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特許7416711アクセスネットワーク用のインターフェースサブシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-09
(45)【発行日】2024-01-17
(54)【発明の名称】アクセスネットワーク用のインターフェースサブシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/27 20130101AFI20240110BHJP
【FI】
H04B10/27
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020552185
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019025061
(87)【国際公開番号】W WO2019191730
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】62/650,079
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/805,509
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514002477
【氏名又は名称】ケーブル テレビジョン ラボラトリーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】カンポス、 ルイス アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ジア、 ジェンシェン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、 マシュー ディー.
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0041280(US,A1)
【文献】特開2010-283644(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0317759(US,A1)
【文献】特表2017-538315(JP,A)
【文献】特開2018-019378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスネットワーク用のインターフェースサブシステムであって、
(i)送信部分、(ii)受信部分、及び(iii)コヒーレント光トランシーバの動作を第1の動作モードと第2の動作モードとの間で切り替えるように構成されたスイッチング機構を備えるコヒーレント光トランシーバと、
制御層と、
(i)前方誤り訂正(FEC)符号化ユニット、(ii)イーサネットマッピングユニット、及び(iii)光伝送ネットワーク(OTN)フレーミングモジュールを含むフレーミングユニットを備えるインターフェース前部分と、
前記フレーミングユニットと動作可能に通信し、前記インターフェースサブシステムのホスト側で第1及び第2の別個の入力100GbE電気信号を送受信するように構成された電気インターフェース部分と、
前記コヒーレント光トランシーバと動作可能に通信し、(i)200G光伝送用に、(ii)前記インターフェースサブシステムの回線側で、前記インターフェースサブシステムの回線側に結合された光伝送媒体に光信号を送信し、前記光伝送媒体から光信号を受信するように構成された光インターフェース部分と、
前記制御層と動作可能に通信する管理インターフェース部分と、
前記光インターフェース部分と前記コヒーレント光トランシーバとの間の回線側に配置された方向要素と
を備え、
前記方向要素は、光信号を前記送信部分から前記光伝送媒体にルーティングしかつ光信号を前記光伝送媒体から前記受信部分にルーティングするように構成され、
前記光インターフェース部分は、前記方向要素と前記コヒーレント光トランシーバとの間の二重インターフェースアーキテクチャを含み、
前記送信部分及び前記受信部分は、前記二重インターフェースアーキテクチャの別個のそれぞれの部分を介して前記光伝送媒体と結合され、
前記電気インターフェース部分は、前記第1及び第2の別個の入力100GbE電気信号を個別に処理して二重100Gフレーム構造にするように構成されたマッピングユニットと、前記二重100Gフレーム構造を単一出力200Gフレーム構造にインターリーブするように構成された多重化ユニットとを含み、
前記インターフェース前部分は、連続動作でオープンFEC(oFEC)を前記単一出力200Gフレーム構造に統合するように構成される、インターフェースサブシステム。
【請求項2】
前記第1の動作モードは100Gモードであり、前記第2の動作モードは200Gモードである、請求項1に記載のインターフェースサブシステム。
【請求項3】
前記送信部分は、シンボルマッピングユニット、線形及び非線形プリエンファシスユニット、デジタルアナログ変換器、I/Q変調及び偏波合成ユニットのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のインターフェースサブシステム。
【請求項4】
前記受信部分は、I/Q検出ユニット、アナログデジタル変換器(ADC)、デスキュー及び直交性補償ユニット、色分散補償ユニット、偏波モード分散補償ユニット、偏波多重化ユニット、クロック再生ユニット、キャリア周波数オフセット補償ユニット、キャリア位相補償ユニット、シンボルデマッピングユニット、FEC復号化ユニット、イーサネットデマッピングユニット、及びOTNフレーミングユニットのうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載のインターフェースサブシステム。
【請求項5】
前記受信部分は、前記デスキュー及び直交性補償ユニット、前記色分散補償ユニット、前記偏波モード分散補償ユニット、前記偏波多重化ユニット、及び前記クロック再生ユニットのうちの少なくとも1つから前記ADCへのフィードバックループをさらに含む、請求項4に記載のインターフェースサブシステム。
【請求項6】
前記方向要素はさらに、前記光伝送媒体を前記送信部分のI/Q変調及び偏波合成ユニットと結合するように構成される、請求項3に記載のインターフェースサブシステム。
【請求項7】
前記方向要素はさらに、前記光伝送媒体を前記受信部分のI/Q検出ユニットと結合するように構成される、請求項6に記載のインターフェースサブシステム。
【請求項8】
前記コヒーレント光トランシーバは、前記単一出力200Gフレーム構造のフレームを、前記光伝送媒体を介した伝送用の偏光コンステレーションシンボルにマッピングするように構成されたシンボルマッパーをさらに備える、請求項1に記載のインターフェースサブシステム。
【請求項9】
アクセスネットワーク用のインターフェースサブシステムであって、
(i)送信部分、(ii)受信部分、及び(iii)コヒーレント光トランシーバの動作を第1の動作モードと第2の動作モードとの間で切り替えるように構成されたスイッチング機構を備えるコヒーレント光トランシーバと、
制御層と、
前方誤り訂正(FEC)エンコーダと、物理符号化副層(PCS)及び光伝送ネットワーク(OTN)モジュールを含むフレーミングユニットを備えるインターフェース前部分と、
前記フレーミングユニットと動作可能に通信し、前記インターフェースサブシステムのホスト側で第1及び第2の別個の入力100GbE電気信号を送受信するように構成された電気インターフェース部分と、
前記コヒーレント光トランシーバと動作可能に通信し、(i)200G光伝送用に、(ii)前記インターフェースサブシステムの回線側で、前記インターフェースサブシステムの回線側に結合された光伝送媒体に光信号を送信し、前記光伝送媒体から光信号を受信するように構成された光インターフェース部分と、
前記制御層と動作可能に通信する管理インターフェース部分と
を備え、
前記制御層は、前記フレーミングユニット及び前記コヒーレント光トランシーバとの動作可能な通信のために構成され、
前記PCSは、前記ホスト側で受信された電気信号を符号化して前記コヒーレント光トランシーバの送信部分に送信するように構成され、
前記電気インターフェース部分は、前記第1及び第2の別個の入力100GbE電気信号を個別に処理して二重100Gフレーム構造にするように構成されたマッピングユニットと、前記二重100Gフレーム構造を単一出力200Gフレーム構造にインターリーブするように構成された多重化ユニットとを含み、
前記インターフェース前部分は、連続動作でオープンFEC(oFEC)を前記単一出力200Gフレーム構造に統合するように構成される、インターフェースサブシステム。
【請求項10】
前記送信部分は、フレームジェネレータ、第1のビットインターリーバ、及び第1のビットデインターリーバのうちの少なくとも1つを備える、請求項9に記載のインターフェースサブシステム。
【請求項11】
前記FECエンコーダは、前記連続動作で前記光信号に差動符号化を実施するように構成される、請求項10に記載のインターフェースサブシステム。
【請求項12】
前記FECエンコーダは、前記連続動作で前記光信号の連続するブロックをコードワード行列に符号化するように構成される、請求項10に記載のインターフェースサブシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、全体として通信ネットワークに関し、より詳細には、1つ以上のネットワークプロトコルに従って信号を伝送することができるアクセスネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年3月29日に出願された米国仮特許出願第62/650,079号、及び2019年2月14日に出願された米国仮特許出願第62/805,509号の利益及び優先権を主張するものであり、これらの両方は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0003】
ほとんどの通信事業者は、データ及びビデオサービスに使用するヘッドエンド(HE)/ハブとファイバノードとの間で利用できるファイバが非常に限られており、多くの場合、ファイバノードのグループにサービスを提供するファイバストランドは1~2本だけである。エンドユーザが家庭により多くの帯域幅を要求するため、事業者はアクセスネットワークの容量を増やす方法に関する戦略を必要としている。このような戦略の1つは、HE/ハブとファイバノードとの間にファイバを追加することを含むが、再トレンチングにはコストと時間がかかるため、投資収益率(RoI)を考慮すると、このオプションは魅力的ではない。既存のインフラストラクチャをより効率的に再利用するソリューションが望まれる。したがって、アクセスネットワークにおける波長分割多重(WDM)と共にポイントツーポイント(P2P)コヒーレント光学系を使用することにより、帯域幅需要を満たすために既存のインフラストラクチャを使用し、それにより再トレンチングコストを回避することが提案されている。
【0004】
コヒーレント光技術は、海中ネットワーク、長距離ネットワーク、及びメトロネットワークにおいて一般的になりつつあるが、そのような利用のための技術の比較的高いコストのために、アクセスネットワークにはまだ適用されていない。しかしながら、(i)HE/ハブからファイバノードまでの距離は他のタイプのネットワークと比べてアクセスネットワークでははるかに短く、(ii)アクセスネットワークは常にP2Pアーキテクチャであり、(iii)固定波長の光受動部品を利用することができるので、ケーブルアクセスネットワークのための費用効果の高いコヒーレント光技術の利用を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、よりコンパクトな波長を追加するためのより大きなマージン、結果として生じる改善された信号対雑音比(SNR)を実現する、アクセスネットワークのためのコヒーレント光システム及び方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
アクセスネットワークにコヒーレント光技術を適応させることによって、(例えば、歪み補償、非線形補償、誤り訂正を行うために)他のネットワークで使用されるモジュールのいくつかは、除去、単純化、及び/又は要件が緩和されたコンポーネントを使用して実現することができ、それによりP2Pコヒーレント光リンク実装のための大幅なコスト削減をもたらす。さらに、アクセスネットワークトランシーバの能力、性能、及び特徴は特に、光出力パワーレベル、送信機の波長性能、ファイバの色分散補償の量、及び送信機の光信号対雑音比(OSNR)に関してさらに緩和される可能性があり、これはさらに設計コストを低減し、アクセスネットワークにおけるより低コストのコンポーネントの使用を可能にする。
【0007】
一実施形態では、通信ネットワークは、コヒーレント光送信機と、コヒーレント光受信機と、コヒーレント光送信機をコヒーレント光受信機に動作可能に結合する光伝送媒体と、コヒーレント光インターフェースとを含む。コヒーレント光インターフェースは、回線側インターフェース部分と、クライアント側インターフェース部分と、制御インターフェース部分とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、図面全体にわたって同様の符号が同様の部分を表す添付の図面を参照して以下の詳細な説明が読まれた場合に、よりよく理解されるであろう。
【0009】
図1図1Aは、分布帰還型レーザダイオードの発光スペクトルを示す。図1Bは、外部共振器レーザダイオードの発光スペクトルを示す。
【0010】
図2】電気光学変調器の概略図である。
【0011】
図3】2つの図2に示される電気光学変調器を利用するIQ変調器構造の概略図である。
【0012】
図4】二重偏波コヒーレントIQ変調器の概略図である。
【0013】
図5】分散による減衰の比較プロットのグラフである。
【0014】
図6】それぞれのコヒーレント検出スキームの比較プロットのグラフである。
【0015】
図7】位相ダイバーシティコヒーレント受信機の概略図である。
【0016】
図8】位相及び偏波ダイバーシティコヒーレント受信機の概略図である。
【0017】
図9】デジタル信号プロセスを示す。
【0018】
図10】二重光インターフェース構造を有するトランシーバの概略図である。
【0019】
図11】単一光インターフェース構造を有するトランシーバの概略図である。
【0020】
図12】送信機の機能概略図である。
【0021】
図13】受信機の機能概略図である。
【0022】
図14図14A~Bは、比較符号化プロットを示すグラフである。
【0023】
図15】例示的なシンボルストリームアーキテクチャを示す概略図である。
【0024】
図16】例示的なコードワードアーキテクチャを示す概略図である。
【0025】
図17】例示的なブロック分割を示す概略図である。
【0026】
図18】例示的な階段符号化スキームを示す概略図である。
【0027】
図19】例示的なエラーデコリレータの概略図である。
【0028】
図20】例示的な階段符号アーキテクチャを示す概略図である。
【0029】
図21】例示的なコンポーネントコードワードを示す概略図である。
【0030】
図22】一連のブロックに対する例示的な階段復号化ウィンドウを示す概略図である。
【0031】
図23】階段符号化スキームに対する訂正不可能なストールエラーパターンを示す概略図である。
【0032】
図24】クライアント側適応プロセスを示す概略図である。
【0033】
図25図24に示されるプロセスのフレーミング及びマッピングサブプロセスを示す概略図である。
【0034】
図26図24に示されるプロセスの符号化サブプロセスの概略図である。
【0035】
図27】例示的なフレーム構造の概略図である。
【0036】
図28】例示的なマルチフレームフォーマット構造の概略図である。
【0037】
図29】例示的なフレーム構造の概略図である。
【0038】
図30】例示的なインターリーブされたフレーム構造の概略図である。
【0039】
図31】例示的なブロックマッピングスキームの概略図である。
【0040】
図32】例示的なブロックマッピングスキームの概略図である。
【0041】
図33】例示的なフレーム同期スクランブラの概略図である。
【0042】
図34】例示的な符号化及びインターリーブユニットの概略図である。
【0043】
図35】例示的なオープン前方誤り訂正構造を示す。
【0044】
図36】例示的なビット順序付けスキームを示す。
【0045】
図37】例示的なビットナンバリングスキームを示す。
【0046】
図38】例示的なブロック間インターリーブ構造を示す。
【0047】
図39】例示的なシンボルマッピング及び偏波分配プロセスの概略図である。
【0048】
図40】例示的なフレーミングプロセスの概略図である。
【0049】
図41】スーパーフレーム/サブフレーム構造のための例示的な分配テーブルの概略図である。
【0050】
図42】例示的なスーパーフレーム構造を示す。
【0051】
図43図42に示されるスーパーフレーム構造の例示的なサブフレームを示す。
【0052】
図44】例示的なパイロットシーケンスマッピングスキームを示す。
【0053】
図45】例示的パイロットシード順序付けプロセスの概略図である。
【0054】
図46】例示的なコンステレーションのグラフである。
【0055】
図47】例示的な単一偏波変調器の概略図である。
【0056】
図48】例示的な二重偏波変調器の概略図である。
【0057】
図49】例示的な送信機の反射効果を示す概略図である。
【0058】
図50】例示的な光リターン効果を示す概略図である。
【0059】
図51】微分群遅延プロットを示すグラフである。
【0060】
図52】例示的な受信機の反射効果を示す概略図である。
【0061】
図53】例示的なコンステレーションのグラフである。
【0062】
別段の指示がない限り、本願で提供される図面は、本開示の実施形態の特徴を示すことを意図している。これらの特徴は、本開示の1つ以上の実施形態を含む幅広いシステムに適用可能であると考えられる。したがって、図面は、本願で開示した実施形態の実施に必要な、当業者に知られているすべての従来の特徴を含むことを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0063】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、以下の意味を有するように定義されるいくつかの用語に言及する。
【0064】
単数形「a」「an」及び「the」は、文脈が明確にそうでないと指示しない限り、複数形の言及を含む。
【0065】
「任意選択の」又は「任意選択で」は、その後に記載される事象又は状況が発生する場合と発生しない場合があること、及び記載には事象が発生する場合と発生しない場合が含まれることを意味する。
【0066】
本願で使用される場合、それとは反対に指定されていない限り、「モデム終端システム」又は「MTSの」は、ケーブルモデム終端システム(CMTS)、光ネットワーク端末(ONT)、光回線端末(OLT)、ネットワーク終端ユニット、衛星終端ユニット、及び/又は他の終端デバイス及びシステムのうちの1つ以上を指す場合がある。同様に、「モデム」は、ケーブルモデム(CM)、光ネットワークユニット(ONU)、デジタル加入者線(DSL)ユニット/モデム、衛星モデムなどの1つ以上を指す場合がある。
【0067】
本願で使用される場合、「データベース」という用語は、データの本体、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)、又はその両方を指す場合があり、階層データベース、リレーショナルデータベース、フラットファイルデータベース、オブジェクトリレーショナルデータベース、オブジェクト指向データベース、及び/又はコンピュータシステムに格納されているレコード又はデータの他の構造化された集合体を含むデータの集合体を含み得る。
【0068】
さらに、本願で使用される場合、「リアルタイム」という用語は、関連する事象の発生時間、所定のデータの測定及び収集時間、コンピューティングデバイス(例えば、プロセッサ)がデータを処理する時間、及び事象及び環境に対するシステム応答の時間のうちの少なくとも1つを指す。本願に記載した実施形態では、これらの活動及び事象は、実質的に瞬時に発生する。
【0069】
本願で使用される場合、「トランシーバ」という用語は、別段の指定がない限り、コヒーレント光送信部分とコヒーレント光受信部分とを有するP2Pコヒーレント光トランシーバを指す。場合によっては、トランシーバは、本願に記載したいくつかの実施形態について、特定の被試験デバイス(DUT)を指す場合がある。
【0070】
明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって本願で使用される近似用語は、関連する基本機能の変化をもたらすことなく許容可能に変化し得る任意の定量的表現を修飾するために使用され得る。したがって、「約」、「おおよそ」、「ほぼ」などの用語によって修飾される値は、指定された正確な値に限定されない。少なくともいくつかの例では、近似用語は、値を測定する機器の精度に対応し得る。本願及び明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、範囲の限定は組み合わせ及び/又は交換することができ、そのような範囲は明らかにされ、文脈又は言葉で別段の指示がない限り、そこに含まれる全ての部分範囲を含む。
【0071】
本願に記載した実施形態は、当分野で増大するアクセスネットワーク傾向に特に有用な革新的なアクセスネットワークアーキテクチャ及びプロセスを提供する。本発明のシステム及び方法は、コヒーレント光学系を活用して、特にP2Pシステムに関して、ケーブルアクセスネットワーク及び一般的なアクセスネットワークを大幅に改善する。本願の実施形態は、P2P通信リンク上でコヒーレント光技術を使用する相互運用可能なトランシーバの開発及び利用を可能にする。本実施形態は、コヒーレント光トランシーバの光物理層要件のための新規でかつ改良された仕様を含む。
【0072】
以下の実施形態は、100及び200ギガビット/秒(Gbps)で動作するトランシーバに関して説明されるが、当業者は、これらの動作パラメータが限定的な意味ではなく例として説明されることを理解するであろう。本願の原理は、特に速度及び帯域幅の増加に対する要求が高まり続けているため、様々な伝送速度で動作するコヒーレント光システムに適用可能である。以下の例は、約40までの例示的なファイバリンクに関しても説明されるが、当業者は、本発明の技術が状況よっては最大80km、120km、及びそれ以上のリンクをサポートすることをさらに理解するであろう。
【0073】
以下の実施形態は、P2Pコヒーレント光学系の仕様の、特に物理(PHY)層に関する改良を含む。本実施形態は、様々なネットワークコンポーネント間の機能動作及びインターフェースに関して、特にPHY層に関連するトランシーバ動作、ならびにPHY層に特有でないトランシーバ動作に焦点を当てて説明される。本発明のシステム及び方法は、フレーミング、前方誤り訂正(FEC)、及び様々な伝送速度及び変調(例えば、100G QPSK、200G QPSK、200G 16QAM)で動作する準拠ハードウェアのためのシンボルマッピングのための改善されたプロセスをさらに提供する。
【0074】
本発明のシステム及び方法は、コヒーレント送信機及びコヒーレント受信機を含む、いくつかのコヒーレント光システムコンポーネントに適用可能である。一実施形態では、トランシーバは、コヒーレント送信機とコヒーレント受信機の両方、すなわち、コヒーレント送信とコヒーレント受信の両方のためのハードウェア機能を含む。例示的な実施形態では、コヒーレント送信機は、少なくとも2つの主要なコンポーネント、(i)1つ以上の光源と、(ii)外部変調器とを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、光源は、順方向バイアスモードで動作する半導体接合により実現されるレーザダイオードを含むことができる。接合部の電子は高エネルギー状態から低エネルギー状態に遷移し、電子エネルギー状態の差に等しいエネルギーを有する光子が放出され、これは自発発光とも呼ばれる。レーザダイオードでは、生成された光子が前後に跳ね返り、より多くの光子の放出を刺激するように反射ファセット又はミラーを実装することができ、これは誘導放出又はレージングとも呼ばれ、より高い強度レベル及び高度なコヒーレンスでの発光をもたらす。接合部によって形成される活性領域の両側のミラー又はファセットは、光共振器を形成する。共振器の幾何学的形状は、接合部の状態の変化によって生成されるエネルギーレベルの範囲と共に、レーザダイオードによって伝送される1つ以上の主要な共振波長を決定する。
【0076】
光システムでは、動作特性を維持できることが重要である。WDM環境では、光システムは、伝送される波長を確実に所望の値に維持するように構成される。一部の光学システムは、より良好な波長制御を得るために熱電冷却機能を組み込んでおり、これは、光終端デバイスにコストを追加するが、波長多重化の改善を促進し、これは、更なる容量を追加するためのファイバ再トレッチングのコストをいくらか回避することを可能にする。
【0077】
図1Aは、分布帰還型(DFB)レーザダイオードの発光スペクトル100を示す。図1Bは、外部共振器レーザ(ECL)ダイオードの発光スペクトル102を示す。例示的な実施形態では、発光スペクトル100、102は、アクセス環境において実現され得るコヒーレントレーザ構造を表す。すなわち、アクセス環境でレーザによって放射される光は、厳密には単色でない場合があり、レーザの個々の構造及び特性に応じて様々な線幅が実現され得る。発光波長の線幅は、同一ファイバで通信される光キャリア間の速度、ダイナミックレンジ、コヒーレンス、及び共存に大きな影響を与える可能性がある。一般に、狭いスペクトルに限定できる光源は、光源が他の光源(例えば、WDM)とファイバスペクトルを共有している場合に好ましい。線幅を狭くすると、他のチャネルに流れ込むエネルギーが制限される。
【0078】
ケーブルアクセスネットワークにおける共存は重要な考慮事項である。ほとんどのケーブル事業者は、ヘッドエンド(HE)、ハブ、及びファイバノードを含む集中型ネットワークを運用している。このタイプの集中型アーキテクチャは、最初はダウンストリームビデオをケーブル加入者に伝送するように構成されていたが、その後、ヘッドエンドにケーブルモデム終端システム(CMTS)を導入し、顧客構内にケーブルモデム(CM)を導入した、Data over Cable Service Interface Specification(DOCSIS)で定義されているデータオーバーケーブルネットワークに進化した。集中型アーキテクチャは、元々、同じ同軸ケーブルでインターネットアクセスとビデオ配信も提供していた。ビデオEdgeQAM(EQAM)は、デジタルビデオ、ビデオオンデマンド(VOD)、及びスイッチドデジタルビデオを可能にするために、後にHE/Hubに導入された。EQAMは、Modular Headend Architecture(MHA-TR)を使用して、MPEGビデオとDOCSISデータの両方を回線上への変調をサポートするように進化した。CMTSとEQAMは、より高密度のEQAMとCMTSを同じシャーシに組み合わせて提供するコンバージドケーブルアクセスプラットフォーム(CCAP)へと進化を続け、イーサネットオプティクスやイーサネットパッシブ光ネットワーク(EPON)などの他のテクノロジーも、理論的には同じシャーシを共有することができる。その結果、CCAPにより、データ、音声、及びビデオをIP経由で処理してから、RF信号又は光信号に変換することが可能になった。
【0079】
トランシーバ送信機の外部変調器コンポーネントは、通常、2つのタイプの外部変調アプローチ、(1)電界吸収効果と2)干渉法のいずれかを使用する。第1のアプローチでは、電界吸収効果が光伝送路によって減衰の程度を制御する。第2のアプローチでは、干渉法が2つの分割された光分岐の相対位相を調整することにより光振幅を変更する。干渉法アプローチを実施するための例示的な変調器構造は、図2に関して以下に記載される。
【0080】
図2は、電気光学変調器200の概略図である。一実施形態では、変調器200は、マッハツェンダ干渉計又はマッハツェンダ変調器(MZM)とも呼ばれるマッハツェンダ強度変調器構造を表す。変調器200は、中心電極202と2つの外側電極204とを含む。変調器200に入る光は、光導波路206によって2つの別々の光分岐208に分割され、その後、変調器200出口210で再結合される。例示的な動作では、干渉法のアプローチは、2つの分割された光分岐208(1)、208(2)の相対位相をそれぞれ調整することによって光振幅を変更し、再結合後、別々に調整された光学的部分は、変調器200を出る光なしで破壊的に(すなわち、位相が180度ずれて)合わさるか、又は出口210において最大光強度で建設的に(すなわち、同相で)合わさることができる。図2に示される例示的な実施形態では、電気経路とは対照的に、光学経路が太字で示されている。
【0081】
図3は、2つの電気光学変調器200(図2)を利用するIQ変調器構造300の概略図である。コヒーレント光学系は、例えば、位相シフトキーイング(例えば、QPSK)及び/又は直交振幅変調(QAM)などの変調フォーマットを使用して、ファイバ伝送媒体を介してシンボルごとに複数のビットを伝送するために、光の変調と位相の両方、ならびに2つの異なる光偏波を利用する技術の実施を可能にする。コヒーレント変調フォーマットは、同相(I)振幅成分と直交位相(Q)振幅成分とを有する。
【0082】
一実施形態では、構造300は、少なくとも2つのMZM、例えば、I経路用の第1のMZM(例えば、変調器200(I))及びQ経路用の第2のMZM(例えば、変調器200(Q))を含む電気光学IQ変調器を表す。より具体的には、入力光信号は、変調器200(I)、200(Q)に入力される前に、最初に外部の光導波路302によって、2つの別個の位相シフト経路304に分割される。すなわち、位相シフト経路304(I)、304(Q)は、90度離れるように位相シフトされ、これにより、第1及び第2のMZM(それぞれ200(I)、200(Q))は、光信号の直交成分に別々に作用することが可能になる。したがって、コヒーレントシステムでは、光の振幅のみを変調する代わりに、振幅と位相の両方を構造300によって変調することができ、これはネストされたIQMZMとも呼ばれる。いくつかの実施形態では、構造300は、別個の位相シフト経路304(I)、304(Q)を再結合するための第3のオフセット変調器200(O)をさらに含むことができる。
【0083】
図4は、二重偏波コヒーレントIQ変調器400の概略図である。図4に示される例示的な実施形態では、変調器400は、2つのIQ変調器構造300(図3)を利用して、光源402から送信されたレーザ信号のそれぞれのX偏波及びY偏波を別々に処理する。この例では、光源402からのレーザ信号は、それぞれIQ変調器構造300(X)及び300(Y)によるそれぞれの偏波の独立したIQ変調のために、偏波ビームスプリッタ(PBS)406によって、X偏波経路404(X)及びY偏波経路404(Y)に分離される。次いで、それぞれのIQ変調器構造300は、それぞれの光導波路302から、偏波ビームコンバイナ(PBC)408に到達するまで、図3に関して上述したものと実質的に同様の方法で動作し、偏波ビームコンバイナ(PBC)408から結合された二重偏波信号が生成される。このようにして、伝送容量は、図3に示される単一IQ変調器構造300の伝送容量の実質的に2倍である。
【0084】
それでもなお、ファイバストランド内に存在しかつ共存するシステムの性能は、ファイバアクセス環境の光チャネル制限の影響を受ける可能性がある。例えば、いくつかの異なるファイバ関連の障害が性能に影響を与えることがわかっている。このような障害の一部はファイバの長さに依存し、一方、他のものはファイバの形状、材料、波長、帯域幅、光パワーレベルに依存する。
【0085】
分散は、ファイバ長に依存する既知の障害である。分散は、光信号の異なる部分が光ファイバ内を異なる速度で伝わるときに生じる。この影響の結果として、光信号は時間的に拡散することがある。異なるタイプの分散は、色分散、導波路分散、モード分散、及び偏波モード分散を含む。色分散、すなわち材料分散は、光周波数による屈折率の変化によって生じる。導波路分散は、屈折率がファイバ長全体にわたって理想的な導波路をどの程度良く表すかに関係し、理想的な導波路との違いが分散を引き起こす。モード分散は、ファイバに異なる伝播モードが存在するときに生じる。例えば、ケーブルアクセス環境では、シングルモードファイバ(SMF)の使用が一般的であるため、ファイバモード分散は存在する要因ではなく、導波路分散は色分散に比べて無視できると考えられる。色分散、すなわち分散(λ)は、以下に従って近似することができる。
【数1】
【0086】
ここで、λ0はゼロ分散波長(通常、SMFの場合は1313nm、又は1302~1322nmの範囲内)であり、S0はλ0における分散スロープであり、通常は0.086ps/(nm2*km)であり、この例では常に0.092ps/(nm2*km)未満であると考えられる。波長に関するSMF分散変動は、図5に関して以下でさらに説明される。
【0087】
図5は、分散による減衰の比較プロット500のグラフである。図5に示される例示的な実施形態では、減衰曲線502は、波長に対するSMFの減衰を表し、分散曲線504は、波長に対する分散を表す。ファイバの減衰は、波長又は周波数に依存する。減衰曲線502に沿って見られるように、この例示的なSMFの場合、減衰は、1550nmの波長伝送において0.22dB/kmであり、1310nm波長伝送において0.3dB/kmである。
【0088】
この例では、需要の多い伝送ウィンドウは、その使用可能な増幅のためのオプション及びその低損失特性のために、Cバンド(すなわち、1530nm~1565nm)である。しかし、アクセスネットワークでは、多くの使用事例シナリオで距離が短いため、増幅の必要はない。したがって、本発明のシステム及び方法は、エルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)の大量生産がまだ行われていないLバンド(すなわち、1565nm~1625nm)の使用に特に適している。したがって、アクセスネットワークのために本願で提供される有利な実施は、これらの特性に関して全体的な伝送を大幅に改善するであろう。ケーブル環境では、光反射の影響は、角度ファセットコネクタの使用によって軽減されることが多いことに留意されたい。すなわち、角度ファセット(APC)コネクタの角度が小さいと、反射信号がファイバから出る。それでもなお、スプライスの欠陥は、性能に影響を与える反射を生じ得る。
【0089】
偏波モード分散(PMD)は、2つの直交偏波が異なる速度で伝わるときに生じ、円形非対称性などのランダムな不完全性に起因するパルス拡散を引き起こす。PMD係数(ps/√km単位)は、特定の長さのファイバのPMD特性を定めるパラメータであり、ファイバのPMDは、微分群遅延(DGD)の平均値である。シングルモードファイバのPMDは、0.1ps/√kmから1ps/√kmの範囲である。SMFのPMDは一般に<0.1ps/√kmであるが、ケーブルの場合、仕様はケーブル配線後に<0.5ps/√kmを要求する。他の使用例では、<4psの非コヒーレント10Gbps非ゼロ復帰(NRZ)に対するPMD要件を使用することができる。例えば、40kmのリンクは、最大で0.5*√40=3.16psの値を期待し、これは補償を必要としない。しかしながら、40Gbpsの伝送速度では、PMD係数の要件は<1ps/√kmであり、この場合、40kmのリンクは補償を必要とする。コヒーレント検出技術は、非コヒーレント検出技術と比較して、PMDに対するより高い許容度を提供し、したがって、本発明のシステム及び方法は、アクセスネットワークの現在のリンク距離に対する最小限のPMD補償又はPMD補償なしで、より高いシンボルレートが達成されることを期待する。アナログ光リンクでは、変調帯域幅が約1GHzであるため、PMDは一般に重要な問題とは見なされない。
【0090】
ファイバにおける非線形効果は、屈折率ファイバ媒質の強度依存性によって、また非常に高い光強度レベルで存在する非弾性散乱効果によって引き起こされ得る。他の非線形効果は、光増幅システムに関連するが、現在のアクセスシナリオ技術に関しては詳細に説明されていない。例えば、比較的短いファイバ距離(例えば、<60km)では、インライン増幅システムは重要な考慮事項ではない。しかしながら、本願では、本発明のシステム及び方法に関して、光パワーに対する屈折率依存性を説明する。屈折率効果には、例えば、自己位相変調(SPM)、相互位相変調(XPM)、及び四光波混合(FWM)が含まれる。
【0091】
SPMの場合、時変信号強度は強度依存屈折率を有する媒質(例えば、ファイバー)において変化する屈折率を生成する。したがって、ファイバを通して伝わる光信号の高強度の部分は、信号の比較的低強度の部分に比べて高い屈折率に遭遇する。したがって、SPMは、屈折率の変化によって生成されるチャーピング及び分散を含む。光パワーのレベルと相互作用の長さもSPMの量に影響を与える。
【0092】
XPMは、原理的にはSPMと概ね同じであると考えられる。しかしながら、場合によっては、XPMは、元の信号と同時に伝播する他の光キャリアに対する強度が変化する屈折率の影響を表す。チャネル数が増加すると、XPMの量も増加する。WDMシステムでは、XPMは特定のチャネルにおけるパワー変動を他の共伝播チャネルにおける位相変動に変換する。XPMは、パワーレベルが比較的高く、相互作用長が大きいほど(すなわち、ファイバリンクが長いほど)高くなる。
【0093】
FWMは、磁化率の3次非線形効果である。FWMでは、3つのフィールドが周波数ω1、ω2、及びω3で伝播する場合、ω4=ω1±ω2±ω3となるように第4の周波数ω4が生成される。FWMは変調帯域幅に依存しないが、周波数間隔とファイバ分散に依存する。分散は波長によって変化するため、信号波と生成された波は異なる群速度を経験し、波の位相整合の機能を破壊する一方で、新たに生成された周波数へのパワー伝達の効率を低下させる。したがって、分散シフトファイバは、標準SMFよりも深刻なFWM効果を経験する。群速度不整合が増加し、チャネル間隔が広がると、FWM効果は減少する。
【0094】
図6は、それぞれのコヒーレント検出スキームの比較プロット600、602、604のグラフである。より詳細には、プロット600は、0に等しいベースバンド中間周波数fIF(すなわち、fIF=0)を有する周波数fSの信号に対するホモダインコヒーレント検出スキームを表し、プロット602は、光信号の帯域幅BandwidthSの半分未満のベースバンド中間周波数fIF(すなわち、fIF<BandwidthS/2)を有する周波数fSの信号に対するイントラダインコヒーレント検出スキームを表し、プロット604は、光信号の帯域幅BandwidthSの半分より大きいベースバンド中間周波数fIF(すなわち、fIF>BandwidthS/2)を有する周波数fSの信号に対するヘテロダインコヒーレント検出スキームを表す。
【0095】
コヒーレント受信機では、入力光信号の電界をベースバンド中間周波数fIFにダウンコンバートするために局部発振器(LO、周波数fLO)を使用することが知られている。したがって、コヒーレント検出は、光場全体をデジタル領域にマッピングすることができ、それにより信号の振幅、位相、及び偏波状態の検出を可能にする。したがって、fIF=fS-fLOと定義される中間周波数に応じて、コヒーレント受信機は、本願に記載される3つのクラス(すなわち、ホモダイン、イントラダイン及びヘテロダイン)に分類される。
【0096】
以下の実施形態では、イントラダイン受信機は、限定的な意味ではなく例示の目的で、100Gコヒーレントシステムのための例示的なオプションとして説明される。イントラダイン受信機では、中間周波数fIFは、LO周波数fLOを信号周波数fSと概ね合わせることによって信号帯域に収まるように選択することができる。イントラダイン検出は、受信信号のI成分とQ成分の両方の検出を可能にするので、イントラダイン受信機は、「位相ダイバーシティ」受信機とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、デジタル位相ロックアルゴリズムは、通常は高速アナログデジタル変換(ADC)及びデジタル信号処理(DSP)を使用して、サンプリングされたI成分及びQ成分から変調信号を復元するために実装される。
【0097】
図7は、位相ダイバーシティコヒーレント受信機700の概略図である。受信機700の例示的な実施形態では、光信号702(ES)及び連続波LO704(ELO)は、90度光ハイブリッド706に入力され、90度光ハイブリッド706は、2つの入力702、704を処理して、それぞれの光検出器710によって受信される4つの別個の出力708にする。コヒーレント検出パラダイムでは、変調信号光702及び連続波LO704の電場のビート積は、次に電気的に処理され得る信号情報のより低い周波数表現をもたらす。
【0098】
入力光信号702のIQ成分の両方を検出するために、90度光ハイブリッド706は、マルチモード干渉(MMI)カプラ714によるダイレクトパス出力とクロスカップリング出力との間に90度位相シフト特性を有する2x2光カプラ712を含む。このような光カプラを、その一方のアームにおける追加の90度位相シフト716と共に、図7に示される構成に組み合わせることによって、実部及び虚部の検出を効果的に達成することができる。一実施形態では、平衡検出がコヒーレント受信機700に導入され、DC成分を抑制し、信号光電流を最大にする。この例では、平衡光検出器710からのそれぞれの出力IQ光電流は、以下のように表すことができる。
【数2】
【0099】
ここで、Rはフォトダイオードの応答性であり、PS及びPLOは、それぞれ入力信号702及びLO信号704に対する光場のパワーである。これにより、受信機700の実装は、関連する正弦成分及び余弦成分の両方の回復を可能にする。この例では、位相雑音θLO(t)は、時間と共に変化すると推定することができ、位相情報φS(t)は、後続のDSPによってイントラダイン検出信号(図7には図示せず)に復元され得る。
【0100】
図8は、位相及び偏波ダイバーシティコヒーレント受信機800の概略図である。受信機800は、いくつかの構造的及び機能的効果において受信機700(図7)と類似しており、同様の要素は同様の符号で参照される。例えば、受信機800の一実施形態では、入力信号802(例えば、偏波多重)及びLO信号804は、偏波ダイバーシティ90度光ハイブリッド806に入力され、偏波ダイバーシティ90度光ハイブリッド806は、2つの入力802、804を処理して、それぞれの8つの光検出器810によって受信される8つの別個の出力808にする。受信機800の動作では、入力信号802及びLO信号804の両方が、偏波ダイバーシティ90度光ハイブリッド806内で、それぞれのPBSユニット812を使用して2つの直交偏波に分割され、その後、入力信号802及びLO信号804の共偏波成分が、2つの別個の90度光学ハイブリッド814(例えば、814(X)、814(Y))内で混合され、それぞれのX及びY偏波に対するI及びQ成分が生成される。光検出器810による平衡化の後に得られる4つのIX、QX、IY、QY信号は、次いで、それぞれのアナログデジタル変換器(ADC)816(又はこの例では別のADC816)によってデジタル化することができ、その後、DSP818が、変換された信号を信号復調のためにさらに処理することができる。
【0101】
図9は、DSPプロセス900を示す。例示的な実施形態では、DSPプロセス900は、関連するプロセッサの構造レベル902及びアルゴリズムレベル904に関して、偏波多重QAM信号のためのデジタルコヒーレント光受信機のプロセッサにおけるDSP機能(例えば、コヒーレント受信機800のDSP818、図8)を示す。プロセス900のそれぞれのステップは、別段の記載がない限り、以下の順序、異なる順序で行われてもよく、いくつかのステップが他のステップと実質的に同時に行われてもよい。
【0102】
例示的な実施形態では、プロセス900は、ステップS906で始まり、ステップS906において、DSP818に入力した4つのデジタル化された信号(すなわち、それぞれのX及びY偏波に対するI及びQ成分)は、ADC816による処理の後、フロントエンドの不完全性を補償するために、DSP818の関連する構造ブロックを通過する。一実施形態では、フロントエンドの不完全性は、ステップS908において、アルゴリズムレベル904の1つ以上の補正アルゴリズムによって補償され、このアルゴリズムは、コヒーレント受信機800内の光路長と電気路長の両方の差に起因する4つのチャネル間のタイミングスキューを補正するためのデスキューアルゴリズムを含むことができる。ステップS906のいくつかの実施形態では、(受信機800のPIN及び/又はトランスインピーダンス増幅器(TIA)の異なる応答による)4つのチャネルのそれぞれの出力パワーの差、及び90度の位相シフトを正確に導入していない特定の光ハイブリッドに起因する直交不均衡を含むがこれらに限定されない、他のタイプのフロントエンドの不完全性を補正することができる。したがって、ステップS908のいくつかの実施形態では、アルゴリズムレベル904は、正規化及び直交性補正アルゴリズムをさらに含むことができる。
【0103】
ステップS910において、主要なチャネル伝送障害は、構造レベル902の適切なデジタルフィルタの使用によって補償することができ、これは、ステップS912において、推定及び補償アルゴリズムをさらに利用して、色分散及びPMDなどの障害に対処することができる。ステップS912の実施形態では、それぞれの障害のダイナミクスの異なる時間スケールに基づいて、偏波状態(SoP)及び変調フォーマットの独立性、並びに構造レベル902の後続ブロックへの影響により、正確な補償を達成するために色分散推定が必要となる前に、色分散補償のための静的等化が最初に行われ得る。
【0104】
ステップS914において、シンボル同期のためのクロック再生が、入力サンプルのタイミング情報を追跡するために構造レベル902内で処理され得る。ステップS910の実施形態では、クロック再生ブロックと偏波分離ブロックとの共同処理が、ステップS916で、すべてのチャネル障害が等化された後にアルゴリズムレベル904内でシンボル同期を達成するために行われ得る(例えば、図9に示されるそれぞれの矢印によって表されるように)。ステップS916の実施形態では、高速適応等化が、バタフライ構造及び定モジュラスアルゴリズム(CMA)及びその変形などの確率的勾配アルゴリズムによって、2つの偏波に対して共同で行われ得る。ステップS918において、アルゴリズムレベル904では、PMD補償、残留色分散補償、及び偏波分離/動的等化に関して、追加のアルゴリズムが行われ得る。
【0105】
ステップS920において、キャリア再生が、構造レベル902で処理され、これは、ステップS922の、アルゴリズムレベル904内でのキャリア周波数オフセット推定又は補償アルゴリズムと協働して行われ得る。ステップS922の例示的な実施形態では、ソースレーザ802とLO804との間の周波数オフセットが、イントラダイン周波数でのコンステレーション回転を防止するために推定され、除去され得る。ステップS924において、アルゴリズムレベル904内で、キャリア位相雑音が推定され、変調信号から除去され、次いで、シンボル推定のためのアルゴリズム、及びチャネル復号化のための硬又は軟判定前方誤り訂正(FEC)のためのアルゴリズムが続き得る。ステップS926において、最終ビットストリームが、構造レベル902及びアルゴリズムレベル904の両方で回復され得る。
【0106】
この場合も、上記のように、特定のデジタルコヒーレント受信機については、DSPフローの順序が、受信機における設計上の選択に従って上述した順序とは異なる場合があることに留意されたい。例えば、フィードフォワードプロセスの代わりに、又はそれに加えて、クロック再生及び偏波分離を含むがこれらに限定されない、異なるプロセスブロック間の共同処理及びフィードバックを行うことができる。いくつかの実施形態では、類似の機能が、データ支援アルゴリズム又は盲検化アルゴリズムに基づくトレーニングシーケンスの使用によって行われ得る。他の実施形態では、コヒーレント受信機は、上述のステップよりも少ないステップを行ってもよく、又はこの記載の範囲内であるにもかかわらず、具体的に記載されたステップを超える追加のステップを含んでもよい。
【0107】
コヒーレント検出及びDSP技術は、100Gコヒーレント光伝送システムの開発を可能にする重要な要素である。DSP技術は、送信機と受信機の両方及び200Gコヒーレント光システムの開発でさらにユビキタスな役割を果たし、この傾向は、更なる次世代コヒーレント光システムの開発においても継続すると予想される。特定のアルゴリズムは、(例えば、同じプロセスブロックの実施レベルでの様々な具現化により)DSPのプロセスブロックごとに異なる場合があるが、構造レベル(例えば、構造レベル902)又は関数抽象(例えば、アルゴリズムレベル904)における全体的な機能は、これらの技術を実施するすべての関連する主要な商用製品に関して同様であると予想される。
【0108】
典型的な光アクセスネットワークは、その基本と考えられるいくつかのコンポーネントを含む。すなわち、「基本」コンポーネントは、これまでアクセスネットワークにおいて最も広く使用されてきたコンポーネントであり、将来のアクセスネットワークにおいて重要な役割を果たすことが予想される。このような基本コンポーネントは、3つのカテゴリ、(1)光送信機、(2)光チャネル、及び(3)光受信機に分類されると説明することができる。光トランシーバは、光送信機と光受信機の両方を含むと考えられる。これらの基本コンポーネントは、以下の実施形態に関して以下でさらに説明される。
【0109】
図10は、二重光インターフェース構造を有するトランシーバ1000の概略図である。図10に示される実施形態では、トランシーバ1000は、電気クライアント側1002(又はホスト側1002)及び光回線側1004に対して配置される。この例では、トランシーバ1000は、クライアント側1002に電気受信インターフェース1006及び電気送信インターフェース1008を含み、回線側1004に光送信インターフェース1010及び光受信インターフェース1012を含む。すなわち、クライアント側/ホスト側1002が電気インターフェース1006、1008に対応し、回線側1004が光インターフェース1010、1012に対応する。例示的な実施形態では、トランシーバ1000は、トランシーバ1000の制御層1016と通信する管理インターフェース1014をさらに含む。
【0110】
したがって、二重光インターフェーストランシーバ1000は、トランシーバ1000の送信機及び受信機部分1018のそれぞれの送信及び受信機能と通信することができる別個の光インターフェース1010、1012を利用する。一実施形態では、トランシーバ1000は、ホスト側1002で電気インターフェース1006、1008と通信するフレーミングユニット1020(例えば、100GbイーサネットPCS1022及び/又は任意選択の光伝送ユニット1024)をさらに含む。
【0111】
図11は、単一光インターフェース構造を有するトランシーバ1100の概略図である。図11に示される実施形態では、トランシーバ1100は、トランシーバ1000(図10)と同様であり、電気クライアント/ホスト側1102及び光回線側1104に対して同様に配置され、クライアント側1102に電気受信インターフェース106及び電気送信インターフェース1108を含む。しかしながら、トランシーバ1100は、トランシーバ1100が回線側1104に単一の光インターフェース1110を含むという点でトランシーバ1000とは異なる。光インターフェース1110は、トランシーバ1100のそれぞれの送信機部分と受信機部分1114との間で送受信される光信号を機能的に方向付けることができる、トランシーバ1100の方向要素1112と通信することができる。
【0112】
例示的な実施形態では、トランシーバ1100は、トランシーバ1100の制御層1118と通信する管理インターフェース1116をさらに含む。いくつかの実施形態では、トランシーバ1100はまた同様に、ホスト側1102で電気インターフェース1106、1108と通信するフレーミングユニット1120(例えば、100GbイーサネットPCS1122及び/又は任意選択の光伝送ユニット1124を含む。
【0113】
トランシーバ1100の単一光インターフェース構造の実装は、ハブからノードまで利用可能なのが単一のファイバのみである場合に特に有用である。本実施形態では、送信機の光信号(すなわち、Opt.Tx)を単一の光インターフェース(すなわち、光インターフェース1110)に向けることを可能にし、単一の光インターフェースを通って入ってくる信号(すなわち、Opt.Rx)を無視できると予想される性能への影響で部分1114のそれぞれの受信機に向けることを可能にすると同時に、送信方向と受信方向の両方で同じ通信周波数を利用するように、信号方向機能が(例えば、方向要素1112によって)トランシーバ1100に組み込まれる。
【0114】
単一のインターフェーストランシーバを使用する実施に関するアーキテクチャ上の考慮事項は、図12及び図13に関して以下に機能的に説明される。これらの図は、例示目的で提供されるが、限定する意味では提供されない。他の送信機及び受信機の実施は、異なるシーケンス及び異なるフィードバック依存性に従うことができる。
【0115】
図12は、送信機1200の機能概略図である。例示的な実施形態では、送信機1200は、例えば、ホスト側(例えば、ホスト側1002(図10)、ホスト側1102(図11))の電気入力から回線側(例えば、回線側1004(図10)、回線側1104(図11))の光出力までのコヒーレント光トランシーバ(例えば、トランシーバ1000(図10)、トランシーバ1100(図11))で生じる関連する送信機機能を行うように構成される。
【0116】
例示的な動作では、送信機1200は、1つ以上の機能ユニットを含み、機能ユニットは、記載された順序で又は異なる順序で動作することができ、ハードウェア要素、ソフトウェアモジュール、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって個別に実装することができる。いくつかの実施形態では、送信機1200は、この記載の範囲から逸脱することなく、より少ない機能ユニット、又は本願に記載される更なる機能ユニットを含むことができる。これらの送信機機能ユニットは、限定されるものではないが、イーサネットマッピング及び任意選択のOTNフレーミングユニット1202、FEC符号化ユニット1204、シンボルマッピングユニット1206、線形及び非線形プリエンファシスユニット1208、DACユニット1210、IQ変調及び偏波合成ユニット1210、及び任意選択の方向要素ユニット1214のうちの1つ以上を含み得る。すなわち、方向要素ユニット1214は、単一光インターフェーストランシーバ(例えば、トランシーバ1100、図11)の場合には実装されてもよいが、二重光インターフェーストランシーバ(例えば、トランシーバ1000、図10)の場合には必要とされない可能性がある。
【0117】
例示的な実施形態では、送信機1200によって送信される光信号は、限定されるものではないが、符号化スキーム、ラインレート、偏波インバランス、直交及び偏波スキュー、送信機クロックジッタ、周波数許容範囲、光出力パワー、レーザ波長、レーザ線幅、及び送信機のOSNRのうちの1つ以上を含むパラメータを用いて記載することができる。アクセスネットワーク(例えば、ケーブル環境、電気通信環境など)の光分配媒体は、光ファイバ、光スプリッタ、光サーキュレータ、波長マルチプレクサ、波長デマルチプレクサ、及び他の光パッシブコンポーネントのうちの1つ以上を含む、それぞれのリンク上の様々な要素を含むことができる。リンクを通過する光信号に影響を与える可能性のある様々な障害は、光損失又は利得、色分散、PMD、偏波依存損失、偏波回転、光クロストーク、及び光SNR劣化のうちの1つ以上を含む。
【0118】
送信機1200の「不完全な」実施形態によってそのように生成された光信号は、光分配媒体による1つ以上の障害によってさらに劣化する可能性があり、図13に関して以下でさらに説明されるように、トランシーバ(例えば、トランシーバ1000(図10)、トランシーバ1100(図11))の受信機部分による検出、補償及び処理のためにトランシーバの回線側に入る。
【0119】
図13は、受信機1300の機能概略図である。例示的な実施形態では、受信機1300は、例えば、ホスト側(例えば、ホスト側1002(図10)、ホスト側1102(図11))の光入力から回線側(例えば、回線側1004(図10)、回線側1104(図11))の電気出力までのコヒーレント光トランシーバ(例えば、トランシーバ1000(図10)、トランシーバ1100(図11))で生じる関連する受信機機能を行うように構成される。例示的な動作では、受信機1300は、送信機1200(図12)の関連する機能ユニットに概ね対応する1つ以上の機能ユニットを含み、機能ユニットは同様に、リストされた順序で又は異なる順序で動作することができ、ハードウェア要素、ソフトウェアモジュール、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって個別に実装することができる。
【0120】
受信機機能ユニットは、限定されるものではないが、任意選択の方向要素ユニット1302(例えば、トランシーバ1100(図11)のような単一光インターフェーストランシーバの場合)、それぞれのX及びY偏波についてI及びQ直交チャネルを検出する検出ユニット1304、ADCユニット1306、デスキュー及び直交性補償ユニット1308、色分散推定及び補償ユニット1310、PMD補償及び偏波多重化ユニット1312、クロック再生ユニット1314、キャリア周波数オフセット推定及び補償ユニット1316、キャリア位相推定及び補償ユニット1318、シンボルデマッピングユニット1320、FEC復号ユニット1322、及びイーサネットデマッピング及び任意選択のOTNフレーミングユニット1324のうちの1つ以上を含み得る。一実施形態では、受信機1300は、それぞれのユニット1308、1310、1312、1314の1つ以上からADCユニット1306へのフィードバックチャネル1326を含むことができる。
【0121】
例示的な実施形態では、受信機1300によって処理される光信号は、限定されるものではないが、変調、シンボルレート、シンボルマッピング、FEC、ラインレート、符号化スキーム、周波数許容範囲、フレームフォーマット及びマッピング、光入力パワー、レーザ波長、レーザ線幅、受信機のOSNR、偏波インバランス、直交及び偏波スキュー、送信機クロックジッタ、色分散、偏波分散、及び偏波回転(SoPトラック)のうちの1つ以上を含むパラメータを用いて記載することができる。
【0122】
送信機1200と受信機1300の両方に関して、光チャネルの伝送遅延だけでなく、送信機と受信機の両方の遅延を含むエンドツーエンドのリンク遅延など、いくつかの一般的なトランシーバ特性も考慮することができる。さらに、トランシーバの動作は、周囲温度によって影響を受けることもあり、その結果、追加の補償を必要とする場合がある。特に受信機1300に関して、本発明のシステム及び方法は、信号の消失後に受信機がオンに戻るまでに要する時間を示す有用なメトリックとしてデータ再取得時間をさらに利用することができる。
【0123】
図14A~Bは、比較符号化プロット1400、1402を示すグラフである。より詳細には、符号化プロット1400は、通常のQPSK符号化スキームのコンステレーションを表し、符号化プロット1402は、差動QPSK符号化スキーム(この例では反時計回り)のコンステレーションを表す。プロット1402の差動QPSK符号化スキームとプロット1400の通常のQPSK符号化スキームとの比較は、以下でさらに説明する実施形態に関する差動符号化の実施によって実現される利点を示す。具体的には、差動符号化の実施は、サイクルスリップに起因する伝送性能の低下を軽減するように機能する。図14Bに示されるように、反時計回りの差動符号化の場合、IQ値「10」は90度のシフトであり、IQ値「11」は180度のシフトであり、IQ値「01」は-90度のシフトであり、IQ値「00」はシフトなしを示す。例示的な実施形態では、図14Bのプロット1402の差動符号化スキームを実装するトランシーバは、反時計回りの回転を伴うΠ/2位相回転をサポートするように構成される。
【0124】
図15は、例示的なシンボルストリームアーキテクチャ1500を示す概略図である。例示的な実施形態では、アーキテクチャ1500は、シンボルのm×mアレイのストリームを表し、階段FECを利用する100G実装に関して実施され得る。例えば、本願に記載の100GのPHYの要件に従うトランシーバは、512×510の階段コードを利用するFECをサポートするように構成され得る。この説明のために、「階段コード」は、再帰的畳み込み符号化及びブロック符号化からのアイデアを組み合わせ、シンボルの連続するマトリックス間の関係によって特徴付けられる「連続的な」積符号を生じる、誤り訂正符号のクラスと呼ばれる。図15に示されるように、アーキテクチャ1500は、m×m行列Bi(i∈Z+)の列B0,B1,B2,…(すなわち、理論的には無限)を含み、Biの要素は2進数である。
【0125】
図16は、例示的なコードワードアーキテクチャ1600を示す概略図である。図16に示される例示的な実施形態では、アーキテクチャ1600は、長さ2mを有する系統的なコンポーネントコードワード1602の、長さ2m-rを有する左端の情報位置1604と、長さrを有する右端のパリティ位置1606への分割として示されている。この例では、コンポーネントコードワード1602は、系統的な形式(Cとも呼ばれる)の従来のFECブロックコード(例えば、ハミング、BCH、リードソロモンなど)とすることができ、シンボルのブロック長2mを有するように選択され、その長さrはパリティシンボル1606を構成する。すなわち、左端の2m-rシンボル1604がCの情報位置を構成し、右端のrシンボルがCのパリティ位置を構成する。
【0126】
図17は、例示的なブロック分割1700を示す概略図である。図17に示される例示的な実施形態では、それぞれのブロックBiは、そのm-rの左端の列1702と、そのrの右端の列1704とに分割される。一実施形態では、符号化の前に、第1のブロックB0が基準状態に初期化される(例えば、ブロックB0は、すべてゼロの状態に初期化され得る)。次に、m(m-r)の情報ビットはB(1,L)に格納され、B(1,R)の値は、(i)m×(2m-r)行列Λ=[B0 T(1,L)](すなわち、B0 TはB0の転置行列である)を形成し、(ii)次いで行列[B0 T(1,L)(1,R)]の行のそれぞれがCの有効なコードワードになるようにB(1,R)の要素を計算することによって計算される。すなわち、B(1,R)のj番目の行の要素は、Λのj番目の行の2m-rの「情報」シンボルを符号化した結果のr個のパリティシンボルである。
【0127】
一般に、階段コード内の連続するブロック間の関係は、次の関係を満たす。任意のi≧1の場合、行列[Bi-1 T(i)]の行のそれぞれは、コンポーネントコードCの有効なコードワードである(すなわち、Bi-1 TはBi-1の転置行列である)。名前の由来となった階段コードの同等の「視覚的な」説明が、図18に関して以下に示されている。
【0128】
図18は、例示的な階段符号化スキーム1800を示す概略図である。図18に示される例示的な実施形態では、スキーム1800の階段可視化におけるすべての行1802及びすべての列1804は、Cの有効なコードワードである。ほとんどのFECコードは、加法性白色ガウス雑音(AWGN)の下で行うように設計されており、すなわち、デコーダは、雑音サンプルが非相関でガウス分布であると仮定する。ただし、これらのコードの性能は、加えられた雑音が相関している場合、大幅に低下する可能性がある。しかしながら、FECエンコーダ/デコーダにエラーデコリレータを追加して雑音サンプルの相関を低減し、AWGN下での性能に近づけることができる。
【0129】
図19は、例示的なエラーデコリレータ1900の概略図である。例示的な実施形態では、デコリレータ1900は、チャネル1906を介して通信する送信機部分1902と受信機部分1904とを含む。送信機部分1902は、フレームジェネレータ1908、ビットインターリーバ1910、FECエンコーダ1912、及びビットデインターリーバ1914などの、1つ以上のソフトウェア、ハードウェア、又はハードウェア/ソフトウェアハイブリッド要素を含むことができる。受信機部分1904は、同様に、フレーマ1916、ビットインターリーバ1918、FECデコーダ1920、及びビットデインターリーバ1922のうちの1つ以上を含むことができる。
【0130】
エラーデコリレータ1900の例示的な動作では、相関エラーシンボルの位置は、階段符号の性能が相関エラーによって影響を受けないようにランダム化され得る。例えば、送信機部分1902と受信機部分1904の両方において、それぞれのエラーデコリレータインターリーバ(EDI)及び対応するエラーデコリレータデインターリーバ(EDD)(例えば、ビットインターリーバ1910/ビットデインターリーバ1914、ビットインターリーバ1918/ビットデインターリーバ1922)は、フレーム化されたデータに対して、コアエンコーダブロック(例えば、エンコーダ1912)及びコアデコーダブロック(例えば、デコーダ1920)の入力(及び出力)で相補的に直接作用することができる。階段FECエンコーダの入力(EDI)及び出力(EDD)でビットインターリーブを行う目的は、符号化機能の「系統的な」性質を維持することである(すなわち、データフレーム内のデータビットの位置は影響を受けない)。デコーダ1920では、EDIは、階段FECデコーダの入力に適用され、これによりチャネルエラーの位置が効果的にランダム化される。デコーダ出力では、EDDは、ビットをそれらの送信された順序に復元するために適用される。
【0131】
図20は、例示的な階段符号アーキテクチャ2000を示す概略図である。図20に示される実施形態では、アーキテクチャ2000は、512ビット×510ビットの階段コードの512×510ブロック階段エンコーダ符号化を表し、これは、それぞれが512行2002及び510列2004を有するバイナリデータの2次元ブロックBiを考慮することによって達成される。この例では、512×510=261120ビットのブロックサイズは、正確に2つの光伝送ユニット(この例ではOTU4)のクライアントペイロードを伝送する。コンポーネントコードは、この例では3エラー訂正拡張BCH(1022,990)コードである。
【0132】
図21は、例示的なコンポーネントコードワード2100を示す概略図である。階段構造のために、それぞれのコンポーネントBCH(1022,990)コードワードのシンボルを、コードワード2100の「左側」2102又は「右側」2104を占めるものとして分類することが好都合な場合がある。したがって、512×510階段コード内のコンポーネントコードワードはそれぞれ、左側2102に関する512個の「左端の」シンボル(例えば、前の階段ブロックからもたらされる)と、右側2104に関する510個の「右端の」シンボルとを含み得る。すなわち、シンボル(C0,C1,…,C511)はコンポーネントBCH(1022,990)コードワード2100の左側2102を構成し、シンボル(C512,C513,…,C1021)は右側2104を構成する。この例では、Biの最初の2つの行は、短縮されたコードワードに対応し(左端のシンボルはゼロであると想定される)、デコーダで利用することができる。
【0133】
iの位置(行、列)=(j,k)に格納される2進値は、di{j,k}と表すことができる。それぞれのブロックでは、情報ビットはdi{j,k}、0≦j≦511、0≦k≦477として格納され、パリティビットはdi{j,k}、0≦j≦511、478≦k≦509として格納される。パリティビットは以下のように計算される。行j、0≦j≦1については、[di{j,478},di{j,479},…,di{j,509}]は、[di{j,478},di{j,479},…,di{j,509}]=[0,0,…,0,di{j,0},di{j,1}…,di{j,477}]Pとして計算される。ここで、Pは990×32のパリティ生成行列である。行j、2≦j≦511については、[di{j,478},di{j,479},…,di{j,509}]は、[di{j,478},di{j,479},…,di{j,509}]=[di-1{0,l},di-1{1,l},…,di-1{511,l},di{j,0},di{j,1}…,di{j,477}]Pと計算される。ここで、l=Πd(j-2)であり、及びΠdは置換関数である。
【0134】
図22は、一連のブロック2200に対する例示的な階段復号化ウィンドウ2202を示す概略図である。図22に示される実施形態では、復号化ウィンドウ2200は、512×510階段デコーダのための5ブロックの階段復号化ウィンドウとして示されている。復号化ウィンドウ2200の例示的な動作では、階段コードは、復号化ウィンドウ2200内でBCHコンポーネントコードワードを反復的に復号化することによって復号化され、復号化ウィンドウ2200は、実装固有の数の連続する階段ブロック(この例では5ブロック)を含む。すなわち、512×510の階段復号器は、少なくとも5ブロックの復号化ウィンドウ(例えば、復号ウィンドウ2200)を展開して、そのBCH(1022,990)コンポーネントコードワードの反復復号を行う。
【0135】
この例では、この最小構成での合計レイテンシ2204は、7つの階段ブロックである。復号化ウィンドウ2200は、ブロックBi-1に対応するパリティビットが受信されると、時間的に前方に(すなわち、図22に示される視点から「右」に)移動する。復号化ウィンドウ2200のシフトごとに、復号化ウィンドウ2200内のそれぞれのコンポーネントコードワードに対して反復復号を行うことができる。したがって、本実施形態では、512×510の階段コードの実装は、出力BER=1.0e-15において9.38dBのネット符号化利得を達成する。入力BERしきい値は4.5e-3である。したがって、最小512×510階段デコーダのレイテンシ2204は、7×512×510=1,827,840ビットである。
【0136】
図23は、階段符号化スキームに対する訂正不可能なストールエラーパターン2300を示す概略図である。理論的には、追加のランダムエラー又は相関エラーがない場合(かつエラーデコリレータ機能がOFFになっていると仮定した場合)、バーストエラー許容値は1538ビット(例えば、Biの概ね3列)まで高くなる可能性がある。実際には、多くの場合、バーストエラー許容値を指定する際に追加のランダムエラー及び/又は相関エラーを考慮することが必要である。したがって、図23に示されるような訂正不可能なストールエラーパターンを防ぐためにエラーデコリレータ機能の実装が必要な場合があることが予想される。
【0137】
送信機では、8×30592ビットの入力ブロックBiの情報ビットを(1行ずつ、すなわち、左から右、上から下の順序で)エラーデコリレータインターリーバ(EDI)プロセスに通すことができ、その後、インターリーブされた情報ビットBi *を512×478のビット配列(1列ずつ、すなわち、上から下、左から右の順序で)に書き込むことができる。並行して、前の8×30592ビットの入力ブロックBi-1で計算されたパリティを保持する512×32のビット配列内のパリティビットをエラーデコリレータデインターリーバ(EDD)プロセスに(1行ずつ、すなわち、上から下、左から右の順序で)通すことができ、その後、デインターリーブされたパリティビットBi-1 #を8×2048のビット配列に書き込むことができる。次いで、512×478のビット配列内のブロック(Bi *)の情報ビット、他の512×478のビット配列内に位置する前のブロック(Bi-1 *)の情報ビット、及び前の計算(Bi-1)のパリティビットを含む512×32のビット配列内のパリティビットに対して、階段FECパリティを計算することができる。計算されたパリティビットは、他の512×32ビットのパリティアレイ(Bi)に1行ずつ書き込むことができる。次に、ブロックi(Bi)のクライアント情報ビットとブロックi-1(Bi-1 *)の計算されたパリティビットとを組み合わせて、クライアントフレームフォーマット内で送信することができる。
【0138】
対応する受信機では、受信されたブロックiの情報ビット及びブロックi-1のパリティビットを、同様にEDIプロセスに通すことができ、その後、インターリーブされた情報及びパリティビットを、m個の512×478のビット配列及び512×32のビット配列のいずれかに(1列ずつ、すなわち、上から下、左から右の順序で)書き込むことができる。並行して、ブロックi-m(Bi-m ^)のインターリーブされた情報ビットを保持する512×478のビット配列内の補正された情報ビットを、(1列ずつ、すなわち、上から下、左から右の順序で)エラーデコリレータデインターリーバ(EDD)プロセスに通すことができ、その後、デインターリーブされた情報ビットBi-mを、8×30592のビットブロック構造に(1行ずつ、すなわち、左から右へ、上から下への順序で)マッピングすることができる。次いで、復号ウィンドウ(例えば、デコードウィンドウ2200、図22)内でコンポーネントコードワードを反復的に復号化することによって、階段コードを復号化することができる。次いで、ブロックBi-m内の訂正された情報ビットを、1行ずつ書き込むことgできる。
【0139】
BER=4.0e-3でのランダムエラー、差動復号化による相関エラー、及び10FECブロックごとに発生するNビットのバーストエラーを含むシミュレーションでは、最大N=400ビットのバーストが、わずかなペナルティ、すなわち、4.5e-3から4.0e-3の最大入力BERのバックオフ(例えば、約0.1dBのペナルティ)で許容されることが示された。このようなシミュレーションは、本願に記載される100GのPHYの仕様に関して特に有益であることが証明されている。
【0140】
本発明のシステム及び方法に関して準拠しているトランシーバは、100GのPHYの実施形態、200GのPHYの実施形態、又は本発明の新しい光PHY層に特有でない実施形態のいずれであっても、多くの一般的なトランシーバの要件に適合するであろう。しかし、本説明は、準拠トランシーバがサポートする必要がある特定の環境条件を定義することを意図したものではない。ほとんどの場合、環境条件の仕様は、最終顧客が購入要件を定義する際に定義すると思われる。それでもなお、当分野で動作するトランシーバに対して、本実施形態は、そのようなトランシーバが-40℃の低い始動温度で動作する必要があると予想されかつ+85℃の高い内部温度で動作する必要があり得ることを想定している。したがって、トランシーバによってサポートされる温度の予想される範囲(製造業者によって定義される)について、そのようなトランシーバは、サポートされる温度範囲全体にわたって本発明のシステム及び方法の要件を満たすことができると想定される。
【0141】
クライアント側インターフェースに関して、本願の実施形態は、本PHYを利用するソリューションに関して説明され、イーサネット伝送をサポートする。すなわち、例示の目的で、本実施形態の準拠トランシーバは、クライアント側インターフェース(例えば、要素1022(図10)、要素1122(図11))でイーサネット入出力をサポートすることができるものとして本願に記載されている。それでもなお、当業者は、例えば、他のレイヤ2プロトコルが、本発明のシステム及び方法の範囲内でサポートされ得ることを理解するであろう。
【0142】
本願で説明される電気インターフェースは、本説明の100G及び200Gの実施形態に準拠していると想定されるが、そうでなければ、一般にそれぞれの製品定義によって定義され得る。それでもなお、本実施形態の準拠トランシーバは、クライアント側で2x100GbEをサポートすることができ、それにより回線側の光インターフェースで200Gを提供することができるものとして説明される。しかしながら、2x100GbEをサポートする電気インターフェースは、限定的な意味ではなく例として説明されている。当業者は、他の電気インターフェースの構成、例えば200GbEが本説明の範囲内にあり、そのようなトランシーバが同様にイーサネットトラフィック及びイーサネットフレームの伝送をサポートすると想定されることを理解するであろう。
【0143】
再び図10及び11を参照すると、2つの異なる回線側インターフェースのオプション、すなわち、二重光インターフェースのオプション(例えば、トランシーバ1000)及び単一光インターフェースのオプション(例えば、トランシーバ1100)が本願に記載されている。本発明のシステム及び方法によれば、いずれのインターフェースのオプションも、一方では送信及び受信のための単一の周波数をサポートすることができ、他方では送信及び受信のための別々の周波数をサポートすることができる。すなわち、本実施形態は、両方の回線側インターフェースのオプションをサポートするように構成される。例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、送信及び受信に同じ周波数の使用をサポートするように構成され、さらに、異なる周波数を使用する送信及び受信をサポートすることができるように任意選択で構成され得る。
【0144】
また、例示的な実施形態では、200G動作モードをサポートする準拠トランシーバは、本願に記載される200G機能に加えて、100G動作モードをサポートするための後方機能をさらに含むように任意選択で構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、100G動作モードをサポートする準拠デバイスは、100Gモードと200Gモードとを切り替える機構を含むようにさらに構成される。すなわち、準拠デバイスが100Gモードで動作しているとき、トランシーバは100G動作の関連要件を満たし、準拠デバイスが200Gモードで動作しているとき、トランシーバは200Gの運用のための関連要件をすべて満たす。
【0145】
図24は、クライアント側適応プロセス2400を示す概略図である。例示的な実施形態では、プロセス2400は、一連のフレーミング、FEC、及びマッピング動作によって、クライアント側データをコヒーレントな回線側データに適応させるように構成される。図24に示される実施形態では、クライアント側インターフェース2402は、2つの100GbEクライアント信号2404を提供し、これらは、200GコヒーレントDP-QPSK又はDP-16QAM光リンクを介した伝送に適応され得る。
【0146】
プロセス2400の例示的な動作では、2つの100GbEクライアント2404は、最初にマッピングユニット2406によって2つの100G FlexOフレーム構造2408にマッピングされ、次いで多重化ユニット2410(例えば、10bマルチプレクサを含む)によって2つの別個の100G FlexOフレーム/マルチフレーム整列構造から200GFlexO-2-NP(例えば、パリティフィールドのない200GFlexO)フレーム構造2412に多重化される。次いで、200GFlexO-2-NPフレーム構造2412は、パディングユニット2414で適応され、スクランブラ2416によってスクランブルされ、oFECブロック2418でオープンFEC(oFEC)符号化され得る。ブロック2418でのFEC符号化の後、フレーム構造2412はインターリーバ2420によってさらにインターリーブされ、それによりフレーム構造2412をFlexO-2-<oFEC>にレンダリングすることができる。次いで、得られたFlexO-2-<oFEC>フレームのビットストリームは、シンボルマップ2422によって、偏波分配ブロック2424で(上述の)それぞれの偏波のコンステレーションシンボルにマッピングされ、その後、トレーニングシンボルが追加され、FAWブロック2426でスーパーフレームアラインメントワード(スーパーFAW)シンボルが追加され、パイロットブロック2428でパイロットシンボルが追加され得る。
【0147】
図25は、プロセス2400(図24)のフレーミング及びマッピングサブプロセス2500を示す概略図である。図25に示される実施形態では、サブプロセス2500は、2つの100GBASE-Rイーサネットクライアント2404をフレーム構造2412のFlexO-2-NPフレームに変換することに重点を置いており、これらのフレームはその後、FEC符号化される前に適応及びスクランブルされる(図26に関して以下でさらに説明される)。サブプロセス2500の例示的な動作では、2つの100GbEイーサネットクライアント(例えば、100GBASE-R)は、IEEE802.3-2018に従って定義することができ、クライアントFECは、もしあれば、本実施形態ではマッピングユニット2406によるマッピングの前に終了したと推定される。マッピングユニット2406は、例えば、ITU-TG.709に従って定義され、次いで、多重化ユニット2410は、ITU-TG.709.1に従って定義され得る。
【0148】
マッピングユニット2406内に示される要素の個々の構成は、限定的な意味ではなく例示の目的で提供されている。例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、マッピングユニット2406が以下を行うことができるように構成される。(i)100GBASE-R信号2404を、ITU-TG.709で定義されているような光伝送ユニット/光データユニット/光ペイロードユニット(例えば、OTU4/ODU4/OPU4)構造にマッピングする。(ii)ITU-TG.709の17.7.5で定義されているようなGMPを使用してそれぞれの100GBASE-RペイロードをOPU-4にマッピングする。(iii)ITU-TG.709の17.7.5.1に定義されているような100GBASE-Rマルチレーン処理をサポートする。(iv)それぞれのODU4信号をODTUC信号にマッピングし、ODTUCを、ITU-TG.709の20項で定義されているようなOPUCトリビュタリースロットにマッピングする。(v)それぞれのOTUC信号を、ITU-TG.709.1の10項で定義されているようなFlexOフレームインスタンスにマッピングする。(vi)ITU-TG.709.1の10.4の定義に従うなど、OTUCインスタンスを整列及びデスキューする。
【0149】
図26は、プロセス2400(図24)の符号化サブプロセス2600の概略図である。図25に示される実施形態では、サブプロセス2600は、FlexO-2-<oFEC>にインターリーブする直前のFlexO-2-NPフレーム構造2412の適応及び符号化に重点を置く。サブプロセス2600の例示的な動作では、準拠トランシーバは、64/66Bで符号化された100GBASE-Rインターフェースの適応に関するITU-TG.709 Annex Eの仕様に従う(例えば、パディングユニット2414での)適応をサポートするように構成される。例示的な実施形態では、準拠受信機は、さらに以下のように構成される。(i)インターリーバ2420は、それぞれのFlexOフレームインスタンスを、図29及び図30に関して以下でさらに説明されるようなFlexO-2-NPフレーム構造にインターリーブすることができる。(ii)パディングユニット2414は、FlexO-2-NPフレーム構造を、図30及び図31に関して以下でさらに説明されるような、パディング挿入を含むoFECブロックに適応させることができる。(iii)スクランブラ2416は、図32に関して以下でさらに説明されるようなフレーム同期スクランブルを行うことができる。
【0150】
サブプロセス2500、2600を含むプロセス2400について、中間フレーム構造ビットレート(すなわち、クライアントタイプ及びペイロードビットレート)を以下の表1に示す。これらのそれぞれのフレーム構造、及びoFECブロックへの適応について、以下でさらに説明する。
【表1】
【0151】
図27は、例示的なフレーム構造2700の概略図である。図27に示される実施形態では、フレーム構造2700は、ITU-TG.709.1で定義されているようなFlexO(100G)フレーム構造を表す。この例によれば、それぞれの100Gインスタンスは、128個の行2702×5,140個の1ビット列2704を有するブロックフォーマットを実現する。
【0152】
図28は、例示的なマルチフレームフォーマット構造2800の概略図である。図28に示される実施形態では、マルチフレームフォーマット構造2800は、ITU-TG.709.1で定義されているようなFlexOマルチフレームフォーマットを有する8フレームマルチフレーム構造を表す。例示的な実施形態では、構造2800は、FlexOフレームのそれぞれのペイロード領域2802内に7つの固定スタッフ(FS)位置2804を含み、したがって、それぞれのFS位置は、この例では1,280ビットを有する。またこの例では、FS位置は、マルチフレーム構造2800内の最初の7フレームのそれぞれの行65、列1から1,280に生じる。この例では、マルチフレーム構造2800内の最後のフレーム(すなわち、フレーム8)は、FS又はFS位置を含まない。一実施形態では、関連するFSビットは、受信機のシンク機能でチェックされず、すべてゼロ値で満たされ得る。
【0153】
例示的な実施形態では、FS位置2802を除くペイロード領域2804内のそれぞれのFlexOマルチフレームペイロードは、FlexOマルチフレーム構造2800に利用可能な合計5,263,360ビット(すなわち、657,920バイト)のうちの5,244,160ビット(すなわち、655,520バイト)を含むことになる。一実施形態では、構造2800は、それぞれのFlexOフレームの最初の行に挿入されるアライメントマーカ(AM)、パディング(PAD)、及びオーバーヘッド(OH)をさらに含み、一般にITU-TG.709.1定義に準拠することができる。例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、それぞれ図27、28に示すようにFlexOフレーム構造2700、2800をサポートするように構成される。
【0154】
図29は、例示的なフレーム構造2900の概略図である。図29に示される実施形態では、フレーム構造2900は、ITU-G.709.3で定義されるFlexO-2-SCフレーム構造と同様のFlexO-2-NPフレーム構造を表す。すなわち、ITU-G.709.3の12項は、FlexO-2-SCフレーム構造を、10970b×128行を有し、行1、列961から1920にFEC OH、すべての行の列10281から10970にパリティ領域を有すると定義している。したがって、FlexO-2-NPフレーム構造は、このFlexO-2-SCフレーム構造に類似していることができるが、そのパリティフィールドを除外している。例示的な実施形態では、その結果、FlexO-2-NPフレーム構造2900の下流のoFECブロック(例えば、oFECブロック2418、図24)及びインターリーバステージ(例えば、インターリーバ2420(図24))によってパリティが追加され得る。例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、FlexO-2-NPフレーム構造2900をサポートするようにさらに構成される。
【0155】
図30は、例示的なインターリーブされたフレーム構造3000の概略図である。図30に示される実施形態では、フレーム構造3000は、FlexOフレーム3002のFlexO-2-NPフレーム構造3004へのインターリーブを表す。例示的な実施形態では、2つのフレーム/マルチフレーム整列100G FlexOインスタンス3002は、FlexO-2-SCフレーム構造に関してITU-G.709.3の12項で定義されている方法と同様の方法で、FlexO-2-NPフレーム構造3004に(例えば、ITU-G.709.3の12項に定義されているように)10ビットインターリーブされる。この例では、FlexO-2-SC用に定義された120バイトのFEC OHはFlexO-2-NPには必要なく、代わりに予約済み(RES)と定義することができる。これにより、FlexO-2及びFlexO-2-NP AM、PAD、及びOHフィールドは、インターリーブプロセス3006のインターリーブされたFlexO AM、PAD、及びOHインスタンスを示す。例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、10ビットのインターリーブプロセス3006をサポートして、FlexO-2-NPフレーム構造3004を形成するように構成される。
【0156】
FlexO-2-NPのFlexO-2-<oFEC>への適応に関しては、200G DP-QPSK変調の場合、(例えば、パディングユニット2414(図24)によって)58個のFlexO-2-NP行と496ビットのオールゼロPADが追加され、次いで(例えば、スクランブラ2416によって)84個のoFECブロック(例えば、oFECブロック2418)にスクランブルされる。200G DP-16QAM変調の場合、116個のFlexO-2-NP行と992ビットのオールゼロPADが追加され、168個のoFECブロックにスクランブルされる。次いで、スクランブルされたデータは、(例えば、oFECブロック2418内で)2つのoFECエンコーダにビット分離(ビット逆多重化)することができ、oFEC適応速度に関して表2に要約されているように、oFECエンコーダのそれぞれが、3552ビットの入力ブロックで動作し、4096ビットの出力ブロックを生成する。
【表2】
【0157】
図31は、例示的なブロックマッピングスキーム3100の概略図である。図31に示される実施形態では、FlexO-2-NPフレーム構造3102は、200G DP-QPSKのモード及び変調フォーマットのためにoFECブロック構造3104にマッピングされるように示されている。例示的な実施形態では、マッピングスキーム3100は、追加のPAD位置3106及びスクランブラリセット位置3108を含む。一実施形態では、準拠トランシーバは、ブロックマッピングスキーム3100をサポートするように構成される。
【0158】
図32は、例示的なブロックマッピングスキーム3200の概略図である。図32に示される実施形態では、FlexO-2-NPフレーム構造3202は、200G DP-16QAMのモード及び変調フォーマットのためにoFECブロック構造3204にマッピングされるように示されている。例示的な実施形態では、マッピングスキーム3200は、追加のPAD位置3206及びスクランブラリセット位置3208を含む。一実施形態では、準拠トランシーバは、ブロックマッピングスキーム3200をサポートするように構成される。
【0159】
両方のマッピングスキーム3100、3200に関して、oFECアライメント及び同期の目的で、パディング挿入及び除去を行うことができる。パディング挿入及び除去は、FlexOペイロード領域からパッドビットをそれぞれ先頭に追加及び除去することによって達成することができる。これらの場合、PADは、符号化の前にスクランブルされ、復号化及びデスクランブル後に除去される、全ゼロフィールドであり得る。この例によれば、準拠トランシーバは、様々なフレーム構造によって示される場合、全ゼロフィールドのPADをサポートするように構成される。
【0160】
図33は、例示的なフレーム同期スクランブラ3300の概略図である。一実施形態では、フレーム同期スクランブラ3300は、スクランブリング及びデスクランブリングを行うように構成され(例えば、スクランブラ/デスクランブラ)、送信時(例えば、スクランブリング)にはoFECエンコーダブロックの前に位置し、受信時(例えば、デスクランブリング)にはoFECデコーダブロックの後に配置される。例示的な動作では、スクランブラ3300のスクランブラは、シーケンス65535のフレーム同期スクランブラのものと機能的に同等であることができ、生成多項式は、x16+x12+x3+x+1である。
【0161】
スクランブラ3300は、スクランブラ/デスクランブラがそれぞれの新しいoFECブロックの行1、列1において(すなわち、oFECブロック構造にマッピングされたFlexO-2-NPペイロードの最初のビットで、又は前のoFECブロック構造からのPADの最後のビットの後に)0xFFFFにリセットされ得るようにリセット3302をさらに含む。例示的な実施形態では、スクランブラ3300は、FlexO-2-NPフレーム全体にわたって連続的に動作するように構成され、クロック3304を含む。
【0162】
図34は、例示的な符号化及びインターリーブユニット3400の概略図である。例示的な実施形態では、ユニット3400は、プロセス2400(図24)の同様に符号付けされた要素と形状及び機能が類似する要素を含む。例えば、ユニット3400は、スクランブラ3402、oFECエンコーダエンジン3406、インターリーバ3408、及びシンボルマッピングユニット3410のうちの1つ以上を含む。この例では、数式の便宜上、記載されるように基数0である。例示的な実施形態では、oFECエンコーダエンジン3406は、11.1dB@10e-15(QPSK)のネット符号化利得(NCG)及び3回のSD反復後の11.6dB@10e-15(16QAM)のNCG(例えば、FEC前BER2.0e-2で≦10e-15への補正)を有する、ブロックコードベースのエンコーダ及び反復ソフト決定(SD)デコーダを表す。エンコーダとデコーダの合計レイテンシは、この例では3μ秒未満である。
【0163】
データパス3412は、oFECエンコーダエンジン3406とインターリーバ3408との間に形成される。したがって、例示的な動作では、スクランブラ3402からの7104ビットは、2つの並列3552/4096エンコーダENC0、ENC1にビット分離され得る。したがって、偶数ビット(例えば、0ベース)はエンコーダ0(すなわち、ENC0)に進み、奇数ビットWilcoはoFECエンコーダエンジン3406のエンコーダ1(すなわち、ENC1)に進む。例示的な実施形態では、oFECエンコーダエンジン3406のそれぞれのエンコーダインスタンスは、oFECコードワードを生成する。oFECコードワードは、無限数の行及びN個の列(この例ではN=128)を有する行列に編成されたビットの無限セットである。
【0164】
oFECコードワードは、そのそれぞれのビットが2つの「構成コードワード」の一部であるという特性を有し、それぞれのそのような構成コードワードは、制約xH=0を満たす長さ2Nの2値ベクトルxを表す。ここで、Hは(2N,2N-k)の2値行列であり、2N>k>Nである。この例では、k=239であるため、それぞれの構成コードは(2N-k)=17パリティビットを有する。したがって、パリティビットであるビットの割合は17/128であり、コードのレートは111/128=0.867であり、オーバーヘッドは17/111=15.3%である。
【0165】
より詳細には、この例では、Hは、典型的な符号化を用いた、最小ハミング距離6の拡張BCH(256,239)コードのパリティチェック行列である。すなわち、xがxH=0を満たすコードワードである場合、xは偶数パリティを有し、xの最初の255ビットが254次の多項式の係数と見なされる(xのビット0は254乗の係数である)場合、この多項式はバイナリ多項式y16+y14+y13+y11+y10+y9+y8+y6+y5+y+1で割り切れる。
【0166】
図35は、例示的なオープン前方誤り訂正構造3500を示す。構造3500は、高速並列符号化及び復号化が可能になるような構成コードワードの構築を可能にする。構造3500の特定の構成コードのビット部分は、以下の考慮事項に従って定義される。
【0167】
まず、ビットの無限行列3502が、B×Bビットのブロック3504(この例ではB=16)に分割され、行3506と列3508に配置される。それぞれの行3506は、N/B個のブロック(この例ではN/B=8)を含み、それぞれのブロックは、ブロック行番号R及びブロック列番号Cによって識別される。ここで、C=0,1,…,N/B-1である。ブロック内のそれぞれのビットは、それぞれの行番号r(r=0,1,…,B-1)及びそれぞれの列番号c(c=0,1,…,B-1)により識別される。したがって、図35に示されるように、ビット0,0は、ブロックの左上隅に存在するものとして示され、無限行列3502内のそれぞれのビットは、4つ組{R,C,r,c}によって識別され得る。一実施形態では、構造3500はさらに、値2G(この例では、G=2又は4行)を有する必要がある複数の偶数ガードブロック行3510を含む。
【0168】
次に、構成コードワード(R,r)は、そのそれぞれのブロック行番号R及びそのビット行番号r(r=0,1,…,B-1)によってラベル付けされ得る。構成コード(R,r)のk番目のビット(例えば、k=0,1,…,2N-1)は、以下の4つに従って識別されるビットになる。
{(R ^ 1) - 2G - 2 N/B + 2 [k/B], [k/B], (k % B) ^ r, r} (k < Nの場合)
{R, [(k - N)/B], r, (k % B) ^ r} (k ≧ Nの場合)
【0169】
ここで、[]はフロア演算子を表し、(a%b)はbを法とするaの値を表し、(a^b)は数値a及びbの2進表現のビット単位の「排他的論理和」に等しい2進表現を有する数値を表す。図35に示される実施形態では、共用体の垂直又は水平ラインセグメントは、構成コードワードを形成するビットを示す。
【0170】
構成コードワード(20,0)の場合、ビット0から15はブロック(1,0)の列0に位置するように見え、ビット16から31はブロック(3,1)の列0に位置し、…、ビット112から127はブロック(15,7)の列0に位置する。すなわち、それぞれの列において下降するときにビットインデックスが増加する。関連する方法で、ビット128から255は、ブロック(20,0)から(20,7)の行0に位置し、インデックスは対照的に、行において「右方向に」移動するときに増加するように見える。
【0171】
したがって、ビット0から127は、構成コードワードの「前」と呼ばれ、ビット128から255は、構成コードワードの「後ろ」と呼ばれる。したがって、oFECエンコーダ内のそれぞれのビットは、1つの構成コードワードの前に属し、別の構成コードワードの後ろに属する。構成コードワードの後ろがブロックの奇数番目の行にある場合、その構成コードワードの前はブロックの偶数番目の行にあることに留意されたい。前ブロックの下及び後ブロックの上に位置するブロックは、対象の構成コードワードに関連するガードブロックである。
【0172】
構成コードワード(20,15)の場合、そのビットは、構成コードワード(20,0)のセグメントと同じブロックに位置する。ただし、この例では「r」が(前の例の0とは対照的に)15であるため、それぞれの式の「^r」という式がより重要となり、ビットはそれぞれのブロックにおいて逆の順序で取得されることになる。例えば、コードワード(20,15)の前のビット0から15は、ブロック(1,0)の列15のビット15から0になる。
【0173】
一実施形態では、oFECエンコーダは、その「誤り事象(エラーイベント)」によって特徴付けられる性能を有する畳み込み符号を実装する。したがって、「^r」置換がなければ、構成コードワードのすべての復号化で始まり得る、重み36の、約625,000個の起こり得る誤り事象が存在する。比較のために、同じ構成コードに基づく製品コードは、3.3e13を超える重み36のコードワードを有し得る。したがって、「^r」置換の存在は、重み36の誤り事象を除去すると認められ得る。したがって、この例では、oFECエンコーダの最小ハミング距離は少なくとも42である必要がある。したがって、準拠トランシーバは、(i)図26及び27に関して以下でさらに説明されるoFECエンコーダの定義、(ii)図28に関して以下でさらに説明されるoFECインターリーバ、(iii)15.315%のoFECオーバーヘッド率、(iv)QPSK変調で動作する場合に少なくとも11.1dBのネット符号化利得を有するoFECデコーダ、(v)16QAM変調で動作する場合に少なくとも11.6dBのネット符号化利得を有するoFECデコーダをサポートするように構成される。
【0174】
一実施形態では、符号化は、行が増加する順序で順次行われる。例示的な実施形態では、全ての構成コード(R’,r’)(例えば、R’<R-2G)は、構成コードワード(R,r)が符号化される時点ですでに符号化されている。構成コードワード(R,r)は、例えば、長さ2Nのベクトルxを形成することによって符号化することができ、構成コードワードの前のNビットは、無限行列3502内の先に符号化されたビットから読み出される。構成コードワードの後ろでは、最初のk-N(すなわち、111)個のビットは新しい、すなわち「未使用の」情報ビットを表し、残りの2N-k(すなわち、この例では17)個の後ろのビットは、xH=0を満たすように計算され得るパリティビットとして機能する。符号化後、N個のバックビットは、上記のように、無限行列3502内のそれぞれの位置に配置され、配置されたビットは、次いでインターリーバに出力され得る。
【0175】
構造3500の一実施形態では、Gの値は、2B(G+1)=96個の構成コードの並列符号化を可能にするのに十分な大きさであるように選択される。本実施形態では、パイプライン遅延は比較的小さいと想定されている。構成コードの数は、パイプライン遅延が増加するにつれて大幅に減少する可能性があり、これは、エンコーダよりもデコーダの要因である可能性が高い。少なくとも一実施形態では、最小数N/B(N/B+2G+1)=104個のブロックがエンコーダメモリ(図35には図示せず、電流入力を除外してもよい)に保持される。この例では、ブロックグループ3512(図35に示される破線の境界内に表される)は、ブロック行20及び21を符号化するためにメモリに保持される必要があるブロックを表す。本実施形態では、Gの大きな値によって、トランシーバは、符号化及び復号化動作におけるより長いパイプライン遅延、ならびにエンコーダ及びデコーダにおけるより多くの並列実行を可能にすることができる。しかしながら、Gの値の増加は、通常、増加したメモリを犠牲にして実現され得る。この潜在的なトレードオフは、場合によっては、システムの初期設計上の考慮事項として解決され得る。その他の場合、このトレードオフは、リアルタイムの動作特性及び/又は様々なシステムコンポーネントの修正/アップグレードに応じて時間と共に動的に変更され得る。
【0176】
図36は、例示的なビット順序付けスキーム3600を示す。図36に示される実施形態では、ビット順序付けスキーム3600は、エンコーダインターフェース又はエンコーダ入力における入力矩形3602内のビット順序付けの配列を表す。この例では、エンコーダ入力は、(2B)×(2N-k)=32×111ビットのブロックサイズを有しかつ0、1、2、…の番号が付けられた複数の矩形のブロックを含む。ビット順序付けスキーム3600を利用して、個々のビットをエンコーダに入力し、それに応じて順序付けることができる。ビット順序付けスキーム3600によれば、i番目の入力ビットは、矩形[i/(32×111)]内の値i%(32×111)によって示される位置に配置され得る。この例では、入力矩形3602は、入力矩形3602の右端に沿ってビットブロック3606が16×15である場所を除いて、複数の16x16のビットブロック3604に分割される。したがって、矩形P(例えば、入力矩形3602)における行pのビットk=0,1,2,…は、(2P+[p/B],p%B)と表される構成コードワードの位置N+kに配置され得る。
【0177】
図37は、例示的なビットナンバリングスキーム3700を示す。図37に示される実施形態では、ビットナンバリングスキーム3700は、エンコーダ出力における出力矩形3702内のビットナンバリングの配列を表す。この例では、エンコーダ出力は、(2B)×N=32×128ビットのブロックサイズを有する複数の矩形ブロックを含み、矩形は、同様に0、1、2、…と番号が付けられている。したがって、矩形P(例えば、出力矩形3702)における行pのビットk=0,1,2,…は、無限配列(例えば、無限配列3502、図35)のビット{2P+[p/B],[p/B],k/B,p%B}を表す。次いで、内部のそれぞれのビットをそれに応じて順序付けることができる。
【0178】
本願に記載される例示的な実施形態のために、エンコーダ出力ビットは、それぞれの入力ビットの関数として説明される。したがって、本発明のシステム及び方法は、これらの従来の多様な要素を統合する重要なイノベーションを導入する。エンコーダ入力及び出力のこの有利な関係は、本願に記載されるいくつかの実施形態のための以前のエンコーダの定義を可能にし、これは、200G動作モードに関して特に有用である。
【0179】
したがって、説明を容易にするために、本発明のoFECエンコーダは、バイナリ入力u(i)からバイナリ出力y(i)を生成するエンティティ(ハードウェア又はソフトウェア)であると記載されており、ここでi=0,1,2,…である。したがって、このyとuとの関係は、多次元ベクトルV(R,C,r,c)を含むがこれに限定されない、いくつかの中間変数によって表すことができる。ここで、Rは整数であり、C=0,1,…,7、r=0,1,…,15、c=0,1,…,15である。
【0180】
ベクトルVに関連付けられたいくつかの構成コードワードベクトルがあり、R≧0、r=0,1,2…15、i=0,1,…,255の値に対して、ベクトルVに関連付けられ得る構成コードベクトルWR,r(i)がある。したがって、R≧0の値に対して、それらの関連する構成コードベクトルWR,r(i)は、以下に従って表される。
WR,r(k) = V((R ^ 1) - 20 + 2 [k/16], [k/16], (k % 16) ^ r, r) (k < 128の場合)
【0181】
WR,r(k) = V(R, [(k - 128)/16], r, (k % 16) ^ r) (128 ≦ k < 256の場合)
【0182】
ここで、[]はフロア関数を表し、(a%b)はbを法とするaの値を表し、(a^b)は数値a及びbの2進表現のビット単位の「排他的論理和」に等しい2進表現を有する数値を表す。
【0183】
一実施形態では、準拠受信機は、構成コードワードベクトルWR,rのビットが、R≧0、r=0,1,…,15、及びk=0,1,…,110の値に対して、以下の等式を満たすように構成される。
WR,r(128+k) = u([R/2]×32×111 + ((R % 2)×16 + r) × (16 - [k/96]) + [k/16]×512 + k%16)
【0184】
R≧20の場合、構成コードの値WR,rH=0であり、ここでHは拡張BCH(256,239)コードのパリティチェック行列を表す。典型的な符号化技術を利用して、xがxH=0を満たすベクトルである場合、xは偶数パリティを有すると判定され得る。また、xの最初の255ビットが254次の多項式の係数であると考えられる(xのビット0は254乗の係数である)場合、その多項式はバイナリ多項式y16+y14+y13+y11+y10+y9+y8+y6+y5+y+1で割り切れる。
【0185】
したがって、出力yは、(例えば、R≧0、C=0,1,…,7、r=0,1,…,15、及びc=0,1,…,15の値に対して)、以下の関係を満たすように構成され得る。
V(R, C, r, c) = y([R/2] × 32 × 128 + (R % 2) × 256 + C × 16 × 32 + r × 16 + c)
【0186】
この例では、20×16×17個の値が、構成コードワードベクトルWR,rにおいて、0≦R<20の主ベクトルV(R、C、r、c)内で、したがって出力yにおいても未定義のままであることが分かる。例示的な実施形態では、システム設計者が特定の実施に任意の都合の良い値を自由に使えるように、未定義の値は意図的であり得る。
【0187】
対照的に、テストベクトルの場合、出力値は完全に指定される。したがって、テストベクトルの実施形態に関して、0<R<20に対して、WR,rH’=0(ここで、H’は最初の128行がすべてゼロ値を有する256×17のバイナリ行列であり、最後の128行がHの最後の128行と等しい)となるように、追加の制約が設計に含まれる。
【0188】
少なくとも1つの実施形態では、本発明のシステム及び方法は、製品コードのターボ復号化のために設計された反復アルゴリズムの適応をさらに可能にし、oFECコードワードを復号化する。したがって、反復復号の使用事例では、ブロック行R内のビットはすべて、ブロックの2(N/B+G+1)個の行が復号化された後、後の構成コードワード内の先頭ビットとして復号化される。より詳細には、再び図35を参照すると、行R=0のビットはすべて、ブロック行21が復号化されるまでに先頭ビットとして復号化される。このような場合、本発明のシステム及び方法によれば、ブロック行0の構成コードワードを再び復号化することが望ましい場合がある。
【0189】
再び図34を参照すると、FECデータパス3412は、oFECブロック3406によるoFEC符号化の後、続いてシンボルマッピングユニット3410によるシンボルマッピングがある、172,032ビットのブロックのブロックインターリーブがインターリーバ3408によってどのように行われるかを示している。本実施形態では、ビットストリームをインターリーブすることにより、連続的に受信されたシンボル間の雑音の非相関化、及びシンボルの均等分布が可能になる。図34に示されるように、ブロックインターリーバ3408は、DP-QPSKに4ブロックのインターリーブを使用し、DP-16QAMシグナリングに8ブロックのインターリーブを使用する。oFECインターリーバ3408のアーキテクチャは、172,032ビットのoFECインターリーババッファサイズを含み、これは、表3に関して以下でさらに示すように、16x16のビットブロックの(84,8)配列として構造化することができる。例示的な実施形態では、インターリーバフォーマットは、上述のエンコーダ及びデコーダのために実装されるフォーマットと同様であり得る。
【0190】
例示的な実施形態では、インターリーバ3408は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせとして適用され得る、2つの機構、(i)ブロック内インターリーバ機構及び(ii)ブロック間インターリーバ機構をさらに含む。ブロック内インターリーバ機構は、エンコーダ出力におけるブロックのそれぞれの行及び列のビットが、回線での伝送のためにブロック内で実質的に均一に再マッピングされることを確実にするために、それぞれの16×16ブロック内のビットを並べ替えるように構成される。一実施形態では、この動作は、インターリーバ3408への入力で怒る。ブロック間インターリーバ機構は、エンコーダ出力においてビットが広く分離され、回線上で近くのシンボル内に含まれるように構成される。
【0191】
例示的な実施形態では、インターリーバ3408は、フルレートで動作すると考えられるが、2つのハーフレートエンコーダENC0及びENC1によって供給される。したがって、エンコーダENC0からのブロックの連続する行は、(例えば、図38に関して以下でさらに示すように)インターリーババッファの偶数ブロック行に書き込まれ、一方、エンコーダENC1からのブロックの連続する行は、奇数ブロック行に書き込まれる。したがって、この例では、インターリーババッファの内容は、エンコーダENC0及びENC1の無限行列の垂直セグメントの行ごとのインターリーブになる。
【0192】
ブロック内インターリーブのために、インターリーバ3408は、それぞれのエンコーダからビットの16×16ブロックを受信すると考えられ、したがって、それぞれのこのようなブロックは別個に考慮され得る。ブロック内インターリーブの例示的な分布は、ブロック内のそれぞれのデスティネーションビットに対するソースビットの行及び列の位置を示す、以下の表3に示される値に従って指定され得る。例えば、インターリーバ入力ブロック(すなわち、エンコーダ出力ブロック)のビット(14,15)[基数0]は、この例では、対応するインターリーババッファブロックの列0の行1に配置される。
【表3】
【0193】
表3に関して見られるように、左端の項目はラテン方陣を形成する。右端の項目は、その最初と最後の行の重複項目を除いて、ほぼラテン方陣を形成する。
【0194】
図38は、例示的なブロック間インターリーブ構造3800を示す。構造3800の例示的な実施形態では、インターリーバ列3802はインターリーバ行3804よりもかなり長いので、ビットは行3804ではなく列3802によって読み取られ得る。このようにして、列内のビットは、行内のビットよりも多くの構成コードワードに広がり、それにより構造3800によって長いバーストに対する許容度が増大する。訂正可能な最大バースト長は、例えば、ハードデコーダと共に使用される場合、インターリーバの品質の従来の尺度と見なされる。この例では、訂正可能な最大バースト長は2,681ビットであることが示されている。
【0195】
構造3800を使用する例示的な動作では、インターリーバから読み出されたビットは変調器に送られ、そこでビットは、H偏波とV偏波の両方において、それぞれS=4のグループで使用され得る。偶数インデックスを有する出力ビットは、H偏波のシンボルを形成するために使用することができ、一方、奇数位置の出力ビットは、V偏波のシンボルに形成される。この構造配置によれば、それぞれの偏波における回線BER推定を大幅に簡略化することができる。さらに、それぞれのHビット及びVビットは、変調とは無関係に、デコーダにおいてそれぞれのブロック内の固定位置に現れる。
【0196】
したがって、ブロック間インターリービング機構については、ブロック内インターリービング機構からのそれぞれのブロック内置換は、ブロックがエンコーダから受信されるときにバッファ内のそれぞれのブロックに適用され得る。この有利な構造的イノベーションの下で、インターリーババッファは次に、それぞれのエンコーダ、ENC0又はENC1の機能として分割されるだけでなく、ブロック行3804の「上」半分(この例では、42個のブロック行0から41)及びブロック行3804の「下」半分(同様に、42個のブロック行42~83)としても分割され得る。構造3800のこの更なる実施形態によれば、バッファは4つのサブセットに効果的に割り当てられ、それぞれのこのようなサブセットは21×8ブロック、すなわち336×128ビットを含む。例示的なインターリーバのサブセットを、表4に関して以下に示す。
【表4】
【0197】
表4に示されるサブセット配置によれば、出力において、それぞれのそのようなサブセットから順番に8ビットのグループを取得し、次の列に進む前にビットの1つの列からビットのグループを読み出すことができる。より具体的には、図38に示される例に示されるように、サブセット0の最初の列の一番上から最初の8ビットが読み取られ、次いで、サブセット1、2、及び3の最初の列から最初の8ビットが読み取られる。次いで、得られた32ビットの後に、サブセット0、1、2、及び3のそれぞれの最初の列の次の8ビットを取得することができる。それぞれの4×8ビットの42回のこのようなサイクルの後、インターリーババッファの最初のビット列が完全に読み出され、出力プロセスはビット列1から127を読み出すことによって続行され得る。
【0198】
図39は、例示的なシンボルマッピング及び偏波分配プロセス3900の概略図である。例示的な実施形態では、プロセス3900は、プロセス2400(図24)の同様に符号付けされた要素と形状及び機能が類似する要素に関して行われる。例えば、プロセス3900は、2つのエンコーダENC0及びENC1を有するoFECエンコーダエンジン3902、インターリーバ3904、シンボルマッピングユニット3906、及び偏波分配ブロック3908に関して動作することができる。例示的な動作では、プロセス3900は、符号化及びインターリーブされたoFECブロックを、それぞれの偏波のDP-QPSK及びDP-16QAMコンステレーションシンボルにマッピングするように機能する。プロセス3900はさらに、次いで、マッピングされたコンステレーションシンボルを2つの異なる偏波に分配し、トレーニングシンボル及びスーパーFAWシンボルを挿入し、パイロットシンボルを追加するように構成される。一実施形態では、シンボルマッピングユニット3906によるシンボルマッピング及び偏波分配ブロック3908による偏波分配は、変調依存性である。それぞれの利用可能な変調(例えば、DP-QPSK及びDP-16QAM)に対するシンボルマッピング及び偏波分配について、以下でさらに説明する。
【0199】
DP-QPSK変調の場合、FEC符号化及びインターリーブされたビットストリームは、DP-QPSKシンボル、S=[s0,s1,…,sn]にマッピングされる。ここで、(c4i)はsiのX偏波のI成分にマッピングされ、(c4i+2)はsiのX偏波のQ成分にマッピングされ、(c4i+1)はsiのY偏波のI成分にマッピングされ、(c4i+3)はsiのY偏波のQ成分にマッピングされる。それぞれの信号次元におけるそれぞれのバイナリラベルからシンボル振幅へのマップは、その結果、それぞれのFAW、トレーニングシーケンス、及びパイロットシンボルのシンボルパターンを示す、以下の表5に従って定義することができる。
【表5】
【0200】
したがって、DP-QPSK変調を用いて動作する場合、準拠トランシーバは、表5に従って定義されるシンボルマッピング及び偏波分配値をサポートするように構成される。
【0201】
DP-16QAM変調の場合、FEC符号化及びインターリーブされたビットストリームは、DP-16QAMシンボル、S=[s0,s1,…,sn]にマッピングされる。ここで、(c8i,c8i+2)はsiのX偏波のI成分にマッピングされ、(c8i+4,c8i+6)はsiのX偏波のQ成分にマッピングされ、(c8i+1,c8i+3)はsiのY偏波のI成分にマッピングされ、(c8i+5,c8i+7)はsiのY偏波のQ成分にマッピングされる。それぞれの信号次元におけるそれぞれのバイナリラベルからシンボル振幅へのマップは、その結果、それぞれのFAW、トレーニングシーケンス、及びパイロットシンボルのシンボルパターンを示す、以下の表6に従って定義することができる。
【表6】
【0202】
したがって、DP-16QAM変調を用いて動作する場合、準拠トランシーバは、表6に従って定義されるシンボルマッピング及び偏波分配値をサポートするように構成される。
【0203】
図40は、例示的なフレーミングプロセス4000の概略図である。例示的な実施形態では、プロセス4000は、(図41~43に関して以下でさらに説明される)スーパーフレームフレーミングフォーマットを実施するためのDSPフレーミングプロセスとして機能する。この例では、DSPスーパーフレームは、それぞれのX/Y偏波に178176個のシンボルのセットを含むものと定義される。この例では、DSPスーパーフレームのDSPサブフレームは、それぞれ3712個のシンボルを含むように定義されている。したがって、プロセス4000の例示的な実施形態では、DSPスーパーフレームは、48個の個別のDSPサブフレームを含むことができる。
【0204】
例示的な動作では、プロセス4000は、プロセス2400(図24)の同様に符号付けされた要素と形態及び機能が類似する要素に関して行われ得る。例えば、プロセス4000は、シンボルマッピングユニット4002、偏波分配ブロック4004、FAWブロック4006、及びパイロットブロック4008に関して動作することができる。したがって、パイロットシンボル(PS)は、最初のDSPサブフレームの最初のシンボルから始めて、32個のシンボルごとに挿入され得る。それぞれのDSPサブフレームは、11シンボルのトレーニングシーケンスで始まることができ、トレーニングシーケンスの最初のシンボルはパイロットシンボルである。この例では、DSPスーパーフレームの最初のDSPサブフレームは、DSPスーパーフレームFAWをさらに含むように構成される。プロセス4000によれば、データストリームが(例えば、シンボルマッピングユニット4002により)シンボルにマッピングされ、(例えば、偏波分配ブロック4004により)それぞれの偏波に分配されると、パイロットシンボル、トレーニングシンボル、FAW、及び他のオーバーヘッドが、DSPスーパーフレーム/サブフレーム構造を作成するように(例えば、専用のそれぞれの機能ブロックにより)追加され得る。
【0205】
図41は、スーパーフレーム/サブフレーム構造のための例示的な分配テーブル4100の概略図である。分配テーブル4100に示されるように、マッピングパラメータ4102は、それぞれのDP-16QAM及びDP-QPSKコンステレーション4104の両方の「外側4点」にマッピングされる。ただし、DP-QPSKコンステレーション4104の場合、「外側4」点は、コンステレーションのすべての点を含む。したがって、両方の変調フォーマットに対して、FAWパラメータ4106は22個のシンボルを含み、トレーニングシーケンスパラメータはDSPサブフレームごとに11個のシンボルを含み、パイロットシンボルパラメータは32個のシンボルごとに生じる。それでもなお、DP-16QAMの場合、個別パラメータのそれぞれは、最も外側の4点のみを構成するコンステレーション4104の一部に制限される。しかしながら、いずれの変調フォーマットについても、例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、少なくとも178,176個のシンボルを有するDSPスーパーフレームをサポートするように構成される。
【0206】
図42は、例示的なスーパーフレーム構造4200を示す。図42に示される例では、スーパーフレーム構造4200は、複数のDSPサブフレーム4202(この例では48個のDSPサブフレーム)に分割されたDSPスーパーフレームを表し、DSPサブフレームのそれぞれは3,712個のシンボルを含む。例示的な実施形態では、最初のDSPサブフレーム(例えば、DSPサブフレーム4202(0))は、以下を含む。(i)oFECブロックにスーパーフレームのデリニエーション及びアライメントを提供するように構成された22個のシンボルスーパーフレームFAW、FAWシーケンスは、X偏波とY偏波の間で異なり得る。(ii)74個の追加シンボルが、将来の使用、校正及び/又はイノベーションのために確保され(RES)、強いトーンを避けるためにランダム化され得る。(iii)リンクトレーニングに利用可能な11個のシンボル。最初のそのようなトレーニングシンボル(TS)は、それぞれのDSPサブフレーム4202内のパイロットシンボル(PS)として共用され得る。(iv)116個のパイロットシンボル。これらは32個のシンボルごとに生じる(例えば、DSPスーパーフレーム4000ごとに5568個のシンボル)。したがって、例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、DSPサブフレーム4202(0)と実質的に同様の最初のDSPサブフレームを有するDSPスーパーフレームをサポートするように構成される。
【0207】
図43は、スーパーフレーム構造4200(図42)の例示的なサブフレーム4300を示す。例示的な実施形態では、サブフレーム4300は、DSPサブフレーム4202(図42)と形態及び機能が実質的に同様であり得る。図4300に示される例では、サブフレーム4300は、DSPスーパーフレーム4200のDSPサブフレーム2から48(すなわち、DSPサブフレーム4202(1)から4202(47))を表す。この例では、最初のサブフレーム(例えば、DSPサブフレーム4202(0))の後に生じるすべてのサブフレーム4300が、(i)リンクトレーニングに利用可能な11個のシンボルであって、最初のトレーニングシンボル(TS)がそれぞれのサブフレーム4300内でパイロットシンボルとして共用され得るものと、(ii)116個のパイロットシンボルとを含むように構成される。図43に示される例では、図示されたQPSK信号の最初のトレーニングシンボルは既知のQPSKシンボルであるため、パイロットシンボルとして処理することができる。一実施形態では、パイロット擬似ランダムバイナリシーケンス(PRBS)のためのシードは、シードがパイロットPRBSシーケンスの一部でもあるように選択され得る。例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、DSPスーパーフレーム4200のDSPサブフレーム2から48をサポートするように構成される。
【0208】
いくつかの実施形態では、追加されたFAWは、表7に関して以下に列挙される必要なシーケンスを含み得る。
【表7】
【0209】
したがって、例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、表7に列挙されたFAWシーケンシングスキームをサポートするように構成される。
【0210】
いくつかの実施形態では、追加されたトレーニングシーケンスは、表8に関して以下に示されるスキームに従って定義され得る。
【表8】
【0211】
*トレーニングシーケンスの最初のシンボルはパイロットシンボルとして処理され、例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、表9に示されるトレーニングシンボルシーケンシングスキームをサポートするように構成される。
【0212】
図44は、例示的なパイロットシーケンスマッピングスキーム4400を示す。図44に示される例示的な実施形態では、スキーム4400は、QPSK変調及びDP-16QAM変調のいずれかに対するマッピングされたパイロットシーケンスを表す。すなわち、上記のように、トレーニングシンボル及びパイロットシンボルは、QPSKコンステレーションの4点すべて、又はDP-16QAMコンステレーションの外側4点のみに設定される。したがって、スキーム4400の例示的な実施は、固定PRBS10をパイロットシーケンス4402として確立し、次いで、それぞれのPRBSパイロットシーケンス4402は、それぞれの変調(例えば、QPSK又は16QAM)シーケンスにマッピングされ得るが、2つの偏波のそれぞれに対して異なるシード値を有する。
【0213】
図45は、例示的パイロットシードシーケンシングプロセス4500の概略図である。例示的な実施形態では、パイロットシードシーケンシングプロセスは、パイロットシーケンス/シンボルがシーケンス内にほぼ等しい量のバイナリ0及び1を生成するように構成されるようにシード(例えば、PRBSパイロットシーケンス4402、図44)を選択するように構成される。少なくとも1つの実施形態では、シードは、トレーニングシーケンスにおける最初のシンボルがパイロットシーケンスにおける最初のシンボルでもあるように選択される。例示的な実施形態では、シーケンシングプロセス4500は、それぞれの偏波シードバイナリ入力4504に対して動作して偏波出力4506を生成するように構成されるシーケンシングレジスタ4502に関して実施される。すなわち、図45に示される実施形態では、ただ1つのシーケンシングレジスタ4502が示されているが、準拠トランシーバシステムは、それぞれの偏波に対して別個のレジスタ4502を含み得る。例示的な実施形態では、シードは、すべてのDSPサブフレームの先頭でリセットされる。
【0214】
パイロットシードシーケンシングプロセス4500は、それぞれの分極シード、シードX及びシードYに使用されるパイロットシーケンシング多項式を示す表9に関して以下でさらに説明される。
【表9】
【0215】
シーケンシングプロセス4500に対するパイロットシードの包括的な結果は、以下の表10に列挙された結果に関してより詳細に提供される。
【表10】
【0216】
フレーム拡張率も、FlexOとoFECの両方に関して重要な考慮事項である。例えば、約63.139467923GBaudのoFEC光信号が与えられた場合(すなわち、QPSKの場合)、関連する拡張率の詳細なリストを表11に示す。
【表11】
【0217】
したがって、それぞれのボーレートは、以下のように計算することができる。
【0218】
QPSKの場合:
63.139467923(GBaud) =
223,618,948,892.8875×(514/544)×(37,296/37,265)×(4,096/3,552)×(899/896)×(32/31)/4
【0219】
16-QAMの場合:
31.5697339615(GBaud) =
223,618,948,892.8875×(514/544)×(37,296/37,265)×(4,096/3,552)×(899/896)×(32/31)/8
【0220】
したがって、ラインレートは以下に従って計算することができる。
252,557,871.7(kbit/s) =
223,618,948,892.8875×(514/544)×(37,296/37,265)×(4,096/3,552)×(899/896)×(32/31)×1,000,000
【0221】
上記のように、200Gの運用は、100Gモードで動作するトランシーバとは異なる、又は追加の2つの要件を準拠トランシーバに課す場合がある。説明を容易にするために、以下の実施形態は、QPSK変調を利用して200Gbps(すなわち、200Gモード)で動作するP2Pコヒーレント光トランシーバの例示的シナリオ内で生じる光PHY層要件のいくつかを説明する。本願に記載されるように、200Gの運用は、200Gの運用がこの特定のデバイスの予想される寿命にわたって個々の集約ノードに対して予想される容量ニーズに対処するという要望を表す、当分野の事業者からの最近のフィードバックに基づいて定義される。以下の説明では、QPSKを用いた200Gの運用に焦点を当てているが、これは、この特定の革新的な実施により、当分野の事業者が100Gの運用とほぼ同じプラント条件で200Gで運用できるようになるからである。
【0222】
したがって、説明を容易にするために、以下の200G要件を3つの主要なカテゴリ、(i)トランシーバの送信動作と受信動作の両方に適用される共通要件、(ii)トランシーバの送信動作に特有の送信機要件、(iii)トランシーバの受信動作に特有の受信機要件に分類した。
【0223】
200G QPSK動作のための共通要件は、シンボルレート、変調、ラインレート、及び波長、周波数、チャネル番号などのDWDM特性のうちの1つ以上を含み得る。シンボルレートに関して、デジタル伝送システムでは、十分な時間があれば、1又は0の文字列を使用して本質的にあらゆる信号を表すことができる。時間の経過と共に送信されるビット数はビットレートと呼ばれ、通常はビット/秒(bps)で測定される。ビットレートを増加させるための最も基本的な原理は、単にそれぞれの1と0を伝送媒体上でより速く伝送することだけである。しかしながら、データをより迅速に伝送するためのより効率的な技術は、シンボルとして知られる相対的な状態の集合を使用して複数のビットを同時に処理及び伝送することを含む。単位時間に伝送されるシンボル数は、ボーレートと定義される。
【0224】
したがって、本願のいくつかの実施形態の説明で使用される63.139467923Gbaudの値は、この値が本開示全体を通して説明されるいくつかの実施形態で特徴とされる200Gbpsのデータ伝送の全てを可能にするので、シンボルレートとして選択された。シンボルレートの速度に加えて、シンボルレートの精度も、送信された信号の正常な受信を可能にするための重要な考慮事項である。したがって、例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、(例えば、QPSK、DP-QPSKなどの関連する変調フォーマットによる)63.139467923Gbaudのシンボルレートをサポートするように構成されるだけでなく、準拠トランシーバはさらに、少なくとも+/-20ppmのシンボルレート精度を維持するように構成される必要がある。
【0225】
本開示全体を通して説明されるように、変調フォーマットは、200Gモードで動作するすべてのトランシーバ(及び100Gモードで動作するトランシーバ)にとって主要な考慮事項である。したがって、200G準拠トランシーバにとって必須の変調フォーマットは、少なくともDP-QPSKである。それでもなお、本願に記載される例示的な実施形態に関して、準拠トランシーバはさらに、任意選択的に16QAM変調フォーマット(以下でさらに説明される)をサポートするように構成され得る。
【0226】
上述の100G準拠トランシーバは、二重偏波多重化及びNRZ差動QPSK(DQPSK)変調を実施するように構成される。DQPSK変調は、受信機における絶対位相の正確な測定の必要性を除去し、それぞれのシンボルは、連続するシンボル間の位相差によって符号化され得る。二重偏波多重と組み合わせたとき、この変調フォーマットはDP-DQPSKと呼ばれることがある。キャリアの2つの偏波のそれぞれにDQPSKを使用することにより、それぞれのシンボル期間の4つのデータビットの集約伝送が可能になる。
【0227】
本発明のシステム及び方法の200Gトランシーバはまた、二重偏波多重化を利用するように本願に記載されている。しかしながら、200Gの実施形態で使用されるQPSK変調は、非差動であり得る。非差動QPSKは、DQPSKと比較して改善されたOSNR感度を実現する。さらに、非差動変調フォーマットは、シンボルごとに2ビットを符号化することができ、さらに連続するシンボル間の基準位相認識の要件を含むことができ、これは、上記のように、受信機の位相回復を支援するためにDSPFECフレームに挿入され得るパイロットシンボルの効果的な使用によって実現され得る。キャリアの2つの偏波のそれぞれに非差動QPSK(すなわち、DP-QPSK)を使用することによって、上述のDQPSK変調の実施形態と同様であるが、改善されたOSNR感度で、シンボル期間ごとに4つのデータビットの集約伝送が可能である。
【0228】
図46は、例示的なコンステレーション4600のグラフである。例示的な実施形態では、コンステレーション4600は、200G QPSKシンボルコンステレーションを表し、200G準拠トランシーバは、共通要件として偏波多重化及びQPSをサポートするように構成される。QPSKシンボルコンステレーション4600の場合、2つの偏波のそれぞれにおいて、QPSKを使用してシンボルごとに2つのビットを符号化することができ、パイロットシンボルは、コンステレーション4600の4つのQPSKシンボルへのビットマッピングに従って、受信機の位相回復を助ける働きをする。
【0229】
ラインレートも、共通要件の範囲内にある重要な考慮事項である。一般に、ラインレートは、光チャネルで伝送される信号のビットレートと定義される。本願で説明される200G QPSKシナリオでは、ライン信号は、送信機(例えば、FEC)によって追加されるオーバーヘッドを含み、二重偏波QPSKは、シンボルごとに4つのビットを伝送する。したがって、この例示的なトランシーバシナリオでは、ラインレートはシンボルレートの4倍であるため、準拠トランシーバは、252,557,871.7kbit/sの公称信号ラインレートをサポートするように構成される必要がある。
【0230】
DWDM環境で動作するトランシーバ間の相互運用性を可能にし、かつ既存のDWDM通信システム及び機器との相互運用を可能にするために、例示的な実施形態では、準拠トランシーバはさらに、100GHzチャネル間隔に関して実装される識別されたチャネルのサブセット(例えば、この例ではITU-TG.694.1から)を採用するように構成される必要がある。以下の表12は、この共通要件に従って準拠トランシーバが動作し得る特定のDWDM波長、周波数、及び関連するチャネル番号をリストアップしている。
【0231】
200G QPSK動作シナリオにおけるDWDM周波数グリッドに関して、DP-QPSK変調フォーマットを使用して200Gb/sのラインレートを送信するために、例示的な実施形態では、上記のように、約63Gbaudの範囲で有効なシンボルレートが確立される。光がこのシンボルレートで変調されるとき、光信号の帯域幅は少なくとも63GHzである。
【0232】
したがって、この例では、関連するDWDMマルチプレクサ及びデマルチプレクサの波長フィルタは、光信号を通過させるのに十分な広さの帯域幅を有するように構成される必要がある。この場合、一般的な100GHzチャネル間隔プランで使用される波長フィルタは、200G DP-QPSKに対してこの例示的な実施形態の光信号を通過させるのに十分な帯域幅を提供すると考えられる。50GHzチャネル間隔プラン及びより狭い間隔のプランで使用される波長フィルタは、本発明のシステム及び方法の光信号を通過させるのに十分な帯域幅を有するとは考えられない。
【0233】
低コストの実施を可能にするために、準拠トランシーバは、200G DP-QPSK動作のために表12のDWDM周波数グリッドに提供される以下のリストから1つのチャネルをサポートすることしか必要とされない可能性がある。しかしながら、より大きなフレキシビリティをサポートするために、例示的なデバイスはさらに、以下のリストから複数のチャネルを任意選択でサポートするように構成され得る。場合によっては、トランシーバがチャネルリスト全体、又は少なくともチャネルリストのかなりの部分をサポートできることが望ましいことがある。
【表12】
【0234】
例示的な実施形態では、準拠トランシーバはさらに、トランシーバがサポートする上記のDWDM周波数グリッドからのチャネルを報告するように構成される。
【0235】
トランシーバが複数のチャネルをサポートする場合、トランシーバはさらに、トランシーバモジュールのフォームファクタのための関連する管理インターフェース定義を使用して特定の動作チャネルを割り当てる機構を提供するように構成され得る。同様に、トランシーバはさらに、トランシーバモジュールのフォームファクタのための関連する管理インターフェース定義を同様に使用して、現在送信している特定のチャネルを報告するように構成され得る。
【0236】
200G QPSK実装シナリオのための送信機要件は、送信機の光出力パワー、送信機の光周波数パラメータ(例えば、送信機のレーザの中心周波数の精度、送信機レーザの線幅など)、送信機のOSNR、偏波インバランス、IQインバランス、送信機のスキュー(例えば、送信機の直交スキュー又は送信機の偏波スキュー)、送信機の反射率、及び送信機システムの光リターン許容値などのパラメータ及び特性に関する考慮事項を含み得る。
【0237】
送信機の光出力パワーは、dBmで測定される、動作中のトランシーバの出力ポートからの総光出射パワーと定義され、このパラメータは、例えば1550nmの波長範囲でパワー測定が可能な較正済み光パワーメータ(OPM)を用いて測定することができる。例示的な実施形態では、送信機の最小光パワー要件は、低コストのオプションを可能にするように定義され得るが、それでもなおソリューションが最小アクセスネットワーク要件を満たすことを確実にする。場合によっては、安全上の目的で最大光パワー要件が定義されることがある。
【0238】
送信機要件については、通常のデバイスがその動作寿命の初期に適合性についてテストされることが予想されるので、関連する要件の本質的に全てが通常は「寿命の初期」の要件と考えられることに留意されたい。トランシーバの動作寿命にわたって、関連する要件を満たすデバイスの能力が0.5dBほど低下することがさらに予想される。したがって、例示的な実施形態では、この潜在的な低下は、アクセスネットワークにおける準拠トランシーバの予測される性能要因と考えられる。
【0239】
さらに、送信機の電源投入、電源切断、又は波長シーケンスの変更中に、送信機がある範囲の周波数にわたってパワーの「高速トランジェント」又は突然のスパイクを生成する可能性があることが予想され、これは、一時的ではあるが、そのトランシーバと同じ光学プラント上にあるすべての動作チャネルに潜在的に影響を与え得る。したがって、少なくとも1つの実施形態では、準拠トランシーバはさらに、ブランキング機能を有するように構成され得、これにより、トランシーバは、トランシーバの出力が安定するまで光出力を抑制することができる。
【0240】
二重光インターフェースをサポートするトランシーバの場合、準拠トランシーバはまた、-7.5dBm以上の送信機の光出力パワーをサポートするように構成される。単一光インターフェースをサポートするトランシーバの場合、トランシーバは、-8.25dBm以上の送信機の光出力パワーをサポートすることが予想される構成を有する必要がある。本願に記載されるいくつかの実施形態の動作と一貫して、準拠トランシーバはさらに、+7dBm以上の送信機の光出力パワーを防止するように構成される。
【0241】
さらなる例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、±1.5dBの精度でその送信機の光出力パワーを報告する能力を含み、トランシーバは、任意選択でその送信機の光出力パワーの調整(例えば、0.1dBずつの調整)をサポートするように構成され得る。
【0242】
200G QPSK動作のための送信機の光周波数パラメータの中で、送信機レーザの中心周波数の精度は、選択された周波数中心(例えば、上記の表12)からの実際のレーザ周波数の最大許容オフセットと定義される。動作中、送信機の光信号は、コヒーレント受信機においてLOと混合され、これらのレーザ周波数の差が大きすぎると、DSPは、送信機とLOレーザとの間のキャリア周波数オフセット(CFO)を補償することが非常に困難になる。これらの例示的な実施形態では、様々なDSPは多かれ少なかれCFOを処理することができ、それぞれの個別のベンダは全体的な性能要件を満たすためにLOに関する独自の要件を決定することができるはずであるため、受信機上のLOのレーザキャリア周波数の精度は、本実施形態に適合するように指定される必要はない。それでもなお、これらのパラメータに関して、準拠トランシーバは、1.8GHz以下の送信機レーザの中心周波数の精度を維持するように構成される必要がある。
【0243】
送信機レーザの線幅は、レーザの光場スペクトルの半値全幅(ピークパワーから-3dB)と定義される。したがって、レーザの線幅が大きいほど、受信機からの位相雑音が大きくなり、したがって、DSPが受信したシンボルの位相を決定することが困難になる。したがって、このパラメータに関して、準拠トランシーバは、1000kHz以下の送信機レーザの線幅で動作するように構成されることが予想される。
【0244】
送信機のOSNRは、光信号のレベルと、送信機出力で測定される光ノイズフロアのレベルとの比較を可能にする。送信機のOSNRは、トランシーバに光増幅器が組み込まれている場合、光増幅器の雑音を含む。しかしながら、送信機のOSNRは、ネットワークリンクに配置されたトランシーバの外部にある光増幅器の雑音を含まない。統合された光増幅を含まない送信機の場合、送信機のOSNRは通常、レーザの相対強度雑音(RIN)によって支配される。対照的に、統合された光増幅を有する送信機の場合、利得素子によって加えられる雑音は、通常、送信機のOSNR値に対する重要な寄与因子である。
【0245】
例示的な実施形態では、受信機入力で測定され得るリンクのOSNRは、光信号を復号化する受信機の能力に直接影響を与えることが予想され、送信機のOSNRはリンクのOSNRの一因となる。リンクに外部光増幅器が存在しない場合、リンクのOSNRは通常、送信機のOSNRと同じである。OSNRは、増幅された自然放出(ASE)により、ネットワークリンクに存在する場合、光増幅器によって低下する。
【0246】
OSNRは、信号スペクトルパワー全体を捕捉するのに十分な大きさの分解能帯域幅を有する光スペクトラムアナライザ(OSA)で測定することができる。光ノイズフロアは、信号の中心波長から一定の周波数オフセットで測定され、正と負の両方の周波数オフセットで平均化され、OSAでは平坦なノイズフロアが観察される。正確な周波数オフセットは、信号のボーレートとスペクトル特性によって決まる。約63Gbaudで動作する200GbpsDP-QPSKのOSNRを測定するために、OSAの分解能帯域幅は1.0nm(約125GHz)に設定され、光ノイズフロアは中心波長から±200GHz以上のオフセットで測定される。この場合、OSNR測定のための雑音帯域幅は、193.6THzの光周波数を基準としているため、0.1nmに対応する12.5GHzの測定帯域幅になる。OSNRは、その結果、0.1nmの分解能帯域幅におけるASEノイズレベルに対する全信号パワーの比として計算できる。ほとんどの最近のOSAは、OSNRを自動的に報告し、適切なノイズフロアを決定する。したがって、準拠トランシーバは、35dB以上の送信機のOSNRを提供するように構成されることが予想される。
【0247】
偏波インバランスは、送信機出力におけるX偏波とY偏波の間の光パワーの絶対差と定義される。このトランシーバは、PBSがレーザの送信信号を2つの直交する偏波に分離し、2つの偏波のそれぞれが同相MZM及び直交MZMにより別々に変調される、偏波分割多重化(PDM)を使用する。変調後、2つの偏波は偏波ビームコンバイナ(PBC)により再結合され、送信機において2つの偏波は異なる挿入損失を起こし、送信機出力で偏波インバランスを生じる。
【0248】
それぞれの偏波のパワーのバランスを取るために、可変光減衰器又は半導体増幅器を、以下のようにそれぞれの経路上で使用することができる。
ΔPpol = abs(10 * log10 (Px / Py))
【0249】
ここで、Px及びPyは、2つのデータストリームを搬送する2つの公称直交偏波のパワーである。したがって、準拠トランシーバは、1.5dB以下の送信機の偏波インバランスを有するように構成されることが予想される。
【0250】
IQインバランスは、QPSK信号における同相及び直交位相(I-Q)チャネル間の振幅不均衡と定義される。理想的には、IチャネルとQチャネルは同じ振幅で互いに直交している。しかしながら、ドライバの不完全性、バイアス点の設定などの、又は光学ハイブリッド、バランスドフォトダイオード、及びフロントエンドのTIAのいずれかにおける様々な問題により、IQポート間の利得及び/又は位相の不一致から生じるIQインバランスが導入され得る。これらの不一致は、DP-QPSKシステムの性能を低下させる。より具体的には、IQインバランスは、I信号の振幅をQ信号の振幅と比較し、以下に従って差を(dBで)提供する。
IQ インバランス = 10log10(AQ/AI)
【0251】
ここで、AI及びAQは、それぞれI成分及びQ成分の振幅である。例示的な実施形態では、システム全体への影響を最小限に抑える目的で、すべての準拠トランシーバに対して最大許容IQインバランスが定義されることがある。例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、1dB以下のIQインバランスを有するように構成される。
【0252】
200G QPSK動作シナリオにおける送信機のスキューは、直交、位相、及び/又は偏波に関連する可能性がある。本実施形態の送信機変調フォーマットはDP-QPSKを使用するので、伝送は、2つの直交偏波モードのそれぞれについて変調され、伝送路に送出する前に結合される。結合後、異なる位相及び異なる偏波モードのシンボルは、変調器への電気トレース長の変動、トリビュタリの遅延、光結合などのために異なる時間に始まる(すなわち、互いに対して相対的な遅延を有する)。したがって、直交スキューはIチャネルとQチャネルとの間のチャネル間遅延と定義され、偏波スキューはX及びY偏波(X-Y)チャネル間のチャネル間遅延と定義される。例示的な実施形態では、スキュー効果を最小限に抑え、個別のモードのそれぞれで伝播されるデータの時間のアライメントを維持するために、すべての準拠トランシーバに対してスキュー要件が定義されることがある。
【0253】
上記のように、QPSK信号は、2つの位相直交IQ信号を別々に変調し、その後信号を加算することにより生成される。それぞれの信号は、差動符号化されたバイナリ位相シフトキーイングされ(すなわち、位相反転又は180度シフトして基準に戻り)、次いで結合されて4シンボルフォーマットを形成する(すなわち、4相位相シフトキーイング)。I信号とQ信号の時間のずれは、アイクロージャー(すなわち、シンボルがクリーンな時間の長さの減少)又は次のシンボルのための連続タイムスロットへのシンボル間干渉(ISI)につながる。したがって、一実施形態では、送信機要件は、すべての準拠トランシーバに対するスキュー効果を最小限に抑えるための合理的な要件を確立する場合がある。
【0254】
図47は、例示的な単一偏波変調器4700の概略図である。例示的な実施形態では、変調器4700は、それぞれの入力IQ信号4702からの同相及び直交スキューを有するQPSK変調器を表す。したがって、変調器4700は、形態及び機能が単一偏波変調器300(図3)と実質的に類似しており、MZMであり得る。例えば、変調器4700では、2つのMZM経路4704のそれぞれが、バイナリ位相シフトキー信号を変調するようにバイナリデータセットによって駆動される。次いで、2つのIQ信号4702は、90度位相シフト4706と組み合わされ、それによりシンボルごとに2つのビットを表す基準に対して、0度、90度、180度、又は270度の4つの位相を有する結合信号4708が得られる。したがって、結果として生じる直交スキュー4710は、結合信号4708のI部分とQ部分との間のシンボルスロット配置の時間の不一致(Δτと表される)と定義される。この例では、I信号及びQ信号4702はそれぞれ63Gbaudの近似シンボルレートで変調され、これは16psの近似シンボル持続時間に等しい。例示的な実施形態では、変調器4700が実装される準拠トランシーバは、≦1psの直交スキューを有するように構成される。
【0255】
図48は、例示的な二重偏波変調器4800の概略図である。例示的な実施形態では、偏波変調器4800は、200G動作モードで偏波スキューを有するDP-QPSK変調器を表し、それ以外の点では、形状及び機能が二重偏波変調器400(図4)と同様である。変調器4800は、2つの直交するX偏波及びY偏波のそれぞれに対して変調器4700(図47)の2つの別個のユニットを含む。例示的な動作では、DP-QPSK信号は、2つの直交XY偏波のそれぞれで2つのIQQPSK信号を変調し、結合信号をファイバ伝送媒体4804に送出する前に、PBC4802によりIQ信号を結合することによって生成される。図48に示されるように、X軸及びY軸は、Z軸に沿った光ファイバ4804内の信号伝播に対して垂直であり、したがって送信機の偏波スキュー4806は、変調器4800を実装する送信機からのX偏波及びY偏波のシンボルの開始/終了の時間差Δτである。
【0256】
この例では、X偏波及びY偏波はそれぞれ63Gbaudの近似シンボルレートで変調され、これは16psの近似シンボル持続時間に等しい。したがって、例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、送信機の偏波スキューが16psのシンボル持続時間よりも大幅に短いように構成される。この例では、トランシーバは、送信機の偏波スキュー≦5psを有するように構成される。
【0257】
図49は、例示的な送信機の反射効果4900を示す概略図である。例示的な実施形態では、送信機の反射効果4900が、200G QPSK動作モードに関して説明される。例示的な動作では、可視光(optical light)がネットワーク4906の方向からトランシーバ4904の送信機/送信機ポート4902に入る場合、送信機の反射率は、ネットワーク4906に戻る反射光の量と定義され、R = 10 log10(PR/PI)によって入射光パワーに対する反射光パワーの比としてdBで表すことができる。例えば、光システムにおける反射は、反射光が所望の光信号に関して雑音を引き起こし、システムリンクのOSNRを低下させるため、リンクの性能を低下させる可能性がある。したがって、例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、送信機/送信機ポート4902からの反射率に制限を課して、それによる低下を制限するように構成される。したがって、例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、送信機ポートで≦-20dBの光反射率を有するように構成される。
【0258】
図50は、例示的な光リターン効果5000を示す概略図である。例示的な実施形態では、光リターン効果5000も、200G QPSK動作モードに関して説明され、トランシーバ5004の送信機システム5002の光リターン許容値を表す。システム光リターンは、光コネクタ、フィルタなどのシステム要素から送信機/送信機ポート5002に反射して戻される送信機光信号の量と定義される。送信機の性能は、光リターン効果5000によって低下しない。システム光リターンは、dBで、ネットワーク5006から反射された光パワーと送信機5002から放射された光パワーとの比と定義され、OR = 10 log10(PR/PE)と表すことができる。したがって、例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、≦-25dBのシステム光リターンの存在下で、以下でさらに説明する送信機のOSNR要件を満たすように構成される。
【0259】
200G QPSK実装シナリオのための受信機要件は、受信光パワー及びOSNR、色分散、PMD、SoP、偏波インバランス、IQインバランス、受信周波数の精度、スキュー、受信機の反射率などのパラメータ及び特性に関する考慮事項を含み得る。
【0260】
例示的な実施形態では、受信光パワー及び受信OSNRに関連する受信機感度の要件は、(ショートジャンパケーブルを除く)光伝送ファイバがなくかつ光障害がない状態と定義される「連続」テスト条件下で検証することを目的としたベースライン番号を定義することによって確立することができる。これらの要件は、その結果、ベースライン要件が必要なBERを達成するために特定の受信パワー及びOSNRの量まで調整され得るように、特定の光障害の存在下で緩和され得る。
【0261】
上述の送信機要件と同様に、本願に記載される受信機要件も、トランシーバの動作寿命にわたってこれらの要件が1dBほど低下することが予想されるため、「寿命の初期」の要件と考えることができる。したがって、例示的な実施形態では、この潜在的な低下は、プラント設計の要因と考えられる。
【0262】
いくつかのシナリオでは、受信OSNRは高い可能性があるが、受信光パワーは低い可能性がある。送信機と受信機の間に光増幅を加えない場合、受信機でのOSNRは、送信機からのOSNRと同じになり、この例では少なくとも35dBになるように構成される。このような条件下では、トランシーバは受信光パワーに対する感度によって制限される。これは「受信光パワーが制限されたケース」とも呼ばれ、受信光パワーのベースライン要件を表す。
【0263】
光増幅器が受信トランシーバの近くにある場合のような他の条件下では、光受信パワーは高い可能性があるが、OSNRは低い可能性がある。この不一致は、光増幅によって加えられる雑音により、及び光増幅器が信号及び雑音の両方のパワーレベルをブーストするために生じる可能性がある。この場合、トランシーバはパワーではなくOSNRに対する感度によって制限される。これは「OSNRが制限されたケース」とも呼ばれ、受信OSNRのベースライン要件を表す。
【0264】
二重光インターフェーストランシーバオプションに適用されるベースライン受信OSNR要件に加えて、単一光インターフェースオプションの受信パワー要件の調整も、200G動作モードの範囲内で導入され得る。したがって、この調整は、単一光インターフェースオプションを可能にするために、トランシーバ内の方向要素によって生じる損失を考慮に入れることができる。
【0265】
事業者は、単一光インターフェーストランシーバオプションでは、離散的な光の反射及びファイバの不完全性によって生じる後方散乱によりOSNRの性能低下が予想されることにも注意する必要がある。高品質のファイバ接続、光ファイバコネクタの合わせ面の清浄度、及び斜め研磨コネクタの使用は、低い後方反射パワーに寄与する。単一光インターフェーストランシーバを使用する光リンクで、総後方反射パワーが-33dBm、受信光パワーが≧-9.25dBmの場合、リンクのOSNRに0.5dBのペナルティが観測され得る。このシナリオでは、この後方反射パワーレベルを克服するために、リンクのOSNR≧15dBを実現することができる。
【0266】
トランシーバが二重光インターフェースをサポートする場合、準拠トランシーバはさらに、リンクOSNRが≧35dBで受信光パワーが≧-31dBmのときに≦10-15のFEC後ビット誤り率(BER)を達成するように構成される必要がある。これは、ベースライン受信光パワー要件と呼ばれる。トランシーバが単一光インターフェースをサポートする場合、トランシーバは、リンクOSNRが≧35dBで受信光パワーが≧-30.25dBmのときに≦10-15のFEC後BERを達成するように構成される必要がある。したがって、例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、-20dBm以上0dBm以下の入力パワーに対して±2.0dBの精度で受信光パワーを報告するように構成される。トランシーバは、さらに、-20dBm未満-31dBm以上の入力パワー、及び0dBmを超え7dBm以下の入力パワーに対して±4.0dBの精度で受信光パワーを報告するように構成される必要がある。
【0267】
トランシーバが二重光インターフェースをサポートする場合、トランシーバはさらに、受信光パワーが≧-10dBm、リンクOSNRが≧14.5dBのときに≦10-15のFEC後BERを達成するように構成される必要がある。これは、ベースライン受信OSNR要件と呼ばれる。トランシーバが単一光インターフェースをサポートする場合、トランシーバは、受信光パワーが≧-9.25dBmでリンクOSNRが≧14.5dBのときに少なくとも≦10-15のFEC後BERを達成するように構成される必要がある。一実施形態では、トランシーバは受信OSNRを任意選択で報告するように構成され得る。
【0268】
色分散(CD)により、様々な波長がファイバを通して異なる速度で伝わり、パルス広がり及びシンボル間干渉が生じる。CDの規定値は、標準的なシングルモードファイバで最大120kmのリンクをサポートするように決定することができる。例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、最低2400ps/nmのCDをサポートするように構成される必要がある。受信光パワーが制限されたケースでは、CDが2400ps/nmの場合、トランシーバはさらに、受信光パワーが上記定義のベースライン光パワー要件より0.5dB大きいときに≦10-15のFEC後BERを達成するように構成される必要がある。受信OSNRが制限されたケースでは、CDが2400ps/nmの場合、トランシーバはさらに、受信OSNRが上記定義のベースラインOSNR要件より0.5dB大きいときに≦10-15のFEC後BERを達成し、測定されたCDを報告するように構成される必要がある。
【0269】
図51は、微分群遅延(DGD)プロット5100を示すグラフである。DGDプロットは、例えば、200G QPSK動作モードでの偏波モード分散の影響を表す。プロット5100は、偏波5104の2つの光モード(すなわち、X及びY)をサポートする光ファイバ導波路5102に関して示されている。PMDは、偏波5104の一方が他方よりもファイバ5102をより早く伝わるときに生じる。2つの偏波5104の間の遅延は、図51に示されるように、距離dとともに増加する。より具体的には、ファイバ5102を通過する前は、偏波5104X及び5104Yは、互いに大まかに一致していることが分かる。しかしながら、ファイバ5102の長さを通過した後、偏波5104X’は、偏波5104Y’よりも速くファイバ5102を伝わったように見える。
【0270】
一般に、PMDは統計量(すなわち、確率変数)と見なされる。リンクにおけるこの統計量の瞬間的な実現は、DGDとして測定することができる。したがって、200Gの本実施形態に関して、PMD値は平均PMDを表すと理解され、DGDはトランシーバによって測定することができる実現である。長さ約100~120kmの標準的なシングルモードファイバをサポートするために、トランシーバは少なくとも10psのPMD値を許容するように構成される必要がある。
【0271】
受信光パワーが制限されたケースでは、PMDが10psの場合、トランシーバは、受信光パワーが上記定義のベースライン光パワー要求より0.5dB大きいときに≦10-15のFEC後ビット誤り率(BER)を達成する必要がある。受信OSNRが制限されたケースでは、PMDが10psの場合、トランシーバは、受信OSNRがベースラインOSNR要件より0.5dB大きいときに≦10-15のFEC後ビット誤り率(BER)を達成する必要がある。例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、測定されたDGDを報告するように構成される必要がある。
【0272】
ファイバの振動や近くの落雷などの様々な外部作用が、SoPに変化を引き起こす場合がある。このようなSoPの変化があってもトランシーバが信号を正しく受信し続けることを確実にするために、トランシーバはさらにSoPトラッキングを実施するように構成され得る。したがって、SoPトラッキング速度は、すべてのトランシーバがデータの損失なしにほとんどのケースを処理するためにサポートする必要がある最小値と定義することができる。トランシーバは、より速いトラッキング速度をサポートすることが可能な場合があり、これは、あまり一般的ではない状況(風の強い地域、落雷の多い地域などでの長時間の空中走行など)で必要になる場合がある。ただし、トラッキング速度が速くなると、パワー及びOSNRペナルティが増加する可能性があることに注意する必要がある。したがって、例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、少なくとも50krad/秒のSOPトラッキング速度をサポートするように構成される。
【0273】
受信光パワーが制限されたケースでは、SoPトラッキング速度が50krad/secの場合、トランシーバは、受信光パワーがベースライン光パワー要件より0.5dB大きいときに≦10-15のFEC後BERを達成するように構成される必要がある。受信OSNRが制限されたケースでは、SoPトラッキング速度が50krad/secの場合、トランシーバは、受信OSNRがベースラインOSNR要件より0.5dB大きいときに≦10-15のFEC後BERを達成するように構成される必要がある。一実施形態では、トランシーバはさらに、使用中のSoPトラッキング速度を報告するように構成され得、任意選択で、複数のSoPトラッキング速度をサポートし得、その場合、トランシーバは、SoPトラッキング速度の構成をサポートするように構成される必要がある。
【0274】
本実施形態では、「偏波インバランス」すなわち偏波依存損失(PDL)は、コヒーレント受信機の入力で見られるX偏波とY偏波の光パワーの絶対差と定義される。全PDLは、上述の送信機PDLと様々な伝送ネットワーク要素(例えば、マルチプレクサ、スプリッタ、光増幅器など)との組み合わせによって生成される。一実施形態では、受信機は、シンボルを適切に復号化することができるように、光入力信号に対して予想される最大PDLを許容することが要求され得る。例示的な実施形態では、トランシーバは、入力光信号に対して2.5dBの合計PDLを許容するように構成される。
【0275】
受信光パワーが制限されたケースでは、PDLが2.5dBの場合、トランシーバは、受信光パワーがベースライン光パワー要件より1.5dB大きいときに≦10-15のFEC後BERを達成するように構成される必要がある。受信OSNRが制限されたケースでは、PDLが2.5dBの場合、トランシーバは、受信OSNRがベースラインOSNR要件より1.5dB大きいときに≦10-15のFEC後BERを達成するように構成される必要があり、測定されたPDLを報告するように構成される必要もある。
【0276】
上記のように、IQインバランスは、QPSK信号のIチャネルとQチャネルとの振幅不均衡と定義される。IQインバランスは、I信号の振幅をQ信号の振幅と比較し、この差をdBで出力する。本実施形態では、伝送路が更なるIQインバランスを導入することは予想されないので、IQインバランスの原因は送信機及び/又は受信機から生じると想定される。受信機の許容値は、本願では受信機への入力で定義されるので、必要とされる受信機の許容値は、最悪の場合の送信機に対する要件と同じである。さらに、ラボテストでは、このレベルのIQインバランスがシステム性能に悪影響を与えないことが実証されているため、パワー及びOSNRのペナルティは、この受信機要件に関しては重要な考慮事項ではない。それでもなお、準拠トランシーバは、入力信号に対して1dBのIQインバランスを許容するように構成される必要がある。
【0277】
信号を正常に受信する能力を確実にするために、トランシーバはまた、上記定義の送信機のレーザ周波数精度に対応して、定義されたチャネルグリッドの特定のオフセット内にある信号を受信することができるように構成される必要がある。このような場合、トランシーバは、任意のサポートされるすべてのチャネルについて、例えば表12に定義されるDWDMグリッドの+/-1.8GHz以内の中心周波数の信号を正常に受信することができるように構成される必要がある。
【0278】
上記のように、スキューは、受信機から見たI-Q又はX-Y分岐におけるチャネル間遅延と定義される。例示的な実施形態では、受信機は、シンボルを適切に復号化するために、光入力信号に対して予想される最大のI-Q及びX-Yスキューを許容するように構成される必要がある。
【0279】
直交スキューは、上記のように送信機によっても、受信機によっても生成され得る。直交スキューは、光信号がネットワークを伝播するときに変化しないと予想されるので、受信機への光入力信号の直交スキューは、送信機の直交スキューと同じになる。その結果、受信機による直交スキュー許容度は、送信機の直交スキュー及びスキュー変動にのみ関連する必要がある。したがって、準拠トランシーバは、入力光信号に対して1psの最小受信機直交スキュー許容度を有するように構成される必要がある。
【0280】
受信機DSPで見られる偏波スキューは、送信機、光ファイバ、受信機、及びリンク内の他の光コンポーネントによって生成される偏波スキュー(又はDGD)の組み合わせを表す。したがって、準拠トランシーバは、上記定義の10psのPMD許容値にほぼ等しい30psの偏波スキュー又はDGDを許容するように構成される必要がある。トランシーバはまた、受信機から見たときに入力光信号に対して30psの最小受信機偏波スキュー許容値を有するように構成され得る。
【0281】
図52は、例示的な受信機の反射効果5200を示す概略図である。例示的な実施形態では、受信機の反射効果5200が、200G QPSK動作モードに関して説明される。例示的な動作では、トランシーバ5204の受信機5202に到達する光のいくらかの量が、反射されて、受信機5202を(例えば、ネットワーク5206から)光源に接続するファイバプラントに戻される。反射は、受信機5202における雑音の一因となる可能性があるため、制御する必要がある。受信機5202の反射率は、R = 10 log10(PR/PI)によって、入射光パワーに対する反射光パワーの比としてdBで表される。したがって、例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、≦-20dBの受信機からの最大反射率を有するように構成される。
【0282】
光リンクでは、ファイバの破損によってトリガーされる保護スイッチ又は送信機の障害などの事象によって、受信機への光信号が失われることがある。したがって、データ再収集時間は、ファイバリンクが有効な入力信号で再確立されてすぐにFEC後のエラーフリー性能で受信信号が復調され得るまでの時間と定義される。例示的な実施形態では、準拠トランシーバは、250ミリ秒以下のデータ再収集時間で動作するように構成される必要がある。
【0283】
上述の200G QPSKの実施形態に加えて、本実施形態は、200G 16QAMPHY層動作モードでも効果的に実施され得る。より詳細には、P2Pコヒーレント光学トランシーバは、代替的に、又は追加的に、16QAM変調を利用して200Gbps(200G)で動作するように構成される。本明細書に従うコヒーレント光トランシーバが利用可能になる前に、50GHzのチャネル間隔で動作するDWDMマルチプレクサの展開が、当分野で期待されている。このような機器の交換コストを回避するために、一部の事業者は、50GHzチャネル間隔内に収まる200Gの運用のためのソリューションを要求している。したがって、この要求を満たすために、本明細書は、16QAM変調を利用して200Gの運用を実現するためのモードも定義する。
【0284】
200G 16QAMモードの使用例は200G QPSKモードよりも限られることが予想されるため、このモードは、現時点では、必須ではなくオプションとして説明されている。さらに、本実施形態は、必須の光学性能にあまり重点を置かずに、200G 16QAMモードで動作するときに相互運用性を提供するための動作パラメータ及び要件をさらに含む。16QAM動作モードを必要とする最終顧客は、光学パラメータに対する独自の要件の定義を求めることが予想される。したがって、200G 16QAMモードに対する要件は、現時点では、トランシーバの送信動作と受信動作の両方に適用される共通要件の単一のカテゴリに含まれているものとして説明することができる。
【0285】
このモードのシンボルレートについて、31.5697339615Gbaudの値は、本願で説明されるように200Gbpsのデータ伝送を可能にするために決定されたものであり、シンボルレートの精度は、このモードでも信号の正常な受信を可能にする。トランシーバが200G16-QAM動作モードをサポートする場合、トランシーバも16QAM変調フォーマットで31.5697339615Gbaudのシンボルレートをサポートするように構成される必要があり、また+/-20ppmのシンボルレートの精度を維持できる必要がある。
【0286】
図53は、例示的なコンステレーション5300のグラフである。図53に示される実施形態では、コンステレーション5300は、200G16-QAMコンステレーションを表す。すなわち、200Gのための任意選択の変調フォーマットがDP-16QAMであるので、Iキャリア及びQキャリアのそれぞれの偏波(Xpol,Ypol)は、振幅変調されて、結合されたIQシステムのための16シンボルアルファベットにつながる4つのシンボルを提供することができる。したがって、結果として得られる16個のIQシンボルのそれぞれは、4つのビットを表し、そのうちの2つはI成分の振幅を選択し、他の2つはQ成分の振幅を決定する。これらのデータビットのコンステレーションシンボルへのマッピングについては、上述した。本実施形態では、シンボルコンステレーション5300の形状は正方形であり、それぞれの横軸及び縦軸は、信号の変調されたI成分及びQ成分の相対振幅を表す。IQ平面におけるコンステレーション点の座標を以下の表13に示す。
【表13】
【0287】
したがって、トランシーバが200G 16QAM動作モードをサポートする場合、トランシーバは、200G信号速度のためのDP-16QAM変調もサポートするように構成される必要があり、また、シンボルが表13に従って配置され、図53に示され、上述のシンボルマッピングプロセスを利用する正方形コンステレーションを使用する。
【0288】
DP-16-QAMは、シンボルごとに8ビットを送信する。したがって、ラインレート = 8xシンボルレートである。したがって、トランシーバが200G16-QAM動作モードをサポートする場合、トランシーバは252,557,871.7kbit/sの公称信号ラインレートをサポートする必要がある。
【0289】
DWDM環境で動作するトランシーバ間の相互運用性を可能にし、かつ既存のDWDMシステム及び機器と相互運用するために、準拠トランシーバはさらに、50GHzチャネル間隔を使用して、ITU-TG.694.1で識別されるチャネルのサブセットを採用するように構成されることができる。より詳細には、以下の表14は、準拠トランシーバが動作し得る特定のDWDM波長、周波数、及び関連するチャネル番号をリストアップしている。
【表14】
【0290】
したがって、DP-16QAM変調フォーマットを用いて200Gb/sのラインレートを送信するために、シンボルレートは約32Gbaudである。光がこのシンボルレートで変調されるとき、光信号の帯域幅は少なくとも32GHzである。したがって、DWDMマルチプレクサ及びデマルチプレクサにおける波長フィルタは、光信号を通過させるのに十分な帯域幅を有するように構成される必要がある。この場合、50GHzチャネル間隔プランで使用される波長フィルタは、光信号を通過させるのに十分な帯域幅を有する。また、100GHzチャネル間隔プランで使用される波長フィルタは、光信号を通過させるのに十分な帯域幅を有する。
【0291】
低コストの実装を可能にするために、トランシーバは、この場合も表14の1つのチャネルをサポートすることしか必要とされない可能性がある。しかしながら、より大きなフレキシビリティをサポートするために、デバイスはまた、その複数のチャネルをサポートすることが可能であり得、さらにリストのすべてのチャネル又はリストの大部分を含み、サポートされているありとあらゆるチャネルを報告し、さらに、トランシーバモジュールのフォームファクタのための関連する管理インターフェース定義を使用する、200G QPSKモードの実施形態に関して上述したチャネル割り当て機構及び関連する機能を含み得る。
【0292】
したがって、本願に記載されるシステム及び方法は、ケーブル環境又は他の電気通信アプリケーションのいずれについても、アクセスネットワークに関して特に有利であり、4G、5G、及び6Gネットワーク及び関連アプリケーション、ならびにフロントホール、バックホール、及びミッドホール配置に関して、ならびに短距離及び長距離環境の両方に関して実施され得る。
【0293】
通信ネットワークのためのコヒーレント光システム及び方法の例示的な実施形態は、詳細に上述されている。しかしながら、本開示のシステム及び方法は、本願に記載される特定の実施形態のみに限定されるものではなく、むしろ、それらの実施のコンポーネント及び/又はステップは、本願に記載される他のコンポーネント及び/又はステップとは独立して別々に利用され得る。
【0294】
本開示の様々な実施形態の特定の特徴は、いくつかの図面に示され、他の図面には示されていない場合があるが、この慣例は、便宜及び説明の容易さのためだけのものである。開示の原則に従って、図面に示される特定の特徴は、他の図面の特徴と組み合わせて参照及び/又はクレームすることができる。
【0295】
いくつかの実施形態は、1つ以上の電子デバイス又はコンピューティングデバイスの使用を含む。このようなデバイスは、通常、汎用中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ、特定用途向け集積回路ASIC)、プログラマブル論理回路(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号処理(DSP)デバイス、及び/又は本明細書に記載の機能を行うことができる任意の他の回路又はプロセッサなどのプロセッサ又はコントローラを含む。本明細書に記載されるプロセスは、ストレージデバイス及び/又はメモリデバイスを含むがこれらに限定されない、コンピュータ可読媒体に具現化される実行可能命令としてコード化され得る。このような命令は、プロセッサによって行われると、プロセッサに、本願に記載される方法の少なくとも一部を実行させる。上記の例は単なる例示であり、したがって、決して「プロセッサ」という用語の定義及び/又は意味を限定することを意図していない。
【0296】
この記載された説明は、例を用いて最良のモードを含む実施形態を開示し、また任意のデバイス又はシステムを製造及び使用すること及び任意の組み込まれた方法を行うことを含む実施形態を当業者が実施できるようにする。本開示の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い付く他の例を含み得る。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と相違しない構造要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文言と実質的に相違しない同等の構造要素を含む場合は、特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
図1
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図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53