(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】エノールエーテルプロ香料
(51)【国際特許分類】
C11B 9/00 20060101AFI20240110BHJP
C07C 43/166 20060101ALI20240110BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20240110BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240110BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20240110BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 9/02 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 9/04 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 19/04 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 3/00 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20240110BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C11B9/00 G
C07C43/166 CSP
C11B9/00 J ZAB
C11B9/00 L ZNM
C11B9/00 T
C11B9/00 D
A61K8/33
A61K8/34
A61K8/35
A61K8/37
A61Q9/02
A61Q13/00 101
A61Q5/02
A61Q5/10
A61Q5/06
A61Q11/00
A61Q15/00
A61Q9/04
A61Q19/04
A61Q3/00
A61Q1/00
A61Q1/14
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2020550628
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2019066356
(87)【国際公開番号】W WO2019243501
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-17
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ゲアリー ビー. ウーマック
(72)【発明者】
【氏名】ブリンダ インドラダス
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-167531(JP,A)
【文献】特表2004-502658(JP,A)
【文献】特表2016-522821(JP,A)
【文献】特表2012-502092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0118509(US,A1)
【文献】KANNO, T. et al.,Oxygenation of Aromatic Vinyl Ethers. A noticeableFormation of Epoxides and Reaction Mechanism,Bulletin of the Chemical Society of Japan,(1981), vol.54, No.8,PP.2330-2336,http://dx.doi.org/10.1246/bcsj.54.2330
【文献】LARHED, M. et al.,Chelation-Controlled, Palladium-Catalyzed Arylation of Vinyl Ethers,Acta Chemica Scandinavica.Series B: Organic chemistry and biochemistry,(1993), vol.47, no.2,pp.212-217,DOI 10.3891/acta.chem.scand.47-0212
【文献】MILATA, V. et al.,Product subclass 3: enol ethers,Science of Synthesis,(2008), vol.32,pp.700-756,DOI 10.1055/ sos-SD-032-00627
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 9/00- 9/02
C11D 1/00-19/00
A61K 9/00-47/69
A23L 9/00- 9/22
A23L27/00-27/60
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61L 9/00- 9/22
D06M13/00-15/715
C07C
C07D
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
FSTA(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下、
a)式(II)のケトン又はアルデヒド
【化1】
[式中、nは、0~5の整数を示し、
R
1は、同時に又は独立して、芳香族環の少なくとも1つの置換基を示し、かつヒドロキシル基、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基又はRCOO基、ROCO基(Rは水素原子又はC
1-4アルキル基である)であり、又は2つの隣接するR
1は、一緒の場合に、-O-(CH
2)
m-O-(mは1又は2である)を示すか、又は1つもしくは1超のヒドロキシル基、1つもしくは1超のC
1-3アルキル基及び/又は1つもしくは1超のC
1-3アルコキシ基によって任意に置換されているC
5-10の飽和環もしくは不飽和環を形成し、
R
2は、水素原子、C
1-6アルキル基、又はヒドロキシル基、C
1-3アルキル基、C
1-3アルコキシ基、RCOOもしくはROCO基(Rは、互いに独立して、水素原子又はC
1-4アルキル基である)によって任意に置換されているC
6-10芳香族基を示す]、
b)式(III)のギ酸エステル
【化2】
[式中、R
3、R
4及びR
5は、同時に又は独立して、水素原子、又は任意に酸素原子1~3個を含むC
1-18炭化水素基であり、又はR
3及びR
4は、一緒の場合に、任意に酸素原子1~3個を含むC
3-18炭化水素基を示す]、及び
c)式(IV)のアルコール
【化3】
[式中、R
3、R
4及びR
5は、前記で定義した意味と同一の意味を有する]
からなる群から選択される化合物を、式(I)の前駆化合物を
、触媒の非存在下で周囲条件に曝すことによって、前駆化合物から放出するための方法であって、前駆化合物が、式(I)
【化4】
[式中、n、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、前記で定義した意味と同一の意味を有する]の化合物を含
み、
前記周囲条件が、室温、周囲空気、大気圧であることを含む、前記方法。
【請求項2】
nが0、1又は2である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R
1が、同時に又は独立して、ヒドロキシル基、C
1-4アルキル基又はC
1-3 アルコキシ基を示し、又は2つの隣接するR
1が、一緒の場合に、-O-CH
2-O-基、-(CH
2)
4-基、-(CH)
4-基を示す、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
R
2が、水素原子、C
1-3アルキル基又はフェニル基を示す、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
R
3が、任意に酸素原子1~3個を含むC
2-18炭化水素基を示す、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
R
3が、C
4-10直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル、アルケニル又はアルカジエニル基、任意にヒドロキシル基、C
1-3アルキル基もしくはC
1-3アルコキシ基によって置換されているフェニル基、ベンジル基、C
7-16アリールアルキル基又はスチリル基、フェノキシメチル基、又は任意にエーテル官能基を含むC
8-15飽和又は不飽和脂環式基を示し、R
4及びR
5が、同時に又は独立して、水素原子、又はC
1-6アルキル基もしくはC
2-6アルケニル基を示し、又はR
3及びR
4が、一緒の場合に、C
5-12直鎖又は分枝鎖のアルカンジイル基もしくはアルケンジイル基、又はC
5-12脂環式基を示す、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
式(II)、(III)又は(IV)の化合物の少なくとも1つが付香成分である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
式(II)、(III)又は(IV)の化合物の少なくとも2つが付香成分である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
付香組成物、付香組成物を取り巻く空気、
表面又は着香物品
のにおい特性を付与、増強、改善又は改変するための方法であって、請求項1から8までのいずれか1項において定義した式(I)の少なくとも1つの化合物
を有効量
で、前記組成物、
前記空気又は
前記物品に付加すること、又
は前記表面
に接触させる又は処理することを含む、前記方法。
【請求項10】
経時的に式(II)の少なくとも1つの活性アルデヒド又はケトン、式(III)の少なくとも1つの活性ギ酸エステル及び/又は式(IV)の少なくとも1つの活性アルコールを放出させることを可能にしやすい条件下で、請求項1から8までのいずれか1項において定義した少なくとも1つの化合物(I)で処理した、又は少なくとも1つの化合物(I)を含む組成物又は物品で処理した、付香組成物を
取り巻く表面又は空気上で、請求項1から8までのいずれか1項において定義した式(II)の少なくとも1つの活性アルデヒド又はケトン、式(III)の少なくとも1つの活性ギ酸エステル及び/又は式(IV)の少なくとも1つの活性アルコールの特有のフレグランスの拡散効果を増強又は延長するための方法。
【請求項11】
式(I)
【化5】
[式中、nは、0~5の整数を示し、
R
1
は、同時に又は独立して、芳香族環の少なくとも1つの置換基を示し、かつヒドロキシル基、C
1-6
アルキル基、C
1-6
アルコキシ基又はRCOO基、ROCO基[式中、Rは水素原子又はC
1-4
アルキル基である]であり;又は2つの隣接するR
1
は、一緒の場合に、-O-(CH
2
)
m
-O-[式中、mは1又は2である]を示し、又は任意に1つ又は1超のヒドロキシル基、1つ又は1超のC
1-3
アルキル基及び/又は1つ又は1超のC
1-3
アルコキシ基によって置換されたC
5-10
飽和又は不飽和環を形成し、
R
2
は、C
1-6
アルキル基を示し、
R
3
は、C
4-10
直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル基、アルケニル基又はアルカジエニル基、ベンジル基、又はヒドロキシル基、C
1-3
アルキル基又はC
1-3
アルコキシ基によって任意に置換されるC
7-16
アリールアルキル基、フェノキシメチル基、又はエーテル官能基を任意に含むC
8-15
飽和又は不飽和脂環式基を示し、
R
4
及びR
5
は、同時に又は独立して、水素原子、又はC
1-6
アルキル基又はC
2-6
アルケニル基を示し、又はR
3
及びR
4
は、一緒の場合に、C
5-12
直鎖又は分枝鎖のアルカンジイル基又はアルケンジイル基、又はC
5-12
脂環式基を示す]の化合物であって、
(2-((3-メチルブテ-2-エン-1-イル)オキシ)ビニル)ベンゼン、(1-(イソペンチルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(2-(ペンチルオキシ)ビニル)ベンゼン、(1-(ドデシルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(2-(ヘキシルオキシ)ビニル)ベンゼン、(2-(ヘプチルオキシ)ビニル)ベンゼン、(2-(オクチルオキシ)ビニル)ベンゼン、(1-(2-シクロヘキシルエトキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)オキシ)ビニル)ベンゼン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、(2-(シクロヘキシルオキシ)ビニル)ベンゼン、1-(2-(シクロヘキシルオキシ)ビニル)-4-メトキシベンゼン、(1-(2-シクロヘキシルエトキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン及び1-メチル-4-(1-((2-フェニルシクロヘキシル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼンを除く、化合物。
【請求項12】
以下、
i) 請求項
11において定義した式(I)の化合物の少なくとも1つ、
ii) 香料キャリヤー及び香料ベースからなる群から選択される成分の少なくとも1つ、並びに
i
ii) 任意に香料補助剤の少なくとも1つ
を含む、付香組成物。
【請求項13】
請求項
11において定義した式(I)の少なくとも1つの化合物、又は請求項
12において定義した付香組成物を含む、着香消費者製品。
【請求項14】
着香消費者製品が、香料、布地用ケア製品、ボディケア製品、化粧品配合物、スキンケア製品、エアケア製品又はホームケア製品であることを特徴とする、請求項
13に記載の着香消費者製品。
【請求項15】
着香消費者製品が、精製した香料、スプラッシュ又はオーデパヒューム、コロン、シェーブローション又はアフターシェーブローション、液体又は固形洗剤、布地用柔軟剤、布地用リフレッシャー、アイロン水、紙、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品、シャンプー、染毛料、カラーケア製品、ヘアシェーピング製品、デンタルケア製品、消毒剤、インティメイトケア製品、ヘアスプレー、バニシングクリーム、デオドラント又は発汗抑制剤、脱毛剤、日焼け
又は日焼け止め用製品、爪用製品、スキンクレンジング、メイクアップ、着香石鹸、シャワー又はバス用のムース、オイル又はゲル、又はフット/ハンドケア製品、衛生製品、エアフレッシュナー、「すぐに使用できる」粉末状エアフレッシュナー、カビ取り剤、ファーニッシャーケア、ワイプ、皿用洗剤又は硬質表面洗剤、レザーケア製品、カーケア製品であることを特徴とする、請求項
14に記載の着香消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロ香料(properfume)化合物としての式(I)の化合物に関する。特に、本発明は、酸化させる環境に式(I)の化合物を曝すことによって、式(II)のケトン又はアルデヒド、式(III)のギ酸エステル、及び/又は式(IV)のアルコールである化合物を放出するための方法に関する。さらに、本発明は、式(I)の少なくとも1つの化合物を含む香料組成物及び香料消費者製品に関する。
【0002】
背景技術
香料産業は、いくつかのフレグランスの混合物の付香効果を一定期間にわたって同時に延長又は増強できる組成物又は添加剤に特に関心がある。揮発性が高すぎるか又はそれ自体の持続性が不十分であり、又は最終用途の表面上に少量しか堆積されない、標準的な香料原料の長期持続特性を得ることが特に望ましい。さらに、いくつかの香料成分、特にアルデヒドは、不安定であり、かつそれらの使用前のゆっくりとした分解に対して保護される必要がある。長期持続する香料は、例えば精製した又は機能的な香料又は化粧品配合物のような、種々の用途のために望ましい。織物の洗浄及び軟化は、活性物質、特に香料又は付香組成物成物の効果を、洗浄、軟化及び乾燥後の一定期間有効にすることを可能にすることが常に要求されている特定の分野である。確かに、このタイプの用途に特に適した多くの活性物質は、洗濯物に粘着しないか、又は漱いだ場合に洗濯物に残っていないことが公知であり、その結果、付香効果は短時間のみであり、それほど強くない。香料産業におけるこのタイプの適用の重要性に関して、この分野の研究は、特に前述した問題に対する新しいより効果的な解決策を見出すことを目的として継続されている。
【0003】
驚くべきことに、本発明によるエノールエーテル化合物は、前記問題を解決し、かつ式(II)のケトン又はアルデヒド、式(III)のギ酸エステル及び/又は式(IVのアルコールである化合物を効率的に放出することができる。我々の知る限り、アリルエーテル誘導体を開示している国際公開第2014/180791号(WO2014/180791)などの先行技術において、構造類似体のみが報告されている。
【0004】
発明の説明
嗅覚は、複雑で動的なプロセスであり、揮発性フレグランス化合物の放出プロフィールを制御することで、フレグランス配合物の影響を最大化し、感覚的経験を豊かにしうる。プロフレグランス、例えば本発明の化合物は、揮発性の高い香料原料(PRM)の放出プロフィールに制御及び長期持続の大きさを付加する。
【0005】
特定の理論に限定されることを意図することなく、本発明の化合物は、PRMを分子アンカーに繋ぎ、そして特定の環境条件下で特定の反応機構を要求して揮発性物質PRMをこのアンカーから放出することによって、香料組成物の嗅覚特性に対するそれらの効果を達成しうる。本発明において、2つのPRMの二峰性の放出は、プロフレグランスが周囲空気中の酸素に曝される場合に、酸化によって刺激される。
【0006】
本発明の第一の目的は、
a)式
【化1】
[式中、nは、0~5の整数を示し、
R
1は、同時に又は独立して、芳香族環の少なくとも1つの置換基を示し、かつヒドロキシル基、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基又はRCOO基、ROCO基(Rは水素原子又はC
1-4アルキル基である)であり、又は2つの隣接するR
1は、一緒の場合に、-O-(CH
2)
m-O-(mは1又は2である)を示すか、又は1つもしくは1超のヒドロキシル基、1つもしくは1超のC
1-3アルキル基及び/もしくは1つもしくは1超のC
1-3アルコキシ基によって任意に置換されているC
5-10の飽和環もしくは不飽和環を形成し、
R
2は、水素原子、C
1-6アルキル基、又はヒドロキシル基、C
1-3アルキル基、C
1-3アルコキシ基、RCOOもしくはROCO基(Rは、互いに独立して、水素原子又はC
1-4アルキル基である)によって任意に置換されているC
6-10芳香族基を示す]のケトン又はアルデヒド、
b)式
【化2】
[式中、R
3、R
4及びR
5は、同時に又は独立して、水素原子、又は任意に酸素原子1~3個を含むC
1-18炭化水素基であり、又はR
3及びR
4は、一緒の場合に、任意に酸素原子1~3個を含むC
3-18炭化水素基を示す]のギ酸エステル、及び
c)式
【化3】
[式中、R
3、R
4及びR
5は、前記した意味と同一の意味を有する]のアルコール
からなる群から選択される化合物を、式(I)の前駆化合物を、化合物を酸化させる環境、例えば周囲条件に曝すことによって、前駆化合物から放出するための方法であり、ここで、式(II)、(III)又は(IV)の化合物の少なくとも1つは、活性化合物であり、前駆化合物は、式(I)
【化4】
[式中、n、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、前記した意味と同一の意味を有する]の化合物を含む。
【0007】
「活性化合物」、「活性揮発性化合物」、「活性揮発性アルデヒド、ケトン、ギ酸エステル及び/又はアルコール」又は同様の用語は、アルデヒド、ケトン、ギ酸エステル及び/又はアルコール化合物が、その周囲環境に利益又は効果をもたらすことができると理解される。特に、「活性化合物」は、付香成分、フレーバー付与成分、悪臭中和成分及び昆虫忌避剤又は誘引剤成分からなる群から選択される。したがって、「活性化合物」として見なされるために、化合物は、付香成分、悪臭中和成分、フレーバー付与成分、及び/又は昆虫忌避剤もしくは誘引剤として有用となる少なくとも1つの特性を有するべきである。
【0008】
「付香成分」という用語は、心地よい効果を付与するための付香調製物又は組成物中の有効成分として使用される化合物と理解される。言い換えれば、付香成分であると考えられるべき化合物は、ポジティブ又は好ましい方法で組成物のにおいを付与又は改質することができると、及び単に1つのにおいを有するだけでないと香料の当業者によって認識される必要がある。「フレーバー付与」という用語は、テイスターのパレットに味覚を付与できることと理解される。「悪臭中和成分」という用語は、悪臭の、すなわち人間の鼻に対して不愉快又は不快であるにおいの知覚を低減することができると理解される。「昆虫誘引剤又は忌避剤」という用語は、昆虫に対して正又は負の効果を有する化合物と理解される。昆虫誘引剤又は忌避剤成分の例は、参考文献又は同様の特徴の他の著作、例えば:A. M. El-Sayed, The Pherobase 2005, http://www.pherobase.netにおいて見出される。
【0009】
本発明の前記及び下記の実施形態に従って、本発明による方法は、活性化合物が付香成分、すなわち付香アルデヒド、ケトン、ギ酸エステル及び/又はアルコールである場合に特に有用である。「付香アルデヒド、ケトン、ギ酸エステル及び/又はアルコール」は、香料産業において使用されている化合物、すなわち付香調製物又は組成物において活性成分として使用してその周囲に快楽効果を付与する化合物を意味する。言い換えれば、付香成分であると考えられるべきかかるアルデヒド、ケトン、ギ酸エステル及び/又はアルコールは、ポジティブ又は好ましい方法で組成物のにおいを付与又は改質することができると、及び単に1つのにおいを有するだけでないと香料の当業者によって認識される必要がある。付香アルデヒド、ケトン、ギ酸エステル及び/又はアルコールは、天然源又は合成源のものであってよい。多くのこれらの補助成分は、いずれにしても、参考文献、例えばS. ArctanderによるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、又はその最新版において、又は同様の種類の他の著作において、並びに香料の分野における豊富な特許文献において挙げられている。
【0010】
本明細書において記載される、「付香アルデヒド、ケトン、ギ酸エステル及び/又はアルコール」という用語は、「付香化合物」とも言われる。
【0011】
特に、本発明は、活性アルデヒド、ケトン、ギ酸エステル又はアルコールの正確な特性とは無関係に、同様の方法で正確に実施される。したがって、たとえ本発明が、「付香化合物」に対する特定の参照と共に本明細書で以下でさらに説明された場合であっても、以下の実施形態は、他の活性アルデヒド、ケトン、ギ酸エステル及び/又はアルコールにも適用できる(すなわち、「付香」の表現を、例えば「フレーバー付与」、「悪臭中和成分」、「昆虫誘引剤」又は「昆虫忌避剤」に置き換えることができる)。
【0012】
「炭化水素基」という用語は、水素原子及び炭素原子からなる基であり、かつ脂肪族炭化水素、すなわち直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素(例えばアルキル基)、直鎖又は分枝鎖の不飽和炭化水素(例えばアルケニル基又はアルキニル基)、飽和環状炭化水素(例えば、シクロアルキル)もしくは不飽和環状炭化水素(例えばシクロアルケニル又はシクロアルキニル)の形であってよく、又は芳香族炭化水素、すなわちアリール基の形であってよく、又は前記タイプの基の混合物の形であってもよく、例えば特定の基は、1つのタイプのみに特定の制限が言及されていない限り、直鎖アルキル、分枝鎖アルケニル(例えば、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する分枝鎖アルケニル)、(ポリ)シクロアルキル及びアリール部分を含んでいてよいと理解される。同様に、本発明の全ての実施形態において、基が1超のタイプのトポロジー(例えば直鎖、環状又は分枝鎖)の形であってよく及び/又は飽和又は不飽和(例えばアルキル、芳香族又はアルケニル)であってよいと言及される場合に、前記トポロジーのいずれか1つを有するか又は前記で説明したような飽和もしくは不飽和である部分を含みうる基も意味する。同様に、本発明の全ての実施形態において、基が飽和又は不飽和(例えばアルキル)の1つのタイプの形である場合に、前記基が、トポロジー(例えば直鎖、環状又は分枝鎖)のいずれかのタイプであるか又は種々のトポロジーを有するいくつかの部分を有しうることを意味する。「アリールアルキル」という用語は、当該技術分野において通常の意味を有し、すなわち1つの水素原子がアリール基で置換されている環状アルキル基である。「脂環式基」という用語は、当該技術分野では通常の意味を有し、すなわち、脂肪族及び環状の双方であり、飽和又は不飽和のいずれかであってよい1つ以上の全炭素環を含む有機化合物である。
【0013】
「酸素原子1~3個を含む」という表現又は同様の表現は、官能基、例えば、エーテル、アセタール、エステル、アルデヒド、ケトン、カルボキシレート又はアルコールを含むと理解される。
【0014】
「1つ又は1超のヒドロキシル基、1つ又は1超のC1-3アルキル基及び/又は1つ又は1超のC1-3アルコキシ基によって置換される」という表現又は同様の表現はヒドロキシル基、1~4個、C1-3アルキル基1~6個及び/又はC1-3アルコキシ基1~6個によって置換されている、特にヒドロキシル基1~3個、C1-3アルキル基1~5個及び/又はC1-3アルコキシ基1~3個によって置換されていると理解される。
【0015】
前記実施形態のいずれか1つに従って、式(I)及び(II)の化合物は、nが0、1又は2であると定義される。好ましくは、nは0又は1であってよい。
【0016】
任意の実施形態に従って、式(I)及び(II)の化合物は、R1は、同時に又は独立して、ヒドロキシル基、C1-4アルキル基又はC1-3 アルコキシ基を示し、又は2つの隣接するR1は、一緒の場合に、-O-CH2-O-基、-(CH2)4-基、-(CH)4-基を示すと定義される。好ましくは、式(I)及び(II)の化合物は、R1は、同時に又は独立して、メチル基、エチル基、メトキシ基及びエトキシ基を示し、又は2つの隣接するR1は、一緒の場合に、-(CH2)4-基又は-(CH)4-基を示すと定義される。
【0017】
任意の実施形態に従って、式(I)及び(II)の化合物は、R2が、水素原子、C1-3アルキル基又はフェニル基を示すと定義される。好ましくは、R2は、水素原子、メチル基又はフェニル基を示してよい。
【0018】
前記実施形態のいずれか1つに従って、R3、R4及びR5は、少なくとも5個の炭素原子を含む。
【0019】
任意の実施形態に従って、式(III)の化合物は、80~230g/molである分子量及びC5-18化合物である式(R3)(R4)(R5)COHの活性アルコールに由来する。
【0020】
任意の実施形態に従って、式(IV)の化合物は、80~230g/molである分子量及びC5-18化合物である式(R3)(R4)(R5)COHの活性アルコールである。
【0021】
任意の実施形態に従って、式(I)、(III)及び(IV)の化合物は、R3が、任意に炭素原子1~3個を含むC2-18炭化水素基を示すと定義される。好ましくは、式(I)、(III)及び(IV)の化合物は、R3が、C4-10直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基、アルケニル基又はアルカジエニル基、任意にヒドロキシル基、C1-3アルキル基もしくはC1-3アルコキシ基によって置換されているフェニル基、ベンジル基、C7-16アリールアルキル基又はスチリル基、フェノキシメチル基、又は任意にエーテル官能基を含むC8-15飽和又は不飽和脂環式基を示してよいと定義される。好ましくは、R3は、C4-10直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基又はアルケニル基、任意にヒドロキシル基、C1-3アルキル基もしくはC1-3アルコキシ基によって置換されているフェニル基、ベンジル基又はC7-10アリールアルキル基、フェノキシメチル基、又は任意にエーテル官能基を含むC8-15飽和又は不飽和脂環式基を示してよい。好ましくは、R3は、C4-10直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基又はアルケニル基、任意にヒドロキシル基、C1-3アルキル基もしくはC1-3アルコキシ基によって置換されているフェニル基、ベンジル基又はC7-10アリールアルキル基、又はフェノキシメチル基を示してよい。さらにより好ましくは、R3は、C4-10直鎖、分枝鎖もしくは環状のアルキル基又はアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、又はフェノキシメチル基を示してよい。
【0022】
任意の実施形態に従って、R4及びR5は、同時に又は独立して、水素原子、又はC1-6アルキル基又はC2-6アルケニル基を示してよい。好ましくは、R4及びR5は、同時に又は独立して、水素原子、又はC1-6アルキル基を示してよい。好ましくは、R4及びR5は、同時に又は独立して、水素原子、又はC1-3アルキル基を示してよい。好ましくは、R4は、水素原子又はC1-3アルキル基を示してよく、R5は、水素原子又はメチル基を示してよい。さらにより好ましくは、R4は、水素原子又はメチル基を示してよく、R5は、水素原子又はメチル基を示してよい。
【0023】
任意の実施形態に従って、R3及びR4は、一緒の場合に、C5-12直鎖もしくは分枝鎖のアルカンジイル基又はアルケンジイル基、又はC5-12脂環式基を示してよい。好ましくは、R3及びR4は、一緒の場合に、C8-12直鎖もしくは分枝鎖のアルカンジイル基又はアルケンジイル基を示してよい。さらにより好ましくは、R3及びR4は、一緒の場合に、C8-12直鎖もしくは分枝鎖のアルカンジイル基を示してよい。
【0024】
任意の実施形態に従って、式(II)のアルデヒド又はケトン、式(III)のギ酸エステル、及び/又は式(IV)の活性アルコールは、付香成分である。当業者にとって、本発明による化合物が、本質的に揮発性化合物であることは明らかでもある。任意の実施形態に従って、式(II)、(III)又は(IV)の少なくとも1つは、付香成分である。好ましくは、式(II)、(III)又は(IV)の少なくとも2つは、付香成分である。
【0025】
アルデヒド、ケトン、ギ酸エステル及び/又はアルコールは、ソフトウェアEPIwin v.3.10(2000年、米国環境保護庁(US Environmental Protection Agency)で入手可能)を使用して算出することによって得られるように、1.0Pa超の蒸気圧によって有利に特徴付けられてよい。他の実施形態に従って、アルデヒド、ケトン、ギ酸エステル及び/又はアルコールの蒸気圧は、5.0Pa超、又は7.0Pa超であってよい。いくつかの実施形態に従って、アルデヒド、ケトン、ギ酸エステル及び/又はアルコールの蒸気圧は、1.0Pa未満であってよい。
【0026】
一実施形態において、式(I)の化合物は不揮発性である。式(I)の化合物は、ソフトウェアEPIwin v.3.10(2000年、米国環境保護庁で入手可能)を使用して算出することによって得られるように、0.01Pa未満の蒸気圧によって有利に特徴付けられてよい。一実施形態に従って、蒸気圧は、0.001Pa未満である。
【0027】
任意の実施形態に従って、式(II)のケトン又はアルデヒドは、ベンズアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-エチルベンズアルデヒド、4-イソプロピルベンズアルデヒド、4-(tert-ブチル)ベンズアルデヒド、4-メトキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-カルバルデヒド、バニリン、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-ホルミル-2-メトキシフェニルアセテート、4-ホルミル-2-メトキシフェニルイソブチレート、3,5,5,6,7,8,8-ヘプタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-カルバルデヒド、アセトフェノン、プロピオフェノン、2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、p-メチルアセトフェノン、p-イソプロピルアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、p-メトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、1-(5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オン、1-(ナフタレン-2-イル)エタン-1-オン、1-(p-トリル)プロパン-1-オン、1-(1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イル)エタン-1-オン、1-(3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オン、1-(6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニル)-1-エタノン、(3-イソプロピル-1,1,2,6-テトラメチル-5-インダニル)-1-エタノン、4-tert-ブチル-2,6-ジメチル-1-アセトフェノン及び1-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノンからなる群から選択される。
【0028】
任意の実施形態に従って、式(II)のケトン又はアルデヒドは、アセトフェノン、ベンズアルデヒド、ベンゾフェノン、p-メチルアセトフェノン、p-メトキシアセトフェノン、1-(ナフタレン-2-イル)エタン1-オン、1-(5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オン、プロピオフェノン、1-フェニルブタン-1-オン、及び2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンから選択される。
【0029】
任意の実施形態に従って、式(III)のギ酸エステルは、フェネチルホルメート、3,7-ジメチルオクテ-6-エン-1-イルホルメート、2-フェノキシエチルホルメート、1-((1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-イルホルメート、オクタン-3-イルホルメート、(1RS,2SR,5RS)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシルホルメート、1-((2-(tert-ブチル)シクロヘキシル)オキシ)ブタン-2-イルホルメート、2,6-ジメチルオクテ-7-エン-2-イルホルメート、3,7-ジメチルオクタン-3-イルホルメート、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イルホルメート、2,6-ジメチルヘプタン-2-イルホルメート、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、イソプロピルホルメート、ブチルホルメート、ペンチルホルメート、2-メチルブチルホルメート、3-メチルブチルホルメート、ブタン-2-イルホルメート、2-メチルプロピルホルメート、シクロヘキシルホルメート、ヘキシルホルメート、ヘプチルホルメート、オクチルホルメート、ノニルホルメート、デシルホルメート、3-オクチルホルメート、ベンジルホルメート、3,7-ジメチルオクテ-6-エニルホルメート、シンナミルホルメート、4-メトキシベンジルホルメート、(E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルホルメート、(Z)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イルホルメート、2-ヘキセニルホルメート、3-ヘキセニルホルメート、3,5,5-トリメチルヘキシルホルメート、2-フェニルエチルホルメート、2-(フェノキシ)エチルホルメート、3-フェニルプロピルホルメート、3-メチルブテ-2-エニルホルメート、ボルニルホルメート、イソボルニルホルメート、2-メチル-5-(プロペ-1-エン-2-イル)シクロヘキセ-2-エン-1-イルホルメート、セドリルホルメート、シクロドデカイルホルメート、デカヒドロナフタレン-2-イルホルメート、メンチルホルメート、1-フェニルエチルホルメート、5-メチル-2-(プロペ-1-エン-2-イル)シクロヘキシルホルメート、3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-1H-4,7-メタノインデン-5-イルホルメート、3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-1H-4,7-メタノインデン-6-イルホルメート、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エチルホルメート、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イルホルメート及び3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-イルホルメート及び2,6-ジメチルオクタ-2,7-ジエン-1-イルホルメートからなる群から選択される。
【0030】
任意の実施形態に従って、ギ酸エステル(III)は、フェネチルホルメート、3-ヘキセニルホルメート、オクチルホルメート、デシルホルメート、3,7-ジメチルオクテ-6-エン-1-イルホルメート、2-フェノキシエチルホルメート、1-((1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-イルホルメート、ヘキシルホルメート、ベンジルホルメート、オクタン-3-イルホルメート、(1RS,2SR,5RS)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシルホルメート、シクロドデカイルホルメート、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エチルホルメート、1-((2-(tert-ブチル)シクロヘキシル)オキシ)ブタン-2-イルホルメート、2,6-ジメチルオクテ-7-エン-2-イルホルメート、3,7-ジメチルオクタン-3-イルホルメート、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イルホルメート、2,6-ジメチルヘプタン-2-イルホルメートから選択される。
【0031】
任意の実施形態に従って、アルコールは、2-フェニルエタン-1-オール、オクタン-1-オール、ヘキセ-3-エン-1-オール、3,7-ジメチルオクテ-6-エン-1-オール、デカン-1-オール、2-フェノキシエタン-1-オール、1-((1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、オクタン-3-オール、(1RS,2SR,5RS)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1-オール、1-((2-(tert-ブチル)シクロヘキシル)オキシ)ブタン-2-オール、2,6-ジメチルオクテ-7-エン-2-オール、3,7-ジメチルオクタン-3-オール、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オール、2,6-ジメチルヘプタン-2-オール、メタノール、エタノール、プロパン-1-オール、プロパン-2-オール、ブタン-1-オール、ペンタン-1-オール、2-メチルブタン-1-オール、3-メチルブタン-1-オール、ブタン-2-オール、2-メチルプロパン-1-オール、シクロヘキサノール、ヘキサン-1-オール、ヘプタン-1-オール、ノナン-1-オール、フェニルメタノール、3,7-ジメチルオクテ-6-エン-1-オール、3-フェニルプロペ-2-エン-1-オール、(4-メトキシフェニル)メタノール、(E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール、(Z)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール、ヘキセ-2-エン-1-オール、3,5,5-トリメチルヘキサン-1-オール、3-フェニルプロパン-1-オール、3-メチルブテ-2-エン-1-オール、1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール、1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オール、2-メチル-5-(プロペ-1-エン-2-イル)シクロヘキセ-2-エン-1-オール、(3S,3aR,6R,7S,8aS)-3,6,8,8-テトラメチルオクタヒドロ-1H-3a,7-メタノアズレン-3-オール、シクロドデカノール、デカヒドロナフタレン-2-オール、2-イソプロプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1-オール、1-フェニルエタン-1-オール、5-メチル-2-(プロペ-1-エン-2-イル)シクロヘキサン-1-オール、3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-1H-4,7-メタノインデン-5-オール、3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-1H-4,7-メタノインデン-6-オール、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エタン-1-オール、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オール、3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール及び2,6-ジメチルオクタ-2,7-ジエン-1-オールからなる軍から選択される。
【0032】
任意の実施形態に従って、アルコールは、2-フェニルエタン-1-オール、オクタン-1-オール、ヘキセ-3-エン-1-オール、ヘプタン-1-オール、ノナン-1-オール、デカン-1-オール、2-フェノキシエタン-1-オール、1-((1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、ヘキサン-1-オール、フェニルメタノール、オクタン-3-オール、3,7-ジメチルオクテ-6-エン-1-オール、(1RS,2SR,5RS)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサン-1-オール、シクロドデカノール、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エタン-1-オール、1-((2-(tert-ブチル)シクロヘキシル)オキシ)ブタン-2-オール、2,6-ジメチルオクテ-7-エン-2-オール、3,7-ジメチルオクタン-3-オール、2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オール、及び2,6-ジメチルヘプタン-2-オールからなる群から選択される。
【0033】
任意の実施形態に従って、式(I)の化合物は、(1-(オクチルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-(((Z)-ヘキセ-3-エン-1-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-(デシルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-フェネトキシプロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-((3,7-ジメチルオクテ-6-エン-1-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-(2-フェノキシエトキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-((1-((1R,6S)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-(ヘキシルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-(ベンジルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-(オクタン-3-イルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-(((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、((2-フェニルプロペ-1-エン-1-イル)オキシ)シクロドデカン、(1-(1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エトキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-((1-((2-(tert-ブチル)シクロヘキシル)オキシ)ブタン-2-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-((2,6-ジメチルオクテ-7-エン-2-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-((3,7-ジメチルオクタン-3-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-((2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(1-((2,6-ジメチルヘプタン-2-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(2-(((Z)-ヘキセ-3-エン-1-イル)オキシ)ビニル)ベンゼン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、(2-((3,7-ジメチルオクテ-6-エン-1-イル)オキシ)ビニル)ベンゼン、(2-(オクタン-3-イルオキシ)ビニル)ベンゼン、(2-(2-フェノキシエトキシ)ビニル)ベンゼン、(Z)-(2-(ヘキセ-3-エン-1-イルオキシ)エテン-1,1-ジイル)ジベンゼン、(2-フェネトキシエテン-1,1-ジイル)ジベンゼン、(1-フェネトキシブテ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(3-メチル-1-フェネトキシブテ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-フェネトキシプロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メチル-4-(1-(オクチルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-(1-(ヘキシルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)-4-メチルベンゼン、1-(1-(((Z)-ヘキセ-3-エン-1-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)-4-メチルベンゼン、1-(1-((3,7-ジメチルオクテ-6-エン-1-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)-4-メチルベンゼン、1-メチル-4-(1-(2-フェノキシエトキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、6-(1-フェネトキシプロペ-1-エン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、6-(1-(ヘキシルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、6-(1-(オクチルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、6-(1-(((Z)-ヘキセ-3-エン-1-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、6-(1-((3,7-ジメチルオクテ-6-エン-1-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、6-(1-(2-フェノキシエトキシ)プロペ-1-エン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、2-(1-フェネトキシプロペ-1-エン-2-イル)ナフタレン、2-(1-((3,7-ジメチルオクテ-6-エン-1-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ナフタレン、2-(1-(((Z)-ヘキセ-3-エン-1-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ナフタレン、2-(1-(ペンチルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ナフタレン、2-(1-(ヘキシルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ナフタレン、2-(1-(オクチルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ナフタレン、2-(1-(2-フェノキシエトキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ナフタレン、2-(1-(ヘプチルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ナフタレン、2-(1-(ノニルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ナフタレン、2-(1-(デシルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ナフタレン、2-(1-(オクタン-3-イルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ナフタレン、1-(1-(((Z)-ヘキセ-3-エン-1-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)-4-メトキシベンゼン、1-メトキシ-4-(1-(オクチルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、1-(1-(ヘキシルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)-4-メトキシベンゼン、1-メトキシ-4-(1-(2-フェノキシエトキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、及び1-(1-((3,7-ジメチルオクテ-6-エン-1-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)-4-メトキシベンゼンからなる群から選択される。
【0034】
一実施形態において、式(II)、(III)又は(IV)の少なくとも2つは、活性化合物である。
【0035】
代わりの実施形態において、式(II)、(III)又は(IV)は、活性化合物である。
【0036】
任意の実施形態に従って、式(II)のケトン又はアルデヒド、式(III)のギ酸エステル及び式(IV)のアルコールは、周囲条件下で式(I)の前駆体化合物の酸化を介して式(I)の前駆体化合物から放出される。さらに、式(I)の前駆体化合物は、周囲条件下で、及び触媒の非存在下で酸化される。明確性の理由から、「周囲条件」の表現又は同様の表現に関しては、当業者によって理解される通常の意味を意味し、すなわち、酸化は、室温、空気、日光及び大気圧下で生じる。言い換えれば、化合物が酸化される環境は空気である。これにより、式(I)の化合物は、周囲空気中で酸化されると理解される。特に、式(I)の化合物は、酸化させるために純粋な酸素環境、熱又は触媒を必要としないと理解される。
【0037】
特定の理論に限定されることを意図することはないが、式(I)の前駆体化合物が酸化される速度は、式(II)の個々のケトン又はアルデヒド、式(III)のギ酸エステル、又は式(IV)のアルコールの蒸発速度よりも大きいか、等しいか、又は遅くてよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、式(I)の前駆体化合物が酸化される速度、及びしたがって、式(II)の個々のケトン又はアルデヒド、式(III)のギ酸エステル、又は式のアルコールが放出される速度は、前記で定義したように、式(II)の少なくとも1つの活性アルデヒ又はケトン、式(III)の少なくとも1つの活性ギ酸エステル及び/又は式(IV)の少なくとも1つの活性アルコールの特徴的なフレグランスの拡散効果及び/又は知覚を強化又は延長させる。
【0039】
一実施形態において、式(I)の化合物の100%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の90%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の80%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の70%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の60%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の50%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の40%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の30%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の20%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の10%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の9%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の8%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の7%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の6%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の5%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の4%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の3%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の2%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。代わりに、式(I)の化合物の1%が、24~48時間の範囲の期間で周囲空気中で酸化される。
【0040】
一実施形態において、式(I)の化合物はカプセル化される。式(I)の少なくとも1つの化合物は、マイクロカプセル中でカプセル化されうる。一実施形態において、式(I)の少なくとも1つの化合物は、コアシェルマイクロカプセル中でカプセル化され、その際式(I)の化合物は、シェルによって覆われたコア中に含まれる。マイクロカプセルのシェルは、環境から式(I)の化合物を保護する。シェルは、式(I)の化合物、並びに/又は式(II)、(III)及び/又は(IV)の活性化合物を放出することができる材料から構成される。一実施形態において、シェルは、シェルの破損で及び/又はシェルを介して拡散によって、式(I)の化合物、並びに/又は式(II)、(III)及び/又は(IV)の活性化合物を放出することができる材料から構成される。当業者は、前記マイクロカプセルを調製するためのプロセスをよく知っている。
【0041】
本発明のマイクロカプセルからのポリマーシェルの性質は変化しうる。非限定的な例として、シェルは、アミノプラストベース、ポリウレアベース、又はポリウレタンベースであってよい。シェルは、ハイブリッド、すなわち、有機無機、例えば架橋された少なくとも2つのタイプの無機粒子から構成されるハイブリッドシェル、又はポリアルコキシシランマクロモノマー組成物の加水分解及び縮合反応から生じるシェルであってもよい。
【0042】
一実施形態に従って、シェルは、アミノプラストコポリマー、例えばメラミン-ホルムアルデヒド又は尿素-ホルムアルデヒド又は架橋メラミンホルムアルデヒド又はメラミングリオキサールを含む。
【0043】
他の実施形態に従って、シェルは、例えば、これらに限定されないが、イソシアネートベースのモノマー及びアミン含有架橋剤、例えば炭酸グアニジン及び/又はグアナゾールから構成されるポリウレアベースである。好ましいポリウレアマイクロカプセルは、少なくとも2つのイソシアネート官能基を含む少なくとも1つのポリイソシアネートと、アミン(例えば、水溶性グアニジン塩及びグアニジン)からなる群から選択される少なくとも1つの反応物との間の重合の反応生成物であるポリウレア壁;コロイド状安定剤又は乳化剤;カプセル化された香料を含む。しかしながら、アミンの使用は省略できる。
【0044】
特定の実施形態に従って、コロイド安定剤は、0.1%~0.4%のポリビニルアルコールと0.6%~1%のビニルピロリドンのカチオン性コポリマーと四級化ビニルイミダゾールとの水溶液を含む(全てのパーセンテージは、コロイド状安定剤の合計量に対する質量によって定義される)。他の実施形態に従って、乳化剤は、好ましくは、アラビアゴム、大豆タンパク質、ゼラチン、カゼインナトリウム及びそれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性又は両親媒性生体高分子である。
【0045】
他の実施形態に従って、シェルは、例えばこれらに限定されないが、ポリイソシアネート及びポリオール、ポリアミド、ポリエステル等から構成されるポリウレタンベースである。
【0046】
コアシェルマイクロカプセルの水性分散液/スラリーの調製は、当業者に周知である。一態様において、前記マイクロカプセル壁材料は、任意の適した樹脂を含んでよく、特にメラミン、グリオキサール、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル等を含んでよい。適した樹脂は、アルデヒドとアミンとの反応生成物を含み、適したアルデヒドは、ホルムアルデヒド及びグリオキサールを含む。適したアミンは、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、及びそれらの混合物を含む。適したメラミンは、メチロールメラミン、メチル化メチロールアミン、イミノメラミン、及びそれらの混合物を含む。適した尿素は、ジメチロール尿素、メチル化ジメチロール尿素、尿素レソルシノール、及びそれらの混合物を含む。製造に適した材料は、以下の会社、Solutia Inc.(St Louis、Missouri U.S.A.)、Cytec Industries(West Paterson、New Jersey U.S.A.)、Sigma-Aldrich(St. Louis、Missouri U.S.A.)の1社以上から入手できる。
【0047】
特定の実施形態に従って、コアシェルマイクロカプセルは、ホルムアルデヒド不含カプセルである。アミノプラストホルムアルデヒド不含マイクロカプセルスラリーの製造のための典型的なプロセスは、
1)以下、
a)メラミン、又はメラミンと2つのNH2官能基を含む少なくとも1つのC1~C4化合物との混合物の形でのポリアミン成分、
b)グリオキサール、C4-62,2-ジアルコキシ-エタノール及び任意にグリオキサレートの混合物であって、1/1~10/1のグリオキサール/C4-62,2-ジアルコキシ-エタノールのモル比を有する混合物の形でのアルデヒド成分、
c)プロトン酸触媒
の反応生成物を含むか、又はそれらを共に反応させることによって得られるオリゴマー組成物を調製するステップ、
2)液滴サイズが、1~600μmであり、かつ
i. 油状物、
ii. 水媒体、
iii. ステップ1で得られるような少なくとも1つのオリゴマー組成物、
iv. 以下から選択される少なくとも1つの架橋剤
A)C4~C12芳香族又は脂肪族のジイソシアネート又はトリイソシアネート及びそれらのビウレット、トリウレット、トリマー、トリメチロールプロパン付加物及びそれらの混合物、及び/又は
B)式
A-(オキシラン-2-イルメチル)n
[式中、nは、2又は3を示し、かつAは、任意に窒素原子及び/又は酸素原子2~6個を含むC2~C6基を示す]のジオキシラン又はトリオキシラン化合物
v.任意に2つのNH2官能基を含むC1~C4化合物
を含む水中油系分散液を調製するステップ、
3)前記分散液を加熱するステップ、
4)前記分散液を冷却するステップ
を含む。
【0048】
このプロセスは、国際公開第2013/068255号(WO 2013/068255)において詳細に記載されており、その内容は参照をもって本明細書に組み込まれる。
【0049】
他の実施形態に従って、マイクロカプセルのシェルは、ポリウレアベース又はポリウレタンベースである。ポリウレアベース及びポリウレタンベースのマイクロカプセルスラリーの調製方法の例は、例えば、国際公開番号第2007/004166号(WO2007/004166)、欧州特許第2300146号明細書(EP 2300146)、欧州特許第2579976号明細書(EP2579976)において記載されており、その内容は参照をもって本明細書に組み込まれる。典型的に、ポリウレアベース又はポリウレタンベースのマイクロカプセルスラリーの調製方法は、
a)油中で少なくとも2つのイソシアネートを有する少なくとも1つのポリイソシアネートを溶解して油相を形成するステップ、
b)乳化剤又はコロイド状安定剤の水溶液を調製して水相を形成するステップ、
c)油相を水相に添加して、平均液滴サイズが1~500μm、好ましくは5~50μmである水中油系分散液を形成するステップ、
d)界面重合を誘導し、スラリーの形でマイクロカプセルを形成するために十分な条件を適用するステップ
を含む。
【0050】
いくつかの態様において、式(I)の化合物のカプセル化は、式(I)の化合物の全て又は一部を酸化させ、それによって式(II)の個々のケトン又はアルデヒド、式(III)のギ酸エステル又は式(IV)のアルコールを放出しうるカプセル内の環境を提供しうる。いくつかの実施形態において、マイクロカプセルのシェルは、透過性バリアとして作用し、カプセルからの式(II)の個々のケトン又はアルデヒド、式(III)のギ酸エステル又は式(IV)のアルコールの漏出を防止してよい。
【0051】
本発明における使用に適したマイクロカプセルの例は、これらに限定されないが、国際公開第2007/026307 A2号(WO 2007/026307 A2)に開示されているマイクロカプセルを含む。さらなる例は、国際公開第2006/006003号(WO 2006/006003 A1)に開示されているマイクロカプセルを含む。さらなる例は、国際公開第2006/018964号(WO 2006/018964 A1)に開示されているマイクロカプセルを含む。さらなる例は、国際公開第2007/096790号(WO 2007/096790 A1)に開示されているマイクロカプセルを含む。さらなる例は、国際公開第2009/153695号(WO 2009/153695 A1)に開示されているマイクロカプセルを含む。さらなる例は、欧州特許第2379047号明細書(EP2379047)に開示されているマイクロカプセルを含む。
【0052】
式(I)の化合物をカプセル化する方法の例は、これらに限定されないが、国際公開第2007/026307 A2号(WO 2007/026307 A2)に開示されているマイクロカプセルを含む。さらなる例は、国際公開第2014/029695号(WO 2014/029695 A1)に開示されているマイクロカプセルを含む。さらなる例は、国際公開第2006/006003号(WO 2006/006003 A1)に開示されているマイクロカプセルを含む。さらなる例は、国際公開第2006/018964号(WO 2006/018964 A1)に開示されているマイクロカプセルを含む。さらなる例は、国際公開第2007/096790号(WO 2007/096790 A1)に開示されているマイクロカプセルを含む。さらなる例は、国際公開第2009/153695号(WO 2009/153695 A1)に開示されているマイクロカプセルを含む。さらなる例は、欧州特許第2379047号明細書(EP2379047)に開示されているマイクロカプセルを含む。
【0053】
本発明の他の目的は、前記で定義した式(I)の少なくとも1つの化合物を有効量で組成物又は物品に付加する、又は前記で定義した式(I)の少なくとも1つの化合物の有効量で表面に接触させる又は処理することを含む、付香組成物、付香組成物を取り巻く空気、表面又は着香物品のにおい特性を付与、増強、改善又は改変するための方法又はプロセスである。本明細書において使用される「表面」という用語は、式(I)の少なくとも1つの化合物を含む又は含有する香料組成物を適用する、使用者の皮膚、毛髪、織物、又は硬質表面を示してよい。
【0054】
本発明の他の目的は、経時的に式(II)の少なくとも1つの活性アルデヒド又はケトン、式(III)の少なくとも1つの活性ギ酸エステル及び/又は式(IV)の少なくとも1つの活性アルコールを放出させることを可能にしやすい条件下で、前記で定義した式(I)の少なくとも1つの化合物で、又は式(I)の少なくとも1つの化合物を含む組成物又は物品で処理した表面上で、前記で定義した式(II)の少なくとも1つの活性アルデヒド又はケトン、式(III)の少なくとも1つの活性ギ酸エステル及び/又は式(IV)の少なくとも1つの活性アルコールの拡散効果を増強又は延長するための方法、又はそれらの特徴的フレグランスの知覚である。
【0055】
さらに、本発明は、
i)前記で定義した式(I)の化合物の少なくとも1つ、
ii)香料キャリヤー及び香料ベースからなる群から選択される成分の少なくとも1つ、並びに
iii)任意に香料補助剤の少なくとも1つ
を含む、付香組成物に関する。
【0056】
「香料キャリヤー」に関しては、本明細書では、香料の観点から事実上中性である、すなわち付香成分の感覚刺激性の特性を著しく変更しない材料を意味する。前記キャリヤーは、液体又は固体であってよい。
【0057】
液体キャリヤーとしては、乳化系、すなわち溶剤及び界面活性剤系、又は香料において通常使用される溶剤を挙げてよいが、これらに制限されない。香料において通常使用される溶剤の性質及びタイプの詳細な説明は網羅できない。しかしながら、最も通常使用される溶剤、例えばブチレン又はプロピレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコール及びそのモノエーテル、1,2,3-プロパントリイルトリアセテート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、1,3-ジアセチルオキシプロパン-2-イルアセテート、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアルコール、2-(2-エトキシエトキシ)-1-エタノール、又はトリエチルシトレート、又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに制限されない。香料キャリヤー及び香料ベースの双方を含む組成物に関して、前記したものよりも適した他の香料キャリヤーは、エタノール、水/エタノール混合物、リモネン、又は他のテルペン、イソパラフィン、例えば商標名Isopar(登録商標)(供給元:Exxon Chemical)又はグリコールエーテル及びグリコールエーテルエステル、例えば商標名Dowanol(登録商標)(供給元:Dow Chemical Company)、又は硬化ヒマシ油、例えば商標名Cremophor(登録商標)RH 40(供給元:BASF)で公知のものであってもよい。
【0058】
固体キャリヤーは、付香組成物又は付香組成物のいくつかの要素を、化学的又は物理的に結合することができる材料を示すことを意味する。一般に、かかる固体キャリヤーは、組成物又はいくつかの成分の蒸発の速度を調整するために、組成物を安定化するために使用される。固体キャリヤーの使用は、当該技術分野において現在使用されており、当業者は所望の効果に達成するための方法を知っている。しかしながら、固体キャリヤーの制限のない例に関しては、吸収性ゴム又はポリマー又は無機材料、例えば多孔質ポリマー、シクロデキストリン、木質材料、有機もしくは無機ゲル、粘土、石膏タルク又はゼオライトが挙げられる。
【0059】
固体キャリヤーの他の制限のない例としては、カプセル化材料を挙げてよい。かかる材料の例は、造壁材料及び可塑材料、例えば単糖、二糖又は三糖、天然デンプン又は化工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、タンパク質又はペクチン、又はさらに、参考文献、例えばH. Scherz, Hydrokolloide: Stabilisatoren, Dickungs- und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitaet, Behr's Verlag GmbH & Co., Hamburg, 1996において挙げられている材料を含んでよい。カプセル化は、当業者に周知の方法であり、かつ例えば噴霧乾燥、凝集又はさらに押し出しのような技術を使用して実施されてよく、又はコアセルベーション及び複合コアセルベーション技術を含む被覆カプセル化からなる。
【0060】
固体キャリヤーの制限のない例としては、特に、任意にポリマー安定剤又はカチオン性コポリマーの存在下で、重合によって、界面重合によって、コアセルベーションによって、又はその全てによって(前記技術の全ては先行技術に記載されている)誘発される相分離プロセスのような技術を使用したアミノプラスト、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレアもしくはポリウレタンタイプの樹脂又はそれらの混合物(前記樹脂の全ては当業者に周知である)でのコア-シェルカプセルを挙げてよい。
【0061】
樹脂は、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、2,2-ジメトキシエタノール、グリオキサール、グリオキシル酸又はグリコールアルデヒド及びそれらの混合物)と、アミン、例えば尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、メラミン、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、グアナゾール等、及びそれらの混合物との重縮合によって製造されうる。代わりに、予め形成した樹脂、アルキル化ポリアミン、例えば商標名Urac(登録商標)(供給元:Cytec Technology Corp.)、Cymel(登録商標)(供給元:Cytec Technology Corp.)、Urecoll(登録商標)又はLuracoll(登録商標)(供給元:BASF)で市販されているものを使用してよい。
【0062】
他の樹脂は、ポリオール、例えばグリセロール、及びポリイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネートの三量体、又はキシリレンジイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット、又はキシリレンジイソシアネートの三量体と、トリメチロールプロパン(Takenate(登録商標)の商標名で公知、供給元:Mitsui Chemicals)との、中でもキシリレンジイソシアネートの三量体とトリメチロールプロパン及びヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとの重縮合によって製造されるものである。
【0063】
アミノ樹脂、すなわちメラミンベースの樹脂とアルデヒドとの重縮合による香料のカプセル化に関する生産的な文献のいくつかは、Acta PolymericaにおいてK. Dietrichら(1989年、第40巻、243頁、325頁及び683頁、並びに1990年、第41巻、91頁)によって公表されているような記事により示されている。かかる文献は、さらに詳細に説明され、かつ特許文献に例示されている先行技術の方法に従って、かかるコアシェルマイクロカプセルの製造に影響を与える種々のパラメータを既に記載している。米国特許第4396670号明細書(US 4’396'670)(Wiggins Teape Group Limited)は、該文献の適切な初期の例である。それ以来、多くの他の著者は、この分野の文献を充実させており、出版されたすべての進展内容をここで網羅することは不可能であるものの、カプセル化技術の一般知識は非常に重要である。かかるマイクロカプセルの適切な使用を開示している最近の関連文献の代表例は、例えば、H.Y.LeeらのJournal of Microencapsulation(2002年、第19巻、559頁~569頁)の論文、国際公開第01/41915号(WO 01/41915)、又はさらにS.BoneらのChimia(2011年、第65巻、177頁~181頁)の論文である。
【0064】
「香料ベース」という用語、少なくとも1つの付香補助成分を含む組成物と理解される。
【0065】
前記付香補助成分は、本発明による化合物ではない。さらに、「付香補助成分」という用語は、心地よい効果を付与するための付香調製物又は組成物において使用される化合物と理解される。言い換えれば、付香補助成分であると考えられるべきかかる補助成分は、ポジティブ又は好ましい方法で組成物のにおいを付与又は改質することができると、及び単に1つのにおいを有するだけでないと当業者によって認識される必要がある。
【0066】
いずれにしても網羅的とはならないであろう前記ベース中に存在する付香補助成分の性質及びタイプは、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、その際当業者は、一般の知識に基づいて、及び任意の使用又は適用及び所望された感覚刺激性効果に従って、前記ベースを選択することができる。一般的な用語で、これらの付香補助成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン炭化水素、窒素又は硫黄の複素環化合物及び精油と多様な化学品種に属し、かつ付香補助成分は、天然又は合成由来のものであってよい。
【0067】
特に、類似の嗅覚ノートを有することについて公知の付香補助成分を挙げてよく、例えば以下のものである:
特に、香料配合物において慣用的に使用される付香補助成分を挙げてよく、例えば以下のものである:
- アルデヒド成分:デカナール、ドデカナール、2-メチル-ウンデカナール、10-ウンデカナール、オクタナール及び/又はノネナール;
- 芳香性ハーブ成分:ユーカリ油、樟脳、オイカリプトール、メントール及び/又はアルファ-ピネン;
- バルサム成分:クマリン、エチルバニリン及び/又はバニリン;
- シトラス成分、ジヒドロミリセノール、シトラール、オレンジ油、リナリルアセテート、シトロネリルニトリル、オレンジテルペン、リモネン、1-P-メンテン-8-イルアセテート及び/又は1,4(8)-P-メンタジエン;
- フローラル成分:メチルジヒドロジャスモネート、リナロール、シトロネロール、フェニルエタノール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-2-メチルプロパナール、ヘキシルシンナムアルデヒド、ベンジルアセテート、ベンジルサリチレート、テトラヒドロ-2-イソブチル-4-メチル-4(2H)-ピラノール、ベータイオノン、メチル2-(メチルアミノ)ベンゾエート、(E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、ヘキシルサリチレート、3,7-ジメチル-1,6-ノナジエン-3-オール、3-(4-イソプロピルフェニル)-2-メチルプロパナール、バージルアセテート、ゲラニオール、P-メンタ-1-エン-8-オール、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアセテート、4-シクロヘキシル-2-メチル-2-ブタノール、アミルサリチレート、高シスメチルジヒドロジャスモネート、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、バージルプロピオネート、ゲラニルアセテート、テトラヒドロリナロール、シス-7-P-メタノール、プロピル(S)-2-(1,1-ジメチルプロポキシ)プロパノエート、2-メトキシナフタレン、2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート、4/3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、4-フェニル-2-ブタノン、イソノニルアセテート、4-(1,1-ジメチルエチル)-1-シクロヘキシルアセテート、バージルイソブチレート及び/又はメチルイオノン異性体の混合物;
- フルーティー成分:ガンマウンデカラクトン、4-デカノリド、エチル2-メチル-ペンタノエート、ヘキシルアセテート、エチル2-メチルブタノエート、ガンマノナラクトン、アリルヘプタノエート、2-フェノキシエチルイソブチレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテート及び/又はジエチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート;
- グリーン成分:2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルバルデヒド、2-tert-ブチル-1-シクロヘキシルアセテート、スチラリルアセテート、アリル(2-メチルブトキシ)アセテート、4-メチル-3-デセン-5-オール、ジフェニルエーテル、(Z)-3-ヘキセン-1-オール及び/又は1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン;
- ムスク成分:1,4-ジオキサ-5,17-シクロヘプタデカンジオン、ペンタデカノリド、3-メチル-5-シクロペンタデセン-1-オン、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-シクロペンタ-g-2-ベンゾピラン、(1S,1’R)-2-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシ]-2-メチルプロピルプロパノエート、ペンタデカノリド及び/又は(1S,1’R)-[1-(3’,3’-ジメチル-1’-シクロヘキシル)エトキシカルボニル]メチルプロパノエート;
- ウッディー成分:1-(オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-1-エタノン、パチュリ油、パチュリ油のテルペン画分、(1’R,E)-2-エチル-4-(2’,2’,3’-トリメチル-3’-シクロペンテン-1’-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、メチルセドリルケトン、5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-3-メチルペンタン-2-オール、1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,6,7,8,8a-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタン-1-オン及び/又はイソボルニルアセテート;
- 他の成分(例えばアンバー、パウダリースパイシー又はウォータリー):ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチル-ナフト[2,1-b]フラン及び任意のその立体異性体、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、オイゲノール、シンナムアルデヒド、チョウジ油、3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-2-メチルプロパナール及び/又は3-(3-イソプロピル-1-フェニル)ブタナール。
【0068】
本発明による香料ベースは、これらに制限されないが前記した付香補助成分であってよく、これらの補助成分の多くは、いずれにしても、参考文献、例えばS. ArctanderによるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、又はその最新版において、又は同様の種類の他の著作において、並びに香料の分野における豊富な特許文献において挙げられている。前記補助成分は、制御された方法で種々のタイプの付香化合物を放出することが公知の化合物であってもよいとも解される。
【0069】
「香料補助剤」という用語、追加の付加効果、例えば色、特定の耐光性、化学安定性等を付与することができる成分と理解される。付香ベースにおいて慣用的に使用される補助剤の性質及びタイプの詳細な説明は網羅的なものにはなりえないが、しかし該成分が当業者に周知であることを挙げるべきである。しかしながら、特定の制限のない例として以下を挙げてよい:粘性剤(例えば、界面活性剤、増粘剤、ゲル化及び/又はレオロジー改質剤)、安定剤(例えば、防腐剤、酸化防止剤、熱/光及び又は緩衝液又はキレート剤、例えばBHT)、着色剤(例えば、染料及び/又は顔料)、防腐剤(例えば、抗菌剤又は抗微生物剤又は抗真菌剤又は抗刺激剤)、研磨剤、皮膚冷刺激剤、固定剤、昆虫忌避剤、軟膏、ビタミン及びそれらの混合物。
【0070】
当業者は、付香組成物の前記構成成分を混和することによって、単に当該技術分野の標準的な知識を適用することによって、及び試行錯誤方法論によって、所望の効果に最適な配合物を完全に設計することができると理解される。
【0071】
少なくとも1つの本発明の式(I)の化合物及び少なくとも1つの香料キャリヤーからなる本発明の組成物は、本発明の特定の実施形態を示し、及び少なくとも1つの本発明の化合物、少なくとも1つの香料キャリヤー、少なくとも1つの香料ベース、及び場合により少なくとも1つの香料補助剤を含む付香組成物を示す。
【0072】
ここで、前記組成物において、1つ以上の本発明の化合物又は同様のタイプの他の前駆体を有する可能性は、香料製造者が、アコード、香料を製造すること、本発明の種々の化合物のにおい香調を呈すること、したがって作成の目的のために新たな構成単位を作成することが可能であるために重要であることを挙げることが有用である。
【0073】
明確性の理由から、本発明の化合物が出発生成物、中間生成物又は最終生成物として含まれる、化学合成から直接得られるあらゆる混合物、例えば十分な精製を行っていない反応媒体は、該混合物が、香料のための適した形で本発明による化合物を提供しない限りは、本発明に従った付香組成物として考えられないことも理解される。したがって、未精製の反応混合物は、一般に、特に明記されない限り本発明から除外される。
【0074】
さらに、本発明の化合物は、現在の香料、すなわち精製した香料又は機能的香料の全ての分野において、前記(I)を付加する消費者製品のにおいをポジティブに付与する又は改良するために、有利に使用されてよい。したがって、本発明は、前記で定義した少なくとも1つの式(I)の化合物又は前記で定義した付香組成物を含む着香消費者製品にも関する。
【0075】
明確性の理由から、「着香消費者製品」という用語は、少なくとも1つの心地よい付香効果を、付香効果が適用される表面(例えば皮膚、髪、織物、又は硬質表面)に提供することが期待された消費者製品と理解されることに注意すべきである。言い換えれば、本発明による着香消費者製品は、機能的な調合物、並びに場合により所望の消費者製品に対応する追加の有効物質、例えばコンディショナー、洗剤又はエアフレッシュナー、及び嗅覚有効量の本発明による化合物の少なくとも1つを含む、着香消費者製品である。明確性の理由から、前記付香消費者製品は、食用でない生成物である。
【0076】
いずれにしても網羅的とはならないであろう付香消費者製品の成分の性質及びタイプは、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、その際当業者は、一般的な知識に基づいて、及び該製品の性質及び所望の効果に従って、前記ベースを選択することができる。
【0077】
一実施形態において、前記着香消費者製品は、香水、布地用ケア製品、ボディケア製品、化粧品配合物、スキンケア製品、エアケア製品又はホームケア製品である。
【0078】
適した着香消費者製品の制限のない例は、香料、例えば精製香料、スプラッシュ又はオーデパルファム、コロン又はシェーブもしくはアフターシェーブローション;布地用ケア製品、例えば液体又は固形洗剤、布地用柔軟剤、液体もしくは固体の香りブースター、布地用リフレッシャー、アイロン水、紙、漂白剤、カーペットクリーナー、カーテンケア製品;ボディケア製品、例えばヘアケア製品(例えば、シャンプー、染毛料又はヘアスプレー、カラーケア製品、ヘアシェーピング製品)、デンタルケア製品、消毒剤、インティメイトケア製品;化粧品配合物(例えば、スキンクリーム又はローション、バニシングクリーム又はデオドラント又は発汗抑制剤(例えばスプレー又はロールオン)、脱毛剤、日焼け用又は日焼け後の製品、爪用製品、スキンクレンジング、メイクアップ);又はスキンケア製品(着香石鹸、シャワー又はバス用のムース、オイルもしくはゲル、又は衛生製品、又はフット/ハンドケア製品);エアケア製品、例えば住宅スペース(部屋、冷蔵庫、食器棚、靴箱又は車)において及び/又は公共スペース(ホール、ホテル、モール等)において使用されうるエアフレッシュナー又は「すぐに使用できる」粉末状エアフレッシュナー;又はホームケア製品、例えばカビ取り剤、ファーニッシャーケア製品、ワイプ、皿用洗剤又は硬質表面(例えば、床、浴槽、サニタリー又は窓洗浄)洗剤;レザーケア製品;カーケア製品、例えば磨き剤、ワックス又はプラスチッククリーナーを含む。
【0079】
本発明の化合物中に導入されてよい布地用洗剤組成物及び柔軟剤組成物の典型的な例は、国際公開第97/34986号、又は米国特許第4,137,180号明細書及び第5,236,615号明細書、又は欧州特許第799 885号明細書において記載されている。使用されうる他の典型的な洗剤組成物及び柔軟剤組成物は、著書、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, vol.20, Wiley-VCH, Weinheim, p. 355-540 (2012); Flick, Advanced Cleaning Product Formulations, Noye Publication, Park Ridge, New Jersey(1989); Showell, in Surfactant Science Series, vol. 71: Powdered Detergents, Marcel Dekker, New York (1988); Proceedings of the World Conference on Detergents (4th, 1998, Montreux, Switzerland), AOCS printにおいて記載されている。
【0080】
種々の前記物品又は組成物中に組込まれてよい本発明による化合物における割合は、広い範囲の値で変動する。これらの値は、着香されるべき物品又は生成物の性質に、並びに所望の嗅覚効果、及び本発明による化合物が、付香補助成分、溶剤又は先行技術において通常使用される添加剤と混合される場合に、所与の組成物における補助成分の性質に依存する。
【0081】
例えば、典型的に濃度は、組込まれてよい組成物の質量に対して、本発明の化合物の0.001質量%~10質量%、又はそれ以上の範囲である。これらより低い濃度、例えば0.001質量%~5質量%の範囲は、これらの化合物が、前記の種々の消費者製品の付香又はフレーバー付与において直接適用される場合に使用されてよい。
【0082】
さらに、本発明は、式(I)
【化5】
[式中、nは、0~5の整数を示し、
R
1は、同時に又は独立して、芳香族環の少なくとも1つの置換基を示し、かつヒドロキシル基、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基又はRCOO基、ROCO基[式中、Rは水素原子又はC
1-4アルキル基である]であり;又は2つの隣接するR
1は、一緒の場合に、-O-(CH
2)
m-O-[式中、mは1又は2である]を示し、又は任意に1つ又は1超のヒドロキシル基、1つ又は1超のC
1-3アルキル基及び/又は1つ又は1超のC
1-3 アルコキシ基によって置換されたC
5-10飽和又は不飽和環を形成し、
R
2は、水素原子、C
1-6アルキル基を示し、
R
3は、C
4-10直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル基、アルケニル基又はアルカジエニル基、ベンジル基、又はヒドロキシル基、C
1-3アルキル基又はC
1-3アルコキシ基によって任意に置換されるC
7-16アリールアルキル基、フェノキシメチル基、又はエーテル官能基を任意に含むC
8-15飽和又は不飽和脂環式基を示し、
R
4及びR
5は、同時に又は独立して、水素原子、又はC
1-6アルキル基又はC
2-6 アルケニル基を示し、又はR
3及びR
4は、一緒の場合に、C
5-12直鎖又は分枝鎖のアルカンジイル基又はアルケンジイル基、又はC
5-12脂環式基を示す]の化合物に関するが、
但し、(2-((3-メチルブテ-2-エン-1-イル)オキシ)ビニル)ベンゼン、(1-(イソペンチルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(2-(ペンチルオキシ)ビニル)ベンゼン、(1-(ドデシルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、(2-(ヘキシルオキシ)ビニル)ベンゼン、(2-(ヘプチルオキシ)ビニル)ベンゼン、(2-(オクチルオキシ)ビニル)ベンゼン、(1-(2-シクロヘキシルエトキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン、2-(3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-イル)オキシ)ビニル)ベンゼン、(2-フェネトキシビニル)ベンゼン、(2-(シクロヘキシルオキシ)ビニル)ベンゼン、1-(2-(シクロヘキシルオキシ)ビニル)-4-メトキシベンゼン(1-(2-シクロヘキシルエトキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン及び1-メチル-4-(1-((2-フェニルシクロヘキシル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼンを除く。
【0083】
式(I)の化合物の例示的な実施形態は、前記したものである。
【0084】
本発明は、式(I)
【化6】
[式中、n、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、前記で定義したものと同様の意味を有する]の少なくとも1つの化合物を、
a)式
【化7】
[式中、nは、0~5の整数を示し、
R
1は、同時に又は独立して、芳香族環の少なくとも1つの置換基を示し、かつヒドロキシル基、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基又はRCOO基、ROCO基(Rは水素原子又はC
1-4アルキル基である)であり、又は2つの隣接するR
1は、一緒の場合に、-O-(CH
2)
m-O-(mは1又は2である)を示すか、又は1つもしくは1超のヒドロキシル基、1つもしくは1超のC
1-3アルキル基及び/もしくは1つもしくは1超のC
1-3アルコキシ基によって任意に置換されているC
5-10の飽和環もしくは不飽和環を形成し、
R
2は、水素原子、C
1-6アルキル基、又はヒドロキシル基、C
1-3アルキル基、C
1-3アルコキシ基、RCOOもしくはROCO基(Rは、互いに独立して、水素原子又はC
1-4アルキル基である)によって任意に置換されているC
6-10芳香族基を示す]のケトン又はアルデヒド、
b)式
【化8】
[式中、R
3、R
4及びR
5は、同時に又は独立して、水素原子、又は任意に1~3個の酸素原子を含むC
1-18炭化水素基であり、又はR
3及びR
4は、一緒の場合に、1~3個の酸素原子を含むC
3-18炭化水素基を示す]のギ酸エステル、及び
c)式
【化9】
[式中、R
3、R
4及びR
5は、前記した意味と同一の意味を有する]のアルコール
からなる群から選択される化合物を放出ために使用することにも関し、ここで、式(II)、(III)又は(IV)の化合物の少なくとも1つは、化合物を酸化させる環境、すなわち周囲条件に曝すことに対する活性化合物である。
【0085】
一実施形態において、本発明は、前記で定義した式(I)の少なくとも1つの化合物を有効量で組成物又は物品に付加する、又は前記で定義した式(I)の少なくとも1つの化合物の有効量で表面に接触させる又は処理することを含む、付香組成物、付香組成物を取り巻く空気、表面又は着香物品のにおい特性を付与、増強、改善又は改変するための前記した式(I)の少なくとも1つの化合物の使用にも関する。本明細書において使用される「表面」という用語は、式(I)の少なくとも1つの化合物を含む又は含有する香料組成物を適用する、使用者の皮膚、毛髪、織物、又は硬質表面を示してよい。
【0086】
代わりの実施形態において、本発明は、経時的に式(II)の少なくとも1つのアルデヒド又はケトン、式(III)の少なくとも1つのギ酸エステル及び/又は式(IV)の少なくとも1つの活性アルコールを放出させることを可能にしやすい条件下で、前記で定義した式(I)の少なくとも1つの化合物で、又は式(I)の少なくとも1つの化合物を含む組成物又は物品で処理した表面上で、前記で定義した式(II)の少なくとも1つの活性アルデヒド又はケトン、式(III)の少なくとも1つのギ酸エステル及び/又は式(IV)の少なくとも1つのアルコールの拡散効果を増強又は延長するため、又はそれらの特徴的フレグランスを知覚するための、前記で定義した式(I)の少なくとも1つの化合物の使用に関する。
【0087】
いくつかの態様において、使用の実施形態は、本発明による方法の実施形態に対応する。
【0088】
実施例
1. 化合物の調製
次の化合物を調製し特徴付けた。質量スペクトルデータ(EI、70eV)、主要断片イオン及び相対存在量、並びにNMRデータは、E異性体(一般に主要異性体)についてのみ提供される。NMRスペクトルを、溶媒としてCDCl3を使用して、500又は600MHzで1時間記録した。化学変位δを標準としてTMSに対してppmで示し、結合定数JをHzで表す。
【0089】
実施例1。 (1-(オクチルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: ヒドラトロピックアルデヒド(10g、74.5mmol)、オクタノール(24.3g、186mmol)、TsOH(0.28g、1.49mmol)及びトルエン(100mL)の混合物を、Dean-Starkトラップで反応の水を取り除きながら1時間還流で加熱した。混合物を冷却させた後、それをEtOAcで希釈し、そして飽和NaHCO
3及び飽和NaClで洗浄した。有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、粗ジオクチルアセタールを得た。この材料の約4分の1(19.3mmol)を、KHSO
4(0.5g、3.67mmol)と混合し、そしてKugelrohr蒸留装置を使用して真空下(30Torr)で加熱した。140℃で2.5時間、そして160℃でさらに2.5時間後に、GC分析は、アセタールの大部分がエノールエーテルに変換されたことを示した。Kugelrohr蒸留(145℃、80mTorr)は、無色の液体としてエノールエーテル3.46g(14.0mmol、73%収率)をもたらした(E/Z=81:19)。
【数1】
【0090】
実施例2~7。 Kugelrohr蒸留装置を使用して、ヒドラトロピックアルデヒドのジメチルアセタール(4g、22.1mmol)、アルコール(66mmol)、及びKHSO4(33mg、0.22mmol)の混合物を,真空下(100~300Torr)で100~120℃で1~2時間加熱して、遊離したメタノールを除去しながら、メトキシ基をアルコールに変換させた。これに続いて、温度を上げ(120~140℃)、圧力を下げ(25~50mTorr)、過剰なアルコールを除去しながらエノールエーテルを形成する脱離反応を完了させた。そして、エノールエーテルを反応混合物から蒸留させた(160~180℃、25~50mTorr)。必要に応じて、生成物を2回目のKugelrohr蒸留によってさらに精製した。
【0091】
実施例2。 (1-(((Z)-ヘキセ-3-エン-1-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: (Z)-3-ヘキセン-1-オールから出発して、表題の化合物を、無色の油状物として37%の収率で単離した(E/Z=80:20)。
【数2】
【0092】
実施例3。 (1-(デシルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: デカノールから出発して、表題の化合物を、無色の油状物として75%の収率で単離した(E/Z=81:19)。
【数3】
【0093】
実施例4。 (1-フェネトキシプロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 2-フェニルエタノールから出発して、表題の化合物を、無色の油状物として66%の収率で単離した(E/Z=81:19)。
【数4】
【0094】
実施例5。 (1-((3,7-ジメチルオクテ-6-エン-1-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: シトロネロールから出発して、表題の化合物を、無色の油状物として64%の収率で単離した(E/Z=83:17)。
【数5】
【0095】
実施例6。 (1-(2-フェノキシエトキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 2-フェノキシエタン-1-オールから出発して、表題の化合物を、白色の固体として77%の収率で単離した(E/Z=80:20)。
【数6】
【0096】
実施例7。 (1-((1-((1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 1-((1RS,6SR)-2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール(Norlimbanol(登録商標)、Firmenich)から出発して、表題の化合物を、無色の油状物として35%の収率で単離した(E/Z=83:17)。
【数7】
【0097】
実施例8~14。 ヒドラトロピックアルデヒド(5g、37.3mmol)、アルコール(0.5~2当量)及びTsOH(142mg、0.75mmol)のトルエン溶液(100ml)を2時間還流した。Dean-Starkトラップで反応水を除去した。混合物の加熱を止め、そしてNa2CO3(0.7g、6.6mmol)を添加した。その反応混合物を、EtOAcで希釈し、そして水、飽和NaHCO3及び塩水で洗浄した。その有機相を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして濃縮させた。特に断りのない限り、残留物をKugelrohr蒸留に供して、最初に過剰のアルコールを除去し(典型的な条件、70~80℃、20mTorr)、そしてエノールエーテルを得た(典型的な条件、120~140℃、20mTorr)。
【0098】
実施例8。 (1-(ヘキシルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: ヘキサノール(0.5当量)から出発して、表題の化合物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン)、続いてKugelrohr蒸留によって、無色の油状物として58%の収率で単離した(E/Z=85:15)。
【数8】
【0099】
実施例9。 (1-(ベンジルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: ベンジルアルコール(0.9当量)から出発して、表題の化合物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン)、続いてKugelrohr蒸留によって、無色の油状物として54%の収率で単離した(E/Z=83:17)。
【数9】
【0100】
実施例10。 (1-(オクタン-3-イルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 3-オクタノール(2当量)から出発して、表題の化合物を、無色の油状物として75%の収率で単離した(E/Z=85:15)。
【数10】
【0101】
実施例11。 (1-(((1R,2S,5R)-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: (-)-メントール(2当量)から出発して、表題の化合物を、無色の油状物として86%の収率で単離した(E/Z=88:12)。
【数11】
【0102】
実施例12。 ((2-フェニルプロペ-1-エン-1-イル)オキシ)シクロドデカン: シクロドデカノール(1当量)から出発して、表題の化合物を、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン)によって、白色の固体として47%の収率で単離した(E/Z=85:15)。
【数12】
【0103】
実施例13。 (1-(1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エトキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エタン-1-オール(1当量)から出発して、表題の化合物を、無色の油状物として84%の収率で単離した(E/Z=88:12)。
【数13】
【0104】
実施例14。 1-((2-(tert-ブチル)シクロヘキシル)オキシ)ブタン-2-オール(1当量)から出発して、表題の化合物を、無色の油状物として56%の収率で単離した(ジアステレオマーの混合物)。
【数14】
【0105】
実施例15~18。 ヒドラトロピックアルデヒド(5g、37.2mmol)、第三級アルコール(74.4mmol)及びTsOH(0.28g、1.47mmol)のペンタン溶液(100ml)を22時間還流して加熱した。Dean-Starkトラップで反応水を除去した。混合物の加熱を止め、Na2CO3(0.7g、6.6mmol)を添加した。その反応混合物を、EtOAcで希釈し、そして水、飽和NaHCO3及び塩水で洗浄した。その有機相を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、そして濃縮させた。残留物を最初にKugelrohr蒸留に供して過剰の第三級アルコールを除去し、そしてエノールエーテルを除去した。
【0106】
実施例15。 (1-((2,6-ジメチルオクテ-7-エン-2-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 2,6-ジメチルオクテ-7-エン-2-オール(ジヒドロミリセノール)から出発して、表題の化合物を、無色の油状物として81%の収率で単離した(E/Z=85:15)。
【数15】
【0107】
実施例16。 (1-((3,7-ジメチルオクタン-3-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 3,7-ジメチルオクタン-3-オール(テトラヒドロリナロール)から出発して、表題の化合物を、無色の油状物として74%の収率で単離した(E/Z=87:13)。
【数16】
【0108】
実施例17。 (1-((2-メチル-1-フェニルプロパン-2-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 2-メチル-1-フェニルプロパン-2-オールから出発して、表題の化合物を、無色の油状物として63%の収率で単離した(E/Z=87:13)。
【数17】
【0109】
実施例18。 (1-((2,6-ジメチルヘプタン-2-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 2,6-ジメチルヘプタン-2-オールから出発して、表題の化合物を、無色の油状物として69%の収率で単離した(E/Z=87:13)。
【数18】
【0110】
実施例19~21: Kugelrohr蒸留装置を使用して、フェニルアセトアルデヒドのジメチルアセタール(5g、30.1mmol)、アルコール(120mmol)、及びKHSO4(51mg、0.375mmol)の混合物を,真空下(200~300Torr)で90~120℃で2~3時間加熱して、遊離したメタノールを除去しながら、メトキシ基を付加アルコールに変換させた。これに続いて、温度を上げ(130~140℃)、圧力を下げ(25~30mTorr)、エノールエーテルを形成する脱離反応を完了させた。これらの条件下で、生成したエノールエーテル及びアルコールを、それらを形成した時点で反応混合物から蒸留した。そして蒸留物を他のバルブツーバルブ蒸留に供して、最初に過剰の第三級アルコールを除去し、そしてエノールエーテルを除去した。
【0111】
実施例19。 (2-(((Z)-ヘキセ-3-エン-1-イル)オキシ)ビニル)ベンゼン: (Z)-3-ヘキセン-1-オールから出発して、表題の化合物を、無色の油状物として36%の収率で単離した(E/Z=55:45)。
【数19】
【0112】
実施例20。 (2-フェネトキシビニル)ベンゼン: 2-フェニルエタノールから出発して、表題の化合物を、無色の油状物として36%の収率で単離した(E/Z=53:47)。
【数20】
【0113】
実施例21。(2-((3,7-ジメチルオクチル)オキシ)ビニル)ベンゼン: シトロネロールから出発して、表題の化合物を、無色の油状物として48%の収率で単離した(E/Z=48:52)。
【数21】
【0114】
実施例22~23。 フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール(14.9g、90mmol)、アルコール(225mmol)、及びKHSO4(61mg、0.45mmol)を、Vigreuxカラム(11cm)、蒸留ヘッド及び窒素バブラーを備えた100mlの丸底フラスコに添加した。蒸気温度が下がり(1~2時間)ほとんどのメタノールが除去されたことを示すまで、遊離したメタノールを蒸留しながら混合物を加熱した(150℃の油浴)。Vigreuxカラムを取り出した。混合物を真空下(30mTorr)に置き、加熱した(190~200℃の油浴)。エノールエーテル及びアルコールを、それらを形成した時点で反応フラスコから蒸留させた。エノールエーテルが豊富な画分を組み合わせて蒸留し、純粋なエノールエーテルを得た。
【0115】
実施例22。 (2-(オクタン-3-イルオキシ)ビニル)ベンゼン: 3-オクタノールから出発して、表題の化合物を、分留(Vigreuxカラム、bp105℃、25mTorr)によって無色の油状物として27%の収率で単離した(E/Z=37:63)。
【数22】
【0116】
実施例23。 (2-(2-フェノキシエトキシ)ビニル)ベンゼン: 2-フェノキシエタン-1-オールから出発して、表題の化合物を、Kugelrohr蒸留(170℃、25mTorr)白色の固体として46%の収率で単離した(E/Z=52:48)。
【数23】
【0117】
実施例24。 (Z)-(2-(ヘキサ-3-エン-1-イルオキシ)エテン-1,1-ジイル)ジベンゼン: ジフェニルアセトアルデヒドのジメチルアセタールを、アルデヒド(14.1g、71.6mmol)をオルトギ酸トリメチル(3当量)、TsOH(1.2モル%)及びメタノール(100mL)と17時間混合することによって生成した。Na
2CO
3(2.5g)を添加することにより酸を中和した。濃縮後に、残りの残留物をショートパス蒸留(105~108℃、25mTorr)に供し、ジメチルアセタール15g(62mmol、86%収率)を得た。そして、アセタール(5.81g、24mmol)を、蒸留ヘッド及び窒素バブラーを備えた丸底フラスコ(15mL)で、Z-ヘキセ-3-エン-1-オール(2当量)及びKHSO
4(1mol%)と混合した。遊離したメタノールを蒸留しながら混合物を加熱した(150℃の油浴)。そして混合物を真空下(7Torr)に置き、過剰のアルコールをフラスコから蒸留させながら(2時間)、180℃で加熱した。Na
2CO
3(0.5g)を添加し、反応フラスコ(bp152~155℃、25mTorr)から蒸留することにより、表題の化合物5.5g(19.8mmol、82%収率)を無色の油状物として単離した。
【数24】
【0118】
実施例25。 (2-フェネトキシエテン-1,1-ジイル)ジベンゼン: ジフェニルアセトアルデヒド(4.94g、25.2mmol)、2-フェニルエタノール(7.78g、64.4mmol)、TsOH(0.097g、0.51mmol)及びトルエン(100mL)の混合物を、Dean-Starkトラップで反応の水を取り除きながら2時間還流で加熱した。混合物を冷却させた後、それをEtOAcで希釈し、そして飽和NaHCO
3及び水で洗浄した。その有機相を、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、そして濃縮させた。そして粗アセタールを、KHSO
4(1g、7.34mmol)と混合し、そしてKugelrohr蒸留装置を使用して真空下(50Torr)で加熱した。160℃で1時間後に、GC分析は、アセタールの大部分がエノールエーテルに変換され、過剰な2-フェニルエタノールが除去されたことを示した。Kugelrohr蒸留(180~190℃、50mTorr)は、無色の液体として表題の化合物4.24g(14.1mmol、56%収率)をもたらした。
【数25】
【0119】
実施例26~29。 メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロリド(15.1g、44.1mmol)及びアリールケトン(29.4mmol)をトルエン120mlに添加した。カリウムt-ブトキシド(5.27g、47mmol)を15分毎に4回に分けて撹拌スラリーに添加した。混合物を4時間撹拌すると、深紅色になった。次にそれを500mlの水に注ぎ、EtOAc(3×250mL)で抽出した。その有機相を合し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、そして濃縮させた。得られたメチルエノールエーテル生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン)、続いてKugelrohr蒸留によって単離した。そして、メチルエノールエーテル(30mmol)を、蒸留ヘッド及び窒素バブラーを備えた丸底フラスコ(15mL)で、2-フェニルエタノール(2当量)及びKHSO4(1mol%)と混合した。遊離したメタノールを蒸留しながら混合物を加熱した(蒸気温度64℃)。そして混合物を真空下(300mTorr)に置き、過剰の2-フェニルエタノールをフラスコから蒸留させながら(典型的に2時間)、190℃で加熱した。得られたエノールエーテルを、Na2CO3(0.4g)の添加後に反応フラスコから減圧蒸留するか、又はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーと続くKugelrohr蒸留によって単離した。
【0120】
実施例26。 1-メチル-4-(1-フェネトキシプロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 表題の化合物を、粗反応混合物(bp143~145℃、30mTorr)のショートパス蒸留によって、メチルエノールエーテルから無色の油状物として収率73%で単離した(E/Z=82:18)。
【数26】
【0121】
実施例26。 1-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 表題の化合物を、粗反応混合物(bp156~158℃、30mTorr)のショートパス蒸留によって、メチルエノールエーテルから白色の固体として収率84%で単離した(E/Z=78:23)。
【数27】
【0122】
実施例28。 2-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロペ-1-エン-2-イル)ナフタレン: 表題の化合物をフラッシュクロマトグラフィー、続いてKugelrohr蒸留によって単離して、メチルエノールエーテルから収率89%で白色の固体を得た(E/Z=80:20)。
【数28】
【0123】
実施例29。 6-メトキシ-4-(1-フェネトキシプロペ-1-エン-2-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン: 表題の化合物をフラッシュクロマトグラフィー、続いてKugelrohr蒸留によって単離して、メチルエノールエーテルから収率82%で無色の油状物を得た(E/Z=80:20)。
【数29】
【0124】
実施例30。 (1-フェネトキシブテ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 実施例26~29に記載したようにプロピオフェノンから調製した2-フェニルブタナールのメチルエノールエーテル、及び2-フェニルエタノールを使用して、実施例2~7に記載した手順によって収率59%で表題の化合物を調製した。Kugelrohr蒸留によって無色の油状物として収率59%で単離した(E/Z=74:26)。
【数30】
【0125】
実施例31。 (3-メチル-1-フェネトキシブテ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 実施例26~29に記載したようにイソブチルフェノンから調製した3-メチル-2-フェニルブタナールのメチルエノールエーテル、及び2-フェニルエタノールを使用して、実施例2~7に記載した手順によって表題の化合物を調製した。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって無色の油状物として収率24%で単離した(E/Z=55:45)。
【数31】
【0126】
実施例32。 1-メトキシ-4-(1-(オクチルオキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ベンゼン: 実施例26~29に記載したようにp-メトキシアセトフェノンから調製した2-(4-メトキシフェニル)プロパナールのメチルエノールエーテル、及びオクタノールを使用して、実施例2~7に記載した手順によって表題の化合物を調製した。表題の化合物を、Kugelrohr蒸留によって無色の油状物として収率69%で単離した(E/Z=76:24)。
【数32】
【0127】
実施例33。 2-(1-((3,7-ジメチルオクテ-6-エン-1-イル)オキシ)プロペ-1-エン-2-イル)ナフタレン: 実施例26~29に記載したように1-(ナフタレン-2-イル)エタン-1-オンから調製した2-(ナフタレン-2-イル)プロパナールのメチルエノールエーテル(25.2mmol)を、蒸留ヘッドを備えた丸底フラスコ中でシトロネロール(2当量)及びKHSO
4(1mol%)と合した。容器を真空(25mbar)下に置き、遊離したメタノールを蒸留しながら150℃で30分間加熱した。真空を1Torrに下げた後に、過剰なシトロネロールをフラスコから蒸留させながら、混合物を165℃で90分間加熱した。その反応混合物を、CH
2Cl
2で希釈し、そして飽和NaHCO
3で洗浄した。その有機相を、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、そして濃縮させた。残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、98:2)に供して、表題の化合物5.23g(16.2mmol、収率64%)を淡黄色の油状物として得た(E/Z=88:22)。
【数33】
【0128】
2. 布地用柔軟剤適用からのヘッドスペース分析
モデルの液体布地用柔剤を、TEA-esterquat(Stepantex(登録商標)VL90A)12.3質量%、10%塩化カルシウム水溶液0.4質量%、Proxcel GXL 0.04質量%、及び脱イオン水87.2質量%を混合することにより調製した。エノールエーテル(0.075mmol)をバイアルに秤量し、アセトン0.25mLに溶解した。液体布地用柔軟剤(4.5g)をバイアルに添加し、その混合物を手で振って混合した。参照試料を、それぞれ放出された揮発性物質0.075mmolを使用して同一の方法で調製した。布地用柔軟剤試料を、脱イオン水ですすいで3Lビーカーに入れ、ビーカーを合計量1.5Lまで充填した。3つの5g綿の布きれ(約12.5×12.5cm、質量270g/m2、Testfabrics(West Pittston、PA)のアイテム403)をビーカーに添加し、手で3分間撹拌した。さらに2分間放置した後に、布きれを取り除き、そして過剰な水を手で絞り出した。布を吊るして室温で一晩(15~16時間)乾燥させた。そして、布きれを動的ヘッドスペース分析にかけた。
【0129】
それぞれの布きれを、サーモスタット(25℃)を付けたヘッドスペースサンプリングセル(約160mLの容量)内に配置した。エアサンプリングポンプを使用して、一定の空気の流れ(200mL/分)をサンプリングセルに通過させ、そしてTenax(登録商標)100mgを含むカートリッジ(廃液カートリッジ)に通過させた。試料セルに入る前に、空気を、活性炭のプラグを介して、そして飽和NaCl溶液を通して引き込み、一定の相対湿度75%を維持した。ヘッドスペース試料を、廃棄カートリッジを清潔なTenax(登録商標)カートリッジと15分間交換することにより、1時間及び2時間後に収集した。カートリッジを、Agilent5975C質量分析計及びVarianVF-1msキャピラリーカラム(30m、内径0.25mm、フィルム0.25μm)備えたAgilent6890Aガスクロマトグラフに連結させたPerkin Elmer TurboMatrix650上で熱により脱着した。脱着器のパラメータは、バルブ温度250℃、輸送ライン250℃、パージ時間1分、脱着温度240℃、脱着時間5分、脱着流量20mL/分、捕捉40℃/秒で-30℃~250℃、捕捉保持時間4分、出口スプリット48mL/分、カラム流量1mL/分であった。GC炉温度プロフィールは、20℃/分で60℃(1分)~210℃であり、そして250℃(2分)まで上昇させた。(Z)-3-ヘキセン-1-オールを分析した場合に、初期の炉温度は52℃(2分)であった。収集されたそれぞれのフレグランス揮発性物質の量(ng/L(空気)として報告)を、それぞれの化学物質の外部標準較正を使用して決定した。0.05g/L~5g/Lの範囲の分析物の濃度で、少なくとも5つのアセトン溶液を調製した。溶液を、Tenax(登録商標)カートリッジに注入し(0.2μL)、そして前記したように脱着した。それぞれの溶液を3回分析した。較正曲線は原点を通過した。
【0130】
それぞれの参照と比較した、エノールエーテルプロフレグランスを含む布地用柔軟剤で処理したライン乾燥綿から得た香料原料の動的ヘッドスペース濃度(ng/L)(60~75分及び120~135分のヘッドスペース試料のデータ)
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0131】
これらのデータは、布地用柔軟剤から綿布へ適用した場合に、式(I)の化合物が、対応する参照試料よりも、より多くの香料成分(アリールカルボニル化合物、ギ酸エステル、及びアルコール)を放出することを示す。これは、本発明の化合物が所望の徐放効果を生じたことを実証している。
【0132】
3. リーブオンヘアコンディショナーによる嗅覚評価
モデルのリンスオフヘアコンディショナーを、以下の組成(質量%)で調製した:
脱イオン水 95.50%
Salcare SC 91(供給元:BASF) 1.00%
AculynTM 46(供給元:Dow) 1.00%
Wacker-Belsil(登録商標)DMS 6038(供給元:Wacker) 0.50%
PhenonipTM(供給元:Clariant) 0.50%
Mirasil(登録商標)ADM-E(供給元:Elkem) 1.50%。
【0133】
イソプロピルミリセート中25%エノールエーテル溶液又はアセトン中25%エノールエーテル溶液を、リーブオンヘアコンディショナーに分散させて、それぞれ0.15質量%又は0.25質量%の前駆体を含むサンプルを提供した。等モルレベルの予想されるアルデヒド又はケトン及びギ酸エステルを含む参照試料を同一の方法で調製した。試料を室温で1日浸軟させたままにした。髪見本(10g)を暖かい水道水(37℃)で30秒間すすぎ、そして穏やかにとかして髪をまっすぐにした。ヘアコンディショナー試料(1g)をそれぞれ見本に塗布し、髪にマッサージして完全に分散させた。見本を吊るし、そして室温で乾燥させた。それらを6時間後及び24時間後のにおい強度についてパネルによって嗅覚的に評価した。パネリストに、1(知覚できない)~7(非常に強い)の尺度範囲で知覚したにおい強度を評価するように頼んだ。パネル評価から得られたデータを第1表に要約する。
【0134】
【0135】
これらのデータは、式(I)の化合物が、リーブオンヘアコンディショナーからの適用6時間後及び24時間後の双方で、対応する参照試料よりも高いにおい強度を毛髪に生じたことを示唆している。これは、本発明の化合物が所望の徐放効果を生じたことを実証している。
【0136】
4. リンスオフヘアコンディショナーによる嗅覚評価
モデルのリンスオフヘアコンディショナーを、以下の組成(質量%)で調製した:
脱イオン水 92.54%
クロロヘキシリデンジヒドロクロリド 0.05%
Natrosol(登録商標)250 H(供給元:Hercules) 1.00%
Dehyquart(登録商標)C 4046(供給元:Cognis) 0.20%
Mirasil(登録商標)ADM-E(供給元:Rhodia) 1.20%
Genamin(登録商標)KDM(供給元:Clariant) 1.00%
Crodamol(登録商標)SS(供給元:Croda) 0.50%
Crodacol(登録商標)C90(供給元:Croda) 3.01%
ミリスチルアルコール(供給元:Aldrich) 0.20%
Nipagin(登録商標)M(供給元:Nipa) 0.30%。
【0137】
イソプロピルミリセート中25%エノールエーテル溶液を、リンスオフヘアコンディショナーに分散させて、0.25質量%又は0.15質量%の前駆体を含むコンディショナーを提供した。等モルレベルの予想されるアルデヒド又はケトン及びギ酸エステルを含む参照試料を同一の方法で調製した。試料を室温で1日浸軟させたままにした。髪見本(10g)を暖かい水道水(約37℃)で濡らし、無香料の乳白色のシャンプーで洗った。シャンプー(1mL)を、それぞれの髪見本の長さに沿ってシリンジで塗布した。見本を指先で30秒間マッサージして、シャンプーを分散させ、泡立ちを良くした。それらを温かい水道水で30秒間すすぎ、過剰な水を穏やかに絞り出した。リンスオフコンディショナー(1.0g)を髪見本に沿って塗布し、1分間髪に穏やかにマッサージした。そして、見本を2Lビーカーの温かい水道水に浸し、上下に3回、次に左右に3回動かした。そして、指先で髪の毛をほぐしながら、水道水で30秒間すすいだ。過剰な水を穏やかに絞り出した後に、見本を吊るし、そして室温で乾燥させた。見本を6時間後及び24時間後のにおい強度についてパネルによって嗅覚的に評価した。パネリストに、1(知覚できない)~7(非常に強い)の尺度範囲で知覚したにおい強度を評価するように頼んだ。パネル評価から得られたデータを第2表に要約する。
【0138】
【0139】
これらのデータは、式(I)の化合物が、リンスオフヘアコンディショナーからの適用6時間後及び24時間後の双方で、対応する参照試料よりも高いにおい強度を毛髪に生じたことを示唆している。これは、本発明の化合物が所望の徐放効果を生じたことを実証している。
【0140】
5. 真珠光沢のシャンプーにおける嗅覚評価
モデルの真珠光沢のシャンプーを、一般的に公知の方法で以下の組成(質量%)で調製した
脱イオン水 46.27%
EDETA B Powder(供給元:BASF) 0.05%
Jaguar C14 S(登録商標)(供給元:Rhodia) 0.05%
UCareTM Polymer JR-400(供給元:Dow) 0.075%
10% NaOH溶液 0.30%
Sulfetal LA B-E(供給元:Z&H Handel) 34.00%
Zetesol LA(登録商標)(供給元:Z&H Handel) 9.25%
Tego(登録商標) Betaine F 50(供給元:Evonik) 2.00%
Xiameter(登録商標)MEM-1691(供給元:Dow Corning) 2.50%
セチルアルコール 1.20%
Comperlan 100(供給元:BTC Speciality Techn.) 1.50%
Cutina(登録商標) AGS(供給元:BASF) 2.00%
KathonTM CG(供給元:Dow) 0.10%
Panthenol 75%(供給元:BASF) 0.10%
塩化ナトリウム25% 0.60%。
【0141】
イソプロピルミリセート中25%エノールエーテル溶液を、真珠光沢のシャンプーに分散させて、0.15質量%の前駆体を含む試料を提供した。等モルレベルの予想されるケトン及びギ酸エステルを含む参照試料を同一の方法で調製した。試料を室温で1日浸軟させたままにした。髪見本(10g)を暖かい水道水(約37℃)で濡らし、乳白色のシャンプーで洗った。シャンプー(1グラム)を、それぞれの髪見本の長さに沿ってシリンジで塗布した。見本を指先で30秒間マッサージして、シャンプーを分散させ、泡立ちを良くした。それらを温かい水道水で30秒間すすぎ、過剰な水を穏やかに絞り出した。そして、見本を真珠光沢のシャンプーで30秒間再度洗浄し、温かい水道水で30秒間すすいだ。過剰な水を穏やかに絞り出した後に、見本を吊るし、そして室温で乾燥させた。見本を6時間後及び24時間後のにおい強度についてパネルによって嗅覚的に評価した。パネリストに、1(知覚できない)~7(非常に強い)の尺度範囲で知覚したにおい強度を評価するように頼んだ。パネル評価から得られたデータを第3表に要約する。
【0142】
【0143】
これらのデータは、式(I)の化合物が、シャンプーからの適用6時間後及び24時間後の双方で、対応する参照試料よりも高いにおい強度を毛髪に生じたことを示唆している。これは、本発明の化合物が所望の徐放効果を生じたことを実証している。
【0144】
6. 制汗剤/デオドラントスティックでの嗅覚評価
モデルの制汗剤を、一般的に公知の方法で以下の組成(質量%)で調製した
Dow Corning 345 Fluid 55.00%
Lanette(登録商標)18(供給元:BASF) 21.00%
Tegosoft(登録商標)PBE(供給元:Evonik) 2.00%
Cutina(登録商標)HR(供給元:BASF) 1.00%
Summit(登録商標)AZP-908(供給元:SummitReheis) 20.00%。
【0145】
エノールエーテルプロフレグランス0.15質量%を含む試料を、エノールエーテルとミリセートイソプロピルの15:20混合物を溶融させた制汗剤組成物に分散させることによって調製した。等モルレベルの予想されるケトン及びギ酸エステルを含む参照試料を同一の方法で調製した。溶融させた試料をデオドラントスティックの型に流し込み、室温で1日浸軟させたままにした。それぞれの試料0.25gを、4.5cm×12cmの吸取紙に均一に拡げた。吸取紙を、周囲条件下で6時間及び24時間保管した。吸取紙を6時間後及び24時間後のにおい強度についてパネルによって嗅覚的に評価した。パネリストに、1(知覚できない)~7(非常に強い)の尺度範囲で知覚したにおい強度を評価するように頼んだ。パネル評価から得られたデータを第4表に要約する。
【0146】
【0147】
これらのデータは、式(I)の化合物が、制汗剤スティックからの適用6時間後に、対応する参照試料よりも高いにおい強度を吸取紙に生じたことを示唆している。これは、本発明の化合物が所望の徐放効果を生じたことを実証している。
【0148】
7. オードトワレにおける嗅覚評価
エタノール40B及び水(質量で85:15)中エノールエーテルの1%溶液を調製した。等モルレベルの予想されるケトン及びギ酸エステルを含む参照試料を調製した。混合物が均一にならなかった場合に、エノールエーテルと対応する参照試料の双方を25℃の水浴中で10~20分間超音波処理した。それぞれの溶液20μlを4.5cm×12cmの吸取紙の中央に塗布した。吸取紙を、周囲条件下で3時間及び6時間保管した。吸取紙を6時間後及び24時間後のにおい強度について20~25人のパネルによって嗅覚的に評価した。パネリストに、1(知覚できない)~7(非常に強い)の尺度範囲で知覚したにおい強度を評価するように頼んだ。パネル評価から得られたデータを第5表に要約する。
【0149】
【0150】
これらのデータは、式(I)の化合物が、エタノール溶液からの適用3時間及び6時間後に、対応する参照試料よりも高いにおい強度を吸取紙に生じたことを示唆している。これは、本発明の化合物が所望の徐放効果を生じたことを実証している。
【0151】
8. 本発明の化合物を含む液体洗剤の調製
【表7】
【0152】
液体洗剤を、液体洗剤の全質量に対して、本発明の実施例20、28又は33の化合物の0.01~0.5質量%を、穏やかに振盪しながら第6表の無香料液体洗剤配合物に添加することによって調製する。
【0153】
9. 本発明の組成物を含む透明な等方性のシャンプーの調製
【表8】
【0154】
シャンプーを、Polyquaternium-10を水に分散させることにより調製する。相Aの残りの成分を、それぞれ付加後によく混合しながら次々に添加することによってそれぞれ混合する。このプレミックスをPolyquaternium-10分散液に添加し、さらに5分間混合する。そして、撹拌しながら、予め混合した相B及び予め混合した相Cを添加する(Monomuls 90L-12を加熱してTexapon NSO IS中で溶融する)。撹拌しながら相D及び相Eを添加する。pHをクエン酸溶液でpH:5.5~6.0になるまで調整して、無香料のシャンプー配合物にする。
【0155】
着香したシャンプーを、シャンプーの全質量に対して、本発明の実施例20、28又は33の化合物の0.01~0.5質量%を、穏やかに振盪しながら第7表の無香料シャンプー配合物に添加することによって調製する。
【0156】
10. 本発明の組成物を含む構造化シャワーゲルの調製
【表9】
【0157】
シャワーゲルを、シャワーゲルの全質量に対して、本発明の実施例20、28又は33の化合物の0.01~0.5質量%を、穏やかに振盪しながら第8表の無香料シャワーゲル配合物に添加することによって調製する。
【0158】
11. 本発明の組成物を含む透明なシャワーゲルの調製
【表10】
【0159】
透明なシャワーゲルを、シャワーゲルの全質量に対して、本発明の実施例20、28又は33の化合物の0.01~0.5質量%を、穏やかに振盪しながら第9表の無香料シャワーゲル配合物に添加することによって調製する。
【0160】
12. 本発明の組成物を含む乳白色のシャワーゲルの調製
【表11】
【0161】
透明なシャワーゲルを、シャワーゲルの全質量に対して、本発明の実施例20、28又は33の化合物の0.01~0.5質量%を、穏やかに振盪しながら第10表の無香料シャワーゲル配合物に添加することによって調製する。
【0162】
13. 本発明の組成物を含むハンドディッシュウォッシュ(hand dishwash)の調製
【表12】
【0163】
水酸化ナトリウムとジエタノールアミドとを有する水を混合する。LASを添加する。LASを中和した後に、残りの成分を添加する。pHを確認し(=7~8)、必要に応じて調整する。
【0164】
着香したハンドディッシュウォッシュを、ハンドディッシュウォッシュの全質量に対して、本発明の実施例20、28又は33の化合物の0.01~0.5質量%を、穏やかに振盪しながら第11表の無香料ハンドディッシュウォッシュ配合物に添加することによって調製する。
【0165】
14. 本発明の組成物を含む汎用クレンザーの調製
【表13】
【0166】
全ての成分を一緒に混合し、そして混合物を水で100%に希釈した。
【0167】
汎用クレンザーを、汎用クレンザーの全質量に対して、本発明の実施例20、28又は33の化合物の0.01~0.5質量%を、穏やかに振盪しながら第12表の無香料汎用クレンザー配合物に添加することによって調製する。
【0168】
15. 式(I)の化合物のマイクロカプセル化
本発明の化合物を含むマイクロカプセルの合成: この実施例において、フレグランス油コアを有するマイクロカプセルを合成するために使用した技術は、油水界面で自己重合する油溶性ポリイソシアネートモノマーとの生体高分子で安定化した水中油型エマルジョンの界面重合である。
【0169】
SuperStab AA Senegal Gum Arabicを、Nexira社(Somerville、NJ)から購入し、Takenate(登録商標)D-110Nを、Mitsui Chemicals社(東京、日本)から購入した。Desmodur N100を、Covestro社(formerly Bayer Material Science)(Pittsburgh、PA)から得た。グアニジンカーボネート(≧99%、120222500)を、Acros Organics社(New Jersey、USA)から購入する。
【0170】
プロフレグランス又は個々のフレグランス材料成分を含むマイクロカプセルを、最初に油相及び水相、並びにグアニジンカーボネート架橋剤溶液を調製することによって生成した。油相を、実施例2において記載したプロフレグランス分子(又はフレグランス原料)10gをシンチレーションバイアル中でDesmodur N100 2.24gと混合し、イソシアネートが完全に溶解するまで室温で磁気撹拌棒によって導入することによって調製した。水相を、Superstab AA粉末0.50gを18.2MΩ・cmの水33.6gに磁気撹拌棒によって室温で溶解することにより調製した。グアニジンカーボネート架橋剤溶液を、グアニジンカーボネート0.56gを18.2MΩ・cmの水3.10gに溶解することによって調製した。IKA UltraTurrax均質化ワンドを使用して18000rpmで3分間水相を乳化しながら、油相をピペットによって水相に滴加した。エマルジョンをジャケット付き反応器に注ぎ、そして500rpmでオーバーヘッド撹拌器によって撹拌した。架橋剤溶液を、エマルジョンに完全に組み込まれるまで、シリンジポンプによって125μL/分の速度で反応器にゆっくりと自動注入した。反応器の温度を30分にわたって50℃に上げ、そしてさらに30分にわたって70℃まで上げた。次に、反応器を70℃で4時間保持し、そして室温まで冷却させた。得られたスラリーをジャーに排出した。
【0171】
粒子サイズの特性評価を、Mastersizer 3000(Malvern Instruments Ltd.、UK)を使用してそれぞれのスラリーについて実施した。平均粒子サイズ、又はD[4,3]を、プロフレグランスを含むマイクロカプセルについて31.1μmとして測定した。粒子の形態を、JEOL JSM-6010 PLUS走査型電子顕微鏡(JEOL Ltd、東京、日本)によって特徴付けた。
【0172】
油負荷の測定を、TA Q50 TGA(TA Instruments、Delaware、USA)を使用した熱質量分析によって特徴付けられるように、マイクロカプセルスラリーの固形分から推定した。スラリーを、高温(50℃)にさらして、できるだけ多くの水を蒸発させ、残留したカプセル化させた油状物及びシェル材料の量、又は固形分を測定した。固形分を、高温を250分間維持した後に残った元の質量のパーセンテージとして算出した。
【0173】
バルクスラリー中の油状物の合計含有量を、スラリー1mLをアセトニトリル4mLで希釈し、17mm、0.45μmの再生セルロース(RC)フィルター、続いて4mm、0.2μmのRCフィルターで残留固体をろ過することによって測定した。この溶液をGCMSで分析し、そして個々の材料の含有量を外部の較正曲線と比較することによって測定した。スラリーの水相中の油含有量は、スラリー1mLを10000rpmで5分間遠心分離することによって水相を単離することによって測定した。分離した水相を、17mm、0.45μmのRCフィルターでろ過し、続いて4mm、0.2μmのRCフィルターでろ過し、ろ液をアセトニトリル4mLで希釈した。この溶液をGCMSで分析し、そして個々の材料の含有量を外部の較正曲線と比較することによって測定した。
【0174】
マイクロカプセル内の油状物の量を、2つの測定値の差(バルクスラリー油含有量から水相油含有量を引いたもの)として定義した。カプセル化効率は、マイクロカプセル内の油状物の量とマイクロカプセル化プロセス中にスラリーに装入された油状物の量との比率であり、パーセンテージで表される。
【0175】
【0176】
この方法により分析した場合に、個々の原材料、アセトフェノン、3-ヘキセン-1-イルホルメート及び3-ヘキセン-1-オールの量は、最初にスラリーに装入した量よりも少なく、アセトフェノン78.55%、3-ヘキセン-1-イルホルメートの77.78%及び3-ヘキセン-1-オールの69.0%のみ占めており、これらの化合物の元の装入量のそれぞれ74.78%、70.97%及び57.41%のカプセル化効率であった。このカプセル化効率の低さは、これらのそれぞれの化合物の低いlogPにより、予想外ではなく、その結果、水相へのこれらの材料の分離、及びそれぞれの高い揮発性が、カプセル化反応中に存在する高温によって蒸発から質量損失をもたらす可能性がある。93.04%でのプロフレグランスのカプセル化効率は、個々の対照材料のカプセル化効率よりも高いことを示した。
【0177】
本明細書を通して引用された刊行物は、その全体を参照をもって本明細書に組み込まれたものとする。本発明の種々の態様は、実施例及び好ましい実施形態を参照することにより前記で例示されているが、本発明の範囲は上記の説明によってではなく特許法の原則の下で適切に解釈される特許請求の範囲により評価される。