IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーザーストーン リミテッドの特許一覧

特許7416699アクリルポリマーを含む組成物およびそれを調製するプロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】アクリルポリマーを含む組成物およびそれを調製するプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/06 20060101AFI20240110BHJP
   C04B 14/06 20060101ALI20240110BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240110BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C08L33/06
C04B14/06 Z
C08K3/013
C08K5/5415
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020543430
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 IL2018051118
(87)【国際公開番号】W WO2019087179
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】1718089.4
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520145964
【氏名又は名称】シーザーストーン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マルガリット,エレツ
(72)【発明者】
【氏名】ゴレリク,ボリス
(72)【発明者】
【氏名】ゴラン,アロン
(72)【発明者】
【氏名】ロン,ヤーコブ
(72)【発明者】
【氏名】ウィナー,イド
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-106205(JP,A)
【文献】特開2007-016189(JP,A)
【文献】特開昭51-005383(JP,A)
【文献】特開昭61-060716(JP,A)
【文献】特開昭63-265907(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0244222(US,A1)
【文献】米国特許第06387985(US,B1)
【文献】国際公開第2017/153764(WO,A1)
【文献】特開平05-078545(JP,A)
【文献】特表2002-504179(JP,A)
【文献】特表2009-526123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 33/00-33/26
C08F 20/00-20/70
C08K 3/00-13/08
C04B 14/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アクリルポリマー樹脂と(b)無機骨材を含む複合材であって、前記アクリルポリマー樹脂は、前記複合材の5~15重量%の量で存在し、前記アクリルポリマー樹脂が、アクリルポリマー樹脂に対する重量%で、
a. (i)50~80重量%のメチルメタクリレート(MMA)と、(ii)0~20重量%のn‐ブチルアクリレート(n‐BA)と、(iii)10~20重量%の2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)と、を含むモノマー単位、並びに
b. 1~5重量%のメタクリル酸またはアクリル酸、
c. 15重量%~25重量%のポリメチルメタクリレート(PMMA)、
d. 架橋剤、の少なくとも一つから選択されるモノマーを含み、
無機骨材は、大きな石英フラクション(1~4mm)、26.5~57.4重量%の小中の石英フラクション(0.06~1mm)、及び15.6~31.3重量%の石英粉末、を無機骨材に対して含む、複合材。
【請求項2】
前記モノマー単位の少なくとも50%が、MMA、2-EHA、または両方を含む、請求項1に記載の複合材。
【請求項3】
リエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、樹状アクリレート、および少なくとも2つの官能基を有するメタクリレート、またはそれらの任意の誘導体もしくは組み合わせからなる群から選択される前記架橋剤を含む、請求項1または2に記載の複合材。
【請求項4】
強化剤をさらに含む、請求項3のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項5】
前記強化剤が、ウレタンモノアクリレート、ウレタンジアクリレート、ウレタントリアクリレート、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の複合材。
【請求項6】
前記強化剤が、前記アクリルポリマー樹脂の0.5重量%~15重量%の濃度で存在する、請求項4または5のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項7】
ップリング剤をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項8】
前記カップリング剤が、前記無機骨材に結合する、請求項7に記載の複合材。
【請求項9】
前記カップリング剤が、前記ポリマー主鎖に結合する、請求項8に記載の複合材。
【請求項10】
前記カップリング剤が、アクリロイルから誘導され、アルコキシシランを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項11】
前記カップリング剤が、前記複合材の0.02重量%~0.4重量%の範囲の濃度で存在する、請求項7~10のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項12】
前記メタクリル酸またはアクリル酸が、前記アクリルポリマー樹脂の1~5重量%の範囲の濃度で存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の複合材。
【請求項13】
アクリルポリマーと少なくとも1つの無機骨材を含む複合材を得るための方法であって、
a.(i)50~80重量%のメチルメタクリレート(MMA)と、(ii)0~20重量%のn‐ブチルアクリレート(n‐BA)と、(iii)10~20重量%の2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)と、を含む複数のアクリルモノマー、並びに、1~5重量%のメタクリル酸またはアクリル酸の少なくとも1つ、架橋剤、およびラジカル開始剤を混合し、それによって、ポリマーの混合物を得るステップと、
b.前記混合物に15重量%~25重量%のポリメチルメタクリレート(PMMA)を添加するステップと、
c.前記混合物に無機骨材を添加するステップであって、前記無機骨材および/または鉱物が、前記混合物に対して85重量%~95重量%の濃度で存在するように添加するとともに、
前記無機骨材は、大きな石英フラクション(1~4mm)、26.5~57.4重量%の小中の石英フラクション(0.06~1mm)、及び15.6~31.3重量%の石英粉末(3~44μm)、を無機骨材に対して含むステップと、
d.前記混合物を、80℃を上回る温度で硬化させ、それによって、前記複合材を得るステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月1日に出願された英国特許出願第1718089.4号からの優先権の利益を主張する。上記文書の内容は、本明細書に完全に記載されているかのように、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、とりわけ、架橋アクリルポリマーと、無機骨材および/または鉱物と、を含む複合材に関する。
【背景技術】
【0003】
人工石は、例えば、キッチンのカウンタートップ、屋内および屋外の床、化粧台、浴槽、洗面器、およびインテリア物品のための建築材料として広く使用されている。人工石製品は、天然石と比較すると、自然では見ることができない様々なパターンおよび色で製造されるそれらの性能、また、優れた物理的性能および機械的性能のために、大きな需要がある。
【0004】
これらの人工大理石は、一般に、例えばビニルモノマー単位、反応性溶媒としてのスチレン、および硬化プロセス促進剤としてのオクタン酸コバルトを含む不飽和ポリエステル熱硬化性組成物から製造される。これらの既知の人工石組成物の1つの欠点は、スチレン部分が収縮する傾向であり、それにより、微小亀裂およびマクロ亀裂が生じ、人工石の曲げ強度および靭性が低下し得る点である。別の欠点は、屋外環境でのポリエステルの耐光性が低い点である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、とりわけ、架橋アクリルポリマーと、無機骨材および/または鉱物と、を含む複合材に関する。
【0006】
本発明者らは、驚くべきことに、特定の百分率範囲の架橋アクリルポリマーおよび無機骨材および/または鉱物を有する複合材が、例外的な機械的特性およびU.V.放射に対する安定性を示すことを発見した。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、架橋アクリルポリマーおよび少なくとも1つの無機骨材および/または鉱物を含む複合材であって、その架橋アクリルポリマーが、複合材の重量で、5~17%の濃度で存在する、複合材を含む組成物が提供される。
【0008】
いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、石英、珪岩、粘土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0009】
いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、複合材の総重量で、82%~95%の濃度で存在する。
【0010】
いくつかの実施形態では、複合材は、ISO 4892-2に従って65W/m2の放射に1000時間曝露した後、3未満のCIELAB色シフト(ΔE)を示す。
【0011】
いくつかの実施形態では、複合材は、ISO4892-2に従って65W/m2の放射に1000時間曝露した後、3未満のCIELAB b座標差(Δb)を示す。
【0012】
いくつかの実施形態では、82重量%~94重量%の無機骨材および/または鉱物は、0.001~4mmの範囲のメジアン径を有する1つ以上の粒子の形態である。
【0013】
いくつかの実施形態では、アクリルポリマーは、アクリレートまたはその任意の誘導体から選択される複数のモノマー単位を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、アクリレートは、メタクリレート、メチルメタクリレート(MMA)、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニル、メタクリレート、およびそれらの任意の誘導体または組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、モノマー単位は、2-EHAおよびMMAを含む。いくつかの実施形態では、MMAおよび2-EHAは、それぞれ5:1~3:1の範囲の重量比で存在する。
【0015】
いくつかの実施形態では、架橋アクリルポリマーは、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、樹状アクリレート、および少なくとも2つの官能基を有するメタクリレート、またはそれらの任意の誘導体もしくは組み合わせからなる群から選択される架橋剤を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、複合材は強化剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、強化剤は、ウレタンモノアクリレート、ウレタンジアクリレート、ウレタントリアクリレート、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、強化剤は、架橋ポリマーの重量で、0.5%~15%の濃度で存在する。
【0017】
いくつかの実施形態では、複合材は、50~90℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を特徴とする。
【0018】
いくつかの実施形態では、複合材は、45~95MPaの範囲の曲げ強度を特徴とする。
【0019】
いくつかの実施形態では、複合材は、11,000~25,000MPaの範囲のヤング率を特徴とする。
【0020】
いくつかの実施形態では、複合材は、少なくとも55℃の熱変形温度(HDT)を特徴とする。
【0021】
いくつかの実施形態では、複合材は、ポリマーの骨格に付着されたカップリング剤をさらに含み、そのカップリング剤は、無機骨材および/または鉱物と接触するように構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、カップリング剤は、無機骨材および/または鉱物に物理的に付着している。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、ポリマー主鎖に共有結合される。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、アクリロイルから誘導される。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、アルコキシシランを含む。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、複合材の重量で、0.02%~0.4%の範囲の濃度で存在する。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、架橋アクリルポリマーおよび少なくとも1つの無機骨材および/または鉱物を含む複合材を含む組成物を得るための方法が提供され、その方法は:
a.複数のアクリルモノマー、少なくとも1つの架橋剤、ラジカル開始剤、および任意選択で:強化剤およびポリマー安定剤から選択される少なくとも1つの薬剤を混合し、それにより架橋ポリマーの混合物を得るステップと、
b.混合物に無機骨材および/または鉱物を添加するステップであって、無機骨材および/または鉱物が、混合物の重量で、80%~95%の濃度である、添加するステップと、
c.その混合物を、80℃を上回る温度で硬化させ、それにより組成物を得るステップと、を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、硬化ステップは、ラジカル開始剤を混合物に添加するステップをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、開始剤は、ジ-ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルエチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシオクトエート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシド、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルペルオキシマレエート、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、およびそれらの任意の誘導体または組み合わせからなる群から選択される。
【0026】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および/または科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じである。本明細書に記載されているものと同様または同等の方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験に使用することができるが、例示的な方法および/または材料を以下に説明する。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書が優先される。さらに、材料、方法、および例は、単なる例示であり、必ずしも限定することを意図するものではない。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ本明細書で説明される。図面を詳細に特に参照して、示した詳細は、例として、本発明の実施形態の例示的な考察のためであることを強調する。この点で、図面を用いて行われる説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A-1C】プレス後(図1A)および硬化後(図1B)の「グレイン1」(5%アクリル樹脂)ならびに「グレイン6」(粉末フラクション重量比12.2の非粉末で作製されたスラブを示している)として以下の表5に記載したスラブにおける亀裂/破損を実証している、また硬化後の乾燥領域および崩壊(図1C)を実証している写真である。
図2】以下の表6に記載した「ファイン1」(11%アクリル樹脂)のスラブにおけるプレス後の亀裂を実証している写真である。
図3A-3C】プレス時(図3A)の「ファイン4」(19.5%アクリル樹脂)および硬化後にそのスラブに形成された気泡(図3B)、ならびに、粉末フラクション重量比1.3の非粉末で作製されたスラブを示している「ファイン7」として表6に記載したスラブを実証している、また、硬化後の多くのペーパーノッチ(研磨できない)を実証している(図3C)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、そのいくつかの実施形態では、アクリルモノマー単位を有する架橋ポリマー主鎖、ならびに無機骨材および/または鉱物を含む複合材に関する。一実施形態では、鉱物は、骨材または「鉱物骨材」の形態である。一実施形態では、鉱物または鉱物骨材は、単一の鉱物タイプを含む/から構成される。一実施形態では、鉱物または鉱物骨材は、異なる鉱物タイプの混合物を含む/から構成される。
【0031】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載されるか、または実施例によって例示される詳細に必ずしも限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な仕方で実施または実行することができる。
【0032】
組成物
本発明は、そのいくつかの実施形態において、架橋アクリルポリマーおよび少なくとも1つの無機骨材および/または鉱物を含む複合材であって、その架橋アクリルポリマーが、複合材の重量で、2~250%または3~20%の濃度で存在する、複合材に関する。
【0033】
以下の実施例のセクションで示されるように、現在の百分率範囲の架橋アクリルポリマーおよび無機骨材および/または鉱物を有する開示の複合材は、例外的な機械的特性および電磁放射線および/または光および/または紫外線(U.V.)放射に対する安定性を示す。
【0034】
いくつかの実施形態では、その実施形態において開示される複合材を含む組成物が提供される。
【0035】
いくつかの実施形態では、「アクリルポリマー」という用語は、少なくとも1つのアクリル基(「アクリルモノマーユニット」とも称される)を含むポリマー主鎖からなるポリマーを指す。
【0036】
いくつかの実施形態では、複合材は、複合材の重量で、1%~40%、または3%~30%、または5%~20%のアクリルポリマーを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、架橋アクリルポリマーは、複合材の重量で、5%~約25%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、架橋アクリルポリマーは、複合材の重量で、約10%~約25%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、架橋アクリルポリマーは、複合材の重量で、約5%~約30%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、架橋アクリルポリマーは、複合材の重量で、約10%~約30%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、架橋アクリルポリマーは、複合材の重量で、約7%~約20%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、架橋アクリルポリマーは、複合材の重量で、約7%~約25%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、複合材は、約10重量%の架橋ポリマーを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、架橋アクリルポリマーは、複合材の重量で、3~20%、5~20%、3~17%、5~17%、または5~15%の濃度で存在し、その間の任意の値および範囲を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、架橋アクリルポリマーは、複合材の重量で、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%の濃度で存在し、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、複合材は、70重量%未満、75重量%未満、80重量%未満、85重量%未満、90重量%未満、91重量%未満、92重量%未満、93%重量未満、または95重量%未満の無機骨材および/または鉱物を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、複合材の重量で、75%~93%の範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、複合材の重量で、70%~93%の範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、複合材の重量で、70%~90%の範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、複合材の重量で、75%~90%の範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、複合材の重量で、80%~90%の範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、複合材の重量で、85%~95%の範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、複合材の重量で、85%~93%の範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、複合材は、複合材の重量で、約90%の少なくとも1つの無機骨材および/または鉱物を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、複合材の重量で、80%~97%、80%~97%、82%~97%、85%~97%、または85%~95%の濃度で存在し、その間の任意の値および範囲を含む。いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、複合材の重量で、80%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、または97%の濃度で存在し、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0043】
一実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、単一の無機骨材および/または鉱物である。一実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、少なくとも2つの無機骨材および/または鉱物の組み合わせである。
【0044】
いくつかの実施形態では、複合材は、架橋アクリルポリマーおよび1つ以上の無機骨材および/または鉱物を、1:20~1:1の範囲の重量比で含む。いくつかの実施形態では、複合材は、架橋アクリルポリマーおよび1つ以上の無機骨材および/または鉱物を、1:10~1:1の範囲の重量比で含む。いくつかの実施形態では、複合材は、架橋アクリルポリマーおよび1つ以上の無機骨材および/または鉱物を、1:8~1:2の範囲の重量比で含む。いくつかの実施形態では、複合材は、架橋アクリルポリマーおよび1つ以上の無機骨材および/または鉱物を、それぞれ、1:6~1:4の範囲の重量比、例えば1:6、1:5、または1:4の重量比で含み、その間の任意の値および範囲を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、複合材は、スラブの形態である。いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、セラミック材料を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、セラミック材料は、限定するものではないが、アルミナ、ジルコニア、アルミナ、石英、珪岩、ジルコニア、チタニア、シリカ、マグネシア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、コーディエライト、サイアロン、イットリア、またはそれらの任意の混合物から選択される。
【0047】
いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、限定するものではないが、粘土、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。例示的な実施形態では、無機骨材および/または鉱物は、石英である。
【0048】
いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物(複数可)は、1つ以上の粒子の形態である。
【0049】
いくつかの実施形態では、粒子は、それらのサイズに従って少なくとも2つ、またはいくつかの実施形態では3つのグループに分類され、各グループは、粒子の相対直径に関して分類され、本明細書記載のように「大」、「中」、および「小」と分類される。
【0050】
いくつかの実施形態では、粒子は、8mm未満の直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、「直径」は、粒子の最大直径である。いくつかの実施形態では、粒子は、4mm未満の直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、粒子は、0.1μm~8mmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、粒子は、1μm~8mmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、粒子は、1μm~4mmの直径を特徴とする。
【0051】
いくつかの実施形態では、当該無機骨材および/または鉱物の少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%は、0.001~4mmの範囲のメジアン径を有する複数の粒子の形態である。
【0052】
本明細書では、「直径」という用語は、少なくとも1つの寸法のサイズ、例えば長さのサイズを包含することができ。いくつかの実施形態では、「直径」という用語は、複数の粒子のメジアンサイズを指す。本明細書では、「粒子」とは、1つ以上の粒子を指すことを意味している。
【0053】
いくつかの実施形態では、小粒子は、0.1μm~50μmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、小粒子は、0.1~45μmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、小粒子は、1~50μmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、小粒子は、2~50μmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、小粒子は、3~45μmの直径を特徴とする。
【0054】
いくつかの実施形態では、小粒子は、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50μmの直径を特徴とし、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、中間粒子は、0.05~1.5mmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、中間粒子は、0.05~1.3mmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、中粒子は、0.07~1.2mmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、中粒子は、0.05~1mmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、中間粒子は、0.06mm~1mmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、中間粒子は、0.05、0.06、0.1、0.5、または1mmの直径を特徴とし、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、小粒子および中間粒子は、無機骨材および/または鉱物の重量で、40%~100%、50%~100%、70%~96%、75%~94%、または82%~94%の総量で存在する。
【0057】
いくつかの実施形態では、小粒子および中間粒子は、無機骨材および/または鉱物の重量で、45%、50%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、または100%の総量で存在し、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物の重量で、無機骨材および/または鉱物の小粒子は、12%~60%の総量で存在する。いくつかの実施形態では、無機骨材および/または鉱物の重量で、無機骨材および/または鉱物の小粒子は、12%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または60%の総量で存在する。
【0059】
いくつかの実施形態では、大粒子は、0.5~5mmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、大粒子は、1~5mmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、大粒子は、1~4mmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、大粒子は、2.5~5mmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、大粒子は、2.5~4mmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、大粒子は、2~4mmの直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、大粒子は、1~8mm以下の直径を特徴とする。いくつかの実施形態では、大粒子は、1~8mm未満の直径を特徴とする。
【0060】
いくつかの実施形態では、大粒子は、1、2、3、4、5、6、7、または8mmの直径を特徴とし、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、大粒子、中間粒子、および小粒子の重量比は、それぞれ3:0.8:2.5~10:3:8の範囲内にあり、それらの間の任意の値および範囲を含む。いくつかの実施形態では、大粒子、中間粒子、および小粒子の重量比は、それぞれ6:1:0.1~1.5:1:0.1の範囲内にあり、それらの間の任意の値および範囲を含む。いくつかの実施形態では、大粒子と中間粒子対小粒子の重量比は、それぞれ4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.5:1、1.4:1、または1.3:1の範囲内にあり、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0062】
「架橋密度」という用語は、得られる「架橋ポリマー」で形成される架橋の密度を指す。架橋パーセントは、ポリマーの相対的な架橋を示す溶媒(例えば、トルエン)の体積中のアクリルポリマーのポリマーパーセント溶解度を使用することによって計算することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される「架橋された」および/または「架橋」という用語、ならびにその文法上の派生語は、概して、ポリマー分子の2本鎖が、ブリッジによって、すなわち、一次化学物質によって鎖の特定の炭素原子を連結する元素、基、または化合物から構成された「架橋剤」によって、付着される、化学プロセスまたはそれらの対応する生成物を指している。したがって、いくつかの実施形態では、架橋剤化合物の一般的な特性としては、少なくとも2つの部分への付着を可能にする二官能基または多官能基を有することが挙げられる。
【0064】
いくつかの実施形態では、開示される架橋ポリマーは、ポリマーの、20モル%未満、16モル%未満、15モル%未満、14モル%未満、13モル%未満、以下の架橋密度を特徴とするポリマーの12モル%未満、11モル%未満、10モル%未満、9モル%未満、8モル%未満、7モル%未満、6モル%未満、または5モル%未満の架橋密度を特徴とする。
【0065】
いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、ポリマーの1モル%~20モル%の範囲の架橋密度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、ポリマーの1モル%~15モル%の範囲の架橋密度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、ポリマーの1モル%~12モル%の範囲の架橋密度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、ポリマーの1モル%~10モル%の範囲の架橋密度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、ポリマーの1モル%~7モル%の範囲の架橋密度を特徴とする。
【0066】
いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、ポリマーの1モル%~15モル%の範囲の架橋密度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、ポリマーの5モル%~12モル%の範囲の架橋密度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、ポリマーの3モル%~8モル%の範囲の架橋密度を特徴とする。
【0067】
いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、3つ以上の官能性モノマー単位を有しない。
【0068】
本明細書で使用される「%モル(複数可)」という用語は、架橋ポリマーのモル分率またはモル百分率を指す。さらにまたはあるいは、反応した2つ以上の二重結合を有するモノマーのすべての二重結合を想定して、架橋密度を計算してもよい。
【0069】
例えば、限定するものではないが、約2%(=20g/l)の濃度でジアクリレート(Mw=286g/モル)を含むポリマーは、2×20/286=0.14モルの二重結合/lを提供する。アボガドロ数=6.0x1023単位/モルを使用すると、架橋密度は、単位/Lで評価することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、ポリマーの総重量で、2×1020~3×1023単位/Lの範囲の架橋密度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、2×1020~2×1024単位/Lの範囲の架橋密度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、2×1021~2×1024単位/Lの範囲の架橋密度を特徴とする。
【0071】
いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、2×1022~2×1024単位/Lの範囲の架橋密度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、2×1022~3×1023単位/Lの範囲の架橋密度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、2×1020~2×1025単位/Lの範囲の架橋密度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、2×1021~2×1025単位/Lの範囲の架橋密度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、2×1022~2×1025単位/Lの範囲の架橋密度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、1×1023~3×1023単位/Lの範囲の架橋密度を特徴とする。
【0072】
いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも250、少なくとも400、少なくとも650、少なくとも800、少なくとも1,000、または少なくとも1,200cPの粘度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、1,200未満、1,000未満、800未満、650未満、400未満、250未満、100未満、50未満、または25cP未満の粘度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、50~1,000cPの範囲の粘度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、250~650cPの範囲の粘度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、25~1,200cPの範囲の粘度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、50~1,200cPの範囲の粘度を特徴とする。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、200~700cPの範囲の粘度を特徴とする。
【0073】
いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖は、これらに限定されないが、メチルメタクリレート(MMA)、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートから選択されるアクリルモノマー単位、またはアクリル酸、メタクリル酸、もしくはそれらの誘導体もしくは組み合わせから誘導される任意のモノマー単位を含む。
【0074】
以下の実施例セクションで実証されるように、いくつかの実施形態では、MMAと2-EHAとの組み合わせは、それらの現在の比率範囲では言うまでもなく、モジュール強度および曲げ強度の低下をもたらし、複合材製品(例えば、スラブ)は柔軟性の増加を示す。
【0075】
いくつかの実施形態では、モノマー単位は、MMAおよび2-EHA、またはそれらの任意の誘導体を含む。いくつかの実施形態では、MMAおよび2-EHAは、異なるポリマー主鎖に、またはいくつかの実施形態では、少なくとも部分的に、同じポリマー主鎖に存在する(すなわち、コポリマーを形成する)。いくつかの実施形態では、MMAと2-EHAの両方を含むコポリマーは、本発明に包含される。
【0076】
いくつかの実施形態では、MMAおよび2-EHA、またはそれらの誘導体は、10:1~1:1、6:1~2:1、または5:1~3:1それぞれの範囲の重量比で存在する。
【0077】
いくつかの実施形態では、MMAおよび2-EHAは、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1それぞれの重量比で存在し、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖中のモノマー単位の少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも45重量%、または少なくとも50重量%は、メタクリレートから誘導される。
【0079】
いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖中のモノマー単位の95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、または50重量%未満は、メタクリレートから誘導される。
【0080】
いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖中のモノマー単位の40重量%~95重量%は、メタクリレートから誘導される。いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖中のモノマー単位の50重量%~95重量%は、メタクリレートから誘導される。いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖中のモノマー単位の40重量%~90重量%は、メタクリレートから誘導される。いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖中のモノマー単位の50重量%~90重量%は、メタクリレートから誘導される。いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖中のモノマー単位の80重量%~95重量%は、メタクリレートから誘導される。
【0081】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、脂肪族ポリウレタンジアクリレート、ポリウレタンジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート(BDDMA)、およびそれらの任意の誘導体または組み合わせを含む。
【0082】
架橋剤のさらなる非限定的な例は、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、3つ以上の官能基を有する多官能樹状アクリレートおよびメタクリレート、およびそれらの任意の誘導体または組み合わせである。
【0083】
いくつかの実施形態では、架橋剤は、1つ以上の二官能基を有する。いくつかの実施形態では、架橋剤は、二官能基を含む/からなる。いくつかの実施形態では、架橋剤は、1つ以上の三官能基を有する。いくつかの実施形態では、架橋剤は、2つ以上の官能基を有することを特徴とする。これにより、例えば、少なくとも3つのモノマー単位への架橋剤の付着が可能になり得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖対1つ以上の架橋剤のモル比は、それぞれ1:100~1:2である。いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖対1つ以上の架橋剤のモル比は、それぞれ1:50~1:10である。いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖対1つ以上の架橋剤のモル比は、それぞれ1:120~1:1である。いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖対1つ以上の架橋剤のモル比は、それぞれ1:50~1:2である。いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖対1つ以上の架橋剤のモル比は、それぞれ1:100~1:10である。いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖対1つ以上の架橋剤のモル比は、それぞれ1:100~1:1である。
【0085】
いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、(架橋ポリマーの総重量で)30重量%未満、25重量%未満、20重量%未満、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、2重量%未満、または1重量%未満の架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、1重量%~20重量%の架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、0.05重量%~30重量%の架橋剤を含む。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、1重量%~30重量%の架橋剤を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、複合材は、(複合材および/または組成物の総重量で)1%未満、0.5%未満、または0.1%未満のスチレン(例えば、遊離スチレンとして、またはモノマー単位の形態で)を含む。いくつかの実施形態では、複合材は、スチレンを欠くか、または実質的に欠いている。
【0087】
いくつかの実施形態では、複合材は、1%未満、0.5%未満、または0.1%未満、または0.01%未満の重金属を含む。いくつかの実施形態では、複合材は、(複合材および/または組成物の総重量から)重金属(例えば、コバルト)を欠くか、または実質的に欠いている。いくつかの実施形態では、「重金属」とは、遷移金属を指すことを意図している。
【0088】
耐光性
いくつかの実施形態では、開示される複合材は、電磁放射線に安定である。いくつかの実施形態では、開示される複合材は、可視光に対して安定である。いくつかの実施形態では、開示される複合材は、UV安定である。
【0089】
いくつかの実施形態において、「電磁放射線安定」、例えば「UV安定」とは、開示される複合材を放射線(例えば、UV放射線)で照射すると、複合材は、実質的に完全なままであり(亀裂なし)、ΔEカラー値によって実証されるように、最小の色変化を示す、ことを意味している。
【0090】
「UV光」または「UV放射線」という用語は、可視光の波長よりも短いが、X線よりも長い波長を有する電磁放射線を指し、範囲は10nm~400nmであり、エネルギーは3eV~124eVである。いくつかの実施形態では、「紫外線」という用語は、その波長が約80nm~約400nmの範囲、例えば300~400nmの放射線を指す。いくつかの実施形態では、U.V.A.は、315~400nmの範囲の波長を指す。いくつかの実施形態では、U.V.B.は、280~315nmの範囲の波長を指す。「可視光」という用語は、人間の目が約435nm~約670nmの有意な応答を有する波長を有する光を指す。
【0091】
いくつかの実施形態では、国際標準化機構(ISO)4892-2に従って、65W/m2のU.V.放射(例えば、キセノンアークランプによる)に1000時間曝露した後、複合材は、5未満、4未満、3未満、または2未満のΔE値を示す。
【0092】
「ΔE」という用語は、国際照明委員会によって規定された「Lab表示系」によるCIELAB色空間(「シフト」または「差」とも称される)を指す。このCIELAB色空間では、色は3つのカテゴリL*、a*、およびb*(本明細書ではそれぞれ「L」、「a」、および「b」とも称する)によって定義され、当業において使用される場合、L*は、色の輝度を定義し、a*およびb*はどちらも、所与の色の色相および彩度の特性を定義する。
【0093】
いくつかの実施形態では、「ΔE」は、例えば、ΔE*ab、ΔE*94、またはDE2000メトリックを使用して計算することができ、ΔEは、初期複合材と、特定の条件におけるU.V.放射に対する曝露時の複合材との間の色の差を表す。ΔEが大きいほど、2つの色の差は大きい。ΔE測定のさらなる実施形態は、以下の実施例のセクションで説明する。
【0094】
いくつかの実施形態では、ISO4892-2に従って、65W/m2のU.V.放射(例えば、キセノンアークランプによる)に1000時間曝露した後、複合材は、5未満、4未満、3未満、または2未満のΔb値を示し、Δbは、初期複合材と、特定の条件におけるU.V.放射に対する曝露時の複合材との間の、Lab表示系の座標bによって定義される彩度の差を表す。
【0095】
いくつかの実施形態では、複合材は、KLyの定義された範囲での放射線照射50~200時間後に、55%未満、45%未満、35%未満、25%未満、15%未満、または5%未満の白色度指数変動(ΔWI)を特徴とする。
【0096】
いくつかの実施形態では、複合材は、KLyの定義された範囲での放射線照射50~200時間後に、75%未満、65%未満、55%未満、45%未満、35%未満、25%未満、15%未満、または5%未満の黄色度指数変動(ΔYI)を特徴とする。
【0097】
いくつかの実施形態では、「放射線照射」とは、本明細書全体で定義されるようなUV放射線照射(例えば、UVAまたはUVB)を指すことを意図している。
【0098】
一実施形態では、「を特徴とする」は、含むことと同義である。一実施形態では、「を特徴とする」は、からなることと同義である。一実施形態では、「複合材」という用語は、「組成物」という用語と交換可能である。
【0099】
機械的特性
いくつかの実施形態では、複合材は、60℃~120℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、65℃~110℃の範囲のTgを特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、75℃~95℃の範囲のTgを特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、75℃~110℃の範囲のTgを特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、65℃~95℃の範囲のTgを特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、50℃~90℃の範囲のTgを特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、70℃~110℃の範囲のTgを特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、70℃~100℃の範囲のTgを特徴とする。
【0100】
いくつかの実施形態では、複合材は、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、または120℃のTgを特徴とし、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、複合材は、10,000~30,000MPaの範囲のヤング率を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、13,000~30,000MPaの範囲のヤング率を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、16,000~25,000MPaの範囲のヤング率を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、15,000~25,000MPaの範囲のヤング率を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、10,000~25,000MPaの範囲のヤング率を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、11,000~25,000MPaの範囲のヤング率を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、15,000~30,000MPaの範囲のヤング率を特徴とする。
【0102】
いくつかの実施形態では、複合材は、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、20,000、21,000、22,000、23,000、24,000、25,000、26,000、27,000、28,000、29,000、または30,000MPaのヤング率を特徴とし、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0103】
「ヤング率」という用語は、所定の材料の剛性の尺度を指す。ヤング率は、引張応力を引張ひずみで割ることによって計算することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、複合材は、40~110MPaの範囲の曲げ強度を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、50~110MPaの範囲の曲げ強度を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、55~110MPaの範囲の曲げ強度を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、60~95MPaの範囲の曲げ強度を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、50~120MPaの範囲の曲げ強度を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、60~110MPaの範囲の曲げ強度を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、60~100MPaの範囲の曲げ強度を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、50~95MPaの範囲の曲げ強度を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、45~95MPaの範囲の曲げ強度を特徴とする。
【0105】
いくつかの実施形態では、複合材は、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、または110MPaの曲げ強度を特徴とし、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、降伏強度または曲げ強さとしても知られる「曲げ強度」という用語は、横曲げ試験などの従来のアッセイを使用して容易に定量化および比較することができる、荷重下の非弾性横変形に抵抗する能力として定義される、材料またはコンポーネントの機械的パラメータである。
【0107】
いくつかの実施形態では、複合材は、少なくとも35℃、少なくとも45℃、少なくとも55℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、または少なくとも75℃の熱変形温度(HDT)を特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、55℃~110℃の範囲のHDTを特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、65℃~110℃の範囲のHDTを特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、55℃~100℃の範囲のHDTを特徴とする。いくつかの実施形態では、複合材は、65℃~100℃の範囲のHDTを特徴とする。
【0108】
いくつかの実施形態では、複合材は、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、または110℃のHDTを特徴とし、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される「熱変形温度(HDT)」という用語は、所定の負荷が加えられている状態で一定速度で加熱されたときに複合材が変形する温度を指すことを意図している。
【0110】
添加剤
いくつかの実施形態では、組成物または複合材は、賦形剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物または複合材は、強化剤を含む。いくつかの実施形態では、強化剤は、架橋ポリマーに付着または結合される。いくつかの実施形態では、強化剤は、限定するものではないが、ウレタンモノアクリレート、ウレタンジアクリレート、ウレタントリアクリレート、またはそれらの任意の組み合わせまたはポリマーから選択される。いくつかの実施形態では、強化剤は、組成物中の所定の粒径および量を特徴とする。いくつかの実施形態では、強化剤は、1つ以上のグラフトポリマーから作製される。グラフトポリマーは、いくつかの実施形態では、メタクリレート、メタクリレート-ブタジエン-スチレンポリマー、アクリレート-メタクリレート-ブタジエン-スチレンポリマー、アクリロニトリル、またはアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンポリマーもしくはコポリマーを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、強化剤は、限定するものではないが、ポリウレタン、モノアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、ポリウレタントリアクリレート、またはそれらの任意の組み合わせから選択される材料を含む。いくつかの実施形態では、強化剤は、コアシェルポリマー構造を含むか、またはコアシェルポリマー構造の形態である。いくつかの実施形態では、コアシェルポリマーは、エラストマー材料を含む。いくつかの実施形態では、エラストマー材料は、グラフトポリマーおよび/またはゴム強化剤を含む。いくつかの実施形態では、コアシェル高分子強化剤は、アクリル系ポリマーから相分離される。一実施形態では、複合材は、コアシェル高分子強化剤を含む。一実施形態では、コアシェルポリマー強化剤は、アクリル系ポリマーから相分離される。
【0112】
「エラストマー」という用語は、当技術分野で一般的な意味を有し、いくつかの実施形態では、元の長さの少なくとも2倍まで延伸することができ、次いで、自力で元の形状に戻ることができる合成ゴム、プラスチックまたは他のポリマーを指す。
【0113】
いくつかの実施形態では、シェルは、反応基を欠くかまたは実質的に欠くグラフト化ポリマー材料を含む。いくつかの実施形態では、コアシェルポリマー構造は、マルチ-コア-シェルポリマー構造を含むこともできる。
【0114】
コア材料として使用し得るエラストマーの非限定的な例には、ポリブタジエン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、およびそれらのコポリマーまたはターポリマー、任意選択でポリスチレン、ポリアクリロニトリル、またはポリスルフィドが含まれる。
【0115】
いくつかの実施形態では、コアは、ポリブタジエンまたはポリブチルアクリレートを含む。いくつかの実施形態では、コアは、スチレンブタジエンまたはそのポリマーを含むエラストマーを含む。さらなる例示的な実施形態では、コアは、シリコーンまたはそのポリマーを含むエラストマーを含む。
【0116】
ポリマーシェル材料の非限定的な例には、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、およびポリメタクリレートのモノ、コ、もしくはターポリマー、またはスチレン-アクリロニトリル-グリシジルメタクリレートターポリマーが含まれる。
【0117】
以下の実施例セクションで実証されるように、特定の濃度を有する特定のタイプの強化剤は、優れた機械的特性、例えば、曲げ強度の低下ならびにTgおよびHDTの低下を提供し得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、強化剤は、架橋ポリマーの重量で、0.1%~30%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、強化剤は、架橋ポリマーの重量で、1%~30%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、強化剤は、架橋ポリマーの重量で、0.5%~30%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、強化剤は、架橋ポリマーの重量で、0.5%~25%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、強化剤は、架橋ポリマーの重量で、0.5%~15%の濃度で存在する。
【0119】
いくつかの実施形態では、強化剤は、架橋ポリマーの重量で、0.1%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、25%、25.5%、26%、26.5%、27%、27.5%、28%、28.5%、29%、29.5%、または30%の濃度で存在し、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、複合材は、カップリング剤(「バインダー」とも称する)をさらに含む。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、無機骨材および/または鉱物などの無機材料と接触するように構成される。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、アクリルポリマー主鎖ならびに少なくとも1つの無機骨材および/または鉱物に連合される(例えば、物理的に付着または吸着される)。
【0121】
いくつかの実施形態では、カップリング剤は、ポリマー主鎖のモノマー単位に共有結合される。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、アクリロイルから誘導される。
【0122】
一実施形態では、「カップル(couple)」、「連合した(associated)」、「連結した(linked)」(「架橋剤(cross-linker)」とは区別する)という用語、および本明細書で交換可能に使用されるそれらの任意の文法上の派生語は、カップリング分子を使用することによって実行かつ/または促進される、有機材料と無機材料(例えば、無機骨材および/または鉱物およびアクリルポリマー)との間の連結を説明しており、その連結は、非限定的な様式の共有結合であり得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、カップリング剤は、アルコキシシラン、またはその任意の誘導体から選択されるが、それらに限定されない。
【0124】
いくつかの実施形態では、カップリング剤は、複合材の総重量で、0.01%~0.5%の範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、複合材の総重量で、0.01%~0.4%の範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、複合材の総重量で、0.02%~0.4%の範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、カップリング剤は、複合材の総重量で、0.01%、0.02%、0.03%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、または0.5%の濃度で存在し、それらの間の任意の値および範囲を含む。
【0125】
調製方法
本発明のいくつかの実施形態の別の態様によれば、その実施形態において開示される複合材、または架橋ポリマーおよび無機骨材および/もしくは鉱物から作製された複合材、を含む組成物を得るための方法を提供する。
【0126】
いくつかの実施形態では、方法は以下のステップ:
(i)アクリルモノマー、少なくとも1つの架橋剤、過酸化物開始剤、および1つ以上のポリマー安定剤を含む複数の材料を混合し、それによって、架橋ポリマーの混合物を得るステップと、
(ii)その混合物に対して無機骨材および/または鉱物を添加するステップと、
(iii)その混合物を90℃を上回る温度で硬化させるステップと、を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、ステップ(i)の混合は、強化剤を添加することをさらに含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、ポリマー主鎖、少なくとも1つの架橋剤、少なくとも1つの開始剤、および任意選択で少なくとも1つの強化剤および1つ以上のポリマー安定剤を混合することによって得られる。
【0129】
いくつかの実施形態では、過酸化物開始剤は、ジ-ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルエチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシオクトエート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシド、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、tert-ブチルペルオキシマレエート、tert-ブチルペルオキシマレエート、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、およびそれらの任意の誘導体または組み合わせから選択されるが、それらに限定されない。
【0130】
いくつかの実施形態では、ポリマー安定剤は、キノン、フェノール、アミン、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるが、それらに限定されない。
【0131】
いくつかの実施形態では、ステップ(i)のアクリルモノマーは、MMAを含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、ステップ(i)の材料は、PMMAおよび/または粘度増強化合物をさらに含む。いくつかの実施形態では、ステップ(i)の材料は、メタクリル酸(MAA)をさらに含む。
【0133】
非限定的な例示的実施形態では、ステップ(i)の混合材料は、(%w/wによって)50~60%のMMA、10~20%の2-EHA、2~10%のポリウレタンジアクリレート、15~25%のPMMA、0.5~2%の架橋剤(例えば、トリエチレングリコールジメタクリレート)、および1~5%のMAAを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、ポリマー主鎖、少なくとも1つの架橋剤、および少なくとも1つの強化剤を(ステップ(i)で)混合することにより得られる。いくつかの実施形態では、架橋ポリマーは、ポリマー主鎖と少なくとも1つの架橋剤とを混合することにより得られる。
【0135】
モノマー(およびモノマー単位)、架橋剤、強化剤、過酸化物開始剤、無機骨材および/または鉱物、ならびにポリマー安定剤の実施形態は、上記「組成物」において説明されている。
【0136】
いくつかの実施形態では、方法は、硬化ステップの前に、混合物または混合物の化合物(例えば、モノマー、架橋剤、過酸化物開始剤)を支持体、テンプレート、または仮支持体上に注ぐ追加のステップをさらに含む。
【0137】
支持体の非限定的な例は、支持フレームまたは成形フレーム、および型枠、例えばゴムトレイ型枠などの型を有するかまたは有していない、ゴム、紙、プラスチック、または他の任意のポリマー材料、シリコンシートなどから選択される。
【0138】
いくつかの実施形態では、「硬化する(cure)」、「硬化している(curing)」、およびそれらの文法上の派生語は、本明細書で互換的に使用され、凝縮、架橋、重合、または加硫による化学反応によって材料の物理的特性が変化することを指す。典型的に、ただし独占的にではなく、硬化は、熱および触媒の作用だけによって、またはいくつかの実施形態では、特定の圧力と組み合わせて、支援される。
【0139】
いくつかの実施形態では、硬化工程の前に、混合物は、所望のスラブの形態(例えば、壁の成形の有無にかかわらず、400cm×200cm×3cmのサイズ)で型枠に注がれる。いくつかの実施形態では、硬化ステップの前に、混合物は、真空および/または振動によって圧縮される。いくつかの実施形態では、振動圧縮は、例えば、約100トンの高圧で行う。
【0140】
いくつかの実施形態では、硬化ステップは、硬化プロセス中にカップリング剤を添加するステップをさらに含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、方法は、好適な量の少なくとも1つの添加剤を、混合物またはスラブ製品に添加するステップをさらに含む。この添加剤は、例えば、着色剤、化学試薬、抗菌物質、殺真菌剤など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、添加剤は、硬化プロセス中に添加される。いくつかの実施形態では、添加剤は、製造の様々な段階において(例えば、原材料のブレンドへの添加または混合ステップ中に)、混合物に添加され得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、添加剤は、最終組成物(「石材製品」とも称される)中に存在し得る。いくつかの実施形態では、添加剤は、最終組成物の様々な特性をさらに決定することができる。かかる特性としては、色、テクスチャ、表示パターンなどの物理的特性、例えば、耐薬品性、pH特性などの化学的特性、例えば、抗菌特性などの生物学的特性、および/または例えば、靭性、曲げ強度、引っかき抵抗性、耐衝撃性などの機械的特性を挙げることができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、「着色剤」という用語は、染料、顔料、着色剤の組み合わせなど、または液体、ペースト、流体などの任意の形態のそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0144】
いくつかの実施形態では、硬化ステップは、70℃を上回る、80℃を上回る、90℃を上回る、95℃を上回る、100℃を上回る、または110を上回る温度(「硬化温度」と称される)で行われる。いくつかの実施形態では、硬化温度は、130℃未満、120℃未満、115℃未満、110℃未満、105℃未満、100℃未満、95℃未満、または90℃未満である。
【0145】
いくつかの実施形態では、硬化温度は、70℃~130℃の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化温度は、80℃~130℃の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化温度は、90℃~130℃の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化温度は、70℃~120℃の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化温度は、80℃~120℃の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化温度は、90℃から120℃の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化温度は、95℃~120℃の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化温度は、70℃~110℃の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化温度は、80℃~110℃の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化温度は、90℃~110℃の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化温度は、95℃~110℃の範囲である。いくつかの実施形態では、硬化温度は、95℃~105℃の範囲である。
【0146】
いくつかの実施形態では、硬化は、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55分、または少なくとも60分の持続時間(「硬化持続時間」と称される)で行われる。いくつかの実施形態では、硬化は、40分未満、45未満、50未満、55未満、60未満、70未満、90未満、または120分未満の時間で行われる。
【0147】
いくつかの実施形態では、硬化持続時間は、20~90分である。いくつかの実施形態では、硬化持続時間は、20~70分である。いくつかの実施形態では、硬化持続時間は、20~45分である。いくつかの実施形態では、硬化持続時間は、30~90分である。いくつかの実施形態では、硬化持続時間は、30~70分である。いくつかの実施形態では、硬化持続時間は、30~60分である。いくつかの実施形態では、硬化持続時間は、30~45分である。
【0148】
定義
「複合材」という用語は、一実施形態では、「組成物」と交換可能である。「複合材」という用語は、一実施形態では、本明細書において、組成物が、少なくとも2つの成分でできている、すなわち、非純粋物質でできていることを示すために使用される。いくつかの実施形態では、2つ以上の物質は、異なる特性を有し、各物質において、全体として望ましい特性に対して寄与するとともに、その同一性を保持する。
【0149】
いくつかの実施形態では、「モノマー」という用語は、他の分子に化学的に結合してポリマーを形成することができる分子を指す。
【0150】
いくつかの実施形態では、「モノマー単位」という用語は、対応するモノマーに誘導される繰り返し単位を指す。ポリマーは、モノマー単位を含むか、またはそれから作製される。「から誘導される」とは、重合プロセスで得られる化合物を指すことを意図している。
【0151】
いくつかの実施形態では、「ポリマー」という用語は、互いに共有結合された複数の繰り返し構造単位(モノマー単位)から構成された有機物質のことを言っている。
【0152】
いくつかの実施形態では、「ポリマー主鎖」という用語は、概して、モノマー単位を含むポリマーを指す。本発明の文脈において、「ポリマー主鎖」という用語は、ポリマー骨格から突出している鎖分岐を伴うポリマー骨格の主鎖を指すことを理解すべきである。分岐は、本明細書に記載されるように、いずれかのモノマー単位の1つ以上を含み得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、「過酸化物開始剤」または「ラジカル」という用語は、重合を開始させることができるフリーラジカルビルディングブロックを指す。開始剤は、炭素-水素結合から水素を引き抜くことによってラジカルを発生させることができるため、ポリマーなどの有機材料と組み合わせて使用すると、化学結合が形成され得る。フリーラジカルモノマー単位の生成後に、フリーラジカル部位にビルディングブロックが連続して添加されることにより、ポリマー鎖は急速に成長する。
【0154】
限定するものではないが、以下の水溶性の例示的な開始剤:すなわち、過酸化物、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、またはジ-t-ブチルペルオキシド;上記の過酸化物と、還元剤、例えば、スルフィット、ビスルフィット、チオスルフィット、ホルムアミジンスルフィン酸、もしくはアスコルビン酸との組み合わせであるレドックス開始剤;または、アゾ系ラジカル重合開始剤、例えば、限定するものではないが、2,2´-アゾビス(2-アミジノプロパン)(AIBN)、AIBNCOOH、および2,2´-アゾビス(2-アミジノプロパン)、および過硫酸カリウム(PPS)、もしくはそれらの任意の誘導体または組み合わせを使用し得る。
【0155】
開始剤のさらなる非限定的な実施形態は、上に記載されている。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される粒子のサイズは、平均サイズを表しているか、またはいくつかの実施形態では、複数の粒子複合材または粒子のメジアンサイズを表している。
【0157】
本明細書で言及されるように、「スラブ」、「人工大理石」、「人工石」、および「石英表面」という用語は、互換的に使用することができる。したがって、「スラブ」、「人工大理石」、「人工石」、および「石英表面」という用語のいずれかを参照する場合、すべての用語がカバーされることを意味する。
【0158】
いくつかの実施形態では、「スラブ」という用語は、スラブの任意の断片、領域、または部分にも関する。
【0159】
いくつかの実施形態では、「ポリマー安定剤」または「安定剤」という用語は、重合中の酸化、フリーラジカル形成、および架橋反応を防止する機能を有する、ポリマーなどの材料を指す。
【0160】
いくつかの実施形態では、「アルキル」という用語は、直鎖基および分岐鎖基を含む脂肪族炭化水素を表す。好ましくは、アルキル基は、21~100個の炭素原子、より好ましくは21~50個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば、「21~100」が、本明細書に記載されているときは常に、基は、この場合アルキル基は、21個の炭素原子、22個の炭素原子、23個の炭素原子など、100個を含むそれ以下の炭素原子を含有し得る。本発明の文脈において、「長鎖アルキル」は、その主鎖(連続的に共有結合した原子の最長経路)において少なくとも20個の炭素原子を有するアルキルである。したがって、短いアルキルは、20以下の主鎖炭素を有する。本明細書で定義されるように、アルキルは、置換または非置換であることができる。
【0161】
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される「アルキル」という用語は、飽和または不飽和炭化水素も包含し、したがって、この用語は、アルケニルおよびアルキニルをさらに包含する。
【0162】
いくつかの実施形態では、「アルケニル」という用語は、少なくとも2つの炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、本明細書で定義するような不飽和アルキルを表す。アルケニルは、本明細書中上記したように、1つ以上の置換基によって置換され得るか、または非置換であり得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書で定義される「アルキニル」という用語は、少なくとも2つの炭素原子および少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和アルキルである。アルキニルは、本明細書において上記したように、1つ以上の置換基によって置換され得るか、または非置換であり得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、「シクロアルキル」という用語は、環の1つ以上が完全に共役したパイ電子系を有さない、すべて炭素の単環式または縮合環(すなわち、隣接する炭素原子の対を共有する環)基を表す。本明細書に示すように、シクロアルキル基は、置換または非置換であり得る。
【0165】
いくつかの実施形態では、「アリール」という用語は、完全に共役したパイ電子系を有するすべて炭素の単環式または縮合環多環式(すなわち、隣接する炭素原子の対を共有する環)基を表す。アリール基は、本明細書に示すように、置換または非置換であり得る。
【0166】
いくつかの実施形態では、「アルコキシ」という用語は、本明細書で定義されるように、-O-アルキルおよび-O-シクロアルキル基の両方を表す。
【0167】
いくつかの実施形態では、「アリールオキシ」という用語は、本明細書で定義されるように、-O-アリールを表す。
【0168】
本明細書の一般式中のアルキル、シクロアルキル、およびアリール基の各々は、1つ以上の置換基によって置換されてもよく、それにより、各置換基は、独立して、置換される基と、分子内でのその位置に応じて、例えば、ハライド、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アルコキシ、ニトロ、アミン、ヒドロキシル、チオール、チオアルコキシ、チオヒドロキシ、カルボキシ、アミド、アリール、およびアリールオキシであることができる。追加の置換基も企図される。
【0169】
いくつかの実施形態では、「アクリロイル」という用語は、H2C=CH-C(=O)-R´基を表し、式中、R´は、本明細書で定義されるとおりである。
【0170】
いくつかの実施形態では、「ハライド」、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を表す。
【0171】
いくつかの実施形態では、「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハライド(複数可)によってさらに置換された、本明細書で定義されるアルキル基を表す。
【0172】
いくつかの実施形態では、「ハロアルコキシ」という用語は、1つ以上のハライド(複数可)によってさらに置換された、本明細書で定義されるアルコキシ基を表す。
【0173】
いくつかの実施形態では、「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を表す。
【0174】
いくつかの実施形態では、「チオヒドロキシ」または「チオール」という用語は、-SH基を表す。
【0175】
いくつかの実施形態では、「チオアルコキシ」という用語は、本明細書で定義されるように、-S-アルキル基および-S-シクロアルキル基の両方を表す。
【0176】
いくつかの実施形態では、「チオアリールオキシ」という用語は、本明細書で定義されるように、-S-アリールおよび-S-ヘテロアリール基の両方を表す。
【0177】
いくつかの実施形態では、「アミン」という用語は、本明細書に記載のR´およびR´´を有する、-NR´R´´基を表す。
【0178】
いくつかの実施形態では、「ヘテロアリール」という用語は、例えば、窒素、酸素、および硫黄などの1つ以上の原子を環(複数可)中に有し、さらに、完全に共役したパイ電子系を有する単環式または縮合環(すなわち、隣接する原子対を共有する環)基を表す。ヘテロアリール基の例としては、限定するものではないが、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、およびプリンが挙げられる。
【0179】
いくつかの実施形態では、「ヘテロ脂環式」または「ヘテロシクリル」という用語は、窒素、酸素、および硫黄などの1つ以上の原子を環中に有する単環式または縮合環基を表す。環は、1つ以上の二重結合も有し得る。しかしながら、環は、必ずしも完全に共役したパイ電子系を有しているとは限らない。非限定的な代表例は、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリノなどである。
【0180】
一部の実施形態では、「カルボキシ」または「カルボキシレート」という用語は、-C(=O)-OR´基を表し、式中、R´は、本明細書で定義されるように、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)またはヘテロ脂環式(環炭素を介して結合)である。
【0181】
いくつかの実施形態では、「カルボニル」という用語は、-C(=O)-R´基を表し、式中、R´は、上で定義したとおりである。
【0182】
上記の用語は、そのチオ誘導体(チオカルボキシおよびチオカルボニル)も包含する。
【0183】
いくつかの実施形態では、「チオカルボニル」という用語は、-C(=S)-R´基を表し、式中、R´は上で定義したとおりである。
【0184】
いくつかの実施形態では、「チオカルボキシ」基は、-C(=S)-OR´基を表し、R´は本明細書で定義されるとおりである。
【0185】
いくつかの実施形態では、「スルフィニル」基は、-S(=O)-R´基を表し、R´は本明細書で定義されるとおりである。
【0186】
いくつかの実施形態では、「スルホニル」または「スルホネート」基は、-S(=O)2-R´基を表し、式中、R´は本明細書で定義されるとおりである。
【0187】
いくつかの実施形態では、「カルバミル」または「カルバメート」基は、-OC(=O)-NR´R´´基を表し、式中、R´は本明細書で定義されるとおりであり、R´´はR´について定義されるとおりである。
【0188】
いくつかの実施形態では、「ニトロ」基は、-NO2基を指す。
【0189】
いくつかの実施形態では、「シアノ」または「ニトリル」基は、-C*N基を指す。
【0190】
いくつかの実施形態では、「アジド」という用語は、-N3基を指す。
【0191】
いくつかの実施形態では、「スルホンアミド」という用語は、-S(=O)2-NR´R´´基を指し、式中、R´およびR´´は本明細書で定義されるとおりである。
【0192】
いくつかの実施形態では、「ホスホニル」または「ホスホネート」という用語は、-O-P(=O)(OR´)2基を表し、式中、R´は上で定義したとおりである。
【0193】
いくつかの実施形態では、「ホスフィニル」という用語は、上で定義したR´およびR´´を有する-PR´R´´基を表す。
【0194】
いくつかの実施形態では、「アルカリル」という用語は、本明細書に記載のように、アリールによって置換されている、本明細書に定義されているアルキルを表す。例示的なアルカリルは、ベンジルである。
【0195】
いくつかの実施形態では、「ヘテロアリール」という用語は、例えば、窒素、酸素、および硫黄などの1つ以上の原子を環(複数可)中に有し、さらに、完全に共役したパイ電子系を有する単環式または縮合環(すなわち、隣接する原子対を共有する環)基を表す。ヘテロアリール基の例としては、限定するものではないが、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、およびプリンが挙げられる。ヘテロアリール基は、本明細書において上記したように、1つ以上の置換基によって置換され得るか、または非置換であり得る。代表的な例は、チアジアゾール、ピリジン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリンなどである。
【0196】
いくつかの実施形態では、本明細書で互換的に言及される「ハロ」および「ハライド」という用語は、本明細書ではフッ化物、塩化物、臭化物、およびヨウ化物とも称される、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素であるハロゲンの原子を表す。
【0197】
いくつかの実施形態では、「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハライド(複数可)によってさらに置換された、上で定義されるアルキル基を表す。
【0198】
一般的用語
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、±10%を指す。
【0199】
「含む(comprise)」、「を含む(comprising)」、「含む(includes)」、「を含む(including)」、「を有する(having)」という用語およびそれらの活用語は、「含むが限定されない」ことを意味する。「からなる」という用語は、「含みかつ限定される」ことを意味する。「から本質的になる」という用語は、組成、方法、または構造は、追加の成分、ステップ、および/または部分を含み得るが、追加の成分、ステップ、および/または部分は、クレームされる組成物、方法、または構造の基本的および新規な特性を具体的に変化させない、ことを意味している。
【0200】
「例示」という用語は、本明細書では、「例、事例、または例示として役立つ」ことを意味するために使用される。「例示」として記載した実施形態は、他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると必ずしも解釈されるべきではなく、かつ/または他の実施形態からの特徴の組み込みを必ずしも除外するものではない。
【0201】
本明細書では、「任意選択で」という用語は、「いくつかの実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味するために使用される。本発明の任意の特定の実施形態は、かかる特徴が矛盾しない限り、複数の「任意の」特徴を含み得る。
【0202】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「化合物」または「少なくとも1つの化合物」という用語は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0203】
本願全体を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での説明は、単に便宜性および簡潔性のためであり、本発明の範囲に関する確固たる限定として解釈するべきではないことを理解すべきである。したがって、範囲の説明は、すべての可能な部分範囲ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~3などの部分範囲、ならびに、例えば、その範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示していると考えるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0204】
本明細書で数値範囲が示される場合は常に、表示範囲内の任意の引用数字(分数または整数)を含むことを意味している。第1の表示数と第2の表示数の「間を範囲とする/間の範囲(ranging/ranges between)」および第1の表示数「から」第2の表示数「まで」「を範囲とする/までの範囲(ranging/ranges from)」というフレーズは、本明細書では互換的に使用され、第1および第2の表示数、ならびにそれらの間のすべての分数および整数を含むことを意味している。
【0205】
本明細書で使用される「方法」という用語は、所与のタスクを達成するための方法、手段、技法、および手順を指し、例えば、限定するものではないが、それらの様式、手段、技術、および手順は、化学および材料技術の実務者によって知られているか、または既知の様式、手段、技法、および手順から容易に開発される。
【0206】
本明細書で使用される場合、「処理する」という用語は、状態の進行、すなわち状態の審美的兆候の進行を、抑止し、実質的に阻害し、減速もしくは逆転させることを含む。
【0207】
「A、B、およびCなどの少なくとも1つ」に類似した条件が使用されるそれらの例では、一般に、かかる構文は、当業者が条件を理解するという意味で意図されている(例えば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」としては、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBが一緒、AとCが一緒、BとCが一緒、および/またはA、B、およびCが一緒などが挙げられるが、それらに限定されない)。説明、特許請求の範囲、または図面のいずれにおいても、2つ以上の代替的な用語を提示する、実質的に任意の選言語および/またはフレーズは、その用語のうちの1つ、その用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図していると理解されるべきであることは、当業者によってさらに理解されよう。例えば、フレーズ「AまたはB」は、「A」もしくは「B」または「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0208】
明確にするために別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供することもできる、ことが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な特徴は、別個に、または任意の好適なサブコンビネーションで、または本発明の他の説明された実施形態で好適に提供することもできる。様々な実施形態の文脈で説明されている特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしでは機能しない場合を除いて、それらの実施形態の本質的な特徴と見なされるべきではない。
【0209】
上で説明し、以下の特許請求の範囲で請求する本発明の様々な実施形態および態様に関して、以下の実施例において実験的裏付けが認められる。
【実施例
【0210】
上記の説明とともに、以下の実施例を参照し、本発明を非限定的な様式で例示する。
【0211】
特性評価方法
UV-A/UV-B光の6時間放射ならびに暗闇および湿気条件下で6時間の間隔で、100または200時間後の白色度(WI)を評価するために、分光光度計で複合材を調べた。UVA-340ランプの分光放射範囲は、300~400nmで、放射ピークは340nmである。UVB-313ランプの分光放射範囲は、275~370nmで、放射ピークは313nmである。UV実験は、ランプと試料との間の距離が50mmである7×15cmの試料寸法でQUVマシンによって行った。
【0212】
追加の例示的な手順において、複合材の耐光性特性は、以下に記載するように、ISO4892-2に従って試験した。
【0213】
イスラエル規格協会の標準No.4491に基づく内部標準に従って、Lloydデバイス、10kNのロードセル、試料サイズ20x10x150mm、およびバー速度10mm/分を使用することによって、曲げ弾性率および曲げ強度を試験した。
【0214】
ガラス転移温度(Tg)および熱変形温度(HDT)は、動的機械分析(DMA)技術を使用して測定した。
【0215】
実施例1
様々な複合材の機械的特性評価-パートA
材料および方法
例示的な手順では、曲げ強度、曲げ弾性率、および熱変形温度(HDT)を評価するために、10%の架橋ポリマーおよび90%の石英粒子を含む9つの異なる複合材を調べた。
【0216】
表1に示すように、これらの試料には以下のものが含まれていた:
●3タイプのアクリル単官能モノマー:(i)メチルメタクリレート(MMA)、(ii)n-ブチルアクリレート(n-BA)、(iii)2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、
●3タイプの直径の石英粒子:(i)0.2~0.5mm、(ii)0.06~0.2mm、(iii)0.001~0.05mm、
●0.02%トリエチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)、
●メトキシシランを含む0.12%のカップリング剤。
●過酸化ジ-ベンゾイル(DBP)開始剤、
●2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(TBP)、
●コアシェル強化剤(Arkema Inc.製XT-100)。
【表1】
【0217】
硬化は、100℃の温度で25~85分間行った。
【0218】
結果
【0219】
特性評価の結果を以下の表2にまとめる:
【表2】
【0220】
10%ではなく11.85%の架橋ポリマーを石英粒子と一緒に硬化させると、複合材は歪んで臭いがあった。
【0221】
実施例2
様々な複合材の機械的特性評価-パートB
材料および方法
特に明記しない限り、サンプルは以下のものを含有する:
●3タイプのアクリル単官能モノマー:(i)MMA、(ii)n-ブチルアクリレート(n-BA)、および(iii)2-EHAを含むポリマー主鎖、
●コアシェル強化剤(Arkema Inc.製XT-100またはDurastrength 480)、ジ-ベンゾイルペルオキシド(Arkema Inc.製Luperox 75、Luperox ANS50、Perkadox 16、またはParadox L40RPS)、
●トリエチレングリコールジメタクリレート-架橋剤1%(Arkema Inc.製SR-205)、
●白色顔料粉末または白色顔料ペースト(Florma製のチタンプレミックス、白色ペーストP1823、白色ペースト9660PU/WE-6-NM)、
●任意選択でメタクリル酸(MAA)3%、
●ポリメチルメタクリレート(PMMA)、および
●ポリウレタン樹脂(Rahn製G4230/G4267)。
【0222】
架橋ポリマーの様々な組成物(表3に示した)は、Tg(損失弾性率)、曲げ弾性率、最大負荷時の曲げ強度(上記のとおり)によって特徴付けられる。表4を参照されたい。
【表3】
【表4】
【0223】
耐光性検査
例示的な手順では、白色度指数(WI)を含むUV安定性を(上記のように)試験した。
【0224】
以下の表5は、表4でコード化した試料の白色度試験の結果を示している。
【表5】
【0225】
耐光性特性のさらなる特性評価は、アクリル樹脂対ポリエステル樹脂の比較研究の文脈において、以下の実施例8に示す。
【0226】
実施例3
樹脂含有量
追加の例示的な手順では、樹脂対無機骨材および/または鉱物の含有量が、アクリルスラブ特性に及ぼす影響を試験するために、以下の2タイプのフィラー組成物を試験した。
●タイプ1-「グレイン」-比較的大きな百分率の大型石英フラクションを特徴とする組成物。
●タイプ2-「ファイン」-比較的小さな百分率の小さな石英フラクションを特徴とする組成物。
【0227】
結果を以下の表6(タイプ1について)および7(タイプ2について)に要約する。
【表6】
【表7】
【0228】
実施例4
モノマー単位
追加の例示的な手順では、アクリルモノマー単位の組成物に関してスラブを試験した。以下の表8に示すように、2-EHAモノマー単位の主な利点は、スラブに望ましい柔軟性を付与する点にある。
【表8】
【0229】
実施例5
強化剤
追加の例示的な手順では、強化材の組み込みに関してスラブを試験した。以下の表9に示すように、強化材の主な利点は、スラブに望ましい柔軟性を付与する点にある。
【0230】
具体的には、表9に示すように、強化剤を組み込むと、曲げ強度の低下し、またTgおよびHDTが低下し、それは、架橋密度の低下およびスラブの柔軟性の向上を示している。
【表9】
【0231】
実施例6
アクリル対ポリエステル樹脂-比較研究
追加の例示的な手順では、アクリル系スラブ組成物を、ポリエステル系スラブ組成物と比較し、以下に説明し、表10に要約して、アクリル系組成物の利点を示した。
【0232】
ポリエステル系組成物は以下のものを含んでいた:
●石英-88%
●不飽和ポリエステル-11.9%
●アルコキシシラン-0.1%
【0233】
アクリル系組成物は以下のものを含んでいた:
●石英-88%
●アクリルモノマー混合物(樹脂)-11.9%*
●アルコキシシラン-0.1%
*樹脂組成物は以下のものを含んでいた:
●MMA-56.5%
●2-EHA-14%
●メタクリル酸-3%
●PMMA-20%
●PUジアクリレート(強化剤)-5%
●トリエチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)-1.5%
【0234】
追加の例示的な手順では、以下の表10に示すように、2つの異なる組成物が製造され、それらの耐光性について特性を評価した。
【表10】
【0235】
例示的な手順では、以下の適切な条件に従って混合物をプレスして硬化させた:
●試料#1-90℃で40分
●試料#2-90℃で55分
【表11】
【0236】
本明細書(表11)および上記(表10)に示すように、開示される複合材は、試験されたすべてのパラメータにおいて(特に、UVB-313およびキセノンランプへの曝露時のWIおよびデルタEの変化について)利点を示す。
【0237】
U.V.A.試験のさらなる結果を、以下の表12に示す。その結果は、アクリルスラブが、ポリエステルスラブよりもUV安定性に優れていることを実証している。したがって、ポリエステルの分解は、アクリルポリマーよりも速い。
【表12】
【0238】
硬化後、試料の耐光性を試験した。
【0239】
ポータブル分光光度計(DATACOLOR製)を使用して試料を測定し、L-a-b値を測定した。例示的な手順では、試料をアークキセノン機器(ATLAS製Sunset XXL+)に配置し、ISO 4892-2に従って試験を行った。
【0240】
試験条件は以下のとおりである:
●放射-65W/m2
●温度-38℃
●湿度-65%
●1サイクルあたり1000時間。
【0241】
例示的な手順では、1000時間サイクル後、試料のLab値を再度測定した。
【0242】
色の変化を示すために、デルタEを、次の式に従って計算した:
【数1】
式中、Delta L=L曝露後-L曝露前、デルタa=a曝露後-a曝露前
、デルタb=b曝露-b曝露前
【0243】
黄色度の変化については、Delta b(Delta b=b曝露後-b曝露前)を使用した。
【0244】
以下の表13は、試料#1(ポリエステル系)と試料#2(アクリル系)との間のデルタEおよびデルタb両方における差を示している。
【表13】
【0245】
これらを総合すると、アクリル系スラブは、ポリエステル系スラブと比較して大きな利点がある、と結論される。
【0246】
本発明を、その特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替、修正、および変形は、当業者に明らかであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲に該当するかかるすべての代替、修正、および変形を包含することが意図されている。
【0247】
本明細書で言及するすべての出版物、特許、および特許出願は、各個々の出版物、特許、または特許出願が、参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個々に示されているのと同程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本出願における参考文献の引用または確認は、かかる参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることの承認として解釈されてはならない。セクションの見出しが使用される場合、それらの見出しを必ずしも限定と解釈すべきではない。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C