベット全体の約2/3をペーストで充填した後、これを10秒パルスで超音波処理して、光路内に閉じ込められた任意の気泡を除去することによって測定される。吸光度は、450nmおよび600nmで測定され、ペーストの色は、以下の方程式を使用して計算される:ペーストの色=[Abs@450-Abs@600]×100。このような低色は、澱粉が含まれた食品に対する澱粉の色の寄与度が低いため、消費者によって非常に選好される。特定の望ましい実施形態において、上記方法は、未洗浄されたサンプルと比較したとき、少なくとも約2のペーストの色単位、例えば、少なくとも約3のペーストの色単位、少なくとも約3.5のペーストの色単位、またはさらには少なくとも約4のペーストの色単位だけ澱粉の色を改善させる。
【0054】
本明細書に記載された澱粉は、いくつかの技法に従ってさらに加工され得る。当業者は、スプレークッキング、ドラム乾燥、および水性アルコール中での予備膨潤のような様々なアルファ化技法だけでなく、エステル化、エーテル化、架橋結合、熱処理、希釈などのような様々な抑制および改変技法のような様々な技法に精通している。さらに、当業者は、一部の場合に既に改変されるか、アルファ化されるかまたは他の方法で加工された澱粉上で本明細書に記載された洗浄方法を行うことが望ましい場合があることを理解するであろう。
【0055】
本開示の別の態様は、本明細書に記載のような方法により製造された低色ワキシータピオカ澱粉である。
【0056】
本開示のまた他の態様は、乾燥形態で約10以下の黄色度指数、および/または約4以下、例えば、約3.5以下、またはさらには約3以下のペーストの色を有する、低色ワキシータピオカ澱粉である。低色ワキシータピオカ澱粉は、本明細書に別途記載されるとおりであり得る。特定の望ましい実施形態において、低色ワキシータピオカ澱粉は、本明細書に記載されたような工程によって製造される。
【0057】
本明細書に記載された澱粉は、様々な食品に有用であり得る。したがって、本発明の別の態様は、食品の製造方法である。該方法は、澱粉を、1つ以上の他の食成分と組み合わせて提供することを含む。澱粉は、いくつかの実施形態において、他の食品成分と組み合わせられる前または後に調理され得る。例えば、本明細書に記載の澱粉を、水を含む1つ以上の他の食品成分と組み合わせて上記の澱粉と食品成分の組み合わせを調理することができる。特定の実施形態において、方法は、低温殺菌、レトルト処理、ケトル調理(kettle cooking)またはバッチ調理(batch cooking)、ジェットクッキング(jet cooking)、圧出、高温短時間調理、スチーム噴射または超高温加工を含む。澱粉は、代替的に別に調理されることができ、後で1つ以上の食品成分と組み合わせることができる。
【0058】
本開示の澱粉は、多様な食品において有用であり得る。上記食品は、例えば、トマトベースの製品、グレービー、ホワイトソースまたはチーズソースのようなソース、スープ、プディング、サラダドレッシング(例えば、注ぐことができるまたはスプーンですくうことができる)、ヨーグルト、サワークリーム、プディング、カスタード、チーズ製品、フルーツフィリングまたはトッピング、クリームフィリングまたはトッピング、シロップ(例えば、ライトシロップ)、飲料(例えば、乳製品飲料、ソーダ、バブルティー、パンチ、ジュース、エイド、コーヒー飲料、茶飲料、スムージー、シェイク、プロテイン飲料、インスタント飲料、幼児または乳児のための調製食料品)、グレーズ、調味料、菓子類、パスタ、冷凍食品、シリアル、またはスープを含むことができる。
【0059】
本明細書に記載の澱粉はまた、例えば、貯蔵後より新鮮な食感を保持するより柔らかい製品を提供するために防止剤(anti-scalant)として作用して、固形食品、例えば、製菓製パン類の特性を改質するために使用され得る。したがって、他の実施形態において、食品は、製菓製パン類、例えば、パン、ペストリー、パイクラスト、ドーナツ、ケーキ、ビスケット、クッキー、クラッカーまたはマフィンである。このような実施形態において、調理は、ベーキングを含むことができる。いくつかの実施形態において、製菓製パン類(すなわち、そのドウまたは生地)における本明細書に記載の澱粉の使用は、老化(staling)を減少させるのに役立つことができる。他の実施形態において、澱粉は、例えば、製菓製パン類内部のフィリングに含むことができる。
【0060】
本発明の澱粉を使用し、様々な他の食品を有利に製造することができる。例えば、本発明の澱粉が有用である食品には、熱加工食品、酸性食品、乾燥ミックス、冷蔵食品、冷凍食品、押出食品、オーブン調理食品、ストーブ調理食品、電子レンジ対応食品、全脂肪または低脂肪食品および水分活性の低い食品が含まれる。本発明の澱粉が特に有用である食品は、低温殺菌、レトルト処理、高温短時間処理、または超高温(UHT)加工などの熱加工段階を必要とする食品である。本発明の澱粉は、冷却、冷凍および加熱を含むすべての加工温度にわたって安定性が要求される食品用途において特に有用である。
【0061】
加工された食品調剤物に基づき、実施者は、完成食品で必須的な濃厚さおよびゲル化粘度のみならず、所望の食感を提供するのに必要な本発明の澱粉の量および種類を容易に選択することができる。一般に、澱粉は、食品の約0.1~約35重量%、例えば、約0.5~約6.0重量%の量で使用される。しかし、他の実施形態において、多かれ少なかれ量の澱粉が使用され得る。
【0062】
本発明の澱粉の使用によって向上され得る食品中には、フルーツベースのパイフィリングなどの高酸性食品(pH<3.7);トマトベースの製品および離乳食などの酸性食品(pH3.7~4.5);グレービー、ソースおよびスープなどの弱酸性食品(pH>4.5);ソース、グレービーおよびプディングなどのストーブ調理食品;プディングなどのインスタント食品;注ぐことができスプーンを利用し得るサラダドレッシング;乳製品または類似乳製品(例えば、ヨーグルト、サワークリームおよびチーズ)などの冷蔵食品;冷凍デザートおよび冷凍ディナーなどの冷凍食品;冷凍ディナーなどの電子レンジ対応食品;ダイエット製品および病院食品などの液状製品;製菓製パン類、グレービー、ソース、プディング、離乳食、ホットシリアルなどの製造用乾燥ミックス;および生地調理および揚げ物の前に食品をプレダスティング(predusting)するための乾燥ミックスがある。
【0063】
他の実施形態において、食品は、菓子である。
【0064】
本明細書に記載の澱粉は、極めて様々な他の食品に使用することができる。例えば、本発明の澱粉および方法の特定の実施形態において、澱粉は、ベーキングされた食品、朝食用シリアル、無水コーティング(例えば、アイスクリーム配合コーティング、チョコレート)、乳製品、菓子、ジャムおよびゼリー、飲料、フィリング、押出型およびシート状スナック、ゼラチンデザート、スナックバー、チーズおよびチーズソース、食用および水溶性フィルム、スープ、シロップ、ソース、ドレッシング、クリーマー、アイシング、フロスティング、グレーズ、トルティーヤ、肉類および魚、ドライフルーツ、乳幼児食品および生地と衣から選択される食品で使用される。本明細書に記載の澱粉は、様々な医療用食品にも使用することができる。本明細書に記載の澱粉は、ペットフードにも使用することができる。
【0065】
本発明の澱粉はまた、化粧品およびパーソナルケア製品、紙、包装、医薬製剤、接着剤など、澱粉(例えば、天然、架橋結合、酸希釈、デキストリン化、および/または改変された)が従来から利用されている様々な非食品最終用途でも使用することができる。例えば、本明細書に記載された澱粉は、錠剤、カプセル、粉末状物質および粉末状物質のような製薬および機能食品投与形態で担体、結合剤、または他の賦形剤として使用され得る。
【0066】
本発明の別の態様は、本明細書に記載の澱粉を1つ以上の食品成分との混和物として含む乾燥ミックスである。本明細書に記載された澱粉は、例えば、アルファ化澱粉であり得る。アルファ化澱粉は、例えば、本明細書に記載されたように脱色された澱粉をアルファ化することにより製造され得る。乾燥ミックスは、例えば、製菓製パン類、例えば、パン、ペストリー、パイクラスト、ドーナツ、ケーキ、ビスケット、クッキー、クラッカーまたはマフィン用乾燥ミックスであり得る。
【0067】
以下、さらなる説明は、実施例に関して提供される。
【0068】
実施例1
ワキシータピオカ澱粉の特定のバッチをpH6.5以上の媒体で調理したとき、褐色がかったことが観察された本研究は、高いpHで、水酸化ナトリウムで洗浄されたワキシータピオカ澱粉が著しく減少された色を有することができることを証明する。
【0069】
実験方法
以下の手順を使用して澱粉を50℃で洗浄した:
1. 逆浸透(RO)水中の1%NaOH溶液を製造した(99gのRO水に1gのNaOHを添加した)。
2. 約3kgのRO水を95℃のウォーターバス内のビーカーで50℃に予熱した後、50℃のウォーターバスで維持した。
3. 141.0g(125g乾燥固体)のワキシータピオカ澱粉を3つの別々のビーカー内に秤量した。
4. オーバーヘッドスターラーを備えた別途のビーカーに292gの温かいRO水を添加した。予め秤量された澱粉をビーカーに添加した。初期pHは4.83であり、1%NaOHでpHを9.5に調整した。12.4gの1%NaOHが使用された。
5. スラリーを、ブフナー漏斗を通してすぐに濾過した後、ケーキを4容量の温かいRO水(約500g)で洗浄した。これは5分-洗浄したサンプルである。
6. 別途のビーカーでステップ4を繰り返した。
7. 50℃で1時間撹拌を続けた。スラリーを、ブフナー漏斗を通して濾過した後、ケーキを4容量の温かいRO水で洗浄した。これは1時間洗浄したサンプルである。
8. 別途のビーカーでステップ4を繰り返した。
9. 50℃で2時間撹拌を続けた。スラリーを、ブフナー漏斗を通して濾過した後、ケーキを4容量の温かいRO水で洗浄した。これは2時間洗浄したサンプルである。
10. ケーキを125gのRO水中で再スラリー化し、スラリーのpHは10.08であった。2MのHClでpHを6.8に調整した。約850マイクロリットル(μL)のHClが使用された。
11. ケーキをパンの上で一片の褐色ペーパー上で細かく砕いた後、50℃で一晩乾燥した。
12. 各サンプルの水分含量をComputrac(登録商標)水分分析器上で測定した。
【0070】
以下の手順を使用して澱粉を室温で洗浄した:
1. 141.0g(水分含量=11.36%、乾燥固体=125g)のワキシータピオカ澱粉をビーカー内に秤量した。
2. RO水を355gの総重量までビーカーに添加した後、1%NaOHでpHを9.5に調整した。
3. スラリーを磁気撹拌式プレート上で1時間撹拌した。
4. スラリーをブフナー漏斗で濾過し;ケーキを乾燥する前に、澱粉ケーキおよびフィルターの上部に250gのRO水を添加し;追加の250gのRO水で繰り返し洗浄した。
5. ケーキをパン上で一片の褐色ペーパー上で細かく砕いた後、50℃で一晩乾燥した。
6. 各サンプルの水分含量をComputrac(登録商標)水分分析器上で測定した。
【0071】
洗浄された澱粉サンプルをpH7.5で、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中において95℃で、手動で撹拌しながら6分間および撹拌せずに20分間調理して澱粉ペーストを形成した。ペーストの色を未洗浄された(未処理された)ワキシータピオカ澱粉およびpH9.5で、1時間室温で撹拌したサンプルと比較した。図1に示されているように、50℃(5分、1時間、2時間)で処理された3つのサンプルはすべて、未洗浄された澱粉および室温処理された澱粉よりも明るい色を有する。室温で洗浄すると、色は改善されるが、高温で洗浄するほどではない。4つの洗浄されたサンプルはすべて、未処理されたよりも明るい色を示す。50℃で異なる時間浸漬させたサンプルの色の間には大きな差が全くなかった。しかし、粉末の色がHunter Lab ColorflexD25反射率計(TN22568方法)上で測定したとき、サンプルは以下の表1に示したように、顕著な色の差を示した:
【表1】
【0072】
実施例2
実験手順が以下に記載される:
【0073】
水道水で1%NaOH溶液を製造した(99gの水道水に1gのNaOHを添加した)。
【0074】
56.4g(水分含量=11.36%、乾燥固体=50g)のワキシータピオカ澱粉を6つの別々のビーカー内に秤量した。
【0075】
水道水を166.7gの総重量まで各々のビーカーに添加した後、ビーカー1、ビーカー2、ビーカー3、ビーカー4、ビーカー5およびビーカー6に対して、1%NaOHを使用してpHを7.0、7.5、8.0、8.5、9および9.5に各々調整した。
【0076】
スラリーを磁気撹拌式プレート上で1時間撹拌した。
【0077】
各々のスラリーを、ブフナー漏斗を介して濾過した。
【0078】
フィルターケーキが割れる前に、澱粉ケーキの上部に水道水100gを添加し、濾過を続けた。
【0079】
コンピュートラック(登録商標)水分分析器を使用して湿潤ケーキの水分含量を測定した。
【0080】
洗浄された澱粉をpH7.5の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中で5%乾燥固体(dry solids)(ds)でスラリー化した。各サンプルを95℃で、手動で撹拌しながら6分間調理した後、95℃で、静的状態でさらに20分間調理した。調理されたペーストの色を比較した。
【0081】
洗浄された澱粉ケーキの残りは50℃で一晩乾燥した。
【0082】
手順-pH9.5および10.0で水道水とRO水の比較
【0083】
30%ワキシータピオカ澱粉スラリーをRO水または水道水のいずれかで製造した(11.36%の水分含量を有する澱粉56.4gをRO水または水道水のいずれかと166.7gの最終重量で混合した)。スラリーのpHを、1%NaOHを使用してpH9.5および10に調整した。約3.6mLのNaOH溶液をスラリーに添加してpH9.5に到達させ、5.2mLを使用してpH10.0に到達させた。スラリーを室温で1時間撹拌した後、濾過した。RO水スラリーからの澱粉ケーキは100gのRO水(2X)でさらに洗浄し、水道水スラリーからの澱粉ケーキは100gの水道水で洗浄した。洗浄された澱粉ケーキをペーパー-ラインパン(paper-lined pan)上で細かく砕いた後、50℃で一晩乾燥した。
【0084】
乾燥した澱粉をpH7.5の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中において5%乾燥固体(ds)で調理した。各サンプルを95℃で、手動で撹拌しながら6分間調理した後、95℃で、静的状態でさらに20分間調理した。調理されたペーストの色を比較した。
【0085】
図2は、実験からの濾液の写真である。濾液の色は、澱粉スラリーのpHに応じて増加する。pH9.5からの濾液が最も暗い色を示し、次いでpH9.0およびpH8.5である。pH7.0、7.5および8.0からの濾液は、ほとんど無色を示した(写真は示していない)。
【0086】
洗浄された澱粉を上述のようにpH7.5の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中で調理し、各々の調理されたペーストの写真が図3に示されている。pH9.5のNaOH溶液で洗浄されたサンプルは、より低いpHのNaOH溶液で洗浄されたサンプルと比較したとき、最も明るい色を有する。Milli-Q(登録商標)水中のNaHCOで複数洗浄されたサンプル(実施例4参照、調理されたNaHCO洗浄された澱粉)は、参照として写真に含まれており、これは任意のNaOH溶液単一洗浄サンプルよりも明るい色を示す。本発明者らは、洗浄効率における差は、主に、pHおよび有効洗浄容量における差からもたらされるものであり、例えば、所定のpHを達成するために、異なるナトリウム陽イオン塩基を使用することからもたらされるものではないと推定する。
【0087】
pH9.5および10.0のRO水および水道水中のスラリーからの濾液は、図4に比較されている。RO水および水道水の色の差は、同じpHで有意ではなかったが、pH10.0で色が著しく強かった。
【0088】
RO水洗浄および水道水洗浄されたワキシータピオカ澱粉サンプルの調理されたペーストが図5に示されており、ここで、サンプルは、左側から右側へ各々未処理、未洗浄されたワキシータピオカ澱粉;pH9.5でRO水中のNaOHで洗浄されたサンプル;pH9.5で水道水中のNaOHで洗浄されたサンプル;pH10.0でRO水中のNaOHで洗浄されたサンプル;pH10.0で水道水中のNaOHで洗浄されたサンプル;Milli-Q(登録商標)水中のNaCOで繰り返し洗浄されたサンプル(実施例4参照、調理されたNaCO洗浄された澱粉)である。pH9.5および10.0の両方でRO水洗浄されたペーストは、同じpHで水道水洗浄されたサンプルよりも黄色をわずかに少なく示す。これらはすべて、Milli-Q(登録商標)水中のNaCOで繰り返し洗浄されたサンプルよりも暗く示される。pH9.5および10.0で洗浄されたサンプルに対するペーストの色で有意な差を示さない。
【0089】
したがって、ワキシータピオカ澱粉スラリーに苛性ソーダ(NaOH)を添加すると、澱粉から水相(water phase)に色形成成分を抽出することができたが、効率はpH-依存的である。pH9.5および10.0での条件は、より低いpHでの条件よりもはるかによく作動し、調理されたペーストの色に基づいて、pH9.5と10.0間には大きな差がなかった。しかしながら、RO水中で洗浄された2つのサンプルを含め、NaOH溶液で単独洗浄されたサンプルはすべてNaHCOおよびNaCO溶液で繰り返し洗浄されたサンプルよりも暗い色を示す。これは、水質以外にも使用される水性脱色組成物の量もまた、色成分を除去するのに重要であることを示唆した。
【0090】
実施例3
実験手順が以下に記載される:
【0091】
アルカリ溶液を使用したワキシータピオカ澱粉洗浄
50gのワキシータピオカ澱粉を2つのビーカーの各々に秤量した。
【0092】
Milli-Q(登録商標)水を各々のビーカーで200gの総スラリー重量に到達するように、各々のビーカーに添加してサンプル1およびサンプル2を提供した。
【0093】
200マイクロリットルのNaCO飽和溶液を各々のビーカーに添加して、9.2のスラリーpHを提供した。
【0094】
スラリーを室温で2時間撹拌した。2時間後に2つのスラリー両方も色がわずか黄褐色を帯びることが観察された。
【0095】
2つのスラリー両方を、ブフナー漏斗を通して濾過した。2つの濾液であるサンプル1-濾液1およびサンプル2-濾液1を収集した。
【0096】
サンプル1からのケーキを200gのMilli-Q(登録商標)水中で再スラリー化した後、100マイクロリットルのNaCOを添加して9.2のpHを提供した。スラリーをヘラ(spatula)で簡単に撹拌し、濾過した。濾液を収集した:サンプル1-濾液2.澱粉ケーキを200gのMilli-Q(登録商標)水中で再スラリー化し、濾過した後、濾液を収集してサンプル1-濾液3を提供した。澱粉ケーキを再び200gのMilli-Q(登録商標)水中で再スラリー化し、濾過した後、濾液を収集してサンプル1-濾液4を提供した。
【0097】
サンプル2からの澱粉ケーキを200gのMilli-Q(登録商標)水中で再スラリー化し、濾過した後、濾液を収集した:サンプル2-濾液2.澱粉ケーキを再び200gのMilli-Q(登録商標)水中で再スラリー化した後、5%HClを使用してpHをpH6.0に調整した。酸性化されたスラリーを濾過し、濾液を収集した:サンプル2-濾液3。
【0098】
収集されたすべての濾液のpHを測定した。
【0099】
収集されたすべての濾液の写真を撮り、色を比較した。
【0100】
島津製作所のUV-vis 1800分光光度計(Shimadzu UV-vis 1800 Spectrophotometer)上で200nm~800nmのスキャンモードですべての濾液についてUV-visスペクトルを取った。
【0101】
サンプル1-濾液1を3つの分画で分け、そのうちの2つは、5%HClを使用してpH5.23およびpH2.83に調整した後、写真およびUV-visスペクトルを記録した。
【0102】
洗浄された澱粉ケーキを50℃オーブンで一晩乾燥した後、コンピュートラック(登録商標)水分分析器上で水分含量を測定した。
【0103】
Milli-Q(登録商標)水を使用したワキシータピオカ澱粉洗浄
50gのワキシータピオカ澱粉をビーカーに秤量した。
【0104】
Milli-Q(登録商標)水を200gの総スラリー重量に到達するようにビーカーに添加して、サンプル3を提供した。
【0105】
スラリーを室温で2時間撹拌した後、ブフナー漏斗を通して濾過した。濾液を収集した:サンプル3-濾液1。
【0106】
澱粉ケーキを200gのMilli-Q(登録商標)水中で再スラリー化し、ヘラで簡単に撹拌して濾過した。濾液は捨てた。澱粉ケーキを再び200gのMilli-Q(登録商標)水中で再スラリー化した後、濾過した。濾液は捨てた。
【0107】
コンピュートラック(登録商標)水分分析器を使用して澱粉ケーキの水分含量を測定した。
【0108】
工程で生成されたサンプルが以下の表に示されている。
【表2】
【0109】
調理および観察
洗浄されたワキシータピオカ澱粉の3つのバッチをpH7.5において0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中5%固体(ds)で調理した。色を視覚的に比較した。
【0110】
結果
サンプル1からの各々の濾液の色が図6に示されており、ここで、サンプルは左側から右側へサンプル1-濾液1、pH9.1;サンプル1-濾液2、pH9.9;サンプル1-濾液3、pH10.2;サンプル1-濾液4、pH10.3である。色の量は、濾液3および濾液4で著しく減少される。
【0111】
サンプル1洗浄からの濾液のUV-visスペクトルは、図7に提供されている。270nm-600nmの領域での吸収率は、より暗い色のサンプルでかなり高い。425nmでの吸収率は、各サンプルの色の強度と連関性があり、したがって、異なるサンプルで色を比較するために使用され得る。
【0112】
サンプル2からの各々濾液の色が図8に示されており、ここで、サンプルは、左側から右側へサンプル2-濾液1、pH9.1;サンプル2-濾液2、pH9.2;サンプル2-濾液3、pH6.85である。図9は、濾液のUV-visスペクトルのセットである。
【0113】
異なるpHでのサンプル1-濾液1の色が図10に示されており、ここで、サンプルは、左側から右側へpH2.83(左側)、pH5.23(中央)および未調整(右側、pH9.07)に調整されたサンプル1-濾液1である。図は、pHが元の9.1から5.23および2.83に調整される場合、色の強度は減少することを示してくれる。
【0114】
これらの異なるpH値でのサンプル1-濾液1のUV-Visスペクトルが図11に提供されている。pH9.07でのサンプルは、320nm~600nmで著しく高い吸光度を示し、425nm付近で吸光度ピークを示す。pH5.23および2.83でのサンプルに対する吸光度プロファイルはほぼ同じである。
【0115】
Milli-Q(登録商標)水洗浄からの濾液の色が図12に示されており、ここで、サンプルは、左側から右側へ、上部:サンプル3-濾液1、pH未調整、pH=5.3;サンプル3-濾液1、pH9.1に調整;室温で24時間後のサンプル2-濾液1;下部:室温で2時間後のサンプル3-濾液1、pH未調整、pH=5.3;室温で2時間後のサンプル3-濾液1、pH9.1に調整;室温で26時間後のサンプル2-濾液1である。濾液は、収集されたとき澄明で無色を示し(左側)、pHを9.1に調整したとき黄色を形成(中間)したが、これは、色形成成分の一部が水だけで洗浄されたが、pHが上昇するまで色を示さなかったことを示す。pH9.1溶液の色は、時間の経過と共に増加し続け、2時間後にかなり暗くなった。一方、酸性溶液でははるかに少なく色形成された。
【0116】
調理された澱粉ペーストは、図13に示されているように、異なる色の強度を示し、ここで、サンプルは、異なる溶液(左側から右側へ瓶(jar)1~4)で洗浄する前および洗浄した後の調理されたワキシータピオカ澱粉である。定常のタピオカ澱粉もまたここに参照として含まれている(瓶5)。未洗浄されたワキシータピオカは、最も暗い色を示し、アルカリ溶液で4回洗浄されたサンプルが最も明るい色を示した。
【0117】
実施例4
実験方法が以下に記載される:
A.NaHCO溶液で洗浄する手順:
1. 50gのワキシータピオカ澱粉をビーカーに秤量した。
2. 2.5gのNaHCOをビーカーに添加した。
3. Milli-Q水を200gの総重量に到達するように添加した。pHは8.1であると決定された。
4. スラリーを室温で、1時間撹拌プレート上で撹拌した。
5. 400gの最終重量でMilli-Q水中に5gのNaHCOを溶解させて1.25%NaHCOを製造した。
6. ブフナー漏斗を通してスラリーを濾過した。
7. 濾液を収集してNaHCO-濾液1を提供した。pHは8.49であった。
8. 薄い溶媒層がまだ漏斗に残っている間に、真空を分離し;追加で200gの1.25%NaHCOを澱粉ケーキの上部に添加し、それを通して濾過し;ケーキが乾燥する前に、200gのMilli-Q(登録商標)水を澱粉ケーキの上部に添加し、それを通して濾過した。濾液を合わせて8.55のpHを有するNaHCO-濾液2を提供した。
9. 最終洗浄のために200gのMilli-Q(登録商標)水を澱粉ケーキの上部に添加した後、濾液を収集して、8.68のpHを有するNaHCO-濾液3を提供した。
10. 湿潤ケーキを200gのMilli-Q水中で再スラリー化した後、5%HClを使用してpHをpH6.2に調整した。
11. ケーキを50℃オーブンで一晩乾燥してNaHCO洗浄澱粉を提供した。
B.NaCO溶液で洗浄する手順:
1. 50gのワキシータピオカ澱粉をビーカーに秤量した。
2. Milli-Q水を200gの総重量に到達するようにビーカーに添加した。
3. 飽和NaCOを使用してpHを調整し;約220マイクロリットルのNaCOを添加した。
4. スラリーを室温で、1時間撹拌プレート上で撹拌した。
5. 飽和NaCO溶液をpHが9.2に到達するまでMilli-Q(登録商標)水中に滴下して、pH9.2の希薄NaCO溶液を製造した。
6. ブフナー漏斗を通してスラリーを濾過した。
7. 濾液を収集して9.2のpHを有するNaCO-濾液1を提供した。
8. 薄い溶媒層がまだ漏斗に残っている間に真空を分離し;200gのpH9.2NaCO溶液を澱粉ケーキの上部に添加し、それを通して濾過した。ケーキが乾燥する前に、200gのMilli-Q(登録商標)水を澱粉ケーキの上部に添加し、それを通して濾過した。濾液を合わせて9.67のpHを有するNaCO-濾液2を提供した。
9. 最終洗浄のために、200gのMilli-Q(登録商標)水を澱粉ケーキの上部に添加した後、濾液を収集して10.3のpHを有するNaCO-濾液3を提供した。
10. 湿潤ケーキを200gのMilli-Q水中で再スラリー化した後、5%HClを使用してpHを6.6に調整した。
11. ケーキを50℃オーブンで一晩乾燥してNaCO洗浄澱粉を提供した。
C.調理および観察
5gの乾燥した澱粉をpH7.5で0.1Mリン酸塩緩衝液内に秤量し、100g重量の最終スラリーを提供した。上述のように、澱粉スラリーを95℃で撹拌しながら6分間調理した後、静的状態で20分間調理した。
【0118】
アルカリ溶液で洗浄するか洗浄しない澱粉で製造された調理されたワキシータピオカ澱粉ペーストが図14に示されており、ここで、サンプルは、左側から右側へ未洗浄されたワキシータピオカ澱粉;上述のように、pH8.1においてNaHCO溶液で洗浄されたワキシータピオカ澱粉;上述のように、pH9.2においてNaCO溶液で洗浄されたワキシータピオカ澱粉;繰り返しスラリー化工程によってNaCO溶液で洗浄されたワキシータピオカ澱粉(実施例3、サンプル1参照)である。pH8.1においてNaHCO溶液で洗浄された澱粉は、pH9.2においてNaCO溶液で洗浄された澱粉と同様の明るい色を示す。澱粉ケーキとして漏斗においてNaCO溶液で洗浄されたサンプルは、繰り返しスラリー化工程を通してNaCO溶液で洗浄されたサンプルと同様の色を示す。
【0119】
アルカリ溶液-洗浄された澱粉をまたSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)で洗浄された澱粉と比較し;図15において、左側で右側方向の手順で、未洗浄されたワキシータピオカ澱粉;NaHCO溶液で洗浄されたワキシータピオカ澱粉;NaCO溶液で洗浄されたワキシータピオカ澱粉;繰り返しスラリー化工程によるNaCO溶液で洗浄されたワキシータピオカ澱粉;SDSで洗浄されたワキシータピオカ澱粉(実施例5参照)である。すべての澱粉サンプルを上述のように、pH7.5において0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中で調理した。アルカリ洗浄されたサンプルは、SDS洗浄されたサンプルと比較してより明るい色を示す。
【0120】
炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウム溶液による色除去効率は、これら2つの工程両方でpHが異なっていたとしても、現在の研究では類似している。調理されたペーストの色は、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)で洗浄されたサンプルよりも、NaHCOおよびNaCO溶液で洗浄されたサンプルの場合により明るく示される。しかし、特に、SDSで洗浄された澱粉は、高品質のMilli-Q脱イオン水の代わりに水道水を使用し、使用された水の量もかなり少なかった。
【0121】
実施例5
本研究では、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を使用して、ワキシータピオカ澱粉を洗浄した。ステアロイル乳酸ナトリウム(SSL)が対照群として選択されたが、その理由は、これがSDSほど多くの量の疎水性成分を洗浄することと予想されなかったためである。濃度は、全洗浄分散液の0.45%(w/w)に設定された。
【0122】
水道水中のドデシル硫酸ナトリウムの溶液を使用して、ワキシータピオカ澱粉を洗浄した。後述のように、SDS溶液洗浄後の濾液は、SSL溶液によって提供されたよりもはるかに褐色であり、また水道水洗浄によって提供されたよりもはるかに褐色であり、これは、一部の色形成成分がワキシータピオカ澱粉から除去されたことを示す。SDS-洗浄時の濾過フラスコには多くの量の泡が形成された一方、SSL-洗浄の場合には少ない量の泡が形成された。
【0123】
pH6.5塩漬け緩衝溶液で調理されたSDS-洗浄されたワキシータピオカ澱粉ペーストは、未処理されたまたは水道水洗浄されたワキシータピオカ澱粉ペーストよりもはるかに明るい、非常に明るい色を示した。SSL-洗浄されたワキシータピオカ澱粉ペーストは、やや褐色で不透明だった。不透明度は、残留SSLおよびその高い疎水性および乏しい水中溶解度に起因するであろう。
【0124】
実験方法
SDS溶液またはSSL分散液を使用したワキシータピオカ澱粉の洗浄
0.9グラムのSDSまたはSSLを添加した。
【0125】
水道水(約100グラム)をビーカーに添加した。撹拌してSDSまたはSSLを溶解させた。
【0126】
60グラムのワキシータピオカ澱粉をビーカーに添加した。水道水をさらに添加して全体サンプルの量を200gに作った。
【0127】
スラリーをヘラで撹拌して澱粉を水に分散させた。
【0128】
スラリーを周囲温度で、30分間撹拌プレート上で撹拌した。撹拌速度は300rpmであった。
【0129】
スラリーを濾過し、50mlの水道水で洗浄した後、ケーキを収集した。
【0130】
ケーキを50℃の強制空気オーブンで週末に乾燥した。
【0131】
澱粉ペーストの製造
コンピュートラック(登録商標)水分分析器で澱粉サンプルの水分を測定した。
【0132】
5グラム(乾燥固体)の澱粉をガラス瓶(250ml)に添加した。
【0133】
加塩緩衝溶液(すなわち、上述のように)を添加して全体サンプルの量を100gに作った。
【0134】
蓋付きの瓶を精密に秤量した。
【0135】
スラリーを塊がなくなるまでガラス撹拌棒で撹拌した。
【0136】
瓶をウォーターバス(95℃)に浸漬させた後、ガラス撹拌棒で6分間撹拌した。ガラス棒のペーストをサンプル内に掻き出した。
【0137】
瓶を緩くキャッピングし、サンプルをさらに20分間ウォーターバスに維持した。
【0138】
ウォーターバスから瓶を取り出した後、サンプルが周囲温度に冷却されるまでカウンターに置いた。
【0139】
周囲温度に冷却された後、DI水を添加して元の重量に戻した。スプーンで撹拌してサンプルを均質化させた。
【0140】
結果および論議
ステアロイル乳酸ナトリウム(SSL)は、その疎水性のため、周囲温度で水道水によく溶解されなかった。濾過後、ケーキの上部でいくつかの粒子(SSL粒子と予想される)が見つかった。ケーキを余分の50グラムの水道水で洗浄したが、これらの粒子は除去されなかった。
【0141】
ドデシル硫酸ナトリウムは、周囲温度で水によく溶解され、いくつかの泡が発生した。澱粉をビーカーに添加した後、泡は崩壊されて減少する傾向があった。濾過中に、濾過フラスコ内に泡が形成された。濾液は、SSL洗浄によって提供されたものよりもはるかに褐色であり、また水道水洗浄によって提供されたものよりもはるかに褐色であることが確認された。
【0142】
加塩緩衝溶液で調理された澱粉ペーストの写真が図16に提供されており、ここで、左側イメージはSDS-洗浄されたワキシータピオカ澱粉であり、右側のイメージはSSL-洗浄されたワキシータピオカ澱粉である。SSL-洗浄されたワキシータピオカ澱粉ペーストは、やや褐色で不透明だった。不透明度は、その乏しい水中溶解度によって残留SSLに起因するであろう。SDS-洗浄されたワキシータピオカ澱粉ペーストは、非常に明るい色で透明だった。SDS-洗浄されたワキシータピオカ澱粉と未処理されたワキシータピオカ澱粉の間で粘度および凝集性の違いは見られなかった。
【0143】
実施例6
ワキシータピオカ澱粉を脱色させるための非イオン性ポリソルベート界面活性剤(例えば、ツイン(Tween)という商標名で市販されている)の能力を研究した。(一般に、純粋な形で修得しやすい)SDSのようなイオン性界面活性剤と比較したとき、エトキシル化された非イオン性界面活性剤は、一般に、疎水性部分だけでなく、エトキシル化程度の分布を有する。このような分布は、非イオン性界面活性剤の臨界ミセル濃度(CMC)に影響を与える。さらに、異なる方法によって決定される非イオン性界面活性剤のCMC値の間の大きな違いがしばしば観察される。表面張力対濃度(log C)曲線での明確な破壊は、主に広い分子量分布および不純物の存在によって一般に非イオン性界面活性剤に対しては得られない。染料ミセル化方法は、ミセルの存在による最大波長の移動に基づいてCMCを決定する。染料ミセル化によって測定されたポリソルベート界面活性剤のCMCは、一般に、表面張力によって測定されたものの1.5~4.0倍である。本研究において、ポリソルベート界面活性剤は洗剤として作用すると考えているので、ミセルが形成される濃度が必要であると推定することが望ましい。染料ミセル化によって測定されたCMCの2倍濃度のポリソルベート界面活性剤が使用された。推奨濃度が以下の表にまとめられている。
【表3】
:指定された分子構造に基づく。実際、これらの界面活性剤は分子量分布を有する。
**:単位はmMと想定した。
***:染料ミセル化によって測定されたCMCの2倍。
【0144】
大豆レシチンのCMCは文献では確認されなかったが、表面張力対濃度(log C)曲線から誘導されたホスファチジルコリンおよび卵レシチンのCMCはそれぞれ0.92および0.85mg/gである。これらのデータに基づいて、レシチンの濃度は、スラリーの総重量に基づいて2mg/gと提案された。
実験
界面活性剤溶液を使用したワキシータピオカ澱粉の洗浄
【表4】
【0145】
秤量された量の界面活性剤をビーカーに添加した。
【0146】
Milli-Q(登録商標)水(約100グラム)をビーカーに添加した。これを撹拌して界面活性剤を溶解させた。
【0147】
100グラム(乾燥固体)のワキシータピオカ澱粉をビーカーに添加した。Milli-Q(登録商標)水をさらに添加して全体サンプルの量を286gに作った。
【0148】
スラリーをヘラで撹拌して澱粉を水に分散させた。
【0149】
スラリーを周囲温度で、60分間撹拌プレート上で300rpmで撹拌した。
【0150】
スラリーを濾過し、100mlのMilli-Q(登録商標)水で洗浄した後、ケーキおよび濾液を収集した。
【0151】
ケーキを50℃の強制空気オーブンで一晩乾燥した。
【0152】
澱粉ペーストの製造
コンピュートラック(登録商標)水分分析器で澱粉サンプルの水分を測定した。
【0153】
5グラム(DS)の澱粉をガラス瓶(500ml)に添加した。
【0154】
pH7.5のリン酸塩緩衝溶液を瓶に添加した(全体サンプルの量を100gに作った)。
【0155】
蓋付きの瓶を精密に秤量した。
【0156】
スラリーを塊がなくなるまでガラス撹拌棒で撹拌した。
【0157】
瓶をウォーターバス(95℃)に浸漬させた後、ガラス撹拌棒で6分間撹拌した。ガラス棒のペーストをサンプル内に掻き出した。
【0158】
瓶を緩くキャッピングし、サンプルをさらに20分間ウォーターバスに維持した。
【0159】
ウォーターバスから瓶を取り出した後、サンプルが周囲温度に冷却されるまでカウンターに置いた。
【0160】
周囲温度に冷却された後、Milli-Q(登録商標)水を添加して元の重量に戻した。スプーンで撹拌してサンプルを均質化させた。
【0161】
結果および論議
ポリソルベート界面活性剤またはSDSを含む溶液は透明だった一方、レシチンを含む溶液は半透明だった。ポリソルベート界面活性剤またはレシチンを含む溶液は、SDSを含む溶液よりも少ない量の泡を生成した。ただSDS-洗浄システムの濾液のみが褐色を示し、他のものなどは水-洗浄システム(ネガティブ対照群)の色と違いなく澄明だった。
【0162】
未処理されたワキシータピオカ澱粉および7つの洗浄されたワキシータピオカ澱粉をpH7.5リン酸塩緩衝液で調理した。これらのペーストの写真が図17図21に示されている:
【0163】
図17:左側から右側へ、未処理ペースト、ネガティブ対照群。
【0164】
図18:左側から右側へ、未処理ペースト、ソルベイト20、40、60および80でそれぞれ洗浄されたペースト。
【0165】
図19:左側から右側へ、ソルベイト20、40、60および80でそれぞれ洗浄されたペースト。
【0166】
図20:左側から右側へ、未処理ペースト、レシチンで洗浄されたペースト、SDSで洗浄されたペースト。
【0167】
図21:左側から右側へ、未処理ペースト、ソルベイト80で洗浄されたペースト、SDSで洗浄されたペースト。
【0168】
一般に、すべてのサンプルはpH7.5リン酸塩緩衝液で調理された後、褐色を示した。レシチン-洗浄されたサンプルから製造されたペーストは、他のものよりもっと半透明のように見える。しかしながら、データは、未洗浄およびネガティブ対照群と比較したとき、非イオン性界面活性剤がペーストの色を改善できることを立証する。
【0169】
実施例7
澱粉単利工程中に異なる洗浄処理でワキシータピオカ澱粉を処理し、さらに加工および調理後にペーストの色に及ぼす影響を決定するためのまた別の一連の実験で行った。
【0170】
要約すると:
●水洗(分画2)および低pH洗浄(分画3)から得られた洗浄濾液は、澄明な無色溶液であった一方、高pH洗浄濾液(分画4)は褐色であった。
●すべてのワキシータピオカ澱粉サンプルに対して、最も暗い色を有するペーストは未洗浄処理サンプルであった一方、色形成が最も低いものは高pH洗浄処理サンプルであった。
●水および低pH水溶液で処理すると、ペーストの色は改善されたが、これら2つの方法の間には実質的な違いはなかった。
【0171】
背景技術
pH6.5以上の溶液で調理したとき、いくつかのワキシータピオカ澱粉品種に対して褐色ペーストの色が観察された。このような色形成は、ただワキシータピオカ澱粉品種でのみ観察され;非ワキシータピオカ澱粉では報告されなかった。実質的な色形成は、主に乾燥およびさらなる澱粉加工中の任意熱処理途中に発生すると考えられる。したがって、澱粉の乾燥および再スラリー化を避けるために、澱粉抽出工程中に色形成成分がワキシータピオカ澱粉から除去できるかどうかを理解することが望ましい。
【0172】
材料
ワキシータピオカ根および非ワキシータピオカ根を手に入れ;図22は、根(ワキシーサンプル1および非ワキシーサンプル4)の写真である。収穫後、生理学的劣化を最小化するために、根を収穫した後、収穫後24時間以内に澱粉抽出を開始した。
【0173】
実験
A.澱粉抽出プロトコル
タピオカ澱粉を3つのワキシータピオカ根(ワキシーサンプル1、ワキシーサンプル2、ワキシーサンプル3)および非ワキシータピオカ根(非ワキシーサンプル4)から単利した。澱粉抽出プロトコルの間、根が完全に剥離されない過程を模倣するために、約20%の根の皮を根に残しおいた。図23は、皮をむいた根(ワキシーサンプル1およびワキシーサンプル4)の写真である。
【0174】
一般的な澱粉抽出プロトコルは以下のとおりである:
【0175】
1. 5~6個の根をブラシで洗い出して泥を除去する。根は、収穫された根、すなわち、すべてのサイズの根(小、中および大の根)および望ましくは人が損傷させるか破損させない根を表しなければならない。
【0176】
2. クローン(clone)ごとに1つの根の端を切断し、2%ヨウ素溶液を噴霧して、アミロースの不在を確認する(すなわち、ワキシネス(waxiness)を確認する)。
【0177】
3. 根の端を切断し、片(円筒状)を剥離して皮と内樹皮を除去する。このような特定の実験のために、異なる処理による洗浄効率を最大化するために、洗浄中に根皮の約20%を意図的に残しておく(図23参照)。皮と内樹皮は捨てる。
【0178】
4. ブレンダーで粉砕するステップを容易にするために、小片(4分の1)に切断する。
【0179】
5. 1:1比率の澱粉スラリー(500mLの冷たい水道水に対して500gのミンチキャッサバ)を製造し、ブレンダーで90秒間粉砕する。1分間休んでから90秒間再びブレンドする。
【0180】
6. プラスチックバケツの上部にふるい(150メッシュ、気孔サイズ0.105mm)を置いた後、ふるいの上部にチーズクロス(cheesecloth)またはメッシュ(mesh)を置く。ブレンドした材料をメッシュに移す。メッシュを使用すると、大部分の繊維材料が保持され、ふるいを通しての濾過速度が増加する。
【0181】
7. ヘラで継続混合して濾過を改善しながら、ブレンドした材料の上に水を徐々に注ぐ(500グラムの根に対して約1リットルの水を使用する)。手でメッシュを絞ってひねり、水と澱粉をできるだけ除去する。
【0182】
8. メッシュ内に保持された繊維材料を水(1:1)とともにブレンダーに戻し、90秒間ブレンドする。
【0183】
9. ブレンドした材料を再びメッシュに移し、水で洗浄する。
【0184】
10. 濾過された澱粉スラリーを5℃で12時間冷蔵庫に入れて置き、澱粉を沈澱させる。このステップは、澱粉の発酵を防止するために、冷蔵庫で行わなければならない。12時間後、上清をデカントして捨てる。
【0185】
11. 水を添加して澱粉(1:3の比率)を再び懸濁させ、混合した後、澱粉スラリーのpHを測定する。
【0186】
12. 澱粉スラリーを濾過し、濾液は捨てる。
【0187】
13. 澱粉ケーキを砕く。
【0188】
ワキシーサンプル1および非ワキシーサンプル4の砕かれた澱粉ケーキの写真が図24に提供されている。
【0189】
B.澱粉洗浄プロトコル
澱粉洗浄プロトコルは以下のとおりである:
【0190】
澱粉抽出過程で得られた澱粉ケーキを5つの異なる部分に分け、以下の洗浄プロトコルを続行する。
【0191】
分画1-澱粉抽出プロトコル後、そのままの洗浄なしの澱粉ケーキ
【0192】
1. ケーキを強制空気オーブンで、50℃において一晩乾燥する。F1とラベルを付ける。
【0193】
分画2-水道水で洗浄したワキシータピオカ澱粉(湿潤ケーキ)
【0194】
1. ワキシータピオカ澱粉ケーキを湿潤させる;水分含量は50%と想定する。
【0195】
2. 100グラム(乾燥固体基準)のワキシータピオカ澱粉(湿潤ケーキ)をビーカーに添加する。
【0196】
3. 総重量が340グラムになるように水道水をビーカーに添加する。よく混合する。
【0197】
4. 15分間撹拌し、澱粉スラリーのpHを測定する。
【0198】
5. スラリーを濾過し、200mLの水道水で洗浄した後、ケーキを収集する。
【0199】
6. ケーキを200mLの水道水に再分散させ、pHを測定して記録する。
【0200】
7. 15分間撹拌し続けた後、スラリーを濾過する。
【0201】
8. ケーキを強制空気オーブンで、50℃で一晩乾燥する。F2とラベルを付ける。
【0202】
分画3-低pH(3.5)で洗浄したワキシータピオカ澱粉(湿潤ケーキ)
【0203】
1. ワキシータピオカ澱粉ケーキを湿潤させる;水分含量は50%と想定する。
【0204】
2. 100グラム(乾燥固体基準)のワキシータピオカ澱粉(湿潤ケーキ)をビーカーに添加する。
【0205】
3. 総重量が340グラムになるように水道水をビーカーに添加する。よく混合する。
【0206】
4. 1NのHClを使用してスラリーのpHを3.5に調整し、15分間撹拌する。
【0207】
5. スラリーを濾過し、200mLの水道水で洗浄した後、ケーキを収集する。
【0208】
6. ケーキを200mLの水道水に再分散させ、重炭酸ナトリウム(飽和溶液)を使用してpHをpH6.0(または分画1のpH)に調整する。
【0209】
7. 15分間撹拌し続けた後、スラリーを濾過する。
【0210】
8. ケーキを強制空気オーブンで、50℃において一晩乾燥する。F3とラベルを付ける。
【0211】
分画4-高pH(9.5)で洗浄したワキシータピオカ澱粉(湿潤ケーキ)
【0212】
1. ワキシータピオカ澱粉ケーキを湿潤させ、その水分含量を測定する(または湿潤ケーキの水分含量を50%と想定する)。
【0213】
2. 100グラム(乾燥固体基準)のワキシータピオカ澱粉(湿潤ケーキ)をビーカー内に秤量する。
【0214】
3. 総重量が340グラムになるように水道水をビーカーに添加する。よく混合する。
【0215】
4. 飽和NaCOおよび0.1M NaOHを使用してスラリーのpHを9.5に調整し、15分間撹拌する。
【0216】
5. スラリーを濾過し、200mLの水道水で洗浄した後、ケーキを収集する。
【0217】
6. ケーキを200mLの水道水に再分散させ、1NのHClを使用してpHをpH6.0(または分画1のpH)に調整する。
【0218】
7. 15分間撹拌し続けた後、スラリーを濾過する。
【0219】
8. ケーキを強制空気オーブンで、50℃で一晩乾燥する。F4とラベルを付ける。
【0220】
C.UV-Visによるペーストの色
ワキシータピオカ澱粉を95℃のウォーターバスでpH7.5の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中の5%乾燥固体で調理する。ガラス瓶で各澱粉サンプルについて100gのスラリーを製造する。スラリーをガラス棒で、手動で撹拌しながら6分間調理した後、水バッチ内でさらに20分間静置する。サンプルを室温で冷却させた後、1mLの各々のペーストを任意の気泡を導入することなく、10mmのキュベットに慎重に移す。気泡がサンプルの中に存在する場合、キュベットを10秒パルスで超音波処理し、光路内の任意の気泡を消散させる。450および600nmでの吸光度値をバッファーブランクに対して記録した。ペーストの色は100(A450-A600)と定義される。
【0221】
結果
A.澱粉抽出プロトコル
洗浄処理を開始する前に上述の澱粉抽出プロトコルからの澱粉スラリーを濾過して、澱粉サンプル(ワキシー澱粉サンプル1、ワキシー澱粉サンプル2、ワキシー澱粉サンプル3および非ワキシー澱粉サンプル4)を得た。澱粉ケーキは、ワキシー品種と非ワキシー品種の間で観察された白色の違いを示さなかった(図24参照)。
【0222】
B.澱粉洗浄プロトコル
異なる洗浄処理中の澱粉スラリーのpHを表5に示されたように記録した。水道水で洗浄しないおよび洗浄した分画1および2は、それぞれ、中性(pH7.0)に近いpHを有した。分画3はワキシータピオカ澱粉湿潤ケーキを低いpH(3.5)で洗浄した一方、分画4は湿潤ケーキを高pH(9.5)で洗浄した。両方の処理後、澱粉湿潤ケーキをpH7.0に中和させた後、乾燥した(以下の表参照)。
【表5】
【0223】
ワキシータピオカ澱粉の洗浄に対して、水洗分画2および低pH分画3から得られた洗浄濾液は澄明な無色溶液であった一方、高pH分画4は褐色であった。図25は、左側から右側へ、ワキシーサンプル1から得られた分画2、分画3および分画4の写真である。
【0224】
高pH洗浄後に得られた褐色の洗浄濾液もワキシーサンプルと非ワキシーサンプルの間で異なっており、図26は、4つの澱粉サンプルすべてに対する分画4濾液の写真である。ワキシーサンプル1は、より黄色/褐色の分画4濾液を提供した一方、ワキシーサンプル2とワキシーサンプル3は、より褐色の分画4濾液を提供した。非ワキシーサンプル4は、ほとんど無色の分画4濾液を提供した。これは、色形成成分が非ワキシータピオカ澱粉サンプルよりもワキシー澱粉サンプルでよりもっと優勢であることを示唆する。洗浄処理中に、pHが9.5に上昇するとき、澱粉スラリーはオフホワイト色からわずかにピンク-ブラウン色に色が変わり、これは、pHが再び中和されるとき反転され得ることが観察された。
【0225】
乾燥後、分画1(洗浄されない)からのワキシータピオカ澱粉は、分画2、3および4に比べて視覚的により色が暗く見えた。
【0226】
C.UV-Visによるペーストの色
pH7.5および5%固体で、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液中で調理された洗浄および未洗浄ワキシータピオカ澱粉のペーストの色を目視(図27図28図29)およびUV-Vis(以下の表)によって評価した。すべてのワキシータピオカサンプル(ワキシーサンプル1、ワキシーサンプル2およびワキシーサンプル3)に対して、最も暗い色を有するペーストは、未洗浄処理されたものである一方、最も低い色形成は高pH洗浄処理されたものであった。水洗浄および低pH洗浄は、未洗浄処理に比べてペーストの色を改善させたが、このような2つの異なる方法の間に実質的な違いは全くなかった。ワキシーサンプル内において、調理されたペーストの色はサンプル依存的であった。ワキシーサンプル2は、ワキシーサンプル1およびワキシーサンプル3よりも明るい褐色ペーストの色を有した。
【0227】
非ワキシータピオカ澱粉(非ワキシーサンプル4)のペーストの色もワキシータピオカ澱粉に比べて色形成が重要ではないが、参照として評価された。未洗浄処理と比較して、高pHで洗浄すると、図30に示されたように褐色色形成が改善された。
【表6】
【0228】
本明細書における多くの数値の前に「約」という単語が提供される。各々のこのような値について、本明細書ではまた修飾語「約」なしの値も具体的に考慮する。
【0229】
本開示の様々な態様は、以下の非限定的な実施形態によってさらに説明され、これらは、任意の技術的および論理的に矛盾のない方式で組み合わせられ得る。
実施形態1
ワキシータピオカ澱粉における色形成(color formation)を防止する方法であって、
ワキシータピオカ澱粉を提供するステップ、
前記ワキシータピオカ澱粉を
水性アルカリ液、および
水性界面活性剤液からなる群から選択される水性脱色液と接触させるステップ;および
前記水性脱色液を前記ワキシータピオカ澱粉から実質的に除去するステップを含む、方法。
実施形態2
前記水性脱色液は、アルカリ性組成物である、実施形態1に記載の方法。
実施形態3
前記水性アルカリ液は、約7.5~約12の範囲のpHを有する、実施形態2に記載の方法。
実施形態4
前記水性アルカリ液は、約7.5~約10.5、または約7.5~約10、または約7.5~9.9、または約7.5~約9.7、または約8~約11、または約8~約10.5、または約8~約10、または約8~9.9、または約8~約9.7、または約8.5~約11、または約8.5~約10.5、または約8.5~約10、または約8.5~約9.9、または約8.5~約9.7、または約9~約12、または約9~約11.5、または約9~約11、または約9~約10.5、または約9~約10、または約9~9.9、または約9~約9.7、または約9.2~約11、または約9.2~約10.5、または約9.2~約10、または約9.2~9.9、または約9.2~約9.7の範囲のpHを有する、実施形態2に記載の方法。
実施形態5
前記水性アルカリ液のpHは、約9~約10、例えば、約9.2~9.7、または約9~9.9の範囲である、実施形態2に記載の方法。
実施形態6
前記水性アルカリ液は、アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムのような炭酸塩塩基を含む、実施形態2~5のいずれか一項に記載の方法。
実施形態7
前記水性アルカリ液は、アルカリ金属重炭酸塩、例えば、重炭酸カリウムまたは重炭酸ナトリウムのような重炭酸塩塩基を含む、実施形態2~5のいずれか一項に記載の方法。
実施形態8
前記水性アルカリ液は、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムのような水酸化物塩基を含む、実施形態2~5のいずれか一項に記載の方法。
実施形態9
前記水性アルカリ液は、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約1Lの比率で使用される、実施形態2~8のいずれか一項に記載の方法。
実施形態10
前記水性アルカリ液は、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約1.5L、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約2L、例えば、乾燥ワキシー澱粉1kg当たり少なくとも約3Lの比率で使用される、実施形態2~8のいずれか一項に記載の方法。
実施形態11
前記水性アルカリ液は、少なくとも約5分間ワキシータピオカ澱粉と接触される、実施形態2~10のいずれか一項に記載の方法。
実施形態12
前記水性アルカリ液は、少なくとも約10分間、例えば、少なくとも約15分間ワキシータピオカ澱粉と接触される、実施形態2~10のいずれか一項に記載の方法。
実施形態13
前記水性アルカリ液は、約72時間以下、例えば、約36時間以下または約24時間以下でワキシータピオカ澱粉と接触される、実施形態2~12のいずれか一項に記載の方法。
実施形態14
前記水性アルカリ液は、約120分以下、例えば、約60分以下でワキシータピオカ澱粉と接触される、実施形態2~12のいずれか一項に記載の方法。
実施形態15
前記水性脱色液は、水性界面活性剤液である、実施形態1に記載の方法。
実施形態16
前記水性界面活性剤液の界面活性剤は、少なくとも約11のHLB値を有する、実施形態15に記載の方法。
実施形態17
前記水性界面活性剤液の界面活性剤は、少なくとも約13、例えば、少なくとも約16、または少なくとも約20のHLB値を有する、実施形態15に記載の方法。
実施形態18
前記水性界面活性剤液の界面活性剤は、陰イオン性界面活性剤である、実施形態15~17のいずれか一項に記載の方法。
実施形態19
前記水性界面活性剤組成物の界面活性剤は、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、脂肪アルコールサルフェート、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルサルフェート、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテルフォスフェート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネートのような澱粉ナトリウムオクテニルサクシネート;ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウムラウレスサルフェート、およびβ-アミラーゼで処理されたn-オクテニル無水コハク酸でエステル化された食品澱粉から選択される、実施形態18に記載の方法。
実施形態20
前記水性界面活性剤液の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である、実施形態15~17のいずれか一項に記載の方法。
実施形態21
前記水性界面活性剤組成物の界面活性剤は、ポロキサマー(Poloxamer)の商品名で入手可能なもののようなポリ(エチレンオキシド)/ポリ(プロピレンオキシド)/ポリ(エチレンオキシド)ブロック共重合体;メチルグルコシドの脂肪酸エステル(例えば、メチルグルコシドのココナッツオイルエステル);オクテニルコハク化澱粉;およびポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65およびポリソルベート80のようなポリソルベートから選択される、実施形態20に記載の方法。
実施形態22
前記界面活性剤は、水性界面活性剤液内に少なくともその臨界ミセル濃度の量で存在する、実施形態15~21のいずれか一項に記載の方法。
実施形態23
前記界面活性剤は、水性界面活性剤液内に約0.005重量%~約1重量%の範囲の量で存在する、実施形態15~22のいずれか一項に記載の方法。
実施形態24
前記界面活性剤は、水性界面活性剤液内に約0.005重量%~約0.5重量%、または約0.005重量%~約0.2重量%、または約0.005重量%~約0.1重量%、または約0.01重量%~約1重量%、または約0.01重量%~約0.5重量%、または約0.01重量%~約0.2重量%、または約0.01重量%~約0.1重量%、または約0.02重量%~約1重量%、または約0.02重量%~約0.5重量%、または約0.02重量%~約0.2重量%、または約0.02重量%~約0.1重量%の範囲の量で存在する、実施形態15~22のいずれか一項に記載の方法。
実施形態25
前記水性界面活性剤液は、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約1Lの比率で使用される、実施形態15~24のいずれか一項に記載の方法。
実施形態26
前記水性界面活性剤液は、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約1.5L、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約2L、例えば、乾燥ワキシータピオカ澱粉1kg当たり少なくとも約3Lの比率で使用される、実施形態15~24のいずれか一項に記載の方法。
実施形態27
前記水性界面活性剤液は、少なくとも約5分間ワキシータピオカ澱粉と接触される、実施形態15~26のいずれか一項に記載の方法。
実施形態28
前記水性界面活性剤液は、少なくとも約10分間、例えば、少なくとも約15分間ワキシータピオカ澱粉と接触される、実施形態15~26のいずれか一項に記載の方法。
実施形態29
前記水性界面活性剤液は、約72時間以下、例えば、約36時間以下または約24時間以下でワキシータピオカ澱粉と接触される、実施形態15~28のいずれか一項に記載の方法。
実施形態30
前記水性界面活性剤液は、約120分以下、例えば、約60分以下でワキシータピオカ澱粉と接触される、実施形態15~28のいずれか一項に記載の方法。
実施形態31
前記水性脱色液は、界面活性剤を含む水性アルカリ液である、実施形態1~30のいずれか一項に記載の方法。
実施形態32
前記水性脱色液は、約2重量%未満、例えば、約1重量%未満、または約0.5重量%未満の任意の有機溶媒を有する、実施形態1~31のいずれか一項に記載の方法。
実施形態33
前記水性脱色組成物の水は、脱イオン水である、実施形態1~32のいずれか一項に記載の方法。
実施形態34
前記脱イオン水は、少なくとも約1MΩ・cm、例えば、少なくとも約5MΩ・cm、またはさらには少なくとも約10MΩ・cmの抵抗率を有する、実施形態33に記載の方法。
実施形態35
前記水性脱色液は、約10ppm未満、約5ppm未満、またはさらには約1ppm未満のカルシウムおよびマグネシウム総含量を有する、実施形態1~34のいずれか一項に記載の方法。
実施形態36
前記水性脱色液は、アルカリ金属、カルシウムおよびマグネシウム以外に約500ppb未満、約100ppb未満、またはさらには約10ppb未満の他の金属を有する、実施形態1~35のいずれか一項に記載の方法。
実施形態37
前記水性脱色液との接触は、ワキシータピオカ澱粉がゼラチン化またはペースト化しない条件下で行われる、実施形態1~36のいずれか一項に記載の方法。
実施形態38
前記水性脱色液との接触は、約15℃~70℃の範囲の温度において行われる、実施形態1~37のいずれか一項に記載の方法。
実施形態39
前記水性脱色液との接触は、約15℃~約60℃の範囲、または約15℃~約55℃の範囲、または約15℃~約50℃の範囲、または約15℃~約45℃の範囲、または約15℃~約40℃の範囲、または約20℃~約65℃の範囲、または約20℃~約60℃の範囲、または約20℃~約55℃の範囲、または約20℃~約50℃の範囲、または約20℃~約45℃の範囲、または約20℃~約40℃の範囲、または約30℃~約65℃の範囲、または約30℃~約60℃の範囲、または約30℃~約55℃の範囲、または約30℃~約50℃の範囲、または約40℃~約70℃の範囲、または約50℃~約70℃の範囲、または約40℃~約60℃の範囲の約範囲の温度で行われる、実施形態1~37のいずれかに記載の方法。
実施形態40
前記方法は、
水性媒体中に懸濁されたワキシータピオカ澱粉を含む澱粉ミルク(starch milk)を提供するステップ;および
前記水性媒体に塩基および/または界面活性剤を添加して、水性脱色液と接触するワキシータピオカ澱粉を提供するステップを含む、実施形態1~39のいずれか一項に記載の方法。
実施形態41前記澱粉ミルクを提供するステップは、タピオカパルプを水で洗浄して、そこから澱粉を抽出することにより、水性媒体中のワキシータピオカ澱粉の懸濁液として澱粉ミルクを形成するステップを含む、実施形態40に記載の方法。
実施形態42
前記方法は、タピオカパルプを水性脱色液で洗浄して、そこから澱粉を抽出することにより、前記水性脱色液と接触するワキシータピオカ澱粉を含む澱粉ミルクを形成するステップを含む、実施形態1~39のいずれか一項に記載の方法。
実施形態43
前記塩基および/または界面活性剤との接触は、澱粉ミルクから澱粉を単しないで行われる、実施形態42または43に記載の方法。
実施形態44
前記方法は、
ワキシータピオカ澱粉を固体の形態で提供するステップ;および
前記固体ワキシータピオカ澱粉を水性脱色液と接触させるステップを含む、実施形態1~39のいずれか一項に記載の方法。
実施形態45
前記ワキシータピオカ澱粉は、乾燥粉末の形態で提供される、実施形態44に記載の方法。
実施形態46
前記ワキシータピオカ澱粉は、含湿固体の形態で提供される、実施形態44に記載の方法。
実施形態47
前記方法は、水性媒体中に懸濁されたワキシータピオカ澱粉(すなわち、小粒子として)を有する澱粉ミルクを提供するステップ;前記澱粉ミルクから澱粉を単して含湿固体を提供するステップ;および前記含湿固体を実質的に乾燥させることなく、前記含湿固体を水性脱色液と接触させるステップを含む、実施形態1~39のいずれか一項に記載の方法。
実施形態48
前記含湿固体は、約25%の水分、約35%の水分、またはさらには約45%の水分含量未満に落ちない、実施形態47に記載の方法。
実施形態49
前記接触は、ワキシータピオカ澱粉の固体ベッドに水性脱色液を通過させることにより行われる、実施形態44~48のいずれか一項に記載の方法。
実施形態50
水性脱色液がワキシータピオカ澱粉と接触した後、ワキシータピオカ澱粉を脱水させてそこから水性脱色液を除去するステップをさらに含む、実施形態1~49のいずれか一項に記載の方法。
実施形態51
前記脱水段階は、濾過(例えば、回転式真空濾過、プレス濾過)および遠心分離を使用して行われる、実施形態50に記載の方法。
実施形態52
水性脱色液を澱粉から除去した後、澱粉を洗浄(rinsing)するステップをさらに含む、実施形態1~51のいずれか一項に記載の方法。
実施形態53
前記澱粉は、少なくとも1容量の水性洗浄液(例えば、水)、例えば、少なくとも2容量またはさらには少なくとも4容量の水性洗浄液で洗浄される、実施形態52に記載の方法。
実施形態54
澱粉によって保持された水性流体のpHがさらなる処理作業時に、例えば、乾燥作業時に、約7.5以下になるように、前記澱粉によって保持された水性流体のpHを調整するステップをさらに含む、実施形態1~53のいずれか一項に記載の方法。
実施形態55
水性脱色液をワキシータピオカ澱粉から除去した後、前記ワキシータピオカ澱粉を乾燥して乾燥脱色澱粉を提供するステップをさらに含む、実施形態1~54のいずれか一項に記載の方法。
実施形態56
前記乾燥は、約25℃~約85℃の範囲の温度において行われる、実施形態55に記載の方法。
実施形態57
前記乾燥は、約25℃~約65℃、または約25℃~約60℃、または約25℃~約55℃、または約25℃~約50℃、または約30℃~約70℃、または約30℃~約65℃、または約30℃~約60℃、または約30℃~約55℃、または約30℃~約50℃、または約35℃~約70℃、または約35℃~約65℃、または約35℃~約60℃、または約35℃~約55℃、または約40℃~約85℃、または約40℃~約80℃、または約40℃~約70℃、または約40℃~約65℃、または約50℃~約85℃、または約50℃~約80℃の範囲の温度において行われる、実施形態55に記載の方法。
実施形態58
前記方法は、低色を有する、すなわち、約10以下、例えば、約8以下の黄色度指数を有する乾燥ワキシータピオカ澱粉を提供する、実施形態1~57のいずれか一項に記載の方法。
実施形態59
前記方法は、低色を有する、すなわち、約3~約10、または約5~約10、または約3~約8、または約5~約8の範囲の黄色度指数を有する乾燥ワキシータピオカ澱粉を提供する、実施形態1~57のいずれか一項に記載の方法。
実施形態60
前記方法は、約7以下、例えば、約6以下、約5以下、約4以下、約3.5以下、またはさらには約3以下のペーストの色を有するワキシータピオカ澱粉を提供する、実施形態1~59のいずれか一項に記載の方法。
実施形態61
前記方法は、同じ澱粉の未洗浄サンプルと比較したとき、少なくとも約2のペーストの色単位、例えば、少なくとも約3のペーストの色単位、少なくとも約3.5のペーストの色単位、またはさらには少なくとも約4のペーストの色単位だけ澱粉の色を改善する、実施形態1~60のいずれか一項に記載の方法。
実施形態62
前記ワキシータピオカ澱粉は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、またはさらには少なくとも約30%の塊茎上に残る表皮を有するキャッサバ塊茎からタピオカパルプを形成するステップを含む方法によって製造される、実施形態1~61のいずれか一項に記載の方法。
実施形態63
澱粉を抑制または改変(例えば、エステル化、エーテル化、架橋結合、熱処理、希釈などによって)させるステップをさらに含む、実施形態1~62のいずれか一項に記載の方法。
実施形態64
澱粉をアルファ化するステップをさらに含む、実施形態1~63のいずれか一項に記載の方法。
実施形態65前記水性脱色液は、澱粉分子自体と反応する成分が実質的に欠けており、例えば、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、または約0.01重量%未満のこのような成分を含む、実施形態1~64のいずれか一項に記載の方法。
実施形態66
前記水性脱色液は、陽イオン化剤(すなわち、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドおよび3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジエチルアミノエチルクロリドのような澱粉に陽イオン性官能基を付加する化合物)、陰イオン化剤(すなわち、澱粉に陰イオン性官能基を付加する化合物、例えば、クロロヒドロキシプロピオン酸、スクシニル化試薬、ヘキサメタリン酸ナトリウム)、アミラーゼ、プロテアーゼ、架橋結合剤(すなわち、反応して澱粉を架橋結合させる化合物、例えば、POClおよび他のリン酸塩架橋結合試薬、アジピン酸無水物);エーテル化剤(例えば、プロピレンオキシド、エチレンオキシド);およびエステル化剤(例えば、無水酢酸、無水コハク酸、酢酸ビニル)が実質的に欠けており、例えば、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、または約0.01重量%未満のこのような成分を含む、実施形態1~64のいずれか一項に記載の方法。
実施形態67
前記水性脱色液は、漂白または酸化(例えば、次亜塩素酸塩、過酸化物、過酸、過硫酸塩、過マンガン酸塩、亜塩素酸塩)が欠けており、例えば、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、または約0.01重量%未満のこのような成分を含む、実施形態1~66のいずれか一項に記載の方法。
実施形態68
前記水性脱色液は、水性溶媒、1つ以上の界面活性剤および1つ以上の塩基以外に、2重量%以下の他の任意の成分を含む、実施形態1~67のいずれか一項に記載の方法。
実施形態69
前記水性脱色液は、水性溶媒、1つ以上の界面活性剤および1つ以上の塩基以外に、約1重量%以下(例えば、約0.5重量%以下)の他の任意の成分を含む、実施形態1~67のいずれか一項に記載の方法。
実施形態70
前記接触は、澱粉の澱粉分子が共有反応によって(例えば、陽イオン化、陰イオン化、エステル化、エーテル化、または架橋結合によって)実質的に改変されないように、例えば、改変の程度が約0.05重量%未満、例えば、約0.01重量%未満、またはさらには約0.005重量%未満になるように行われる、実施形態1~69のいずれか一項に記載の方法。
実施形態71
前記接触は、澱粉の澱粉分子が実質的に加水分解されないように、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された澱粉の重量平均分子量が約5%超過、例えば、約2%以下、または約1%以下に変化しないように行われる、実施形態1~69のいずれか一項に記載の方法。
実施形態72
実施形態1~71のいずれか一項に記載の方法によって製造される、低色ワキシータピオカ澱粉。
実施形態73
乾燥形態で約10以下の黄色度指数、および/または約7以下、例えば、6以下、約5以下、約4以下、約3.5以下、またはさらには約3以下のペーストの色を有する、低色ワキシータピオカ澱粉。
実施形態74
実施形態1~71のいずれか一項に記載の方法によって製造される、実施形態73に記載の低色ワキシータピオカ澱粉。
実施形態75
澱粉(任意選択で調理された形態)を1つ以上の他の食品成分と組み合わせて提供するステップを含む、食品の製造方法。
実施形態76
ワキシータピオカ澱粉を水を含む1つ以上の他の食品成分と組み合わせるステップ、および前記澱粉と食品成分の組み合わせを調理するステップを含む、実施形態75に記載の方法。
実施形態77
調理は、低温殺菌、レトルト処理、ケトル調理(kettle cooking)またはバッチ調理(batch cooking)、ジェットクッキング(jet cooking)、圧出、高温短時間調理、スチーム噴射または超高温加工を含む、実施形態75または76に記載の方法。
実施形態78
調理は、ベーキングを含む、実施形態75または76に記載の方法。
実施形態79
実施形態72~74のいずれか一項に記載のワキシータピオカ澱粉を含み、任意選択で調理された形態である、食品。
実施形態80
前記食品は、例えば、トマトベースの製品、グレービー、ホワイトソースまたはチーズソースのようなソース、スープ、プディング、サラダドレッシング(例えば、注ぐことができるまたはスプーンですくうことができる)、ヨーグルト、サワークリーム、プディング、カスタード、チーズ製品、フルーツフィリングまたはトッピング、クリームフィリングまたはトッピング、シロップ(例えば、ライトシロップ)、飲料(例えば、乳製品飲料、ソーダ、バブルティー、パンチ、ジュース、エイド、コーヒー飲料、茶飲料、スムージー、シェイク、プロテイン飲料、インスタント飲料、幼児または乳児のための調製食料品)、グレーズ、調味料、菓子類、パスタ、冷凍食品、シリアル、またはスープを含む、実施形態75~79のいずれか一項に記載の方法または食品。
実施形態81
前記食品は、製菓製パン類、例えば、パン、ペストリー、パイクラスト、ドーナツ、ケーキ、ビスケット、クッキー、クラッカー、またはマフィンである、実施形態75~79のいずれかに記載の方法または食品。
実施形態82
前記食品は、熱加工食品、酸性食品、乾燥ミックス、冷蔵食品、冷凍食品、押出食品、オーブン調理食品、ストーブ調理食品、電子レンジ対応食品、全脂肪または低脂肪食品、および水分活性の低い食品が含む、実施形態75~79のいずれかに記載の方法または食品。
実施形態83
前記食品は、フルーツベースのパイフィリングなどのような高酸性食品(pH<3.7);トマトベースの製品および離乳食などの酸性食品(pH3.7~4.5);グレービー、ソースおよびスープなどの弱酸性食品(pH>4.5);ソース、グレービーおよびプディングなどのストーブ調理食品;プディングなどのインスタント食品;注入可能でスプーンを利用し得るサラダドレッシング;乳製品または類似乳製品(例えば、ヨーグルト、サワークリームおよびチーズ)などの冷蔵食品;冷凍デザートおよび冷凍ディナーなどの冷凍食品;冷凍ディナーなどの電子レンジ対応食品;ダイエット製品および病院食品などの液状製品から選択される、実施形態75~79のいずれかに記載の方法または食品。
実施形態84
前記食品は、ベーキングされた食品、朝食用シリアル、無水コーティング(例えば、アイスクリーム配合コーティング、チョコレート)、乳製品、菓子、ジャムおよびゼリー、飲料、フィリング、押出型およびシート型スナック、ゼラチンデザート、スナックバー、チーズおよびチーズソース、食用および水溶性フィルム、スープ、シロップ、ソース、ドレッシング、クリーマー、アイシング、フロスティング、グレーズ、トルティーヤ、肉類および魚、ドライフルーツ、乳幼児食品および生地と衣から選択される、実施形態75~79のいずれかに記載の方法または食品。
実施形態85
前記食品は、医療用食品である、実施形態75~79のいずれかに記載の方法または食品。
実施形態86
前記食品は、ペットフードである、実施形態75~79のいずれかに記載の方法または食品。
実施形態87
実施形態72~74のいずれかに記載のワキシータピオカ澱粉を1つ以上の追加の乾燥食品成分との混和物として含む、乾燥ミックス。
実施形態81
前記乾燥ミックスは、製菓製パン類、グレービー、ソース、プディング、離乳食、ホットシリアルから選択される製造用乾燥ミックスであるか;生地調理および揚げ物の前に食品をプレダスティング(predusting)するための乾燥ミックスである、実施形態87に記載の乾燥ミックス。
実施形態89
前記ワキシータピオカ澱粉は、アルファ化されている、実施形態87または88に記載の乾燥ミックス。
図1
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