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特許7416710携帯電子機器のバッテリ摩耗を測定する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】携帯電子機器のバッテリ摩耗を測定する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/392 20190101AFI20240110BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20240110BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240110BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240110BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01R31/392
H01M10/42 P
H01M10/48 P
H02J7/00 Y
H04M1/00 R
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020551888
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019057705
(87)【国際公開番号】W WO2019185701
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】1805092.2
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519100952
【氏名又は名称】ブランコ テクノロジー グループ アイピー オイ
【氏名又は名称原語表記】BLANCCO TECHNOLOGY GROUP IP OY
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】ディア ベン ハデッジ
【審査官】越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-513241(JP,A)
【文献】国際公開第2016/092811(WO,A1)
【文献】特開2017-166874(JP,A)
【文献】特開2009-186235(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0108237(KR,A)
【文献】国際公開第2010/035567(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/392
H01M 10/42
H01M 10/48
H02J 7/00
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電子機器のバッテリの摩耗値を測定する方法であって、
履歴的なバッテリ状態データを用いて、前記バッテリの実際容量Qactを推定するステップと、
前記バッテリの設計容量Qdes、及び前記推定した前記バッテリの前記実際容量Qactを用いて、前記バッテリの前記摩耗値(Wp)を測定するステップと
を含み、
前記履歴的なバッテリ状態データが、時刻情報及びバッテリ充電状態情報を含み、前記時刻情報は相対的な時刻値またはタイムスタンプを含み、前記バッテリ充電状態情報は、バッテリ充電が開始された時点を示すバッテリ充電状態フラグ及びバッテリ充電が終了した時点を示すバッテリ充電状態フラグを含み、
前記方法が、前記時刻情報及び前記バッテリ充電状態情報を用いて1つ以上のバッテリ充電期間を識別するステップを更に含み、該バッテリ充電期間中に前記バッテリが充電され、
前記履歴的なバッテリ状態データが、前記バッテリ充電期間毎に複数の履歴的なバッテリ充電データ点を含み、前記履歴的なバッテリ充電データ点の各々が、前記時刻情報、バッテリ充電電流情報、及びバッテリ充電情報を含み、
前記バッテリ充電電流情報は、前記バッテリに供給される充電電流の値を含むことができ、
前記バッテリ充電情報は、前記バッテリの前記実際容量Qactに対する比率値を含むことができ、該比率値は前記バッテリの前記実際容量Qactに対する割合または%比率として表現され、
前記方法が、前記1つ以上のバッテリ充電期間における各バッテリ充電期間内に1つ以上のバッテリ充電範囲を識別するステップを更に含み、
前記方法が、前記バッテリ充電範囲毎に、前記バッテリの前記実際充電容量Qactの推定値Qact(k)を決定するステップを更に含み、kは、前記バッテリ充電範囲の各々に割り当てられる指標であり、当該バッテリ充電範囲内に生じる、前記バッテリの前記実際容量Qactに対する比率値の大小順に応じて割り当てられ、
前記方法が、全部の前記バッテリ充電範囲について、次式:
【数1】
により前記バッテリの前記実際容量の推定値Qact(k)の平均をとることによって、前記バッテリの前記実際容量Qactを推定するステップを更に含み、Nkは前記バッテリ充電範囲の総数であり、
前記方法が、
前記1つ以上のバッテリ充電範囲のうちの、あらゆる共通のバッテリ充電範囲を識別するステップと、
前記1つ以上のバッテリ充電範囲のうちの、あらゆる一意的なバッテリ充電範囲を識別するステップとを更に含み、
前記共通のバッテリ充電範囲内では、1つの前記バッテリ充電期間における前記バッテリの前記実際容量Qactに対する比率値が、他のいずれか1つ以上の前記バッテリ充電期間における前記バッテリの前記実際容量Qactに対する比率値とオーバーラップし、
前記一意的なバッテリ充電範囲内では、1つの前記バッテリ充電期間における前記バッテリの前記実際容量Qactに対する比率値のいずれも、他のいずれか1つ以上の前記バッテリ充電期間における前記バッテリの前記実際容量Qactに対する比率値とオーバーラップしない
方法。
【請求項2】
前記携帯電子機器のメモリにアクセスして、前記バッテリの前記設計容量Qdesを前記メモリから読み出すステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記携帯電子機器上にアプリケーションを配置して、前記バッテリの前記設計容量Qdesを前記携帯電子機器から抽出するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記携帯電子機器のメモリにアクセスして、前記バッテリについての前記履歴的なバッテリ状態データを前記メモリから読み出すステップを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記携帯電子機器のメモリにアクセスして、前記バッテリについての前記履歴的なバッテリ状態データを、前記メモリに記憶されているバッテリ状態記録ファイルから読み出すステップを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記携帯電子機器が、アンドロイド(登録商標)マシュマロ(登録商標)バージョン6.0~6.01、アンドロイド(登録商標)ヌガー(登録商標)バージョン7.0~7.12、アンドロインド(登録商標)オレオ(登録商標)バージョン8.0~8.1、またはアンドロイド(登録商標)Pバージョン9のいずれか1つのバージョンのアンドロイド(登録商標)オペレーティングシステムを含み、あるいは実行し、及び/または前記携帯電子機器が電話機を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記バッテリの前記摩耗値を出力するステップを含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記バッテリの前記摩耗値を記憶するステップを含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
%比率の摩耗値Wpとして表現される前記バッテリの前記摩耗値を次式:
【数2】
により決定するステップ、または、
小数の摩耗値として表現される前記バッテリの摩耗値Wfを次式:
【数3】
により決定するステップを含み、
actは前記推定した前記バッテリの前記実際容量であり、Qdesは前記バッテリの前記設計容量である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有する前記バッテリ充電期間毎に、前記バッテリの前記実際容量の推定値Qact(i,k)を次式:
act(i,k)=ΔQ(i,k)×100/[pfinal(i,k)-pinitial(i,k)]
により決定するステップを含み、
initial(i,k)は、前記バッテリの前記実際容量に対する最初の比率値であり、i番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲内の先頭の%比率として表され、
final(i,k)は、前記バッテリの前記実際容量に対する最後の比率値であり、i番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲内の最終の%比率として表され、
ΔQ(i,k)は、i番目の前記バッテリ充電期間中にk番目の前記バッテリ充電範囲全体にわたって前記バッテリに供給される全電荷である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有する前記バッテリ充電期間毎に、前記バッテリの前記実際容量の推定値Qact(i,k)を次式:
act(i,k)=ΔQ(i,k)/[ffinal(i,k)-finitial(i,k)]
により決定し、
initial(i,k)は、前記バッテリの前記実際容量に対する最初の比率値であり、i番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲内の先頭の比率として表され、
final(i,k)は、前記バッテリの前記実際容量に対する最後の比率値であり、i番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲内の最終の比率として表され、
ΔQ(i,k)は、i番目の前記バッテリ充電期間中にk番目の前記バッテリ充電範囲全体にわたって前記バッテリに供給される全電荷である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有する前記バッテリ充電期間毎に、i番目の前記バッテリ充電期間中にk番目の前記バッテリ充電範囲全体にわたって前記バッテリに供給される前記全電荷ΔQ(i,k)を決定するステップを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有する前記バッテリ充電期間毎に、i番目の前記バッテリ充電期間中にk番目の前記バッテリ充電範囲全体にわたって前記バッテリに供給される前記全電荷ΔQ(i,k)を次式:
ΔQ(i,k)=Iavg(i,k)×T(i,k)
により決定するステップを含み、
avg(i,k)はi番目の前記バッテリ充電期間中にk番目の前記バッテリ充電範囲全体にわたって前記バッテリに供給される平均バッテリ充電電流であり、T(i,k)はi番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲の継続時間であり、次式:
T(i,k)=tfinal(i,k)-tinitial(i,k)
により決定され、tinitial(i,k)はi番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲内の最初のバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプであり、tfinal(i,k)はi番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲内の最後のバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記共通のバッテリ充電範囲毎に、前記バッテリの前記実際容量の推定値Qact(i,k)の平均値を決定するステップを含み、該平均値は、当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有する各前記バッテリ充電期間の全部にわたる平均値であり、これによりk番目の前記バッテリ充電範囲について次式:
【数4】
により前記バッテリの前記実際容量Qactの改善された推定値Qact(k)を提供し、∀i∈icomは、k番目の前記バッテリ充電範囲を共通に有する前記バッテリ充電期間の全部にわたって式中の総和を実行するべきことを示し、Nicom(k)は、k番目の前記バッテリ充電範囲を共通に有する前記バッテリ充電期間の数である、請求項10~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記一意的なバッテリ充電範囲毎に、前記バッテリの前記実際容量の推定値Qact(k)を次式:
act(k)=ΔQ(i,k)/[ffinal(i,k)-finitial(i,k)]
により決定するステップを含み、
initial(i,k)は、前記バッテリの前記実際容量に対する最初の比率値であり、i番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲内の先頭の比率として表され、
final(i,k)は、前記バッテリの前記実際容量に対する最後の比率値であり、i番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲内の最終の比率として表され、
ΔQ(i,k)は、i番目の前記バッテリ充電期間中にk番目の前記バッテリ充電範囲全体にわたって前記バッテリに供給される全電荷である、請求項9~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記一意的なバッテリ充電範囲毎に、前記バッテリの前記実際容量の推定値Qact(k)を次式:
act(k)=ΔQ(i,k)×100/[pfinal(i,k)-pinitial(i,k)]
により決定するステップを含み、
initial(i,k)は、前記バッテリの前記実際容量に対する最初の比率値であり、i番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲内の先頭の%比率として表され、
final(i,k)は、前記バッテリの前記実際容量に対する最後の比率値であり、i番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲内の最終の%比率として表され、
ΔQ(i,k)は、i番目の前記バッテリ充電期間中にk番目の前記バッテリ充電範囲全体にわたって前記バッテリに供給される全電荷である、請求項10~14のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記一意的なバッテリ充電範囲毎に、i番目の前記バッテリ充電期間中にk番目の前記バッテリ充電範囲全体にわたって前記バッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を決定するステップを含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記一意的なバッテリ充電範囲毎に、i番目の前記バッテリ充電期間中にk番目の前記バッテリ充電範囲全体にわたって前記バッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を次式:
ΔQ(i,k)=Iavg(i,k)×T(i,k)
により決定するステップを含み、
avg(i,k)はi番目の前記バッテリ充電期間中にk番目の前記バッテリ充電範囲全体にわたって前記バッテリに供給される平均バッテリ充電電流であり、T(i,k)はi番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲の継続時間であり、次式:
T(i,k)=tfinal(i,k)-tinitial(i,k)
により決定され、tfinal(i,k)はi番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲内の最初のバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプであり、tinitial(i,k)は、i番目の前記バッテリ充電期間中のk番目の前記バッテリ充電範囲内の最後のバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
携帯電子機器のバッテリの摩耗値を測定する装置であって、該装置はプロセッサ及びメモリを具え、該メモリは、請求項1~18のいずれかに記載の方法を規定するコンピュータプログラムを記憶し、該プロセッサは、該コンピュータプログラムを実行して請求項1~18のいずれかに記載の方法を実現するように構成されている装置。
【請求項20】
携帯電子機器のバッテリの摩耗値を測定するためのコンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、該プロセッサが請求項1~18のいずれかに記載の方法を実現するように構成されているコンピュータプログラム。
【請求項21】
請求項20に記載のコンピュータプログラムを含むデータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯(モバイル)電子機器のバッテリにおける摩耗値を測定する方法及び装置に関するものである。本発明はコンピュータプログラムにも関するものであり、このコンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、携帯電子機器のバッテリにおける摩耗値を測定する方法を実現するように構成されている。本発明はさらに、こうしたコンピュータプログラムを含むデータ記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話市場では、バッテリ寿命が携帯電話の最も重要な特徴のうちの1つである、というのは、バッテリ寿命は、携帯電話の利用可能性、価格、顧客ベース及び転売の価値に影響を与え得るからである。
【0003】
長期的に、バッテリの容量は減少する。科学的には、このことは摩耗(ウェア)レベルによって測定することができ、摩耗レベルは、元の設計充電容量から失われた実際の充電容量の比率として定義することができる。
【0004】
携帯電話のバッテリの実際の充電容量は、物理的なバッテリテスタ(電池試験器)を用いてハードウェアにより測定することも知られている。こうした方法は通常、バッテリを携帯電話から取り外して放電及び充電サイクルを繰り返すことを含み、2、3時間を要し、要する時間及びバッテリを取り外す必要性の両方の点で不便である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バッテリ消耗を測定することは、2018年現在で80%超の市場占有率を示すアンドロイド(登録商標)機器にとって特に問題である。サムソン社はアンドロイド(登録商標)機器の主要な電話機製造業者であり、近年のサムソン社の電話機モデルの大部分は、物理的に試験するために取り外すことさえできないバッテリを有する。アンドロイド(登録商標)機器用の既知のバッテリ監視(モニタリング)アプリケーション/ソリューション(解決策)は、アプリケーションをインストールして、1回または複数回の充電サイクル中に機器上で実行することを必要とし、このことは2、3時間継続し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好適例の態様によれば、モバイル電子機器のバッテリの摩耗値を測定する方法が提供され、この方法は:
履歴的なバッテリ状態データを用いて、バッテリの実際容量Qactを推定するステップと;
バッテリの設計容量Qdes、及び推定したバッテリの実際容量Qactを用いて、バッテリの摩耗値を測定するステップとを含む。
【0007】
この方法は、バッテリの設計容量Qdesに携帯電子機器からアクセスするステップを含むことができる。
【0008】
この方法は、携帯電子機器上にアプリケーションを配置して、バッテリの設計容量Qdesを携帯電子機器から抽出するステップを含むことができる。
【0009】
この方法は、携帯電子機器のメモリからの、バッテリについての履歴的なバッテリ状態データにアクセスするステップを含むことができる。
【0010】
この方法は、携帯電子機器のバッテリ状態記録(ログ)ファイルからの、バッテリについての履歴的なバッテリ状態データにアクセスするステップを含むことができる。
【0011】
上記携帯電子機器は、アンドロイド(登録商標)オペレーティングシステムを含むこと、または実行することができる。
【0012】
上記携帯電子機器は、アンドロイド(登録商標)マシュマロ(Marshmallow:登録商標)バージョン6.0~6.01、アンドロイド(登録商標)ヌガー(Nougat:登録商標)バージョン7.0~7.12、アンドロインド(登録商標)オレオ(Oreo:登録商標)バージョン8.0~8.1、またはアンドロイド(登録商標)Pバージョン9を含むこと、または実行することができる。
【0013】
上記携帯電子機器はサムソン社の機器を含むことができる。上記携帯電子機器は、サムソン社の電話機のような電話機を含むことができる。
【0014】
上記方法は、バッテリの摩耗値を出力するステップ、例えば表示するステップを含むことができる。
【0015】
上記方法は、バッテリの摩耗値を記憶するステップを含むことができる。
【0016】
既知の従来技術の解決策とは異なり、本発明の方法は有効電荷を監視しなくてもよい。その結果、本発明の方法は、携帯電子機器を充電することをユーザに要求しないことができる。また、バッテリがフル充電状態である場合には、本発明の方法は、再充電の前に携帯電子機器が完全放電するのを待つことをユーザに要求しなくてもよい。これとは対照的に、本発明の方法は、既存のバッテリ状態記録からのデータを使用することができ、このデータはサムソン社のバッテリ使用UI(user interface:ユーザインタフェース)統計上に表示することもできる。このことは、本発明の方法が、サムソン社の携帯電子機器またはサムソン社の電話機のようなアンドロイド(登録商標)を実行する携帯電子機器のバッテリの摩耗を測定する既知の方法よりもずっと高速にすることができ、ずっと容易に使用することができることを意味する。
【0017】
本発明の方法は、バッテリ摩耗をソフトウェア・レベルで、かつ2、3秒未満で測定するという課題を解決することができる。この方法は、携帯機器を、USB(universal serial bus:ユニバーサル・シリアルバス)を通して、適切なソフトウェアを実行中のマシンに差し込むことしか必要とせず、この方法は、バッテリの実際の充電容量を2、3秒未満で測定することができる。
【0018】
本発明の方法は、専用のバッテリ試験ハードウェアを何ら必要としないことができる。本発明の方法は、バッテリを電話機から取り外すことをユーザに要求しなくてもよい。
【0019】
本発明の方法は非常に高速にすることもできる。例えば、本発明の方法は2、3秒未満で実行することができ、取り外し不可能なバッテリを有する電話機の保証を無効にする高価なハードウェアを用いて2時間を要するのとは異なる。このことは、時間の節約により節約された大幅な収益に転換することができる。このことは、追加的なハードウェアまたは専用のオペレータ(操作員)の必要性を解消することができる。このことは、より良い体験をユーザに提供することができる。
【0020】
本発明の方法は複数の用途を有することができる。例えば、本発明の方法はモバイル・プロセッサ(携帯機器用処理装置)環境で用いることができ、モバイル・プロセッサ環境では、電話機を検査して、部分的に残りのバッテリ寿命によって決まる転売価値を持たせる必要がある。本発明の方法を、携帯機器小売環境で用いて、顧客が自分のバッテリ(完全放電対摩耗)に問題があるか否かを確かめて、虚偽の報告及び追加的な診断による収益の損失を防止するために役立てることもできる。本発明の方法は携帯機器修理環境で用いることもでき、携帯機器修理環境では、本発明の方法がNFF(nanofiber framework:ナノファイバー集合体)を見出すのに役立つことができ、あるいは針刺しの問題において役立つことができる。本発明の方法は、顧客の自己診断ソリューションとして有用であり得る、というのは、本発明の方法は、最終顧客が、入店しなければならない前に自分自身のテストを実行することを可能にし、このため、顧客のサポート時間を節約して顧客満足度を増加させることができるからである。
【0021】
本発明の方法は、バッテリ摩耗を測定する既知の方法よりも正確にすることができる、というのは、本発明の方法は過去の複数回の充電事象からのバッテリ充電状態データを利用するからである。
【0022】
こうした履歴的なバッテリ状態データは、時刻情報及びバッテリ充電状態情報を含むことができる。
【0023】
上記方法は、時刻情報及びバッテリ充電状態情報を用いてバッテリ充電期間を識別するステップを含むことができ、バッテリ充電期間中にバッテリが充電されている。
【0024】
上記履歴的なバッテリ状態データは、複数の履歴的なバッテリ充電データ点をバッテリ充電期間毎に含むことができ、各履歴的なバッテリ充電データ点は、時刻情報、バッテリ充電電流情報、及びバッテリ充電情報を含む。
【0025】
時刻情報は相対的な時刻値またはタイムスタンプを含むことができる。
【0026】
バッテリ充電電流情報は、バッテリに供給される充電電流の値を含むことができる。
【0027】
バッテリ充電情報は、バッテリの実際容量Qactに対する比率値を含むことができ、この比率値はバッテリの実際容量Qactに対する割合または%比率として表現される。
【0028】
上記方法は、時刻情報及びバッテリ充電状態情報を用いて複数のバッテリ充電期間を識別するステップを含むことができ、バッテリ充電期間中にバッテリが充電されている。
【0029】
上記方法は、上記1つ以上のバッテリ充電期間における各バッテリ充電期間内に1つ以上のバッテリ充電範囲を識別するステップを含むことができる。
【0030】
上記方法は、バッテリ充電範囲毎に、バッテリの実際充電容量Qactの推定値Qact(k)を決定するステップを含むことができ、ここにkは各バッテリ充電範囲に割り当てられる指標であり、当該バッテリ充電範囲内に生じる、バッテリの実際容量Qactに対する比率値の大小順に応じて割り当てられる。
【0031】
上記方法は、次式:
【数1】
により、全部のバッテリ充電範囲についてバッテリの実際容量の推定値Qact(k)の平均をとることによって、バッテリの実際容量Qactを推定するステップを含むことができ、ここにNkはバッテリ充電範囲の総数である。携帯電子機器のバッテリの充電挙動は一般に非線形であることが知られており、バッテリ充電情報の測定の精度は、バッテリの実際容量の推定値Qact(k)に対する比率値の範囲全体にわたって変動し得るものと考えられる。その結果、このように全部のバッテリ充電範囲についてバッテリの実際容量の推定値Qact(k)の平均をとることによって、バッテリの実際容量Qactの推定値の精度を改善することができる、というのは、このことは、バッテリの実際容量Qactに対する比率値の範囲全体にわたって、バッテリ充電情報の精度のあらゆる変動を、平均をとって除くこと、あるいは低減することができるからである。バッテリ充電情報の測定の精度は、充電中の携帯電子機器の使用により変動し得ることも考えられる。このように全部のバッテリ充電範囲についてバッテリの実際容量の推定値Qact(k)の平均をとることは、充電中の携帯電子機器の使用に伴うバッテリ充電情報の測定精度のあらゆる変動をなくすことに役立つこともでき、これによりバッテリの実際容量Qactの推定値の精度を改善することに役立つことができる。
【0032】
上記方法は、%比率の摩耗値Wpとして表現されるバッテリの摩耗値を次式:
【数2】
により決定するステップを含むことができ、ここに、Qactは推定したバッテリの実際容量であり、Qdesはバッテリの設計容量である。
【0033】
上記方法は、小数の摩耗値として表現されるバッテリの摩耗値を次式:
【数3】
により決定するステップを含むことができる。ここに、Qactは推定したバッテリの実際容量であり、Qdesはバッテリの設計容量である。
【0034】
上記方法は、あらゆる共通のバッテリ充電範囲を識別するステップを含むことができ、共通のバッテリ充電範囲内では、1つのバッテリ充電期間におけるバッテリの実際容量Qactに対する比率値が、他のいずれか1つ以上のバッテリ充電期間におけるバッテリの実際容量Qactに対する比率値とオーバーラップ(重複)する。
【0035】
上記方法は、あらゆる一意的なバッテリ充電範囲を識別するステップを含むことができ、一意的なバッテリ充電範囲内では、1つのバッテリ充電期間におけるバッテリの実際容量Qactに対する比率値のいずれも、他のいずれか1つ以上のバッテリ充電期間におけるバッテリの実際容量Qactに対する比率値とオーバーラップしない。
【0036】
上記方法は、共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間毎に、バッテリの実際容量の推定値Qact(i,k)を次式:
act(i,k)=ΔQ(i,k)/[ffinal(i,k)-finitial(i,k)]
により決定するステップを含むことができ、
ここに、finitial(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最初の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の先頭の比率として表され;
ここに、ffinal(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最後の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最終の比率として表され;
ここに、ΔQ(i,k)は、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷である。
【0037】
上記方法は、共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間毎に、バッテリの実際容量の推定値Qact(i,k)を次式:
act(i,k)=ΔQ(i,k)×100/[pfinal(i,k)-pinitial(i,k)]
により決定するステップを含むことができ、
ここに、pinitial(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最初の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の先頭の%比率として表され;
ここに、pfinal(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最後の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最終の%比率として表され;
ここに、ΔQ(i,k)は、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷である。
【0038】
上記方法は、共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を決定するステップを含むことができる。
【0039】
上記方法は、共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を次式:
ΔQ(i,k)=Iavg(i,k)×T(i,k)
により決定するステップを含むことができ、
ここに、Iavg(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流であり、T(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲の継続時間であり、次式:
T(i,k)=tfinal(i,k)-tinitial(i,k)
により決定され、ここに、tinitial(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最初のバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプであり、tfinal(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最後のバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプである。
【0040】
上記方法は、共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流Iavg(i,k)を決定するステップを含むことができる。
【0041】
上記方法は、共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流Iavg(i,k)を次式:
【数4】
により決定するステップを含むことができ、ここに、Ijはバッテリに供給されるバッテリ充電電流であり、j番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応し、∀j∈i,kは、その総和をi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の履歴的なバッテリ充電データ点の全部にわたって実行するべきことを示し、Nj(i,k)は、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の履歴的なバッテリ充電データ点の総数である。
【0042】
上記方法は、共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を、このバッテリ充電期間中に共通のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を積分することによって決定するステップを含むことができる。
【0043】
上記方法は、共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を、次式:
【数5】
により決定するステップを含むことができ、ここに
【数6】
であり、ここに、tjはj番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプであり、Ijはj番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応してバッテリに供給されるバッテリ充電電流であり、∀j∈i,kは、その総和をi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の履歴的なバッテリ充電データ点の全部にわたって実行するべきことを示す。
【0044】
上記方法は、共通のバッテリ充電範囲毎に、バッテリの実際容量の推定値Qact(i,k)の平均値を決定するステップを含むことができ、この平均値は、当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有する各バッテリ充電期間の全部にわたる平均値であり、これによりk番目のバッテリ充電範囲について次式:
【数7】
によりバッテリの実際容量Qactの改善された推定値Qact(k)を提供し、ここに、∀i∈icomは、k番目のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間の全部にわたってこの総和を実行するべきことを示し、Nicom(k)は、k番目のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間の数である。バッテリ充電情報の精度は、充電中の携帯電子機器の使用に伴って変動し得るものとも考えられる。このように、各共通のバッテリ充電範囲が共通する各バッテリ充電期間の全部にわたってバッテリの実際容量の推定値の平均をとることは、異なるバッテリ充電期間中の共通のバッテリ充電範囲内で充電中の携帯電子機器の使用に伴うバッテリ充電情報の測定値の精度のあらゆる変動をなくすことに役立つことができ、これによりバッテリの実際容量の推定値の精度を改善することに役立つことができる。
【0045】
上記方法は、一意的なバッテリ充電範囲毎に、バッテリの実際容量の推定値Qact(k)を次式:
act(k)=ΔQ(i,k)/[ffinal(i,k)-finitial(i,k)]
により決定するステップを含むことができ、
ここに、finitial(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最初の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の先頭の比率として表され;
ここに、ffinal(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最後の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最終の比率として表され;
ここに、ΔQ(i,k)は、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷である。
【0046】
上記方法は、一意的なバッテリ充電範囲毎に、バッテリの実際容量の推定値Qact(k)を次式:
act(k)=ΔQ(i,k)×100/[pfinal(i,k)-pinitial(i,k)]
により決定するステップを含むことができ、
ここに、pinitial(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最初の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の先頭の%比率として表され;
ここに、pfinal(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最後の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最終の%比率として表され;
ここに、ΔQ(i,k)は、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷である。
【0047】
上記方法は、一意的なバッテリ充電範囲毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を決定するステップを含むことができる。
【0048】
上記方法は、一意的なバッテリ充電範囲毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を次式:
ΔQ(i,k)=Iavg(i,k)×T(i,k)
により決定するステップを含むことができ、
ここに、Iavg(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流であり、T(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲の継続時間であり、次式:
T(i,k)=tfinal(i,k)-tinitial(i,k)
により決定され、
ここに、tfinal(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最初のバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプであり、tinitial(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最後のバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプである。
【0049】
上記方法は、一意的なバッテリ充電範囲毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流Iavg(i,k)を決定するステップを含むことができる。
【0050】
上記方法は、一意的なバッテリ充電範囲毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流Iavg(i,k)を次式:
【数8】
により決定するステップを含むことができ、ここに、Ijはバッテリに供給されるバッテリ充電電流であり、j番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応し、∀j∈i,kは、その総和をi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の履歴的なバッテリ充電データ点の全部にわたって実行するべきことを示し、Nj(i,k)は、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の履歴的なバッテリ充電データ点の総数である。
【0051】
上記方法は、一意的なバッテリ充電範囲毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を、当該一意的なバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を積分することによって決定するステップを含むことができる。
【0052】
上記方法は、一意的なバッテリ充電範囲毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を次式:
【数9】
により決定するステップを含むことができ、ここに
【数10】
であり、ここに、tjはj番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプであり、Ijはj番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応してバッテリに供給されるバッテリ充電電流であり、∀j∈i,kは、その総和をi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の履歴的なバッテリ充電データ点の全部にわたって実行するべきことを示す。
【0053】
本発明の1つの態様または好適例によれば、上記方法を実現するように構成された装置が提供される。
【0054】
本発明の1つの態様または好適例によれば、携帯電子機器のバッテリの摩耗値を測定する装置が提供され、この装置はプロセッサ及びメモリを具え、このメモリは上記方法を規定するコンピュータプログラムを記憶し、このプロセッサはこのプログラムを実行して上記方法を実現する。
【0055】
このメモリは、測定した摩耗値を記憶するように構成することができる。
【0056】
上記装置はディスプレイを具えることができ、このディスプレイは、上記方法により測定したバッテリの測定摩耗値を表示するように構成されている。
【0057】
上記プロセッサは、上記プログラムを実行して、測定した摩耗値を携帯電子機器のメモリに記憶するように構成することができる。
【0058】
上記プロセッサは、上記プログラムを実行して、測定した摩耗値を携帯電子機器のディスプレイ上に表示するように構成することができる。
【0059】
上記プロセッサは、上記プログラムを実行して、測定した摩耗値を他の装置に伝達して、当該装置のメモリに記憶させること、あるいは当該装置のディスプレイ上に表示させることができる。
【0060】
上記装置は、上記携帯電子機器から分離すること、上記携帯電子機器から独立すること、及び/または上記携帯電子機器から遠隔(リモート)の装置にすることができる。
【0061】
上記装置は、携帯電子機器と通信するように構成することができる。
【0062】
上記装置は、USBケーブルのようなUSBインタフェース越しに携帯電子機器と通信するように構成することができる。
【0063】
本発明の1つの態様または好適例によれば、コンピュータプログラムが提供され、このコンピュータプログラムは、プロセッサで実行されると、上記方法を実現するように構成されている。
【0064】
本発明の1つの態様または好適例によれば、このコンピュータプログラムを含む記憶媒体が提供される。
【0065】
携帯電子機器のバッテリの摩耗値を測定する装置及び方法を、非限定的なほんの一例として、添付した図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】携帯電子機器、及びこの携帯電子機器のバッテリの摩耗値を測定する装置を示す図である。
図2図1の携帯電子機器のバッテリ状態記録ファイルの一般的な例を示す図である。
図3図1の携帯電子機器のバッテリにおける摩耗値を測定する方法を示す図である。
図4図3の方法のステップ208をより詳細に示す図である。
図5】バッテリ状態記録ファイル内でオーバーラップする2つのバッテリ充電期間の例を示す図である。
図6】1つのバッテリ充電期間内のバッテリ充電範囲全体にわたる、バッテリ充電電流対時刻の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図面の詳細な説明
最初に図1を参照すれば、全体を1で示す装置が示され、この装置は、全体を12で示す携帯電子機器のバッテリ10の摩耗値を測定し、この携帯電子機器は、サムソン社の電話機のようなアンドロイド(登録商標)携帯電子機器とすることができる。
【0068】
装置1は、メモリ2、コンピュータプログラム4、プロセッサ6、及びディスプレイ8を含み、コンピュータプログラム4はメモリ2に記憶され、プロセッサ6はコンピュータプログラム4を実行するように構成されている。
【0069】
バッテリ10に加えて、携帯電子機器12はメモリ14、プロセッサ16、及びディスプレイ18を含む。携帯電子機器12は、アンドロイド(登録商標)オペレーティングシステム20及びバッテリ10の履歴的な状態データをさらに含み、この履歴的な状態データはバッテリ状態記録ファイル22の形式でメモリ14に記憶されている。
【0070】
装置1及び携帯電子機器12は、USB通信リンクまたはケーブルのような通信リンク30経由で通信するように構成されている。
【0071】
使用中には、装置1のプロセッサ6は、コンピュータプログラム4を実行して、携帯電子機器12のバッテリ10の摩耗値を測定する方法を実現する。具体的には、装置1のプロセッサ6は、携帯電子機器12のプロセッサ16と通信リンク30経由で通信して、携帯電子機器12のメモリ14にアクセスして、バッテリ状態記録ファイル22をメモリ14から読み出す。以下により詳細に説明するように、装置1のプロセッサ6は、次に、携帯電子機器12のバッテリ10の摩耗値を、バッテリ状態記憶ファイル22に含まれるデータに基づいて測定する。プロセッサ6はバッテリ10の摩耗値を装置1のディスプレイ8中に表示する。それに加えて、あるいはその代わりに、プロセッサ6は、バッテリ10の摩耗値を装置1のメモリ2に記憶すること、バッテリ10の摩耗値を携帯電子機器12のディスプレイ18中に表示すること、及び/またはバッテリ10の摩耗値を携帯電子機器12のメモリに記憶することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、プロセッサ6は、バッテリ10の摩耗値を、例えばインターネット50越しに中央データベースのような他の装置40に伝達することができる。
【0072】
図2に一般的なバッテリ状態記録ファイル22の例を示し、バッテリ状態記録ファイル22は履歴的なバッテリ状態データを含み、履歴的なバッテリ状態データは、第1バッテリ充電期間101に対応する第1組の履歴的なバッテリ充電データ点及び第2バッテリ充電期間102に対応する第2組の履歴的なバッテリ充電データ点を含む。
【0073】
第1バッテリ充電期間101内の履歴的なバッテリ充電データ点の各々は、時刻情報及びそれに対応するバッテリ充電電流情報及びバッテリ充電情報を含む。時刻情報は、時間単位、分単位、及び秒単位の日時tstart1,...tj,...tfinish1として表現される相対的な時刻値またはタイムスタンプの形をとる。バッテリ充電電流情報は、それぞれの時刻tstart1,...tj,...tfinish1にバッテリに供給される、mA単位で表現される充電電流Istart1,...Ij,...Ifinish1の絶対値を含む。バッテリ充電情報は、バッテリの実際充電容量Qactに対する比率値qstart1,...qj,...qfinish1を含み、これらの比率値は、それぞれの時刻tstart1,...tj,...tfinish1におけるバッテリの実際充電容量Qactに対する割合または%比率として表現される。
【0074】
同様に、第2バッテリ充電期間102内の履歴的なバッテリ充電データ点の各々は、時刻情報及びそれに対応するバッテリ充電電流情報及びバッテリ充電情報を含む。時刻情報は、時間単位、分単位、秒単位の日時tstart2,...tj,...tfinish2として表現される相対的な時刻値またはタイムスタンプの形をとる。バッテリ充電情報は、バッテリの実際充電容量Qactに対する比率値qstart2,...qj,...qfinish2を含み、これらの比率値は、それぞれの時刻tstart2,...tj,...tfinish2におけるバッテリの実際充電容量Qactに対する割合または%比率として表現される。
【0075】
バッテリ状態記録ファイル22はバッテリ充電状態情報も含み、バッテリ充電状態情報は、例えば、バッテリ充電が開始された時点を示すバッテリ充電状態フラグ110、112、及びバッテリ充電が終了した時点を示すバッテリ充電状態フラグ120、122である。
【0076】
実際のバッテリ状態記録ファイル22が図2に示さない他の情報を含むことができること、あるいは実際のバッテリ状態記録ファイル22が図2中に示すものとは異なるフォーマット(書式)で履歴的なバッテリ状態データ中に存在することができることは、当業者の理解する所である。
【0077】
図3に、携帯電子機器12のバッテリ10の摩耗値を測定する方法200を示す。方法200はステップ202で開始され、ステップ202では、装置1のプロセッサ6が携帯電子機器12からバッテリ10の設計容量Qdesにアクセスする。具体的には、プロセッサ6はアプリケーションを携帯電子機器12上に配置し、このアプリケーションはバッテリの設計容量Qdesを携帯電子機器12から抽出して読み出す。
【0078】
この方法はステップ204に進んで、プロセッサ6は、携帯電子機器12のバッテリ状態記録ファイル22からの履歴的なバッテリ状態データにアクセスする。
【0079】
この方法はステップ206に進んで、プロセッサ6は、バッテリ充電状態フラグ110、112、120、122を用いて1つ以上のバッテリ充電期間を識別し、バッテリはバッテリ充電期間中に充電されている。
【0080】
以下により詳細に説明するように、この方法はステップ208に進んで、プロセッサ6は、上記1つ以上のバッテリ充電期間における各バッテリ充電期間内の1つ以上のバッテリ充電範囲を識別し、バッテリ充電範囲毎にバッテリの実際充電容量Qactの推定値Qact(k)を決定し、ここにkは各バッテリ充電範囲に割り当てられる指標であり、当該バッテリ充電範囲内に生じる、バッテリの実際容量Qactに対する比率値の大小順に応じて割り当てられる。
【0081】
ステップ210では、プロセッサ6が、次式:
【数11】
により、全部のバッテリ充電範囲についてバッテリの実際容量の推定値Qact(k)の平均をとることによってバッテリの実際容量Qactを推定し、ここにNkはバッテリ充電範囲の総数である。携帯電子機器のバッテリの充電挙動は一般に非線形であることが知られており、バッテリ充電情報の測定の精度は、バッテリの実際容量Qactに対する比率値の範囲全体にわたって変動し得るものと考えられる。その結果、このように全部のバッテリ充電範囲についてバッテリの実際容量の推定値Qact(k)の平均をとることによって、バッテリの実際容量Qactの推定値の精度を改善することができる、といういのは、このことは、バッテリの実際容量Qactに対する比率値の範囲全体にわたって、バッテリ充電情報の精度のあらゆる変動を、平均をとって除くこと、あるいは低減することができるからである。バッテリ充電情報の測定の精度は、充電中の携帯電子機器の使用により変動し得ることも考えられる。このように全部のバッテリ充電範囲についてバッテリの実際容量の推定値Qact(k)の平均をとることは、充電中の携帯電子機器の使用に伴うバッテリ充電情報の測定精度のあらゆる変動をなくすことに役立つこともでき、これによりバッテリの実際容量Qactの推定値の精度を改善することに役立つことができる。
【0082】
ステップ212では、プロセッサ6が、%比率の摩耗値Wpとして表現されるバッテリの摩耗値を次式:
【数12】
により決定し、ここに、Qactは推定したバッテリの実際容量であり、Qdesはバッテリの設計容量である。
【0083】
それに加えて、あるいはその代わりに、ステップ212では、プロセッサ6が、小数の摩耗値Wfとして表現されるバッテリの摩耗値を次式:
【数13】
により決定することができ、ここにQactは推定したバッテリの実際容量であり、Qdesはバッテリの設計容量である。
【0084】
図3の方法のステップ208を以下に図4及び5を参照しながら説明する。ステップ220では、プロセッサ6があらゆる共通のバッテリ充電範囲及びあらゆる一意的なバッテリ充電範囲を識別する。具体的には、プロセッサ6は:
あらゆる共通のバッテリ充電範囲を識別し、共通のバッテリ充電範囲内では、1つのバッテリ充電期間におけるバッテリの実際容量Qactに対する比率値が、他のいずれか1つ以上のバッテリ充電期間におけるバッテリの実際容量Qactに対する比率値とオーバーラップし、
あらゆる一意的なバッテリ充電範囲を識別し、一意的なバッテリ充電範囲内では、1つのバッテリ充電期間におけるバッテリの実際容量Qactに対する比率値のいずれも、他のいずれか1つ以上のバッテリ充電期間におけるバッテリの実際容量Qactに対する比率値とオーバーラップしない。
【0085】
例えば、図5を参照すれば、次の2つのオーバーラップするバッテリ充電期間が示され:第1バッテリ充電期間中にはバッテリの実際容量Qactに対する比率値が0%から60%までの範囲内であり、第2バッテリ充電期間中にはバッテリの実際容量Qactに対する比率値が30%から90%までの範囲内である。従って、プロセッサ6は次の3つのバッテリ充電範囲を識別する:
i. 第1バッテリ充電範囲であるバッテリ充電範囲1、バッテリの実際容量Qactに対する比率値が0%から30%までの範囲内であり、第1バッテリ充電期間にとって一意的である;
ii. 第2バッテリ充電範囲であるバッテリ充電範囲2、バッテリの実際容量Qactに対する比率値が30%から60%までの範囲内であり、第1バッテリ充電期間と第2バッテリ充電期間とに共通する;
iii. 第3バッテリ充電範囲であるバッテリ充電範囲3、バッテリの実際容量Qactに対する比率値が60%から90%までの範囲内であり、第2バッテリ充電期間にとって一意的である。
【0086】
再び図4を参照すれば、上記方法はステップ222に進み、プロセッサ6は、共通のバッテリ充電範囲(例えば、図5のバッテリ充電範囲2)毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間(例えば、図5の第1バッテリ充電期間及び第2バッテリ充電期間)毎に、バッテリの実際容量の推定値Qact(i,k)を次式:
act(i,k)=ΔQ(i,k)×100/[pfinal(i,k)-pinitial(i,k)]
により決定し、
ここに、pinitial(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最初の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の先頭の%比率として表され;
ここに、pfinal(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最後の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最終の%比率として表され;
ここに、ΔQ(i,k)は、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷である。
【0087】
図5に示す例については、1つだけの共通のバッテリ充電範囲、即ちバッテリ充電範囲2、及び2つのバッテリ充電期間、即ち第1及び第2バッテリ充電期間が存在する。従って、ステップ222ではプロセッサ6が次式:
initial(1,2)=30かつpfinal(1,2)=60;及び
initial(2,2)=30かつpfinal(2,2)=60
のものを決定することになる。
【0088】
プロセッサ6は、共通のバッテリ充電範囲(例えば、図5のバッテリ充電範囲2)毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間(例えば、図5の第1及び第2バッテリ充電期間)毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を次式:
ΔQ(i,k)=Iavg(i,k)×T(i,k)
により決定し、ここに、Iavg(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流であり、T(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲の継続時間であり、次式:
T(i,k)=tfinal(i,k)-tinitial(i,k)
により決定され、ここに、tinitial(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最初のバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプであり、tfinal(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最後のバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプである。
【0089】
図5に示す例については、1つだけの共通のバッテリ充電範囲、即ちバッテリ充電範囲2が存在する。従って、図5に示す例については、プロセッサ6は、次式:
ΔQ(1,2)=Iavg(1,2)×T(1,2)
ΔQ(2,2)=Iavg(2,2)×T(2,2)
のものを決定し、ここに:
avg(1,2)は、バッテリ充電範囲2について第1バッテリ充電期間中のバッテリ充電データから決定される平均電流であり;
T(1,2)は、第1バッテリ充電期間中の時刻データからの、バッテリ充電範囲2に関連する継続時間であり;
avg(2,2)は、バッテリ充電範囲2について第2バッテリ充電期間中のバッテリ充電データから決定される平均電流であり;
T(2,2)は、第2バッテリ充電期間中の時刻データからの、バッテリ充電範囲2に関連する継続時間である。
【0090】
プロセッサ6は、共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該バッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間毎に、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流を、次式:
【数14】
により決定し、
ここに、Ijはバッテリに供給されるバッテリ充電電流であり、j番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応し、∀j∈i,kは、その総和をi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の履歴的なバッテリ充電データ点の全部にわたって実行するべきことを示し、Nj(i,k)は、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の履歴的なバッテリ充電データ点の総数である。
【0091】
図5に示す例については、1つだけの共通のバッテリ充電範囲、即ちバッテリ充電範囲2、及び2つのバッテリ充電期間、即ち第1及び第2バッテリ充電期間が存在する。プロセッサ6は、第1バッテリ充電期間中にバッテリ充電範囲2の全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流Iavg(1,2)を次式:
【数15】
により決定し、ここに、Ijはバッテリに供給されるバッテリ充電電流であり、j番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応し、∀j∈i=1,k=2は、その総和を1番目のバッテリ充電期間中のバッテリ充電範囲2内の履歴的なバッテリ充電データ点の全部にわたって実行するべきことを示し、Nj(1,2)は、1番目のバッテリ充電期間中のバッテリ充電範囲2内の履歴的なバッテリ充電データ点の総数である。
【0092】
同様に、プロセッサ6は、第2バッテリ充電期間中にバッテリ充電範囲2の全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流Iavg(1,2)を次式:
【数16】
により決定し、ここに、Ijはバッテリに供給されるバッテリ充電電流であり、j番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応し、∀j∈i=2,k=2は、その総和を2番目のバッテリ充電期間中のバッテリ充電範囲2内の履歴的なバッテリ充電データ点の全部にわたって実行するべきことを示し、Nj(2,2)は、2番目のバッテリ充電期間中のバッテリ充電範囲2内の履歴的なバッテリ充電データ点の総数である。
【0093】
図4に示すように、上記方法はステップ224に進み、プロセッサ6は、共通のバッテリ充電範囲毎に、バッテリの実際容量の推定値Qact(i,k)の平均値を決定し、この平均値は、当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有する各バッテリ充電期間の全部にわたる平均値であり、これによりk番目のバッテリ充電範囲について次式:
【数17】
によりバッテリの実際容量Qactの改善された推定値Qact(k)を提供し、ここに、∀i∈icomは、k番目のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間の全部にわたってこの総和を実行するべきことを示し、Nicom(k)は、k番目のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間の数である。このように、各共通のバッテリ充電範囲を共通に有する各バッテリ充電期間の全部にわたってバッテリの実際容量の推定値の平均をとることは、異なるバッテリ充電期間中の共通のバッテリ充電範囲内で充電中の携帯電子機器の使用におけるあらゆる変動をなくすことに役立つことができ、これによりバッテリの実際容量の推定値の精度を改善することに役立つことができる。
【0094】
図5に示す例については、1つだけの共通のバッテリ充電範囲、即ちバッテリ充電範囲2、及び2つのバッテリ充電期間が存在する。従って、図5に示す例については、ステップ224で、プロセッサ6がQact(1,2)とQact(2,2)との単純平均をとって、バッテリ充電範囲2についてバッテリの実際容量の推定値を次式:
【数18】
により決定する。
【0095】
このように、異なるバッテリ充電期間についてバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリ10の実際容量の推定値の平均をとることは、充電中の携帯電子機器12の使用におけるあらゆる変動をなくすことに役立ち、これによりバッテリ10の実際容量の推定値の精度を改善することに役立つ。
【0096】
図4のステップ226では、プロセッサ6が、一意的なバッテリ充電範囲毎に、バッテリの実際容量の推定値Qact(k)を次式:
act(k)=ΔQ(i,k)×100/[pfinal(i,k)-pinitial(i,k)]
により決定し、
ここに、pinitial(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最初の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の先頭の%比率として表され;
ここに、pfinal(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最後の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最終の%比率として表され;
ここに、ΔQ(i,k)は、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷である。
【0097】
図5に示す例については、2つの一意的なバッテリ充電範囲、即ちバッテリ充電範囲1及び3が存在する。従って、ステップ226はプロセッサ6に次式:
initial(1,1)=0かつpfinal(1,1)=30;及び
initial(2,3)=60かつpfinal(2,3)=90
の決定をさせる。
【0098】
プロセッサ6は、バッテリ充電範囲毎に、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(k)も次式:
ΔQ(k)=Iavg(i,k)×T(i,k)
により決定し、ここに、Iavg(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流であり、T(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲の継続時間であり、次式:
T(i,k)=tfinal(i,k)-tinitial(i,k)
により決定され、ここに、tinitial(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最初のバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプであり、tfinal(i,k)はi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最後のバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプである。
【0099】
図5に示す例については、2つの一意的なバッテリ充電範囲、即ちバッテリ充電範囲1及び3が存在する。従って、図5に示す例については、プロセッサ6が、1番目のバッテリ充電期間中にバッテリ充電範囲1の全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(1)を次式:
ΔQ(1)=Iavg(1,1)×T(1,1)
により決定し、2番目のバッテリ充電期間中にバッテリ充電範囲3の全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(3)を次式:
ΔQ(3)=Iavg(2,3)×T(2,3)
により決定する。
【0100】
プロセッサ6は、一意的なバッテリ充電範囲毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流Iavg(i,k)を次式:
【数19】
により決定し、ここに、Ijはバッテリに供給されるバッテリ充電電流であり、j番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応し、∀j∈i,kは、その総和をi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の履歴的なバッテリ充電データ点の全部にわたって実行するべきことを示し、Nj(i,k)は、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の履歴的なバッテリ充電データ点の総数である。
【0101】
図5に示す例については、2つの一意的なバッテリ充電範囲、即ちバッテリ充電範囲1及び3が存在し、バッテリ充電範囲1は第1バッテリ充電期間にとって一意的であり、バッテリ充電範囲3は第2バッテリ充電期間にとって一意的である。プロセッサ6は、一意的なバッテリ充電範囲1について、第1バッテリ充電期間中にバッテリ充電範囲1の全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流Iavg(1,1)を次式:
【数20】
により決定し、ここに、Ijはバッテリに供給されるバッテリ充電電流であり、j番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応し、∀j∈i=1,k=1は、その総和を第1バッテリ充電期間中のバッテリ充電範囲1内の履歴的なバッテリ充電データ点の全部にわたって実行するべきことを示し、Nj(1,1)は、第1バッテリ充電期間中のバッテリ充電範囲1内の履歴的なバッテリ充電データ点の総数である。
【0102】
同様に、プロセッサ6は、一意的なバッテリ充電範囲3について、第2バッテリ充電期間中にバッテリ充電範囲3の全体にわたってバッテリに供給される平均バッテリ充電電流Iavg(2,3)を次式:
【数21】
により決定し、ここに、Ijはバッテリに供給されるバッテリ充電電流であり、j番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応し、∀j∈i=2,k=3は、その総和を第2バッテリ充電期間中のバッテリ充電範囲3内の履歴的なバッテリ充電データ点の全部にわたって実行するべきことを示し、Nj(2,3)は、第2バッテリ充電期間中のバッテリ充電範囲3内の履歴的なバッテリ充電データ点の総数である。
【0103】
図3に示すステップ210に戻れば、図5に示す例については、プロセッサ6が、次式:
【数22】
により、全部のバッテリ充電範囲k=1、2及び3についてバッテリの実際容量の推定値Qact(k)の平均をとることによって、バッテリの実際容量Qactを推定する。
【0104】
携帯電子機器12のバッテリ10の充電挙動は一般に非線形であることが知られており、バッテリ充電情報の測定の精度は、バッテリの実際容量Qactに対する比率値の範囲全体にわたって変動し得るものと考えられる。その結果、このようにバッテリ充電範囲の全部についてバッテリ10の実際容量の推定値Qact(k)の平均をとることによって、バッテリ10の実際容量Qactの推定値の精度を改善することができる、というのは、このことは、バッテリの実際容量Qactに対する比率値の範囲全体にわたって、バッテリ充電情報の精度のあらゆる変動を、平均をとって除くこと、あるいは低減することができるからである。バッテリ充電情報の測定の精度は、充電中の携帯電子機器の使用により変動し得ることも考えられる。このように全部のバッテリ充電範囲についてバッテリの実際容量の推定値Qact(k)の平均をとることは、充電中の携帯電子機器12の使用に伴うバッテリ充電情報の測定精度のあらゆる変動をなくすことに役立つこともでき、これによりバッテリの実際容量Qactの推定値の精度を改善することに役立つことができる。
【0105】
添付した特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなしに、上述した装置及び方法を変更することができることは、当業者にとって明らかである。例えば、バッテリの実際容量に対する比率値が小数として表現される場合、プロセッサ6は、共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間毎に、バッテリの実際容量の推定値Qact(i,k)を次式:
act(i,k)=ΔQ(i,k)/[ffinal(i,k)-finitial(i,k)]
により決定することができ、
ここに、finitial(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最初の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の先頭の比率として表され;
ここに、ffinal(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最後の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最終の比率として表され;
ここに、ΔQ(i,k)は、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷である。
【0106】
同様に、バッテリの実際容量に対する比率値が小数として表現される場合、プロセッサ6は、一意的なバッテリ充電範囲毎に、バッテリの実際容量の推定値Qact(k)を次式:
act(k)=ΔQ(i,k)/[ffinal(i,k)-finitial(i,k)]
により決定することができ、
ここに、finitial(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最初の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の先頭の比率として表され;
ここに、ffinal(i,k)は、バッテリの実際容量に対する最後の比率値であり、i番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の最終の比率として表され;
ここに、ΔQ(i,k)は、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷である。
【0107】
共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間毎に平均電流を測定するのではなく、及びこの平均電流を用いてi番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を測定するのではなく、プロセッサ6は、当該共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を、当該バッテリ充電期間中に共通のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される充電電流を積分することによって測定することができる。例えば、図6を参照すれば、プロセッサ6は、当該共通のバッテリ充電範囲毎に、かつ当該共通のバッテリ充電範囲を共通に有するバッテリ充電期間毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を、次式:
【数23】
により測定し、ここに
【数24】
であり、ここにtjはj番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプであり、ここにIjはj番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応してバッテリに供給されるバッテリ充電電流であり、ここに∀j∈i,kは、その総和をi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の履歴的なバッテリ充電データ点の全部にわたって実行するべきことを示す。
【0108】
同様に、一意的なバッテリ充電範囲毎に平均電流を測定するのではなく、及びこの平均電流を用いてi番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を測定するのではなく、プロセッサ6は、一意的なバッテリ充電範囲毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を、当該一意的なバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される充電電流を積分することによって測定することができる。例えば、図6を参照すれば、プロセッサ6は、一意的なバッテリ充電範囲毎に、i番目のバッテリ充電期間中にk番目のバッテリ充電範囲全体にわたってバッテリに供給される全電荷ΔQ(i,k)を、次式:
【数25】
により測定することができ、ここに
【数26】
であり、ここにtjはj番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応する相対的な時刻値またはタイムスタンプであり、ここにIjはj番目の履歴的なバッテリ充電データ点に対応してバッテリに供給されるバッテリ充電電流であり、ここに∀j∈i,kは、その総和をi番目のバッテリ充電期間中のk番目のバッテリ充電範囲内の履歴的なバッテリ充電データ点の全部にわたって実行するべきことを示す。
【0109】
図5は2つのバッテリ充電期間を示しているが、バッテリ充電期間の数は2つよりも大きくすることも小さくすることもできることは、通常の当業者の理解する所である。同様に、図5は1つの共通のバッテリ充電範囲及び2つの一意的なバッテリ充電範囲を示しているが、共通のバッテリ充電範囲の数は1つよりも大きくすることも小さくすることもできること、及び一意的なバッテリ充電範囲数は2つよりも大きくすることも小さくすることもできることは、通常の当業者の理解する所である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6